自動糸切り装置を備えたミシン
【課題】 自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、不意の電源切断から電源再投入において、電源切断時の糸切り動作の状況を検出して、適正な動作に継続させること。
【解決手段】 自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段を設けること。その検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切りを完了させるようにしたこと。
【解決手段】 自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段を設けること。その検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切りを完了させるようにしたこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動糸切り機構を具備したミシンにおける不意の電源切断から電源再投入において、電源切断時の糸切り動作の状態から適正な動作に継続させる命令信号を指示することができる自動糸切り装置を備えたミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
自動糸切り装置が具備されたミシンにおいて、糸切り動作中に、停電,スイッチ操作のうっかりミスによる電源オフ(OFF),或いは危険状態等の緊急事態の発生による強制電源オフ等の種々の理由により、不意に電源が切れてしまうことがある。このような場合には、再度電源を入れた〔オン(ON)にした〕場合、電源切断直後の糸切り動作の状態によっては、糸を糸切り装置から外して、再度糸を装着し直さなくてはならないことがある。さらに、操作も面倒な手順を踏まなければならないこともあり、作業をより一層困難なものとしている。
【特許文献1】特許第2765113号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ミシンの糸切り装置において、糸切り動作が途中で停止した際の位相検出機構に関しては、特許文献1(特許第2765113号)が存在する。これは、電源投入中における検出に関するものである。すなわち、上記特許文献1では、糸切り動作の動力が不足して、その糸切り動作の駆動が停止した場合にのみ有効なものであって、その糸切り動作の駆動が停止しても、ミシン電源は、入った状態〔オン(ON)状態〕でなければならない。
【0004】
したがって、ミシンの駆動が不意の電源切断によって、停止した場合には、電源再投入によって、電源停止時における糸切り動作途中からの適正動作の継続は、保証されるものではなく、再度糸切断のための糸経路を設定し直さなくてはならないおそれある。そこで、本発明の目的は、ミシン電源投入中で、かつ糸切り動作中にミシンが停止してしまった場合、及びミシンの動作中にミシン電源をオフ(OFF)状態にしてしまった場合の両者において、可動メスの動作状態を検出し、その後の正常動作への復帰をもたらす装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明は、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切りを完了させるようにした自動糸切り装置を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決した。
【0006】
次に、請求項2の発明は、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにした自動糸切り装置を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決した。
【0007】
次に、請求項3の発明は、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業初期状態で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにした自動糸切り装置を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決した。
【0008】
次に、請求項4の発明は、前述の構成において、前記自動糸切り機構は、往復動する可動メスと,該可動メスと共に糸を切断する固定メスとからなる糸切と共に、前記可動メスを往復動させる主駆動腕と、糸切り命令時のみ連結して該主駆動腕を駆動するメス駆動カムとを備え、前記糸切り動作を検出するための手段は前記主駆動腕とメス駆動カムとが作用する位置と、不作用の位置を検出するようにした自動糸切り装置を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、自動糸切り装置を備えたミシンにおいて糸切り動作が正常に完了する前に何らかの原因でミシンが停止した場合、或いは、ミシンの動作中にミシン電源をオフ(OFF)にしてしまった場合に、糸切り機構の動作状況を検出する手段によって、電源停止直後の糸切り動作の停止状態を検出し、その検出手段の信号に基づき、糸切り動作のそれぞれの停止状態に応じて最適な判断を行い、糸切り動作を継続したり、或いは停止させて糸切り機構を初期状態に戻すことができる。このように、ミシンの位相検出機構とは別に、糸切り機構の動作状況を検出する手段、すなわち糸切り機構部における可動メスの動作状態を検出する機構が具備されることにより、電源停止直後における糸切り動作の状態を正しく認知し、その後の正常動作への復帰を可能とすることができる。
【0010】
そして、不意の電源切断から電源再投入において、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には、その停止状態から糸切り機構の動作を続行させて糸切りを完了させるようにしたことで、糸の掛け直し等の作業は一切、不要であり、新たなミシン縫い作業にスムーズに移行することができるものである。電源再投入でそのまま糸切り作業が行なわれることになり、ミシン作業の流れにほとんど支障なく作業を行なうことができ、よって作業員に負担をかけることなく、作業効率を向上さることができるものである。
【0011】
さらに、本発明では、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には、その停止状態から糸切り機構を動作させて、糸切りを行ない、糸切りを機構を初期状態に復帰させるようにしたことで、ミシン作業を行なうことができるものである。
【0012】
次に、本発明では、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業初期状態で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにしたことで、ミシン作業を行なうことができるものである。
【0013】
次に、本発明では、前記自動糸切り機構は、往復動する可動メスと,該可動メスと共に糸を切断する固定メスとからなる糸切と共に、前記可動メスを往復動させる主駆動腕と、糸切り命令時のみ連結して該主駆動腕を駆動するメス駆動カムとを備え、前記糸切り動作を検出するための手段は前記主駆動腕とメス駆動カムとが作用する位置と、不作用の位置を検出するようにしたことにより、その簡単な構成とし、糸切り動作状況の検出手段における機構を極めてコンパクトにまとめることができ、小型化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の構成は、主に、糸切り機構,糸切り動作検出機構及び糸切り機構制御機構とから構成される。前記糸切り機構は、ミシンの上・下糸を切断する役目をなす機構であり、主に可動メス5及び固定メス40とから構成される。また糸切り動作検出機構は、自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段を実施するための機構であって、その糸切り機構により糸切り動作が完了しているか又はその途中であるかを判断して、その状態から適切な実行命令の信号を発信する役目をなすものであり、マイクロスイッチ27或いはセンサ等である。さらに、糸切り機構制御機構は、前記糸切り機構の可動メス5を往復動させて糸切りを行なわせたり、或いはその糸切りを停止状態にする役目をなすものである。その部材としては、主に主駆動腕34及びメス駆動カム22等である。
【0015】
まず、前記糸切り機構は、ミシン本体のベッド20の針板49,外釜3の箇所に組み込まれるものであって、具体的には、図3(a)に示すように、前記ベッド20の箇所には、針1の手前側に釜軸2を中心として回転する外釜3が配置され〔図3(b)参照〕、該外釜3の周囲に前記糸切り機構が配置され、該糸切り機構と共に捕捉機構,押え機構が配置される。前記針1の奥側には、上下方向・水平方向に運動自在に配置された送り歯6が設けられている。また、前記外釜3の中に内釜38が収納され、該内釜38の中に下糸29dを巻いたボビン24が収納される〔図1(a)参照〕。その針1の手前側には、外釜3を跨いで、捕捉部材4、可動メス5の運動方向に沿うように糸押え部材7が配置される。
【0016】
その糸切り機構は、主に可動メス5と固定メス40とから構成され、これらに加えて、捕捉機構,押え機構が含まれる。その糸切り機構は、その糸切り機構における可動メス5,固定メス40及び捕捉機構における捕捉部材4は、図1(a),図2(c),図5等に示すように、1枚の台板13上に設けられている。具体的には、前記捕捉部材4、可動メス5はねじにより駆動板9に結合されており、案内部材10,11,12により、台板13上を左右方向に摺動自在に保持されている〔図5(a)参照〕。その捕捉部材4及び可動メス5は、薄板又は略帯板形状に形成されたものであり、前記捕捉部材4は、図1,図5に示すように、帯板形状の摺動板部4cの長手方向先端には、上糸29u及び下糸29dの捕捉部4aが形成され、該捕捉部4aが形成された付近の摺動板部4cには、捕捉切除部4bが形成されている。
【0017】
前記捕捉部4aは、略三角板状に形成されたものであって、前記摺動板部4cの長手方向先端付近で、且つその幅方向の一端側縁から前記摺動板部4cの平坦面に対して略々垂直に折曲形成されたものである。また、前記捕捉切除部4bは、前記摺動板部4cの幅方向一端縁から摺動板部4cの長手方向先端に向かって略U字形状に切り込まれている〔図5(b)等参照〕。
【0018】
この捕捉機構における捕捉部材4は、前記捕捉部4aにて係止された上糸29u及び下糸29dがその捕捉切除部4bに入り込み、固定メス40の下面側に移送させるものである。前記捕捉部4aの形状は、前述したように略三角形状に形成されている。また、前記捕捉切除部4bの内部は、捕捉部材4が長手方向先端に向かって切除されたもので、捕捉部4aによって捕捉された上糸29u及び下糸29dが外れ難いように、確実に係止することができるようになっている。前記可動メス5は、帯板状に形成され、その長手方向の先端箇所に略鉤形状として形成されたものである。その可動メス5のメス刃部付近は、その先端寄りの箇所が幅方向に狭なる領域が形成、先端箇所のメス刃部が略直角状に屈曲されたものである。
【0019】
その捕捉部材4と可動メス5とが、図2(c),図5等に示すように、上下方向に重合されビス等の固着具にて、固着され一体化されている。そして、前記台板13に対して捕捉部材4が可動メス5と共に長手方向に沿って往復移動することができるようになっている。前記台板13には、図2,図5に示すように、前記捕捉部材4が長手方向に沿って往復動するためのガイド溝13aが形成されている。該ガイド溝13aは、略長方形の長孔状に形成されたものである。
【0020】
そのガイド溝13aには、スライド部材4dが挿入され、前記ガイド溝13a内をその長孔の長手方向に沿って往復移動が自在となっている。そのスライド部材4dは、略直方体の小ブロックであり、このスライド部材4dと前記捕捉部材4の摺動板部4cとが前記可動メス5と共にビス等にて固着されている。そして、前記スライド部材4dがガイド溝13a内を往復移動するのに伴って前記捕捉部材4と可動メス5とがその長手方向に沿って往復移動するものである。
【0021】
前記可動メス5と捕捉部材4との間で、且つ前記可動メス5の下方に位置するようにして、固定メス40と糸ガイド41が配置されている。前記可動メス5の上方には、該可動メス5を加圧するようにして可動メス押え部44が配置されている。そして、前記固定メス,糸ガイド41及び可動メス押え部44は、前記台板13上にビス等の固着具にて固着されている(図5等参照)。
【0022】
次に、前記捕捉部材4及び可動メス5には、駆動板9が固着されている〔図2,図5(a)等参照〕。該駆動板9には、前記台板13の裏面側に装着された被駆動腕18に枢支連結されている。具体的には、該被駆動腕18は、その長手方向一端が前記台板13に枢支され、その枢支部を中心にして揺動自在としている〔図6(a),(b)参照〕。その被駆動腕18と前記駆動板9は、ピン接合によって枢支連結されたもので、該駆動板9にはピン9aが装着され、前記被駆動腕18には長孔18aが形成され、前記ピン9aが前記長孔18aに遊挿されている。その駆動板9と被駆動腕18とのピン接合による枢支連結箇所は、前記台板13に形成された、貫通長孔状の補助ガイド溝13bを介して行なわれるものである。
【0023】
なお、前記ピン9aは、前記被駆動腕18に装着され、前記長孔18aは前記駆動板9側に形成されても構わない。そして、前記被駆動腕18は、主駆動腕34にピン接合により枢支連結されている。この枢支連結構造も前述したように、ピンと長孔の構成である。本実施形態では、前記被駆動腕18の長手方向の略中間箇所にピン18bが装着され、前記主駆動腕34の長手方向端部箇所に長孔34aが形成されたものである〔図2,図6参照〕。
【0024】
前記主駆動腕34は、後述するメス駆動カム22によって規則的なカム動作を行なうものである。該メス駆動カム22は、図2,図3(a)等に示すように、ベッド20内部に装着された下軸21に装着され、該下軸21と共に回転し、前記主駆動腕34にカム動作を伝達するものである。そして、該主駆動腕34から前記被駆動腕18及び駆動板9を介して、前記捕捉部材4及び可動メス5が長手方向に往復動作を行わせ、糸切り動作を行なうことができる。また、メス駆動カム22から駆動板9への動力伝達は、糸切り信号により可能となる。さらに、通常の縫い状態では、動力伝達は遮断され、前記捕捉部材4及び前記可動メス5は、図1において最左点の位置に停止している。
【0025】
図中、符号14は、糸切り動作のストッパーである。また符号15は、内釜38の逆転止めである。そして、上糸29uは、前記外釜3の剣先(図示なし)で捕捉され、内釜38外周を回って、前記回転止め15を抜けた後、図1に対して最右点で待機している捕捉機構における捕捉部材4の捕捉部4aに掛り捕捉される。その後、前記上糸29uは、前記捕捉部材4の移動と糸ガイド41の案内により、糸切り位置へ導かれる。
【0026】
前記メス駆動カム22から前記駆動板9への動力伝達部は、糸切り信号を発令することにより動力伝達が可能となる。具体的には、図2(a),(b)に示すように、その糸切り信号が発進されると、前記主駆動腕34がメス駆動カム22に近接し、前記主駆動腕34に設けられたピン34bが前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入して、該メス駆動カム22のカム動作が前記主駆動腕34,被駆動腕18及び駆動板9を介して捕捉部材4及び可動メス5に伝わり、これらに往復動を行なわせるものである。なお、通常の縫い状態においては、前記メス駆動カム22と主駆動腕34とは連結しておらず、動力伝達は遮断されており、前記捕捉部材4,可動メス5は、図1に対して最左点の位置に停止状態となる。
【0027】
次に、押え機構については、糸押え部材7がピン8により釜室カバー42に揺動自在に枢支連結されている。その糸押え部材7は、軸状押え部7aと揺動腕部7b,7bとから構成されている。前記軸状押え部7aは、略帯板形状をなしており、前記下糸29dを押さえる役目をなす。この押え機構における糸押え部材7の軸状押え部7aを上下方向に揺動させる駆動機構は、その揺動腕部7b,7bは、図4(b)に示すように、前記軸状押え部7aを上下方向に揺動させる糸押さえ台43に枢支連結されている。
【0028】
その糸押さえ台43は、駆動源に連結しており、前記糸押さえ台43と釜取付け板48との間にバネ45が掛けられており、糸押さえ台43は、下方に弾性付勢される。そして、前記下軸46には、糸押えカム47が装着され、下軸46の回転にと共に前記糸押えカム47が回転し、該糸押えカム47の回転に追従して、糸押さえ台43が上下方向に往復移動し、前記糸押え部材7が上下方向に揺動運動を行う。その下軸46は、前述のミシンの縫い動作を駆動する下軸21とは、別の駆動軸である。そして、下軸46は、下糸29dを切断する糸切り信号により回転するものである。その糸押え部材7の駆動機構は、種々存在し、上記機構に限定されるものではない。
【0029】
前記糸押え部材7の軸状押え部7aは、前述したように、前記捕捉部材4と水平釜との間にあって、水平釜内のボビン24から針板49の針穴30aに通じる下糸29dの経路の上方を横断している。さらに、前記軸状押え部7aは、前記捕捉部材4(及び可動メス5)の往復運動経路に沿うようにして配置されている。
【0030】
その糸切り機構における糸切り動作の工程を図7乃至図9及び図10に基づいて説明する。この図7乃至図9の各(a)は、図1(a)の糸押え部材7箇所を平面より見た略示工程図である。さらに図7乃至図9の各(b)は、各(a)の図面の側面より見た略示工程図である。また図10は、糸押え部材7を介して捕捉部材4が下糸を捕捉する状態を示す略示工程図である。
【0031】
まず、その第1工程では、前記捕捉部材4,可動メス5の先端は、図7(a)の左端に位置し、非作動状態であって、前記台板13内に収容されている。非作動状態の可動メス5は、図7(A)において、想像線にて表示されている。このときの押え機構の糸押え部材7の軸状押え部7aは、捕捉部材4の捕捉部4aより上方に位置し、下糸29dも捕捉部4aの頂部より上方に存在している〔図10(a)参照〕。
【0032】
次に、第2工程は、下糸29dの糸切り命令が発令されて、前記可動メス5が捕捉部材4と共に往復方向の往方向に沿って移動する。その捕捉部材4,可動メス5の往方向への移動途中では、前記軸状押え部7aは、前記捕捉部4aより上方に位置している。そして、第3工程は、その捕捉部4aが往方向終点に達すると停止する。また、前記軸状押え部7aは、捕捉部4aの頂部よりも低い位置に降下し、下糸29dを押し下げる〔図7(b)参照〕。
【0033】
次に、第4工程は、往方向終点位置から復方向に移動を開始し、その途中で、捕捉部4aが下糸29dを捕捉し、該下糸29dは、捕捉切除部4bに入り込み、下糸29dの捕捉状態をより一層確実なものにする〔図8(a),(b)参照〕。次に、第5工程は、捕捉された下糸29dが捕捉部材4と共に復方向に沿って移動し、下糸29dを固定メス40の位置に案内する。そして、前記可動メス5と固定メス40により捕捉した下糸29dを切断する〔図9(a),(b)及び図10(b)参照〕。そして、切断命令が解除されると、前記糸押え部材7の軸状押え部7aは、元の高さに復帰し、下糸29dは捕捉部材4により捕捉されない状態となる。
【0034】
次に、糸切り機構制御機構について説明する。図1(b),(c)は、前記糸切り機構が糸切り動作を行なわず、前記可動メス5及び捕捉部材4が停止状態となっている状態を示すものであり、図2(a),(b)は可動メス5及び捕捉部材4が往復動する状態を示すものである。
【0035】
まず、その構成は、ベッド20に下軸21が回転自在に支持され、該下軸21の軸方向端部箇所に、メス駆動カム22が装着されている。該メス駆動カム22は、溝状案内部22aが形成され、前記駆動板9との間において、糸切り信号が発令されることにより動力伝達が可能となる。また、通常の縫い状態では、動力伝達が遮断され、前記捕捉部材4、可動メス5は、非糸切り動作状態(糸切りを行なわない状態)であり、初期位置に停止している。その初期位置は、図1(a)においては、最左点位置となる。また、前記ベッド20には、駆動腕軸台25が配置され、該駆動腕軸台25に駆動リンク26が垂直面上を上下方向に回動自在となるように枢支連結されている。さらに、前記駆動腕軸台25には、後述する糸切り動作検出機構としてマイクロスイッチ27がスイッチ取付け板28を介して装着されている。
【0036】
前記駆動リンク26の一端側に設けられたピン26aには、切替ロッド30の長手方向一端側がE型止め輪29を介して回動自在に枢支連結され、さらに前記切替ロッド30の長手方向の他端側には、ソレノイド32が連結されている。該ソレノイド32は、ベッド20にソレノイド取付け板31を介して装着されている。前記切替ロッド30とソレノイド32との連結は、該ソレノイド32のプランジャー32aにピン33を介して枢支連結されている。よって、後述するように前記ソレノイド32が作動してプランジャー32aが吸引されると、切替ロッド30を介して駆動リンク26は所定の動作を実行する。
【0037】
そして、前記駆動腕軸台25には、軸25aが植設されている。該軸25aには、前記主駆動腕34の長手方向一端側に形成された回動中心基部34dが形成されている。該回動中心基部34dは、略コ字形状に形成されており、前記軸25aに対して2箇所の貫通孔にて軸25aを摺動することができ、前記軸25aに対して主駆動腕34が回動且つ上下動を安定した動作にて行なうものである。
【0038】
その主駆動腕34は、前記軸25aの周囲を囲むようにして装着されたバネ36と、該バネ36の下端を支持するE型止め輸35によって、常時に上方に弾性付勢されている〔図1(b),(c)参照〕。その該主駆動腕34の長手方向における前記回動中心基部34dとは反対側には長孔34aが形成されている。該長孔34aには、前記被駆動腕18のピン18bが挿入連結している。また、前記主駆動腕34の長手方向の略中間箇所には、ピン34bが形成されている。
【0039】
そして、該ピン34bは、主駆動腕34の上下方向の移動動作によって、前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに対して離脱,挿入を行なうものである。前述したように、前記被駆動腕18は、その長孔18a内に駆動板9のピン9aが挿入されている。そして、前記メス駆動カム22の回転により、その溝状案内部22aに挿入嵌合したピン34bを介して、前記主駆動腕34が揺動運動を開始し、前記長孔34aから前記ピン18bを介して被駆動腕18に揺動運動を起こさせる。
【0040】
該被駆動腕18の揺動運動により、前記駆動板9は、前記長孔18aとピン9aとの枢支連結箇所を介して左右方向に往復運動を生じさせる。そして、前記捕捉部材4、可動メス5は、共に前記駆動板9に連結されているので、該駆動板9の往復運動に伴い往復動を行なわせ、これによって糸切り動作を行うことになる。その被駆動腕18は、前記台板13に形成されたストッパー14の先端部14b1 から離れた状態において、前記主駆動腕34は前記軸25aに沿って軸方向の上位置にあり、前記主駆動腕34のピン34bは、前記メス駆動カム22の溝状案内部22aから離脱している。前記ストッパー14は、図6(b),(c)に示すように、前記台板13の下面側に略L字形状となるように形成されたもので、垂直状片14a及び水平片14bとから構成されている。その水平片14bの先端箇所は前記先端部14b1 となっている。
【0041】
図6(a)は、前記台板13を下面側から見た図であり、主駆動腕34と被駆動腕18との位置状態は、前記可動メス5を糸切り動作前である原点に位置させている。さらに、図6(b)は、前記可動メス5が最も飛び出した状態を示すものであって、前記主駆動腕34のピン34bがメス駆動カム22の回転によって溝状案内部22aに案内され、前記主駆動腕34が移動する。そして、前記長孔34aとピン18bとの枢支連結箇所を介して前記被駆動腕18の長孔18aが形成されている自由端が、図6(b)において、その左(台板13の外方側)へ移動し、前記ピン9aを介して駆動板9を回動させ、前記捕捉部材4,可動メス5とを左(台板13の外方側)へ移動させるものである。
【0042】
この場合、前記主駆動腕34は、前記軸25aに沿って下方へ引かれるように付勢されているものであり、この位置においては、前記主駆動腕34は前記ストッパー14の水平片14bと高さ方向で位置が異なる〔図2(a)参照〕。よって、前記主駆動腕34は、前記ストッパー14に遮られることなく、前記主駆動腕34は、揺動運動が可能となっている。また、前記主駆動腕34は、高さ方向において下がった位置にあり、前記ピン34bは、メス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入して、且つ前記ストッパー14の水平片14bの下面側で回動するものであり、前記ピン34bは前記溝状案内部22aに案内される状態が維持されている。
【0043】
このように、糸切り機構制御機構によって、前記可動メス5及び捕捉部材4を往復動させて、糸切り動作を行なわせる。糸切りの非動作時では、前記主駆動腕34のピン34b先端は、前記メス駆動カム22の溝状案内部22aから離脱状態であり、ピン34b先端と溝状案内部22aとの間には隙間を維持している。即ち、前記メス駆動カム22が回転しても、前記主駆動腕34は揺動運動を行なわない。また、前記ストッパー14の水平片14bは、主駆動腕34の先端部34cと同一高さにあり、図1(b),図5に示すように、前記主駆動腕34の揺動運動を制止規制しており、不用意に可動メス5が作動しないようにしている。
【0044】
次に、前記駆動リンク26は、略L字形状をなしており、その屈曲した角箇所が揺動中心となるようにして、その角箇所が前記駆動腕軸台25の立上り部に装着されたピン25bにE型止め輪37を介して揺動自在に支持されている。その駆動リンク26は、前記切替ロッド30を介してソレノイド32に連結されている。そして、前記駆動リンク26の一端は、押圧端部26bとして、前記軸25aに保持された主駆動腕34の回動中心基部34dと押圧可能に係合している。
【0045】
前記ソレノイド32が作動した際には、前記切替ロッド30が移動し、前記駆動リンク26が揺動し、その押圧端部26bが回動中心基部34dを押し下げて、前記主駆動腕34を下方に移動させる。これによって、主駆動腕34は、そのピン34bがメス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入し、前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに従ってピン34bと共に主駆動腕34が作動し、該主駆動腕34から被駆動腕18,駆動板9に動作が伝達されて、該駆動板9から捕捉部材4及び可動メス5に往復動作を生じさせるものである。前記ソレノイド32は、糸切り命令が発せられることによって作動する。図中の符号25cは、前記駆動腕軸台25に形成されたストッパーであり、前記駆動リンク26の揺動範囲を規制する役目をなしている。
【0046】
次に、自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段である糸切り動作検出機構について説明する。この糸切り動作検出機構は、具体的には、マイクロスイッチ27が使用される。該マイクロスイッチ27は、前述したように、スイッチ取付け板28を介して前記駆動腕軸台25に固定されており、前記主駆動腕34の回動中心基部34dの上下動によって、そのマイクロスイッチレバー27aは、揺動するようになっている〔図1(c),図2(b)参照〕。そして、主駆動腕34の上下動に関して前記マイクロスイッチ27のON・OFF動作が行なわれるようになっている。
【0047】
このマイクロスイッチ27によって、その可動メス5が動作する状態を図2等に基づいて説明する。前記ソレノイド32が糸切りの命令信号によって作動し、前記切替ロッド30を介して前記駆動リンク26が回動〔図1(c)においては反時計回り〕して、前記主駆動腕34がバネ36の弾性に抗して押し下げられる。そして、その主駆動腕34は、押し下げられることによって、前記マイクロスイッチ27のマイクロスイッチレバー27aが切り替り、前記主駆動腕34の変位がマイクロスイッチ27により検知されることになる。この一連の動作は、図1(c)から図2(b)によって示されている。
【0048】
さらに、この状態は、図1(b)から図2(a)に示されているように、前記主駆動腕34が前記駆動リンク26により押し下げられることにより、前記ピン34bも同様に下がって、該ピン34bの先端が前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入する。これにより、前記メス駆動カム22の回転動作が前記主駆動腕34、被駆動腕18、駆動板9に動力がそれぞれ伝達されてゆき、前記捕捉部材4、可動メス5が糸切り動作を実行する。前記主駆動腕34が駆動リンク26によって押し下げられることにより、該主駆動腕34の先端部34cは、前記ストッパー14の水平片14bの下方位置に移動して、該ストッパー14による規制から解放され上記の揺動運動が可能になっている〔図2(a)参照〕。
【0049】
すなわち、前記可動メス5が糸切り動作を実行している間は、前記主駆動腕34は、押し下げられ、且つ前記ストッパー14の水平片14bの位置よりも下方に存在した状態で、主駆動腕34のピン34bは前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入している〔図2(a)参照〕。これによって、糸切り動作の実行中において、主駆動腕34のピン34bは、メス駆動カム22の溝状案内部22aから外れることがない。すなわち、糸切り実行中にミシン電源がオフ(OFF)にされても、主駆動腕34のピン34bは、メス駆動カム22の溝状案内部22aから外れないで、挿入状態が維持される。
【0050】
そして、前記マイクロスイッチ27は、前記主駆動腕34が下がって、下方に位置していることを検出することにより、前記可動メス5が糸切り動作(実行)中か停止中かを検知することができる。以上の構成により、ミシンの動作中に電源をいきなりオフ(OFF)してしまった後、そのミシン電源を再投入したときには、前記糸切り動作検出機構であるマイクロスイッチ27により、前記可動メス5が糸切りの動作(実行)中であるか否かを認識することで、その後の適正動作を指示することができる。
【0051】
その電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段すなわち糸切り動作検出機構によって発せられた信号に基づいて、自動糸切り機構の状態により、その後の動作は、以下に示す実施形態の動作を行なう。その第1実施形態の動作は、自動糸切り機構が糸切り作業中に電源が切れてオフ(OFF)となったときの状況が、前記糸押え部材7の軸状押え部7aが降下しており、前記捕捉部材4が下糸29dを捕捉可能な状態の場合に選択される動作である。具体的には、前記可動メス5及び捕捉部材4が共に往復方向の復動を開始し前記糸押え部材7の軸状押え部7aが降下して、捕捉部4aの頂部よりも低い位置まで下糸29dを押し下げた状態のときに、電源が切れて糸切り動作が停止した場合には、電源再投入にて、そのまま糸切り動作が続行され、糸切り作業を完了するものである。
【0052】
その第2実施形態の動作は、自動糸切り機構が糸切り作業中に電源が切れてオフ(OFF)となったときの状況が、前記糸押え部材7の軸状押え部7aが降下しないで上方に位置している場合に選択される動作である。この場合には、電源再投入によって、糸切り動作の停止した状態から糸切り動作は行なわないで、前記可動メス5及び捕捉部材4が元の位置に戻り、自動糸切り機構を初期状態にするものである。具体的には、前記可動メス5と捕捉部材4とが共に往復方向の往動動作の状態にあり、前記糸押え部材7の軸状押え部7aが前記捕捉部4aより上方に位置している状態で、電源が切れて糸切り動作が停止した場合には、その電源を再投入によって前記可動メス5及び捕捉部材4は、往動動作が停止され、前記可動メス5及び捕捉部材4が初期の位置に戻り、糸切りを行なうことなく動作を終了させて、初期状態に復帰させるものである。
【0053】
その第3実施形態の動作は、自動糸切り機構が糸切り作業中に電源が切れてオフ(OFF)となったときの状況が、前記可動メス5及び捕捉部材4が、糸切り作業初期(開始)状態で停止した場合に選択される動作である。この場合には、糸切り作業初期状態とは、前記可動メス5及び捕捉部材4が、往復の往方向に移動している状態である。そして、電源再投入によって、前記可動メス5及び捕捉部材4が、往復の往方向に移動している状態で、糸切り動作は行なわないで、前記可動メス5及び捕捉部材4が元の位置に戻り、自動糸切り機構を初期状態にするものである。
【0054】
そして、前記糸切り動作を検出するための手段は、前記主駆動腕34のピン34bと,メス駆動カム22とが作用(係合)する位置と、不作用(非係合)の位置とを検出するようにしたものである。この検出は、前記糸切り動作検出機構であるマイクロスイッチ27により行なわれるものである。そして、該マイクロスイッチ27は、自動糸切り機構の糸切り動作を続行させるか、動作を停止して初期状態にするかの信号を発信する。また、糸切り機構が糸切りの非動作(非実行)中の場合、すなわち電源切断時に糸切りが行なわれていなかった場合は、針1を上方へ挙げる信号を出す指示をしてミシンを初期状態に復帰させる。このように、糸切り動作検出機構は、前記主駆動腕34とメス駆動カム22との挿入,離脱を判断することになる。
【0055】
上記の糸切り動作検出機構による糸切り機構及び糸切り機構制御機構のそれぞれの動作をフローチャート(図11参照)及びブロック図(図12参照)に示した。まず、図11のフローチャートでは、電源再投入(S1)により、マイクロスイッチ27がチェック(S2)を行い、その糸切りの動作途中であるか否かを判断(S3)を行なう。そして、糸切りの動作途中であれば、前記電源再投入(S1)と同時に糸切り動作の継続を実行命令(S4)を発令し、糸切りを完了させる。また、前記判断(S3)で、電源再投入時に糸切り動作が既に完了済であったり、或いは糸切り動作が行なわれていないときには、糸切り動作の初期状態に設定される。
【0056】
次に、図12のブロック図では、中央演算処理装置(CPU)50が糸切り機構制御機構51としてのマイクロスイッチ27に連絡される状態に設定されている。そして、糸切り動作検出機構53のセンサであるマイクロスイッチ27が、前記主駆動腕34の上下方向の位置から、主駆動腕34のピン34bがメス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入しているか否かの信号を受け、糸切り動作中であるか否かを中央演算処理装置(CPU)50が判断する。そして、その判断による指令を糸切り機構制御機構51,糸切り機構52に発令し、電源再投入時における糸切り動作を決定するものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a)は本発明における糸切り機構,捕捉機構及び押え機構を備えた外釜周辺の平面図、(b)は本発明において主駆動腕が上方に位置した状態の要部正面図、(c)は(b)の側面図である。
【図2】(a)は本発明において主駆動腕が下方に位置した状態の要部正面図、(b)は(a)の側面図、(c)は糸切り機構の斜視図である。
【図3】(a)はベッドの底面より見た平面図、(b)は外釜周辺の斜視図である。
【図4】(a)は糸切り機構の要部断面図、(b)は糸切り機構の動作を示す作用図である。
【図5】(a)は糸切り機構の平面図、(b)は糸切り機構の背面図である。
【図6】(a)は糸切り機構の動作を示す背面図、(b)は糸切り機構の動作を示す背面図、(c)は(b)のX−X矢視端面図である。
【図7】(a)は糸切り機構の初期段階の作用図、(b)は(a)の側面図である。
【図8】(a)は糸切り機構の途中段階の作用図、(b)は(a)の側面図である。
【図9】(a)は糸切り機構の完了段階の作用図、(b)は(a)の側面図である。
【図10】(a),(b)は本発明の下糸の切断工程を示す略示工程図である。
【図11】本発明のフローチャートである。
【図12】本発明のブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
5…可動メス、22…メス駆動カム、34…主駆動腕、40…固定メス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動糸切り機構を具備したミシンにおける不意の電源切断から電源再投入において、電源切断時の糸切り動作の状態から適正な動作に継続させる命令信号を指示することができる自動糸切り装置を備えたミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
自動糸切り装置が具備されたミシンにおいて、糸切り動作中に、停電,スイッチ操作のうっかりミスによる電源オフ(OFF),或いは危険状態等の緊急事態の発生による強制電源オフ等の種々の理由により、不意に電源が切れてしまうことがある。このような場合には、再度電源を入れた〔オン(ON)にした〕場合、電源切断直後の糸切り動作の状態によっては、糸を糸切り装置から外して、再度糸を装着し直さなくてはならないことがある。さらに、操作も面倒な手順を踏まなければならないこともあり、作業をより一層困難なものとしている。
【特許文献1】特許第2765113号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ミシンの糸切り装置において、糸切り動作が途中で停止した際の位相検出機構に関しては、特許文献1(特許第2765113号)が存在する。これは、電源投入中における検出に関するものである。すなわち、上記特許文献1では、糸切り動作の動力が不足して、その糸切り動作の駆動が停止した場合にのみ有効なものであって、その糸切り動作の駆動が停止しても、ミシン電源は、入った状態〔オン(ON)状態〕でなければならない。
【0004】
したがって、ミシンの駆動が不意の電源切断によって、停止した場合には、電源再投入によって、電源停止時における糸切り動作途中からの適正動作の継続は、保証されるものではなく、再度糸切断のための糸経路を設定し直さなくてはならないおそれある。そこで、本発明の目的は、ミシン電源投入中で、かつ糸切り動作中にミシンが停止してしまった場合、及びミシンの動作中にミシン電源をオフ(OFF)状態にしてしまった場合の両者において、可動メスの動作状態を検出し、その後の正常動作への復帰をもたらす装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明は、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切りを完了させるようにした自動糸切り装置を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決した。
【0006】
次に、請求項2の発明は、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにした自動糸切り装置を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決した。
【0007】
次に、請求項3の発明は、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業初期状態で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにした自動糸切り装置を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決した。
【0008】
次に、請求項4の発明は、前述の構成において、前記自動糸切り機構は、往復動する可動メスと,該可動メスと共に糸を切断する固定メスとからなる糸切と共に、前記可動メスを往復動させる主駆動腕と、糸切り命令時のみ連結して該主駆動腕を駆動するメス駆動カムとを備え、前記糸切り動作を検出するための手段は前記主駆動腕とメス駆動カムとが作用する位置と、不作用の位置を検出するようにした自動糸切り装置を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、自動糸切り装置を備えたミシンにおいて糸切り動作が正常に完了する前に何らかの原因でミシンが停止した場合、或いは、ミシンの動作中にミシン電源をオフ(OFF)にしてしまった場合に、糸切り機構の動作状況を検出する手段によって、電源停止直後の糸切り動作の停止状態を検出し、その検出手段の信号に基づき、糸切り動作のそれぞれの停止状態に応じて最適な判断を行い、糸切り動作を継続したり、或いは停止させて糸切り機構を初期状態に戻すことができる。このように、ミシンの位相検出機構とは別に、糸切り機構の動作状況を検出する手段、すなわち糸切り機構部における可動メスの動作状態を検出する機構が具備されることにより、電源停止直後における糸切り動作の状態を正しく認知し、その後の正常動作への復帰を可能とすることができる。
【0010】
そして、不意の電源切断から電源再投入において、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には、その停止状態から糸切り機構の動作を続行させて糸切りを完了させるようにしたことで、糸の掛け直し等の作業は一切、不要であり、新たなミシン縫い作業にスムーズに移行することができるものである。電源再投入でそのまま糸切り作業が行なわれることになり、ミシン作業の流れにほとんど支障なく作業を行なうことができ、よって作業員に負担をかけることなく、作業効率を向上さることができるものである。
【0011】
さらに、本発明では、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には、その停止状態から糸切り機構を動作させて、糸切りを行ない、糸切りを機構を初期状態に復帰させるようにしたことで、ミシン作業を行なうことができるものである。
【0012】
次に、本発明では、自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業初期状態で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにしたことで、ミシン作業を行なうことができるものである。
【0013】
次に、本発明では、前記自動糸切り機構は、往復動する可動メスと,該可動メスと共に糸を切断する固定メスとからなる糸切と共に、前記可動メスを往復動させる主駆動腕と、糸切り命令時のみ連結して該主駆動腕を駆動するメス駆動カムとを備え、前記糸切り動作を検出するための手段は前記主駆動腕とメス駆動カムとが作用する位置と、不作用の位置を検出するようにしたことにより、その簡単な構成とし、糸切り動作状況の検出手段における機構を極めてコンパクトにまとめることができ、小型化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の構成は、主に、糸切り機構,糸切り動作検出機構及び糸切り機構制御機構とから構成される。前記糸切り機構は、ミシンの上・下糸を切断する役目をなす機構であり、主に可動メス5及び固定メス40とから構成される。また糸切り動作検出機構は、自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段を実施するための機構であって、その糸切り機構により糸切り動作が完了しているか又はその途中であるかを判断して、その状態から適切な実行命令の信号を発信する役目をなすものであり、マイクロスイッチ27或いはセンサ等である。さらに、糸切り機構制御機構は、前記糸切り機構の可動メス5を往復動させて糸切りを行なわせたり、或いはその糸切りを停止状態にする役目をなすものである。その部材としては、主に主駆動腕34及びメス駆動カム22等である。
【0015】
まず、前記糸切り機構は、ミシン本体のベッド20の針板49,外釜3の箇所に組み込まれるものであって、具体的には、図3(a)に示すように、前記ベッド20の箇所には、針1の手前側に釜軸2を中心として回転する外釜3が配置され〔図3(b)参照〕、該外釜3の周囲に前記糸切り機構が配置され、該糸切り機構と共に捕捉機構,押え機構が配置される。前記針1の奥側には、上下方向・水平方向に運動自在に配置された送り歯6が設けられている。また、前記外釜3の中に内釜38が収納され、該内釜38の中に下糸29dを巻いたボビン24が収納される〔図1(a)参照〕。その針1の手前側には、外釜3を跨いで、捕捉部材4、可動メス5の運動方向に沿うように糸押え部材7が配置される。
【0016】
その糸切り機構は、主に可動メス5と固定メス40とから構成され、これらに加えて、捕捉機構,押え機構が含まれる。その糸切り機構は、その糸切り機構における可動メス5,固定メス40及び捕捉機構における捕捉部材4は、図1(a),図2(c),図5等に示すように、1枚の台板13上に設けられている。具体的には、前記捕捉部材4、可動メス5はねじにより駆動板9に結合されており、案内部材10,11,12により、台板13上を左右方向に摺動自在に保持されている〔図5(a)参照〕。その捕捉部材4及び可動メス5は、薄板又は略帯板形状に形成されたものであり、前記捕捉部材4は、図1,図5に示すように、帯板形状の摺動板部4cの長手方向先端には、上糸29u及び下糸29dの捕捉部4aが形成され、該捕捉部4aが形成された付近の摺動板部4cには、捕捉切除部4bが形成されている。
【0017】
前記捕捉部4aは、略三角板状に形成されたものであって、前記摺動板部4cの長手方向先端付近で、且つその幅方向の一端側縁から前記摺動板部4cの平坦面に対して略々垂直に折曲形成されたものである。また、前記捕捉切除部4bは、前記摺動板部4cの幅方向一端縁から摺動板部4cの長手方向先端に向かって略U字形状に切り込まれている〔図5(b)等参照〕。
【0018】
この捕捉機構における捕捉部材4は、前記捕捉部4aにて係止された上糸29u及び下糸29dがその捕捉切除部4bに入り込み、固定メス40の下面側に移送させるものである。前記捕捉部4aの形状は、前述したように略三角形状に形成されている。また、前記捕捉切除部4bの内部は、捕捉部材4が長手方向先端に向かって切除されたもので、捕捉部4aによって捕捉された上糸29u及び下糸29dが外れ難いように、確実に係止することができるようになっている。前記可動メス5は、帯板状に形成され、その長手方向の先端箇所に略鉤形状として形成されたものである。その可動メス5のメス刃部付近は、その先端寄りの箇所が幅方向に狭なる領域が形成、先端箇所のメス刃部が略直角状に屈曲されたものである。
【0019】
その捕捉部材4と可動メス5とが、図2(c),図5等に示すように、上下方向に重合されビス等の固着具にて、固着され一体化されている。そして、前記台板13に対して捕捉部材4が可動メス5と共に長手方向に沿って往復移動することができるようになっている。前記台板13には、図2,図5に示すように、前記捕捉部材4が長手方向に沿って往復動するためのガイド溝13aが形成されている。該ガイド溝13aは、略長方形の長孔状に形成されたものである。
【0020】
そのガイド溝13aには、スライド部材4dが挿入され、前記ガイド溝13a内をその長孔の長手方向に沿って往復移動が自在となっている。そのスライド部材4dは、略直方体の小ブロックであり、このスライド部材4dと前記捕捉部材4の摺動板部4cとが前記可動メス5と共にビス等にて固着されている。そして、前記スライド部材4dがガイド溝13a内を往復移動するのに伴って前記捕捉部材4と可動メス5とがその長手方向に沿って往復移動するものである。
【0021】
前記可動メス5と捕捉部材4との間で、且つ前記可動メス5の下方に位置するようにして、固定メス40と糸ガイド41が配置されている。前記可動メス5の上方には、該可動メス5を加圧するようにして可動メス押え部44が配置されている。そして、前記固定メス,糸ガイド41及び可動メス押え部44は、前記台板13上にビス等の固着具にて固着されている(図5等参照)。
【0022】
次に、前記捕捉部材4及び可動メス5には、駆動板9が固着されている〔図2,図5(a)等参照〕。該駆動板9には、前記台板13の裏面側に装着された被駆動腕18に枢支連結されている。具体的には、該被駆動腕18は、その長手方向一端が前記台板13に枢支され、その枢支部を中心にして揺動自在としている〔図6(a),(b)参照〕。その被駆動腕18と前記駆動板9は、ピン接合によって枢支連結されたもので、該駆動板9にはピン9aが装着され、前記被駆動腕18には長孔18aが形成され、前記ピン9aが前記長孔18aに遊挿されている。その駆動板9と被駆動腕18とのピン接合による枢支連結箇所は、前記台板13に形成された、貫通長孔状の補助ガイド溝13bを介して行なわれるものである。
【0023】
なお、前記ピン9aは、前記被駆動腕18に装着され、前記長孔18aは前記駆動板9側に形成されても構わない。そして、前記被駆動腕18は、主駆動腕34にピン接合により枢支連結されている。この枢支連結構造も前述したように、ピンと長孔の構成である。本実施形態では、前記被駆動腕18の長手方向の略中間箇所にピン18bが装着され、前記主駆動腕34の長手方向端部箇所に長孔34aが形成されたものである〔図2,図6参照〕。
【0024】
前記主駆動腕34は、後述するメス駆動カム22によって規則的なカム動作を行なうものである。該メス駆動カム22は、図2,図3(a)等に示すように、ベッド20内部に装着された下軸21に装着され、該下軸21と共に回転し、前記主駆動腕34にカム動作を伝達するものである。そして、該主駆動腕34から前記被駆動腕18及び駆動板9を介して、前記捕捉部材4及び可動メス5が長手方向に往復動作を行わせ、糸切り動作を行なうことができる。また、メス駆動カム22から駆動板9への動力伝達は、糸切り信号により可能となる。さらに、通常の縫い状態では、動力伝達は遮断され、前記捕捉部材4及び前記可動メス5は、図1において最左点の位置に停止している。
【0025】
図中、符号14は、糸切り動作のストッパーである。また符号15は、内釜38の逆転止めである。そして、上糸29uは、前記外釜3の剣先(図示なし)で捕捉され、内釜38外周を回って、前記回転止め15を抜けた後、図1に対して最右点で待機している捕捉機構における捕捉部材4の捕捉部4aに掛り捕捉される。その後、前記上糸29uは、前記捕捉部材4の移動と糸ガイド41の案内により、糸切り位置へ導かれる。
【0026】
前記メス駆動カム22から前記駆動板9への動力伝達部は、糸切り信号を発令することにより動力伝達が可能となる。具体的には、図2(a),(b)に示すように、その糸切り信号が発進されると、前記主駆動腕34がメス駆動カム22に近接し、前記主駆動腕34に設けられたピン34bが前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入して、該メス駆動カム22のカム動作が前記主駆動腕34,被駆動腕18及び駆動板9を介して捕捉部材4及び可動メス5に伝わり、これらに往復動を行なわせるものである。なお、通常の縫い状態においては、前記メス駆動カム22と主駆動腕34とは連結しておらず、動力伝達は遮断されており、前記捕捉部材4,可動メス5は、図1に対して最左点の位置に停止状態となる。
【0027】
次に、押え機構については、糸押え部材7がピン8により釜室カバー42に揺動自在に枢支連結されている。その糸押え部材7は、軸状押え部7aと揺動腕部7b,7bとから構成されている。前記軸状押え部7aは、略帯板形状をなしており、前記下糸29dを押さえる役目をなす。この押え機構における糸押え部材7の軸状押え部7aを上下方向に揺動させる駆動機構は、その揺動腕部7b,7bは、図4(b)に示すように、前記軸状押え部7aを上下方向に揺動させる糸押さえ台43に枢支連結されている。
【0028】
その糸押さえ台43は、駆動源に連結しており、前記糸押さえ台43と釜取付け板48との間にバネ45が掛けられており、糸押さえ台43は、下方に弾性付勢される。そして、前記下軸46には、糸押えカム47が装着され、下軸46の回転にと共に前記糸押えカム47が回転し、該糸押えカム47の回転に追従して、糸押さえ台43が上下方向に往復移動し、前記糸押え部材7が上下方向に揺動運動を行う。その下軸46は、前述のミシンの縫い動作を駆動する下軸21とは、別の駆動軸である。そして、下軸46は、下糸29dを切断する糸切り信号により回転するものである。その糸押え部材7の駆動機構は、種々存在し、上記機構に限定されるものではない。
【0029】
前記糸押え部材7の軸状押え部7aは、前述したように、前記捕捉部材4と水平釜との間にあって、水平釜内のボビン24から針板49の針穴30aに通じる下糸29dの経路の上方を横断している。さらに、前記軸状押え部7aは、前記捕捉部材4(及び可動メス5)の往復運動経路に沿うようにして配置されている。
【0030】
その糸切り機構における糸切り動作の工程を図7乃至図9及び図10に基づいて説明する。この図7乃至図9の各(a)は、図1(a)の糸押え部材7箇所を平面より見た略示工程図である。さらに図7乃至図9の各(b)は、各(a)の図面の側面より見た略示工程図である。また図10は、糸押え部材7を介して捕捉部材4が下糸を捕捉する状態を示す略示工程図である。
【0031】
まず、その第1工程では、前記捕捉部材4,可動メス5の先端は、図7(a)の左端に位置し、非作動状態であって、前記台板13内に収容されている。非作動状態の可動メス5は、図7(A)において、想像線にて表示されている。このときの押え機構の糸押え部材7の軸状押え部7aは、捕捉部材4の捕捉部4aより上方に位置し、下糸29dも捕捉部4aの頂部より上方に存在している〔図10(a)参照〕。
【0032】
次に、第2工程は、下糸29dの糸切り命令が発令されて、前記可動メス5が捕捉部材4と共に往復方向の往方向に沿って移動する。その捕捉部材4,可動メス5の往方向への移動途中では、前記軸状押え部7aは、前記捕捉部4aより上方に位置している。そして、第3工程は、その捕捉部4aが往方向終点に達すると停止する。また、前記軸状押え部7aは、捕捉部4aの頂部よりも低い位置に降下し、下糸29dを押し下げる〔図7(b)参照〕。
【0033】
次に、第4工程は、往方向終点位置から復方向に移動を開始し、その途中で、捕捉部4aが下糸29dを捕捉し、該下糸29dは、捕捉切除部4bに入り込み、下糸29dの捕捉状態をより一層確実なものにする〔図8(a),(b)参照〕。次に、第5工程は、捕捉された下糸29dが捕捉部材4と共に復方向に沿って移動し、下糸29dを固定メス40の位置に案内する。そして、前記可動メス5と固定メス40により捕捉した下糸29dを切断する〔図9(a),(b)及び図10(b)参照〕。そして、切断命令が解除されると、前記糸押え部材7の軸状押え部7aは、元の高さに復帰し、下糸29dは捕捉部材4により捕捉されない状態となる。
【0034】
次に、糸切り機構制御機構について説明する。図1(b),(c)は、前記糸切り機構が糸切り動作を行なわず、前記可動メス5及び捕捉部材4が停止状態となっている状態を示すものであり、図2(a),(b)は可動メス5及び捕捉部材4が往復動する状態を示すものである。
【0035】
まず、その構成は、ベッド20に下軸21が回転自在に支持され、該下軸21の軸方向端部箇所に、メス駆動カム22が装着されている。該メス駆動カム22は、溝状案内部22aが形成され、前記駆動板9との間において、糸切り信号が発令されることにより動力伝達が可能となる。また、通常の縫い状態では、動力伝達が遮断され、前記捕捉部材4、可動メス5は、非糸切り動作状態(糸切りを行なわない状態)であり、初期位置に停止している。その初期位置は、図1(a)においては、最左点位置となる。また、前記ベッド20には、駆動腕軸台25が配置され、該駆動腕軸台25に駆動リンク26が垂直面上を上下方向に回動自在となるように枢支連結されている。さらに、前記駆動腕軸台25には、後述する糸切り動作検出機構としてマイクロスイッチ27がスイッチ取付け板28を介して装着されている。
【0036】
前記駆動リンク26の一端側に設けられたピン26aには、切替ロッド30の長手方向一端側がE型止め輪29を介して回動自在に枢支連結され、さらに前記切替ロッド30の長手方向の他端側には、ソレノイド32が連結されている。該ソレノイド32は、ベッド20にソレノイド取付け板31を介して装着されている。前記切替ロッド30とソレノイド32との連結は、該ソレノイド32のプランジャー32aにピン33を介して枢支連結されている。よって、後述するように前記ソレノイド32が作動してプランジャー32aが吸引されると、切替ロッド30を介して駆動リンク26は所定の動作を実行する。
【0037】
そして、前記駆動腕軸台25には、軸25aが植設されている。該軸25aには、前記主駆動腕34の長手方向一端側に形成された回動中心基部34dが形成されている。該回動中心基部34dは、略コ字形状に形成されており、前記軸25aに対して2箇所の貫通孔にて軸25aを摺動することができ、前記軸25aに対して主駆動腕34が回動且つ上下動を安定した動作にて行なうものである。
【0038】
その主駆動腕34は、前記軸25aの周囲を囲むようにして装着されたバネ36と、該バネ36の下端を支持するE型止め輸35によって、常時に上方に弾性付勢されている〔図1(b),(c)参照〕。その該主駆動腕34の長手方向における前記回動中心基部34dとは反対側には長孔34aが形成されている。該長孔34aには、前記被駆動腕18のピン18bが挿入連結している。また、前記主駆動腕34の長手方向の略中間箇所には、ピン34bが形成されている。
【0039】
そして、該ピン34bは、主駆動腕34の上下方向の移動動作によって、前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに対して離脱,挿入を行なうものである。前述したように、前記被駆動腕18は、その長孔18a内に駆動板9のピン9aが挿入されている。そして、前記メス駆動カム22の回転により、その溝状案内部22aに挿入嵌合したピン34bを介して、前記主駆動腕34が揺動運動を開始し、前記長孔34aから前記ピン18bを介して被駆動腕18に揺動運動を起こさせる。
【0040】
該被駆動腕18の揺動運動により、前記駆動板9は、前記長孔18aとピン9aとの枢支連結箇所を介して左右方向に往復運動を生じさせる。そして、前記捕捉部材4、可動メス5は、共に前記駆動板9に連結されているので、該駆動板9の往復運動に伴い往復動を行なわせ、これによって糸切り動作を行うことになる。その被駆動腕18は、前記台板13に形成されたストッパー14の先端部14b1 から離れた状態において、前記主駆動腕34は前記軸25aに沿って軸方向の上位置にあり、前記主駆動腕34のピン34bは、前記メス駆動カム22の溝状案内部22aから離脱している。前記ストッパー14は、図6(b),(c)に示すように、前記台板13の下面側に略L字形状となるように形成されたもので、垂直状片14a及び水平片14bとから構成されている。その水平片14bの先端箇所は前記先端部14b1 となっている。
【0041】
図6(a)は、前記台板13を下面側から見た図であり、主駆動腕34と被駆動腕18との位置状態は、前記可動メス5を糸切り動作前である原点に位置させている。さらに、図6(b)は、前記可動メス5が最も飛び出した状態を示すものであって、前記主駆動腕34のピン34bがメス駆動カム22の回転によって溝状案内部22aに案内され、前記主駆動腕34が移動する。そして、前記長孔34aとピン18bとの枢支連結箇所を介して前記被駆動腕18の長孔18aが形成されている自由端が、図6(b)において、その左(台板13の外方側)へ移動し、前記ピン9aを介して駆動板9を回動させ、前記捕捉部材4,可動メス5とを左(台板13の外方側)へ移動させるものである。
【0042】
この場合、前記主駆動腕34は、前記軸25aに沿って下方へ引かれるように付勢されているものであり、この位置においては、前記主駆動腕34は前記ストッパー14の水平片14bと高さ方向で位置が異なる〔図2(a)参照〕。よって、前記主駆動腕34は、前記ストッパー14に遮られることなく、前記主駆動腕34は、揺動運動が可能となっている。また、前記主駆動腕34は、高さ方向において下がった位置にあり、前記ピン34bは、メス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入して、且つ前記ストッパー14の水平片14bの下面側で回動するものであり、前記ピン34bは前記溝状案内部22aに案内される状態が維持されている。
【0043】
このように、糸切り機構制御機構によって、前記可動メス5及び捕捉部材4を往復動させて、糸切り動作を行なわせる。糸切りの非動作時では、前記主駆動腕34のピン34b先端は、前記メス駆動カム22の溝状案内部22aから離脱状態であり、ピン34b先端と溝状案内部22aとの間には隙間を維持している。即ち、前記メス駆動カム22が回転しても、前記主駆動腕34は揺動運動を行なわない。また、前記ストッパー14の水平片14bは、主駆動腕34の先端部34cと同一高さにあり、図1(b),図5に示すように、前記主駆動腕34の揺動運動を制止規制しており、不用意に可動メス5が作動しないようにしている。
【0044】
次に、前記駆動リンク26は、略L字形状をなしており、その屈曲した角箇所が揺動中心となるようにして、その角箇所が前記駆動腕軸台25の立上り部に装着されたピン25bにE型止め輪37を介して揺動自在に支持されている。その駆動リンク26は、前記切替ロッド30を介してソレノイド32に連結されている。そして、前記駆動リンク26の一端は、押圧端部26bとして、前記軸25aに保持された主駆動腕34の回動中心基部34dと押圧可能に係合している。
【0045】
前記ソレノイド32が作動した際には、前記切替ロッド30が移動し、前記駆動リンク26が揺動し、その押圧端部26bが回動中心基部34dを押し下げて、前記主駆動腕34を下方に移動させる。これによって、主駆動腕34は、そのピン34bがメス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入し、前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに従ってピン34bと共に主駆動腕34が作動し、該主駆動腕34から被駆動腕18,駆動板9に動作が伝達されて、該駆動板9から捕捉部材4及び可動メス5に往復動作を生じさせるものである。前記ソレノイド32は、糸切り命令が発せられることによって作動する。図中の符号25cは、前記駆動腕軸台25に形成されたストッパーであり、前記駆動リンク26の揺動範囲を規制する役目をなしている。
【0046】
次に、自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段である糸切り動作検出機構について説明する。この糸切り動作検出機構は、具体的には、マイクロスイッチ27が使用される。該マイクロスイッチ27は、前述したように、スイッチ取付け板28を介して前記駆動腕軸台25に固定されており、前記主駆動腕34の回動中心基部34dの上下動によって、そのマイクロスイッチレバー27aは、揺動するようになっている〔図1(c),図2(b)参照〕。そして、主駆動腕34の上下動に関して前記マイクロスイッチ27のON・OFF動作が行なわれるようになっている。
【0047】
このマイクロスイッチ27によって、その可動メス5が動作する状態を図2等に基づいて説明する。前記ソレノイド32が糸切りの命令信号によって作動し、前記切替ロッド30を介して前記駆動リンク26が回動〔図1(c)においては反時計回り〕して、前記主駆動腕34がバネ36の弾性に抗して押し下げられる。そして、その主駆動腕34は、押し下げられることによって、前記マイクロスイッチ27のマイクロスイッチレバー27aが切り替り、前記主駆動腕34の変位がマイクロスイッチ27により検知されることになる。この一連の動作は、図1(c)から図2(b)によって示されている。
【0048】
さらに、この状態は、図1(b)から図2(a)に示されているように、前記主駆動腕34が前記駆動リンク26により押し下げられることにより、前記ピン34bも同様に下がって、該ピン34bの先端が前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入する。これにより、前記メス駆動カム22の回転動作が前記主駆動腕34、被駆動腕18、駆動板9に動力がそれぞれ伝達されてゆき、前記捕捉部材4、可動メス5が糸切り動作を実行する。前記主駆動腕34が駆動リンク26によって押し下げられることにより、該主駆動腕34の先端部34cは、前記ストッパー14の水平片14bの下方位置に移動して、該ストッパー14による規制から解放され上記の揺動運動が可能になっている〔図2(a)参照〕。
【0049】
すなわち、前記可動メス5が糸切り動作を実行している間は、前記主駆動腕34は、押し下げられ、且つ前記ストッパー14の水平片14bの位置よりも下方に存在した状態で、主駆動腕34のピン34bは前記メス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入している〔図2(a)参照〕。これによって、糸切り動作の実行中において、主駆動腕34のピン34bは、メス駆動カム22の溝状案内部22aから外れることがない。すなわち、糸切り実行中にミシン電源がオフ(OFF)にされても、主駆動腕34のピン34bは、メス駆動カム22の溝状案内部22aから外れないで、挿入状態が維持される。
【0050】
そして、前記マイクロスイッチ27は、前記主駆動腕34が下がって、下方に位置していることを検出することにより、前記可動メス5が糸切り動作(実行)中か停止中かを検知することができる。以上の構成により、ミシンの動作中に電源をいきなりオフ(OFF)してしまった後、そのミシン電源を再投入したときには、前記糸切り動作検出機構であるマイクロスイッチ27により、前記可動メス5が糸切りの動作(実行)中であるか否かを認識することで、その後の適正動作を指示することができる。
【0051】
その電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段すなわち糸切り動作検出機構によって発せられた信号に基づいて、自動糸切り機構の状態により、その後の動作は、以下に示す実施形態の動作を行なう。その第1実施形態の動作は、自動糸切り機構が糸切り作業中に電源が切れてオフ(OFF)となったときの状況が、前記糸押え部材7の軸状押え部7aが降下しており、前記捕捉部材4が下糸29dを捕捉可能な状態の場合に選択される動作である。具体的には、前記可動メス5及び捕捉部材4が共に往復方向の復動を開始し前記糸押え部材7の軸状押え部7aが降下して、捕捉部4aの頂部よりも低い位置まで下糸29dを押し下げた状態のときに、電源が切れて糸切り動作が停止した場合には、電源再投入にて、そのまま糸切り動作が続行され、糸切り作業を完了するものである。
【0052】
その第2実施形態の動作は、自動糸切り機構が糸切り作業中に電源が切れてオフ(OFF)となったときの状況が、前記糸押え部材7の軸状押え部7aが降下しないで上方に位置している場合に選択される動作である。この場合には、電源再投入によって、糸切り動作の停止した状態から糸切り動作は行なわないで、前記可動メス5及び捕捉部材4が元の位置に戻り、自動糸切り機構を初期状態にするものである。具体的には、前記可動メス5と捕捉部材4とが共に往復方向の往動動作の状態にあり、前記糸押え部材7の軸状押え部7aが前記捕捉部4aより上方に位置している状態で、電源が切れて糸切り動作が停止した場合には、その電源を再投入によって前記可動メス5及び捕捉部材4は、往動動作が停止され、前記可動メス5及び捕捉部材4が初期の位置に戻り、糸切りを行なうことなく動作を終了させて、初期状態に復帰させるものである。
【0053】
その第3実施形態の動作は、自動糸切り機構が糸切り作業中に電源が切れてオフ(OFF)となったときの状況が、前記可動メス5及び捕捉部材4が、糸切り作業初期(開始)状態で停止した場合に選択される動作である。この場合には、糸切り作業初期状態とは、前記可動メス5及び捕捉部材4が、往復の往方向に移動している状態である。そして、電源再投入によって、前記可動メス5及び捕捉部材4が、往復の往方向に移動している状態で、糸切り動作は行なわないで、前記可動メス5及び捕捉部材4が元の位置に戻り、自動糸切り機構を初期状態にするものである。
【0054】
そして、前記糸切り動作を検出するための手段は、前記主駆動腕34のピン34bと,メス駆動カム22とが作用(係合)する位置と、不作用(非係合)の位置とを検出するようにしたものである。この検出は、前記糸切り動作検出機構であるマイクロスイッチ27により行なわれるものである。そして、該マイクロスイッチ27は、自動糸切り機構の糸切り動作を続行させるか、動作を停止して初期状態にするかの信号を発信する。また、糸切り機構が糸切りの非動作(非実行)中の場合、すなわち電源切断時に糸切りが行なわれていなかった場合は、針1を上方へ挙げる信号を出す指示をしてミシンを初期状態に復帰させる。このように、糸切り動作検出機構は、前記主駆動腕34とメス駆動カム22との挿入,離脱を判断することになる。
【0055】
上記の糸切り動作検出機構による糸切り機構及び糸切り機構制御機構のそれぞれの動作をフローチャート(図11参照)及びブロック図(図12参照)に示した。まず、図11のフローチャートでは、電源再投入(S1)により、マイクロスイッチ27がチェック(S2)を行い、その糸切りの動作途中であるか否かを判断(S3)を行なう。そして、糸切りの動作途中であれば、前記電源再投入(S1)と同時に糸切り動作の継続を実行命令(S4)を発令し、糸切りを完了させる。また、前記判断(S3)で、電源再投入時に糸切り動作が既に完了済であったり、或いは糸切り動作が行なわれていないときには、糸切り動作の初期状態に設定される。
【0056】
次に、図12のブロック図では、中央演算処理装置(CPU)50が糸切り機構制御機構51としてのマイクロスイッチ27に連絡される状態に設定されている。そして、糸切り動作検出機構53のセンサであるマイクロスイッチ27が、前記主駆動腕34の上下方向の位置から、主駆動腕34のピン34bがメス駆動カム22の溝状案内部22aに挿入しているか否かの信号を受け、糸切り動作中であるか否かを中央演算処理装置(CPU)50が判断する。そして、その判断による指令を糸切り機構制御機構51,糸切り機構52に発令し、電源再投入時における糸切り動作を決定するものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a)は本発明における糸切り機構,捕捉機構及び押え機構を備えた外釜周辺の平面図、(b)は本発明において主駆動腕が上方に位置した状態の要部正面図、(c)は(b)の側面図である。
【図2】(a)は本発明において主駆動腕が下方に位置した状態の要部正面図、(b)は(a)の側面図、(c)は糸切り機構の斜視図である。
【図3】(a)はベッドの底面より見た平面図、(b)は外釜周辺の斜視図である。
【図4】(a)は糸切り機構の要部断面図、(b)は糸切り機構の動作を示す作用図である。
【図5】(a)は糸切り機構の平面図、(b)は糸切り機構の背面図である。
【図6】(a)は糸切り機構の動作を示す背面図、(b)は糸切り機構の動作を示す背面図、(c)は(b)のX−X矢視端面図である。
【図7】(a)は糸切り機構の初期段階の作用図、(b)は(a)の側面図である。
【図8】(a)は糸切り機構の途中段階の作用図、(b)は(a)の側面図である。
【図9】(a)は糸切り機構の完了段階の作用図、(b)は(a)の側面図である。
【図10】(a),(b)は本発明の下糸の切断工程を示す略示工程図である。
【図11】本発明のフローチャートである。
【図12】本発明のブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
5…可動メス、22…メス駆動カム、34…主駆動腕、40…固定メス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切りを完了させるようにしたことを特徴とする自動糸切り装置を備えたミシン。
【請求項2】
自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにしたことを特徴とする自動糸切り装置を備えたミシン。
【請求項3】
自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業初期状態で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにしたことを特徴とする自動糸切り装置を備えたミシン。
【請求項4】
前記自動糸切り機構は、往復動する可動メスと,該可動メスと共に糸を切断する固定メスとからなる糸切と共に、前記可動メスを往復動させる主駆動腕と、糸切り命令時のみ連結して該主駆動腕を駆動するメス駆動カムとを備え、前記糸切り動作を検出するための手段は前記主駆動腕とメス駆動カムとが作用する位置と、不作用の位置を検出するようにしたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の自動糸切り装置を備えたミシン。
【請求項1】
自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切りを完了させるようにしたことを特徴とする自動糸切り装置を備えたミシン。
【請求項2】
自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業中で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにしたことを特徴とする自動糸切り装置を備えたミシン。
【請求項3】
自動糸切り機構を備えたミシンにおいて、電源投入時に自動糸切り機構の動作状況を検出するための手段と、該検出するための信号に基づき、電源投入時の自動糸切り機構が糸切り作業初期状態で停止の場合には糸切り機構を動作させて糸切り機構を初期状態に復帰させるようにしたことを特徴とする自動糸切り装置を備えたミシン。
【請求項4】
前記自動糸切り機構は、往復動する可動メスと,該可動メスと共に糸を切断する固定メスとからなる糸切と共に、前記可動メスを往復動させる主駆動腕と、糸切り命令時のみ連結して該主駆動腕を駆動するメス駆動カムとを備え、前記糸切り動作を検出するための手段は前記主駆動腕とメス駆動カムとが作用する位置と、不作用の位置を検出するようにしたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の自動糸切り装置を備えたミシン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−54135(P2007−54135A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240483(P2005−240483)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
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