説明

自己停止反応成膜装置及び自己停止反応成膜方法

【課題】成膜の安定性を高めることができる原子層堆積装置及び原子層堆積方法を提供する。
【解決手段】原子層堆積装置100は、ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を第1の方向から前記第1の方向とは非平行な第2の方向へ変換するように構成された第1のガイドローラ11Aと、前記基材の前記第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を前記第2の方向から前記第2の方向とは非平行な第3の方向へ変換するように構成された第2のガイドローラ11Bと、前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとの間に配置され、前記基材の前記第1の面とは反対側の第2の面に対向し、原子層堆積のための原料ガスを前記第2の面に向けて吐出するように構成された第1のヘッド12Aとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法あるいは分子層堆積(MLD:Molecular Layer Deposition)法を用いて成膜する自己停止反応成膜装置及び自己停止反応成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜形成技術の一つとして、原子層堆積法(ALD法)が知られている。ALD法は、反応ガスの連続した化学反応により薄膜を形成する技術である。ALD法では通常、前駆体ガスと呼ばれる2種類の反応ガス(原料ガス)が使用される。各々の前駆体ガスは、基材表面に別々に曝されることで基材表面と反応し、1サイクルにつき1原子層単位で薄膜を形成する。したがって、基材表面において各前駆体ガスを繰り返し反応させることで、所定厚みの薄膜が形成されることになる。
【0003】
ALD法を用いた成膜装置として、例えば、ロール・ツー・ロール方式の成膜装置が知られている。例えば下記特許文献1には、周面にポリマー基板が巻き付けられる回転可能なドラムと、このドラムの周囲に沿って配置されポリマー基板上に原料ガスを吐出する複数のALD源とを備えた原子層堆積装置が記載されている。また下記特許文献2には、複数のロール部材を含む基材の搬送機構と、上記複数のロール部材に各々対向して配置され、ALDを行うための前駆体ガスを上記基材に対して局所的に出力可能な複数のヘッド部とを備えた成膜装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−522344号公報
【特許文献2】特開2011−137208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載のように原料ガスの供給源としてALD源あるいはヘッド部を用いる成膜装置においては、複数種の原料ガスが相互に混合しないように、上記ALD源あるいはヘッド部と基材表面との間に一定の微細なクリアランスを確保する必要がある。
【0006】
しかしながら上記特許文献1,2に記載の成膜装置においては、上記ALD源あるいはヘッド部は、ドラムあるいはロール部材の円弧状の周面に対向するように配置されているため、基材表面との間に一定のクリアランスを形成することができない。このため上記成膜装置においては安定した成膜が困難であるという問題がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、成膜の安定性を高めることができる自己停止反応成膜装置及び自己停止反応成膜方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る自己停止反応成膜装置は、第1のガイドローラと、第2のガイドローラと、少なくとも1つの第1のヘッドとを具備する。
上記第1のガイドローラは、ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を支持しつつ、上記基材の搬送方向を第1の方向から上記第1の方向とは非平行な第2の方向へ変換するように構成される。
上記第2のガイドローラは、上記基材の上記第1の面を支持しつつ、上記基材の搬送方向を上記第2の方向から上記第2の方向とは非平行な第3の方向へ変換するように構成される。
上記第1のヘッドは、上記第1のガイドローラと上記第2のガイドローラとの間に配置され、前記基材の上記第1の面とは反対側の第2の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを上記第2の面に向けて吐出するように構成される。
【0009】
上記自己停止反応成膜装置において、基材は、その第1の面を第1のガイドローラと第2のガイドローラとにより支持され、第1のガイドローラと第2のガイドローラとの間において直線的に架け渡される。一方、第1のヘッドは、第1のガイドローラと第2のガイドローラとの間に配置されることで、基材に平面的に対向する。これにより基材と第1のヘッドとの間のクリアランスを一定に保つことができるため、基材の第2の面に原子層あるいは分子層を安定して形成することが可能となる。
【0010】
第1のガイドローラと第2のガイドローラとの間に配置される第1のヘッドの数は単数でもよいし、複数でもよい。第1のヘッドは、それ単独で原子層の堆積に必要な複数のガス種を吐出するように構成されてもよいし、原子層あるいは分子層の堆積に必要な複数のガス種を個々に吐出する複数のヘッド部を組み合わせて構成されてもよい。
【0011】
例えば上記第1のヘッドは、複数種の原料ガスを個々に吐出することが可能な複数のヘッド部を含む上記第2の方向に平行なガス吐出面を有してもよい。この場合、上記第1のヘッドは、第1のガイドローラと第2のガイドローラとの間で上記第2の面に1原子層以上の薄膜を形成する。
これにより、基材上に1原子層以上の薄膜を安定に形成することができる。
【0012】
上記自己停止反応成膜装置は、ヒータユニットをさらに具備してもよい。上記ヒータユニットは、基材を挟んで第1のヘッドと対向するように配置され、基材を所定温度に加熱することが可能に構成される。
これにより基材の成膜領域を所定の成膜温度に安定に加熱できるため、原子層あるいは分子層の膜質を高めることができる。
【0013】
ヒータユニットの構成は特に限定されず、伝導、対流あるいは放射によって基材を加熱できる構成であればよい。例えば上記ヒータユニットは、所定温度に加熱された流体を基材の第2の面に向けて噴出するように構成された噴出部を有する。これにより基材の成膜領域を加熱しつつ、流体の圧力で基材の弛みを抑え、基材と第1のヘッドとの間に所定のクリアランスを安定に維持することができる。
【0014】
上記自己停止反応成膜装置は、第3のガイドローラと、第2のヘッドとをさらに具備してもよい。
上記第3のガイドローラは、上記第1の面を支持しつつ、基材の搬送方向を上記第3の方向から上記第3の方向とは非平行な第4の方向へ変換するように構成される。
上記第2のヘッドは、第2のガイドローラと第3のガイドローラとの間に配置され、基材の上記第2の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを上記第2の面に向けて吐出するように構成される。
【0015】
上記構成において、第2のヘッドは、第1のヘッドから吐出される原料ガスと同一のガスを吐出するように構成されてもよいし、第1のヘッドから吐出される原料ガスとは異なるガスを吐出するように構成されてもよい。すなわち第2のヘッドは、第1のヘッドで形成される原子層あるいは分子層と同一材料の原子層あるいは分子層を形成するためのものであってもよいし、第1のヘッドで形成される原子層あるいは分子層とは異なる材料の原子層あるいは分子層を形成するためのものであってもよい。
【0016】
一方、本技術の他の形態に係る自己停止反応成膜装置は、第1のローラ群と、複数の第1のヘッドとを具備する。
上記第1のローラ群は、ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を支持しつつ、上記基材の搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数の第1のガイドローラを含む。
上記複数の第1のヘッドは、複数の第1のガイドローラのうち所定の複数の第1のガイドローラの間にそれぞれ配置され、基材の第1の面とは反対側の第2の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを上記第2の面に向けて吐出するように構成される。
【0017】
上記自己停止反応成膜装置において、基材は、その第1の面を複数の第1のガイドローラにより支持され、これら第1のガイドローラ各々の間において直線的に架け渡される。一方、複数の第1のヘッドは、複数の第1のガイドローラ各々の間にそれぞれ配置されることで、基材の第2の面に平面的に対向する。これにより基材と第1のヘッド各々との間に所定のクリアランスを安定に確保することができるため、基材の第2の面に原子層あるいは分子層を安定して形成することが可能となる。また、複数の第1のヘッドで原子層あるいは分子層を順次形成するため、生産性を向上させることができる。
【0018】
上記自己停止反応成膜装置は、第2のローラ群と、複数の第2のヘッドとをさらに具備してもよい。
上記第2のローラ群は、基材の第2の面を支持しつつ、基材の搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数の第2のガイドローラを含む。
上記複数の第2のヘッドは、複数の第2のガイドローラのうち所定の複数の第2のガイドローラの間にそれぞれ配置され、基材の第1の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを上記第1の面に向けて吐出するように構成される。
これにより、基材の第1の面だけでなく第2の面にも原子層あるいは分子層を形成することができる。
【0019】
この場合、処理ユニットをさらに具備してもよい。上記処理ユニットは、基材の第1の面及び第2の面を除塵するためのものであり、第1のローラ群と第2のローラ群との間に配置される。
これにより、基材の第1の面および第2の面を清浄化することができるため、基材の両面に高品質な原子層あるいは分子層を安定して形成することができる。
【0020】
上記自己停止反応成膜装置は、第1のローラ群へ基材を供給するための巻出しローラと、第1のローラ群から送出される基材を巻き取るための巻取りローラとをさらに具備してもよい。
これにより基材の連続成膜が可能となるため、生産性を向上させることができる。
【0021】
上記自己停止反応成膜装置は、第1のローラ群と複数の第1のヘッドとを収容するチャンバをさらに具備してもよい。
これにより基材の成膜雰囲気を自由に調整することができる。チャンバ内は大気でもよいし減圧雰囲気でもよい。あるいはチャンバ内は、所定の不活性ガス雰囲気に置換されてもよい。
【0022】
本技術の一形態に係る自己停止反応成膜方法は、ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を複数のガイドローラで支持しつつ、搬送方向が段階的に変化するように基材を搬送することを含む。
上記複数のガイドローラのうち所定の複数のガイドローラの間にそれぞれ配置された複数のヘッドから自己停止反応成膜のための原料ガスを吐出することで、基材の第1の面とは反対側の第2の面に1原子層以上の薄膜が順次成膜される。
【0023】
上記自己停止反応成膜方法において、基材は、その第1の面を複数のガイドローラにより支持され、複数のガイドローラ各々の間において直線的に架け渡される。一方、複数のヘッドは、複数のガイドローラ各々の間にそれぞれ配置されることで、基材の第2の面に平面的に対向する。これにより基材と各ヘッドとの間に所定のクリアランスを安定に確保することができるため、基材の第2の面に原子層あるいは分子層を安定して形成することが可能となる。また、複数のヘッドで原子層あるいは分子層を順次形成するため、生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本技術によれば、基材に原子層あるいは分子層を安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本技術の第1の実施形態に係る自己停止反応成膜装置の概略構成図である。
【図2】上記自己停止反応成膜装置におけるガイドローラによる基材の搬送経路を示す模式図である。
【図3】上記自己停止反応成膜装置におけるALDヘッドと基材との関係を示す模式図である。
【図4】上記自己停止反応成膜装置におけるヒータユニットの構成を示す概略断面図である。
【図5】上記ALDヘッドを用いた自己停止反応成膜方法を説明する概略工程図である。
【図6】上記自己停止反応成膜装置によって作製されたフィルムデバイスの一構成例を示す概略断面図である。
【図7】本技術の第2の実施形態に係る自己停止反応成膜装置の概略構成図である。
【図8】上記自己停止反応成膜装置によって作製されたフィルムデバイスの一構成例を示す概略断面図である。
【図9】本技術の第3の実施形態に係る自己停止反応成膜装置の概略構成図である。
【図10】本技術の第4の実施形態に係る自己停止反応成膜装置の概略構成図である。
【図11】本技術の実施形態の変形例を説明する要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態では、自己停止反応成膜装置として原子層堆積(ALD)装置を例に挙げて説明する。
【0027】
<第1の実施形態>
図1は、本技術の第1の実施形態に係る原子層堆積装置の概略構成図である。図1においてX軸及びY軸は相互に直交する水平方向を示し、Z軸は鉛直方向を示している。本実施形態では、ロール・ツー・ロール方式で搬送される基材の一方の面に原子層を堆積させる原子層堆積装置及び原子層堆積方法を説明する。
【0028】
[原子層堆積装置の全体構成]
本実施形態の原子層堆積装置100は、第1のチャンバ101と、第2のチャンバ102と、第3のチャンバ103とを有する。第1のチャンバ101には、ガイドローラ、ALDヘッド等を含む成膜部C11が収容される。第2のチャンバ102には、成膜部C11へ基材Fを供給する巻出しローラ等を含む巻出し部C12が収容される。第3のチャンバ103には、成膜部C11から基材Fを巻き取る巻取りローラ等を収容する巻取り部C13が収容される。第1のチャンバ101と第2及び第3のチャンバ102,103との間には基材Fを通過させるための開口が形成されている。
【0029】
第1〜第3のチャンバ101〜103はそれぞれ図示しない真空ポンプによって内部を排気されることが可能に構成されている。第1〜第3のチャンバ101〜103は共通の真空ポンプで排気されてもよいし、個別に接続された複数の真空ポンプによって各々排気されてもよい。
【0030】
原子層堆積装置100は、第1〜第3のチャンバ101〜103に窒素やアルゴン等の所定のプロセスガスを導入することが可能なガス導入ラインを有し、各チャンバを所定のガス雰囲気に維持することが可能に構成されている。
【0031】
基材Fは、所定幅に裁断されたフレキシブル性を有する長尺のプラスチックフィルム又はシートで構成される。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、アラミド、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの透光性を有するフィルムが挙げられる。基材Fは、プラスチックフィルムに限られず、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等の金属フィルムや、ガラスフィルム等が採用されてもよい。
【0032】
[成膜部]
(ガイドローラ)
成膜部C11は、ロール・ツー・ロール方式で搬送される基材Fの第1の面を支持しつつ、基材Fの搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数のガイドローラ11A,11B,11C,11Dを有する。ガイドローラ11A〜11Dは、基材Fの裏面Fb(第1の面)を支持する回転可能なロール部材で構成され、基材Fの搬送方向を段階的に変化させるように配列される。ガイドローラ11A〜11Dは、X軸方向に軸心を有する円筒形状を有している。
【0033】
図2は、ガイドローラ11A〜11Dによる基材Fの搬送経路を示す模式図である。ガイドローラ11Aは、成膜部C11において基材Fの搬送方向に関して最上流側に位置し、巻出し部C12から供給される基材Fの搬送方向をD1からD2方向へ変換する。ガイドローラ11Bは、ガイドローラ11Aの直下流側に位置し、基材Fの搬送方向をD2からD3方向へ変換する。ガイドローラ11Cは、ガイドローラ11Bの直下流側に位置し、基材Fの搬送方向をD3からD4方向へ変換する。ガイドローラ11Dは、ガイドローラ11Cの直下流側に位置し、基材Fの搬送方向をD4からD5方向へ変換して、基材Fを巻取り部C13へ送出する。
【0034】
ここで、D1方向とD2方向、D2方向とD3方向、D3方向とD4方向、及び、D4方向とD5方向は、それぞれ相互に非平行な関係とされる。これにより、各ガイドローラ11A〜11Dにおける基材フィルムFの抱き角に応じて定まる張力を基材フィルムFに付与し、隣り合う複数のガイドローラ間において基材フィルムFの直線的な搬送姿勢を得ることができる。
【0035】
ガイドローラ11A〜11Dの配列間隔は特に限定されず、基材フィルムFの自重で基材フィルムFの直線的な搬送姿勢が損なわれない程度に設定される。ガイドローラ11A〜11D各々における基材Fの抱き角も特に限定されず、例えば1度以上であればよい。
【0036】
ガイドローラ11A〜11Dはそれぞれ独立した回転駆動源を備えるが、独自の駆動源を備えないフリーローラで構成されてもよい。ガイドローラ11A〜11Dが各々個別に駆動可能に構成されることで、各ガイドローラ間において基材Fの張力を最適化することが可能である。駆動方式は特に限定されず、速度制御でもよいしトルク制御でもよい。基材Fと接触するガイドローラ11A〜11Dの周面は、典型的には金属材料で形成されるが、これに限られず絶縁材料等で構成されてもよい。
【0037】
成膜部C11において基材Fの走行をガイドするガイドローラの数は上述の例に限られず、さらに複数のガイドローラが用いられてもよい。
【0038】
(ALDヘッド)
成膜部C11は、基材Fに原子層を堆積させるための複数のALDヘッド12A,12B,12Cをさらに有する。ALDヘッド12A〜12Cは、基材Fの搬送方向に沿って順次配置され、基材Fの表面Fa(第2の面)に原子層堆積のための各種原料ガスを吐出可能に構成される。
【0039】
原料ガスの種類は、形成される薄膜の種類に応じて設定される。本実施形態では、基材Fの表面Faに酸化アルミニウム(Al23)の原子層が形成される。この場合、第1の前駆体ガスと第2の前駆体ガスとが用いられる。第1の前駆体ガスとしては、例えばTMA(トリメチルアルミニウム;(CH33Al)等が挙げられる。第2の前駆体ガスとしては、例えば水(H2O)が挙げられる。その他、パージガスとして窒素(N2)等が用いられる。
【0040】
なお、これらの前駆体ガスとしては、この他にも、例えば以下の材料を用いることができる。
ビス(テル−ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(VI);((CH33CN)2W(N(CH322
トリス(テル−ブトキシ)シラノール;((CH33CO)3SiOH、
ジエチル亜鉛;(C252Zn、
トリス(ジエチルアミド)(テル−ブチルイミド)タンタル(V);(CH33CNTa(N(C2523
トリス(テル−ペントキシ)シラノール;(CH3CH2C(CH32O)3SiOH、
トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金(IV);C54CH3Pt(CH33
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II);C79RuC79
(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン;H2N(CH23Si(OC253
四塩化珪素;SiCl4
四塩化チタン;TiCl4
チタン(IV)イソプロポキシド;Ti[(OCH)(CH324
テトラキス(ジメチルアミド)チタン(IV);[(CH32N]4Ti、
テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV);[(CH32N]4Zr、
トリス[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミド]イットリウム;[[(CH33Si]2]N)3
【0041】
ALDヘッド12Aは、ガイドローラ11Aとガイドローラ11Bとの間に配置され、ガイドローラ11Aからガイドローラ11Bへ向かって搬送される基材Fの表面Faに酸化アルミニウムの原子層を形成する。ALDヘッド12Bは、ガイドローラ11Bとガイドローラ11Cとの間に配置され、ガイドローラ11Bからガイドローラ11Cへ向かって搬送される基材Fの表面Faに酸化アルミニウムの原子層を形成する。そしてALDヘッド12Cは、ガイドローラ11Cとガイドローラ11Dとの間に配置され、ガイドローラ11Cからガイドローラ11Dへ向かって搬送される基材Fの表面Faに酸化アルミニウムの原子層を形成する。以下、各ALDヘッド12A〜12Cによって成膜される原子層を「ALD膜」とも称する。
【0042】
図3は、ALDヘッド12Aと基材Fとの関係を示す模式図である。ALDヘッド12Aは、原料ガスとして第1の前駆体ガス、第2の前駆体ガス、パージガスを含む各種原料ガスを吐出するガス吐出面120を有する。ガス吐出面120は略平坦な面で形成されており、基材Fの表面Faに対向して配置されている。ALDヘッド12Aは、ガス吐出面120がD2方向に走行する基材Fの表面Faに平行となるように配置されることで、ガス吐出面120と基材表面Faとの間に所定の間隙(クリアランス)Gを形成している。間隙Gの大きさは特に限定されず、例えば2mmに設定される。
【0043】
ガス吐出面120には、各種原料ガスを吐出する複数の吐出口12s(ヘッド部)が形成されている。これらの吐出口12sは、基材Fの搬送方向に沿って配列された複数のスリットで構成されており、例えば、第1の前駆体ガスを吐出する第1のスリット、パージガスを吐出する第2のスリット、第2の前駆体ガスを吐出する第3のスリット、パージガスを吐出する第4のスリットがその順で基材Fの搬送方向に配列されている。これらの原料ガスは、各スリットから常時吐出されてもよいし、個別に吐出時間が調整されてもよい。また、ガス同士の混合を防止する目的で、吸引用のスリットがガス吐出面120の適宜の位置に設けられてもよい。
【0044】
ガス吐出面120に形成される上記第1〜第4のスリットの組は単数でもよいが、本実施形態ではガス吐出面120に上記第1〜第4のスリットからなる組が複数繰り返し配列されている。これにより単一のALDヘッド12Aで多層の原子層からなるALD膜を形成することが可能となり、生産性を高めることができる。
【0045】
他のALDヘッド12B,12Cもまた、上述したALDヘッド12Aと同様の構成を有している。ALDヘッド12Bは、そのガス吐出面がD3方向に走行する基材Fの表面Faに平行となるように配置されている。ALDヘッド12Cは、そのガス吐出面がD4方向に走行する基材Fの表面Faに平行となるように配置されている。ALDヘッド12B,12Cと基材Fとの間隙Gの大きさは、ALDヘッド12Aと基材Fとの間隙Gの大きさと同様に設定されてもよいし、これとは異なる値に設定されてもよい。また、ALDヘッド12B,12Cは、ALDヘッド12Aと同一の原料ガスを吐出して酸化アルミニウムからなるALD膜を形成するように構成されているが、これに限られず、異なる材料からなるALD膜を形成するようにしてもよい。
【0046】
ALDヘッドの数は上述の例に限られず、例えば目的とする厚みのALD膜が得られるようにALDヘッドの数を適宜設定することができる。
【0047】
(ヒータユニット)
成膜部C11は、基材Fを所定温度に加熱するための複数のヒータユニット13A,13B,13Cをさらに有する。ヒータユニット13A〜13Cは、ガイドローラ11A〜11Dの各々の間にそれぞれ配置され、基材Fの裏面Fbにそれぞれ対向している。ヒータユニット13A〜13Cは、基材Fを挟んでALDヘッド12A〜12Cにそれぞれ対向するように配置されることで、各ALDヘッド12A〜12Cに対向する基材Fの成膜領域を個々に加熱する。
【0048】
ヒータユニット13A〜13Cの構成は特に限定されず、加熱方式に応じて適宜の構成が採用可能である。本実施形態では、チャンバ101の内部が所定圧の窒素ガス雰囲気に維持されており、ヒータユニット13A〜13Cには、図4に示すように所定温度に加熱された温風を基材Fの裏面Fbに向けて噴出する機構が採用されている。
【0049】
図4は、ヒータユニット13Aの構成を示す概略断面図である。他のヒータユニット13B,13Cもヒータユニット13Aと同一の構成を有している。ヒータユニット13Aは、ヒータ131、ファン132等を収容する筐体133を有する。筐体133には、チャンバ101内の窒素ガスを吸い込むための吸込み口134と、当該窒素ガスを噴出する複数の噴出口135とを有する。ヒータユニット13Aは、ファン132の回転により吸込み口134から窒素ガスを筐体133の内部に吸引し、ヒータ131で所定温度に加熱した窒素を噴出口135から基材裏面Fbへ向けて噴出する。基材Fの加熱温度は特に限定されず、例えば200℃とされる。
【0050】
上記構成のヒータユニット13A〜13Cによれば、基材Fを所定温度に加熱できるだけでなく、噴出される流体(窒素)の圧力によって基材Fの弛みを防止することができる。これにより、基材Fの弛みによる間隙Gの変動を防止することができる。また、窒素ガスの噴出圧によって基材FとALDヘッド12A〜12Cとの間隙Gを所望の値に設定するようにしてもよい。
【0051】
[供給部]
巻出し部C12は、基材Fを巻き出す巻出しローラ14と、成膜前の基材Fに前処理を施す前処理ユニット15とを有する。
【0052】
巻出しローラ14は、回転数制御が可能な駆動源を有しており、基材Fを成膜部C11に向けて所定のライン速度(搬送速度)で連続的に送出する。巻出し部C12は、巻出しローラ14から供給された基材Fの走行をガイドする単数又は複数のガイドローラをさらに有してもよい。巻出し部C12は、成膜部C11のガイドローラ11Aに対して基材FをD1方向に沿って供給する。
【0053】
前処理ユニット15は、表面処理部151、除塵・除電処理部152、UV(紫外線)硬化樹脂吐出部153、UV照射部154、予熱部155等を有し、作製するべきデバイスの種類(層構造)、処理条件等に応じて使い分けられる。例えば水蒸気バリアフィルムを作製する場合には、酸化アルミニウムからなるALD膜の下地として、基材Fの表面FaにUV樹脂層が形成される。
【0054】
[回収部]
一方、巻取り部C13は、成膜後の基材Fに後処理を施す後処理ユニット16と、基材Fを巻き取る巻取りローラ17とを有する。
【0055】
巻取りローラ17は、回転数制御が可能な駆動源を有しており、成膜部C11から基材Fを所定のライン速度で連続的に巻き取る。巻取り部C13は、成膜部C11のガイドローラ11Dから搬送された基材Fの走行をガイドする単数又は複数のガイドローラをさらに有してもよい。
【0056】
後処理ユニット16は、予熱部161、UV硬化樹脂吐出部162、UV照射部163、除塵・除電処理部164、表面処理部165等を有し、作製するべきデバイスの種類(層構造)、処理条件等に応じて使い分けられる。例えば水蒸気バリアフィルムを作製する場合には、酸化アルミニウムからなるトップコートとして、ALD膜の上にUV樹脂層が形成される。除塵・除電処理部164は、巻取り前に基材Fを除塵あるいは除電して、巻き崩れを防止するために適用される。予熱部161及び表面処理部165は、例えば、基材Fの巻取り後、巻取りローラ17を巻出しローラとして駆動し、成膜部C11へ基材Fを再供給する場合に適用される。
【0057】
[制御部]
なお原子層堆積装置100は、成膜部C11、巻出し部C12及び巻取り部C13の各部の駆動を制御する制御部104(図1)を有する。制御部104は、典型的にはコンピュータで構成され、巻出しローラ14、ガイドローラ11A〜11D、巻取りローラ17の回転駆動、ALDヘッド12A〜12Cのガス吐出、ヒータユニット13A〜13Cの温度調節あるいは流体噴出圧等をそれぞれ制御する。
【0058】
[原子層堆積方法]
次に、上述の原子層堆積装置100を用いた原子層堆積方法について説明する。
【0059】
第1〜第3のチャンバ101〜103の内部は、所定圧に調圧された窒素ガス雰囲気に維持される。原子層堆積装置100は、巻出しローラ14と巻取りローラ17との間において基材Fを所定の搬送速度で搬送しつつ、巻出し部C12において所定の前処理を施し、成膜部C11においてALD膜を形成し、巻取り部C13において所定の後処理を施す。以下、成膜部C11における成膜処理を主として説明する。
【0060】
原子層堆積装置100は、基材Fの裏面Fbを複数のガイドローラ11A〜11Dで支持しつつ、図2に示すように搬送方向が段階的に変化するように基材Fを搬送する。これにより、隣り合うガイドローラ11A〜11Dの間において基材Fに所定の張力が付与され、直線的な搬送姿勢を安定に保持することができる。
【0061】
ヒータユニット13A〜13Cは、所定温度に加熱した窒素を基材Fの裏面Fbに吹き付けることで、基材Fを所定温度(例えば200℃)に加熱する。また、基材Fの裏面Fbに一定の流体圧を作用させることで、基材Fの走行時のバタツキを抑制し、基材Fの走行姿勢の安定性が高められる。
【0062】
ALDヘッド12A〜12Cはそれぞれ、基材Fの表面Faに第1の前駆体ガス、パージガス、第2の前駆体ガス及びパージガスを順に吐出することで、酸化アルミニウムからなるALD層を形成する。図5(A)〜(D)に、ALDヘッド12aによるALD層の成膜プロセスを概略的に示す。
【0063】
図5(A)に示すように、基材Fの表面が第1の前駆体ガス(例えばTMA)P1に曝されると、第1の前駆体ガスP1が基材Fの表面に吸着されることで、第1の前駆体ガスP1からなる第1の前駆体層L1が基材Fの表面に形成される。次いで図5(B)に示すように、基材Fの表面がパージガスP0に曝され、基材Fの表面に残存する未結合の前駆体ガスP1が除去される。パージガスP0としては、酸化アルミニウムのALD層を形成する場合、窒素やアルゴンが用いられるが、これ以外にも、水素、酸素、二酸化炭素等がパージガスとして用いられ得る。
【0064】
続いて図5(C)に示すように基材Fの表面が第2の前駆体ガス(例えばH2O)P2に曝される。第2の前駆体ガスP2は基材Fの表面に吸着され、第1の前駆体層L1の上に第2の前駆体ガスP2からなる第2の前駆体層L2が形成される。その結果、第1の前駆体層L1と第2の前駆体層L2との相互の化学反応によって、酸化アルミニウムの単分子層L3が形成される。その後、図5(D)に示すようにパージガスP0が再び基材Fの表面に供給され、基材Fの表面に残存する未結合の前駆体ガスP2が除去される。
【0065】
ALDヘッド12aの通過時に以上の処理が複数サイクル繰り返されることで、基材Fの表面Faに酸化アルミニウムの多原子層からなるALD層Laが形成される。本実施形態によれば、反応による成膜過程において表面化学反応の自己停止機構が作用するため、一原子層レベルの均一なレイヤーコントロールが可能になり、高膜質かつ段差被覆性の高い膜を基材Fの表面に形成することができる。また、基材Fが各ALDヘッド12A〜12Cの下を通過する毎に上記処理が複数回繰り返されるため、成膜効率を高めることができる。このような処理を実行するALDヘッドが複数設けられているため、目的とする厚みのALD層を容易に形成することができる。
【0066】
本実施形態においてALDヘッド12A〜12Cは、ガイドローラ11A〜11Dの各々の間に配置されているため、ALDヘッド12A〜12C各々のガス吐出面120を直線的に搬送される基材Fの表面Faにそれぞれ平面的に対向配置させることが可能となる。これにより基材表面Faとガス吐出面120との間に形成される間隙(クリアランス)Gを一定に保つことができ、ALD層の成膜安定性を高めることができる。また、複数のALDヘッド12A〜12Cが基材Fの搬送方向に関して直列的に配列されているため、生産性の向上を図ることができる。
【0067】
また本実施形態によれば、基材Fの成膜面(表面Fa)がガイドローラ11A〜11Dに接触しない構造であるため、成膜層(ALD層)にキズが付いたりダストが付着したりすることを回避することができる。これにより高品質のALD層を安定に形成することができる。
【0068】
さらに本実施形態によれば、第1〜第3のチャンバ101〜103が別々のチャンバで構成されているため、成膜条件に合わせて成膜部C11、巻出し部C12及び巻取り部C13をそれぞれ異なる雰囲気に調整することができる。これにより作製するべきデバイスの種類に応じて処理条件の設定自由度を高めることができる。
【0069】
[フィルムデバイス]
図6は、原子層堆積装置100によって作製されるフィルムデバイスの一構成例を示す概略断面図である。図示するフィルムデバイスFD1は、基材Fの表面に、下地層(アンダーコート層)R1と、ALD層La,Lb,Lcと、保護層(トップコート層)R2とが順に形成された積層構造を有する。
【0070】
下地層R1は、巻出し部C12においてUV硬化樹脂吐出部153及びUV照射部154を通過することで形成されたUV硬化樹脂で構成される。ALD層Laは、成膜部C11においてALDヘッド12Aを通過することで形成された酸化アルミニウムの多原子層である。同様に、ALD層Lb,LcはそれぞれALDヘッド12B,12Cを通過することで形成された酸化アルミニウムの多原子層である。保護層R2は、巻取り部C13においてUV硬化樹脂吐出部162及びUV照射部163を通過することで形成されたUV硬化樹脂で構成される。このような構成のフィルムデバイスは、例えば水蒸気バリアフィルムとして適用可能である。
【0071】
<第2の実施形態>
図7は、本技術の第2の実施形態に係る原子層堆積装置の概略構成図である。本実施形態では、第1の実施形態の構成および作用と同様な部分についてはその説明を省略または簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0072】
原子層堆積装置200は、第1のチャンバ201と、第2のチャンバ202と、第3のチャンバ203とを有する。第1のチャンバ201には、ガイドローラ、ALDヘッド等を含む成膜部C21が収容される。第2のチャンバ202には、成膜部C21へ基材Fを供給する巻出しローラ等を含む巻出し部C22が収容される。第3のチャンバ203には、成膜部C21から基材Fを巻き取る巻取りローラ等を収容する巻取り部C23が収容される。第1のチャンバ201と第2及び第3のチャンバ202,203との間には基材Fを通過させるための開口が形成されている。本実施形態に係る成膜部C21は、ロール・ツー・ロール方式で搬送される基材の両面に原子層を堆積させる。
【0073】
成膜部C21は、第1のローラ群210と、第1のローラ群210の直下流側に配置された第2のローラ群220とを有する。第1のローラ群210は、ロール・ツー・ロールで搬送される基材Fの裏面Fbを支持しつつ、基材Fの搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数のガイドローラ21A,21B,21Cを含む。第2のローラ群220は、基材Fの表面Faを支持しつつ、基材Fの搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数のガイドローラ21D,21E,21Fを含む。
【0074】
ガイドローラ21A〜21Fは、上述の第1の実施形態において説明したガイドローラ11A〜11Dと同様の構成を有するので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0075】
成膜部C21は、複数のALDヘッド22A,22B,22C,22Dを有する。ALDヘッド22Aは、ガイドローラ21Aとガイドローラ21Bとの間に配置され、ALDヘッド22Bは、ガイドローラ21Bとガイドローラ21Cとの間に配置される。ALDヘッド22A,22Bは、基材Fの表面Faに一定の間隙(クリアランス)を介して対向し、基材表面FaにALD層を形成するための各種原料ガスを吐出する。
【0076】
一方、ALDヘッド22Cは、ガイドローラ21Dとガイドローラ21Eとの間に配置され、ALDヘッド22Dは、ガイドローラ21Eとガイドローラ21Fとの間に配置される。ALDヘッド22A,22Bは、基材Fの表面Faに一定の間隙(クリアランス)を介して対向し、基材表面FaにALD層を形成するための各種原料ガスを吐出する。
【0077】
ALDヘッド22A〜22Dは、上述の第1の実施形態において説明したALDヘッド12A〜12Cと同様の構成を有するので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0078】
成膜部C21は、複数のヒータユニット23A、23B,23C,23Dを有する。ヒータユニット23A〜23Dは、基材Fを挟んでALDヘッド22A〜22Dと対向するようにそれぞれ配置されている。ヒータユニット23A〜23Dは、上述の第1の実施形態において説明したヒータユニット13A〜13Cと同様の構成を有するので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0079】
成膜部C21は、基材Fの両面を表面処理する処理ユニット28をさらに有する。処理ユニット28は、第1のローラ群210と第2のローラ群220との間における基材Fの搬送経路上に設置される。本実施形態において処理ユニット28は、ガイドローラ21Cとガイドローラ21Dとの間を搬送される基材Fを挟むように配置された一対の処理部28a,28bを有する。
【0080】
一方の処理部28aは基材Fの表面Faに対向し、他方の処理部28bは基材Fの裏面Fbに対向する。処理部28a,28bは、基材Fの表面Fa及び裏面Fbに付着したダストの除去、あるいはこれらに帯電した電荷の除去機能を有する。処理部28a,28bの構成は特に限定されず、例えばコロナ処理等の放電機構等であってもよい。これにより基材表面Faの成膜処理時に付着したダスト等を除去できるため、基材裏面Fbの成膜処理を適正に行うことができる。
【0081】
巻出し部C22及び巻取り部C23は、上述の第1の実施形態と同様の構成を有する。本実施形態において前処理ユニット25及び後処理ユニット26は、例えば、基材Fの両面にUV樹脂層を形成するために基材Fの両面側にUV硬化樹脂吐出部が設置される点で第1の実施形態と異なる。
【0082】
以上のように構成される本実施形態の原子層堆積装置200においても、上述の第1の実施形態と同様の作用を得ることができる。また本実施形態によれば、ロール・ツー・ロールで搬送される基材Fの両面に所定厚みのALD膜を成膜することができる。
【0083】
図8は、原子層堆積装置200によって作製されるフィルムデバイスの一構成例を示す概略断面図である。図示するフィルムデバイスFD2は、基材Fの表面Faに下地層(アンダーコート層)R1と、ALD層La,Lbと、保護層(トップコート層)R2とがそれぞれ順に形成された積層構造を有し、裏面Fbに下地層R1と、ALD層Lc,Ldと、保護層R2とが順に形成された積層構造を有する。
【0084】
下地層R1は、巻出し部C22において形成されたUV硬化樹脂で構成される。ALD層La,Lbは、成膜部C21においてALDヘッド22A、22Bを通過することで形成された酸化アルミニウムの多原子層である。同様に、ALD層Lc,LdはそれぞれALDヘッド22C,22Dを通過することで形成された酸化アルミニウムの多原子層である。保護層R2は、巻取り部C23において形成されたUV硬化樹脂で構成される。このような構成のフィルムデバイスは、例えば水蒸気バリアフィルムとして適用可能である。
【0085】
<第3の実施形態>
図9は、本技術の第3の実施形態に係る原子層堆積装置の概略構成図である。本実施形態では、第1の実施形態の構成および作用と同様な部分についてはその説明を省略または簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0086】
本実施形態の原子層堆積装置300は、第1のチャンバ301と、第2のチャンバ302とを有する。第1のチャンバ301には、ガイドローラ、ALDヘッド等を含む成膜部C31が収容される。第2のチャンバ302には、成膜部C31へ基材Fを供給する巻出しローラ、成膜部C31から基材Fを巻き取る巻取りローラ等を収容する巻出し・巻取り部C32が収容される。第1のチャンバ301と第2のチャンバ302との間には基材Fを通過させるための開口が形成されている。本実施形態に係る成膜部C31は、ロール・ツー・ロール方式で搬送される基材の一方の面に原子層を堆積させる。
【0087】
成膜部C31は、ロール・ツー・ロールで搬送される基材Fの裏面Fbを支持しつつ、基材Fの搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数のガイドローラ31A,31B,31C,31D,31E,31Fを含む。本実施形態において複数のガイドローラ31A〜31Fは、第1のチャンバC1内においてほぼ環状の基材搬送経路を形成するように配列されている。ガイドローラ31A〜31Fは、上述の第1の実施形態において説明したガイドローラ11A〜11Dと同様の構成を有するので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0088】
成膜部C31は、複数のALDヘッド32A,32B,32C,32D,32Eを有する。ALDヘッド32Aは、ガイドローラ31Aとガイドローラ31Bとの間に配置され、ALDヘッド32Bは、ガイドローラ31Bとガイドローラ31Cとの間に配置される。ALDヘッド32Cは、ガイドローラ31Cとガイドローラ31Dとの間に配置され、ALDヘッド32Dは、ガイドローラ31Dとガイドローラ31Eとの間に配置される。そして、ALDヘッド32Eは、ガイドローラ31Eとガイドローラ31Fとの間に配置される。
【0089】
ALDヘッド32A〜32Eは、基材Fの表面Faに一定の間隙(クリアランス)を介して対向し、基材表面FaにALD層を形成するための各種原料ガスを吐出する。ALDヘッド32A〜32Eは、上述の第1の実施形態において説明したALDヘッド12A〜12Cと同様の構成を有するので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0090】
成膜部C31は、複数のヒータユニット33A、33B,33C,33D,33Eを有する。ヒータユニット33A〜33Eは、基材Fを挟んでALDヘッド32A〜32Eと対向するようにそれぞれ配置されている。ヒータユニット33A〜33Eは、上述の第1の実施形態において説明したヒータユニット13A〜13Cと同様の構成を有するので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0091】
巻出し・巻取り部C32は、巻出しローラ14と、前処理ユニット35と、後処理ユニット36と、巻取りローラ17とを有する。前処理ユニット35及び後処理ユニット36は、第1の実施形態において説明した前処理ユニット15及び後処理ユニット16と同様の構成を有する。
【0092】
以上のように構成される本実施形態の原子層堆積装置300においても、上述の第1の実施形態と同様の作用を得ることができる。また本実施形態によれば、巻出しローラ14及び巻取りローラ17が共通のチャンバ302内に収容されているため、装置全体の小型化あるいは真空排気系の構成の簡素化を図ることができる。
【0093】
<第4の実施形態>
図10は、本技術の第4の実施形態に係る原子層堆積装置の概略構成図である。本実施形態では、第1の実施形態の構成および作用と同様な部分についてはその説明を省略または簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0094】
本実施形態の原子層堆積装置400は、第1のチャンバ401と、第2のチャンバ402とを有する。第1のチャンバ401には、ガイドローラ、ALDヘッド等を含む成膜部C41が収容される。第2のチャンバ402には、成膜部C41へ基材Fを供給する巻出しローラ、成膜部C41から基材Fを巻き取る巻取りローラ等を収容する巻出し・巻取り部C42が収容される。第1のチャンバ401と第2のチャンバ402との間には基材Fを通過させるための開口が形成されている。本実施形態に係る成膜部C41は、ロール・ツー・ロール方式で搬送される基材Fの両面に原子層を堆積させる。
【0095】
成膜部C41は、第1のローラ群と、上記第1のローラ群の直下流側に配置された第2のローラ群とを有する。上記第1のローラ群は、ロール・ツー・ロールで搬送される基材Fの裏面Fbを支持しつつ、基材Fの搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数のガイドローラ41A,41B,41Cを含む。上記第2のローラ群は、基材Fの表面Faを支持しつつ、基材Fの搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数のガイドローラ21D,21E,21Fを含む。
【0096】
ガイドローラ41A〜41Fは、上述の第1の実施形態において説明したガイドローラ11A〜11Dと同様の構成を有するので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0097】
成膜部C41は、複数のALDヘッド42A,42B,42C,42Dを有する。ALDヘッド42Aは、ガイドローラ41Aとガイドローラ41Bとの間に配置され、ALDヘッド42Bは、ガイドローラ41Bとガイドローラ41Cとの間に配置される。ALDヘッド42Cは、ガイドローラ41Dとガイドローラ41Eとの間に配置され、ALDヘッド42Dは、ガイドローラ41Eとガイドローラ41Fとの間に配置される。
【0098】
ALDヘッド42A,42Bは、基材Fの表面Faに一定の間隙(クリアランス)を介して対向し、基材表面FaにALD層を形成するための各種原料ガスを吐出する。一方、ALDヘッド42C,42Dは、基材Fの裏面Fbに一定の間隙(クリアランス)を介して対向し、基材裏面FbにALD層を形成するための各種原料ガスを吐出する。ALDヘッド42A〜42Eは、上述の第1の実施形態において説明したALDヘッド12A〜12Cと同様の構成を有するので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0099】
成膜部C41は、複数のヒータユニット43A、43B,43C,43Dを有する。ヒータユニット43A〜43Dは、基材Fを挟んでALDヘッド42A〜42Dと対向するようにそれぞれ配置されている。ヒータユニット43A〜43Dは、上述の第1の実施形態において説明したヒータユニット13A〜13Cと同様の構成を有するので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0100】
成膜部C41は、基材Fの両面を表面処理する処理ユニット48をさらに有する。処理ユニット48は、ガイドローラ41Cとガイドローラ41Dとの間における基材Fの搬送経路上に設置される。本実施形態において処理ユニット48は、第1の実施形態において説明した処理ユニット28と同様の構成を有するので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0101】
巻出し・巻取り部C42は、巻出しローラ14と、前処理ユニット45と、後処理ユニット46と、巻取りローラ17とを有する。前処理ユニット45及び後処理ユニット46は、第2の実施形態において説明した前処理ユニット25及び後処理ユニット26と同様の構成を有する。
【0102】
以上のように構成される本実施形態の原子層堆積装置400においても、上述の第1の実施形態と同様の作用を得ることができる。また本実施形態によれば、ロール・ツー・ロールで搬送される基材Fの両面に所定厚みのALD膜を成膜することができる。さらに本実施形態によれば、巻出しローラ14及び巻取りローラ17が共通のチャンバ402内に収容されているため、装置全体の小型化あるいは真空排気系の構成の簡素化を図ることができる。
【0103】
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0104】
例えば以上の実施形態では、自己停止反応成膜装置として原子層堆積装置を例に挙げて説明したが、これに限られず、分子層堆積(MLD)装置にも本技術は適用可能である。分子層堆積装置は、原子層堆積装置と同様の動作原理(自己停止反応)で薄膜を形成する装置であり、プリカーサ(原料ガス)の違いにより成膜される材料が異なる。典型的には、有機物の分子層の成膜に当該分子層堆積装置が用いられる。
【0105】
また以上の実施形態では、成膜部に設置されるガイドローラやALDヘッドの数は上述の例に限られず、装置の大きさ等に応じて適宜変更可能である。また以上の実施形態では、隣り合うガイドローラ間にALDヘッドが一つずつ配置されたが、例えば図11に示すようにガイドローラ51A,51B間に複数のALDヘッド52A,52B,52Cが配置されてもよい。この場合、ヒータユニット53は、図示のように各ALDヘッド52A〜52Cに対して共通に配置されてもよいし、各々に対して個別に配置されてもよい。
【0106】
また以上の実施形態では、ヒータユニットとして、所定温度に加熱された窒素ガスを基材に噴出することで基材を加熱する対流方式を採用したが、ヒータユニットを直接基材に接触させて熱伝導により基材を加熱してもよい。また、成膜チャンバ内が真空雰囲気である場合は、赤外線ランプ等を用いた放射加熱方式が採用されてもよい。なお、ヒータユニットを使用する代わりに、チャンバ全体を恒温槽で構成してもよい。
【0107】
さらに、ALDヘッドと基材との間に形成される間隙(クリアランス)を自動で保持あるいは調整できる機構が設けられてもよい。当該機構としては、例えば、ガイドローラの回転速度、ヒータユニットから噴出される流体の噴出圧が調整対象とされてもよい。あるいは上記とは別途の機械的、静電的手段が採用されてもよい。
【0108】
さらに以上の実施形態では、基材Fの片面あるいは両面に形成される薄膜として水蒸気バリア膜を例に挙げて説明したが、これ以外にも、各種デバイスの表面保護膜(酸化防止膜)、電極膜やバリアメタル膜等の金属膜、高誘電率膜や低誘電率膜等の誘電体膜、圧電膜、グラフェン膜、カーボンナノチューブ膜、非水電解質二次電池用セパレータの表面層の形成等にも、本技術は適用可能である。
【0109】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を第1の方向から前記第1の方向とは非平行な第2の方向へ変換するように構成された第1のガイドローラと、
前記基材の前記第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を前記第2の方向から前記第2の方向とは非平行な第3の方向へ変換するように構成された第2のガイドローラと、
前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとの間に配置され、前記基材の前記第1の面とは反対側の第2の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを前記第2の面に向けて吐出するように構成された少なくとも1つの第1のヘッドと
を具備する自己停止反応成膜装置。
(2)上記(1)に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のヘッドは、複数種の原料ガスを個々に吐出することが可能な複数のヘッド部を含む前記第2の方向に平行なガス吐出面を有し、前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとの間で前記第2の面に1原子層以上の薄膜を形成する
自己停止反応成膜装置。
(3)上記(1)又は(2)に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記基材を挟んで前記第1のヘッドと対向するように配置され、前記基材を所定温度に加熱することが可能なヒータユニットをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
(4)上記(3)に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記ヒータユニットは、所定温度に加熱された流体を前記基材の前記第2の面に向けて噴出するように構成された噴出部を有する
自己停止反応成膜装置。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を前記第3の方向から前記第3の方向とは非平行な第4の方向へ変換するように構成された第3のガイドローラと、
前記第2のガイドローラと前記第3のガイドローラとの間に配置され、前記基材の前記第2の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを前記第2の面に向けて吐出するように構成された第2のヘッドとをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のヘッドは、前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとの間に配置された複数の第1のヘッドを含む
自己停止反応成膜装置。
(7)ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数の第1のガイドローラを含む第1のローラ群と、
前記複数の第1のガイドローラのうち所定の複数の第1のガイドローラの間にそれぞれ配置され、前記基材の前記第1の面とは反対側の第2の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを前記第2の面に向けて吐出するように構成された複数の第1のヘッドと
を具備する自己停止反応成膜装置。
(8)上記(7)に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記基材の前記第2の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数の第2のガイドローラを含む第2のローラ群と、
前記複数の第2のガイドローラのうち所定の複数の第2のガイドローラの間にそれぞれ配置され、前記基材の前記第1の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを前記第1の面に向けて吐出するように構成された複数の第2のヘッドとをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
(9)上記(8)に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のローラ群と前記第2のローラ群との間に配置され、前記基材の前記第1の面及び前記第2の面を除塵するための処理ユニットをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
(10)上記(7)に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のローラ群へ前記基材を供給するための巻出しローラと、
前記第1のローラ群から送出される前記基材を巻き取るための巻取りローラとをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
(11)上記(10)に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記巻出しローラと前記第1のローラ群との間に配置され、前記基材の第1の面を除塵するための処理ユニットをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
(12)上記(7)に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のローラ群と前記複数の第1のヘッドとを収容するチャンバをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
(13)ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を複数のガイドローラで支持しつつ、搬送方向が段階的に変化するように前記基材を搬送し、
前記複数のガイドローラのうち所定の複数のガイドローラの間にそれぞれ配置された複数のヘッドから自己停止反応成膜のための原料ガスを吐出することで、前記基材の前記第1の面とは反対側の第2の面に1原子層以上の薄膜を順次成膜する
自己停止反応成膜方法。
【符号の説明】
【0110】
11A〜11D,21A〜21F,31A〜31F,41A〜41F…ガイドローラ
12A〜12C,22A〜22D,32A〜32E,42A〜42D…ALDヘッド
13A〜13C,23A〜23D,33A〜33E,43A〜43D…ヒータユニット
14…巻出しローラ
17…巻取りローラ
28,48…処理ユニット
100,200,300,400…原子層堆積装置
140…ガス吐出面
C11,C21,C31,C41…成膜部
F…基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を第1の方向から前記第1の方向とは非平行な第2の方向へ変換するように構成された第1のガイドローラと、
前記基材の前記第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を前記第2の方向から前記第2の方向とは非平行な第3の方向へ変換するように構成された第2のガイドローラと、
前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとの間に配置され、前記基材の前記第1の面とは反対側の第2の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを前記第2の面に向けて吐出するように構成された少なくとも1つの第1のヘッドと
を具備する自己停止反応成膜装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のヘッドは、複数種の原料ガスを個々に吐出することが可能な複数のヘッド部を含む前記第2の方向に平行なガス吐出面を有し、前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとの間で前記第2の面に1原子層以上の薄膜を形成する
自己停止反応成膜装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記基材を挟んで前記第1のヘッドと対向するように配置され、前記基材を所定温度に加熱することが可能なヒータユニットをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記ヒータユニットは、所定温度に加熱された流体を前記基材の前記第2の面に向けて噴出するように構成された噴出部を有する
自己停止反応成膜装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を前記第3の方向から前記第3の方向とは非平行な第4の方向へ変換するように構成された第3のガイドローラと、
前記第2のガイドローラと前記第3のガイドローラとの間に配置され、前記基材の前記第2の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを前記第2の面に向けて吐出するように構成された第2のヘッドとをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のヘッドは、前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとの間に配置された複数の第1のヘッドを含む
自己停止反応成膜装置。
【請求項7】
ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数の第1のガイドローラを含む第1のローラ群と、
前記複数の第1のガイドローラのうち所定の複数の第1のガイドローラの間にそれぞれ配置され、前記基材の前記第1の面とは反対側の第2の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを前記第2の面に向けて吐出するように構成された複数の第1のヘッドと
を具備する自己停止反応成膜装置。
【請求項8】
請求項7に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記基材の前記第2の面を支持しつつ、前記基材の搬送方向を段階的に変化させるように配列された複数の第2のガイドローラを含む第2のローラ群と、
前記複数の第2のガイドローラのうち所定の複数の第2のガイドローラの間にそれぞれ配置され、前記基材の前記第1の面に対向し、自己停止反応成膜のための原料ガスを前記第1の面に向けて吐出するように構成された複数の第2のヘッドとをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のローラ群と前記第2のローラ群との間に配置され、前記基材の前記第1の面及び前記第2の面を除塵するための処理ユニットをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
【請求項10】
請求項7に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のローラ群へ前記基材を供給するための巻出しローラと、
前記第1のローラ群から送出される前記基材を巻き取るための巻取りローラとをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
【請求項11】
請求項10に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記巻出しローラと前記第1のローラ群との間に配置され、前記基材の第1の面を除塵するための処理ユニットをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
【請求項12】
請求項7に記載の自己停止反応成膜装置であって、
前記第1のローラ群と前記複数の第1のヘッドとを収容するチャンバをさらに具備する
自己停止反応成膜装置。
【請求項13】
ロール・ツー・ロールで搬送される基材の第1の面を複数のガイドローラで支持しつつ、搬送方向が段階的に変化するように前記基材を搬送し、
前記複数のガイドローラのうち所定の複数のガイドローラの間にそれぞれ配置された複数のヘッドから自己停止反応成膜のための原料ガスを吐出することで、前記基材の前記第1の面とは反対側の第2の面に1原子層以上の薄膜を順次成膜する
自己停止反応成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−82959(P2013−82959A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222579(P2011−222579)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】