自己形成光導波路の製造方法
【課題】形成される自己形成光導波路の所望の位置におけるテーパ角を増減する。
【解決手段】穴の直径が1mmから12mmまで変えられる虹彩絞り22’により、集光用レンズ31で集光される光の範囲(開口数)を調整する。作製中の自己形成光導波路51をCCDカメラ70で撮影し、画像は画像処理装置71にてリアルタイムで画像処理を行う。自己形成光導波路51のテーパ角を計測し、所望に、虹彩絞り22’の径を変化させて、自己形成光導波路51のテーパ角を増減できる。
【解決手段】穴の直径が1mmから12mmまで変えられる虹彩絞り22’により、集光用レンズ31で集光される光の範囲(開口数)を調整する。作製中の自己形成光導波路51をCCDカメラ70で撮影し、画像は画像処理装置71にてリアルタイムで画像処理を行う。自己形成光導波路51のテーパ角を計測し、所望に、虹彩絞り22’の径を変化させて、自己形成光導波路51のテーパ角を増減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂液に硬化光をビーム状に導入して、光硬化性樹脂液を自己集光的に硬化させ、軸状の自己形成光導波路を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者らは、自己形成光導波路を製造する方法を種々提案している。自己形成光導波路としては、例えば光ファイバ端からアップテーパ(光ファイバ端から徐々に自己形成光導波路のコア径が増大するもの)部分を介して、実質的に円筒状の自己形成光導波路のコアが形成されるものも学会等において報告している。
【0003】
しかし光硬化性樹脂の選択や、光ファイバに入射させる際の入射モードによっては、アップテーパとダウンテーパを繰り返す、径が一定でないコアが形成されてしまう場合もあった。
【0004】
また、コアの所望の位置におけるコアのテーパを所望に制御できない点においては、下記特許文献以降、新たな技術が報告されていない。
【特許文献1】特開平4−165311号公報
【特許文献2】特開2003−4990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、光硬化性樹脂にやや広がりを持ったビーム状の硬化光を照射して形成される光導波路の形状に、アップテーパ部分、ダウンテーパ部分を繰り返す、言わばコア径の波打ちが生じることが記載されている。テーパ部を含まないようにするには、均一径の極めて短い部分だけを切り出す必要が生じる。
特許文献2においては、光ファイバから光樹脂中に照射して散乱した光の回帰光を利用して導波路形状を調節するものが記載されている。原理的にはテーパ導波路の作製も可能であるが、樹脂収容部の反射率を導波路の長さ方向に沿って異ならせる必要があるなど、実用的とは言い難い手法である。
【0006】
本発明者らは上記課題に鑑み、自己形成光導波路を製造する際に、テーパをアップテーパにもダウンテーパにも調整可能であることを見出し、本願発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、光硬化性樹脂液に、硬化光導入用光導波路から硬化光を照射して光硬化性樹脂液を光軸方向に連続的に重合させることで光導波路を形成する自己形成光導波路の製造方法において、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を変化させ、形成される自己形成光導波路のテーパ角を正から負までの範囲で制御することを特徴とする。ここで出射モードとは、実質的には遠視野像における、光軸と成す角度方向に対する光強度分布を言うものとする。また、テーパ角とは、自己形成光導波路のコア光軸とコア側面の成す角を言うものとする。テーパ角が正とは、硬化光導入用光導波路端から遠ざかるに従ってコア径が太くなる場合であり、逆にテーパ角が負とは、硬化光導入用光導波路端から遠ざかるに従ってコア径が細くなる場合である。
【0008】
請求項2に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、当該集光用レンズに導入する硬化光のビーム径を絞り機構により集光用レンズの径よりも細い範囲で調整することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路がグレーデッドインデックス型の光ファイバであり、当該光ファイバのコアに導入する、硬化光のビーム径を絞り機構によりコアの径よりも細い範囲で調整することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、当該集光用レンズに導入する、集光用レンズの径よりも細い径の硬化光を複数系統用意し、各々集光用レンズの光軸から異なる距離の位置に入射させ、それら複数系統の硬化光の集光用レンズへの入射位置及び/又は入射光強度を調整することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路がグレーデッドインデックス型の光ファイバであり、当該光ファイバのコアに導入する、当該コア径よりも細い径の硬化光を複数系統用意し、各々光ファイバのコアの中心軸から異なる距離の位置に入射させ、それら複数系統の硬化光の光ファイバのコアへの入射位置及び/又は入射光強度を調整することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、硬化光導入用光導波路の入射端を、集光用レンズの焦点及び集光用レンズの光軸上であって焦点とは異なる位置において調整することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、硬化光導入用光導波路の光軸と、集光用レンズの光軸との成す角度を調整することを特徴とする。
請求項8に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、硬化光が集光用レンズを通過する位置の光軸からの距離を調整することを特徴とする。
【0013】
請求項9に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路は光ファイバであって、当該光ファイバの曲げ半径を調整することを特徴とする。
請求項10に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路は光ファイバであって、当該光ファイバの端面以外の部分において、クラッドを除き、クラッドとは異なる屈折率の物質をコアに接触させることを特徴とする。
【0014】
請求項11に係る発明は、撮像装置を用いて自己形成光導波路の形成中に硬化部分のテーパ角を計測し、そのテーパ角により、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整して、形成される自己形成光導波路の所望の位置におけるテーパ角の増減を制御することを特徴とする。自己形成光導波路の所望の位置におけるテーパ角の増減を制御するとは、コア成長端付近の形成済みコアのテーパ角を観察することで、そのコア成長端以降のコアの径を制御してテーパ角を増減させるものである。負のテーパ角の絶対値が大きくなる場合はテーパ角が減ると言うものとする。
請求項12に係る発明は、テーパ角を減らしたい場合には、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布の高次モード成分の割合を減らし、テーパ角を増やしたい場合には、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布の高次モード成分の割合を増やすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の自己形成光導波路は、光硬化性樹脂液中に照射された光により重合した箇所が体積減少に伴い屈折率が上昇し、照射光を当該硬化物中閉じ込め、重合部先端からの放射光により、軸上に重合物を形成して得られる光導波路である。形成される重合物の形状が照射される光のパターン(硬化光導入用光導波路からの出射モード分布)に依存する。例えば、出射モード分布の遠視野像(FFP)において、パターンの幅が広いほど、高次モード成分が多いと言える。即ち樹脂中に照射される光に光軸に対して成す角度の絶対値の大きい成分が多くなり、導波路径が導波路の長さ方向に対して広がっていく(アップテーパ、テーパ角を正とする)。逆に、パターンの幅が狭いほど高次モード成分が少なく、テーパ角が減少する(ダウンテーパ、テーパ角を負とする)。以上が本発明者らの実験により見出された。
【0016】
一方、例えば光ファイバのような光導波路を硬化光を導入するために用いると、長さが短い程、光ファイバの入射端におけるモード分布が光ファイバの出射端におけるモード分布へ影響する。そこで、光ファイバの出射端を光硬化性樹脂液中に挿入した上で、光ファイバの入射端におけるモード分布を変化させれば、光硬化性樹脂液及びその硬化物である成長中のコアへ照射されるモード分布が変化し、自己形成光導波路のテーパ形状に変化を与えることができる。即ち、硬化光導入用光導波路への入射モード分布を変化させて、自己形成光導波路のテーパ角を制御することが可能となる。以下に示す通り、種々の方法で、自己形成光導波路のテーパ角を正から負まで制御できることが明らかになった。
【0017】
特許文献1等の自己形成光導波路に見られるような波打ち現象(光軸方向の位置に対して導波路の径が異なる)が存在するものは、伝送損失が大きくなる。更にフィルタを介する場合には、当該フィルタへの接触箇所が波打ちの節か腹によってフィルタの透過特性が異なり、安定した性能を得ることができなかった。本発明により任意の箇所でテーパ角の制御が可能になり、波打ちを解消して均一の径を持った導波路が作製できるため低光損失化が可能になる。本発明は特に、同一の重合機構のモノマー/オリゴマーから成る光硬化性樹脂液を用いる場合、及び、複数の重合機構のモノマー/オリゴマーから成る光硬化性樹脂混合液を用いる場合に有効である。
【0018】
また、自己形成光導波路作製の際に発光素子を実装し、当該発光素子に向けて自己形成光導波路を作製する場合、自己形成光導波路端面の位置精度が十分でないと結合損失が生じるが、発光素子に向かってアップテーパの自己形成光導波路(素子側のコア径が太くなる)を作製すると、コア端面の位置精度が緩和される。さらに、受光素子と自己形成光導波路の接続を考えた場合、高速な信号を受光できる素子ほど受光面積が小さいため、コア径よりも小さい受光面積を持った受光素子に対して、ダウンテーパの自己形成光導波路(素子側のコア径が細くなる)を作製すると、受光面に集光して結合損失を低減するといった効果もある。従って、テーパを有する自己形成光導波路を意図的に作製することにより、高い位置合わせ精度やレンズなどの部品が不要になり、光LAN等に用いられる光導波路デバイスの低コスト化や、高性能化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に用いる光硬化性樹脂液は、入手可能な任意のものを適用できる。硬化機構も、ラジカル重合、カチオン重合其の他任意である。硬化光は一般的にはレーザ光が好ましい。レーザの波長と強度で、光硬化性樹脂液の硬化速度を調整すると良い。尚、光硬化開始剤(光重合開始剤)は光硬化性樹脂液とレーザの波長に応じ、入手可能な任意のものを適用できる。これらについては、本願出願人が共願人である例えば特開2004−149579に次のものが列挙されている。
【0020】
構造単位中にフェニル基等の芳香族環を一つ以上含んだものが高屈折率、脂肪族系のみからなる場合は低屈折率となる。屈折率を下げるために構造単位中の水素の一部をフッ素に置換したものであっても良い。
脂肪族系としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコール。
芳香族系としてはビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、ビスフェノールF、ノボラック、o-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、p-アルキルフェノールノボラック等の各種フェノール化合物等。
これらに、反応基として次の官能基等を導入したもの。
〔ラジカル重合性材料〕
ラジカル重合可能なアクリロイル基等のエチレン性不飽和反応性基を構造単位中に1個以上、好ましくは2個以上有する光重合性モノマー及び/又はオリゴマー。エチレン性不飽和反応性基を有するものの例としては、(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、マレイン酸エステル等の共役酸エステルを挙げることができる。
〔カチオン重合性材料〕
カチオン重合可能なオキシラン環(エポキシド)、オキセタン環等の反応性エーテル構造を構造単位中に1個以上、好ましくは2個以上有する、光重合性のモノマー及び/又はオリゴマー。オキシラン環(エポキシド)としては、オキシラニル基の他、3,4-エポキシシクロヘキシル基なども含まれる。またオキセタン環とは、4員環構造のエーテルである。
【0021】
〔ラジカル重合開始剤〕
ラジカル重合性モノマー及び/又はオリゴマーから成るラジカル重合性材料の重合反応を光によって活性化する化合物である。具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン類、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン及びN,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2-メチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン及び2-アミルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン及び2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、並びに2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。尚、ラジカル重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用しても良く、また、これらに限定されることはない。
〔カチオン重合開始剤〕
カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマーから成るカチオン重合性材料の重合反応を光によって活性化する化合物である。具体例としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、ホスホニウム塩、チオピリニウム塩が挙げられるが、熱的に比較的安定であるジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p-アニシル)ヨードニウム、ビス(p-t-ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウムなどの芳香族ヨードニウム塩、ジフェニルスルホニウム、ジトリルスルホニウム、フェニル(p-アニシル)スルホニウム、ビス(p-t-ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(p-クロロフェニル)スルホニウムなどの芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩光重合開始剤が好ましい。芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩光重合開始剤を使用する場合、アニオンとしてはBF4-、AsF6-、SbF6-、PF6-、B(C6F5)4-などが挙げられる。尚、カチオン重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用しても良く、また、これらに限定されることはない。
【0022】
硬化光導入用光導波路としては光ファイバを好適に用いることができる。光ファイバ入射端への光学系は任意に設計できるが、請求項2、4、6乃至8のような具体的な発明を適用すると容易である。グレーデッドインデックス型の光ファイバを用いて集光用レンズを用いないこともできる。尚、以下の実施例に示すように、凹凸レンズを組み合わせたビームエキスパンダによって、レーザ光等の硬化光のビーム径を調整することも可能である。
【実施例1】
【0023】
初めに、光ファイバからの出射モード分布(導波路への入射モード分布)が変化する様子を示す一例として、ピンホールを用いる方法を以下に示す。
図1.Aに示すように、波長457nmのDPSS(diode pumped solid state)レーザ1から出射する光のビーム径(7mm)を、後段の集光用レンズ31(開口数0.65、焦点距離5.8mm)の有効径に対して十分な大きさとなるように、ビームエキスパンダ21を用いて拡大する。ビームエキスパンダ21と集光用レンズ31の間にピンホール22を設置した。様々な径を有するピンホール22を用意して、ピンホール径を変化させることで、集光用レンズ31を透過する光の開口数(NA)が変わる。集光用レンズ31の焦点に長さ0.5mのプラスチック光ファイバ41の入射端41aを配置させる。プラスチック光ファイバ41としては、ステップインデックス型の三菱レイヨン製エスカプレミア(コア径980μm、コア屈折率1.49、開口数0.5)を用いた。図1.Bは、ピンホール22の径が小さい場合(径を絞った時)の様子を示す。こうして、プラスチック光ファイバ41の出射端41bにFFP計測装置を配置し、出射端41bからの出射モード分布の遠視野像(FFP)を計測する。
【0024】
ピンホール22の径を1mm,5mm,8mmとした場合の遠視野像(FFP)を図2に示す。また、図3は、ピンホール22の径に対する、遠視野像(FFP)における光強度のピーク値の1/e2の強度となる遠視野像(FFP)の全幅(単位は度)である。ピンホール22の径が大きいほど遠視野像(FFP)の幅が広いことが分かる。
【0025】
光硬化性樹脂液50として、東亞合成製アクリルモノマーM−210を100部とチバ・スペシャルティケミカルズ製ラジカル系光重合開始剤Irgacure819を0.5部を配合したものを用意した。当該M−210はEO変成ビスフェノールAジアクリレートであり、硬化前屈折率が1.538、硬化後屈折率が1.561である。これを容器60に注入し、図4に示すように、図1の光ファイバ41の出射端41bを光硬化性樹脂液50に接触させた。適当な治具を用い、光ファイバ41は曲げずに直線状で使用した。こうして、レーザ1から波長457nmのレーザ光(硬化光)をビームエキスパンダ21、ピンホール22、集光用レンズ31及び光ファイバ41を介して光硬化性樹脂液50に照射すると、自己形成光導波路51が形成された。自己形成光導波路51は軸状であるが、アップテーパとダウンテーパを繰り返すものであった。ピンホール22の径を1mm,5mm,8mmと変えて形成した自己形成光導波路51の、光ファイバ41の出射端41bから1mmの位置のテーパ角を写真により計測した。なお、光硬化性樹脂液50への照射の光強度は、ピンホール径に関わらず一定の3mWとなるようにレーザの出力を調節した。
【0026】
テーパの結果を図5に示す。自己形成光導波路51のテーパ角度が正の値は、硬化光の照射方向に対して導波路径が太くなっていく「アップテーパ」を示す。一方、負の値は、硬化光の照射方向に対して導波路径が細くなっていく「ダウンテーパ」の状態を示している。図5の結果より、自己形成光導波路51の、光ファイバ41の出射端41b(自己形成光導波路51の成長開始点)から1mmの位置において、ピンホール22の径が8mmではアップテーパ、5mmではテーパ0(径の変化しない、円柱状)、1mmではダウンテーパとなった。即ち、ピンホール22の径を調整することで、ダウンテーパからアップテーパまで、自己形成光導波路51のテーパ角度を制御できることが分かった。
【0027】
以上の結果より、光ファイバ41の出射端における出射モード分布(光硬化性樹脂液への入射モード分布)を制御すると、形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できることが分かる。これは、モード分布幅が広いほど高次モード成分が多く、導波路形状が広がる方向に硬化しやすくなるためである。
これは請求項1及び2に係る発明の具体的な実施例にあたる。
【0028】
(実施例1の変形例)
光ファイバにグレーデッドインデックス(GI)型を用いる場合、その屈折率分布においてレンズと同等の効果を有するため、当該GI型の光ファイバの入射端面に入射するビーム径を変化させると、集光用レンズ31を用いなくとも同様の結果が得られる。
これは請求項1及び3に係る発明の具体的な実施例にあたる。
【0029】
以下、順に他の実施例を示す。なお、使用したレーザ1、光硬化性樹脂液50は同一のものを使用し、光硬化性樹脂液50への照射光強度は3mWで一定とした。また、実施例7以外は実施例1で用いた光ファイバ41を使用した。集光用レンズとしては、開口数及び焦点距離の異なる2つのレンズ31及び32のいずれかを用いた。
【実施例2】
【0030】
図6に示すように、レーザ1から出た光をハーフミラー25で2系統に分け、片側を光軸に沿って集光用レンズ32の中心付近、もう一方をミラー26と光路遮断機27を介して集光用レンズ32の中心から20mm離れた位置に入射させる。こうして集光用レンズ32の中心付近から低次モード成分が、集光用レンズ32の周縁部付近から高次モード成分が光ファイバ41に入射するようにした。この時、高次モード成分側は光路遮断器27により、高次モード成分を通過させた場合と遮断した場合についてそれぞれ自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。尚、集光用レンズ32は開口数が0.29、焦点距離が81mmのものを用いた。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図7に示す。
【0031】
高次モードを遮断して出力3mWとした場合は、テーパ角は−4.2度とダウンテーパであった。一方高次モードを合わせて出力3mWとした場合は、テーパ角は0.9度とアップテーパであった。
これは請求項1及び4に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【0032】
(実施例2の変形例)
光ファイバにGI型を用いる場合、その屈折率分布においてレンズと同等の効果を有するため、GI型光ファイバの入射端面に、ビーム径がコア径よりも細い2系統の光を上記と同様に入射させることで同様の結果が得られる。
これは請求項1及び5に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例3】
【0033】
図8に示すように、レーザ1から出射した径7mmの硬化光を集光用レンズ31(開口数0.65、焦点距離5.8mm)に導き、焦点の位置(位置0mm)と、光軸上そこから5mm離れた位置とに光ファイバ41の入射端41aを配置させた。それぞれの場合で自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図9に示す。
【0034】
入射端41aを集光用レンズ31の焦点に置いた場合はテーパ角は13.0度とアップテーパであった。入射端41aを集光用レンズ31の焦点から5mm遠ざけた場合はテーパ角は6.6度とアップテーパであったがその大きさが小さくなった。集光用レンズ31として径の大きいものを用い、入射端41aを集光用レンズ31の焦点から更に遠ざければ、自己形成光導波路51のテーパ角は0乃至負に制御できる。
これは請求項1及び6に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例4】
【0035】
図10に示すように、レーザ1から出射した径7mmの硬化光の光軸に対して、光ファイバ41が角度θを成すように配置させた。入射端41aは集光用レンズ32(開口数が0.29、焦点距離81mm)の焦点に配置させた。θを0度又は30度として、それぞれ自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図11に示す。
【0036】
レーザ1及び集光用レンズ32の光軸と、光ファイバ41の光軸が一致する場合(θ=0)は、テーパ角は−4.2度とダウンテーパであった。一方、レーザ1及び集光用レンズ32の光軸と、光ファイバ41の光軸が30度の角度を成した場合はテーパ角は3.5度とアップテーパであった。
これは請求項1及び7に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例5】
【0037】
本実施例は実施例2の変形にあたる。図12に示すように、集光用レンズ32の光軸に一致するよう光ファイバ41を配置させ、入射端41aは集光用レンズ32の焦点とした。一方、レーザ1からの径7mmの硬化光を、集光用レンズ32の光軸に平行のまま平行移動できるようにする。即ち、集光用レンズ32の光軸から、距離rだけ、径7mmの硬化光の光軸を平行にずらす。距離rを0mmと20mmとしたそれぞれの場合で自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図13に示す。
【0038】
集光用レンズ32の光軸に沿って径7mmの硬化光を導入した場合(r=0mm)、テーパ角は−4.2度とダウンテーパであった。一方、集光用レンズ32の光軸から20mm離して、当該光軸に平行に径7mmの硬化光を導入した場合(r=20mm)、テーパ角は4.9度とアップテーパであった。
これは請求項1及び8に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例6】
【0039】
図14に示すように、光ファイバ41に半径Rが100mmで180度の曲げを与えた場合と与えない場合のそれぞれについて自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図15に示す。
【0040】
光ファイバ41に曲げを与えない場合(R=∞)は、テーパ角は−4.2度とダウンテーパであった。一方、光ファイバ41に半径100mmで180度の曲げを与えた場合は、テーパ角は−3.9度とダウンテーパであった。光ファイバ41への入射モード分布を広げ、光ファイバの曲げ量を変化させれば自己形成光導波路51のテーパ角は0乃至正に制御できる。
これは請求項1及び9に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例7】
【0041】
図16に示すように、長さ0.5mの光ファイバ42(三菱レイヨン、エスカミウ、NA=0.25、疑似GIタイプ)中央部のジャケットを長さ約10mm剥がし、アセトンを用いてクラッドを除去し、コアが剥き出しとなるようにした。この部分に屈折率1.50のマッチングオイル45を塗布する場合としない場合で自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ42の出射端42bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ42の出射端42bのFFPを図17に示す。マッチングオイルを塗布しない場合は、当該むき出しとなったコア外部は空気であり、その屈折率は約1である。
【0042】
マッチングオイル45の無い、コア42cがむき出しの場合はテーパ角は5.5度とアップテーパであった。マッチングオイル45をむき出しのコア42cに塗布した場合はテーパ角は2.7度とアップテーパであったがその角度が小さくなった。マッチングオイルとして屈折率の高いものを用いれば、自己形成光導波路51のテーパ角は0乃至負に制御できる。
これは請求項1及び10に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【0043】
(其の他の変形例)
図18に示すように、集光用レンズ31又は32の前にマスク23を配置して、マスク23のパターンによって入射モード分布を変化させる手法などによっても自己形成光導波路51のテーパ角を制御可能である。
【実施例8】
【0044】
図19に示すように、図3で使用した実験系のピンホール22を穴の直径が1mmから12mmまで変えられる虹彩絞り22’に置き換え、作製中の自己形成光導波路51をCCDカメラ70(KEYENCE,CV−070)で撮影できるようにした。撮影したカメラ画像は画像処理装置71(KEYENCE,CV−750)に入力し、リアルタイムで画像処理を行うことで、自己形成光導波路51のテーパ角を計測できる。ここで、例として虹彩絞り径を7mmの状態で自己形成光導波路51の作製を開始すると、図5の結果に従う形でテーパ角約2.5度が画像処理装置71により計測される。そこで、虹彩絞り22’の径を5mm以下にすると、テーパ角を減少させることが可能である。また、逆に虹彩絞り22’の径を小さい状態で導波路作製を開始し、途中で大きい状態に変化させるとテーパ角を増加させることも可能である。なお、虹彩絞り22’を用いた方法以外に、上記の各実施例における出射モード分布を変化させる方法を用いて同様な制御が可能である。また、画像処理装置71の出力結果により自動で出射モード分布を変化させるように各機器・部品の動作を制御することも可能である。さらにこの画像処理装置71の画像処理として2値化を用いているが、画像処理の方法としてはこの限りではない。
これは請求項11及び12に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51の所望の位置におけるテーパ角を増減できる。
【0045】
上記各実施例においては、1種類の光硬化性樹脂液を用いて自己形成光導波路を形成したが、本願発明の適用はこれに限定されない。本願出願人らによる、例えば特開2002−169038号公報、或いは特開2004−149579号公報に記載されたような、屈折率が異なり、重合機構もラジカル重合とカチオン重合との異なる2種類の光硬化性樹脂の混合溶液を用いる場合も、上記本願発明は好適に適用できる。これにより、径の一定性が向上したコアを有する自己形成光導波路や、所望の位置において所望のテーパを有するコアを有する自己形成光導波路が形成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1における遠視野像(FFP)測定の構成図。
【図2】実施例1における、ピンホール径を変化させた場合のFFP図。
【図3】実施例1における、ピンホール径を変化させた場合のFFPの幅のグラフ図。
【図4】実施例1における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図5】実施例1における、ピンホール径を変化させた場合のテーパ角のグラフ図。
【図6】実施例2における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図7】実施例2における、高次モード成分の有無によるFFP図。
【図8】実施例3における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図9】実施例3における、入射端41aの焦点からの距離によるFFP図。
【図10】実施例4における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図11】実施例4における、レーザ1の光軸と光ファイバ41の光軸の成す角θによるFFP図。
【図12】実施例5における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図13】実施例5における、レーザ1の光軸と集光用レンズ32の光軸の距離rによるFFP図。
【図14】実施例6における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図15】実施例6における、光ファイバ41の曲げ部の半径RによるFFP図。
【図16】実施例7における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図17】実施例7における、むき出しのコア42cにマッチングオイル45を塗布したか否かによるFFP図。
【図18】変形例における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図19】実施例8における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【符号の説明】
【0047】
1:レーザ
21:ビームエキスパンダ
22:ピンホール
22’:虹彩絞り
23:マスク
31及び32:各々開口数及び焦点距離の異なる集光用レンズ
41:ステップインデックス型光ファイバ
42:疑似グレーデッドインデックス型光ファイバ
41a(42a)、41b(42b):光ファイバ41(42)の入射端及び出射端
50:光硬化性樹脂液
51:硬化物である自己形成光導波路
60:容器
70:CCDカメラ
71:画像処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂液に硬化光をビーム状に導入して、光硬化性樹脂液を自己集光的に硬化させ、軸状の自己形成光導波路を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者らは、自己形成光導波路を製造する方法を種々提案している。自己形成光導波路としては、例えば光ファイバ端からアップテーパ(光ファイバ端から徐々に自己形成光導波路のコア径が増大するもの)部分を介して、実質的に円筒状の自己形成光導波路のコアが形成されるものも学会等において報告している。
【0003】
しかし光硬化性樹脂の選択や、光ファイバに入射させる際の入射モードによっては、アップテーパとダウンテーパを繰り返す、径が一定でないコアが形成されてしまう場合もあった。
【0004】
また、コアの所望の位置におけるコアのテーパを所望に制御できない点においては、下記特許文献以降、新たな技術が報告されていない。
【特許文献1】特開平4−165311号公報
【特許文献2】特開2003−4990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、光硬化性樹脂にやや広がりを持ったビーム状の硬化光を照射して形成される光導波路の形状に、アップテーパ部分、ダウンテーパ部分を繰り返す、言わばコア径の波打ちが生じることが記載されている。テーパ部を含まないようにするには、均一径の極めて短い部分だけを切り出す必要が生じる。
特許文献2においては、光ファイバから光樹脂中に照射して散乱した光の回帰光を利用して導波路形状を調節するものが記載されている。原理的にはテーパ導波路の作製も可能であるが、樹脂収容部の反射率を導波路の長さ方向に沿って異ならせる必要があるなど、実用的とは言い難い手法である。
【0006】
本発明者らは上記課題に鑑み、自己形成光導波路を製造する際に、テーパをアップテーパにもダウンテーパにも調整可能であることを見出し、本願発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、光硬化性樹脂液に、硬化光導入用光導波路から硬化光を照射して光硬化性樹脂液を光軸方向に連続的に重合させることで光導波路を形成する自己形成光導波路の製造方法において、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を変化させ、形成される自己形成光導波路のテーパ角を正から負までの範囲で制御することを特徴とする。ここで出射モードとは、実質的には遠視野像における、光軸と成す角度方向に対する光強度分布を言うものとする。また、テーパ角とは、自己形成光導波路のコア光軸とコア側面の成す角を言うものとする。テーパ角が正とは、硬化光導入用光導波路端から遠ざかるに従ってコア径が太くなる場合であり、逆にテーパ角が負とは、硬化光導入用光導波路端から遠ざかるに従ってコア径が細くなる場合である。
【0008】
請求項2に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、当該集光用レンズに導入する硬化光のビーム径を絞り機構により集光用レンズの径よりも細い範囲で調整することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路がグレーデッドインデックス型の光ファイバであり、当該光ファイバのコアに導入する、硬化光のビーム径を絞り機構によりコアの径よりも細い範囲で調整することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、当該集光用レンズに導入する、集光用レンズの径よりも細い径の硬化光を複数系統用意し、各々集光用レンズの光軸から異なる距離の位置に入射させ、それら複数系統の硬化光の集光用レンズへの入射位置及び/又は入射光強度を調整することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路がグレーデッドインデックス型の光ファイバであり、当該光ファイバのコアに導入する、当該コア径よりも細い径の硬化光を複数系統用意し、各々光ファイバのコアの中心軸から異なる距離の位置に入射させ、それら複数系統の硬化光の光ファイバのコアへの入射位置及び/又は入射光強度を調整することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、硬化光導入用光導波路の入射端を、集光用レンズの焦点及び集光用レンズの光軸上であって焦点とは異なる位置において調整することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、硬化光導入用光導波路の光軸と、集光用レンズの光軸との成す角度を調整することを特徴とする。
請求項8に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して硬化光を導入する際、硬化光が集光用レンズを通過する位置の光軸からの距離を調整することを特徴とする。
【0013】
請求項9に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路は光ファイバであって、当該光ファイバの曲げ半径を調整することを特徴とする。
請求項10に係る発明は、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、硬化光導入用光導波路は光ファイバであって、当該光ファイバの端面以外の部分において、クラッドを除き、クラッドとは異なる屈折率の物質をコアに接触させることを特徴とする。
【0014】
請求項11に係る発明は、撮像装置を用いて自己形成光導波路の形成中に硬化部分のテーパ角を計測し、そのテーパ角により、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整して、形成される自己形成光導波路の所望の位置におけるテーパ角の増減を制御することを特徴とする。自己形成光導波路の所望の位置におけるテーパ角の増減を制御するとは、コア成長端付近の形成済みコアのテーパ角を観察することで、そのコア成長端以降のコアの径を制御してテーパ角を増減させるものである。負のテーパ角の絶対値が大きくなる場合はテーパ角が減ると言うものとする。
請求項12に係る発明は、テーパ角を減らしたい場合には、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布の高次モード成分の割合を減らし、テーパ角を増やしたい場合には、硬化光導入用光導波路から光硬化性樹脂液への出射モード分布の高次モード成分の割合を増やすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の自己形成光導波路は、光硬化性樹脂液中に照射された光により重合した箇所が体積減少に伴い屈折率が上昇し、照射光を当該硬化物中閉じ込め、重合部先端からの放射光により、軸上に重合物を形成して得られる光導波路である。形成される重合物の形状が照射される光のパターン(硬化光導入用光導波路からの出射モード分布)に依存する。例えば、出射モード分布の遠視野像(FFP)において、パターンの幅が広いほど、高次モード成分が多いと言える。即ち樹脂中に照射される光に光軸に対して成す角度の絶対値の大きい成分が多くなり、導波路径が導波路の長さ方向に対して広がっていく(アップテーパ、テーパ角を正とする)。逆に、パターンの幅が狭いほど高次モード成分が少なく、テーパ角が減少する(ダウンテーパ、テーパ角を負とする)。以上が本発明者らの実験により見出された。
【0016】
一方、例えば光ファイバのような光導波路を硬化光を導入するために用いると、長さが短い程、光ファイバの入射端におけるモード分布が光ファイバの出射端におけるモード分布へ影響する。そこで、光ファイバの出射端を光硬化性樹脂液中に挿入した上で、光ファイバの入射端におけるモード分布を変化させれば、光硬化性樹脂液及びその硬化物である成長中のコアへ照射されるモード分布が変化し、自己形成光導波路のテーパ形状に変化を与えることができる。即ち、硬化光導入用光導波路への入射モード分布を変化させて、自己形成光導波路のテーパ角を制御することが可能となる。以下に示す通り、種々の方法で、自己形成光導波路のテーパ角を正から負まで制御できることが明らかになった。
【0017】
特許文献1等の自己形成光導波路に見られるような波打ち現象(光軸方向の位置に対して導波路の径が異なる)が存在するものは、伝送損失が大きくなる。更にフィルタを介する場合には、当該フィルタへの接触箇所が波打ちの節か腹によってフィルタの透過特性が異なり、安定した性能を得ることができなかった。本発明により任意の箇所でテーパ角の制御が可能になり、波打ちを解消して均一の径を持った導波路が作製できるため低光損失化が可能になる。本発明は特に、同一の重合機構のモノマー/オリゴマーから成る光硬化性樹脂液を用いる場合、及び、複数の重合機構のモノマー/オリゴマーから成る光硬化性樹脂混合液を用いる場合に有効である。
【0018】
また、自己形成光導波路作製の際に発光素子を実装し、当該発光素子に向けて自己形成光導波路を作製する場合、自己形成光導波路端面の位置精度が十分でないと結合損失が生じるが、発光素子に向かってアップテーパの自己形成光導波路(素子側のコア径が太くなる)を作製すると、コア端面の位置精度が緩和される。さらに、受光素子と自己形成光導波路の接続を考えた場合、高速な信号を受光できる素子ほど受光面積が小さいため、コア径よりも小さい受光面積を持った受光素子に対して、ダウンテーパの自己形成光導波路(素子側のコア径が細くなる)を作製すると、受光面に集光して結合損失を低減するといった効果もある。従って、テーパを有する自己形成光導波路を意図的に作製することにより、高い位置合わせ精度やレンズなどの部品が不要になり、光LAN等に用いられる光導波路デバイスの低コスト化や、高性能化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に用いる光硬化性樹脂液は、入手可能な任意のものを適用できる。硬化機構も、ラジカル重合、カチオン重合其の他任意である。硬化光は一般的にはレーザ光が好ましい。レーザの波長と強度で、光硬化性樹脂液の硬化速度を調整すると良い。尚、光硬化開始剤(光重合開始剤)は光硬化性樹脂液とレーザの波長に応じ、入手可能な任意のものを適用できる。これらについては、本願出願人が共願人である例えば特開2004−149579に次のものが列挙されている。
【0020】
構造単位中にフェニル基等の芳香族環を一つ以上含んだものが高屈折率、脂肪族系のみからなる場合は低屈折率となる。屈折率を下げるために構造単位中の水素の一部をフッ素に置換したものであっても良い。
脂肪族系としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコール。
芳香族系としてはビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、ビスフェノールF、ノボラック、o-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、p-アルキルフェノールノボラック等の各種フェノール化合物等。
これらに、反応基として次の官能基等を導入したもの。
〔ラジカル重合性材料〕
ラジカル重合可能なアクリロイル基等のエチレン性不飽和反応性基を構造単位中に1個以上、好ましくは2個以上有する光重合性モノマー及び/又はオリゴマー。エチレン性不飽和反応性基を有するものの例としては、(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、マレイン酸エステル等の共役酸エステルを挙げることができる。
〔カチオン重合性材料〕
カチオン重合可能なオキシラン環(エポキシド)、オキセタン環等の反応性エーテル構造を構造単位中に1個以上、好ましくは2個以上有する、光重合性のモノマー及び/又はオリゴマー。オキシラン環(エポキシド)としては、オキシラニル基の他、3,4-エポキシシクロヘキシル基なども含まれる。またオキセタン環とは、4員環構造のエーテルである。
【0021】
〔ラジカル重合開始剤〕
ラジカル重合性モノマー及び/又はオリゴマーから成るラジカル重合性材料の重合反応を光によって活性化する化合物である。具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン類、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン及びN,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2-メチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン及び2-アミルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン及び2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、並びに2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。尚、ラジカル重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用しても良く、また、これらに限定されることはない。
〔カチオン重合開始剤〕
カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマーから成るカチオン重合性材料の重合反応を光によって活性化する化合物である。具体例としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、ホスホニウム塩、チオピリニウム塩が挙げられるが、熱的に比較的安定であるジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p-アニシル)ヨードニウム、ビス(p-t-ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウムなどの芳香族ヨードニウム塩、ジフェニルスルホニウム、ジトリルスルホニウム、フェニル(p-アニシル)スルホニウム、ビス(p-t-ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(p-クロロフェニル)スルホニウムなどの芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩光重合開始剤が好ましい。芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩光重合開始剤を使用する場合、アニオンとしてはBF4-、AsF6-、SbF6-、PF6-、B(C6F5)4-などが挙げられる。尚、カチオン重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用しても良く、また、これらに限定されることはない。
【0022】
硬化光導入用光導波路としては光ファイバを好適に用いることができる。光ファイバ入射端への光学系は任意に設計できるが、請求項2、4、6乃至8のような具体的な発明を適用すると容易である。グレーデッドインデックス型の光ファイバを用いて集光用レンズを用いないこともできる。尚、以下の実施例に示すように、凹凸レンズを組み合わせたビームエキスパンダによって、レーザ光等の硬化光のビーム径を調整することも可能である。
【実施例1】
【0023】
初めに、光ファイバからの出射モード分布(導波路への入射モード分布)が変化する様子を示す一例として、ピンホールを用いる方法を以下に示す。
図1.Aに示すように、波長457nmのDPSS(diode pumped solid state)レーザ1から出射する光のビーム径(7mm)を、後段の集光用レンズ31(開口数0.65、焦点距離5.8mm)の有効径に対して十分な大きさとなるように、ビームエキスパンダ21を用いて拡大する。ビームエキスパンダ21と集光用レンズ31の間にピンホール22を設置した。様々な径を有するピンホール22を用意して、ピンホール径を変化させることで、集光用レンズ31を透過する光の開口数(NA)が変わる。集光用レンズ31の焦点に長さ0.5mのプラスチック光ファイバ41の入射端41aを配置させる。プラスチック光ファイバ41としては、ステップインデックス型の三菱レイヨン製エスカプレミア(コア径980μm、コア屈折率1.49、開口数0.5)を用いた。図1.Bは、ピンホール22の径が小さい場合(径を絞った時)の様子を示す。こうして、プラスチック光ファイバ41の出射端41bにFFP計測装置を配置し、出射端41bからの出射モード分布の遠視野像(FFP)を計測する。
【0024】
ピンホール22の径を1mm,5mm,8mmとした場合の遠視野像(FFP)を図2に示す。また、図3は、ピンホール22の径に対する、遠視野像(FFP)における光強度のピーク値の1/e2の強度となる遠視野像(FFP)の全幅(単位は度)である。ピンホール22の径が大きいほど遠視野像(FFP)の幅が広いことが分かる。
【0025】
光硬化性樹脂液50として、東亞合成製アクリルモノマーM−210を100部とチバ・スペシャルティケミカルズ製ラジカル系光重合開始剤Irgacure819を0.5部を配合したものを用意した。当該M−210はEO変成ビスフェノールAジアクリレートであり、硬化前屈折率が1.538、硬化後屈折率が1.561である。これを容器60に注入し、図4に示すように、図1の光ファイバ41の出射端41bを光硬化性樹脂液50に接触させた。適当な治具を用い、光ファイバ41は曲げずに直線状で使用した。こうして、レーザ1から波長457nmのレーザ光(硬化光)をビームエキスパンダ21、ピンホール22、集光用レンズ31及び光ファイバ41を介して光硬化性樹脂液50に照射すると、自己形成光導波路51が形成された。自己形成光導波路51は軸状であるが、アップテーパとダウンテーパを繰り返すものであった。ピンホール22の径を1mm,5mm,8mmと変えて形成した自己形成光導波路51の、光ファイバ41の出射端41bから1mmの位置のテーパ角を写真により計測した。なお、光硬化性樹脂液50への照射の光強度は、ピンホール径に関わらず一定の3mWとなるようにレーザの出力を調節した。
【0026】
テーパの結果を図5に示す。自己形成光導波路51のテーパ角度が正の値は、硬化光の照射方向に対して導波路径が太くなっていく「アップテーパ」を示す。一方、負の値は、硬化光の照射方向に対して導波路径が細くなっていく「ダウンテーパ」の状態を示している。図5の結果より、自己形成光導波路51の、光ファイバ41の出射端41b(自己形成光導波路51の成長開始点)から1mmの位置において、ピンホール22の径が8mmではアップテーパ、5mmではテーパ0(径の変化しない、円柱状)、1mmではダウンテーパとなった。即ち、ピンホール22の径を調整することで、ダウンテーパからアップテーパまで、自己形成光導波路51のテーパ角度を制御できることが分かった。
【0027】
以上の結果より、光ファイバ41の出射端における出射モード分布(光硬化性樹脂液への入射モード分布)を制御すると、形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できることが分かる。これは、モード分布幅が広いほど高次モード成分が多く、導波路形状が広がる方向に硬化しやすくなるためである。
これは請求項1及び2に係る発明の具体的な実施例にあたる。
【0028】
(実施例1の変形例)
光ファイバにグレーデッドインデックス(GI)型を用いる場合、その屈折率分布においてレンズと同等の効果を有するため、当該GI型の光ファイバの入射端面に入射するビーム径を変化させると、集光用レンズ31を用いなくとも同様の結果が得られる。
これは請求項1及び3に係る発明の具体的な実施例にあたる。
【0029】
以下、順に他の実施例を示す。なお、使用したレーザ1、光硬化性樹脂液50は同一のものを使用し、光硬化性樹脂液50への照射光強度は3mWで一定とした。また、実施例7以外は実施例1で用いた光ファイバ41を使用した。集光用レンズとしては、開口数及び焦点距離の異なる2つのレンズ31及び32のいずれかを用いた。
【実施例2】
【0030】
図6に示すように、レーザ1から出た光をハーフミラー25で2系統に分け、片側を光軸に沿って集光用レンズ32の中心付近、もう一方をミラー26と光路遮断機27を介して集光用レンズ32の中心から20mm離れた位置に入射させる。こうして集光用レンズ32の中心付近から低次モード成分が、集光用レンズ32の周縁部付近から高次モード成分が光ファイバ41に入射するようにした。この時、高次モード成分側は光路遮断器27により、高次モード成分を通過させた場合と遮断した場合についてそれぞれ自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。尚、集光用レンズ32は開口数が0.29、焦点距離が81mmのものを用いた。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図7に示す。
【0031】
高次モードを遮断して出力3mWとした場合は、テーパ角は−4.2度とダウンテーパであった。一方高次モードを合わせて出力3mWとした場合は、テーパ角は0.9度とアップテーパであった。
これは請求項1及び4に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【0032】
(実施例2の変形例)
光ファイバにGI型を用いる場合、その屈折率分布においてレンズと同等の効果を有するため、GI型光ファイバの入射端面に、ビーム径がコア径よりも細い2系統の光を上記と同様に入射させることで同様の結果が得られる。
これは請求項1及び5に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例3】
【0033】
図8に示すように、レーザ1から出射した径7mmの硬化光を集光用レンズ31(開口数0.65、焦点距離5.8mm)に導き、焦点の位置(位置0mm)と、光軸上そこから5mm離れた位置とに光ファイバ41の入射端41aを配置させた。それぞれの場合で自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図9に示す。
【0034】
入射端41aを集光用レンズ31の焦点に置いた場合はテーパ角は13.0度とアップテーパであった。入射端41aを集光用レンズ31の焦点から5mm遠ざけた場合はテーパ角は6.6度とアップテーパであったがその大きさが小さくなった。集光用レンズ31として径の大きいものを用い、入射端41aを集光用レンズ31の焦点から更に遠ざければ、自己形成光導波路51のテーパ角は0乃至負に制御できる。
これは請求項1及び6に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例4】
【0035】
図10に示すように、レーザ1から出射した径7mmの硬化光の光軸に対して、光ファイバ41が角度θを成すように配置させた。入射端41aは集光用レンズ32(開口数が0.29、焦点距離81mm)の焦点に配置させた。θを0度又は30度として、それぞれ自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図11に示す。
【0036】
レーザ1及び集光用レンズ32の光軸と、光ファイバ41の光軸が一致する場合(θ=0)は、テーパ角は−4.2度とダウンテーパであった。一方、レーザ1及び集光用レンズ32の光軸と、光ファイバ41の光軸が30度の角度を成した場合はテーパ角は3.5度とアップテーパであった。
これは請求項1及び7に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例5】
【0037】
本実施例は実施例2の変形にあたる。図12に示すように、集光用レンズ32の光軸に一致するよう光ファイバ41を配置させ、入射端41aは集光用レンズ32の焦点とした。一方、レーザ1からの径7mmの硬化光を、集光用レンズ32の光軸に平行のまま平行移動できるようにする。即ち、集光用レンズ32の光軸から、距離rだけ、径7mmの硬化光の光軸を平行にずらす。距離rを0mmと20mmとしたそれぞれの場合で自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図13に示す。
【0038】
集光用レンズ32の光軸に沿って径7mmの硬化光を導入した場合(r=0mm)、テーパ角は−4.2度とダウンテーパであった。一方、集光用レンズ32の光軸から20mm離して、当該光軸に平行に径7mmの硬化光を導入した場合(r=20mm)、テーパ角は4.9度とアップテーパであった。
これは請求項1及び8に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例6】
【0039】
図14に示すように、光ファイバ41に半径Rが100mmで180度の曲げを与えた場合と与えない場合のそれぞれについて自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ41の出射端41bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ41の出射端41bのFFPを図15に示す。
【0040】
光ファイバ41に曲げを与えない場合(R=∞)は、テーパ角は−4.2度とダウンテーパであった。一方、光ファイバ41に半径100mmで180度の曲げを与えた場合は、テーパ角は−3.9度とダウンテーパであった。光ファイバ41への入射モード分布を広げ、光ファイバの曲げ量を変化させれば自己形成光導波路51のテーパ角は0乃至正に制御できる。
これは請求項1及び9に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【実施例7】
【0041】
図16に示すように、長さ0.5mの光ファイバ42(三菱レイヨン、エスカミウ、NA=0.25、疑似GIタイプ)中央部のジャケットを長さ約10mm剥がし、アセトンを用いてクラッドを除去し、コアが剥き出しとなるようにした。この部分に屈折率1.50のマッチングオイル45を塗布する場合としない場合で自己形成光導波路51を作製し、光ファイバ42の出射端42bから1mmにおける自己形成光導波路51のテーパ角を計測した。また、光硬化性樹脂液50に照射しない状態での光ファイバ42の出射端42bのFFPを図17に示す。マッチングオイルを塗布しない場合は、当該むき出しとなったコア外部は空気であり、その屈折率は約1である。
【0042】
マッチングオイル45の無い、コア42cがむき出しの場合はテーパ角は5.5度とアップテーパであった。マッチングオイル45をむき出しのコア42cに塗布した場合はテーパ角は2.7度とアップテーパであったがその角度が小さくなった。マッチングオイルとして屈折率の高いものを用いれば、自己形成光導波路51のテーパ角は0乃至負に制御できる。
これは請求項1及び10に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51のテーパ角を正から負まで制御できる。
【0043】
(其の他の変形例)
図18に示すように、集光用レンズ31又は32の前にマスク23を配置して、マスク23のパターンによって入射モード分布を変化させる手法などによっても自己形成光導波路51のテーパ角を制御可能である。
【実施例8】
【0044】
図19に示すように、図3で使用した実験系のピンホール22を穴の直径が1mmから12mmまで変えられる虹彩絞り22’に置き換え、作製中の自己形成光導波路51をCCDカメラ70(KEYENCE,CV−070)で撮影できるようにした。撮影したカメラ画像は画像処理装置71(KEYENCE,CV−750)に入力し、リアルタイムで画像処理を行うことで、自己形成光導波路51のテーパ角を計測できる。ここで、例として虹彩絞り径を7mmの状態で自己形成光導波路51の作製を開始すると、図5の結果に従う形でテーパ角約2.5度が画像処理装置71により計測される。そこで、虹彩絞り22’の径を5mm以下にすると、テーパ角を減少させることが可能である。また、逆に虹彩絞り22’の径を小さい状態で導波路作製を開始し、途中で大きい状態に変化させるとテーパ角を増加させることも可能である。なお、虹彩絞り22’を用いた方法以外に、上記の各実施例における出射モード分布を変化させる方法を用いて同様な制御が可能である。また、画像処理装置71の出力結果により自動で出射モード分布を変化させるように各機器・部品の動作を制御することも可能である。さらにこの画像処理装置71の画像処理として2値化を用いているが、画像処理の方法としてはこの限りではない。
これは請求項11及び12に係る発明の具体的な実施例にあたる。形成される自己形成光導波路51の所望の位置におけるテーパ角を増減できる。
【0045】
上記各実施例においては、1種類の光硬化性樹脂液を用いて自己形成光導波路を形成したが、本願発明の適用はこれに限定されない。本願出願人らによる、例えば特開2002−169038号公報、或いは特開2004−149579号公報に記載されたような、屈折率が異なり、重合機構もラジカル重合とカチオン重合との異なる2種類の光硬化性樹脂の混合溶液を用いる場合も、上記本願発明は好適に適用できる。これにより、径の一定性が向上したコアを有する自己形成光導波路や、所望の位置において所望のテーパを有するコアを有する自己形成光導波路が形成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1における遠視野像(FFP)測定の構成図。
【図2】実施例1における、ピンホール径を変化させた場合のFFP図。
【図3】実施例1における、ピンホール径を変化させた場合のFFPの幅のグラフ図。
【図4】実施例1における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図5】実施例1における、ピンホール径を変化させた場合のテーパ角のグラフ図。
【図6】実施例2における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図7】実施例2における、高次モード成分の有無によるFFP図。
【図8】実施例3における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図9】実施例3における、入射端41aの焦点からの距離によるFFP図。
【図10】実施例4における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図11】実施例4における、レーザ1の光軸と光ファイバ41の光軸の成す角θによるFFP図。
【図12】実施例5における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図13】実施例5における、レーザ1の光軸と集光用レンズ32の光軸の距離rによるFFP図。
【図14】実施例6における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図15】実施例6における、光ファイバ41の曲げ部の半径RによるFFP図。
【図16】実施例7における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図17】実施例7における、むき出しのコア42cにマッチングオイル45を塗布したか否かによるFFP図。
【図18】変形例における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【図19】実施例8における、自己形成光導波路51の製造方法の構成図。
【符号の説明】
【0047】
1:レーザ
21:ビームエキスパンダ
22:ピンホール
22’:虹彩絞り
23:マスク
31及び32:各々開口数及び焦点距離の異なる集光用レンズ
41:ステップインデックス型光ファイバ
42:疑似グレーデッドインデックス型光ファイバ
41a(42a)、41b(42b):光ファイバ41(42)の入射端及び出射端
50:光硬化性樹脂液
51:硬化物である自己形成光導波路
60:容器
70:CCDカメラ
71:画像処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性樹脂液に、硬化光導入用光導波路から硬化光を照射して、前記光硬化性樹脂液を光軸方向に軸状に硬化させることで光導波路を形成する自己形成光導波路の製造方法において、
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整可能として、形成される自己形成光導波路のテーパ角を正から負までの範囲で制御することを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項2】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
当該集光用レンズに導入する硬化光のビーム径を絞り機構により前記集光用レンズの径よりも細い範囲で調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項3】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路がグレーデッドインデックス型の光ファイバであり、
当該光ファイバのコアに導入する、硬化光のビーム径を絞り機構により前記コアの径よりも細い範囲で調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項4】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
当該集光用レンズに導入する、前記集光用レンズの径よりも細い径の硬化光を複数系統用意し、各々前記集光用レンズの光軸から異なる距離の位置に入射させ、それら複数系統の硬化光の前記集光用レンズへの入射位置及び/又は入射光強度を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項5】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路がグレーデッドインデックス型の光ファイバであり、
当該光ファイバのコアに導入する、当該コア径よりも細い径の硬化光を複数系統用意し、各々前記光ファイバのコアの中心軸から異なる距離の位置に入射させ、それら複数系統の硬化光の前記光ファイバのコアへの入射位置及び/又は入射光強度を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項6】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
前記硬化光導入用光導波路の前記入射端を、前記集光用レンズの焦点及び前記集光用レンズの光軸上であって前記焦点とは異なる位置において調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項7】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
前記硬化光導入用光導波路の光軸と、前記集光用レンズの光軸との成す角度を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項8】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
前記硬化光が前記集光用レンズを通過する位置の光軸からの距離を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項9】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路は光ファイバであって、当該光ファイバの曲げ半径を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項10】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路は光ファイバであって、当該光ファイバの端面以外の部分において、クラッドを除き、クラッドとは異なる屈折率の物質をコアに接触させることを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項11】
撮像装置を用いて前記自己形成光導波路の形成中に硬化部分のテーパ角を計測し、そのテーパ角に対して、前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整して、形成される自己形成光導波路の所望の位置におけるテーパ角の増減を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項12】
前記テーパ角を減らしたい場合には、前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布の高次モード成分の割合を減らし、
前記テーパ角を増やしたい場合には、前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布の高次モード成分の割合を増やすことを特徴とする請求項11に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項1】
光硬化性樹脂液に、硬化光導入用光導波路から硬化光を照射して、前記光硬化性樹脂液を光軸方向に軸状に硬化させることで光導波路を形成する自己形成光導波路の製造方法において、
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整可能として、形成される自己形成光導波路のテーパ角を正から負までの範囲で制御することを特徴とする自己形成光導波路の製造方法。
【請求項2】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
当該集光用レンズに導入する硬化光のビーム径を絞り機構により前記集光用レンズの径よりも細い範囲で調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項3】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路がグレーデッドインデックス型の光ファイバであり、
当該光ファイバのコアに導入する、硬化光のビーム径を絞り機構により前記コアの径よりも細い範囲で調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項4】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
当該集光用レンズに導入する、前記集光用レンズの径よりも細い径の硬化光を複数系統用意し、各々前記集光用レンズの光軸から異なる距離の位置に入射させ、それら複数系統の硬化光の前記集光用レンズへの入射位置及び/又は入射光強度を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項5】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路がグレーデッドインデックス型の光ファイバであり、
当該光ファイバのコアに導入する、当該コア径よりも細い径の硬化光を複数系統用意し、各々前記光ファイバのコアの中心軸から異なる距離の位置に入射させ、それら複数系統の硬化光の前記光ファイバのコアへの入射位置及び/又は入射光強度を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項6】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
前記硬化光導入用光導波路の前記入射端を、前記集光用レンズの焦点及び前記集光用レンズの光軸上であって前記焦点とは異なる位置において調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項7】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
前記硬化光導入用光導波路の光軸と、前記集光用レンズの光軸との成す角度を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項8】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路の入射端に、集光用レンズを介して前記硬化光を導入する際、
前記硬化光が前記集光用レンズを通過する位置の光軸からの距離を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項9】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路は光ファイバであって、当該光ファイバの曲げ半径を調整することを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項10】
前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整する方法として、
前記硬化光導入用光導波路は光ファイバであって、当該光ファイバの端面以外の部分において、クラッドを除き、クラッドとは異なる屈折率の物質をコアに接触させることを特徴とする請求項1に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項11】
撮像装置を用いて前記自己形成光導波路の形成中に硬化部分のテーパ角を計測し、そのテーパ角に対して、前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布を調整して、形成される自己形成光導波路の所望の位置におけるテーパ角の増減を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【請求項12】
前記テーパ角を減らしたい場合には、前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布の高次モード成分の割合を減らし、
前記テーパ角を増やしたい場合には、前記硬化光導入用光導波路から前記光硬化性樹脂液への出射モード分布の高次モード成分の割合を増やすことを特徴とする請求項11に記載の自己形成光導波路の製造方法。
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図17】
【図1】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【図18】
【図19】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図17】
【図1】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−83447(P2008−83447A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263950(P2006−263950)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]