説明

自由流動性エマルジョン濃縮物

本発明は、低温において自由に流動し、ポンプで注入可能であり、感触が良好で、かつ保存性が良好な、特に化粧用布に好適で、好ましくはエトキシ化物質を含有しないエマルジョン濃縮物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自由流動し、低温で噴出可能(pumpbare)であり、良好な知覚特性および良好な保存安定性を有し、特に化粧品のふき取りに適し、エトキシ化原料を使用して分配することが可能なエマルジョン濃縮物に関する。
【背景技術】
【0002】
市販されているエマルジョン濃縮物は一般にエトキシ化原料に基づくものであり、これは経済的観点から重要なことと考えられている。
【0003】
EOを含まない(すなわちエトキシ化原料を含まない)ためには、親水性エマルジョン濃縮物、すなわち水不溶性油成分、乳化剤およびポリオールに基づく組み合わせが公知であり、例えばEmulgade(登録商標) CPE (商品名)の名称で入手できる。これらのエマルジョン濃縮物の欠点は、低温、特に15℃以下の温度での粘度上昇、およびその知覚特性である。
【0004】
WO 2008/019773 A1には、水不溶性成分、親水性非イオン性乳化剤、親油性共乳化剤、ポリオールおよび水を含むエマルジョン濃縮物が記載されている。ここではエトキシ化物質に基づく乳化剤が使用されている。更に、好ましくはエトキシ化物質/原料の画分が少ない場合に得られ得る、室温におけるエマルジョン濃縮物の自由流動性およびポンプによる利用性(Pumpfahigkeit)が記載されている。エトキシ化物質を使用せずに得ることができるエマルジョン濃縮物を提供することが特に興味深いことであった。
【0005】
本発明の目的は、15℃以下の温度で自由流動性およびポンプ性を有し、かつ良好な知覚特性を有するエマルジョン濃縮物を提供することであった。本発明において「自由流動性およびポンプ性」とは、Brookfield回転式粘度計 (model RVF, spindle 5, 10 rpm, 23℃)を使用して測定した場合に15℃における粘度が30 000 mPas以下であるエマルジョン濃縮物をいうために使用する用語である。
【0006】
これらのエマルジョン濃縮物はそのまま基体(Substrate)に適用することができるが、通常は希釈する。最も単純な場合では、希釈は水を用いて行う。本発明の更なる目的は、希釈後に保存安定性を有するエマルジョン濃縮物を提供することであり、これは一般的にCoulter LSを用いて測定した粒径が100 nm未満であり、希釈物が透明であり、分離していなければ確保される。
【発明の概要】
【0007】
驚くべきことに、本発明のエマルジョン濃縮物がこれらの問題を解決することが見出された。「エマルジョン濃縮物」という用語は、「濃縮物」という用語と同義に使用される。
【0008】
本発明は、以下の成分:
(A) アルキル/アルケニルラジカル中に6〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、
(B) ポリグリセロールエステル、
(C) ポリオール、
(D) 融点が20℃以上であるグリセリド、
(E) 20℃で液体であり、かつ極性が30-40 mN/mより大きい油成分、および
(F) 20℃で液体であり、かつ極性が5-30 mN/mである油成分、
を含有するエマルジョン濃縮物であって、
−成分(A)、(B)および(C)の重量比A:B:Cが1:(0.6-0.8):(0.9-1.1)であり、
−成分(A)および(D)の重量比A:Dが4:1〜1.5:1であり、
−成分(E)および(F)の重量比E:Fが1:1〜1:3であり、かつ
−水性画分がエマルジョン濃縮物の総重量に基づいて20重量%以下である、
上記エマルジョン濃縮物を提供する。
【0009】
これらの条件が満たされれば、Brookfield回転式粘度計(model RVF, spindle 5, 10 rpm, 23℃)で測定して15℃で30 000 mPa*s以下の粘度を有するエマルジョン濃縮物を得ることができる。好ましくは、本発明に係るエマルジョン濃縮物は、15℃において20 000 mPa*s以下、更に好ましくは15 000 mPa*s以下の粘度を有する。
【0010】
本発明に基づくエマルジョン濃縮物およびその希釈物はいずれも良好な保存安定性を有し、これは、例えば水で5%希釈にした後、希釈物が1週間後に透明であり、かつCoulter LSで測定した平均粒径が100nm未満であるという事実から明らかである。
【0011】
本発明はまた、本発明に係るエマルジョン濃縮物を希釈することによって得られる化粧用および/または医薬用調製物に関する。
【0012】
更に、本発明は、エマルジョン濃縮物または化粧用および/もしくは医薬用調製物を含有する、ボディケアおよび/もしくは清浄のための基体、特に紙、不織製品もしくは織った製品、例えば化粧用ワイプ(Tucher)に関する。
【0013】
驚くべきことに、低温で自由流動性およびポンプ性を有し、良好な知覚特性を有し、調製の過程でエトキシ化物質を使用する必要なしに保存安定性が良好なエマルジョン濃縮物を調製することができることが見出された。これらの効果は、驚くべきことに、請求項1に記載したような成分間の相互作用およびその量比の結果、エマルジョン濃縮物において達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
油成分(成分(E)および(F))
本発明の本質的な特徴は、成分(E)および(F)に関する親油相の組成である。本発明において、親油相の一部は低極性の成分(成分(F))で形成され、一部は高極性の成分(成分(E))で形成されることが必要である。
【0015】
従って、本発明において、親油相の一部は5-30 mN/mの極性を有し(成分F)、他の一部は30-40 mN/mより大きい極性を有する (成分E)。
【0016】
成分(E)および成分(F)はいずれも20℃で液体である。定義に従えば、成分(E)および(F)は、成分(A)、(B)、(C)および(D)とは異なる物質である。本発明に係る成分間の互いの比率を計算する場合、成分(A)、(B)、(C)および(D)は、これらの成分が成分(E)および(F)について記載した数値範囲の極性を有したとしても、成分(E)および(F)には含めない。
【0017】
油成分(E)および(F)の極性は界面張力によって与えられる。界面張力は、2つの相間の界面に位置する仮想的な線の1メートルに作用する力である。界面張力の物理単位は従来より力/長さの関係から計算され、通常mN/m (ミリニュートン/メートル)で表される。界面を減少させようとするものであれば、正の符号を有し;逆の場合、負の符号を有する。比較的低い正の値は、比較的高い極性を表す。界面張力は、本発明において、ASTM法 D971-99a (2004年に再承認)に従って決定する。
【0018】
本発明に従う親油相における極性分布の結果、低温におけるエマルジョン濃縮物の自由流動性を改善することができ、同時に、良好な知覚特性、エトキシ化原料の省略、および保存安定性等の他の利点が達成できることは予想外のことであった。
【0019】
エマルジョン濃縮物は、成分(E)として、20℃で液体であり、極性が30-40 mN/mを超える油成分(1種もしくは複数種)を含有する。
【0020】
エマルジョン濃縮物に基づく成分(E)の含量は、一般的に3〜25重量%、好ましくは5〜20重量%、更により好ましくは7〜15重量%である。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態において、炭化水素、ジアルキルエーテル、12〜44個の炭素原子を有する脂肪酸エステル、炭酸ジアルキル、ゲルベアルコールおよびシリコーン油またはこれらの混合物よりなる群から選択される化合物は、30-40 mN/mを超える必要な極性を有することを条件として、成分(E)として使用される。
【0022】
好適な成分 (E)の例は、例えば以下の化合物である(INCI名−Cognis GmbHの商品名): ジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標) OE)、炭酸ジカプリリル(Dicarprylyl Carbonate)(Cetiol(登録商標)CC)、カプリル酸プロピルヘプチル(Cetiol(登録商標)Sensoft)、ラウリン酸ヘキシル(Cetiol(登録商標)A)、およびまたINCI名(カプリル/カプリン酸)ヤシアルキル(Coco caprylate and Caprylyl caprylate caprate)で入手可能な物質。
【0023】
エマルジョン濃縮物は、成分(F)として、20℃で液体であり、極性が5-30 mN/mである油成分(1種もしくは複数種)を含有する。
【0024】
エマルジョン濃縮物に基づく成分(F)の含量は、一般的に15〜40重量%、好ましくは20〜35重量%である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、トリグリセリド、安息香酸アルキル、12〜44個の炭素原子を有する脂肪酸エステルまたはこれらの混合物よりなる群から選択される化合物は、5〜30ないし40 mN/mの必要な極性を有することを条件として、成分(F)として使用される。
【0026】
好適な成分(F)の例は、例えば以下の化合物である(INCI名−Cognis GmbHの商品名):トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリド(Myrito(登録商標) 312)、Olus Oil (Cegesoft(登録商標) PS 6)、安息香酸アルキル(C12-15)(Cetiol(登録商標)AB)、ヘキシルデカノール (および)ラウリン酸ヘキシルデシル(Cetiol(登録商標) PGL)、パルミチン酸エチルヘキシル(Cegesoft(登録商標) C 24)、アーモンド油。
【0027】
本発明において、成分(E)および(F)の互いの重量比は1:1〜1:3である。
【0028】
油成分(E)および(F)は、油、脂質、ワックスおよびまたこれらの任意の所望の混合物を含み得る。好適な油成分(E)および(F)は、20℃で液体の全ての脂肪性物質もしくは脂肪性物質の混合物であり、すなわち液状脂肪性物質もしくはパラフィンおよびこれに溶解した固体状脂肪性物質もしくはパラフィンの混合物も、これらの混合物が20℃で液体であり、必要な極性を有する条件で含まれる。
【0029】
「液体」は、その粘度(20℃における)が20 Pas以下である成分をいうために使用する用語である (Brookfield回転式粘度計model RVF, spindle 4, 10 rpm, 23℃を用いて測定)。
【0030】
親油相成分の例は以下に示す。当業者は、文献記載の物質の極性を調べることによって成分の極性を参照するか、または上記のようにASTM法 D971-99a (2004年に再承認)に従って測定することによって、本発明において好適な成分を選択することができる。
【0031】
「油」(油成分と同義に使用される)という用語は、比較的低い蒸気圧を有する20℃で液体の水不溶性有機化合物をいうために使用する。油の共通した特徴は、その化学構造の一致ではなく、物理的コンシステンシーの類似性である。
【0032】
好適な油成分は、例えば、20℃で液状であるという条件で、以下に特定される化合物群である。従って、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール(例えばEutanol(登録商標) G)、直鎖のC6-C22-脂肪酸と直鎖もしくは分岐したC6-C22-脂肪アルコールとのエステル(例えばCetiol(登録商標) Sensoft)、または分岐C6-C13-カルボン酸と直鎖もしくは分岐したC6-C22-脂肪アルコールとのエステル、例えばミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル(Erucylmyristat)、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシル、エルカ酸エルシル、およびステアリン酸ヘキシルデシル (Eutanol(登録商標) G 16 S)である。好適なものはまた、直鎖C6-C22-脂肪酸と分岐アルコール、特に2-エチルヘキサノールとのエステル、C3-C38-アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖もしくは分岐C6-C22-脂肪アルコールとのエステル−特にリンゴ酸ジオクチル(Dioctylmalat)−、直鎖および/もしくは分岐脂肪酸と多価アルコール(例えばプロピレングリコール、ダイマージオールもしくはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6-C10-脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6-C18-脂肪酸に基づく液状モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6-C22-脂肪アルコールおよび/もしくはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、特に安息香酸とのエステル、C2-C12-ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル、植物油、分岐第一級アルコール、置換シクロヘキサン、例えば1,3-ジアルキルシクロヘキサン, 直鎖および分岐C6-C22-脂肪アルコール炭酸塩、例えば炭酸ジカプリリル(Cetiol(登録商標) CC)、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート(Guerbetcarbonate)、安息香酸と直鎖および/もしくは分岐C6-C22-アルコールとのエステル(例えばFinsolv(登録商標) TN)、直鎖もしくは分岐の、アルキル基あたり6〜22個の炭素原子を有する対称もしくは非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル (Cetiol(登録商標) OE)、エポキシ化脂肪酸エステルとポリオールとの開環生成物(Hydagen(登録商標) HSP、Sovermol(登録商標) 750、Sovermol(登録商標) 1102)、シリコーン油 (シクロメチコン、シリコンメチコン型等)、および/または例えば鉱油、ワセリン、ペトロラタム、スクアラン、スクアレンもしくはジアルキルシクロヘキサンのような脂肪族またはナフテン炭化水素である。好適な油はまた、2-プロピルヘプタノールとカルボン酸、特にn-オクタン酸とのエステル (例えばCetiol(登録商標)SenSoft)である。好適な油はまた、短鎖の直鎖状炭化水素であり、例えばn-ウンデカン、n-トリデカンおよびn-ペンタデカンおよびこれらの混合物、特にn-ウンデカンおよびn-トリデカンの混合物である。
【0033】
好適な更なる油成分は、例えばシリコーン油である。シリコーン油は、環状および/または鎖状シリコーン油として存在し得る。シリコーン油は、ケイ素原子が酸素原子を介して鎖状および/または網状に連結し、ケイ素の残りの価(Valenzen)は炭化水素ラジカル(ほとんどの場合メチル基、それほど頻繁ではないがエチル、プロピル、フェニル基等)によって飽和している高分子量の合成ポリマー化合物である。系統的には、シリコーン油はポリオルガノシロキサンと呼ばれる。量的にこの群で最も重要な化合物であり、以下の構造式:
【化1】

を特徴するメチル置換ポリオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサンまたはジメチコン (INCI)とも呼ばれる。ジメチコンは、種々の鎖長および種々の分子量のものが売られている。
【0034】
本発明の文脈において有利なポリオルガノシロキサンは、例えばEvonik Goldschmidt社からAbil 10〜10 000の商品名で入手可能なジメチルポリシロキサン[ポリ(ジメチルシロキサン)]である。有利なものはまた、フェニルメチルポリシロキサン (INCI:フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン)、INCIに従ってシクロメチコンとも呼ばれる環状シリコーン(オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサン)、アミノ変性シリコン(INCI:アモジメチコン)およびシリコンワックス、例えばポリシロキサン−ポリアルキレンコポリマー (INCI:ステアリルジメチコンおよびセチルジメチコン)およびジアルコキシジメチルポリシロキサン(ステアロキシジメチコンおよびベヘノキシステアリルジメチコン)であり、これらはEvonik Goldschmidtから種々のAbilワックスグレードとして入手可能である。しかしながら、本発明の文脈において、他のシリコーン油、例えばセチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)も有利に使用することができる。本発明において特に好ましいシリコーンはジメチコンおよびシクロメチコンである。
【0035】
好適な油成分はまた、例えばWO 03/041676号(その参照をここに明記する)に記載されたようなポリカーボネートである。
【0036】
特に好適なポリカーボネートは、INCI名が水素化ダイマージリノレイル/ジメチルカーボネートコポリマーのものであり、これはCognis GmbHの商品Cosmedia(登録商標)DCとして入手できる。
【0037】
ジアルキルカーボネートおよびジアルキルエーテルは対称であっても非対称であっても、分岐していてもしていなくても、飽和でも不飽和であっても良く、先行技術から十分知られている反応によって調製することができる。
【0038】
本発明において、特に、炭化水素、好ましくは8〜40個の炭素原子の鎖長を有するものを使用することも可能である。これらは分岐していても分岐していなくても良く、飽和でも不飽和でも良い。これらの中で、好ましいものは分岐した飽和C8-C40-アルカンである。純粋な物質、または物質の混合物のいずれを使用することも可能である。これらは通常、種々の異性体化合物の混合物である。10〜30個、好ましくは12〜20個、特に好ましくは16〜20個の炭素原子を有するアルカンを含む組成物、特に、アルカンの総量に基づいて少なくとも10重量%の分岐アルカンを含有するアルカン混合物が特に好適である。これらは好ましくは分岐した飽和アルカンである。1重量%を超える5,8-ジエチルドデカンおよび/または1重量%を超えるジデセンを含むアルカン混合物が特に好適である。
【0039】
本発明において、1種の油成分、または2種以上の油成分の混合物を使用することが可能である。
【0040】
成分(A)
本発明において、アルキル/アルケニルラジカル中に6〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニル(オリゴ)グリコシドを成分(A)として使用する。これらの化合物は乳化剤として公知である。
【0041】
好適なアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド(成分(A))は特に、以下の一般式(I)の化合物である:
Gm-R1 (I)
[式中、Gは5個または6個の炭素原子を有する糖ラジカルであり、
R1はアセタール結合中のC6〜C22アルキルおよび/またはアルケニルラジカルであり、
mは平均値が1〜10、好ましくは1〜8、特に1〜3、好ましくは1.2〜1.8である。]
好適なアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド(成分(A))は特に、以下の一般式(I)の化合物である:
Gm-R1 (I)
[式中、Gは5または6個の炭素原子を有する糖ラジカルであり、
R1はアセタール結合中のC6〜C22アルキルおよび/またはアルケニルラジカルであり、
mは平均値が1〜3、好ましくは1.2〜1.8であり、そして
アルキルおよび/またはアルケニルポリグリコシドの少なくとも50重量%が12以上の炭素鎖を有するラジカルR1を有する。]
本発明において、成分(A)はまた、好ましくはC12-アルキルラジカルのC14-アルキルラジカルに対する比が約7:約3のアルキルオリゴグリコシド混合物である。
【0042】
好適なアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド(成分(A))は特に、以下の一般式(I)の化合物である:
Gm-R1 (I)
[式中、Gは5または6個の炭素原子を有する糖ラジカルであり、
R1はアセタール結合中のC6〜C22アルキルおよび/またはアルケニルラジカルであり、
mは平均値が1〜10、好ましくは1〜8、特に1〜3、好ましくは1.2〜1.8であり、そして
R1がC12アルキルラジカルである式(I)の化合物のR1がC14アルキルラジカルである式(I)の化合物に対する重量比は約7:約3である。]
アルキルまたはアルケニルラジカルR1は、8〜10個の炭素原子を有する第1級アルコールに由来するものであり得る。典型的な例はブタノール、カプロイックアルコール、カプリリックアルコール、カプリックアルコールおよびウンデシルアルコール、またこれらの工業用グレードの混合物であり、これらは例えば工業用グレードの脂肪酸メチルエステルの水素化の間、またはレーレンのオキソ合成からアルデヒドの水素化の過程で得られるものである。更に、アルキルまたはアルケニルラジカルR1はまた、12〜22個、好ましくは12〜16個の炭素原子を有する第1級アルコールに由来するものであり得る。典型的な例は、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、パルモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、リシノールアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール、ジヒドロキシステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール(Petroselinylalkohol)、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール(Gadoleylalkohol)、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール(Erucylalkohol)、ブラシジルアルコール(Brassidylalkohol)、およびこれらの工業用グレードの混合物である。
【0043】
C6-C22-アルキルモノおよびオリゴグリコシド、その調製および使用は先行技術から公知である。これらの調製は、特にグルコースまたはオリゴ糖を6〜22個の炭素原子を有する第1級アルコールと反応させて行われる。グリコシドラジカルが関係する限り、環状糖ラジカルが脂肪アルコールにグリコシド結合したモノグリコシド、およびまた好ましくは約8までのオリゴマー度を有するオリゴマーグリコシドが好適である。ここで、オリゴマー度は、このような工業用グレードの製品で一般的な同族体分布に基づく統計的平均値である。商品名Plantacare(登録商標)で入手できる製品はオリゴグルコシドラジカルにグルコシド結合したC8-16-アルキル基を有し、平均オリゴマー度は1〜2である。好ましい例はラウリルグルコシドである。
【0044】
エマルジョン濃縮物は、成分(A)を濃縮物の総重量に基づいて1〜20重量%、好ましくは10〜20重量%、特に12〜18重量%の量で含有し得る。
【0045】
成分(B)
本発明において、成分(B)はポリグリセロールエステルである(ポリグリセリンエステルという用語を同義的に用いる)。これらの化合物は親油性共乳化剤として公知である。
【0046】
ポリグリセロールエステルは、ポリグリセロール(ポリグリセリンと同義)の例えば脂肪酸とのエステルである。使用するポリグリセロールはグリセロールの重合産物である;これらは通常、例えばジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール等の種々のポリグリセロールの混合物である。
【0047】
本発明の好ましい実施形態において、2〜12、特に2〜10、特に好ましくは2〜4個のグリセロール単位の平均長を有するポリグリセロールとの脂肪酸のエステルを使用する。
【0048】
ポリグリセロールでエステル化することができる好適な脂肪酸は、一般式(I) R1-COOHの化合物であり、式中R1は直鎖もしくは分岐した、飽和もしくは不飽和の、場合によってヒドロキシ置換された、6〜24個の炭素原子、好ましくは8〜20個の炭素原子を有するラジカルである。
【0049】
本発明の好ましい実施形態において、HLB値が<10のポリグリセロールエステルを成分(B)として使用する。
【0050】
好適なポリグリセロールエステルの典型的な例は、ポリグリセリル-4-ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート(Isolan(登録商標) GPS)、ポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレート (商品名Dehymuls(登録商標) PGPH)、ポリグリセリン-3ジイソステアレート (商品名Lameform(登録商標) TGI)、ポリグリセリル-4イソステアレート (商品名Isolan(登録商標) GI 34)、ポリグリセリル-3 オレエート(例えば商品名Isolan(登録商標)GO 33)、ジイソステアロイルポリグリセリル-3 ジイソステアレート (商品名Isolan(登録商標) PDI)、ポリグリセリル-3 ビースワックス (商品名Cera Bellina)、ポリグリセリル-4 カプレート (商品名Polyglycerol Caprate T2010/90)、ポリグリセリル-3 ジステアレート (商品名Cremophor(登録商標) GS 32)、ポリグリセリルポリリシノレエート(Admul(登録商標)WOL 1403)、ポリグリセリルジメレートイソステアレート、およびこれらの混合物である。
【0051】
本発明において、好ましいものはポリヒドロキシステアリン酸のポリグリセロールエステルである。ポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレートは本発明において好ましい成分(B)である。この化合物は、例えば商品名Dehymuls(登録商標)PGPHとしてCognis社から、または商品名AEC ポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレートとしてA & E Connock社から入手できる。
【0052】
エマルジョン濃縮物は、成分(B)を濃縮物の総重量に基づいて1〜20重量%、好ましくは5〜20重量%、特に8〜18重量%の量で含有し得る。
【0053】
本発明において、成分(A):(B)の比率は1:(0.6-0.8)である。エマルジョン濃縮物は、成分(A)および(B)を濃縮物の総重量に基づいて合わせて例えば2〜40、好ましくは10〜40、特に15〜36重量%、および特に好ましくは20〜35重量%の量で含有し得る。
【0054】
成分(C)−ポリオール
ポリオールは多価アルコール、すなわち1分子中に少なくとも2個のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機化合物をいうために使用する用語である。本発明の一実施形態において、ポリオールは1分子あたり2 〜6個のヒドロキシル基を含む。本発明の一実施形態において、使用するポリオールは低分子量の多価アルコール、すなわち2〜18個、特に2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する化合物である。
【0055】
ここで、本発明におけるポリオールは、成分(A)、(B)および(D)、(E)および(F)とは異なる物質である。すなわち、本発明に係るエマルジョン濃縮物が分子中に少なくとも2個のアルコール性ヒドロキシル基を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド(A)またはポリグリセロールエステル(B)またはグリセリド(D)または油成分(E)もしくは(F)を含む場合、これらは対応する成分(A)、(B)、(D)、(E)または(F)とみなされ、成分(C)とはみなさない。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、1分子あたり少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、2〜18個、好ましくは2〜10個、特に2〜6個の炭素原子から構成される化合物をポリオール(C)として使用する。
【0057】
本発明の好ましい実施形態において、1分子あたり2〜6個のヒドロキシル基を有する化合物をポリオール(C)として使用する。特に好ましいものは、1分子あたり2〜6個のヒドロキシル基を有し、2〜6個の炭素原子から構成されるポリオール(C)である。
【0058】
個々のポリオール、および任意の望ましいポリオールの混合物のいずれも、ポリオール(C)として使用することができる。好ましい実施形態において、使用するポリオールは少なくとも2種、特に少なくとも3種のポリオールの混合物である。
【0059】
ポリオール(C)は更なる官能基、特にアミノ基を含んでいても、および/または窒素で改変されていても良い。好ましい実施形態において、ポリオールはヒドロキシル基以外の更なる官能基を含まない。
【0060】
本発明の一実施形態において、ポリオール(C)は、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールよりなる群から選択される。
【0061】
好適なアルキレングリコールは、エチレングリコール(=1,2-エタンジオール)、ジエチレングリコール(=2,2'-オキシジエタノール;HO-(CH2)2-O-(CH2)2-OH)、トリエチレングリコール(=2,2'-(エチレンジオキシ)ジエタノール)、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ブチレングリコール(=ブタンジオール)、例えば1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール;ペンタン-1,5-ジオール;ペンタン-1,2-ジオール;メソ-ペンタン-2,4-ジオール、(2R,4R)-ペンタン-2,4-ジオール;(2S,4S)-ペンタン-2,4-ジオール、ヘキサンジオール、例えばヘキシレングリコール(=2-メチルペンタン-2,4-ジオール)、ヘプタンジオール、オクタンジオールおよびデカンジオールである。
【0062】
ポリアルキレングリコールは、グリコールの重縮合から生成する、大部分が直鎖であるが、時に分岐もしているポリエーテルをいうために使用される用語である。これらのポリエーテルポリオールの技術的に重要な代表例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはテトラヒドロフランの開環重合によって製造される、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールおよびこれらの類似化合物である。
【0063】
本発明の文脈において、特に好ましいポリアルキレングリコールは、100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールおよび/またはポリエチレン-ポリプロピレングリコールである。
【0064】
本発明において好ましいポリアルキレングリコールは以下の一般式に従うものである:
【化2】

【0065】
R1およびR2 = (CH2)2の場合、該式はポリエチレングリコールを示し;R1およびR2 = CH2-CH(CH3)の場合、該式はポリプロピレングリコールを示す。R1 = (CH2)2であり、かつR2 = CH2-CH(CH3)の場合、該式はポリエチレン/ポリプロピレングリコールを示す。
【0066】
これらの化合物は、例えば以下のINCI名で市販されている(括弧内は商品名および製造業者):
INCI: PEG-4 (Polyglykol 200 USP, Clariant International; Pluracare E 200, BASF Corp.)
INCI: PEG-12 (Polyglykol 600, Clariant International; Pluracare E 600, BASF Corp.)
INCI: PPG-3 (Newpol PP-200, Sanyo Chemical Industries)。
【0067】
本発明の更なる実施形態において、ポリオール(C)は以下のものによって形成される群から選択される。
【0068】
−グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール;
−エチレングリコール(=1,2-エタンジオール)、ジエチレングリコール(=2,2'-オキシジエタノール;HO-(CH2)2-O-(CH2)2-OH)、トリエチレングリコール(=2,2'-(エチレンジオキシ)ジエタノール)、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ブチレングリコール(=ブタンジオール)、例えば1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール;ペンタン-1,5-ジオール;ペンタン-1,2-ジオール;メソ-ペンタン-2,4-ジオール、(2R,4R)-ペンタン-2,4-ジオール;(2S,4S)-ペンタン-2,4-ジオール、ヘキサンジオール、例えばヘキシレングリコール(=2-メチルペンタン-2,4-ジオール)、ヘプタンジオール、オクタンジオールおよびデカンジオールよりなる群から選択されるアルキレングリコール;
−100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリアルキレングリコール;
−自動縮合度(Eigenkondensationsgrad)が1.5〜10の工業用グレードのオリゴグリセロール混合物、例えばジグリセロール含量が40〜50重量%の工業用グレードのジグリセロール混合物;
−メタノール化合物、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール等;
−短鎖アルキルグルコシド、特にアルキルラジカル中に1〜5個の炭素原子を有するもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;
−5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール;
−5〜12個の炭素原子を有する糖、例えばグルコースまたはスクロース;
−アミノ糖、例えばグルカミン;
−ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノ-1,3-プロパンジオール。
【0069】
本発明の好ましい実施形態において、グリセロール、1,2-プロピレングリコール、ソルビトール、ブチレングリコールおよびヘキシレングリコールよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物をポリオール(C)として使用する。
【0070】
エマルジョン濃縮物は、成分(C)を濃縮物の総重量に基づいて1〜20、好ましくは10〜20、特に12〜18重量%の量で含有し得る。本発明において、成分(A)、(B)および(C)の重量比は1:(0.6-0.8):(0.9-1.1)である。
【0071】
成分(D)−グリセリド
本発明において、成分(D)として、20℃以上の融点を有するグリセリド、特に30℃以上の融点を有するグリセリドを使用する。これらはまた共乳化剤効果(Coemulgatorwirkung)を有する。グリセリドという用語は、カルボン酸、特に脂肪酸のグリセロールとのエステルを包含する。酸ラジカルの数に応じて、モノアシルグリセロール(= モノグリセリド)、ジアシルグリセロール (= ジグリセリド)およびトリアシルグリセロール (= トリグリセリド)に区別される。本発明において、グリセリドには、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド、およびこれらの化合物の任意の所望の混合物が包含される。モノグリセリドおよびジグリセリドは、部分グリセリドまたはグリセロール部分エステルとも呼ばれる。
【0072】
好適な部分グリセリドの典型的な例は、C12〜C22脂肪酸のグリセロールとのモノおよび/またはジグリセリド、およびこれらの工業用グレードの混合物である。例えば、長鎖ヒドロキシ脂肪酸モノグリセリド、長鎖ヒドロキシ脂肪酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリドが挙げられる。
【0073】
好適な部分グリセリドの典型的な例は、4〜8個の炭素原子を有するジカルボン酸のグリセロールとのモノおよび/またはジグリセリド、およびこれらの工業用グレードの混合物である。特に好適なものは、>30℃の融点を有する部分グリセリドである。例えば、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、および製造工程による少量のトリグリセリドも含有し得るこれらの工業用グレードの混合物が挙げられる。
【0074】
本発明において、成分(D)として、特にモノおよびジグリセリドおよびこれらの部分グリセリドの混合物を使用することができる。本発明に従って使用できるグリセリド混合物として、Novata(登録商標) ABおよびNovata(登録商標) B (C12-C18-モノ-、ジ-およびトリグリセリドの混合物)およびまたCutina(登録商標) MDもしくはCutina(登録商標) GMS (ステアリン酸グリセリル)(Cognis GmbHにより販売)が挙げられる。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、C18脂肪酸のグリセリドを成分(D)として使用する。C18脂肪酸のグリセロールモノエステルの画分は、C18脂肪酸グリセリド全体の総重量に基づいて、好ましくは90重量%以上、好ましくは95重量%以上である。好適なC18脂肪酸は、特にモノ-、ジ-またはトリ不飽和C18脂肪酸である。本発明の好ましい実施形態において、不飽和C18脂肪酸を有するグリセリドの画分が(C18脂肪酸グリセリド全体の総重量に基づいて)80重量%以上、好ましくは90重量%以上のC18脂肪酸グリセリドを成分(D)として使用する。
【0076】
本発明において、成分(D)は、例えばエマルジョン濃縮物に基づいて約1〜10重量%、好ましくは約2〜8重量%の画分に存在し得る。本発明において、成分(A)の成分(D)に対する重量比は4:1〜1.5:1、特に3.5:1〜2:1である。
【0077】
水性画分
本発明に係る濃縮物は、20重量%以下、好ましくは18重量%以下の水分含量を有する。
【0078】
エトキシ化物質
本発明の好ましい実施形態において、エマルジョン濃縮物は、エマルジョン濃縮物に基づいて10重量%以下、特に5重量%以下、好ましくは2重量%以下、特に1重量%以下のエトキシ化物質画分を含有する。本発明の特に好ましい実施形態において、エマルジョン濃縮物はエトキシ化物質を含まない。
【0079】
本発明に係るエマルジョン濃縮物の調製
本発明に係るエマルジョン濃縮物の製造方法の1つは、以下のようなものである:
全ての成分(A)〜(F)を、水と共に70〜75℃で60分間撹拌しながら加熱する。次いで濃縮物を30℃に冷却し、適切な場合には、pHを5.0〜6.0に調整する。
【0080】
エマルジョン濃縮物の使用
本発明に係るエマルジョン濃縮物は、そのまま化粧用または医薬用調製物として使用することができる。従って本発明は更に、本発明に係るエマルジョン濃縮物の化粧用または医薬用調製物としての使用を提供する。
【0081】
本発明に係るエマルジョン濃縮物は微細に分離しており、非常に保存安定性が良く、従って、その自由流動性のために、技術的な仕上げをほとんどせず、最も簡単な手段で、保存、および有用な化粧用および医薬用エマルジョン、特に水中油型エマルジョンを製造するための処理場までの輸送に好適な、予め調製するエマルジョンビルディングブロックとして、特に非常に好適である。
【0082】
従って、本発明は、化粧用または医薬用調製物を製造するための、本発明に係るエマルジョン濃縮物の使用を提供する。
【0083】
本発明に係るエマルジョン濃縮物は、化粧用または医薬用の水中油型エマルジョンを製造するために特に好適である。ここで、例えばエマルジョン濃縮物を初期充填物として投入し、この初期充填物に水相を添加することが可能であり;同様に、水相を初期充填物として投入し、この水性初期充填物にエマルジョン濃縮物を添加することができる。また、エマルジョン濃縮物を更なる親油性成分と混合し、これを初期充填物(水相)に添加するか、または場合によって更なる親油性成分と混合したエマルジョン濃縮物を初期充填物とし、この初期充填物に水相を添加することも可能である。
【0084】
化粧用または医薬用調製物の調製は、更に熱を加えることなく行うことができる。
【0085】
エマルジョン濃縮物を希釈する親油性の相は、所望の任意の親油性成分、例えば親油性化粧用活性成分を含有し得る。例えば成分(E)および(F)として好適な全ての化合物は親油性の相として好適である。
【0086】
一般に、1〜50、好ましくは2〜30、特に4〜10重量%のエマルジョン濃縮物を化粧用または医薬用調製物を製造するために使用する。
【0087】
化粧用または医薬用調製物
本発明は更に、以下の成分:
(A) アルキル/アルケニルラジカル中に6〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、
(B) ポリグリセロールエステル、
(C) ポリオール、
(D) 融点が20℃以上であるグリセリド、
(E) 20℃で液体であり、かつ極性が30-40 mN/mより大きい油成分、および
(F) 20℃で液体であり、かつ極性が5-30 mN/mである油成分、
を含有し、
−成分(A)、(B)および(C)の重量比A:B:Cが1:(0.6-0.8):(0.9-1.1)であり、
−成分(A)および(D)の重量比A:Dが4:1〜1.5:1であり、
−成分(E)および(F)の重量比E:Fが1:1〜1:3である
化粧用または医薬用調製物を提供する。
【0088】
驚くべきことに、本発明に係る成分、および互いの成分間の比率を選択することによって、エトキシ化物質なしに製剤化できる、安定で、微細に分離した調製物、特に水中油型エマルジョンを得ることが可能であることが見出された。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、本発明に係る調製物は水中油型エマルジョンである。
【0090】
本発明に係る調製物は、例えば本発明に係るエマルジョン濃縮物を希釈することによって製造することができる。最も簡単な場合、本発明に係る成分の比率が変わらないため、希釈は水を用いて行う。
【0091】
化粧用または医薬用調製物は通常1 μm以下、特に500 nm以下、好ましくは250 nm以下、特に好ましくは200 nm以下の平均粒径を有する。
【0092】
更なる成分
特定した成分の他に、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)とは異なる更なる通常の成分が本発明に係るエマルジョン濃縮物または化粧用および/または医薬用調製物中の通常の画分中に存在していても良い。これらには、例えば界面活性剤、防腐剤、生体活性成分、増粘剤、過脂肪剤、安定化剤、ポリマー、酸化防止剤、被膜形成剤、膨張剤、防虫剤、ヒドロトロープ(Hydrotrope)、可溶化剤、香油、染料、顔料、UVフィルター等が挙げられる。
【0093】
更なる成分が水不溶性である場合、これらは親油性相中に入れるべきである。極性に応じて、これらは適宜、成分(E)または(F)に割り当てることができる。
【0094】
本発明に係るエマルジョン濃縮物は、更なる成分を、エマルジョン濃縮物の総重量に基づいて、総量で通常25重量%以下、特に20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の量で含有する。
【0095】
本発明に係る化粧用および/または医薬用調製物は、更なる成分を、調製物の総重量に基づいて、総量で通常25重量%以下、特に20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の量で含有する。
【0096】
界面活性剤
界面活性剤は、有機の非極性物質を水に溶解させることができる両親媒性物質である。少なくとも1つの親水性分子部分と1つの疎水性分子部分を有する特殊な分子構造を有する結果、これらによって、水の表面張力の低下、皮膚の濡れ、汚れ(soil)の除去および溶解のしやすさ、洗い落としやすさ、および、必要な場合には起泡性調節がもたらされる。
【0097】
界面活性剤は通常、20を超えるHLB値を有する界面活性物質を意味するものと理解される。存在し得る界面活性物質は、アニオン性、非イオン性、カチオン性および/または両性もしくは両性イオン性界面活性剤である。界面活性剤含有化粧用調製物において、好ましくは少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が存在する。
【0098】
本発明に係る濃縮物または調製物は、界面活性剤を濃縮物または調製物の総重量に基づいて通常0〜40重量%、好ましくは0.05〜30重量%、特に0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%および特に0.1〜10重量%の量で含有し得る。
【0099】
非イオン性界面活性剤の典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルもしくは混合ホルマール、場合によって部分的に酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドもしくはグルクロン酸誘導体、脂肪酸N-アルキルグルカミド(alkylglucamide)、タンパク質加水分解物 (特にコムギに基づく植物製品)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、これらは通常の同族体分布を有し得るが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0100】
両性イオン性界面活性剤は、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基および少なくとも1個の-COO(-)または-SO3(-)基を有する界面活性化合物をいうために使用する用語である。特に好適な両性イオン性界面活性剤は、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート等のいわゆるベタイン類、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばそれぞれアルキルもしくはアシル基中に8〜18個の炭素原子を有するココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、およびまたココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい両性イオン性界面活性剤は、コカミドプロピルベタインのINCI名で知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0101】
特に共乳化剤として同様に好適なものは両性界面活性剤である。両性界面活性剤は、分子中のC8-C18-アルキルもしくはアシル基とは別に、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の-COOHもしくは-SO3H基を有し、分子内塩を形成することができる界面活性化合物を意味するものと理解される。好適な両性界面活性剤の例は、いずれもアルキル基中に約8〜18個の炭素原子を有する、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12-18-アシルサルコシンである。
【0102】
両性および両性イオン性界面活性剤の典型的な例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン、およびスルホベタインである。特定された界面活性剤は、全て既知の化合物である。これらの物質の構造および調製に関しては、この分野における関連の総説を参照することができる。特に好適な低刺激性の(milde)、すなわち特に皮膚に適合性のある界面活性剤の典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、モノ-および/またはジアルキルスルホコハク酸塩(Dialkylsulfosuccinate)、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリン(Fettsauretauride)、脂肪酸グルタミン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシドおよび/またはこれらのアルキルオリゴグルコシドカルボン酸塩との混合物、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、アンホアセタール(Amphoacetale)および/またはタンパク質脂肪酸縮合物であり、後者は好ましくはコムギタンパク質もしくはその塩に基づくものである。
【0103】
アニオン性界面活性剤は、例えばカルボキシレート、サルフェート、スルホネートまたはホスフェート基等の水溶性アニオン基、および親油性ラジカルを特徴とする。皮膚適合性を有するアニオン性界面活性剤は、関連するハンドブックから多数のものが当業者に公知であり、また市販されている。これらは特に、アルカリ金属、アンモニウムもしくはアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、12〜18個の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアシル基を有するアシルタウリン、およびアルカリ金属もしくはアンモニウム塩の形態のスルホサクシネートおよびアシルグルタメートである。
【0104】
アニオン性界面活性剤の典型的な例は、石ケン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、グリセロールエーテルスルホン酸塩、α-メチルエステルスルホン酸塩、スルホ脂肪酸、アルキル硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、グリセロールエーテル硫酸塩、脂肪酸エーテル硫酸塩、ヒドロキシ混合エーテル硫酸塩、モノグリセリド(エーテル)硫酸塩、脂肪酸アミド(エーテル)硫酸塩、モノ-およびジアルキルスルホコハク酸塩、モノ-およびジアルキルスルホスクシンアミド酸塩(sulfosuccinamate)、スルホトリグリセリド、アミド石ケン(Amidseifen)、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオン酸塩、脂肪酸サルコシン、脂肪酸タウリン、N-アシルアミノ酸、例えばアシル乳酸塩、アシル酒石酸塩、アシルグルタミン酸塩およびアシルアスパラギン酸塩、アルキルオリゴグルコシド硫酸塩、タンパク質脂肪酸縮合物(特にコムギに基づく植物製品)およびアルキル(エーテル)リン酸塩である。アニオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、これらは通常の同族体分布を有し得るが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0105】
使用し得るカチオン性界面活性剤は、特に第4級アンモニウム化合物である。好ましいものはハロゲン化アンモニウム、特に塩化物および臭化物、例えば塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムおよび塩化トリアルキルメチルアンモニウム、例えば塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウムおよび塩化トリセチルメチルアンモニウムである。更に、非常に容易に生分解し得る第4級エステル化合物、例えばジアルキルアンモニウムメト硫酸塩および商品名Stepantex(登録商標)で販売されているメチルヒドロキシアルキルジアルコイルオキシアルキルアンモニウムメト硫酸塩、およびDehyquart(登録商標)シリーズの対応製品も、カチオン性界面活性剤として使用することができる。用語「エステルクオーツ(Esterquats)」は一般的に四級化した脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩を意味するものと理解される。これらは本発明に係る調製物に特に柔らかな感触を与えることができる。これらは有機化学の関連する方法によって調製される公知の物質である。本発明に従って使用できる更なるカチオン性界面活性剤は、四級化したタンパク質加水分解物である。
【0106】
好適な防腐剤は、例えばフェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセロール、ジカプリリルグリコール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオール、フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセロールの混合物 (例えば商品名Euxyl PE 9010で入手可能なもの)、またはソルビン酸、およびまたSurfacine(登録商標)の名称で知られる銀錯体、および「the Cosmetics Ordinance(Kosmetikverordnung)」のAnnex 6、part AおよびBに挙げられる他の物質群である。
【0107】
本発明の好ましい実施形態において、防腐剤は、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、有機酸およびこれらの混合物よりなる群から選択され、場合によってペンタンジオールおよび/もしくはエチルヘキシルグリセロールまたはオクタンジオールおよびエチルヘキシルグリセロール (商品名Sensiva SC 10)と組み合わせる。
【0108】
本発明の好ましい実施形態において、本発明に係る濃縮物または調製物は、ビタミン、アラントイン、ビサボロールおよび植物抽出物から選択される少なくとも1種の化合物を生体活性成分として含有する。
【0109】
本発明の好ましい実施形態において、本発明に係る濃縮物または調製物は、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびその断片化生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、疑似セラミド、精油、植物抽出物、例えばアロエベラ、サクラ族抽出物(Prunusextrakt)、フタゴマメ抽出物(Bambaranussextrakt)およびビタミン複合体およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物を生体活性成分として含有する。
【0110】
本発明の一実施形態において、本発明に係る濃縮物または調製物は、更なる成分として少なくとも1種の増粘剤を含有する。
【0111】
好適な増粘剤は、例えばAerosilグレード(親水性シリカ)、多糖類、特にキサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギン酸塩およびチロース(Tylosen)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチル-およびヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびベントナイト、例えばBentone(登録商標) Gel VS-5PC (Rheox)である。
【0112】
好適な防虫剤は、例えば、N,N-ジエチル-m-トルアミド、1,2-ペンタンジオールまたはMerck KGaAからInsect Repellent(登録商標)3535の名称で販売されているエチル3-(N-n-ブチル-N-アセチルアミノ)プロピオネート、およびまたブチルアセチルアミノプロピオネートである。
【0113】
言及しうる香油は、天然および合成の香料の混合物である。天然の香料は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、薬草(Krautern)および草(Grasern)、針状葉および枝、樹脂およびバルサムからの抽出物である。更に好適なものは、動物原料、例えばシベットおよび海狸香、またエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の合成香料化合物である。
【0114】
顔料」という用語は、白色もしくは着色した、有機もしくは無機であり、調製物に不溶性であって、調製物の着色の目的のために機能する任意の形状の粒子を包含する。好ましい一実施形態において、無機顔料が使用され、特に好ましいものは金属酸化物である。
【0115】
言及し得る無機顔料の例は、場合によって表面被覆されていても良い二酸化チタン、酸化ジルコニウムもしくはセリウムおよび酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄色または赤色)および酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロム水和物(Chromhydrate)およびアイアンブルー(III)、アルミニウム粉末または銅粉末等の金属粉末である。本発明の好ましい実施形態において、顔料は無機顔料、好ましくは金属酸化物から選択される。好ましい一実施形態において、顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄およびこれらの混合物よりなる群から選択される。顔料は、個々に、または混合物で存在し得る。本発明の文脈において、好ましいものは白色顔料(例えばカオリン、二酸化チタンまたは酸化亜鉛) および無機着色顔料 (例えば酸化鉄顔料、酸化クロム)の顔料混合物であり、ここで顔料は、被覆されているか、もしくは被覆されていない形態で存在し得る。着色顔料の中で、酸化鉄が特に好ましい。
【0116】
本発明の文脈において、顔料はまた、純粋な色と共に、化粧用調製物に更なる特性−例えば色の角度依存性(Flop)、光沢(表面光沢ではない)または質感(Textur)を付与するエフェクト顔料の群から選択することもできる。本発明において、このようなエフェクト顔料は、1種以上の白色顔料および/または着色顔料に加えて有利に使用される。
【0117】
エフェクト顔料の最も重要なグループは光沢顔料であり、これは、DIN 55944: 2003-11に従って、金属エフェクト顔料および真珠光沢顔料を含む。特定のエフェクト顔料のいくつか、例えばグラファイトプレートレット、酸化鉄プレートレットおよび微粉化二酸化チタンはこれら2つのグループに入れることはできず、微粉化二酸化チタンは光沢効果を与えないが、角度依存的光散乱効果を与える。DIN 55943: 2001-10に従う光沢顔料は主としてエフェクト顔料プレートレットである。並列に配向すると、光沢顔料は特徴的な光沢を示す。光沢顔料の視覚効果は、金属粒子上の方向を持った反射(金属エフェクト顔料)、屈折率の高い透明な粒子(真珠光沢顔料)、または干渉現象(干渉顔料)に基づくものである(DIN 55944: 2003-11)。
【0118】
本発明において好ましい標準的な市販のエフェクト顔料の例は、以下のものである:Timironおよび#174(Merck)、Iriodinおよび#174(Merck)(装飾的技術的適用のための真珠光沢および着色光沢顔料)、Xirallicおよび#174(Merck)(色の強いクリスタルエフェクト顔料)。
【0119】
更に、本発明に係る濃縮物または調製物はまた、有利には有機着色顔料、すなわち調製物に実質的に不溶性の有機色素を含有することができる。DIN 55944: 1990-04によれば、有機顔料は、化学的特徴に従ってアゾ顔料および多環式顔料に、また色の特徴に従って着色または黒色顔料に分類することができる。有機白色顔料は実際に重要である。本発明の文脈において、顔料は、有利には、市販の油性または水性のプレ分散液(Vordispersionen)の形態で使用することもできる。
【0120】
本発明に係る濃縮物または調製物は1種以上の染料を含有することも可能である。
【0121】
染料は、合成したものであっても、天然由来のものであっても良い。好適な染料のリストは、EP 1 371 359 A2号の第8頁、第25-57行、第9および第10頁、更に第11頁、第1〜54行に見出すことができ、ここでこれらを明確に参照する。
【0122】
好適な染料および顔料は特に、ここで明確に参照する委員会指令(Commission Directive)のAnnex IV (Commission Directive 2007/22/EC of 17 April 2007 amending Council Directive 76/768/EEC, concerning cosmetic products, for the purposes of adapting Annexes IV and VI thereto to technical progress)に従って承認された染料および顔料である。
【0123】
本発明において、好適なUV光防護フィルターは、室温で結晶もしくは液体であり、紫外線を吸収し、吸収したエネルギーをより波長の長い放射、例えば熱の形で再度放出することができる有機物質(光防護フィルター)である。UVフィルターは油溶性であっても水溶性であっても良い。挙げることができる典型的な油溶性UV-Bフィルターまたは広域スペクトルのUV A/Bフィルターは、例えば以下のものである:
3-ベンジリデンカンファーまたは3-ベンジリデンノルカンファー (Mexoryl SDS 20)およびその誘導体、例えば3-(4-メチルベンジリデン)カンファー(EP 0693471 B1に記載されたようなもの);
3-(4'-トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン-2-オン-メチルサルフェート(Mexoryl SO);
3,3'-(1,4-フェニレンジメチン)-ビス(7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ-[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルホン酸)およびその塩(Mexoryl SX);
3-(4'-スルホ)-ベンジリデンボルナン-2-オンおよびその塩(Mexoryl SL);
N-[2(および4)-(2-オキソボルナ-3-イリデンメチル)ベンジル]アクリルアミドのポリマー(Mexoryl SW);
2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(2-メチル-3-(1,3,3,3-テトラメチル-1-(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(Mexoryl XL);
4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシルエステル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-オクチルエステルおよび4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル;
桂皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシ桂皮酸プロピルエステル、4-メトキシ桂皮酸イソアミルエステル、2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸2-ヘチルヘキシルエステル(オクトクリレン);
サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸4-イソプロピルベンジルエステル、サリチル酸ホモメンチルエステル;
ベンゾフェノン誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;
ベンジリデンマロン酸(Benzalmalonsaure)のエステル、好ましくはジ-2-エチルヘキシル 4-メトキシベンズマロネート;
トリアジン誘導体、例えば2,4,6-トリアニリノ(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジンおよび2,4,6-トリス[p-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン (Uvinul T 150)(EP 0818450 A1に記載されたようなもの)またはビス(2-エチルヘキシル) 4,4'-[(6-[4-((1,1-ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ジイミノ]ビスベンゾエート (Uvasorb(登録商標) HEB);
2,2-(メチレンビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)(Tinosorb M);
2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(Tinosorb S);
プロパン-1,3-ジオン、例えば1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;
ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体(EP 0694521 B1に記載されたようなもの);
ジメチコジエチルベンザルマロネート (Parsol SLX)。
【0124】
好適な水溶性UVフィルターは、以下のものである:
2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルコアンモニウム塩;
2,2-(1,4-フェニレン)ビス(1H-ベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸、モノナトリウム塩)(Neo Heliopan AP);
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;
3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)-ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸およびその塩。
【0125】
好適な典型的UV-Aフィルターは、特にベンゾイルメタンの誘導体、例えば1-(4’-tert-ブチルフェニル)-3-(4’-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン (Parsol(登録商標) 1789)、1-フェニル-3-(4’-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、およびエナミン化合物(DE 19712033 A1 (BASF)に記載されたようなもの)および安息香酸、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]、ヘキシルエステル (Uvinal(登録商標) A plus)である。
【0126】
UV-AおよびUV-Bフィルターは、当然ながら混合物で使用することもできる。特に好ましい組み合わせは、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン (Parsol(登録商標) 1789) および2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸 (オクトクリレン)と、桂皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステルおよび/または4-メトキシ桂皮酸プロピルエステルおよび/または4-メトキシ桂皮酸イソアミルエステルとからなる。この型の組み合わせは、有利には水溶性フィルター、例えば 2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム、およびグルコアンモニウム塩と組み合わせられる。
【0127】
好適なUV光防護フィルターは特に、ここで明確に参照する委員会指令のAnnex VII (Commission Directive 2005/9/EC of 28 January 2005 amending Council Directive 76/768/EEC, concerning cosmetic products, for the purposes of adapting Annexes VII thereof to technical progress)に従って承認された物質である。
【0128】
特定された可溶性物質の他に、不溶性の光防護顔料、すなわち微細に分散した金属酸化物および塩もこの目的のために好適である。好適な金属酸化物の例は、特に酸化亜鉛および二酸化チタンおよびまた鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウムおよびセリウムの酸化物、およびこれらの混合物である。使用可能な塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛である。酸化物および塩は、スキンケアおよび皮膚保護用エマルジョン、また装飾用化粧品のための顔料の形態で使用される。粒子は平均直径が100 nm未満、好ましくは5〜50 nm、および特に15〜30 nmであるべきである。これらは球形を有し得るが、楕円形、または他の形で球形から外れた形状を有する粒子を使用することも可能である。顔料は、表面処理された形態、すなわち親水性化もしくは疎水性化された形態で存在することもできる。典型的な例は、被覆された二酸化チタン、例えば二酸化チタンT 805 (Degussa)またはEusolex(登録商標) T、Eusolex(登録商標) T-2000、Eusolex(登録商標) T-Aqua、Eusolex(登録商標) AVO、Eusolex(登録商標) T-ECO、Eusolex(登録商標) T-OLEOおよびEusolex(登録商標) T-S (Merck)である。典型的な例は、酸化亜鉛、例えばzinc oxide neutral、zinc oxide NDM (Symrise)またはZ-Cote(登録商標)(BASF)またはSUNZnO-ASおよびSUNZnO-NAS (Sunjun Chemical Co. Ltd.)である。ここで、好適な疎水性コーティングは主としてシリコーン、特にトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンである。サンスクリーン組成物において、好ましいものは、いわゆるマイクロ顔料またはナノ顔料を使用するものである。好ましくは、微粉化酸化亜鉛の使用である。更に好適なUV光防護フィルターは、SOFW-Journal 122, 8/1996, pp. 543-548のP. Finkelによる総説、およびParf. Kosmo. 第80巻, No.3/1999, 第10〜16頁に見出すことができる。
【0129】
上記の2つのグループの主たる光防護物質の他に、UV照射が皮膚に入り込んだ際に引き起こされる光化学反応の連鎖を遮断する、抗酸化剤型の第2の光防護剤を使用することも可能である。その典型的な例は、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびこれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えばα-カロテン、β-カロテン、リコペン) およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール (例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびこれらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)、およびこれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびこれらの誘導体 (エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、および非常に低い耐用量(例えばpmol〜mol/kg)のスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、また(金属)キレート剤 (例えばα-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびこれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体 (例えばγ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびこれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体 (例えばパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体 (パルミチン酸ビタミンA)、およびベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール(Furfurylidenglucitol)、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤコン酸(Nordihydroguajakharzsaure)、ノルジヒドログアイアレチン酸(Nordihydroguajaretsaure)、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛およびその誘導体 (例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体 (例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体 (例えばスチルベン酸化物、トランススチルベン酸化物)、およびこれらの特定の活性成分の本発明において好適な誘導体 (塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)である。
【0130】
本発明の一実施形態において、本発明に係る濃縮物または調製物は、更なる成分として少なくとも1種の脱臭活性成分を含有する。
【0131】
脱臭活性成分は、体臭を弱め、マスキングし、または取り除く。体臭は、アポクリン腺からの汗に皮膚上の細菌が作用し、不快な分解産物が生成する結果生じる。従って、好適な脱臭活性成分は、特に、抗微生物薬、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気マスキング剤である。
【0132】
脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸および/もしくはリシノール酸のマグネシウム、アルミニウムおよび/または亜鉛塩は、安定化剤として使用することができる。
【0133】
濃縮物または調製物の更なる成分(例えば防腐剤、化粧的活性成分、例えばDHA -ジヒドロキシアセトン-、UVフィルター等)は、その溶解度に応じて水相または親油性相のいずれかを介して添加される。
【0134】
エマルジョン濃縮物が希釈される水相、または本発明に係る化粧用もしくは医薬用調製物の水相は、溶解した形態で、種々の水溶性成分、例えば水溶性化粧的活性成分、水溶性タンパク質もしくはタンパク分解産物、防腐剤、染料、香料、マグネシウム塩またはその他の通常の水溶性成分を含有し得る。好ましくは、水性の連続相は、粘度を上げることによってエマルジョンの化粧的特性を改善する水溶性の、天然もしくは合成のポリマーを含有する。このようなエマルジョンの化粧的特性を改善するための親水コロイドの特に効果的な組み合わせは、非イオン性セルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルセルロース、および例えばCarbopol(登録商標) (DE 3521713 A1参照)の商品名で入手可能な架橋型アクリル酸ポリマーの混合物である。更に、特に好適なポリマーは以下の商品名で知られている(Cosmedia(登録商標) ATH、Cosmedia(登録商標) SP、Cosmedia(登録商標) CHT (E)、Ultragel(商標) 300、Rheocare(商標) TTA、Rheocare(商標) TTN、Rheocare(商標) TTN-2、Cosmedia(登録商標)Triple C、Rheocare(商標)C plus)。
【0135】
基体の処理のための使用および処理された基体
本発明に係るエマルジョン濃縮物、およびまた本発明に係る化粧用もしくは医薬用調製物は、特に基体の処理のために好適である。
【0136】
従って本発明は更に、本発明に係るエマルジョン濃縮物、または本発明に係る調製物の、基体、特に紙、不織物および織物を処理するための使用を提供する。本発明に従ってここに含まれるものは、当業者に知られている全ての型の紙、不織物および織物、およびそれらから製造できる製品、例えばトイレットペーパー、ペーパーティッシュ、ティッシュ、ワイプ、コットンウール、コットンウールパッド、メーキャップリムーバー、タンポン、サニタリーナプキン、パンティーライナー、おむつ、ベビーケアワイプ、ベビークレンジングワイプ、繊維製品等である。
【0137】
処理(Behandeln)」という用語は、本明細書において、基体の少なくとも一方の側面への本発明に係るエマルジョン濃縮物、およびまた本発明に係る化粧用または医薬用調製物の全てのタイプの適用を包含する。このために好適なものは、それによって液体を事実上固体の表面に適用することができる、全ての関連する公知の方法である。例えば、含浸、飽和、被覆、噴霧、浸漬、搭載(Ausrusten)、剥離(Abstreifen)等を挙げることができる。処理は、室温で、または加熱して行うことができる。組成物を適用した後、短時間の乾燥ステップを追加することができる。
【0138】
エマルジョン濃縮物、およびまた調製物は、ベビーケアおよびベビー用衛生用品分野、またメーキャップ除去、特にアイメーキャップ除去の分野、女性の衛生用品(タンポン、サニタリーナプキン、パンティーライナー)の分野および身体の衛生用品(トイレットペーパー、モイストトイレットペーパー)の分野で使用される基体、例えば紙、ワイプ、織物およびコットンウール製品への適用に特に好適である。
【0139】
本発明は更に、少なくとも以下の成分を含む基体を提供する:
(A) アルキル/アルケニルラジカル中に6〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、
(B) ポリグリセロールエステル、
(C) ポリオール、
(D) 融点が20℃以上であるグリセリド、
(E) 20℃で液体であり、かつ極性が30-40 mN/mより大きい油成分、および
(F) 20℃で液体であり、かつ極性が5-30 mN/mである油成分、
ここで
−成分(A)、(B)および(C)の重量比A:B:Cが1:(0.6-0.8):(0.9-1.1)であり、
−成分(A)および(D)の重量比A:Dが4:1〜1.5:1であり、
−成分(E)および(F)の重量比E:Fが1:1〜1:3である。
【0140】
本発明に係る基体(Substrate)は、例えば、本発明に係るエマルジョン濃縮物または本発明に係る調製物を基体に適用することによって得ることができる。
【0141】
本発明にかかる基体は、例えばケアまたはクレンジング用ワイプとして使用することができる。この点で、スキンケアまたはクレンジング(特にベビーケアまたはクレンジング)の分野双方への適用が可能である。例えば、顔の皮膚のためのケアまたはクレンジング用ワイプ(いわゆるフェイシャルティッシュ、メーキャップ除去用ワイプ/メーキャップ除去など)、皮膚用のフレッシュニングワイプ、抗菌性および/または脱臭用ワイプ、インティメイトケア(Intimpflege)製品;例えばタンポン、サニタリーナプキン、パンティーライナー、インティメイトケアワイプ)、ドライもしくはモイストトイレットペーパー、失禁用製品、セルフ・タンニングワイプまたはいわゆる防虫用ワイプを挙げることができる。本発明に係る調製物を用いて、特定の適用のために必要とされる成分 (例えば脱臭活性成分または油溶性ケア成分)を基体に適用することが可能である。このようにして処理された基体は、皮膚および毛髪の消毒に更に適している。
【0142】
従って本発明は更に、本発明に係る基体の、皮膚および毛髪の清浄および/またはケアのための使用を提供する。
【0143】
従って本発明は更に、本発明に係る基体の、皮膚および毛髪の消毒のための使用を提供する。
【0144】
好適な基体は、原理的には、組成物および/またはその構成成分の吸収を可能とする任意の担体である。好適な基体は、例えばティッシュペーパーおよび/またはティッシュファブリックおよび/またはティッシュワイプ(以下、ティッシュワイプという)である。これらは一層または多層の構造物であり得る。一般に、紙は重量が1平方メートルあたり10〜65 g、好ましくは15〜30 g、密度が0.6 g/cm以下である。ティッシュペーパーの例は、トイレットペーパー、ペーパーティッシュ、フェイスクレンジングワイプ、メーキャップリムーバーワイプ、フレッシュニングワイプ、家庭用ワイプ等である。紙製のティッシュの他に、繊維もしくはフリース材料から製造される対応するティッシュファブリックも好適である。
【0145】
本発明において、多層のティッシュワイプが基体として好ましい。特に、個々の層の間に不透過性および/または部分的に透過性のバリア層を有するティッシュワイプが好ましい。部分的に透過性のバリア層は、例えば半透膜の形態をとり得る。この型のワイプを使用すれば、1つのワイプに(適切な場合には予め希釈した後の)2種以上のエマルジョン濃縮物を適用することができる。これは、ワイプの一方の側を使用してワイプに適用された組成物によってクレンジングをするために特に好ましい場合がある。その後、他方の側は、例えば乾燥したり、または適切な場合にはケアのための活性成分を皮膚に適用する目的で、こするために使用することができる。
【0146】
更に、ワイプが少なくとも3層の、(適切な場合には予め希釈した後の)エマルジョン濃縮物で処理したティッシュワイプから構成されていると、本発明において特に非常に好ましい場合がある。その場合、有利には、少なくとも2つの処理されたワイプの層の間に、それぞれ半透膜の形態のワイプ層がある。ここで、半透膜は外側のワイプ層方向に浸透性を有する。従って、内側では、例えば、外側に適用されるエマルジョン濃縮物と混和しない、および/または濃縮物と共には安定に存在しない(適切な場合には予め希釈した後の)エマルジョン濃縮物を最も内側の層に適用することが可能である。その結果、クレンジングとケアのための「1拭きで2つ(の機能)(two in one Tucher)」を提供することが可能となる。本発明は、必然的にワイプの層が異なって着色された構造を包含する。更に、本発明に係る教示は、特にワイプ層の吸収性および浸透性の点で異なる2種以上の素材からできたワイプ構造物をも包含する。
【0147】
好適な基体は更に、例えば、天然繊維、例えばセルロース、シルク、ウール、再生セルロース (ビスコース、レーヨン)、セルロース誘導体、およびまた合成繊維からできる織物繊維、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル繊維の双方の織物繊維、またはこうした繊維の混合物である。これらの繊維は織ったものでも、不織のものでも良い。
【0148】
本発明に係る基体は、当業者に公知の方法で製造することができる。本発明に係るエマルジョン濃縮物、または本発明に係る調製物の適用は、当業者に公知の方法で基体を処理することによって行われる。
【0149】
本発明に係るエマルジョン濃縮物、または本発明に係る調製物は、基体を処理する前に希釈することができ、また、適切な場合には、得られた基体を次いで乾燥することができる。
【実施例】
【0150】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するためのものである。
【0151】
表1に挙げるエマルジョン濃縮物は以下のようにして調製した:
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド(A)、ポリグリセロールエステル(B)を、ポリオール(C)、グリセリド(D)、油溶性成分(E)および(F)および水と共に撹拌しながら70〜75℃に60分間加熱した。次いで混合物を撹拌しながら30℃まで冷却し、適切な場合には、pHをpH 5.0-6.0に調整した。
【0152】
表1はエマルジョン濃縮物の組成とそれらの粘度を示す。粘度は室温(23℃)および15℃の双方の温度で、Brookfield回転式粘度計(model RVF, spindle 5, 10 rpm)を使用して測定した。室温および低温のいずれにおいても、本発明に係るパラメーターを保持しながら良好な保存安定性、および良好な粘度特性が達成されることが見出された。
【0153】
また、水による希釈物の安定性の結果およびそれらの粒径も示す。エマルジョン濃縮物の本発明に係る希釈物は保存において安定である。
【表1】

【表2】

【表3】

【0154】
使用した市販品は以下の通りである:
Euxyl(登録商標)K 300 INCI:フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン;Nipaguard(登録商標)BPX INCI:フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、2-ブロモ-2-ニトロ-プロパン-1,3-ジオール;EuxylPE(登録商標) 9010 INCI:フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン;Nipaguard(登録商標)PO5 INCI:フェノキシエタノール、ピロクトンオラミン;Sensive(登録商標) SC10 INCI:カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセリン;Cosmedia(登録商標)SP INCI:ポリアクリル酸ナトリウム;Melhydran(登録商標) LS 4420 INCI:ハチミツ抽出物;Lactolan(登録商標) LS 5879 INCI:加水分解乳タンパク質;Copherol(登録商標) 1250 C INCI:酢酸トコフェロール;Insect Repellent 3535(登録商標) INCI:ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル(Ethyl Butylacetylaminopropionate);Eusolex(登録商標) OCR INCI:オクトクリレン;Eusolex(登録商標) 9020 INCI:ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Butyl Methoxydibenzoylmethane);Myritol(登録商標) 318 INCI:トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル(Caprylic/Capric Triglyceride)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
(A) アルキル/アルケニルラジカル中に6〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、
(B) ポリグリセロールエステル、
(C) ポリオール、
(D) 融点が20℃以上であるグリセリド、
(E) 20℃で液体であり、かつ極性が30-40 mN/mより大きい油成分、および
(F) 20℃で液体であり、かつ極性が5-30 mN/mである油成分、
を含有するエマルジョン濃縮物であって、
−成分(A)、(B)および(C)の重量比A:B:Cが1:(0.6-0.8):(0.9-1.1)であり、
−成分(A)および(D)の重量比A:Dが4:1〜1.5:1であり、
−成分(E)および(F)の重量比E:Fが1:1〜1:3であり、かつ
−水性画分がエマルジョン濃縮物の総重量に基づいて20重量%以下である、
上記エマルジョン濃縮物。
【請求項2】
使用するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドが一般式(I)の化合物:
Gm-R1 (I)
[式中、
−Gは5個または6個の炭素原子を有する糖ラジカルであり、
−R1はアセタール結合中のC6〜C22アルキルおよび/またはアルケニルラジカルであり、
−mは平均値が1〜10、好ましくは1〜8、特に1〜3、好ましくは1.2〜1.8である。]
である、請求項1記載のエマルジョン濃縮物。
【請求項3】
成分(B)としてポリヒドロキシステアリン酸のポリグリセロールエステルを有する、請求項1または2記載のエマルジョン濃縮物。
【請求項4】
成分(C)として2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールを有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のエマルジョン濃縮物。
【請求項5】
ポリオールが2〜18個の炭素原子を有する、請求項4記載のエマルジョン濃縮物。
【請求項6】
成分(D)として、C18脂肪酸グリセリド、好ましくはC18脂肪酸グリセリドの総重量に基づいてグリセロールモノエステル画分が90重量%以上のC18脂肪酸グリセリドを含有する、請求項1〜5のいずれか1項記載のエマルジョン濃縮物。
【請求項7】
10重量%未満、好ましくは5重量%未満のエトキシ化物質を含有する、請求項1〜6のいずれか1項記載のエマルジョン濃縮物。
【請求項8】
15℃における粘度が30 000 mPa*s以下である、請求項1〜7のいずれか1項記載のエマルジョン濃縮物。
【請求項9】
化粧用または医薬用調製物としての、請求項1〜8のいずれか1項記載のエマルジョン濃縮物の使用。
【請求項10】
化粧用または医薬用調製物、特に水中油型エマルジョンを製造するための、請求項1〜8のいずれか1項記載のエマルジョン濃縮物の使用。
【請求項11】
以下の成分:
(A) アルキル/アルケニルラジカル中に6〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴリコシド、
(B) ポリグリセロールエステル、
(C) ポリオール、
(D) 融点が20℃以上であるグリセリド、
(E) 20℃で液体であり、かつ極性が30-40 mN/mより大きい油成分、および
(F) 20℃で液体であり、かつ極性が5-30 mN/mである油成分、
を含有する化粧用または医薬用調製物であって、
−成分(A)、(B)および(C)の重量比A:B:Cが1:(0.6-0.8):(0.9-1.1)であり、
−成分(A)および(D)の重量比A:Dが4:1〜1.5:1であり、
−成分(E)および(F)の重量比E:Fが1:1〜1:3であり、かつ
−水性画分がエマルジョン濃縮物の総重量に基づいて20重量%以下である、
上記化粧用または医薬用調製物。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項記載のエマルジョン濃縮物、または請求項11記載の化粧用もしくは医薬用調製物の、基体(Substrate)を処理するための使用。
【請求項13】
少なくとも以下の成分:
(A) アルキル/アルケニルラジカル中に6〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴリコシド、
(B) ポリグリセロールエステル、
(C) ポリオール、
(D) 融点が20℃以上であるグリセリド、
(E) 20℃で液体であり、かつ極性が30-40 mN/mより大きい油成分、および
(F) 20℃で液体であり、かつ極性が5-30 mN/mである油成分、
を含有する基体、特に紙、不織もしくは織った製品であって、
−成分(A)、(B)および(C)の重量比A:B:Cが1:(0.6-0.8):(0.9-1.1)であり、
−成分(A)および(D)の重量比A:Dが4:1〜1.5:1であり、
−成分(E)および(F)の重量比E:Fが1:1〜1:3であり、かつ
−水性画分がエマルジョン濃縮物の総重量に基づいて20重量%以下である、
上記基体。
【請求項14】
ボディケアおよび/または清浄のための、請求項13記載の基体の使用。

【公表番号】特表2012−514614(P2012−514614A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544802(P2011−544802)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009252
【国際公開番号】WO2010/078946
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】