説明

自動搬送車及びその自動搬送車を使用する自動搬送車運行システム

【課題】様々な作業記号を明示した搬送指示ラインに沿って自動走行する自動搬送車及びその自動搬送車を使用する自動搬送システムを提供する。
【解決手段】部品等を運搬する台を載置可能なフレーム1と、フレーム1の下面に走行面を撮影可能に取り付けられる撮影機2と、撮影機2からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニット3と、画像処理ユニット3から画像処理信号を受信し駆動車輪5を駆動させる駆動モータ6と駆動車輪5の走行方向を回転させるステアリング7とへ制御信号を送る制御ユニット4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車製造工場等において使用され、予め設定される搬送路に沿って製造に関する工具、部材、部品等の自動運搬を行う自動搬送車及びその自動搬送車を使用する自動搬送車運行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の製造工場等において各製造ラインに必要な工具、部材、部品等を自動運搬する搬送車は、その走行ラインに沿って設けられている磁気テープからなる搬送ルートに沿って運行されていたが、自動無人搬送車は、その磁気テープの磁気を感知する磁気センサーを有しており、その磁気センサーによって運行ルートを感知し、認識し自動走行していた。
【0003】
そして磁気センサーによる従来の自動無人搬送車は、磁気のN極とS極との組み合わせを感知し、この組み合わせによって運行の指示信号を駆動装置等に発信していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動無人搬送車のように磁気テープから発する磁気信号を磁気センサーで感知する方式であると、磁気センサーが磁気を検出する精度が低く、磁気テープがある搬送ルートに沿って走行できる追随性が低い課題があった。
【0005】
また、磁気センサーは、搬送ルートにある磁気テープから発せられる信号として磁気のN極とS極との組み合わせを感知し、この組み合わせによって予め決められている運行の指示信号を駆動装置等に発信していたが、組み合わせの数が5〜6種類に限られるため、その数種類の制御しかできない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、部品等を運搬する台を載置可能なフレームと、フレームの下面に走行面を撮影可能に取り付けられる撮影機と、撮影機からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理ユニットから画像処理信号を受信し、駆動車輪を駆動させる駆動モータと駆動車輪の走行方向を回転させるステアリングへと制御信号を送る制御ユニットとを有し、
様々な作業記号を明示した搬送指示ラインに沿って自動走行することを特徴とする自動搬送車を提案する。
【0007】
また、部品等を運搬する台を載置可能なフレームと、フレームに取り付けられ円回転可能な複数のステアリングと、ステアリングに取り付けられステアリングとともに円回転し駆動モータによって駆動されフレームに直線状に複数設けられる駆動車輪と、駆動車輪が複数設けられる直線とは直角方向となる直線状に複数設けられ自由回転可能な補助車輪と、フレームの下面に走行面を撮影可能に取り付けられる撮影機と、撮影機からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理ユニットから画像処理信号を受信し、駆動車輪を駆動させる駆動モータと駆動車輪の走行方向を回転させるステアリングへと制御信号を送る制御ユニットとを有し、
様々な作業記号を明示した搬送指示ラインに沿って自動走行することを特徴とする自動搬送車を提案する。
【0008】
更に、駆動車輪及びステアリングの数が、2個である0006欄又は0007欄に記載の自動搬送車運行システムを提案する。
【0009】
また、部品等を運搬する台を載置可能なフレームと、フレームの下面に走行面を撮影可能に取り付けられる撮影機と、撮影機からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理ユニットから画像処理信号を受信し、駆動車輪を駆動させる駆動モータと駆動車輪の走行方向を回転させるステアリングへと制御信号を送る制御ユニットとを有し、
自動搬送車が、搬送指示ラインに沿って自動走行することを特徴とする自動搬送車を使用する自動搬送車運行システムを提案する。
【0010】
更にまた、部品等を運搬する台を載置可能なフレームと、フレームに取り付けられ円回転可能な複数のステアリングと、ステアリングに取り付けられステアリングとともに円回転し駆動モータによって駆動されフレームに直線状に複数設けられる駆動車輪と、駆動車輪が複数設けられる直線とは直角方向となる直線状に複数設けられ自由回転可能な補助車輪と、フレームの下面に走行面を撮影可能に取り付けられる撮影機と、撮影機からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理ユニットから画像処理信号を受信し、駆動車輪を駆動させる駆動モータと駆動車輪の走行方向を回転させるステアリングへと制御信号を送る制御ユニットとを有し、
様々な作業記号を明示した搬送指示ラインに沿って自動走行することを特徴とする自動搬送車を使用する自動搬送車運行システムを提案する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、搬送ルートとなる搬送指示ラインを撮影機で撮影するため従来の磁気テープから成る搬送ルートとに比べて受信可能な信号(映像)の量が増大し、かつ明確なため走行位置の確認が容易となり、自動搬送車が走行ルートを外すことがなくなった。
【0012】
また、搬送ルートからの映像である信号量が非常に多くなり、撮影画像を画像処理ユニットで処理し、制御ユニットによって処理して様々な種類の指示信号として自動搬送車の走行制御、すなわち発車、停止、進行方向の変更、回転、荷揚げ装置への指示など多数の作業指示を行うことが可能になった。
【0013】
更に、搬送指示ラインが作業者にも視認可能な表示であるため、搬送車への作業信号を見て確認することができ、作業性能が向上した。
【0014】
更に、請求項2及び請求項5に係る発明であると、駆動車輪がステアリングに取り付けられステアリングとともに円回転し、かつフレームに直線状に複数設けられる構成であると、フレームを走行方向に向けたままの状態で左右90度角方向又は斜め前後進の走行ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の最良の実施形態である自動搬送車及びその自動搬送車を使用する自動搬送車運行システムについて、自動搬送車の平面説明図である図1、同じく補助車輪を省略した正面説明図である図2、一つの搬送ルートのサンプルを示す搬送図である図3、搬送指示ラインに明示された指示を示す平面説明図である図4及び図5、自動搬送車が回転して曲がる場合の平面説明図である図6に基づいて説明する。
【0016】
この発明の実施形態である自動搬送車Cは、部品等を運搬する台を載置可能なフレーム1と、フレーム1の下面に搬送指示ライン10が明示されている走行面Gを撮影可能に取り付けられる撮影機2と、フレーム1に取り付けられ撮影機2からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニット3、画像処理ユニット3から画像処理信号を受信し駆動車輪5を駆動させる駆動モータ6と駆動車輪5の走行方向を回転させるステアリング7とに走行制御信号を送る制御ユニット4と、補助車輪9とを有し、様々な作業記号11号を明示した搬送指示ライン10に沿って自動走行する。
【0017】
フレーム1は、上面がほぼ平面であり、平面視長方形の外枠に図示しない複数の内枠を縦横に設けており、その内枠のフレーム1にステアリング7を円回転可能に取り付けている。ステアリング7は、フレーム1に取り付けられているステアリングモータ8によって円回転させられる。この実施形態の自動搬送車では、平面視長方形のフレーム1の長手方向を前進走行又は後進走行の方向とする。この実施の形態では、駆動車輪5及びステアリング7は、フレーム1に走行方向である長手方向前後に直線状に2個設けられている。
【0018】
撮影機2は、映画のように連続映像を撮影可能な撮影機であり、フレーム1のほぼ前後左右の中央位置の下面側に設けられ撮影面20を走行面(地面)Gに向けて設けられており、自動搬送車Cの走行面G、すなわち搬送指示ライン10、及び搬送指示ライン10に書かれている作業記号11を撮影可能である。
【0019】
画像処理ユニット3は、フレーム1の下面側に設けられ撮影機2及び制御ユニット4と接続している。画像処理ユニット3は、撮影機2からの画像信号を受信して画像処理を行い、その画像処理した信号を制御ユニット4へ送信する。
【0020】
制御ユニット4は、フレーム1の下面側に設けられ画像処理ユニット3及び駆動モータ6とステアリングモータ8及び図示していない荷揚げ荷下ろし装置とに接続している。
【0021】
複数設けられる駆動車輪5は、それぞれ取付金具50によってステアリング7に固定されており、駆動モータ6によって駆動されるとともに、ステアリング7
の円回転によって走行方向を変更する。複数の駆動車輪5は、この実施形態では平面視長方形であるフレーム1の長手方向(前進又は後進走行方向)の前後に2個直線状に設けられ、かつフレーム1の幅方向(長手方向とは直角方向)の中央部分に設けられている。
【0022】
ステアリング7は、フレーム1の下面側に取り付けられステアリングモータ8によって円回転駆動する。この円回転は正逆可能である。ステアリング7は、駆動車輪5と同数設けられ、この実施形態では平面視長方形であるフレーム1の幅方向の中央部分でかつ走行方向前後に2個直線状に設けられており、それぞれ下方に駆動車輪5の取付金具50を固定して設ける。
【0023】
補助車輪9は、平面視長方形であるフレーム1の幅方向(走行方向とは直角方向)に複数、この実施形態では左右に2個直線状に設けられており、かつフレーム1の走行方向の中央部分にフレーム1の下面に自由回動可能に取付金具90によって取り付けられており、駆動車輪5に追従する。
【0024】
搬送指示ライン10は、一定の幅のテープ、ペイントなどの素材によって他の地面と色彩、濃淡によって視覚的な区別が可能であればよい。搬送指示ライン10は、自動車製造工程の態様によって自動搬送車Cの走行設計図が可能であり、また搬送指示ライン10において、様々な作業指示が可能である。例えば図4の搬送指示ライン10に記される作業記号11の「W」は自動搬送車Cの「停止」を指示する記号であり、図5の搬送指示ライン10に記される作業記号11の「L」は自動搬送車Cの「減速」を指示する記号である。
【0025】
また自動搬送車Cの右折、左折、回転等は、図6に示されるように撮影機2が時間差によって搬送指示ライン10の曲線の曲がり具合を判別し、その画像を画像処理ユニット3、制御ユニット4に送り、制御ユニット4がステアリングモータ8を駆動させ、ステアリング7を回転させ駆動車輪5の向きを変更して搬送指示ライン10上を走行させることができる。
【0026】
次に、この発明の実施形態である自動搬送車を使用する自動搬送車運行システム及び自動搬送車の作動について説明する。この発明の自動搬送車運行システムは、予め制御ユニット4に画像処理ユニット3から送られてくる搬送指示ライン10及び搬送指示ライン10の上や近傍に記載される作業記号11に関する画像信号に対して、どのような対応するかの指示を駆動モータ6、ステアリングモータ8,荷揚げ荷下ろし装置(図示せず)に送信するかのプログラムは入力されている。
【0027】
一つの実施形態である自動搬送車運行システムについて図3に基づいて説明する。この実施形態は一つの閉鎖搬送指示ライン10に自動搬送車Cが、C1乃至C6の6台が自動搬送している。自動搬送車C1は、荷揚げ荷下ろし装置から制御ユニット4へ荷揚げ荷下ろし作業完了が送信されると、本線である閉鎖搬送指示ライン10に戻り矢印方向へ自動走行する。このとき撮影機2が、搬送指示ライン10を撮影し、その画像が搬送指示ライン10のみの画像であれば、それにしたがって定速走行を画像処理ユニット3、制御ユニット4を介して駆動モータ6、ステアリングモータ8に指示する。
【0028】
搬送指示ライン10は、多数の作業記号11を記載することが可能である。この実施形態では、支線の搬送指示ライン10上に記載されている作業記号11「W」によって自動搬送車C5が停止している。この停止時間も場所によって予めプラグラムが設定されている。
【0029】
閉鎖搬送指示ライン10を一周して再び自動搬送車C1の位置に戻るが、この場合、フレーム1の長手方向に走行する向きからフレーム1の向きをそのままにして90度横方向に直進する。
【0030】
この発明の自動搬送車は、同じ場所でステアリング2を回転させてどの方向の向きにも駆動車輪5を向かせることができるため、フレーム1を同じ方向にしながら直角方向へ急に走行方向を変えることができる。更に請求項2及び請求項5に係る発明では、前後2個の駆動車輪5をそれぞれ異なる方向に向けることにより円回転又は円弧状の走行ができる。
【0031】
更に、自動搬送車Cがフレーム1の長手方向に対して左右斜め直進走行をすることができる。補助車輪9は、自由回転するので駆動車輪5が走行方向に付随して走行方向を変える。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明は、自動車製造工場などにおいて、工具、部材、部品等の自動運搬を行う自動搬送車及びその自動搬送車を使用する自動搬送システムとして利用される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施形態である自動搬送車の平面説明図
【図2】同じく補助車輪を省略した正面説明図
【図3】自動搬送車の搬送ルートのサンプルを示す搬送図
【図4】同じく搬送指示ラインに明示された指示を示す平面説明図
【図5】同じく搬送指示ラインに明示された指示を示す平面説明図
【図6】同じく自動搬送車が回転して曲がる場合の説明図
【符号の説明】
【0034】
1 フレーム
2 撮影機
3 画像処理ユニット
4 制御ユニット
5 駆動車輪
50 駆動車輪取付具
6 駆動モータ
7 ステアリング
8 ステアリングモータ
9 補助車輪
90 補助車輪取付具
10 搬送指示ライン
11 作業記号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品等を運搬する台を載置可能なフレームと、フレームの下面に走行面を撮影可能に取り付けられる撮影機と、撮影機からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理ユニットから画像処理信号を受信し、駆動車輪を駆動させる駆動モータと駆動車輪の走行方向を回転させるステアリングへと制御信号を送る制御ユニットとを有し、
様々な作業記号を明示した搬送指示ラインに沿って自動走行することを特徴とする自動搬送車。
【請求項2】
部品等を運搬する台を載置可能なフレームと、フレームに取り付けられ円回転可能な複数のステアリングと、ステアリングに取り付けられステアリングとともに円回転し駆動モータによって駆動されフレームに直線状に複数設けられる駆動車輪と、駆動車輪が複数設けられる直線とは直角方向となる直線状に複数設けられ自由回転可能な補助車輪と、フレームの下面に走行面を撮影可能に取り付けられる撮影機と、撮影機からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理ユニットから画像処理信号を受信し、駆動車輪を駆動させる駆動モータと駆動車輪の走行方向を回転させるステアリングへと制御信号を送る制御ユニットとを有し、
様々な作業記号を明示した搬送指示ラインに沿って自動走行することを特徴とする自動搬送車。
【請求項3】
駆動車輪及びステアリングの数が、2個である請求項1又は請求項2に記載の自動搬送車。
【請求項4】
部品等を運搬する台を載置可能なフレームと、フレームの下面に走行面を撮影可能に取り付けられる撮影機と、撮影機からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理ユニットから画像処理信号を受信し、駆動車輪を駆動させる駆動モータと駆動車輪の走行方向を回転させるステアリングへと制御信号を送る制御ユニットとを有し、
自動搬送車が、搬送指示ラインに沿って自動走行することを特徴とする自動搬送車を使用する自動搬送車運行システム。
【請求項5】
部品等を運搬する台を載置可能なフレームと、フレームに取り付けられ円回転可能な複数のステアリングと、ステアリングに取り付けられステアリングとともに円回転し駆動モータによって駆動されフレームに直線状に複数設けられる駆動車輪と、駆動車輪が複数設けられる直線とは直角方向となる直線状に複数設けられ自由回転可能な補助車輪と、フレームの下面に走行面を撮影可能に取り付けられる撮影機と、撮影機からの画像信号を受信して画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理ユニットから画像処理信号を受信し、駆動車輪を駆動させる駆動モータと駆動車輪の走行方向を回転させるステアリングへと制御信号を送る制御ユニットとを有し、
様々な作業記号を明示した搬送指示ラインに沿って自動走行することを特徴とする自動搬送車を使用する自動搬送車運行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−152426(P2010−152426A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326763(P2008−326763)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000108188)セントラル自動車株式会社 (66)
【Fターム(参考)】