説明

自動車用内装材

【課題】架橋発泡体層にポリ乳酸系樹脂を含有する架橋発泡体を用いながら、各種特性をバランスよく充足した自動車用内装材を提供する。
【解決手段】表皮層11と架橋発泡体層12と基材層13とをこの順に備え、表皮層11及び架橋発泡体層12が貼り合わされた複層シートと基材層13形成用材料とが真空成形法により一体化されてなり、表皮層11はポリオレフィン系樹脂a1を含み、架橋発泡体層12はポリ乳酸系樹脂b1と、エチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位を含むポリオレフィン系樹脂b2と、エステル結合を側鎖に含む変性ポリオレフィンb3(EVAなど)と、架橋助剤b4と、を含む組成物が架橋且つ発泡されてなり、組成物に含まれるb1、b2及びb3の合計内でb1が1〜30質量%、b2が65〜89質量%、且つb3が1〜10質量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用内装材に関し、更に詳しくは、生分解性樹脂であるポリ乳酸系樹脂を含む架橋発泡体層を備えた自動車用内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素排出量削減及び二酸化炭素の固定化等の観点から注目され、植物に由来する材料を用いた技術の利用が期待されている。なかでも、ポリ乳酸系樹脂は、その原料を植物から得ることができると共に生分解性を備えており、環境的観点において優れた性能を有している。しかし、その一方で、従来汎用されてきた樹脂に対してそのまま置換適用した場合に、製品内において十分な性能を発揮できない場合も多く、その利用促進において問題となっている。
このポリ乳酸系樹脂は、例えば、特許文献1及び特許文献2に示されるように、発泡体として利用できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−8869号公報
【特許文献2】特開2006−348060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記発泡体を自動車用内装材に活用することを考えた場合、表皮層(A)、架橋発泡体層(B)及び基材層(C)がこの順に積層して一体化された構成内において、架橋発泡体層(B)は、表皮層(A)にクッション感を与えるための層、表皮層(A)と基材層(C)とを接合するための層等として機能させることができる。
【0005】
しかし、実際にこの構造の自動車用内装材とすることを試みると、ポリ乳酸系樹脂を利用したことにより、各層間の十分な接合強度が得られ難い場合があるという課題、及び、十分な耐油性が得られ難い場合があるという課題等を生じることが分かった。更に、環境的観点においてはメリットとなるポリ乳酸系樹脂の生分解性という特性も、自動車用内装材においては耐湿老化性等の特性を低下させかねない背反特性であるために、上記課題に加えて、自動車用内装材として要求されるこれらの各種特性を同時に高度に充足することが求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、表皮層(A)と架橋発泡体層(B)と基材層(C)とをこの順に備える自動車用内装材において、架橋発泡体層(B)にポリ乳酸系樹脂を含有する架橋発泡体を用いながら、各種特性をバランスよく充足した自動車用内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、以下に示す通りである。
1.表皮層(A)と架橋発泡体層(B)と基材層(C)とをこの順に備える自動車用内装材において、
上記表皮層(A)及び上記架橋発泡体層(B)が貼り合わされた複層シートと、基材層(C)と、が真空成形法により一体化されてなり、
上記表皮層(A)は、ポリオレフィン系樹脂(a1)を含み、
上記架橋発泡体層(B)は、ポリ乳酸系樹脂(b1)と、エチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位を含むポリオレフィン系樹脂(b2)と、エステル結合を側鎖に含む変性ポリオレフィン(b3)と、架橋助剤(b4)と、を含む架橋発泡性樹脂組成物が架橋且つ発泡されてなり、
上記架橋発泡性樹脂組成物に含まれる上記ポリ乳酸系樹脂(b1)、上記ポリオレフィン系樹脂(b2)及び上記変性ポリオレフィン(b3)の合計を100質量%とした場合に、ポリ乳酸系樹脂(b1)が1〜30質量%、ポリオレフィン系樹脂(b2)が65〜89質量%、且つ変性ポリオレフィン(b3)が1〜10質量%であることを特徴とする自動車用内装材。
2.上記変性ポリオレフィン(b3)は、カルボン酸ビニルエステル及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる単量体とオレフィンとの共重合体である上記1に記載の自動車用内装材。
3.上記ポリオレフィン系樹脂(b2)は、ポリプロピレン系樹脂(b21)とポリエチレン系樹脂(b22)との2種の樹脂を含有し、
上記ポリプロピレン系樹脂(b21)は、エチレンに基づく単量体単位の含有量が25モル%以下であるエチレン・プロピレン共重合体であり、
上記ポリエチレン系樹脂(b22)は、エチレン単独重合体、及び/又は、エチレンに基づく単量体単位の含有量が70モル%以上である共重合体であり、
上記ポリオレフィン系樹脂(b2)に含まれる上記ポリプロピレン系樹脂(b21)と上記ポリエチレン系樹脂(b22)との合計を100質量%とした場合に、ポリプロピレン系樹脂(b21)が10質量%以上である上記1又は2に記載の自動車用内装材。
4.上記基材層(C)は、ポリ乳酸系樹脂及び天然繊維を含む上記1乃至3のうちのいずれかに記載の自動車用内装材。
5.上記基材層(C)は、ポリオレフィン系樹脂及び天然繊維を含む上記1乃至3のうちのいずれかに記載の自動車用内装材。
6.上記表皮層(A)は、その外表面に型成形された凹凸模様を備える上記1乃至5のうちのいずれかに記載の自動車用内装材。
7.上記表皮層(A)の厚さをtとし、且つ上記架橋発泡体層(B)の厚さをtとした場合に、その厚さの比(t/t)が0.05〜1.0である上記1乃至6のうちのいずれかに記載の自動車用内装材。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動車用内装材によれば、環境負荷を軽減できるポリ乳酸系樹脂(b1)を架橋発泡体層(B)に含有しながら、表皮層(A)と架橋発泡体層(B)と基材層(C)との三層が積層されて、優れたクッション性、外観特性及び触感特性を備えながら、各層間に高い接合強度を確保しつつ、十分な耐油性を発揮でき、耐湿老化性にも優れた自動車用内装材を得ることができる。
変性ポリオレフィン(b3)が、カルボン酸ビニルエステル及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる単量体とオレフィンとの共重合体である場合には、架橋発泡体層(B)に含有させることができるポリ乳酸系樹脂(b1)の量をより多くすることができ、環境負荷軽減効果を更に向上させることができる。
ポリオレフィン系樹脂(b2)が、ポリプロピレン系樹脂(b21)とポリエチレン系樹脂(b22)との2種の樹脂を含有し、ポリプロピレン系樹脂(b21)が、エチレンに基づく単量体単位の含有量が25モル%以下のエチレン−プロピレン共重合体であり、ポリエチレン系樹脂(b22)が、エチレン単独重合体、及び/又は、エチレンに基づく単量体単位の含有量が70モル%以上の共重合体であり、ポリオレフィン系樹脂(b2)に含まれるポリプロピレン系樹脂(b21)とポリエチレン系樹脂(b22)との合計を100質量%とした場合に、ポリプロピレン系樹脂(b21)が10質量%以上である場合は、架橋発泡体層(B)に含有させることができるポリ乳酸系樹脂(b1)の量を多くしつつ、クッション性、耐油性及び耐湿老化性をいずれも特に高度に両立できる。
基材層(C)が、ポリ乳酸系樹脂及び天然繊維を含む場合は、真空成形に対応するための吸気孔を基材層(C)に別途形成する必要がないために、製造工程をより簡略にでき、より効率よく安価に製造できると共に、軽量且つ環境負荷の軽減効果が特に高い自動車用内装材とすることができる。
基材層(C)が、ポリオレフィン系樹脂及び天然繊維を含む場合は、真空成形に対応するための吸気孔を基材層(C)に別途形成する必要がないために、製造工程をより簡略にでき、より効率よく安価に製造できると共に、軽量且つ環境負荷の軽減効果が特に高い自動車用内装材とすることができる。
表皮層(A)が外表面に型成形された凹凸模様を備える場合は、前記各種優れたクッション性、耐油性及び耐湿老化性等を備えながら、特に優れた外観特性及び触感特性を得ることができる。
表皮層(A)の厚さをtとし、且つ架橋発泡体層(B)の厚さをtとした場合に、その厚さの比(t/t)が0.05〜1.0である場合は、真空成形により成形性、特に基材層(C)に対する追従性を高く維持しながら、前記各種優れたクッション性、耐油性及び耐湿老化性等を得ることができ、更に優れた外観特性及び触感特性をも得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の自動車用内装材の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】真空成形法の一例を模式的に説明する説明図である。
【図3】真空成形法の他例を模式的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.自動車用内装材
本発明の自動車用内装材10は、図1に示されるように、表皮層(A)11と架橋発泡体層(B)12と基材層(C)13とをこの順に備え、
上記自動車用内装材は、上記表皮層(A)11及び上記架橋発泡体層(B)12が貼り合わされた複層シート30と、基材層(C)13と、が真空成形法により一体化されてなり、
上記表皮層(A)11は、ポリオレフィン系樹脂(a1)を含み、
上記架橋発泡体層(B)12は、ポリ乳酸系樹脂(b1)と、エチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位を含むポリオレフィン系樹脂(b2)と、エステル結合を側鎖に含む変性ポリオレフィン(b3)と、架橋助剤(b4)と、を含む架橋発泡性樹脂組成物が架橋且つ発泡されてなり、
上記架橋発泡性樹脂組成物に含まれる上記ポリ乳酸系樹脂(b1)、上記ポリオレフィン系樹脂(b2)及び上記変性ポリオレフィン(b3)の合計を100質量%とした場合に、ポリ乳酸系樹脂(b1)が1〜30質量%、ポリオレフィン系樹脂(b2)が65〜89質量%且つ変性ポリオレフィン(b3)が1〜10質量%であることを特徴とする。
【0010】
1−1.表皮層(A)
表皮層(A)は、ポリオレフィン系樹脂(a1)を含む層(図1の11参照)である。また、この表皮層(A)は、通常、本発明の自動車用内装材を構成する上記3層のうちで最も車内側に位置されて、上記架橋発泡体層(B)に面しない表面は意匠面となる層である。
【0011】
この表皮層(A)の形態は特に限定されず、フィルム及びシート等のシート状物、並びに織布及び不織布等の布帛状物が挙げられる。これらのなかではシート状物が好ましい。布帛状物に比べてシート状物は架橋発泡体層(B)との密着性に優れている傾向にある。特に、架橋発泡体層(B)が凹凸形状を有していても、表皮層(A)がシート状物である場合には、架橋発泡体層(B)に対する優れた追従性及び密着性を得ることができる。
【0012】
この表皮層(A)を構成するポリオレフィン系樹脂(a1)は、オレフィンに基づく単量体単位(以下、単に「オレフィン単位」ともいう)を主構成単位とする樹脂である。通常、表皮層(A)をなすポリオレフィン系樹脂(a1)全体に含まれる単量体単位全体を100モル%とした場合に、オレフィン単位は80モル%以上含まれる。このオレフィン単位としては、エチレンに基づく単量体単位(以下、単に「エチレン単位」ともいう)及びプロピレンに基づく単量体単位(以下、単に「プロピレン単位」ともいう)が挙げられる他、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、1―ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、及び5−メチル−1−ヘキセン等から選ばれた成分に基づく単量体単位が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用されてもよい。
【0013】
これらのなかでも主構成単位は、エチレン単位及び/又はプロピレン単位であることが好ましく、特にポリオレフィン系樹脂(a1)全体に含まれる単量体単位全体を100モル%とした場合に、エチレン単位及びプロピレン単位は合計で80モル%以上含まれることが好ましく、85モル%以上含まれることがより好ましく、90モル%以上含まれることが特に好ましく、100モル%であってもよい。更に、2種以上の構成単位が含まれる場合(即ち、共重合体)は、ランダム共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体)であってもよく、ブロック共重合体(例えば、エチレン・プロピレンブロック共重合体)であってもよい。
【0014】
また、ポリオレフィン系樹脂(a1)は、ゴム特性を有さないものであってもよいが、ゴム特性を有するものであることが好ましい。ゴム特性を有するポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、単に「TPO」ともいう)が挙げられる。このTPOは、通常、非ゴム性ポリオレフィン系重合体とゴム性ポリオレフィン系共重合体との混合物である。非ゴム性ポリオレフィン系重合体とゴム性ポリオレフィン系共重合体とは、架橋されていてもよく、架橋されていなくてもよい。
【0015】
このうち、非ゴム性ポリオレフィン系重合体としては、エチレン単位及び/又はプロピレン単位を主構成単位とし、特に非ゴム性ポリオレフィン系重合体全体に含まれる単量体単位全体を100モル%とした場合に、エチレン単位及びプロピレン単位は合計で80モル%以上含まれることが好ましく、85モル%以上含まれることがより好ましく、90モル%以上含まれることが特に好ましく、100モル%であってもよい。更に、2種以上の構成単位が含まれる場合(即ち、共重合体)は、ランダム共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体)であってもよく、ブロック共重合体(例えば、エチレン・プロピレンブロック共重合体)であってもよい。これらのなかではプロピレン単独重合体が好ましい。
一方、ゴム性ポリオレフィン系共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPM)及びエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0016】
また、この表皮層(A)には、ポリオレフィン系樹脂(a1)以外に他の成分を含有できる。他の成分の含有量は特に限定されないものの、通常、表皮層(A)に含まれる上記ポリオレフィン系樹脂(a1)の量を100質量部とした場合に10質量部以下である。他の成分としては、各種酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等)、各種光安定剤(ヒンダードアミン系光安定剤等)、各種紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等)、滑剤(ステアリン酸化合物等)、帯電防止剤、軟化剤(鉱物油及びプロセスオイル等)、可塑剤、顔料、充填剤(タルク等)、難燃剤、難燃助剤、抗菌剤、及び防臭剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0017】
また、この表皮層(A)の厚さは特に限定されないが、0.2〜1.0mmとすることが好ましい。この範囲の厚さであれば、真空成形において高い賦形性を得ることができると共に、十分な強度を得ることができ、特に引っ掻き及び突き刺し等に対して高い耐久性を付与することができ、自動車用内装材として好適な特性を得ることができる。この厚さは、0.3〜0.9mmとすることがより好ましく、0.35〜0.7mmとすることが更に好ましい。
【0018】
また、この表皮層(A)の厚さと他の層との厚さの相関は特に限定されないが、表皮層(A)の厚さをtとし、且つ架橋発泡体層(B)の厚さをtとした場合に、その厚さの比(t/t)は0.05〜1.0とすることが好ましい。この範囲であれば、真空成形において高い賦形性を得ることができると共に、十分な強度を得ることができ、特に引っ掻き及び突き刺し等に対して高い耐久性を付与することができ、自動車用内装材として好適な特性を得ることができる。この厚さの比(t/t)は、0.1〜0.8とすることがより好ましく、0.11〜0.75とすることが更に好ましい。
【0019】
更に、この表皮層(A)の硬度は特に限定されないものの、ショアA硬度が70〜90であることが好ましい。この範囲の硬度であれば、真空成形において高い賦形性を得ることができると共に、十分な強度を得ることができ、特に引っ掻き及び突き刺し等に対して高い耐久性を付与することができ、自動車用内装材として好適な特性を得ることができる。この硬度は、75〜85とすることがより好ましく、77〜83とすることが更に好ましい。
【0020】
この表皮層(A)は、どのようにして得られたものであってもよい。特に、表皮層(A)を形成する材料がシート状物である場合には、このシート状物は、Tダイ等の各種シート形状に対応した金口から押し出す押出成形法、カレンダー成形法及び二軸延伸法等の方法で製造できる。
【0021】
更に、この表皮層(A)は、その外表面に形成された凹部111等によって、凹凸模様を備えることができる。凹凸模様としては、シボ模様(皮シボ模様)、梨地模様及びヘアーライン模様等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。この凹凸模様は型成形された模様である。型成形された模様とは、加熱した表皮層(A)形成用材料又は表皮層(A)の表面を金型に押し当てて、予め金型の内表面に形成された凹凸模様を転写して形成することである。即ち、この型成形にはエンボス加工等が含まれる。上記表皮層(A)が凹凸模様を備える場合には、装飾効果を得ることができ、美しい意匠面を形成できる。更に、表皮層(A)の感触を向上させることができ、更に、耐摩擦特性をも向上させることができる。
【0022】
1−2.架橋発泡体層(B)
上記架橋発泡体層(B)は、ポリ乳酸系樹脂(b1)と、ポリオレフィン系樹脂(b2)と、変性ポリオレフィン(b3)と、架橋助剤(b4)と、を含む架橋発泡性樹脂組成物が架橋且つ発泡されてなる層(図1の12参照)である。この層(B)を備えることにより、本発明の自動車用内装材全体として優れたクッション性を得ることができる。また、この架橋発泡体層(B)を形成する材料の形態は特に限定されないが、通常、フィルム及びシート等のシート状物である。
【0023】
1−2−1.ポリ乳酸系樹脂(b1)
ポリ乳酸系樹脂(b1)は、乳酸及び/又はラクチドに基づく単量体単位を主構成単位(以下、単に「乳酸単位」ともいう)とする樹脂である。上記乳酸にはL−乳酸及びD−乳酸が含まれ、上記ラクチドにはL−ラクチド、D−ラクチド、メソ−ラクチド及びDL−ラクチドが含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種を併用してもよい。上記乳酸単位の割合は、特に限定されないが、通常、ポリ乳酸系樹脂(b1)を構成する構成単位の全量を100モル%とした場合に、乳酸単位は70モル%以上(100モル%であってもよい)含まれる。
【0024】
更に、ポリ乳酸系樹脂(b1)は、乳酸単位以外に、乳酸及びラクチド以外の単量体に基づく構成単位(以下、単に「他の単位」ともいう)を含むことができる。この他の単位を含む場合、ポリ乳酸系樹脂(b1)を構成する構成単位の全量を100モル%とした場合、他の単位は、通常、30モル%以下(他の単位が含有される場合の下限値は、通常、1モル%以上)であり、10モル%以下とすることが好ましい。
【0025】
上記他の単位となる乳酸及びラクチド以外の単量体としては、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、及びラクトン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に具体的なこれら各単量体は、上記多価カルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、及び5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。これらの多価カルボン酸は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらの多価アルコールは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸及びリンゴ酸等が挙げられる。これらのヒドロキシカルボン酸は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上記ラクトンとして、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、及びδ−バレロラクトン等が挙げられる。これらのラクトンは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0026】
ポリ乳酸系樹脂(b1)の分子量及び分子量分布は特に限定されないが、重量平均分子量の下限値は10,000以上であることが好ましい。一方、重量平均分子量の上限値は800,000以下であることが好ましい。この範囲では、複層シートとした場合、並びに、複層シート及び基材層(C)形成用材料を接合した時において、成形性に優れ、また、架橋発泡体層(B)における相構造を制御し易い。この重量平均分子量の下限値は、50,000以上であることがより好ましく、100,000以上であることが更に好ましい。一方、この上限値は、600,000以下であることがより好ましく、400,000以下であることが更に好ましい。尚、ここでいう重量平均分子量は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算した重量平均分子量である。
【0027】
更に、このポリ乳酸系樹脂(b1)のカルボキシル基末端濃度は特に限定されないが、0〜20当量/tonであることが好ましい。この範囲ではポリ乳酸系樹脂の加水分解を抑制して、架橋発泡体層(B)において優れた耐老化性(特に高温高湿下における曲げ強さを効果的に維持できる)を得ることができる。この濃度は、更に0〜15当量/tonとすることがより好ましく、0〜10当量/tonとすることがより好ましい。このカルボキシル基末端濃度は、測定対象であるポリ乳酸系樹脂(b1)をクロロホルムに溶解した後、ベンジルアルコール(相溶化剤)及びフェノールフタレイン(酸塩基指示薬)を加え、水酸化カリウムの所定濃度エタノール溶液で滴定して測定される。
【0028】
尚、上記カルボキシル基末端濃度を好ましい範囲とするために、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物及びアジリジン化合物等の付加反応型化合物等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これによりポリ乳酸系樹脂のカルボキシル末端を封鎖することができ、上記好ましい範囲のカルボキシル基末端濃度を得ることができる。
【0029】
架橋発泡性樹脂組成物に含まれるポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)及び変性ポリオレフィン(b3)の合計を100質量%とした場合に、このポリ乳酸系樹脂(b1)は1〜30質量%である。この範囲では、ポリ乳酸を含有しながら優れた発泡性状と柔軟性を発揮できると共に、各種耐久性(耐油性、耐湿老化性等)にも優れた架橋発泡体層(B)とすることができる。この含有量は1〜25質量%がより好ましく、1〜22質量%が更に好ましい。
【0030】
1−2−2.ポリオレフィン系樹脂(b2)
ポリオレフィン系樹脂(b2)は、エチレン単位及びプロピレン単位を含む樹脂である。このエチレン単位及びプロピレン単位は、1種の樹脂内に両方が含まれてもよく、異なる樹脂内に各々別々に含有されてもよい。即ち、例えば、ポリオレフィン系樹脂(b2)としては、(1)プロピレン単位を主成分とし且つエチレン単位を副成分とするポリプロピレン系樹脂(b21)と、エチレン単位を主成分とし且つプロピレン単位以外の他の単位を副成分とするポリエチレン系樹脂(b22)と、の混合物、(2)プロピレン単位を主成分とし且つエチレン単位以外の他の単位を副成分とするポリプロピレン系樹脂と、エチレン単位を主成分とし且つプロピレン単位以外の他の単位を副成分とするポリエチレン系樹脂と、の混合物、(3)プロピレン単位を主成分とし且つエチレン単位を副成分とするポリプロピレン系樹脂と、エチレン単位を主成分とし且つプロピレン単位を副成分とするポリエチレン系樹脂と、の混合物、(4)プロピレン単位を主成分とし且つエチレン単位以外の他の単位を副成分とするポリプロピレン系樹脂と、エチレン単位を主成分とし且つプロピレン単位以外の他の単位を副成分とするポリエチレン系樹脂と、の混合物、(5)プロピレン単位を主成分とし且つエチレン単位を副成分とするポリプロピレン系樹脂(b21)、(6)エチレン単位を主成分とし且つプロピレン単位を副成分とするポリエチレン系樹脂、等が挙げられる。
【0031】
上記(1)〜(6)における各主成分とは、特に後述しない限り各樹脂を構成する構成単位全体を100モル%とした場合に60モル%以上であることを意味し、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。同様に、副成分は各樹脂を構成する構成単位全体を100モル%とした場合に40モル%以下であることを意味し、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。更に、上記(1)〜(6)で示した共重合体において、共重合形態は特に限定されず、ブロック共重合体及びランダム共重合体等が含まれる。また、上記他の単位には、酢酸ビニル等の後述する変性ポリオレフィン(b3)を構成するエステル結合を有する単量体に基づく単位は除くものとする。特に後述しない限り、この他の単位となる他の単量体としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン及び1−オクタデセン等のα−オレフィンが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0032】
更に、ポリオレフィン系樹脂(b2)は、前記表皮層(A)を構成するポリオレフィン系樹脂(a1)と同じであってもよいが、通常、異なっている。更に、ポリオレフィン系樹脂(b2)は、通常、ゴム特性を有さないものである。
【0033】
ポリオレフィン系樹脂(b2)としては、上記(1)〜(6)のなかでも、上記(1)及び上記(5)が好ましい。
このうち、上記(1)及び(5)にいうポリプロピレン系樹脂(b21)は、このポリプロピレン系樹脂(b21)を構成する構成単位全量を100モル%とした場合に、プロピレン単位は75〜99モル%且つエチレン単位は1〜25モル%であることが好ましい。この範囲では、後述する好ましい示差走査熱量分析曲線のピーク温度(融点)及びMFRをより得やすく、耐熱性及び発泡性に優れる。更に、プロピレン単位は80〜99モル%以上且つエチレン単位は1〜20モル%であることがより好ましく、プロピレン単位は85〜98モル%且つエチレン単位は2〜15モル%であることが更に好ましく、プロピレン単位は90〜98モル%且つエチレン単位は2〜10モル%であることが特に好ましく、プロピレン単位は95〜98モル%且つエチレン単位は2〜5モル%であることがとりわけ好ましい。
【0034】
ポリプロピレン系樹脂(b21)の分子量及び分子量分布は特に限定されないが、重量平均分子量の下限値は150,000以上であることが好ましい。一方、重量平均分子量の上限値は500,000以下であることが好ましい。これらの範囲では、複層シートとした場合並びに複層シート及び基材層(C)形成用材料を接合した場合においても成形性に優れ、また、架橋発泡体層(B)における相構造を制御し易い。この重量平均分子量の下限値は、200,000以上であることがより好ましく、250,000以上であることが更に好ましい。一方、この上限値は、450,000以下であることがより好ましく、400,000以下であることが更に好ましい。尚、ここでいう重量平均分子量は、溶媒としてo−ジクロロベンゼンを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、ポリスチレン換算した重量平均分子量である。
【0035】
更に、ポリプロピレン系樹脂(b21)の熱的特性は特に限定されないが、示差走査熱量分析曲線のピーク温度(以下、単に「融点」ともいう)は125〜170℃が好ましい。この範囲であれば、架橋発泡体層(B)に高い耐熱性が得られると共に、架橋発泡性樹脂組成物を用いて架橋及び発泡させて架橋発泡体層(B)形成用材料を成形する際の成形機(押出機等)内における発泡剤の分解を抑制し、より均一な発泡セルを有する架橋発泡体層(B)形成用材料を得ることができる。この融点は更に130〜160℃であることがより好ましい。
【0036】
また、ポリプロピレン系樹脂(b21)のMFRは特に限定されないが、0.1〜30g/10分であることが好ましい。この範囲であれば、架橋発泡性樹脂組成物を用いて架橋及び発泡させて架橋発泡体層(B)形成用材料を成形する際の成形機(押出機等)内における発泡剤の分解を抑制し、より均一な発泡セルを有する架橋発泡体層(B)形成用材料を得ることができる。そして、引張強度及び伸び等の機械的特性を高く維持でき、衝撃等による発泡破壊も抑制できるので、特にクッション性に優れた架橋発泡体層(B)を得ることができる。このMFRは更に0.5〜10g/10分であることがより好ましい。
尚、ここでいうポリプロピレン系樹脂(b21)のMFRは、JIS K7210(1999年)に準じて、温度230℃且つ荷重2.16kgfの条件で測定した値である。
【0037】
また、ポリオレフィン系樹脂(b2)が上記(1)である場合においていうポリエチレン系樹脂(b22)は、ポリエチレン系樹脂(b22)を構成する構成単位全量を100モル%とした場合に、エチレン単位を70モル%以上含む共重合体である。この共重合体であれば、後述する好ましい示差走査熱量分析曲線のピーク温度(融点)及びMFRをより得やすく、耐熱性及び発泡性に優れる。更に、エチレン単位は70〜99モル%且つ他の単位は1〜30モル%であることが好ましく、エチレン単位は75〜98モル%且つ他の単位は2〜25モル%であることがより好ましく、エチレン単位は80〜97モル%且つ他の単位は3〜20モル%であることが更に好ましい。
【0038】
また、このポリエチレン系樹脂(b22)としては、いわゆる、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、更には、直鎖状低密度ポリエチレン等が含まれる。即ち、例えば、ポリエチレン系樹脂(b22)の密度は0.915〜0.970g/cmが好ましい。この範囲では十分な強度と耐熱性とを両立させることができる。この密度は更に0.920〜0.960g/cmがより好ましい。これらのなかでも、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。即ち、例えば、ポリエチレン系樹脂(b22)の密度は0.915〜0.945g/cmが好ましい。更には、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0039】
また、上記他の単位を形成する単量体の種類は特に限定されないが、特にα−オレフィンが好ましい。このα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。これらは1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、炭素数3〜12のα−オレフィンが好ましく、特に1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、及び1−オクテンのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0040】
ポリエチレン系樹脂(b22)の分子量及び分子量分布は特に限定されないが、重量平均分子量の下限値は80,000以上であることが好ましい。一方、重量平均分子量の上限値は400,000以下であることが好ましい。これらの範囲では、複層シートとした場合並びに複層シート及び基材層(C)形成用材料を接合した場合においても成形性に優れ、また、架橋発泡体層(B)における相構造を制御し易い。この重量平均分子量の下限値は、100,000以上であることがより好ましく、110,000以上であることが更に好ましい。一方、この上限値は、380,000以下であることがより好ましく、350,000以下であることが更に好ましい。尚、ここでいう重量平均分子量は、溶媒としてo−ジクロロベンゼンを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、ポリスチレン換算した重量平均分子量である。
【0041】
また、ポリエチレン系樹脂(b22)のMFRは特に限定されないが、0.5〜30g/10分であることが好ましい。この範囲であれば、架橋発泡性樹脂組成物を用いて架橋及び発泡させて架橋発泡体層(B)形成用材料を成形する際の成形機(押出機等)内における発泡剤の分解を抑制し、より均一な発泡セルを有する架橋発泡体層(B)形成用材料を得ることができる。そして、引張強度及び伸び等の機械的特性を高く維持でき、表皮層(A)とのマッチングにも優れている。このMFRは更に1.0〜15g/10分であることがより好ましく、1.5〜8g/10分であることがより好ましい。
尚、ここでいうポリエチレン系樹脂(b22)のMFRは、JIS K7210(1999年)に準じて、温度190℃且つ荷重2.16kgfの条件で測定した値である。
【0042】
ポリオレフィン系樹脂(b2)としては、前述のように、上記(1)又は上記(5)が好ましいが、なかでも上記(1)が好ましい。即ち、ポリプロピレン系樹脂(b21)とポリエチレン系樹脂(b22)との両方が含まれることが好ましい。このうちポリプロピレン系樹脂(b21)は耐熱性及び耐油性を向上させることに大きく寄与され、ポリエチレン系樹脂(b22)は低温における耐衝撃性及びクッション性を向上させることに大きく寄与される。従って、これら両方が含有されることで、物性バランスに優れた架橋発泡体層(B)を得ることができる。
【0043】
ポリオレフィン系樹脂(b2)が、ポリプロピレン系樹脂(b21)とポリエチレン系樹脂(b22)との両方の樹脂を含有する場合は、これらの合計を100質量%とした場合に、ポリプロピレン系樹脂(b21)の割合は10〜90質量%とすることが好ましく、30〜80質量%とすることがより好ましく、40〜70質量%とすることが特に好ましい。
【0044】
架橋発泡性樹脂組成物に含まれるポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)及び変性ポリオレフィン(b3)の合計を100質量%とした場合に、このポリオレフィン系樹脂(b2)は65〜89質量%である。この範囲では、ポリ乳酸系樹脂(b1)を可能な限り多く含有しながら優れた発泡性状と柔軟性を発揮できると共に、各種耐久性(耐油性、耐湿老化性等)にも優れた架橋発泡体層(B)とすることができる。この含有量は65〜85質量%がより好ましく、70〜80質量%が更に好ましい。
【0045】
1−2−3.変性ポリオレフィン(b3)
変性ポリオレフィン(b3)は、エステル結合(−CO−O−)を側鎖に含む樹脂である{変性ポリオレフィン(b3)には、エステル結合を主鎖に含むポリエステルは含まれない}。架橋発泡性樹脂組成物が、この変性ポリオレフィン(b3)を含有することで、ポリ乳酸系樹脂(b1)とポリオレフィン系樹脂(b2)との相溶性を向上させることができる。
この変性ポリオレフィン(b3)が有するエステル結合は、(1)エステル結合を有する単量体を用いた重合により導入されたものであってもよく、(2)エステル結合を有さないポリマーに対してグラフト導入されたものであってもよい。これらのうちでは、前者(1)が好ましい。上記(1)の場合において、変性ポリオレフィン(b3)は、エステル結合を有する単量体のみを用いた単独重合体であってもよいが、通常、エステル結合を有する単量体と他の単量体との共重合体である。
【0046】
上記エステル結合を有する単量体としては、エステル結合と重合性不飽和結合との両方を備える単量体であれば特に制限されず用いることができる。このエステル結合と重合性不飽和結合との両方を備える単量体としては、カルボン酸ビニルエステル及び(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0047】
このうちカルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酢酸1−ブテニル、ピバル酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル及びソルビン酸ビニル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0048】
また、(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、及びメタクリル酸ビニルが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、カルボン酸ビニルエステルが好ましく、更には、酢酸ビニルが好ましい。
【0049】
一方、他の単量体としては各種オレフィンが挙げられる。即ち、エチレン、プロピレン及びα−オレフィン等が挙げられる。更に、α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン及び1−オクタデセン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、他の単量体としてはエチレンが好ましい。
【0050】
従って、上記変性ポリオレフィン(b3)としては、酢酸ビニルに基づく単量体単位(以下、単に「酢酸ビニル単位」ともいう)と、エチレンに基づく単量体単位(エチレン単位)と、を含むエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、単に「EVA」ともいう)であることが特に好ましい。
このEVAにおける酢酸ビニル単位及びエチレン単位の含有量は特に限定されないが、EVAに含まれる構成単位全体を100モル%とした場合に、酢酸ビニル単位とエチレン単位とを合計で95モル%以上(100モル%であってもよい)含有することが好ましい。また、EVAに含まれる構成単位全体を100モル%とした場合に、酢酸ビニル単位は5〜25モル%であることが好ましい。この範囲であれば、ポリ乳酸系樹脂(b1)とポリオレフィン系樹脂(b2)との相溶化効果に優れ、ポリ乳酸系樹脂(b1)の含有量をより効果的に増大させることができると共に、適度な結晶性を得ることができてハンドリング性にも優れる。この含有量は、更に7〜23モル%であることがより好ましく、9〜21モル%であることが特に好ましい。
【0051】
更に、このEVAの分子量及び分子量分布は特に限定されないが、重量平均分子量の下限値は150,000以上であることが好ましい。一方、重量平均分子量の上限値は500,000以下であることが好ましい。この重量平均分子量の下限値は、200,000以上であることがより好ましく、250,000以上であることが更に好ましい。一方、この上限値は、450,000以下であることがより好ましく、400,000以下であることが更に好ましい。尚、ここでいう重量平均分子量は、溶媒としてクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、ポリスチレン換算した重量平均分子量である。
【0052】
架橋発泡性樹脂組成物に含まれるポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)及び変性ポリオレフィン(b3)の合計を100質量%とした場合に、変性ポリオレフィン(b3)は、1〜10質量%である。この範囲では、ポリ乳酸系樹脂(b1)の含有量を可能な限り多くしつつ、十分にポリオレフィン系樹脂(b2)と相溶化させることができと共に、外観性、各種耐久性及び製造時のハンドリング性にも優れている。この含有量は2〜9質量%がより好ましく、3〜8質量%が更に好ましい。
【0053】
1−2−4.架橋助剤(b4)
架橋助剤(b4)は、ポリ乳酸系樹脂(b1)の架橋、更には、ポリオレフィン系樹脂(b2)の架橋、を可能とする成分である。架橋発泡性樹脂組成物がこの架橋助剤(b4)を含有することで、通常架橋が困難なポリ乳酸系樹脂(b1)及びポリオレフィン系樹脂(特にポリプロピレン系樹脂(b21))等を架橋できる。このポリ乳酸系樹脂(b1)及びポリオレフィン系樹脂(b2)を架橋させることで、得られる架橋発泡体層(B)に優れた耐熱性及び成形性を付与することができる。この架橋助剤(b4)としては、通常、分子内に複数の二重結合又は三重結合を有する多官能性モノマー(多官能性化合物)を用いる。
【0054】
このような架橋助剤(b4)としては、ジビニルベンゼン;1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート等のアクリレート系又はメタクリレート系化合物;トリメリット酸トリアリルエステル、ピロメリット酸トリアリルエステル、シュウ酸ジアリル等のカルボン酸のアリルエステル;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌール酸又はイソシアヌール酸のアリルエステル;N−フェニルマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;フタル酸ジプロパギル、およびマレイン酸ジプロパギル等の2個以上の三重結合を有する化合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、及びトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
【0055】
架橋発泡性樹脂組成物に含まれるポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)及び変性ポリオレフィン(b3)の合計を100質量部とした場合に、架橋助剤(b4)は外配合で1〜10質量部が好ましい。この範囲では、優れた架橋効果が得られると共に、外観性にも優れた発泡性状を得ることができる。この含有量は2〜8質量部であることがより好ましく、2〜7質量部であることが特に好ましい。
【0056】
1−2−5.発泡剤(b5)
架橋発泡性樹脂組成物には、ポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)、変性ポリオレフィン(b3)及び架橋助剤(b4)以外に、通常、発泡剤(b5)が含有される。発泡剤(b5)の種類は特に限定されず、種々の発泡剤を用いることができるが、なかでも、熱分解型発泡剤が好ましく、更には、有機系熱分解型発泡剤が好ましい。この有機系熱分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、アゾジアミノベンゼン、アゾジシクロヘキシルニトリル、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N′−ジメチル−N,N−ジニトロソテレフタルアミド、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホニルヒドラジド、4,4′−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンホルマニルアジド等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0057】
発泡剤(b5)を用いる場合、発泡剤(b5)の配合量は特に限定されないが、ポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)、変性ポリオレフィン(b3)及び架橋助剤(b4)の合計を100質量部とした場合に、通常、1〜50質量部である。この範囲では、優れた発泡性を得つつ、架橋発泡体層(B)における強度及び耐熱性に優れる。更にこの配合量は1〜25質量部であることがより好ましい。
【0058】
また、上記発泡剤(b5)の分解温度を調節できる分解温度調節剤を、発泡剤(b5)と共に含有できる。この分解温度調節剤としては、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛及び尿素等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0059】
1−2−6.架橋発泡性樹脂組成物に含有できる他の成分
架橋発泡性樹脂組成物には、ポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)、変性ポリオレフィン(b3)、架橋助剤(b4)及び発泡剤(b5)以外に他の成分を含有できる。他の成分が含有される場合、その含有量は特に限定されないが、架橋発泡性樹脂組成物に含有されるポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)及び変性ポリオレフィン(b3)の合計を100質量部とした場合に、通常、他の成分は5質量部以下である。
【0060】
更に、その他の成分として、多官能カルボジイミド化合物や多官能エポキシ化合物等の末端封鎖剤、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、生分解促進剤、発泡剤分解促進剤、ブロッキング防止剤、増粘剤、気泡安定剤、金属害防止剤、各種酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等)、各種光安定剤(ヒンダードアミン系光安定剤等)、各種紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等)、滑剤(ステアリン酸化合物等)、帯電防止剤、軟化剤(鉱物油及びプロセスオイル等)、可塑剤、顔料、充填剤(タルク等)、難燃剤、難燃助剤、抗菌剤、及び防臭剤等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0061】
1−2−7.架橋発泡性樹脂組成物の調製及び架橋発泡体層(B)形成用材料の作製
架橋及び発泡されて架橋発泡体層(B)となる架橋発泡性樹脂組成物の調製方法等は特に限定されないが、通常、ポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)、変性ポリオレフィン(b3)及び架橋助剤(b4)が含まれた樹脂組成物と発泡剤(b5)とを混合した後、各種混練機(単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー及びミキシングロール等)により、発泡剤(b5)の分解温度(発泡温度)以下の温度で溶融混練して得ることができる。この架橋発泡性樹脂組成物は、その後、更に、シート状に成形して、未架橋のシート状物として得ることができる。
【0062】
更に、架橋発泡性樹脂組成物(シート状物等の架橋発泡性樹脂組成物からなる成形体)は、その後、架橋及び発泡をさせる工程を要する。架橋工程及び発泡工程は、各々別々に行ってもよく、同時に行ってもよい。
【0063】
このうち架橋方法は特に限定されず種々の方法を用いることができる。即ち、例えば、電離性放射線照射を用いる方法、及び、有機過酸化物(架橋開始剤)を用いる方法が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく併用してもよい。これらのうちでは、電離性放射線照射を用いる方法が好ましい。この電離性放射線照射における電離性放射線としては、電子線、X線、β線及びγ線等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、電離性放射線の照射量は特に限定されないが、1〜300kGyとすることが好ましい。この電離性放射線照射により、架橋発泡性樹脂組成物からなる成形体は、架橋された且つ未発泡の発泡性樹脂成形体となる。通常、この架橋された且つ未発泡の発泡性樹脂成形体は、その後、発泡剤(b5)の分解温度以上の温度に加熱して発泡させて架橋発泡体層(B)形成用材料が得られる。
尚、架橋を行うタイミングは特に限定されず、発泡前、発泡中及び発泡後のいずれでもあってもよく、これらのうちの2つ以上の期間にわたって継続的に行ってもよい。
【0064】
一方、発泡方法は特に限定されず、用いる発泡剤(b5)に適した種々の方法を用いることができる。架橋発泡性樹脂組成物が、発泡剤(b5)として、熱分解型発泡剤を含む場合には、発泡剤(b5)の分解温度以上であり、且つ、最も融点が高い樹脂のこの融点以上の温度(例えば、190〜290℃)にまで、架橋発泡性樹脂組成物又は架橋された且つ未発泡の発泡性樹脂成形体を加熱して発泡させることができる。
この際の加熱方法は特に限定されないが、例えば、熱風、赤外線、メタルバス、オイルバス及びソルトバス等を用いた加熱方法が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0065】
更に、架橋を発泡前及び/又は発泡中に行う場合には、ポリ乳酸系樹脂(b1)とポリオレフィン系樹脂(b2)と変性ポリオレフィン(b3)との架橋差を小さく保つことが好ましい。この架橋差を小さく保つことにより、より均一な発泡性状の架橋発泡体層(B)形成用材料を得ることができる。この架橋差を小さく保つことは、具体的には、各樹脂(b1)、(b2)及び(b3)の各々でのゲル分率の差の絶対値を0〜50の範囲とすることで達成できる。このゲル分率の差の絶対値は0〜35とすることが好ましい。尚、上記ゲル分率の差の絶対値が50を超える場合であっても、電離性放射線の照射回数を増加させたり、有機過酸化物として複数種の多官能性モノマーを用いたり、架橋させる際の温度を調整したりすることにより、得られる発泡性状を向上させることもできる。
【0066】
1−2−8.架橋発泡体層(B)の形態
また、この架橋発泡体層(B)形成用材料を用いて得られた、架橋発泡体層(B)の厚さは特に限定されないが、1.0〜3.0mmとすることが好ましい。この範囲の厚さであれば、真空成形において高い賦形性を得ることができると共に、十分な強度を得ることができ、特に引っ掻き及び突き刺し等に対して高い耐久性を付与することができ、自動車用内装材として好適な特性を得ることができる。この厚さは、1.2〜2.8mmとすることがより好ましく、1.3〜2.7mmとすることが更に好ましい。
【0067】
更に、この架橋発泡体層(B)の発泡状態は特に限定されないが、その密度(発泡体密度)において20〜140kg/mであることが好ましい。この範囲では、自動車用内装材として用いる場合に、軽量で且つ薄くとも十分なクッション性を得ることができる。また、ポリ乳酸系樹脂(b1)含有量を高めつつ、優れた外観特性及び触感特性を備え、高い耐油性、耐湿老化性を得ることができる。この密度は30〜120kg/mがより好ましく、45〜100kg/mが更に好ましい。尚、密度の測定は、JIS K6767(発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法)による。
【0068】
1−3.基材層(C)
基材層(C)は、前記表皮層(A)及び架橋発泡体層(B)を支持する層(図1の13参照)である。この基材層(C)は、どのような材料から構成されてもよいが、通常、基材層(C)全体として熱可塑性が得られることとなる材料から構成される。従って、通常、熱可塑性樹脂が含有される。
【0069】
基材層(C)を構成することができる熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず種々のものを用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂(メタクリレート及び/又はアクリレート等を用いて得られた樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂(メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、及びMBS樹脂(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0070】
上記のうち、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体(エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンゴムを含む)等が挙げられる。この他にも前記表皮層(A)を構成するポリオレフィン系樹脂(a1)及び前記架橋発泡体層(B)を形成する架橋発泡性樹脂組成物に含まれるポリオレフィン系樹脂(b2)として挙げた全ての樹脂が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、基材層(C)におけるポリオレフィン系樹脂と、前記表皮層(A)におけるポリオレフィン系樹脂(a1)と、は同じであってもよく異なっていてもよい。また、基材層(C)におけるポリオレフィン系樹脂と、前記架橋発泡体層(B)におけるポリオレフィン系樹脂(b2)と、は同じであってもよく異なっていてもよい。
【0071】
また、上記ポリエステル樹脂としては、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂及びセルロース系ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネート・カーボネート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち上記ポリ乳酸系樹脂としては、前記架橋発泡体層(B)を形成する架橋発泡性樹脂組成物に含まれるポリ乳酸系樹脂(b1)として挙げた全ての樹脂が挙げられる。また、基材層(C)を構成するポリ乳酸系樹脂と、前記架橋発泡体層(B)を形成する架橋発泡性樹脂組成物に含まれるポリ乳酸系樹脂(b1)とは同じであってもよく異なっていてもよい。
芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
セルロース系ポリエステル樹脂(生分解性セルロースエステル)としては、酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、硝酸セルロース、硫酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、硝酸酢酸セルロース等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0072】
更に、上記アクリル樹脂としては、ポリアクリロニトリル及びポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ポリアミド樹脂としては、ポリカプロラクタム(ナイロン6)及びポリヘキサメチレンジアミド(ナイロン66)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0073】
その他の熱可塑性樹脂としては、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリロイシン等のポリペプチド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0074】
これらの熱可塑性樹脂のなかでも、生分解性を発現させることができ、更には、原料として天然材料を用いることができるという環境的特性に優れる点から、ポリ乳酸系樹脂又はセルロース系ポリエステル樹脂が好ましく、なかでも、機械的特性及び耐久性等において優れた性能を発揮させることができる点からポリ乳酸系樹脂が特に好ましい。
【0075】
基材層(C)にポリ乳酸系樹脂を用いる場合、その分子量及び分子量分布は特に限定されないが、重量平均分子量の下限値は10,000以上であることが好ましい。一方、重量平均分子量の上限値は800,000以下であることが好ましい。この範囲では、基材層(C)に優れた機械的特性を得ることができる。この重量平均分子量の下限値は、50,000以上であることがより好ましく、100,000以上であることが更に好ましい。一方、この上限値は、600,000以下であることがより好ましく、400,000以下であることが更に好ましい。尚、ここでいう重量平均分子量は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算した重量平均分子量である。
【0076】
更に、基材層(C)におけるポリ乳酸系樹脂のカルボキシル基末端濃度は特に限定されないが、20当量/ton以下であることが好ましい。この範囲ではポリ乳酸系樹脂の加水分解を抑制して、基材層(C)において優れた耐老化性(特に高温高湿下における曲げ強さを効果的に維持できる)を得ることができる。この濃度は、更に0〜15当量/tonとすることがより好ましく、0〜10当量/tonとすることがより好ましい。このカルボキシル基末端濃度は前記ポリ乳酸系樹脂(b1)と同様である。また、このカルボキシル基末端濃度の制御方法についても同様である。
【0077】
更に、基材層(C)には、上記熱可塑性樹脂と共に有機天然材料を用いることができる。有機天然材料は、天然材料からなる有機質の成分であり、天然繊維及び非繊維質植物性材料が挙げられる。このうち天然繊維としては、植物性繊維及び蛋白繊維(獣毛繊維及び絹繊維等)が挙げられる。これらのうちでは植物精繊維及び非繊維質植物性材料が好ましい。
【0078】
植物性繊維は植物に由来する繊維であり、セルロース繊維とも称される。植物性繊維としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花等の各種植物体から得られた繊維が挙げられる。この植物性繊維は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0079】
また、上記植物性繊維として用いる植物体の部位は特に限定されず、繊維を採取できればよく、非木質部、茎部、根部、葉部及び木質部等の植物体を構成するいずれの部位であってもよい。即ち、各部から採取される繊維としては、靱皮繊維(ケナフ、ローゼル、アサ、アマ、ラミー、ジュート及びヘンプ等)、種子毛繊維(綿等)、葉脈繊維(マニラ麻及びサイザル麻等)、及び果実繊維(ココヤシ等)等が挙げられる。更に、特定部位のみを用いてもよく2ヶ所以上の異なる部位を併用してもよい。また、この他にも各種パルプが挙げられる。即ち、イネ科植物パルプ及び材木パルプが挙げられる。これらも1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0080】
更に、上記非繊維質植物性材料としては、植物の木質部を細分化した材料が挙げられる。即ち、木質部の破砕物及び粉砕物等である。より具体的にはケナフコア及び木粉等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0081】
これらのなかでは、植物としてはケナフが特に好ましい。ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できるからである。更には、ケナフの靭皮にはセルロース分が60%以上と高い含有率で存在していることから、ケナフ靭皮から採取されるケナフ繊維がとりわけ好ましい。
【0082】
尚、本発明におけるケナフとは、木質茎を有する早育性の一年草であり、アオイ科に分類される植物である。このケナフには、学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。
【0083】
また、本発明におけるジュートとは、ジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、及び、綱麻(ツナソ)、シマツナソ並びにモロヘイヤ、を含む麻及びシナノキ科の植物を含むものとする。
【0084】
天然繊維(特に植物性繊維)の平均繊維長及び平均繊維径等は特に限定されないが、平均繊維長は10mm以上が好ましい。この長さの植物性繊維を用いることで基材層(C)において優れた機械的特性が発揮される。この平均繊維長は10〜150mmがより好ましく、20〜100mmが更に好ましく、30〜80mmが特に好ましい。各々範囲では上記効果を更に向上させることができる。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値である。
【0085】
一方、上記平均繊維径は、1mm以下が好ましい。この範囲の平均繊維径の植物性繊維を用いることで、得られる基材層(C)において優れた機械的特性が発揮される。この平均繊維径は0.01〜1mmがより好ましく、0.05〜0.7mmが更に好ましく、0.07〜0.5mmが特に好ましい。各々範囲では上記効果を更に向上させることができる。この平均繊維径は、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、繊維の長さ方向の中央における繊維径を、光学顕微鏡を用いて実測し、合計200本について測定した平均値である。
【0086】
尚、これらの有機天然材料には、反応性官能基を有するカップリング剤等により、併用される熱可塑性樹脂との親和性を向上させる目的等で予備処理を行うことができる。このカップリング剤としては、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、アクリル系化合物及びエポキシ化合物等が挙げられる。
【0087】
基材層(C)に、上述のように、熱可塑性樹脂と天然繊維とが併用されている場合、その割合は特に限定されない。熱可塑性樹脂と天然繊維との合計を100質量%とした場合、熱可塑性樹脂は1〜99質量%(更には3〜97質量%、特に5〜95質量%)とすることができる。特に、熱可塑性樹脂としてポリ乳酸系樹脂を用い且つ天然繊維としてケナフ繊維を用いる場合には、ポリ乳酸系樹脂とケナフ繊維との合計を100質量%とした場合には、ポリ乳酸系樹脂は10〜90質量%(更には20〜80質量%、特に30〜70質量%)とすることができる。また、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用い且つ天然繊維としてケナフ繊維を用いる場合には、ポリプロピレン系樹脂とケナフ繊維との合計を100質量%とした場合には、ポリプロピレン系樹脂は10〜90質量%(更には20〜80質量%、特に30〜70質量%)とすることができる。
【0088】
この基材層(C)の厚さは特に限定されないが、10mm以下とすることが好ましい。この厚さであれば、真空成形において高い賦形性を得ることができると共に、他の層を支持しつつ自動車用内装材として利用するに際して十分な強度を得ることができる。この厚さは、0.1〜5.0mmとすることがより好ましく、1.0〜3.0mmとすることが更に好ましい。
【0089】
更に、基材層(C)の密度は特に限定されないが、特に熱可塑性樹脂と植物性繊維とから構成される場合には、密度は0.3g/cm以上(通常1.5g/cm以下)であることが好ましい。この範囲であれば、自動車用内装材として必要な機械的特性を十分に得ることができる。また、特に自動車用内装材として用いた場合において優れた曲げ強さを得るには、密度は0.4〜1.4g/cmとすることが好ましく、0.6〜1.3g/cmとすることが特に好ましい。密度は、特に熱可塑性樹脂としてポリ乳酸系樹脂を用い且つ植物性繊維としてケナフ繊維を用いた場合には0.4〜1.0g/cmとすることが同様な理由から好ましく、0.5〜0.9g/cmとすることがより好ましく、0.6〜0.8g/cmとすることが特に好ましい。
尚、この密度(見かけ密度)は、20℃、65%RHの標準状態で24時間放置後の、自動車用内装材中の基材層(C)の密度であり、JIS K7112(プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法)に準じて測定した値である。
【0090】
その他、基材層(C)の特性は特に限定されないものの、曲げ強さが初期値において20MPa以上(より好ましくは20〜50MPa、更に好ましくは25〜40MPa)であることが好ましい。尚、この曲げ強さは、20℃、65%RHの標準状態で24時間放置後における試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの長方形板状)を支点間距離(L)64mmとした2つの支点(曲率半径5mm)で支持しつつ、支点間中心に配置した作用点(曲率半径5mm)から速度2mm/分にて荷重の負荷を行った(JIS K7171に準拠)場合の曲げ強さ(初期値とする)である。
また、基材層(C)は、上記初期値に対して、50℃、95%RHの高温高湿下で1200時間放置した後の曲げ強さの保持率が20%以上(より好ましくは30〜70%、更に好ましくは40〜60%)であることが好ましい。
【0091】
本発明の自動車用内装材の一例である図1において、基材層(C)13は、熱可塑性樹脂部132と、この熱可塑性樹脂部132の中に分散された天然繊維131とを備える。上記基材層(C)13において、熱可塑性樹脂部132は、天然繊維131どうしを接合し、断面方向に通気性を有してもよい。
【0092】
また、基材層(C)を形成する材料は、どのようにして得られたものであってよい。
基材層(C)形成用材料は、例えば、以下の、(1)〜(4)の方法により得られたものとすることができる。
(1)熱可塑性樹脂を繊維状にした繊維状熱可塑性樹脂を用い、天然繊維と混繊(エアーレイにより同時堆積させる等)して得られたマット状物を加熱圧縮する方法。
(2)液体に熱可塑性樹脂を分散させた分散液(分散状態は特に限定されず、エマルジョン、サスペンジョン等を含む)を天然繊維に噴霧して得られた樹脂混合繊維を加熱、乾燥し、エアーレイ等により堆積して得られたマット状物を加熱圧縮する方法。
(3)液体に熱可塑性樹脂を分散させた分散液(分散状態は特に限定されず、エマルジョン、サスペンジョン等を含む)に、天然繊維のみを不織布化してなるマット状物を浸漬した後、これを乾燥して得られたマット状物を加熱圧縮する方法。
(4)熱可塑性樹脂を粉末状にした粉末状熱可塑性樹脂を用い、天然繊維と混合(エアーレイにより同時堆積させる、混練する等)して得られた樹脂混合繊維を加熱し、樹脂を溶融してこの樹脂を天然繊維に添着させて得られたマット状物を加熱圧縮する方法。
これら(1)〜(4)の方法はいずれを用いてもよく、これら以外の方法を用いてもよい。更に、これらの方法は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0093】
これらの方法のうちでは、天然繊維と熱可塑性樹脂とがより均一に分散された状態の基材層(C)形成用材料が得られる点においては、上記(2)又は(3)の方法が好ましい。また、量産する上で工程が簡単であり、製造コストを低く抑えることができ、高い生産性を得る点においては上記(1)の方法が好ましい。これらのうちでは、上記(1)の方法がより好ましい。
【0094】
更に、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維との混繊を行う際にどのようにして混繊を行ってもよい。例えば、エアーレイ、フリース、カード等の各種方法を用いることができる。これらの方法は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、上記混繊を行った後に、混合繊維の交絡を行ってもよい。交絡方法は特に限定されず、ニードルパンチ法及びステッチボンド法等を用いることができる。これらの方法は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、上記で得られた未加熱のマット状物を加熱圧縮する際には、例えば、加熱温度は170〜240℃、加圧圧力は10〜20kgf/cmとすることができる。
【0095】
1−4.その他の層
本発明の自動車用内装材は、上記表皮層(A)、上記架橋発泡体層(B)及び上記基材層(C)以外に他層を備えることができる。他層としては、吸音性を向上させるためのフエルト層、耐衝撃性を向上させるためのウレタン層、更には、各層同士を接合する接着剤層等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0096】
2.自動車用内装材の製造方法
本発明の自動車用内装材は、表皮層(A)形成用材料及び架橋発泡体層(B)形成用材料が貼り合わされて得られた、表皮層(A)及び架橋発泡体層(B)を備える複層シート30(図2及び図3参照)と、基材層(C)形成用材料13aと、を用いて、真空成形法(図2及び図3参照)により、複層シート30における架橋発泡体層(B)12及び基材層(C)形成用材料13aが接合され一体化されてなるものである。
【0097】
このうち、上記複層シートはどのようにして製造してもよい。この製造方法としては、例えば、(1)表皮層(A)形成用材料と架橋発泡体層(B)形成用材料とを接着剤(ウレタン系接着剤及びポリ酢酸ビニル系エマルジョン等)を用いて貼り合わせる方法、(2)表皮層(A)形成用材料と架橋発泡体層(B)形成用材料とを接着材(ホットメルトフィルム等)を介して貼り合わせる方法、(3)表皮層(A)形成用材料の表面及び/又は架橋発泡体層(B)形成用材料の表面を加熱した後、加熱面を当接、圧着して貼り合わせる方法、及び、(4)架橋発泡体層(B)形成用材料の表面に、表皮層(A)を形成することとなる樹脂組成物を押出機からシート状に押し出して表皮層(A)及び上記架橋発泡体層(B)が接合された複層シートとする方法が挙げられる。
これら(1)〜(4)の方法はいずれを用いてもよく、これら以外の方法を用いてもよい。更に、これらの方法は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0098】
また、前述のように、表皮層(A)はその表面(自動車用内装材となった際に意匠面となる表面)に凹凸模様を備えることができるが、この凹凸模様は、どの時点で形成してもよい。即ち、例えば、(1)表皮層(A)形成用材料を製造する際に同時に形成してもよく、(2)上記複層シートを製造する際に形成してもよく、(3)後述する真空成形の際に形成してもよい。
【0099】
更に、上記真空成形法は、吸引を利用して複層シート及び基材層(C)形成用材料の接合を行う方法を意味する。この真空成形としては吸引を利用した方法であれば、特に限定されず利用できる。即ち、例えば、加熱しておいた複層シートと、予め所望の形状に予備成形しておいた基材層(C)形成用材料とを、吸引と同時に貼り合わせる方法が挙げられる。また、このような真空成形法において、雄引き真空成形法、雌引き真空成形法、これらの両方を用いた真空成形法、雄引き真空成形と同時にプラグアシスト等により成形する方法、上下金型でプレスすると同時に真空引きする真空成形方法等を適用することができる。
【0100】
より具体的には、例えば、図2及び図3に例示する真空成形法が挙げられる。
図2に示す真空成形法を説明する。初めに、真空成形用上型21に複層シート30のうちの表皮層(A)11の側を吸引して吸着させる一方、真空成形用下型22に基材層(C)形成用材料13aを載置しておく。その後、真空成形用上型21と真空成形用下型22とを型締めする。次いで、真空成形用下型22より吸引することで複層シート30と基材層(C)形成用材料13aとを一体化させ、自動車用内装材10を得る。その後、得られた自動車用内装材10を離型する。この一体化に際して、接着剤を利用した方法、接着材を利用した方法及び加熱圧着を利用した方法から選ばれる方法を利用できる。即ち、(1)複層シートにおける表皮層(A)と、基材層(C)形成用材料とを接着剤(ウレタン系接着剤及びポリ酢酸ビニル系エマルジョン等)を用いて接合する方法、(2)複層シートにおける表皮層(A)と、基材層(C)形成用材料とを、接着材(ホットメルトフィルム等)を用いて接合する方法、及び、(3)複層シートにおける表皮層(A)の表面及び/又は基材層(C)形成用材料の表面を加熱した後、加熱面を当接、圧着する方法である。
【0101】
尚、型締めの際には、(1)真空成形用上型21及び真空成形用下型22の両方の吸引を解除してもよく、また、(2)真空成形用上型21の吸引を解除し且つ真空成形用下型22では吸引を行ったままとすることもできる。特に基材層(C)形成用材料13aが通気性を有する場合には、このうちの(2)の方法を用いることで、複層シート30の追従性を向上させると共に、より確実に複層シート30と基材層(C)形成用材料13aとを貼り合わせることができる。
【0102】
更に、上記基材層(C)形成用材料13aが天然繊維を含有しない場合には、所定の加工により基材層(C)形成用材料13aに通気用の貫通孔を形成することができる。また、上記基材層(C)形成用材料13aが天然繊維を含有する場合、熱可塑性樹脂と天然繊維との合計100質量%に対して、熱可塑性樹脂量が特に70質量%以下である場合には、基材層(C)形成用材料13aが通気性を有し、真空成形において、その通気性を利用できる。
【0103】
更に、真空成形用上型21の内表面に凹凸模様を形成しておくことで、表皮層(A)に凹凸模様を転写形成することができる。この凹凸模様の形成は、どの段階で行われてもよく、例えば、真空成形用上型21を加熱金型とした場合には、真空成形用上型21に複層シート30を吸着させることで転写を行うことができる。更に、複層シート30及び基材層(C)形成用材料13aを、真空成形用上型21と真空成形用下型22とによるプレス(型締め)にても転写を行うことができる。
この凹凸模様を表皮層(A)の表面に転写する際には、表皮層(A)の意匠面は150℃以上に加熱されていることが好ましい。この温度であれば、特に鮮明な凹凸模様を形成することができる。この加熱温度は更に、160〜220℃がより好ましく、180〜200℃が更に好ましい。
また、基材層(C)形成用材料13aは、真空成形用下型22に吸着させる以前に、予め予備成形されていてもよく、可塑性が発現されるように加熱されていてもよい。
【0104】
次に、図3に示す真空成形法を説明する。金型22に基材層(C)形成用材料13aを載置しておき、その後、基材層(C)形成用材料13a上に、可塑性が得られるように加熱した複層シート30の架橋発泡体層(B)を被せる。このときの加熱温度は、好ましくは120〜160℃である。次いで、金型22により吸引することで複層シート30と基材層(C)形成用材料13aとを一体化させ、自動車用内装材10を得る。その後、得られた自動車用内装材10を金型22から離型する。この一体化に際して、接着剤を利用した方法及び接着材を利用した方法から選ばれる方法を利用できる。即ち、(1)複層シートにおける表皮層(A)と、基材層(C)形成用材料とを接着剤(ウレタン系接着剤及びポリ酢酸ビニル系エマルジョン等)を用いて接合する方法、及び、(2)複層シートにおける表皮層(A)と、基材層(C)形成用材料とを、接着材(ホットメルトフィルム等)を用いて接合する方法である。
【0105】
尚、基材層(C)形成用材料13aが通気性を有する場合には、金型22で吸引することで、複層シート30の追従性を向上させると共に、より確実に複層シート30と基材層(C)形成用材料13aとを貼り合わせることができる。
【0106】
上記基材層(C)形成用材料13aが天然繊維を含有しない場合には、所定の加工により基材層(C)形成用材料13aに通気用の貫通孔を形成することができる。また、上記基材層(C)形成用材料13aが天然繊維を含有する場合、熱可塑性樹脂と天然繊維との合計100質量%に対して、熱可塑性樹脂量が特に70質量%以下である場合には、基材層(C)形成用材料13aが通気性を有し、真空成形において、その通気性を利用できる。
【0107】
また、基材層(C)形成用材料13aは、金型22に載置する以前に、予め予備成形されているが、予備成形されていない場合には、基材層(C)形成用材料13aを可塑性が発現されるように加熱した上で金型22に載置した後に吸引して賦形してもよい。
【0108】
また、上記図2及び図3に例示する真空成形法に限らず、真空成形に際しては、複層シート30の加熱を行うことが好ましい。これにより、複層シートの局部的な伸びを抑制しつつ、複雑な形状に対して優れた追従性を得ることができる。複層シートの加熱温度は特に限定されず、表皮層(A)の材質及び厚み、並びに架橋発泡体層(B)の材質及び厚み等により適宜の温度とすることが好ましいが、表皮層(A)の意匠面の温度を100〜220℃(より好ましくは120〜200℃、更に好ましくは140〜180℃)となるように加熱を行うことが好ましい。その後、保温してもよい。この温度範囲とすることで、真空成形を行う際に表皮層(A)と架橋発泡体層(B)との間の接合強度を十分に維持しつつ、複層シート30及び基材層(C)形成用材料13aを接合させることができ、外観性に優れた自動車内装材を得ることができる。
【実施例】
【0109】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0110】
1.自動車用内装材の製造原料
下記に示す表皮層(A)形成用材料、架橋発泡体層(B)形成用材料及び基材層(C)形成用材料を用意した。
【0111】
1−1.表皮層(A)形成用材料
オレフィン系エラストマーシート(共和レザー株式会社製、品名「TPOシート」)を用いた。このシートは、オレフィン系熱可塑性エラストマーと、エチレンとプロピレンとの共重合体からなるポリオレフィンと、を溶融混合して得られたオレフィン系樹脂(a1)からなり、厚さは0.5mm、ショアA硬度は80である。
【0112】
1−2.架橋発泡体層(B)形成用材料
下記に示す各成分を表1に示す配合割合及び組合せで用い、φ60mmの二軸押出機を用いて架橋発泡性樹脂組成物からなるシート状物を得た。次いで、このシート状物に加速電圧800kVで電離性放射線を100kGy照射して架橋を行った。次いで、架橋されたシート状物を240℃の温度に設定した縦型熱風発泡炉に連続的に投入し、約3〜5分間発泡させ、厚さ約1.2mmのシート(B1)〜(B8)を作製した。
【0113】
尚、ポリ乳酸系樹脂(b1)、ポリオレフィン系樹脂(b2)及び変性ポリオレフィン(b3)の合計を100質量部として、架橋助剤(b4)は外配合で4質量部、発泡剤(b5)は5質量部、を各々用いた。
【0114】
1−2−1.ポリ乳酸系樹脂(b1)
ポリ乳酸(ネイチャーワックス社製、品名「4042D」)を用いた。d体単位の含有量は3.9モル%、重量平均分子量は180,000、カルボキシル基末端基濃度は25当量/tonである。
【0115】
1−2−2.ポリオレフィン系樹脂(b2)
(1)ポリプロピレン系樹脂(b21)
エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ株式会社製、品名「EG60」)を用いた。エチレン単位の含有量は4.5質量%、重量平均分子量は300,000、MFR(230℃)が1.8g/10分である。
(2)ポリエチレン系樹脂(b22)
直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、品名「SJ860G」)を用いた。この樹脂は、エチレン単位の含有量が70モル%以上のエチレン・1−ヘキセン共重合体である。重量平均分子量は250,000、MFR(190℃)が2.0g/10分である。
【0116】
1−2−3.変性ポリオレフィン(b3)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、品名「EV460」)を用いた。重量平均分子量は200,000、MFR(190℃)が2.5g/10分である。
【0117】
1−2−4.架橋助剤(b4)
ジビニルベンゼンを用いた。
【0118】
1−2−5.発泡剤(b5)
アゾジカルボンアミドを用いた。
【0119】
【表1】

表1内の「*」は本発明の範囲外である項目を示す。
【0120】
1−3.基材層(C)形成用材料
(1)基材層形成用材料C1
長さ70mmに裁断したケナフ繊維(天然繊維)と、長さ51mmに裁断したポリ乳酸繊維(L体単位の含有量95モル%、重量平均分子量110,000〜130,000のポリ乳酸ペレットをトヨタ紡織株式会社内で溶融紡糸)と、を混綿し、エアーレイ法により積層してウェブを得た。その後、形成したウェブ2層をニードルパンチにより交絡させて、マットとした。このマットには、ケナフ繊維及びポリ乳酸繊維が質量比50:50で含まれている。次いで、このマットを、235℃熱板を用いて、内部温度が210℃になるまで、圧力10kg/cmで加熱圧縮した。その後、常温まで冷却して厚さ2.5mmのボードを得た。そして、このボードを、235℃に加熱した熱風オーブンにて、内部温度が210℃になるまで加熱し、20kg/cmの圧力にて冷間プレスし、自動車内装ドア内張り形状(最大絞り深さ80mm)に成形した。これを、基材層形成用材料C1として用いた。厚さは2.3mmである。
(2)基材層形成用材料C2
ポリ乳酸繊維に代えて、ポリプロピレン繊維(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックSA01」をトヨタ紡織株式会社内で溶融紡糸)と置き換えた以外は、上記基材層形成用材料C1と同様にして得られたボードを、基材層形成用材料C2として用いた。厚さは2.3mmである。
(3)基材層形成用材料C3
ABS樹脂(テクノポリマー株式会社製、品名「MUH E7301」)のみを用いて、上記基材層形成用材料C1とほぼ同じ大きさ及び形状に射出成形したボードを、基材層形成用材料C3として用いた。厚さは2.5mmである。
【0121】
2.自動車用内装材の製造及び評価
実施例1〜7及び比較例1〜3
上記表皮層(A)形成用材料、架橋発泡体層(B)形成用材料、及び基材層(C)形成用材料を、各々、表2の組合せで用いて3層が積層された自動車用内装材を下記方法により得た。
表皮層(A)形成用材料の一面側を180℃に加熱した。一方、架橋発泡体層(B)形成用材料の一面側を120℃に加熱した。その後、加熱面どうしを当接し、両者を圧着して複層シート30を得た。
次いで、複層シート30の表面のうち表皮層(A)11側の表面温度が180℃となるように加熱した。その後、図2に示す真空成形法を用いて、真空成形用上型21(金型表面に転写用の皮シボパターンが形成されている)で吸引することで表皮層(A)11の表面に皮シボパターンを転写した。そして、真空成形用下型22に保持した基材層(C)形成用材料13aと、真空成形用上型21に保持した複層シート30とを型締め真空圧着して、自動車用内装材10を得た。実施例1〜3及び5〜7並びに比較例1〜3の自動車用内装材において、表皮層(A)、架橋発泡体層(B)及び基材層(C)の厚さは、それぞれ、0.4mm、1.0mm及び2.3mmであり、実施例4の自動車用内装材において、表皮層(A)、架橋発泡体層(B)及び基材層(C)の厚さは、それぞれ、0.4mm、1.0mm及び2.5mmである。
【0122】
得られた自動車用内装材について、各種評価を行った。
(1)成形性
得られた自動車用内装材について、意匠面側(表皮層(A)側)から目視検査を行い、表皮層(A)と架橋発泡体層(B)との間の浮き剥がれの有無、並びに、基材層(C)の凹凸形状に伴う表皮層(A)のスケの有無を確認した。その結果を下記基準で評価して、その結果を表2に示した。
「○」…浮き剥がれ及びスケが認められないもの。
「×」…浮き剥がれ及びスケのうちの少なくとも1つが認められたもの。
【0123】
(2)耐油性
得られた自動車用内装材から50mm×50mmの大きさに切り出した試験片をφ38mmのリング状スペンサーに取付け、このスペンサー内に流動パラフィン1.5gを滴下した。その後、この試験片を、80℃で24時間放置し、表皮層(A)の意匠面を目視で観察した。その結果を下記基準で評価して、その結果を表2に示した。尚、上記流動パラフィンとして、ナカライテスク株式会社製、品名「軽質流動パラフィン」を用いた。
「4級」…シワ等の異常が全く無い又はシボに沿った浅い凹凸が認められる。
「3級」…シボとは異なり、シボと区別できるシワが認められる。
「2級」…深いシワ溝及び/又は陥没シワが認められる。
【0124】
(3)耐湿老化性
得られた自動車用内装材を50℃、95%RH内の恒温槽にて2500時間放置した(耐湿加速試験)。その後、意匠面の目視検査を行い、意匠面における浮き剥がれを観察した。更に、試験後の自動車用内装材から25mm×150mmに切り出した試験片の基材層(C)を固定し、表皮層(A)及び架橋発泡体層(B)の積層部をチャックした後に、30mm/分の速度で、角度180度で剥離させて引張試験を行い、基材層(C)と、表皮層(A)及び架橋発泡体層(B)からなる積層部との界面での剥離強度を測定した。具体的には、予め、基材層(C)と架橋発泡体層(B)との界面の一部を剥離しておき、基材層(C)と、架橋発泡体層(B)及び表皮層(A)からなる積層部と、を角度が180度となるように引っ張って剥離させ、これらの界面の剥離強度を測定した。そして、下記基準により評価して、その結果を表2に示した。
「○」…浮き剥がれが認められず且つ剥離強度が9.8N以上であった。
「×」…浮き剥がれが認められるか又は剥離強度が9.8N未満であった。
【0125】
(4)外観性
得られた自動車用内装材から50mm×50mmの大きさに切り出した試験片を、意匠面側から目視観察した。そして、下記基準により評価して、その結果を表2に示した。
「○」…外観異常が認められなかった。
「△」…凹凸、ピンホール等の外観異常が1個以上4個未満であった。
「×」…凹凸、ピンホール等の外観異常が4個以上であった。
【0126】
(5)クッション性
得られた自動車用内装材から50mm×50mmの大きさに切り出した試験片のショアA硬度を、JIS K6253(1993)に準じて、デュロメーターを用いて測定した。測定は、意匠面側から行った。そして、下記基準により評価して、その結果を表2に示した。
「◎」…ショアA硬度が50未満であった。
「○」…ショアA硬度が50以上70未満であった。
「×」…ショアA硬度が70以上であった。
【0127】
【表2】

表2内の「*」は本発明の範囲外である項目を示す。
【0128】
3.実施例の効果
比較例1は、ポリオレフィン系樹脂(b2)量が65質量%を下回って過少であり、ポリ乳酸系樹脂(b1)量が30質量%を越えて過剰である架橋発泡性樹脂塑性物による架橋発泡体層形成用材料(B3)を用いた例であり、十分な成形性及び耐湿老化性が得られなかった。
また、比較例2は、変性ポリオレフィン(b3)を含有しない架橋発泡性樹脂塑性物による架橋発泡体層形成用材料(B4)を用いた例であり、架橋発泡体層形成用材料(B)をシート形状に成形することができず、更に、得られた成形体は表面凹凸が大きく、表皮層形成用材料(A1)と接合することもできなかった。
更に、比較例3は、変性ポリオレフィン(b3)量が10質量%を越えて過剰である架橋発泡性樹脂塑性物による架橋発泡体層形成用材料(B5)を用いた例であり、耐油性試験による評価が3級となり、十分な耐油性が得られないことに加えて、十分な成形性も得られなかった。
これに対して、全ての条件が本願発明の範囲内に含まれている実施例1〜4では、成形性及び耐油性に優れ、更には耐湿加速試験後においても基材層(C)と架橋発泡体層(B)との間の剥離強度が高く、劣化がほとんどないことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の自動車用内装材は、自動車の内装材として利用される。例えば、ドア、インストルメントパネル、ピラー、サンバイザー、シートバックガーニッシュ、コンソールボックス、天井、フロアー、パッケージトレー、スイッチベース、クオーターパネル、アームレスト、ダッシュボード、及びデッキトリム等の各種部位に用いられる内装材として好適である。
【符号の説明】
【0130】
10:自動車用内装材
11:表皮層(A)
111:凹凸模様
12:架橋発泡体層(B)
13:基材層(C)
131:天然繊維
132:熱可塑性樹脂(ポリ乳酸系樹脂など)
13a:基材層(C)形成用材料
21:金型(真空成形用上型)
22:金型(真空成形用下型)
30:複層シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮層(A)と架橋発泡体層(B)と基材層(C)とをこの順に備える自動車用内装材において、
上記表皮層(A)及び上記架橋発泡体層(B)が貼り合わされた複層シートと、基材層(C)と、が真空成形法により一体化されてなり、
上記表皮層(A)は、ポリオレフィン系樹脂(a1)を含み、
上記架橋発泡体層(B)は、ポリ乳酸系樹脂(b1)と、エチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位を含むポリオレフィン系樹脂(b2)と、エステル結合を側鎖に含む変性ポリオレフィン(b3)と、架橋助剤(b4)と、を含む架橋発泡性樹脂組成物が架橋且つ発泡されてなり、
上記架橋発泡性樹脂組成物に含まれる上記ポリ乳酸系樹脂(b1)、上記ポリオレフィン系樹脂(b2)及び上記変性ポリオレフィン(b3)の合計を100質量%とした場合に、該ポリ乳酸系樹脂(b1)が1〜30質量%、該ポリオレフィン系樹脂(b2)が65〜89質量%、且つ該変性ポリオレフィン(b3)が1〜10質量%であることを特徴とする自動車用内装材。
【請求項2】
上記変性ポリオレフィン(b3)は、カルボン酸ビニルエステル及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる単量体とオレフィンとの共重合体である請求項1に記載の自動車用内装材。
【請求項3】
上記ポリオレフィン系樹脂(b2)は、ポリプロピレン系樹脂(b21)とポリエチレン系樹脂(b22)との2種の樹脂を含有し、
上記ポリプロピレン系樹脂(b21)は、エチレンに基づく単量体単位の含有量が25モル%以下であるエチレン・プロピレン共重合体であり、
上記ポリエチレン系樹脂(b22)は、エチレン単独重合体、及び/又は、エチレンに基づく単量体単位の含有量が70モル%以上である共重合体であり、
上記ポリオレフィン系樹脂(b2)に含まれる上記ポリプロピレン系樹脂(b21)と上記ポリエチレン系樹脂(b22)との合計を100質量%とした場合に、該ポリプロピレン系樹脂(b21)が10質量%以上である請求項1又は2に記載の自動車用内装材。
【請求項4】
上記基材層(C)は、ポリ乳酸系樹脂及び天然繊維を含む請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の自動車用内装材。
【請求項5】
上記基材層(C)は、ポリオレフィン系樹脂及び天然繊維を含む請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の自動車用内装材。
【請求項6】
上記表皮層(A)は、その外表面に型成形された凹凸模様を備える請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の自動車用内装材。
【請求項7】
上記表皮層(A)の厚さをtとし、且つ上記架橋発泡体層(B)の厚さをtとした場合に、その厚さの比(t/t)が0.05〜1.0である請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の自動車用内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−30288(P2010−30288A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148057(P2009−148057)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】