説明

自動立体視表示装置

自動立体視表示装置は、表示ピクセル105のアレイを持つディスプレイ103及びカラム・ピクセル方向に対して角度αで傾斜する長軸を持つ細長い素子のビュー形成装置109を有し、前記素子は、Pかける異なるカラム中の同じ色のピクセル間の幅のピッチを持つ。ピッチPは、P= 0.5 . k . (1+ S2)になるように選択され、S=tanα、kは正の整数である。この配置は、各々のビューに関して投射される結果として生じる画像が、画像にわたるピクセルの均一かつ規則的な分布を持つことを可能にする。これは、ビューの視覚的外観を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示ピクセルのアレイを持つディスプレイ・パネル及び異なる物理的位置に異なるビューを向けるための装置を有する自動立体視表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前の段落の種類の既知の自動立体視表示装置は、GB2196166Aに記載される。この既知の装置は、表示を生成する画像形成手段の働きをする表示ピクセルのロウとカラムとのアレイを持つ二次元放射液晶表示パネルを有する。互いに平行に伸びる細長いレンチキュラ・レンズのアレイは、表示ピクセル・アレイの上に横たわり、ビュー形成手段の働きをする。表示ピクセルからの出力は、出力の方向を変更するように機能するこれらのレンチキュラ・レンズを通して投射される。
【0003】
レンチキュラ・レンズは、それぞれが細長い半円柱形のレンズ素子から成る素子のシートとして提供される。レンチキュラ・レンズはディスプレイ・パネルのカラム方向に延在し、各々のレンチキュラ・レンズは、表示ピクセルの2つ以上の隣接するカラムのグループそれぞれの上に横たわる。
【0004】
例えば、各々のレンチキュラ・レンズが表示ピクセルの2つのカラムと関連付けられる配置において、各々のカラムにおける表示ピクセルは、それぞれの二次元サブ画像の垂直スライスを提供する。レンチキュラ・シートは、ユーザが1つの立体視画像を観察するように、シートの前に配置されるユーザの左及び右目にこれらの2つのスライス及び他のレンチキュラ・レンズと関連した表示ピクセル・カラムからの対応するスライスを投射する。
【0005】
他の配置において、各々のレンチキュラ・レンズは、ロウ方向における3つ以上の隣接する表示ピクセルのグループに関連付けられる。各々のグループ中の表示ピクセルの対応するカラムは、それぞれの二次元サブ画像からの垂直スライスを提供するように適切に配置される。ユーザの頭部が左から右に移動すると、一連の連続する異なる立体視ビューが観察され、例えば見回した印象を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した自動立体視表示装置は、良好なレベルの輝度を持つ表示を生成する。しかしながら、この装置に関連する1つの問題は、レンチキュラ・シートによって投射されるビューが、一般的に表示ピクセル・アレイを定める非放射の黒いマトリックスの「結像」によって引き起こされる暗い領域によって分離されることである。これらの暗い領域は、表示全体に間隔を置いて配置される暗い垂直バンドの形の輝度不均一性として、ユーザによって容易に観察される。このバンドは、ユーザが左から右に動くと表示を横切って移動し、ユーザがディスプレイに近づくか又は遠ざかると、これらのバンドのピッチが変化する。他の問題は、垂直レンズが、垂直方向よりも水平方向における解像度の非常に大きな低下を引き起こすことである。これらの問題の両方は、表示ピクセル・アレイのカラム方向に対して鋭角でレンチキュラ・レンズを傾斜させる周知の技術によって、少なくとも部分的に対処されることができる。傾斜した角度のレンズの使用は、したがって、ほぼ一定の輝度を有する異なるビュー及びレンズの後の良好なRGB分布を生成する重要な特徴として認識される。
【0007】
本発明は、レンチキュラを傾斜させることを用いるディスプレイがさらに改善されることができるとの認識に基づく。この改善は、傾斜させることが、個々のビューを占めるピクセル(またはカラー・サブピクセル)の不規則なピクセル分布を生じさせる場合があるという事実に関係がある。二次元画像からのピクセルまたはサブピクセルのパターンが個々の観察位置にレンズ配置によって画像化されるので、これは生じる。レンズとピクセルとの間の相対的な傾斜は、ピクセル(またはサブピクセル)が均一なグリッド中に規則正しく配置されないことを意味する。これは、観察者によっていらいらさせる効果として知覚される場合がある知覚不均一性をもたらす。
【0008】
前述の効果を低減することが本発明の目的である。本発明は、独立請求項によって定められる。従属請求項は、有利な実施の形態を定める。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、自動立体視表示装置が提供され、当該装置は、
表示を生成するための表示ピクセルのアレイを持つディスプレイであって、前記表示ピクセルがロウ及びカラムで配置されるディスプレイ、
異なる方向においてユーザの方へ複数のビューを投射するためのビュー形成装置を有し、
当該ビュー形成装置は、カラム・ピクセル方向に対して角度αで傾斜する長軸を持つ細長いビュー形成素子を有し、当該細長い素子は、Pかける異なるカラム中の同じ色のピクセル間の幅のピッチを持ち、ピッチPはP = 0.5 . k . (1+ S2)となるように選択され、S = tanα、kは正の整数である。
【0010】
この配置は、各々のビューに関して投射される結果として生じる画像が、画像にわたるピクセルの均一かつ規則的な分布を持つことを可能にする。これは、ビューの視覚的外観を改善する。
【0011】
本発明は、ビュー形成素子アレイの後のピクセルが、各々のビューのための規則的なグリッド(例えば正方形または六角形のグリッド)を形成するように、傾斜角度と(表示カラムに関する)ビュー形成素子ピッチとの間の関係を提供する。
【0012】
kの値は、ピクセル・アレイの性質に及び個々のビューのための望ましいピクセル・グリッド配置に応じて、例えば、ディスプレイが単色(カラー・シーケンシャル;複数の色の時間シーケンシャル表示を含む)か又は異なる色のサブピクセルを有する多色であるかどうかに応じて、変化する。
【0013】
マルチ・カラーの場合において、表示ピクセルは、赤、緑及び青のサブピクセルのカラムで配置され、この場合には、カラム幅は、隣接する同じ色のサブピクセル・カラム間の距離からなる。好ましくは、k = 3(2N+1)であり、Nは0か正の整数である。
【0014】
傾斜角度は、好ましくは、S = 1/V.2.N+1によって与えられ、Vは、ユーザに向けて投射される個々のビューのためのピクセル・グリッドの幅対高さ比に等しい。
【0015】
これは、ビュー全体に一様に分布するサブピクセルを与える。
【0016】
他の配置において、S = V/Nであり、Vは、ユーザに向けて投射される個々のビューのためのピクセル・グリッドの幅対高さ比に等しい。
【0017】
これは、カラー・ピクセル・トリプレットに一緒にグループ化されるサブピクセルを与える。
【0018】
単一のカラー(またはシーケンシャル・カラー)の場合において、表示ピクセルは、単一のカラー・ピクセルのカラムで配置され、k = 2N+1であり、nは0又は正の整数である。
【0019】
再び、傾斜角度は、
S = 1/(V.2.N+1) または
S = V/N
によって与えられる。
【0020】
これらの例において、値V=1は、ピクセルまたはサブピクセルの正方形グリッドに対応し、V= √3または1/√3は、ピクセルまたはサブピクセルの六角形のグリッドに対応する。
【0021】
ピクセル・ロウは、ピクセル・カラムに対して直交することからオフセットされることができる。これは、(レンズによって覆われるピクセル・カラムの数に関する)レンズの非整数の水平ピッチが存在する場合に、用いられることができる。例えば、あるピクセルとロウに沿った次のピクセルとの間の垂直変位は、y = (P/m -1)/Sによって与えられ、mは正の整数である。
【0022】
これは、レンズの幅にわたるカラムの整数の数を適合させる。
【0023】
ピクセルの幅対高さ比は、
w/h = S - y, または
w/h = 2S - y
によって与えられる。
【0024】
ロウ及びカラムが(完全には)直交でない場合、ピクセルのロウがディスプレイの最上部端と平行であることができ、又は、ピクセルのカラムがディスプレイの側端と平行であることができる。
【0025】
好ましい配置において、ビュー形成装置は、ディスプレイに位置決めされて配置されるレンチキュラ・アレイを有し、細長い素子は、異なる方向においてユーザの方へ投射される複数のビューへと表示ピクセルのグループの出力を焦束するように構成可能なレンチキュラ・レンズを有し、それによって、自動立体視画像化を可能にする。レンチキュラは、理想的なレンズ形状またはレンズ設計の従来技術において周知の任意の他の適切な形状を持つことができ、例えば(半)円柱形の平凸、凸凸などを含む。
【0026】
他の実施例において、ビュー形成装置は、ディスプレイに位置決めされて配置されるレンチキュラ・アレイを有し、細長い素子は、異なる方向においてユーザの方へ投射される複数のビューへと表示ピクセルのグループの出力を焦束するように設定可能なレンチキュラ・レンズを有し、それによって、自動立体視画像化を可能にする。レンチキュラは、理想的なレンズ形状またはレンズ設計の従来技術において周知の任意の他の適切な形状を持つことができ、例えば(半)円柱形の平凸、凸凸などを含む。
【0027】
そのような自動立体視ディスプレイにおいて、例えばレンチキュラ・レンズのアレイ並びに/又はバリア及びスリットのアレイであるビュー形成素子のアレイは、好ましくは、ピクセル面から何らかの非ゼロ距離に(例えばその前に)配置される。これは、水平角度の下でディスプレイを見るときに、それぞれのビューを形成するピクセルのグループが隣接した素子を通して観察されることができることを可能にする。それゆえに、複数の観察コーンが形成される。この距離は、マイクロメートルまたはミリメートル・スケールであるように選択されることができ、例えば、0.5から1、又は2ミリメートルであることができる。
【0028】
本発明の実施の形態は、純粋に例として、添付の図面を参照してここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】既知の自動立体視表示装置の概略的な斜視図。
【図2】図1に示される表示装置の概略断面図。
【図3】複数のビューのうちの1つのための第1の考えられるピクセル・グリッドを示す図。
【図4】複数のビューのうちの1つのための第2の考えられるピクセル・グリッドを示す図。
【図5】第3の考えられるピクセル・グリッド配置を示す図。
【図6】単色ディスプレイのための第4の考えられるピクセル・グリッドを示す図。
【図7】ロウ配列を変更するための第1の態様を示す図。
【図8】ロウ配列を変更するための第2の態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、図面を参照して実施の形態を例証することによって説明される。
【0031】
図1は、マルチ・ビュー自動立体視表示装置1の概略的な斜視図である。装置1は、表示を生成する画像形成手段の働きをするアクティブ・マトリックス形式の液晶表示パネル3を有する。
【0032】
表示パネル3は、この場合には平面である表面にロウ及びカラムで配置される表示ピクセル5の直交アレイを持つ。明確にするため、少数の表示ピクセル5だけが図1に示される。実際には、表示パネル3は、表示ピクセル5の約千のロウ及び数千のカラムを有する。
【0033】
液晶表示パネル3の構造は、完全に従前通りである。特に、パネル3は、一対の間隔を置いて配置された透明なガラス基板を有し、それらの間に、整列配置されたツイステド・ネマティックまたは他の液晶材料が提供される。基板は、それらの対向する面上に透明なインジウムスズ酸化物(ITO)電極のパターンを担持する。偏光レイヤがさらに基板の外側表面に提供される。
【0034】
各々の表示ピクセル5は、基板上に対向電極を有し、それらの間に液晶材料が介在する。表示ピクセル5の形状及びレイアウトは、パネル3の前方に提供される電極の形状及びレイアウト並びに黒いマトリックス配置によって決定される。表示ピクセル5は、ギャップによって互いから規則正しく間隔を置いて配置される。
【0035】
各々の表示ピクセル5は、スイッチング素子(例えば薄膜トランジスタ(TFT)または薄膜ダイオード(TFD))に結合される。表示ピクセルは、スイッチング素子にアドレス指定信号を提供することによって表示を生成するように操作され、適切なアドレス指定スキームは当業者に知られている。
【0036】
表示パネル3は、この場合には、表示ピクセル・アレイの領域上に広がる平面バックライトを有する光源7によって照らされる。光源7からの光は表示パネル3中に向けられて、個々の表示ピクセル5は、光を変調して表示を生成するように駆動される。
【0037】
表示装置1はさらに、表示パネル3の表示側に配置されて、ビュー形成機能を実行するレンチキュラ・シート9を有する。レンチキュラ・シート9は、互いに平行して延在するレンチキュラ・レンズ11のロウを有し、明確にするために、それらのうちの1つのみが誇張された寸法で示される。レンチキュラ・レンズ11は、ビュー形成機能を実行するビュー形成素子の働きをする。
【0038】
レンチキュラ・レンズ11は、この例では、凸形の円柱状素子の形であり、それらは、表示パネル3から表示装置1の前に位置するユーザの目まで異なる画像すなわちビューを提供する光出力指向手段の働きをする。したがって、図1に示される自動立体視表示装置1は、異なる方向にいくつかの異なる視野ビューを提供することが可能である。特に、各々のレンチキュラ・レンズ11は、各々のロウ中の表示ピクセル5の小さいグループの上に横たわる。レンチキュラ素子11は、いくつかの異なるビューを形成するように、異なる方向にグループの各々の表示ピクセル5を投射する。ユーザの頭部が左から右に移動するとき、ユーザの目は次々にいくつかのビューのうちの異なるビューを受け取る。
【0039】
図2は、上述のようなレンチキュラタイプの画像化装置の動作の原理を示し、光源7、表示パネル3及びレンチキュラ・シート9を示す。この装置は、異なる方向に各々投射される3つのビューを提供する。表示パネル3の各々のピクセルは、例えば観察者の左又は右目のための1つの特定のビューのための情報によって駆動される。
【0040】
左及び右目画像を持つ2つのビューのみが投射される場合には、立体視画像を見ることができる。複数のビューが各々の目のための画像の複数の眺望を含むとき、ゴーグルまたは他の観察補助を必要とせずに、見回した立体視画像が示されることができる。
【0041】
上記した自動立体視表示装置は、良好な輝度レベルを持つ表示を生成する。表示ピクセル・アレイのカラム方向に対して鋭角にレンチキュラ・レンズを傾斜させることが知られている。これは、改善された輝度均一性を可能にして、更には、水平及び垂直解像度を互いに近いものにする。傾斜の動作メカニズム及びそれが提供する利点は、US6064424にさらに詳細に説明される。
【0042】
本発明は、傾斜するレンチキュラ・レンズの使用が、各々のビューのためのピクセルが画像全体に規則正しく配置されないという効果を生じさせ、観察者によっていらいらさせるように知覚される場合があるとの認識に基づく。
【0043】
本発明は、例に関して、レンチキュラ・レンズアレイ後のピクセルが、各々のビューのための規則的なグリッド(例えば四角または六角形のグリッド)を形成するように、レンズ傾斜角度と(表示カラムに関する)レンズ・ピッチとの間の関係を提供する。
【0044】
図3は、左から右に水平方向に繰り返す赤(R)32'、緑(G)32''及び青(B)32'''のサブピクセルによるサブピクセルのカラム32、並びに、本発明による、特定のビューのためのサブピクセル位置の望ましいグリッド30を示す。領域30(この場合には矩形)は、レンチキュラ・レンズを通して観察者によって観察されるような表示のサブピクセルを示す。矩形30は、特定の色(例えば緑色)を持つ特定のビューの領域を表す。この領域を提供するサブピクセルは、矩形30の中央に位置づけられるが、ディスプレイ3のピクセル表面内にある。レンズがそれらの長軸34とピクセル・カラム方向36との間の角度αによって傾斜されたレンズ配置は、そのサブピクセルによって提供されるビューの領域を示された矩形へと拡大する。したがって、矩形は、1つの特定のサブピクセルによって提供される特定のビューの領域を表す(すなわち、その領域内にそのビューのための他のサブピクセルは存在しない)。
【0045】
比Vは、グリッドの高さ及び幅の比を与える。
V = H/W
【0046】
Hは、同じ色のサブピクセルに対応する領域間のレンチキュラ素子の長軸34に沿った距離によって与えられる。

【0047】
この式において、αは、レンチキュラ素子の長軸とピクセル・カラム方向36との間のレンチキュラ傾斜角度であり、Ppxは、ピクセル・パネルの水平ピクセル・ピッチ38であって、同じ色の隣接するカラム32間の距離である。
【0048】
領域30として示されるようにピクセルの矩形のグリッドを維持するために、幅Wは、グリッド形状に対して望ましい垂直な側面を与えるように選択されなければならない。これは、

の場合において達成される。ここで、Nは負でない整数(0, 1, 2,...)である。
【0049】
これは、

を与える。
【0050】
したがって、所与の同色のピクセル・ピッチPpx、望ましい比V及び任意のNに対して、レンズ傾斜角度は、
α = cot-1(V.(2N+1))
として選択されなければならない。
【0051】
レンズ・ピッチは、
P=0.5W
によって与えられるはずである。
【0052】
したがって、

である。
【0053】
そして、(ピクセル・ピッチPpxの数に関する)レンズ・ピッチPhは、
Ph=1.5(2N+1)(1+S2)
によって与えられる。
【0054】
V=1の値は、図3の正方形グリッドに対応する。V= √3又は1/√3の値は、図4に示されるような六角形のグリッドに対応し、円形の周波数応答を持つ。
【0055】
上の分析は、カラー・サブピクセル32'、32''及び32'''の3つのカラムを有する表示ピクセル・レイアウトのためのものであり、ピクセル・ピッチPpxは、ディスプレイ表面における同じ色のサブピクセル間の距離である。したがって、図1のディスプレイ・パネル3中の(画像)ピクセル5は、3つの色を表すための3つのサブピクセルを有する。単色ディスプレイまたはカラー・シーケンシャル・ディスプレイ(後者は、1種類のピクセル5のみを持つが、例えば順次的な着色したバックライティングにおける色の時間シーケンシャル表示を用いる)のような他の実施例において、サブピクセル32'、32'及び32'''の各々が画像ピクセル5に対応し、以下が有効である。
Ph=0.5(2N+1)(1+S2)
【0056】
上で分析は1つの解空間を与える。第2の解空間は、図5に示されるような、Vの高さ-幅比を持つ、整列配置されたRGBピクセルを与える。
【0057】
この場合、

である。
【0058】
これは、S= 1/VNの傾斜、及び
Ph=3N(1+S2)
の水平ピクセル・ピッチを与える。
【0059】
ここでも、上の分析は、カラー・サブピクセル32'、32''及び32'''の3つのカラムを有する表示ピクセル・レイアウトのためのものであり、ピクセル・ピッチPpxは、ディスプレイ表面における同じ色のサブピクセル間の距離である。したがって、図1のディスプレイ・パネル3中の(画像)ピクセル5は、3つの色を表すための3つのサブピクセルを有する。図5の例において、該当するカラム32のサブピクセル32', 32''及び32'''は、それぞれの領域30', 30''及び30'''として、レンチキュラを通して観察される。
【0060】
単色ディスプレイまたはカラー・シーケンシャル・ディスプレイ(後者は、1種類のピクセル5のみを持つが、例えば順次的な着色したバックライティングにおける色の時間シーケンシャル表示を用いる)のような他の実施例において、サブピクセル32', 32'及び32'''の各々が(画像)ピクセル5に対応し、以下が有効である。
Ph=N(1+S2)
【0061】
単色バージョンが図6に示される。図5および6は、V=1の場合である。
【0062】
上記のそれぞれの例は、ピッチPがP= 0.5.k.(1+ S2)(kは正の整数)として選択されるという結果を共有することが分かる。
【0063】
kがとることができる整数は、個別の例によって決まる。したがって、図3の例では、解は、k=3, 9, 15, 21等(正の整数zに対してk=6z-3)の場合である。図3の単色バージョンでは、解は、k=1, 3, 5, 7等(正の整数zに対してk=2z-1)の場合である。図5の例では、解は、k=6, 12, 18, 24等(正の整数zに対してk=6z)の場合である。図6の例では、解は、k=2, 4, 6, 8等 (正の整数zに対してk=2z)の場合である。
【0064】
上述のような特定のピクセル・ピッチ及びレンズ傾斜の組み合わせは、下に横たわるピクセル・グリッドと組み合わせて、非整数のビュー(断片的ビュー)を生じさせ、それは自動立体視システムの3D品質を制限する。例えば、これは、色歪み、深さの大きなぼやけ及び複雑なレンダリング・アルゴリズムをもたらす場合がある。更なる制約が、(レンズの下のピクセルで表現される)レンズのそのような非整数水平ピッチに起因する非整数ビューと関連した問題が対処されることを可能にする。特に、ピクセル・ロウは、傾斜に起因する非整数ビューを回避するために、ピクセル・カラムに直交することからオフセットされる。
【0065】
それぞれのピクセルは、整数個の水平ピクセルの後で、次のレンズに対する垂直距離が最初のレンズに対する距離に等しいように、ロウ位置に沿って垂直に増加するオフセットを持たなければならない。これを表現する別の態様は、レンズ端が、ピクセルのロウのスタガ(stagger)と同じ角度(または整数倍)で傾斜することである。これは第一に、ロウに沿った1つのピクセルと次のピクセルとの間の垂直変位を、
y = (P/m -1)/S (mは正の整数)
によって定めることによって達成されることができ、好ましくは、水平ピッチ値Ppxと大幅に異ならない。
【0066】
さらに、(図7に示される)ピクセルの高さに対する幅の比は、
w/h = S - y、又は
w/h = 2S - y
によって与えられる。
【0067】
より一般には、w/h = aS-y(aは正の整数)である。したがって、ピクセルの幅-高さ比は傾斜の整数倍に基づく。
【0068】
図7は、サブピクセル70の非水平のロウの1つの例を示し、この場合では、ロウは矢印72の方向に延在し、ロウの角度がそれらをレンチキュラ・レンズの長軸34に対してどれだけ垂直にするかを示す。このように、ピクセル・グリッドはレンズ配置に対して整列配置される。図8は変形例を示す。
【0069】
図6および7において、レンズ傾斜軸及び結果として生じる傾斜によって、長レンズ軸34は、繰り返して同じ態様でサブピクセルを通過する。例えば、図7および8の各々における(長レンズ軸と平行な)中央レンズ軸は、次の2つ(76, 78)等を通過するのと同じ態様で、最初の2つのサブピクセル(74, 75)を通過する。反復は、より急なレンズ角度(より小さい傾斜角度)に対しては、3つのサブピクセルごとである。図7では、ロウは上方へずれ、図8では、それらは下方へずれる。
【0070】
あるいは、カラムとレンチキュラ・レンズ軸との間の傾斜を保持しつつ、RGBカラムが回転されることができる(その場合、ピッチPpxはRGBカラムに対して垂直なピッチである)。ピクセル形状は、制御された量のクロストーク及びバンディングを持つように設計されることができる。
【0071】
本発明は、2Dパネルに匹敵する3Dピクセル・グリッドを備えるレンチキュラ自動立体視ディスプレイの将来のバージョンのためのオプションを与える。提案されたレンズ依存パネル・ピクセル・グリッド・ソリューションは、素晴らしい3D画質を与える。幅広い解空間は、均一なグリッドを維持しつつ、ビューの数及びクロストークのスケーリングを可能にする。
【0072】
上記の例は全てレンチキュラ・レンズ配置に関係がある。しかしながら、独立請求項によるその最も広い形式における本発明は、傾斜するバリア装置を用いる自動立体視ディスプレイ、すなわち自動立体視視差バリア表示装置にも適用されることができる。これらのバリア装置はさらに、2D画像の異なる部分が異なる観察位置に導かれるように、2D画像の角度依存サブ・サンプリングを実行する。この場合、ビュー形成装置として、2つのバリアがスリットによって分離されるように、ピクセル平面上に横たわるバリアと呼ばれる不透明な領域及びスリットと呼ばれる透明な領域のアレイが存在する。バリアは、ビューを形成するピクセルのあるグループが観察されることができる特定の方向を遮り、一方、スリットは、ピクセル光に対して透明である。バリアと下に横たわるピクセルとの間の関係は、それぞれのピクセルが観察されることができる観察位置を決定する。視差バリア表示システムのための観察者の2つの目に異なるビューを提供する詳細な作用原理は、例えばWO2006/068426又はUS7154653に十分に説明されており、簡潔さのために、ここでは繰り返されない。
【0073】
したがって、本発明のビュー形成装置は、細長いバリア及び細長いスリットの反復するペアのアレイであることができ、各ペアは、それらの長軸に対して垂直に測定される特定の幅を持つ。
【0074】
これらのバリアは、上記で説明されたのと同じ理由から、傾斜することができ(または階段上のプロファイルを持つことができ)、そして本発明が同様に適用可能である。本発明をそのようなバリア・タイプのビュー形成素子に適用する際、バリアとスリットのペアの幅は、レンチキュラ・ビュー装置が用いられた場合のレンチキュラのピッチに等しいように選択されなければならない。
【0075】
更に、他の細長い傾斜したビュー形成装置が考えられることができ、本発明は、一般に、2D画像の角度依存サブ・サンプリングを提供するための細長い素子に適用可能であり、これらの素子はディスプレイ・カラム方向に対して傾斜する。請求の範囲は、しかるべく理解されなければならない。
【0076】
さらに一般的にいえば、上記の実施の形態は本発明を制限ではなく説明し、当業者は、添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲内において、多くの他の実施例を設計することが可能であることが留意されるべきである。
【0077】
図面、開示及び添付された請求の範囲の検討から、開示された実施の形態に対する他のバリエーションが、請求された発明を実施する際に、当業者によって理解されて達成されることができる。請求の範囲において、「有する」「含む」などの用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数表現は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項中に述べられているとしても、利益を得るためにこれらの手段の組み合わせを用いることができないことを意味しない。請求項中の任意の参照符号は、その範囲を制限するものとして解釈されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動立体視表示装置であって、
表示を生成するためのロウ及びカラムで配置される表示ピクセルのアレイを持つディスプレイ、
複数のビューを各々異なる方向に投射するためのビュー形成装置、
を有し、
前記ビュー形成装置は、カラム・ピクセル方向に対して角度αで傾斜する長軸を持つ細長い素子を有し、前記細長い素子は、Pかける異なるカラム中の同じ色のピクセル間の幅のピッチを持ち、
ピッチPは、
P = 0.5.K.(1+S2)
となるように選択され、S= tanα、kは正の整数である、
自動立体視表示装置。
【請求項2】
前記表示ピクセルが、赤、緑及び青のサブピクセルのカラムで配置され、カラム幅が、隣接する同じ色のサブピクセル・カラム間の距離からなり、
K = 3(2N+1)(nは0又は正の整数)
である、請求項1に記載の自動立体視表示装置。
【請求項3】
S = 1/v.2.N+1であり、vは、ユーザに向けて投射される個々のビューのためのピクセル・グリッドの幅対高さ比に等しい、請求項2に記載の自動立体視表示装置。
【請求項4】
S=V/Nであり、Vは、ユーザに向けて投射される個々のビューのためのピクセル・グリッドの幅対高さ比に等しい、請求項2に記載の自動立体視表示装置。
【請求項5】
前記表示ピクセルが単一色のピクセルのカラムで配置され、k = 2N+1であり、nは0又は正の整数である、請求項1に記載の自動立体視表示装置。
【請求項6】
S=1/(V.2.N+1)又はS=v/Nであり、Vは、ユーザに向けて投射される個々のビューのためのピクセル・グリッドの幅対高さ比に等しい、請求項5に記載の自動立体視表示装置。
【請求項7】
V = 1である、請求項3、4又は6に記載の自動立体視表示装置。
【請求項8】
V = √3又は1/√3である、請求項3、4又は6に記載の自動立体視表示装置。
【請求項9】
ピクセル・ロウがピクセル・カラムに対して垂直になることからオフセットされている、請求項1に記載の自動立体視表示装置。
【請求項10】
あるピクセルとロウに沿った次のピクセルとの間の垂直変位が、
y = (P/m-1)/S (mは正の整数)
によって与えられる、請求項9に記載の自動立体視表示装置。
【請求項11】
前記ピクセルの幅対高さ比が、
w/h = S-y、又は
w/h = 2S-y
によって与えられる、請求項10に記載の自動立体視表示装置。
【請求項12】
Pが非整数である請求項10又は11に記載の自動立体視表示装置。
【請求項13】
前記ピクセルのロウが前記ディスプレイの最上部端に平行である、請求項9に記載の自動立体視表示装置。
【請求項14】
前記ピクセルのカラムが前記ディスプレイの側端に平行である、請求項9に記載の自動立体視表示装置。
【請求項15】
前記ビュー形成装置が前記ディスプレイに位置決めされて配置されるレンチキュラ・アレイを有し、前記細長い素子が、異なる方向においてユーザの方へ投射される複数のビューへと前記表示ピクセルのグループの出力を焦束するように構成可能なレンチキュラ・レンズを有し、それにより自動立体視画像化を可能にする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の自動立体視表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−513036(P2012−513036A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541681(P2011−541681)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055705
【国際公開番号】WO2010/070564
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】