説明

自己参照干渉計、アライメントシステムおよびリソグラフィ装置

【課題】既知のアライメントシステムの不利な点は、アライメント測定システムの自己参照干渉計が比較的高価となりうることである。
【解決手段】自己参照干渉計は、アライメントビームを分割して参照ビームおよび変性ビームを生成する光学システムを含む。光学システムは、参照ビームの回折次数が変性ビームの対応する反対の次数と空間的に重なり合うよう、参照ビームおよび変性ビームを合成するビームスプリッタを含む。ディテクタシステムは、光学システムから空間的に重なり合う参照ビームおよび変性ビームを受け、位置信号を決定する。ディテクタシステムは、それらビームが干渉するようそれらビームの偏光を操作し、干渉する参照ビームおよび変性ビームをディテクタに導く偏光システムを含む。ディテクタでは、干渉するビームの強度の変化から位置信号が決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己参照干渉計、自己参照干渉計を備えるアライメントシステム、およびそのようなアライメントシステムを備えるリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられる。この場合、例えばマスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、集積回路の個々の層に形成されるべき回路パターンを形成するために使用されうる。このパターンが基板(例えばシリコンウエハ)の(例えばダイの一部、あるいは1つまたは複数のダイからなる)ターゲット部分に転写される。パターン転写は典型的には基板に形成された放射感応性材料(レジスト)層への結像による。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群のターゲット部分が含まれ、これらは連続的に露光される。公知のリソグラフィ装置にはいわゆるステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、ターゲット部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各ターゲット部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向に平行または逆平行に同期して走査するようにして各ターゲット部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へのパターン転写は、基板にパターンをインプリントすることによっても可能である。
【0003】
パターニングデバイスのパターンが基板上の正しいターゲット位置に転写されることを確実にするために、基板がリソグラフィ装置に対して正確に揃えられることが重要である。特に、ICは通常多くの個別の層(例えば、30層)を含んでおり、そのようなICの製造においては、複数の個別の層が互いに非常に正確に並べられることが非常に重要である。ICの個別の層の整列があまり正確でないと、そのICは動作可能なICとはならない場合がある。オーバーレイは、パターンが基板に転写されるときの、既に基板に転写されているパターンとの関係での正確さとして定義される。ICの製造においてはより小さなフィーチャが転写されるので、オーバーレイへの要請およびしたがってアライメントプロセスに必要とされる正確さはより厳しくなる。
【0004】
リソグラフィ装置はリソグラフィ装置に対して基板を揃えるために複数のアライメントシステムを使用することが知られている。特に、欧州特許出願第EP1372040A1号を参照すべきであり、この欧州特許出願第EP1372040A1号は参照により本明細書に組み入れられる。EP1372040A1は自己参照干渉計を使用するアライメントシステムを説明しており、この自己参照干渉計はアライメントマーカの2つの重なり合う像を生成する。これら2つの像は互いに180°以上回転される。EP1372040A1はさらに、瞳面におけるこれら2つの像の干渉フーリエ変換の強度変化の検出を説明する。これらの強度変化は2つの像の異なる回折次数間の位相差に対応し、この位相差から位置情報が導かれる。この位置情報は、アライメントプロセスにおいて要求されているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知のアライメントシステムの不利な点は、アライメント測定システムの自己参照干渉計が比較的高価となりうることである。自己参照干渉計の光学的設計によると、特注の光学コンポーネントを使用することが要求されるからである。既知のアライメントシステムのさらなる不利な点は、既知の自己参照干渉計は通常かなり大きいことである。この大きさにより、アライメントプロセスの正確さを損ないうる低帯域幅振動モードなどの望まれない副作用がアライメントプロセスに生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
既知のアライメントシステムの上記不利な点のひとつ以上を少なくとも部分的に取り除く代替的なアライメントシステムを提供することが望ましい。特に、より廉価なおよび/またはよりコンパクトな代替的自己参照干渉計をアライメントシステムに提供することが望ましい。さらに、本発明の実施の形態は、自己参照干渉計、アライメントシステムおよびリソグラフィ装置に関する。
第1の態様によると、アライメントマークなどのマークおよびリソグラフィ装置と共に使用されるよう構成された自己参照干渉計であって、
アライメントビーム(AB)から参照ビームおよび変性ビームを生成し、前記参照ビームおよび前記変性ビームをディテクタ(DET)に出力し、アライメントビーム(AB)をマーク(WM)上に導き、マークによるアライメントビームの回折の結果得られる回折ビームを取得する光学構成(OPT)を備え、
回折ビームは少なくともひとつの正の回折次数および少なくともひとつの対応する負の回折次数を有し、
前記光学構成は、
回折ビームを第1ビームと第2ビームとに分割し、前記参照ビームにおける回折次数が前記変性ビームにおける対応する反対の回折次数と空間的に重なり合うよう、前記参照ビームおよび前記変性ビームを合成し前記ディテクタ(DET)に出力するビームスプリッタ(40)と、
第1ビームから前記参照ビームを生成し、前記参照ビームをビームスプリッタ(40)に導く参照システム(10、11)と、
第2ビームを前記変性ビームに変換し、前記変性ビームをビームスプリッタ(40)に導く変換システム(30、31、32、60、41、10、11)と、を含み、
本自己参照干渉計はさらに、光学構成(OPT)から空間的に重なり合っている参照ビームおよび変性ビームを受け、位置信号を決定するディテクタシステム(DET)を備え、
前記ディテクタシステムは、
参照ビームと変性ビームとが干渉するようそれらのビームの偏光を操作し、干渉する参照ビームおよび変性ビームをディテクタに導くことで干渉パターンを形成する偏光システム(80、81、83、86)と、
干渉パターンから位置信号を決定するディテクタ(82、92)と、を含む、自己参照干渉計が提供される。
【0007】
本発明の実施の形態の別の態様によると、少なくともひとつの上記の自己参照干渉計を備えるアライメントシステムが提供される。
【0008】
本発明の実施の形態の別の態様によると、上記のアライメントシステムを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
例示のみを目的として、本発明の実施の形態は添付の模式的な図面を参照して説明される。それらの図面において対応する符号は対応する部分を示す。
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るリソグラフィ装置を示す図である。
【0011】
【図2】既知のアライメントシステムの模式的な概略図である。
【0012】
【図3a】本発明に係る自己参照干渉計の模式的な概略図である。
【0013】
【図3b】参照ビームのオリエンテーション(左)、変性ビームのオリエンテーション(中央)、および干渉している参照ビームおよび変性ビームのオリエンテーション(右)を示す模式図である。変性ビームは参照ビームに対して反転されている。
【0014】
【図3c】参照ビームのオリエンテーション(左)、変性ビームのオリエンテーション(中央)、および干渉している参照ビームおよび変性ビームのオリエンテーション(右)を示す模式図である。変性ビームは参照ビームに対して180°回転している。
【0015】
【図4】図4a−図4dは、本発明に係る自己参照干渉計において使用されるディテクタシステムの例示的な実施の形態を示す図である。
【0016】
【図5】本発明に係る第1タイプの自己参照干渉計の例示的な第1の実施の形態を示す図である。
【0017】
【図6】本発明に係る第1タイプの自己参照干渉計の例示的な第2の実施の形態を示す図である。
【0018】
【図7】本発明に係る第2タイプの自己参照干渉計の例示的な第1の実施の形態を示す図である。
【0019】
【図8】本発明に係る第2タイプの自己参照干渉計の例示的な第2の実施の形態を示す図である。
【0020】
【図9】本発明に係る第2タイプの自己参照干渉計の例示的な第3の実施の形態を示す図である。
【0021】
【図10】本発明に係る第2タイプの自己参照干渉計の例示的な第4の実施の形態を示す図である。
【0022】
【図11】図11および図12は、本発明に係る自己参照干渉計において使用されるフォーカス検出構成を示す図である。
【図12】図11および図12は、本発明に係る自己参照干渉計において使用されるフォーカス検出構成を示す図である。
【0023】
【図13】図13aおよび図13bは、本発明の実施の形態における使用に適したアライメントスポットの実施の形態を示す図である。
【0024】
【図14】図14aおよび図14bは、本発明に係る複数の自己参照干渉計を有するアライメントシステムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、
放射ビームB(例えば(D)UV放射またはEUV放射)を調整するよう構成されている照明システム(イルミネータ)ILと、
パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構成され、あるパラメタに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成されている第1の位置決め装置PMに接続されているサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、
基板(例えばレジストでコーティングされたウエハ)Wを保持するよう構成され、あるパラメタに従って基板を正確に位置決めするよう構成されている第2の位置決め装置PWに接続されている基板テーブル(例えばウエハテーブル)WTと、
パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイからなる)ターゲット部分Cに投影するよう構成されている投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0026】
照明システムは、放射を方向付け、整形しまたは制御するために、各種の光学素子例えば屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子または他の各種光学部品を含んでもよく、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0027】
サポート構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわちその重みを支える。サポート構造は、パターニングデバイスの向きやリソグラフィ装置の構成、あるいはパターニングデバイスが真空環境下で保持されるか否かなどの他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械的固定、真空固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定用技術を用いてもよい。サポート構造は例えばフレームまたはテーブルであってよく、必要に応じて固定されていてもよいし移動可能であってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを確かなものとしてもよい。本明細書では「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」に同義であるとみなされるものとする。
【0028】
本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成する等のために放射ビームの断面にパターンを付与するのに使用されうるいかなるデバイスをも指し示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、基板のターゲット部分における所望のパターンと厳密に対応していなくてもよいことを注意しておく。このような場合には例えば、パターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを含む場合がある。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、ターゲット部分に形成される集積回路などのデバイスの特定の機能層に対応する。
【0029】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、例えばマスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルなどがある。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。これらの傾斜ミラーにより、マトリックス状ミラーで反射された放射ビームにパターンが付与されることになる。
【0030】
本明細書で使用される「投影システム」という用語は、使用される露光光あるいは液浸や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影システムをも包含するよう広く解釈されるべきである。投影システムには例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気的光学システム、電磁気的光学システム、静電的光学システム、他のタイプ、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である「投影システム」と同義に用いられ得る。
【0031】
ここに図示されるのは、(例えば透過型マスクを用いる)透過型のリソグラフィ装置である。これに代えて、(例えば上述のようなプログラマブルミラーアレイまたは反射型マスクを用いる)反射型のリソグラフィ装置を用いることもできる。
【0032】
リソグラフィ装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を備えるタイプのものであってもよい。このような多重ステージ型の装置においては追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に他の1以上のテーブルで準備工程を実行するようにしてもよい。
【0033】
また、リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的屈折率の高い液体、たとえば水で覆われ、それにより投影システムと基板との間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。液浸液は例えばマスクと投影システムとの間などの、リソグラフィ装置の他の空間に与えられてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を大きくするため技術として周知である。本明細書で使用される「液浸(immersion)」という用語は、基板などの構造が液体の中に沈められなければならないことを意味するものではなく、むしろ露光中投影システムと基板との間に液体がある程度のことを意味するものである。
【0034】
図1に示されるように、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからイルミネータILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が例えば水銀ランプである場合には、光源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと総称される。
【0035】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の大きさ(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの種々の他の要素を備えてもよい。イルミネータはビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。
【0036】
放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。マスクMAを通過した放射ビームBは投影システムPSに進入する。投影システムPSはそのビームを基板Wのターゲット部分Cに集束する。第2の位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTを正確に移動させることができる。基板テーブルWTは例えば放射ビームBの経路上に異なるターゲット部分Cを位置決めするように移動される。同様に、第1の位置決め装置PMおよび他の位置センサ(図1には明示せず)は、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするのに使用されうる。この位置決めは例えばマスクライブラリからのマスクの機械検索後や走査中に行われる。一般にマスクテーブルMTの移動は、第1の位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。同様に基板テーブルWTの移動は、第2の位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現されうる。ステッパでは(スキャナとは異なり)、マスクテーブルMTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用のターゲット部分を占拠しているが、アライメントマークはターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合にはマスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0037】
図示の装置は例えば次のうちの少なくとも1つのモードで使用され得る。
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射でターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち単一静的露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で転写されるターゲット部分Cのサイズを制限することになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められてもよい。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが単一動的露光でのターゲット部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.別のモードにおいては、マスクテーブルMTがプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、基板テーブルWTが移動または走査される。このモードではパルス放射源が通常用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは、基板テーブルWTの毎回の移動後、または走査中の連続放射パルス間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のプログラマブルミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0038】
上記で記載した使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、各モードに変更を加えて動作させてもよいし、さらに全く別の使用モードでリソグラフィ装置を使用してもよい。
【0039】
図2は、既知のアライメントシステム10の模式的な概略図である。光源11は空間的にコヒーレントな放射ビームを放ち、その放射ビームは基板(例えば、ウエハ)上のアライメントマーカWMを照らし、そのアライメントマーカが放射を反射することで正および負の回折次数+nおよび-nが得られる。これらの回折次数は対物レンズ12によってコリメートされ、自己参照干渉計13に入る。自己参照干渉計は、180°の相対回転を有する、入力の2つの像を出力する。これらの2つの像は重ね合わされており、したがって干渉可能である。瞳面14において、これらの像の異なる回折次数は分離されており、これらの像の重ね合わせフーリエ変換が観測され、また、干渉状態におかれる。瞳面のディテクタ15は干渉する回折次数を検出し、位置情報を提供する。この位置情報に基づき、基板をリソグラフィ装置に対して正確に揃えることができる。図2の右側は、瞳面14における2つの重なり合う像の形成を示す。一方の像について、+n'および-n'は入力の回折次数+nおよび-nに対して+90°だけ回転している。他方の像について、+n"および-n"は入力の回折次数+nおよび-nに対して−90°だけ回転している。瞳面において、(+n'および-n")の次数、(+n"および-n')の次数のそれぞれが干渉する。
【0040】
既知のアライメントシステムの不利な点は、特に既知の自己参照干渉計が比較的高価となりうることである。自己参照干渉計の光学的設計によると、特注の光学コンポーネントを使用することが要求されるからである。既知のアライメントシステムのさらなる不利な点は、既知の自己参照干渉計は通常かなり大きいことである。この大きさにより、アライメントプロセスの正確さを損ないうる低帯域幅振動モードなどの望まれない副作用がアライメントプロセスに生じうる。
【0041】
図3は、本発明の実施の形態に係る自己参照干渉計の模式的な概略図である。自己参照干渉計は光学構成OPTとディテクタシステムDETとを備える。光学構成OPTはアライメントビームABを受け取り、それを基板上のアライメントマークWMなどのマークにアライメントスポットとして集束させる。アライメントマークWMは周期構造を有する。アライメントマークWMの周期構造により、アライメントビームABは回折されて回折ビームDBが得られる。回折ビームDBは複数の回折次数、例えば7つの正のおよび7つの負の回折次数を有する。本発明の実施の形態に係る自己参照干渉計は、生産物上のアライメントマークまたは他の任意のタイプの構造もしくはマークと共に使用されるよう構成可能であることは注意されるべきである。例えば、ターゲット部分領域すなわち露光されるべきダイ内の認定パターンを基にアライメントが実行されうる。図3では、回折ビームDBは、+1および+3とマークされている2つの正の回折次数と、−1および−3とマークされている2つの負の回折次数と、を示す。一般に、任意の符号の各回折次数は、反対の符号の対応する回折次数を有する。以下、回折ビームについて言及する場合、自己参照干渉計において実際に使用される回折次数に関してのみ、例えば+1、+3、−1、−3の回折次数に関してのみ言及することが意図されている。通常、アライメントを目的とする場合、−2および+2の回折次数を使用しないことは注意されるべきである。これらの回折次数は通常ゼロ強度を有するからである。アライメントビームABの回折の際、より多くの回折次数が実際は生成されうることは理解されるであろう。あるいはまた、各符号の単一の回折次数やより多くの回折次数など、別の複数の回折次数が使用されうることは理解されるであろう。より多くの回折次数を使用する場合、マークの非対称性などのマークの特性に対する感度が低減されるという利点が提供されうる。
【0042】
光学構成OPTは、例えば第1および第3正回折次数+1、+3と、それと対応する第1および第3負回折次数−1、−3と、だけからなる回折ビームDBを取得する。以下の説明では、出現する可能性のあるゼロ次は無視される。ゼロ次が存在する場合、光学構成OPTは回折ビームDBからそれを空間的にフィルタリングするよう構成されるであろうし、またはディテクタシステムDETはそれを無視するかあるいはその寄与を除去するよう構成されるであろう。これは例えばゼロ次の光路にアパーチャストップを使用することによって実現される。
【0043】
取得された回折ビームDBはオリエンテーション(orientation)DBOを伴う空間分布を有する。オリエンテーションDBOは例えば、基板Wに平行な平面における角度配置として定義されてもよい。図3aにおいて、回折ビームのオリエンテーションDBOは矩形要素で模式的に示されており、その矩形要素には回折次数−3、−1、+1、+3が付されている。
【0044】
ある実施の形態では、光学構成OPTはディテクタシステムDETに、回折次数−3、−1、+1、+3の複製を提供する。以下、ディテクタシステムDETに提供される複数の回折次数の複製を参照ビームと称す。複数の回折次数のこの参照ビームへの寄与を、回折次数−3、−1、+1、+3にそれぞれ関連づけられた−3R、−1R、+1R、+3Rで表す。以下、−3R、−1R、+1R、+3Rで表される複数の回折次数の寄与を参照回折次数と称す場合がある。参照ビームのオリエンテーションは取得された回折ビームのオリエンテーションと同じである。参照ビームのオリエンテーションは、図3bおよび図3cの両方の左側に模式的に示される。
【0045】
光学構成OPTはさらにディテクタシステムDETに対して、回折次数−3、−1、+1、+3の変換バージョンを提供する。この変換バージョンはそれぞれ−3T、−1T、+1T、+3Tで表される。以下、複数の変換された回折次数を変性ビームと称す。以下、−3T、−1T、+1T、+3Tで表される複数の回折次数の寄与を変換回折次数と称す場合がある。変性ビームのオリエンテーションは参照ビームのオリエンテーションとは異なる。変性ビームは参照ビームに対して反転される(すなわち、回折パターンの線に平行な軸に対して鏡像対称となる)かまたは、参照ビームに対して180°以上回転する。これはそれぞれ、図3bおよび図3cの中央部に模式的に示されている。
【0046】
本発明の実施の形態に係る自己参照干渉計では、光学構成OPTのディテクタシステムDETへの出力は参照ビームおよび変性ビームの両方を含む。参照回折次数は対応する逆符号の変換回折次数と干渉する。すなわち、−3の回折次数については、−3Rの参照回折次数は+3Tの変換回折次数と干渉し、+1の回折次数については、+1Rの参照回折次数は−1Tの変換回折次数と干渉する、などである。これは図3aの光学構成OPTとディテクタシステムDETとの間および図3b、図3c両方の右側に模式的に示されている。
【0047】
代替的な実施の形態では、光学構成OPTは、一方の符号の参照回折次数すなわち+1R、+3Rのみを使用して参照ビームを形成し、対応する逆符号の変換回折次数すなわち−1T、−3Tのみを使用して変性ビームを形成する。
【0048】
アライメントビームABは偏光の無いビームであってもよいし、偏光ビームであってもよい。光学構成OPTは、ディテクタによって読まれる回折パターンのコントラストを改善するために、偏光ビームスプリッタやひとつ以上の位相板などの偏光コンポーネントを備えてもよい。また、ディテクタ構成DETは、参照ビームおよび変性ビームの異なる偏光状態を分離するために、偏光ビームスプリッタやひとつ以上の位相板および/またはアナライザとして機能するひとつ以上のポラライザなどの偏光コンポーネントを備えてもよい。
【0049】
ディテクタシステムDETは、例えば図4aに示されるように、像面において参照ビームおよび変性ビームを検出するよう構成されてもよい。図4aは像面における検出の例示的な実施の形態を示す。この検出は、参照ビーム(ここでは参照回折次数−1Rおよび+1Rを含む)および変性ビーム(ここでは変換回折次数+1Tおよび−1Tを含む)を出口レンズ81によってディテクタ82の検出スポット85上に集束し、参照ビームと変性ビームとをディテクタ82において干渉させ、その結果ディテクタ82が検出スポット85の強度を検出することによって実現される。複数の参照および変換回折次数は、ディテクタ82の実質的に単一の検出スポット85に集束されてもよい。アライメントビームABが基板上のアライメントマークWMに沿って動かされるにつれて、検出スポット85の強度は変化するであろう。ディテクタ82は、強度の変化から位置信号を決定してもよい。例えば位置信号は強度がどこで最適を示すかを表す。図4aに示されるように、出口レンズ81はポラライザ80を備えてもよい。ポラライザ80は、ディテクタ82において参照ビームおよび変性ビームが例えば同等な偏光状態を有することにより干渉可能となるよう、参照ビームおよび変性ビームの偏光を操作するためのものである。
【0050】
あるいはまた、ディテクタシステムDETは、例えば図4bに示されるように、瞳面において参照ビームおよび変性ビームを検出するよう構成されてもよい。図4bは瞳面における検出の例示的な実施の形態を示す。そこでは、ディテクタアレイ92が配置される。ディテクタアレイ92は複数のディテクタ要素93を含む。図4bにおいて、それらのディテクタ要素93はそれぞれ93−1、93−2、93−3などと表される。参照ビーム(ここでは参照回折次数−1Rおよび+1Rを含む)および変性ビーム(ここでは変換回折次数+1Tおよび−1Tを含む)はディテクタアレイ92に入射する。参照回折次数および対応する逆符号の変換回折次数は干渉する。例えば、参照回折次数−1Rおよび変換回折次数+1Tはディテクタアレイ92の第1位置95に入射しそこで干渉する。一方で、参照回折次数+1Rおよび変換回折次数−1Tはディテクタアレイ92の第2位置96に入射しそこで干渉する。光学構成OPTによって3次の回折次数などの追加的な回折次数が提供される場合、これらの追加的な回折次数はディテクタアレイ92上の他の特定の位置に入射することは理解されるであろう。したがって、ディテクタアレイ92は、干渉する参照および変換回折次数の強度を個々に空間的に分離して検出できる。アライメントビームABが基板上のアライメントマークWMに沿って動かされるにつれて、個々の強度は変化するであろう。ディテクタアレイ92は、その強度の変化から位置信号を決定してもよい。ここでは、相対強度および/または絶対強度の解析を使用して、例えばマークの非対称性および/またはマーク深度について補正された高精度位置信号を提供してもよい。
【0051】
図4cは像面における検出の代替的な実施の形態を示す。この実施の形態は、干渉する参照ビームおよび変性ビームが2つの部分に分割され、第1部分が図の面内の偏光状態に対応し、第2部分が図の面に直交する偏光状態に対応する点で、図4aの実施の形態とは異なる。この分割は、図4aのポラライザ80の代わりに位相板86を使用し、さらに偏光ビームスプリッタ面83を伴う偏光ビームスプリッタを使用することによって実現される。第1部分は第1ディテクタレンズ81aを使用して第1ディテクタ82aに集束される。ここでは、図の面内で偏光する参照ビームおよび変性ビームがスポットに集束され、干渉する。第2部分は第2ディテクタレンズ81bを使用して第2ディテクタ82bに集束される。ここでは、図の面に直交するよう偏光する参照ビームおよび変性ビームがスポットに集束され、干渉する。ポラライザ80を備える図4aのディテクタ構成と比較して、この代替的な実施の形態は、全ての光が使用されるという利点を有する。一方、図4aの実施の形態は、ポラライザ80の影響のため、光の半分しか使用できない。
【0052】
図4dは瞳面における検出の代替的な実施の形態を示す。この実施の形態は、干渉する参照ビームおよび変性ビームが2つの部分に分割され、第1部分が図の面内の偏光状態に対応し、第2部分が図の面に直交する偏光状態に対応し、図4cに示されるのと同様に位相板86および偏光ビームスプリッタ面83を伴う偏光ビームスプリッタを使用する点で、図4bの実施の形態とは異なる。第1部分は第1ディテクタアレイ92aに入射する。そこでは、異なる回折次数が第1ディテクタアレイ92a上で空間的に分離された状態で、図の面内に偏光する参照ビームおよび変性ビームが干渉する。第2部分は第2ディテクタアレイ92bに入射する。そこでは、異なる回折次数が第2ディテクタアレイ92b上で空間的に分離された状態で、図の面に直交するよう偏光する参照ビームおよび変性ビームが干渉する。
【0053】
図5は、光学構成OPTとディテクタシステムDETとを備える第1タイプの自己参照干渉計の第1の例示的な実施の形態を示す。
【0054】
光学構成OPTはアライメントビームABを受けるよう構成される。アライメントビームABの光は図の面に平行に偏光している。アライメントビームABは次に偏光ビームスプリッタ40のビームスプリッタ面40および位相板21を実質的に完全に通過する。位相板21は光を楕円偏光の状態にする。次に、対物レンズ20はアライメントビームABをアライメントマークWMに導き、アライメントマークWMでアライメントビームABが回折されて回折ビームDBが得られる。この回折ビームDBは1次の正の回折次数(+1と表記する)および対応する1次の負の回折次数(−1と表記する)を有する。1次の正の回折次数+1および1次の負の回折次数−1は対物レンズ20によって取得され、位相板21を通過する。通過後、光は45°の偏光状態となる。ビームスプリッタ面40は光を通過光線と反射光線とに分割する。
【0055】
図5は1次の正の回折次数+1の光路を示す。通過光線は面内偏光の状態にあり、別の位相板10へと進む。そこでは光が通過するごとに偏光回転の変換が生じる。通過光線は第1ミラー11へ進む。そして、第1ミラー11によって通過光線が反射され、偏光が90°回転した状態ですなわち図の面に直交するような偏光状態でビームスプリッタ面40に戻る。ビームスプリッタ40はそれを検出システムDETに向けて反射し、出口レンズ81はそれをディテクタ82上に集束させ、そのような集束は図4aを参照して説明された通りに参照波面の形成に寄与する。反射光線は変換レンズ30を使用して第2ミラー31上に集束される。第2ミラー31と変換レンズ30とは協働して正負の回折次数の位置を入れ替える。加えて、偏光は90°回転され、光はディテクタシステムDETへの経路上でビームスプリッタ面40を完全に通過する。その光は次に出口レンズ81によってディテクタ82上に集束され、変換波面の形成に寄与する。
【0056】
回折次数−1などの対物レンズ20によって取得された他の回折次数は、+1次について説明されたのと同様な振る舞いを示す。したがって、そのような回折次数は2種類の光線に分割され、一方は参照波面に寄与し他方は変換波面に寄与する。
【0057】
自己参照干渉計を有するために、ディテクタシステムDETにおいてポラライザ80が使用される。その結果、同じ位置で光学構成OPTから放たれる正および対応する負の次数(すなわち、正の参照次数および対応する負の変換次数)は干渉し、ディテクタシステムのディテクタにおいて強度が変調される。
【0058】
一般に、参照ビームおよび変換ビームが同じ強度を有し、かつ、その強度ができる限り高い場合に最高の結果が得られる。したがって、自己参照干渉計における光の損失を避けることが好ましい。参照ビームおよび変性ビームが同じ強度を有さない場合、コントラストが失われうる。
【0059】
位相板は単純なλ/4板であってもよい。位相板21および位相板10のそれぞれについて、速軸は入来光(すなわち、ビームスプリッタの内側から来る光)の偏光方向に対して45°および22.5°傾いていてもよい。
【0060】
あるいはまた、位相板21は例えば45°傾いたλ/8板によって置き換えられてもよい。これにより、2つがその位相板21を通過した後、そのビームは円偏光状態となるであろう。そしてそのビームは偏光ビームスプリッタによって互いに直交する2つの偏光ビームに分割される。
【0061】
本実施の形態の変形例では、偏光ビームスプリッタは中性ビームスプリッタによって置き換えられてもよく、また位相板はなくてもよい。これにより光学構成のコストを低減できるが、ディテクタ構成においてコントラストが低減されるかもしれない。
【0062】
ディテクタ構成DETは代替的に例えば図4bに示されるように瞳面において検出するよう構成されてもよいことは理解されるであろう。ディテクタ構成DETは代替的に例えば図4c(例えば、像面における検出)や図4d(例えば、瞳面における検出)に示されるように提供されてもよいことは理解されるであろう。
【0063】
第1の例示的な実施の形態は、変換レンズ30として球面レンズを使用してもよい。球面レンズの焦点面に配置された第2ミラー31上に回折ビームを集束させることの影響は、その結果得られる変性ビームが参照ビームに対して180°だけ回転することである。
【0064】
第1の例示的な実施の形態は代替的に変換レンズ30として円柱レンズを使用してもよい。この円柱レンズの長軸はビームスプリッタ面40に平行に向けられている。円柱レンズの焦点面に配置された第2ミラー31上に回折ビームを集束させることの影響は、その結果得られる変性ビームが参照ビームに対して反転される、すなわち第2ミラー31と直交する面に対して鏡像対称とされることである。
【0065】
図6は、代替的な光学構成OPTおよびディテクタシステムDETを備える、第1タイプの自己参照干渉計の第2の例示的な実施の形態を示す。
【0066】
ディテクタシステムDETは図4bに示される実施の形態にしたがって示されているが、これに代えて、図4aや図4cや図4dなどに示される他の適切な実施の形態にしたがって提供されてもよい。
【0067】
光学構成OPTはアライメントビームABを受けるよう構成される。アライメントビームABの光は、図の面に直交するよう偏光している。次にアライメントビームABは、偏光ビームスプリッタのビームスプリッタ面40によって実質的に完全に反射され、対物レンズ20を介してアライメントマークWMへと導かれる。そこでアライメントビームABは回折され、回折ビームDBが生じる。この回折ビームDBは複数の正の回折次数を有しており、そのうちの1次の正の回折次数+1および7次の正の回折次数+7が示されており、また回折ビームDBは対応する複数の負の回折次数を有しており、そのうち1次の負の回折次数−1および7次の負の回折次数−7が示されている。正の回折次数+1、…、+7および負の回折次数−1、…、−7は対物レンズ20によって取得される。
【0068】
正の回折次数+1、…、+7はビームスプリッタ面40によって反射され、位相板10に導かれる。位相板10は光が通過するごとに偏光回転の変換を引き起こす。次に正の回折次数+1、…、+7は第1ミラー11に導かれる。そして正の回折次数は第1ミラー11によって反射され、位相板10を再度通過し、図の面内で偏光した状態でビームスプリッタ面40に到達する。ビームスプリッタ40は検出システムDETに向けて正の回折次数を透過させ、正の回折次数を参照ビームとして提供する。参照ビームの1次の参照次数+1Rおよび7次の参照次数+7Rが示されている。
【0069】
負の回折次数−1、…、−7は対物レンズ20によって取得される。負の回折次数−1、…、−7は次に光路長補償器60を通過してもよく、変換レンズ30を使用して第2ミラー31上に集束される。第2ミラー31は変換レンズ30の焦点面に配置される。第2ミラー31と変換レンズ30とは協働して負の回折次数−1、…、−7の向きを変える。負の回折次数−1、…、−7がミラー31によって反射され、変換レンズ30によって再度取得された後、その負の回折次数−1、…、−7は図の面に直交するような偏光状態のままビームスプリッタ面40に到達する。その結果、負の回折次数−1、…、−7はビームスプリッタ面40によって検出システムDETに向けて反射される。これにより、負の変換回折次数が変性ビームとして提供される。この負の変換回折次数は対応する逆符号の参照回折次数と干渉する。1次の変換次数−1Tが1次の参照次数+1Rと干渉し、7次の変換次数−7Tが7次の参照次数+7Rと干渉することが示されている。これらの干渉は上記と同様に強度として検出されうる。
【0070】
図6に示される第2の例示的な実施の形態は、潜在的に、図5に示される第1の例示的な実施の形態よりも小さなサイズで製造されうる。第2の例示的な実施の形態は、単一の符号(ここでは正の回折次数として参照されている)の回折次数を伴う参照ビームと、逆の符号(ここでは負の回折次数として参照されている)の回折次数を伴う変性ビームと、を使用するのに対し、第1の例示的な実施の形態は、両方の符号の回折次数を伴う参照ビームと、したがって両方の符号の回折次数を伴う変性ビームと、を使用することは注意されるべきである。
【0071】
第2の例示的な実施の形態は、変換レンズ30として球面レンズを使用してもよい。球面レンズの焦点面に配置された第2ミラー31上に回折ビームを集束させ、続いてビームスプリッタ面40によって反射することの影響は、その結果得られる変性ビームが参照ビームに対して180°回転されることである。
【0072】
第2の例示的な実施の形態は代替的に変換レンズ30として円柱レンズを使用してもよい。この円柱レンズの長軸はビームスプリッタ面40に平行に向けられている。円柱レンズの焦点面に配置された第2ミラー31上に回折ビームを集束させ、続いてビームスプリッタ面40によって反射することの影響は、その結果得られる変性ビームが参照ビームに対して反転される、すなわち第1ミラー11と直交しかつ図と直交する面に対して鏡像対称とされることである。
【0073】
図7は、代替的な光学構成OPTおよびディテクタシステムDETを備える、第2タイプの自己参照干渉計の第1の例示的な実施の形態を示す。第2タイプは、少なくとも変性ビームが変換レンズ30を使用せずに生成される点で第1タイプとは異なる。
【0074】
ディテクタシステムDETは図4bに示される実施の形態にしたがって示されているが、これに代えて、図4aや図4cや図4dなどに示される他の適切な実施の形態にしたがって提供されてもよい。
【0075】
光学構成OPTはアライメントビームABを受けるよう構成される。アライメントビームABの光は図の面内で偏光している。アライメントビームABは次に対物レンズ20によってアライメントマークWMに実質的に導かれる。アライメントビームABはそこで回折され、回折ビームDBが得られる。この回折ビームDBは複数の正の回折次数を有しており、そのうちの1次の正の回折次数+1および7次の正の回折次数+7が示されており、また回折ビームDBは対応する複数の負の回折次数を有しており、そのうち1次の負の回折次数−1および7次の負の回折次数−7が示されている。正の回折次数+1、…、+7および負の回折次数−1、…、−7は対物レンズ20によって取得される。
【0076】
正の回折次数+1、…、+7はビームスプリッタ面40を通過し、位相板10に導かれる。位相板10は光が通過するごとに偏光回転の変換を引き起こす。次に正の回折次数+1、…、+7は第1ミラー11に導かれる。そして正の回折次数は第1ミラー11によって反射され、位相板10を再度通過し、図の面に直交するような偏光状態でビームスプリッタ面40に到達する。ビームスプリッタ40は検出システムDETに向けて正の回折次数を反射し、正の回折次数を参照ビームとして提供する。参照ビームの1次の参照次数+1Rおよび7次の参照次数+7Rが示されている。
【0077】
負の回折次数−1、…、−7は対物レンズ20によって取得される。負の回折次数−1、…、−7は次に変換ミラー32によって反射される。変換ミラー32は負の回折次数−1、…、−7の方向に対して45°の角度を向いている平面ミラーである。負の回折次数−1、…、−7が変換ミラー32によって負の変換回折次数−1T、…、−7Tとして反射された後、それらは図の面内で偏光した状態でビームスプリッタ面40に到達する。そしてそれらはビームスプリッタ面40を検出システムDETに向けて通過する。これにより、負の変換回折次数が変性ビームとして提供される。この負の変換回折次数は対応する逆符号の参照回折次数と干渉する。1次の変換次数−1Tが1次の参照次数+1Rと干渉し、7次の変換次数−7Tが7次の参照次数+7Rと干渉することが図7に示されている。これらの干渉は上記と同様に強度として検出されうる。
【0078】
回折ビームに対して45°の角度を向いている変換ミラー32上で回折ビームを鏡面反射することの影響は、その結果得られる変性ビームが参照ビームに対して反転される、すなわち第1ミラー11と平行でありかつ図と直交する面に対して鏡像対称とされることである。
【0079】
図8は、第2タイプの自己参照干渉計の第2の例示的な実施の形態を示す。図8の第2の例示的な実施の形態は、光路長補償器60が存在する点で図7の第1の例示的な実施の形態とは異なる。光路長補償器60は変性ビームの光路上、すなわち変換ミラー32とビームスプリッタ面40との間に配置される。光路長補償器60は、変性ビームの光路長(変換ミラー、光路長補償器、およびビームスプリッタを介するもの)と参照ビームの光路長(位相板10およびビームスプリッタを介するもの)とが等しくなるような光学的厚さを有する。これにより、比較的短いコヒーレンス長を有するアライメントビームABについても光学構成OPTを使用できる。
【0080】
図9は、代替的な光学構成OPTおよびディテクタシステムDETを備える、第2タイプの自己参照干渉計の第3の例示的な実施の形態を示す。
【0081】
図9に示される第3の例示的な実施の形態は、変換ミラー32が第2ビームスプリッタ面41を伴う第2ビームスプリッタによって置き換えられている点で、図7の第1の例示的な実施の形態とは異なる。この結果、やはり、この場合は(図8の変換ミラー32に取って代わる)第2ビームスプリッタ面41である45°の角度の面における反射から負の変換回折次数が提供される。当業者は第1の例示的な実施の形態の説明から第3の例示的な実施の形態の詳細を理解するであろうから、ここでさらに説明することはしない。
【0082】
図10は、代替的な光学構成OPTおよびディテクタシステムDETを備える、第2タイプの自己参照干渉計の第4の例示的な実施の形態を示す。図10に示される第4の例示的な実施の形態は、第2ビームスプリッタ41が位相板10および第1ミラー11を備え、ディテクタ構成DETがさらに第2ディテクタ構成DET2を備える点で、図9に示される第3の例示的な実施の形態とは異なる。この場合、第2ビームスプリッタ面41は負の回折次数に対しては変換ミラーとして作用し、ビームスプリッタ面40は、図7から図9を参照して上述された通り、負の変換回折次数が正の参照回折次数と干渉することを確かにする。したがって、例えば−1Tと+1RとがディテクタDETのディテクタアレイ92で干渉する。ビームスプリッタ面40は正の回折次数に対しては変換ミラーとして作用し、第2ビームスプリッタ面41は正の変換回折次数が負の参照回折次数と干渉することを確かにする。負の参照回折次数は、第2ビームスプリッタ41に設けられた(すなわち図10の左側に設けられた)第2位相板10および第1ミラー11を使用して生成される。したがって、例えば、+1Tと−1RとがディテクタDET2のディテクタアレイ92において干渉する。このようにして、両方の符号の回折次数が参照ビームおよび変性ビームを生成するために使用される、第2タイプの自己参照干渉計が提供される。
【0083】
さらなる改良によると、自己参照干渉計はさらに集束信号を提供するよう構成される。集束信号は、アライメントマークWMまたは別の部分、例えばアライメントマークWMが設けられる基板または基板テーブルの非構造的な、特に平坦な部分、におけるアライメントビームABの集束の質を示す。これにより、自己参照干渉計はアライメントだけでなくフォーカシングのためにも使用されうる。
【0084】
図11は本発明の実施の形態に係るさらなる改良を示し、その改良は第1タイプの自己参照干渉計の実施の形態において使用されうる。図11では、第2ミラー31(変換レンズ30と協働して変性ビームを生成するために使用される)は半透明ミラーである。半透明ミラーは高い反射性と低い透過性、例えば5%などの10%以下の透過性を有することが好ましい。したがって、第2ミラー31は集束された回折ビームの大部分を反射し、変性ビームを生成する。この変性ビームは図5および図6を参照して説明されたのと同様にして有効に使用されうる。しかしながら、第2ミラー31は例えば回折ビームの光の5%などの回折ビームの小さな割合を透過させる。
【0085】
フォーカス検出構成70は、半透明ミラー31の後ろ側に設けられる。フォーカス検出構成70はいわゆるフーコーナイフエッジ技術に基づく。フォーカス検出構成70は、半透明ミラー31のフォーカスの中心に一端が配置されているナイフエッジ71を有する。フォーカス検出構成70はさらに、2セグメントディテクタ72を有する。2セグメントディテクタ72は、それが受ける光量に比例する第1フォーカス信号を提供するよう構成された第1ディテクタセグメント72aと、それが受ける光量に比例する第2フォーカス信号を提供するよう構成された第2ディテクタセグメント72bと、を有する。ナイフエッジ71および2セグメントディテクタ72は、アライメントビームABの焦点がアライメントマークWM(または別の部分、例えばアライメントマークWMが設けられる基板の非構造的な、特に平坦な部分)上に良く合っている場合に両方のディテクタセグメント72a、72bが同じ光量を受けるよう構成される。これは、回折ビームの焦点が半透明ミラー31上に良く合っていることに関連する。しかしながら、アライメントビームABがアライメントマークWMの上または下にフォーカスされている場合、光量は異なるであろう。したがって、2セグメントディテクタ72は、第1フォーカス信号と第2フォーカス信号との差により構成される差分信号を提供するよう構成されてもよい。この差分信号により、アライメントビームABのアライメントマークWM(または別の部分、例えばアライメントマークWMが設けられる基板の非構造的な、特に平坦な部分)に対するフォーカスを測定および/または制御することが可能となる。
【0086】
図12は、図11に示されるさらなる改善に対する代替例を示す。図12の構成は図11の構成よりも低い(縦方向および/または横方向の)位置感度を有しうる。したがって、図12の構成はフォーカシングシステムに対するロバスト性を改善できる。図12では、図11と同様に、第2ミラー31(変換レンズ30と協働して変性ビームを生成するために使用される)は半透明ミラーである。半透明ミラーは高い反射性と低い透過性、例えば5%などの10%以下の透過性を有することが好ましい。したがって、第2ミラー31は集束された回折ビームの大部分を反射し、変性ビームを生成する。この変性ビームは図5および図6を参照して説明されたのと同様にして有効に使用されうる。しかしながら、第2ミラー31は例えば回折ビームの光の5%などの回折ビームの小さな割合を透過させる。
【0087】
フォーカス検出構成70は半透明ミラー31の後ろ側に設けられる。フォーカス検出構成70は、半透明ミラー31上に集束された回折ビームの位置に対して中心が合わされているルーフトッププリズム75を有する。フォーカス検出構成70はさらに4セグメントディテクタ76を有する。4セグメントディテクタ76は、それが受ける光量に比例する第1フォーカス信号を提供するよう構成された第1ディテクタセグメント76aと、それが受ける光量に比例する第2フォーカス信号を提供するよう構成された第2ディテクタセグメント76bと、それが受ける光量に比例する第3フォーカス信号を提供するよう構成された第3ディテクタセグメント76cと、それが受ける光量に比例する第4フォーカス信号を提供するよう構成された第4ディテクタセグメント76dと、を有する。ルーフトッププリズム75および4セグメントディテクタ76は、アライメントビームABの焦点がアライメントマークWM(または別の部分、例えばアライメントマークWMが設けられる基板の非構造的な、特に平坦な部分)上に良く合っている場合に、2つのディテクタセグメント76a、76bだけでなく他の2つのディテクタセグメント76c、76dもまた同じ光量を受けるよう構成される。下側の2つのディテクタセグメント76c、76dと比較して、上側の2つのディテクタセグメント76a、76b間で光分布は対称的である。しかしながら、アライメントビームABがアライメントマークWMの上または下にフォーカスされている場合、光量は異なるであろうし、光分布は非対称となるであろう。したがって、4セグメントディテクタ76は、フォーカスの質を示す差分信号を提供するよう構成されてもよい。この差分信号により、アライメントビームABのアライメントマークWM(または別の部分、例えばアライメントマークWMが設けられる基板の非構造的な、特に平坦な部分)に対するフォーカスを測定および/または制御することが可能となる。
【0088】
図13aおよび図13bは、本発明の実施の形態における使用に適したアライメントスポットASの2つの実施の形態を示す。図13aは、実質的に円形のアライメントスポットASを示す。そのような実質的に円形のアライメントスポットASは、例えば実質的に円形の断面を有するアライメントビームを球面対物レンズ20を使用して集束させることにより提供されてもよい。そのような実質的に円形のアライメントスポットASは、例えばバー型の構造15を伴うアライメントマークWMに対する向きについて比較的大きな許容範囲を与えうるので有利でありうる。しかしながら、アライメントマークWMの場所を探すために、基板Wに亘る比較的多数のスキャン17が必要とされうる。
【0089】
図13bは、実質的に線状などの細長いアライメントスポットASを示す。そのような細長いアライメントスポットASは、例えば実質的に円形の断面を有するアライメントビームを円柱対物レンズ20を使用して集束させることにより提供されてもよい。そのような細長いアライメントスポットASは、例えばそれがアライメント測定システムに大きな捕捉範囲を与えるので有利でありうる。これは、アライメントスポットASが引き延ばされているので、アライメントマークWMが設けられた基板の表面に亘る比較的低密度のスキャン17によって、アライメントマークWMの存在および位置が容易に検出されうることを意味する。一方で、小さな円形のアライメントスポットによると、基板の表面に亘る比較的高密度のスキャンが要求されうる。しかしながら、細長いスポットASを使用する場合、アライメントマークWMに対する向きについて、比較的小さな許容範囲しか許されない可能性がある。
【0090】
上記の通り、放射ビームBはマスクMAを通過した後、投影システムPSを通過する。投影システムPSはそのビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。投影システムが基板のターゲット部分にパターン付与されたビームを投影している間すなわちパターニングデバイスからターゲット部分へパターンが転写されている間、基板Wは良く揃えられている必要があるし、放射ビームBは良くフォーカスされている必要がある。既知のシステムは典型的には2ステージ過程を使用する。第1ステージの間、ひとつの自己参照干渉計を使用して基板W上の複数箇所の相対位置を決定するために、基板WはアライメントビームABによって走査される。この自己参照干渉計は典型的には比較的大きく高価な干渉計である。そして、次の第2ステージの間、正確な位置決めが可能となる。そこでは第1ステージにおいて決定された相対位置を使用して、実際にパターンがターゲット部分Cに転写される。本発明の実施の形態のある態様は、本発明の実施の形態に係る複数の自己参照干渉計を備えるアライメントシステムを伴うリソグラフィ装置を提供する。アライメントシステムは、投影システムPSがパターン付与されたビームを基板Wのターゲット部分Cに投影している間に、アライニングを行うよう構成される。
【0091】
図14aおよび図14bはこの態様の実施の形態を説明する。図14aは、パターン付与されたビームBが基板に亘って走査される間の、基板Wの平面図である。パターン付与されたビームは8つの実質的に円形のアライメントスポットASによって囲まれている。8つのアライメントスポットASはAS1、…、AS8と表されている。8つのアライメントスポットASはそれぞれ、対応する8つの自己参照干渉計からの8つのアライメントビームABによって提供される。パターン付与されたビームを正確に8つのアライメントスポットASによって囲む必要はなく、他の数のアライメントスポットASもまた適用可能であることは理解されるであろう。自己参照干渉計は投影システムPSが基板Wと対向する位置に近いところに設けられる。自己参照干渉計は比較的コンパクトなので、自己参照干渉計をそのような位置に設けることが可能となる。自己参照干渉計は比較的低コストなので、複数の自己参照干渉計を使用することが可能となる。アライメントシステムは、投影システムの動作中に8つの自己参照干渉計を使用してアライメント信号を決定してもよいし、オプションで8つの自己参照干渉計が上記のフォーカス検出構成70を備える場合はフォーカシング信号を決定してもよい。これによりリアルタイムのアライメントおよびオプションでフォーカシングが可能となり、基板を処理するためのトータルのスループット時間を低減できるので好適である。さらに、これにより、リソグラフィ装置に複数の基板ステージを設ける必要が無くなる。他の有利な点は、改善されたオーバーレイ結果やよりコンパクトであまり複雑でないアライメントセンサの使用でありうる。本発明によると、特別に製造されカスタマイズされる必要がある(例えば、形状および純度に関する特に厳しい要求)、比較的高価な光学コンポーネントを備えるアライメントセンサを使用する必要はない。代わりに、比較的廉価で良く知られた標準的な光学コンポーネントを備えるアライメントセンサを使用できる。
【0092】
さらに、スクライブラインなどの基板W上のライン18に沿って複数のアライメントマークが設けられる場合、そのアライメントマークを使用して、アライメントスポットAS1、…、AS8をしたがって投影ビームを基板Wに沿ってガイドできる。
【0093】
図14bは代替的な実施の形態を示す。この実施の形態では、パターン付与されたビームBは4つの線状のアライメントスポットASによって囲まれている。4つのアライメントスポットASはAS1、…、AS4と表されている。4つのアライメントスポットASはそれぞれ、対応する4つの自己参照干渉計からの4つのアライメントビームABによって提供される。2つの線状のアライメントスポットAS1、AS3は他の2つの線状のアライメントスポットAS2、AS4と直交するよう配置されている。これにより、基板を任意の方向に走査でき、特に基板をジグザグ方向に走査できる。このジグザグ方向の走査では、連続する走査ストローク間で走査ストロークが互いに直交する。
【0094】
本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、リソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウエハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本明細書で言及される基板は露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにおいて処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は処理されている多数の層を既に含む基板をも意味してもよい。
【0095】
上では特に光リソグラフィにおける本発明の実施の形態の使用に言及したが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなどの他のアプリケーションにおいても使用されうるものであり、文脈が許す場面において光リソグラフィに限られるものではないことは理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィが基板に生成されるパターンを決める。パターニングデバイスのトポグラフィが基板に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射や熱、圧力、あるいはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化された後パターニングデバイスはレジストから外され、レジスト上にはパターンが残される。
【0096】
本明細書において「放射」および「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)および極端紫外(EUV)放射(例えば5nm−20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射、およびイオンビームや電子ビームなどの粒子線を含む。
【0097】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子を含む各種の光学素子の任意のひとつまたは組み合わせを指し示すものであってもよい。
【0098】
本明細書で使用される「広帯域光」および「広帯域照射」という用語は、可視スペクトル内や赤外領域の波長を含む、複数の波長領域を伴う光を含む。さらに、複数の波長領域は結合されている必要はないことは理解されるべきである。
【0099】
本発明の具体的な実施の形態が上述のように説明されたが、本発明は上述の形式以外の形式でも実施可能であると理解されたい。例えば、本発明はコンピュータプログラムの形式を取ってもよい。このコンピュータプログラムは機械に読み取り可能な命令の1つもしくは複数のシーケンスを含む。命令は、上述の方法を記述する。あるいはまた、本発明は、そのようなコンピュータプログラムを記憶保持するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気もしくは光学ディスク)の形式を取ってもよい。
【0100】
上述の記載は例示を目的としており、それに限定されるものではない。したがって下記の請求項の範囲から逸脱することなく記載された発明に変更を加えることができるということは、関連技術の当業者には明らかなことであろう。加えて、任意の実施の形態において示されまたは説明された構造的特徴または方法のステップを他の実施の形態でも同様に使用できることは理解されるべきである。請求の範囲において、括弧の中の参照符号は請求の範囲を限定するものと見なされるべきではない。本明細書を通して、「および/または(and/or)」という用語は、関連してリストされている項目のひとつ以上の任意のおよび全ての組み合わせを含む。
【0101】
本発明はさらに以下の節によって記述されてもよい。
1.アライメントマークなどのマークおよびリソグラフィ装置と共に使用されるよう構成された自己参照干渉計であって、
アライメントビーム(AB)から参照ビームおよび変性ビームを生成し、前記参照ビームおよび前記変性ビームをディテクタ(DET)に出力し、アライメントビーム(AB)をマーク(WM)上に導き、マークによるアライメントビームの回折の結果得られる回折ビームを取得する光学構成(OPT)を備え、
回折ビームは少なくともひとつの正の回折次数およびひとつの対応する負の回折次数を有し、
前記光学構成は、
回折ビームを第1ビームと第2ビームとに分割し、前記参照ビームにおける回折次数が前記変性ビームにおける対応する反対の回折次数と空間的に重なり合うよう、前記参照ビームおよび前記変性ビームを合成し前記ディテクタ(DET)に出力するビームスプリッタ(40)と、
第1ビームから前記参照ビームを生成し、前記参照ビームをビームスプリッタ(40)に導く参照システム(10、11)と、
第2ビームを前記変性ビームに変換し、前記変性ビームをビームスプリッタ(40)に導く変換システム(30、31、32、60、41、10、11)と、を含み、
本自己参照干渉計はさらに、光学構成(OPT)から空間的に重なり合っている参照ビームおよび変性ビームを受け、位置信号を決定するディテクタシステム(DET)を備え、
前記ディテクタシステムは、
参照ビームと変性ビームとが干渉するようそれらのビームの偏光を操作し、干渉する参照ビームおよび変性ビームをディテクタに導くことで干渉パターンを形成する偏光システム(80、81、83、86)と、
干渉パターンから位置信号を決定するディテクタ(82、92)と、を含む、自己参照干渉計。
2.ビームスプリッタ(40)は偏光ビームスプリッタであり、参照システムは位相板(10)および第1ミラー(11)を含む、第1節に記載の自己参照干渉計。
3.変換システムはレンズ(30)および第2平面ミラー(31)を含む、第1節または第2節に記載の自己参照干渉計。
4.変換レンズは球面レンズである、第3節に記載の自己参照干渉計。
5.変換レンズは円柱レンズである、第3節に記載の自己参照干渉計。
6.変換システムは変換ミラー(32)を含む、第1節または第2節に記載の自己参照干渉計。
7.変換システムは第2ビームスプリッタ(41)を含む、第1節または第2節に記載の自己参照干渉計。
8.ディテクタは、像面における干渉する参照ビームおよび変性ビームの強度の変化から位置信号を決定するよう構成される、第1節から第7節のいずれかに記載の自己参照干渉計。
9.ディテクタは、瞳面における干渉する参照ビームおよび変性ビームの強度の変化から位置信号を決定するよう構成される、第1節から第7節のいずれかに記載の自己参照干渉計。
10.第2平面ミラー(31)は少なくとも部分的に透明であり、その少なくとも部分的に透明な第2平面ミラーを通過する変性ビームの部分と共に使用するためのフォーカス検出構成(70)が設けられている、第3節に記載の自己参照干渉計。
11.フォーカス検出構成(70)は、少なくとも部分的に透明な第2平面ミラー(31)のフォーカスの中心に一端が配置されたナイフエッジ(71)と、2セグメントディテクタ(72)と、を含み、ナイフエッジおよび2セグメントディテクタは、使用中アライメントビーム(AB)の焦点がマーク(WM)上に良く合っている場合に両方のディテクタセグメントが同じ光量を受けるよう構成されている、第10節に記載の自己参照干渉計。
12.フォーカス検出構成(70)は、少なくとも部分的に透明な第2平面ミラー(31)の焦点に中心が合わされているルーフトッププリズム(75)と、4セグメントディテクタ(76)と、を含み、ルーフトッププリズムおよび4セグメントディテクタは、使用中アライメントビーム(AB)の焦点がマーク(WM)上に良く合っている場合に4つ全てのディテクタセグメントが同じ光量を受けるよう構成されている、第10節に記載の自己参照干渉計。
13.光学構成は、アライメントビーム(AB)をマーク(WM)上に導き、マークによるアライメントビームの回折の結果得られる回折ビームを取得する対物レンズ(20)を含む、第1節から第11節のいずれかに記載の自己参照干渉計。
14.アライメントビーム(AB)をマーク(WM)上に導き、マークによるアライメントビームの回折の結果得られる回折ビームを取得する45度放物面ミラーなどのミラーをさらに備える、第1節から第12節のいずれかに記載の自己参照干渉計。
15.第1ビームの方向は第2ビームの方向と直交し、参照システムは第1ビームの方向と直交するよう構成される、第1節から第14節のいずれかに記載の自己参照干渉計。
16.ディテクタは、干渉する参照ビームおよび変性ビームの強度の変化から位置信号を決定するよう構成される、第1節から第15節のいずれかに記載の自己参照干渉計。
17.ディテクタシステム(DET)は光学構成(OPT)に取り付けられる、第1節から第16節のいずれかに記載の自己参照干渉計。
18.第1節から第17節のいずれかに記載の自己参照干渉計を少なくともひとつ含むアライメントシステム。
19.第18節に記載のアライメントシステムを備えるリソグラフィ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アライメントマークなどのマークおよびリソグラフィ装置と共に使用されるよう構成された自己参照干渉計であって、
アライメントビーム(AB)から参照ビームおよび変性ビームを生成し、前記参照ビームおよび前記変性ビームをディテクタ(DET)に出力し、アライメントビーム(AB)をマーク(WM)上に導き、マークによるアライメントビームの回折の結果得られる回折ビームを取得する光学構成(OPT)を備え、
回折ビームは少なくともひとつの正の回折次数および少なくともひとつの対応する負の回折次数を有し、
前記光学構成は、
回折ビームを第1ビームと第2ビームとに分割し、前記参照ビームにおける回折次数が前記変性ビームにおける対応する反対の回折次数と空間的に重なり合うよう、前記参照ビームおよび前記変性ビームを合成し前記ディテクタ(DET)に出力するビームスプリッタ(40)と、
第1ビームから前記参照ビームを生成し、前記参照ビームをビームスプリッタ(40)に導く参照システム(10、11)と、
第2ビームを前記変性ビームに変換し、前記変性ビームをビームスプリッタ(40)に導く変換システム(30、31、32、60、41、10、11)と、を含み、
本自己参照干渉計はさらに、光学構成(OPT)から空間的に重なり合っている参照ビームおよび変性ビームを受け、位置信号を決定するディテクタシステム(DET)を備え、
前記ディテクタシステムは、
参照ビームと変性ビームとが干渉するようそれらのビームの偏光を操作し、干渉する参照ビームおよび変性ビームをディテクタに導くことで干渉パターンを形成する偏光システム(80、81、83、86)と、
干渉パターンから位置信号を決定するディテクタ(82、92)と、を含む、自己参照干渉計。
【請求項2】
ビームスプリッタ(40)は偏光ビームスプリッタであり、参照システムは位相板(10)および第1ミラー(11)を含む、請求項1に記載の自己参照干渉計。
【請求項3】
変換システムはレンズ(30)および第2平面ミラー(31)を含む、請求項1または2に記載の自己参照干渉計。
【請求項4】
変換レンズは球面レンズまたは円柱レンズである、請求項3に記載の自己参照干渉計。
【請求項5】
変換システムは変換ミラー(32)または第2ビームスプリッタを含む、請求項1または2に記載の自己参照干渉計。
【請求項6】
ディテクタは、像面または瞳面における干渉する参照ビームおよび変性ビームの強度の変化から位置信号を決定するよう構成される、請求項1から5のいずれかに記載の自己参照干渉計。
【請求項7】
第2平面ミラー(31)は少なくとも部分的に透明であり、その少なくとも部分的に透明な第2平面ミラーを通過する変性ビームの部分と共に使用するためのフォーカス検出構成(70)が設けられている、請求項3に記載の自己参照干渉計。
【請求項8】
フォーカス検出構成(70)は、
少なくとも部分的に透明な第2平面ミラー(31)のフォーカスの中心に一端が配置されたナイフエッジ(71)と、
2セグメントディテクタ(72)と、を含み、
ナイフエッジおよび2セグメントディテクタは、使用中アライメントビーム(AB)の焦点がマーク(WM)上に良く合っている場合に両方のディテクタセグメントが同じ光量を受けるよう構成されている、請求項7に記載の自己参照干渉計。
【請求項9】
フォーカス検出構成(70)は、
少なくとも部分的に透明な第2平面ミラー(31)の焦点に中心が合わされているルーフトッププリズム(75)と、
4セグメントディテクタ(76)と、を含み、
ルーフトッププリズムおよび4セグメントディテクタは、使用中アライメントビーム(AB)の焦点がマーク(WM)上に良く合っている場合に4つ全てのディテクタセグメントが同じ光量を受けるよう構成されている、請求項7に記載の自己参照干渉計。
【請求項10】
光学構成は、アライメントビーム(AB)をマーク(WM)上に導き、マークによるアライメントビームの回折の結果得られる回折ビームを取得する対物レンズ(20)を含む、請求項1から9のいずれかに記載の自己参照干渉計。
【請求項11】
第1ビームの方向は第2ビームの方向と直交し、参照システムは第1ビームの方向と直交するよう構成される、請求項1から10のいずれかに記載の自己参照干渉計。
【請求項12】
ディテクタは、干渉する参照ビームおよび変性ビームの強度の変化から位置信号を決定するよう構成される、請求項1から11のいずれかに記載の自己参照干渉計。
【請求項13】
ディテクタシステム(DET)は光学構成(OPT)に取り付けられる、請求項1から12のいずれかに記載の自己参照干渉計。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の自己参照干渉計を少なくともひとつ含むアライメントシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のアライメントシステムを備えるリソグラフィ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【公開番号】特開2012−60120(P2012−60120A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−192369(P2011−192369)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】