説明

自動車用ウエザーストリップ

【課題】自動車におけるボディパネルのドア開口部に取付けられるウエザーストリップにおいて、室内側からの見栄えに優れ、かつ、製造コストおよび維持管理費が廉価なものを提供する。
【解決手段】ボディパネル1のフランジ部2を挟持して組付く断面略U字状で、その底壁22の車外側に引掛溝23を形成した組付基部21に、ドアガラス4に弾接するシール部25を一体設し、押出成形部Eと型成形部Dを接続して形成したシール本体20と、所望の色彩が施され、少なくとも、シール本体20の組付基部21の底壁22から内装材3に至る部分を覆い、内面から突設した突起片31を、組付基部21の引掛溝23に嵌入して、シール本体20の押出成形部Eと型成形部Dに連続的に組付くカラー部材30と、で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボディパネルに、そのドア開口部に沿って取付けられるウエザーストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1乃至図3を参照して説明する。自動車におけるボディパネル1のドア開口部には、ドアガラス4等に弾接してその部分のシール性を確保するためのゴム製のウエザーストリップ40が取付けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この従来のゴム製のウエザーストリップ40においては、その黒色が、室内から視覚される部分である、いわゆる見え幅Rが広く、内装材3の色彩との関係から、見栄えに問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、ウエザーストリップ40の押出成形部Eの表面に着色材を設け、同色で成形した型成形部Dで接続することも可能であるが、押出成形部Eと型成形部Dとで色差が発生する等して見栄えが優れない。また、この場合、型成形部Dを二色成型または二度成型する必要があるため製造コストが嵩んでしまう。
【0005】
さらに、需要に応じて、あらゆる色彩のウエザーストリップ40を製造する必要が生じ、製造コストが嵩むと同時に、色彩の異なる各ウエザーストリップ40に部品番号を付して管理する必要があるなど、維持管理費も嵩んでしまう。
【0006】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、自動車におけるボディパネルのドア開口部に取付けられるウエザーストリップにおいて、室内側からの見栄えに優れ、かつ、製造コストおよび維持管理費が廉価なものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図4乃至図6を参照して説明する。請求項1に記載の発明は、自動車におけるボディパネル1のドア開口部に沿って取付けられるウエザーストリップであって、前記ボディパネル1のフランジ部2を挟持して組付く断面略U字状で、その底壁22の車外側に引掛溝23を形成した組付基部21に、ドア4に弾接するシール部25を一体設し、押出成形部Eと型成形部Dを接続して形成したシール本体20と、所望の色彩が施され、少なくとも、前記シール本体20の組付基部21の底壁22から内装材3に至る部分を覆い、内面から突設した突起片31を、前記組付基部21の引掛溝23に嵌入して、前記シール本体20の押出成形部Eと型成形部Dに連続的に組付くカラー部材30と、からなるものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、自動車におけるボディパネル1のドア開口部に沿って取付けられるウエザーストリップであって、前記ボディパネル1のフランジ部2を挟持して組付く断面略U字状で、その底壁22の車外側に引掛溝23を形成した組付基部21に、ドア4に弾接するシール部25を一体設し、押出成形部Eと型成形部Dを接続して形成したシール本体20と、所望の色彩が施され、少なくとも、前記シール本体20の組付基部21の底壁22から内装材3に至る部分を覆い、内面から突設した突起片31を、前記組付基部21の引掛溝23に嵌入して、前記シール本体20の押出成形部Eと型成形部Dに連続的に組付くカラー部材30と、とからなり、前記カラー部材30を、前記シール本体20の、少なくとも、ロア部10cの中間部分を除く部分,ピラー部10aおよびルーフ部10bに取付けてなるものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、カラー部材30の表面に布を巻き、またはシボを付け、あるいはレーザー照射による表面加工を施して、模様付けを行ってなる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明は、所望の色彩が施されたカラー部材30によって、少なくとも、シール本体20の組付基部21の底壁22から内装材3に至る部分を覆っているので、シール本体20の黒色を当該カラー部材30によって隠すことができる。これによって、黒色の見え幅rを狭くして、室内の見栄えを向上させることができる。特に、カラー部材30の色彩を、内装材3の色彩に対応させることによって、室内側の外観を当該内装材3と連続的に繋げることができるので、見栄えをより優れたものとすることができる。
【0011】
また、このカラー部材30は、シール本体20の押出成形部Eと型成形部Dに連続的に組付くので、当該押出成形部Eと型成形部Dの接続部分をも覆い隠すことができ、室内の見栄えを、より高めることができる。
【0012】
さらに、このカラー部材30は、シール本体20の押出成形部Eから型成形部Dにわたって連続的に取付けることができるので、押出成形部Eおよび型成形部Dに着色を施す必要がなく、よって、製造コストの低廉化を図ることができる。
【0013】
また、あらゆる色彩のカラー部材30の中から所望のものを選択することにより、シール本体20を同一仕様で製造し使用することができるので、色彩の異なる多種のシール本体20を製造する必要がなく、よって、製造コストと共に維持管理費を廉価に抑えることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明と同様に、室内の見栄えを高め、製造コストと維持管理費を廉価に抑えることができる。また、カラー部材30を、シール本体20の、少なくとも、ロア部10cの中間部分を除く部分,ピラー部10aおよびルーフ部10bおよびに取付けるので、室内から視覚できる部分に当該カラー部材30を配することになり、室内の見栄えをさらに高めることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1および2に記載の発明と同様に、室内の見栄えを高め、製造コストと維持管理費の低廉化を図ることができる。また、カラー部材30の表面に布を巻き、シボを付け、あるいはレーザー照射による表面加工を施して、模様付けを行うので、当該カラー部材30に種々の外観性を持たせることができ、多様な需要に応じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る自動車用ウエザーストリップ10の実施形態を、図4乃至図8に示す。1は自動車ボディパネル、4はドア、4aはフロントドア、4bはリヤドア、2はドア開口部周縁のフランジ部、3は内装材、5は外装材である。本発明は、自動車におけるボディパネル1のドア開口部に沿って取付けられるウエザーストリップであり、シール本体20とカラー部材30で構成される。なお、図5及び図7には、ウエザーストリップ10のルーフ部10bにおける断面図を示し、図6及び図8にはピラー部10aにおける断面図を示している。
【0017】
シール本体20は、ボディパネル1のフランジ部2を挟持して組付く断面略U字状で、その底壁22の車外側に引掛溝23を形成した組付基部21に、ドア4に弾接するシール部25を一体設し、押出成形部Eと型成形部Dを接続して形成している。なお、このシール本体20は黒色のゴム製であり、組付基部21には複数のリップ部24を設けている。また、中空シール部25には、そのほぼ中間部分に所定の剛性を確保するための架橋部27を設けている。
【0018】
カラー部材30は、内装材3に対応した所望の色彩が施され、シール本体20の組付基部21の底壁22から内装材3に至る部分を覆う断面略円弧状である。このカラー部材30は、その先端部を内装材3に弾接させて、当該カラー部材30と内装材3とを、隙間を形成することなく円滑に連続させている。また、その内面から突設した突起片31を、組付基部21の引掛溝23に嵌入して係止させ、シール本体20の押出成形部Eと型成形部Dに連続的に組付けている。
【0019】
また、このカラー部材30は、シール本体20の、ロア部10cの中間部分を除く部分,ピラー部10aおよびルーフ部10bに取付けている。当該カラー部材30は、ゴムや樹脂材を押出成形によって形成している。なお、カラー部材30を樹脂材で形成することにより、多種多様な色彩を比較的容易に施すことができる。
【0020】
本実施形態におけるウエザーストリップ10は、内装材3の色彩に対応した色彩が施されたカラー部材30によって、シール本体20の組付基部21の底壁22から内装材3に至る部分を覆っているので、シール本体20の黒色の見え幅rを狭くして、室内の見栄えを向上させることができる。
【0021】
また、このカラー部材30は押出成形され、シール本体20の押出成形部Eと型成形部Dに連続的に組付けるので、当該押出成形部Eと型成形部Dの接続部分を覆い隠すことができる。従って、室内の見栄えを、さらに高めることができる。
【0022】
また、所望の色彩を施したカラー部材30を適宜選択することにより、同一仕様で成形したシール本体20を使用することができるので、製造コストと共に維持管理費を廉価に抑えることができる。
【0023】
さらに、カラー部材30を、シール本体20のロア部10cの中間部分を除く部分,ピラー部10aおよびルーフ部10bに取付けているので、室内の見栄えをさらに高めることができる。
【0024】
なお、カラー部材30の表面に布を巻き、またはシボを付け、あるいはレーザー照射による表面加工を施して、さらには他の手法によって模様付けを行うことによって、当該カラー部材30に種々の外観性を持たせることができる。従って、多様な需要に対応することができる。
【0025】
また、カラー部材30の断面形状は特に限定されないが、図5・図6に示すように断面略円弧状としてもよいし、図7・図8に示すように断面略平板状としてもよい。車体フランジと内装材の位置関係に合わせて適時、形状を設定することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0026】
発明を実施するための最良な形態においては、ハードトップ車のアウターウエザーストリップを例にとって説明したが、セダン車のインナーウエザーストリップにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来のウエザーストリップを取付けた自動車を示す側面図である。
【図2】図1のD−D線断面図である。
【図3】図1のQ−Q線断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るウエザーストリップを取付けた自動車を示す側面図である。
【図5】図4のS−S線断面図である。
【図6】図4のT−T線断面図である。
【図7】変形実施例における図4のS−S線断面図の別の例である。
【図8】変形実施例における図4のT−T線断面図の別の例である。
【符号の説明】
【0028】
1 ボディパネル
2 フランジ部
3 内装材
4 ドア
4a フロントドア
4b リヤドア
5 外装材
6 ウエザーストリップ
10 ウエザーストリップ
10a ピラー部
10b ルーフ部
10c ロア部
20 シール本体
21 組付基部
22 底壁
23 引掛溝
24 リップ部
25 中空シール部
27 架橋部
30 カラー部材
31 突起片
40 ウエザーストリップ
D 型成形部
E 押出成形部
R 見え幅
r 見え幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車におけるボディパネル(1)のドア開口部に沿って取付けられるウエザーストリップであって、
前記ボディパネルのフランジ部(2)を挟持して組付く断面略U字状で,その底壁(22)の車外側に引掛溝(23)を形成した組付基部(21)に,ドア(4)に弾接するシール部(25)を一体設し,押出成形部(E)と型成形部(D)を接続して形成したシール本体(20)と、
所望の色彩が施され,少なくとも,前記シール本体(20)の組付基部の底壁から内装材(3)に至る部分を覆い,内面から突設した突起片(31)を,前記組付基部の引掛溝に嵌入して,前記シール本体の押出成形部と型成形部に連続的に組付くカラー部材(30)と、からなる自動車用ウエザーストリップ。
【請求項2】
自動車におけるボディパネル(1)のドア開口部に沿って取付けられるウエザーストリップであって、
前記ボディパネルのフランジ部(2)を挟持して組付く断面略U字状で,その底壁(22)の車外側に引掛溝(23)を形成した組付基部(21)に,ドア(4)に弾接するシール部(25)を一体設し,押出成形部(E)と型成形部(D)を接続して形成したシール本体(20)と、
所望の色彩が施され,少なくとも,前記シール本体の組付基部の底壁から内装材(3)に至る部分を覆い,内面から突設した突起片(31)を,前記組付基部の引掛溝に嵌入して,前記シール本体の押出成形部と型成形部に連続的に組付くカラー部材(30)と、とからなり、
前記カラー部材を,前記シール本体の,少なくとも,ロア部(10c)の中間部分を除く部分,ピラー部(10a)およびルーフ部(10b)に取付けてなる自動車用ウエザーストリップ。
【請求項3】
カラー部材(30)の表面に布を巻き、またはシボを付け、あるいはレーザー照射による表面加工を施して、模様付けを行ってなる請求項1または2に記載の自動車用ウエザーストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−175963(P2006−175963A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370348(P2004−370348)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】