説明

自動製パン器

【課題】混練ブレードを含むブレード部の汚れを簡単に落とせる自動製パン器を提供する。
【解決手段】自動製パン器1は、パン原料が投入されるとともに、本体10内に設けられる焼成室30に収容されるパン容器80と、パン容器80内でパン生地を練り上げるために使用される混練ブレードを含むブレード部(図示せず)と、前記ブレード部の洗浄指令を入力するための入力部21と、入力部21からの洗浄指令に基づいて前記ブレード部の洗浄を行う洗浄動作を実行させる制御部(図示せず)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として一般家庭で使用される自動製パン器に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の家庭用自動製パン器は、パン原料を入れる容器をそのまま焼き型としてパンを製造する仕組みのものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。このような自動製パン器では、まず、パン原料を入れたパン容器が本体内の焼成室に入れられる。そして、パン容器内のパン原料がパン容器内に設けられる混練ブレードでパン生地に練り上げられる(練り工程)。その後、練り上げられたパン生地を発酵させる発酵工程が行われ、パン容器が焼き型として使用されてパンが焼き上げられる(焼成工程)。
【0003】
このような自動製パン器を用いてパンの製造が行われる場合、これまでは、パン原料として、小麦や米などの穀物を製粉した粉(小麦粉、米粉等)や、そのような製粉した粉に各種の補助原料が混ぜられたミックス粉が必要とされた。しかしながら、一般家庭においては、米粒に代表されるように、粉の形態ではなく粒の形態で穀物が所持されることがある。このために、自動製パン器が穀物粒から直接パンを製造する仕組みを有すれば、非常に便利である。このようなことを念頭において、本出願人らは、穀物粒を出発原料としてパンを製造するパンの製造方法を開発している(特許文献2参照)。
【0004】
このパンの製造方法では、まず、穀物粒と液体とが混合され、この混合物の中で粉砕ブレードが回転されて穀物粒が粉砕される(粉砕工程)。そして、粉砕工程を経て得られたペースト状の粉砕粉を含むパン原料が、混練ブレードを用いてパン生地に練り上げられる(練り工程)。その後、練り上げられたパン生地を発酵させる発酵工程が行われ、続いてパンを焼き上げる焼成工程が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−116526号公報
【特許文献2】特開2010−35476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人らは、上述の穀物粒を出発原料としてパンを製造する方法を実行可能な、新しい仕組みを備えた自動製パン器の開発に取り組んでいる。この新しい仕組みを備えた自動製パン器の構成として、例えば、本体内に設けられる焼成室にパン容器が収容され、このパン容器内で上述の粉砕工程から焼成工程が実行される構成のものが考えられている。
【0007】
このような構成を採用する場合に、例えば、粉砕工程から練り工程に移る際にブレード交換(粉砕ブレードと混練ブレードとの交換)が必要であるとすると、ユーザは、自動製パン器の使い勝手が悪いとの印象を抱く可能性がある。このために、本出願人らは、例えば、粉砕ブレードと混練ブレードとの使い分けが可能な1つのブレードユニットを、パン容器の内部に着脱自在に取り付ける構成の採用を考えている。
【0008】
なお、この構成では、ブレードユニットは、例えば、その取付部(挿入孔が設けられる)がパン容器の底部に設けられる回転軸に被せられることによって、パン容器に取り付けられる。また、パン容器の底部に設けられる回転軸は、本体内に設けられるモータによって回転可能とされる。
【0009】
しかしながら、粉砕ブレード及び混練ブレードが備えられるとともに、ブレードの使い分けも可能とされる構成が採用される場合、ブレードユニットの構成は、ある程度複雑なものとならざるを得ない。ブレードユニットは、通常、パンが焼き上げられた後にパン容器から取り出されて洗浄される。ブレードユニットの構成が複雑になった場合、ブレードユニットの洗浄が行い難くなる。ブレードユニットの洗浄が行い難いと、汚れ(例えばパン生地の焼き付き等)の洗い残しが発生する可能性がある。また、ブレードユニットの洗浄が行い難いと、ユーザはブレードユニットの洗浄に時間を要するために、自動製パン器の使い勝手が悪いとの印象を抱く可能性がある。
【0010】
なお、以上では、ブレード部(上述のブレードユニットを含む概念として使用。)が混練ブレード及び粉砕ブレードを備える場合の問題について述べた。しかし、ブレード部に粉砕ブレードが備えられない自動製パン器(小麦粉や米粉等の穀物粉からのみ、パンを製造できるもの)においても、ブレード部における汚れの洗い残しが発生し難いこと等はユーザに望まれているものと考えられる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、混練ブレードを含むブレード部の汚れを簡単に落とせる自動製パン器を提供することである。また、本発明の他の目的は、穀物粒からパンを焼き上げられる便利な仕組みを備え、粉砕ブレード及び混練ブレードを含むブレード部の汚れを簡単に落とせる自動製パン器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の自動製パン器は、パン原料が投入されるとともに、本体内に設けられる焼成室に収容されるパン容器と、前記パン容器内でパン生地を練り上げるために使用される混練ブレードを含むブレード部と、前記ブレード部を洗浄する洗浄指令を入力するための入力部と、前記入力部からの洗浄指令に基づいて前記ブレード部の洗浄を行う洗浄動作を実行させる制御部と、を備える。
【0013】
なお、ブレード部は、回転軸に対して一体的に着脱されるもの(1ユニット)であっても構わないし、回転軸から外された状態で複数の部分に分かれるものであっても構わない。
【0014】
本構成では、自動製パン器によってブレード部を洗浄することができる。このため、ユーザは、ブレード部の洗浄を機械に任せて、その汚れを簡単に落とすことが可能になる。すなわち、本構成によれば、ブレード部を洗浄する際のユーザの負担が軽減される。
【0015】
上記構成の自動製パン器において、前記パン容器の底部には回転軸が設けられ、前記ブレード部は前記回転軸に着脱可能に取り付けられ、前記洗浄動作には、前記回転軸を回転させる動作が含まれることとしてよい。本構成によれば、ブレード部の洗浄のために特別の部品を追加することなく、ブレード部の汚れを簡単に落とせる自動製パン器の提供が可能である。
【0016】
上記構成の自動製パン器において、前記ブレード部には、前記パン容器内で穀物粒を粉砕するために使用される粉砕ブレードと、前記粉砕ブレードを覆うとともに前記混練ブレードを外面に有するカバーと、が更に含まれ、前記洗浄動作には、前記混練ブレード及び前記カバーの回転を停止させつつ、前記回転軸とともに前記粉砕ブレードを回転させる動作が含まれることとしてよい。本構成によれば、穀物粒からパンを焼き上げられる便利な仕組みを備え、粉砕ブレード及び混練ブレードを含むブレード部の汚れを簡単に落とせる自動製パン器の提供が可能になる。
【0017】
上記構成の自動製パン器の具体的な構成として、前記ブレード部には、前記回転軸が挿入される挿入孔が設けられて前記回転軸に回転不能に取り付けられる取付部と、前記回転軸と前記カバーとの連結状態を切り替えるクラッチと、が更に含まれ、前記粉砕ブレードは、前記取付部に回転不能に取り付けられ、前記カバーは、前記取付部に回転可能に取り付けられ、前記混練ブレードは、前記カバーに回転可能に取り付けられて、パン生地を練り上げる際の姿勢である折り畳み姿勢と、前記パン容器の内壁に当接する姿勢である開き姿勢との2姿勢をとり得るようになっており、前記回転軸が一方向に回転する場合に、前記混練ブレードが前記折り畳み姿勢となって前記クラッチが前記回転軸と前記カバーとを連結し、前記カバー及び前記混練ブレードは前記回転軸とともに回転し、前記回転軸が前記一方向と逆方向に回転する場合に、前記混練ブレードが前記開き姿勢に転じて前記クラッチが前記回転軸と前記カバーとの連結を切り離し、前記カバー及び前記混練ブレードは回転停止状態となり、前記洗浄動作を行う場合の前記回転軸の回転方向は前記逆方向である構成を採用してもよい。本構成によれば、粉砕工程において粉砕ブレードを用いて穀物粒を粉砕する場合と同様の動作を利用して、ブレード部の洗浄動作を行うことが可能である。
【0018】
上記構成の自動製パン器において、前記ブレード部には、前記カバーの下面を覆って前記粉砕ブレードへの指の接近を阻止するガードが更に含まれることとしてもよい。ガードがカバーに取り付けられる構成では、ブレード部の洗浄が手作業で行われる場合に、その作業負担が大きくなる。しかし、本構成では、ブレード部の洗浄が機械的に行われるために、そのような作業負担が発生し難い。
【0019】
上記構成の自動製パン器において、前記洗浄動作において前記回転軸を回転させる場合には、前記回転軸の回転速度は、初期段階では低速とされ、その後、高速とされるのが好ましい。本構成によれば、洗浄用にパン容器に入れられる液体(例えば水と洗剤等)が、混練ブレードの動きによって飛散することを低減可能である。
【0020】
上記構成の自動製パン器において、前記洗浄動作においては、前記回転軸を所定期間回転させる回転期間と、前記回転軸を所定期間停止させる休止期間とが交互に行われることとしてもよい。休止期間を挟むことによって、ブレード部に付着した汚れをパン容器内に入れられた液体でふやかすことが可能である。このために、本構成によれば、ブレード部の汚れをきれいに落とし易い。
【0021】
上記構成の自動製パン器において、前記焼成室を開閉する蓋部と、前記蓋部の開閉状態を検知する蓋開閉検知部と、を更に備え、前記蓋開閉検知部によって前記蓋部が開いていると検知された場合には、前記制御部は、前記洗浄動作を実行させないのが好ましい。本構成によれば、ブレード部の洗浄動作(例えば回転軸の回転を伴う)によってユーザが怪我をする可能性が低減され得る。
【0022】
上記構成の自動製パン器において、前記制御部は、前記入力部からの洗浄指令を受けてから所定の待ち時間を経た後に、前記洗浄動作を実行させることとしてもよい。本構成によれば、ブレード部に付着した汚れをパン容器内に入れられた液体でふやかしてから、洗浄動作が開始されることになるので、洗浄動作による洗浄効果を発揮し易い。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、混練ブレードを含むブレード部の汚れを簡単に落とせる自動製パン器の提供が可能である。また、本発明によれば、穀物粒からパンを焼き上げられる便利な仕組みを備え、粉砕ブレード及び混練ブレードを含むブレード部の汚れを簡単に落とせる自動製パン器の提供が可能である。このため、本発明によれば、家庭でのパン製造をより身近なものとして、家庭でのパン作りが盛んになることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の自動製パン器の外観構成を示す概略斜視図
【図2】本実施形態の自動製パン器の本体内部の構成を説明するための模式図
【図3】本実施形態の自動製パン器が備える第1の動力伝達部に含まれるクラッチについて説明するための図
【図4】本実施形態の自動製パン器における、パン容器が収容された焼成室及びその周辺の構成を模式的に示す図
【図5】本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットの構成を示す概略斜視図
【図6】本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットの構成を示す概略分解斜視図
【図7】本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットの構成を示す概略側面図及び概略断面図
【図8】本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットを下から見た場合の概略平面図(ガードが取り外された場合の図)
【図9】本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットの動作を説明するための図で、パン容器を上から見た場合の図
【図10】本実施形態の自動製パン器の構成を示すブロック図
【図11】本実施形態の自動製パン器によって実行される米粒用製パンコースの流れを示す模式図
【図12】本実施形態の自動製パン器が備える洗浄キーを押した場合の自動製パン器の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の自動製パン器の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書に登場する具体的な時間や温度等はあくまでも例示であり、それらは本発明の内容を限定するものではない。
(自動製パン器の構成)
図1は、本実施形態の自動製パン器の外観構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、略直方体形状に設けられる自動製パン器1の本体10(その外殻は例えば金属や合成樹脂等によって形成される)の上面の一部には、操作部20が設けられている。この操作部20は、操作キー群と、時間、操作キー群によって設定された内容、エラー等を表示する表示部と、によって構成されている。操作キー群には、例えば、スタートキー、取り消しキー、タイマーキー、予約キー、パンの製造コース(米粒を出発原料に用いてパンを製造するコース、米粉を出発原料に用いてパンを製造するコース、小麦粉を出発原料に用いてパンを製造するコース等)を選択する選択キー等が含まれる。表示部は、例えば、液晶表示パネル等によって構成される。
【0026】
なお、本実施形態では、操作部20の操作キー群の中に洗浄キー21が含まれる。この洗浄キー21は本発明の入力部の一例である。洗浄キー21は、パン焼きが終了した後に、ユーザが後述のブレードユニット(本発明のブレード部の一例)を洗浄する洗浄指令を入力できるように設けられている。洗浄キー21を押圧した場合の自動製パン器1の動作については、後述する。
【0027】
本体10内部には、詳細は後述するパン容器80が収容される焼成室30が設けられている。この焼成室30は、例えば板金からなる底壁30a及び4つの側壁30b(後述の図4も参照)で構成されている。焼成室30は、平面形状略矩形の箱形状で、その上面は開口している。この焼成室30は、本体10上部に設けられる蓋40によって開閉可能となっている。蓋40は、図示しない蝶番軸で本体10の背面側に取り付けられており、その蝶番軸を支点として回動することで、焼成室30の開閉が可能になっている。なお、図1は、この蓋40が開かれた状態を示している。
【0028】
この蓋40には、焼成室30内を覗けるように、例えば耐熱ガラスからなる覗き窓41が設けられている。また、蓋40には、パン原料収納容器42が取り付けられている。このパン原料収納容器42は、パンの製造工程の途中で一部のパン原料を自動投入することを可能にしている。パン原料収納容器42は、平面形状略長方形の箱形状の容器本体42aと、容器本体42aに対して回動可能に設けられて、容器本体42aの開口を開閉する容器蓋42bとを備えている。また、パン原料収納容器42は、容器蓋42bを外面(下面)側から支えて容器本体42aの開口が閉じられた状態を維持可能であると共に、外部からの力によって動かされて容器蓋42bとの係合が解除される可動フック42cも備えている。
【0029】
操作部20下部側の本体10内には自動投入用ソレノイド16(後述の図10参照)が設けられており、このソレノイドが駆動すると、そのプランジャーが、蓋40に隣接する本体壁面10aに設けられる開口10bから突出するようになっている。そして、この突出したプランジャーによって可動する可動部材(図示せず)によって可動フック42cが動かされ、容器蓋42bと可動フック42cとの係合が外れて容器蓋42bが回動し、容器本体42aの開口が開かれた状態になる。なお、図1においては、容器本体42aの開口が開かれた状態が示されている。
【0030】
容器本体42a及び容器蓋42bは、容器内に収納される粉体パン原料(例えばグルテンやドライイースト等)が容器内に残留し難いように、アルミニウム等の金属で設けられるのが好ましい。そして、それらの内面は、シリコンやフッ素等のコーティング層で覆われるのが好ましく、更には凹凸がなるべく設けられず、滑らかに形成されるのが好ましい。
【0031】
また、米粒等の穀物粒を粉砕する際に発生する蒸気等が容器本体42a内に入り込むと、パン原料が容器内面に付着し易くなって好ましくない。このために、容器内に前述の蒸気等が入り込まないように、容器本体42aの開口側縁には鍔部(フランジ部)が設けられて、この鍔部と容器蓋42bとの間にはパッキン(シール部材)42dが介在するようになっている。
【0032】
図2は、本実施形態の自動製パン器の本体内部の構成を説明するための模式図である。図2は、自動製パン器1を上側から見た場合を想定しており、図の下側が自動製パン器1の正面側、図の上側が背面側である。図2に示すように、自動製パン器1には、焼成室30の右横に練り工程で用いられる低速・高トルクタイプの混練モータ50が固定配置され、焼成室30の後ろ側に主に粉砕工程で用いられる高速回転タイプの粉砕モータ60が固定配置されている。混練モータ50及び粉砕モータ60はいずれも竪軸である。
【0033】
混練モータ50の上面から突出する出力軸51には第1のプーリ52が固定される。この第1のプーリ52は、第1のベルト53によって、その径が第1のプーリ52よりも大きく形成されるとともに第1の回転軸54の上部側に固定される第2のプーリ55に連結されている。第1の回転軸54の下部側には、その回転中心が第1の回転軸54とほぼ同一となるように第2の回転軸57が設けられている(後述の図3参照)。なお、第1の回転軸54及び第2の回転軸57は、本体10内部に回転可能に支持されている。また、第1の回転軸54と第2の回転軸57との間には、動力伝達と動力遮断を行うクラッチ56が設けられている(後述の図3参照)。このクラッチ56の構成については後述する。
【0034】
第2の回転軸57の下部側には第3のプーリ58が固定されている(後述の図3参照)。第3のプーリ58は、第2のベルト59によって、焼成室30の下部側に設けられるとともに原動軸11に固定される第1の原動軸用プーリ12(第3のプーリ58とほぼ同一の径を有する)に連結されている(後述の図3参照)。混練モータ50自身が低速・高トルクタイプであり、その上、第1のプーリ52の回転が第2のプーリ55によって減速回転される(例えば1/5の速度に減速される)。このため、クラッチ56が動力伝達を行う状態で混練モータ50を駆動すると、原動軸11は低速で回転する。
【0035】
なお、第1のプーリ52、第1のベルト53、第1の回転軸54、第2のプーリ55、クラッチ56、第2の回転軸57、第3のプーリ58、第2のベルト59、及び第1の原動軸用プーリ12で構成される動力伝達部は、以下において、第1の動力伝達部と表現されることがある。
【0036】
粉砕モータ60の下面から突出する出力軸61には、第4のプーリ62が固定されている。この第4のプーリ62は、第3のベルト63によって、原動軸11に固定される第2の原動軸用プーリ13(第1の原動軸用プーリ12より下側で固定される;後述の図3参照)に連結されている。第2の原動軸用プーリ13は第4のプーリ62とほぼ同一の径を有する。粉砕モータ60には高速回転のものが選定され、第4のプーリ62の回転は第2の原動軸用プーリ13においてほぼ同一速度で維持されるために、粉砕モータ60を駆動すると、原動軸11は高速回転(例えば7000〜8000rpm)を行う。
【0037】
なお、第4のプーリ62、第3のベルト63、及び第2の原動軸用プーリ13で構成される動力伝達部は、以下において、第2の動力伝達部と表現されることがある。第2の動力伝達部は、クラッチを有さない構成であり、粉砕モータ60の出力軸61と原動軸11とを常時動力伝達可能に連結する。
【0038】
図3は、本実施形態の自動製パン器が備える第1の動力伝達部に含まれるクラッチについて説明するための図である。図3は、図2の矢印X方向に沿って見た場合を想定した図である。なお、図3(a)はクラッチ56が動力遮断を行う状態を示し、図3(b)はクラッチ56が動力伝達を行う状態を示す。
【0039】
図3に示すように、クラッチ56は、第1のクラッチ部材561と第2のクラッチ部材562とを有する。そして、第1のクラッチ部材561に設けられる爪561aと、第2のクラッチ部材562に設けられる爪562aとが噛み合う場合(図3(b)の状態)に、クラッチ56は動力伝達を行う。また、2つの爪561a、562bが噛み合わない場合(図3(a)の状態)に、クラッチ56は動力遮断を行う。すなわち、クラッチ56は噛み合いクラッチとなっている。
【0040】
なお、本実施形態では、2つのクラッチ部材561、562のそれぞれには、周方向(第1のクラッチ部材561を下から平面視した場合、或いは、第2のクラッチ部材562を上から平面視した場合を想定)にほぼ等間隔に並ぶ6つの爪561a、562aが設けられているが、この爪の数は適宜変更してもよい。また、爪561a、562aの形状は、好ましい形状を適宜選択すればよい。
【0041】
第1のクラッチ部材561は、抜け止め対策を施された上で、第1の回転軸54に、その軸方向(図3において上下方向)に摺動可能、且つ、相対回転不能に取り付けられている。第1の回転軸54の第1のクラッチ部材561の上部側には、バネ71が遊嵌されている。このバネ71は、第1の回転軸54に設けられるストッパ部54aと第1のクラッチ部材561とに挟まれるように配置されており、第1のクラッチ部材561を下側に向けて付勢している。一方、第2のクラッチ部材562は、第2の回転軸57の上端に固定されている。
【0042】
クラッチ56の切り替え(動力伝達状態と、動力遮断状態との切り替え)は、第1のクラッチ部材561を支持するアーム部72と、永久磁石73aが内蔵された自己保持型のソレノイド(クラッチ用ソレノイド)73と、を用いて行われる。ソレノイド73のプランジャー73bは、その先端部(図3においては下部側が該当)がアーム部72に設けられる取付部72aに固定された状態となっている。アーム部72(取付部72aを含む)は金属で形成されているために、永久磁石73aに吸着可能となっている。
【0043】
図3(a)の状態から、ソレノイド73に、永久磁石73aの磁界を打ち消すように電圧を印加すると、永久磁石73aのアーム部72(より正確には取付部72a)を吸着する力が低下し、バネ71の付勢力によって第1のクラッチ部材561が下側に押し下げられる。これにより、第1のクラッチ部材561の爪561aと、第2のクラッチ部材562の爪562aとの噛み合いが得られ、クラッチ56は動力伝達を行うようになる(図3(b)の状態となる)。この噛み合いが得られた状態は、バネ71の付勢力によって維持されるために、第1のクラッチ部材561を引き下げるための駆動を行った後は、ソレノイド73はオフとされる。また、この噛み合いが得られた状態では、アーム部72が引き下がるために、ソレノイド73のプランジャー73bは、ハウジング73cからの突出量(下側への突出量)が増した状態となっている。
【0044】
一方、図3(b)の状態から、ソレノイド73に、プランジャー73bを引き上げるための電圧(永久磁石73aの磁界を打ち消す際とは極性が逆となる電圧)を印加すると、バネ71の付勢力に反して、アーム部72と共に第1のクラッチ部材561が上側に引き上げられる。これにより、第1のクラッチ部材561の爪561aと、第2のクラッチ部材562の爪562aとの噛み合いが解除され、クラッチ56は動力遮断を行うようになる(図3(a)の状態となる)。この噛み合いが解除された状態においては、ソレノイド73に内蔵される永久磁石73aがアーム部72(より正確には取付部72a)を吸着する。このために、第1のクラッチ部材561を引き上げるための駆動を行った後は、ソレノイド73をオフとしても噛み合いが解除された状態を維持できるので、ソレノイド73はオフされる。
【0045】
粉砕モータ60を駆動する際に、クラッチ56が動力伝達を行う状態(図3(b)の状態)であると、原動軸11を高速回転させる回転動力が混練モータ50の出力軸51に伝達される。この場合、粉砕モータ60が例えば8000rpmで回転されるとすると、第1のプーリ52と第2のプーリ55との半径比(例えば1:5)によって、混練モータ50の出力軸51を40000rpmで回転させようとすることになる。この場合、粉砕モータ60に非常に大きな負荷が加わるために、粉砕モータ60が破損する可能性がある。このため、粉砕モータ60を駆動する際には、原動軸11を高速回転させる回転動力が混練モータ50の出力軸51に伝達されないようにする必要があり、自動製パン器1は、動力伝達と動力遮断を行うクラッチ56を第1の動力伝達部に含む構成となっている。
【0046】
なお、上述のように自動製パン器1においては、第2の動力伝達部にはクラッチが設けられない構成としているが、これは次の理由による。すなわち、混練モータ50を駆動しても原動軸11は低速回転(例えば180rpm等)されるのみであり、原動軸11を回転させる回転動力が粉砕モータ60の出力軸に伝達されても、混練モータ50に大きな負荷が加わることはない。そして、このように第2の動力伝達部にクラッチが設けられない構成を敢えて採用することで、自動製パン器の製造コストが抑制される。ただし、第2の動力伝達部にクラッチが設けられる構成を採用しても、勿論構わない。
【0047】
図4は、本実施形態の自動製パン器における、パン容器が収容された焼成室及びその周辺の構成を模式的に示す図である。図4は、自動製パン器1を正面側から見た場合の構成を想定しており、焼成室30及びパン容器80の構成は概ね断面図で示されている。なお、パン原料が投入されるとともにパン焼き型として使用されるパン容器80は、焼成室30に対して出し入れ自在となっている。
【0048】
図4に示すように、焼成室30の内部には、シーズヒータ31(加熱手段の一例)が焼成室30に収容されたパン容器80を包囲するように配置されている。このシーズヒータ31を用いることにより、パン容器80内のパン原料(この表現にはパン生地を含む場合がある)の加熱が可能になる。
【0049】
また、焼成室30の底壁30aの略中心にあたる箇所には、パン容器80を支持するパン容器支持部14(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)が固定されている。このパン容器支持部14は、焼成室30の底壁30aから窪むように形成され、その窪みの形状は上から見た場合に略円形となっている。このパン容器支持部14の中心には、上述の原動軸11が底壁30aに対して略垂直となるように支持されている。
【0050】
パン容器80は例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品(その他、板金等で構成しても構わない)であり、バケツのような形状をしており、開口部側縁に設けられる鍔部80aに手提げ用のハンドル(図示せず)が取り付けられている。パン容器80の水平断面は四隅を丸めた矩形である。また、パン容器80の底部には、詳細は後述するブレードユニット90の一部を収容する平面視略円形状の凹部81が形成されている。
【0051】
パン容器80の底部中心には、垂直方向に延びるブレード回転軸82(本発明の回転軸の一例)が、シール対策を施された状態で回転可能に支持されている。このブレード回転軸82の下端(パン容器80の底部から外部側に突き出ている)には、容器側カップリング部材82aが固定されている。また、パン容器80の底部外面側には筒状の台座83が設けられており、パン容器80は、この台座83がパン容器支持部14に受け入れられた状態で、焼成室30内に収容されるようになっている。なお、台座83は、パン容器80とは別に形成してもよいし、パン容器80と一体的に形成してもよい。
【0052】
パン容器80の台座83がパン容器支持部14に受け入れられた状態で焼成室30内に収容されると、ブレード回転軸82の下端に設けられる前述の容器側カップリング部材82aと、原動軸11の上端に固定される原動軸側カップリング部材11aとの連結(カップリング)が得られるようになる。そして、これにより、ブレード回転軸82は原動軸11から回転動力を伝えられるようになる。
【0053】
ブレード回転軸82のパン容器80内部に突出する部分には、その上からブレードユニット90(本発明のブレード部の一例)が着脱可能に取り付けられるようになっている。このブレードユニット90の構成について、図5から図9を参照しながら説明する。なお、図5は、本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットの構成を示す概略斜視図である。図6は、本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットの構成を示す概略分解斜視図である。図7は、本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットの構成を示す図で、図7(a)は概略側面図、図7(b)は図7(a)のA−A位置における断面図である。図8は、本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットを下から見た場合の概略平面図で、図8(a)は混練ブレードが折り畳み姿勢にある場合の図、図8(b)は混練ブレードが開き姿勢にある場合の図である。図8においては、後述のガードが取り外された状態を示している。図9は、本実施形態の自動製パン器が備えるブレードユニットの動作を説明するための図で、パン容器を上から見た場合の図である。図9(a)は混練ブレードが折り畳み姿勢にある場合の図、図9(b)は混練ブレードが開き姿勢にある場合の図である。
【0054】
ブレードユニット90は、大きくは、ユニット用シャフト91(本発明の取付部の一例)と、ユニット用シャフト91に相対回転不能に取り付けられる粉砕ブレード92と、ユニット用シャフト91に相対回転可能且つ粉砕ブレード92を覆うように取り付けられる平面視略円形のドーム状カバー93(本発明のカバーの一例)と、ドーム状カバー93に相対回転可能に取り付けられる混練ブレード101と、を備える構成となっている(例えば、図5〜図7参照)。ブレードユニット90がブレード回転軸82に取り付けられた状態において、粉砕ブレード92は、パン容器80の凹部81底面より少し上の箇所に位置する。また、粉砕ブレード92及びドーム状カバー93のほぼ全体は凹部81に収容される。
【0055】
ユニット用シャフト91は、例えばステンレス鋼板等の金属によって形成される略円柱状の部材であり、一方端(図6及び図7の下端)に開口が設けられ、その内部は中空となっている。すなわち、ユニット用シャフト91には、挿入孔91cが形成されている(図7(b)参照)。また、ユニット用シャフト91の側壁の下部側(開口側)には、ユニット用シャフト91の回転中心を挟んで対称配置される一対の切り欠き91aが形成されている(例えば図6参照。ただし図6では一方のみが示されている)。ユニット用シャフト91がブレード回転軸82に被せられた場合(ブレード回転軸82が挿入孔91cに挿入された場合)に、ブレード回転軸82を水平に貫くピン(図示せず)が切り欠き91aに係合し、ユニット用シャフト91はブレード回転軸82に相対回転不能に取り付けられた状態になる。
【0056】
なお、図7(b)に示すように、ブレード回転軸82(破線で示す)の上面(略円形状)の中央部に設けられる凸部82bと係合するように、ユニット用シャフト91の上部側内面の中央部には凹部91bが形成されている。これにより、ユニット用シャフト91とブレード回転軸82との中心を合わせた状態で、ブレードユニット90はブレード回転軸82に容易に取り付けることができる。このために、ブレードを回転する際における、不要なガタツキが抑制される。本実施形態では、ブレード回転軸82側に凸部82b、ユニット用シャフト91側に凹部91bを設ける構成としたが、これとは逆に、ブレード回転軸82側に凹部、ユニット用シャフト91側に凸部が設けられる構成としても構わない。
【0057】
穀物粒粉砕用の粉砕ブレード92は例えばステンレス鋼板によって形成され、その形状は例えば飛行機のプロペラのようになっている。粉砕ブレード92の中心部には、図6に示すように、平面視略矩形状の開口92aが形成されている。粉砕ブレード92は、ユニット用シャフト91の下部側から、開口92aにユニット用シャフト91が嵌め込まれるようにして取り付けられる。
【0058】
ユニット用シャフト91の下部側は、円柱の側面を削ったような形状となっており、下から見た場合に、粉砕ブレード92の開口92aとほぼ同形状(略矩形状)となっている。また、ユニット用シャフト91の下部側を下から見た場合の面積は、開口92aより、ほんの僅かだけ小さくなっている。このような形状を採用しているために、粉砕ブレード92はユニット用シャフト91に相対回転不能に取り付けられる。粉砕ブレード92の下部側には抜け止め用のストッパ部材94がユニット用シャフト91に嵌め込まれるために、粉砕ブレード92がユニット用シャフト91から脱落することはない。
【0059】
粉砕ブレード92を囲んで覆い隠すように配置されるドーム状カバー93は、例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなり、その内面側には、ベアリング95(本実施形態では転がり軸受けを使用している)を収容する凹状の収容部931(図7(b)参照)が形成されている。換言すると、この収容部931を形成するために、ドーム状カバー93は、それを外面から見た場合に、中央部に略円柱状の凸部93aが形成された構成となっている。なお、凸部93aには開口が形成されておらず、収容部931に収容されるベアリング95はその側面及び上面が収容部931の壁面に囲い込まれた状態となっている。
【0060】
ベアリング95は上下に抜け止めリング96a、96bが配置された状態で、その内輪95aがユニット用シャフト91に相対回転不能に取り付けられている(内輪95a内側の貫通孔にユニット用シャフト91が圧入されている)。また、ベアリング95は、その外輪95bの外壁が収容部931の側壁に固定されるように、収容部931に圧入されている。このベアリング95(内輪95aが外輪95bに対して相対回転する)の介在によって、ドーム状カバー93はユニット用シャフト91に相対回転可能に取り付けられている。
【0061】
また、ドーム状カバー93の収容部931には、外部からベアリング95内に異物(例えば穀物粒の粉砕時に用いられる液体や粉砕により得られたペースト状物等)が入り込まないように、例えばシリコン系或いはフッ素系の材料によって形成されるシール材97及び、このシール材97を保持する金属製のシールカバー98が、ベアリング95の下部側から圧入されている。シールカバー98は、ドーム状カバー93への固定が確実となるように、リベット99によってドーム状カバー93に固着されている。このリベット99による固定は行わなくてもよいが、確実な固定を得るために、本実施形態のように構成するのが好ましい。なお、シール材97及びシールカバー98はシール手段として機能する。
【0062】
ドーム状カバー93の外面には、凸部93aに隣接する箇所に垂直方向に延びるように配置される支軸100(図6参照)により、平面形状「く」の字形の混練ブレード101(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)が取り付けられている。混練ブレード101は、支軸100に相対回転不能に取り付けられており、ドーム状カバー93に相対回転可能に取り付けられる支軸100と動きを共にする。換言すると、混練ブレード101は、ドーム状カバー93に対して相対回転可能に取り付けられた構成となっている。
【0063】
混練ブレード101の先端(支軸100を中心として混練ブレード101を回転したときに最も大きな円を描く部分を想定)側近傍の一方面には、図5〜図9に示すように緩衝材107が取り付けられている。緩衝材107は、混練ブレード101の先端から僅かに突出するように設けられている(例えば図8(b)参照)。なお、本実施形態では3mm程度突出するように設けられている。
【0064】
緩衝材107の固定は、混練ブレード101の一方面と固定用板108とで緩衝材107を挟持した状態とし、混練ブレード101の他方面側から挿入されるリベット109のカシメで得られる構成となっている。なお、本実施形態ではリベット109の数を2つとしているが、その数が限定されないのは言うまでもない。
【0065】
この緩衝材107は、混練ブレード101が詳細は後述する開き姿勢となった場合に、パン容器80(の内壁)と直接接触しないように配置されている。混練ブレード101とパン容器80とが直接接触すると、それらの間の干渉が原因となって破損が発生する可能性があり、このような破損を防止すべく緩衝材107は設けられている。
【0066】
本実施形態の自動製パン器1においては、パン容器80及び混練ブレード101の表面にはフッ素コーティングが施されている。このため、本実施形態の緩衝材107は、このフッ素コーティングが混練ブレード101とパン容器80との接触で剥がれないように設けられたものといえる。そして、この点から、緩衝材107を構成する材料としては、フッ素コーティングを剥がさないようにコーティング材よりも柔らかい材料が好ましく、例えば、シリコーンゴムやTPE(Thermoplastic Elastomers;熱可塑性エラストマ)等が用いられる。また、緩衝材107は防音対策としても機能するが、この点は後述する。なお、以下では、この緩衝材107も混練ブレード101の一部と見なして説明が行われる場合がある。
【0067】
また、本実施形態では、ドーム状カバー93の外面に、混練ブレード101に並ぶように補完混練ブレード102(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)が固定配置されている。この補完混練ブレード102は、必ずしも設ける必要がないが、パン生地を練り上げる練り工程における混練効率を高めるために設けるのが好ましい。
【0068】
ここで、混練ブレード101の動作について説明する。混練ブレード101は、支軸100と共に支軸100の軸線周りに回転し、図5、図7、図8(a)及び図9(a)に示す折り畳み姿勢と、図8(b)及び図9(b)に示す開き姿勢との2姿勢をとる。折り畳み姿勢では、混練ブレード101の下縁から垂下した突起101a(図6参照)がドーム状カバー93の上面(外面)に設けられた第1のストッパ部93bに当接する。このために、混練ブレード101は、それ以上ドーム状カバー93に対して反時計方向(上から見た場合を想定)の回動を行うことができない。この折り畳み姿勢では、混練ブレード101の先端がドーム状カバー93から少し突き出している。
【0069】
この姿勢(図9(a)の状態)から混練ブレード101がドーム状カバー93に対して時計方向(上から見た場合を想定)に回動して図9(b)に示す開き姿勢になると、混練ブレード101の先端はドーム状カバー93から大きく突き出す。この開き姿勢における混練ブレード101の開き角度は、ドーム状カバー93の内面に設けられる第2のストッパ部93c(図8参照)によって制限される。詳細は後述する第2係合体103b(支軸100に固定される)が、ドーム状カバー93の内面に設けられる第2のストッパ部93cに当って回転できなくなった時点で、混練ブレード101は最大開き角度となる。
【0070】
なお、混練ブレード101が折り畳み姿勢となっている場合には、例えば図5や図7に示すように補完混練ブレード102は混練ブレード101に整列し、あたかも「く」の字形状の混練ブレード101のサイズが大型化したようになる。
【0071】
ところで、ユニット用シャフト91には、図6に示すように、粉砕ブレード92とシールカバー98との間にカバー用クラッチ103(本発明のクラッチの一例)を構成する第1係合体103aが取り付けられている。例えば亜鉛ダイカストからなる第1係合体103aには略矩形状の開口103aaが形成されており、この開口103aaにユニット用シャフト91の下部側の平面視略矩形状部分が嵌め込まれることにより、第1係合体103aはユニット用シャフト91に相対回転不能に取り付けられている。この第1係合体103aは粉砕ブレード92よりも先に、ユニット用シャフト91の下側から嵌め込まれ、ストッパ部材94によって、粉砕ブレード92と共にユニット用シャフト91からの脱落が防止されている。なお、本実施形態では、第1係合体103aとシールカバー98との間には、第1係合体103aの劣化防止等を考慮してワッシャ104を配置する構成としているが、このワッシャ104は必ずしも設けなくてもよい。
【0072】
また、混練ブレード101が取り付けられる支軸100の下部側には、カバー用クラッチ103を構成する第2係合体103bが取り付けられている。例えば亜鉛ダイカストからなる第2係合体103bには略矩形状の開口103baが形成されており、この開口103baに支軸100の下部側の平面視略矩形状部分が嵌め込まれることにより、第2係合体103bは支軸100に相対回転不能に取り付けられている。なお、本実施形態では、第2係合体103bの上側に、第2係合体103bの劣化防止等を考慮してワッシャ105を配置する構成としているが、このワッシャ105は必ずしも設けなくてもよい。
【0073】
第1係合体103aと第2係合体103bとで構成されるカバー用クラッチ103は、ブレード回転軸82の回転動力をドーム状カバー93に伝達するか否かを切り替えるクラッチとして機能する。カバー用クラッチ103は、混練モータ50が原動軸11を回転させるときのブレード回転軸82の回転方向(この回転方向を「正方向回転」とする。図8では反時計方向回転、図9では時計方向回転となる。本発明の「一方向」に該当する。)において、ブレード回転軸82の回転動力をドーム状カバー93に伝達する。逆に、粉砕モータ60が原動軸11を回転させるときのブレード回転軸82の回転方向(この回転方向を「逆方向回転」とする。図8では時計方向回転、図9では反時計方向回転となる。本発明の「一方向と逆方向」に該当する。)においては、カバー用クラッチ103は、ブレード回転軸82の回転動力をドーム状カバー93に伝達しない。以下、このカバー用クラッチ103の動作について更に詳細に説明する。
【0074】
混練ブレード101が折り畳み姿勢にある場合(例えば図8(a)、図9(a)の状態)、第2係合体103bの係合部103bbは第1係合体103aの係合部103ab(本実施形態では2つあるが1つでもよい)の回転軌道に干渉する角度となる(図8(a)の破線参照)。このため、ブレード回転軸82が正方向回転すると、第1係合体103aと第2係合体103bは係合し、ブレード回転軸82の回転動力がドーム状カバー93に伝達される。
【0075】
一方、混練ブレード101が開き姿勢にある場合(例えば図8(b)、図9(b)の状態)、第2係合体103bの係合部103bbは第1係合体103aの係合部103abの回転軌道から逸脱した角度となる(図8(b)の破線参照)。このために、ブレード回転軸82が回転しても、第1係合体103aと第2係合体103bは係合しない。従って、ブレード回転軸82の回転動力はドーム状カバー93に伝達されない。
【0076】
例えば図5及び図6に示すように、ドーム状カバー93には、カバー内空間とカバー外空間を連通する窓93dが形成される。窓93dは粉砕ブレード92に並ぶ高さか、それよりも上の位置に配置される。なお、本実施形態では、計4個の窓93dが90°間隔で並んでいるが、それ以外の数と配置間隔を選択することもできる。
【0077】
また、ドーム状カバー93内面には、各窓93dに対応して計4個のリブ93eが形成されている。各リブ93eはドーム状カバー93の中心近傍から外周の環状壁まで半径方向に斜めに延び、4個合わさって一種の巴形状を構成する。また、各リブ93eは、それに向かって押し寄せるパン原料に対面する側が凸となるように湾曲している。
【0078】
また、ドーム状カバー93の下面には、着脱可能なガード106が取り付けられている。このガード106は、ドーム状カバー93の下面を覆って粉砕ブレード92にユーザの指が接近するのを阻止する。ガード106は、例えば耐熱性を有するエンジニアリングプラスチックによって形成され、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の成型品とできる。なお、このガード106は設けなくても構わないが、ユーザが安心して使用できるように設けるのが好ましい。
【0079】
例えば図6に示すように、ガード106の中心には、ユニット用シャフト91に固定されるストッパ部材94を通すリング状のハブ106aがある。また、ガード106の周縁にはリング状のリム106bがある。ハブ106aとリム106bとは複数のスポーク106cで連結される。スポーク106c同士の間は、粉砕ブレード92によって粉砕される穀物粒を通す開口部106dとなる。開口部106dは、指が通り抜けられない程度の大きさとなっている。
【0080】
ガード106のスポーク106cは、ドーム状カバー93に取り付けられた時、粉砕ブレード92と近接状態となる。そして、あたかも、ガード106が回転式電気かみそりの外刃で、粉砕ブレード92が内刃のような形になる。
【0081】
リム106bの周縁には、90°間隔で計4個(この構成に限定されないのは言うまでもない)の柱106eが一体成形されている。この柱106eのガード106中心側を向いた側面には、一端が行き止まりになった水平な溝106eaが形成される。この溝106eaと、ドーム状カバー93の外周に形成される突起93f(これも45°間隔で計4個配置されている)とを係合させることによって、ガード106はドーム状カバー106に取り付けられる。なお、溝106eaと突起93fとは、バヨネット結合を構成するように設けられている。
【0082】
以上のように、本実施形態の自動製パン器1では、粉砕ブレード92及び混練ブレード101を1つのユニット(ブレードユニット90)に組み込む構成としているので、その取り扱いが便利である。ユーザは、ブレードユニット90をブレード回転軸82から簡単に引き抜くことが可能であり、製パン作業終了後にブレードの洗浄を手軽に行うことができる。また、ブレードユニット90が備える粉砕ブレード92は、ユニット用シャフト91に着脱可能に取り付けられるものであり、その量産が行いやすく、ブレード交換等のメンテナンス性にも優れる。
【0083】
また、本実施形態の自動製パン器1では、パン容器80に水等の液体が入れられるために、ベアリング95に液体が入り込まないように、ベアリング95は密閉構造とされるのが好ましい。この点、自動製パン器1では、ベアリング95がドーム状カバー93に設けられる凹状の収容部931に収容されているために、ドーム状カバー93の内面側にのみシール手段(シール材97及びシールカバー98)を設ければ、ベアリング95を密閉する構造が得られる。このため、ベアリング95の上下にシール手段を設ける必要がなく、ベアリング95のシール構造の小型化が図れる。このため、自動製パン器1では、焼き上がったパンの形状に対する悪影響(例えば、パンの底面が大きく凹む等)を抑制することが可能になる。
【0084】
ところで、本実施形態のブレードユニット90においては、例えばドーム状カバー93の内部(粉砕ブレード92とカバー93との間等)、ユニット用シャフト91の切り欠き91a、ガード106のスポーク106c同士の間等に、パン原料(この中には、パン生地が含まれる)が挟まって残留することがある。この結果、パンが焼き上がった後に、これらの残留物が焼き付いて汚れとなる場合がある。本実施形態の自動製パン器1では、このようなブレードユニット90の汚れをパンの製造後に容易に洗浄できるように、洗浄キー21(図1参照)を押圧することで、ブレードユニット90を洗浄する洗浄動作が開始されるようになっている。この洗浄動作の詳細は後述する。
【0085】
図10は、本実施形態の自動製パン器の構成を示すブロック図である。図10に示すように、自動製パン器1における制御動作は制御装置120によって行われる。制御装置120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(input/output)回路部等からなるマイクロコンピュータ(マイコン)によって構成される。この制御装置120は、焼成室30の熱の影響を受け難い位置に配置するのが好ましい。また、制御装置120には、時間計測機能が備えられており、パンの製造工程における時間的な制御が可能となっている。
【0086】
制御装置120には、上述の操作部20(洗浄キー21含む)と、焼成室30の温度を検知する温度センサ15と、蓋40(図1参照)の開閉状態を検知する蓋開閉検知センサ17と、混練モータ駆動回路121と、粉砕モータ駆動回路122と、ヒータ駆動回路123と、第1のソレノイド駆動回路124と、第2のソレノイド駆動回路125と、が電気的に接続されている。
【0087】
なお、蓋開閉検知センサ17は、例えば、磁石と対になって用いられる磁気センサ、発光部と受光部とを備えるフォトインタラプタ(いわゆる透過型でも反射型でもよい)のような光センサ、金属センサ(蓋40が金属で構成されている場合には金属センサで蓋の開閉検知可能)、マイクロスイッチ等の機械式センサ等で構成できる。
【0088】
混練モータ駆動回路121は、制御装置120からの指令の下で混練モータ50の駆動を制御するための回路である。また、粉砕モータ駆動回路122は、制御装置120からの指令の下で粉砕モータ60の駆動を制御するための回路である。ヒータ駆動回路123は、制御装置120からの指令の下でシーズヒータ31の動作を制御するための回路である。第1のソレノイド駆動回路124は、制御装置120からの指令の下で、パンの製造工程の途中で一部のパン原料を自動投入する際に駆動する自動投入用ソレノイド16の駆動を制御するための回路である。第2のソレノイド駆動回路125は、制御装置120からの指令の下でクラッチ56(図3参照)の状態を切り替えるクラッチ用ソレノイド73(図3参照)の駆動を制御するための回路である。
【0089】
制御装置120は、操作部20からの入力信号に基づいてROM等に格納されたパンの製造コース(製パンコース)に係るプログラムを読み出し、混練モータ駆動回路121を介して混練モータ50による混練ブレード101及び補完混練ブレード102の回転の制御、粉砕モータ駆動回路122を介して粉砕モータ60による粉砕ブレード92の回転の制御、ヒータ駆動回路123を介してシーズヒータ31による加熱動作の制御、第1のソレノイド駆動回路124を介して自動投入用ソレノイド16による可動フック42cの動作制御、第2のソレノイド駆動回路125を介してクラッチ用ソレノイド73によるクラッチ56の切替制御を行いながら、自動製パン器1にパンの製造工程を実行させる。
【0090】
また、自動製パン器1は、操作部20の洗浄キー21からの入力信号によって、ブレードユニット90を洗浄するための洗浄動作(詳細は後述する)を実行させるようになっている。すなわち、この制御装置120は、本発明の制御部の一例である。
(自動製パン器の動作)
まず、以上のように構成される自動製パン器1でパンを製造する場合の動作について説明する。ここでは、自動製パン器1によって米粒を出発原料に用いてパンを製造する場合を例に、自動製パン器1の動作を説明する。
【0091】
米粒が出発原料に用いられる場合には、米粒用製パンコースが実行される。図11は自動製パン器によって実行される米粒用製パンコースの流れを示す模式図である。図11に示すように、米粒用製パンコースにおいては、浸漬工程と、粉砕工程と、休止工程と、練り(捏ね)工程と、発酵工程と、焼成工程と、がこの順番で順次に実行される。
【0092】
米粒用製パンコースを開始するにあたって、ユーザは、パン容器80のブレード回転軸82にユニット用シャフト91を被せることによって、ブレードユニット90をブレード回転軸82に取り付ける。そして、ユーザは、米粒、水、調味料(例えば食塩、砂糖、ショートニング等)をそれぞれ所定量ずつ計量してパン容器80に入れる。
【0093】
また、ユーザは、パンの製造工程の途中で自動投入されるパン原料を計量してパン原料収納容器42の容器本体42aに入れる。そして、収納すべきパン原料を容器本体42aに収納したら、可動フック42cによって容器蓋42bを支え、容器本体42aの開口が容器蓋42bによって閉じられた状態とする。
【0094】
なお、パン原料収納容器42に収納されるパン原料としては、例えば、グルテン、ドライイースト等が挙げられる。グルテンの代わりに、例えば小麦粉、増粘剤(グアガム等)及び上新粉のうちの少なくとも1つをパン原料収納容器42に収納するようにしてもよい。また、グルテン、小麦粉、増粘剤、上新粉等は用いずに、例えばドライイーストのみがパン原料収納容器42に収納されるようにしてもよい。更に、場合によっては、例えば食塩、砂糖、ショートニングといった調味料についてもパンの製造工程の途中で自動投入すべく、例えばグルテン、ドライイーストと共に、これらの原料をパン原料収納容器42に収納するようにしてもよい。この場合には、パン容器80に予め投入しておくパン原料は米粒及び水(単なる水の代わりに、例えばだし汁のような味成分を有する液体、果汁やアルコールを含有する液体等でもよい)となる。
【0095】
この後、ユーザは、パン容器80を焼成室30に入れ、更に、パン原料収納容器42を蓋40の所定位置に取り付ける。そして、ユーザは蓋40を閉じ、操作部20によって米粒用製パンコースを選択し、スタートキーを押す。これにより、制御装置120は、米粒を出発原料に用いてパンを製造する米粒用製パンコースの制御動作を開始する。
【0096】
米粒用製パンコースがスタートされると、制御装置120の指令によって浸漬工程が開始される。浸漬工程では、パン容器80に予め投入されたパン原料が静置状態とされ、この静置状態が予め定められた所定時間(本実施形態では30分)維持される。この浸漬工程は、米粒に水を含ませることによって、その後に行われる粉砕工程において、米粒を芯まで粉砕しやすくすることを狙う工程である。
【0097】
なお、米粒の吸水速度は水の温度によって変動し、水温が高いと吸水速度が高まり、水温が低いと吸水速度が低下する。このために、浸漬工程の時間は、例えば自動製パン器1が使用される環境温度等によって変動させるようにしてもよい。これにより、米粒の吸水度合いのばらつきを抑制することが可能になる。また、浸漬時間を短時間とするために、シーズヒータ31に通電して、焼成室30の温度が高められるようにしてもよい。
【0098】
また、浸漬工程の初期段階で粉砕ブレード92が回転されるようにしてもよく、更に、その後も、断続的に粉砕ブレード92が回転されるようにしてもよい。このようにすると、米粒の表面に傷をつけることができ、米粒の吸液効率が高められる。
【0099】
上記所定時間が経過すると、制御装置120の指令によって、浸漬工程が終了され、米粒を粉砕する粉砕工程が開始される。この粉砕工程では、米粒と水とが含まれる混合物の中で粉砕ブレード92が高速回転(例えば7000〜8000rpm)される。この粉砕工程では、制御装置120は、粉砕モータ60を制御してブレード回転軸82を逆方向回転(図8では時計方向回転、図9では反時計方向回転)させる。
【0100】
なお、粉砕モータ60を用いて粉砕ブレード92を回転させる場合、制御装置120は、クラッチ用ソレノイド73を駆動させて、クラッチ56が動力遮断を行うようにする(図3(a)の状態とする)。上述したように、このように制御しないとモータ破損の可能性があるからである。
【0101】
粉砕ブレード92を回転させるために、ブレード回転軸82が逆方向回転された場合、ドーム状カバー93もブレード回転軸82の回転に追随して回転を開始するが、次のような動作によってドーム状カバー93の回転はすぐに阻止(停止)される。なお、粉砕ブレード92は、粉砕工程の初期段階では低速で回転され、その後、高速回転されるようにするのが好ましい。
【0102】
粉砕ブレード92を回転させるためのブレード回転軸82の回転に伴うドーム状カバー93の回転方向は、図9において反時計方向であり、混練ブレード101は、それまで折り畳み姿勢(図9(a)に示す姿勢)であった場合には、米粒と水が含まれる混合物から受ける抵抗で開き姿勢(図9(b)に示す姿勢)に転じていく。
【0103】
混練ブレード101が開き姿勢になると、第2係合体103bの係合部103bbが第1係合体103aの係合部103abの回転軌道(図8の破線参照)から逸脱する。このために、カバー用クラッチ103は、ブレード回転軸82とドーム状カバー93との連結を切り離す。また、開き姿勢になった混練ブレード101は、図9(b)に示すように、その一部(正確には、先端側に設けられる緩衝材107)がパン容器80の内側壁(詳細には粉砕効率を向上するためにパン容器80の内壁に設けられた畝状の凸部80b)に当接するために、ドーム状カバー93の回転は阻止(停止)される。
【0104】
なお、粉砕工程においては、粉砕ブレード92の回転中に振動が発生するが、緩衝材107がパン容器80と接触する構成を採用しているために、この振動によって生じる衝突音が緩和されるようになっている。
【0105】
粉砕工程における米粒の粉砕は、先に行われた浸漬工程によって米粒に水が浸み込んだ状態で実行されるために、米粒を芯まで容易に粉砕することができる。粉砕工程における粉砕ブレード92の回転は本実施形態では間欠回転とされる。この間欠回転は、例えば30秒回転して5分間停止するというサイクルで行われ、このサイクルが10回繰り返される。なお、最後のサイクルでは、5分間の停止は行わない。粉砕ブレード92の回転は連続回転としてもよいが、例えばパン容器80内の原料温度が高くなり過ぎることを防止する等の目的のために、間欠回転とするのが好ましい。
【0106】
粉砕工程においては、米粒の粉砕が回転停止したドーム状カバー93内で行われるから、米粒がパン容器80の外に飛び散る可能性が低い。また、回転停止状態にあるガード106の開口部106dからドーム状カバー93内に入る米粒は、静止したスポーク106cと回転する粉砕ブレード92との間でせん断されるので、効率良く粉砕が行える。また、ドーム状カバー93に設けられるリブ93eによって、米粒と水とが含まれる混合物の流動(粉砕ブレード92の回転と同方向の流動である)が抑制されるので、効率良く粉砕が行える。
【0107】
また、粉砕された米粒と水とを含む混合物は、リブ93eによって窓93dの方向に誘導されて、窓93dからドーム状カバー93の外に排出される。リブ93eは、それに向かって押し寄せる混合物に対向する側が凸となるように湾曲しているので、混合物はリブ93eの表面に滞留しにくく、スムーズに窓93dの方へ流れていく。更に、ドーム状カバー93内部から混合物が排出されるのと入れ替わりに、凹部81の上の空間に存在していた混合物が凹部81に入り、凹部81からガード106の開口部106dを通ってドーム状カバー93内に入いる。このような循環をさせつつ粉砕ブレード92による粉砕を行うので、効率良く粉砕できる。
【0108】
なお、自動製パン器1においては所定の時間(本実施形態では50分)で粉砕工程が終了するようにしている。しかしながら、米粒の硬さのばらつきや環境条件によって粉砕粉の粒度にばらつきが生じることがある。このため、粉砕工程の終了が、粉砕モータ60の負荷の大きさ(例えば、モータの制御電流等で判断できる)を指標に判断される構成等としても構わない。
【0109】
粉砕工程が終了すると、制御装置120の指令によって休止工程が実行される。この休止工程は、粉砕工程によって上昇したパン容器80内の内容物の温度を下げる冷却期間として設けられている。温度を下げるのは、次に行われる練り工程が、イーストが活発に働く温度(例えば30℃前後)で実行されるようにするためである。本実施形態では、休止工程は所定時間(30分)とされているが、場合によっては、パン容器80の温度等が所定の温度となるまで、休止工程が行なわれる構成等としても構わない。
【0110】
休止工程が終了すると、制御装置120の指令によって練り工程が開始される。練り工程の開始にあたって、制御装置120はクラッチ用ソレノイド73を駆動して、クラッチ56が動力伝達を行うようにする(図3(b)の状態)。そして、制御装置120は混練モータ50を制御してブレード回転軸82を正方向回転(図8では反時計方向回転、図9では時計方向回転)させる。
【0111】
ブレード回転軸82を正方向回転させると、粉砕ブレード92も正方向に回転し、粉砕ブレード92の周囲のパン原料が正方向に流動する。それにつられてドーム状カバー93が正方向(図9では時計方向)に動くと、混練ブレード101は流動していないパン原料から抵抗を受けて、開き姿勢(図9(b)参照)から折り畳み姿勢(図9(a)参照)へと角度を変えて行く。これにより、第2係合体103bの係合部103bbが第1係合体103aの係合部103abの回転軌道(図8の破線参照)に干渉する角度となる。そして、カバー用クラッチ103がブレード回転軸82とドーム状カバー93とを連結し、ドーム状カバー93はブレード回転軸82によって本格的に駆動される態勢に入る。ドーム状カバー93と折り畳み姿勢になった混練ブレード101とは、ブレード回転軸82とともに正方向回転する。
【0112】
なお、以上に説明したカバー用クラッチ103の連結を確実に行うために、練り工程初期におけるブレード回転軸82の回転は、間欠回転或いは低速回転とするのが好ましい。また、上述のように、混練ブレード101が折り畳み姿勢になると、混練ブレード101の延長上に補完混練ブレード102が並ぶために、混練ブレード101があたかも大型化したかのようになって、パン原料は力強く押される。このため、生地の練り上げをしっかり行える。
【0113】
混練ブレード101(この用語は、折り畳み姿勢においては、補完混練ブレード102を含む表現として用いる。以下同様。)の回転は、練り工程の初期においては非常にゆっくりとされ、段階的に速度が速められるように制御装置120によって制御される。混練ブレード101の回転が非常にゆっくりである練り工程の初期段階において、制御装置120は自動投入用ソレノイド16を駆動させて、パン原料収納容器42の可動フック42cが容器蓋42bを支えた状態を解消させる。これにより、容器本体42aの開口が開かれて、例えば、グルテン、ドライイースといったパン原料がパン容器80内に自動投入される。
【0114】
上述のように、パン原料収納容器42は、容器本体42a及び容器蓋42bの内部にコーティング層が設けられて滑りがよくなっており、また、内部に凹凸部が設けられないように工夫されている。更に、パッキン42dの配置方法の工夫により、パン原料がパッキン42dに引っ掛かるという事態も抑制されている。このために、パン原料収納容器42にはパン原料がほとんど残ることなく、自動投入が完了する。
【0115】
なお、本実施形態では、パン原料収納容器42に収納されるパン原料を、混練ブレード101が回転している状態で投入することにしているが、これに限定されず、混練ブレード101が停止している状態で投入してもよい。ただし、本実施形態のように、混練ブレード101が回転した状態でパン原料を投入するようにした方が、パン原料を均一に分散することができるので好ましい。
【0116】
パン原料収納容器42に収納されたパン原料がパン容器80に投入された後は、混練ブレード101の回転によって、パン原料は所定の弾力を有する一つにつながった生地(dough)に練り上げられていく。混練ブレード101が生地を振り回してパン容器80の内壁にたたきつけることにより、混練に「捏ね」の要素が加わることになる。混練ブレード101の回転によりドーム状カバー93も回転する。ドーム状カバー93が回転すると、ドーム状カバー93に形成されるリブ93eも回転するために、ドーム状カバー93内のパン原料は速やかに窓93dから排出され、混練ブレード101が混練しているパン原料の塊(生地)に同化する。
【0117】
なお、練り工程においては、ドーム状カバー93と共にガード106も正方向に回転する。ガード106のスポーク106cは、正方向回転時、ガード106の中心側が先行しガード106の外周側が後続する形状とされている。このために、ガード106は、正方向に回転することにより、ドーム状カバー93内外のパン原料をスポーク106cで外側に押しやる。これにより、パンを焼き上げた後に廃棄分となる原料の割合を減らすことができる。
【0118】
また、ガード106の柱106eは、ガード106が正方向に回転するときに回転方向前面となる側面106eb(図6参照)が上向きに傾斜しているから、混練時、ドーム状カバー93の周囲のパン原料が柱106eの前面で上方に跳ね上げられる。このために、パンを焼き上げた後に廃棄分となる原料の割合を減らすことができる。
【0119】
自動製パン器1においては、練り工程の時間は、所望の弾力を有するパン生地が得られる時間として実験的に求められた所定の時間(本実施形態では10分)を採用する構成としている。ただし、練り工程の時間を一定とすると、環境温度等によってパン生地の出来上がり具合が変動する場合がある。このため、例えば、混練モータ50の負荷の大きさ(例えば、モータの制御電流等で判断できる)を指標に、練り工程の終了時点が判断される構成等としても構わない。
【0120】
なお、具材(例えばレーズン、ナッツ、チーズ等)入りのパンを焼く場合には、この練り工程の途中で投入するようにすればよい。
【0121】
練り工程が終了すると、制御装置120の指令によって発酵工程が開始される。この発酵工程では、制御装置120はシーズヒータ31を制御して、焼成室30の温度を、発酵が進む温度(例えば38℃)に維持する。そして、発酵が進む環境下で所定の時間(本実施形態では60分)放置される。
【0122】
なお、場合によっては、この発酵工程の途中で、混練ブレード101を回転してガス抜きや生地を丸める処理を行うようにしても構わない。
【0123】
発酵工程が終了すると、制御装置120の指令によって焼成工程が開始される。制御装置120はシーズヒータ31を制御して、焼成室30の温度を、パン焼きを行うのに適した温度(例えば125℃)まで上昇させる。そして、制御装置120は、焼成環境下で所定の時間(本実施形態では50分)パンを焼くように制御する。焼成工程の終了については、例えば操作部20の液晶表示パネルにおける表示や報知音等によってユーザに知らされる。ユーザは、製パン完了を検知すると、蓋40を開けてパン容器80を取り出して、パンの製造を完了させる。
【0124】
なお、パン容器80内のパンは、例えば、パン容器80の開口を斜め下に向けることで取り出すことができる。そして、このパンの取り出しと同時に、ブレード回転軸82に取り付けられたブレードユニット90もパン容器80から取り出される。パンの底には、ブレードユニット90の混練ブレード101及び補完混練ブレード102(パン容器80の凹部81から上側に突き出ている)の焼き跡が残る。しかし、ドーム状カバー93とガード106が凹部81の中に収容される構成であるために、それらがパンの底に大きな焼き跡を残すようなことは抑制される。
【0125】
続いて、ブレードユニット90を洗浄する場合(洗浄キー21を押した場合)の自動製パン器1の動作例について、図12を参照しながら説明する。なお、図12は、本実施形態の自動製パン器が備える洗浄キーを押した場合の自動製パン器の動作を示すフローチャートである。
【0126】
ユーザは、洗浄キー21(図1)を押圧する前に、パンと共にパン容器80から取り出したブレードユニット90(図4参照)をブレード回転軸82に取り付ける。具体的には、ユーザはユニット用シャフト91(図6参照)をブレード回転軸82に被せる。また、ブレードユニット90を取り付ける動作に前後して、ユーザはパン容器80に水と洗剤(例えば市販の食器用洗剤等)を入れる。なお、洗剤は必ず必要なものではないが、水と共に入れるのが好ましい。また、水の投入量は適宜変更して構わないが、例えば、ブレードユニット90のドーム状カバー93が水に浸る程度とすればよい。
【0127】
その後、ユーザがパン容器80を自動製パン器1の焼成室30に入れて蓋40(図1参照)を閉め、洗浄キー21を押圧すると、制御装置120は、後述のように、所定の確認動作を行った後に、ブレードユニット90の洗浄を行う洗浄動作を開始させる。なお、パン容器80が焼成室30に入れられた状態で、ブレードユニット90の取り付けや水等のパン容器80への投入がなされるようにしても勿論構わない。
【0128】
制御装置120は、洗浄キー21が押圧されると、ブレードユニット90の洗浄を行う洗浄動作を開始して良いか否かの確認を行う(ステップS1)。具体的には、制御装置120は、蓋開閉検知センサ17からの情報に基づいて、自動製パン器1の蓋40が閉じた状態であるか否かの確認を行う。後述のように、洗浄動作では、ブレード回転軸82が高速回転される。蓋40が開いた状態でブレード回転軸82の高速回転が行われると、ユーザが危険に晒される可能性がある。蓋40の開閉確認は、このような危険を回避することを狙って行われる。
【0129】
制御装置120は、蓋40が開いていると判断した場合(ステップS1でNo)には、例えば、表示部(操作部20に備えられる)にエラーを表示して、洗浄動作を開始することなく、洗浄に関する動作を終了させる。なお、蓋40が開いていると判断された場合には、蓋40を閉めることを伝えるメッセージが表示部に表示されるようにしてもよい。
【0130】
また、制御装置120は、自動製パン器1がパンを製造する製パン動作を実行中であるか否かについても確認を行う。これは、製パン動作中に洗浄動作が開始される事態を避けるためである。制御装置120は、製パン動作中であると判断した場合(ステップS1でNo)には、例えば表示部にエラーを表示して、洗浄動作を開始することなく、洗浄に関する動作を終了させる。蓋40が閉じられており、製パン動作が実行されていないと判断された場合(ステップS1でYes)には、制御装置120は洗浄動作を開始してもよいと判断する。
【0131】
制御装置120は、洗浄動作を開始してもよいと判断すると、時間計測を開始する。そして、制御装置120は所定期間が経過したか否かを確認する(ステップS2)。制御装置120は、所定期間が経過するまで、この確認動作を行う。すなわち、本実施形態においては、制御装置120は、洗浄動作を開始してもよいと判断してから、すぐに洗浄動作を開始させず、所定の待ち時間が経過してから洗浄動作を開始させるようになっている。この待ち時間は、ブレードユニット90に付着した汚れ(パン生地の焼き付き等)を液体に浸してふやかす効果を狙って設けられている。所定期間が経過すると、制御装置120は、洗浄動作を開始させる。
【0132】
具体的には、制御装置120は、ブレード回転軸82を、所定期間(例えば5秒程度)、低速で回転させる(ステップS3)。この際のブレード回転軸82の回転は、粉砕モータ60の駆動によって得られ、パン容器80を上から見た場合に反時計方向回転(逆方向回転)とされる(図9参照)。すなわち、ブレード回転軸82は、粉砕工程の場合と同一方向に回転される。そして、この低速回転が行われている期間に、粉砕工程の際に説明したのと同様に、ブレードユニット90の混練ブレード101は、開き姿勢になってパン容器80の内側壁に当接する。これにより、ドーム状カバー93及び混練ブレード101の回転が停止された状態になる。
【0133】
なお、制御装置120は、クラッチ用ソレノイド73(図3参照)を駆動させて、クラッチ56が動力遮断を行うようにした上で、上述のブレード回転軸82の回転を開始させる。
【0134】
低速回転を行う所定期間が経過すると、制御装置120は、粉砕モータ60を利用して、ブレード回転軸82を、所定期間(例えば25秒程度)、高速で回転させる(ステップS4)。この際のブレード回転軸82の回転方向は先の低速回転と同方向であり、この際の回転速度は例えば7000〜8000rpmとされる。ブレード回転軸82の高速回転に伴って粉砕ブレード92が高速回転されるために、パン容器80内に高速の水流が発生し、ブレードユニット90に付着した汚れを効果的に落とすことができる。
【0135】
なお、本実施形態では、ブレード回転軸82を低速回転させてドーム状カバー93及び混練ブレード101の回転が確実に停止されてから、ブレード回転軸82が高速回転されるようになっている。このために、いきなりブレード回転軸82を高速回転させる場合に比べて、パン容器80内の液体の飛散が少なくて済む。
【0136】
高速回転を行う所定期間が経過すると、制御装置120は、ブレード回転軸82の回転を停止させる(ステップS5)。この後、制御装置120は、ステップS3〜S5の一連の動作が行われた回数が所定の回数に到達したか否かを確認する(ステップS6)。前述の一連の動作が所定の回数に到達した場合(ステップS6でYes)は、制御装置120は洗浄動作を終了させる。
【0137】
一方、前述の一連の動作が所定の回数に到達していない場合(ステップS6でNo)には、制御装置120は、ブレード回転軸82の回転を停止させる休止期間を所定期間(例えば4分)行わせる(ステップS7)。その後、ステップS3〜S5が再度行われ、ステップS3〜S5の一連の動作が行われた回数が所定の回数に到達した時点で、この繰り返しが終了される。本実施形態では、高速の水流を用いた洗浄動作が繰り返し行われるため、また、ブレード回転軸82を回転させる回転期間の間に、ブレードユニット90に付着した汚れを液体でふやかす休止期間が設けられるために、洗浄効果が高められる。
【0138】
洗浄動作が終了すると、ユーザは、パン容器80を焼成室30から取り出し、ブレードユニット90をパン容器80から取り外す。高速回転を用いた洗浄動作によって、例えばドーム状カバー90の内部やガード106(図6参照)のスポーク106c間等に付着した汚れがきれいに洗い落とされる。すなわち、ユーザは、ブレードユニット90の手洗いを簡単に済ますことができる(例えば、自動製パン器1による上記洗浄後、水を流すだけで済ますことができる)。
(その他)
以上に示した自動製パン器の実施形態は本発明の一例であり、本発明が適用される自動製パン器の構成は、以上に示した実施形態に限定されるものではない。
【0139】
例えば、以上に示した実施形態では、ブレードユニット90の洗浄を行う洗浄動作が開始される前に、所定の待ち時間を設ける構成とした。しかし、この待ち時間は、必須のものではなく、図12において、ステップS2の動作は省略しても構わない。
【0140】
また、以上に示した実施形態では、洗浄動作においてブレード回転軸82が回転される場合に、ブレード回転軸82は、初期段階では低速回転とされ、その後、高速回転とされた。しかし、場合によって、ブレード回転軸82がいきなり高速回転される構成としても構わない。例えば、混練ブレード101が開き姿勢となってパン容器80の内側壁に当接するようにブレードユニット90がパン容器80に取り付けられていれば、いきなりブレード回転軸82が高速回転しても、パン容器80内の水が飛散する等の事態は抑制できる。
【0141】
また、以上に示した実施形態では、ブレード部の洗浄動作において、回転期間が実行される回数が所定の回数に到達するまでは、回転期間と休止期間とが交互に繰り返される構成となっている。しかし、本発明は、この構成に限定される趣旨ではない。すなわち、例えば回転期間が1回のみ行われる構成が採用されるようにしてもよい。
【0142】
また、以上に示した実施形態では、洗浄キー21によってブレードユニット90を洗浄する洗浄指令が入力される構成とした。しかし、この洗浄指令の入力は、実施形態の構成に限られず、例えば、タッチパネルによる入力、リモコンによる入力等、他の入力形態でも勿論構わない。
【0143】
また、以上に示した実施形態においては、米粒が出発原料として用いられる場合を例に、自動製パン器の構成及び動作が説明された。しかし、本発明は、例えば小麦、大麦、粟、稗、蕎麦、とうもろこし、大豆等の米粒以外の穀物粒が出発原料として用いられる場合にも、適用可能である。
【0144】
また、以上においては、米粒(穀物粒)が出発原料として用いられる場合を示したが、本実施形態の自動製パン器1は、例えば小麦粉や米粉等の穀物粉を出発原料に用いてパンを製造することもできる。小麦粉や米粉が出発原料として用いられる場合には、粉砕ブレード92は不要である。このため、この場合には、以上に示したのとは異なるパン容器やブレード部が使用されるようにしてもよい。そして、このように異なるブレード部が使用される場合でも、洗浄動作が可能であるようにしてもよい。この場合のブレード部の構成として、例えば、本実施形態のブレードユニット90の粉砕ブレード92が抹消された構成のもの(この場合、ドーム状カバー93を単なる円板等としても構わない)であってもよい。なお、前述の内容からわかるように、本発明は、粉砕ブレードを有しない構成の自動製パン器にも適用できる。
【0145】
また、以上に示した実施形態では、粉砕ブレード92によって穀物粒が粉砕される場合と、混練ブレード101によってパン生地が練り上げられる場合とで、別々のモータが使用される構成とした。しかし、本発明は、この構成に限定される趣旨ではない。すなわち、例えば1つのモータのみが備えられる構成とし、粉砕ブレード92によって穀物粒が粉砕される場合と、混練ブレード101によってパン生地が練り上げられる場合とで、同一のモータを使用する構成としても構わない。この場合には、上述の洗浄動作も、この1つのモータを用いて行われることになる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明は、家庭用の自動製パン器に好適である。
【符号の説明】
【0147】
1 自動製パン器
10 本体
17 蓋開閉検知センサ(蓋開閉検知部)
21 洗浄キー(入力部)
30 焼成室
40 蓋
80 パン容器
82 ブレード回転軸
90 ブレードユニット(ブレード部)
91 ユニット用シャフト(取付部)
91c 挿入孔
92 粉砕ブレード
93 ドーム状カバー
101 混練ブレード
103 カバー用クラッチ
106 ガード
120 制御装置(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パン原料が投入されるとともに、本体内に設けられる焼成室に収容されるパン容器と、
前記パン容器内でパン生地を練り上げるために使用される混練ブレードを含むブレード部と、
前記ブレード部を洗浄する洗浄指令を入力するための入力部と、
前記入力部からの洗浄指令に基づいて前記ブレード部の洗浄を行う洗浄動作を実行させる制御部と、
を備える、自動製パン器。
【請求項2】
前記パン容器の底部には回転軸が設けられ、
前記ブレード部は前記回転軸に着脱可能に取り付けられ、
前記洗浄動作には、前記回転軸を回転させる動作が含まれる、請求項1に記載の自動製パン器。
【請求項3】
前記ブレード部には、前記パン容器内で穀物粒を粉砕するために使用される粉砕ブレードと、前記粉砕ブレードを覆うとともに前記混練ブレードを外面に有するカバーと、が更に含まれ、
前記洗浄動作には、前記混練ブレード及び前記カバーの回転を停止させつつ、前記回転軸とともに前記粉砕ブレードを回転させる動作が含まれる、請求項2に記載の自動製パン器。
【請求項4】
前記ブレード部には、前記回転軸が挿入される挿入孔が設けられて前記回転軸に回転不能に取り付けられる取付部と、前記回転軸と前記カバーとの連結状態を切り替えるクラッチと、が更に含まれ、
前記粉砕ブレードは、前記取付部に回転不能に取り付けられ、
前記カバーは、前記取付部に回転可能に取り付けられ、
前記混練ブレードは、前記カバーに回転可能に取り付けられて、パン生地を練り上げる際の姿勢である折り畳み姿勢と、前記パン容器の内壁に当接する姿勢である開き姿勢との2姿勢をとり得るようになっており、
前記回転軸が一方向に回転する場合に、前記混練ブレードが前記折り畳み姿勢となって前記クラッチが前記回転軸と前記カバーとを連結し、前記カバー及び前記混練ブレードは前記回転軸とともに回転し、
前記回転軸が前記一方向と逆方向に回転する場合に、前記混練ブレードが前記開き姿勢に転じて前記クラッチが前記回転軸と前記カバーとの連結を切り離し、前記カバー及び前記混練ブレードは回転停止状態となり、
前記洗浄動作を行う場合の前記回転軸の回転方向は前記逆方向である、請求項3に記載の自動製パン器。
【請求項5】
前記ブレード部には、前記カバーの下面を覆って前記粉砕ブレードへの指の接近を阻止するガードが更に含まれる、請求項4に記載の自動製パン器。
【請求項6】
前記洗浄動作において前記回転軸を回転させる場合には、前記回転軸の回転速度は、初期段階では低速とされ、その後、高速とされる、請求項3から5のいずれかに記載の自動製パン器。
【請求項7】
前記洗浄動作においては、前記回転軸を所定期間回転させる回転期間と、前記回転軸を所定期間停止させる休止期間とが交互に行われる、請求項2から6のいずれかに記載の自動製パン器。
【請求項8】
前記焼成室を開閉する蓋部と、
前記蓋部の開閉状態を検知する蓋開閉検知部と、
を更に備え、
前記蓋開閉検知部によって前記蓋部が開いていると検知された場合には、前記制御部は、前記洗浄動作を実行させない、請求項1から7のいずれかに記載の自動製パン器。
【請求項9】
前記制御部は、前記入力部からの洗浄指令を受けてから所定の待ち時間を経た後に、前記洗浄動作を実行させる、請求項1から8のいずれかに記載の自動製パン器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−65969(P2012−65969A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215075(P2010−215075)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】