説明

自殺防止監視通報方法及び自殺防止監視通報装置

【課題】自殺企図者と一般観光客や釣客とを見分けるとともに、自殺企図者に対して心の呼び掛け通報・対話する自殺防止監視通報方法とその自殺防止監視通報装置を提供する。
【解決手段】自殺が多く発生する特定エリアに進入した人を赤外線カメラで撮影・画像処理し、多くの自殺企図者の行動をパターン化した情報に基づいてコンピュータにより自殺企図者か否かを識別し、管理センターに通報すると同時に管理者の携帯電話にも画像を送信し、管理センターから、コンピュータの映像を見ながらマイクで直接呼び掛ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自殺企図者を監視し救助する自殺防止監視通報方法及び自殺防止監視通報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、自殺者が年間3万人を超え、自殺予防の取り組みが大きな社会的課題になっている。
本発明者が取り組んでいる、福井県の観光地である東尋坊は、 高さおよそ25mの断崖絶壁が1kmにわたり続き、過去30年間で600人以上が身を投じ、亡くなっています。
そこで、自殺者を無くそうと、昼間、NPO法人のボランティアスタッフや地元の人とがパトロールをし、不審な人物を見つけた場合、声掛けなどを行なっています。しかし、夜間の飛び込みが多いのが実情です。夜のパトロールには危険が伴い、又、巡回する人材の確保は困難で、その活動には限界があります。
昼間は監視員によるパトロールと、夜間は無人の自動監視体制の両輪で自殺を防ぐことが急務であると考えた。
しかしながら、今日まで、下記のような防犯監視システムは多くの特許文献等で提案されているが、これらは、犯罪捜査を主目的としたもので、本発明のような自殺企図者を救助することを目的とした監視・救助の思想は皆無といえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−2999781
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、発明者は永年にわたり、自殺企図者の行動と一般の観光者或いは釣客の行動を監視分析したところ次の様な特徴があることを知見した。
(1) 自殺企図者の行動
岩場のような危険な場所に長時間座り込み(約30分程度)、行動が鈍く、長時間考え込んでいる。又、日が沈み、人影も居なくなった時間帯が多い。
更に、自殺企図者は皆生き続けていたいが、受動的で自分の悩みを優しく聞いてくれる人、心の助けを待っている。
(2) 一般の観光客の行動、
立ったまま周囲を見廻して早めに立ち去る。約10分程度 ほとんど座り込む事がない。
(3) 釣客の行動
釣り具を持ち、崖下に降りる。(10分程度)
【0005】
そこで、本発明の課題は、自殺企図者の行動と一般観光客や釣客とを見分ける方法と、自殺企図者に心の呼び掛け通報・対話する新規な方法、即ち、自殺防止監視通報方法とその自殺防止監視通報装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は上記の知見に基づき、少なくとも次のような方法で構成する自殺防止監視通報方法及びその自殺防止監視通報装置を発明した。
(1) 夜間でも特定エリアに侵入した人を検知する方法。即ち、侵入者検知方法。
(2) 上記の情報を画像処理し多くの自殺企図者の各行動をパターン化しコンピューターで侵入者が自殺企図者か否かを識別する自殺企図者識別方法。
(3) 自殺企図者に呼び掛け、対話する方法。即ち、通報対話方法。
(4) 自殺企図者の行動を監視・管理する一括管理方法。
以上のような方法で構成した。
【0007】
上記の方法をより詳細に説明する。
侵入者検知方法とは
夜間でも特定エリアに侵入した人の行動が鮮明で明瞭に検知する侵入検知方法は、高性能な赤外線カメラで撮影する。
ここで言う高性能とは、暗闇や悪天候、雪、濃霧、煙の中でも、遠方から特定エリアに侵入したものを鮮明で明瞭な赤外線画像で捕らえることをいう。
特定狭エリアを監視するには固定赤外線カメラで、広域エリアを一台のカメラで監視するには旋回式赤外線カメラで撮影する。又、追尾しながら撮影する方法もよい。
【0008】
自殺企図者識別方法には次のことが要求される。
(1) 侵入物体が人間か小動物かを見分ける。
(2) 多くの自殺企図者が行動、即ち、歩行、座り込み、立っている姿等の行動をパターン化し、且つ、各行動の所用時間等から自殺企図者か否かを識別する。
(3) 携行物の確認をする。
(4) 予め設定した警戒ラインに侵入したか否かを検知する。
(6) 自殺企図者のプライバシー保護を図る。
(7) 自殺企図者と識別した際、管理者への通報、自殺企図者に呼び掛ける等の指令を出す。
(8) 上記通報は管理センターに通報すると同時に、管理者の携帯電話にも画像を送信し自殺企図者の侵入を通報する。
【0009】
通報対話方法とは
(1) 上記自殺企図者識別方法で得た指令で、管理センターに通報すると同時に、管理者の携帯電話にも画像を送信し自殺企図者の侵入を通報する。
(2) 上記自殺企図者識別方法からの指令で、自動的に予め録音されている呼び掛け音声を自殺企図者に優しく語り掛ける。
(3) 管理センターでは、コンピューターの映像を見ながら危険な際にはマイクで直接呼び掛ける。
(4) 自殺企図者は呼び掛けに応じて、近くの公衆電話から管理者と対話する。
公衆電話ボックス内には、管理者の電話番号を明記しておく。
(5) 通報対話方法の一手法として、サーチライトを投光もある。
(6) スピーカーは必ずしも限定するものではないが自殺企図者を重視した平面波スピーカーとか超指向性スピーカーで呼び掛けるとよい。
(7) 自殺企図者と管理者とが対話して自殺を踏み止ませ救助する。
【0010】
一括管理とは
(1) 赤外線カメラや自殺企図者識別方法からの情報をネットワーク化し、モニタリング・管理コンピューターで映像を見ながら一括管理する。
(2) 画像を見ながら、危険なときは直接マイクで呼び掛ける。
(3) 自殺企図者と対話する。
(4) 赤外線カメラや自殺企図者識別方法からの情報を、レコーダに録画し、何時でも再生可能にする。
尚、特定エリアの近傍で一括管理するか、遠隔地の警備会社等に委託して一括管理するかの方法がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法の導入によって、次のような効果が生じた。
(1) 自殺企図者をいち早く発見・保護ができ、地球より重いといわれる尊い人命の救助が可能になった。これに勝る効果はない。
(2) 危険な夜間のパトロールが軽減できる。
(3) 高性能な赤外線カメラを使用することによって、如何なる条件下でも監視が可能である。
(4) 画像処理でプライバシーの保護が図れる。
(5) 平面波スピーカーを使用することによって、自殺企図者に優しく話し掛けることができ、自殺企図者も踏み止まる心の誘因になる。
(6) 携帯電話ともネットワーク化するなど通信網を完備することによって、何時でも救助体制が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の方法を示すフローチャート。
【図2】 本発明の装置を4箇所の狭エリアで実施した各機器の系統図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明方法を用いた装置の実施例図2に基づき説明する。
【実施例】
東尋坊は、東側広場、中央メインと中央ベンチ、 西側広場の4カ所が危険な地域とされている。
これら各地域を監視するには、図2の様に、侵入者検知手段として高性能赤外線カメラ (1)を設置し、該赤外線カメラからの情報から侵入者が自殺企図者であるか否かを判 断する。
自殺企図者検知ユニットTRK,アナログ/デジタル信号変換器VB,マイクロコンピューターMPC,信号切替HUB,サージプロテクターHUB等を組み込み、自殺企図者に呼び掛ける平面波スピーカーを設置した。これら各エリアの情報をインターネット化して管理センターに送信する。
管理センターではモニタリング・管理コンピューター、ネットワークレコーダ、マイクを設置する。又、自殺企図者と対話出来るよう特定エリアと管理センターに電話器を設置した。
更に、MPCを介して、携帯電話で現場の状況監視や、自殺企図者の呼び掛けも可能にしています。
図示しないが自殺企図者に向かってサーチライトを投光することも可能である。
【0014】
数カ所の狭域エリアを図2の様な機器で監視する一実施例であるが、広域エリアを一台の機器で管理するには、旋回式赤外線カメラとか超指向性スピーカー及び旋回式サーチライトの使用が適している。尚、侵入者の自動探知・追尾機能を持った旋回式赤外線カメラも適している。
【符号の説明】
【0015】
1 カメラ
2 スピーカー
3 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自殺企図者が身を投じて自殺を図る特定エリアにおいて、該エリアに侵入する者を検知する侵入者検知方法として高性能赤外線カメラで撮影し、
該侵入者検知方法で得て侵入者が自殺企図者か否かを識別する自殺企図者識別方法として多くの自殺企図者の歩行、座り込み、立ち姿や携行物等及び所用時間等をパターン化した情報と、前記赤外線カメラで撮影した人影を画像処理した情報から自殺者企図者として識別し、
その識別された情報を管理者に通報すると同時に自殺企図者に予め録音した呼び掛け音声をスピーカーで流し、
自殺企図者と管理者とが固定電話或いは携帯電話で対話しすることで自殺を防止することを特徴とした自殺防止監視通報方法。
【請求項2】
自殺企図者が身を投じて自殺を図る特定エリアにおいて、該エリアに侵入する者を検知する侵入者検知手段である高性能赤外線カメラと、
該侵入者検知手段で得て侵入者が自殺企図者か否かを識別する自殺企図者識別手段が、多くの自殺企図者の歩行、座り込み、立ち姿等の行動やその所用時間と携行物等をパターン化した情報と、前記赤外線カメラからの撮影画像を画像処理した情報等とから自殺企図者と識別するコンピューターと、
前記手段で識別した自殺企図者に予め録音した呼び掛け音声を流すスピーカーと、
自殺企図者と管理者との通報対話手段である固定電話や携帯電話と、
これらの情報を一括管理するモニタリング・管理コンピューターとレコーダ及びマイクとで構成したことを特徴として自殺防止監視通報装置。
【請求項3】
請求項2記載の高性能カメラが、自動探知・追尾機能を有する高性能赤外線カメラであることを特徴とした自殺防止監視通報装置。
【請求項4】
請求項2記載のスピーカーが平面波スピーカー或いは超指向性スピーカーであることうを特徴とした自殺防止監視通報装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−66867(P2011−66867A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238715(P2009−238715)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(593112160)
【出願人】(509285975)
【Fターム(参考)】