説明

自己消失性コーティング

本発明は、埋込型医療デバイスに対する自己消失性コーティングとして使用するための低分子量成分からなるマトリックスの使用に関する。前記マトリックスコーティングは生体適合性を強化するために、且つ生理活性物質の局所送達をコントロールするために使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療デバイスに対するコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
埋込型医療デバイスは患者の生活の質を守る及び/または高めるのに役立ち得る。しかしながら、埋込型デバイスの使用に対する大きな障害は、血栓形成や免疫応答のような身体の異常反応が生ずる恐れがあることである。埋込型医療デバイスを作製するために使用されている一般的な材料には金属、鉱物またはセラミックス、及びポリマーが含まれる。通常、例えば感染抵抗性(すなわち、生理活性物質のデリバリーによる)、血栓形成抵抗性、放射線不透過性、導電性及び/または生体適合性の点で材料の表面が該材料の特性とは異なる特性を有するように材料の表面を改質することが望ましい。
【0003】
埋込型医療デバイスを作製するために使用される材料に対して所望の化学的、物理的及び生物学的特性を与えるために各種合成技術が使用されている。1つのアプローチは、例えば低分子量モノマーを基体上で縮合及び重合させて医療デバイス上にマトリックスを形成するデバイスへのパリレンコーティングの適用を含む。別のアプローチでは、血栓形成性を抑えるために生体適合材料(例えば、ヘパリンまたはアルブミン)を医療デバイスの表面に直接カップリングさせている(非特許文献1)。これらのアプローチには色々な制限がある。例えば、医療デバイス(例えば、ステント)に適用される厚いポリマーコーティング、すなわち表面カップリングしたポリマーコーティングはしばしば下層の基体(すなわち、金属)とは異なる物性を有しており、その結果引張力、剪断力または圧縮力に対して同様に応答しないことがあり、コーティングに亀裂、フレークまたは剥離が生ずる恐れがある。このような不安定性は、コーティングがインビボで亀裂、フレークまたは剥離したときに重大な悪影響をもたらし得る。この問題は、インビボで変形する特定の医療デバイス(例えば、カテーテル及びステント)の場合悪化する。デバイスが膨張する場合、コーティングが破断したり離れたりすることなく同じ変形を受け得ることが重要である。
【0004】
埋込型デバイスの安全性は生体適合性を低下させることにより妥協され得る。いったん移植すると、医療デバイスは組織と接触したままであり、宿主がインプラントを異物として応答するので移植部位で局所的炎症が生ずることがある。宿主の埋込型デバイスへの応答を解決するドラッグデリバリープラットフォームの設計が長年にわたり望まれている。医療インプラントは薬物を直接及び局所的に送達するための優れたプラットフォームである。しかしながら、問題は前記用途に使用されるポリマー系である。例えば、心血管系ステントは動脈の再狭窄のコントロールの管理に革命をもたらしているが、ステント再狭窄が臨床的リスクファクターとして残っている。この問題を解決するために、分子レベルで、ドラッグデリバリープラットフォームとして多数のポリマーが使用されてきた。これにより薬物溶出ステントが設計及び実施された。しかしながら、「薬物溶出ステント」中で使用されているドラッグデリバリープラットフォームは通常耐久性ポリマーであり、無期限にステントプラットフォーム上に残留しており、よって一連の望ましくない宿主応答が起こる(非特許文献2)。医薬活性化合物をステントプラットフォーム上に直接コーティングすることも研究されている。しばしば、沈着した医薬活性化合物が表面上で結晶化する。結晶性コーティングが形成されると、ステント上のすべての薬物が一度に放出されるダンピング効果が生じる。このような放出プロフィールは、放出部位に壊死をもたらす毒性を生ずることがあり得るので望ましくない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Nicholas A.Peppasら,Science,263:1715(1994)
【非特許文献2】Perinら,Review in Cardiovascular Medicine,6:S13(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当業界にある制限を解決するために、ドラッグデリバリーマトリックスとして機能し得、適用するのが容易であり、生体適合性であり、限られた残留時間を有し、生理活性物質を制御放出し得る新規なコーティングが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、低分子量成分から構成され、オリゴマー及び生理活性物質を含むマトリックスコーティングの使用に関する。このマトリックスコーティングは被験者に移植すると自己消失性(self-eliminating)または生体内分解性(bioerodible)である。マトリックスコーティングは生体適合性を高めるために、且つ生理活性物質の局所デリバリーをコントロールするために使用され得る。
【0008】
第1の態様では、本発明は、表面及び該表面に適用されているマトリックスコーティングを有する埋込型医療デバイスに関し、前記マトリックスコーティングは20kDa未満の分子量を有する成分から構成され、前記マトリックスコーティングは(i)オリゴマー、及び(ii)生理活性物質を含み、前記マトリックスコーティングは被験者に移植したとき自己消失性または生体内分解性であり、前記生理活性物質は埋込型医療デバイス上にあるときマトリックスコーティング内にのみ存在していることを特徴とする。
【0009】
関連態様で、本発明は、表面を20kDa未満の分子量を有する成分から構成されるマトリックスコーティングでコーティングすることによる、表面を有する被覆埋込型医療デバイスの作製方法に関し、前記マトリックスコーティングは(i)オリゴマー、及び(ii)生理活性物質を含み、前記マトリックスコーティングは被験者に移植したとき自己消失性または生体内分解性であり、前記生理活性物質は埋込型医療デバイス上にあるときマトリックスコーティング内にのみ存在していることを特徴とする。
【0010】
ある実施形態では、マトリックス及び生理活性物質を埋込型医療デバイスにスプレーコーティング、印刷、または浸漬コーティングすることにより、或いは本明細書中に記載されている他の適用方法を用いることにより表面に適用する。
【0011】
生理活性物質はタンパク質、ペプチド、炭水化物、抗生物質、増殖抑制薬、ラパマイシンマクロライド、鎮痛薬、麻酔薬、抗血管新生薬、抗血栓薬、血管作用薬、抗凝血薬、免疫調節薬、細胞傷害性薬物、抗ウイルス薬、抗生物質、神経伝達物質、向精神薬、オリゴヌクレオチド、ビタミン、脂質、そのプロドラッグから選択され得る。本発明の方法及びマトリックスコーティング中で有用な生理活性物質には本明細書中に記載されている生理活性物質が含まれる。
【0012】
ある実施形態では、生理活性物質をマトリックスコーティングのオリゴマーと単に混合する。他の実施形態では、生理活性物質はマトリックスコーティング中のオリゴマーに共有結合または複合体形成されている。
【0013】
更に他の実施形態では、生理活性物質はマトリックスコーティング中に均一に分布されている。例えば、生理活性物質がマトリックスコーティング中に溶解されていてもよい。
【0014】
別の態様で、本発明は、表面及び該表面に適用されているマトリックスコーティングを有する埋込型医療デバイスに関し、前記マトリックスコーティングはオリゴフッ素化オリゴマーを含み、前記マトリックスコーティングは被験者に移植したとき自己消失性または生体内分解性であり、前記オリゴフッ素化オリゴマーは埋込型医療デバイス上にあるときマトリックスコーティング内にのみ存在していることを特徴とする。
【0015】
関連態様で、本発明は、表面にオリゴフッ素化オリゴマーを含むマトリックスコーティングをコーティングすることによる、表面を有する被覆埋込型医療デバイスの作製方法に関し、前記マトリックスコーティングは被験者に移植したとき自己消失性または生体内分解性であり、前記オリゴフッ素化オリゴマーは埋込型医療デバイス上にあるときマトリックスコーティング内にのみ存在していることを特徴とする。
【0016】
本発明の埋込型医療デバイスは、例えば金属、金属合金、セラミックス、ベースポリマー及びガラスから選択される表面材料を有し得る。本発明の方法及びマトリックスコーティングを用いてコーティングされ得る埋込型医療デバイスには、非限定的に心臓補助装置、カテーテル、ステント、人工インプラント、人工括約筋、ドラッグデリバリーデバイス及び本明細書中に記載されている他の埋込型デバイスが含まれる。ある実施形態では、埋込型医療デバイスはステントである。
【0017】
更に、本発明は、表面及び該表面に適用されているマトリックスコーティングを有するステントに関し、前記マトリックスコーティングは20kDa未満の分子量を有する成分から構成され、前記マトリックスコーティングは(i)オリゴマー、並びに(ii)増殖抑制薬及びラパマイシンマクロライドから選択される生理活性物質を含み、前記マトリックスコーティングは被験者に移植したとき自己消失性または生体内分解性であり、前記生理活性物質は前記ステント上にあるときマトリックスコーティング内にのみ存在していることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、表面及び該表面に適用されているマトリックスコーティングを有するステントに関し、前記マトリックスコーティングはオリゴフッ素化オリゴマーを含み、前記マトリックスコーティングは被験者に移植したとき自己消失性または生体内分解性であり、前記オリゴフッ素化オリゴマーは前記ステント上にあるときマトリックスコーティング内にのみ存在していることを特徴とする。ある実施形態では、マトリックスコーティングは更に増殖抑制薬及びラパマイシンマクロライドから選択される生理活性物質を含む。
【0019】
本発明の被覆ステント上に使用され得る増殖抑制薬には、非限定的にメトトレキセート、トリメトレキセート、ゲムシタビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、カンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ダクチノマイシン、イダルビシン、ブレオマイシン、タモキシフェン及び本明細書中に記載されている他の増殖抑制薬が含まれる。
【0020】
本発明の被覆ステント上に使用され得るラパマイシンマクロライドには、非限定的にラパマイシン、CCI-779、エベロリムス、ABT-578及び本明細書中に記載されている他のラパマイシンマクロライドが含まれる。
【0021】
関連態様で、本発明は、血管中の部位に本発明のステントを移植することによる前記部位の再狭窄の抑制方法に関する。
【0022】
更に、本発明は、被験者に本発明の生理活性物質を含むマトリックスコーティングを有する埋込型医療デバイスを移植することによる、被験者への生理活性物質のデリバリー方法に関する。
【0023】
本発明の方法及びマトリックスコーティングにおいて使用され得るオリゴマーには、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリシリコーン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリペプチド、多糖及びその組合せが含まれる。
【0024】
ある実施形態では、マトリックスコーティング中のオリゴマーはオリゴフッ素化オリゴマーである。オリゴフッ素化オリゴマーは本明細書中に記載されているものであり得る。1つの実施形態では、オリゴフッ素化オリゴマーは式(I):
【化1】

【0025】
で示される。式(I)中、oligoはオリゴマーセグメントであり;Bioは生理活性物質であり;FTはオリゴフルオロ基であり;各Link Bは独立してoligo、FTまたはBioに共有結合されている有機部分であり;aは0より大きい整数であり;b及びcは各々独立して0以上の整数であり;dは0または1である。別の実施形態では、オリゴフッ素化オリゴマーは式(II):
【化2】

【0026】
で示される。式(II)中、Bはウレタンを含み;oligoはポリカーボネート、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシドまたはポリテトラメチレンオキシドを含み;FTはオリゴフルオロ基であり;gは0または1であり;nは1〜10の整数である。
【0027】
オリゴフルオロ基には、非限定的に式:
CF3(CF2)pX、(CF3)2CF(CF2)pX、または(CF3)3C(CF2)pX
(式中、XはCH2CH2-、(CH2CH2O)n、CH2CH(OH)CH2O-、CH2CH(CH2OH)O-または結合であり;pは2〜20の整数であり;nは1〜10の整数である)
を有する基が含まれる。
【0028】
本発明の上記した方法及びコーティングにおいて、マトリックスコーティングは40kDa、35kDa、30kDa、25kDa、18kDa、16kDa、14kDa、12kDa、10kDa、9kDa、8kDa、7kDa、6kDa、5kDa、4kDaまたは3kDa未満の分子量を有する成分から構成され得る。
【0029】
本発明のコーティングは、表面にマトリックスコーティングをはけ塗り(brusing)、印刷、噴霧、塗布(wiping)、または浸漬することにより適用され得る。ある実施形態では、コーティングステップはマトリックスコーティングの成分を溶媒中に溶解して溶液を形成し、この溶液を埋込型医療デバイスの表面に適用することを含む。更に他の実施形態では、コーティングステップはマトリックスの成分を希釈剤と混合して流動混合物を形成し、この流動混合物を埋込型医療デバイスの表面に適用することを含む。
【0030】
本発明の上記した方法及びコーティングにおいて、マトリックスコーティングは0.01〜25ミクロン、0.05〜15ミクロン、0.1〜25ミクロン、0.1〜15ミクロン、0.1〜10ミクロン、0.1〜5ミクロン、0.1〜3ミクロン、または0.1〜1ミクロンの厚さを有し得る。
【0031】
本発明の上記した方法及びコーティングでは、非被覆埋込型医療デバイスにコーティングを施して、動物に移植したとき非被覆埋込型医療デバイスと比較してより少ないタンパク質沈着、より少ないフィブリノゲン沈着、より少ない血小板沈着、またはより少ない炎症細胞接着を有する被覆埋込型医療デバイスを作製する。
【0032】
「ベースポリマー」は、約350〜約10,000psiの引張強度、約300〜約1500%の破断点伸び、約5〜約100ミクロンの非支持厚さ(unsupported thickness)及び約1〜約100ミクロンの支持厚さ(supported thickness)を有している自己支持性(self supporting)ポリマーを意味する。
【0033】
本明細書中で使用されている「Link B」は、オリゴマー、生理活性物質及び/またはオリゴフルオロ基を共有結合し得るカップリングセグメントを指す。典型的には、Link B分子は40〜700の範囲の分子量を有している。好ましくは、Link B分子は官能化ジアミン、ジイソシアネート、ジスルホン酸、ジカルボン酸、ジ酸クロリド及びジアルデヒドからなる群から選択され、前記官能化成分はオリゴフルオロ基の化学結合のために利用される第2の官能化学を有している。この第2の基には、例えばエステル、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、チオール、ビニル及び第2級アミンが含まれる。oligo中間体上の末端ヒドロキシル、アミンまたはカルボン酸は、ジアミンと反応してoligo-アミドを形成し得、ジイソシアネートと反応してoligo-ウレタン、oligo-ウレア、oligo-アミドを形成し得、ジスルホン酸と反応してoligo-スルホネート、oligo-スルホンアミドを形成し得、ジカルボン酸と反応してoligo-エステル、oligo-アミドを形成し得、ジ酸クロリドと反応してoligo-エステル、oligo-アミドを形成し得、ジアルデヒドと反応してoligo-アセタール、oligo-イミンを形成し得る。
【0034】
「oligo」または「オリゴマー」は比較的短い長さの繰り返し単位(1種又は複数)を意味し、通常約50モノマー単位未満及び10,000ダルトン未満、好ましくは5,000ダルトン未満の分子量を有している。好ましくは、oligoはポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリシリコーン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリペプチド、多糖;並びにそのエーテル及びアミン連結セグメントからなる群から選択される。
【0035】
「プロドラッグ」は、インビボで、例えば酵素及び/または加水分解メカニズムにより生理活性物質に変換される生理活性物質に対する前駆体を意味する。プロドラッグには、非限定的にエステル化生理活性物が含まれる。本発明の方法及び組成物において有用なプロドラッグには、例えば加水分解可能な結合を介して本発明のマトリックスコーティング中のオリゴマーに共有結合している生理活性物質が含まれる。
【0036】
本明細書中で使用されている「自己消失性」は、埋込型医療デバイス表面からのマトリックスコーティングの拡散を指す。自己消失性コーティングは、実施例に記載されているバッファー、人工尿または血漿中の流動条件下でコーティングの70%、80%、更には90%(w/w)より多くが2ヶ月、1ヶ月または15日未満に表面から拡散するものである。特定の埋込型デバイス上のマトリックスコーティングの自己消失動態はデバイスの形状、マトリックスの成分及び移植部位に応じて異なると理解される。本発明のマトリックスコーティングが事実上一過性で、本来の被覆されていない埋込型デバイスが移植部位にそのまま完全に残るように設計されていることが重要である。
【0037】
本明細書中で使用されている「生体内分解性」は、埋込型医療デバイスの表面からのマトリックスコーティングの拡散を指す。生体内分解性コーティングは、実施例に記載されているバッファー、人工尿または血漿中のシンク条件下でコーティングの30%、40%、更には50%(w/w)より多くが6ヶ月、4ヶ月、3ヶ月、2ヶ月または1ヶ月未満に表面から拡散するものである。特定の埋込型デバイス上のマトリックスコーティングの自己消失動態はデバイスの形状、マトリックスの成分及び移植部位に応じて異なると理解される。本発明のマトリックスコーティングが事実上一過性で、本来の被覆されていない埋込型デバイスが移植部位にそのまま完全に残るように設計されていることが重要である。
【0038】
本明細書中で使用されている「共有結合している」は、1つ以上の共有結合により分離されている部分を指す。例えば、オリゴフルオロ基がオリゴマーに共有結合している場合、結合しているとは単結合により分離されている部分、及び例えばいずれの部分もが共有結合しているLink Bセグメントにより分離されている両方の部分を含む。
【0039】
本明細書中で使用されている用語「オリゴフッ素化」は、本発明のマトリックスコーティング中に使用するためにオリゴフルオロ基に共有結合しているオリゴマーを指す。
【0040】
本明細書中で使用されている「複合体形成している」または「複合体形成」は、本発明のマトリックスコーティング内に含まれているオリゴマー中の複合体形成部分と生理活性物質の間の非共有または金属中心への配位を介する相互作用を指す。本発明に従って使用され得る非共有結合相互作用の例には、非限定的に水素結合、イオン性相互作用(例えば、双極子-双極子相互作用、イオン対生成及び塩形成)、包接複合体、キレート化、ファンデルワールス相互作用(例えば、π-πスタッキング)及びその組合せが含まれる。相互作用は複合体形成部分及び生理活性物質の両方による金属中心への配位を介し得る。幾つかの場合には、生理活性物質は複合体形成部分に配位している金属中心を含む。
【0041】
本明細書中で使用されている「複合体形成部分」は、ポリマー複合体を形成すべく非共有相互作用または金属中心への配位により生理活性物質と複合体形成する本発明のマトリックスコーティング内に含まれているオリゴマーの一部を含む本発明のある実施形態を指す。複合体形成部分は帯電部分、例えば生理学的pHでプロトンを失って負に帯電されるようになる部分(例えば、カルボキシレートまたはホスホジエステル)、生理学的pHでプロトンを獲得して正に帯電されるようになる部分(例えば、アンモニウム、グアニジニウムまたはアミジニウム)、プロトン化なしに正味形式(net formal)正電荷を含む部分(例えば、4級アンモニウム)、またはプロトンを失うことなく正味形式負電荷を含む部分(例えば、ボレート、BR4-)であり得る。帯電複合体形成部分の例には、非限定的にカルボキシレート、ホスホジエステル、ホスホラミデート、ボレート、ホスフェート、ホスホネート、ホスホネートエステル、スルホネート、スルフェート、チオレート、フェノレート、アンモニウム、アミジニウム、グアニジニウム、4級アンモニウム及びイミダゾリウム官能基が含まれる。複合体形成部分は、全体的または部分的に生理活性物質(例えば、シクロデキストリン)を生理的にカプセル化するように設計されている。複合体形成部分は、生理活性物質中に存在する相補的オリゴヌクレオチド及び/またはペプチド配列を連結するように設計される。複合体形成部分は、リガンド単独としてまたは金属中心を含めて、生理活性物質を含む金属中心を配位するように設計され得る。
【0042】
複合体形成部分の作製方法及び生理活性物質との複合体形成方法は参照により本明細書に組み入れる米国特許出願公開第20070037891号に記載されている。
【0043】
本発明の他の要件及び作用効果は以下の詳細説明、図面及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】化合物3の3D HPLCクロマトグラムであり、副生成物なしの純粋な材料を示している。
【図2】化合物1で被覆したステントのSEM画像であり、ウェビング(webbing)が最少の薄い被覆を示している。
【図3】化合物1で被覆し、クリンプ加工し、バッファー中に配置したステントのSEM画像であり、薄い被覆を示している。
【図4】化合物2で被覆したステントのSEM画像であり、ウェビングが最少の薄い被覆を示している。
【図5】化合物3で被覆したステンの共焦点/蛍光顕微鏡(5×Fluorレンズ及びDAPI UVフィルター)画像であり、ステント表面上の化合物3の存在を示している。
【図6】化合物3で被覆したクリンプ加工ステントの共焦点/蛍光顕微鏡(5×Fluorレンズ及びDAPI UVフィルター)画像であり、ステント表面上の化合物3の存在を示している。
【図7】化合物3で被覆した配置ステントの共焦点/蛍光顕微鏡(5×Fluorレンズ及びDAPI UVフィルター)画像であり、ステント表面上の化合物3の存在を示している。
【図8】化合物4で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図9】化合物5で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図10】化合物6で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図11】化合物7で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図12】化合物8で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図13】化合物9で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図14】化合物10で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図15】化合物11で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図16】化合物12で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図17】化合物14で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図18】化合物15で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図19】化合物1及び化合物7で被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図20】化合物2+8.8wt% PTXで被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図21】化合物6+8.8wt% PTXで被覆したステントのSEM画像であり、薄いコーティングを示している。
【図22】37℃での化合物1、2及び6+5、8.8及び20wt% PTXからTweenPBSへのPTX放出のプロットであり(フィルムをバイアルにおいてキャストする)、化合物及びPTX濃度の放出に対する影響を示している。
【図23】20℃での化合物1及び6+5及び8.8wt% PTXからTweenPBSへのPTX放出のプロットであり(フィルムをバイアルにおいてキャストする)、化合物及びPTX濃度の放出に対する影響を示している。
【図24】37℃での化合物1及び6+5及び8.8wt% PTXからTweenPBSへのPTX放出のプロットであり(フィルムをバイアルにおいてキャストする)、化合物及びPTX濃度の放出に対する影響を示している。
【図25】化合物1+8.8wt% PTXで被覆したステントのSEM画像であり、良好な被覆を示している。
【図26】化合物+1wt% PTX被覆したステントの一連のSEM画像であり、(a)化合物1、(b)化合物6、(c)化合物7、(d)化合物1+7、(e)化合物8、(f)化合物9、(g)化合物12の良好な被覆を示している。
【図27】心筋に固定した化合物1+8.8wt% PTX被覆した試験片の写真であり、2つの基体間の接触を示している。
【図28】心筋と接触後の化合物1+8.8wt% PTXで被覆した試験片の写真であり、コーティングの外観を示している。
【図29】心筋と接触している化合物1+8.8% PTXで被覆したステンレス鋼試験片上に残留しているPTXのプロットであり、PTX放出プロフィールを示している。
【図30】心筋と接触している化合物1+1% PTXで被覆したステンレス鋼試験片上に残留しているPTXのプロットであり、PTX放出プロフィールを示している。
【図31】化合物1、2、3、6、7、1+7、8、9、10、11、12、14、15及び16のPBS中シンク条件下での残留性のプロットであり、製剤の残留時間に対する影響を示している。
【図32】化合物1、2、6、7、1+7、10及び12のPBS中シンク条件でのステンレス鋼試験片上の残留性のプロットであり、製剤の残留時間に対する影響を示している。
【図33】化合物1、2、6、7、1+7、10及び12(バイアル)のブタ血液中シンク条件での残留性のプロットであり、製剤の残留時間に対する影響を示している。
【図34】化合物1、2、10及び12のブタ血液中シンク条件でのステンレス鋼試験片上の残留性のプロットであり、製剤の残留時間に対する影響を示している。
【図35】化合物1、2、6、7、1+7、10及び12の人工尿中シンク条件での残留性のプロットであり、製剤の残留時間に対する影響を示している。
【図36】化合物1、2、4及び6のPBS中流動条件での残留性のプロットであり、製剤の残留時間に対する影響を示している。
【図37】化合物1、2及び6のブタ血液中流動条件での残留性のプロットであり、製剤の残留時間に対する影響を示している。
【図38】化合物1、2及び6の人工尿中流動条件での残留性のプロットであり、製剤の残留時間に対する影響を示している。
【図39】化合物1、2、4及び6の残留時間研究のために使用したブタ心臓の写真である。像は切開の大きさ及び位置を示している。
【図40】化合物1、2、3、6、7、1+7、8、9、10、11、12、14、15及び16のPBS中シンク条件での長時間残留性研究のプロットであり、デリバリー時間を微調整できることを示している。
【図41】各種溶液中でインキュベートした後の化合物1、5、7及びDL-PLGAの質量減少のプロットであり、媒体の影響を示している。
【図42】(a)化合物1、(b)化合物6、(c)化合物7、(d)化合物1+7、(e)化合物8、(f)化合物9、(g)化合物10、(h)化合物11、(i)化合物12、(j)化合物14及び(k)化合物15で被覆したステンレス鋼試験片のSEM画像を含み、平滑な被覆を示している。
【図43】ブタ血液と接触前及び後の被覆ステンレス鋼試験片の写真を含み、コーティング:(a)化合物1、(b)化合物6、(c)化合物7、(d)化合物1+7、(e)化合物8、(f)化合物9、(g)化合物10、(h)化合物11、(i)化合物12、(j)化合物14及び(k)化合物15の目に見える変化がないことを示している。
【図44】U937細胞と化合物1、2、6、7、1+7、8、9、10、11、12、15及び16との相互作用のプロットであり、マクロファージ接着を最小限とできることを示している。
【図45】化合物1、化合物1+PTX及びSIBSで被覆した膜を介するHCAEC移動のプロットであり、化合物1で被覆した膜を介するHCAECの良好な移動を示している。
【図46】血小板及びフィブリノゲンと化合物1、7、1+7及び12の噴霧フィルムとの相互作用のプロットであり、血小板接着及びフィブリノゲン吸収の減少を示している。
【図47】2匹の動物(A及びB)の血管断面の組織学的画像を含み、生体適合性プロフィールを示している。
【図48】0日目(左)及び42日目(右)の化合物3で被覆したステントのSEM画像を含み、コーティングの保存安定性を示している。
【図49】ブタ血液に24時間(左)及び7日間(右)曝した後の化合物3で被覆したステントのSEM画像であり、コーティングプロフィールを示している。
【図50】ブタLCX動脈から外植した化合物3被覆ステントの画像であり、血管壁とステント間の接触を示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の方法及び組成物は、低分子量成分から構成され、(i)オリゴマー及び生理活性物質、または(ii)オリゴフッ素化オリゴマーを含むマトリックスコーティングに関する。このマトリックスコーティングは被験者に移植したとき自己消失性または生体内分解性である。このマトリックスコーティングは生体適合性を高めるために、且つ生理活性物質の局所送達をコントロールするために使用され得る。
【0046】
オリゴマー
本発明のマトリックスコーティングはオリゴマーを含む。本発明のマトリックスコーティング中に使用され得るオリゴマーには、非限定的にポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリシリコーン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニル誘導体、ポリペプチド、多糖、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン-ブチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレンブチレン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリジエチレングリコールフタレート、ポリジエチレングリコールアジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシオクタノエート、ポリヒドロキシバレレート、biOH(商標)大豆油誘導体(Cargill)、並びにその組合せ及び混合物が含まれる。
【0047】
マトリックスコーティングは、場合により生理活性物質に複合体形成されているか共有結合されているオリゴマー、または生理活性物質を含む混合物で適用されているオリゴマーを含み得る。
【0048】
コーティング中に充填される生理活性物質の量は所望の放出プロフィールとオリゴマーの設計に依存する。オリゴマーは、特定物質がデリバリーされるように、具体的用途のために必要な生体適合性を与えるように設計され得る。
【0049】
ポリマー複合体を形成する方法は2つ以上の複数ステップ手順であり得る。通常、本発明の方法及び組成物中に使用されるオリゴフッ素化オリゴマーは、いずれも参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,127,507号及び米国特許出願第11/404,290号に記載されているように製造され得る。
【0050】
生理活性物質
生理活性物質は本発明のコーティングに配合され得る。この配合は、マトリックスコーティング成分及び生理活性物質を一緒に混合し、この混合物を移植する前の物品の表面に適用することにより達成され得る。幾つかの場合には、生理活性物質はマトリックスコーティング中のオリゴマーに共有結合または複合体形成している。生理活性物質がどのようにオリゴフッ素化オリゴマーに共有結合または複合体形成するかの詳細説明はいずれも参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,770,725号及び米国特許出願第11/404,290号に記載されている。本発明の方法及び組成物において使用され得る生理活性物質には、治療薬、診断薬及び予防薬が含まれる。これらは天然に存在する化合物、合成有機化合物または無機化合物であり得る。本発明の方法及び組成物において使用され得る生理活性物質には、タンパク質、ペプチド、炭水化物、抗生物質、増殖抑制薬、ラパマイシンマクロライド、鎮痛薬、麻酔薬、抗血管新生薬、血管作用薬、抗凝血薬、免疫調節薬、細胞傷害性物質、抗ウイルス薬、抗血栓薬(例えば、テルブログレル及びラマトロバン)、抗体、神経伝達物質、向精神薬、オリゴヌクレオチド、タンパク質、脂質及び本明細書中に記載されている生理活性物質が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
治療薬の例には、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン)、カルシトニン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、毛様体神経栄養因子及び副甲状腺ホルモンが含まれる。他の具体的な治療薬には、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、ソマトスタチン、テストステロン、プロゲステロン、エストラジオール、ニコチン、フェンタニル、ノルエチステロン、クロニジン、スコポラミン、サリチラート、サルメテロール、ホルモテロール、アルブテロール、バリウム、ヘパリン、デルマタン、フェロクロムA、エリスロポエチン、ジエチルスチルベストロール、ルプロン、エストロゲンエストラジオール、アンドロゲンハロテスティン、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン、ゾラデックス、タキソール、リシノプリル/ゼストリル、ストレプトキナーゼ、アミノ酪酸、止血性アミノカプロン酸、パーロデル、タクリン、ポタバ、アジペックス、メンボラール、フェノバルビタール、インスリン、γ-グロブリン、アザチオプリン、パパイン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、エピネフリン、フルクロロニド、オキシコドンパーコセット、ダルガン、フレニリンブタビタル、プロカイン、ノボカイン、モルヒネ、オキシコドン、アロキシプリン、ブロムフェナク、ケトプロフェン、ケトロラック、ヘミン、ビタミンB-12、葉酸、マグネシウム塩、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンU、ビタミンL、ビタミンK、パントテン酸、アミノフェニル酪酸、ペニシリン、アシクロビル、オフロキサシン、アモキシシリン、トブラマイシン、レトロビル、エピビル、ネビラピン、ゲンタマイシン、デュラセフ、アベルセット、ブトキシカイン、ベノキシナート、トロペンジル、ジポニウム塩、ブタベリン、アポアトロピン、フェクレミン、レイオピロール、オクタミルアミン、オキシブチニン、アルブテロール、メタプロテレノール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセタミド、ブデソニドアセトニド、臭化イプラトロピウム、フルニソリド、クロモリンナトリウム、酒石酸エルゴタミン、及びタンパク質またはペプチド薬(例えば、TNFアンタゴニストまたはインターロイキンアンタゴニスト)が含まれる。例えば、生理活性物質は抗炎症剤、例えばNSAID、コルチコステロイド、またはCOX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコシキブ、バルデコキシブまたはルミラコキシブ)であり得る。
【0052】
診断薬の例には、造影剤、例えばポジトロン断層撮影法(PET)、コンピューター支援断層撮影法(CAT)、単光子放射型コンピューター断層撮影法、X線、透視診断法及び磁気共鳴画像法(MRI)において使用されるものが含まれる。MRIにおいて造影剤として使用するのに適した材料にはガドリニウムキレート、並びに鉄、マグネシウム、マンガン、銅及びクロムキレートが含まれる。CAT及びX線において有用な材料の例にはヨウ素を主成分とする材料が含まれる。
【0053】
好ましい生理活性物質は実質的に精製されているペプチドまたはタンパク質である。タンパク質は通常100個以上のアミノ酸残基から構成されると定義される。ペプチドは100個未満のアミノ酸残基である。別段の言及がない限り、本明細書中で使用されている用語「タンパク質」はタンパク質及びペプチドの両方を指す。タンパク質は、例えば天然源から単離することにより、組換えにより、またはペプチド合成により産生され得る。その例には、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン)、酵素(例えば、DNアーゼ、プロテアーゼ、尿酸オキシダーゼ、ラロニダーゼ、α-ガラクトシダーゼ及びα-グルコシダーゼ)、並びに抗生物質(例えば、トラスツズマブ)が含まれる。
【0054】
ラパマイシンマクロライド
ラパマイシン(シロリムス)は、ストレプトミセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)により産生される免疫抑制性ラクタムマクロライドである。例えば、参照により本明細書に組み入れるMcAlpine,J.B.ら,J.Antibiotics,44:688(1991);Schreiber,S.L.ら,J.Am.Chem.Soc.,113:7433(1991);及び米国特許第3,929,992号を参照されたい。本発明の方法及び組成物において使用され得るラパマイシンマクロライドの例には、非限定的にラパマイシン、CCI-779、エベロリムス(RAD001としても公知)及びABT-578が含まれる。CCI-779は米国特許第5,362,718号に開示されているラパマイシンのエステル(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロピオン酸との42-エステル)である。エベロリムスは米国特許第5,665,772号に開示されているアルキル化ラパマイシン(40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンである。
【0055】
増殖抑制薬
本発明の方法及び組成物において使用され得る増殖抑制薬の例には、非限定的にメクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ウラシルマスタード、エストラムスチン、マイトマイシンC、AZQ、チオテパ、ブスルファン、ヘプスルファム、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メトトレキサート、トリメトレキサート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、フルダラビン、カペシタビン、アザシチジン、チオグアニン、メルカプトプリン、アロプリン、クラドリビン、ゲムシタビン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、カンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ダクチノマイシン、イダルビシン、プリカマイシン、マイトマイシン、アムサクリン、ブレオマイシン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、フィナステリド、ケトコナゾール、タモキシフェン、フルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン、Gleevec(商標)(Novartis)、レフルノミド(Pharmacia)、SU5416(Pharmacia)、SU6668(Pharmacia)、PTK787(Novartis)、Iressa(商標)(AstraZeneca)、Tarceva(商標)(Oncogene Science)、トラスツズマブ(Genentech)、Erbitux(商標)(ImClone)、PKI166(Novartis)、GW2016(GlaxoSmithKline)、EKB-509(Wyeth)、EKB-569(Wyeth)、MDX-H210(Medarex)、2C4(Genentech)、MDX-447(Medarex)、ABX-EGF(Abgenix)、CI-1033(Pfizer)、Avastin(商標)(Genentech)、IMC-1C11(ImClone)、ZD4190(AstraZeneca)、ZD6474(AstraZeneca)、CEP-701(Cephalon)、CEP-751(Cephalon)、MLN518(Millenium)、PKC412(Novartis)、13-シス-レチノイン酸、イソトレチノイン、パルミチン酸レチニル、4-(ヒドロキシカルボフェニル)レチンアミド、ミソニダゾール、ニトラクリン、ミトキサントロン、ヒドロキシ尿素、L-アスパラギナーゼ、インターフェロンα、AP23573、セリバスタチン、トログリタゾン、CRx-026DHA-パクリタキセル、タクサオプレキシン、TPI-287、スフィンゴシンを主成分とする脂質及びミトタンが含まれる。
【0056】
コルチコステロイド
本発明の方法及び組成物において使用され得るコルチコステロイドの例には、非限定的に21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタソール、プロピオン酸クロベタソール、クロベタゾン、酪酸クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デルフラザコン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタソン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオロシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、ヘキサン酸フルオロコルトロン、吉草酸ジフルコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタマート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン21-ナトリウムスクシネート、ヒドロコルチゾンテブテイト、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニコロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタソン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、21-ジエドリルアミノ酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、21-m-スルホ安息香酸プレドニゾロンナトリウム、21-ステアログリコール酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、21-トリメチル酢酸プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、21-ジエチルアミノ酢酸プレドニリデン、チクソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド及びトリアムシノロンヘキソアセトニドが含まれる。類似の抗炎症性を有する構造的に関連するコルチコステロイドもこの群に包含される。
【0057】
NSAID
本発明の方法及び組成物において使用され得る非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)には、非限定的にナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサラート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク及びトルメチンが含まれる。
【0058】
鎮痛薬
本発明の方法及び組成物において使用され得る鎮痛薬の例には、非限定的にモルヒネ、コデイン、ヘロイン、エチルモルヒネ、O-カルボキシメチルモルヒネ、O-アセチルモルヒネ、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、テバイン、メトポン、エトルフィン、アセトルフィン、ジプレノルフィン、ブプレノルフィン、フェノモルファン、レボルファノール、エトヘプタジン、ケトベミドン、ジヒドロエトルフィン及びジヒドロアセトルフィンが含まれる。
【0059】
抗微生物薬
本発明の方法及び組成物において使用され得る抗微生物薬の例には、非限定的にペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メゾロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、テモシリン、セファロチン、セファピリン、セフラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セフロキシム、セファレキシン、セフプロジル、セファクロール、ロラカルベフ、セフォキシチン、セフメタゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフジニル、セフピロム、セフェピム、BAL5788、BAL9141、イミペネム、エルタペネム、メロペネム、アズトレオナム、クラブラン酸塩、スルバクタム、タゾバクタム、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、スペクチノマイシン、シソマイシン、ダイベカリン、イセパマイシン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、ABT-773、リンコマイシン、クリンダマイシン、バンコマイシン、オリタバンシン、ダルババンシン、テイコプラニン、キヌプリスチン及びダルホプリスチン、スルファニルアミド、p-アミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフィゾキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファサリジン、リネゾリド、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ペルフロキサシン、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、グレパフロキサシン、スパロフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、ゲミフロキサシン、シタフロキサシン、メトロニダゾール、ダプトマイシン、ガレノキサシン、ラモプラニン、ファロペネム、ポリミキシン、チゲサイクリン、AZD2563及びトリメトプリムが含まれる。
【0060】
局所麻酔薬
本発明の方法及び組成物において使用され得る局所麻酔薬の例には、非限定的にコカイン、プロカイン、リドカイン、プリロカイン、メピビカイン、ブピビカイン、アルチカイン、テトラカイン、クロロプロカイン、エチドカイン及びロピバカインが含まれる。
【0061】
鎮痙薬
本発明の方法及び組成物において使用され得る鎮痙薬の例には、非限定的にアトロピン、ベラドンナ、ベントチル、シストスパズ、デトロール(トルテロジン)、ジサイクロミン、ジトロパン、ドナタル、ドンナジム、ファスジル、フレクサリル、グリコピロレート、ホマトロピン、ヒヨスチアミン、レブシン、レブシネクス、リブラックス、マルコトラン、ノバルチン、オキシフェンサイクリミン、オキシブチニン、パミン、トルテロジン、チキジウム、プロザピン及びピナベリウムが含まれる。
【0062】
マトリックスコーティング
本発明のマトリックスコーティングは、オリゴマーの大きさ、その生理学的媒体中の溶解度を変化されることにより、及び/またはコーティングを載置させる表面と有利に相互作用するオリゴマーを使用することにより表面への接着が変化するように設計され得る。有利な相互作用には、例えば配位(すなわち、金属表面に配位するカルボキシレート基)及び/またはオリゴマーとデバイス表面の間の水素結合が含まれ得る。ある実施形態では、マトリックスコーティングを埋込型医療デバイスの表面に適用して、薄い(すなわち、0.5〜5.0ミクロンの厚さ)コーティングを形成する。本発明のマトリックスコーティングはベースポリマーの特性を有していないので、デバイスの物理的操作(例えば、ステントのクリンプ加工及び配置)中に剥離または亀裂が起きにくい。本発明のマトリックスコーティングは、マトリックス内に配合されている生理活性物質のマトリックスからの拡散速度を制限することにより生理活性物質の放出をコントロールする。修飾された放出プロフィールは、マトリックス成分の分子量が低く、コーティングが自己消失性または生体内分解性であるにもかかわらず、達成される。
【0063】
上記コーティングの主な機能は、一定時間に生理活性物質を局所的にデリバリーさせ、治療期間が完了したらデバイス表面をそのまま完全に残し得る。場合により、マトリックスコーティングを生理活性物質と複合体形成させても、共有結合させても、または物理的に組み合わせても、或いは生理活性物質を含む混合物で適用してもよい。マトリックスコーティング中に充填される生理活性物質の量は所望する局所濃度及びマトリックスコーティングからの放出プロフィールに依存する。
【0064】
本発明のマトリックスコーティングは、マトリックスのオリゴマーがデバイスの表面から消失する間無傷のままであるので生体内分解性または生体吸収性ポリマーとは大きく異なる。ある実施形態では、生理活性物質を加水分解可能リンカーを介してマトリックス中のオリゴマーに共有結合させる。これらの実施形態では、リンカーの加水分解はマトリックス内で、または生理活性物質がデバイスの表面から拡散した後に起こり得ると理解される。pHの局所的変化及び炎症性副生成物の生成を避けるために移植部位の近くでの加水分解を制限することが望ましい。
【0065】
本発明のマトリックスコーティングは複数の方法で医療デバイスの表面に適用され得、前記方法には溶液または懸濁液からマトリックスコーティング材料を浸漬する、噴霧する、はけ塗りする、印刷する、またはスピンコーティングした後、所要により溶媒を除去するステップが含まれるが、これらに限定されない。マトリックスコーティングを適用し得る方法の更なる説明は実施例中に見られる。
【0066】
被覆医療デバイス
各種の埋込型医療デバイスは本発明の組成物及び方法を用いて被覆され得る。埋込型医療デバイスは、その生体適合性を改善させるため、且つ生理活性物質を移植部位にデリバリーするために被覆され得る。医療デバイスには、非限定的にカテーテル、誘導線、血管ステント、微小粒子、プローブ、センサー、薬物デポ、経皮パッチ、血管パッチ及びチューブが含まれる。医療デバイスーは埋込型デバイス、経皮デバイスまたは皮膚デバイスであり得る。埋込型デバイスには患者に完全に移植される、すなわち完全に内部にある物品が含まれる。経皮デバイスには、皮膚を貫通して身体の外部から身体に延びるものが含まれる。皮膚デバイスは表面的に使用される。埋込型デバイスには、非限定的に人工器具(例えば、ペースメーカー)、導線(例えば、ベースメーカー導線)、除細動器、人工心臓、心室補助装置、解剖学的再建人工器官(例えば、乳房インプラント、人工心臓弁、心臓弁ステント、心膜パッチ、手術用パッチ、冠動脈ステント、血管グラフト、血管及び構造ステント、血管または心血管シャント)、生物学的導管、綿球、縫合糸、輪状形成術用リング、ステント、ステープル、有弁グラフト、創傷治療用皮膚グラフト、整形外科用脊髄インプラント、整形外科用ピン、子宮内デバイス、泌尿器系ステント、顎顔面再建用プレート、歯科用インプラント、眼内レンズ、クリップ、胸骨ワイヤー、骨、皮膚、靱帯、腱及びその組合せが含まれる。経皮デバイスには、非限定的に各種タイプのカテーテル、カニューレ、排液管(例えば、胸腔チューブ)及び手術器具(例えば、ピンセット、開創器、針及びカテーテルカフ)が含まれる。皮膚デバイスには、非限定的に火傷包帯、創傷包帯及び歯科用ハードウェア(例えば、ブリッジ支持部材及びブレイシング構成部品)が含まれる。
【0067】
下記実施例は、特許請求の範囲に記載されている方法及び化合物をどのように実施、作製及び評価するかの完全な開示及び記載を当業者に与えるために提示されており、本発明の単なる例示であると意図され、本発明者らが本発明と見なす範囲を限定するものと意図されない。
【0068】
略語
以下の略語はリストされている化合物を指す:
ACD 酸-クエン酸-デキストロース
BAL ポリ(ジフルオロメチレン),α-フルオロ-ω-(2-ヒドロキシエチル)
BPH ネオペンチルグリコール無水フタル酸を主成分とするポリエステルジオール
CDCl3 重水素化クロロホルム
DBDL ジラウリン酸ジブチルスズ
DCM ジクロロメタン
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
DL-PLGA DL-ポリ乳酸-コ-グリコール酸ポリマー
DMAc ジメチルアセトアミド
DMAP 4-(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtO エチレンオキシド
HCAEC ヒト冠動脈内皮細胞
HCl 塩酸
HLB ヒドロキシ末端ポリブタジエン
HPCN ヘキサメチレンポリカーボネートジオール
KBr 臭化カリウム
KD ダンシル標識リシン
LDI リシンジイソシアネート
MeOH メタノール
NaOH 水酸化ナトリウムExam
N2 窒素ガス
OPCN メチルポリカーボネートジオール
PBS リン酸緩衝溶液
PCAEC ブタ冠動脈内皮細胞
PEB ポリエチレン-コ-ブタジエンジオール
PET ポリエチレンテレフタレート
PCL ポリカプロラクトン
PTT 部分トロンボプラスチン時間
PTMO ポリテトラメチレンオキシド
PTX パクリタキセル
RBC 赤血球
SA サリチル酸
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TMX m-テトラメチルキシレンジイソシアネート
TweenPBS リン酸緩衝溶液中0.05%Tween20。
【0069】
一般的実験プロトコル
カチオン性固相抽出(SCX-SPE):反応混合物から小さなカチオン性化合物を除去するために、予め充填したカチオン性シリカゲルカラム(プラスチック)を使用する。
【0070】
フルオラス固相抽出(F-SPE):過フッ素化オリゴマーを選択的に保持して非フッ素化化合物を分離するために、過フッ素化リガンドで修飾したSPE基質(F-SPE)を使用する。
【0071】
元素分析:サンプルを燃焼し、遊離したフッ素を水に吸収させ、イオン選択電極により分析する。
【0072】
FTIR分析:サンプルを適当な揮発性溶媒中に20mg/mL溶液として溶解し、この溶液の50μLをKBrディスク上でキャストする。乾燥したら、サンプルを分析する。
【0073】
GPC分析:サンプルを適当な溶媒(THF、ジオキサン、DMF)中に20mg/mL溶液として溶解し、ポリスチレン標準で較正したポリスチレンカラムを用いて分析する。
【0074】
NMR:サンプルを適当な溶媒中に20mg/mL溶液で溶解し、300または400MHz NMR分光計を用いて分析する。
【0075】
SEM:表面を金で被覆し、20kVの加速電圧で画像を撮る。
【0076】
XPS分析:フィルムを90°取出し角度を用いて分析する。
【0077】
オリゴマー:各種化学組成を有するフッ素化及び非フッ素化オリゴマーを製造して、コーティング、残留時間及び医薬化合物との相容性を評価する。
【0078】
医薬:化合物を細胞相互作用のモード及び薬物デリバリーマトリックスとの相互作用に利用可能な官能基に従って選択する。
【0079】
コーティング:オリゴマーの薄いコーティングを立証し、確立するためにコーティング方法を実施する。
【0080】
残留時間:流動及びシンク条件(人工尿、ブタ血液、ウシ血液、ブタ血漿及び心筋)を使用して、残留時間を測定する。
【実施例1】
【0081】
化合物1(オリゴフルオロ-エステル)の合成及び特性評価
PTMO(15.0g,14ミリモル)をN2下70℃でDMAc(80mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(5.9g,28ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(13.15g,31ミリモル)をDMAc(25mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物1)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=25分。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)4.24-4.46(-CH2-O,BAL),3.94-4.13(-CH2-O-CO,PTMO),3.74(CH3,LDI),3.28-3.50(CH2-O,PTMO),2.98-3.28(CH2-NH,LDI),2.29-2.60(-CH2-CF2-,BAL),1.16-1.96(PTMO及びLDI CH2)。IR分析は化学構造に一致した:3318cm-1 ν(N-H)H-結合,2930cm-1 ν(C-H),2848cm-1 ν(C-H),1712cm-1 ν(C=O)ウレタンアミド,1524cm-1 ν(C-N),1438cm-1 ν(C-N),1356cm-1 ν(C-O),1400-1000cm-1 ν(C-F)。元素分析:20% F。DSC分析:Tg=-69℃。化合物1をMeOH中に溶解し、1000 MWCO再生セルロース膜を用いて3日間透析することにより更に精製した(化合物1-D)。
【実施例2】
【0082】
化合物2(オリゴフルオロ-酸)の合成及び特性評価
化合物1をMeOH中に溶解し、1N NaOHで処理した。生成物(化合物2)を1N HClで中和し、水中に沈殿させ、乾燥した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=25分。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)4.26-4.48(-CH2-O,BAL),3.96-4.23(-CH2-O-CO,PTMO),3.30-3.52(CH2-O,PTMO),3.07-3.22(CH2-NH,LDI),2.36-2.55(-CH2-CF2-,BAL),1.14-1.94(PTMO及びLDI CH2)。IR分析は化学構造に一致した:3318cm-1 ν(N-H)H-結合,2930cm-1 ν(C-H),2848cm-1 ν(C-H),1712cm-1 ν(C=O)ウレタンアミド,1524cm-1 ν(C-N),1438cm-1 ν(C-N),1356cm-1 ν(C-O),1400-1000cm-1 ν(C-F)。化合物2をMeOH中に溶解し、1000 MWCO再生セルロース膜を用いて3日間透析することにより更に精製した(化合物2-D)。
【実施例3】
【0083】
化合物3(オリゴフルオロ-ダンシル、共有結合)の合成及び特性評価
化合物2-D(2.0g,1.71ミリモル酸)を無水DMF(25mL)中に溶解した。溶液を冷却し、DIC(0.215g,1.71ミリモル)を添加し、溶液をN2下室温で2時間攪拌した。無水DMF(9mL)中のTEA(0.345g,3.41ミリモル)及びダンシル標識リシン(KD)(0.718g,1.71ミリモル)を活性化化合物2-Dに添加し、溶液をN2下室温で12時間十分に攪拌した。生成物(化合物3)をカチオン性及びフルオラスSPEを用いて精製し、回転蒸発により回収した。GPC(ジオキサン移動相):遊離KDは検出されず、ポリマーピークは強いUV吸収を有していた。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)7.14-8.59(芳香族H,KD),4.46-4.66(CH2-N,KD),4.28-4.48(-CH2-O,BAL),3.90-4.17(-CH2-O-CO,PTMO),3.31-3.54(CH2-O,PTMO),3.06-3.26(CH2-NH,LDI),2.81-3.00(CH3,KD),2.32-2.58(-CH2-CF2-,BAL),1.08-1.94(CH2,PTMO,LDI及びKD)。化合物3の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析:MeOH中0.0005〜50mg/mLの濃度のサンプルを注入し、MeOH/pH9バッファー移動相を用いて分析した。遊離KD(標準溶液)は21分に溶離し、化合物3は35分に遊離KD汚染の証拠なしに溶離した(図1)。
【実施例4】
【0084】
化合物4(オリゴフルオロ-PTX、共有結合)の合成及び特性評価
化合物2-D(1.5g,1.36ミリモル酸)を無水DCM(150mL)中に溶解した。溶液を冷却し、DIC(0.342g,2.71ミリモル)を添加し、溶液をN2下室温で2時間攪拌した。無水DCM(75mL)中のDMAP(0.496g,4.07ミリモル)及びPTX(2.31g,2.71ミリモル)を活性化化合物2-Dに添加し、溶液をN2下室温で3日間十分に攪拌した。生成物(化合物4)をフルオラスSPEを用いて精製し、回転蒸発により回収した。GPC(ジオキサン移動相):遊離PTXは検出されず、ポリマーピークは強いUV吸収を有していた。1H NMR(300MHz,DMSO) δ(ppm)7.11-8.15(芳香族H,PTX),6.24-6.30(C10),5.79-5.88(C3'),5.53-5.63(C2'コンジュゲート),5.32-5.44(C2),4.81-4.93(C5),4.56-4.62(C7),4.16-4.35(-CH2-O,BAL),3.84-3.96(-CH2-O-CO,PTMO),3.13-3.40(CH2-O,PTMO),2.21-2.27(OAc,C4),2.02-2.09(OAc,C10),1.68-1.70(C18),1.04-1.60(CH2,PTMO,LDI),0.90-1.02(C16,C17)。
【実施例5】
【0085】
化合物5(オリゴマー-MeOH)の合成及び特性評価
PTMO(15.0g,14ミリモル)をN2下70℃でDMAc(60mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(5.9g,28ミリモル)と2時間反応させた。MeOH(0.9g,28ミリモル)をDMAc(25mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物5)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):26分。1H NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)4.27-4.39(-CH-,LDI),4.02-4.14(-CH2-O-CO,PTMO),3.73-3.78(CH3,LDI),3.60-3.70(-OCH3,MeOH),3.30-3.53(CH2-O,PTMO),3.09-3.21(CH2-NH,LDI),1.22-1.91(PTMO及びLDI CH2)。
【実施例6】
【0086】
化合物6(TMX-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
PTMO(15.0g,14ミリモル)をN2下70℃でDMAc(60mL)中、DBDL触媒の存在下でTMX(6.79g,28ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(12.85g,30ミリモル)をDMAc(20mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一攪拌晩した。生成物(化合物6)を溶媒抽出により精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=26.5分。1H NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)7.2-7.4(-CH-,TMX),4.23-4.37(-CH2-O-,BAL),3.9-4.06(-CH2-O-CO,PTMO),3.32-3.52(CH2-O,PTMO),2.29-2.57(-CH2-CF2-,BAL),1.16-1.96(-CH2-PTMO及び-CH3 TMX)。IR分析は化学構造に一致した:3308cm-1 ν(N-H)H-結合,2936cm-1 ν(C-H),2852cm-1 ν(C-H),1716cm-1 ν(C=O)ウレタンアミド,1520cm-1 ν(C-N),1456cm-1 ν(C-N),1362cm-1 ν(C-O),1400-1000cm-1 ν(C-F)。DSC分析:Tg=-55℃。化合物6をMeOH中に溶解し、1000 MWCO再生セルロース膜を用いて3日間透析することにより更に精製した(化合物6-D)。
【実施例7】
【0087】
化合物7(PCL-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
PCLジオール(10g,8ミリモル)をN2下70℃でDMAc(17mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(3.39g,16ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(7.39g,18ミリモル)をDMAc(20mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物7)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=26.8分。遊離PCLジオールは検出されなかった。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)4.27-4.48(-CH2-O,BAL),4.17-4.26(-CH2-O-CO-N,PCL),3.96-4.12(-CH2-O-CO-,PCL),3.71-3.76(CH3,LDI),3.09-3.22(CH2-NH,LDI),2.39-2.53(-CH2-CF2-,BAL),2.26-2.38(CO-CH2-,PCL),1.13-1.76(PCL及びLDI CH2)。DSC分析:Tg=-53℃,Tm=39℃。化合物7をアセトン中に溶解し、1000 MWCO再生セルロース膜を用いて3日間透析することにより更に精製した(化合物7-D)。
【実施例8】
【0088】
化合物8(OPCN-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
メチルポリカーボネートジオール(OPCN,10.0g,10ミリモル)をN2下70℃で無水DMAc(70mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(4.24g,20ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(9.24g,22ミリモル)を無水DMAc(25mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物8)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=24.7分。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)4.27-4.51(-CH2-O,BAL),3.82-4.07(-CH2-O,OPCN),3.65-3.80(-CH3,LDI),3.07-3.27(CH2-NH,LDI),2.32-2.59(-CH2-CF2-,BAL),1.18-1.94(CH2,LDI),0.84-1.09(-CH3,OPCN)。DSC分析:Tg=-3℃。化合物8をアセトン中に溶解し、1000 MWCO再生セルロース膜を用いて3日間透析することにより更に精製した(化合物8-D)。
【実施例9】
【0089】
化合物9(HPCN-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
ヘキサメチレンポリカーボネートジオール(HPCN,10.0g,5ミリモル)をN2下70℃で無水DMAc(65mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(2.12g,10ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(4.62g,11ミリモル)を無水DMAc(15mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物9)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=24.2分。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)4.30-4.43(-CH2-O,BAL),3.97-4.22(-CH2-O,HPCN),3.69-3.78(-CH3,LDI),3.10-3.23(CH2-NH,LDI),2.37-2.55(-CH2-CF2-,BAL),1.13-1.89(CH2,LDI及びHPCN)。DSC分析:Tg=-40℃。化合物9をアセトン中に溶解し、1000 MWCO再生セルロース膜を用いて3日間透析することにより更に精製した(化合物9-D)。
【実施例10】
【0090】
化合物10(PEB LDI-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
PEBジオール(14.96g,6.0ミリモル)をN2下70℃で無水トルエン(60mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(2.54g,12.0ミリモル)と2時間反応させた。少し加熱しながら過フルオロアルコール(5.541g,13.2ミリモル)を無水トルエン(20mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下70℃で一晩攪拌した。生成物(化合物10)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(THF移動相):保持時間=21分。1H NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)4.29-4.45(CH2-O,BAL),4.02-4.11(-CH-,LDI,-CH-O-CO,PEB),3.92-4.02(-CH2-O-CO,PEB),3.75(-CH3,LDI),3.10-3.22(-CH2-NH-,LDI),2.38-2.57(-CH2-CF2-,BAL),0.76-1.92(-CH2 PEB及びLDI,-CH3,-CH-PEB)。DSC分析:Tg=-16℃。
【実施例11】
【0091】
化合物11(PEB TMX-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
PEBジオール(15.10g,6.0ミリモル)をN2下70℃で無水トルエン(60mL)中、DBDL触媒の存在下でTMX(2.94g,12.1ミリモル)と2時間反応させた。少し加熱しながら過フルオロアルコール(5.55g,13.2ミリモル)を無水トルエン(20mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下70℃で一晩攪拌した。生成物(化合物11)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(THF移動相):保持時間=21.5分。1H NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)7.20-7.48(-CH-,TMX),4.22-4.37(-CH2-O,BAL),3.90-4.03(-CH-O-CO,PEB),3.85-3.92(-CH2-O-CO,PEB),2.33-2.55(-CH2-CF2-,BAL),0.71-1.72(-CH2-,CH3,-CH-,PEB及び-CH3,TMX)。DSC分析:Tg=-13℃。
【実施例12】
【0092】
化合物12(HLB-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
LBH-P水素化ヒドロキシル末端ポリブタジエン(HLB,10.0g,5ミリモル)をN2下70℃で無水トルエン(65mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(2.12g,10ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(4.62g,11ミリモル)を無水トルエン(15mL)中に溶解し、45℃とし、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物12)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=23.9分。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)4.28-4.46(-CH2-O,BAL),4.00-4.14(-CH2-O,HLB),3.72-3.80(-CH3,LDI),3.08-3.22(CH2-NH,LDI),2.37-2.54(-CH2-CF2-,BAL),0.57-1.75(CH2及びCH,LDI及びHLB)。DSC分析:Tg=-49℃。
【実施例13】
【0093】
化合物13(BPH-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
ネオペンチルグリコール無水フタル酸をベースとするポリエステルジオール(BPH,10.0g,10ミリモル)をN2下70℃で無水DMAc(70mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(4.24g,20ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(9.24g,22ミリモル)を無水DMAc(25mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物13)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=25.4分。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)7.41-7.79(芳香族H,BPH),4.25-4.44(-CH2-O,BAL),4.05-4.21(-CH2-O,BPH),3.67-3.79(-CH3,LDI),3.06-3.25(CH2-NH,LDI),2.32-2.56(-CH2-CF2-,BAL),1.26-1.90(CH2,LDI),0.86-1.11(-CH3,BPH)。
【実施例14】
【0094】
化合物14(322-PT-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
PTMO(5.0g,5ミリモル)をN2下70℃で無水DMAc(35mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(1.59g,7.5ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(2.31g,5.5ミリモル)を無水DMAc(10mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物14)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=24分。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)4.23-4.49(-CH2-O,BAL),4.00-4.18(-CH2-O,PTMO),3.69-3.79(-CH3,LDI),3.30-3.59(-CH2-O,PTMO),3.09-3.25(CH2-NH,LDI),2.37-2.57(-CH2-CF2-,BAL),1.09-1.94(CH2,LDI及びPTMO)。元素分析:13.7wt% F。
【実施例15】
【0095】
化合物15(652-PT-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
PTMO(5.0g,5ミリモル)をN2下70℃で無水DMAc(35mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(1.27g,6ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(0.92g,2.2ミリモル)を無水DMAc(5mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物15)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=23分。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)4.27-4.44(-CH2-O,BAL),3.98-4.17(-CH2-O,PTMO),3.69-3.79(-CH3,LDI),3.27-3.52(-CH2-O,PTMO),3.09-3.22(CH2-NH,LDI),2.34-2.54(-CH2-CF2-,BAL),1.01-1.90(CH2,LDI及びPTMO)。元素分析:4.3wt% F。
【実施例16】
【0096】
化合物16(12112-PT-オリゴフルオロ)の合成及び特性評価
PTMO(10.0g,10ミリモル)をN2下70℃で無水DMAc(115mL)中、DBDL触媒の存在下でLDI(2.32g,10.9ミリモル)と2時間反応させた。過フルオロアルコール(0.84g,2ミリモル)を無水DMAc(5mL)中に溶解し、反応物に添加し、N2下室温で一晩攪拌した。生成物(化合物16)を溶媒抽出及びカチオン性SPEにより精製した。GPC(ジオキサン移動相):保持時間=22分。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)4.27-4.44(-CH2-O,BAL),3.98-4.17(-CH2-O,PTMO),3.69-3.79(-CH3,LDI),3.27-3.52(-CH2-O,PTMO),3.09-3.22(CH2-NH,LDI),2.34-2.54(-CH2-CF2-,BAL),1.01-1.90(CH2,LDI及びPTMO)。元素分析:1.3wt% F。
【実施例17】
【0097】
化合物1のステント上へのコーティング、PBS中に配置前及び後のコーティングの評価
化合物1(1.0g)をトルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、使用するまで室温で保持した。この溶液を化合物1に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧し、ステントを乾燥するために50℃フローオーブン中に20〜24時間置いた。SEM分析(図2)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。加えて、化合物1コーティングを、ステントをバルーン上でクリンプ加工し、PBS下で0.125"ID×0.25"OD Sil-Tec医療用グレードシリコーンチューブに37℃で配置した後評価した(図3)。
【実施例18】
【0098】
化合物2のステント上へコーティング
化合物2(1.0g)をTHF:トルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、使用するまで室温で保持した。この溶液を化合物2に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧し、ステントを乾燥させるために50℃フローオーブン中に20〜24時間置いた。SEM分析(図4)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示唆した。
【実施例19】
【0099】
化合物3のステント上へのコーティング、空気中配置前または後のコーティングの評価
化合物3(0.2g)をTHF:トルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、直ちに使用した。この溶液を化合物3に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧し、ステントを乾燥させるために50℃フローオーブン中に20〜24時間置いた。共焦点/蛍光顕微鏡画像を撮り、ステント上のコーティングの存在を示した(図5)。加えて、化合物3コーティングは生成物のバルーン上でのクリンプ加工(図6)及び空気中の配置(図7)を含めた加工中十分な完全性を有している。
【実施例20】
【0100】
化合物4のステント上へのコーティング及びPTXのTweenPBSへの放出
化合物4(0.2g)をトルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌した。この溶液を化合物4に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧し、ステントを50℃フローオーブン中で20〜24時間乾燥した。SEM分析(図8)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。PTX放出をTweenPBSを用いて37℃で調査した。TweenPBS(1mL)を各ステントに添加し、毎日交換した。PTX放出を、内部標準としてベンゾニトリルを用いてRP-HPLCにより調べた:(ng/ml):(1日目)=32,(2日目)=25、(3日目)=22、(4日目)=6、(5日目)=3、(6日目)=2。
【実施例21】
【0101】
化合物5のステント上へのコーティング
化合物5(0.2g)をトルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、使用するまで室温で保存した。この溶液を化合物5に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧し、ステントを乾燥させるために50℃フローオーブン中に20〜24時間置いた。SEM画像(図9)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示している。
【実施例22】
【0102】
化合物6のステント上へのコーティング
化合物6(0.2g)をトルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、使用するまで室温で保存した。この溶液を化合物6に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧し、ステントを乾燥させるために50℃フローオーブン中に20〜24時間置いた。SEM画像(図10)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例23】
【0103】
化合物7のステント上へのコーティング
化合物7(0.2g)をトルエン中に溶解し、コーティングのために使用するまで室温で24時間攪拌した。この溶液を化合物7に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントを50℃フローオーブン中で20〜24時間乾燥した。SEM画像コレクションを使用して、コーティング品質を確認した(図11)。
【実施例24】
【0104】
化合物8のステント上へのコーティング
化合物8(0.4g)をTHF中に溶解し、室温で24時間攪拌し、コーティングのために使用した。この溶液を化合物8に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントをヒュームフード中で室温で24時間乾燥した。SEM画像(図12)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例25】
【0105】
化合物9のステント上のコーティング
化合物9(0.4g)をTHF中に溶解し、室温で24時間攪拌し、コーティングのために使用した。この溶液を化合物9に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントをヒュームフード中で室温で24時間乾燥した。SEM画像(図13)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例26】
【0106】
化合物10のステント上へのコーティング
化合物10(0.2g)をトルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、コーティングのために使用した。この溶液を化合物10に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントを50℃フローオーブン中で20〜24時間乾燥した。SEM画像(図14)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例27】
【0107】
化合物11のステント上へのコーティング
化合物11(0.2g)をトルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、コーティングのために使用した。この溶液を化合物11に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステンに噴霧した。ステントを50℃フローオーブン中で20〜24時間乾燥した。SEM画像(図15)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例28】
【0108】
化合物12のステント上へのコーティング
化合物12(0.4g)をクロロホルム中に溶解し、室温で24時間攪拌し、コーティングのために使用した。この溶液を化合物12に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントをヒュームフード中で室温で3日間乾燥した。SEM画像(図16)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例29】
【0109】
化合物14のステント上へのコーティング
化合物14(0.4g)をTHF中に溶解し、室温で24時間攪拌し、コーティングのために使用した。この溶液を化合物14に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントをヒュームフード中で室温で3日間乾燥した。SEM画像(図17)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例30】
【0110】
化合物15のステント上へのコーティング
化合物15(0.4g)をTHF中に溶解し、室温で24時間攪拌し、コーティングのために使用した。この溶液を化合物15に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントをヒュームフード中で室温で3日間乾燥した。SEM画像(図18)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例31】
【0111】
化合物1+化合物7のステント上へのコーティング
化合物1(0.2g)をTHF中に溶解し、THF中に溶解した化合物7(0.2g)を添加した。生じた溶液を室温で24時間攪拌し、コーティングのために使用した。この溶液を化合物1+7に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントをヒュームフード中で室温で3日間乾燥した。SEM画像(図19)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例32】
【0112】
化合物2+8.8wt% PTXの調製及びステント上へのコーティング
化合物2(0.332g)及びPTX(0.032g)をTHF:トルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、直ちに使用した。この溶液を化合物2+PTXに特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧し、ステントを乾燥させるために50℃フローオーブン中に20〜24時間置いた。SEM分析(図20)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例33】
【0113】
化合物6+8.8wt% PTXの調製及びステント上へのコーティング
化合物6(0.332g)及びPTX(0.032g)をTHF:トルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、直ちに使用した。この溶液を化合物6+8.8wt% PTXに特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧し、ステントを乾燥させるために50℃フローオーブン中に20〜24時間置いた。SEM分析(図21)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。
【実施例34】
【0114】
化合物1、2、5、6及び7とサリチル酸(SA)の組合せ及びSAの放出プロフィール
化合物1、2、5、6及び7(0.075g)を窒素保護下MeOH中でSA(0.025g)と混合し、攪拌し、回転蒸発及び真空乾燥により溶媒から分離した。対照も調製した。化合物1、2、5、6及び7(0.075g)をMeOH中に溶解し、回転蒸発及び真空乾燥により溶媒から分離した。各バイアル(化合物+SA及び対照)にPBS(10mL)を添加し、希釈サンプルからのSA放出を1、2、3、4、6及び24時間時点でUV/Vis分光光度計を用いて294nmで測定した。Beer-Lambert較正プロットをSA(0〜0.05mg/mL SA)の溶液を用いて作成した。化合物1+SA:(1時間)=1.137、(2時間)=0.248、(3時間)=0.120、(4時間)=0.247、(6時間)=0.136、(24時間)=0.651。化合物2+SA:(1時間)=1.249、(2時間)=0.316,(3時間)=0.084、(4時間)=0.207、(6時間)=0.305、(24時間)=0.373。化合物5+SA:(1時間)=0.518、(2時間)=0.230、(3時間)=0.166、(4時間)=0.268、(6時間)=0.583、(24時間)=0.873、化合物6+SA:(1時間)=0.882、(2時間)=0.364、(3時間)=0.218、(4時間)=0.282、(6時間)=0.424、(24時間)=0.687。化合物7+SA:(1時間)=0.689。製剤中の化学組成と官能基が所望の放出プロフィールのためにコーティングマトリックスを調整できることを表している。媒体中のSAの量は、プラットフォームが相互作用するだけでなく医薬成分を放出できることも示している。
【実施例35】
【0115】
PTXの化合物1、2及び6からTweenPBSへの放出
化合物1、2及び6をDCM中で5、8.8及び20wt%のPTXと混合し、各溶液のアリコート(0.1mL)を2つの4mL容量のガラスバイアルに移した。溶媒を蒸発させ、バイアルを真空下周囲温度で乾燥した。TweenPBS(1mL)を各バイアルに添加し、バイアルを37℃でインキュベートした。1時間後、バッファーを抜き取り、PTX含量をHPLCにより分析した(図22)。
【実施例36】
【0116】
PTXの化合物1及び6からTweenPBSへの放出
化合物1及び6をDCM中で5及び8.8wt%のPTXと混合し、各溶液のアリコート(0.1mL)を2つの4mL容量のガラスバイアルに移した。TweenPBS(1mL)を各バイアルに添加し、バイアルを20及び37℃でインキュベートした。選択した時点で(1、2、3、4及び5日目)、バッファーをHPLCによるPTX分析(図23及び24)のために抜きとり、TweenPBS(1mL)を補充した。
【実施例37】
【0117】
PTXの化合物1及びSIBSからTweenPBSへの放出
化合物1及びSIBSを表1に記載されているように秤量して4mL容量のガラスバイアルに入れ、THF:トルエン中に溶解した。PTX(0.04g)をTHF:トルエン中に溶解し、PTX溶液を化合物1及びSIBS溶液(1バイアルあたり0.001g PTX)に添加し、一晩混合した。各バイアルから溶媒を真空下で急速に除去し、一晩乾燥した。各バイアルにTweenPBS(1mL)を添加し、24時間後にPTXの放出をHPLCにより調べた(表1)。
【表1】

【0118】
データは、従来のベースポリマー薬物放出と自己消失性薬物放出間で有効性の点で大きな差があることを示している。
【実施例38】
【0119】
化合物1+8.8wt% PTXの調製、ステント上へのコーティング及びPTXの放出プロフィール
化合物1(0.33g)をTHF:トルエン中に溶解し、PTX溶液(0.032g/mL)と混合し、室温で24時間攪拌し、直ちに使用した。この溶液を化合物1+8.8wt% PTXに特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧し、ステントを50℃フローオーブン中で20〜24時間乾燥した。SEM分析(図25)は、ストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。各ステントにTweenPBSまたはMilliQ水(1mL)を添加し、TweenPBS及び水を毎日交換しながら37℃でインキュベートした。PTX放出を内部標準としてベンゾニトリルを用いてRP-HPLCにより調べた:TweenPBS(ng/mL):(1日目)=9731、(2日目)=4330、(3日目)=2523、及び水(ng/mL):(1日目)=2810、(2日目)=1489、(3日目)=1146。
【実施例39】
【0120】
化合物1、6、7、1+7、8、9及び12+1wt% PTXの調節、ステント上へのコーティング及びPTXのTweenPBS及び水への放出プロフィール
化合物1、6、7、1+7、8、9及び12(0.4g)をTHF中に溶解し、PTX溶液(0.032g/mL)と混合し、室温で24時間攪拌し、直ちに使用した。この溶液を各化合物+1wt% PTXに特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントをヒュームフード中で室温で4日間乾燥した。SEM分析(図26a〜g)は、いずれのコーティングについてもストラット間のウェビングが最少の薄いコーティングを示した。PTX放出をTweenPBS及びMilliQ水(化合物1+7についてはTweenPBSのみ)中37℃で調査した。各ステントにTweenPBSまたは水(1mL)を添加し、毎日交換した。PTX放出を内部標準としてベンゾニトリルを用いてRP-HPLCにより調べた:化合物1(TweenPBS(ng/mL):(1日目)=889、(2日目)=743、(3日目)=354、及び水(ng/mL):(1日目)=669、(2日目)=488、(3日目)=367。化合物6(TweenPBS(ng/mL):(1日目)=1106、(2日目)=816、(3日目)=536、(4日目)=279、(5日目)=168、及び水(ng/mL):(1日目)=641、(2日目)=596、(3日目)=441、(4日目)=345、(5日目)=320。化合物7(TweenPBS(ng/mL):(1日目)=1161、(2日目)=888、(3日目)=932、(4日目)=600、(5日目)=397、(6日目)=453、(7日目)=399、(8日目)=331、(9日目)=272、及び水(ng/mL):(1日目)=588、(2日目)=500、(3日目)=434、(4日目)=397、(5日目)=332、(6日目)=299、(7日目)=292、(8日目)=238、(9日目)=201。化合物1+7(TweenPBS(ng/mL):(1日目)=808、(2日目)=735、(3日目)=701、(4日目)=546。化合物8(TweenPBS(ng/mL):(1日目)=1338、(2日目)=1040、(3日目)=878、(4日目)=571、(5日目)=409、及び水(ng/mL):(1日目)=928、(2日目)=593、(3日目)=681、(4日目)=681、(5日目)=646。化合物9(TweenPBS(ng/mL):(1日目)=804、(2日目)=628、(3日目)=421、及び水(ng/mL):(1日目)=498、(2日目)=334,(3日目)=250。化合物12(TweenPBS(ng/mL):(1日目)=1086、及び水(ng/mL):(1日目)=1717。製剤中の化学組成と官能基が所望の放出プロフィールのためにコーティングマトリックスを調整できることを表している。媒体中のPTXの量は、プラットフォームが相互作用するだけでなく医薬成分を放出できることも示している。
【実施例40】
【0121】
心筋と接触後のステンレス鋼試験片上の化合物1+8.8wt% PTXからのPTXの放出
化合物1(0.40g)及びPTX(0.0386g)をトルエン:THF中に溶解し、一晩攪拌した。約3.5cm×1cmの寸法のステンレス鋼試験片(1.5g)をアセトン中に浸し、45分間音波処理し、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。各試験片の片側を溶液で被覆し、個々の試験片上の化合物1+PTXの平均質量を測定した(0.005〜0.008g)。ステンレス鋼試験片の被覆側を心筋(7.0〜13.0g)と接触させて置き、アンビリカルテープで固定した(図27)。選択した時点で(1及び24時間)、3つの試験品及び2つの対照品を取り出し、水ですすぎ、フローオーブン中で50℃で一晩乾燥した(図28)。次いで、コーティングをTHF(15mL)を用いて3日間ストリッピングし、ストリッピング溶液のアリコート(1mL)をHPLC分析(アセトニトリル:水移動相)にかけて、試験片上に残留している平均PTXを測定した(図29)。
【実施例41】
【0122】
心筋と接触後のステンレス鋼試験片上の化合物1+1wt% PTXからのPTXの放出
化合物1(0.405g)及びPTX(0.004g)をトルエン:THF中に溶解し、一晩攪拌した。約3.5cm×1cmの寸法のステンレス鋼試験片(1.5g)をアセトン中に浸し、45分間音波処理し、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。各試験片の片側を溶液で被覆し、個々の試験片上の化合物1+PTXの平均質量を測定した(0.005〜0.008g)。ステンレス鋼試験片の被覆側を心筋(7.0〜13.0g)と接触させて置き、アンビリカルテープで固定した。選択した時点で(1及び24時間目)、3つの試験品及び2つの対照品を取り出し、水ですすぎ、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。次いで、コーティングをTHF(15mL)を用いて3日間ストリッピングし、ストリッピング溶液のアリコート(1mL)をHPLC分析(アセトニトリル:水移動相)にかけて、試験片上に残留している平均PTXを測定した(図30)。
【実施例42】
【0123】
ブタ血液中のステンレス鋼試験片上の化合物1+8.8wt% PTXからのPTXの放出
実施例40に記載されているように作製したステンレス鋼試験片をブタ血液(4mL)中でインキュベートした。1時間後、3つの試験品及び2つの対照品を水ですすぎ、50℃で一晩乾燥し、秤量した。次いで、コーティングをTHF(15mL)を用いて3日間ストリッピングし、ストリッピング溶液のアリコート(1mL)をHPLC分析(アセトニトリル:水移動相)にかけて、試験片上に残留している平均PTXを測定した。対照(ng/mL):(重量による)=32888、(HPLC)=38405。1時間サンプル(ng/mL):(重量による)=34667、(HPLC)=40962。
【実施例43】
【0124】
化合物1、2、3、6、7、1+7、8、9、10、11、12、14、15及び16のPBS中シンク条件下での残留時間
すべてのバイアルをオーブンにおいて一晩予備乾燥し、風袋を秤量した。化合物1、2、3、6、7、1+7、8、9、10、11、12、14、15及び16(0.2g)を秤量してバイアルに入れ、PBS(4mL)を添加した後、各バイアルを37℃でインキュベートした。選択時点で(1、3、7、14及び21日目)、バイアルを単離し、大量の水で濯いで残留する塩を除去し、50℃フローオーブン中で一晩乾燥し、秤量した。各時点での質量減少の%を測定することにより残留時間を計算した(図31)。
【実施例44】
【0125】
化合物1、2、1+7、10及び12のPBS中シンク条件でのステンレス鋼試験片上の残留性
化合物1(0.20g)、化合物10(0.22g)及び化合物12(0.20g)をトルエン中に溶解した。化合物1+7(0.20及び0.30g)をTHF中に溶解し、化合物2(0.20g)をTHF:トルエン中に溶解した。約3.5cm×1cmの寸法のステンレス鋼試験片(1.5g)をアセトン中に浸し、45分間音波処理し、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。試験片の両側を各化合物溶液で被覆し、化合物の平均重量を測定した(0.020〜0.040g)。それぞれの試験片をバイアル中に置き、PBS(15mL)と37℃でインキュベートした。選択した時点で(1及び14日目)、試験片を単離し、大量の水ですすぎ、50℃フローオーブン中で乾燥した。各時点での質量減少の%を測定することにより残留時間を計算した(図32)。
【実施例45】
【0126】
化合物1、2、6、1+7、10及び12のブタ血液中シンク条件下での残留時間
すべてのバイアルをオーブンにおいて一晩予備乾燥し、風袋を秤量した。化合物1、2、6、1+7、10及び12(0.2g)を秤量してバイアルに入れ、各バイアルにブタ血液(4mL)を添加した後、4℃でインキュベートした。選択時点で(1、3、7及び14日目)、バイアルを単離し、大量の水で濯ぎ、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。各時点でインキュベーション後の質量減少の%を測定することにより残留時間を計算した(図33)。
【実施例46】
【0127】
化合物1、2、10及び12のブタ血液中シンク条件下でのステンレス鋼試験片上の残留時間
化合物1(0.20g)、化合物10(0.22g)及び化合物12(0.20g)をトルエン中に溶解した。化合物2(0.20g)をTHF:トルエン中に溶解した。約3.5cm×1cmの寸法のステンレス鋼試験片(1.5g)をアセトン中に浸し、45分間音波処理し、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。試験片の両側を各化合物溶液で被覆し、化合物の平均重量を測定し(0.020〜0.040g)、ブタ血液(15mL)と4℃でインキュベートした。選択時点で(1及び14日目)、試験片を単離し、大量の水で濯ぎ、50℃フローオーブン中で乾燥した。各時点の終了時の質量減少の%により残留時間を調べた(図34)。
【実施例47】
【0128】
化合物1、2、6、7、1+7、10及び12の人工尿中シンク条件での残留時間
すべてのバイアルをオーブンにおいて一晩予備乾燥し、風袋を秤量した。化合物1、2、6、7、1+7、10及び12(0.2g)を秤量してバイアルに入れ、人工尿(4mL)中37℃でインキュベートした。選択時点で(1、3、7、14及び21日目)、バイアルを単離し、大量の水で濯ぎ、50℃フローオーブン中で一晩乾燥し、秤量した。インキュベート後の質量減少の%を測定することにより残留時間を計算した(図35)。
【実施例48】
【0129】
化合物1、2、4、6のPBS中流動条件下での残留時間
化合物1、2、4及び6(1.05g)をトルエン中に溶解した。約3.5cm×1cmの寸法のステンレス鋼試験片(1.5g)をアセトン中に浸し、45分間音波処理し、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。試験片の両側を化合物溶液で被覆し、化合物の平均重量を測定した(0.008〜0.012g)。シリコンチューブ及びPVCチューブをそれぞれ5cm及び3cmの長さに切断した。被覆試験片の各々をシリコーンチューブセグメント中に挿入し、ラベルを付けた。次いで、すべてのシリコーンチューブセグメントをPVCチューブにより連結した。きれいなシリコーンチューブ(100cm)を蠕動ポンプの頭部の周りに巻き付けた。出口を被覆試験片を収容しているシリコーンチューブセグメントに接続した。PBSをPBSリザーバー(1000mL)からループシステムを介して積極的に圧送した。選択した時点で(化合物1、2及び6については2及び6時間;化合物4については0.5、1及び2時間)、3つの試験片を単離し、水で数回濯ぎ、乾燥し、秤量した。各時点後での質量減少の%を測定することにより残留時間を計算した(図36)。
【実施例49】
【0130】
化合物1、2及び6のブタ血液中流動条件下での残留時間
化合物1、2及び6(0.50g)をトルエン中に溶解した。約3.5cm×1cmの寸法のステンレス鋼試験片(1.5g)をアセトン中に浸し、45分間音波処理し、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。試験片の両側を化合物溶液で被覆し、化合物の平均質量を測定した(0.008〜0.012g)。シリコーンチューブ及びPVCチューブをそれぞれ5cm及び3cmの長さに切断した。各被覆試験片をシリコーンチューブセグメントに挿入し、ラベルを付けた。次いで、すべてのシリコーンチューブセグメントをPVCチューブにより連結した。きれいなシリコーンチューブ(100cm)を蠕動ポンプの頭部の周りに巻き付けた。出口を被覆試験片を収容しているシリコーンチューブセグメントに接続した。ブタ血液をブタ血液リザーバー(1000mL)からループシステムを介して積極的に圧送した。選択した時点で(2及び6時間)、3つの被覆試験片及び2つの対照試験片を単離し、水で数回濯ぎ、乾燥し、秤量した。各時点でインキュベーション後の質量減少の%を測定することにより残留時間を計算した(図37)。
【実施例50】
【0131】
化合物1、2及び6の人工尿中流動条件下での残留時間
化合物1、2及び6(0.50g)をトルエン中に溶解した。約3.5cm×1cmの寸法のステンレス鋼試験片(1.5g)をアセトン中に浸し、45分間音波処理し、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。試験片の両側を化合物溶液で被覆し、化合物の平均質量を測定した(0.008〜0.012g)。シリコーンチューブ及びPVCチューブをそれぞれ5cm及び3cmの長さに切断した。各被覆試験片をシリコーンチューブセグメントに挿入し、ラベルを付けた。次いで、すべてのシリコーンチューブセグメントをPVCチューブにより連結した。きれいなシリコーンチューブ(100cm)を蠕動ポンプの頭部の周りに巻き付けた。出口を被覆試験片を収容しているシリコーンチューブセグメントに接続した。人工尿を人工尿リザーバー(1000mL)からループシステムを介して積極的に圧送した。選択した時点で(2及び6時間)、3つの被覆試験片及び2つの対照(非被覆)試験片を単離し、水で数回濯ぎ、乾燥し、秤量した。各時点でインキュベーション後の質量減少の%を測定することにより残留時間を計算した(図38)。
【実施例51】
【0132】
化合物1、2及び6のブタ心臓中の残留時間
化合物1、2及び6(0.5g)をトルエン中に溶解した。約3.5cm×1cmの寸法のステンレス鋼試験片(1.5g)をアセトン中に浸し、45分間音波処理し、50℃オーブン中で一晩乾燥した。試験片の両側を化合物1、2及び6溶液で被覆し、化合物の平均質量を測定した(0.008〜0.012g)。ブタ心臓を融かし、水で洗浄した。ブタ心臓の左心室中に外科用メスを用いて5.5cm幅の小型切開を作成した。切開部は心室腔まで貫入していた(図39)。各被覆試験片または対照片を切開部に挿入し、心臓をEthi-pack 316lで縫合して、切開部を閉じた。ブタ心臓を個々のプラスチック容器の内部に入れ、37℃の室内に置いた。選択した時点で(4及び24時間)、3つの試験片及び2つの対照(非被覆)試験片をブタ心臓から単離し、大量の水で洗浄し、50℃オーブン中で乾燥し、秤量した。各時点での質量減少の%を測定することにより残留時間を計算した:化合物1:(4時間)=26.7%、(24時間)=63.1%。化合物2:(4時間)=58.2%、(24時間)=63.0%。化合物6:(4時間)=26.6%、(24時間)=51.7%。
【実施例52】
【0133】
化合物1、2、3、6、7、1+7、8、9、10、11、12、14、15、16のPBS中シンク条件での長時間残留性研究
化合物1、2、3、6、7、1+7、8、9、10、11、12、14、15及び16(0.16〜0.20g)を秤量して、予備乾燥したバイアルに入れ、PBS(4mL)中37℃でインキュベートした。選択した時点で(1、3、7、14、21、30、45、60、75、90、105、120、135、150日目)、PBSを抜き取り、化合物を水で濯ぎ、50℃フローオーブン中で一晩乾燥した。翌日化合物を秤量し、PBSと37℃で再インキュベートした。PBS除去-水での濯ぎ-乾燥-再インキュベーションのサイクルを150日目まで繰り返した。各時点での各化合物の質量減少の%を測定することにより残留時間を計算した(図40)。
【実施例53】
【0134】
化合物1、2、3、6、7、8、9、10、11、12、SIBS及びPTXの分配係数の測定
実施例1〜13で合成した化合物の分配を1-オクタノール/PBS系において調べた。分配は化合物の親油性と相関しており、調査対象の化合物の吸収及び分布を予測するために使用される。1-オクタノール及びPBSを十分に混合して、上相にPBS飽和1-オクタノール及び下相に1-オクタノール飽和PBSを形成した。1-オクタノール/PBSの各バイアルに化合物1、2、3、6、7、8、9、10、11、12、16、PTX及びSIBSの溶液(0.05mL)を添加した。両相を良好に接触させるためにバイアルを4時間揺すった。次いで、各サンプルからの有機相のアリコートを、公知濃度の各化合物を用いて較正したGPC(THF移動相、RI)により分析した。RIピーク下面積を用いて、有機相中の各化合物の濃度を推定した。次いで、各化合物の質量を下記式:
(1-オクタノール相中の化合物の質量/全質量)×100%
により有機相中の重量%を計算した。分配係数は下記式:
log([1-オクタノール中の化合物]/[PBS中の化合物])
に従って計算した。結果(1-オクタノール中のwt%、分配係数):化合物1(86%、0.80)、化合物2(78%、0.54)、化合物3(96%、1.42)、化合物6(86%、0.80)、化合物7(85%、1.50)、化合物8(94%、1.20)、化合物9(91%、1.00)、化合物10(93%、1.14)、化合物11(99%、2.37)、化合物12(98%、1.64)、SIBS(93%、1.54)、PTX(94%、1.00)。
【実施例54】
【0135】
化合物1、2、6、7、8、9、12、14、15及び16のTweenPBS及び水中の溶解度の測定
化合物1、2、6、7、8、9、12、14、15及び16(0.05g)をTweenPBSまたは水中室温で24時間インキュベートした。TweenPBS溶液及び水を抜き取り、0.45μmフィルターディスクを介して濾過し、50℃のフローオーブン中で2日間乾燥した。乾燥したサンプルを1H NMRにより分析し、ソフトセグメント帰属を使用して、各環境中での化合物の溶解度を定量的に調べた。1H NMR(基準:20353.52、化合物1(TweenPBS):251.68、化合物1(水):41.82、化合物2(TweenPBS):818.37、化合物6(TweenPBS):52.32、化合物6(水):24.57、化合物14(TweenPBS):76.84、化合物15(TweenPBS):83.27、化合物16(TweenPBS):90.04)。1H NMR(基準:15434.13、化合物7(TweenPBS):88.32、化合物7(水):17.63)。1H NMR(基準:53909、化合物8(水):23.43)。1H NMR(基準:35697.31、化合物9(TweenPBS):106.42)。1H NMR(基準:19736.11、化合物12(TweenPBS):1001.88、化合物12(水):1804.78)。
【実施例55】
【0136】
化合物1、5、7及びDL-PLGAの各種媒体中での安定性
化合物1、5及び7(各々0.06g×4)を秤量してガラスバイアルに入れ、PBS、10mM NaOCl、1N NaOH及び1N HCl(10mL)中37℃で3日間インキュベートした。DL-PLGA(0.3g)をDCM(1.5mL)中に溶解し、この溶液の0.3mLをガラスバイアルに移した。溶媒を60℃フローオーブン中で蒸発させた後、一晩真空乾燥した。次いで、フィルムをPBS、10mM NaOCl、1N NaOH及び1N HCl(10mL)中37℃で3日間インキュベートした。インキュベーションの前後に各サンプルの重量変化(図41)及びGPCプロフィールを記録した。
【実施例56】
【0137】
化合物1、1-D、2、3、6、6-D、7-D、8-D、9-D、10、11、12、14、15及び16のエチレンオキシドによる滅菌
化合物1、2及び6(0.115g)を秤量してガラスバイアルに入れ、50℃で30分間融解して、バイアルの底に均一の層を形成した。冷却した後、バイアルにリントフリーティッシュを被せ、滅菌ポーチ中に配置し、EtOにより滅菌した。分析プロフィールに変化は観察されなかった。化合物1-D、3、6-D、7-D、8-D、9-D、10、11、12、14、15及び16(0.15g)を秤量して、リントフリーティッシュを被せたポリプロピレン円錐管に入れ、滅菌ポーチに配置し、EtOにより滅菌した。滅菌した化合物を分析し、これらの結果を予備滅菌プロフィールと比較した。滅菌前及び後のサンプルについて変化は観察されなかった。残留EtO含量:エチレンオキシド=2ppm、エチレンクロロヒドリン=13ppm、エチレングリコール<100ppm。LAL試験:サンプル抽出物中<0.020EU/mL。
【実施例57】
【0138】
ブタ血液と化合物1、6、7、1+7、8、9、10、11、12、14及び15のフィルムとの相互作用
スピンコーティングしたフィルム:化合物1(0.5g)をトルエン中に溶解した。きれいな4×4cmステンレス鋼試験片を2000rpmで回転しているSpecialty Coating Systemsスピンコーターのチャック上に置き、化合物1溶液(0.15mL)を適用した。生じた平滑なコーティングを、連続被覆を確認するためにSEMにより分析し、コーティングの存在を確認するために引っ掻いた。表面元素分析を実施し、不完全なコーティングの証拠を調べるためにXPS分析(90°)を実施した。ステンレス鋼:C:27.84%、Ca:0.40%、F:1.18%、Mo:0.48%、N:1.18%、Na:0.46%、O:52.39%、Si:5.89%、Cr:3.03%、Fe:7.15%。化合物1コーティング:C:51.55%、Ca:0.36%、F:31.32%、Mo:0.02%、N:3.85%、Na:0%、Si:0.06%、Cr:0%、Fe:0.01%。
【0139】
噴霧したフィルム:化合物1(0.4g)、化合物6(0.4g)、化合物10(0.2g)、化合物11(0.2g)、化合物12(0.4g)、化合物14(0.2g)及び化合物15(0.2g)をトルエン中に溶解した。また、化合物7、1+7、8及び9(いずれも0.4g)をTHF中に溶解した。この溶液を室温で24時間攪拌し、各化合物に特有の設定でEFD噴霧システムを用いて全表面積が6.25〜16cm2の316ステンレス鋼試験片に噴霧した。試験片を50℃フローオーブン中で20〜24時間乾燥した。SEM画像(図42)は、化合物10及び11を除く殆どの化合物で平滑で均一なコーティングを示した。これらの化合物は均一なコーティングではあるが僅かに粗かった。被覆試験片の接触角分析を水及びブタ血漿を用いて実施した:ステンレス鋼(水:59°、血漿:58°)、化合物1(水:107°、血漿:104°)、化合物7(水:88°、血漿:89°)、化合物1+7(水:90°、血漿:85°)、化合物12(水:114°、血漿:119°)、化合物15(水:116°、血漿:116°)。ブタ血液中室温で15分間インキュベートしたときコーティング表面に目に見える変化は見られなかった(図43)。
【実施例58】
【0140】
化合物1、2、6、7、1+7、8、9、15及び16に対する炎症細胞応答の評価
化合物1、2、6、7、1+7、8、9、15及び16をTHFまたはトルエン中に溶解し、96ウェルポリプロピレンプレートにキャストした。溶媒を室温で24時間蒸発除去した後、プレートを60℃フローオーブン中に24時間置き、最後に真空下で一晩乾燥した。比較のために、プレートにSIBSのフィルム及び316ステンレス鋼インサートを加えた。プレートをUVランプ下で1時間滅菌した後、各サンプルウェルをPBSで水和した。U937単球様細胞(2.5×105細胞)をPMAの存在下で各ウェルに接種し、プレートを湿潤インキュベータにおいて37℃で3日間インキュベートした。非接着細胞を除去し、接着U937マクロファージをCyQuantアッセイを用いて数えた(図44)。同一の実験手順を実施例1〜16に記載されているすべての化合物に対して適用した。
【実施例59】
【0141】
化合物1、並びに化合物1+1及び10wt% PTXで被覆した膜を介するHCAECの移動
化合物1(0.1g)をMeOH(0.5、1、2及び4mL)中に溶解し、これらの溶液(0.05mL)をピペットでBD 8μm PET膜インサートに移し、このインサートを介して吸い上げた。また、化合物1をPTXと混合して1及び10wt%溶液を調製し、これらを膜にコーティングした。対照として、適当な濃度のSIBSポリマーの溶液を膜にコーティングした。生じた被覆膜をSEMにより試験し、水を膜に通すことにより多孔度を確認した。更に、同一の方法を用いて化合物6(蛍光標識した化合物1)をコーティングし、蛍光(Ex 320、Em 540nm)を測定してコーティングの存在を確認した:(非被覆膜)=3.5、(化合物1)=0.6、(化合物6)=28.2。HCAECを培地及びLonzoから供給されたサプリメントを用いて第3代まで培養し、無血清培地において一晩飢餓状態にした。細胞を引き上げ、0.5% FBS培地中に再懸濁させ、HCAECを接種した(80000個/膜インサート)。下部ウェルに20% FBS培地を充填した。ネガティブ対照は下部ウェル中に非被覆膜及び0.5% FBS培地から構成した。ポジティブ対照は下部ウェル中に非被覆膜及び20% FBS培地から構成した。4時間インキュベートした後、ウェルを引き上げ、内部膜から細胞をこすげ落とし、下部膜表面を固定し、DiffQuikで染色した。膜の画像を顕微鏡検査により集め、細胞形態特徴及び集団を記録した(図45)。同一実験手順を実施例1〜16に記載されているすべての化合物に適用した。
【0142】
HCAECについて記載した移動アッセイを他の種の細胞株を用いて実施例1〜16に記載されているすべての化合物で繰り返した。
【実施例60】
【0143】
血小板及びフィブリノゲンと化合物1、7、1+7及び12のフィルムとの相互作用の評価
化合物1、7、1+7及び12をトルエンまたはTHF中に溶解した。すべての化合物溶液を室温で24時間攪拌し、コーティングのために使用した。この溶液を各化合物に特有の設定でEFD噴霧システムを用いて4cm×4cm 316Lステンレス鋼試験片に噴霧した。試験片を50℃フローオーブン中で20〜24時間乾燥した。薬物を服用していない健常ボランティアからヒト全血を入手し、酸-クエン酸-デキストロース抗凝固剤(6部のACD対1部の血液)または低分子量ヘパリンを用いて0.2U/mLの最終濃度まで遠心管中に集めた。ACDを用いて集めた血液から血小板を遠心により単離し、0.5mCi/mL Na51Crで標識した。ACD全血から赤血球も分離し、洗浄した。Na51Cr標識血小板及び洗浄した赤血球を250,000血小板/μLの最終血小板濃度及び40% ヘマクリットとなるように貧血小板血漿と合わせた。最後に、フィブリノゲンの全量の約2%となるように125I-フィブリノゲンを全血懸濁液に添加した。血小板接着を層流及び均一の剪断速度を与えるコーン・プレート装置を用いて流動全血液から測定した。被覆した試験片をコーン・プレート装置のウェルにNa51Cr血小板を含有する全血懸濁液(1.2mL)と一緒に入れ、アッセイを15分間実施した。次いで、試験片を新鮮なバッファーで濯ぎ、放射能をγカウンターを用いて測定し、元の全血懸濁液の放射能に基づいて接着血小板(Na51Cr血小板)及び吸着したフィブリノゲン(125I-フィブリノゲン)の数と相関させた。非被覆ステンレス鋼試験片と比較して、すべての被覆試験片が血小板接着及びフィブリノゲン吸着を有意に低下させた(図46)。
【実施例61】
【0144】
MEM溶離アッセイ-化合物1-D、6-D、8-D、9-D、15及び16の細胞毒性評価
化合物1-D、6-D、8-D、9-D、15及び16を秤量し、MEM培地中で4g:20mLの比で37℃で24時間インキュベートした。L-929マウス線維芽細胞を接種し、細胞のサブコンフルエント単層を得るために37℃、5% CO2中でインキュベートした。3つの培養物中の増殖培地をMEM抽出物(2mL)と交換した。3つの培養物をポジフィブ及びネガティブ対照としても作成した。24時間後、細胞特性及び溶解%を評価するために細胞培養物を顕微鏡を用いて試験した。この試験の条件下で、MEM抽出物は細胞溶解または毒性を引き起こす証拠を示さなかった。同一実験手順を実施例1〜16に記載されているすべての化合物に適用した。
【実施例62】
【0145】
化合物1-D、6-D、8-D、9-D、15及び16の直接接触アッセイ
化合物1-D、6-D、8-D、9-D、15及び16の潜在的細胞毒性を評価するために試験材料と直接接触しているヒーラ上皮細胞の生存度を使用した。化合物のサンプルを寒天支持したSuporフィルター上に溶媒キャストした。その後、ヒーラ細胞の単層をMEM培地の存在下でフィルター上で直接培養した。24時間インキュベートした後、Suporフィルターを濯ぎ、コハク酸デヒドロゲナーゼで染色した。生存可能な細胞をポジティブパープル染色により同定し、細胞毒性を、キャスト材料の周りの細胞排除ゾーンについての着色フィルターまたは低い細胞密度を調べることにより測定した。各細胞毒性アッセイはポジティブ及びネガティブ対照を含んでいた。同一実験手順を実施例1〜16に記載されているすべての化合物に適用した。
【実施例63】
【0146】
化合物1-Dの部分トランボプラスチンアッセイ
化合物1-Dを秤量し、クエン酸処理したヒト血漿に血漿1mLあたり0.2gの試験サンプルの比で37℃で曝した。インキュベーション後、血漿サンプルに家兎脳セファリン(RBC)のPTT試薬及びアクチベーター試薬(塩化カルシウム)を添加した。次いで、血餅を形成するのに要する時間について血漿サンプルをCascade M-4手動凝固アナライザーを用いて分析した。このアッセイにより、化合物1-Dは内因性経路の非アクチベータであると見なされた。同一実験手順を実施例1〜16に記載されているすべての化合物に適用した。
【実施例64】
【0147】
ブタモデルでのインビボ研究
各種タイプ(裸金属、試験化合物及び試験化合物+1% PTX)のステントをブタ冠動脈(去勢した家畜雄ブタ,Sus scrofa domestica;ステント移植時の体重40〜50kg)に移植した。ステントを移植する前3日間各動物にASA(0.081g)及びクロピドグレル(0.075g)を毎日経口投与し、処置前に一晩絶食させた。外科処置のために、鎮静後、静脈内流体の注入及び投薬のために辺縁耳静脈にカニューレを挿入した。麻酔用ガスを投与するために動物に気管挿入し、動物をカテーテルテーブル上に置いた。滅菌条件下で、外科的に切開することにより右大腿動脈に血管導入シースを入れた。処置中連続的に血流モニタリング及び心電図モニタニングを実施した。較正基準としてのガイドカテーテルを用いて、インプラントの意図する部位の近位及び遠位基準部位の血管の直径及び標的部位直径を測定した。ステントを各動物のLAD、RCA及びLCX動脈に移植し、バルーンカテーテル膨張により標的部位直径よりも〜15%大きいサイズとした。ステント移植から7日後、動物を安楽死させ、心臓を摘出し、異常について調べ、血液をきれいにするために血管系を食塩液で灌流させた。顕微鏡分析のためにステントを摘出するまで心臓を新鮮なホルマリン中に浸漬させた(図47)。その後、更に分析するために試験動物から肝臓、脾臓及び腎臓を集めた。これらの臓器の複数切片を注意深く分析しても、顕著な病理的特徴は見られなかった。3つの臓器すべてからの組織は正常な構造を示しており、炎症または組織損傷の兆候を示さなかった。
【実施例65】
【0148】
化合物3-ステント上のコーティング品質、安定性及び完全性
コーティング品質:化合物3(0.2g)をTHF:トルエン中に溶解し、室温で24時間攪拌し、この溶液を化合物3に特有の設定でEFD噴霧システムを用いてステントに噴霧した。ステントを50℃フローオーブン中で20〜24時間乾燥した。ステントコーティングをSEMにより均一ストラット被覆について評価した。次いで、ステントをクリンプ加工し、配置し、または切断したまま保持した。加工後、ステント及びバルーン上のコーティングをマイクロプレート分析(Ex 320nm、Em 540nm)により評価した。コーティング品質は直接ステント(切断したまま:97.88、配置した:54.39)及びバルーン(36.69)で、MeOHで24時間ストリッピング後(切断したままのステント:47.03、配置した:29.79、バルーン:10.55)調べた。配置中、化合物3のバルーンへの移行をUV光により調べた。
【0149】
品質安定性:ステントを上記したように化合物3で被覆し、暗所室温で42日間保存した。ステントコーティングをMeOH中でストリッピングし、コーティングを1日及び42日保存後にマイクロプレートリーダー(Ex 320nm、Em 540nm)を用いて定量した。保存時間に関係なく、マイクロプレート測定値は同様であった(1日後)=40.85、(42日後)=39.80)。SEMにより、ステント上のコーティングは42日間保存後も変化しなかったことを確認した(図48)。同様に、ステントを上記したように化合物3で被覆し、ブタ血液(1.5mL)中37℃で振とう器(60rpm)を用いて、血液を毎日交換しながらインキュベートした。7日後、ステントをSEMにより試験した(図49-右)。また、4、8及び24時間後に血液を交換しながら、ステントをブタ血液(1.5mL)中4℃で24時間インキュベートした。これらのステントのSEMは、大量のタンパク質が沈着し、コーティングの喪失は最少であることを示した(図49-左)。コーティングをマイクロプレート分析(Ex:320nm、Em:540nm)を用いても評価した:(0時間)=77.18、(1時間)=71.43、(4時間)=67.74、(24時間)=37.16、(7日)=24.64。
【0150】
コーティング完全性:ステントを上記したように化合物3で被覆し、バルーン上でクリンプ加工した。雌ブタ(20ポンド)の左前下降動脈(LAD)、左回旋動脈(LCX)及び右冠動脈(RCA)の各々に化合物3被覆ステントを移植した。移植から45〜90分後、ステントを外植させた(図50)。マイクロプレート分析(Ex:320nm、Em:540nm)によりコーティングを定量するためにLAD及びLCX外植ステントをMeOH中でストリッピングした:(LAD)=29.62、(LCX)=28.12。
【0151】
他の実施形態
本明細書中に挙げられているすべての刊行物、特許明細書及び特許出願明細書は、各々独立の刊行物または特許文献が具体的に且つ個々に参照により組み入れると記載されているのと同程度に参照により本明細書に組み入れられる。
【0152】
本発明をその具体的実施形態に関連して記載してきたが、更に修飾することができ、本出願は本発明が属する業界で公知または一般的なプラクティスの範囲に入り、上記されており、特許請求の範囲に入る必須要件に適用され得る本発明の開示から逸脱するものを含めて通常本発明の原則に従って本発明の変化、使用または改変を含むと意図されると理解される。
【0153】
他の実施形態は特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び該表面に適用されているマトリックスコーティングを有する埋込型医療デバイスであって、前記マトリックスコーティングが20kDa未満の分子量を有する成分からなり、前記マトリックスコーティングが(i)オリゴマー、及び(ii)生理活性物質を含み、前記マトリックスコーティングが被験者に移植された際に自己消失性または生体内分解性であり、前記生理活性物質が、埋込型医療デバイス上にあるとき、前記マトリックスコーティング内にのみ存在している前記埋込型医療デバイス。
【請求項2】
表面が金属、金属合金、セラミックス、ベースポリマー及びガラスから選択される材料である、請求項1に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項3】
マトリックス及び生理活性物質が埋込型医療デバイスにスプレーコーティング、印刷、または浸漬コーティングされることにより表面に適用されている、請求項1に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項4】
生理活性物質がタンパク質、ペプチド、炭水化物、抗生物質、増殖抑制薬、ラパマイシンマクロライド、鎮痛薬、麻酔薬、抗血管新生薬、抗血栓薬、血管作用薬、抗凝血薬、免疫調節薬、細胞傷害性薬物、抗ウイルス薬、抗体、神経伝達物質、向精神薬、オリゴヌクレオチド、ビタミン、脂質及びそのプロドラッグから選択される、請求項1に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項5】
オリゴマーがポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリシリコーン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリペプチド、多糖またはその組合せを含む、請求項1に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項6】
生理活性物質がオリゴマーに共有結合している、請求項1に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項7】
生理活性物質がオリゴマーに複合体形成している、請求項1に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項8】
オリゴマーがオリゴフッ素化オリゴマーである、請求項1に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項9】
表面及び該表面に適用されているマトリックスコーティングを有する埋込型医療デバイスであって、前記マトリックスコーティングがオリゴフッ素化オリゴマーを含み、前記マトリックスコーティングが被験者に移植された際に自己消失性または生体内分解性であり、前記オリゴフッ素化オリゴマーが、埋込型医療デバイス上にあるとき、前記マトリックスコーティング内にのみ存在している前記埋込型医療デバイス。
【請求項10】
オリゴフッ素化オリゴマーが式(I):
【化1】

(式中、
oligoはオリゴマーセグメントであり;
Bioは生理活性物質であり;
FTはオリゴフルオロ基であり;
各Link Bは独立してoligo、FTまたはBioに共有結合している有機部分であり;
aは0より大きい整数であり;
b及びcは各々独立して0以上の整数であり;
dは0または1である)
で表される、請求項8または9に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項11】
オリゴフッ素化オリゴマーが式(II):
【化2】

(式中、
Bはウレタンを含み;
oligoはポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリカーボネートまたはポリテトラメチレンオキシドを含み;
FTはオリゴフルオロ基であり;
gは0または1であり;
nは1〜10の整数である)
で表される、請求項8または9に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項12】
FTが式:
CF3(CF2)pX、(CF3)2CF(CF2)pX、または(CF3)3C(CF2)pX
(式中、
XはCH2CH2-、(CH2CH2O)n、CH2CH(OH)CH2O-、CH2CH(CH2OH)O-または結合であり;
pは2〜20の整数であり;
nは1〜10の整数である)
を有する、請求項10または11に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項13】
デバイスが心臓補助装置、カテーテル、ステント、人工インプラント、人工括約筋及びドラッグデリバリーデバイスから選択される、請求項1に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項14】
デバイスがステントである、請求項に13記載の埋込型医療デバイス。
【請求項15】
生理活性物質がマトリックスコーティング中に均一に分布している、請求項1に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項16】
生理活性物質がマトリックスコーティング中に溶解している、請求項15に記載の埋込型医療デバイス。
【請求項17】
マトリックスコーティングが0.1〜5ミクロンの厚さを有している、請求項1〜16のいずれかに記載の埋込型医療デバイス。
【請求項18】
表面を有する被覆埋込型医療デバイスの作製方法であって、前記表面を20kDa未満の分子量を有する成分からなるマトリックスコーティングでコーティングするステップを含み、前記マトリックスコーティングが(i)オリゴマー、及び(ii)生理活性物質を含み、前記マトリックスコーティングが被験者に移植された際に自己消失性または生体内分解性であり、前記生理活性物質が、埋込型医療デバイス上にあるとき、前記マトリックスコーティング内にのみ存在している前記方法。
【請求項19】
表面を有する被覆埋込型医療デバイスの作製方法であって、前記表面をオリゴフッ素化オリゴマーを含むマトリックスコーティングでコーティングするステップを含み、前記マトリックスコーティングが被験者に移植された際に自己消失性または生体内分解性であり、前記オリゴフッ素化オリゴマーが、埋込型医療デバイス上にあるとき、前記マトリックスコーティング内にのみ存在している前記方法。
【請求項20】
コーティングステップが、表面にマトリックスコーティングをはけ塗り、印刷、噴霧、塗布、または浸漬することを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
コーティングステップが、マトリックスコーティングの成分を溶媒中に溶解して溶液を形成し、前記溶液を埋込型医療デバイスの表面に適用することを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項22】
コーティングステップが、マトリックスの成分を希釈剤と混合して流動混合物を形成し、前記流動混合物を埋込型医療デバイスの表面に適用することを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項23】
マトリックスコーティングが請求項10または11に記載のオリゴフッ素化オリゴマーを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項24】
埋込型医療デバイスが心臓補助装置、カテーテル、ステント、人工インプラント、人工括約筋及びドラッグデリバリーデバイスから選択される、請求項18または19に記載の方法。
【請求項25】
埋込型医療デバイスがステントである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
生理活性物質がマトリックスコーティング中に均一に分布している、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
生理活性物質がマトリックスコーティング中に溶解している、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
コーティングステップが、マトリックスコーティングを0.1〜5ミクロンの厚さで適用することを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項29】
非被覆埋込型医療デバイスをコーティングして被覆埋込型医療デバイスを作製し、前記被覆埋込型医療デバイスが動物に移植された際に前記非被覆埋込型医療デバイスと比較して少ないタンパク質沈着、少ないフィブリノゲン沈着、少ない血小板沈着、または少ない炎症細胞接着を有する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項30】
表面及び該表面に適用されているマトリックスコーティングを有するステントであって、前記マトリックスコーティングが20kDa未満の分子量を有する成分からなり、前記マトリックスコーティングが(i)オリゴマー、並びに(ii)増殖抑制薬及びラパマイシンマクロライドから選択される生理活性物質を含み、前記マトリックスコーティングが被験者に移植された際に自己消失性または生体内分解性であり、前記生理活性物質が、ステント上にあるとき、前記マトリックスコーティング内にのみ存在している前記ステント。
【請求項31】
表面及び該表面に適用されているマトリックスコーティングを有するステントであって、前記マトリックスコーティングがオリゴフッ素化オリゴマーを含み、前記マトリックスコーティングが被験者に移植された際に自己消失性または生体内分解性であり、前記オリゴフッ素化オリゴマーが、ステント上にあるとき、前記マトリックスコーティング内にのみ存在しているステント。
【請求項32】
マトリックスコーティングが増殖抑制薬及びラパマイシンマクロライドから選択される生理活性物質を更に含む、請求項31に記載のステント。
【請求項33】
生理活性物質がメトトレキサート、トリメトレキサート、ゲムシタビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、カンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ダクチノマイシン、イダルビシン、ブレオマイシン及びタモキシフェンから選択される増殖抑制薬である、請求項30または32に記載のステント。
【請求項34】
生理活性物質がラパマイシン、CCI-779、エベロリムス及びABT-578から選択されるラパマイシンマクロライドである、請求項30または32に記載のステント。
【請求項35】
血管中の部位に請求項30〜34のいずれかに記載のステントを移植することを含む、前記部位での再狭窄を抑制する方法。
【請求項36】
被験者に請求項1に記載の埋込型医療デバイスを移植することを含む、被験者へ生理活性物質を送達する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公表番号】特表2011−500177(P2011−500177A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529205(P2010−529205)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001848
【国際公開番号】WO2009/049426
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(508215131)インターフェース バイオロジクス,インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】