説明

自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物

【課題】自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物の提供。
【解決手段】ベニクスノキタケ抽出物中より分離した4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトン(4−hydroxy−2,3−dimethoxy−6−methy−5(3,7,11−trimethyl−dodeca−2,6,10−trienyl)−cyclohex−2−enone)で、システム性エリテマトーデスなどの自己免疫疾病が引き起こす症状を効果的に緩和することができる。本発明中のベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物はシステム性エリテマトーデスを離間する哺乳動物の尿タンパク含量及び血中抗核抗体濃度の低下を助け、これにより腎臓の炎症と病変を緩和し、抗核抗体の自己組織に対する傷害を低下させる。こうして天然かつ無副作用物質によるシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病及び腎臓関連疾病を治療する効果を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の免疫関連疾病の治療に用いる化合物に関する。特に一種のベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物中から分離純化し、システム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病の治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物に係る。
【背景技術】
【0002】
免疫システムの反応異常が自己組織に対して破壊をもたらす自己免疫疾病(autoimmune diseases)にはシステム性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)、関節リューマチ(Rheumatoid arthritis)、硬皮症(Scleroderma)、多発性筋炎(Polymyositis)、皮膚筋炎(dermatomyositis)、アナフィラキトイド紫斑(Anaphylactoid purpura)、ショーグレン症候群(Sjogren syndrome)などがあり、非常に種類が多い。他の原発性胆道システム肝硬変、慢性活動性肝炎、橋本氏甲状腺炎なども、自己免疫と関連がある。内、システム性エリテマトーデス(SLE)或いは全身性エリテマトーデスと呼ばれる自己免疫疾病は最も重大な疾病の一つである。それは、出産可能年齢の女性に起こり易く、患者の体内には細胞核内自己抗原(autoantigens)に対抗する自己抗体(autoantibodies)が生じる。自己抗体(autoantibodies)は抗核抗体(antinuclear antibodies,ANA)とも呼ばれ、皮膚、関節、骨格、腎臓、心血管システム、凝血システム、胃腸、漿膜(心包膜、胸膜、腹膜)、脳神経システムなど多種の組織と器官に傷害を与える。しかもある自己抗体と抗原は結合し、免疫複合体(immune complex,IC)を形成し、さらに血液が異なる組織細胞中に沈殿するに従い傷害を引き起こす。これにより臨床上は胡蝶班、溶血性貧血、関節炎、血管炎、腎炎などの病変が現れる。自己免疫疾病の多くはステロイド或いは他の化学薬物により治療されるが、該各治療剤の長期間の服用は患者に不快な合併症或いは副作用をもたらす。よって、もし天然かつ副作用のない漢方生薬物質により、該各自己免疫疾病を治療することができれば、自己免疫疾病の患者にとって大きな利益となり、その病苦を和らげることになる。
【0003】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)は台湾では牛樟芝、樟芝、牛樟キノコ、紅樟芝などと呼称され、ヒダナシタケ目(Aphyllophorales)、多孔菌科(Polyporaceae)の多年生菌類で、台湾固有の真菌である。ベニクスノキタケは台湾の保護樹木である牛樟樹(Cinnamoum kanehirai Hay)の中空の腐敗心材内壁にのみ生長する。牛樟樹は台湾でも極めて希少な保護樹であり、不法伐採の問題もあるため、牛樟樹中に寄生する野生ベニクスノキタケはさらに希少である。しかもその子実体の生長は非常に緩慢で、生長期は六月から十月の間に限られるため、非常に高価である。
【0004】
ベニクスノキタケの子実体は多年生、無柄で、木栓質(スベリン)から木質を呈し、強烈な樟樹香気を備える。その形態は板状、鐘状、馬蹄形、塔状等様々である。初期は扁平型で鮮紅色を呈し、後にその周辺が放射状に巻き上がり、四週へと拡大し生長する。色も淡褐色或いは淡黄褐色へと変化し、多くの細孔を備える。それはベニクスノキタケの薬用価値が最も豊富な部位である。
【0005】
台湾の民間療法ではベニクスノキタケは解毒、下痢の症状軽減、消炎、肝臓関連疾病治療、抗癌薬として用いられる。ベニクスノキタケは一般の生薬とされるキノコ類同様に、多くの複雑な成分を含む。既に知られている生理活性成分中には、トリテルペノイド(triterpenoids)、多糖体(polysaccharides,β−グルコースなど)、アデノシン(adenosine)、ビタミン(ビタミンB、ナイアシン等)、タンパク質(免疫グロブリンを含む)、スーパーオキサイドディスムターゼ(superoxide dismutase, SOD)、微量元素(カルシウム、リン、ゲルマニウム等)、核酸、ステロール類、及び血圧安定物質(antodia acid等)等がある。これら生理活性成分は抗腫瘍、免疫能力強化、抗過敏、抗ウィルス、抗高血圧、血糖値低下、コレステロール低下等の多種の機能と効果を備えると考えられている。
【0006】
ベニクスノキタケの多種の成分の内、トリテルペノイドに対する研究が最も多い。トリテルペノイドは三十個の炭元素が六角形或いは五角形に結合した天然化合物の総称である。ベニクスノキタケが具える苦味は、トリテルペノイドが成分である。1995年、Cherng氏等はベニクスノキタケ子実体の抽出物中に三種の新しいエルゴスタン(ergostane)を骨格とするトリテルペノイド:antcin A、antcin Bとantcin C(引用文献1)が含まれることを発見した。Chen氏等はエタノールによりベニクスノキタケ子実体を抽出後、zhankuic acid A、zhankuic acid B 及びzhankuic acid C等三種のトリテルペノイドを発見した(引用文献2)。この他、Chiang氏等は1995年、子実体抽出物中より別の三種のセスキテルペンラクトン(sesquiterpene lactone)と二種のビスフェノール類派生物である新しいトリテルペノイドを発見した。これがすなわち、antrocin, 4,7−ジメトキシ−5−メチル−1,3−ベンゾジオキソール(4,7−dimethoxy−5−methy−1,3− benzodioxole)と2,2',5,5'−テラメトキシ−3,4,3',4'−ビ−メチルレネジオキシ−6,6'−ジメチルビフィニール(2,2',5,5'−teramethoxy−3,4,3',4'−bi− methylenedioxy−6,6'− dimethylbiphenyl)(引用文献3)である。1996年になって、Cherng氏等は同様の分析方法により再度四種の新しいトリテルペノイド:antcin E、antcin F、methyl antcinate G、methyl antcinate H(引用文献4)を発見した。
またYang氏等は二種のエルゴスタンを骨格とする新化合物zhankuic acid D、zhankuic acid Eと三種のラノスタン(lanostane)を骨格とする新化合物:15 α−アセチル−デハイドロサルファレニック酸(15 α−acetyl−dehydrosulphurenic acid)、デハイドロエブリコイック酸(dehydroeburicoic acid)とデハイドラサルファレニック酸(dehydrasulphurenic acid)(引用文献5)を発見した。
【0007】
現在では様々な実験により、ベニクスノキタケ抽出物が前記効果を備えることが知られており、しかもそれが含む成分も続々と分析されている。しかしベニクスノキタケ抽出物の自己免疫性疾病治療への使用は未だ見られず、しかもベニクスノキタケ抽出物のどの種の有効成分が自己免疫性疾病症状の改善に有効かは、現在もなお試験段階にある。よって該抽出物中に含まれる真に有効な成分を探し出し、この天然成分をシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病の予防或いは治療に用いることができれば、ステロイドなどの化学薬物による自己免疫性疾病への治療が引き起こす副作用或いは合併症の軽減に役立つ。
【0008】
[引用文献1] Cherng, I. H., and Chiang, H. C. 1995. Three new triterpenoids from Antrodia cinnamomea. J. Nat. Prod. 58:365−371
[引用文献2] Chen, C. H., and Yang, S. W. 1995. New steroid acids from Antrodia cinnamomea, −a fungus parasitic on Cinnamomum micranthum. J. Nat. Prod. 58:1655−1661
[引用文献3] Chiang, H. C., Wu, D. P., Cherng, I. W., and Ueng, C. H. 1995. A sesquiterpene lactone, phenyl and biphenyl compounds from Antrodia cinnamomea. Phytochemistry. 39:613−616
[引用文献4] Cherng, I. H., Wu, D. P., and Chiang, H. C. 1996. Triteroenoids from Antrodia cinnamomea. Phytochemistry. 41:263−267
[引用文献5] Yang, S. W., Shen, Y. C., and Chen, C. H. 1996. Steroids and triterpenoids of Antrodia cinnamomea−a fungus parasitic on Cinnamomum micranthum. Phytochemistry. 41:1389−1392
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は下記の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を提供する。ベニクスノキタケ抽出物のどの成分がシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病の予防或いは治療に有効かを明確にするため、本発明はベニクスノキタケ抽出物中から以下の構造式(1)を備える化合物を分離純化する。
【化1】

内、Xは酸素(O)或いはイオウ(S)で、Yは酸素(O)或いはイオウ(S)で、R1は水素(H)、メチル(CH3)或いは(CH2)m−CH3で、R2は水素、メチル或いは(CH2)m−CH3で、R3は水素、メチル或いは(CH2)m−CH3,m=1〜12で、n=1〜12である。
【0010】
式(1)の化合物中において、以下に示す式(2)の化合物が最適である。
【化2】

式(2)の化合物の化学名は4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトン(4−hydroxy−2,3−dimethoxy−6−methy−5(3,7,11−trimethyl−dodeca−2,6,10−trienyl)−cyclohex−2−enone)で、分子式はC24H38O4で、外観は淡黄色粉末状で、分子量は390である。
【0011】
本発明中式(1)、式(2)の化合物はベニクスノキタケ水抽出物或いは有機溶剤抽出物より分離純化し、有機溶剤はアルコール類(メタノール、エタノール或いはプロパノール等)、エステル類(アセチジン等)、アルケン類(ヘキサン等)或いはハロセン(クロロメタン、エチルクロライド等)を含むが、これらに限定しない。内、アルコール類が最適で、エタノールがより最適である。
【0012】
本発明は前記化合物をシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病の予防或いは治療に応用する。ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物をシステム性エリテマトーデスを発症する哺乳動物に与える時、その尿タンパク含量は腎臓の炎症と病変の減少により緩和され、低下し得る。しかも血液中に含まれる抗核抗体濃度も効果的に減少し、こうして抗核抗体のヒトなど哺乳動物の自己組織に対する傷害を緩和し、システム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病の治療効果を達成する。また該ベニクスノキタケから抽出した天然物質により、ステロイドなどの化学薬物治療が引き起こす副作用或いは合併症を減少させ、患者の不快な症状を緩和することができる。
【0013】
また、本発明中では式(1)或いは/と式(2)の化合物を乳システム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病を治療する医薬組成物の成分中に利用し、これによりヒトなどの哺乳動物が自己免疫性疾病により発症する症状を改善する。前記医薬組成物は有効剤量の式(1)或いは/と式(2)の化合物を含む他に、薬学上受け入れ可能なキャリアを含むことができる。キャリアは賦形剤(水など)、充填剤(蔗糖或いはでんぷん)、接着剤(セルロース派生物など)、希釈剤、崩解剤、吸收促進剤或いは甘味剤であるが、これに限定するものではない。本発明医薬組成物は一般公知の薬学の製作準備方法により製造することができ、式(1)或いは/と式(2)の有効成分剤量と一種以上のキャリアを相互に混合し、必要な剤型を製作準備する。この剤型は錠剤、粉剤、粒剤、カプセル剤或いはその他液体製剤であるが、これに限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、自己免疫疾病の治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物で、以下の構造式を備え、
【化3】

内、Xは酸素(O)或いはイオウ(S)で、Yは酸素(O)或いはイオウ(S)で、R1は水素(H)、メチル(CH3)或いは(CH2)m−CH3で、R2は水素、メチル或いは(CH2)m−CH3で、R3は水素、メチル或いは(CH2)m−CH3,m=1〜12で、n=1〜12であることを特徴とする自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物としている。
請求項2の発明は、前記化合物はベニクスノキタケの有機溶剤抽出物中から分離製造することを特徴とする請求項1記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケのシクロヘキサンケトン抽出物としている。
請求項3の発明は、前記有機溶剤はエステル類、アルコール類、アルケン類或いはハロセンにより組成するグループから選択することを特徴とする請求項2記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケのシクロヘキサンケトン抽出物としている。
請求項4の発明は、前記アルコール類はエタノールであることを特徴とする請求項3記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケのシクロヘキサンケトン抽出物としている。
請求項5の発明は、前記化合物はベニクスノキタケの水抽出物中より分離製造することを特徴とする請求項1記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケのシクロヘキサンケトン抽出物としている。
請求項6の発明は、前記化合物は4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトン(4−hydroxy−2,3−dimethoxy−6−methy−5(3,7,11− trimethyl−dodeca−2,6,10−trienyl)−cyclohex−2−enone)であることを特徴とする請求項1記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物としている。
請求項7の発明は、前記化合物は自己免疫疾病が哺乳動物に対して引き起こす腎臓損傷及び自己免疫疾病が生成する抗核抗体の器官組織に対する傷害を緩和可能であることを特徴とする請求項1或いは請求項6記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物としている。
請求項8の発明は、前記哺乳動物はヒトであることを特徴とする請求項7記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物としている。
請求項9の発明は、前記自己免疫疾病はシステム性エリテマトーデスであることを特徴とする請求項8記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物としている。
請求項10の発明は、前記化合物は哺乳動物の尿タンパク含量を低下させることにより、システム性エリテマトーデスが引き起こす腎臓損傷を緩和することができることを特徴とする請求項9記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物としている。
請求項11の発明は、前記化合物は哺乳動物血清中の抗核抗体含量を低下させ、システム性エリテマトーデスが引き起こす自己組織器官への損傷を緩和することができることを特徴とする請求項9記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物としている。
請求項12の発明は、前記抗核抗体はダブルストランドDNAの抗核抗体であることを特徴とする請求項11記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物としている。
請求項13の発明は、自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物は少なくとも有効剤量の請求項1記載の化合物と医学上受け入れ可能なキャリアを含むことを特徴とする自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物としている。
請求項14の発明は、前記自己免疫疾病はシステム性エリテマトーデスであることを特徴とする請求項13記載の自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物としている。
請求項15の発明は、自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物は少なくとも有効剤量の請求項6記載の化合物と医学上受け入れ可能なキャリアを含むことを特徴とする自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物としている。
請求項16の発明は、前記自己免疫疾病はシステム性エリテマトーデスであることを特徴とする請求項15記載の自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物としている。
【発明の効果】
【0015】
上記のように、本発明は本発明ベニクスノキタケから分離した4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトン化合物は、自己免疫疾病が引き起こす尿タンパク濃度及び抗核抗体含量の上昇などの症状を効果的に緩和することができ、これにより該各疾病がヒトなどの哺乳動物に対して引き起こす組織器官の傷害を緩和することができ、しかもその腎臓に対する保護と腎臓損傷を低下させる効果を利用し、腎臓疾病が体内で引き起こす傷害を軽減することができる。また、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物は天然抽出の物質であるため、それをシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫疾病と腎臓関連疾病への治療に応用しても、患者に不快な症状或いは毒性、合併症などの他の副作用を発することがない。しかも、それは化学薬剤と併用することができ、ステロイドなどの化学薬物の使用量を減少させることができ、該各化学薬物が引き起こす副作用を低減することができる。さらに、それは医薬組成物を製造調整することができ、該医薬組成物は有効成分剤量のベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を含む他、薬学上受け入れ可能なキャリアを含むことができる。キャリアは賦形剤(水など)、充填剤(蔗糖或いはでんぷん)、接着剤(セルロース派生物など)、希釈剤、崩解剤、吸收促進剤或いは甘味剤であるが、これに限定するものではない。本発明医薬組成物は一般公知の薬学の製作準備方法により製造することができ、有効成分剤量のベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物と一種以上のキャリアを相互に混合し、必要な剤型を製作準備する。この剤型は錠剤、粉剤、粒剤、カプセル剤或いはその他液体製剤であるが、これに限定するものではない。こうしてヒトなどの哺乳動物のシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫疾病と腎臓疾病を予防及び治療する目的を達成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
先ず、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)菌糸体、子実体或いは二者の混合物を取り、公知の抽出方式を利用し、水或いは有機溶剤により抽出し、ベニクスノキタケ水抽出物或いは有機溶剤抽出物を取得する。内、有機溶剤はアルコール類(メタノール、エタノール或いはプロパノール等)、エステル類(アセチジン等)、アルケン類(ヘキサン等)或いはハロセン(クロロメタン、エチルクロライド等)を含むが、これらに限定しない。内、アルコール類が最適で、エタノールがより最適である。
【0017】
抽出後のベニクスノキタケ水抽出物或いは有機溶剤抽出物は、さらに高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatography、HPLC)により分離純化し、各一分液(fraction)に対してシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病治療に関連する尿中の尿タンパク含量及び血液中の抗核抗体濃度などを計測するなどの生物化学テストを行う。最後に、効果を備える分液に対して成分分析を行い、システム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病の症状効果を生じる可能性のある成分に対してさらにそれぞれ異なる関連の生物化学テストを行う。こうして最終的に、本発明中の式(1)/式(2)の化合物は尿タンパク含量及び抗核抗体濃度を低下させ、システム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病及び腎臓関連疾病を治療する機能と効果を備えることが発見された。この他、式(1)/式(2)の化合物は、システム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病及び腎臓関連疾病を治療する医薬組成物の成分中において、天然成分により病状を改善するため、副作用及び合併症を引き起こさない状況で、患者の不快な症状を効果的に緩和することができる。
【0018】
本発明の説明の便のために、以下に式(2)の4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトン化合物について説明する。この他、4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトン化合物がシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病に対して生じる治療効果について、本発明中ではシステム性エリテマトーデスを発症するNZB/WF1雌ネズミに前記ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を与えた後に、その尿タンパク濃度及び血液中の抗核抗体含量を計測し、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデス治療における効用を評価する。該各尿タンパク濃度及び抗核抗体含量の結果により、4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトンは腎臓の炎症と病変を緩和し、尿中の尿タンパク濃度を低下させ、しかもシステム性エリテマトーデスを発症するヒトなどの哺乳動物体内の抗核抗体の生成を抑制或いは減少させる効果を備えることが証明された。これにより抗核抗体の哺乳動物の自己組織への傷害を緩和し、システム性エリテマトーデスの症状を治療する効果を達成することができる。前記実施方式に対して以下に詳細に説明する。
【0019】
実施例1:4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトンの分離。
【0020】
100グラム前後のベニクスノキタケ菌糸体、子実体或いは二者の混合物を、フラスコ中に入れ、適当な割合の水とアルコール類(70%以上のアルコール類水溶液)を加え、20〜25℃で少なくとも1時間以上撹拌抽出し、この後、濾紙及び0.45 mフィルターにより濾過し抽出液を集める。
【0021】
前記收集したベニクスノキタケ抽出液を、高速液体クロマトグラフィー (High Performance Liquid chromatography)を利用し、RP18のコラム(column)により分析を行い、メタノール(A)及び0.1%〜0.5%の酢酸水溶液(B)をモバイルフェーズ(mobile phase)とし(その溶液比率は:0〜10分間、B比率は95% 〜20%;10〜20分間、B比率は20%〜10%;20〜35分間、B比率は10%〜10%; 35〜40分間、B比率は10%〜95%)、毎分1 mlの速度で溶出し、同時に紫外線−可視光線全波長探知器により分析する。
【0022】
25分間から30分間の溶出液收集濃縮により、淡黄色粉末状の固体産物を得ることができる。これが4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトンである。分析により、その分子式はC24H38O4で、分子量は390、熔点(m.p.)は48℃〜52℃であることが分かる。核磁気共鳴(NMR)分析値は以下に示す。1H−NMR(CDC13)δ(ppm):1.51、1.67、1.71、1.75、1.94、2.03、2.07、2.22、2.25、3.68、4.05、5.07と5.14。13C−NMR(CDC13)δ(ppm):12.31、16.1、16.12、17.67、25.67、26.44、26.74、27.00、39.71、39.81、4.027、43.34、59.22、60.59、120.97、123.84、124.30、131.32、135.35、135.92、138.05、160.45と197.12。
【0023】
実施例2:ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病予防或いは治療に対する薬効評価。
【0024】
臨床診断において、自己免疫性疾病の患者の体内には、自己抗体と免疫複合体の含量の明らかな増加がしばしば見られる。しかも、これら抗体が対抗する抗原はしばしば体内の細胞核、細胞質、或いは細胞膜上の正常体タンパクに広く分布している。よって、一般の臨床実験室では抗核抗体(antinuclear antibodies,ANA)の出現と変化を、自己免疫性疾病患者のスクリーニングの根拠として利用している。システム性エリテマトーデスと関連する抗核抗体の作用対象は、ダブルストランドDNA(dsDNA)、RNAと関連するSm、Ro、La、RNP、リン脂質(phospholipid)、リボソームタンパク質(ribosomal P)などのDNAタンパクである。内、抗dsDNA、抗SmとaPLの抗体が最も病理意義が高く、しかもdsDNAの抗体はシステム性エリテマトーデスの特異性抗体で、腎臓損害と関連がある。よって、本発明はシステム性エリテマトーデスを発病する動物モードを確立することにより、実験動物血液中の抗dsDNAの抗核抗体の濃度及び実験動物尿中の尿タンパク含量を計測し、システム性エリテマトーデスの予防或いは治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物の治療効果について評価する。
そのテストのステップは以下に詳述する。
【0025】
(1)システム性エリテマトーデス動物モードの確立:実験動物はNZB/WF1雌ネズミで、該品種の実験ネズミは抗核抗体の生成、尿タンパクの発生、及び腎毒性発症による致死などのヒトのシステム性エリテマトーデスに類似の症状を発症する。該品種の実験ネズミが発症する該各症状はヒトのシステム性エリテマトーデス患者の病状と極めて類似しており、しかもNZB/WF1雌ネズミの発病率は雄ネズミより高く、かつ発症した病状はより重篤である。よって、本テストはNZB/WF1雌ネズミをシステム性エリテマトーデス薬物治療のスクリーニングの動物モードとする。
【0026】
30匹のNZB/WF1雌ネズミ(Jackson Lab,USAから購入)を週齢12〜24週期間内において、2週間毎に該各雌ネズミの尿中タンパク含量を計測し、かつ該各雌ネズミの血清中の抗核抗体の濃度を毎月計測する。計測された抗核抗体数値が上昇し、陽性反応を示せば、NZB/WF1雌ネズミが既にシステム性エリテマトーデスを発病したことを示している。この時点で動物を組分けする。本発明実施例中では該各NZB/WF1雌ネズミは約22週齢で上記病理現象を出現し、この時組分けを行い、しかも本発明中ではこの組分け時点を第0週と定義する。組分け時は、飼料物質の差異に応じて3組に区分し、薬物治療を行わないマイナス対照組、ステロイド薬物を与えるプラス対照組、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を与える実験組とする。各組はそれぞれ10匹のNZB/WF1雌ネズミを有する。同時に10匹のシステム性エリテマトーデスを発病していないB6品種の実験ネズミ(中華民国国家実験動物センターから購入)を完全に正常な制御組とする。その組分けは以下の表一に示す。表1は実験動物組別及びその飼料物質と剤量です。
【表1】

【0027】
表1中の制御組は、システム性エリテマトーデスを発病していないB6品種の実験ネズミにより試験を行い、しかもそれに対しては一切の処理を行わず、正常な飼料を与え自然に生長させる。マイナス対照組、プラス対照組、実験組には、システム性エリテマトーデスを発病したNZB/WF1雌ネズミを採用し試験を行う。但し、マイナス対象組には治療物資を含まない水を経口摂取させ、プラス対照組には雌ネズミの体重に応じて1.25mg/kgのシステム性エリテマトーデスに治療効果を備えるステロイド薬物(prednisolone)を経口摂取させる。実験組には雌ネズミの体重に応じて、実施例一で製造調整した50mg/kgのベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を経口摂取させ、さらにNZB/WF1雌ネズミが第23週齢時に経口摂取を開始し、毎週毎日一回各組別に前記物質を与える。しかも本発明中では経口摂取を開始し、試験を開始した時点を第1週と定義する。試験全体は第48週までで、実験期間は各対照組及び実験組の採血と尿の採集を定時に行う必要があり、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物の服用のシステム性エリテマトーデス実験ネズミの病状に対する影響を検査測定する。
【0028】
(2)ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデスNZB/WF1雌ネズミの尿タンパク(protein uria)含量に対する影響:システム性エリテマトーデスは腎臓の炎症と病変を引き起こし、腎臓のタンパク質吸収不能を招き、過多のタンパク質が尿中に排出されるようになり、尿タンパク濃度の増加という症状が現れる。よって、尿中の尿タンパク含量計測により、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデス発病の程度への影響を理解することができる。測量標識は前記の実験期間において、2週間毎に実験ネズミの尿を抽出し、10μlの尿をタンパク分析組(Bio−Rad Protein Assay Dye Reagent Concentrate, Bio−Rad Laboratories,USA)により分析し、ELISA分析器により450nm波長において読み取る。さらに標準タンパク曲線を利用しタンパク濃度を定量する。その結果は図1に示す。
【0029】
図1はベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデスNZB/WF1雌ネズミ尿中に含まれる尿タンパク濃度の影響結果である。図が示すように、実験開始第6週(すなわちNZB/WF1雌ネズミ第28週齢時)にシステム性エリテマトーデスを罹患していない制御組の尿中の尿タンパク濃度は、実験前の数値に近似している。これはこの期間に、正常制御組の尿タンパク濃度は65mg/dl−75mg/dlの固定範囲内に安定的に維持されていることを示す。制御組に比較し、マイナス対照組が示す尿タンパク濃度は最初の89.16 mg/dlから、第6週の246 mg/dlに急激に上昇し、尿タンパク濃度は2.76倍に激増している。これはシステム性エリテマトーデスが実験ネズミの腎臓の病変を引き起こしたことにより、尿タンパク含量が激増したことを示している。ステロイド薬物(prednisolone)を経口摂取させるプラス対照組では、マイナス対照組に比較し、それが示す尿タンパク濃度は32.6 mg/dlと低い。50mg/kgのベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を経口摂取させる実験組では、その尿タンパク濃度は118.2 mg/dlで、マイナス対照組に比べ低く、しかもベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を与える前の実験ネズミの尿中に含まれていた尿タンパク濃度と比較すると、わずかに1.3倍に増加しているだけである。この結果は、システム性エリテマトーデスを罹患する実験ネズミにベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を6週間与えた後、システム性エリテマトーデスが引き起こす腎臓の病変と炎症減少を効果的に抑制し、タンパク尿の症状の発生を緩和できたことを示す。この他、前記実験はベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物が、腎臓の病変と炎症減少を改善、緩和可能で、尿タンパクの症状を低減できることを証明しているため、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物は、過多タンパク尿を引き起こす腎臓関連の疾病に応用することができる。しかもこれに限定しない。
【0030】
(3)ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデスNZB/WF1雌ネズミが生成する抗核抗体への影響:本テストは実験ネズミの血液中に含まれる特異性dsDNAの抗核抗体の濃度を計測することにより、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデス症状に対する影響を観測する。その計測方式は、前記実験期間において、4週間毎に実験ネズミの眼窩から採血し、採集した血液を遠心分離方式により血球と血漿に分離し、10μlの血漿を取り商業化試薬セット(Mouse Anti−dsDNA IgG ELISA kit, adi Alpha Diagnostic,USA)により抗核抗体の濃度を分析する。その結果は図2に示す。
【0031】
図2はベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデスNZB/WF1雌ネズミが生成するdsDNA抗体への影響結果を示す。図に示すように、第0週(NZB/WF1雌ネズミ第22週齢時)から第8週(NZB/WF1雌ネズミ第30週齢時)まで、システム性エリテマトーデスを発病していない制御組の血液中にはdsDNA抗体の存在は全く測定されない。制御組に対して、システム性エリテマトーデスの症状を示すマイナス対照組のNZB/WF1雌ネズミ血清中に含まれるdsDNA抗核抗体の含量は、システム性エリテマトーデス発病週期の増加に従い徐々に増加し、8週までは10mg/dl以下であった濃度は8週時には150 mg/dlまで上昇している。プラス対照組では、マイナス対照組に比較し、ステロイド薬物(prednisolone)の服用は実験ネズミの血清内のdsDNA抗核抗体の含量を低下させることができ、しかも第8週時に、その抗核抗体含量はマイナス対照組に比べ、約50%まで低下させることができる。ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を与える実験組では、8週の実験期間内において、それが示すdsDNA抗体濃度はマイナス対照組より明らかに低く、しかも第8週時には、実験ネズミ血液中のdsDNA抗核抗体含量は約34%に低下している。この結果はベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物が、システム性エリテマトーデスを罹患する哺乳動物体内の抗核抗体の生成を効果的に抑制或いは緩和可能で、これにより抗核抗体の自己組織への傷害を低減し、システム性エリテマトーデスの治療効果を達成することを示している。
【0032】
また、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物はシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾病が引き起こす抗核抗体の大量生成と腎臓が損傷を受けることにより起こる尿タンパク濃度増加の症状を抑制或いは緩和することができるため、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物は抗核抗体を形成し、腎臓の損傷を引き起こす硬皮症(Scleroderma)、ショーグレン症候群(Sjogren syndrome)アナフィラキトイド紫斑(Anaphylactoid purpura)、関節リューマチ(Rheumatoid arthritis)、或いは皮膚、関節、骨格、腎臓、心血管システム、凝血システム、胃腸、漿膜(心包膜、胸膜、腹膜)、脳神経システムなど多種の組織と器官に損傷を与える他の自己免疫性疾病に応用することができ、またこれに限定しない。この他、抗dsDNAの抗核抗体の発生は腎臓損害と関連があるため、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物は抗dsDNA抗体の生成を低下させることができる。これは、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物が抗dsDNA抗体量を低下させることにより、腎臓の損傷程度を効果的に低減することを示している。よって、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物は尿タンパク濃度と抗dsDNA抗体量を減少させることにより、腎臓損傷を低下させ、腎臓保護の分野に応用することができる。
【0033】
上記のように、本発明ベニクスノキタケから分離した4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトン化合物は、自己免疫疾病が引き起こす尿タンパク濃度及び抗核抗体含量の上昇などの症状を効果的に緩和することができ、これにより該各疾病がヒトなどの哺乳動物に対して引き起こす組織器官の傷害を緩和することができ、しかもその腎臓に対する保護と腎臓損傷を低下させる効果を利用し、腎臓疾病が体内で引き起こす傷害を軽減することができる。また、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物は天然抽出の物質であるため、それをシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫疾病と腎臓関連疾病への治療に応用しても、患者に不快な症状或いは毒性、合併症などの他の副作用を発することがない。しかも、それは化学薬剤と併用することができ、ステロイドなどの化学薬物の使用量を減少させることができ、該各化学薬物が引き起こす副作用を低減することができる。さらに、それは医薬組成物を製造調整することができ、該医薬組成物は有効成分剤量のベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物を含む他、薬学上受け入れ可能なキャリアを含むことができる。キャリアは賦形剤(水など)、充填剤(蔗糖或いはでんぷん)、接着剤(セルロース派生物など)、希釈剤、崩解剤、吸收促進剤或いは甘味剤であるが、これに限定するものではない。本発明医薬組成物は一般公知の薬学の製作準備方法により製造することができ、有効成分剤量のベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物と一種以上のキャリアを相互に混合し、必要な剤型を製作準備する。この剤型は錠剤、粉剤、粒剤、カプセル剤或いはその他液体製剤であるが、これに限定するものではない。こうしてヒトなどの哺乳動物のシステム性エリテマトーデスなどの自己免疫疾病と腎臓疾病を予防及び治療する目的を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明実施例のベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデスNZB/WF1雌ネズミ尿に含まれる尿タンパク濃度への影響結果を示す図である。
【図2】本発明実施例のベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物のシステム性エリテマトーデスNZB/WF1雌ネズミが生成する抗dsDNA抗核抗体への影響結果を示す図、Aは第0週時における、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物の抗dsDNA抗核抗体生成濃度への影響を示す。Bは第4週時における、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物の抗dsDNA抗核抗体生成濃度への影響を示す。Cは第8週時における、ベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物の抗dsDNA抗核抗体生成濃度への影響を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾病の治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物で、以下の構造式を備え、
【化1】

内、Xは酸素(O)或いはイオウ(S)で、Yは酸素(O)或いはイオウ(S)で、R1は水素(H)、メチル(CH3)或いは(CH2)m−CH3で、R2は水素、メチル或いは(CH2)m−CH3で、R3は水素、メチル或いは(CH2)m−CH3,m=1〜12で、n=1〜12であることを特徴とする自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物。
【請求項2】
前記化合物はベニクスノキタケの有機溶剤抽出物中から分離製造することを特徴とする請求項1記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケのシクロヘキサンケトン抽出物。
【請求項3】
前記有機溶剤はエステル類、アルコール類、アルケン類或いはハロセンにより組成するグループから選択することを特徴とする請求項2記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケのシクロヘキサンケトン抽出物。
【請求項4】
前記アルコール類はエタノールであることを特徴とする請求項3記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケのシクロヘキサンケトン抽出物。
【請求項5】
前記化合物はベニクスノキタケの水抽出物中より分離製造することを特徴とする請求項1記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケのシクロヘキサンケトン抽出物。
【請求項6】
前記化合物は4−ハイドロキシ−2,3−ジメトキシ−6−メチル−5(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トリエニル)−2−シクロヘキサンケトン(4−hydroxy−2,3−dimethoxy−6−methy−5(3,7,11− trimethyl−dodeca−2,6,10−trienyl)−cyclohex−2−enone)であることを特徴とする請求項1記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物。
【請求項7】
前記化合物は自己免疫疾病が哺乳動物に対して引き起こす腎臓損傷及び自己免疫疾病が生成する抗核抗体の器官組織に対する傷害を緩和可能であることを特徴とする請求項1或いは請求項6記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物。
【請求項8】
前記哺乳動物はヒトであることを特徴とする請求項7記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物。
【請求項9】
前記自己免疫疾病はシステム性エリテマトーデスであることを特徴とする請求項8記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物。
【請求項10】
前記化合物は哺乳動物の尿タンパク含量を低下させることにより、システム性エリテマトーデスが引き起こす腎臓損傷を緩和することができることを特徴とする請求項9記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物。
【請求項11】
前記化合物は哺乳動物血清中の抗核抗体含量を低下させ、システム性エリテマトーデスが引き起こす自己組織器官への損傷を緩和することができることを特徴とする請求項9記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物。
【請求項12】
前記抗核抗体はダブルストランドDNAの抗核抗体であることを特徴とする請求項11記載の自己免疫疾病治療に用いるベニクスノキタケシクロヘキサンケトン化合物。
【請求項13】
自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物は少なくとも有効剤量の請求項1記載の化合物と医学上受け入れ可能なキャリアを含むことを特徴とする自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物。
【請求項14】
前記自己免疫疾病はシステム性エリテマトーデスであることを特徴とする請求項13記載の自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物。
【請求項15】
自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物は少なくとも有効剤量の請求項6記載の化合物と医学上受け入れ可能なキャリアを含むことを特徴とする自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物。
【請求項16】
前記自己免疫疾病はシステム性エリテマトーデスであることを特徴とする請求項15記載の自己免疫疾病治療に用いる医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−19020(P2009−19020A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184470(P2007−184470)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(505364913)國鼎生物科技股▲ふん▼有限公司 (10)
【Fターム(参考)】