説明

自動車のシャーシに電池を取り付けるためのデバイス

本発明は、自動車(100)のシャーシ(2)に電池(6)を取り付けるためのデバイスに関し、この装置は、自動車のシャーシにしっかりと接続された第1の直角掛け取付け手段(4)と、電池(6)にしっかりと固定された第2の直角掛け取付け手段(8、9)とを含むことを特徴とする。第1の直角掛け取付け手段と第2の直角掛け取付け手段とは、自動車のシャーシに電池を取り付けるために係合するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車にバッテリーを取り付けるための方法、および自動車からバッテリーを取り外すための方法に関する。本発明は、この方法に適用することが可能な手段を有する自動車のシャーシにも関する。本発明は、この方法の適用に好適な手段を有する電池にも関する。本発明は、同様に、この方法を適用するのに好適な手段を有するデバイスに関する。本発明は、最終的には、そのようなシャーシおよび/またはそのような電池を備えた、自動車のようなアセンブリに関する。本発明は、シャーシに電池を装着するためのツール、およびシャーシから電池を取り外すためのツールにも関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車およびハイブリッド自動車のような特定の自動車は、電気駆動モータに電力供給するためのバッテリーを備える。これらの自動車の範囲により、このバッテリーのエネルギーレベルが低いとき、このバッテリーを完全にエネルギーが満たされている新しいバッテリーと交換することが有利でありうる。これは、自動車のガソリンタンクを満たすことが可能なサービスステーションと同様のステーションで行うことができる。
【0003】
日本特許出願公開第2000−85375号には、電気自動車を駆動させるモータに電力供給するための電池を、この電気自動車のシャーシに取り付けるためのデバイスが既知である。
【0004】
米国特許第5612606号には、電気自動車を駆動するためのモータに電力供給する電池を交換するためのステーションと、そのような交換を実行するための方法が既知である。
【0005】
国際公開公報第2008/128991号には、自動車のバッテリーを取り付けるためのシステムであって、バッテリー上に、この自動車の孔に配置された後で自動車にバッテリーを取り付けるために90度回転される直角掛け取付け手段を備えるシステムが既知である。
【0006】
バッテリーを交換するための操作は制限された時間内に実行しなければならないので、単純で、ロバストで、信頼性が高く、低コストであり、バッテリーの取り外しと取り付けのために複雑な道具(toolage)を必要としない、自動車にバッテリーを取り付けるためのデバイスが求められている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、上述の必要性に適合する、自動車にバッテリーを取り付けるための方法、および自動車からバッテリーを取り外すための方法を提供することである。具体的には、本発明は、単純で、信頼性が高く、ロバストな取付け/取外し方法を提案し、それにより、簡単で迅速なバッテリーの取外しおよび再設置を可能にする。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、自動車のシャーシに取外し可能な電池を取り付けるためのデバイスは、自動車のシャーシに固定されるように設計された第1の直角掛け取付け手段と、その電池に固定されるように設計された第2の直角掛け取付け手段(8、9)とを備え、第1の直角掛け取付け手段と第2の直角掛け取付け手段とは、自動車のシャーシに電池を固定するために相互作用するように設計されている。
【0009】
第1の取付け手段は、自動車のシャーシに固定されるように設計されたスピンドル、特に、平面および/またはノッチを備えるスピンドルを含むことができる。
【0010】
この特徴により、バッテリーを結合させる機能が、基本的には自動車によって確実に実行されるので、バッテリーの製造コストが低減し、逆に自動車の製造コストがわずかに増加するが、電気自動車の製造業者は電気自動車のバッテリーも管理するので、これは製造業者にとって好ましい。
【0011】
第1の取付け手段は力吸収手段を備えることができる。この力吸収手段により、自動車の下方にバッテリーを配置して係止するときに、自動車を引き上げることなく、あるいはユーザが大きな振動を感じることなく、数百キログラムの電池を電気自動車に係止することが可能になる。具体的には、バッテリーを係止することを可能にするために、自動車のシャーシ上に非常に大きな応力をかけなければならない。
【0012】
第2の取付け手段は、電池に対して回転可能に装着されるように設計され、かつ、第1の取付け手段と相互作用するように設計された係止エレメントを備えることができる。
【0013】
係止エレメントは、細長の、たとえば、長方形または楕円形の開口部を備えることができる。
【0014】
係止エレメントは、電池に固定されるように設計されたベルエレメント上で回転可能に装着することができる。
【0015】
第1の取付け手段および/または第2の取付け手段は、第1の取付け手段と第2の取付け手段、ならびに/あるいはシャーシと電池を、互いの静止位置まで戻す力をかけるように設計された弾性手段を備えることができる。この弾性手段は、「ベルビル」ワッシャを使用するよりも安価な、たとえばゴムパッドからなる。
【0016】
本発明によれば、自動車のシャーシは、自動車のシャーシに電池を取り付けるために、電池上に設けられた第2の直角掛け取付け手段と相互作用するように設計された第1の直角掛け取付け手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第1の取付け手段は、自動車のシャーシに固定されたスピンドルを含むことができる。
【0018】
第1の取付け手段は、第1の取付け手段と第2の取付け手段、ならびに/あるいはシャーシと電池を、互いの静止位置まで戻す力をかけるように設計された弾性手段を備えることができる。
【0019】
本発明によれば、自動車を駆動するための電気モータに電力供給するための電池は、自動車のシャーシに電池を取り付けるために第1の直角掛け取付け手段と相互作用するように設計された第2の直角掛け取付け手段を備えることを特徴とする。
【0020】
第2の取付け手段は、バッテリーに対して回転可能に装着され、かつ、第1の取付け手段と相互作用するように設計された係止エレメントを備えることができる。
【0021】
係止エレメントは、バッテリーに固定されたベルエレメント上で回転することができるように装着することができる。
【0022】
第2の取付け手段は、第1の取付け手段と第2の取付け手段、ならびに/あるいはシャーシと電池を、互いの静止位置まで戻す力をかけるように設計された弾性手段を備えることができる。
【0023】
本発明によれば、自動車のシャーシから電池を取り外す方法は、
・電池およびシャーシを供給するステップであって、弾性エレメントが電池とシャーシとの間に挿入されて復帰力をかけ、この復帰力下において、係止エレメントが、弾性手段が変形するシャーシに対する電池の位置で、シャーシに対する電池の移動を停止させるステップと、
・電池とシャーシとを互いに接近させるための力をかけるステップであって、接近させる力が弾性手段を変形させ、弾性手段が接近させる力とは反対の復帰力をかける、力をかけるステップと、
・少なくとも実質的に4分の1回転させることによって係止エレメントを移動させるステップと
を含むことを特徴とする。
【0024】
電池をシャーシに接近させるための接近させる力は、シャーシと機械的に接続しているツールのエレメントによって吸収することができる。
【0025】
本発明によれば、自動車のシャーシに電池を取り付ける方法は、
・電池およびシャーシを供給し、電池とシャーシとの間に弾性手段を挿入するステップと、
・電池とシャーシとを互いに接近させる力をかけるステップであって、接近させる力が弾性手段を変形させ、弾性手段が接近させる力とは反対の復帰力をかける、力をかけるステップと、
・少なくとも実質的に4分の1回転させることによって係止エレメントを移動させることにより、復帰力下において、弾性手段が変形するシャーシに対する電池の位置で、シャーシに対する電池の移動を停止させるステップ
を含むことを特徴とする。
【0026】
電池をシャーシに接近させるための接近させる力は、シャーシと機械的に接続しているツールのエレメントによって吸収することができる。
【0027】
本発明によれば、アセンブリ、具体的には自動車、特に電気自動車は、上記で規定された電池と、上記で規定されたシャーシとを備える。
【0028】
本発明によれば、上記で規定された電池を、上記で規定されたシャーシに対して取り付ける、および/または取り外すためのツールは、電池とシャーシを互いに接近させるための力を与える手段、および/または係止エレメントを移動させる手段、および/または電池とシャーシを互いに接近させるための力を吸収する手段を備えることを特徴とする。
【0029】
本発明による電池、シャーシ、方法、アセンブリ、および取付けツールは、上記で説明した発明によるデバイスのものと同様の利点を有する。
【0030】
添付の図面は、本発明による取外し方法および手段の一実施形態を例示するものであり、特に、そのような方法を適用することを可能にする取外し可能な取付けデバイス、電池、自動車のシャーシを例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による取外し方法の一実施形態の主なステップを示す概略図である。
【図2】本発明による取付けデバイスの断面図である。
【図3】本発明による取外し方法の一実施形態の主なステップを示す概略図である。
【図4】本発明による取外し方法の一実施形態の主なステップを示す概略図である。
【図5】本発明による取付けデバイスの断面図である。
【図6】本発明による取外し方法の一実施形態の主なステップを示す概略図である。
【図7】本発明による取外し方法の一実施形態の主なステップを示す概略図である。
【図8】本発明による取外し方法の一実施形態の主なステップを示す概略図である。
【図9】本発明による取外し方法の一実施形態の主なステップを示す概略図である。
【図10】本発明による取外し方法の一実施形態の主なステップを示す概略図である。
【図11】バッテリー支持体の第1の変形例の長手方向断面図である。
【図12】本発明によるバッテリーの上面図である。
【図13】第1の変形例によるベルエレメントおよびバッテリー係止エレメントの上面図である。
【図14】1つの構成のバッテリー支持体の第2の変形例の長手方向断面図である。
【図15】図14とは異なる構成のバッテリー支持体の第2の変形例の長手方向断面図である。
【図16】本発明による取付けデバイスで使用されるスピンドルの側面図である。
【図17】本発明による取付けデバイスで使用されるスピンドルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明において、「弾性手段」とは、力の影響を受けて弾性的に変形する任意の手段を意味する。
【0033】
「直角掛け取付け」とは、一方の部品に関する他方の部品の第1の平行移動動作によって、次いで、一方の部品に関する他方の部品の回転動作、好ましくは、4分の1の回転によって、2つの部品を取外し可能に組み付けることができる任意の取付け手段を意味する。ただし、回転動作は、4分の1回転以外の大きさ、特に、2分の1回転、または4分の3回転としてもよい。
【0034】
「少なくとも実質的に4分の1回転」とは、「4分の1回転」または「実質的に4分の1回転」を意味する。
【0035】
図1、図3、図4、図6、図7、図8、図9および図10に部分的に示された自動車100は、主に、シャーシ2と、電池(図示せず)、特に、自動車を駆動するためのモータに電力供給するための電池のための支持体6とを備える。
【0036】
電池は、シャーシに取り付けられるように設計される。たとえば、バッテリーは、シャーシの下に取り付けることができる。電池は、自動車のシャーシの下からアクセスできるハウジング内に設置してもよい。次いで、ハウジング内にバッテリーを置いた後、バッテリーの底部分は、自動車の下から、特に、シャーシの下からアクセス可能のままである。
【0037】
自動車100は、具体的には、バッテリー支持体6を自動車のシャーシ2に取外し可能に取り付けるためのデバイス1を備える。バッテリーの電気エネルギー貯蔵エレメントは、支持体6に固定される。取外し可能な取付けデバイスは、自動車のシャーシ上に設けられた第1の直角掛け取付け手段4と、電池上に設けられた第2の直角掛け取付け手段8および9とを備える。第1の直角掛け取付け手段および第2の直角掛け取付け手段は、自動車のシャーシに電池を取り付けるために相互作用するように設計される。
【0038】
第1の直角掛け取付け手段は、たとえば、スピンドル4を含み、このスピンドル4は、軸50を有し、自動車のシャーシ2に、具体的には、シャーシに取り付けられたプレート3に固定されている。好ましくは、このスピンドルは、図1の断面II−IIにおける正方形または円形の第1の断面15と、この断面の下の長方形の第2の断面13とを備える。以下により詳細に説明する直角掛け取付けを確保するために、他の断面形状も可能である。図16および図17に1つの特定の実施形態を示す。この実施形態では、スピンドルは、装着中および取外し中に、ツールによってバッテリーに、またはバッテリーに固定された支持体に与えられる力を吸収するために、手段70を第1のショルダとして備える。スピンドルは、また、第2の取付け手段と相互作用するために、手段71も第2のショルダとして備える。好ましくは、このスピンドルは全体的に円筒形であり、その上に(図16に×で示された)2つの平面が対称に生成されている。
【0039】
第2の直角掛け取付け手段は、バッテリーに対して回転可能となるように装着され、かつ、第1の取付け手段と相互作用するように設計された係止エレメント9を備える。好ましくは、この係止エレメントは、バッテリーを自動車のシャーシに設置するときに、スピンドル4の軸50と同一の軸60を中心としてバッテリーに対して回転することができる。図2に示されるように、係止エレメントは、開口部14を有するワッシャによって作製することができ、その開口部14中で、スピンドル4の第1の断面15は軸50を中心にして回転することができ、スピンドル4の第2の断面13は、軸50を中心として所与の量だけ回転することなく、軸50に沿って移動することができる。図2に示された実施形態では、開口部14の断面は、円と長方形との組合せとして規定される。したがって、この実施形態では、係止エレメント9により、スピンドル4を用いて、以下のような直角掛け取付けが可能となる。
・係止エレメント9を第1の方向に配向し、第2の断面13を有するスピンドル4の一部分に沿って、軸50に沿った第1の方向に係止エレメント9を移動させ、
・係止エレメントが第1の断面15を有するスピンドルの一部分に達すると、係止エレメントを、スピンドル4に対して軸50を中心として回転させ、好ましくは、少なくとも実質的に4分の1回転させる。
【0040】
代替的には、開口部14は、単純に、細長形状、たとえば、長方形または楕円形とすることができる。
【0041】
係止エレメントがスピンドルに対して後者の位置にあるとき、スピンドルの第2の断面13の幾何学形状、および係止エレメントの開口部14の断面の幾何学形状を理由に、係止エレメントは、スピンドルに沿って、第1の方向とは反対の第2の方向に軸50に沿って動くことができない。具体的には、この位置にあるとき、スピンドルのショルダは、係止エレメントに対して当接し、スピンドルに関する係止エレメントの(第2の方向の)軸方向移動を妨げる。
【0042】
図11および図13に示された第1の変形例では、係止エレメント9は、プレート7に固定され、かつ、プレート7とともにバッテリー支持体を形成するベルエレメント8上で回転することができるように装着されている。具体的には、係止エレメントは、ベルエレメントの底部81に装着される。図13に示されるように、ベルエレメントの底部は、ベルエレメントに関する係止エレメント9の移動をガイドし、制限することができるようにする溝25を有するのが有利である。これらの溝は、係止エレメント上に設けられ、かつ、検出手段、たとえば、スイッチに作用するフィンガ26と相互作用するように設計され、それにより、シャーシ上のバッテリーの「非係止」状態または「係止」状態を判断することができるようになる。
【0043】
溝は、また、定位置にインデックスを付けるためのインデックス手段40を溝の端部に有することができ、インデックス手段40を両極端の位置は、第1の直角掛け取付け手段および第2の直角掛け取付け手段の2つの状態、「係止」状態と「非係止」状態とに対応する。インデックス手段は、上述の溝の中に、たとえば、小さな隆起40を有することができる。代替的には、インデックス手段は、互いに相互作用するように部品8および9の対向する面に設けられた隆起と孔とを備えることができる。
【0044】
図14および図15に示された第2の変形例では、係止エレメント9は、プレート7に固定され、かつ、プレート7とともにバッテリー支持体6を形成するベルエレメント8’中で回転することができるように装着される。具体的には、ベルエレメント中の定位置に置かれたセグメント205は、係止エレメント9’が平行移動するのを止める。このセグメント205は、係止エレメントを再びベルエレメントの底部と接触させるために、係止エレメント上に載置された弾性エレメント206を備える。さらに、係止エレメントには1つまたは複数のピン202が貫通している。ピンの第1の端部203により、ツールによる係止エレメントの回転が可能になり、ピンの第2の端部204により、ベルエレメントに対して係止エレメントの定位置にインデックスを付けることが可能になる。この第2の端部は、ベルエレメントの底部に達する、係止エレメントの面上の突起を構成する隆起として形成される。隆起として形成されたこの第2の端部は、ベルエレメントの底部に設けられた1つまたは複数の孔201、特に、1つまたは複数のブラインドホールと相互作用する。ピンと穴とはインデックス手段を構成する。図14では、係止エレメントおよびベルエレメントは、インデックスを付けられた位置に示されており、ピンの2つの端部204は、ベルエレメントの底部に作製された孔に係合している。図15では、係止エレメントおよびベルエレメントは、インデックスが付けられていない位置に示されており、ピンの端部204は、ベルエレメントの底部に作製された孔に係合していない。したがって、この構成では、係止エレメントは、ベルエレメントの底部を押圧しておらず、上述の弾性手段206は変形している。
【0045】
第2の変形例においても、係止エレメントは、ベルエレメントの底部を貫通し、かつ、取付けデバイスの「係止」構成または「非係止」構成を判断するために検出手段と相互接続するフィンガを有することができる。同様に、ベルエレメント中の係止エレメントの移動をガイドおよび/または制限する手段を設けることができる。移動をガイドおよび/または制限する手段は、係止エレメントに固定されて、ベルエレメントの底部の溝の中を通るフィンガを有することができる。
【0046】
図11および図12に示されるように、ベルエレメント8は、可撓性カップリング21および22を介してプレート7に固定されている。具体的には、ベルエレメントは、プレートに作製された開口部82内の定位置に置かれ、ショルダ83によってプレートの第1の面の上に載置されるようになる。複動型弾性エレメント29および/または単動型弾性エレメント29により、ベルエレメントを開口部82の弾性的に中心に置き、第1の面に対してベルエレメントを押圧することができるようになる。好ましくは、弾性エレメントは、ベルエレメント中に作製された貫通孔に嵌合したスピゴット23を介して、ベルエレメントに嵌合される。複動型弾性エレメント29は、弾性的なセンタリングを確保するために、一方がベルエレメントに載置され、もう一方が開口部82の壁に載置される第1の弾性ストリップ21を備え、また、ショルダ83上のプレートの第1の面の弾性的な配置を確保するために、プレートの第2の面に載置される第2の弾性ストリップ22を備える。単動型弾性エレメント29は、弾性的なセンタリングを確保するために、一方がベルエレメントに載置され、もう一方が開口部82の壁に載置される第1の弾性ストリップ21を備える。したがって、ベルエレメントを、(軸50に垂直な)縦軸Xおよび横軸Yに沿ってプレートに対して、限定された大きさだけ、たとえば、5mm〜10mm、典型的には、6mmだけ移動させることができる。
【0047】
好ましくは、取外し可能な取付けデバイスは、シャーシと電池との境界面に置かれて、1つまたは複数の第1の取付け手段と第2の取付け手段とを引き離す復帰力をかけるように設計された弾性手段5を備える。たとえば、弾性手段は、エラストマで作製された1つまたは複数のポスト5を含むことができる。ただし、任意の弾性手段、特に、ばねが好適であることがある。弾性手段は、第1の直角掛け取付け手段に固定され、自動車のシャーシに固定されて示されているが、代替的には、第2の直角掛け取付け手段に固定し、バッテリーに固定することができることが明らかである。また、代替的には、弾性手段は、自動車のシャーシに固定された第1の手段と、バッテリーに固定された第2の手段とを備えることができる。弾性手段により、シャーシとバッテリーとの間に応力を加えることができ、それにより、バッテリーとシャーシとの境界面における摩擦によって、シャーシとバッテリーが軸Xおよび軸Yに沿って互いに対して平行移動しないようにすることができる。
【0048】
図1、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9および図10を参照して、自動車からバッテリーを取り外すための方法の一実施形態について以下に説明する。
【0049】
初期状態では、バッテリー6は、自動車100に取り付けられている。
【0050】
3つのメインエレメント10、11および12を備えるツールによって、バッテリーの取外しまたは解体が実行される。
【0051】
図3に示された第1のステップにおいて、このツールをバッテリーまで持ってくる。
【0052】
図4に示された第2のステップにおいて、ツールの第1のメインエレメント12を第1の直角掛け取付け手段4に結合させる。好ましくは、この結合も、図5に示すような直角掛け接続によって実行される。ツールの第1のメインエレメントは、シャーシに固定された第4の直角掛け取付け手段と相互作用するように設計された第3の直角掛け取付け手段を備える。図4に示されるように、第3の取付け手段は開口部18を有し、その開口部18中で、(たとえば、第1の断面15と同一の)スピンドル4の第3の断面31は、軸50を中心にして回転することができ、(たとえば、第2の断面15と同一の)スピンドル4の第4の断面30は、軸50を中心として所与の量だけ回転することなく、軸50に沿って平行に移動することができる。図4に示された実施形態では、開口部18の断面は、円形と長方形との組合せとして規定される。したがって、この実施形態では、第1のメインツールエレメントにより、スピンドル4を用いて、以下のような直角掛け取付けが可能になる。
・ツールの第1のメインエレメント12を第1の方向に配向し、第4の断面30を有するスピンドル4の一部分に沿って、軸50に沿った第1の方向に移動させ、
・係止エレメントが第3の断面31を有するスピンドルの一部分に達すると、係止エレメントを、スピンドル4に対して軸50を中心として回転させ、好ましくは、少なくとも実質的に4分の1回転させる。
【0053】
ツールの第1のメインエレメントの機能は、バッテリーにその後与えられ、したがって自動車に与えられることになる軸50に沿った力(具体的には、上向きの鉛直力)を吸収することであり、それにより、これらの力は自動車のどこにも影響を与えない。
【0054】
図6に示された第3のステップにおいて、ツールの第2のメインエレメント10を、バッテリー支持体6と、特に、バッテリー支持体のプレート7と接触させ、あるいはバッテリーと接触させる。この第2のメインエレメントの機能は、弾性手段5を圧縮し、したがって、第1の取付け手段と第2の取付け手段との間に存在する接触を取り除くために、具体的には、係止エレメント9とスピンドル4のショルダとの接触を取り除くために、バッテリー上に、軸50に沿って力F1(具体的には、上向きの鉛直力)をかけることである。この力またはこの力の一部分は、上述のように、力F1とは反対の力F2をかけるツールの第1のメインエレメントによって吸収される。
【0055】
図7に示された第4のステップにおいて、ツールの第3のメインエレメント11を係止エレメントと接触させ、この第3のエレメントにより、バッテリーおよび第1の直角掛け取付け手段に対して、係止エレメントの軸50を中心とする回転運動が与えられる。好ましくは、回転運動は、少なくとも実質的に4分の1回転の回転運動である。この運動を確保するために、ツールの第3のメインエレメントは、たとえば、係止エレメント上に設けられたピン24を受けるように設計された孔28を備える。このようにして、自動車のシャーシから、バッテリーを係止解除することができる。
【0056】
図8に示された第5のステップにおいて、係止エレメントからツールの第3のメインエレメント11を分離し、移動させて係止エレメントから離す。
【0057】
図9に示された第6のステップにおいて、ツールの第1のメインエレメント12を第1の直角掛け取付け手段4から分離し、移動させて、たとえば、平行移動させて第1の直角掛け取付け手段4から離す。
【0058】
また、図10に示された第7のステップにおいて、ツールの第2のメインエレメント10がバッテリーを保持したまま、ツールの第2のメインエレメント10を下向きに移動させる。したがって、バッテリーを移動させて自動車から離す。
【0059】
第6のステップと第7のステップとを同時に実行してもよい。
【0060】
反対に、自動車にバッテリーを装着するまたは取り付けるための方法の一実施形態について、以下に説明する。
【0061】
初期状態では、バッテリーは自動車から離れている。
【0062】
装着は、上述のツールによって実行される。
【0063】
第1のステップにおいて、ツールの第2のメインエレメントによって、バッテリーを自動車のシャーシに接近させる。
【0064】
第2のステップにおいて、ツールの第1のメインエレメント12を、取外し方法と同様に第1の直角掛け取付け手段4に結合させる。
【0065】
第3のステップにおいて、ツールの第2のメインエレメント10をバッテリーと接触させて、弾性手段5を圧縮するために、バッテリー上、またはバッテリーの支持体上に、軸50に沿った力F1(具体的には、上向きの鉛直力)をかけることによってバッテリーを自動車のシャーシに対して押圧する。この力またはこの力の一部分は、上述のように、力F1とは反対の力F2をかけるツールの第1のメインエレメントによって吸収される。
【0066】
第4のステップにおいて、ツールの第3のメインエレメント11を係止エレメントと接触させ、この第3のエレメントにより、バッテリーおよび第1の直角掛け取付け手段に対して、係止エレメントの軸50を中心とする回転運動が与えられる。好ましくは、回転運動は、少なくとも実質的に4分の1回転の回転運動である。このようにして、バッテリーを自動車のシャーシに取り付けることができる。
【0067】
第5のステップにおいて、ツールの第3のメインエレメントを係止エレメントから分離し、移動させて係止エレメントから離す。
【0068】
第6のステップにおいて、ツールの第2のメインエレメントによってバッテリーに与えられた力を取り除き、第1の直角掛け取付け手段4からツールの第1のメインエレメントを分離する。ツールの第1のメインエレメントおよび第2のメインエレメントを移動させて、バッテリーから離す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(100)のシャーシ(2)に取外し可能な電池(6)を取り付けるためのデバイス(1)であって、自動車のシャーシに固定されるように設計された第1の直角掛け取付け手段(4)と、電池に固定されるように設計された第2の直角掛け取付け手段(8、9)とを備え、前記第1の直角掛け取付け手段と前記第2の直角掛け取付け手段とが、前記自動車の前記シャーシに前記電池を固定するために相互作用するように設計されているもので、前記第1の直角掛け取付け手段が、前記自動車の前記シャーシに固定されるように設計されたスピンドル(4)を含み、前記スピンドルが平面および/またはノッチを含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記第1の取付け手段が力吸収手段(70)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2の取付け手段が、前記電池に対して回転可能に装着されるように、かつ前記第1の取付け手段と相互作用するように設計された係止エレメント(9)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記係止エレメントが、長方形または楕円形などの細長の開口部(14)を含むことを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記係止エレメントが、前記電池に固定されるように設計されたベルエレメント(8)上で回転することができるように装着されていることを特徴とする、請求項4に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記第1の取付け手段および/または前記第2の取付け手段が、前記第1の取付け手段と前記第2の取付け手段、ならびに/あるいは前記シャーシと前記電池を、互いの静止位置まで戻す力をかけるように設計された弾性手段(5)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
自動車のシャーシ(2)に電池を取り付けるために、前記電池上に設けられた第2の直角掛け取付け手段(8、9)と相互作用するように設計された第1の直角掛け取付け手段(4)を備える自動車のシャーシであって、前記第1の取付け手段が、前記自動車の前記シャーシに固定されるように設計されたスピンドル(4)を含み、前記スピンドルが平面および/またはノッチを含むことを特徴とする、シャーシ(2)。
【請求項8】
前記第1の取付け手段が、前記第1の取付け手段と前記第2の取付け手段、ならびに/あるいは前記シャーシと前記電池を、互いの静止位置まで戻す力をかけるように設計された弾性手段(5)を含むことを特徴とする、請求項7に記載のシャーシ。
【請求項9】
自動車を駆動するための電気モータに電力供給するための電池(6)であって、自動車のシャーシに電池を取り付けるために第1の直角掛け取付け手段と相互作用するように設計された第2の直角掛け取付け手段(8、9)を備えており、前記第2の直角掛け取付け手段(8、9)が、細長の開口部(14)を含み、前記電池に対して回転可能に装着されるように設計された係止エレメント(9)を含むことを特徴とする、電池。
【請求項10】
前記係止エレメントが、前記電池に固定されたベルエレメント(8)上で回転することができるように装着されていることを特徴とする、請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記第2の取付け手段が、前記第1の取付け手段と前記第2の取付け手段、ならびに/あるいは前記シャーシと前記電池を、互いの静止位置まで戻す力をかけるように設計された弾性手段を含むことを特徴とする、請求項9または10に記載の電池。
【請求項12】
自動車(100)の請求項7に記載されたシャーシ(2)から請求項9に記載された電池(6)を取り外す方法であって、
−前記電池および前記シャーシを供給するステップであって、前記電池と前記シャーシとの間に弾性エレメント(5)が挿入されて復帰力をかけ、係止エレメント(9)が、復帰力下において、弾性手段が変形するシャーシに対する電池の位置で、シャーシに対する電池の移動を停止させるステップと、
−前記電池と前記シャーシとを互いに接近させるための力をかけるステップであって、前記接近させる力が前記弾性手段を変形させ、前記弾性手段が前記接近させる力とは反対の復帰力をかけるステップと、
−少なくとも実質的に4分の1回転させることによって、前記係止エレメント(9)を移動させるステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記電池を前記シャーシに接近させるための前記接近させる力が、前記シャーシと機械的に接続しているツールのエレメント(12)によって吸収されることを特徴とする、請求項12に記載の取外し方法。
【請求項14】
自動車(100)の請求項7に記載されたシャーシ(2)に請求項9に記載された電池(6)を取り付ける方法であって、
−前記電池および前記シャーシを供給し、前記電池と前記シャーシとの間に弾性手段(5)を挿入するステップと、
−前記電池と前記シャーシとを互いに接近させる力をかけるステップであって、前記接近させる力が前記弾性手段を変形させ、前記弾性手段が前記接近させる力とは反対の復帰力をかけるステップと、
−少なくとも実質的に係止エレメントを4分の1回転させることによって、復帰力下において、弾性手段が変形するシャーシに対する電池の位置で、シャーシに対する電池の移動を停止させるステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記電池を前記シャーシに接近させるための前記接近させる力が、前記シャーシと機械的に接続しているツールのエレメント(12)によって吸収されることを特徴とする、請求項14に記載の取付け方法。
【請求項16】
請求項9〜11のうちのいずれか1項に記載された電池と、請求項7または8に記載されたシャーシとを備える、電気自動車を含む自動車(100)のようなアセンブリ。
【請求項17】
請求項9〜11のうちの1項に記載された電池と請求項7または8に記載されたシャーシとを互いに接近させるための力を印加する手段(10)、および/または係止エレメントを移動させる手段(11)、および/または前記電池と前記シャーシとを互いに接近させるための前記力を吸収する手段(12)を備えることを特徴とする、請求項9〜11のうちのいずれか1項に記載の電池を請求項7または8に記載のシャーシに対して取り付ける、ならびに/あるいは同シャーシから取り外すためのツール(10、11、12)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−514939(P2013−514939A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545371(P2012−545371)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052475
【国際公開番号】WO2011/083219
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(507308902)ルノー エス.ア.エス. (281)
【Fターム(参考)】