説明

自動車用自動施錠装置

【課題】 外部からはアクセスすることができない内部の錠を有し、自動車の状態によって自動的に施錠することができる自動車用自動施錠装置を提供する。
【解決手段】 自動車ドアの開閉信号を出力するドアセンサー21と、エンジンキーがエンジン停止位置または抜かれた状態であることを検知して信号を出力するエンジンキーセンサー22と、ドアセンサー21とエンジンキーセンサー22の信号を入力するタイマー25を有するコントローラー23と、ドア9の内方に取り付けられコントローラー23からの信号によって施錠する駆動手段を有するロックピン2と、閉鎖時に自動車の一部と係合することによってロックピン2との係合位置に枢動するフック1と、を有し、
コントローラー23は、ドアが閉状態であることを示す信号を入力し、かつ、停車状態であることを示す信号を入力すると、所定時間が経過後に、ロックピン2に対して施錠命令を出力する、ように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアの自動施錠装置に関する。
【0002】
特に、本発明は、ドアの外側からアクセスできない錠前を有し、前記錠前がエンジンキーの状態またはトランスミッションの状態や車速センサーと関連して一定の条件の下で自動的に施錠することができる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、貨物を運搬する自動車(貨物車)の貨物室ドアの自動施錠に特に好適に用いることができるので、以下本願明細書では貨物車の貨物室ドアの自動施錠装置を例に説明する。しかし、このことは、本発明を適用対象の自動車を貨物車に限る意でも、適用対象のドアを貨物室ドアに限る意でもない。
【0004】
一般に、貨物を運搬する自動車は、荷台に貨物室が設けられ、該貨物室は運転手あるいは荷物を積み卸しする人が、貨物室の後尾に設けられたドアを外部から開閉するようになっている。
【0005】
貨物車の貨物室ドアには、運転中にドアが誤って開かないように外部から閉鎖する装置が設けられている。前記閉鎖装置として、かんぬきのような装置が広く用いられている。
【0006】
従来の貨物車の貨物室ドアの施錠装置は、前記閉鎖装置のロッドが抜かれないようにする錠を組み合わせるものであった。
【特許文献1】特開2003−205748号公報
【特許文献2】特開2002−327563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の貨物車の貨物室の施錠装置では盗難に遭う可能性が高かった。
【0008】
特に、配送先で荷物を降ろすときは、荷物を納入するための時間が短いために、貨物室の閉鎖装置に施錠をせずに車を離れることは多い。このため、人が車を離れているわずかな時間の間に、貨物室の荷物が盗難に遭うことがしばしば発生していた。
【0009】
このような盗難を防止するために、従来は車を離れるときに貨物室のドアを施錠するように荷物の配送者に徹底させるようにしていた。しかし、配送時間の短縮のために施錠が徹底されることは困難であった。
【0010】
このため、人が車を離れると自動的に貨物室のドアを施錠する自動施錠装置の開発が望まれていた。
【0011】
また、従来の貨物車の施錠装置では、施錠がされた状態でも、盗難に遭うことがあった。
【0012】
その原因は、従来の貨物車の貨物室ドアの施錠装置は、外部から錠前にアクセスすることができたからであった。
【0013】
従来の貨物車の貨物室ドアの施錠装置は、閉鎖装置と別個の錠前で閉鎖装置をロックする場合はむろん、作り付けの錠前であっても、鍵穴等を介して錠前にアクセスすることができた。鍵穴が存在する限り、ピッキング等によって錠前が解錠される可能性があった。つまり、如何なる錠前であっても、結局解錠する手段が見いだされ、盗難を完全に防止することができなかった。
【0014】
これに対して、通信技術を利用して本人認証や遠隔操作によって自動的に施錠する装置が種々提案されているが、構造が複雑化せざるを得なかった。
【0015】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、簡単な構造により、外部からはアクセスすることができない内部の錠前を有し、荷物の積み卸し時の車の状態によって自動的にドアの内側から施錠することができる自動車用自動施錠装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の発明者は、盗難の原因の一つとして、錠前が外部からアクセスすることができることにあると考え、外部からアクセスすることができない錠前を使用し、かつ、荷物の積み卸し時に自動的に施錠することができる自動車用自動施錠装置を考案した。
【0017】
本発明による自動車用自動施錠装置は、
自動車のドアに取り付けられた前記ドアの開閉状態の信号を出力するドアセンサーと、
自動車のエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを検知して信号を出力するエンジンキーセンサーと、
前記ドアセンサーおよび前記エンジンキーセンサーの出力信号を入力し、タイマーを有し、信号を出力するコントローラーと、
前記ドアの内方に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって施錠動作を行う駆動手段を有するロックピンと、
前記ドアの内側に枢支され、該ドアの閉鎖時に自動車の一部と係合することによって前記ロックピンとの係合位置に枢動するフックと、を有し、
前記コントローラーは、前記ドアセンサーから前記ドアが閉状態であることを示す信号を入力し、前記エンジンキーセンサーからエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを示す信号を入力し、かつ、前記タイマーから前記ドアセンサーからの信号および前記エンジンキーセンサーからの信号の双方を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を入力したときに、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力することを特徴とする。
【0018】
前記コントローラーは、前記エンジンキーセンサーからエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを示す信号を入力しているときに前記ドアセンサーから前記ドアが開状態から閉状態に変化したことを示す信号を入力した場合は、該ドアセンサーの信号を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を前記タイマーから入力すると、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力するようにすることができる。
【0019】
本発明の自動車用自動施錠装置は、
自動車のドアに取り付けられた前記ドアの開閉状態の信号を出力するドアセンサーと、
自動車のエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを検知して信号を出力するエンジンキーセンサーと、
前記ドアセンサーおよび前記エンジンキーセンサーの出力信号を入力し、タイマーを有し、信号を出力するコントローラーと、
前記ドアの内方に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって施錠動作を行う駆動手段を有するロックピンと、
前記ドアの内側に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって前記ロックピンとの係合位置に駆動する駆動手段を有するフックと、を有し、
前記コントローラーは、前記ドアセンサーから前記ドアが閉状態であることを示す信号を入力して前記フックに対して係合位置に移動する信号を出力し、さらに、前記エンジンキーセンサーからエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを示す信号を入力し、かつ、前記タイマーから前記ドアセンサーからの信号および前記エンジンキーセンサーからの信号の双方を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を入力したときに、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする。
【0020】
前記コントローラーは、前記エンジンキーセンサーからエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを示す信号を入力しているときに前記ドアセンサーから前記ドアが開状態から閉状態に変化したことを示す信号を入力した場合は、前記フックに対して前記ロックピンとの係合位置に移動する信号を出力し、さらに、該ドアセンサーの信号を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を前記タイマーから入力すると、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力するようにすることができる。
【0021】
本発明の自動車用自動施錠装置は、
自動車のドアに取り付けられた前記ドアの開閉状態の信号を出力するドアセンサーと、
自動車のトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを検知して信号を出力する停車センサーと、
前記ドアセンサーおよび前記停車センサーの出力信号を入力し、タイマーを有し、信号を出力するコントローラーと、
前記ドアの内方に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって施錠動作を行う駆動手段を有するロックピンと、
前記ドアの内側に枢支され、該ドアの閉鎖時に自動車の一部と係合することによって前記ロックピンとの係合位置に枢動するフックと、を有し、
前記コントローラーは、前記ドアセンサーから前記ドアが閉状態であることを示す信号を入力し、前記停車センサーからトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを示す信号を入力し、かつ、前記タイマーから前記ドアセンサーからの信号および前記停車センサーからの信号の双方を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を入力したときに、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする。
【0022】
前記コントローラーは、前記停車センサーからトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを示す信号を入力しているときに前記ドアセンサーから前記ドアが開状態から閉状態に変化したことを示す信号を入力した場合は、該ドアセンサーの信号を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を前記タイマーから入力すると、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力するようにすることができる。
【0023】
本発明の自動車用自動施錠装置は、
自動車のドアに取り付けられた前記ドアの開閉状態の信号を出力するドアセンサーと、
自動車のトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを検知して信号を出力する停車センサーと、
前記ドアセンサーおよび前記停車センサーの出力信号を入力し、タイマーを有し、信号を出力するコントローラーと、
前記ドアの内方に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって施錠動作を行う駆動手段を有するロックピンと、
前記ドアの内側に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって前記ロックピンとの係合位置に駆動する駆動手段を有するフックと、を有し、
前記コントローラーは、前記ドアセンサーから前記ドアが閉状態であることを示す信号を入力して前記フックに対して係合位置に移動する信号を出力し、さらに、前記停車センサーからトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを示す信号を入力し、かつ、前記タイマーから前記ドアセンサーからの信号および前記停車センサーからの信号の双方を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を入力したときに、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする。
【0024】
前記コントローラーは、前記停車センサーからトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを示す信号を入力しているときに前記ドアセンサーから前記ドアが開状態から閉状態に変化したことを示す信号を入力した場合は、前記フックに対してロックピンとの係合位置に移動する信号を出力し、さらに、該ドアセンサーの信号を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を前記タイマーから入力すると、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力するようにすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による自動施錠装置は、ロックピンがドアの内方に取り付けられ、フックがドア9の内側に取り付けられている。そして、コントローラーが、ドアセンサーからドア閉状態の信号を入力し、エンジンキーセンサーあるいは停車センサーから停車状態の信号を入力し、その状態でタイマーから所定時間が経過したことを示す信号を入力したときに、ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する。
【0026】
これにより、本発明の自動施錠装置は、ドアの内方に解錠・施錠する部分があり、施錠する場合はドアの内側から自動的に施錠するようになっている。つまり、本発明の自動施錠装置は鍵穴を含めて外部からアクセスする手段がなく、ピッキングなど錠前に対する操作による解錠を完全に防止することができる。
【0027】
また、エンジンキーセンサーあるいは停車センサーから停車状態の信号を入力している間に、ドアセンサーからドアが開状態から閉状態に変化したことを示す信号を入力した場合は、該ドアセンサーの信号を入力してから所定時間が経過すると、コントローラーがロックピンに対して施錠を命令する信号を出力するようにすることができる。
【0028】
この発明によれば、コントローラーがドア開状態からドア閉状態に変化したことを示す信号を入力してからロックピンに対して施錠命令を出力するまでの所定時間を、停車後にドアが開かれなかった場合にコントローラーが自動施錠を命令するまでの所定時間に比して短く設定することができる。このようにすると、貨物車等において、停車後に貨物室ドアを開けるまでの時間に余裕をもたせ、かつ、荷物を卸した後に貨物室ドアを閉めた場合は直ちに自動施錠させるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0030】
はじめに本発明の施錠装置のロックピンとフックについて説明し、その後に本発明のコントローラーの制御について説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態によるロックピンとフックの斜視図である。
【0032】
符号1はフックの全体を示している。符号2はロックピン2の頭部を示している。
【0033】
なお、本来フック1とロックピン2は互いに係合するが、図1では施錠装置の構造を明らかにするために、ロックピン2を若干下方に示している。
【0034】
フック1は、フック支持金具3と、フック部材4と、回転リミッター5と、マグネットキャッチャー6とを有している。
【0035】
フック支持金具3は、図示しない自動車のドアの内側に取り付けられる。
【0036】
フック部材4は、回転軸7によって前記フック支持金具3に枢動可能に取り付けられている。フック部材4の先端部には、ロックピン2と係合するための係合孔8が設けられている。
【0037】
回転リミッター5は、ドアが開いているときに、フック部材4が過度に回転して垂れ下がり、ドアを閉じるときにフック部材4が自動車の荷台等に衝突することを防止するためのものである。回転リミッター5がフック部材4の下端と係合することにより、フック部材4は水平以上に回転することがなく、自動車のドアを閉じるときにフック部材4と自動車の荷台等が衝突することを防止することができる。
【0038】
マグネットキャッチャー6は、フック部材4を垂直の状態に保持するものである。マグネットキャッチャー6は、自動車のドアが開いているときに、フック部材4を垂直の状態に保持し、フック部材4が横方向に突出して作業の障害になることを防止することができる。
【0039】
図2は、図1の施錠装置を上方から見たものである。
【0040】
図2によって本実施形態の施錠の仕組みが明らかに分る。
【0041】
図2に示すように、フック支持金具3は自動車のドア9に取り付けられ、ロックピン2は自動車の荷台10に取り付けられている。
【0042】
フック部材4は、垂直の状態と水平の状態の間で枢動する。フック部材4の水平の位置は、フック部材4がロックピン2と係合する位置である。
【0043】
ロックピン2は、ピンロッド11が上下動可能である。ピンロッド11が上昇しているときは、ピンロッド11がフック部材4の係合孔8中に挿入され、フック部材4と係合する。
【0044】
ピンロッド11がフック部材4の係合孔8と係合しているときは、自動車のドア9と自動車の荷台10は、フック部材4とピンロッド11を介して一体的に結合される。これによって、施錠が実現される。
【0045】
図3は、本実施形態の施錠装置が施錠される仕組みを示している。
【0046】
フック1は自動車のドア9に取り付けられ、一方、ロックピン2は自動車の荷台10に取付けられている。
【0047】
フック1のフック部材4は、自動車のドア9が開かれているときは、マグネットキャッチャー6によって垂直の状態に保持されている(図3の(a))。フック部材4が垂直なときは、フック部材4の下端は自動車の荷台10に形成された段差と係合するような高さになっている。
【0048】
自動車のドア9が閉じられときは、自動車のドア9は図3中の矢印Aの方向に移動する。自動車のドア9が完全に閉まる前に、フック部材4の下端が自動車の荷台10の段差と係合する(図3の(b))。フック部材4の下端が自動車の荷台10の段差に押されることによってフック部材4が倒れ、フック部材4はロックピン2との係合位置に枢動する(図3の(c))。
【0049】
ロックピン2は、ピンロッド11と、たとえば電磁コイルとバネの組合せ等の駆動手段を内蔵したロッド保持体12とを有している。駆動手段は電磁コイルとバネ以外の任意の公知の手段を用いることができる。
【0050】
ピンロッド11は、駆動手段の電磁コイルに通電されることによってロッド保持体12の内部で上下動する。前述した通り、ピンロッド11が上昇したときは施錠され、ピンロッド11が下降したときは解錠される。
【0051】
したがって、本実施形態によれば、自動車のドア9が閉じられと、フック部材4が自動車の荷台10に押されて係合位置に枢動し、一定時間経過後にピンロッド11が上昇し、施錠される。反対に、施錠状態からピンロッド11が下降すれば、解錠状態になり、自動車のドア9が開放可能な状態になる。
【0052】
以上が本実施形態の施錠装置フック1とロックピン2の構造と作用の説明である。
【0053】
本実施形態の施錠装置は、ロックピン2はドアの内方の自動車の荷台10の床に取り付けられ、フック1はドア9の内側に取り付けられている。
【0054】
これにより、本実施形態の施錠装置は、ドアの内方に解錠・施錠する部分があり、施錠する場合はドアの内側から施錠するようになっている。つまり、本実施形態の施錠装置は鍵穴を含めて外部からアクセスする手段がない。このため、錠の解錠手段が見いだされたとしても、自動車のドア9の外部から錠にアクセスすることができず、ピッキングなど錠前に対する操作による解錠を防止することができる。
【0055】
次に、本実施形態の施錠装置の処理について説明する。
【0056】
図4は、本実施形態の制御のためのブロック図を示している。
【0057】
本実施形態の自動車用自動施錠装置20は、フック1と、ロックピン2と、ドアセンサー21と、エンジンキーセンサーまたは停車センサー22と、コントローラー23と、LED表示手段24とを有している。
【0058】
コントローラー23は、タイマー25を有している。
【0059】
ドアセンサー21は、好ましくは自動車のドア9の上端部近傍に取り付けられ、自動車のドア9の開閉状態の信号を出力する。
【0060】
エンジンキーセンサーまたは停車センサー22は、自動車が停車状態であることを検知する手段である。
【0061】
エンジンキーセンサー22は、エンジンキーがエンジン停止の位置またはエンジンキーが抜かれた状態であることを検知し、それを示す信号を出力する。停車センサー22は、自動車のトランスミッションが停車の位置にあること、または、車速がゼロであることを検知し、それを示す信号を出力する。
【0062】
コントローラー23は、ドアセンサー21、エンジンキーセンサーまたは停車センサー22から信号入力し、所定の処理を行って、所定の条件の下でロックピン2に対して施錠命令の信号を出力する。
【0063】
LED表示手段24は、施錠状態であることを運転手等に知らせる手段である。LED表示手段24はコントローラー23の信号により作動する。LED表示手段24は本発明にとって必須構成要素ではないので適宜省略することができる。
【0064】
図5は、コントローラー23における処理の流れを示している。
【0065】
本発明は、自動車の運転中は外部からの車内への侵入はないので、自動車の運転中は解錠状態になっており、図5のフローチャートでは、自動車の運転中がコントローラー23の処理のスタート(ステップ100)になっている。
【0066】
処理を開始したコントローラー23は、エンジンキーセンサーまたは停車センサー22から停車状態の信号が出力されているか否かを一定のタイムサイクルで判断する(ステップ110)。停車状態の信号とは、エンジンキーセンサー22においてはエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを検知した時に出力する信号であり、停車センサー22においては自動車のトランスミッションが停車位置にあることまたは車速がゼロであることを検知した時に出力する信号である。
【0067】
ステップ110の判断において、停車状態の信号を受信していないときは、処理が戻り、一定のタイムサイクルで再び同じ判断を行う。
【0068】
一方、ステップ110の判断において、停車状態の信号を受信したときは、次の処理に移り、ドアセンサー21からドアの開状態の信号を入力したか否かを判断する(ステップ120)。
【0069】
ステップ120で、ドアセンサー21からドアの開状態の信号を入力していない場合は、ドアセンサー21からドアの閉状態の信号を入力していることと同じである。
【0070】
このときは、自動車は停車状態であり、かつ、自動車のドア9が閉じられている状態であるので、タイマー25はその状態になったときから時間をカウントし、カウントされた時間はコントローラー23に入力される。
【0071】
コントローラー23は、タイマー25の時間カウントが所定の時間に達したときは、ロックピン2に対して施錠命令の信号を出力する(ステップ150)。
【0072】
ステップ150は、停車後に、所定時間経過しても自動車のドア9を開けないときに、自動的に施錠するための処理である。これにより、荷物の積み卸しの予定がなく、長時間停車する場合に自動的に施錠される。
【0073】
一方、ステップ120において、前記ステップ150の所定時間の経過前にドアセンサー21からドアの開状態の信号を入力した場合は(ステップ120のYesの枝)、コントローラー23はドアが再び閉じられたことを示す信号の入力の有無を判断する(ステップ130)。
【0074】
ドアの閉状態の信号を入力しない間は、ロックピン2の解錠状態を維持し、一定のタイムサイクルで再び同じ判断を行う(ステップ130のNoの枝)。
【0075】
ステップ130において、コントローラー23がドアセンサー21からドアの閉状態の信号を入力した場合は、ドアが開状態から閉状態に変化したことを示しており、該信号を入力した時からタイマー25は時間のカウントを開始し、カウントされた時間はコントローラー23に入力される。
【0076】
コントローラー23は、タイマー25の時間カウントが所定の時間に達したときは、ロックピン2に対して施錠命令の信号を出力する(ステップ140)。
【0077】
ステップ140は、停車後に、自動車のドア9を開けて再び閉めたときに、自動的に施錠するための処理である。これにより、荷物の積み卸しのためにドア9を開き、該作業が終わった後にドアを閉めれば自動的に施錠される。
【0078】
以上のように、本発明のコントローラー23の処理によれば、停車後に、貨物室等のドアを開くことなく長時間駐車する場合も、荷物の積み卸しを行って一時的に自動車を離れる場合も、自動的に施錠をすることができる。
【0079】
特に、ステップ140でロックピン2に対して施錠命令を出力するまでの所定時間を、ステップ150の所定時間より相対的に短く設定することにより、貨物車等において、停車後に貨物室ドアを開けるまでの時間に余裕をもたせ、かつ、荷物を卸した後に貨物室ドアを閉めた場合は直ちに自動施錠させるようにすることができる。
【0080】
むろん、ステップ140とステップ150の所定時間を同じにし、ステップ130,140の処理を省略してステップ150の処理のみに統一し、単に停車状態とドアの閉状態の双方が満たされたときからタイマー25が時間のカウントを開始し、カウントされた時間が所定の時間に達したときにコントローラー23はロックピン2に対して施錠命令を出力する。
【0081】
上記簡略化された処理の流れを図6に示す。図6において、図5と同一の処理は同一の符号を付して示す。
【0082】
図6において、ステップ125は「ドアの閉状態の信号」に表現を変えたのみであって図5のステップ120と実質同じ処理の内容である。
【0083】
また、図6において、ステップ150の位置が図5のそれと異なるが、上述したステップ125の表現に対応したものであって、実質図5のステップ150の処理と同一である。
【0084】
図6の処理によれば、処理が簡略化され、停車後に自動施錠されるまでの時間と、荷物の積み卸し後に自動施錠されるまでの時間は同一である。
【0085】
以上が本実施形態に関する説明であった。
【0086】
以上の説明では貨物車を念頭に説明したが、本発明の対象は貨物車に限られることなく、また、ドアも貨物室ドアに限られることがない。すなわち、本発明は、停車後に開閉し、開閉後自動的に施錠されるべきドアであれば、如何なる車種やドアにも適用することができる。
【0087】
上記実施形態ではフック部材4が自動車の荷台10と係合して枢動するようになっているが、係合するのは自動車の荷台10に限られず、自動車の本体側の一部と係合すればよい。
【0088】
上記実施形態では、フック部材4は、自動車の荷台10と係合して枢動するようになっているが、フック1に、フック部材4をロックピン2と係合する位置に駆動する駆動手段を設けてもよい。かかる駆動手段としてモーター等が考えられる。
【0089】
この場合、コントローラー23はドアセンサー21からドアが閉状態であることを示す信号を入力すると直ちにフック1の駆動手段に命令を出力し、フック部材4をロックピン2との係合位置に駆動するのが好ましい。
【0090】
また、上記実施形態では、フック1とロックピン2は、フック部材4とピンロッド11の係合構造であったが、本発明の原理と同じものであれば、如何なる公知の施錠装置も用いることができる。たとえば、ロッドを有し、該ロッドが軸方向にスライドして先端部が受け孔に差し込まれるようになっている施錠装置や、揺動する部材を有し、該部材が揺動して先端に形成されたフックが受け孔に差し込まれるようになっている施錠装置等、適宜採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態によるフックとロックピンの斜視図。
【図2】本発明の一実施形態によるフックとロックピンの平面図。
【図3】本発明の一実施形態によるフックとロックピンの作用を説明する説明図。
【図4】本発明の一実施形態による自動車用自動施錠装置の制御用の構成要素と処理の流れを示したブロック図。
【図5】本発明の一実施形態のコントローラーの処理の流れを示したフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態のコントローラーの他の処理の流れを示したフローチャート。
【符号の説明】
【0092】
1 フック
2 ロックピン
3 フック支持金具
4 フック部材
5 回転リミッター
6 マグネットキャッチャー
7 回転軸
8 係合孔
9 自動車のドア
10 自動車の荷台
11 ピンロッド
12 ロッド保持体
20 自動車用自動施錠装置
21 ドアセンサー
22 エンジンキーセンサーまたは停車センサー
23 コントローラー
24 LED表示手段
25 タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアに取り付けられた前記ドアの開閉状態の信号を出力するドアセンサーと、
自動車のエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを検知して信号を出力するエンジンキーセンサーと、
前記ドアセンサーおよび前記エンジンキーセンサーの出力信号を入力し、タイマーを有し、信号を出力するコントローラーと、
前記ドアの内方に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって施錠動作を行う駆動手段を有するロックピンと、
前記ドアの内側に枢支され、該ドアの閉鎖時に自動車の一部と係合することによって前記ロックピンとの係合位置に枢動するフックと、を有し、
前記コントローラーは、前記ドアセンサーから前記ドアが閉状態であることを示す信号を入力し、前記エンジンキーセンサーからエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを示す信号を入力し、かつ、前記タイマーから前記ドアセンサーからの信号および前記エンジンキーセンサーからの信号の双方を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を入力したときに、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする自動車用自動施錠装置。
【請求項2】
前記コントローラーは、前記エンジンキーセンサーからエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを示す信号を入力しているときに前記ドアセンサーから前記ドアが開状態から閉状態に変化したことを示す信号を入力した場合は、該ドアセンサーの信号を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を前記タイマーから入力すると、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする請求項1記載の自動車用自動施錠装置。
【請求項3】
自動車のドアに取り付けられた前記ドアの開閉状態の信号を出力するドアセンサーと、
自動車のエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを検知して信号を出力するエンジンキーセンサーと、
前記ドアセンサーおよび前記エンジンキーセンサーの出力信号を入力し、タイマーを有し、信号を出力するコントローラーと、
前記ドアの内方に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって施錠動作を行う駆動手段を有するロックピンと、
前記ドアの内側に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって前記ロックピンとの係合位置に駆動する駆動手段を有するフックと、を有し、
前記コントローラーは、前記ドアセンサーから前記ドアが閉状態であることを示す信号を入力して前記フックに対して係合位置に移動する信号を出力し、さらに、前記エンジンキーセンサーからエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを示す信号を入力し、かつ、前記タイマーから前記ドアセンサーからの信号および前記エンジンキーセンサーからの信号の双方を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を入力したときに、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする自動車用自動施錠装置。
【請求項4】
前記コントローラーは、前記エンジンキーセンサーからエンジンキーがエンジン停止の位置にあることまたはエンジンキーが抜かれた状態であることを示す信号を入力しているときに前記ドアセンサーから前記ドアが開状態から閉状態に変化したことを示す信号を入力した場合は、前記フックに対して前記ロックピンとの係合位置に移動する信号を出力し、さらに、該ドアセンサーの信号を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を前記タイマーから入力すると、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする請求項3記載の自動車用自動施錠装置。
【請求項5】
自動車のドアに取り付けられた前記ドアの開閉状態の信号を出力するドアセンサーと、
自動車のトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを検知して信号を出力する停車センサーと、
前記ドアセンサーおよび前記停車センサーの出力信号を入力し、タイマーを有し、信号を出力するコントローラーと、
前記ドアの内方に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって施錠動作を行う駆動手段を有するロックピンと、
前記ドアの内側に枢支され、該ドアの閉鎖時に自動車の一部と係合することによって前記ロックピンとの係合位置に枢動するフックと、を有し、
前記コントローラーは、前記ドアセンサーから前記ドアが閉状態であることを示す信号を入力し、前記停車センサーからトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを示す信号を入力し、かつ、前記タイマーから前記ドアセンサーからの信号および前記停車センサーからの信号の双方を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を入力したときに、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする自動車用自動施錠装置。
【請求項6】
前記コントローラーは、前記停車センサーからトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを示す信号を入力しているときに前記ドアセンサーから前記ドアが開状態から閉状態に変化したことを示す信号を入力した場合は、該ドアセンサーの信号を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を前記タイマーから入力すると、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする請求項5記載の自動車用自動施錠装置。
【請求項7】
自動車のドアに取り付けられた前記ドアの開閉状態の信号を出力するドアセンサーと、
自動車のトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを検知して信号を出力する停車センサーと、
前記ドアセンサーおよび前記停車センサーの出力信号を入力し、タイマーを有し、信号を出力するコントローラーと、
前記ドアの内方に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって施錠動作を行う駆動手段を有するロックピンと、
前記ドアの内側に取り付けられ、前記コントローラーからの信号によって前記ロックピンとの係合位置に駆動する駆動手段を有するフックと、を有し、
前記コントローラーは、前記ドアセンサーから前記ドアが閉状態であることを示す信号を入力して前記フックに対して係合位置に移動する信号を出力し、さらに、前記停車センサーからトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを示す信号を入力し、かつ、前記タイマーから前記ドアセンサーからの信号および前記停車センサーからの信号の双方を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を入力したときに、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする自動車用自動施錠装置。
【請求項8】
前記コントローラーは、前記停車センサーからトランスミッションが停車の位置にあることまたは車速がゼロであることを示す信号を入力しているときに前記ドアセンサーから前記ドアが開状態から閉状態に変化したことを示す信号を入力した場合は、前記フックに対してロックピンとの係合位置に移動する信号を出力し、さらに、該ドアセンサーの信号を入力してから所定時間が経過したことを示す信号を前記タイマーから入力すると、前記ロックピンに対して施錠を命令する信号を出力する、ことを特徴とする請求項7記載の自動車用自動施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−193903(P2006−193903A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3933(P2005−3933)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(505014683)株式会社中央コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】