説明

自律走行車の走行システム

【課題】設置費用の低減及び設置作業の簡素化ができる自律走行車の走行システムを提供する。
【解決手段】第1磁石21を保持する第1ホルダと第2磁石22を保持する第2ホルダが一体形成された走行経路杭1を走行経路基準線Waと直交する状態で間隔を有して連続的に地中に埋設する。自律走行車に設けた一対の第1磁気センサ45及び第2磁気センサ46により第1磁石21及び第2磁石22の磁気検知を行い、その結果に基づいて操舵制御手段で操舵し、走行経路基準線Waに沿って走行する。そのため、埋設される走行経路杭1の間隔が比較的大きく離間して配置しても自律走行車の走行が抑制される。これにより埋設される走行経路杭1を削減でき、走行経路杭の設置費用の低減及び設置作業の簡素化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行車の走行システムに関し、特に地中に埋設された磁石の磁気を検出しながら自律走行する自律走行車の走行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設された磁石等の磁気を検知する磁気センサを設け、磁気センサにより磁石の磁気を検出しながら走行経路を判断して自律走行する自律走行車の走行システムがある。
【0003】
この種の自律走行車の走行システムとして、例えば特許文献1に開示されるカート進行誘導法や特許文献2に開示される無人搬送車誘導装置がある。
【0004】
特許文献1に開示されるカート進行誘導法は、ゴルフ場のコース内において磁石をカートの進行方向に並列かつ任意の幅でライン状に地中に埋設して走行路面を構成する一方、カートに磁気センサ等の感知手段を装備する。カートを走行路面を前進させ、感知手段がラインのいずれか一方に近づきラインを検知すると、自動的に他方のライン方向に舵をとり、前進を続行する。この動作を繰り返すことにより走行路面内をS字乃至ジグザグ状に自動走行させる。カートがS字状乃至ジグザグ状に自動走行することにより、カートが同一のコースを進行することがなくなり、地盤や芝生の損傷を少なくする。
【0005】
特許文献2に開示される無人搬送車誘導装置は、誘導路に沿って磁石を有する誘導路用ブロックを埋設する。一方、無人搬送車に磁石の磁気を検出する磁気センサと、この磁気センサからの信号によって操舵部を制御する制御部を設け、誘導路用ブロックの磁石の磁気を検出することによって操舵部を制御して自律走行する。
【0006】
【特許文献1】特開平2−118704号公報
【特許文献2】特開平7−98612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1及び特許文献2は、地中に埋設した磁石の磁気を磁気センサで検知して走行経路を判断して走行車が自律走行するものであり、ゴルフカートのように車体全体の重量が比較的大きな場合には、路面状況の影響が小さく概ね走行経路に沿って走行することができる。
【0008】
しかし、重量が比較的小さい場合や、走行経路がスリップしやすい環境、例えば耕地等の柔軟な土地や、草が茂ったり、ぬかるんでいる場合等では、左右の駆動輪間における路面抵抗が異なりスリップ等によって操舵方向に走行しない挙動が発生することが懸念される。また、このような路面抵抗が異なる場合において予め設定された走行経路に沿って安定的に走行させるためには、走行経路に沿って埋設される磁石の間隔を狭く近接配置する必要があり、必要磁石個数が増大し、その設置費用及び設置作業時間が膨大になる。
【0009】
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、少ない数の磁石でも安定した自律走行車の走行を可能にし、設置費用の低減及び設置作業の簡素化ができる自律走行車の走行システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する請求項1に記載の自律走行車の走行システムの発明は、走行経路に沿って地中に埋設された磁石の磁気を、磁気センサにより検知しながら自律走行する自律走行車の走行システムであって、第1磁石を保持する第1ホルダと第2磁石を保持する第2ホルダが一体形成され、該第1磁石と第2磁石を結ぶ基準線が予め設定された走行経路基準線と直交する状態で間隔を有して連続的に地中に埋設される複数の走行経路杭と、自律走行車に設けられた駆動輪を備えた走行部と、前記第1磁石及び第2磁石の磁気を検知するために自律走行車に進行方向と直交する線上に配置された一対の第1磁気センサ及び第2磁気センサと、前記第1磁気センサによる磁気検知と第2磁気センサによる磁気検知に基づいて前記走行部の操舵を制御する操舵制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によると、第1磁石を保持する第1ホルダと第2磁石を保持する第2ホルダが一体形成された走行経路杭を走行経路基準線と直交する状態で間隔を有して連続的に地中に埋設する一方、自律走行車に設けた一対の第1磁気センサ及び第2磁気センサによる第1磁石及び第2磁石の磁気検知に基づいて操舵制御手段により操舵することから、走行経路基準線に沿って埋設される走行経路杭の間隔が比較的大きく離間して配置しても自律走行車の進行方向が走行経路基準線からずれることが抑制される。これにより少ない数の走行経路杭でも安定した自律走行車の走行が可能になり、埋設される必要な走行経路杭の削減が可能になり走行経路杭の設置費用の低減及び設置作業の簡素化が可能になる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1の自律走行車の走行システムにおいて、前記操舵制御手段は、第1磁気センサによる磁気検知と第2磁気センサによる磁気検知のタイミングのずれに基づいて自律走行車の進行方向と走行経路基準線との相対位置を判断する走行方向制御部と、該走行方向制御部の判断に従って予め記憶された動作パターンに応じて前記走行部を操舵する作動制御部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明によると、操舵制御手段が走行方向制御部によって第1磁気センサによる磁気検知と第2磁気センサによる磁気検知のタイミングのずれに基づいて自律走行車の進行方向と走行経路基準線との相対位置を判断し、作動制御部による走行方向制御部の判断に従って予め記憶された動作パターンに応じて操舵することにより、少ない数の走行経路杭でも安定した自律走行車の走行が可能になる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の自律走行車の走行システムにおいて、前記各走行経路杭の第1磁石と第2磁石は、互いにN極とS極との組み合わせによる個別の磁気を生成し、前記操舵制御手段は検出された極の組み合わせに対応した走行パターンによって自律走行車を制御することを特徴とする。
【0015】
この発明によると、種々の走行経路杭を組み合わせることにより、容易に、種々の自律走行車の走行制御が可能になる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の自律走行車の走行システムにおいて、前記操舵制御手段は、自律走行車の左右に配置される駆動輪をそれぞれ回転駆動する各モータの回転速度差を制御することを特徴とする。
【0017】
この発明によると、自律走行車の左右に配置される駆動輪をそれぞれ回転駆動する各モータの回転速度差を制御して操舵することにより操舵制御手段の簡素化が得られる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の自律走行車の走行システムにおいて、前記走行経路杭は、下方に移行するに従って次第に縮径する円錐状乃至楔状で内部に第1磁石を収容保持する第1ホルダと、下方に移行するに従って次第に縮径する円錐状乃至楔状で内部に第2磁石を収容保持する第2ホルダと、該第1ホルダと第2ホルダを連結する連結部とが一体形成された樹脂製のホルダを有することを特徴とする。
【0019】
この発明によると、第1磁石及び第2磁石が収容保持される円錐状乃至楔状の第1ホルダと第2ホルダとが一体形成された走行経路杭は、走行経路の走行経路基準線と直交する状態で間隔を有して連続的に地中に打ち込む簡単な作業で埋設できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、第1磁石を保持する第1ホルダと第2磁石を保持する第2ホルダが一体形成された走行経路杭を走行経路基準線に沿って地中に埋設し、自律走行車に第1磁気センサ及び第2磁気センサによる磁気検知に基づいて操舵制御手段により操舵することにより、走行経路基準線に沿って埋設される走行経路杭の間隔が比較的大きく離間して配置しても自律走行車の進行方向が走行経路基準線からずれることが抑制される。これにより少ない数の走行制御杭でも安定した自律走行車の走行を可能になり、埋設される必要な走行制御杭の削減に伴って、走行経路杭の設置費用の低減及び設置作業の簡素化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明における自律走行車の走行システムの実施形態を説明する。
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1乃至図9を参照して、自律走行車が農業用ロボットの場合を例に説明する。
【0023】
図1は走行経路に埋設する走行経路杭1の斜視図、図2は図1のII−II断面図、図3は走行経路杭1の設置状態を示す図である。
【0024】
図1及び図2を参照して走行経路杭1について説明する。走行経路杭1は、平坦な円形の上面12及び上面12の外周から下方に移行するに従って次第に縮径するテーパ状の外周面13を備えた円錐状乃至楔状で、その中央に上下方向に延在する有底円筒状の第1磁石収容部14が凹設される第1ホルダ11と、この第1ホルダ11と同形で平坦な円形の上面16及び下方に移行するに従って縮径するテーパ状の外周面17を備えた円錐状乃至楔状で中央に上下方向に延在する有底円筒状の第2磁石収容部18が凹設された第2ホルダ15と、これら第1ホルダ11及び第2ホルダ15の上部間を連結する連結部19が一体形成された樹脂製のホルダ10を有する。
【0025】
即ち、ホルダ10は、設置基準位置となる連結部19の中心10aを中心に第1ホルダ11及び第2ホルダ15が対称形で、中心10aから第1磁石21の中心21aまでの距離L1と、中心10aから第2磁石22の中心22aまでの距離L2が等しく設定される。
【0026】
第1ホルダ11の第1磁石収容部14内に例えば上方が正極(N)に下方が負極(S)に着磁された円柱状の第1磁石21が複数、本実施の形態では3個の第1磁石21が収容保持され、第1磁石収容部14の上部は図示しない樹脂の充填材によって気密かつ水密的に覆われる。同様に第2ホルダ15の第2磁石収容部18内にも上方がN極に下方がS極に着磁された3個の第2磁石22が収容保持され、第2収容部18の上部は樹脂の充填材によって気密かつ水密的に覆われる。
【0027】
このように構成された走行経路杭1は、図3に模式的に示すように、耕地等の消毒剤散布予定地に予め設定された走行経路Wの走行経路基準線Waに沿って、走行経路杭1の中心10aを配置し、かつ第1磁石21の中心21aと第2磁石22の中心22aを結ぶ基準線Lcが走行経路基準線Waと直交する状態で間隔を有して連続的に地中Eに埋設される。この走行経路杭1は、円錐状乃至楔状の第1ホルダ11及び第2ホルダ15を走行経路Waに沿って消毒剤散布予定地に打ち込む簡単な作業で埋設できる。
【0028】
次に、農業用ロボット30について説明する。図4は農業用ロボット30の概略を示す正面図、図5は概略を示す農業用ロボット30の側面図、図6は概略を示す農業用ロボット30の下面図である。
【0029】
農業用ロボット30は、ロボット本体31の下面前面に沿って延在する弾性部材からなるバンパ33を備えると共に、ロボット本体31の下面に走行部40が配設され、かつロボット本体31の前面に消毒剤散布装置60が配設される。また、各図において消毒剤散布装置60は図面の簡略化を図るため破線で示してある。
【0030】
なお、ロボット本体31を説明するにあたり、便宜上、進行方向となるロボット本体31の中心31aを基準に前後方向に延在する仮想の前後方向基準線La及び中心31aにおいて前後方向基準線Laと直交して車幅方向に延在する幅方向基準線Lbを参照して説明する。
【0031】
走行部40は、ロボット本体40の下面両側において幅方向基準線Lb上でかつロボット本体31の中心31aから等距離にそれぞれ配置される左右一対の駆動輪41a、41b及び、ロボット本体31の下面前部及び後部において前後方向基準線La上に配置される前輪42a及び後輪42bを備える。この前輪42a及び後輪42bはキャスタ等によって揺動自在にロボット本体31の下面に取り付けられる。
【0032】
左右の駆動輪41a、41bはそれぞれモータ43a、43bによって独立して回転駆動し、駆動輪41a、41bの前進回転或いは後進回転によってロボット本体31が前進或いは後進し、左右の駆動輪41aと41bの前進回転速度に差を与えることによって前進しつつ右或いは左に旋回走行する。また、左右の駆動輪41a、41bの後進回転速度に差を与えることによって後進しつつ右或いは左に旋回走行する。更に、左右の駆動輪41a、41bを互いに逆方向に回転することによってロボット本体31がその位置で中心31aの回りに方向転換する。即ち、本実施の形態では、駆動輪41a、41b、モータ43a、43b4及び前輪42a、後輪42bによって前後進及び操舵、方向転換等が可能な走行装置が構成される。
【0033】
ロボット本体31の前部でかつ平面視状態で前後方向基準線Laと直交する線上でかつ前後方向基準線Laから左右に等距離で離間すると共に同一高さ位置、本実施の形態ではバンパ33下部に、地中Eに埋設された走行経路杭1の第1ホルダ11及び第2ホルダ15配置された第1磁石21、第2磁石22の磁気を検知する一対の第1磁気センサ45及び第2磁気センサ46を設ける。なお、図中45a及び46aはそれぞれ第1磁気センサ45及び第2磁気センサ46による検知可能範囲、即ち磁気センシングエリアを示す。この磁気センシングエリア45a、46aは第1磁気センサ45、第2磁気センサ46の感度を調整することで、ある程度設定変更できる。
【0034】
更に、ロボット本体31の前方側に前方の障害物を検知する障害物センサ47a及び側方の障害物を検知する障害物センサ47b、47cを設ける。
【0035】
これら、第1磁気センサ45、第2磁気センサ46、及び障害物センサ47a〜47cからの各検知信号を操舵制御手段51に送る。操舵制御手段51は、第1磁気センサ45、第2磁気センサ46、障害物センサ47a〜47cが検知した検知信号に基づいてモータ43a、43bに関する指令信号を生成する。
【0036】
図7は操舵制御手段51の構成図であり、これはマイクロコンピュータを主体として構成されている。操舵制御手段51は、第1磁気センサ45による第1磁石21の磁気検知及び第2磁気センサ46による第2磁石22の磁気検知に基づく磁気検知信号により、農業用ロボット30の進行方向を判断する走行方向制御部52と、何れかの障害物センサ47a〜47cの障害物検知信号に基づいて農業用ロボット1の停止を判断する制動制御部53と、走行方向制御部52及び制動制御部53からの操舵制御信号及び制動制御信号に基づいて作動制御部54が予め記憶された動作パターンに応じてモータドライバ55a、55bを通じてモータ43a、43bを駆動する。
【0037】
即ち、第1磁気センサ45による第1磁石21の磁気検知と、第2磁気センサ46よる第2磁石22の磁気検知が同時であると走行方向制御部52が判断したときには、走行経路基準線Waに沿って走行している直進状態と判断し、その走行方向制御部52からの操舵制御倍号に基づいて作動制御部54はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43a及びモータ43bの回転速度を同速度に維持し直進状態を継続する。
【0038】
一方、第1磁気センサ45が第1磁石21の磁気を先に検知し、遅れて第2磁気センサ46が第2磁石22の磁気を検知されると、その検知信号のタイミングのずれに基づいて走行方向制御部52は走行方向が走行経路基準線Waに対して右側方向にずれていると判断し、走行方向制御部52からの操舵制御信号に基づいて作動制御部54はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43aに対してモータ43bの回転速度を増加させ、その回転速度差により左側に操舵する。
【0039】
同様に、第2磁気センサ46が第2磁石22の磁気を先に検知し、遅れて第1磁気センサ41が第1磁石21の磁気を検知すると、その検知信号のタイミングのずれに基づいて走行方向制御部52は走行方向が走行経路基準線Waに対して左側方向にずれていると判断し、走行方向制御部52からの操舵制御信号に基づいて作動制御部54はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43bに対してモータ43aの回転速度を増加させ、その回転速度差により右側に操舵する。
【0040】
また、障害物センサ47a〜47cの何れか1つの障害物センサが障害物を検知し、その障害物検知信号が制動制御部53に入力された際には、制動制御部53から制動制御信号に基づいて作動制御部54はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43a及びモータ43bの回転駆動を停止する。
【0041】
次に、農業用ロボット30の走行状態を平面視状に模式的に示す図8を参照して各部の作動を説明する。
【0042】
耕地等の消毒剤散布予定地の隣接する畝間等に予め設けられた農業用ロボット30の走行経路Wの中央部に設定された走行経路基準線Waに沿って、走行経路杭1が、その中心10aが走行経路基準線Wa上に位置しかつ第1磁石21の中心21aと第2磁石22の中心22aを結ぶ基準線Lcが走行経路基準線Waと直交する状態で間隔を有して予め埋設されている。
【0043】
農業用ロボット30は、走行経路基準線Waに沿って移動しつつ、消毒剤散布装置60から消毒剤を散布する。なお図8において消毒剤散布装置60は図示を省略している。
【0044】
この農業用ロボット30が走行経路基準線Waに沿う移動には、ロボット本体31は図8の(a)に示すよう走行経路基準線Waに沿ってロボット本体31を走行する。この走行にあたり、モータ43a、43bにより左右の駆動輪41a、41bを同じ前進回転速度(駆動輪41aの前進回転速度=駆動輪41bの前進回転速度)で駆動することで、ロボット本体31が走行経路基準線Waに沿って直進する。
【0045】
ロボット本体31の走行方向が走行経路基準線Wa上に倣って図8の(a)に示すようにロボット本体30が前進すると、ロボット本体31に設けられた第1磁気センサ45と第2磁気センサ46が同時にそれぞれ走行経路杭1の第1磁石21の磁気及び第2磁石22の磁気を検知し、走行方向制御部52からの操舵制御信号に基づいて作動制御部54はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43a及びモータ43bの回転速度を同速度に維持し直進状態を継続する。
【0046】
一方、柔軟な土地や、ぬかるんでいる場合等では、左右の駆動輪41aと41bと間で路面抵抗が異なりスリップ等が発生して、ロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waから左右にずれて傾斜することがある。
【0047】
ここで、例えば図8の(b)に示すように走行経路基準線Waに対し右側に傾斜した走行方向では、第1磁気センサ45が走行経路基準線Wa側に接近移動し、かつ第2磁気センサ46が走行経路基準線Waから離反すると共に、第2磁気センサ46に対し第1磁気センサ45が進行方向前方側となる。そして、第2磁気センサ46が走行経路杭1の第2磁石22の磁気を検知する前に第1磁気センサ45が第1磁石21の磁気を検知する。この第1磁気センサ45が先に磁気を検知し、遅れて第2磁気センサ46が磁気を検知すると、その検知信号のタイミングのずれに基づいて走行方向制御部52がロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waに対して右側に傾斜した走行と判断する。
【0048】
走行方向制御部52の進行方向判断に基づいて作動制御部54によりモータドライバ55a、55bを介してモータ43aによる駆動輪41aの前進回転速度に対してモータ43bによる駆動輪41bの前進回転速度が大になるように制御する(駆動輪41aの前進回転速度<駆動輪41bの前進回転速度)。これにより、ロボット本体30が前進しつつ左に旋回して走行経路基準線Wa上に復帰する。
【0049】
同様に、図8の(c)に示すように走行経路基準線Waに対し左側に傾斜した前進走行では、第1磁気センサ45が走行経路杭1の第1磁石21の磁気を検知するに先立って第2磁気センサ46が第2磁石22の磁気を検知する。この第2磁気センサ46が先に磁気を検知し、遅れて第1磁気センサ45が磁気を検知すると、その検知信号のタイミングのずれに基づいて、モータ43bによる駆動輪41bの前進回転速度に対してモータ43aによる駆動輪41aの前進回転速度が大になるように制御する(駆動輪41aの前進回転速度>駆動輪41bの前進回転速度)。これにより、ロボット本体31が前進しつつ左に旋回して走行経路基準線Wa上に復帰する。
【0050】
また、走行中に障害物センサ47a〜47cが障害物を検知した際には、その検知信号に基づいてモータ43a、43bが停止し、走行を停止する。
【0051】
従って、このように構成された農業用ロボット30によると、走行経路基準線Waに沿って走行し、左右の駆動輪41aと41bと間でスリップ等が発生してロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waから左右に傾斜した際には、第1磁気センサ45による磁気検知と第2磁気センサ46による磁気検知にずれが生じ、その検知信号のタイミングのずれに基づいてモータ43a、43bによる駆動輪41a、41bに回転速度差を付与して進行方向を走行経路基準線Waに復帰するように操舵することから、走行経路基準線Waに沿って埋設される走行経路杭1間隔、即ち隣接する走行経路杭1を比較的大きく離間して配置してもロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waからずれることが抑制される。これにより少ない数の走行経路杭1でも安定した農業用ロボット30の走行が可能になる。よって、埋設する走行経路杭1の削減ができ、走行経路杭1の設置費用の低減及び設置作業の簡素化が可能になる。
【0052】
なお、走行経路杭1の第1磁石収容部14及び第2磁石収容部18にそれぞれ収容される第1磁石21及び第2磁石22のN極及びS極を種々変更してそれらの組み合わせにより、動作パターンを種々制御することもできる。図9を参照して具体的に説明する。
【0053】
例えば、図9の(a)に断面図を示すように、第1ホルダ11の第1磁石収容部14及び第2ホルダ15の第2磁石収容部18に収容する第1磁石21及び第2磁石22が共に上方がN極で下方がS極となるように配置した第1走行経路杭1Aと、同図(b)に示すように第1ホルダ11の第1磁石収容部14及び第2ホルダ15の第2磁石収容部18に収容する第1磁石21及び第2磁石22が共に上方がS極で下方がN極となるように配置した第2走行経路杭1Bと、同図(c)に示すように第1ホルダ11の第1磁石収容部14に収容される第1磁石21を上方がN極で下方がS極となるように配置し、第2ホルダ15の第2磁石収容部18に収容される第2磁石21を上方がS極で下方がN極となるように配置した第3走行経路杭1C、及び同図(d)に示すように第1ホルダ11の第1磁石収容部14に収容される第1磁石21を上方がS極で下方がN極となるように配置し、第2ホルダ15の第2石収容部18に収容される第2磁石21を上方がN極で下方がS極となるように配置した第4走行経路杭1Dを準備する。
【0054】
一方、例えば、第1磁気センサ45及び第2磁気センサ46が共にN極の磁気を検知した際には直進、第1磁気センサ45及び第2磁気センサ46が共にS極の磁気を検知した際には停止、第1磁気センサ45がN極の磁気を検知しかつ第2磁気センサ46がS極の磁気を検知した際には右へ90度旋回、第1磁気センサ45がS極の磁気を検知しかつ第2磁気センサ46がN極の磁気を検知した際に左へ90度旋回と予め定義する。これにより、第1磁気センサ45及び第2磁気センサ46がそれらの検知を検知した際に走行方向制御部51がそれらの磁気信号に基づいて判断し、作動制御部54によりそれらの動作パターンに応じてモータドライバ55a、55bを通じてモータ43a、43bを駆動するように設定し、走行経路Wに対応する第1走行経路杭1A、第2走行経路杭1B、第3走行経路杭1C、第4走行経路杭1Dを埋設することで対応する種々制御することができる。
【0055】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図10乃至図14を参照して説明する。なお、上記第1実施の形態における図1乃至図8と対応する部分には同一符号を付すことで該部の詳細な説明を省略する。
【0056】
図10は走行経路Wに埋設する走行経路杭70の斜視図、図11は図10のXI−XI線断面図、図12は走行経路杭70の設置状態を示す図である。
【0057】
走行経路杭70は円形の上面12及び外周面13を有する円錐状乃至楔状で、その中央に上下方向に第1磁石収容部14が凹設される第1ホルダ11と、円形の上面16及び外周面17を有する円錐状乃至楔状で上下方向に第2磁石収容部18が凹設される第2ホルダ15と、これら第1ホルダ11及び第2ホルダ15の上部間を連結する連結部19とが一体形成された樹脂製のホルダ10を有する。
【0058】
第1ホルダ11の第1磁石収容部14内に例えば上方がN極に下方がS極となる第1磁石71が収容され、第2ホルダ15の第2磁石収容部18内に第1ホルダ11とは逆に上方がS極に下方がN極となる第2磁石72が収容される。
【0059】
このように構成された走行経路杭70は、図12に模式的に示すように、消毒剤散布予定地に予め設定される走行経路Wの走行経路基準線Waに沿って、この走行経路基準線Waに走行経路杭70の中心70aが位置し、第1ホルダ11が走行経路基準線Waの左側となり、かつ基準線Lcが走行経路基準線Waと直交する状態で走行経路基準線Waに沿って間隔を有して連続的に地中Eに埋設される。
【0060】
一方、農業用ロボット30は第1実施の形態と同様の構成であり、図示は省略するが、ロボット本体31は、走行部40は第1実施の形態と同様に左右一対の駆動輪41a、41b及び前輪42a、後輪42bを備える。
【0061】
ロボット本体31の前部において第1実施の形態と同様にバンパ33の下部に、地中Eに埋設された走行経路杭70に配置された第1磁石71、第2磁石72の磁気を検知する左右一対の第1磁気センサ45及び第2磁気センサ46を設ける。
【0062】
図13は操舵制御手段81の構成図である。操舵制御手段81は、第1磁気センサ45による第1磁石71の磁気検知及び第2磁気センサ46の磁気検知に基づく磁気検知信号により、農業用ロボット30の進行方向を決定する走行方向制御部82と、障害物センサ47a〜47cのいずれかからの障害物検知信号に基づいて農業用ロボット30の停止を決定する制動制御部53と、走行方向制御部82及び制動制御部53からの操舵制御信号及び制動制御信号に基づいて作動制御部84が予め記憶された動作パターンに応じてモータドライバ55a、55bを通じてモータ43a、43bを駆動する。
【0063】
第1磁気センサ45による第1磁石71のN極の磁気検知と、第2磁気センサ46による第2磁石72のS極の磁気検知が同時と走行方向制御部82が判断したときには、走行経路基準線Waに沿って走行している直進状態と判断し、その操舵制御信号に基づいて作動制御部84はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43a及び43bの回転速度を同速度に維持し直進状態を継続する。
【0064】
第1磁気センサ45が第1磁石71のN極の磁気を先に検知し、遅れて第2磁気センサ46が第2磁石22のS極の磁気を検知すると、その検知信号のタイミングのずれに基づいて走行方向制御部82は走行方向が走行経路基準線Waに対して右側方向にずれて走行していると判断し、走行方向制御部82からの操舵制御信号に基づいて作動制御部84はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43aに対してモータ43bの回転速度を増加させ、その回転速度差により左側に操舵する。
【0065】
更に、第1磁気センサ45によって第2磁石72のS極の磁気が検知されると、その検知信号に基ついて走行方向制御部82は走行方向が走行経路基準線Waに対して大きく右側方向にずれて走行していると判断し、走行方向制御部82からの操舵制御信号に基づいて作動制御部84はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43aの回転速度に対してモータ43bの回転速度を更に大きく増加させ、その大きな回転速度差により左側に操舵する。
【0066】
一方、第2磁気センサ46が第2磁石72のS極の磁気を先に検知し、遅れて第1磁気センサ45が第1磁石71のN極の磁気を検知すると、その検知信号のタイミングのずれに基ついて走行方向制御部82は走行方向が走行経路基準線Waに対して左側方向にずれて走行していると判断し、走行方向制御部82からの操舵制御信号に基づいて作動制御部84はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43bに対してモータ43aの回転速度を増加させ、その回転速度差により右側に操舵する。
【0067】
更に、第2磁気センサ46によって第1磁石71のN極の磁気が検知されると、その検知信号に基ついて走行方向制御部82は走行方向が走行経路基準線Waに対して大きく左側方向にずれて走行していると判断し、走行方向制御部82からの操舵制御信号に基づいて作動制御部84はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43bの回転速度に対してモータ43aの回転速度を大きく増加させ、その大きな回転速度差により右側に操舵する。
【0068】
次に、農業用ロボット30の走行状態を平面視状に模式的に示す図14を参照して各部の作動を説明する。
【0069】
消毒剤散布予定地において隣接する畝間等に予め設定された農業用ロボット30の走行経路Wに設定された走行経路基準線Waに沿って、走行経路杭70が走行経路基準線Waと直交すると共に第1磁石71が走行経路基準線Waの左側で第2磁石72が走行経路基準線Waに右側となる状態で間隔を有して埋設されている。
【0070】
農業用ロボット30は、走行経路基準線Waに沿って移動しつつ、消毒剤散布装置60から消毒剤を散布する。
【0071】
この農業用ロボット30が走行経路基準Waに沿う走行に際して、ロボット本体31は図14の(a)に示すよう走行経路基準線Waに沿って走行する。この走行にあたり、左右の駆動輪41a、41bを同じ前進回転速度(駆動輪41aの前進回転速度=駆動輪41bの前進回転速度)で駆動することで、ロボット本体31が走行経路基準線Waに沿って直進移動し、ロボット本体31が前進するとロボット本体31に設けられた第1磁気センサ45と第2磁気センサ46が同時にそれぞれ走行経路杭70の第1磁石71のN極の磁気及び、第2磁石72のS極の磁気を検知し、走行方向制御部82からの操舵制御信号に基づいて作動制御部84はモータドライバ55a及び55bを介してモータ43a及びモータ43bの回転速度を同速度に維持し直進状態を継続する。
【0072】
一方、柔軟な土地や、ぬかるんでいる場合等では、左右の駆動輪41aと41bと間で路面抵抗が異なりスリップ等が発生して、ロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waから左右に傾斜することがある。
【0073】
ここで、例えば図14の(b)のように走行経路基準線Waに対し右側に傾斜した走行方向では、第1磁気センサ45が走行経路基準線Wa側に接近し、かつ第2磁気センサ46が走行経路基準線Waから離反すると共に、第2磁気センサ46に対し第1磁気センサ45が進行方向前方側となり、第2磁気センサ46が走行経路杭70の第2磁石72のS極の磁気を検知する前に第1磁気センサ45が第1磁石71のN極の磁気を検知する。
【0074】
この第1磁気センサ45が第1磁石21のN極の磁気検知を先に、遅れて第2磁気センサ46が第2磁石72のS極の磁気が検知される。その検知信号のタイミングのずれに基づいて走行方向制御部82がロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waに対して右側に傾斜した走行と判断する。走行方向制御部82の進行方向決定に基づいて作動制御部84によりモータドライバ55a、55bを介してモータ33aによる駆動輪41aの前進回転速度に対してモータ43bによる駆動輪41bの前進回転速度が大になるように制御する(駆動輪41aの前進回転速度<駆動輪41bの前進回転速度)。これにより、ロボット本体31が前進しつつ左に旋回して走行経路基準線Wa上に復帰する。
【0075】
更に、図14の(c)のようにロボット本体31が走行経路基準線Waに対し右側に大きく傾斜した走行方向では、第1磁気センサ45が第2磁石72のS極の磁気を検知する。この第1磁気センサ45による第2磁石72のS極の磁気検知信号に基づいて走行方向制御部82がロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waに対して右側に大きく傾斜した走行と判断する。走行方向制御部82の進行方向決定に基づいて作動制御部84によりモータドライバ55a、55bを介してモータ43aによる駆動輪41aの前進回転速度に対してモータ43bによる駆動輪41bの前進回転速度が更に大になるように制御する(駆動輪41aの前進回転速度<駆動輪41bの前進回転速度)。これにより、ロボット本体31が前進しつつ左に急速に操舵して走行経路基準線Wa上に早急に復帰する。
【0076】
同様に、左右の駆動輪41a及び41bにスリップ等が発生して、走行経路基準線Waに対し左側に傾斜した走行方向では、図14の(d)に示すように、第2磁気センサ46が走行経路基準線Wa側に接近し、かつ第1磁気センサ45が走行経路基準線Waから離反すると共に、第1磁気センサ45に対し第2磁気センサ46が進行方向前方側となる。これにより第1磁気センサ45が走行経路杭70の第1磁石71のN極の磁気を検知する前に第2磁気センサ46が第2磁石72のS極の磁気を検知する。この検知信号のタイミングのずれに基づいて走行方向制御部82がロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waに対して左側に傾斜した走行と判断する。走行方向制御部82の進行方向判断に基づいて作動制御部84によりモータドライバ55a、55bを介してモータ43bによる駆動輪41bの前進回転速度に対してモータ43aによる駆動輪41aの前進回転速度が大になるように制御する(駆動輪41aの前進回転速度>駆動輪41bの前進回転速度)。これにより、ロボット本体31が前進しつつ左に旋回して走行経路基準線Wa上に復帰する。
【0077】
更に、図14の(e)のように左側に大きく傾斜した走行方向では、第2磁気センサ46が第1磁石71のN極の磁気を検知する。この第2磁気センサ46による第1磁石71のN極の磁気検知信号に基づいて走行方向制御部82がロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waに対して左側に大きく傾斜した走行と判断する。走行方向制御部82の進行方向判断に基づいて作動制御部84によりモータドライバ55a、55bを介してモータ43bによる駆動輪41bの前進回転速度に対してモータ43aによる駆動輪41aの前進回転速度が更に大になるように制御する(駆動輪41aの前進回転速度>駆動輪41bの前進回転速度)。これにより、ロボット本体31が前進しつつ右に急速に旋回して走行経路基準線Wa上に早急に復帰する。
【0078】
従って、本実施の形態においてロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waに沿って、或いは少なく傾斜して走行する際には第1磁気センサ45が第1磁石71の磁気を検知し、第2磁気センサ46が第2磁石72の磁気を検知して第1実施の形態と同様の走行制御を実行する一方、ロボット本体31の進行方向が走行経路基準線Waに対して大きく傾斜した際には、通常の走行と異なり第1磁気センサ45により第2磁石72のS極の磁気検出、或いは第2磁気センサ46により第1磁石71のN極の磁気検出に基づき急速に操舵して走行経路基準線Wa上に早急に復帰することから、第1実施の形態に加え更に迅速に走行経路基準線Waに沿った走行に復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1実施の形態における走行経路杭の斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】走行経路杭の設置状態を示す説明図である。
【図4】農業用ロボットの概略を示す正面図である。
【図5】農業用ロボットの概略を示す側面図である。
【図6】農業用ロボットの概略を示す下面図である。
【図7】操舵制御手段の構成図である。
【図8】農業用ロボットの走行を模式的に示す図である。
【図9】(a)は第1走行経路杭、(b)は第2走行経路杭、(c)は第3走行経路杭、(d)は第4走行経路杭の説明図である。
【図10】第2実施の形態における走行経路杭の斜視図である。
【図11】図10のXI−XI断面図断面図である。
【図12】走行経路杭の設置状態を示す説明図である。
【図13】操舵制御手段の構成図である。
【図14】農業用ロボットの走行を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 走行経路杭
11 第1ホルダ
15 第2ホルダ
21 第1磁石
22 第2磁石
30 農業用ロボット
31 ロボット本体
40 走行装置
41a、41b 駆動輪
43a、43b モータ
45 第1磁気センサ
46 第2磁気センサ
51 操舵制御手段
60 消毒剤散布装置
70 走行経路杭
71 第1磁石
72 第2磁石
81 操舵制御手段
W 走行経路
Wa 走行経路基準線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って地中に埋設された磁石の磁気を、磁気センサにより検知しながら自律走行する自律走行車の走行システムであって、
第1磁石を保持する第1ホルダと第2磁石を保持する第2ホルダが一体形成され、該第1磁石と第2磁石を結ぶ基準線が予め設定された走行経路基準線と直交する状態で間隔を有して連続的に地中に埋設される複数の走行経路杭と、
自律走行車に設けられた駆動輪を備えた走行部と、
前記第1磁石及び第2磁石の磁気を検知するために自律走行車に進行方向と直交する線上に配置された一対の第1磁気センサ及び第2磁気センサと、
前記第1磁気センサによる磁気検知と第2磁気センサによる磁気検知に基づいて前記走行部の操舵を制御する操舵制御手段とを備えることを特徴とする自律走行車の走行システム。
【請求項2】
前記操舵制御手段は、
第1磁気センサによる磁気検知と第2磁気センサによる磁気検知のタイミングのずれに基づいて自律走行車の進行方向と走行経路基準線との相対位置を判断する走行方向制御部と、
該走行方向制御部の判断に従って予め記憶された動作パターンに応じて前記走行部を操舵する作動制御部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の自律走行車の走行システム。
【請求項3】
前記走行経路杭の第1磁石と第2磁石は、互いにN極とS極との組み合わせによる個別の磁気を生成し、前記操舵制御手段は検出された極の組み合わせに対応した動作パターンよって自律走行車を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の自律走行車の走行システム。
【請求項4】
前記操舵制御手段は、
自律走行車の左右に配置される駆動輪をそれぞれ回転駆動する各モータの転速度差を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自律走行車の走行システム。
【請求項5】
前記走行経路杭は、
下方に移行するに従って次第に縮径する円錐状乃至楔状で内部に第1磁石を収容保持する第1ホルダと、
下方に移行するに従って次第に縮径する円錐状乃至楔状で内部に第2磁石を収容保持する第2ホルダと、
該第1ホルダと第2ホルダを連結する連結部とが一体形成された樹脂製のホルダを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自律走行車の走行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−157053(P2010−157053A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334208(P2008−334208)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】