説明

自立性袋とその製造方法及び無菌充填方法

【課題】自立性袋を無菌充填機に簡易かつ迅速に供給する。
【解決手段】内容物収納室1と底襠室2とを具備し、底襠室の拡開により自立可能となる自立性袋Pにおいて、上記内容物収納室の開口部が所定の密封手段3により密封され、上記底襠室の開放部が密封用ヒートシール部4,5により密封される。内容物収納室1内と底襠室2の内面は予め殺菌されており、外面のみを殺菌剤等で殺菌することで速やかに無菌充填機内に供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立性袋とその製造方法及び無菌充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食品等の内容物を袋内に無菌充填する場合、無菌チャンバー内で包材をヒートシールして袋状にし、この袋内に内容物を充填し、この袋の開口部をヒートシールするという方法が採られることがある。しかし、この方法では狭い無菌チャンバー内で袋を作らなければならないので、二枚のフィルムを貼り合せただけの袋を作って内容物を充填することは可能であるが、底部が拡開して自立可能となる自立性袋のような袋を作りつつ内容物を充填することは極めて困難である。また、密閉した無菌チャンバー内で製袋するので、単純な構造の袋であってもシール不良等を生じやすく、しかもシール不良等を生じた不良品の袋にも自動的に内容物が充填されてしまうという不都合もある。
【0003】
そのため、従来は無菌チャンバー外であらかじめ袋を製造し、検査し、良品の袋のみを無菌チャンバー内に無菌状態で導入し、無菌チャンバー内ではもっぱら袋内への内容物の充填と、開口部のシールとを行うようにしている(例えば、特許文献1,2,3,4参照。)。
【0004】
また、予め作った袋を無菌チャンバー内に無菌的に導入するため、従来次のような様々な手段を講じている。
【0005】
(1)殺菌部、袋取出部及び袋開封部を連結した状態で無菌チャンバーに接続する。開口を密封した多数の袋を収納袋内に収納して密封し、この収納袋を殺菌部に導入してγ線を照射し、収納袋内の全体を殺菌する。この収納袋を袋取出部内に送り、収納袋内から袋を取り出す。続いて袋開封部内で袋の開口部を開封し、無菌チャンバー内に導入する。袋は内外とも無菌状態に保たれており、無菌チャンバー内で内容物が無菌充填される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
(2)収納容器室を無菌チャンバーに接続する。開口した多数の袋を収納し密封した収納袋を予めγ線照射により殺菌する。この収納袋を収納容器室内に入れ、収納袋の外面を過酸化水素等の殺菌剤で殺菌し、収納袋内から袋を取り出し、無菌チャンバー内に導入する。袋は内外とも無菌状態に保たれており、無菌チャンバー内で内容物が無菌充填される(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
(3)外面殺菌部を無菌チャンバーに接続する。開口部を密封した多数の袋を用意する。これらの袋は予めγ線等の放射線の照射により内部が殺菌される。この内部が殺菌された袋を並べて外面殺菌部内に導入し袋外面を過酸化水素のミストにより殺菌し、カッターにより開封し、無菌チャンバー内に導入する。袋は内外とも無菌状態に保たれ、無菌チャンバー内で内容物が無菌充填される(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
(4)ストックゾーンを無菌チャンバーに接続する。開口部が開いた多数の袋を収納袋内に収納して密封し、この収納袋をγ線照射により殺菌する。この収納袋をストックゾーン内に入れ、ストックゾーン内から無菌チャンバー内に導入する。無菌チャンバーの外部から作業者が無菌手袋を装着した手を入れて収納袋を開封し、袋を取り出し、無菌チャンバー内の充填機における袋供給部に装填する。袋は内外とも無菌状態に保たれており、無菌チャンバー内で内容物が無菌充填される(例えば、特許文献4参照。)。
【0009】
【特許文献1】特開平10−35623号公報
【特許文献2】特開平11−180416号公報
【特許文献3】特開2001−2029号公報
【特許文献4】特開2002−68143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記(1)の方法によれば、無菌チャンバーに殺菌部、袋取出部及び袋開封部を付属させなければならず、無菌充填機の大型化、複雑化を招くという問題がある。また、殺菌部、袋取出部及び袋開封部の各部内では、収納袋へのγ線照射、収納袋の破袋、収納袋からの袋の取り出し、袋の開封の各工程を密閉室内で自動的に行わなければならないので、この自動化装置の設置のため無菌充填機の構造がさらに大型化、複雑化するという問題がある。
【0011】
上記(2)の方法によれば、収納容器室内で収納袋の外面の殺菌、収納袋の破袋、収納袋からの袋の取り出し、袋の搬出の各工程を密閉状態で自動的に行わなければならず、この自動化のため、無菌充填機の構造がさらに大型化、複雑化するという問題がある。
【0012】
上記(3)の方法によれば、密封された袋の外面を過酸化水素のミストで殺菌し、次いで袋の開口部を開封し、しかる後に袋を無菌チャンバー内に導入するが、袋が自立性袋のごとく底を拡開することができるように襠室が設けられたものである場合は、襠室の内部の隅々まで過酸化水素のミストが行き渡り難い。そのため、袋の外面が殺菌不良のまま無菌チャンバー内に導入され、袋内や無菌チャンバー内が汚染されるおそれがあるという問題がある。また、襠室内から過酸化水素を除去するのに時間がかかり、或いは除去が不確実になるという問題がある。
【0013】
上記(4)の方法によれば、作業者が手袋を介して無菌チャンバー内の収納袋を破り、収納袋から袋を取り出し、袋を充填機の袋供給部に装填しなければならないので、袋の供給に手間と時間がかかり無菌充填作業が遅延し、生産性が悪いという問題がある。
【0014】
従って、本発明は袋が自立性袋のような底襠室を有したものであっても簡易かつ適正に殺菌して無菌チャンバー内に供給することができ、また、無菌充填機の複雑化、大型化を防止することができる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0016】
すなわち、請求項1に係る発明は、図2,図5,図7,図8,図10,図11、図15に示すように、内容物収納室(1)と底襠(まち)室(2)とを具備し、底襠室(2)の拡開により自立可能となる自立性袋(P)において、上記内容物収納室(1)の開口部が所定の密封手段(3,42)により密封され、上記底襠室(2)の開放部が密封用ヒートシール部(4,5)により密封されたことを特徴とする。
【0017】
請求項2に係る発明は、図2,図5,図7,図8,図10,図11、図15に示すように、請求項1に記載の自立性袋(P)において、前後パネル(6,7)と前後パネル(6,7)間に山折り状に挿入される底襠パネル(8)とを具備し、上記前後パネル(6,7)の左右の側縁同士、上記前後パネル(6,7)と上記底襠パネル(8)の左右の側縁同士、及び上記前後パネル(6,7)と上記底襠パネル(8)の下縁同士がそれぞれヒートシール部(9,10,11,12,13,14)で接合されることにより内容物収納室(1)が形成され、上記山折りされた底襠パネル(8)の左右の側縁及び下縁における開放部が上記密封用ヒートシール部(4,5)でシールされることにより底襠室(2)が形成されると共に密封され、上記密封手段(3,42)が上記前後パネル(6,7)の所定箇所に設けられたことを特徴とする。
【0018】
請求項3に係る発明は、図5(A),図8(A),図11(A)に示すように、請求項2に記載の自立性袋(P)において、密封用ヒートシール部(4)は、上記前後パネル(6,7)と上記底襠パネル(8)の下縁同士間のヒートシール部(13,14)よりも小さい幅分で形成されたことを特徴とする。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の自立性袋(P)において、上記密封された内容物収納室(1)と底襠室(2)の両室内が放射線の照射によりそれぞれ無菌状態とされたことを特徴とする。
【0020】
請求項5に係る発明は、図2,図5,図7,図8,図10,図11に示すように、請求項2に記載の自立性袋(P)において、上記内容物収納室(1)の開口部の密封手段が、上記前後パネル(6,7)間をヒートシールすることにより形成されるヒートシール部(3)であることを特徴とする。
【0021】
請求項6に係る発明は、図15に示すように、請求項2に記載の自立性袋(P)において、上記内容物収納室(1)の開口部の密封手段が、上記前後パネル(6,7)間に設けられた注出具(42)であることを特徴とする。
【0022】
請求項7に係る発明は、図1及び図2に示すように、請求項2又は請求項3に記載の自立性袋(P)において、上記底襠室(2)の開放部の密封用ヒートシール部(4,5)が、上記底襠パネル(8)の対向面上に塗工されたヒートシール材層(8a)により形成されたことを特徴とする。
【0023】
請求項8に係る発明は、図10,図11に示すように、請求項2又は請求項3に記載の自立性袋(P)において、上記底襠室(2)の開放部の密封用ヒートシール部(4,5)が、上記前後パネル(6,7)縁の上記底襠パネル(8)縁を外側に越えた突出部分(6a,6b,7a,7b)間をヒートシールすることにより形成されたことを特徴とする。
【0024】
請求項9に係る発明は、図7及び図8に示すように、請求項2又は請求項3に記載の自立性袋(P)において、上記底襠室(2)の開放部の左右縁における密封用ヒートシール部(5,5)が、上記底襠パネル(8)の対向面上に塗工されたヒートシール材層(8a)により形成され、上記底襠室(2)の開放部の底縁における密封用ヒートシール部(4)が、上記前後パネル(6,7)縁の上記底襠パネル(8)縁を外側に越えた突出部分(6a,7a)間のヒートシールにより形成されたことを特徴とする。
【0025】
請求項10に係る発明は、自立性袋(P)の製造方法であって、図12、図13(A)に示すように、内面にヒートシール材層が設けられ、外面に非ヒートシール材層が設けられた前パネル(6)及び後パネル(7)の連続体(16,17)間に、両面にヒートシール材層(8a,8b)が設けられた底襠パネル(8)の連続体(18)を長さ方向の中心線上で山折りして挿入し、全連続体(16,17,18)を重ね合わせる重畳工程と、重なり合った連続体(16,17,18)を長さ方向に直角に所定の間隔でヒートシールする側縁ヒートシール工程と、前後パネル(6,7)の連続体(16,17)が重なり合った重畳縁をヒートシールする開口部ヒートシール工程と、前後パネル(6,7)の連続体(16,17)と底襠パネル(8)の連続体(18)とが重なり合った重畳縁において全連続体(16,17,18)間をヒートシールする底部ヒートシール工程とを包含してなることを特徴とする。
【0026】
請求項11に係る発明は、自立性袋(P)の製造方法であって、内面にヒートシール材層が設けられ、外面に非ヒートシール材層が設けられた前パネル(6)及び後パネル(7)の連続体(16,17)間に、図9(A)に示すように、片面にヒートシール材層(8b)が設けられた底襠パネル(8)を表面である山折り面にヒートシール材層(8b)が来るように山折りした状態で、その縁が前後パネル(6,7)の連続体(16,17)の縁よりも内側に来るように前後パネル(6,7)の連続体(16,17)間に間欠的に挿入する重畳工程と、重なり合った連続体(16,17)及び底襠パネル(8)を連続体(16,17)の長さ方向に直角に前後パネル(6,7)の連続体(16,17)と底襠パネル(8)との間及び前後パネル(6,7)の連続体(16,17)間をヒートシールする側縁ヒートシール工程と、前後パネル(6,7)の連続体(16,17)が重なり合った重畳縁をヒートシールする開口部ヒートシール工程と、図13(C)に示すように、前後パネル(6,7)の連続体(16,17)と底襠パネル(8)とが重なり合った重畳縁において前後パネル(6,7)の連続体(16,17)と底襠パネル(8)との間及び底襠パネル(8)の縁から食み出た前後パネル(6,7)の連続体(16,17)間をヒートシールする底部ヒートシール工程と、上記側縁ヒートシール工程でヒートシールした部分において連続体から自立性袋(P)を切り離す切断工程とを包含してなることを特徴とする。
【0027】
請求項12に係る発明は、請求項10又は請求項11に記載の自立性袋の製造方法において、連続状の自立性袋(P)又は連続体(16,17,18)から切り離された自立性袋(P)を放射線により殺菌する殺菌工程をさらに包含してなることを特徴とする。
【0028】
請求項13に係る発明は、図1(B)に示すように、請求項10に記載の自立性袋(P)の製造方法において、上記底襠パネル(8)の連続体(18)の谷折り面に設けられるヒートシール材層(8a)は、上記側縁ヒートシール工程及び底部ヒートシール工程でヒートシールする面に形成し、残りの面には非ヒートシール材層(8c)を同程度の厚さで形成しておくことを特徴とする。
【0029】
請求項14に係る発明は、図6、図8、図13(B)に示すように、請求項10に記載の自立性袋の製造方法において、上記重畳工程では、底襠パネル(8)の連続体(18)を長さ方向の中心線上で山折りした状態で、その縁が前後パネル(6,7)の連続体(16,17)の縁よりも内側に来るように前後パネル(6,7)の連続体(16,17)間に挿入し、上記側縁ヒートシール工程では、上記底襠パネル(8)の連続体(18)における谷折り面のヒートシール材層(8a)をこの連続体(18)の長さ方向に直角に伸びるように予め形成したうえで、このヒートシール材層(8a)の上でヒートシールし、上記底部ヒートシール工程では、上記底襠パネル(8)の連続体(18)の縁から食み出た前後パネル(6,7)の連続体(16,17)の縁(6a,7a)間をヒートシールすることを特徴とする。
【0030】
請求項15に係る発明は、無菌充填方法であって、図14に示すように、内容物収納室(1)と底襠室(2)とを具備し、底襠室(2)の拡開により自立可能となる自立性袋(P)であって、上記内容物収納室(1)の開口部が所定の密封手段(3,42)により密封され、上記底襠室(2)の開放部が密封用ヒートシール部(4,5)により密封され、両室(4,5)内が放射線の照射により無菌化された自立性袋(P)を無菌チャンバー(37)内に導入する工程と、無菌チャンバー(37)内で自立性袋(P)の外面を殺菌する工程と、無菌チャンバー(37)内で上記開口部を開封する工程と、上記開口部から内容物を内容物収納室(1)内に充填する工程と、上記開口部を再封する工程とを包含してなることを特徴とする。
【0031】
請求項16に係る発明は、図14に示すように、請求項15に記載の無菌充填方法において、自立性袋(P)の底縁を切除し底襠室(2)を開放する工程を包含してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、無菌チャンバーの外部の菌が存在する場所において自立性袋の集積作業、供給作業を行っても、自立性袋の内容物収納室(1)及び底襠室(2)の内部への菌の侵入を防止し、各室(1,2)内を無菌状態に保持することができ、無菌チャンバー(37)内に導入する際は自立性袋(P)の扁平な外面のみを殺菌することで足りる。したがって、自立性袋(P)を簡易かつ迅速に殺菌して無菌チャンバー(37)内に導入して無菌充填に供することができる。また、過酸化水素等の殺菌剤で自立性袋(P)の外面を殺菌する場合は殺菌剤の使用量も少なくて済み、殺菌剤の残留量も低減する。また、自立性袋(P)を露出状態で無菌チャンバー(37)外で集積し、供給することができるので無菌チャンバー(37)内に効率よく供給することができる。さらに、自立性袋(P)の外面は過酸化水素等の殺菌剤を塗布する程度で足りるのでその殺菌装置(39)の構造も簡易化可能であり、従って無菌充填機の小型化、簡素化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0034】
<実施の形態1>
図2及び図5(A)(B)(C)に示すように、この自立性袋Pは、内容物収納室1と底襠(まち)室2とを具備し、図3又は図4の如く底襠室2の拡開により自立可能となるよう構成されるが、扁平に折り畳まれた状態では、図5(A)(B)(C)に示す如く内容物収納室1の開口部が所定の密封手段であるヒートシール部3により密封され、底襠室2の開放部は密封用ヒートシール部4,5により密封されている。
【0035】
より具体的には、この自立性袋Pは、図1及び図5(A)(B)(C)に示すように、前後パネル6,7と、前後パネル6,7間に山折り状に挿入される底襠パネル8とを具備し、図2及び図5(A)(B)(C)に示すように、前後パネル6,7の左右の側縁同士、前後パネル6,7と底襠パネル8の左右の側縁同士、及び前後パネル6,7と底襠パネル8の下縁同士がそれぞれヒートシール部9,10,11,12,13,14で接合されることにより内容物収納室1が形成され、山折りされた底襠パネル8の左右の側縁及び下縁における開放部が密封用ヒートシール部5,4でシールされることにより底襠室2が形成されると共に密封され、開口部及び密封手段であるヒートシール部3が前後パネル6,7の所定箇所に設けられている。
【0036】
前後パネル6,7は、自立性袋Pの前後壁を形成するもので、図示例ではそれぞれ長方形に形成される。もちろん、袋の形状に応じて前後パネル6,7の形状は適宜変更される。この前後パネル6,7は、積層フィルムから作られる。積層フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリアミド系樹脂(NY)/アルミニウム箔(Al)/ポリプロピレン(PP)の層構成を有する。製袋時のシール温度では、ポリプロピレン層がヒートシール材として溶融し、ポリエチレンテレフタレート層は溶融しないので、前後パネル6,7は、ポリエチレンテレフタレート層が外側に露出し、ポリプロピレン層が内側に来るように重ね合わされ、ヒートシールされる。もちろん、上記積層フィルムの層構成、各層の使用材料は適宜変更可能である。
【0037】
底襠パネル8は、自立性袋Pの底部を形成するもので、図示例では長方形に形成される。この底襠パネル8は、積層フィルムから作られる。積層フィルムは、例えばヒートシール材/ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリアミド系樹脂(NY)/アルミニウム箔(Al)/ポリプロピレン(PP)の層構成を有する。ヒートシール材としては、例えばポリ塩化ビニリデンや塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、塩素化ポリプロピレンを使用することができる。
【0038】
底襠パネル8は、図1(A)(B)に示すように、細かい砂目で表すヒートシール材層8aが内側になり無地で表すポリプロピレン層8bが外側になるように山折りされた状態で前後パネル6,7間に挿入される。製袋時のシール温度では、ヒートシール材層8aとポリプロピレン層8bが溶融し、ヒートシール材層8aにより山折り状の底襠パネル8の対向面間が接着され、ポリプロピレン層8bにより底襠パネル8の外面が前後パネル6,7の内面のポリプロピレン層に接着される。
【0039】
図2及び図5(A)(B)(C)に示すように、上記前後パネル6,7の左右の側縁同士を接合するヒートシール部9,10は、前後パネル6,7の左右の側縁に沿ってそれぞれ上下方向に帯状に伸びるよう形成される。前後パネル6,7と底襠パネル8の左右の側縁同士、及び前後パネル6,7と底襠パネル8の下縁同士をそれぞれ接合するヒートシール部11,13は、全体として略凹状に形成される。これらのヒートシール部9,10,11,13により、図5(A)(B)(C)に示すように、袋内に内容物収納室1が形成される。
【0040】
また、図2及び図5(A)(B)(C)に示すように、上記密封用ヒートシール部5,4は、山折りされた底襠パネル8の左右の側縁及び下縁に対応する底襠室2の開放部を遮蔽するように、山折りされた底襠パネル8内面三辺に沿って帯状に形成される。底襠パネル8には左右の側縁に沿った密封用ヒートシール部5,5により底襠室2が形成され、下縁に沿った密封用ヒートシール部4によりこの底襠室2が密封される。図5(A)に示すように、底襠パネル8の下縁に沿った密封用ヒートシール部4は、前後パネル6,7と底襠パネル8の下縁同士間のヒートシール部13,14よりも小さい幅分で形成される。これにより、一点鎖線で示す切断線a上で自立性袋の底部を切除し、底襠室2を拡開すると、図3又は図4に示すように、内容物収納室1の底に自立用の底面を形成することができる。
【0041】
図1(B)に示すように、底襠パネル8の内面に塗工される上記ヒートシール材層8aはこの密封用ヒートシール部4,5に対応するように底襠パネル8の内面側にその輪郭に沿って枠状に形成される。また、望ましくは底襠パネル8に塗工されたヒートシール材層8aよりも内側すなわち残りの面には粗い砂目で表す非ヒートシール材層8cがヒートシール材層8aと同程度の厚さで必要に応じて塗工される。これにより、底襠パネル8の厚さが全面にわたり均一になり、その素材フィルムを図12の如く巻取ロール18aとした場合にロールとしての型崩れが防止される。
【0042】
図2及び図5(A)(B)(C)に示すように、内容物収納室1の開口部は前後パネル6,7の上縁に設定され、この上縁に沿って左右方向に帯状に伸びるヒートシール部3により密封される。これにより、一点鎖線で示す切断線b上で自立性袋Pの上部を切除すると、図3又は図4に示すように、内容物収納室1の開口部を形成することができる。
【0043】
なお、内容物収納室1の開口部は、必要に応じて前後パネル6,7の左右の側縁同士を接合するヒートシール部9,10に設定することも可能である。
【0044】
以上のように内容物収納室1と底襠室2とが形成され、これら各室1,2が密封された自立性袋Pは、図2及び図5(A)(B)(C)に示すような扁平状態のままで他の多数の自立性袋と共に図示しない収納袋又は収納容器内に収納され密封された後に、収納袋又は収納容器の外からγ線等の放射線を照射される。放射線の照射により収納袋又は収納容器内の多数の自立性袋Pは、それらの内部及び外部の双方が殺菌され、収納袋又は収納容器内に収納されたまま無菌状態で保管され、或いは無菌充填機へと搬送される。
【0045】
次に、上記無菌充填用自立性袋Pの製造方法の一例について説明する。
【0046】
図12及び図13(A)に示すように、重畳工程において、前パネル6及び後パネル7の各連続体16,17間に、底襠パネル8の連続体18が長さ方向の中心線上で山折りされつつ挿入される。
【0047】
前パネル6と後パネル7は、各々の連続体16,17を素材フィルムとして巻き取った巻取ロール16a,17aから供給される。前後パネル6,7の各連続体16,17の内面には、ヒートシール材層である例えばポリプロピレン層が設けられ、外面には非ヒートシール材層である例えばポリエチレンテレフタレート層が設けられている。
【0048】
底襠パネル8も素材フィルムの連続体18を巻き取った巻取ロール18aから供給される。底襠パネル8の連続体18の両面には、ヒートシール材層が設けられ、前後パネル6,7の連続体16,17に対向する片面ではヒートシール材層である例えばポリプロピレン層が全面にわたって塗工されるが、反対側面には図1(B)に示すようにヒートシール材層8aである例えばポリ塩化ビニリデン層が枠状に一定ピッチで塗工される。
【0049】
なお、底襠パネル8の連続体18の表面にこのようなヒートシール材層8aが枠状に積層される結果、この底襠パネル8が図12の如くロール状に巻き取られた場合は巻取ロール18aの径が歪になり、製袋機での適正な供給が困難になりやすい。そこで、望ましくは底襠パネル8の連続体18におけるヒートシール材層8aの塗布されない残りの面には、図1(B)の如く非ヒートシール材層8cが同程度の厚さで塗布される。これにより、底襠パネル8の連続体18を巻き取った巻取ロール18aは型崩れすることなく円筒形を保った状態で自立性袋の製造装置内に装填され、この巻取ロール18aから連続体18が円滑に繰り出されることになる。
【0050】
前後パネル6,7の各連続体16,17は、各種駆動ローラ15,19、各種ダンサーローラ21、各種ガイドローラ20により一定ピッチごとに間欠送りされつつ重ね合わされる。底襠パネル8の連続体18は、各種駆動ローラ23,24、各種ダンサーローラ22,各種ガイドローラ25を経て走行しつつ三角板26により二つ折りされ、前後パネル6,7の連続体16,17間にそれらの一側縁に沿うように挿入される。
【0051】
前後パネル6,7の連続体16,17及び底襠パネル8の連続体18の重なった重畳体27は、重畳縁ヒートシール工程におくられる。この工程における重畳体27の走行路上には、片側の重畳縁を上下から挟むように開口部ヒートシール盤28が設置され、他の片側の重畳縁を上下から挟むように底部ヒートシール盤29が設置される。開口部ヒートシール盤28及び底部ヒートシール盤29は、重畳体27が停止する都度それぞれ上下に往復動して、前後パネル6,7の連続体16,17が重なり合った重畳縁と、前後パネル6,7の連続体16,17と底襠パネル8の連続体18とが重なり合った重畳縁とをそれぞれ同時にヒートシールする。これにより、図5(A)(B)(C)中、ヒートシール部3,13,14,4に対応する箇所がヒートシールされる。
【0052】
開口部ヒートシール盤28及び底部ヒートシール盤29よりも下流側には、重畳体27の上記ヒートシール部3,13,14,4を冷却するための冷却盤30が重畳体27の走行路を上下から挟むように配置される。重畳体27は両側の重畳縁のヒートシール部3,13,14,4を冷却盤30で冷却された後、駆動ローラ31により更に下流側に間欠送りされる。
【0053】
冷却盤30による冷却工程を経た重畳体27は、側縁ヒートシール工程に送られる。この工程における重畳体27の走行路上には、重畳体27を長さ方向に直角に上下から挟むように側縁ヒートシール盤32,33が重畳体27の送りピッチの間隔で二対設置される。側縁ヒートシール盤32,33は、重畳体27が停止する都度それぞれ上下に往復動して、重畳体27を同時にヒートシールする。側縁ヒートシール盤32,33が二対設けられることから、側縁のヒートシール部9,10は二度ヒートシールされる。この側縁ヒートシール工程により、図2及び図5(C)中、ヒートシール部5,9,10,11,12に対応する箇所がヒートシールされ、図13(A)に示すように自立性袋が連なった状態で形成される。図13(A)中、ハッチング部分は前後パネル6,7同士のヒートシール部3,9,10を示し、細かい砂目部分は山折りされた底襠パネル8同士のヒートシール部4,5を示し、細かい砂目部分及び粗い砂目部分は前後パネル6,7と底襠パネル8とのヒートシール部11,12,13,14を示す。
【0054】
側縁ヒートシール盤32,33よりも下流側には、重畳体27の上記ヒートシール部5,9,10,11,12を冷却するための冷却盤34が重畳体27の走行路を横断し走行路を上下から挟むように配置される。重畳体27は上記ヒートシール部5,9,10,11,12を冷却盤34で冷却された後、更に下流側に間欠送りされる。
【0055】
冷却工程を経た重畳体27は、駆動ローラ35により分断工程に送られる。この工程における重畳体27の走行路上には、重畳体27を長さ方向に直角に上下から挟むようにカッター36が設置される。カッター36は、重畳体27が停止する都度それぞれ上下に往復動して、重畳体27を側縁のヒートシール部5,9,10上で切断し、図2に示す自立性袋を切り出す。
【0056】
以上のように連続した重畳体27から切り出された自立性袋は、それぞれ密封された内容物収納室1と底襠室2とを有する。この両室1,2が密封された自立性袋は、図2及び図5(A)(B)(C)に示す扁平状態のまま他の多数の自立性袋と共に図示しない収納袋又は収納容器内に収納され密封される。多数の自立性袋を収納した収納袋又は収納容器には外からγ線等の放射線が照射され殺菌処理される。もちろん、この殺菌処理は図13(A)に示すような自立性袋の連続した重畳体27のままで行い、殺菌処理後に切り離すことも可能である。
【0057】
放射線の照射により、収納袋又は収納容器内の多数の自立性袋は、それらの内部及び外部の双方が殺菌され、収納袋又は収納容器内に収納されたまま無菌状態で保管される。
【0058】
次に、上記自立性袋を使用した無菌充填方法の一例について説明する。
【0059】
上述したように、自立性袋は、内容物収納室1と底襠室2とを具備し、底襠室2の拡開により自立可能となるもので、内容物収納室1の開口部がヒートシール部3により密封され、底襠室2の開放部が密封用ヒートシール部4,5により密封され、両室1,2内が放射線の照射により無菌化されている。
【0060】
図14に示すように、この自立性袋Pは、無菌充填機の無菌チャンバー37に付設された供給部38に作業者等により装填される(I)。
【0061】
すなわち、作業者等が上記図示しない収納袋又は収納容器を開封して中から自立性袋Pを取り出し、供給部38に並べる。個々の自立性袋Pは外部のみが菌類により汚染されるが、内容物収納室1と底襠室2は密封されているので、自立性袋Pの内部は無菌状態が保持される。
【0062】
供給部38からは図示しないサッカー等により自立性袋Pが一枚ずつ外面殺菌処理部39内に引き込まれる。外面殺菌処理部39の槽39a内には過酸化水素等の殺菌剤Qが貯留され、自立性袋Pは一枚ずつこの殺菌剤Qの中を通って外表面を殺菌処理される(II)。
【0063】
外表面が殺菌された自立性袋Pは、必要に応じて殺菌剤の乾燥工程を経て殺菌剤を除去された後無菌チャンバー37内に導入され、図示しないコンベアにより起立状態に保持される(III)。
【0064】
起立状態に保持された自立性袋Pは、その開口部を閉じたヒートシール部3が図示しないカッター等により切除されることにより開封される(IV)。これにより、図3に示す如く内容物収納室1が開口可能となる。
【0065】
続いて自立性袋Pの底の密封ヒートシール部4が図示しないカッター等により切除される(V)。これにより、底襠室2が開放され、図3に示す如く底襠パネル8が拡開可能となる。
【0066】
なお、内容物収納室1の開口工程と底襠室2の開放工程は順序を入れ換えてもよいし、同時に行ってもよい。
【0067】
自立性袋Pの内容物収納室1内には、開口部から図示しないノズル等により内容物が充填され(VI)、さらに図示しないヒートシール盤により開口部が再びヒートシールされヒートシール部40で閉じられる(VII)。
【0068】
これにより図4に示す無菌包装体Pが完成し、無菌チャンバー外に搬出される。
【0069】
なお、上記底襠室2を開放するための工程(V)は開口部をヒートシール部40で再封した後に行ってもよいし、底襠部2を開放することなく閉じたまま無菌チャンバー37外に搬出してもよい。その場合、図2に示す切断線aで切断し自立可能に底襠室2を開放する操作はこの無菌包装体Pの購入者等が適宜行うことができる。
【0070】
<実施の形態2>
図6乃至図8に示すように、この実施の形態2の自立性袋では、実施の形態1の場合と異なり、底襠室2の開放部の左右側縁における密封用ヒートシール部5,5、が、底襠パネル8の対向面上に塗工されたヒートシール材層8aにより形成され、底襠室2の開放部の底縁における密封用ヒートシール部4が、前後パネル6,7の底縁における底襠パネル8の底縁を外側に越えた突出部分6a,7a間のヒートシールにより形成される。
【0071】
図6(B)に示すように、底襠パネル8の内折面に塗工される上記ヒートシール材層8aは底襠パネル8の左右の側縁に帯状に形成される。このような底襠パネル8では実施の形態1におけるような残りの面に非ヒートシール材層8c(図1参照)を塗工する必要は必ずしもない。ヒートシール材層8aの帯状塗布層は底襠パネル8の素材フィルムを横切るように設けられることから、巻取ロール18a(図12参照)とした場合にロールとしての型崩れが生じにくいことによる。
【0072】
この自立性袋Pは、図7及び図8(A)(B)(C)に示すような扁平状態のままで実施の形態1の場合と同様にして殺菌処理される。
【0073】
次に、上記自立性袋Pの製造方法の一例について説明する。
【0074】
実施の形態1の場合と同様に、図12に示すように、重畳工程において、前パネル6及び後パネル7の連続体16,17間に、底襠パネル8の連続体18が長さ方向の中心線上で山折りされつつ挿入される。ただし、この実施の形態2では、底襠パネル8の連続体18の縁が前後パネル6,7の連続体16,17の縁よりも内側に来るように前後パネル6,7の連続体16,17間に挿入される。
【0075】
前後パネル6,7の連続体16,17及び底襠パネル8の連続体18の重なった重畳体27は、重畳縁ヒートシール工程におくられる。開口部ヒートシール盤28及び底部ヒートシール盤29は、重畳体27が停止する都度それぞれ上下に往復動して、前後パネル6,7の連続体16,17が重なり合った重畳縁と、前後パネル6,7の連続体16,17と底襠パネル8の連続体18とが重なり合った重畳縁と、前後パネル6,7の連続体16,17が底襠パネル8の連続体18の縁から食み出て重なり合った重畳縁とをそれぞれ同時にヒートシールする。これにより、図8(A)(B)(C)中、各種のヒートシール部3,5,11,12,4に対応する箇所がヒートシールされる。
【0076】
以後、図13(B)に示すように自立性袋Pが連なった状態を経た後に、実施の形態1と同様にして各種工程が行われ、無菌の自立性袋Pとされる。
【0077】
また、上記自立性袋Pに対する内容物の無菌充填も実施の形態1の場合と同様にして行うことが出来る。
【0078】
その他、実施の形態2において実施の形態1と同じ部分には同一符号を付して示すこととし、重複した説明を省略する。
【0079】
<実施の形態3>
図9乃至図11に示すように、この実施の形態3の自立性袋Pでは、実施の形態1,2の場合と異なり、底襠室2の開放部の密封用ヒートシール部4,5が、前パネル6の底縁における底襠パネル8の底縁を外側に越えた突出部分6a,6b,6bと後パネル7の同様な突出部分7a,7b,7bとの間をヒートシールすることにより形成される。
【0080】
図9(B)に示すように、底襠パネル8の内折面には実施の形態1,2におけるようなヒートシール材層8a(図1、図6参照)が塗工されておらず、PET層のような非ヒートシール材層が露出している。そして、図10及び図11に示すように、底襠室2の左右の側縁における密封用ヒートシール部5,5は、前後パネル6,7の左右縁が底襠パネル8の左右縁から食み出た部分6b,6b,7b,7b間のヒートシールにより縦向きの帯状に形成される。また、底襠室8の底縁における密封用ヒートシール部4は、前後パネル6,7の底縁が底襠パネル8の底縁から食み出た部分6a,7a間のヒートシールにより形成される。前者の密封用ヒートシール部5,5により底襠室2が形成され、後者の密封用ヒートシール部4により底襠室2が密閉される。
【0081】
この自立性袋Pは、図10及び図11(A)(B)(C)に示すような扁平状態のままで実施の形態1の場合と同様にして殺菌処理される。
【0082】
次に、上記無菌充填用自立性袋の製造方法の一例について説明する。
【0083】
この実施の形態3では、図12に示した実施の形態1の場合とは異なり、枚葉状の底襠パネル8が山折り状態で一枚ずつその縁が前後パネル6,7の連続体16,17の縁よりも内側に来るように、しかも隣り合うもの同士が少しずつ離れるように、前後パネル6,7の連続体16,17間に挿入される。
【0084】
図12を借りて説明すると、前後パネル6,7の連続体16,17及び底襠パネル8の重なり合った重畳体27は、開口部ヒートシール工程と底部ヒートシール工程とに送られる。開口部ヒートシール盤28は、重畳体27が停止する都度上下に往復動して、前後パネル6,7の連続体16,17が重なり合った重畳縁をヒートシールして開口部を閉じる。また、底部ヒートシール盤29は、重畳体27が停止する都度上下に往復動して、前後パネル6,7の連続体16,17と底襠パネル8とが重なり合った重畳縁と、前後パネル6,7の連続体16,17が底襠パネル8の縁から食み出て重なり合った重畳縁とをそれぞれ同時にヒートシールする。
【0085】
さらにこの重畳体27は、側縁ヒートシール工程に送られる。側縁ヒートシール盤32,33は、重畳体27が停止する都度それぞれ上下に往復動して、前後パネル6,7の連続体16,17が重なり合った側縁と、前後パネル6,7の連続体16,17が底襠パネル8の左右縁から食み出て重なり合った側縁とをそれぞれ同時にヒートシールする。これにより、図10及び図11(A)(B)(C)中、各種のヒートシール部3,4,5,9,10,11,12,13に対応する箇所がヒートシールされる。
【0086】
以後、図13(C)に示すように自立性袋Pが連なった状態を経た後に、実施の形態1と同様にして各種工程が行われ、無菌の自立性袋Pとされる。
【0087】
また、上記自立性袋Pに対する内容物の無菌充填も実施の形態1の場合と同様にして行うことが出来る。
【0088】
なお、実施の形態3において実施の形態1と同じ部分には同一符号を付して示すこととし、重複した説明を省略する。
【0089】
<実施の形態4>
この実施の形態4では、図15に示すように、長方形の前後パネル6,7の一隅が斜めに切除され、四辺と斜辺とがヒートシール部3,9,10,11,12,13,14,5,4,41で閉じられる。斜辺のヒートシール部41には、内容物収納室1を外部に開口させるための密封手段として注出具42が設けられている。
【0090】
この場合、内容物は注出具42のキャップ42aを開閉することにより内容物収納室1内に無菌充填することも可能であるが、他のヒートシール部3,9,10を開口部に設定し、その未封状態の箇所から内容物を袋内に充填し、その後開口部をヒートシールし密閉することもできる。
【0091】
その他、実施の形態4において実施の形態1と同じ部分には同一符号を付して示すこととし、重複した説明を省略する。
【0092】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】(A)は本発明の実施の形態1に係る自立性袋の分解斜視図、(B)は底襠パネルの部分切欠斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る自立性袋の斜視図である。
【図3】自立性袋の内容物収納室を開封し、底襠室を開放した状態で示す斜視図である。
【図4】自立性袋に内容物を充填した後、再度密封した状態を示す斜視図である。
【図5】(A)(B)(C)は、図2中VA−VA線、VB−VB線、VC−VC線の各断面図である。
【図6】(A)は本発明の実施の形態2に係る自立性袋の分解斜視図、(B)は底襠パネルの部分切欠斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る自立性袋の斜視図である。
【図8】(A)(B)(C)は、図7中VIIIA−VIIIA線、VIIIB−VIIIB線、VIIIC−VIIIC線の各断面図である。
【図9】(A)は本発明の実施の形態3に係る自立性袋の分解斜視図、(B)は底襠パネルの部分切欠斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る自立性袋の斜視図である。
【図11】(A)(B)(C)は、図10中XIA−XIA線、XIB−XIB線、XIC−XIC線の各断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る自立性袋の製造方法を示す斜視図である。
【図13】(A)(B)(C)は、それぞれ本発明の実施の形態1,2,3に係る自立性袋の製造方法の途中を示す平面図である。
【図14】本発明に係る自立性袋の無菌充填工程を示す概念図である。
【図15】は本発明の実施の形態4に係る自立性袋の平面図である。
【符号の説明】
【0094】
P…自立性袋
1…内容物収納室
2…底襠室
3,9,10,11,12,13,14…ヒートシール部
4,5…密封用ヒートシール部
6…前パネル
6a,6b…前パネルの突出部分
7…後パネル
7a,7b…後パネルの突出部分
8…底襠パネル
8a,8b…ヒートシール材層
8c…非ヒートシール材層
16…前パネルの連続体
17…後パネルの連続体
18…底襠パネルの連続体
37…無菌チャンバー
42…注出具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物収納室と底襠(まち)室とを具備し、底襠室の拡開により自立可能となる自立性袋において、上記内容物収納室の開口部が所定の密封手段により密封され、上記底襠室の開放部が密封用ヒートシール部により密封されたことを特徴とする自立性袋。
【請求項2】
請求項1に記載の自立性袋において、前後パネルと、前後パネル間に山折り状に挿入される底襠パネルとを具備し、上記前後パネルの左右の側縁同士、上記前後パネルと上記底襠パネルの左右の側縁同士、及び上記前後パネルと上記底襠パネルの下縁同士がそれぞれヒートシール部で接合されることにより内容物収納室が形成され、上記山折りされた底襠パネルの左右の側縁及び下縁における開放部が上記密封用ヒートシール部でシールされることにより底襠室が形成されると共に密封され、上記密封手段が上記前後パネルの所定箇所に設けられたことを特徴とする自立性袋。
【請求項3】
請求項2に記載の自立性袋において、密封用ヒートシール部は、上記前後パネルと上記底襠パネルの下縁同士間のヒートシール部よりも小さい幅分で形成されたことを特徴とする自立性袋。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自立性袋において、上記密封された内容物収納室と底襠室の両室内が放射線の照射によりそれぞれ無菌状態とされたことを特徴とする自立性袋。
【請求項5】
請求項2に記載の自立性袋において、上記内容物収納室の開口部の密封手段が、上記前後パネル間をヒートシールすることにより形成されるヒートシール部であることを特徴とする自立性袋。
【請求項6】
請求項2に記載の自立性袋において、上記内容物収納室の開口部の密封手段が、上記前後パネル間に設けられた注出具であることを特徴とする自立性袋。
【請求項7】
請求項2又は請求項3に記載の自立性袋において、上記底襠室の開放部の密封用ヒートシール部が、上記底襠パネルの対向面上に塗工されたヒートシール材層により形成されたことを特徴とする自立性袋。
【請求項8】
請求項2又は請求項3に記載の自立性袋において、上記底襠室の開放部の密封用ヒートシール部が、上記前後パネル縁の上記底襠パネル縁を外側に越えた突出部分間をヒートシールすることにより形成されたことを特徴とする自立性袋。
【請求項9】
請求項2又は請求項3に記載の自立性袋において、上記底襠室の開放部の左右縁における密封用ヒートシール部が、上記底襠パネルの対向面上に塗工されたヒートシール材層により形成され、上記底襠室の開放部の底縁における密封用ヒートシール部が、上記前後パネル縁の上記底襠パネル縁を外側に越えた突出部分間のヒートシールにより形成されたことを特徴とする自立性袋。
【請求項10】
内面にヒートシール材層が設けられ、外面に非ヒートシール材層が設けられた前パネル及び後パネルの連続体間に、両面にヒートシール材層が設けられた底襠パネルの連続体を長さ方向の中心線上で山折りして挿入し、全連続体を重ね合わせる重畳工程と、重なり合った連続体を長さ方向に直角に所定の間隔でヒートシールする側縁ヒートシール工程と、前後パネルの連続体が重なり合った重畳縁をヒートシールする開口部ヒートシール工程と、前後パネルの連続体と底襠パネルの連続体とが重なり合った重畳縁において全連続体間をヒートシールする底部ヒートシール工程とを包含してなることを特徴とする自立性袋の製造方法。
【請求項11】
内面にヒートシール材層が設けられ、外面に非ヒートシール材層が設けられた前パネル及び後パネルの連続体間に、片面にヒートシール材層が設けられた底襠パネルを山折り面にヒートシール材層が来るように山折りした状態で、その縁が前後パネルの連続体の縁よりも内側に来るように前後パネルの連続体間に間欠的に挿入する重畳工程と、重なり合った連続体及び底襠パネルを連続体の長さ方向に直角に前後パネルの連続体と底襠パネルとの間及び前後パネルの連続体間をヒートシールする側縁ヒートシール工程と、前後パネルの連続体が重なり合った重畳縁をヒートシールする開口部ヒートシール工程と、前後パネルの連続体と底襠パネルとが重なり合った重畳縁において前後パネルの連続体と底襠パネルとの間及び底襠パネルの縁から食み出た前後パネルの連続体間をヒートシールする底部ヒートシール工程と、上記側縁ヒートシール工程でヒートシールした部分において連続体から自立性袋を切り離す切断工程とを包含してなることを特徴とする自立性袋の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の自立性袋の製造方法において、連続状の自立性袋又は連続体から切り離された自立性袋を放射線により殺菌する殺菌工程をさらに包含してなることを特徴とする自立性袋の製造方法。
【請求項13】
請求項10に記載の自立性袋の製造方法において、上記底襠パネルの連続体の谷折り面に設けられるヒートシール材層は、上記側縁ヒートシール工程及び底部ヒートシール工程でヒートシールする面に形成し、残りの面には非ヒートシール材層を同程度の厚さで形成しておくことを特徴とする自立性袋の製造方法。
【請求項14】
請求項10に記載の自立性袋の製造方法において、上記重畳工程では、底襠パネルの連続体を長さ方向の中心線上で山折りした状態で、その縁が前後パネルの連続体の縁よりも内側に来るように前後パネルの連続体間に挿入し、上記側縁ヒートシール工程では、上記底襠パネルの連続体における谷折り面のヒートシール材層をこの連続体の長さ方向に直角に伸びるように予め形成したうえで、このヒートシール材層の上でヒートシールし、上記底部ヒートシール工程では、上記底襠パネルの連続体の縁から食み出た前後パネルの連続体の縁間をヒートシールすることを特徴とする自立性袋の製造方法。
【請求項15】
内容物収納室と底襠室とを具備し、底襠室の拡開により自立可能となる自立性袋であって、上記内容物収納室の開口部が所定の密封手段により密封され、上記底襠室の開放部が密封用ヒートシール部により密封され、両室内が放射線の照射により無菌化された自立性袋を無菌チャンバー内に導入する工程と、無菌チャンバー内で自立性袋の外面を殺菌する工程と、無菌チャンバー内で上記開口部を開封する工程と、上記開口部から内容物を内容物収納室内に充填する工程と、上記開口部を再封する工程とを包含してなることを特徴とする無菌充填方法。
【請求項16】
請求項15に記載の無菌充填方法において、自立性袋の底縁を切除し底襠室を開放する工程を包含してなることを特徴とする無菌充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−13235(P2008−13235A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188526(P2006−188526)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】