説明

自動車の周囲環境のモニタリング方法

【課題】 自動ブレーキの不適切な作動を防止しながら、1つの進路にしたがって移動することができる自動車の周囲環境をモニタする方法を提供する。
【解決手段】 本発明の方法は、検出センサ、自動車に関するパラメータ、および自動車の周囲環境内にある障害物に基づいて、複数の運転危険度を計算するステップと、障害物が、自動車の進路上にあるか否かを特定するステップと、計算された運転危険度、および自動車の進路上の障害物の特定に基づいて、自動車のブレーキの作動に関する判定を行うステップとを含んでいる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの進路にしたがって移動することができる自動車の周囲環境をモニタする方法、およびその方法の実施を可能にするモニタリング装置に関する。
【0002】
本発明は、主として自動車の分野に適用される。
【背景技術】
【0003】
自動車工業において、1つの進路にしたがって移動することができる自動車の周囲環境をモニタする公知の従来の方法には、歩行者や対向車両などの観測対象物体を検出するために、また例えば衝突を回避する自動ブレーキを作動させるために、「超音波駐車支援」を意味する「UPA」として通常知られている超音波センサなどの特定の検出センサが用いられている。
【0004】
この従来技術の欠点は、検出センサが方向センサでないために、障害物が自動車の進路上に位置しているか否かをチェックすることができないということである。したがって、これは、自動ブレーキの作動についての判定が、常に適切になされるとは限らないということとなる。例えば当該自動車が、その側部に位置する別の自動車とすれちがうときに、その対向車両になんらの問題もなかったとしても、自動ブレーキが不適切に作動することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために、1つの進路にしたがって移動することができる自動車の周囲環境をモニタする方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、次のステップを含むことを特徴とする、進路にしたがって移動することができる自動車の周囲環境のモニタリング方法を提供するものである。
− 検出センサ、自動車に関するパラメータ、および自動車の周囲環境内にある障害物に基づいて、複数の運転危険度を計算するステップと、
− 障害物が、自動車の進路上にあるか否かを特定するステップと、
− 計算された運転危険度、および自動車の進路上の障害物の特定に基づいて、自動車のブレーキの作動に関する判定を行うステップ。
【0007】
検出センサは、超音波センサであることが好ましい。少なくとも1つの運転危険度において、自動車のハンドル角度が考慮に入れられる。
【0008】
これによって、低速における操作時に、よりよい精度および信頼度が保証される。
【0009】
以下に詳細に示すように、自動車に関するパラメータは、運転状況、および自動車の周囲環境内の障害物の検出に関する正確なデータを供給するから、各運転危険度の算出、および進路上の障害物の特定によって、その自動車のブレーキの作動に関する適切な判定を行うことが可能になる。
【0010】
非限定的な実施形態によれば、この方法は、さらに、次の特徴を備えている。
− 検出センサのアクティブ化に基づいて、第1の運転危険度が決定される。これによって、障害物を検出している検出センサの数に応じて、運転危険度に重み付けすることができる(障害物を検出している検出センサの数が多くなればなるほど、状況はより危険になる)。
【0011】
− 自動車の速度に基づいて、第2の運転危険度が決定される。これによって、自動車の速度を、運転危険度に関わるパラメータとして考慮に入れることができる。自動車の速度が高くなればなるほど、運転危険度は、より高くなる。
【0012】
− 自動車に対して計算された、障害物からの距離に基づいて、第3の運転危険度が決定される。これによって、自動車に対する障害物からの距離を、運転危険度に関わるパラメータとして考慮に入れることができる。障害物と自動車との間の距離が短くなればなるほど、運転危険度は、より高くなる。
【0013】
− 自動車に対する障害物の相対速度に基づいて、第4の運転危険度が決定される。これによって、自動車に対する障害物の相対速度を、運転危険度に関わるパラメータとして考慮に入れることができる。障害物の接近が急速であればあるほど、運転危険度は、より高くなる。
【0014】
− 障害物からの距離は、自動車のハンドル角度を考慮に入れて計算される。これによって、低速における操作時に、よりよい精度および信頼性が保証される(横加速度およびヨーレートは、準静止時には、あまり役立たない)。
【0015】
− 自動車のハンドル角度に基づいて、検出センサのうちのいくつかによって測定されたセンサ距離だけが考慮される。これによって、モニタリングの確実性が改善される。
【0016】
− 考慮される検出センサは、全て、ハンドル角度に対応する方向の周囲に分配されている検出センサである。例えばハンドル角度が中央より右寄りであれば、考慮される検出センサは、全て、右側の検出センサである。ハンドル角度が中央より左寄りであれば、考慮される検出センサは、全て、左側の検出センサである。ハンドル角度が0であれば、考慮される検出センサは、全て、中央の検出センサである。したがって、ハンドル角度が0である場合には、全ての検出センサを考慮に入れてもよい。したがって、検出センサのいくつかのセットの各々を、対応する各ハンドル角度区間に関連付けることができる。ハンドル角度区間の数は任意である。
【0017】
− 障害物からの距離は、考慮された検出センサから伝達されたセンサ距離のうちの最小センサ距離を用いて計算される。この計算は、より簡単である。
【0018】
− 複数の運転危険度のうちの大きな値を有する上位2つの平均として計算された運転危険度に基づいて、危険マーカが決定される。
【0019】
− 障害物が、自動車の進路上にあるか否かを特定するステップは、次のサブステップを含んでいる。
・ 検出センサから伝達されたセンサ距離に基づいて、検出センサに対する信頼度を決定するサブステップと、
・ 静的検出ゾーンと、与えられた信頼度に基づく、各静的検出ゾーンに対する検出確率とを定めるサブステップと、
・ 動的検出ゾーンを定めるサブステップと、
・ 検出確率および動的検出ゾーンに基づいて、障害物が、自動車の進路上に位置しているか否かを特定するサブステップ。
これによって、運転者がハンドルになしていること、したがって、生じる方向転換に合わせて、障害物を、よりよく検出することができる。
【0020】
− この方法は、さらに、自動車が、後方に、トレーラーを有しているか否かを検出するさらなるステップを含んでいる。これによって、トレーラーとの電気的接続を不要にすることができる。後方のトレーラーであるにもかかわらず、誤って障害物として検出される(それは不適切なことである)ことのないように、トレーラーがあるか否かが、正しく認識される必要がある。
【0021】
− ブレーキの作動に関する判定は、自動車の進路上に障害物があるとき、およびいくつかの運転危険度が与えられた危険閾値を超過しているときに、ブレーキの始動を促進するための、自動車のブレーキに対する最小ブレーキ作動要求である。これによって、ブレーキ起動時間を改善することができる。
【0022】
また本発明は、次のことを行うための制御ユニットを備えていることを特徴とする、進路にしたがって移動することができる自動車の周囲環境のモニタリング装置を提供するものである。
− 検出センサ、自動車に関するパラメータ、および自動車の周囲環境内にある障害物に基づいて、複数の運転危険度を計算し、
− 障害物が、自動車の進路上にあるか否かを特定し、
− 計算された運転危険度、および自動車の進路上の障害物の特定に基づいて、自動車のブレーキの作動に関する判定を行う。
【0023】
このモニタリング装置の検出センサは、一実施形態によれば、超音波検出センサである。車両に関するパラメータには、ハンドル角度が含まれる。
【0024】
非限定的な一実施形態によれば、制御ユニットは、さらに、次のことを行うことができる。
− 検出センサから伝達されたセンサ距離に基づいて、検出センサに対する信頼度を決定し、
− 静的検出ゾーンと、与えられた信頼度に基づく、各静的検出ゾーンに対する検出確率とを定め、
− 動的検出ゾーンを定め、
− 検出確率および動的検出ゾーンに基づいて、障害物が、自動車の進路上に位置しているか否かを特定する。
【0025】
本発明のモニタリング装置の一実施形態は、本発明の方法を実行しうるものである。
【0026】
さらに、本発明は、データプロセッサによって実行可能な1つ以上の命令列を有するコンピュータプログラム製品であって、これらの命令列を実行することによって、上述の特徴のいずれか1つを有する方法を遂行することができるコンピュータプログラム製品を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のモニタリング方法の非限定的な第1の実施形態のフローチャートである。
【図2】図1のモニタリング方法に用いられる検出センサを備える自動車の上面図である。
【図3】自動車のハンドル角度を考慮に入れて障害物からの距離を計算する、図1のモニタリング方法の1ステップを説明する図である。
【図4】図1のモニタリング方法に用いられる静的検出ゾーンを示す図である。
【図5】図1のモニタリング方法に用いられる動的検出ゾーンを示す図である。
【図6】図1のモニタリング方法を遂行するモニタリング装置の非限定的な一実施形態のブロック図である。
【図7】本発明のモニタリング方法の非限定的な第2の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付図面を参照して、以下の説明を読むことによって、本発明の他の特徴および利点を、よりよく理解しうると思う。
【0029】
1つの進路にしたがって移動することができる自動車の周囲環境をモニタする、本発明による方法を、図1の非限定的な一実施形態にしたがって説明する。
【0030】
用語「自動車」は、エンジンを備えるあらゆる車両を意味するものと理解されたい。
【0031】
自動車の周囲環境をモニタするこの方法は、図1に示すように、次のステップを含んでいる。
− 検出センサC、自動車Vに関するパラメータ、および自動車Vの周囲環境内にある障害物Oに基づいて、複数の運転危険度NCRを計算するステップ(ステップDEF_NCR)と、
− 障害物Oが、自動車Vの進路TR上にあるか否かを特定するステップ(ステップDEF_OTR)と、
− 計算された運転危険度NCR、および自動車Vの進路TR上の障害物Oの特定に基づいて、自動車Vのブレーキの作動に関する判定を行うステップ(ステップDEC(NCR,O))。
【0032】
本明細書における説明に用いられる例においては、自動車Vは、図2に示すように、前方の4つの検出センサ(中央部の2つの検出センサC2、C3および側部の2つの検出センサC1、C4)、および後方の4つの検出センサ(中央部の2つの検出センサC6、C7および側部の2つの検出センサC5、C8)を有している。
【0033】
以下の説明は、自動車の前方環境をモニタする場合の例に関するものである。しかし、当然のことながら、以下の説明は、自動車の後方環境にも同様に当てはまる。
【0034】
次に、この方法の各ステップを詳細に説明する。
【0035】
第1のステップ1において、検出センサC(検出センサC1〜C8)、自動車Vに関するパラメータ、および自動車Vの周囲環境内に存在する障害物Oに基づいて、複数の運転危険度NCRが計算される。
【0036】
非限定的な一実施形態においては、運転危険度NCRは、0〜1の範囲の値を有する。
【0037】
第1の運転危険度NCR1
非限定的な一実施形態において、第1の運転危険度NCR1は、検出センサCのアクティブ化の程度に応じて決定される。非限定的な一実施形態においては、検出センサCは、その検出センサにおける最大検出距離Dcmax(例えば非限定的な一例において、2メートルである)未満のセンサ距離Dcを伝達しているときにアクティブ状態にあることに留意されたい。
【0038】
第1の運転危険度NCR1は、次のように決定される。
− 検出センサC2および/またはC3(自動車の前方中央部にある検出センサ)がアクティブであるときには、アクティブな検出センサの数に、第1の値VA1(非限定的な一例において、0.25である)と等しい係数が乗じられる。
− 検出センサC2およびC3がアクティブでないときには、検出センサC1および/またはC4がアクティブであることになる。この場合には、アクティブな検出センサの数に、第2の値VA2(非限定的な一例において、0.125である)と等しい係数が乗じられる。
【0039】
中央部の検出センサによってなされた検出は、側部の検出センサによってなされた検出より危険な状態を表わすから、第1の値VA1は、第2の値VA2より大きいことに注意されたい。
【0040】
第2の運転危険度NCR2
非限定的な一実施形態において、第2の運転危険度NCR2は、自動車Vの速度Vitに応じて決定される。
【0041】
第2の運転危険度NCR2は、次のように決定される。
− 自動車Vの速度Vitが、最大値VitMax(非限定的な一例において、10km/hの)に等しいときには、第2の運転危険度NCR2は、1である。
− 自動車Vの速度Vitが、最大値VitMax未満である場合には、第2の運転危険度NCR2は、0km/hの速度において0であり、それ以外の速度においては、0と1との間で直線的に変化する。
【0042】
第3の運転危険度NCR3
非限定的な一実施形態において、第3の運転危険度NCR3は、自動車Vに対して計算された、障害物からの距離Doに応じて決定される。
【0043】
障害物Oからの距離Doが大きくなればなるほど、障害物Oは、自動車Vからより遠くなり、第3の運転危険度NCR3は、より小さくなると見なされる。
【0044】
非限定的な一実施形態において、第3の運転危険度NCR3は、次のようになる。
NCR3=(Do−Dcmax)/(0.25−Dcmax)
上式において、Dcmaxは、上述のように2mである。
【0045】
非限定的な一実施形態において、障害物からの距離Doは、自動車Vのハンドル角度αを考慮に入れて計算される。したがって、検出センサは、左または右に行こうとする運転者の意志に応じて重み付けされる。これによって、より確実なモニタリングが保証される。この計算は、非限定的な一実施形態において、次のように実行される。
【0046】
図3に示すように、次の5つの状態が、各ハンドル角度に対して決定される。
− α=FG:ハンドルは、完全に左側の位置(すなわち左停止点)と、わずかに中央寄り(すなわち右寄り)の位置との間にある。
− α=MG:ハンドルは、左側半分の中央付近に位置している。
− α=M:ハンドルは、中央付近に位置している。
− α=MD:ハンドルは、右側半分の中央付近に位置している。
− α=FD:ハンドルは、完全に右側の位置(すなわち右停止点)と、わずかに中央寄り(すなわち左寄り)の位置との間にある。
【0047】
非限定的な一実施形態において、ハンドル角度αを、その最大値(非限定的な一例において540°)で割って正規化することによって、図3に示すように、ハンドル角度αとして、−1〜1の範囲の値を得ることができることに留意されたい。
【0048】
図3に示すように、ハンドル角度の状態に応じて、いくつかの検出センサから伝達された複数のセンサ距離Dcのうちの最小値が用いられる。
【0049】
例えばα=FGのときには、検出センサC1、C2、C3のセンサ距離Dcだけが用いられる。最も右側の検出センサC4を考慮に入れるべきではないと考えられる。
【0050】
したがって、この場合には、自動車Vに対する障害物Oからの距離は、次のように決定される。
Do=MinDc(C1,C2,C3)
【0051】
全く同様に、α=MGにおいては、Do=MinDc(C1,C2,C3)である。最も右側の検出センサC4を考慮に入れるべきではないと考えられる。
【0052】
同様に、α=Mにおいては、Do=MinDc(C2,C3)である。最も左側の検出センサC1、および最も右側の検出センサC4を考慮に入れるべきではないと考えられる。
【0053】
同様に、α=MDにおいては、Do=MinDc(C2,C3,C4)である。最も左側の検出センサC1を考慮に入れるべきではないと考えられる。
【0054】
全く同様に、α=FDにおいては、Do=MinDc(C2,C3,C4)である。最も左側の検出センサC1を考慮に入れるべきではないと見なされる。
【0055】
第4の運転危険度NCR4
非限定的な一実施形態において、自動車Vに対する障害物の相対速度VitRに応じて、第4の運転危険度NCR4が決定される。
【0056】
自動車Vが障害物Oに接近しているときには、相対速度VitRは負である。相対速度は、超音波センサによって特定された距離に基づいて計算されることに注意されたい。
【0057】
第4の運転危険度NCR4は、相対速度VitRに係数(−1.3に等しい)を乗じたものである。この係数の値は、障害物が自動車にかなり接近したときに、第4の運転危険度NCR4が大きくなるようにあらかじめ定められる。
【0058】
非限定的な一実施形態において、上述の第1〜第4の運転危険度NCR1〜NCR4が計算された後、計算された運転危険度に基づいて、運転危険マーカNCR_FLGが導き出される。非限定的な一実施形態において、運転危険マーカNCR_FLGは、計算された4つの運転危険度のうちの上位2つの運転危険度の平均に等しい。したがって、ブレーキの作動に対して、より適切な判定を行うことができる。1つの運転危険度だけが、状況が危険であることを示しただけでは不十分であると考えられる[例えば10km/hで移動している自動車は、第2の運転危険度NCR2が1(または、それ以上)であることを示すが、障害物が存在しない場合には、状況はあまり危険ではない。他方、第2の運転危険度NCR2に加えて、別の運転危険度(例えば第1の運転危険度NCR1)も高い値を示した場合には、状況はより危険になる。]。
【0059】
第2のステップ2において)、障害物Oが、自動車Vの進路TR上にあるか否かが特定される。非限定的な一実施形態において、自動車Vの進路TR上に障害物Oを特定するステップには、図1に示されているように、次のサブステップが含まれる。
− 検出センサCから伝達されたセンサ距離Dcに基づいて、検出センサCに対する信頼度NPを決定するサブステップ(サブステップDEF_NP(Dc))と、
− 静的検出ゾーンZsと、与えられた信頼度NPに基づく、各静的検出ゾーンZsに対する検出確率PZsとを定めるサブステップ(サブステップDEF_Zs(NP))と、
− 動的検出ゾーンZdを定めるサブステップ(サブステップDEF_Zd)と、
− 検出確率PZsおよび動的検出ゾーンZdに基づいて、障害物Oが、自動車Vの進路TR上に位置しているか否かを特定するサブステップ(サブステップDETECT_OTR(Zs,Zd))。
【0060】
これらのサブステップを、以下に詳細に説明する。
【0061】
第1のサブステップ2aにおいて)、検出センサCから伝達されたセンサ距離Dcに基づいて、検出センサCに対する信頼度NPが決定される。
【0062】
信頼度NPは、検出センサCから伝達されるセンサ距離Dcに依存する。センサ距離Dcが短くなればなるほど、信頼度NPは、より高くなると見なされる。すなわち、検出センサCは、ノイズ、エコー、または当該自動車Vの横を通過する別の自動車などではなく、現実の障害物を検出していると見なされる。
【0063】
したがって、非限定的な例において、信頼度は、次のようになる。
− 次の値は、アクティブ状態にある検出センサCに対する値である。
NP=0.95 (Dc<0.8mにおいて)
NP=0.80 (Dc>1.5mにおいて)
NP=0.90 (Dc=1.0mにおいて)
NP=0.85 (Dc=1.2mにおいて)
信頼度NPのこれらの値の間の値は、線形補間によって得られることに注意されたい。前述のように、検出センサCが、その検出センサCにおける最大検出距離Dcmax(この例においては2m)未満のセンサ距離Dcを伝達しているときには、その検出センサCはアクティブ状態にある。
− 次の値は、アクティブ状態にない検出センサCに対する値である。
NP=0.5
この場合には、例えば障害物が存在していたとしても、まだ検出されていないことを意味している。
【0064】
第2のサブステップ2bにおいて)、静的検出ゾーンZsと、与えられた信頼度NPに基づく、各静的検出ゾーンZsに対する検出確率PZsとが定められる。
【0065】
非限定的な一実施形態において、前方の4つの検出センサC1〜C4に対して、図4に示されているように、6つの静的検出ゾーンZsA〜ZsFが定められる。
【0066】
各静的検出ゾーンに対して、対応する検出確率PZsが、当業者には公知のベイズ(Bayes)確率理論を用いて計算される。
【0067】
これを行うために、各静的検出ゾーンZsに、1つ以上の検出センサCが組み合わされる。
【0068】
すなわち、非限定的な一例において、次の組み合わせが行われる。
− 検出センサC1が、静的検出ゾーンZsAに組み合わされる。
− 検出センサC1およびC2が、静的検出ゾーンZsBに組み合わされる。
− 検出センサC1、C2およびC3が、静的検出ゾーンZsCに組み合わされる。
− 検出センサC2、C3およびC4が、静的検出ゾーンZsDに組み合わされる。
− 検出センサC3およびC4が、静的検出ゾーンZsEに組み合わされる。
− 検出センサC4が、静的検出ゾーンZsFに組み合わされる。
【0069】
ベイズの式によれば、以前に計算されている、各検出センサに対する信頼度NPが、最初に用いられる。
【0070】
検出確率PZsは、次のようになる。
PZs=ΠiNPci{ΠiNPci+Πi(1−NPci)}
上式で、iは1〜nの整数であり、nは各静的検出ゾーンZsに組み合わされた検出センサCの番号である。
【0071】
したがって、各静的検出ゾーンに対応する検出確率PZsA〜PZsFは、次のようになる。
PZsA=NPc1
PZsB=NPc1×NPc2×{NPc1×NPc2+(1−NPc1)(1−NPc2)}
PZsC=NPc1×NPc2×NPc3×{NPc1×NPc2×NPc3+(1−NPc1)(1−NPc2)(1−NPc3)}
PZsD=NPc2×NPc3×NPc4×{NPc2×NPc3×NPc4+(1−NPc2)(1−NPc3)(1−NPc4)}
PZsE=NPc3×NPc4×{NPc3×NPc4+(1−NPc3)(1−NPc4)}
PZsF=NPc4
【0072】
したがって、0〜1の範囲の値を有する、各静的検出ゾーンに対応する検出確率PZsA〜PZsFが得られる。
【0073】
第3のサブステップ2cにおいて)、動的検出ゾーンZdが定められる。
【0074】
非限定的な一実施形態において、前方の4つの検出センサC1〜C4に対して、図5に示されているように、5つの動的検出ゾーンZd、すなわち、OUT_RF、COR_RF、MID_F、COR_LF、OUT_LFが定められる。同様に、後部の4つの検出センサC5〜C8に対して、5つの動的検出ゾーンOUT_RR、COR_RR、MID_R、COR_LR、OUT_LRを定めることができる。
【0075】
これらの動的検出ゾーンZdは、自動車Vおよび検出センサCの変位に応じて定められる。
【0076】
これらの動的検出ゾーンは、自動車Vが左に曲がっているか、右に曲がっているか、それとも直進しているかに応じた衝突の危険性に対応している。
【0077】
これらの動的検出ゾーンは、次のように呼ばれる。
− 第1の動的検出ゾーンZd1=OUT_RF:自動車Vの右側の最も外側の動的検出ゾーン
− 第2の動的検出ゾーンZd2=COR_RF:自動車Vの右側の動的検出ゾーン
− 第3の動的検出ゾーンZd3=MID_F:自動車Vの中央の動的検出ゾーン
− 第4の動的検出ゾーンZd4=COR_LF:自動車Vの左側の動的検出ゾーン
− 第5の動的検出ゾーンZd5=OUT_LF:自動車Vの左側の最も外側の動的検出ゾーン
【0078】
第4のサブステップ2dにおいて)、検出確率PZsおよび動的検出ゾーンZdに基づいて、自動車Vの進路TR上に、障害物Oが位置しているか否かが特定される。
【0079】
非限定的な一実施形態において、同時に、ハンドル角度αを考慮に入れて、自動車Vの進路TR上に、障害物Oが位置しているか否かが特定される。
【0080】
したがって、非限定的な一実施形態において、この決定は、次のように実行される。
【0081】
第1段階において、どの動的検出ゾーンZdに障害物Oが位置しているかが、以下のように定められる。
【0082】
1)次のときに、障害物Oは、第4の動的検出ゾーンZd4=COR_LF内に位置している。
・ α=FG、かつPZsA>S1のとき、
・ α=MまたはMG、かつPZsB>S2のとき、
・ α=MD、かつPZsC>S3のとき、
・ α=FD、かつPZsD>S4のとき、または、
・ Dc2<DSのとき。
上式において、S1は、確実度の第1の閾値(自動車に応じて設定可能な値である)である。非限定的な一例において、S1=0.95である。
S2は、確実度の第2の閾値(自動車に応じて設定可能な値である)である。非限定的な一例において、S2=0.95である。
S3は、確実度の第3の閾値(自動車に応じて設定可能な値である)である。非限定的な一例において、S3=0.95である。
S4は、確実度の第4の閾値(自動車に応じて設定可能な値である)である。非限定的な一例において、S4=0.95である。
Dc2は、検出センサC2から伝達されたセンサ距離である。
DSは、障害物Oが自動車Vに非常に接近している状況を表わす、距離の閾値である。非限定的な一例において、DS=0.8mである。
【0083】
2)次のときに、障害物Oは、第2の動的検出ゾーンZd2=COR_RF内に位置している。
・ α=FD、かつPZsF>S1のとき、
・ α=MまたはMD、かつPZsE>S2のとき、
・ α=MG、かつPZsD>S3のとき、
・ α=FG、かつPZsC>S4のとき、または、
・ Dc3<DSのとき。
上式において、Dc3は、検出センサC3から伝達されたセンサ距離である。
【0084】
第4の動的検出ゾーンと第2の動的検出ゾーンとは左右対称であるから、2)の場合にも、1)の場合と同じ、確実度の第1〜第4の閾値S1〜S4が用いられることに注意されたい。
【0085】
3)次のときに、障害物Oは、第3の動的検出ゾーンZd3=MID_F内に位置している。
・ α=FG、かつPZsA>S1’のとき、
・ α=MG、かつPZsB>S2’のとき、
・ α=MD、かつPZsE>S2’のとき、
・ α=FD、かつPZsF>S1’のとき、
・ α=M、かつ(PZsC>S3’かつPZsD>S3’)のとき、または、
・ Dc2<DS、かつDc3<DSのとき。
上式において、S1’、S2’、S3’は、非限定的な例において次の値を有する、確実度の別の閾値である。
S1’=0.80、S2’=0.90、S3’=0.95
【0086】
第2段階において、上述のように実行された計算の結果の考察がなされる。
− 障害物Oが、第4の動的検出ゾーンCOR_LFまたは第2の動的検出ゾーンCOR_RF内に位置している場合には、それは、障害物Oが、自動車Vの左隅または右隅にあるということを意味している。この場合には、隅マーカCOR_FLGは、状態1にある。それ以外の場合には、隅マーカCOR_FLGは、状態0にある。
【0087】
− 障害物Oが第3の動的検出ゾーンMID_F内に位置している場合には、それは、障害物Oが、自動車Vの進路の中央にあるということを意味している。この場合には、中央マーカMID_FLGは、状態1にある。それ以外の場合には、中央マーカMID_FLGは、状態0にある。
【0088】
− したがって、隅マーカCOR_FLGと中央マーカMID_FLGとのうちのどちらかが状態1にある場合には、それは、自動車Vの進路TR上に、障害物Oが存在しているということを意味している。このとき、進路マーカINTR_FLG1は、状態1にある。
【0089】
− 進路マーカINTR_FLG1が、状態0にある場合には、それは、自動車Vの進路TR上に何も存在していないということを意味している。この場合には、非限定的な一実施形態において、次のように、障害物が、自動車Vの進路TR上に位置している可能性がさらにあるか否かが特定される。PZsB、PZsC、PZsD、またはPZsEが、S7(非限定的な一例において0.9である、確実度の1つの閾値)を超過している場合には、自動車Vの進路TR上に障害物Oが存在している可能性があるということが導き出される。この場合には、進路上に明確な障害物は存在していないが、蓋然的な障害物、すなわち、上述のように進路上の障害物を計算した場合より低い(したがって、判定基準が相対的に緩やかな)信頼度で、障害物が存在っしている可能性がある。この場合には、蓋然的進路マーカINTR_FLG2は、状態1にある。
【0090】
− 蓋然的進路マーカINTR_FLG2が、状態0にある場合には、PZsAまたはPZsFが、S8(非限定的な一例において0.85である、確実度の1つの閾値)を超過していれば、それは、障害物Oが、自動車Vの前方に存在しているが、自動車Vの進路TRの外部に位置しているということを意味している。
【0091】
− PZsAおよびPZsFが、S8以下である場合には、それは、自動車Vの前方に障害物Oが存在していないということを意味している。
【0092】
第3のステップ3において)、計算された運転危険度NCR、および自動車Vの進路TR上の障害物Oの特定に基づいて、自動車Vのブレーキの作動に関する判定がなされる。
【0093】
すなわち、a)自動車Vの進路TR上に障害物Oが存在する(進路マーカINTR_FLG1が状態1にある)とき、およびb)運転危険マーカNCR_FLG(第1のステップにおいて既に計算されている)が、危険閾値NCR_S(非限定的な一例において0.8の)を超過しているときには、その障害物Oは、自動車Vにとって危険であるという結論が導き出される。この場合には、ブレーキの作動に関する判定は、自動ブレーキを始動させる判定である。非限定的な一実施形態において、自動車Vの自動減速が、自動ブレーキの始動によって行われる。自動ブレーキの作動によって、ブレーキペダルを用いた、自動車Vの運転者自身による減速を回避することができる。
【0094】
非限定的な例示的実施形態において、液圧的、電気−液圧的、または電気的に、ブレーキを作動させることができる。
【0095】
非限定的な一実施形態において、自動車Vの進路上に障害物Oが存在するとき、およびいくつかの運転危険度が与えられた危険閾値NCR_Sを超過しているときに、ブレーキの作動に関する判定は、ブレーキの始動を促進するための、自動車Vのブレーキに対する最小ブレーキ作動要求である。
【0096】
したがって、危険閾値NCR_Sが0.7の値を有するときに、上述の2つの条件a)およびb)が満たされると、または自動車Vの進路TR上に蓋然的障害物が存在すると(すなわち、蓋然的進路マーカINTR_FLG2が状態1にあると)、この最小ブレーキ作動要求RQが発せられる。
【0097】
最小ブレーキ作動要求RQは、制御ユニットUCから出されるブレーキ作動コマンドによって送られる。
【0098】
液圧的または電気−液圧的にブレーキを作動させる場合には、あらかじめブレーキキャリパーをブレーキ液体で満たし、ブレーキ内に液圧を発生させて、「あらかじめ加圧する」ことによって、ブレーキ液体の応答時間を短縮させるために、ブレーキ作動コマンドが、ESC(「電子安定制御」)モジュール内に位置するポンプABSに伝達される。ポンプABSは、ESCモジュールに含まれている液圧調整ユニットと協働しながら、ブレーキキャリパーをブレーキディスクの方に押しやる圧力を、自動車Vのブレーキに発生/消滅させることができる。
【0099】
ESCモジュールの動作は、当業者には公知であるから、本明細書においては説明しない。
【0100】
自動車Vのブレーキにあらかじめ圧力を印加するこの機能は、通常、「ブレーキプレフィル」と呼ばれる。非限定的な一例示的実施形態において、この最小ブレーキ作動要求RQによって、ブレーキの圧力を1〜2バールだけ増加させることができる。
【0101】
電気的にブレーキを作動させる場合には、ブレーキキャリパーをブレーキディスクの方に移動させるために、ブレーキ作動コマンドが、電気的なブレーキモータMBに伝達される。
【0102】
したがって、上述の方法は、適切なパラメータ(自動車の進路上の障害物O、ハンドル角度、静的および動的検出ゾーン)に基づいて、自動ブレーキの起動を可能にする。
【0103】
本発明の方法は、1つの進路にしたがって移動することができる自動車の周囲環境をモニタするための、図6に示されているモニタリング装置DISPによって遂行される。
【0104】
このモニタリング装置DISPは、自動車Vに組み込まれている。
【0105】
モニタリング装置DISPは、次のことを行うための制御ユニットUCを備えていることを特徴とする。
− 検出センサC、自動車Vに関するパラメータ、および自動車Vの周囲環境内に存在する障害物Oに基づいて、複数の運転危険度NCRを計算する。
− 自動車Vの進路TR上に、障害物Oが存在するか否かを特定する。
− 計算された運転危険度NCR、および自動車Vの進路TR上の障害物Oの特定に基づいて、自動車Vのブレーキの作動に関する判定を行う。
【0106】
非限定的な一実施形態において、制御ユニットUCは、さらに、次のことを行うことができる。
− 検出センサCから伝達されたセンサ距離Dcに基づいて、検出センサCに対する信頼度NPを決定する。
− 静的検出ゾーンZsと、与えられた信頼度NPに基づく、各静的検出ゾーンZsに対する検出確率PZsとを定める。
− 動的検出ゾーンZdを定める。
− 検出確率PZsおよび動的検出ゾーンZdに基づいて、障害物Oが、自動車Vの進路TR上に位置しているか否かを特定する。
【0107】
非限定的な一実施形態において、モニタリング装置DISPは、さらに、検出センサC1〜C8を備えていてもよい。
【0108】
本明細書において、それらの検出センサは、超音波センサである。そのような超音波センサの利点は、円錐状の広い検出領域を有すること、低価格であること、および自動車産業において際立って用いられていることである。これらの超音波センサは、一般に、およそ2メートルの到達距離を有しており、より長い到達距離を有するライダーまたはレーダのような検出センサと対照的であることに注意されたい。
【0109】
上述の方法は、「ソフトウェア」プログラムされたマイクロプロセッサ、ワイヤードロジック、および/または「ハードウェア」電子部品を用いて実行することができることに注意されたい。
【0110】
したがって、モニタリング装置DISPは、マイクロプロセッサなどのデータ処理デバイス、またはマイクロコントローラ、ASIC、コンピュータなどの処理ユニットによって実行することができる、上述の方法を遂行することを可能にする1つ以上の命令列を有するコンピュータプログラム製品PGを備えていてもよい。
【0111】
そのようなコンピュータプログラム製品PGは、ROMタイプの不揮発性の読み出し専用のメモリ、または、EEPROMまたはFLASHタイプの不揮発性の書き換え可能なメモリにインストールされていてもよい。このコンピュータプログラム製品PGは、製造所においてメモリに書き込まれていてもよいし、メモリにロードされてもよいし、またはメモリにダウンロードされてもよい。命令列は、機械語列であってもよいし、または実行時に処理ユニットによって機械語列に翻訳処理される制御言語列であってもよい。
【0112】
図6の非限定的な例においては、コンピュータプログラム製品PGは、モニタリング装置DISPの制御ユニットUCのメモリに書き込まれている。
【0113】
当然のことながら、本発明の方法は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではない。
【0114】
例えば、非限定的な一実施形態において、本発明の方法は、さらに、自動車Vが、後方にトレーラーREMを有しているか否かを検出するさらなるステップ(図7に示されているステップDETECT_REM)を含んでいてもよい。
【0115】
この場合には、自動車Vの後方環境がモニタされることに注意されたい。
【0116】
このさらなるステップは、ブレーキの作動に関する判定がなされる前に実行される(図7に示されているように)。
【0117】
このさらなるステップは、次の2つの条件が満たされているときに実行される。
− 1つの条件は、自動車Vが移動していること。
− 他の1つの条件は、後方中央部の検出センサC6およびC7がアクティブ状態にあること。
【0118】
2つの条件が満たされると、後方のトレーラーREMの検出は、次のように実行される。
【0119】
後方中央部の各検出センサC6およびC7において、自動車Vの速度と、自動車Vに対する障害物O(この場合には、後方の障害物O)の相対速度VitRとの間の差DIFFが計算される。相対速度VitRは、検出センサによって導出されて供給されるセンサ距離Dcに基づいて計算される。この差DIFFが0である場合には、障害物Oは、地面に対して静止している。相対速度VitRの絶対値が0で、障害物Oが静止していない場合には、障害物OはトレーラーREMであるという結論が引き出される。このとき、トレーラーマーカFLG_REMは、状態1である。
【0120】
計算された差DIFFが0であり、かつ相対速度VitRがほとんど0である場合には、自動車Vと障害物Oとは、ともに静止していることに注意されたい。
【0121】
したがって、トレーラーREMが検出された(FLG_REM=1)場合には、障害物が検出された場合とは逆に、自動ブレーキを作動させてはならない。自動ブレーキを作動させないという判定DEC(NCR,O)がなされる。
【0122】
本発明は、次の長所を有する。
− 容易に実装可能であり、かつ電気的なブレーキシステムを含む全てのブレーキシステムに適用可能である。
− 駐車時におけるブレーキの作動および駐車時より高速におけるブレーキの作動のために今日用いられている超音波センサを利用することができる。
− 最小ブレーキ作動要求の伝達によって、ブレーキ起動時間を短縮することができる。
− 超音波センサを用いて、自動ブレーキを作動させることができる。
【符号の説明】
【0123】
C1〜C8 検出センサ
DISP モニタリング装置
PG コンピュータプログラム製品
UC 制御ユニット
V 自動車
ZsA〜ZsF 静的検出ゾーン
COR_LF、COR_RF、MID_F、OUT_LF、OUT_RF、COR_LR、COR_RR、MID_R、OUT_LR、OUT_RR 動的検出ゾーン
α ハンドル角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進路(TR)にしたがって移動することができる自動車(V)の周囲環境のモニタリング方法であって、
− 超音波検出センサ(C)、前記自動車(V)に関するパラメータ、および前記自動車(V)の周囲環境内にある障害物(O)に基づいて、複数の運転危険度(NCR)を計算するステップと、
− 前記障害物(O)が、前記自動車(V)の進路上にあるか否かを特定するステップと、
− 前記計算された複数の運転危険度(NCR)であって、それらのうちの少なくとも1つはハンドル角度(α)を考慮に入れている複数の運転危険度(NCR)、および前記自動車(V)の進路上の障害物(O)の特定に基づいて、前記自動車(V)のブレーキの作動に関する判定を行うステップとを含んでいることを特徴とするモニタリング方法。
【請求項2】
前記超音波検出センサ(C)のアクティブ化に基づいて、第1の運転危険度(NCR1)が決定される、請求項1に記載のモニタリング方法。
【請求項3】
前記自動車(V)の速度(Vit)に基づいて、第2の運転危険度(NCR2)が決定される、請求項1または2に記載のモニタリング方法。
【請求項4】
前記自動車(V)に対して計算された、前記障害物からの距離に基づいて、第3の運転危険度(NCR3)が決定される、請求項1〜3のいずれか1つに記載のモニタリング方法。
【請求項5】
前記障害物からの距離(Do)は、前記自動車(V)のハンドル角度(α)を考慮に入れて計算される、請求項4に記載のモニタリング方法。
【請求項6】
前記自動車(V)のハンドル角度(α)に基づいて、前記超音波検出センサ(C)のうちのいくつかによって測定されたセンサ距離(Dc)だけが考慮される、請求項5に記載のモニタリング方法。
【請求項7】
前記障害物からの距離(Do)は、前記考慮された検出センサから伝達されたセンサ距離(Dc)のうちの最小センサ距離を用いて計算される、請求項6に記載のモニタリング方法。
【請求項8】
前記自動車(V)に対する前記障害物の相対速度(VitR)に基づいて、第4の運転危険度(NCR4)が決定される、請求項1〜7のいずれか1つに記載のモニタリング方法。
【請求項9】
前記複数の運転危険度(NCR)のうちの大きな値を有する上位2つの平均として計算された運転危険度に基づいて、危険マーカ(NCR_FLG)が決定される、請求項1〜8のいずれか1つに記載のモニタリング方法。
【請求項10】
障害物(O)が、自動車(V)の進路上にあるか否かを特定する前記ステップは、
− 前記検出センサ(C)から伝達されたセンサ距離(Dc)に基づいて、該検出センサ(C)に対する信頼度(NP)を決定するサブステップと、
− 静的検出ゾーン(Zs)と、与えられた前記信頼度(NP)に基づく、各静的検出ゾーンに対する検出確率(PZs)とを定めるサブステップと、
− 動的検出ゾーン(Zd)を定めるサブステップと、
− 前記検出確率(PZs)および前記動的検出ゾーン(Zd)に基づいて、前記障害物(O)が、前記自動車(V)の進路上に位置しているか否かを特定するサブステップとを含んでいる、請求項1〜9のいずれか1つに記載のモニタリング方法。
【請求項11】
前記自動車(V)が、後方トレーラー(REM)を有しているか否かを検出するさらなるステップを、さらに含んでいる、請求項1〜10のいずれか1つに記載のモニタリング方法。
【請求項12】
ブレーキの作動に関する前記判定は、前記自動車(V)の進路上に前記障害物(O)があるとき、およびいくつかの運転危険度(NCR)が与えられた危険閾値(NCR_S)を超過しているときに、前記ブレーキの始動を促進するための、前記自動車(V)のブレーキに対する最小ブレーキ作動要求(RQ)である、請求項1〜11のいずれか1つに記載のモニタリング方法。
【請求項13】
進路にしたがって移動することができる自動車(V)の周囲環境のモニタリング装置(DISP)であって、
− 超音波検出センサ(C)、前記自動車(V)のハンドル角度(α)を含む、前記自動車(V)に関するパラメータ、および前記自動車(V)の周囲環境内にある障害物(O)に基づいて、複数の運転危険度(NCR)を計算し、
− 前記障害物(O)が、前記自動車(V)の進路上にあるか否かを特定し、また
− 前記計算された運転危険度(NCR)、および前記自動車(V)の進路上の障害物(O)の特定に基づいて、前記自動車(V)のブレーキの作動に関する判定を行う制御ユニット(UC)を備えていることを特徴とするモニタリング装置(DISP)。
【請求項14】
前記制御ユニット(UC)は、さらに、
− 前記検出センサ(C)から伝達されたセンサ距離(Dc)に基づいて、該検出センサ(C)に対する信頼度(NP)を決定することができ、
− 静的検出ゾーン(Zs)と、与えられた前記信頼度(NP)に基づく、各静的検出ゾーンに対する検出確率(PZs)とを定めることができ、
− 動的検出ゾーン(Zd)を定めることができ、また
− 前記検出確率(PZs)および前記動的検出ゾーン(Zd)に基づいて、前記障害物(O)が、前記自動車(V)の進路上に位置しているか否かを特定することができるようになっている、
請求項13に記載のモニタリング装置(DISP)。
【請求項15】
データプロセッサによって実行可能な1つ以上の命令列を有するコンピュータプログラム製品(PG)であって、該命令列を実行することによって、請求項1〜12のいずれか1つに記載のモニタリング方法が遂行されるコンピュータプログラム製品(PG)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−202180(P2010−202180A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−16099(P2010−16099)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】