説明

自動車のフロントパネル用衝撃保護装置およびこの装置を備えるフロントパネル

【課題】自動車のフロントパネルに取り付けられる衝撃保護装置、およびこの衝撃保護装置を備え、かつ自動車に用いられるフロントパネルを提供する。
【解決手段】自動車の前端部による衝撃を吸収する第1の補強材12を設けるとともに、歩行者に衝撃を与えたときに、下肢1の対応する位置に当接点を形成するため、第1の補強材12の上下に、第2の補強材15および第3の補強材18を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロントパネルモジュール用の衝撃保護装置に係り、特に前方への衝撃を緩衝する補強材を具備する衝撃保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントパネルモジュールは、前照灯、方向指示器、警笛、熱交換器、ファンユニット、エンジン冷却モジュール等の装備品を含む構造材である。このような装備品を含むフロントパネルモジュールは、自動車メーカーにおいて容易に取り付けうるよう、部品メーカーによって組立てられ供給されるアセンブリである。このアセンブリは、長手部材、フェンダーミラー、ボディーシェル等の自動車の前部の構造材に連結することによって装着される。フロントパネルモジュールには、この後、フロントバンパまたはフロントシールドが嵌め込まれる。
【0003】
所定の位置を取り付けられたフロントパネルモジュールは、前方から衝撃を受けたときに、応力に晒される接触部材であり、衝撃を吸収するものでなければならない。この衝撃は、欧州保安基準によれば、3つのカテゴリーに分類される。
【0004】
第1のカテゴリーは、「低速衝撃」である。これは、車速が時速2.5〜4kmのときに、真正面もしくは斜め方向から、または角部に受ける衝撃である。第2のカテゴリーは、「平均速度衝撃」である。これは、車速が時速約16kmのときの衝撃である。第3のカテゴリーは、「高速衝撃」である。これは、車速が時速56〜65kmのときの衝撃である。
【0005】
このように、衝撃には様々なものがあるため、政府機関に対して、運転者とその回りの環境を衝撃から守るために、より厳格な規制を導入するよう、促すこととなった。
【0006】
自動車のフロントパネルには、前方からの衝撃を吸収して、乗員を保護するために、バンパが取り付けられている。このバンパは、他の自動車、壁、電柱等からの衝撃を吸収するために用いられている。
【0007】
しかし、バンパは、自動車が高速で歩行者に衝突した場合には、歩行者に重傷を負わせるおそれがある。特に歩行者の下肢(大腿から膝を経て脛までをいう)に、また小児の場合には、その臀部や頭部に重傷を負わせるケースが見受けられる。
【0008】
そこで、特許文献1においては、2つの衝撃領域を有し、第2の衝撃領域により、下肢が自動車の下に入り込むのを防止するようにしたバンパが提案されている。
【0009】
しかし、公知の衝撃保護装置は、歩行者の下肢やそれ以外の身体部分を適切に保護するものとはいえず、歩行者に重傷を負わせるおそれがある。また、公知のの衝撃保護装置は、歩行者が衝撃を受けたときに怪我をしやすい下肢以外の身体部分(例えば臀部)を保護しうるようにはなっていない。歩行者が受ける衝撃は、自動車の前端部と、これに当たった歩行者の下肢(小児の場合には臀部や頭部)との相互作用によるものである。
【特許文献1】欧州特許第1039782号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされてもので、歩行者に衝突した場合でも、歩行者の下肢やそれ以外の身体部分を適切に保護しうるようにした自動車のフロントパネル用衝撃保護装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、自動車のフロントパネル用衝撃保護装置であって、前方への衝撃を緩衝する第1の補強材、および、歩行者が衝撃を受ける際に、下肢の高さにおいて複数の当接点を形成するため、前記第1の補強材の上下に位置する第2および第3の補強材を備えることを特徴とする衝撃保護装置が提供される。
【0012】
前記第1および第2の補強材の少なくとも一方は、バンパビームに装着された吸収材を備え、また、これら第1および第2の補強材は、垂直方向において、概ね一直線に並んでいるのが好ましい。この場合、第1および第2の補強材は、自動車のフロントシールドの後方に位置する。
【0013】
本発明の第1の様相においては、第1の補強材の一端と、自動車のフードの一端との間における、第1の補強材と第2の補強材の並んでいる方向における距離は、概ね130mmと等しいか、またはこれよりも小さい。
【0014】
また、第2の補強材におけるバンパビームの硬さは、概ね、前記第1の補強材におけるバンパビームのそれと等しいか、またはこれよりも小さい。
【0015】
さらに、第1および第2の補強材は、それぞれ、バンパビームに装着された吸収材を備え、第1の補強材の吸収材の硬さは、概ね、第2の補強材の吸収材のそれと等しいか、またはこれよりも大きい。
【0016】
本発明の第2の様相においては、第1の補強材の一端と、自動車のフードの一端との間における、第1の補強材と第2の補強材の並んでいる方向における距離は、概ね130mmと等しいか、またはこれよりも大きい。
【0017】
また、第2の補強材におけるバンパビームの硬さは、概ね、第1の補強材におけるバンパビームのそれと等しいか、またはこれよりも小さい。
【0018】
さらに、第1および第2の補強材は、それぞれ、バンパビームに装着された吸収材を備え、第1の補強材の吸収材の硬さは、概ね、第2の補強材の吸収材のそれと等しいか、またはこれよりも小さい。
【0019】
本発明の衝撃保護装置は、あらゆるタイプの自動車に適しており、自動車の前端部がどのような設計のものであっても、適用することができる。
【0020】
本発明の他の様相に係る衝撃保護装置は、支持体に装着されるか、またはこれと一体化された吸収材を有する第3の補強材を備えている。この様相によると、歩行者の臀部(小児の場合には頭部)を保護するために、第3の当接点が形成されることとなる。
【0021】
また、本発明は、上述の衝撃保護装置を備える自動車のフロントパネルをも提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の衝撃保護装置は、歩行者の下肢との間に3つの当接点を形成する3つの補強材を備えているため、衝撃力は分散され、歩行者が衝撃を受けたときでも、膝を含む下肢は保護される。補強材が3つ存在するたね、歩行者が衝撃を受けたときでも、下肢の安定性が増し、膝を回転させる力と、下肢に対する剪断力が弱められる。また、歩行者の臀部(小児の場合には頭部)も保護することができ、法的な基準を上回る保護を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の特徴と効果は、添付の図面を参照して行う、以下の実施形態の説明から、より明らかになると思う。
【0024】
図1は、自動車との衝突によって歩行者が衝撃を受けたときに変形する、膝5とつながっている下肢1,2の2つの部分(上半分と下半分)3,3の模式的な断面図である。図1は、下肢1については、剪断力、すなわち、下肢1の上半分と下半分を距離d1だけずらす力の効果を示している。また、下肢2については、膝5の回りに、角度αだけ傾ける衝撃の効果が示されている。衝撃を受けないときには、下肢の2つの部分3と膝5は、軸XXに沿って一直線になっている。
【0025】
図2は、図1に示した下肢の変形を回避させることができる、本発明に係る衝撃保護装置10を示す。衝撃保護装置10は、概ね膝5の高さに位置する第1の補強材12と、第1の補強材12の下方に位置する第2の補強材15と、第1の補強材12の上方に位置する第3の補強材18とを備えている。
【0026】
第1の補強材12は、バンパビーム122と、クラッシュボックス124と、バンパビーム122およびフロントシールド128の間に位置する吸収材126とを備えている。また、第2の補強材15は、バンパビーム152と、クラッシュボックス154と、フロントシールド158に覆われた吸収材156とを備えている。したがって、第1の補強材12と第2の補強材15は、それぞれ、フロントシールド128と158の背後に位置している。
【0027】
第3の補強材18は、金属製の横杆である。しかし、金属とプラスチックを混成した材料から形成することもできれば、流体が閉じ込められたプラスチック製の中空体とすることもできる。
【0028】
3つの補強材12,15,18は、自動車のフロントパネルに取り付けられるか、またはこれと一体にされる。以下に、歩行者が衝撃を受けたときのこれら補強材の機能を説明する。
【0029】
当業者であれば、クラッシュボックスとして、よく知られているもの(例えば2つの部分からなるクラッシュボックス等)を用いることができると思う。横杆についても同様である。
【0030】
図3は、本発明の衝撃保護装置10が取り付けられたフロントパネルを備える自動車の前端部200を模式的に示す。この前端部200は、これを覆うフード202を備えている。また、前端部200は、エンジン冷却モジュール204と衝撃保護装置10を備えている。図3においては、X軸とZ軸を参考のために示してある。符号Bは、X軸方向(またはフードの前縁の参照ライン)におけるフード202の前端部を示す。また、符号Cは、X軸方向(またはバンパの参照ライン)における衝撃保護装置10の端部を示す。
【0031】
L1は、X軸方向における、フード202の前端部Bと衝撃保護装置10の端部Cとの距離を示す。また、H1は、Z軸方向における、フード202の前端部Bと衝撃保護装置10の端部Cとの距離を示す。これら2つの距離は、現在施行されている欧州保安基準において定義されており、また、図4と図5に示す本発明の2つの実施形態の違いを明らかにするものである。
【0032】
図4は、距離L1が小さい(130mmよりも短い)ときの本発明の他の実施形態を示す。衝撃保護装置10の前面は、比較的「真直ぐ」である。すなわち、車両の前端部において、X軸方向における種々の終端箇所は、Z軸方向において、概ね一直線になっている。
【0033】
第1の補強材12におけるバンパビーム122と第2の補強材15におけるバンパビーム152は、バンパビーム122のX軸方向における終端を表す点C1と、バンパビーム152のX軸方向における終端を表す点C2との間に引かれた直線で示すように、Z方向において、概ね一直線になっている。2つのバンパビーム122と152は、Z軸方向において、距離Zm(=140mm)だけ離間している。この距離Zmは、140mmよりも大きくすることもある。また、点C2は、X軸方向において、点C1よりも、最大で80mmまで後退させることがある。
【0034】
上述の衝撃保護装置の前面が比較的真直ぐな実施形態においては、下肢1への衝撃は、下肢1を真直ぐに保った状態で、力を概ね均一に分散させることによって吸収される。したがって、バンパビーム122の硬さは、概ね4000N/mmであり、バンパビーム152の硬さは、バンパビーム122のそれよりも小さく、概ね2000N/mmである。
【0035】
第2の補強材における吸収材156の硬さは、第1の補強材における吸収材126のそれよりも小さい。すなわち、吸収材126の発泡体の平均プラトー(平坦域)レベル(一般には、発泡体が変形し始める力に相当する)は、少なくとも0.3MPaとし、吸収材156の発泡体のそれは、少なくとも0.1MPaとする。
【0036】
吸収材126のX軸方向の厚さは、60mmよりも大きくし、他方、吸収材156のX軸方向の厚さは、40mmよりも大きくする。
【0037】
衝撃保護装置10が下肢1と接触すると、補強材12,15の各吸収材126,156は変形し、両者は、相対的な位置関係により、下肢1と2つの箇所で当接する。第3の補強材18は、吸収材126と156が変形を終えた後における第3の当接点を与える。
【0038】
第1の補強材は、下肢への衝撃を緩衝し、下肢が剪断力を受けるのを防止する役割を果たし、第2の補強材は、下肢の回転と剪断を抑制する役割を果たし、第3の補強材は、下肢の回転を抑制する役割を果たす。第3の補強材は、歩行者の臀部(小児の場合には頭部)を保護する上でも有用である。
【0039】
図5は、図3に示す衝撃保護装置の変形例に係る衝撃保護装置を示す。この衝撃保護装置におけるL1(X軸方向における、フードの前端部と衝撃保護装置の端部との距離)は、130mmを超えている。自動車の前面は、真直ぐとはいえず、2つの補強材12と15の大きさは、このような自動車の前面の形状を反映したものとなっている。
【0040】
この変形例においては、補強材18は、X軸に沿って、他の2つの補強材12,15よりも後退しているため、下肢は、衝撃の瞬間に回転し、その回転行程の最後において、3つの補強材と同時に当接する。
【0041】
このため、第1の補強材12のバンパビーム122の硬さは、第2の補強材15のバンパビーム152のそれと等しいか、またはこれよりも大きくしてある。すなわち、バンパビーム152の硬さは、2000N/mmであり、バンパビーム122のそれは、4000N/mmである。
【0042】
また、吸収材156は、吸収材126よりも硬い。発泡体の平均プラトーレベルは、吸収材126については、少なくとも0.2MPaとし、吸収材156については、少なくとも0.3MPaとする。
【0043】
吸収材126のX軸方向の厚さは、50mmよりも大きくし、他方、吸収材156のX軸方向の厚さは、30mmよりも大きくする。
【0044】
したがって、吸収材156は、全体的に、吸収材126よりも硬く、歩行者が衝撃を受けたときに、下肢が回転する際の中心となる。下肢が回転し、吸収材126と156が変形しても、下肢は、補強材18に当接することによって、その回転行程を最後まで続ける。したがって、下肢は真直ぐの状態を保ち、膝の回転や下肢への剪断力は抑えられる。
【0045】
上記2つの変形例においては、第1の補強材12は、車両に取り付けられた後に、膝5と概ね対向するよう、Z軸方向において、位置を調整しうるようになっている。また、吸収材126のZ軸方向の厚さE(図5参照)は、膝5を完全に覆うことができるよう、少なくとも60mmとする。
【0046】
図4から、膝5と第1の補強材12は、厳密には、対向する位置にないことが分かる。膝5のZ軸方向の長さは、493mmであり、他方、第1の補強材12のそれは、513mmである。吸収材126は、Z軸方向における互いのずれを補償しうる形状と大きさを有している。
【0047】
図6は、本発明に係る衝撃保護装置(第3の補強材18を大きくしてある)が一体化されたフロントパネルを示す。
【0048】
このフロントパネルは、3つの補強材12,15,18を有する本発明に係る衝撃保護装置を備えている。第3の補強材18は、支持体50を含む点で、上述のものとは異なっている。支持体50は、前照灯56の位置を定める2つのピラー54の間に位置する吸収材52を支持している。吸収材52は、ポリウレタンフォームから形成されている。しかし、他の吸収材126,156と同様に、後述する他の材料からも形成することができる。
【0049】
第3の補強材18は、図10aに示すように、ピラー54と一体化するか、またはピラー54に止着することによって、フロントパネルに取り付ける。
【0050】
図7に示すフロントパネルは、図6に示すフロントパネルの変形例である。このフロントパネルは、横杆58を備えている。横杆58は、2つの前照灯56の間で、かつ支持体50の後方に位置している。この変形例においては、支持体50は、横杆58と一体化したり(図10b参照)、ピラー54と一体化したり(図10a参照)、またはピラー54と横杆58に止着したりすることができる(図10c参照)。
【0051】
図8に示すフロントパネルは、図7に示すフロントパネルの変形例である。横杆58は、概ね支持体50の上方に位置している。この変形例においても、支持体50は、横杆58と一体化したり(図10b参照)、ピラー54と一体化したり(図10a参照)、またはピラー54と横杆58に止着したりすることができる(図10d参照)。
【0052】
図9に示すフロントパネルは、図8に示すフロントパネルの変形例である。横杆58は、垂れ下がっており、支持体50の一部を覆っている。このため、歩行者の臀部(小児の場合は頭部)に対する衝撃のエネルギーをより効果的に吸収しうるよう、フードと横杆58の間に、さらに空間をつくり出すことができる。
【0053】
この変形例においても、支持体50は、横杆58と一体化したり(図10b参照)、ピラー54と一体化したり(図10a参照)、またはピラー54と横杆58に止着したりすることができる(図10d参照)。
【0054】
上述の各変形例においては、横杆を、エンジン冷却モジュール204よりも多少前方に位置させることができるため、本発明に係るフロントパネルは、歩行者に対する安全性を十分に確保しつつ、種々の車両に取り付けることが可能である。
【0055】
図10aは、本発明に係る衝撃保護装置のX軸方向における(支持体50の中心部を通る)模式的な断面図である。支持体50は、ピラー54に止着されるか、またはこれと一体とされている。簡便のため、補強材は、第1の補強材12のみを示してある。
【0056】
図10bは、支持体50が横杆58と一体化されている変形例を示す。
【0057】
図10cは、支持体50が横杆58およびピラー54に止着されている変形例を示す。
【0058】
図10dは、支持体50が、横杆58に、図10cに示すものとは異なる態様で止着されている変形例を示す。
【0059】
図10eは、吸収材52が、支持体50と一体化され、かつ支持体50が、一方の側で横杆58に、もう一方の側で補強材12に止着されている変形例を示す。
【0060】
吸収材には、ポリウレタンフォーム、発泡ポリプロピレン、エラストマーで修飾されたポリプロピレン、タルクで補強されたポリプロピレン、ポリエチレン、プラスチックその他の当業者に公知の材料を用いることができる。
【0061】
第3の補強材は、歩行者の臀部(小児の場合は頭部)に対する衝撃を吸収し、傷害を予防する目的の場合には、他の2つの補強材とは別個に用いることができる。
【0062】
本発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限られるものではない。特許請求の範囲の記載に基づいて当業者が想起しうる変形例は、本発明の均等物である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】歩行者が衝撃を受けたときに、その下肢のモデルにかかる力を模式的に示す図である。
【図2】歩行者が衝撃を受けたときに、その下肢に接触する、本発明の一実施形態に係る衝撃保護装置の模式的な断面図である。
【図3】図2の衝撃保護装置を備えるフロントパネルが装着された、自動車の前端部の模式的な断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る衝撃保護装置の模式図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態に係る衝撃保護装置の模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るフロントパネルの模式的な斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るフロントパネルの模式的な斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るフロントパネルの模式的な斜視図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るフロントパネルの模式的な斜視図である。
【図10a】本発明の第5の実施形態に係るフロントパネルを備える、自動車の前端部の模式的な部分断面図である。
【図10b】本発明の第6の実施形態に係るフロントパネルを備える、自動車の前端部の模式的な部分断面図である。
【図10c】本発明の第7の実施形態に係るフロントパネルを備える、自動車の前端部の模式的な部分断面図である。
【図10d】本発明の第8の実施形態に係るフロントパネルを備える、自動車の前端部の模式的な部分断面図である。
【図10e】本発明の第9の実施形態に係るフロントパネルを備える、自動車の前端部の模式的な部分断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1,2 下肢
5 膝
10 衝撃保護装置
12 第1の補強材
15 第2の補強材
18 第3の補強材
50 支持体
54 ピラー
56 前照灯
58 横杆
122 バンパビーム
124 クラッシュボックス
126 吸収材
128 フロントシールド
152 バンパビーム
154 クラッシュボックス
158 フロントシールド
202 フード
204 エンジン冷却モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の横方向を向く構造材に取り付けられ、前方からの衝撃を緩衝する第1の補強材(12)を備える衝撃保護装置を有するフロントパネルであって、歩行者が衝撃を受けた際に、下肢(1)の異なる高さにおいて複数の当接点を形成するため、前記第1の補強材(12)の上下に第2および第3の補強材(15)(18)を設けたことを特徴とするフロントパネル。
【請求項2】
前記第1および第2の補強材(12)(15)は、それぞれ、バンパビーム(122)(152)を備えていることを特徴とする請求項1記載のフロントパネル。
【請求項3】
前記第1および第2の補強材(12)(15)の少なくとも一方は、前記バンパビーム(122)(152)に装着された吸収材(126)(156)を備えることを特徴とする請求項2記載のフロントパネル。
【請求項4】
前記第1および第2の補強材(12)(15)は、垂直方向に、概ね一直線に並んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項5】
前記第1の補強材(12)の一端と、自動車のフード(202)の一端との間における、第1の補強材(12)と第2の補強材(15)が並んでいる方向における距離は、概ね130mmと等しいか、またはこれよりも小さいことを特徴とする請求項4記載のフロントパネル。
【請求項6】
前記第2の補強材(15)におけるバンパビーム(152)の硬さは、概ね、前記第1の補強材(12)におけるバンパビーム(122)のそれと等しいか、またはこれよりも小さいことを特徴とする請求項5記載のフロントパネル。
【請求項7】
前記第1および第2の補強材(12)(15)のバンパビーム(122)(152)には、それぞれ吸収材(126)(156)が設けられ、第1の補強材(12)の吸収材(126) の硬さは、第2の補強材(15)の吸収材(156)のそれと概ね等しいか、またはこれよりも大きいことを特徴とする請求項5または6記載のフロントパネル。
【請求項8】
前記第1の補強材(12)の一端と、自動車のフード(202)の一端との間における、第1の補強材(12)と第2の補強材(15)が並んでいる方向における距離は、概ね130mmと等しいか、またはこれよりも大きいことを特徴とする請求項4記載のフロントパネル。
【請求項9】
前記第2の補強材(15)におけるバンパビーム(152)の硬さは、概ね、前記第1の補強材(12)におけるバンパビーム(122)のそれと等しいか、またはこれよりも小さいことを特徴とする請求項8記載のフロントパネル。
【請求項10】
前記第1および第2の補強材(12)(15)のバンパビーム(122)(152)には、それぞれ吸収材(126)(156)が設けられ、第1の補強材(12)の吸収材(126) の硬さは、第2の補強材(15)の吸収材(156)のそれと概ね等しいか、またはこれよりも小さいことを特徴とする請求項8または9記載のフロントパネル。
【請求項11】
前記第1の補強材(12)と第2の補強材(15)の間隔は、概ね140mmと等しいか、またはこれよりも大きいことを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項12】
前記第1の補強材(12)は、歩行者が衝撃を受けたときに、歩行者の下肢(1)の膝(5)と接する位置に設けられていることを特徴とする請求項4〜11のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項13】
前記第1の補強材(12)は、歩行者の下肢(1)の膝(5)よりも大寸の吸収材(126)を備え、この吸収材(126)は、歩行者が衝撃を受けたときに、歩行者の膝(5)を覆うようになっていることを特徴とする請求項12記載のフロントパネル。
【請求項14】
前記第1の補強材(12)と膝(5)は、垂直方向において、互いにずれており、前記第1の補強材(12)の吸収材(126)は、歩行者が衝撃を受けたときに、第1の補強材が、歩行者の膝(5)と接しうるよう、前記ずれを補償しうる形状を有することを特徴とする請求項12または13記載のフロントパネル。
【請求項15】
前記第3の補強材(18)の支持体(50)には、吸収材(52)が設けられていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項16】
前記第3の補強材(18)の支持体(50)には、吸収材(52)が一体化して設けられていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項17】
前記補強材(12)(15)(18)は、金属、プラスチック、またはこれらの混成材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項18】
前記第1の補強材(12)のバンパビーム(122)は、クラッシュボックス(124)を備えていることを特徴とする請求項2〜17のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項19】
前記第2の補強材(15)のバンパビーム(152)は、クラッシュボックス(154)を備えていることを特徴とする請求項2〜18のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項20】
前記吸収材(122)(152)(52)は、ポリウレタンフォーム、発泡ポリプロピレン、エラストマーで修飾されたポリプロピレン、タルクで補強されたポリプロピレン、またはポリエチレンから形成されていることを特徴とする請求項3〜19のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項21】
前記吸収材(122)(152)(52)は、プラスチック、または補強プラスチックから形成されていることを特徴とする請求項3〜20のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項22】
ピラー(54)をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項23】
前記第3の補強材(18)の支持体(50)には、吸収材(52)が設けられており、前記支持体(50)は、横杆(58)と、フロントパネルの一部をなすピラー(54)の間に収容されていることを特徴とする請求項22記載のフロントパネル。
【請求項24】
前記第3の補強材(18)の支持体(50)には、吸収材(52)が一体化して設けられており、前記支持体(50)は、横杆(58)と、フロントパネルの一部をなすピラー(54)との間に収容されていることを特徴とする請求項22記載のフロントパネル。
【請求項25】
前記支持体(50)は、前記ピラー(54)と一体化されていることを特徴とする請求項22〜24のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項26】
前記支持体(50)は、フロントパネルの一部をなすピラー(54)に装着されていることを特徴とする請求項22〜24のいずれかに記載のフロントパネル。
【請求項27】
前記支持体(50)は、前記横杆(58)と一体化されていることを特徴とする請求項23または24記載のフロントパネル。
【請求項28】
前記支持体(50)は、横杆(58)、およびフロントパネルの一部をなすピラー(54)に装着されていることを特徴とする請求項23または24記載のフロントパネル。
【請求項29】
自動車に取り付けられた状態において、前記横杆(58)は、エンジン冷却モジュール(204)の前方に位置するようになっていることを特徴とする請求項23または24記載のフロントパネル。
【請求項30】
自動車に取り付けられた状態において、前記横杆(58)は、エンジン冷却モジュール(204)の後方に位置するようになっていることを特徴とする請求項23または24記載のフロントパネル。
【請求項31】
前記横杆(58)は、前記支持体(50)を覆う部分を備えていることを特徴とする請求項23または24記載のフロントパネル。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【公表番号】特表2008−514501(P2008−514501A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534044(P2007−534044)
【出願日】平成17年9月23日(2005.9.23)
【国際出願番号】PCT/FR2005/002369
【国際公開番号】WO2006/035150
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(506280029)
【Fターム(参考)】