説明

自己浄化式のコーティングで覆われた加熱器具

本発明は、少なくとも一部が自己浄化式のコーティングで被覆されている金属製の基板(2)を備えた加熱器具(1)に関する。本発明のコーティングは、プラチノイドの酸化物から選択された少なくとも1つのタイプの酸化触媒を含む、外気と接触する外層(4)と、1b群の遷移元素の酸化物から選択された少なくとも1つのタイプの酸化触媒を含む、金属製の基板と外層との間に配置されている少なくとも1つの内層(3)とから構成される。本発明の加熱器具は、たとえば加熱素子(7)を備えた加熱ベース(6)から構成されているアイロンの底面、または調理器具の形態で具体化することができる。前記金属製の基板は、エナメルの中間層(5)で覆うことができる。加熱器具の金属製の基板を前記コーティングで被覆するための方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己浄化式のコーティングを備える加熱器具または使用中に加熱されることを意図した器具に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばアイロンの底面や調理器具など、ある種の加熱器具は、とりわけそのコーティング上の表面の状態および性質によって決まる使いやすさおよび有効性という特質を有する。
【0003】
アイロンの底面の改善は、アイロン作業用の表面の滑りやすさと、リンネルを伸ばしやすくできる特質とに併せて留意することによって可能とされてきた。これらの特質を得る方法は、滑らかな性質のエナメルで加工した底面を使用することであり、場合によっては、アイロンの移動中に布地を伸ばすことができるように余分な厚さのラインを設けることである。滑りやすくするために機械的に処理されている、および/あるいは溶着物で覆われているまたは覆われていない他の金属製の底面も適しており、申し分なく使用することができる。
【0004】
しかし底面は、使用するにつれて、アイロン作業用の表面上に多かれ少なかれ拡散する形で炭化することによって、光沢が損なわれるおそれがあり、またさまざまな有機粒子が、アイロンがけされる布地上の摩擦によって、多かれ少なかれ不完全な形で集積するおそれがある。
【0005】
しかし底面の光沢が損なわれると、たとえあまり目に見えなくとも、その滑りやすさは部分的に損なわれている。気づかないほどであっても、付着物が付けば、アイロン作業はより困難になる。さらにユーザは、リンネルを劣化させるおそれがあるため、光沢の損なわれたアイロンを使いたがらない。
【0006】
アイロンの底面のコーティングは、特許文献1によって示されているように、表面の特性を改善する層によって覆われた硬質で耐久性のある層を有するものとして知られている。しかしこの特許は、付着物を処理するための解決策を示していない。
【0007】
また調理器具の壁部材は、滑らかな性質のエナメル加工された層で覆われていることも多く、これによって、油脂または食物の突起物が表面には付着しない。エナメル加工された自己浄化式の表面は、たとえば特許文献2または特許文献3において示されているように、たとえばオーブンおよび調理器具において知られている。
【0008】
しかしこれらのコーティングは、その自己浄化特性に関して完全な満足を提供するものではない。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4862609号明細書
【特許文献2】米国特許第4029603号明細書
【特許文献3】仏国特許出願公開第2400876号明細書
【非特許文献1】W. K. Chu and G. Langouche, MRS Bulletin, January 1993, p 32
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって当初の品質を維持するために、覆われた表面を有機粒子によるいかなる汚れもないように保ち、通常の使用において付着物が付かないようにする、調理器具やアイロンの底面のような加熱器具用のコーティングに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも一部が自己浄化式のコーティングで覆われている金属製の基底部材を備える加熱器具に関し、このコーティングは、
−a)プラチノイドの酸化物から選択された少なくとも1つの酸化触媒を含む、外気と接触する外層と、
−b)1b群の遷移元素の酸化物から選択された少なくとも1つの酸化触媒を含む、金属製の基底部材と外層との間に配置された少なくとも1つの内層とを含むことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、目的として、加熱器具の金属製の基底部材を前述のような自己浄化式のコーティングで覆うための方法を有し、この方法は、
−i)覆われる金属製の基底部材の表面をオーブン内において約400℃で加熱するステップと、
−ii)覆われる金属製の基底部材の表面を赤外線の下に400℃から600℃の温度で数秒間置くステップと、
−iii)1b群の遷移元素の酸化物から選択された酸化触媒の前駆物質の溶液を、覆われる金属製の基底部材の表面上にスプレーして、内層を得るステップと、
−iv)覆われる金属製の基底部材の表面を内層と共にオーブン内において約400℃で再び加熱するステップと、
−v)覆われる金属製の基底部材の表面を内層と共に赤外線の下に400℃から600℃の温度で数秒間置くステップと、
−vi)プラチノイドの酸化物から選択された酸化触媒の前駆物質の溶液を内層上にスプレーして、外層を得るステップと、
−vii)内層および外層で覆われた金属製の基底部材の表面を赤外線の下で数分間再び加熱するステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明によって得られる器具は、自己浄化式のコーティングが特に優れた触媒活性を示し、金属製の基底部材への付着性がきわめて良好となる。
【0014】
内層内における1b群の遷移元素の酸化物から選択された酸化触媒と、外層内におけるプラチノイドの酸化物から選択された酸化触媒との連携によって、使用中にコーティングの自己浄化作用が相乗的な形で増大することに実質的に配慮した。
【0015】
本発明によって、コーティングの外層と接触する有機粒子は、器具が加熱される際に酸化する。その上、特定の酸化触媒を含む内層と、内層の酸化触媒とは異なる特定の酸化触媒を含む外層との独特な連携によって得られる相乗効果によって、特に強力な触媒活性を示すコーティングを得ることが可能となる。したがってコーティングの表面は、きわめて迅速に復元される。
【0016】
たとえば底面によって集積した有機粒子は、アイロンを用いたアイロン作業中に酸化する。それらは、アイロンが高温であれば、ある程度燃焼し、残りうる固体の残留物も、付着性がいくらか失われ、底面から分離される。底面は清潔に保たれる。
【0017】
同様に、たとえばオーブンなどの調理器具では、オーブンの壁部材上に存在する油脂の突起は高温中に酸化し、固体の残留物は壁部材から分離され、オーブンの壁部材は清潔に保たれる。
【0018】
さらに、本発明の方法によって、具体的には、覆われる金属製の基底部材の表面を赤外線にさらすことによって、金属製の基底部材に対するコーティングの付着性が特に良好となる。この改善された付着性によって、コーティングの摩擦抵抗を増大させることができ、この特性は、たとえばアイロンの底面にとって特に有利である。
【0019】
「加熱器具」という用語は、本出願の範囲内では、その使用中に少なくとも45℃に等しい温度に、好ましくは少なくとも90℃に等しい温度に達する任意の器具、物品、または用具を意味するものと理解されたい。こうした器具は、たとえば器具と一体化して加熱素子を備えた加熱ベースなど、その器具に固有の手段によって、または外部の手段によって、この使用温度に達することができる。こうした器具としては、たとえばアイロンの底面、調理器具、オーブン、ホットプレート、台所用具などがある。
【0020】
本発明によるコーティングされた外層は、プラチノイドの酸化物から選択された酸化触媒を含む。「プラチノイド」という用語は、本出願の範囲内では、白金の特性に類似する特性を有する元素、具体的には、白金に加えて、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、およびイリジウムを意味するものと理解されたい。この外層は、酸化パラジウム、酸化白金、およびそれらの混合物から選択された酸化触媒を含むことが好ましい。
【0021】
実際には、こうした酸化触媒自体は、その製造方法と共によく知られており、その調製方法をそれぞれ詳細に説明する必要はない。したがって、たとえば酸化触媒としての白金に関しては、その触媒活性な形態は、塩化白金酸塩または他の任意の前駆物質の焼成または分解によって得ることができる。
【0022】
もちろん本発明に従って使用されるいかなる酸化触媒も、器具の使用温度において、および器具の有効寿命の範囲内において、十分に安定した状態を維持しなければならないであろう。
【0023】
外層の表面は、外気および有機付着物と直接接触する。「有機付着物」という用語は、本出願の範囲内では、外気と接触して完全にまたは部分的に燃焼または酸化することができる任意の物質を意味するものと理解されたい。その例としては、繊維製品で使用されるような、たとえばポリアミドやポリエステルなどの有機ポリマーによる任意の合成繊維の残留物、洗剤製品および場合によっては柔軟剤製品の任意の有機的な残留物、油脂または食物の突起などの任意の有機物質を挙げることができる。
【0024】
プラチノイドの酸化物から選択された酸化触媒は、コーティングされた外層の上および/または中に、ならびに外層の全部または一部にわたって、連続的または不連続的に分散し、そこで付着物と接触する。
【0025】
緩衝ゾーンを含むまたは含まないアイロンの底面の場合、プラチノイドから選択された酸化触媒は、リンネルと接触することを意図して、底面の外側表面上に分散する。
【0026】
このコーティングは、プラチノイドの酸化物から選択された酸化触媒に加えて、酸化に関して触媒不活性な他の任意の内部基底材の層を含むことができる。金属製の基底部材に付着した触媒不活性なこの基底材は、たとえば分割された形態のアルミナや粒子状のアルミナ、エナメル、ポリテトラフルオロエチレン、およびそれらの混合物など、アルミニウムまたはケイ素の化合物から選択されることが好ましい。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、酸化に関して触媒不活性な基底材は、ミクロンおよび/またはナノメートル規模の低い空隙率および/または粗さを有するエナメルである。このエナメルは、たとえばガラス化したエナメルである。このエナメルは、硬質で滑りやすく、熱蒸気や水分の浸透に対して抵抗性を有することが好ましい。
【0028】
コーティングの外層は、本出願の実施例1に記載されているRBS法に従って測定された10ナノメートルから500ナノメートルの範囲の厚さ、および好ましくは20ナノメートルから120ナノメートルの範囲の厚さを有することが好ましい。
【0029】
外層の酸化触媒は、90℃以上のコーティング温度で活性となり、少なくともこのような温度まで外層が加熱されると、前記コーティングを浄化する。
【0030】
内層は、1b群の遷移元素の酸化物から選択された少なくとも1つの酸化触媒、好ましくは酸化銅、酸化銀、およびそれらの混合物から選択された少なくとも1つの酸化触媒を含む。
【0031】
実際には、こうした酸化触媒自体は、その製造方法と共によく知られており、その調製方法をそれぞれ詳細に説明する必要はない。たとえば酸化触媒としての酸化銀に関しては、Aldrich社から市販されている硝酸銀を前駆物質として使用することができる。
【0032】
触媒活性な内層は、本出願の実施例1に記載されているRBS法に従って測定された20ナノメートルから50ナノメートルの範囲の厚さを有することが好ましい。
【0033】
内層に存在している酸化触媒は、外層に存在している酸化触媒との良好な親和性を有することが好ましい。実際には、内層および外層の基底材上に適用すると、基底材は再び加熱され、このステップの間に、内層に存在している酸化触媒は外層へと拡散することができ、外層に存在している酸化触媒は内層へと拡散することができる。本発明の好ましい実施形態では、外層は酸化触媒としてパラジウムの酸化物を含み、内層は酸化触媒として酸化銀を含む。本発明のさらに好ましい実施形態では、酸化銀は外層へと拡散し、したがって外層は酸化パラジウムと酸化銀との混合物を含む。本発明のこうした実施形態では、コーティングの触媒活性のレベルにおいて際立った相乗効果が観察された。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、加熱器具は、アイロン作業用の表面を含むアイロンの底面の形態を取り、コーティングはアイロン作業用の表面を覆っている。
【0035】
本発明の別の好ましい実施形態では、加熱器具は、有機付着物と接触する可能性が高い壁部材を含む調理器具であり、コーティングはこれらの壁部材を覆っている。
【0036】
第1の動作モードでは、触媒は器具の使用温度で活性化し、器具が使用されている際、コーティングは清潔に保たれる。
【0037】
第2の動作モードでは、器具の使用前または使用後の自己浄化と呼ばれる局面の際に、後者は最高の使用温度以上の高温に調整され、次いで所定の時間にわたって待機状態に置かれ、この間に酸化触媒が効力を発する。したがってユーザは、有害な汚れの付着を放置することなく、自分の器具を定期的に保守することができる。
【0038】
本発明による器具の金属製の基底部材は、アルミニウム、鋼鉄、またはチタンのような、加熱器具の分野で一般に使用される任意の金属に基づくことができる。この金属製の基底部材は、本発明のコーティングによって覆う前に、たとえばエナメル加工された層などの保護層でそれ自体を覆うことができる。したがって本発明の好ましい実施形態では、器具は、金属製の基底部材とコーティングの触媒活性な内層との間に配置されたエナメルの中間層を含む。
【0039】
エナメル加工された層によって覆われたまたは覆われていない金属製の基底部材上に触媒活性な内層および外層を適用する作業は、熱分解によって、覆われる表面を加熱して、酸化触媒の前駆物質を含有する溶液をこの高温の表面にスプレーすることによって行うことが好ましい。「前駆物質」という用語は、任意の化学的形態または物理化学的形態の酸化触媒を指すものと理解されたい。これにおいて、それは、熱分解などの任意の適切な処理によって、後者へと至り、または後者を作用させる(遊離させる)可能性がある。
【0040】
本発明による方法の一実施形態では、覆われる金属製の基底部材の表面をオーブン内で約400℃に加熱し、次いで400℃から600℃の範囲を取ることができる表面温度に達するまで、たとえば数秒間など、ごく短時間赤外線の下に置く。この操作によって、基底部材の表面が軟化し、その後のコーティングの付着性を増大させることが可能となる。1b群の遷移元素から選択された酸化触媒の前駆物質の溶液を金属製の基底部材の表面上にスプレーする。前駆物質は、表面に接触すると、酸化して基底部材上に固定され、水分が蒸発する。20Nmから50Nmの範囲の厚さを有する層が溶着する。基底部材は、きわめて迅速に冷却される。基底部材をオーブン内で再び400℃に加熱し、400℃から600℃の範囲を取ることができる温度まで赤外線の下で数秒間加熱する。プラチノイドから選択された酸化触媒の前駆物質の溶液を内層上にスプレーする。20Nmから50Nmの範囲の厚さを有する層が溶着する。このようにして覆われた基底部材を赤外線の下で再び数秒間、たとえば5秒間加熱する。
【0041】
自己浄化特性が特に良好なコーティングで覆われた基底部材が得られる。
【0042】
本発明は、以降の実施例および添付の図面を読むことによって、よりよく理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
図1を参照すると、内層3および外層4で覆われた金属製の基底部材2を含むアイロンの底面の形態をした加熱器具1の断面が示されている。この底面はまた、加熱素子7を備えた加熱ベース6を含む。基底部材2およびベース6は、機械的な手段または接着剤によって組み立てられる。内層3は、1b群の遷移元素の酸化物から選択された酸化触媒を含み、外層4は、プラチノイドの酸化物から選択された酸化触媒を含む。
【0044】
図2を参照すると、中間層5、内層3、および外層4で覆われた金属製の基底部材2を含むアイロンの底面の断面が示されている。この底面はまた、加熱素子7を備えた加熱ベース6を含み、この加熱ベース6は、基底部材2に接着されている。内層3は、1b群の遷移元素の酸化物から選択された酸化触媒を含み、外層4は、プラチノイドの酸化物から選択された酸化触媒を含む。保護層5はエナメル加工されている。
【実施例1】
【0045】
清潔なエナメル加工されたアルミニウム製のアイロンの底面を約2cmのアルミニウム製の基底部材上に置き、できるだけ熱を蓄える。このユニットをオーブン内で400℃に加熱する。この底面を基底部材と共に、400℃から600℃の間の表面温度に達するまで、数秒間赤外線の下に置く。Aldrich社によって販売されている硝酸銀を、4g/lの割合で水に溶かして水溶液とし、スプレーによって底面上に吹き付ける。RBS法に従って測定した約40Nmから50Nmの層が溶着する。RBS(ラザフォード後方散乱分光分析)法とは、4He2+イオンのビームと試料の構成粒子との間における弾性相互作用に基づく分析技術である。高エネルギー(2MeV)のビームが試料に当たり、後方散乱イオンが角度テータで検出される。このようにして得られたスペクトルは、そのエネルギーに従って検出されたイオンの強度を表し、これによって層の厚さを測定することができる。この方法は、(非特許文献1)に記載されている。
【0046】
この内層の適用後、底面をオーブン内で400℃に加熱し、400℃から600℃の間の温度まで再び赤外線の下に数秒間置く。Metalor社によって販売されている、硝酸によって安定化された硝酸パラジウムの水溶液を、スプレーによる空気圧で底面上に吹き付ける。前述のようにRBS法に従って測定した約40Nmから50Nmの層が溶着する。
【0047】
この外層の適用後、ユニットを再び赤外線の下で500℃まで3分間加熱する。
【0048】
自己浄化式のコーティングが底面に対して特に良好に付着し、きわめて良好な触媒活性を有し、滑りやすさを維持するアイロンの底面が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明によるアイロンの底面を示す断面図である。
【図2】エナメル加工された保護コーティングを含む本発明によるアイロンの底面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 加熱器具
2 基底部材
3 内層
4 外層
5 中間層
6 加熱ベース
7 加熱素子



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が自己浄化式のコーティングで覆われている金属製の基底部材(2)を備える加熱器具(1)であって、前記コーティングは、
a)プラチノイドの酸化物から選択された少なくとも1つの酸化触媒を含む、外気と接触する外層(4)と、
b)1b群の遷移元素の酸化物から選択された少なくとも1つの酸化触媒を含む、前記金属製の基底部材(2)と前記外層(4)との間に配置された少なくとも1つの内層(3)とを含むことを特徴とする加熱器具。
【請求項2】
前記外層(4)の前記酸化触媒は、酸化パラジウム、酸化白金、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記内層(3)の前記酸化触媒は、酸化銅、酸化銀、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の器具。
【請求項4】
前記外層(4)は酸化触媒として酸化パラジウムを含み、前記内層(3)は酸化触媒として酸化銀を含むことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の器具。
【請求項5】
前記外層は、酸化パラジウムと酸化銀との混合物を含むことを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記外層(4)の厚さは、RBS法に従って測定して、10ナノメートルから500ナノメートルの範囲であり、より好ましくは20ナノメートルから120ナノメートルの範囲であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の器具。
【請求項7】
前記内層(3)の厚さは、RBS法に従って測定して、20ナノメートルから50ナノメートルの範囲であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の器具。
【請求項8】
前記金属製の基底部材(2)と、アルミニウム合金、エナメル、ポリテトラフルオロエチレン、およびそれらの混合物から選択される、酸化に関して触媒不活性な基底材を構成する前記コーティングの前記内層(3)との間に配置された中間層(5)をさらに含むことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の器具。
【請求項9】
前記金属製の基底部材(2)と前記コーティングの前記内層(3)との間に配置された前記中間層(5)は、エナメル加工されていることを特徴とする請求項8に記載の器具。
【請求項10】
アイロン作業用の表面を含むアイロンの底面の形態を取ること、および前記コーティングは前記アイロン作業用の表面を覆っていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の器具。
【請求項11】
有機付着物と接触する可能性が高い壁部材を含む調理器具の形態を取り、前記コーティングはこれらの壁部材を覆っていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の器具。
【請求項12】
請求項1から10の一項による自己浄化式のコーティングで加熱器具(1)の前記金属製の基底部材(2)を覆うための方法であって、
i)覆われる前記金属製の基底部材の表面をオーブン内において約400℃で加熱するステップと、
ii)覆われる前記金属製の基底部材の前記表面を赤外線の下に400℃から600℃の温度で数秒間置くステップと、
iii)1b群の前記遷移元素の酸化物から選択された酸化触媒の前駆物質の溶液を、覆われる前記金属製の基底部材の前記表面上にスプレーして、前記内層(3)を得るステップと、
iv)覆われる前記金属製の基底部材の前記表面を前記内層と共にオーブン内において約400℃で再び加熱するステップと、
v)覆われる前記金属製の基底部材の前記表面を前記内層と共に赤外線の下に400℃から600℃の温度で数秒間置くステップと、
vi)プラチノイドの酸化物から選択された酸化触媒の前駆物質の溶液を前記内層上にスプレーして、前記外層(4)を得るステップと、
vii)前記内層および前記外層で覆われた前記金属製の基底部材の前記表面を赤外線の下で数分間再び加熱するステップとを含むことを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−513747(P2006−513747A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564263(P2004−564263)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003429
【国際公開番号】WO2004/061371
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(594034072)セブ ソシエテ アノニム (63)
【Fターム(参考)】