説明

自律型災害予知センサ

【課題】素人でも土砂災害の有無が判断できる情報を音や光で直感的に与えること、加えて災害予知センサを利用して地域内の危険ヵ所の土砂崩れの予兆情報を集め広域的に監視できるようにする。
【解決手段】災害予知センサは、太陽光電源で駆動され、土砂崩れの危険箇所に杭で固定し設置するだけで監視動作を開始。複数の災害予知センサ(1a〜1c)同士は、自律的に通信しリレー方式で屋内に設置した10の親装置に全ての情報を集める、その情報の変化分が規定値を越えた時に、親装置は表示部とスピーカーから警報を発し非難を促す。警報を発した親装置情報は、具備するGPSセンサからの位置情報と共に既存の通信網を経由して転送、情報統合する事で広域土砂災害監視に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律機能を有した災害予知センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
装置の中で、災害センサは、行政の土砂崩れ監視や土木建設の工事管理など、プロフェッショナル領域で利用されるものであった為に、単なる傾斜センサ、振動センサ、水流センサなど、センサ情報を表示するだけで実用上十分であった。
【0003】
しかし、土砂崩れなどは、行政が監視する全国33万ヵ所の土砂災害危険箇所や、土木工事現場だけで発生する訳ではなく、昨今の異常気象からゲリラ豪雨が発生する確率が高まり、私有地においても発生の危険があり素人でも使える災害予知センサの登場が待たれている。
【0004】
災害センサの利用において、プロフェッショナルと素人の大きな違いは、素人は数値を表示されても危険か否かの予知判断がつかないことである。 新しい災害予知センサ装置では、これらを解決する必要がある。土砂崩れには予兆があると言われ、現場状況の変化の認識により、高い確率で土砂崩れの有無を判断できる研究報告も多数発表されている。 また、土砂崩れは、どの場所で起きるかは特定できない、それには、広い危険範囲を面で監視する必要がある。更に、屋外の災害予知センサに、電源線や通信ケーブルを接続するには無理な状況もあるし、増してや、素人に工事が伴う装置を購入させることは、普及に大きな障壁となる。
【0005】
この改善策として、現状機器の電源をバッテリー駆動としたり、通信機構を無線化する方法等は容易に考えられるが、危険箇所に住む本人(素人)が判断できる方法や、危険箇所の広い面を相互的に管理する方法など、まだまだ不十分である。

【特許文献1】特開2002-312868公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、素人でも土砂災害の有無が判断できる情報を音や光で直感的に与えること、加えて災害予知センサを利用して地域内の危険ヵ所の土砂崩れの予兆情報を集め広域的に監視できる事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、太陽光電池で駆動され複数個の機能センサと通信機構を具備した、複数台の災害予知センサ同士が自律的に通信を行いリレー方式で親装置にセンサ情報を集める、センサ情報を得た親装置は、定常時情報との変化において、実験などで得られる経験的異常差を検出した時、光と音を使い危険知らせる。更に、その親装置の情報は、親装置に具備されるGPSセンサーで得られる位置情報を加えて、既存データ通信網通信装置を利用して遠隔地の行政土木管理センター等に検知情報を転送し広域的に土砂崩れを監視する機能も発揮できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の災害予知センサは、駆動電源を気にすることなく、土砂崩れの危険性がある場所数箇所に、固定用杭を使い、災害予知センサを設置するだけで稼動し、自律的に情報の収集を始める。災害予知センサ親装置は、リレー通信方式にて全ての災害予知センサのセンサ情報を受信収集する。集められた情報は、予めプログラム設定された値を超えると警報を発し、危険回避を促す。
更に、災害予知センサ親装置に搭載された、既存通信事業者のデータ通信機構を介して、行政機関などの集中センタに情報を転送することで、広域の土砂災害監視が一括して行え、確実に、その地域の住民に対し、警告を発することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
災害予知センサ筐体(ハウジング)は、小型で全方位を監視できる様に円筒形であることが望ましく、筐体の固定の為に地面に打ち込まれる杭との間には、ユニバーサル・ジョイントを採用し、災害予知センサの上面に設置される太陽電池が、太陽光の方向に向けて設置できるようにする。
【0010】
図1は、本発明、災害予知センサの全体図で、3は本体との取付金具、4はユニバーサル・ジョイント、5は地面に打ち込む杭状のシャフトである。設置には、5のシャフトを地面に打ち込んだ後に、3の取付金具を使い1の本体を取り付ける。本体とシャフト部を分離した理由は、取り付け時に本体にダメージを与えないこと、故障時の本体交換を容易にすること、に配慮した。
【0011】
図2は、災害予知センサ本体の全体図で、6はメモリを含む中央演算機構、7はワイヤレス・ネットワーク通信機構、8は複数の機能センサである。筐体内部を2層に分けて立体的に部品を搭載することで小型化を実現している。
【実施例】
【0012】
図3の(実施例)では、傾斜地に設置した複数の災害予知センサ同士1a、1b、1cが、それぞれ自律して動作し、それぞれのセンサ情報を取得し、1aは1bに、1bは1c自身の情報をリレー転送、1cはリレーしてきた全てのセンサ情報を、10の災害予知センサ親装置に転送する。
【0013】
全てのセンサ情報を受けた10の災害予知センサ親装置は、集めた情報を定常状態の情報値と比較する、この値が実験などで得られた経験的異常値に達した時、予め定めたプログラムに従って、11の表示部からLED発光などの光の点滅で知らせると共に、12のスピーカーから音を発して音を使い警報を発する。
更に、10の親装置は、警報を発したセンサ情報と、14のGPSセンサで得られた位置情報とを合わせて、13の通信アンテナを使い、既存通信事業者のデータ通信機構を利用して、遠隔地にある行政土木センタなどに災害予知警報情報を転送し、広域の土砂災害監視活動に貢献する。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明、災害予知センサは、土砂災害の人的被害を守る目的以外に、一般家庭の庭に設置し不審者の検出、工場や事務所における環境の変化を知る事ができる為、防犯・産業など幅広い分野での利用が想定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】災害予知センサの全体図である。
【図2】災害予知センサの断面図である。
【図3】災害予知センサ図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0016】
1 災害予知センサ本体
2 太陽電池
3 取り付け金具
4 ユニバーサル・ジョイント
5 固定用杭シャフト
6 メモリを含む中央演算機構
7 ワイヤレス・ネットワーク通信機構
8 機能センサ

(超音波センサ、赤外線センサ、温度センサ、音源センサ、磁気センサ、変位センサ等)
10 災害予知センサ親装置
11 表示部

12 スピーカー
13 アンテナ

14 GPSセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の機能センサを搭載した、太陽光電池によって動作する複数台の災害予知センサ同士が自動通信認識機能を利用し、自律的に自身の通信階層を構築、全ての災害予知センサ情報を親装置にリレー伝送することを特徴とする自律型災害予知センサ。
【請求項2】
複数台の災害予知センサからの情報をリレー伝送して収集し、事前に登録されたプログラムで判断した予知警報を音と光で発することを特徴とする災害予知センサ親装置。
【請求項3】
複数台の災害予知センサから収集した情報を、事前に登録されたプログラムにより情報の整理を行い、GPSセンサーで得られた位置情報と共に、既存の無線通信網を利用して、遠隔地に災害予知情報を伝送することを特徴とする災害予知センサ親装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−97241(P2010−97241A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264861(P2008−264861)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(599138744)
【Fターム(参考)】