説明

自動通報装置

【課題】人体が「通常と異なる心身状態」のとき、監視センターに自動通報することの可能な自動通報装置を提供する。
【解決手段】センサの検出した生体信号から、呼吸に伴う振動又は脈波からなる生理データを抽出する。その生理データを解析手段8がパワースペクトル密度解析する。判定手段18は、人体がリラックスした通常状態における解析データと、生理データを随時解析した解析データとを比較し、その比率が予め設定された判定基準に合致した場合、人体が「通常と異なる心身状態」であると判定する。このとき、自動警報発報手段22は監視センターに自動通報する。これにより、警備機関の出動を早めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンビニエンスストアまたは金融機関において、強盗に入られる等の緊急事態に対処するために設置された通報装置が知られている。一般に、通報装置は、緊急事態に直面した被害者が警報ボタンを作動させることで、その状況が監視センターに通報される。
この種の通報装置では、緊急事態に直面した被害者が驚きと恐怖のあまり心身が硬直化し、警報ボタンを作動させることが困難になることがある。或いは、被害者が犯罪者の監視下に置かれることで、警報ボタンを作動させることが困難になることがある。
特許文献1には、人の心臓、脈拍、血圧が激しい変化をしたとき、それを感知して発動する防犯システムが記載されている。
特許文献2には、人が突然恐怖を感じたことを検知し、警報を発するシステムが記載されている。このシステムは、人の生理状態をモニターし、その生体信号からその人が恐怖を感じたか否かをコンピュータが判定する。コンピュータは、その人にストレスが加わった状態を測定したデータの蓄積、及び、人の特性の組み合わせを考慮した統計的分類に基づくプロファイルデータによって生理信号を処理することで、その人が突然恐怖を感じたかどうかを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−7073
【特許文献2】特表平10−506490
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、人の心臓、脈拍、血圧が、どのような変化をしたときに激しい変化と識別するのかが明確に記載されていないので、防犯システムの信頼性が低い。
特許文献2では、人から検出された生体信号をプロファイルデータ等によってどのように処理をすれば、その人が恐怖を感じたことが判定されるのか明確に記載されていないので、警報の信頼性が低いのみならず、実施すること自体困難である。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、人体が「通常と異なる心身状態」のとき、監視センターに自動通報することの可能な自動通報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明によると、自動通報装置は、センサ、生体信号検出手段、データ蓄積手段、判定手段、および自動警報発報手段を備える。
センサは、人体の生体信号を検出する。生体信号検出手段は、センサの検出した生体信号から呼吸に伴う振動又は脈波からなる生理データを抽出する。
解析手段は、生体信号検出手段の抽出した生理データを解析する。データ蓄積手段は、人体がリラックスした通常状態にあるときに解析手段が生理データを解析することで得られた解析データを蓄積する。
判定手段は、データ蓄積手段に蓄積された解析データと、生体信号検出手段の抽出した生理データを解析手段が所定時間間隔で解析した解析データとを比較し、その比率が予め設定された判定基準に合致した場合、人体が「通常と異なる心身状態」であると判定する。そして人体が「通常と異なる心身状態」であることを判定手段が判定したとき、自動警報発報手段は自動通報または警報を発する。
【0006】
人体が驚いたり恐怖を感じる心理状態は、生体信号に現れる。生体信号から抽出した生理データを解析し、通常状態における解析データと比較することで、人体が「通常と異なる心身状態」であることを判定することが可能になる。
これにより、緊急事態に直面した被害者が驚きと恐怖のあまり心身が硬直化した場合、或いは、被害者が犯罪者の監視下に置かれた場合、被害者が警報ボタンを作動させること無しに、監視センター等に自動通報または監視センターにて警報を発する。したがって、警備機関の出動を早めることができる。
【0007】
請求項2に係る発明によると、センサは、光学式センサまたは圧力センサである。
光学式センサにより、指尖脈波や耳朶脈波を検出することができる。光学式センサを装着した人は、自由に動くことが可能になる。したがって、例えばコンビニエンスストアまたは金融機関などにおいて、利便性が向上する。
圧力センサにより、脈波や呼吸に伴う体表面の振動を圧力値の変化として検出することができる。圧力センサは、座布団やシートクッションに取り付けて用いることが可能である。
【0008】
請求項3に係る発明によると、解析手段は、生体信号検出手段の抽出した一定時間の生理データを、所定時間間隔ごとに解析する。
一定時間を長くすれば、判定手段の判定結果の信頼性が高まる。所定時間間隔を短くすれば、人体が「通常と異なる心身状態」となったことを判定手段が迅速に判定することが可能になる。したがって、自動通報装置は、信頼性の高い情報を監視センターに迅速に自動通報することができる。
【0009】
請求項4に係る発明によると、解析手段は、人体が男性の場合、以下の条件1〜条件5がすべて満たされることを判定基準とする。
条件1:0.0〜0.6Hzの周波数帯域において、前記比率が30%未満の周波数帯域がある
条件2:0.0〜0.6Hzの周波数帯域において、前記比率が105%を超える周波数帯域がある
条件3:0.8〜1.4Hzの周波数帯域において、前記比率が120%を超える周波数帯域がある
条件4:条件1、条件2、条件3のいずれかが連続して5回以上続く
条件5:条件3は、0.8Hz又は1.0Hzのうち、通常時の心拍成分の平均値が高い解析データの出現数が少ない方の周波数帯域に認められる
これにより、自動通報装置を利用する人が男性の場合、判定結果の信頼性を高めることができる。
【0010】
請求項5に係る発明によると、解析手段は、人体が女性の場合、以下の条件6〜条件9がすべて満たされることを判定基準とする。
条件6:0.0〜0.6Hzの周波数帯域において、前記比率が400%を超える周波数帯域がある
条件7:0.8〜1.4Hzの周波数帯域において、前記比率が120%を超える周波数帯域がある
条件8:条件6、条件7のいずれかが連続して5回以上続く
条件9:条件7は、0.8Hz又は1.0Hzのうち、通常時の心拍成分の平均値が高い解析データの出現数が少ない方の周波数帯域に認められる
これにより、自動通報装置を利用する人が女性の場合、判定結果の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態による自動通報装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態による自動通報装置の構成を示すブロック図である。
【図3】検証例1のパワースペクトル密度関数グラフである。
【図4】図2の続きである。
【図5】検証例1の周波数成分に含まれるパワースペクトルについて、「通常時との比率」を表示した表である。
【図6】図5の続きである。
【図7】検証例2のパワースペクトル密度関数グラフである。
【図8】図7の続きである。
【図9】検証例2の周波数成分に含まれるパワースペクトルについて、「通常時との比率」を表示した表である。
【図10】図9の続きである。
【図11】検証例3のパワースペクトル密度関数グラフである。
【図12】図11の続きである。
【図13】検証例3の周波数成分に含まれるパワースペクトルについて、「通常時との比率」を表示した表である。
【図14】図13の続きである。
【図15】検証例4のパワースペクトル密度関数グラフである。
【図16】図15の続きである。
【図17】検証例4の周波数成分に含まれるパワースペクトルについて、「通常時との比率」を表示した表である。
【図18】図17の続きである。
【図19】検証例5のパワースペクトル密度関数グラフである。
【図20】図19の続きである。
【図21】検証例5の周波数成分に含まれるパワースペクトルについて、「通常時との比率」を表示した表である。
【図22】図21の続きである。
【図23】検証例6のパワースペクトル密度関数グラフである。
【図24】図23の続きである。
【図25】検証例6の周波数成分に含まれるパワースペクトルについて、「通常時との比率」を表示した表である。
【図26】図25の続きである。
【図27】検証例7のパワースペクトル密度関数グラフである。
【図28】図27の続きである。
【図29】図28の続きである。
【図30】図29の続きである。
【図31】検証例7の周波数成分に含まれるパワースペクトル、及び「通常時との比率」を表示した表である。
【図32】図31の続きである。
【図33】本発明の第1実施形態による自動通報装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図34】図33の続きである。
【図35】図34の続きである。
【図36】図35の続きである。
【図37】図36の続きである。
【図38】図37の続きである。
【図39】図38の続きである。
【図40】図39の続きである。
【図41】本発明の第2実施形態による自動通報装置の生体信号検出手段の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による自動通報装置のブロック図を図1及び図2に示す。自動通報装置は、図1に示す生体信号検出手段2と、図2に示すコンピュータ8とを備える。
生体信号検出手段2は、人体1の生体信号をセンサによって検出する。本実施形態では、センサとして、光学式センサ2が例示される。光学式センサ2は、一般的に使用されている赤外光を用いたセンサを使用することが可能である。光学式センサ2を人の指尖や耳朶に装着することで、指尖脈波や耳朶脈波などの生体信号を検出することができる。
生体信号検出手段2は、ノイズフィルター回路4により生体信号に含まれる不要なノイズを除去する。次に、生体信号の電圧レベルを信号増幅アンプ回路5によって増幅する。続いて、生理データ抽出回路としてのローパスフィルタ6により、必要周波数帯の脈波信号を生理データとして抽出する。この生理データの信号をAD変換回路7によりデジタル信号に変換した後、コンピュータ8に送信する。
【0013】
コンピュータ8は先ず、バッファ10に1分間、そのデータを蓄積する。
次に、コンピュータ8は、1分間蓄積したデータをパワースペクトル密度(power spectral density function)解析手段11でパワースペクトル密度解析し、数値化したデータを得る。
ここで、本実施形態で用いられるパワースペクトル密度解析とは、フーリエ変換を用いて、信号や時系列の強度(パワースペクトル)が周波数にどのように分布しているかを求めるものである。
パワースペクトル密度解析では、まず、第1ステップで、ある特定の周波数(周期)に対し、sinの係数とcosの係数とを計算する。
次に、第2ステップで、第1ステップで計算した2つの係数をそれぞれ2乗し、その2乗した数同士を加算し、その加算した数の平方根を算出する。
第3ステップで、第2ステップで算出した数値が、その特定の周波数に含まれるパワースペクトルである。そして、観測した周波数を横軸とし、算出したパワースペクトルを縦軸として表す。
パワースペクトル密度解析により、特定の周波数成分に含まれているパワースペクトルを得ることが可能になる。すなわち、パワースペクトル密度とは、脈波、呼吸などの生理データの時系列データについて、周波数ごとの変動の大きさを示すものであり、換言すれば、生理データの信号が周波数ごとにどのように分布しているかを示すものである。
【0014】
パワースペクトル密度解析手段11は、1分間の解析データを5秒ごとに算出する。本実施形態における1分間は、特許請求の範囲に記載した「一定時間」に相当する。また、本実施形態における5秒は、特許請求の範囲に記載した「所定時間間隔」に相当する。なお、「一定時間」及び「所定時間間隔」は任意に設定可能である。
パワースペクトル密度解析手段11の算出した解析データは、事前解析手段13によって、事前パワースペクトル値として事前解析データメモリーに蓄積される。5秒ごとにスライドした1分間の解析データが12セット保存されると、次に、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hz、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数に含まれるパワースペクトルの平均値がそれぞれ算出される。これを被験者の通常時の解析データとしてデータ蓄積手段としての事前データ解析済みバッファ17に保存される。
【0015】
続いてコンピュータ8は、監視を開始し、通常時に蓄積、解析した解析データと、常時受信する生理データを5秒ごとに1分間の長さで蓄積、解析した解析データとを判定手段18により順次比較してゆく。判定手段18は、予め設定された判定基準に合致した場合、被験者が「通常と異なる心身状態」であると判定する。ここで、数値化された解析データは、個人差や男女差があるので、絶対値としては比較できない。そこで、事前に保存しておいた当該被験者の通常時の解析データと比較することで個人差や男女差がある場合においても比較判定する事が可能になる。「通常と異なる心身状態」であることが判定されると、自動警報発報手段22が作動し、離れた場所にある監視センター25のサーバ26にその情報が自動通報される。
【0016】
一般に、呼吸平均回数は、15〜20回/分であり、周波数領域では0.25〜0.33Hzとなる。また、心拍の平均回数は、50〜70回/分であり、周波数領域では0.83〜1.17Hzとなる。このため、パワースペクトル密度を用いた解析では呼吸成分の変化範囲である0.0〜0.6Hzの周波数領域の変化と、心拍成分の変化範囲である0.8〜1.4Hzの周波数領域の変化とを観察する。
【0017】
パワースペクトル密度解析により得られたデータを、通常時と「通常と異なる心身状態」の時について精査した結果、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hzの周波数において大きく変化することが判明した。男性においては、通常時のデータを100%とした場合、「通常と異なる心身状態」時には、通常時のデータに対して26%以下に低下することが判明した。一方、女性においては、通常時のデータを100%とした場合、「通常と異なる心身状態」時には、通常時のデータに対して100%以上に増加することが判明した。
【0018】
上記の根拠として以下のことが考えられる。
人は、緊張したり興奮したりすると「心臓がどきどきする」とか「破裂しそうだ」といい、心配すると心臓が「キューと痛む」と表現する。このことから、心臓の活発な動きと人の感情とがおおいに関係している事は十分に自覚できる。
また、人は、びっくりした時は「息をのむ」、安心した時は「ほっと息をする」、又は、何かに集中する場合や様子をうかがう場合は「息をこらす」などと表現する。このことから、人の呼吸は、心理状態を敏感に反映するものであるといえる。
生命体が食うか、食われるかという緊急事態に直面し、相手に襲い掛かるか、逃走するかの選択を迫られた場合、襲いかかるときには怒りが体感され、逃走するときには恐れが体感される。そのストレスの刺激により、血圧、心拍、呼吸といった心臓血管系(循環器系)や呼吸器系の反応が増加する。これは、その後に予想される運動量増加と酸素消費量増加への準備であり、闘争するか、逃走するかを判断する時、準備段階として一時的に拍動数、呼吸数が低下(停止)し、その後血圧や心拍が増加する。血圧や心拍が増加するのは、酸素と栄養分を多く含んだ血液を体中に素早く運ぶためである。呼吸が増加するのはガス交換の効率を高めるためである。
一般に、男性は闘争か逃走を見極めようとして通常時より数値が下がり、これに対し、女性はいち早く逃走のための準備をするために数値が上がると考えられる。
上記、参考文献(一部抜粋)
『藤澤清・柿木昇治・山崎勝男編集、宮田洋監修:新生理心理学 第1巻 生理心理学の基礎 北大路書房』
『平伸二・中山誠・柳生正幸・足立治平:ウソ発見−犯人と記憶のかけらを探して 北大路書房』
【0019】
<検証実験>
次に、検証実験の結果を示す。
実験では、脈波、呼吸などの生理データの時系列データについて、パワースペクトル密度により周波数ごとの変動の大きさを示す時系列変化を求めた。
実験は光学式センサを使用した。同一被験者により、通常状態を6分間測定し、恐怖や驚きの状態を6分間測定した。通常状態及び恐怖や驚きの状態は、ノートパソコンに保存した映像と音源を再生し、それを被験者に視聴させることで、その状態を演出した。
実験において、通常状態を測定する際は、リラックス出来るような映像と音楽をノートパソコンにより再生し、被験者に視聴させた。一方、恐怖や驚きを測定する際は、リラックス出来るような映像と音楽を再生している途中で、怪しげな人が現れて突然襲い掛かるという映像と大音量を再生することで、擬似的「パニック」環境を作り出し、被験者に視聴させ、その時の変化を測定した。
これを基に、5秒ごとに1分間の生体信号から抽出した脈波、呼吸などの生理データの時系列データについてパワースペクトル密度解析し、周波数ごとの変動の大きさを求めた。
下記、「パニック」環境を演出する際に使用した映像と音楽構成の時間的流れを示す。
オープニング 0〜 99秒:リラックス映像と音楽
パニック 100〜130秒:怪しげな人が現れ、突然襲い掛かる(大音量)
130〜280秒:その他のパニック映像
エンデイング 280〜360秒:リラックス映像と音楽
【0020】
以下、通常状態の状態を「ノーマル」と定義し、びっくりした時や恐怖を感じた時の生体の変化の状態を「パニック」と定義する。
(解析の説明)
1.パワースペクトル密度解析には60秒間の生理データを使用する。
したがって、1回目のパワースペクトル密度解析は60秒後になる。
2.これを5秒ごとにスライドしてパワースペクトル密度解析していく。つまり、1回目は、0〜60秒のデータを解析する。2回目は、1回目の解析開始から5秒後に、5〜65秒のデータの解析を開始する。3回目は、2回目の解析開始から5秒後に、10〜70秒のデータの解析を開始する。N回目は、N×5−5秒後に解析を開始し、(N×5−5秒)〜(N×5−5秒)+60秒の生理データを解析する。
このパワースペクトル密度解析により、被験者が「通常と異なる心身状態」であるか否か、すなわち、被験者が「パニック」であることを判断出来るか否かを検証した。
【0021】
パワースペクトル密度解析における判断基準値の求め方を以下の1.〜4.に示す。
1.測定開始から120秒まで測定した解析データを通常時の基準値とする。
2.上記1.の解析データは、先ず0〜60秒の60秒間の生理データの所定の周波数に含まれているパワースペクトルを算出し、以後5秒ごとにスライドし、12セット分(5秒×12=60秒)の所定周波数に含まれているパワースペクトルそれぞれ算出する。
3.上記2.のパワースペクトルを0.0Hz〜1.4Hzまで、周波数ごとに平均値を求める。
4.通常時の心拍成分の平均値0.8Hz又は1.0Hzのうちで高いパワースペクトルの出現数が多い方の周波数を基準心拍とする。
【0022】
以下、男性について「パニック」と判断する条件を判定基準詳細1と称し、条件1〜条件5に示す。
<判定基準詳細1>
条件1:0.0〜0.6Hzの周波数帯域において、通常時の基準値との比率が30%未満の周波数帯域があること
条件2:0.0〜0.6Hzの周波数帯域において、通常時の基準値との比率が105%を超える周波数帯域があること
条件3:0.8〜1.4Hzの周波数帯域において、通常時の基準値との比率が120%を超える周波数帯域があること
条件4:条件1、条件2、条件3のいずれかが連続して5回以上続くこと
条件5:条件3において、上述した判断基準値の求め方4.により、基準心拍の周波数帯域と認められた場合、「ノーマル」と判断する。このため、条件3は、基準心拍の周波数帯域以外の周波数帯域に認められること
【0023】
以下、検証例1〜検証例3まで、被験者は男性である。検証例4〜検証例7まで、被験者は女性である。
(検証例1)
被験者A氏(性別:男性、年齢:30才代、健康状態:良好)基準心拍周波数帯域=0.8Hz
検証例1のパワースペクトル密度関数グラフを図3から図4に示す。また、パワースペクトル密度解析による解析データと、測定開始から120秒までの通常時の基準値とを比較したときの比率を図5から図6の表に示す。
図3及び図4において、上述のびっくり効果を測定した結果を「パニック」と表示して上段のA1〜A4に記載する。パワースペクトル密度関数グラフは、「パニック」について確かな反応が出ている80秒から155秒まで(中心の秒数110秒から125秒まで)のみを示す。
一方、通常状態を測定した結果のうち、前述の「パニック」と比較して波形が類似していると思われるものを「ノーマル」時の類似型と表示し、下段のA5〜A8に記載する。
図3及び図4のグラフにおいて、「パニック」時の0.0Hz〜0.4Hzの波高が、「ノーマル」時の類似型の0.0Hz〜0.4Hzの波高よりも「低い」ことが読み取れる。
【0024】
図5及び図6は、各測定時間のパワースペクトルについて、「通常時との比率」を表示したものである。ここで「通常時との比率」とは、各測定時間における周波数ごとのパワースペクトルと、測定開始から120秒までのパワースペクトルの平均値との比率をパーセント表示したものである。
図5上段のA9には、「パニック」における「70〜130秒」から「125〜185秒」までを解析した「通常時との比率」を示す。
図5及び図6のA10〜A14には、「ノーマル」における「0〜60秒」から「295〜355秒」までを解析した「通常時との比率」を示す。
以下に示す「表1」は、図5上段のA9:「パニック」について、上述した判定基準詳細1を検証したものである。
【表1】

(1)70〜130秒の解析時間帯から95〜155秒の解析時間帯までの間で0.2〜0.6Hzの周波数帯域で通常時との比率が30%を6回連続して下回っている。よって、条件1及び条件4を満たす。
(2)同一解析時間帯の間で0.6Hzの同一周波数帯域で6回連続して通常時との比率が105%を上回っている。よって条件2及び条件4を満たす。
(3)同一解析時間帯の間で1.2Hzの同一周波数帯域で6回連続して通常時との比率が120%を上回り、かつ、1.2Hzは被験者の基準心拍周波数帯域ではない。よって条件3、条件4及び条件5を満たす。
したがって、条件1〜5を満たしている。よって、上記判断基準詳細1に記載した条件1〜条件5によって、被験者A氏の「パニック」を判断することが可能である。
【0025】
条件1〜5を備えているパターンを、被験者A氏の「ノーマル」から探してみた結果を表2に示す。「表2」は、図6上段のA12:「ノーマル」について検証したものである。
【表2】

(1)110〜170秒の解析時間帯から135〜195秒の解析時間帯までの間で通常時との比率が0.2Hzの周波数帯域で30%を6回連続して下回っている。よって条件1及び条件4を満たす。
(2)同一解析時間帯の間で0.4Hzの同一周波数帯域で6回連続して通常時との比率が105%を上回っている。よって条件2及び条件4を満たす。
(3)しかし、同一解析時間帯の間で通常時との比率が120%を上回っているのは、110〜170秒の解析時間帯から120〜180秒の解析時間帯の3回連続、及び125〜185秒の解析時間帯から135〜195秒の解析時間帯の3回連続である。よって、同一周波数帯域で連続5回続くこととした条件4は満たしていない。
その他の時間帯でも同様に、「ノーマル」時では、条件1〜5まで全てを満たすものはない。
【0026】
(検証例2)
被験者B氏(性別:男性、年齢:50才代、健康状態:良好)基準心拍周波数帯域=1.0Hz
検証例2のパワースペクトル密度関数グラフを図7から図8に示す。また、パワースペクトル密度解析による解析データと、測定開始から120秒までの通常時の基準値とを比較したときの比率を図9から図10の表に示す。
図7及び図8のグラフに関する説明は、上記図3及び図4のグラフの説明と同じである。
図7及び図8のグラフにおいて、B1〜B4の「パニック」時の0.0Hz〜0.4Hzの波高が、B5〜B8の「ノーマル」時の類似型の0.0Hz〜0.4Hzの波高よりも「低い」ことが読み取れる。
【0027】
図9及び図10の表に関する説明は、上記図5及び図6の表の説明と同じである。
以下に示す「表3」は、図9上段のB9:「パニック」について、上述した判定基準詳細1を検証したものである。
【表3】

(1)100〜160秒の解析時間帯から120〜180秒の解析時間帯までの間で0.0〜0.6Hzの周波数帯域で通常時との比率が30%を5回連続して下回っている。よって、条件1及び条件4を満たす。
(2)同一解析時間帯の間で0.4Hzの同一周波数帯域で5回連続して通常時との比率が100%を上回っている。よって条件2及び条件4を満たす。
(3)同一解析時間帯の間で1.2Hzの同一周波数帯域で5回連続して通常時との比率が120%を上回っていて、基準心拍周波数帯域ではない。よって条件3、条件4及び条件5を満たす。
したがって、条件1〜5を満たしている。よって、上記判断基準詳細1に記載した条件1〜条件5によって、被験者B氏の「パニック」を判断することが可能である。
【0028】
条件1〜5を備えているパターンを、被験者B氏の「ノーマル」から探してみた結果を表4に示す。「表4」は、図10上段のB12:「ノーマル」について検証したものである。
【表4】

(1)125〜185秒の解析時間帯から145〜205秒の解析時間帯までの間で0.0〜0.6Hzの周波数帯域で通常時との比率が30%を5回連続して下回っている。よって条件1を満たしていない。
(2)同一解析時間帯の間で0.4Hzの同一周波数帯域で5回以上連続して通常時との比率が105%を上回っている。よって条件2及び条件4を満たす。
(3)同一解析時間帯の間で0.8Hzの同一周波数帯域で5回連続して通常時との比率が120%を上回っていて、基準心拍周波数帯域ではない。よって条件3、条件4及び条件5を満たす。
したがって、条件1〜5の全ての条件を満たすものではない。
その他の時間帯でも同様に、「ノーマル」時では、条件1〜5の全てを満たすものはない。
【0029】
(検証例3)
被験者C氏(性別:男性、年齢:50才代、健康状態:良好)基準心拍周波数帯域=1.0Hz
検証例3のパワースペクトル密度関数グラフを図11から図12に示す。また、パワースペクトル密度解析による解析データと、測定開始から120秒までの通常時の基準値とを比較したときの比率を図13から図14の表に示す。
図11及び図12のグラフに関する説明は、上記図3及び図4のグラフの説明と同じである。
図11及び図12のグラフにおいて、C1〜C4の「パニック」時の0.0Hz〜0.4Hzの波高が、C5〜C8の「ノーマル」時の類似型の0.0Hz〜0.4Hzの波高よりも「低い」ことが読み取れる。
【0030】
図13及び図14の表に関する説明は、上記図5及び図6の表の説明と同じである。
以下に示す「表5」は、図13上段のC9:「パニック」について、上述した判定基準詳細1を検証したものである。
【表5】

(1)70〜130秒の解析時間帯から110〜170秒の解析時間帯までの間で0.0〜0.6Hzの周波数帯域で通常時との比率が30%を9回連続して下回っている。よって条件1及び条件4を満たす。
(2)同一解析時間帯の間で0.6Hzの同一周波数帯域で9回連続して通常時との比率が105%を上回っている。よって条件2及び条件4を満たす。
(3)同一解析時間帯の間で1.4Hzの同一周波数帯域で9回連続して通常時との比率が120%を上回っていて、基準心拍周波数帯域ではない。よって条件3、条件4及び条件5を満たす。
したがって、条件1〜5を満たしている。よって、上記判断基準詳細1に記載した条件1〜条件5によって、被験者C氏の「パニック」を判断することが可能である。
【0031】
条件1〜5を備えているパターンを、被験者C氏の「ノーマル」から探してみた結果を表6に示す。「表6」は、図14中段のC10:「ノーマル」について検証したものである。
【表6】

(1)210〜270秒の解析時間帯から230〜290秒の解析時間帯までの間で0.0Hzの周波数帯域で通常時との比率が30%を5回連続して下回っている。よって条件1は満たしている。
(2)同一解析時間帯の間で0.4Hzの同一周波数帯域で5回以上連続して通常時との比率が105%を上回っている。よって条件2及び条件4を満たす。
(3)同一解析時間帯の間で1.4Hzの同一周波数帯域で5回連続して通常時との比率が120%を5回連続して上回っていない。よって条件3及び条件4を満たしていない。
したがって、条件1〜5の全ての条件を満たすものではない。
その他の時間帯でも同様に、「ノーマル」時では、条件1〜5の全てを満たすものはない。
【0032】
次に、女性について「パニック」と判断する条件を判定基準詳細2と称し、条件6〜条件9に示す。
<判定基準詳細2>
条件6:0.0〜0.6Hzの周波数帯域において、通常時との比率が400%を超える周波数帯域があること
条件7:0.8〜1.4Hzの周波数帯域において、通常時との比率が120%を超える周波数帯域があること
条件8:上記1〜2が連続して5回以上続くこと
条件9:条件7において、前述の基準心拍の周波数帯域と認められた場合、「ノーマル」と判断する。このため、条件7は、基準心拍の周波数帯域以外の周波数帯域であること
【0033】
(検証例4)
被験者Dさん(性別:女性、年齢:20才代、健康状態:良好)基準心拍周波数帯域=0.8Hz
検証例4のパワースペクトル密度関数グラフを図15から図16に示す。また、パワースペクトル密度解析による解析データと、測定開始から120秒までの通常時の基準値とを比較したときの比率を図17から図18の表に示す。
図15及び図16のグラフに関する説明は、上記図3及び図4のグラフの説明と同じである。
図15及び図16のグラフにおいて、D1〜D4の「パニック」時の0.0Hz〜0.4Hzの波高が、D5〜D8の「ノーマル」時の類似型の0.0Hz〜0.4Hzの波高よりも「高い」ことが読み取れる。
【0034】
図17及び図18の表に関する説明は、上記図5及び図6の表の説明と同じである。
以下に示す「表7」は、図17上段のD9:「パニック」について、上述した判定基準詳細2を検証したものである。
【表7】

(1)70〜130秒の解析時間帯から95〜155秒の解析時間帯までの間で0.6Hzの同一周波数帯域で6回連続して通常時との比率が400%を上回っている。よって条件6を満たす。
(2)同一解析時間帯の間で1.4Hzの同一周波数帯域で6回以上連続して通常時との比率が120%を上回っており、かつ、基準心拍周波数帯域ではない。よって条件7、条件8及び条件9を満たす。
したがって、条件6〜9を満たしている。よって、上記判断基準詳細2に記載した条件1〜条件4によって、被験者Dの「パニック」を判断することが可能である。
【0035】
条件6〜9を備えているパターンを、被験者Dの「ノーマル」から探してみた結果を表8に示す。「表8」は、図18下段のD14:「ノーマル」について検証したものである。
【表8】

(1)250〜310秒の解析時間帯から275〜335秒の解析時間帯までの間で0.6Hzの同一周波数帯域で6回連続して通常時との比率が400%を上回っている。よって条件6を満たす。
(2)同一解析時間帯の間で0.8〜1.4Hzの周波数帯域で通常時との比率が120%を上回っているものは無い。よって条件7を満たしていない。
したがって、条件6〜9の全ての条件を満たすものではない。
その他の時間帯でも同様に、「ノーマル」時では、条件6〜9の全てを満たすものはない。
【0036】
(検証例5)
被験者Eさん(性別:女性、年齢:20才代、健康状態:良好)基準心拍周波数帯域=0.8Hz
検証例5のパワースペクトル密度関数グラフを図19から図20に示す。また、パワースペクトル密度解析による解析データと、測定開始から120秒までの通常時の基準値とを比較したときの比率を図21から図22の表に示す。
図19及び図20のグラフに関する説明は、上記図3及び図4のグラフの説明と同じである。
図19及び図20のグラフにおいて、E1〜E4の「パニック」時の0.0Hz〜0.4Hzの波高が、E5〜E8の「ノーマル」時の類似型の0.0Hz〜0.4Hzの波高よりも「高い」ことが読み取れる。
【0037】
図21及び図22の表に関する説明は、上記図5及び図6の表の説明と同じである。
以下に示す「表9」は、図21上段のE9:「パニック」について、上述した判定基準詳細2を検証したものである。
【表9】

(1)90〜150秒の解析時間帯から110〜170秒の解析時間帯までの間で0.2Hzの同一周波数帯域で5回連続して通常時との比率が400%を上回っている。よって条件6を満たす。
(2)同一解析時間帯の間で1.2Hzの同一周波数帯域で5回以上連続して通常時との比率が120%を上回っていて、基準心拍周波数帯域ではない。よって条件7、条件8及び条件9を満たす。
したがって、条件6〜9を満たしている。よって、上記判断基準詳細2に記載した条件6〜9によって、被験者Eの「パニック」を判断することが可能である。
【0038】
条件6〜9を備えているパターンを、被験者Eの「ノーマル」から探してみた結果を表10に示す。「表10」は、図21下段のE11:「ノーマル」について検証したものである。
【表10】

(1)75〜135秒の解析時間帯から100〜160秒の解析時間帯までの間で0.0〜0.6Hzの周波数帯域で通常時との比率が400%を上回っているものは無い。よって条件6を満たしていない。
(2)同一解析時間帯の間で1.2Hzの同一周波数帯域で5回以上連続して通常時との比率が120%を上回っていて、基準心拍周波数帯域ではない。よって条件7、条件8及び条件9を満たす。
したがって、条件6〜9の全ての条件を満たすものではない。
その他の時間帯でも同様に、「ノーマル」時では、条件6〜9の全てを満たすものはない。
【0039】
(検証例6)
被験者Fさん(性別:女性、年齢:20才代、健康状態:良好)基準心拍周波数帯域=1.0Hz
検証例6のパワースペクトル密度関数グラフを図23から図24に示す。また、パワースペクトル密度解析による解析データと、測定開始から120秒までの通常時の基準値とを比較したときの比率を図25から図26の表に示す。
図23及び図24のグラフに関する説明は、上記図3及び図4のグラフの説明と同じである。
図23及び図24のグラフにおいて、F1〜F4の「パニック」時の0.0Hz〜0.4Hzの波高が、F5〜F8の「ノーマル」時の類似型の0.0Hz〜0.4Hzの波高よりも「高い」ことが読み取れる。
【0040】
図25及び図26の表に関する説明は、上記図5及び図6の表の説明と同じである。
以下に示す「表11」は、図25上段F9の:「パニック」について、上述した判定基準詳細2を検証したものである。
【表11】

(1)85〜145秒の解析時間帯から120〜180秒の解析時間帯までの間で0.2Hzの同一周波数帯域で8回連続して通常時との比率が400%を上回っている。よって条件6を満たす。
(2)同一解析時間帯の間で1.2Hzの同一周波数帯域で8回以上連続して通常時との比率が120%を上回っていて、基準心拍周波数帯域ではない。よって条件7、条件8及び条件9を満たす。
したがって、条件6〜9を満たしている。よって、上記判断基準詳細2に記載した条件6〜9によって、被験者Fの「パニック」を判断することが可能である。
【0041】
条件6〜9を備えているパターンを、被験者Fの「ノーマル」から探してみた結果を表12に示す。「表12」は、図26下段のF14:「ノーマル」について検証したものである。
【表12】

(1)240〜300秒の解析時間帯から265〜325秒の解析時間帯までの間で0.6Hzの同一周波数帯域で6回連続して通常時との比率が400%を上回っている。よって条件6を満たす。
(2)同一解析時間帯で通常時との比率が110%を上回っているのは、240〜300秒の解析時間帯から245〜305秒の解析時間帯までの2回連続、及び250〜310秒の解析時間帯から265〜325秒の解析時間帯までの4回連続である。よって、同一周波数帯域で連続5回続くこととした条件9は満たしていない。
したがって、条件6〜9の全ての条件を満たすものではない。
その他の時間帯でも同様に、「ノーマル」時では、条件6〜9の全てを満たすものはない。
【0042】
(検証例7)
検証例7のパワースペクトル密度関数グラフを図27〜図30に示す。
被験者Eさん(検証例5の被験者と同一人)
この検証例7は、測定中に被験者以外の者が被験者に静かに近づき、後方から被験者を驚かした時の試験例である。
【0043】
図27〜図30は、E15「通常時」→E16「びっくり開始」→E17〜E27「びっくり中」→E28「落ち着き開始」→E29、E30「落ち着き中」のパワースペクトル密度関数グラフである。
【0044】
図27〜図30及びそれ以降のパワースペクトル密度関数グラフを数値化した表を図31及び図32に示す。
図31及び図32において、中心測定時間とは、測定時間の中心の数値を示すものである。各測定時間において、左縦列はパワースペクトルを示し、右縦列は「通常時との比率」を示す。
(1)0.0Hzの「通常時との比率」、0.2Hzの「通常時との比率」及び0.4Hzの「通常時との比率」に着目すると、測定時間100〜160秒でその数値が急激に高まり、測定時間110〜170秒では1000%を遥かに超えて2000%台や3000%台も見られる。測定時間150〜210秒以降の0.2Hzの「通常時との比率」は7000%を超え、異常事態であることを明確に認定することの可能な数値を示している。
【0045】
(2)0.0Hzの「通常時との比率」、0.2Hzの「通常時との比率」及び0.4Hzの「通常時との比率」に着目すると、測定時間160〜220秒の数値をピークとして、徐々に100%に近づくのが読み取れる。これは、被験者Eが徐々に落ち着きを取り戻していることを示すものである。
【0046】
次に、上述した判定基準詳細1及び判定基準詳細2を基にした生体信号検出手段2及びコンピュータ8の制御方法を図33〜図40のフローチャートを参照して説明する。
まず、図33に示すように、ステップ1(図33〜図40において、ステップを「S」と表記する。)で、被験者の性別などの情報をコンピュータ8に入力した後、処理を開始する。
ステップ2で、生体信号検出手段2が、センサ3で検出された生体信号から生理データを収集する。このときのサンプリングタイムは、5msである。生体信号検出手段2は、ノイズフィルター回路4、信号増幅アンプ回路5、ローパスフィルタ6を経由することで必要周波数帯の脈波信号を生理データとして抽出する。この生理データの信号をステップ3でAD変換回路7によりAD変換した後、ステップ4でデータ送信手段によりコンピュータ8に送信する。
【0047】
ステップ5では、コンピュータ8のデータ受信手段が、生体信号検出手段2から送信された生理データの信号を受信する。ステップ6で、監視開始前において、受信した生理データを事前データ蓄積手段がバッファに保存する。
バッファに1分間のデータが保存されると(ステップ7:YES)、解析タイマーが5秒経過するまで(ステップ8:NO)、順次5msごとに保存処理を行う。このとき、バッファは1カウントで5msスライドし、保存タイマー及び解析タイマーは5ms加算される。
解析タイマーが5秒経過すると(ステップ8:YES)、ステップ10で解析タイマーをクリアした後、処理は先ず、事前解析に移行する(ステップ11:NO)。
【0048】
事前解析では、図34に示すように、ステップ12で、1分間データ蓄積したものをパワースペクトル密度解析にて解析する。このとき、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hz、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数の解析データを数値化する。続いてステップ13で、その数値化したものを、被験者の通常時の解析データとして、事前解析用データメモリーに保存する。
上記ステップ5からステップ13までを繰り返し(ステップ14:NO)、5秒ごとにスライドした各1分間の解析データが12セット保存されると(ステップ14:YES)、処理はステップ15に移行する。
ステップ15では、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hz、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数のパワースペクトル密度の平均値を算出する。また、0.8Hzまたは1.0Hzにおける基準周波数を算出する。これをステップ16で、事前データ解析済みバッファに保存する。続いて、ステップ17で「通常解析可」のフラグをセットし、処理をステップ5に移行する。
ステップ5〜ステップ11は上記で説明した通りである。ステップ11で、「通常解析可」のフラグが検出されると、処理は通常解析に移行する。
【0049】
通常解析では、図35に示すように、ステップ18で、1分間のデータを解析する。具体的に、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hz、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数のパワースペクトル密度を算出する。
次に、ステップ19で、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hz、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数のパワースペクトル密度の平均値を算出する。また、0.8Hzまたは1.0Hzにおける基準周波数を算出する。これをステップ20で、通常データ解析済みバッファに保存する。
ステップ1でコンピュータ8に入力した情報に基づき、被験者が女性である場合(ステップ21:NO)、処理は女性解析に移行する。
【0050】
女性解析では、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzの各周波数において通常時との比率が400%を超えているか否かを検出する。すべての周波数において400%を超えていない場合(ステップ22:NO)、処理はステップ5に移行する。一方、いずれかの周波数において400%を超えている場合(ステップ22:YES)、処理はステップ23を経由し、ステップ26へ移行する。
図39に示すように、ステップ26では、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzの各周波数において通常時との比率が5000%を超えているか否かを検出する。いずれかの周波数において5000%を超えている場合(ステップ26:YES)、異常事態数値1のカウンタを1回加算する(ステップ27)。そして、ステップ28を経由し、パニックカウンタを1回加算する。
次に、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数において通常時との比率が120%を超えているか否かを検出する。いずれかの周波数において120%を超えている場合(ステップ31:YES)、処理はステップ32を経由し、ステップ33へ移行する。
ステップ33では、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数において通常時との比率が2800%を超えているか否かを検出する。いずれかの周波数において2800%を超えている場合(ステップ33:YES)、図37に示すように、異常事態数値2のカウンタを1回加算する(ステップ34)。そして、ステップ35およびステップ37を経由し、処理をステップ5に移行する。
【0051】
ここで、ステップ28で異常事態数値1のカウンタが5回以上となった場合(ステップ28:YES)、ステップ35で異常事態数値2のカウンタが5回以上となった場合(ステップ35:YES)、及び、ステップ37でパニックカウンタが5回以上となった場合(ステップ37:YES)、自動警報装置が作動する(ステップ38)。ステップ39で、自動警報装置21が作動し、離れた場所にある監視センターに自動通報される。この自動通報は、解除がされるまで継続し(ステップ40:NO)、例えば被験者等により通報解除がされると(ステップ40:YES)、処理が終了する。
【0052】
ただし、上述したステップ23において、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzの各周波数のうちで、通常時との比率が400%を超えている周波数が、前回と同じ周波数でない場合(ステップ23:NO)、異常事態数値1のカウンタをクリアすると共に、パニックカウンタをクリアし(ステップ24及びステップ25)、処理をステップ5に移行する。
また、上述したステップ26において、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzのすべての周波数において通常時との比率が5000%を超えていない場合(ステップ26:NO)、異常事態数値1のカウンタをクリアする(ステップ29)。なお、この場合も、パニックカウンタは1回加算する。
また、ステップ31において、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzのすべての周波数において通常時との比率が120%を超えていない場合(ステップ31:NO)、及び、ステップ32において、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数のうちで、通常時との比率が120%を超えている周波数が、前回と同じ周波数でない場合(ステップ32:NO)、パニックカウンタをクリアし(ステップ25)、処理をステップ5に移行する。
また、ステップ33において、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzのすべての周波数において通常時との比率が2800%を超えていない場合(ステップ33:NO)、異常事態数値2のカウンタをクリアする(ステップ36)。そして、ステップ37を経由し、処理をステップ5に移行する。
【0053】
次に、上述した通常解析におけるステップ21において、ステップ1でコンピュータ8に入力した情報に基づき、被験者が男性である場合(ステップ21:YES)の処理について説明する。
この場合、図38に示すように、ステップ41で、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzの各周波数において通常時との比率が105%を超えているか否かを検出する。すべての周波数において105%を超えていない場合(ステップ41:NO)、処理はステップ5に移行する。一方、いずれかの周波数において105%を超えている場合(ステップ41:YES)、処理はステップ42を経由し、ステップ45へ移行する。
ステップ45では、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzの各周波数において通常時との比率が5000%を超えているか否かを検出する。いずれかの周波数において5000%を超えている場合(ステップ45:YES)、異常事態数値1のカウンタを1回加算する(ステップ46)。そして、ステップ47を経由し、処理をステップ49に移行する。
図39に示すように、ステップ49では、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzの各周波数において通常時との比率が30%以内にあるか否かを検出する。いずれかの周波数において30%以内にある場合(ステップ49:YES)、ステップ50を経由し、パニックカウンタを1回加算する(ステップ51)。そして、処理をステップ52に移行する。
ステップ52では、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数において通常時との比率が120%を超えているか否かを検出する。いずれかの周波数において120%を超えている場合(ステップ52:YES)、ステップ54を経由し、処理をステップ54に移行する。
ステップ54では、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数において通常時との比率が2800%を超えているか否かを検出する。いずれかの周波数において2800%を超えている場合(ステップ54:YES)、異常事態数値2のカウンタを1回加算する(ステップ55)。そして、ステップ56およびステップ58を経由し、処理をステップ5に移行する。
【0054】
ここで、ステップ47で異常事態数値1のカウンタが5回以上となった場合(ステップ47:YES)、ステップ56で異常事態数値2のカウンタが5回以上となった場合(ステップ56:YES)、及び、ステップ58でパニックカウンタが5回以上となった場合(ステップ58:YES)、自動警報装置が作動する(ステップ59)。図40に示すステップ60及びステップ61は、上述したステップ39及びステップ40と同じである。
【0055】
但し、上述したステップ42において、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzの各周波数のうちで、通常時との比率が105%を超えている周波数が、前回と同じ周波数でない場合(ステップ41:NO)、異常事態数値1のカウンタをクリアすると共に、パニックカウンタをクリアし(ステップ43及びステップ44)、処理をステップ5に移行する。
また、ステップ45において、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzの各周波数の通常時との比率がいずれも5000%を超えていない場合(ステップ45:NO)、異常事態数値1のカウンタをクリアする(ステップ48)。
また、ステップ49において0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzのすべての周波数において通常時との比率が30%以内にない場合(ステップ49:NO)、ステップ50において0.0Hz、0.2Hz、0.4Hz、0.6Hzの各周波数のうちで、通常時との比率が30%以内にある周波数が、前回と同じ周波数でない場合(ステップ50:NO)、ステップ52において0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzのすべての周波数の通常時との比率が120%を超えていない場合(ステップ52:NO)、及び、ステップ53において0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzの各周波数のうちで、通常時との比率が120%を超えている周波数が、前回と同じ周波数でない場合(ステップ53:NO)、パニックカウンタをクリアし(ステップ44)、処理をステップ5に移行する。
また、ステップ54において、0.8Hz、1.0Hz、1.2Hz、1.4Hzのすべての周波数において通常時との比率が2800%を超えていない場合(ステップ54:NO)、異常事態数値2のカウンタをクリアする(ステップ3)。そして、ステップ58を経由し、処理をステップ5に移行する。
【0056】
上述した第1実施形態では、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、生体信号から抽出した生理データをパワースペクトル密度解析し、通常状態における解析データと比較することで、人体が「通常と異なる心身状態」であることを判定する。そして「通常と異なる心身状態」であることが判定されると、自動警報発報手段が監視センターに自動通報する。これにより、緊急事態に直面した被害者が驚きと恐怖のあまり心身が硬直化した場合、或いは、被害者が犯罪者の監視下に置かれた場合、被害者が警報ボタンを作動させること無しに、監視センターに自動通報される。したがって、警備機関の出動を早めることができる。
【0057】
本実施形態では、指尖脈波や耳朶脈波を光学式センサにより検出する。このため、コンビニエンスストアなどにおいて、光学式センサを装着した人は、自由に動くことが可能になるので、利便性が向上する。
本実施形態では、パワースペクトル解析手段が、60秒間の生理データをパワースペクトル密度解析するので、判定結果の信頼性が高い。また、パワースペクトル解析手段は、5秒間隔でパワースペクトル密度解析するので、人体が「通常と異なる心身状態」となったことを迅速に判定することができる。
【0058】
本実施形態では、人体が男性の場合、上述した判定基準詳細1により、「通常と異なる心身状態」となったことを判定する。また、人体が女性の場合、上述した判定基準詳細2により、「通常と異なる心身状態」となったことを判定する。このため、男性、女性いずれの場合においても、信頼性の高い判定結果を得ることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、以下の判定基準により、「通常と異なる心身状態」となったことを判定してもよい。
男性の場合、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hzのいずれかの周波数において、通常時の解析データに対しする比率が26%以下となる状態が一定時間継続したとき、「通常と異なる心身状態」であると判定する。
一方、女性の場合、0.0Hz、0.2Hz、0.4Hzのいずれかの周波数において、通常時のデータに対する比率が100%以上となる状態が一定時間継続したとき、「通常と異なる心身状態」であると判定する。
なお、一定時間とは、例えば、60秒間の生理データを5秒間隔ごとにパワースペクトル密度解析する場合、5回以上連続することが好ましい。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による生体信号検出手段30のブロック図を図41に示す。本実施形態において、上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、センサとして、圧力センサ33が用いられる。
圧力センサ33は、例えば、銀行内のイスに着座した人の生体信号を検出する場合、座布団やシートクッションに取り付けて用いることが可能である。一方、例えばコンビニエンスストアなど立ち姿勢状態の人の生体信号を検知する場合、フロアマット層に取り付けて用いることが可能である。これにより、脈波や呼吸に伴う体表面の振動を生体信号として容易に検出することができる。
生体信号検出手段30は、生理データ抽出回路として、2個のバンドパス36、37を備えている。圧力センサ33により検出された生体信号は、ノイズフィルター回路34、信号増幅アンプ回路35を経由した後、一方のバンドパス36で呼吸成分が抽出され、他方のバンドパス37で心拍成分が抽出される。これらの信号は合成され、デジタル信号に変換された後、データ送信手段によりコンピュータ8に送信される。なお、コンピュータ8による処理は、第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、生体信号検出手段の抽出した生理データをパワースペクトル密度解析することで、特定の周波数成分に含まれている解析データを得た。これに対し、本発明は、種々の解析方法により特定の周波数成分に含まれている解析データを得ることが可能である。解析方法として、例えば、FFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier ransform)、MEM(最大エントロピー原理:Principle of maximum entropy)、AR(自己回帰:AutoRegressive)モデル、ARMA(自己回帰移動平均モデル:Autoregressive moving average model)モデル、STFT(短時間フーリエ変換:Short Time Fourier Transform)、ウェーブレット変換(Wavelet Transformation)、ウィグナー分布(Wigner distribution)等の周波数解析があげられる。これらの解析によっても、生理データの信号が周波数ごとの変動の大きさを検出することが可能である。 なお、周波数解析に限らず、生体信号検出手段の抽出した生理データから特定の周波数成分に含まれている解析データを得ることが可能であれば、他の解析方法とすることが可能である。
上述した実施形態では、コンピュータによって人体が「通常と異なる心身状態」であると判定し、監視センターのサーバに自動通報した。これに対し、本発明は、センサによって検出された人体の生体信号を監視センターのサーバーに送信し、人体が「通常と異なる心身状態」であるか否かをサーバーで判定し、監視センターの警備員等に直接警報を発するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
2、30・・・生体信号検出手段
3 ・・・光学式センサ(センサ)
11 ・・・パワースペクトル密度解析手段(解析手段)
17 ・・・事前データ解析済みバッファ(データ蓄積手段)
18 ・・・判定手段
22 ・・・自動警報発報手段
23 ・・・圧力センサ
25 ・・・サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の生体信号を検出するセンサと、
前記センサの検出した生体信号から呼吸に伴う振動又は脈波からなる生理データを抽出する生体信号検出手段と、
前記生体信号検出手段の抽出した生理データを解析する解析手段と、
前記人体がリラックスした通常状態にあるときに前記解析手段が生理データを解析することで得られた解析データを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記データ蓄積手段に蓄積された解析データと前記生体信号検出手段の抽出した生理データを前記解析手段が所定時間間隔で解析した解析データとを比較し、その比率が予め設定された判定基準に合致した場合、前記人体が「通常と異なる心身状態」であると判定する判定手段と、
前記人体が「通常と異なる心身状態」であることを前記判定手段が判定したとき、自動通報または警報を発する自動警報発報手段と、を備えたことを特徴とする自動通報装置。
【請求項2】
前記センサは、光学式センサまたは圧力センサであることを特徴とする請求項1に記載の自動通報装置。
【請求項3】
前記解析手段は、前記生体信号検出手段の抽出した一定時間の生理データを、前記所定時間間隔で解析することを特徴とする請求項1または2に記載の自動通報装置。
【請求項4】
前記解析手段は、前記人体が男性の場合、以下の条件1〜条件5がすべて満たされることを予め設定された判定基準とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動通報装置。
条件1:0.0〜0.6Hzの周波数帯域において、前記比率が30%未満の周波数帯域がある
条件2:0.0〜0.6Hzの周波数帯域において、前記比率が105%を超える周波数帯域がある
条件3:0.8〜1.4Hzの周波数帯域において、前記比率が120%を超える周波数帯域がある
条件4:条件1、条件2、条件3のいずれかが連続して5回以上続く
条件5:条件3は、0.8Hz又は1.0Hzのうち、通常時の心拍成分の平均値が高い前記解析データの出現数が少ない方の周波数帯域に認められる
【請求項5】
前記解析手段は、前記人体が女性の場合、以下の条件6〜条件9がすべて満たされることを予め設定された判定基準とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動通報装置。
条件6:0.0〜0.6Hzの周波数帯域において、前記比率が400%を超える周波数帯域がある
条件7:0.8〜1.4Hzの周波数帯域において、前記比率が120%を超える周波数帯域がある
条件8:条件6、条件7のいずれかが連続して5回以上続く
条件9:条件7は、0.8Hz又は1.0Hzのうち、通常時の心拍成分の平均値が高い前記解析データの出現数が少ない方の周波数帯域に認められる

【図1】
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【図2】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−220989(P2012−220989A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82874(P2011−82874)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【特許番号】特許第4906967号(P4906967)
【特許公報発行日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(397022461)イセット株式会社 (3)
【Fターム(参考)】