説明

自己整合型スペーサー多重パターニング方法

【課題】高密度レジストパターンの形成を可能にする、自己整合型スペーサー多重パターニング方法を提供する。
【解決手段】(a)パターン形成される1以上の層を含む半導体基体に;(b)第1の樹脂成分と光活性成分とを含む第1の感光性組成物の第1の層を適用し;(c)パターン化されたフォトマスクを通した活性化放射線に第1の層を露光し;(d)露光された第1の層を現像してレジストパターンを形成し;(e)レジストパターンを熱処理し;(f)当該レジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で処理し;(g)第2の樹脂成分と光酸発生剤とを含む第2の感光性組成物の第2の層を、前記レジストパターンのアルカリ性表面と接触するように適用し;(h)第2の層を活性化放射線に露光し;(i)現像して、第2の層の現像中に除去されない第2の層の部分を含むスペーサーを形成する;ことを含む自己整合型スペーサー多重パターニング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は35U.S.C.119(e)に基づいて、米国仮出願第61/269,600号(2009年6月26日出願)および第61/281,553(2009年11月19日出願)および第61/281,681号(2009年11月19日出願)の優先権の利益を主張し、これら出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は概して、電子デバイスの製造に関する。より具体的には、本発明は自己整合型スペーサーリソグラフィ技術を用いて電子デバイスを形成する方法に関する。本発明は、高密度フォトリソグラフィパターンおよびフィーチャーを形成するための半導体デバイスの製造における特定の用途を見いだす。二重またはより高次のパターニングが本発明に従って行われうる。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業においては、半導体基体上に配置された1以上の下層、例えば、金属層、半導体層、または誘電体層、並びに基体それ自体に像を転写するために、フォトレジスト物質が使用されている。半導体デバイスの集積密度を高め、ナノメートル範囲の寸法を有する構造の形成を可能にするために、高解像能を有するフォトレジストおよびフォトリソグラフィ処理ツールが開発されており、かつ開発され続けている。
【0003】
半導体デバイスにおいてナノメートルスケールのフィーチャーサイズを達成するための1つの手法は、化学増幅型フォトレジストの露光中での短波長、例えば、193nm以下の光の使用である。液浸リソグラフィは、像形成装置、例えば、KrFまたはArF光源を有するスキャナーのレンズの開口数を効果的に増大させる。これは、像形成装置の最終面と半導体ウェハの上面との間に、比較的高い屈折率の流体(すなわち、液浸流体)を使用することにより達成される。液浸流体は、空気または不活性ガス媒体を用いて起こるであろうよりも、より多量の光がレジスト層に焦点を合わせられることを可能にする。
【0004】
レイリー方程式(Rayleigh equation)によって定義される理論的な解像限界は以下に示される:
【数1】

式中、kはプロセス因子であり、λは像形成ツールの波長であり、NAは像形成レンズの開口数である。液浸流体として水を使用する場合には、最大開口数は、例えば、1.2から1.35に増大されうる。ラインアンドスペースパターンを印刷する場合の0.25のkについては、193nmの液浸スキャナは36nmハーフピッチラインアンドスペースパターンを解像することができるのみであろう。コンタクトホールまたは任意の2Dパターンを印刷するための解像度は、ダークフィールドマスクを用いた低空中像コントラストのせいで、さらに限定され、kについての理論的限界は0.35である。よって、コンタクトホールの最も小さいハーフピッチは約50nmに限定される。標準の液浸リソグラフィプロセスは、より高解像度を必要とするデバイスの製造に一般的に適していない。
【0005】
より高解像度を達成し、かつ既存の製造ツールの能力を拡大させるための努力において、様々なダブルパターニング技術が提案されてきた。このような技術の1つには、自己整合型ダブルパターニング(self−aligned double patterning;SADP)がある。このプロセスにおいて、あらかじめパターン形成されたライン上にスペーサー層が形成される。これは、続いて、エッチングされて、このラインの側壁に接した物質のみを残して、このラインアンドスペースの水平面上全てのスペーサー層物質を除去する。次いで、パターン形成された元のラインがエッチングで除去され、側壁スペーサーを残し、この側壁スペーサーが1以上の下地層のエッチングのためのマスクとして使用される。各ラインについて2つのスペーサーが存在するので、ライン密度は効果的に二倍になる。このスペーサー手法は、先に記載された1回だけのリソグラフィ露光が必要とされる技術と比べて独特である。その結果、逐次的な露光の間のオーバーレイに伴われる課題が解決されうる。
【0006】
米国特許出願公開第2009/0146322A1号(特許文献1)は、犠牲的な第1のパターンがポリシリコンを含むことができ、一方、スペーサー層が窒化ケイ素、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素を含むことができる、自己整合型スペーサーダブルパターニング方法を開示する。この文献は、このような物質が、物理蒸着、化学蒸着、電気化学堆積、分子ビームエピタキシまたは原子層堆積のような堆積プロセスによってコーティングされることをさらに開示する。しかし、これらの堆積プロセスは、エッチング工程の繰り返しを必要とし、これはコスト効果的でない場合がある。例えば、酸窒化ケイ素が側壁スペーサー物質として堆積される場合には、このプロセスはレジストトリムエッチング、非晶質炭素層へのパターン転写エッチング、クリーニング、非晶質炭素鋳型上の窒化物の堆積、窒化物頂部を開放するためのエッチング、非晶質炭素コアの灰化、酸化ケイ素へのパターン転写エッチング、および酸化ケイ素トリムエッチングのような多くの工程を伴う場合がある。よって、パターン形成のための堆積プロセスおよびスペーサー層のコーティングの使用を回避する、自己整合型スペーサー手順を使用することは、望ましいことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0146322A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
最新技術に関連する上記課題の1以上に取り組む多重パターニング方法についての、当該技術分野における継続した必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の形態に従って、自己整合型スペーサー多重パターニング(self−aligned spacer multiple patterning)方法が提供される。本方法は、(a)パターン形成される1以上の層を含む半導体基体を提供し;(b)第1の樹脂成分と第1の光活性成分とを含む第1の感光性組成物の第1の層を、パターン形成される1以上の層上に適用し;(c)パターン化されたフォトマスクを通した活性化放射線に第1の層を露光し;(d)露光された第1の層を現像してレジストパターンを形成し;(e)ハードベークプロセスにおいてレジストパターンを熱処理し;(f)ハードベークされたレジストパターンを、当該レジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で処理し;(g)第2の樹脂成分と光酸発生剤とを含む第2の感光性組成物の第2の層を、パターン形成される1以上の層上に、かつ当該レジストパターンのアルカリ性表面と接触するように適用し;(h)第2の層を活性化放射線に露光し;並びに、(i)露光された第2の層を現像して、第2の層の現像中に除去されない第2の層の部分を含むスペーサーを、パターン形成される1以上の層上に形成する;ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1のA〜Iは本発明に従った自己整合型スペーサー多重パターニング方法についての第1の典型的なプロセスを断面図で示す。
【図2】図2のA〜Jは本発明に従った自己整合型スペーサー多重パターニング方法についての第2の典型的なプロセスを断面図で示す。
【図3】図3のA〜Hは本発明に従った自己整合型スペーサー多重パターニング方法についての第3の典型的なプロセスを上面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、添付の図面を参照して説明され、この図面においては同様の参照番号は同様のフィーチャーを示す。
ここで、本発明は図1A−Iを参照して説明され、図1A−Iは本発明に従った自己整合型スペーサーダブルパターニング方法についての第1の典型的なプロセスを断面図で示す。
【0012】
図1Aは、表面上に形成された様々な層およびフィーチャーを含むことができる基体100を示す。基体は、半導体、例えばケイ素、または化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅などの物質からなることができる。典型的には、基体は半導体ウェハ、例えば、単結晶シリコン、または化合物半導体ウェハであり、基体はその表面上に形成された1以上の層およびパターン形成されたフィーチャーを有することができる。パターン形成される1以上の層102が基体100上に提供されうる。場合によっては、例えば、基体物質に溝を形成することが望まれる場合には、下にあるベース基体物質自体がパターン形成されてよい。ベース基体物質自体をパターン形成する場合には、このパターンは基体の層に形成されると見なされる。
【0013】
この層には、例えば、1以上の導電層、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物もしくはケイ化物、ドープされた非晶質ケイ素、またはドープされたポリシリコン、1以上の誘電層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、もしくは金属酸化物の層、半導体層、例えば、単結晶シリコン、並びにこれらの組み合わせが挙げられ得る。エッチングされる層は様々な技術、例えば、化学蒸着(CVD)、例えば、プラズマ援用CVD、低圧CVDもしくはエピタキシャル成長;物理蒸着(PVD)、例えばスパッタリングもしくは蒸発;または電気めっきによって形成されうる。エッチングされる1以上の層102の具体的な厚みは、物質および形成される具体的なデバイスに応じて変化しうる。
【0014】
エッチングされる具体的な層、膜厚および使用されるフォトリソグラフィ物質およびプロセスに応じて、その上にフォトレジスト層がコーティングされる反射防止塗膜(bottom antireflectove coating;BARC)104および/またはハードマスク層103を、層102上に配置することが望まれる場合がある。例えば、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とし、および/または具体的なエッチング剤がレジスト選択性に劣る場合で、非常に薄いレジスト層を使用する場合には、ハードマスク層の使用が望まれる場合がある。ハードマスク層が使用される場合には、形成されるレジストパターンはハードマスク層に写されることができ、これは次いで、下にある層102をエッチングするためのマスクとして使用されうる。好適なハードマスク物質および形成方法は当該技術分野において知られている。典型的な物質には、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、非晶質炭素、酸窒化ケイ素および窒化ケイ素が挙げられる。ハードマスク層103は単一層を構成するか、または異なる物質の複数の層を含むことができる。ハードマスク層は、例えば、化学または物理蒸着技術によって形成されうる。
【0015】
反射防止塗膜がなければ、基体および/または下にある層が、フォトレジスト露光中に有意な量の入射放射線を反射し、その結果、形成されたパターンの品質が悪影響を受けるであろう場合には、反射防止塗膜104が望まれる場合がある。このような塗膜は焦点深度、露光寛容度、ライン幅均一性およびCD制御を向上させうる。レジストが深紫外光(300nm以下)、例えば、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、電子ビームおよび軟x−線に露光される場合には、反射防止塗膜が典型的に使用される。反射防止塗膜104は単一層を構成するか、または複数の異なる層を含むことができる。好適な反射防止物質および形成方法は当該技術分野において知られている。反射防止物質は市販されており、例えば、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズエルエルシー(米国、マサチューセッツ州、マルボロ)により、AR商標40AおよびAR商標124反射防止剤などのAR商標の下で販売されているものがある。
【0016】
第1の感光性組成物が基体上に、(存在する場合には)反射防止層104上に適用されて、第1の感光層106を形成する。第1の感光性組成物は樹脂成分と光活性成分とを含む。本明細書において使用される場合、用語「感光性物質」、「感光性組成物」および「フォトレジスト」は交換可能に使用される。好適なフォトレジスト物質は当該技術分野において知られており、例えば、アクリラートベースのもの、ノボラックベースのもの、およびケイ素化学物質ベースのものが挙げられる。好適なレジストは、例えば、米国特許出願公開第20090117489A1号、第20080193872A1号、第20060246373A1号、第20090117489A1号、第20090123869A1号および米国特許第7,332,616号に記載されている。第1のレジストパターンを形成するために、本発明の方法において有用なフォトレジスト物質には、ポジ型物質およびネガ型物質の双方が挙げられる。
【0017】
好適なポジ型物質には、ポジ型化学増幅型フォトレジストが挙げられ、これは組成物の1種以上の成分の酸不安定基の光酸で促進される脱保護反応を受けて、このレジストの塗膜層の露光領域を、未露光領域よりも水性現像剤中でより可溶性にする。フォトレジスト樹脂の典型的な光酸不安定基(photoacid−labile groups)には、エステルのカルボニル酸素に共有結合した第三級非環式アルキル炭素(例えば、t−ブチル)または第三級脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含むエステル基が挙げられる。アセタール光酸不安定基も典型的である。
【0018】
好適なネガ型樹脂は典型的には架橋性成分を含みうる。架橋性成分は典型的には別のレジスト成分として存在する。メラミンのようなアミンベースの架橋剤、例えば、サイメル(Cymel)メラミン樹脂が典型的である。本発明において有用なネガ型フォトレジスト組成物は、酸への曝露により硬化し、架橋しまたは固化しうる物質と、本発明の光活性成分との混合物を含む。特に有用なネガ型組成物はフェノール系樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分および光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は欧州特許第0164248B1号および第0232972B1号、並びに米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに典型的なフェノール系樹脂には、上述のもののようなノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)が挙げられる。典型的な架橋剤には、アミンベースの物質、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン−ベースの物質および尿素ベースの物質が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、一般的に最も典型的である。このような架橋剤は商業的に入手可能であり、例えば、サイメル(Cymel)300、301および303の商品名で、サイテックインダストリーズ(Cytec Industries)により販売されているメラミン樹脂;サイメル1170、1171、1172の商品名でサイテックインダストリーズにより販売されているグリコールウリル樹脂;ビートル(Beetle)60、65および80の商品名でテクノールアペックスカンパニー(Teknor Apex Company)によって販売されている尿素ベースの樹脂;並びに、サイメル1123および1125の商品名でサイテックインダストリーズにより販売されているベンゾグアナミン樹脂が挙げられる。サブ200nmの波長、例えば、193nmでの像形成のために、典型的なネガ型フォトレジストは国際公開第03077029号に開示されている。
【0019】
第1の感光性組成物の樹脂は好ましくは、レジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。例えば、典型的なものは、ヒドロキシルまたはカルボキシラートのような極性官能基を含む樹脂バインダーである。樹脂成分は、ポジ型物質の場合にはその組成物の露光領域を、またはネガ型物質の場合にはその組成物の未露光領域を、現像剤溶液、例えば、アルカリ水溶液中で現像可能にするのに充分な量で、組成物中で使用される。樹脂成分は典型的には、レジストの全固形分の約70〜約97重量%を構成することができる。
【0020】
感光性組成物は、活性化放射線への露光の際に組成物の塗膜層に潜像を生じさせるのに充分な量で使用される光活性成分をさらに含む。例えば、光活性成分はレジストの全固形分の約1〜20重量%の量で好ましくは存在することができる。レジスト組成物中の典型的な光活性成分は1種以上の光酸発生剤である。好適なPAGは化学増幅型フォトレジストの分野において知られており、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、ニトロベンジル誘導体、スルホン酸エステル、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、およびハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
【0021】
レジストの典型的な任意の添加剤は追加塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクタートであり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。193nmで像形成されるレジストについては、典型的な追加塩基はヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。追加塩基は比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量%で好適に使用される。
【0022】
本発明に従って使用されるフォトレジストは他の任意の物質を含むこともできる。例えば、他の任意の添加剤には、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤などが挙げられる。この様な任意の添加剤は、典型的には、比較的高濃度、例えば、レジストの乾燥成分の合計重量の約0.1〜10重量%の量で存在することができる充填剤および染料を除いて、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0023】
本発明において有用なフォトレジストは一般的には、公知の手順に従って製造される。例えば、レジストは、フォトレジストの成分を好適な溶媒に溶解することによりコーティング組成物として製造されることができ、この好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸エチルまたは乳酸メチル;プロピオン酸エステル、特にプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルおよびエチルエトキシプロピオナート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。フォトレジストの固形分量は、典型的には、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして約2〜25重量%で変化する。このような溶媒のブレンドも好適である。
【0024】
本発明の方法は様々な像形成波長、例えば、サブ(sub)400nm、サブ300nmまたはサブ200nmの露光波長の波長を有する放射線と共に使用されることができ、EUVおよび157nm、並びに、I線(365nm)、248nmおよび193nmが典型的な露光波長である。典型的な形態においては、フォトレジストはサブ200の波長、例えば193nmを用いて像形成されるのに好適である。このような波長において、ドライ処理が使用されうるが、液浸リソグラフィの使用が典型的である。液浸リソグラフィにおいては、約1〜約2の屈折率を有する流体(すなわち、液浸流体)は、露光中に、露光ツールとフォトレジスト層との間に維持される。トップコート層が典型的にはフォトレジスト層上に配置され、液浸流体とフォトレジスト層との直接の接触を妨げ、フォトレジストの成分の液浸流体への漏出を回避する。
【0025】
感光性組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング、または他の従来のコーティング技術によって基体に適用されうる。もちろん、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングについては、コーティング溶液の固形分量は、所望の膜厚を提供するために、使用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度および回転の時間量に基づいて調節されうる。第1の感光層106の典型的な厚みは約500〜1500Åである。第1の感光層は、次いで、ソフトベークされることができ、層内の溶媒含量を最小限にすることができ、それにより、粘着性のない塗膜を形成し、この層の基体に対する接着性を向上させることができる。ソフトベークはホットプレート上でまたはオーブン内で行われることができ、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度および時間は、例えば、感光層の具体的な物質および厚みに応じて変動しうる。典型的なソフトベークは約90〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0026】
第1の感光層106が液浸リソグラフィツール、例えば、193nmの液浸スキャナーを用いて露光されるものである場合には、トップコート層(示されない)が感光層106上に配置されうる。このようなトップコート層の使用は、液浸流体と下にある感光層との間のバリアとして機能しうる。この方法において、場合によっては、結果的に、光学レンズの汚染、並びに液浸流体の有効屈折率および透過性の変化をもたらす、感光性組成物の成分の液浸流体への漏出は最小化されまたは回避されうる。好適なトップコート組成物は市販されており、例えば、OPTICOAT商標トップコート物質、例えば、OC商標2000(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)および当該技術分野で知られた他のもの、例えば、米国特許出願公開第2006/0246373A1号および米国仮出願第61/204,007号(出願日、2008年12月31日)に記載されているものがある。このような組成物は、感光性組成物について上述したような任意の好適な方法によって、感光層上に適用されることができ、スピンコーティングが典型的である。トップコート層の厚みは典型的にはλ/4n(またはその奇数倍)であり、ここでλは露光放射線の波長であり、nはトップコート層の屈折率である。トップコート層が存在する場合には、トップコート適用の前よりもむしろ、トップコート層組成物が適用された後に、第1の感光層106はソフトベークされうる。この方法において、双方の層からの溶媒は単一の熱処理工程において除去されうる。
【0027】
第1の感光層106は次いで、第1のフォトマスク110を通した活性化放射線108に露光されて、露光領域と未露光領域との間に溶解度の差を作り出す。ポジ型物質については、示されるように、フォトマスクは光学的に透明な領域および光学的に不透明な領域を有し、光学的に透明な領域は、その後の現像工程において除去される感光層の領域に対応する。ネガ型物質については、光学的に不透明な領域は、現像して除去されるレジスト層の部分に対応する。露光エネルギーは典型的には約1〜100mJ/cmであり、露光ツールおよび感光性組成物の成分に応じて変動する。本明細書において、組成物を活性化する放射線に感光性組成物を露光することについての言及は、光活性成分の反応を生じさせることにより、例えば、光酸発生剤化合物から光酸を生じさせることによるなどして、放射線が感光性組成物中に潜像を形成することができることを示す。感光性組成物は典型的には短い露光波長、特にサブ400nm、サブ300nm、またはサブ200nmの露光波長によって典型的に光活性化され、EUVおよび157nm、並びに、I線(365nm)、248nmおよび193nmが典型的な露光波長である。
【0028】
第1の感光層106の露光に続いて、感光層の露光後ベーク(PEB)が、この層の軟化点より高い温度で典型的に行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上でまたはオーブン内でおこなわれうる。PEBの条件は、例えば、感光層の具体的な物質および厚みに応じて変化しうる。PEBは典型的には、約80〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0029】
露光された感光層106は、次いで、現像されて、図1Bに示されるように、第1のレジストパターン106’を形成する。現像剤物質は感光層106の具体的な物質に依存しうるが、好適な現像剤および現像技術は当該技術分野において知られている。典型的な現像剤には、例えば、水性塩基現像剤、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
【0030】
現像に続いて、第1のレジストパターン106’は第1のハードベークプロセスにおいて熱処理されて、このパターンを乾燥させて、図1Cに示されるように硬化したレジストパターン106’’を形成する。この熱処理は、後にこのレジストパターンに適用される表面処理化学物質の吸着を容易にすると考えられる。このハードベークは典型的にはホットプレートまたはオーブンを用いて行われ、典型的には、約150℃以上、例えば、約170〜180℃の温度で、約30〜120秒の時間で行われる。
【0031】
図1Dを参照すると、ハードベークされた第1のレジストパターン106’’は、レジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で処理される。このアルカリ性の表面は、後にレジストパターン上に適用される感光層の露光中の反応を妨げる。例えば、ポジ型感光層の場合には、下にあるアルカリ性に処理されたレジストパターンのごく近傍の領域において、酸触媒脱保護反応が妨げられる。その結果、感光層の部分は現像後にその領域内に留まる。
【0032】
これらに限定されないが、特に好適な物質はアルカリ性物質およびこのアルカリ性物質とは異なる界面活性剤を含む。界面活性剤は、アルカリ性物質で処理されたレジストパターン上に実質的に均一な第2のレジストの塗膜層を形成するのを促進することが考えられる。
【0033】
アルカリ性物質は様々な形態をとることができ、固体成分を好適な溶媒に溶解して形成される溶液の形態であることができる。レジストパターン処理に好適なアルカリ性物質には、例えば、水性塩基現像剤、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、0.26規定(N)(2.38重量%)のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)が挙げられる。アルカリ性物質のために、およびそうでなければ組成物中に使用される溶媒物質は、下にあるフォトレジストを溶解するべきではなく、またはその溶解を最小限にするべきである。アルカリ性物質(何ら溶媒、例えば、水、アルコールなどが存在しない)は典型的には組成物中に、全組成物を基準にして約1〜10重量%の量で存在する。
【0034】
レジストパターン処理組成物に好適な界面活性剤には、両親媒性を示す界面活性剤が挙げられ、両親媒性とは、界面活性剤が同時に親水性および疎水性であり得ることを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に強い親和性を有する親水性ヘッド基と、有機物親和性で水をはじく長鎖疎水性テイルを有する。好適な界面活性剤はイオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)または非イオン性であることができる。界面活性剤のさらなる例としては、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤およびフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。水溶液に使用するのに好適な非イオン性界面活性剤には、これらに限定されないが、オクチルおよびノニルフェノールエトキシラート、例えば、トライトン(TRITON登録商標)X−114、X−100、X−45、X−15、並びに分岐第二級アルコールエトキシラート、例えば、テルジトル(TERGITOL商標)TMN−6(ザダウケミカルカンパニー、米国、ミシガン州、ミッドランド)が挙げられる。さらに典型的な界面活性剤には、アルコール(第一級および第二級)エトキシラート、アミンエトキシラート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、またはニュージャージー州、グレンロックのマニュファクチャーズコンフェクショナーズパブリシングカンパニー(Manufacturers Confectioners Publishing Co.)によって出版されたマカッチャンの乳化剤および洗浄剤(McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents)2000年北米版に開示される他の界面活性剤が挙げられる。
【0035】
アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も好適であることができ、例えば、下記式の界面活性剤が挙げられる:
【化1】

式中、RおよびRは、3〜10の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル鎖であり;RおよびRは、Hまたは1〜5の炭素原子を好適に有するアルキル鎖であり;m、n、p、およびqは0〜20の範囲の数である。このような界面活性剤はアレンタウン、ペンシルバニア州のエアプロダクツアンドケミカルズインコポレーテッド(Air Products and Chemicals,Inc.)から商品名サーフィノール(SURFYNOL登録商標)およびダイノール(DYNOL登録商標)で市販されている。
【0036】
本発明のコーティング組成物において使用するのに好適なさらなる界面活性剤には、他のポリマー系化合物、例えば、トリブロックEO−PO−EOコポリマーである、プルロニック(PLURONIC登録商標)25R2、L121、L123、L31、L81、L101およびP123(BASF、Inc.)が挙げられる。
【0037】
特に好適な界面活性剤には、アミン、典型的には第一級および第二級アミン、すなわち、それぞれ、1以上の第一級アミン基および1以上の第二級アミン基を含むアミン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。第一級および/または第二級アミン基に加えて、第三級アミン基が存在することができる。典型的には、アミンは多官能性アミンである。アミンはポリアミン、例えば、ジアミン、トリアミンまたはテトラアミンであることができる。好適な第一級アミンには、下記式(I)の化合物が挙げられる:
【化2】

式中、Rは場合によって置換されたアルキル、例えば、場合によって置換されたC1〜C6アルキル、例えば、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、エチルが典型的である。
【0038】
他の好適な第一級アミンには、下記式(II)で表されるポリ(アリルアミン)が挙げられる:
【化3】

式中、Rは水素および場合によって置換されたアルキル、例えば、C1〜C3アルキルから選択され;Rは場合によって置換されたアルキレン、例えばC1〜C6アルキレン、典型的にはメチレンまたはエチレンから選択され;nは3以上の整数である。式(N−II)の典型的な第一級アミンにおいては、Rは水素であり、Rはメチレンである。
【0039】
他の好適なアミンには、下記一般式(III)、(IV)および(V)で表されるものが挙げられる:
【化4】

式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、nは1〜10の整数である。
【0040】
他の好適なアミンには次のものが挙げられる:
【化5】

これらのなかで、トリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)が特に好ましい。
【0041】
界面活性剤は典型的には、組成物中で比較的少量で、例えば、組成物中の全固形分(全固形分は溶媒キャリアを除いた全組成物成分である)の重量を基準にして0.01〜5重量%、例えば、0.01〜1重量%で存在する。
【0042】
レジストパターン処理組成物は、アルカリ性物質および界面活性剤成分に加えて、1種以上の任意成分を含むことができる。例えば、この組成物は、アルカリ性物質および界面活性剤のために使用されるあらゆる溶媒に加えて、1種以上の溶媒を含むことができる。上述のように、アルカリ性物質および組成物中のほかのもののために使用される溶媒物質は、下にあるフォトレジストを溶解すべきではないし、またはその溶解を最小限にすべきである。よって、好適な溶媒は下にある具体的なレジスト物質に応じて変化することができ、例えば、水およびn−ブタノールのようなアルコールが挙げられ得る。任意成分には、1種以上の塩基発生剤化合物、例えば、熱塩基発生剤化合物および/または光塩基発生剤化合物も挙げられる。
【0043】
フォトレジストパターン処理組成物は、アルカリ性物質および界面活性剤成分、並びに、追加の成分、例えば、溶媒および塩基発生剤化合物を任意の順序で混合することにより製造されうる。成分の1種以上は、固体として、または好適な溶媒を用いてあらかじめ混合された溶液として添加されうる。
【0044】
好ましくは、アルカリ性処理には、第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミンでの処理が挙げられる。第四級アンモニウムヒドロキシド物質およびアミンは、例えば、あらかじめ混合された組成物から、または物質を同時ではあるが互いに別々に適用することにより(この場合、その場で組成物が形成される)、基体に同時に適用されることができる。好ましくは、第四級アンモニウムヒドロキシド物質およびアミンはその順で逐次的に適用される。第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミン物質は液体、気体または蒸気として適用されることができ、かつ、例えば、スピンコーティング、ディッピング、蒸気コーティング、化学蒸着(CVD)または他の従来のコーティング技術によって適用されうる。もちろん、液体物質のスピンコーティングが典型的である。典型的には、第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミン物質は水溶液として適用されうる。第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミンが同時に適用される場合には、表面処理された基体は、例えば、脱イオン水ですすがれることができる。第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミン物質が逐次的に適用される場合には、このアミンは、水すすぎとしても機能する水溶液として適用されることができる。表面処理された基体は場合によっては、例えば、脱イオン水ですすがれることができ、過剰な組成物を除去する。
【0045】
第1のレジストパターン106’’の臨界寸法(critical dimension;CD)は、表面処理の結果として、レジストパターン106’の元のCDと比較してわずかに小さくなる。このCD損失は、表面処理中の第1のレジストパターンのさらなる現像に起因すると考えられる。この表面処理は、改変された第1のレジストパターン表面112を形成し、このレジストパターン表面はアルカリ性であり、かつ処理前の表面のよりも小さいライン幅ラフネスを有する。
【0046】
図1Eに示されるように、上述のような第2の感光性組成物が、第1のレジストパターン106’’およびBARC層104上にコーティングされ、第2の感光層114を形成する。レジストパターン上のアルカリ性表面は、後にこのレジストパターン上に適用されるフォトレジスト層における、露光中の光反応を妨げると考えられる。例えば、ポジ型の第2の感光層の場合には、下にあるアルカリ性に処理されたレジストパターンのごく近傍の領域におけるその層において、脱保護反応が妨げられる。その結果、特定量の第2の感光層が、現像後にその領域内に留まる。
【0047】
第2の感光性組成物は、他に示される場合を除いて、第1の感光層に関連して上述したのと同じ物質および条件をはじめとする方法で適用され、処理されることができる。第1の感光層106がポジ型またはネガ型物質でありうる一方で、第2の感光層114は典型的にはポジ型である。図示されたプロセスフローにおいては、第1および第2の感光性組成物の双方がポジ型である。このような場合、第2の感光層114の処理中に第1のレジストパターン106’’が除去されないように、第1および第2の感光層について異なる物質が使用されることができる。例えば、第2の感光層のよりも高い特有の露光後ベーク温度を有する第1の感光層が選択されうる。この方法において、第1のレジストの露光領域を除去することもなく、第2の感光層の露光領域が選択的に除去されうる。しかし、第2の感光層114が現像されるのと同時に、第1のレジストパターン106’’を除去することが望まれる場合がある。この場合には、第1および第2の感光層について同じもしくは類似の物質が使用されることができるか、または第2の感光性組成物が第1の感光性組成物のよりも高い特有の露光後ベーク温度を有するように選択されうる。第1のレジストパターン106’’および第2の感光層114の同時現像の場合におけるプロセスフローは、図1Eに示されるプロセスから1Gに示されるプロセスにスキップする。
【0048】
第2の感光層114は典型的には、後述のように、後の工程において第1のレジストパターン106’’の除去を容易にするために、表面処理された第1のレジストパターン106’’の厚み未満の厚みにコーティングされる。第1のレジストパターン106’’の除去の目的のためには、使用されるエッチング剤が第2の感光性組成物に対するよりも第1の感光性パターンに対して良好な選択性を有するべきでもある。そのようなものとして、第1および第2の感光性組成物は異なっているべきである。例えば、第1または第2の感光性組成物のために、ケイ素ベースのポリマー、例えば、シルセスキオキサン型ポリマーを使用し、その一方で、他方の第1または第2の感光性組成物のために、ケイ素樹脂を含まない組成物、例えば、アクリラート型、ノボラック型またはフェノール型フォトレジストのような異なる化学物質の感光性組成物を使用することが望まれる場合がある。
【0049】
第2の感光層114は次いでソフトベークされうる。第2の感光層114が液浸リソグラフィツールを用いて露光されるものである場合には、上述のようなトップコート層(示されていない)が第2の感光層114上に配置されうる。トップコート層が使用される場合には、トップコート層組成物の適用前よりもむしろ、トップコート層組成物が適用された後に、第2の感光層114がソフトベークされうる。
【0050】
図1Eを参照すると、第2の感光層114は活性化放射線108に、典型的にはフラッド(flood)露光(すなわち、パターン化されたフォトマスクを使用しない)によって露光される。露光された第2の感光層は露光後ベークにおいて熱処理され、現像される。第1のレジストパターン106’’のアルカリ性に改変された表面領域112は、その表面領域の近傍において、第2のレジスト層114における光反応を妨げる。その結果、図1Fに示されるように、第2の感光性組成物の未反応部分が、第1のレジストパターン106’’の側壁に接したスペーサー114’として残る。この点において、スペーサーの幅を調節する、例えば、幅を広くすることが望まれる場合には、このプロセスにおける図1の一点鎖線矢印によって示されるような第1のハードベークに始まって第2の感光性組成物のさらなる感光層の現像に至る一連の工程が一回以上繰り返されることができる。
【0051】
次いで、第1のフォトレジストパターン106’’が除去され、図1Gに示されるようなスペーサー114’を残す。スペーサーは典型的には、レジストパターンを中心にして、第1のレジストパターンの全ての側面に接して形成されるので、スペーサーは一般的に閉じた環構造を生じさせる。よって、スペーサーを用いてラインパターンを製造する場合には、そのパターンの端を除去して、そのスペーサーを分離したラインパターンに分けるためのトリミングプロセスが行われることができる。トリミングプロセスは、例えば、既知のエッチング技術を用いて行われうる。
【0052】
スペーサー114’をエッチングマスクとして用いてBARC層104が選択的にエッチングされて、下にあるハードマスク層103を露出させる。このハードマスク層は、次いで、再びスペーサー114’をエッチングマスクとして使用して選択的にエッチングされて、図1Hに示されるように、パターン形成されたBARCおよびハードマスク層103’、104’を生じさせる。BARC層およびハードマスク層をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は、当該技術分野において知られており、かつ、例えば、これらの層の具体的な物質に応じて変化する。反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。スペーサー114’、およびパターン形成されたBARC層104’は、次いで、公知の技術、例えば、酸素プラズマアッシングを用いて、基体から除去される。
【0053】
ハードマスクパターン103’をエッチングマスクとして使用して、1以上の層102が選択的にエッチングされる。下にある層102をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は当該技術分野において知られており、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。パターン形成されたハードマスク層103’は、次いで、公知の技術、例えば、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスを用いて、基体表面から除去されうる。得られるダブルパターニングされた構造は、図1Iに示される様なエッチングされたフィーチャー102’のパターンである。別の典型的な方法においては、ハードマスク層103を使用することなく、スペーサー114’を用いて直接に、層102をパターン形成することが望まれる場合がある。スペーサーを用いた直接パターン形成が使用されうるかどうかは、関連する物質、レジスト選択性、レジストパターン厚みおよびパターン寸法などの要因に依存しうる。
【0054】
図2は、本発明に従った自己整合型スペーサー多重パターニング方法についての、さらなる典型的なプロセスフローを断面図で示す。このプロセスフローは図1を参照して記載されるダブルパターニング技術の1つのバリエーションであり、ここでは、1以上の追加のスペーサー114a’が、それぞれの元のスペーサー114’に対して形成され、さらに小さくされたラインピッチを可能にする。他に示される場合を除いて、図1に関する上記記載が図2のプロセスフローに対しても適用可能である。
【0055】
図2A〜Fに関するプロセスは、図1A〜Fに関して上述した方法で実施される。第1のレジストパターンと第3の感光層から形成されるパターン106’’とが同時に除去されるものであるように、次(第3)の感光層が第1の感光層106と同じまたは類似のエッチング選択性を有する組成物からなることを除いて、図2Fに示されるようなスペーサー114’の形成後、第1のハードベークに始まり現像に至る工程のシークエンスが繰り返される。第3の感光層はさらにポジ型であるべきである。露光された第3の感光層の現像後には、もともと形成されていたスペーサー114’の露出した側面に接して第2のスペーサー106a’が残る。同じシークエンスの工程が再び繰り返され、このとき、第2の感光層114と同じまたは類似のエッチング選択性を有する組成物の第4のポジ型感光層を形成する。現像後に得られる構造は、図2Gに示されるように、第2のスペーサー106a’の露出した側面に接して形成された第3のスペーサー114a’を含む。このスペーサー形成プロセスは場合によっては、さらに1回以上繰り返されることができ、第1のタイプの感光層化学物質と第2のタイプの感光層化学物質との間に、交互に、サンドイッチ構造で2種類のさらなるスペーサーを作り出すことができる。第1の感光性組成物タイプからのフォトレジストパターン106’’、106a’’が次いで除去され、図2Hに示されるようにスペーサー114’、114a’を残す。図1に関して上述したのと同じ方法で、スペーサー114’、114a’がエッチングマスクとして使用されて、図2I〜Jに示されるように、下にある1種以上の層を直接にパターン形成し、または下にあるハードマスク層をまずパターン形成し、これが次いで、下にある層をパターン形成するために使用される。
【0056】
図3は、本発明に従った自己整合型スペーサー多重パターニング方法についてのさらなる典型的なプロセスフローの上面図である。このプロセスフローは、図1を参照して記載される技術のさらなる1つのバリエーションであり、フォトリソグラフィおよび膜堆積技術の双方が使用されてスペーサーを形成するハイブリッドアプローチを用いるトリプルパターニング技術を示す。他に示される場合を除いて、図1に関する上記記載は図3のプロセスフローにも適用可能である。
【0057】
図3Aは第1のレジストパターン106’の形成後の基体を示す。改変された第1のレジストパターン表面112を生じさせるアルカリ表面処理後の構造が図3Bに示され、第2の感光層114のコーティング後が図3Cに示される。図3Dは第2の感光層114のソフトベーク後の基体を示す。このソフトベークはアルカリ性物質を生じさせ、第1のレジストパターンと第2の感光層との双方の部分に拡散する。拡散の程度は、ソフトベーク温度並びに、第1のレジストパターンおよび第2の感光層におけるアルカリ性物質の拡散係数に基づいて制御されうる。例えば、第1および第2の感光層の双方について同じもしくは類似の物質が使用される場合には、拡散の程度は第1のレジストパターンおよび第2の感光層においてほぼ同じであろう。この拡散の結果は、第1のレジストパターンおよび第2の感光層における拡大されたアルカリ性領域112’である。第1のレジストパターン106’および第2の感光層114は露光され、現像されて、図3Eに示されるようなスペーサー114’を残す。このスペーサーはアルカリ性領域112’内の第1のレジストパターン106’および第2の感光層114の部分に対応する。この例示されたプロセスにおいては、アルカリ性物質によって「阻害されて」いない第1のレジストパターンおよび第2の感光層の部分は現像工程中の同じ時間で除去される。これは、第1および第2の感光層の特定の露光後ベーク温度と同じかまたはこれより高い、露光後ベーク温度を露光後に用いることにより達成されうる。後述のように、下にある1以上の層のパターン形成のために使用される追加のスペーサーをパターンまたは鋳型に接して形成するためのパターンまたは鋳型として、スペーサー114’が使用される。
【0058】
スペーサー114’は場合によってはその幅を狭くするためにトリミングされることができ、結果的に、図3Fに示されるようなトリミングされたスペーサー114’’を生じさせうる。好適なトリミングプロセスは当該技術分野において知られている。スペーサー層はスペーサー114’’上に、例えば、化学蒸着、例えば、プラズマ援用CVD、低圧CVDもしくはエピタキシャル成長、原子層堆積またはスパッタリングによって堆積される。もちろん、化学蒸着が典型的である。スペーサー層に好適な物質には、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素が挙げられる。スペーサー層の厚みは、例えば、形成される構造体の所望の寸法およびスペーサー層の一体性の程度に応じて変化する。スペーサー層の典型的な厚みは約100〜1000Åである。スペーサー層は典型的には基体表面全体上にコーティングされるので、基体の水平面上のスペーサー層物質を除去し、図3Gに示されるようにトリミングされたスペーサーパターン114’’の側壁に接したスペーサーとして物質を残すようにエッチングが行われる。この犠牲スペーサー114’’が除去されて、下にある1以上の層をエッチングするためのマスクとして使用される側壁スペーサー116だけを残す。トリミングされた犠牲スペーサーパターン114’’は、例えば、酸素プラズマASHによって除去される。得られる構造体は、例えば、図3Gに示される点線に沿ってトリミングされて、スペーサー116を、図3Hに示されるような分離したラインに分ける。下にある1以上の層のエッチングが、図1のプロセスフローを参照して上述したように行われることができる。各ラインについて2つ(すなわち、各側面ついて1つ)のスペーサーが存在し、2回のスペーサープロセスが使用されるので、二重ピッチ分割(double pitch−splitting)によって、ライン密度は効果的に4倍にされうる。
【実施例】
【0059】
実施例1
L1レジストポリマー(ポリ(IAM/α−GBLMA/ODOTMA/HAMA))合成
10.51グラム(g)の2−メチル−アクリル酸1−イソプロピル−アダマンタニルエステル(IAM)、6.82gの2−メチル−アクリル酸2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(α−GBLMA)、6.36gの2−メチル−アクリル酸3−オキソ−4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デセ−8−イルエステル(ODOTMA)および6.31gの2−メチル−アクリル酸3−ヒドロキシ−アダマンタニルエステル(HAMA)を27gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。この混合物を窒素で20分間バブリングすることにより脱ガスした。凝縮器、窒素入口、および機械式攪拌機を備えた500mlのフラスコに11gのTHFを入れ、溶液を67℃の温度にした。5.23gのジメチル−2,2−アゾジイソブチラート(全モノマーを基準にして17mol%)を5gのTHFに溶解し、フラスコに入れた。モノマー溶液を反応器に、1時間あたり16.0ミリリットル(mL/時)の割合で3時間30分間供給した。次いで、重合混合物をさらに30分間67℃で攪拌した。次いで、反応器に5gのTHFを添加し、重合混合物を室温まで冷却した。1.0Lのイソプロピルアルコール中で沈殿を行った。ろ過後、ポリマーを乾燥させ、50gのTHFに再溶解させ、1.1Lのイソプロピルアルコール中で再沈殿させ、ろ過し、真空オーブン中45℃で48時間乾燥させて、25.4gの以下に示されるポリ(IAM/α−GBLMA/ODOTMA/HAMA)ポリマー(Mw=7,934およびMw/Mn=〜1.46)を得た:
【化6】

【0060】
L1レジスト配合
3.169gの上述のように形成されたポリマーを、70重量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)と30重量%のシクロヘキサノンとの溶媒混合物96.38gに溶解した。この混合物に、0.405gのトリフェニルスルホニウム(アダマンタン−1−イルメトキシカルボニル)−ジフルオロ−メタンスルホナート、0.041gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンおよび0.005gのポリフォックス(POLYFOX登録商標)PF−656界面活性剤(オムノバソリューションズインコーポレーテッド;Omnova Solutions Inc.)を添加した。得られた混合物をローラー上で6時間延ばして、次いで、0.2ミクロン孔サイズのテフロン登録商標フィルターを通して、それによりポジ型フォトレジスト組成物を形成した。
【0061】
表面処理溶液配合
表面処理溶液は、脱イオン水中のトリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)(シグマ−アルドリッチ)の1重量%溶液5g、10重量%の界面活性剤溶液(テルジトル(TERGITOL)TMN−6、ザダウケミカルカンパニー、米国、ミシガン州、ミッドランド)1g、および脱イオン水194gを混合することにより調製された。この溶液を、0.1ミクロン孔サイズのナイロンフィルターを通してろ過した。
【0062】
ラインアンドスペースの第1のリソグラフィ(L1)パターン形成
TEL CLEAN TRACK商標LITHIUS商標i+コーター/現像機において、300mmのシリコンウェハにAR商標40A反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLC)をスピンコートし、第1の反射防止塗膜(BARC)を形成した。このウェハを215℃で60秒間ベークし、75nm厚の第1のBARC膜を生じさせた。次いで、この第1のBARC上に、AR商標124反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて、第2のBARC層がコーティングされ、205℃で60秒間ベークされ、23nmの上部BARC層を生じさせた。
上述のように形成されたL1フォトレジスト組成物が二層BARCの上にコーティングされ、110℃で60秒間ソフトベークされ、750Åの厚みのレジスト膜を生じさせた。第1のレジスト層はトップコート層(OC商標2000トップコート物質、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でコーティングされ、15〜75mJ/cmの様々な線量で、様々な臨界寸法を有するレチクルを通して、開口数1.35を有するASML TWINSCAN商標XT:1900i液浸スキャナーおよびX−偏光の双極子−35Y照明(0.96アウターシグマ/0.76インナーシグマ)を用いて露光された。このウェハは、次いで、100℃で60秒間露光後ベーク(PEB)され、マイクロポジット(Microposit商標)MF CD−26現像機(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて12秒間現像され、第1のリソグラフィ(L1)パターンにした。
【0063】
硬化および表面処理
ウェハは180℃で60秒間ハードベークされた。次いで、まず、ウェハが2.38重量%のTMAH水溶液で12秒間、TEL GPノズルを用いてすすがれ、次いで、ウェハを回転させつつ、TELウェハトラック上で上記表面処理溶液配合物ですすがれる逐次的なプロセスで、このウェハは表面処理化学物質に曝露された。
【0064】
第2のリソグラフィ(L2)
裸のシリコンウェハ上に450Åの膜厚を提供するであろうスピン速度で、コーター/現像機において、EPIC商標2098ポジ型フォトレジスト(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を、表面処理されたL1パターン上にコーティングした。このウェハは120℃で60秒間ソフトベークされ、次いで、OC商標2000トップコート物質(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でコーティングされた。第1のリソグラフィプロセスにおけるのと同じスキャナセッティングであるが、12〜34mJ/cmの様々な露光線量でマスクなしにフラッド露光を使用して、第2のリソグラフィ(L2)が行われた。次いで、ウェハは110℃で60秒間露光後ベーク(PEB)され、マイクロポジット(Microposit商標)MF CD−26現像機(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて12秒間現像された。これにより、スペーサー構造が形成された。
【0065】
実施例2−18
TAEAおよびTERGITOL TMN−6界面活性剤の代わりに、以下の表1に示される成分を使用することを除いて、実施例1に関して上述した手順が繰り返される。
【表1】

L2現像後に、スペーサー構造が生じるであろうことが予想される。
【符号の説明】
【0066】
100 基体
102 層
102’ エッチングされたフィーチャーのパターン
103 ハードマスク
103’ パターン形成されたハードマスク
104 反射防止塗膜(BARC)
104’パターン形成された反射防止塗膜(BARC)
106 第1の感光層
106’第1のレジストパターン
106’’ ハードベークされた第1のレジストパターン
106’’a パターン
108 活性化放射線
110 第1のフォトマスク
112 改変された第1のレジストパターン表面
112’ 拡大されたアルカリ性領域
114 第2の感光層
114’ 未反応の第2の感光性組成物の層(スペーサー)
114a’ 追加のスペーサー
114’’ トリミングされたスペーサー(犠牲スペーサー)
116 側壁スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)パターン形成される1以上の層を含む半導体基体を提供し;
(b)第1の樹脂成分と第1の光活性成分とを含む第1の感光性組成物の第1の層を、パターン形成される1以上の層上に適用し;
(c)パターン化されたフォトマスクを通した活性化放射線に第1の層を露光し;
(d)露光された第1の層を現像してレジストパターンを形成し;
(e)ハードベークプロセスにおいてレジストパターンを熱処理し;
(f)ハードベークされたレジストパターンを、当該レジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で処理し;
(g)第2の樹脂成分と光酸発生剤とを含む第2の感光性組成物の第2の層を、パターン形成される1以上の層上に、かつ前記レジストパターンのアルカリ性表面と接触するように適用し;
(h)第2の層を活性化放射線に露光し;並びに、
(i)露光された第2の層を現像して、第2の層の現像中に除去されない第2の層の部分を含むスペーサーを、パターン形成される1以上の層上に形成する;
ことを含む自己整合型スペーサー多重パターニング方法。
【請求項2】
第2の層を露光する工程がフラッド露光である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の層を露光しおよび現像する工程が、それぞれ、前記レジストパターンを露光しおよび除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2の層を露光しおよび現像する工程の後に、前記レジストパターンを除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
スペーサーをマスクとして使用して、スペーサーの下にある1以上の層をパターニングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(i)前記スペーサーの側壁上に、第2の層とは異なる物質からなるスペーサー層を形成し;並びに
(ii)基体から第1のスペーサーを選択的に除去して、パターン形成される1以上の層上のスペーサー層から形成される第2のスペーサーを残す;
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
レジストパターンを熱処理することが、約150℃以上の温度で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記レジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で前記レジストパターンを処理することが、アルカリ性物質および界面活性剤で前記レジストパターンを処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記レジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で前記レジストパターンを処理することが、第一級または第二級アミンで前記レジストパターンを処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(a)パターン形成される1以上の層を含む半導体基体;
(b)パターン形成される1以上の層上のレジストパターンであって、アルカリ性表面を有するレジストパターン;並びに
(c)樹脂成分と光酸発生剤成分とを含む組成物を含む感光層であって、第1のレジストパターンの側壁に接触した感光層;
を含むコーティングされた基体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−65136(P2011−65136A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−145173(P2010−145173)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】