説明

自己変形型空中線装置

【課題】簡単な構造によってビーム方向を変えることができる自己変形型空中線装置を提供すること。
【解決手段】自己変形型空中線装置Aは、シート状の人工筋肉1のシート面に電極11,11を設けた空中線ANと、前記電極11,11に接続して給電するための制御手段3と、を備えている。電極11,11は、人工筋肉1のシート面の両面に設けられると共に、少なくとも1つがアンテナエレメント11Aを構成している。制御手段3は、電極11,11に信号を送信して目的物の位置する方向、または、目的物からの電波の到来方向に空中線ANのビーム方向を指向させるように人工筋肉1を向ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指向性を有する空中線(アンテナ)のビーム方向を調整することが可能な自己変形型空中線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指向性を有する空中線の向きを調整したり、変えたりする手段としては、手動的に調整する手動式空中線装置と、電動モータ等の回転を利用して調整する機械制御式空中線装置と、位相合成を利用して電気回路で指向性を調整する電気制御式空中線装置との3つの手段が知られている。
【0003】
手動式空中線装置は、例えば、特許文献1に開示されているように、空中線本体の仰角の角度および向きを手動的に調整する装置である。
機械制御式空中線装置は、例えば、1つ以上の電動モータを動力源として歯車機構により空中線本体の仰角の角度および向きを電動的に調整する装置である。
電気制御式空中線装置は、例えば、特許文献2に開示されているように、複数のアンテナエレメント(アンテナ素子)からの受信信号をそれぞれの移相器で移相して、その移相器で制御された複数の受信信号を合成器で合成することにより空中線の指向性を電気回路的に調整する装置である。
【0004】
ところで、近年、ヘビなどの生物のように柔軟な動きができるロボットの開発において、人工筋肉(「ソフトアクチュエータ」とも言われている)と称されているものが注目されている。この人工筋肉には、イオン伝導性アクチュエータ、導電性高分子アクチュエータ、形状記憶合金等がある。
【0005】
人工筋肉としては、例えば、特許文献3に開示されているようなアクチュエータ素子がある。このアクチュエータ素子は、アニオン交換樹脂成形品の表面に相互に絶縁状態で形成された金属電極、およびこの金属電極上に形成された導電性高分子膜からなる。アクチュエータ素子は、金属電極間に電位差をかけることによってアニオン交換樹脂成形品を湾曲および変形させるようになっている。
【0006】
図6は、従来の多関節制御の人工筋肉を示す概略図である。
図6に示す人工筋肉100は、ゲル状の導電性高分子膜(IPMC(Ionic Polymer Metal Composite)アクチュエータ)を使用したものであり、イオン導電性高分子の膜200の両面に金等の貴金属をメッキして電極300を形成し、その電極300に2V程度の電圧を印加すると人工筋肉100が屈曲するようになっている。メッキによって形成された電極300は、レーザトリミング等によって複数のスリット320を並設して分断し、複数の多関節電極310を形成している。各多関節電極310には、筋肉制御用低周波信号を送る電源400がそれぞれ接続されている。
【特許文献1】特開平9−36635号公報(段落0018、および図1)
【特許文献2】特開2003−168912号公報(段落0019、および図4)
【特許文献3】特開2003−170400号公報(段落0014、および図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたような手動式空中線装置では、空中線の向きを手動的手段で修正するので、空中線の向きを調整する場合に、遠隔操作して自動的に空中線の向き合わせをすることができないという問題点がある。
【0008】
このような問題点を解消して遠隔操作を可能にしたものとしては、空中線の向きを電動モータ等によって調整する前記機械制御式空中線装置がある。
しかしながら、このような機械制御式空中線装置では、空中線を機械的に動かすモータ歯車機構等からなる電動駆動機構と、その機構を制御する制御装置とが必要なため、機械制御式空中線装置の装置全体が大型化・重量化するという問題点がある。さらに、モータ歯車機構を使用することによって、振動の発生や、構造の複雑化や、応答速度が遅い等の問題点もある。
【0009】
このような機械制御式空中線装置の問題点を解消して小型化した空中線装置としては、特許文献2に記載されたような電気制御式空中線装置がある。電気制御式空中線装置は、空中線を電気的に動かす装置を備えたことによって装置全体を小型化できると共に、空中線の指向性を電気処理によって高速に可変することが可能である。
しかしながら、このような電気制御式空中線装置では、複数の空中線にそれぞれ移相器を設けてその移相を合成制御することによって電波の指向性を調整しているため、移相器や信号処理に精度が要求され、装置全体が高価な空中線系(アンテナシステム)となるという問題点がある。
【0010】
なお、前記特許文献3に記載されているようなアクチュエータや、図6に示すような人工筋肉100を空中線装置に使用したものは現存していない。
【0011】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み創案されたものであり、簡単な構造によってビーム方向を変えることができる自己変形型空中線装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の自己変形型空中線装置は、シート状の人工筋肉のシート面に電極を設けた空中線と、前記電極に接続して給電するための制御手段と、を備えた自己変形型空中線装置であって、前記電極は、前記人工筋肉のシート面の両面に設けられると共に、少なくとも1つがアンテナエレメントを構成し、前記制御手段は、前記電極に信号を送信して目的物の位置する方向、または、目的物からの電波の到来方向に前記空中線のビーム方向を指向させるように前記人工筋肉を向けることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、自己変形型空中線装置は、シート状の人工筋肉のシート面に設けた空中線の電極がアンテナエレメントを構成することによって、人工筋肉が曲がるとアンテナエレメントの向きを機械的に変えることができるため、ビーム方向を変化させることができる。しかも、空中線は、人工筋肉自体で形成しているので、従来の電磁モータと比較した場合、柔軟な動き、軽量化、無音化、安定化、低電圧作動化、高速応答化等が可能となる。
【0014】
請求項2に記載の自己変形型空中線装置は、請求項1に記載の自己変形型空中線装置であって、前記人工筋肉は、導電性の高分子化合物からなる導電性高分子膜と、この導電性高分子膜の両面に設置された前記電極と、を備え、前記両面の電極間に電圧を印加することによって曲がることを特徴とする。
ここで、「両面」とは、導電性高分子膜の表面と裏面とをいう。
【0015】
かかる構成によれば、自己変形型空中線装置は、電極に電圧を印加すると、導電性高分子膜中の陽イオンおよび水分子が一方の面(一方の表面)に設けられた電極側に移動することによって、一方の面が膨張し、他方の面(他方の裏面)が収縮するため、人工筋肉と共にアンテナエレメントが曲がる。自己変形型空中線装置は、アンテナエレメントが曲がることによって、空中線のビーム方向をこの空中線を形成する人工筋肉自体で変更できる。
なお、人工筋肉は、導電性高分子膜(IPMCアクチュエータ)から形成されていることによって、構造が簡単で入手し易い材料で容易に形成することができると共に、低電圧で応答速度が速く、変化量が大きいので、空中線の指向性方向を変える動力源として適している。
【0016】
請求項3に記載の自己変形型空中線装置は、請求項2に記載の自己変形型空中線装置であって、前記導電性高分子膜は、陽イオンと水分子とを含んだイオン導電性高分子膜からなり、前記電極は、前記導電性高分子膜の両面に設けた複数の金属パターンから形成され、前記アンテナエレメントは、前記導電性高分子膜の両面に形成された金属パターンのうちの少なくとも片面に形成された複数の金属パターンを間隔をあけて並設してなることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、自己変形型空中線装置は、電極に電圧を印加すると、導電性高分子膜中の陽イオンおよび水分子が一方の面に設けられた電極側に移動することによって、一方の面が膨張し、他方の面が収縮するため、アンテナエレメントが曲がり、空中線のビーム方向が変更される。
また、自己変形型空中線装置は、アンテナエレメントが、導電性高分子膜の表面に複数の金属パターンを設けてなることにより、指向性利得が高く、指向性が鋭くなってデータの秘匿性を向上できる。その結果、電波の放射が最大となる放射角におけるエネルギーが強くなり、空中線の通信距離を遠くに延長することができる。
さらに、関節電極は、複数の金属パターンからなることにより、多関節電極を形成するようになるため、人工筋肉を複雑に曲げることも、各関節電極を一様に動かして大きく曲げることも可能になる。
【0018】
請求項4に記載の自己変形型空中線装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の自己変形型空中線装置であって、前記アンテナエレメントに前記人工筋肉の制御信号を送信する低周波信号供給線は、高インピーダンス線路に形成されていることを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、アンテナエレメントに人工筋肉の制御信号を送信する低周波信号供給線は、高インピーダンス線路が接続されていることによって、インピーダンスが周波数に比例して変化する。すると、低周波電力が、インピーダンスの高い高インピーダンス線路でなく低い伝送路側に流れるようになり、人工筋肉を作動させるためのアンテナエレメントへの供給をスムーズに行えるようになる。
例えば、低周波信号供給線にコイルを用いてインピーダンスを変換する電気回路とした場合、高周波信号のときには、低周波信号供給線の抵抗が非常に高くなり、人工筋肉駆動信号源等の電源が何も繋がっていない状態と同じになる。そして、低周波信号のときには、低周波信号供給線の抵抗が非常に小さくなり、人工筋肉駆動信号源が繋がった状態になる。
したがって、人工筋肉駆動信号源が1つの場合、各アンテナエレメントは、高周波信号において、それぞれが独立した状態になるので高周波用空中線として機能するようになる。そして、各アンテナエレメントは、低周波信号において、全てのアンテナエレメントが接続された1つの状態なるので、人工筋肉が変動して曲がり、空中線のビーム方向(指向性方向)を変化させることができる。
【0020】
請求項5に記載の自己変形型空中線装置は、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の自己変形型空中線装置であって、前記電極は、高周波信号が供給される給電点を備えると共に、前記空中線の高周波信号と、前記人工筋肉を制御する低周波信号とが同期されることを特徴とする。
【0021】
かかる構成によれば、自己変形型空中線装置は、電極に高周波信号が供給される給電点を備えたことにより、給電点に所望の高周波信号が供給されると、電極が空中線のアンテナエレメントとして動作する。一方、電極に低周波信号を供給した場合には、導電性高分子膜、およびこの導電性高分子膜の表面に設けたアンテナエレメントが曲がり、空中線のビーム方向が変化する。空中線用の高周波信号と導電性高分子膜制御用の低周波信号とを同期させて、前記電波の到来方向に空中線のビームを向けたときに、前記高周波信号にデータを載せて発信すると、特定の相手にデータを送信できるようになる。
【0022】
請求項6に記載の自己変形型空中線装置は、請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の自己変形型空中線装置であって、前記制御手段は、前記アンテナエレメントの現在の位置から前記電波の到来方向に前記人工筋肉を曲げる移動量を算出し、その移動量に基づいて前記人工筋肉を曲げて前記アンテナエレメントのビーム方向を制御する演算部と、前記アンテナエレメントからデータを送受信させるための通信部と、を有することを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、自己変形型空中線装置は、制御手段が、アンテナエレメントの現在の位置から前記電波の到来方向に人工筋肉を曲げる移動量を算出し、その移動量に基づいて人工筋肉を曲げてアンテナエレメントのビーム方向を制御する演算部と、アンテナエレメントからデータを送受信させるための通信部と、を有することにより、人工筋肉を空中線のビーム方向に自動的に曲げて送受信できるようになる。
【0024】
請求項7に記載の自己変形型空中線装置は、請求項2ないし請求項6のずれか1項に記載の自己変形型空中線装置であって、前記導電性高分子膜は、表面の一部に前記電極を付設すると共に、前記電極が付設されてない部位に絶縁性のシール材をコーティングしたことを特徴とする。
【0025】
かかる構成によれば、人工筋肉は、導電性高分子膜の表面の一部に電極を付設すると共に、電極が付設されてない部位に絶縁性のシール材をコーティングしたことにより、導電性高分子膜中の水分が放出されて乾燥することを阻止できる。このため、人工筋肉を水中以外の場所でも使用可能にする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の請求項1に係る自己変形型空中線装置によれば、人工筋肉が曲がることによってアンテナエレメントの向きを変えることができるため、部品点数を削減した簡単な構造でビーム方向を調整でき、小型で安価な空中線を提供することができる。
さらに、自己変形型空中線装置は、小規模の電気回路でできるため、低価格なビームフォーミングアンテナが実現できる。
また、自己変形型空中線装置は、空中線を人工筋肉自体で形成したので、従来の電磁モータによって指向方向を変化させる空中線装置と比較した場合、柔軟な動き、動作の安定化、軽量化、無音化、低電圧作動化、高速応答化等が可能となる。
【0027】
本発明の請求項2に係る自己変形型空中線装置によれば、自己変形型空中線装置は、空中線のビーム方向をこの空中線を形成する人工筋肉自体を動力源として変更できるため、装置全体の構造を簡素化することができる。
また、アンテナエレメントを備えた人工筋肉が導電性高分子膜から成形されているため、水中や、空気中の湿度の高い水辺でも使用可能な小型の空中線(ビームフォーミングアンテナ)を提供できる。
【0028】
本発明の請求項3に係る自己変形型空中線装置によれば、関節電極が、複数の金属パターンからなることにより、多関節電極を形成するため、人工筋肉を複雑に曲げるか、または、各関節電極を一様に動かして大きく曲げて、空中線の指向方向を変えることができる。
さらに、自己変形型空中線装置は、アンテナエレメントが、導電性高分子膜の表面に複数設けられたことにより、指向性利得が高くなるに伴って指向性が鋭くなるため、空中線の通信距離を遠くに延長することができる。
【0029】
本発明の請求項4に係る自己変形型空中線装置によれば、自己変形型空中線装置は、アンテナエレメントに人工筋肉の制御信号を送信する低周波信号供給線が、高インピーダンス線路に形成されたことによって、エネルギーの伝送路内での電気信号の反射や損失を防止して、伝送路を安定した状態にすることができる。
【0030】
本発明の請求項5に係る自己変形型空中線装置によれば、自己変形型空中線装置は、電極に給電点を設けたことにより、その給電点に所望の高周波信号が供給されると、その電極を空中線のアンテナエレメントとして動作させることができる。
さらに、自己変形型空中線装置は、空中線用の高周波信号と導電性高分子膜制御用の低周波信号とを同期させることによって、前記電波の到来方向に空中線のビームを向けたときに、前記高周波信号にデータを載せて発信することで、特定の相手にデータを送信することができる。その結果、自己変形型空中線装置は、同時に複数の相手に1周波数で通信ができる。
【0031】
本発明の請求項6に係る自己変形型空中線装置によれば、制御手段は、アンテナエレメントのビーム方向が前記電波の到来方向に人工筋肉を曲がるように制御する演算部と、アンテナエレメントからデータを送受信させるための通信部と、を有することによって、人工筋肉を空中線の指向性方向に自動的に追随させて曲げることができる。
【0032】
本発明の請求項7に係る自己変形型空中線装置によれば、人工筋肉が、導電性高分子膜の表面の一部に電極を付設すると共に、電極が付設されてない部位に絶縁性のシール材をコーティングしたことによって、導電性高分子膜中の水分の放出を阻止して乾燥することを防止できる。その結果、水中等の水分がある箇所以外の場所でも自由に空中線として使用可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態に係る自己変形型空中線装置を図1〜図4を参照して説明する。図1は、本発明の自己変形型空中線装置の一例を示すブロック図である。
【0034】
≪自己変形型空中線装置の構成≫
図1に示すように、自己変形型空中線装置Aは、例えば、目的物である人工衛星2等の存在する方向を電波到来方向(空中線ANの指向性方向)として、その方向に人工筋肉1によって自動的に空中線ANのビーム方向の向きを変化させる装置である。この自己変形型空中線装置Aは、空中線ANとしての機能を果たすアンテナエレメント11A、およびこのアンテナエレメント11Aの姿勢角を制御するための機能を果たす姿勢角制御部12(関節電極11B)を有する人工筋肉1と、この人工筋肉1の外部に設置された制御手段3、姿勢角センサ4、および位置センサ5と、を備えている。この自己変形型空中線装置Aは、例えば、潜水艦や海底探査機や水中作業機械や海洋機器等の移動体の外面部に設置される。
以下、人工衛星2と送受信する場合を例に挙げて本発明の実施形態に係る自己変形型空中線装置を説明する。
【0035】
図2は、本発明の自己変形型空中線装置に使用される人工筋肉の一例を示す作動原理図であり、(a)はOFF状態を示す概略図、(b)は電極に電圧が印加されたON状態を示す概略図である。図3は、本発明の自己変形型空中線装置の人工筋肉に設置されるアンテナエレメントの設置状態を示す概略図である。
ここで、図1に示す自己変形型空中線装置Aの各部の構成を説明する前に、図2および図3を参照して人工筋肉1について説明する。
【0036】
≪人工筋肉の構成≫
人工筋肉1とは、いわゆるソフトアクチュエータやIPMCアクチュエータやICPF(Ionic Conductive Polymer Film)アクチュエータと言われているものであって、例えば、イオン伝導性アクチュエータ、導電性高分子アクチュエータ、形状記憶合金等があり、いずれのものであっても構わない。
本発明の実施形態に係る自己変形型空中線装置Aは、人工筋肉1にアンテナエレメント11Aと姿勢角制御部12とを設けたものであれば、全ての種類の人工筋肉1に適用が可能であり、以下、イオン伝導性アクチュエータからなる人工筋肉1を例に挙げて説明する。
【0037】
人工筋肉1は、図2(a)、(b)に示すように、導電性の高分子化合物からなるイオン導電性高分子膜(以下「導電性高分子膜」という)13の両面(表面および裏面)に電極11,11を接合した接合体である。この人工筋肉1は、例えば、水中等において、導電性高分子膜13の両面の電極11,11間に1〜2V程度の比較的低い電圧を印加することによって曲がる性質を有する。この人工筋肉1は、導電性高分子膜13と、この導電性高分子膜13の両面に積層した状態に設置されて互いに電気的に接続された電極11,11と、電波を送受信するためのアンテナエレメント11Aと、を備えている。
【0038】
<導電性高分子膜の構成>
導電性高分子膜13は、人工筋肉1の主成分を構成するゲル状のものであり、Na等からなる陽イオン13aと、水分子13bとを含んでいる。導電性高分子膜13は、両面の電極11に電圧を印加すると、陽イオン13aが−電極11側に移動し、これに伴って水分子13bも同方向に移動することによって、一方の−電極11側が膨張し、他方の+電極11側が収縮するため、例えば、図2(a)に示す直線状態から図2(b)に示すように曲がるようになっている。導電性高分子膜13は、人工筋肉1を曲げる動力源となるものであり、この導電性高分子膜13に設けたアンテナエレメント11Aを曲げることによって、空中線ANのビーム方向(指向性方向)を調整できるようになっている。
この導電性高分子膜13は、例えば、フッ素系陽イオン交換樹脂膜や、陰イオン交換樹脂等からなる。
【0039】
<電極の構成>
図3に示すように、電極11は、導電性高分子膜13に電圧源14から供給される電圧を印加するための導電体の役目と、アンテナ素子としての役目とを果たすものであり、例えば、金、白金等の貴金属から形成されている。この電極11は、例えば、導電性高分子膜13の両面に無電解メッキ法等でそれぞれ1枚の導電性金属箔を形成し、その両面の導電性金属箔を接合し、さらに、レーザー加工等によって図3に示すような適宜な形状の複数の金属パターン11a,11b,11c,11d,11e,11fに分断されている。
複数に分断された電極11は、設定した所望の周波数で動作する空中線ANとして機能する複数のアンテナエレメント11Aと、このアンテナエレメント11Aが並設された導電性高分子膜13を曲げて指向性方向を変える人工筋肉1として機能させるための関節電極11Bと、からなる。
【0040】
なお、電極11は、導電性高分子膜13に設置した少なくとも一対の関節電極11Bを構成し、そのうちの1つの片面の電極11がアンテナエレメント11Aを構成する導電体であって、人工筋肉1の動作に応じて曲がるものであればよく、電極11の厚さや数や材質等は特に限定されない。電極11は、アンテナエレメント11Aの数を増やせば空中線ANの指向性を鋭くでき、また、関節電極11Bの数を増やせば人工筋肉1を大きく、かつ、複雑に曲げることができるようになっている。
【0041】
アンテナエレメント11Aに人工筋肉1の制御信号を送信する低周波信号供給線16には、導電性高分子膜13を制御するための低周波信号と、空中線用の高周波信号とを分離するために、高インピーダンス線路17が接続されている。この高インピーダンス線路17は、例えば、導電性高分子膜13に不図示の導電パターンを設けて、この導電パターンにコンデンサチップ、コイル、抵抗等を設けてなる。
【0042】
<アンテナエレメントの構成>
図3に示すアンテナエレメント11Aは、電波を送受信するための通信用電極であり、導電性高分子膜13の表面に複数(例えば、アンテナエレメント11Aの素数の数が5つ)設けられた電極11中の金属パターン11b〜11fの導電性アンテナパターンからなる。アンテナエレメント11A(金属パターン11b〜11f)は、人工衛星2(図1参照)に対して略直交する方向に延在する金属箔、または、平板状部材からなる。各アンテナエレメント11Aの長さおよび設置間隔は、送受信する波長に適合した適宜な長さに形成し、適切な間隔をあけて設置することが望ましい。その金属パターン11b〜11fは、抵抗またはコンデンサを設置してなる高インピーダンス線路17を介してそれぞれの電圧源14に電気的に接続されている。少なくともアンテナエレメント11Aに含まれる電極11には、高周波信号が供給される給電点11Cが設けられ、所望の高周波信号が供給されれば、空中線ANとして機能するようになっている。
【0043】
なお、人工筋肉1に設けられたアンテナエレメント11Aは、例えば、平面八木アンテナ、スパイラルアンテナ、スマートアンテナ等の指向性を有する空中線ANとして使用することが可能である。
【0044】
<関節電極の構成>
図3に示す関節電極11Bは、この関節電極11Bに低周波信号を加えることにより導電性高分子膜13を動かして、人工筋肉1を自由に曲げ、空中線ANのビーム方向(指向性方向)を変えるための動作用電極である。この関節電極11Bは、例えば、導電性高分子膜13の片側の表面に複数設けられた電極11中の金属パターン11a〜11fからなり、多関節電極を構成する。
このように人工筋肉1として作動させるために使用される関節電極11Bは、アンテナエレメント11Aによる空中線用の高周波信号と、人工筋肉1の制御用の低周波信号とを同期させることで曲がり、さらに、複数の電極11から構成されることによって、複雑に動くように構成されている。そして、電極11中の金属パターン11b〜11fは、アンテナエレメント11Aと関節電極11Bとを兼用している。金属パターン11aは、電圧源14に電気的に接続されている。
【0045】
なお、電極11中の金属パターン11aは、自己変形型空中線装置Aにおいて、あってもなくてもどちらでもよい。すなわち、金属パターン11aは、導電性高分子膜13に設置されてなくても、アンテナエレメント11A中の1つの金属パターン11b〜11fと関節電極11B中の1つの金属パターン11b〜11fがあれば、複雑な動きが可能な人工筋肉1と、アンテナエレメント11Aとしての機能を果たす。
【0046】
<給電点の構成>
給電点11Cは、電極11において、高周波信号を供給するための部分である。なお、給電点11Cは、導電性高分子膜13の表面に形成したものでも、リード線であってもよい。
【0047】
≪空中線(人工筋肉)の構成≫
次に図1を参照しながら空中線AN(人工筋肉1)を説明する。
空中線ANは、高周波電流を電波として空間に放射(送信)、あるいは逆に空間の電波を高周波電流へ相互に変換(受信)する機器であり、人工筋肉1によって形成されている。空中線ANは、高周波信号を通信部31に送受信するアンテナエレメント11Aと、演算部32から制御信号を受けて人工筋肉1を作動させ姿勢角を調整するための姿勢角制御部12と、を備えている。
なお、空中線ANは、例えば、各金属パターン11a〜11f間にスリットを形成して分断された平面八木アンテナ等からなり、各金属パターン11b〜11f(関節電極11B)が一様に動いて曲がることによって指向性を変化させるようになっている(図3参照)。
【0048】
姿勢角制御部12は、人工筋肉1を曲げるためのものであり、導電性高分子膜13(図3参照)の片面に配置された金属パターン11b〜11f(図3参照)からなる関節電極11Bによって主に構成されている。
【0049】
≪制御手段の構成≫
図1に示す制御手段3は、人工筋肉1を空中線ANが向くべき所望方向に曲がるように制御すると共に、人工筋肉1に設置された電極11から電波を送受信できるように制御するための装置である。この制御手段3は、アンテナエレメント11Aのビーム方向が電波の到来方向に人工筋肉1を曲げるように制御する演算部32と、アンテナエレメント11Aからデータを送受信させるための通信部31と、を有し、人工筋肉1の外部に設置されている。
【0050】
その他、この制御手段3は、関節電極11Bに空中線ANが所望の方位を向くべき低周波信号を送るためのドライバ回路(図示せず)と、自己変形型空中線装置Aを駆動させるための電源回路(図示せず)と、予め判っている人工衛星(静止衛星)2の絶対座標等を記録するメモリ回路(図示せず)と、を備えている。この制御手段3は、各電極11にそれぞれ電気的に接続されている。
【0051】
<通信部の構成>
通信部31は、データ等の情報信号を高周波信号に変換してアンテナエレメント11Aから送信させるため機能と、アンテナエレメント11Aで受信した人工衛星2からの信号(高周波信号)を情報信号に変換して機器(図示せず)に送信する機能とを備えた装置である。
【0052】
<演算部の構成>
演算部32は、人工衛星2の絶対座標と、空中線ANの絶対位置および姿勢角とによって空中線ANの向くべき方向を算出して、その方向に人工筋肉1を曲げるための制御をする装置である。すなわち、この演算部32は、姿勢角センサ4からの人工筋肉1の現在位置の姿勢角信号と、GPSアンテナ6に基づく位置センサ5からの座標信号とから人工筋肉1を動かす移動量を算出して、この算出された移動量に応じた周波数と電圧信号(低周波信号)を生成し、各電極11にその低周波信号を出力して人工筋肉1を人工衛星2の方向に指向するように駆動制御するための装置である。演算部32は、例えば、前記ドライバ回路と共にCPUからなる。
【0053】
姿勢角センサ4は、移動体に搭載された空中線ANの傾きを検出するセンサであり、人工筋肉1の外部に設置されて、演算部32に電気的に接続されている。この姿勢角センサ4は、例えば、慣性計測装置(3軸ジャイロ)からなる。
【0054】
位置センサ5は、移動体に搭載した人工筋肉1(空中線AN)の絶対位置を検出するセンサ(GPS)であり、一方がGPSアンテナ6に、他方が演算部32にそれぞれ電気的に接続されている。
【0055】
≪作用≫
次に、図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る自己変形型空中線装置Aの作用を説明する。
【0056】
空中線ANを曲げる場合には、まず、図1に示す演算部32によって、予め判っている人工衛星2の絶対座標(XAS,YAS,ZAS)と、位置センサ5によって計測した潜水艦(移動体)の絶対座標(XIPMC,YIPMC,ZIPMC)と、姿勢角センサ4で計測した潜水艦に対する人工衛星2の傾きである姿勢角(R,P,Y)により、空中線ANが向くべき最適な方向(電波到来方向)を算出して、姿勢角制御部(関節電極11B)12の姿勢を決定する。
【0057】
そして、演算部32では、位置センサ5で計測した空中線ANの絶対位置と、姿勢角センサ4で計測した空中線ANの姿勢角とから空中線ANの指向角のずれを算出して決定する。演算部32では、このずれを調整して低周波の制御信号を図3に示す高インピーダンス線路17がある低周波信号供給線16を介して各関節電極11Bに送る。
【0058】
例えば、高周波信号を1GHz、低周波信号を1Hzにして、1uHのコイルを高インピーダンス線路17に設けた場合には、それぞれの周波数に対するインピーダンスは、
Z1GHz=2π×1GHz×1uH=6.3kΩ
Z1Hz=2π×1Hz×1uH=0Ω
となる。アンテナ特性から見ると1kΩを超えるインピーダンスは、何もいない開放端の状態になる。
一方、人工筋肉1を駆動させる駆動信号の周波数は、全く抵抗にならない。
【0059】
例えば、自己変形型空中線装置AがOFF状態のときは、人工筋肉1が矢印B方向を向いて、平らな状態になっている。人工筋肉1の電極11(関節電極11B)に、所望の方位を向くべき人工筋肉制御用の低周波信号が入力され、その低周波信号と空中線用の高周波信号とを同期させて、導電性高分子膜13がON状態になると、人工筋肉1は、人工衛星2(図1参照)がある矢印C方向に向けて曲がる。
【0060】
すなわち、人工筋肉1は、図2(a)、(b)に示すように、導電性高分子膜13内の陽イオン13aがマイナスの電極11側へ移動するのに伴い、水分子13bがプラスの電極11側に素早く移動して、マイナスの電極11側の含水率が高まり、膨潤圧によってプラスの電極11側に屈曲する。そして、人工筋肉1は、空中線ANの方向を、目的物である人工衛星2からの電波の到来方向に合わせて曲げて、自動的に指向させる。
なお、電圧の向きを逆にすれば人工筋肉1が逆方向に曲がるようになる。
【0061】
このように、空中線ANの指向方向が人工衛星2(図1参照)から電波の到来する一定の方向に向けられたことによって、空中線ANは、最高感度の状態で、電波を送受信することが可能となる。
【0062】
図4は、本発明に係る自己変形型空中線装置の実験データを示す図であり、(a)は水平方向の指向性特性図、(b)は垂直方向の指向性特性図である。
【0063】
図4(a)、(b)は、測定周波数が1.7GHz、測定最大受信レベルが−40dBm、平均受信レベルが−41.8dBm(なお、同時に計測した標準ダイポールの受信レバルから換算した空中線利得は、平均利得が−0.8dBiとなる)のときの空中線ANに実験結果である。この実験結果によって、空中線ANは、人工筋肉1の表面に設けた電極11がアンテナとして動作することが確認できた。
【0064】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造および変更が可能であり、本発明はこれら改造および変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0065】
図5は、本発明の実施形態に係る自己変形型空中線装置の変形例を示す人工筋肉の概略図である。なお、前記実施形態と同一のものは、図面に同一の符号を付記してその説明を省略する。
【0066】
本発明の実施形態に係る自己変形型空中線装置Aは、図2(a)、(b)に示すような導電性高分子膜13の両面に電極11を設けて、人工筋肉1が、ゲル状の導電性高分子膜13中に水分を含んだ湿潤状態を維持するために、水中や湿度の高い大気中等で使用することに限定されている。
しかしながら、本発明に係る自己変形型空中線装置Aは、このような水中や湿度の高い大気中等で使用するのに適した人工筋肉1に限定されるものではなく、乾燥状態の空気中であっても使用可能な人工筋肉7(図5参照)であってもよい。
【0067】
この場合、人工筋肉7は、導電性高分子膜13の両側表面のそれぞれの一部に電極71,71を付設すると共に、その電極71,71が付設されてない部位に絶縁性のシール材72をコーティングすることにより、導電性高分子膜13中の水分が外部に抜けるのを阻止して内部が乾燥しないように保水することができる。
人工筋肉7は、導電性高分子膜13の外周面全体がシール材72と電極71とによって完全にコーティングされていることにより、常に、空中線AN1を曲げるための動力源として使用できるようになるため、空気中であっても自由に使用することができる。
【0068】
そして、電極71,71は、導電性高分子膜13の両面にそれぞれ設置して、両方の電極71,71を関節電極11B,11Bとし、少なくともどちらかの片方の電極71をアンテナエレメント71Aとすることによって、人工筋肉7が空中線AN1として機能するようになる。
【0069】
なお、シール材72の材料は、導電性高分子膜13の表面を覆って被着可能でフレキシブルな絶縁体であればよく、特に限定されない。シール材72は、例えば、導電性高分子膜13を薄膜状にマスクするフォットレジスト等が挙げられる。
【0070】
[その他の変形例]
また、前記実施形態および変形例で説明した空中線AN,AN1は、例えば、人工衛星2の追尾を可能にするため、偏波面がなく、軸上で回転させる回転台が不要な円偏波アンテナ等であってもよい。
この場合、空中線AN,AN1は、大地に平行な面(X軸−Y軸)上で人工筋肉1,7を曲げることによって、空中線AN,AN1全体を傾けてビーム方向を調整するようになっている。
【0071】
また、人工筋肉1は、人工衛星2等の目的物からの受信信号が最大となる電波の到来方向(空中線AN,AN1の指向性が高くなる方位)にアンテナエレメント11Aが向くように曲げて、空中線AN,AN1の指向方向を制御してもよい。
この場合、制御手段3の演算部32によって、人工衛星2からの電波の到来方向と、アンテナエレメント11Aの指向性の高くなるビーム方向とが一致するように人工筋肉1を人工衛星2の方向に曲がるように関節電極71Bに制御信号(低周波信号)を送って駆動制御するようにすればよい。
【0072】
また、駆動制御した空中線AN,AN1の向きと人工衛星2の方向との指向角のずれが許容範囲外の場合や、自己変形型空中線装置Aのセンサ類を搭載することが困難な場合は、電界強度が最大の方向に空中線AN,AN1を動かして探索し決定してもよい。
【0073】
例えば、空中線AN,AN1が平面八木アンテナのときには、大地に対して水平面内で移動するような移動局を固定局から追尾する場合や、秘匿性の高い通信を陸上固定局同士や、固定局や、移動局で通信を行う場合に有効である。
なお、平面八木アンテナでは、空中線AN,AN1の性能が大きく変化せずに屈曲できる範囲が±60〜80度程度であり、平面上の全方位をカバーするためには3基〜4基の平面八木アンテナを用いる必要がある。
また、自己変形型空中線装置は、6000mを超える深海や海上を往来する気圧が大きく異なる環境に用いる探索船等に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の自己変形型空中線装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の自己変形型空中線装置に使用される人工筋肉の一例を示す作動原理図であり、(a)はOFF状態を示す概略図、(b)は電極に電圧が印加されたON状態を示す概略図である。
【図3】本発明の自己変形型空中線装置の人工筋肉に設置されるアンテナエレメントの設置状態を示す概略図である。
【図4】本発明に係る自己変形型空中線装置の実験データを示す図であり、(a)は水平方向の指向性特性図、(b)は垂直方向の指向性特性図である。
【図5】本発明の実施形態に係る自己変形型空中線装置の変形例を示す人工筋肉の概略図である。
【図6】従来の多関節制御の人工筋肉を示す概略図である。
【符号の説明】
【0075】
1,7 人工筋肉
2 人工衛星(目的物)
3 制御手段
11,71 電極
11A,71A アンテナエレメント
11a〜11f 金属パターン
11B,71B 関節電極
11C 給電点
13 導電性高分子膜
13a 陽イオン
13b 水分子
16 低周波信号供給線
17 高インピーダンス線路
31 通信部
32 演算部
72 シール材
A 自己変形型空中線装置
AN,AN1 空中線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の人工筋肉のシート面に電極を設けた空中線と、
前記電極に接続して給電するための制御手段と、を備えた自己変形型空中線装置であって、
前記電極は、前記人工筋肉のシート面の両面に設けられると共に、少なくとも1つがアンテナエレメントを構成し、
前記制御手段は、前記電極に信号を送信して目的物の位置する方向、または、目的物からの電波の到来方向に前記空中線のビーム方向を指向させるように前記人工筋肉を向けることを特徴とする自己変形型空中線装置。
【請求項2】
前記人工筋肉は、導電性の高分子化合物からなる導電性高分子膜と、この導電性高分子膜の両面に設置された前記電極と、を備え、前記両面の電極間に電圧を印加することによって曲がることを特徴とする請求項1に記載の自己変形型空中線装置。
【請求項3】
前記導電性高分子膜は、陽イオンと水分子とを含んだイオン導電性高分子膜からなり、
前記電極は、前記導電性高分子膜の両面に設けた複数の金属パターンから形成され、
前記アンテナエレメントは、前記導電性高分子膜の両面に形成された金属パターンのうちの少なくとも片面に形成された複数の金属パターンを間隔をあけて並設してなることを特徴とする請求項2に記載の自己変形型空中線装置。
【請求項4】
前記アンテナエレメントに前記人工筋肉の制御信号を送信する低周波信号供給線は、高インピーダンス線路に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の自己変形型空中線装置。
【請求項5】
前記電極は、高周波信号が供給される給電点を備えると共に、
前記空中線の高周波信号と、前記人工筋肉を制御する低周波信号とが同期されることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の自己変形型空中線装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記アンテナエレメントの現在の位置から電波の到来方向に前記人工筋肉を曲げる移動量を算出し、その移動量に基づいて前記人工筋肉を曲げて前記アンテナエレメントのビーム方向を制御する演算部と、
前記アンテナエレメントからデータを送受信させるための通信部と、
を有することを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の自己変形型空中線装置。
【請求項7】
前記導電性高分子膜は、表面の一部に前記電極を付設すると共に、
前記電極が付設されてない部位に絶縁性のシール材をコーティングしたことを特徴とする請求項2ないし請求項6のずれか1項に記載の自己変形型空中線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−206144(P2008−206144A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13395(P2008−13395)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(504194878)独立行政法人海洋研究開発機構 (110)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】