説明

自立結合繊維構造を含む合体フィルタ要素

フィルタ要素はキャリア流体中に分散した液体チャレンジ物質を除去するために供給される。フィルタ要素は、互いに相隔たる接点で結合された複数の熱可塑性繊維を含んだ三次元、自立の、流体透過体を含む。繊維は集合的に、流体入口表面から流体出口表面まで流体透過体を通過する蛇行流体流路を規定する。熱可塑性繊維の少なくとも一部は、チャレンジ物質の表面張力よりも低い表面エネルギーを持った表面形成材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
この出願は2005年4月18日に出願された米国仮特許出願60/663,126に基づく優先権を主張し、これは参照によって全体的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
本発明は一般的にフィルター装置の分野に関し、より詳細には三次元、自立の結合繊維構造を含んだ油および/または水合体フィルター(coalescing filter)に関する。
【0003】
2004年、米国環境保護庁(EPA)は2007〜2010年で有効な、高および中馬力ディーゼルエンジン(クラス4以上、オンおよびオフロードでの利用)からの有毒粒子および汚染削減規制を発表した。この規制は炭素残渣(「煤」)のディーゼル放出を90%、ならびに窒素酸化物の放出を95%削減することを意図している。
【0004】
クランク室のブローバイガスは有毒粒子物質(PM)放出の主源と考えられている。昨今、北米において運転されている大抵の中または高馬力ディーゼルエンジンは燃焼性エアロゾルを配管を通じて大気中に排出している。放出されたブローバイ燃焼性エアロゾルは主に油滴と、いくらかの煤から成る。
【0005】
提案されているEPA規制を遵守するために、高馬力のエンジンおよび自動車の製造業者は放出を削減するいくつかのアプローチを考え出している。これらのアプローチは先進のエンジン設計、先進の統合放出制御技術および高品質燃料を含む。
【0006】
油合体フィルタの使用はエンジンの放出抑制のための1つの鍵となる要素である。種々の油合体フィルタが製造されている一方で、それらは性能を欠いているか、または高価すぎて問題の有効な解決策にはならないかのいずれかである。
【0007】
発明の要約
本発明の実施形態は、キャリア流体流から油、水および/またはその他の液体(「チャレンジ物質」)を除去するために使用され得る合体フィルタを提供する。本発明の一例の態様は、キャリア流体中に分散した液体チャレンジ物質を除去するフィルタ要素を提供する。フィルタ要素は互いに相隔たる接点で結合された複数の熱可塑性繊維を含んだ三次元、自立の、流体透過体を含む。繊維は集合的に、流体入口表面から流体出口表面まで流体透過体を通過する蛇行流体流路を規定する。熱可塑性繊維の少なくとも一部は、チャレンジ物質の表面張力より小さい表面エネルギーを持つ表面形成材料を含む。
【0008】
図の簡単な説明
本発明の理解を助けるために、ここで添付の図面への参照がなされ、類似の参照符号は類似の要素を指す。図面は例示的にすぎず、本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態は、キャリア流体流から油、水および/またはその他の液体(「チャレンジ物質」)を除去する合体フィルタを提供する。ここで議論された例は主にガス状流体流からの液体エアロゾル除去に関するが、本発明のフィルタの実施形態は、キャリア流体が液体である、および/またはチャレンジ物質が流の中に非エアロゾルの形態で存在する応用例における使用にも適合することが理解されるだろう。
【0010】
昨現在まで合体フィルタのアプローチは主に機械的な遠心分離機および種々の材料で形成されたパッシブフィルターから成っている。両方のアプローチは重大な欠点を持っている。機械分離は複雑で、高価であり分離機を駆動するパワーを必要とする。より重要なことは、厳しい効率の要求を満たさないことである。
【0011】
パッシブ油合体フィルタは、キャリア流体およびチャレンジ物質をチャレンジ物質液滴の通路を妨害するフィルタ媒体を通過させることによって機能する。典型的にフィルタ媒体を処理し、チャレンジ物質液滴が他の液滴と合体してより大きな液滴を形成し、キャリア流体から重力により分離されるだろう。液滴の密度が流体よりも大きければ(例えば、空気中の油液滴)、液滴はフィルタ要素の底部に沈む傾向があるだろう。液滴の密度が流体よりも小さければ(例えば、水中の油液滴)、液滴はフィルタ要素の上部に上がる傾向があるだろう。
【0012】
典型的にパッシブ油合体フィルタは、ポリエステルのような人工繊維を含む紙または不織シート材料から形成される。シート材料はしばしば化学処理または被覆され、疎油性および/または疎水性表面を呈する。シート材料は次にひだ付けされ、油合体装置として使用することができる形状を形成する。しばしば、ひだ付けフィルター材料は巻かれて円筒型フィルタ要素を形成する。
【0013】
典型的に、結果として生じたフィルタは性能に重大な問題を持っている。一般に、ひだ付け不織布は、保有する煤によって詰まってしまい(または結束)、要求される効率を満たすのは困難であって、ひだを通すために、ならびにアセンブリ化のために要求される追加の工程に起因して高価である。典型的な不織紙フィルタは、フィルタ効率が85%を下回り、予測寿命は500時間を下回る。
【0014】
従来技術のパッシブフィルタの性能を限定する最も重大な要因の1つは、合体する材料の液滴が利用できる表面積に固有の限界である。ひだ付けまたは特定の機能を増強した構造でさえ、これらタイプのフィルタ要素の性能は、上昇する除去基準を満たさないようである。
【0015】
本発明の実施形態は、チャレンジ物質が合体するための極めて大きな表面積を提供する自立の結合繊維を含んだフィルタ要素を提供する。大きな表面積は、与えられた多孔度ゆえに、従来のフィルタ媒体で達成することができたものよりも大きな空隙容量のフィルタ要素の設計を可能にする。この結果は、本発明のフィルタ要素が高い分離効率および長寿命を提供するということである。
【0016】
本発明の結合繊維構造は、典型的に熱可塑性繊維材料の網で形成された三次元多孔質要素である。結果として生じた材料は、種々の接点でお互いが結合された高分散の連続(例えば、フィラメント)および/または不連続(例えば、ステープル)の繊維の相互接続ネットワークから形成され、一連の非常に大きな表面積を持った蛇行流路を提供する。議論されるだろうが、与えられた繊維構造を形成し、全体に渡って画一の特徴を提供してもよく、もしくは異なる構造特性または材料特性を持つ別個の区域を形成してもよい。
【0017】
本発明の結合繊維構造の繊維材料をテーラリングして、表面エネルギーを液体エアロゾルまたはミストのような特定のチャレンジ物質の表面張力よりも低くしてもよい。これによりチャレンジ物質を、構造を通過する蛇行流路を規定する表面上で合体させる。図1で見られるように、チャレンジ物質液滴20は、結合繊維フィルタ要素100にキャリア流体10と共に上流もしくはフィルタ要素100のチャレンジ側面110を通って入る。フィルタ要素100を通過するために、流体10は結合繊維ネットワークを通る蛇行流路を通り抜けなければならない。チャレンジ物質の液滴20は、このネットワークを通る流体10に付いて行くことができない傾向があり、結果として蛇行流路を結合する繊維表面に衝突する。結合繊維のいくらかまたは全ての表面でこの材料をテーラリングすることによって、チャレンジ物質の液滴は玉になり、合体する。チャレンジ物質の比重がそのキャリア流体よりも大きい場合は、合体した液滴は最終的にフィルタ要素100の底から排出されるのに十分なほど重くなり、回収できるようになる(所望される場合は、リサイクルされる)。他方、チャレンジ物質の比重がそのキャリア流体よりも小さい場合は、合体した液滴はフィルタ要素100の上部に上がり、キャリア流体から分離することができるだろう。
【0018】
フィルタ要素100はモノリシックなブロック、シートまたはスラブとして形成されてもよい。それらを配列し、設置して、重力が働いて合体したチャレンジ物質を流れ方向に対して概ね直交する方向に引くようにしてもよい。しかしながら、本発明はこのような構造に限定されないことは理解されるだろう。例えば、重力がキャリア流体の流れ方向と真逆方向、または任意の方向に働くようにフィルタ要素100を配置してもよい。フィルタ要素100は長方形の断面で図示されたが、任意の規則的または不規則的な断面形状で形成してもよく、実質的に任意の厚さで形成してもよいことが理解されるだろう。
【0019】
本発明のフィルタ要素はモノリシック構造に限定されず、代わりに形状および構造における広範な変形例が提供されてもよい。図2〜4を参照して、例えば本発明のフィルタ要素200は、円筒型の中央穴220を持った環状の円筒体210として形成されてもよい。内側表面202と外側表面204の両方は円い円筒状の表面として示されているが、いずれの表面も非円状の断面(例えば、楕円状、多角形または不定形)で形成されてもよいことが理解されるだろう。いくつかの実施形態において、円筒状要素は複数の円筒穴を持つ。
【0020】
図3および図4に描写したフィルター要素200の断面図で示されるように、ろ過される流体は繊維構造を外向きに、放射状に通過するか(すなわち、内側表面202から外側表面204に向かって)、または内向きに、放射状に通過してもよい(すなわち、外側表面204から内側表面202に向かって)。
【0021】
結合繊維フィルタが構造全体に渡って実施的に同じ特性を持つように本発明の実施形態による結合繊維フィルタ要素を形成してもよい。しかしながらいくつかの結合繊維フィルタ要素は、異なる特性を持った異なる区域で形成されてもよい。例えば、各々の区域が異なる繊維材料、または密度および多孔度のような異なる構造特性で形成されてもよい。異なる区域が異なる繊維表面のエネルギー特性で形成されてもよい。このような異方性結合繊維構造の形成は、例えば2006年1月17日に出願され、参照によって全体的に本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許出願11/333,499に記載されている方法を用いて達成されてもよい。
【0022】
図5は、3つの別個の領域310、320、330を持つ結合繊維として形成される例示的な異方性フィルタ要素330を描写する。第1の区域310は流体入口表面302を提供し、これを通ってチャレンジ物質を含有するキャリア流体がフィルタ要素300内に流入する。第3の区域330は流体出口表面304を提供し、これを通ってろ過されたキャリア流体が流出する。第2の区域320は、区域310と330の間に配置される。区域310、320、330の異方性フィルタ要素300を構築し、一連の異なるろ過体および/または材料合体特性を与えてもよい。したがって、各々の区域は密度、多孔度、表面積、空隙容量および繊維材料特性の特有の組み合わせを持ってもよい。
【0023】
例えばいくつかの実施形態において、フィルタ要素の多孔度が入口表面302から出口表面304への流体通過を減じるように3つの区画310、320、330のような構造をテーラリングしてもよい。これは第1の区域310を第1の平均孔サイズで形成し、第2の区域320を第1のサイズより小さい第2の平均孔サイズで形成し、第3の区域を第2のサイズより小さい第3の平均孔サイズで形成することによって達成されてもよい。結果は、特に効果的な深さのフィルタ要素となる。
【0024】
多孔度のバリエーションに加えて、またはそれに代わって、3つの区域310、320、330は異なる繊維材料特性を持ってもよい。いくつかの特定の実施形態において、各々の区域の繊維構造をテーラリングして異なる表面エネルギー特性を持たせても(またはテーラリングされた材料を含んでも)よく、各々の区域に異なる材料合体特性を持たせてもよい。
【0025】
異方性フィルタ要素300は3つの領域で示されるが、このようなフィルタ要素が任意の数の区域で形成されてもよいことは理解されるだろう。これはフィルタ要素の特性を広範な特性の要求にテーラリングする余地を提供する。例えば特定の応用において、フィルタ要素を多数の区域で形成し、フィルタ要素を通じて複雑な多孔度の勾配を提供してもよい。
【0026】
先述した単一の区域のフィルタのように、本発明の異方性フィルタ要素を広範な形状および配置で構成してもよい。例えば図6は本発明の実施形態による円筒型フィルター要素400を描写し、それは異なる繊維、構造およびその他の特性を持った2つの断面区域410、420を持つ結合繊維構造を含む。例えば、内側繊維構造420は密度、多孔度、表面積および空隙容量の第1の組み合わせを提供する構造を持つが、外側の繊維構造410は密度、多孔度、表面積および空隙容量の第2の組み合わせを提供する。他の例において、この区域における繊維ネットワークの表面に或る表面エネルギーを持たせるように内側の繊維構造を適合させる一方で、この区域における表面積に第2の表面エネルギーを持たせるように外側の繊維構造を適合させてもよい。
【0027】
再度、このようなフィルタ要素が任意の数の区域で形成されてもよいことは理解されるだろう。本発明の結合繊維構造の繊維ネットワークは、押出し繊維、単一成分繊維、二成分繊維、溶融延伸繊維、湿式紡績繊維、乾式紡績繊維、結合繊維、およびこの種のものを含むあらゆる種々の繊維タイプから形成されてもよい。繊維の組み合わせは任意の熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料を含み、これは、限定されないが、酢酸セルロース、他の酢酸エステルおよびセルロースのエステル、バージンセルロースまたは再生セルロース、例えばナイロン6およびナイロン66を含むナイロンのようなポリアミド;例えばポリエチレンおよびポリプロピレンのようなポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートを含むポリエステル;塩化ポリビニル;エチレンメタクリル酸、エチレンアクリル酸、エチレン酢酸ビニルまたはエチレンメチルアクリレートのポリマー;ポリスチレン;ポリスルホン;硫化ポリフェニレン;ポリアセタール;アクリルおよびポリエチレングリコールのブロックを含むポリマー;ならびにコポリマーおよび先行する物の全ての誘導体を含む。
【0028】
繊維ネットワークは、ガラスまたはセラミックで形成される無機繊維から形成されても、それを含有してもよい。特定の実施形態において、繊維ネットワークは無機繊維材料に変化をつける結合性有機繊維材料の組み合わせから形成されてもよい。
【0029】
繊維ネットワークは単一の繊維タイプから(すなわち、全ての繊維が実質的に同じ成分構造および材料を含む)、または異なるタイプ、材料および/または配置の繊維の組み合わせから形成されてもよい。例えば繊維ネットワークは、参照によって全体的に本明細書に組み込まれる米国特許6,103,181に記載されているような2つのモードがある網)から形成されてもよい。いくつかの実施形態において、繊維ネットワークは、いくつらの繊維が或るチャレンジ物質を合体させるようにテーラリングされた表面と、テーラリングされていない他の繊維とを持つ組み合わせから形成されてもよい。いくつかの実施形態において、繊維のいくらかは或るチャレンジ物質のためにテーラリングされてもよいが、他の繊維はその他のためにテーラリングされる。
【0030】
特定のフィルタ製品に使用される繊維の成分は、その意図された使用に基づいて選択されてもよい。例えば、油合体の応用のために、あるものは典型的に、油、炭化水素、または典型的に自働推進または輸送の応用において使用される流体によって化学的に侵されない繊維システムを使用するであろう。このような応用に適合する例示的な繊維は(限定されないが)、酢酸セルロース、ポリエステル、ナイロン、および高結晶性ポリプロピレンを含む。
【0031】
本発明のフィルタ要素を形成する繊維は単一成分または多成分繊維である。ここで用いた用語「多成分」は、全体に異なる特性および/または異なる化学性質を持ったポリマー材料から形成される2つ以上の別個の成分を持つ繊維を言う。二成分繊維は2つの別個のポリマー成分を持った多成分繊維である。完全に形成された多成分繊維のポリマー成分は、押出しまたは紡績された後に繊維に粘着するかもしれない被膜および材料層と区別できることは、当業者に理解されるだろう。
【0032】
本発明の特定の実施形態において、繊維ネットワークは、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらのコポリマー、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)またはそれらのコポリマーを含む)、ナイロン6(または他のポリアミド)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、イオノマー、および種々の他のポリマー等のシースを持つ、シース−コア多成分繊維を含んでもよい。これらの繊維のコアは、(限定されないが)、PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン、ナイロン6、またはナイロン66を含んだ結晶性または半結晶性ポリマーを含んでいてもよい。議論されるように、繊維シースは繊維の表面エネルギーをテーラリングする特定の材料(例えば、化学蛍光材料)を含んでいてもよい。
【0033】
任意の先述した繊維材料を使用して、本発明の種々の実施形態による合体フィルタ要素として使用されうる結合繊維構造を形成してもよい。これらの結合繊維構造は、使用される繊維の性質および形状、ならびに最終構造の所望の特性に依存した任意の、種々の形成手段を使用して形成してもよい。形成工程に導入される繊維材料は、個々のフィラメントがバンドル化した形状、トウ、練紡、網または軽微に結合した織布の形状でもよい。繊維を機械的にクリンプ化させてもよく、または積み重ねて、連続形成工程の間に自己クリンプが誘起されるようにしてもよい(例えば繊維が伸び、次に緩和することによって)。繊維は溶融延伸繊維でもよく、紡糸結合工程によって形成されてもよい。
【0034】
特定の実施形態において、本発明の実施形態によるフィルタ要素を形成するために使用される繊維は、
・繊維ネットワークの絡みおよび不均質性を強化するための形成に先立ってクリンプ化されてもよいバンドル化された個々の多成分フィラメント、
・シース/コア配置は中心がずれており(それによってそれらを自己クリンプ化させる)、形成に先立って伸ばされて、および/または緩和されてクリンプを誘起してもよいバンドル化された別個のシース/コアの二成分フィラメント、
・形成に先立ってクリンプ化されてもよい多成分繊維のトウ、
・形成に先立ってクリンプ化され、可塑剤で処理されてもよい単一成分繊維のトウ、
・練紡または軽微に結合した不織布に加工されてもよい多成分ステープル繊維、
・形成に先立って可塑剤で処理され、練紡または軽微に結合した不織布に加工されてもよい単一成分のステープル繊維、
・溶融紡績または溶融延伸多成分繊維の網、
・溶融延伸繊維の2つのモードがある網
等の形状で提供されてもよい。
【0035】
上記した繊維材料を、いくつかの任意の連続結合工程を使用した結合繊維構造に形成してもよい。バンドル化繊維成分を含む繊維材料の使用のための典型的な形成工程は、繊維材料に加熱領域を通過させて、結合性材料を軟化または溶融させる延伸を含む。加熱領域は、繊維材料を所望の温度まで、典型的に少なくとも1つの繊維成分の溶融または軟化温度を超過し、お互いの接点にて繊維の結合を容易にする温度まで加熱するための、任意の、種々の機構を含んでもよい。加熱領域の加熱機構は、例えば輻射加熱、加熱空気、または流のソースを含んでもよい。加熱機構はオーブン、またはいくつかの実施形態においては、加熱機構として働くだけでなく繊維材料を強いて予め設定された断面を採用させる加熱ダイを含んでもよい。一旦結合が形成されると、繊維材料は冷却領域を通過し、過熱領域で形成された結合を固定し、それによって自立結合繊維構造を作ってもよい。
【0036】
参照によって全体的に本明細書に組み込まれる米国特許5,620,641;5,633,082;6,103,181;6,330,833および6,840,692に記載されたように、先述の方法を使用して形成された結合繊維の構造を種々のサイズおよび形状で製造することができる。一般にこれは、形状が比較的複雑な場合でさえ、繊維要素の最終断面形状は形成工程の直接のアウトプットとして達成することができることを意味する。さらなる加工および切断(長さの切断以外)を要しない。
【0037】
本発明の結合繊維構造のいくつかは、可塑剤を添加した結合工程(例えば、参照によって全体的に本明細書に組み込まれる米国特許3,533,416;3,599,646;3,367,447;および3,703,429で開示されたような)を使用して形成してもよい。この工程は、可塑剤で処理する場合は、空気圧で形成ダイに衝突させられ、次にスチームで処理されて多孔、三次元、自立の、結合繊維構造を形成する繊維のトウ(例えば酢酸セルロースまたはナイロン)を適用する。
【0038】
同時係属中の米国特許出願11/333,499に記載されたように、上記の製造工程の変形例を使用して、異なる構造または繊維材料特性の断面区域を持つ異方性フィルタ要素を作ってもよい。
【0039】
上記の製造工程は、流体透過性、自立性、結合繊維構造を作る。これらの構造は、構造を通じて集合的に蛇行流路を形成する結合繊維の、高度に複雑なネットワークを持つ。これらの蛇行流路を囲む繊維の多重性は、チャレンジ物質液滴が衝突する大きな表面積を提供する。この表面積のいくらかまたは全ての表面エネルギーをテーラリングして、チャレンジ物質液滴をはじくようにしてもよい。これは液滴を玉状にし、合体させてより大きな液滴を形成させる。
【0040】
繊維表面の表面エネルギーは、露出した表面を被覆するための材料で最終繊維構造を処理することを含むいくつかの方法でテーラリングすることができ、結合構造の形成に先立って構成繊維を処理するか、または所望の表面エネルギーを与える材料を使用して構成繊維を形成する。テーラリングされた表面を、油、水およびその他大抵の溶媒をはじくように適合させてもよい。
【0041】
意図的な表面エネルギーのテーラリングが無くとも、標準的な結合繊維構造材料の表面エネルギーは、除去されるチャレンジ物質の表面張力より高いであろうことが理解されるだろう。例えば、通常の結合繊維構造要素の表面エネルギーは典型的に30dyne/cmまたはこれより大きい。30dyne/cmまたはこれを下回る表面張力を持つ単炭化水素ベースの油または他のチャレンジ物質が繊維要素に接触する場合、チャレンジ物質は繊維構造を「濡らす傾向があり、それによりチャレンジ物質が容易に構造の内側に貫通するようになる。
【0042】
本発明のフィルタ要素において、この問題は結合繊維構造のフィルタ要素のいくらかまたは全ての表面をテーラリングすることによって回避することができるので、それらの表面エネルギーはキャリア流体から除去されるチャレンジ物質の表面張力よりも低くなるだろう。例えば油合体フィルタ要素において、結合繊維成分は構造を通る流路が低い表面エネルギーの材料で少なくとも部分的に囲まれるように繊維を適合させることによってより疎油性(油をはじく)に作ってもよい。。これはいくつかの方法で達成されるだろう。第1に表面エネルギー構造は、少なくとも部分的には低い表面エネルギーの材料で構成繊維を形成することによって作られる。多成分繊維において、これは少なくとも1つの繊維成分を低い表面エネルギーの材料、例えば熱可塑性フッ素ポリマーでら形成することによって達成しててもよい。代替案として、添加剤を、繊維の1つ以上の成分を形成するために使用されるポリマーに混合してもよい。シース−コア繊維において、低い表面エネルギーの材料を使用してシース成分を形成してもよい。並行多成分繊維において、繊維成分のいくらかまたは全てがこのような材料を含んでいてもよい。
【0043】
低い表面エネルギーの繊維を形成する代わりに、既に形成された繊維成分を引き続いて低い表面エネルギーの材料で被覆してもよい。この被覆を結合繊維構造の形成に先立って繊維に適用してもよく、結合構造の形成の間、またはその後に適用してもよい。
【0044】
これらのテーラリングの方法論を、今度はより詳細に記述する。以下の記述は油合体フィルタに向けられた例を使ったが、記述された方法は他の応用にも適用できることが理解されるだろう。一般に油合体フィルタのための繊維構造のテーラリングは、繊維構造をより疎油性にすることを必要とする。これは、油よりも低い表面エネルギーであるフルオロケミカルまたはその他の化学物質の適用を通じて達成されるだろう。フルオロケミカルまたはその他の化学物質は典型的に12〜20dyne/cmの範囲内の表面エネルギーを持つ。典型的に20〜26dyne/cmの表面エネルギーを持つケイ素ポリマーが使用されてもよい。
【0045】
先述したように、フルオロケミカル(および他の化学物質)は、いくつかの方法に導入されるか、または応用されてもよい。いくつかの実施形態において、完全に形成された結合繊維フィルタ材料をフルオロケミカル仕上げまたは被覆で処理してもよい。好適なフルオロケミカルは、DuPont(登録商標)、Diakin Americas(登録商標)、およびその他の供給業者によって製造されるフッ化アクリレートコポリマー、過フッ化アクリレートコポリマー、フッ化アルキルアクリレートコポリマー、フッ化アルキルメタクリレートコポリマー、フッ化アルキルアルコール、フッ化アルキルエステル、フッ素置換オレフィンコポリマーを含んでいてもよい。典型的にこれらの材料は、水ベースのエマルジョンとして提供される。結合繊維フィルタ要素をフルオロケミカルで処理してもよく、浸漬またはスプレーのいずれによっても、フィルタ要素全体は液体で飽和される。次にフィルタを脱水し(例えば、遠心分離によって)、次にオーブンで乾燥し、残存するあらゆる水分を除き、フルオロケミカルの残渣を繊維構造上に残してもよい。次にフィルタを100〜170℃の温度で約5〜25分間加熱し、残存するフルオロケミカルが一様に繊維表面を被覆するようにし、耐久性のある疎油性のフィルムを形成してもよい。先述した本発明の結合繊維要素の形成後の処理は、先述の連続形成工程の一部として達成されるか、または独立の工程で達成されてもよいことは、当業者によって理解されるだろう。形成後のアプローチは、完全な結合繊維構造の全体に渡ってフルオロケミカル被膜を形成することになるであろうこともまた理解されるだろう。
【0046】
形成後の処理の代替案として、結合繊維構造を作るために使用ざれるいくらかまたは全ての繊維は、それらが成形され結合されて三次元フィルタ要素を形成する前に、フルオロケミカル仕上げで処理されてもよい。これは、それらを形成工程に導入する前に、繊維材料を例えば、網またはトウの形状で浸漬またはスプレーすることによって達成されてもよい。フルオロケミカルは、形成工程に導入される前に乾燥され、硬化されて、繊維表面に被膜を形成する。代替的に、エマルジョンで被覆された繊維を、フルオロケミカル仕上げを硬化させずに形成工程に導入してもよい。この場合、フルオロケミカル被膜を、繊維がフィルタ要素に形成された後に硬化させてもよい。
【0047】
形成に先立った繊維材料の処理は、処理装置がいくつかの繊維材料を処理できるようにする一方で、他の材料を未処理のままにしておくか、または異なる繊維材料に異なる処理を適用できることがわかるだろう。これにより最終結合繊維構造の合体特性をテーラリングすることができるようになる。これは、いくらかの繊維区域を処理して所望の合体特性を持たせる一方で他の区域を処理して異なる特性を持たせるか、または未処理のままにしておく異方性フィルタ要素の場合には特に意義があるだろう。
【0048】
結合繊維構造の合体特性をテーラリングすることのできる他のアプローチは、添加剤を結合繊維構造を形成するために使用される1つ以上の繊維の構成ポリマーに導入することである。このような添加剤を、繊維が紡糸される前に表面成分ポリマーに混合してもよい。例えば、フルオロケミカルベースの添加剤をポリエステルに混合し、単一成分繊維またはシース−コアの多成分繊維のシース成分を形成してもよい。結合繊維構造を形成するための特定の繊維網は、これらの材料単独で、または他の繊維と組み合わせて(例えば、2つのモードがある繊維網)使用してもよい。それゆえに結果として生じる結合繊維構造は、添加材料によってテーラリングされた表面エネルギーを持つ繊維を含むだろう。例えば、フルオロケミカルを含んだ表面形成繊維成分(すなわち、最外面)を含む結合繊維構造は疎油性の表面特性を示すだろう。
【0049】
類似のテーラリングアプローチにおいて、構成繊維を、固有の特定の表面エネルギーを提供するベースの熱可塑性ポリマーから形成される表面形成成分で形成してもよい。例えば多成分繊維を、熱可塑性フッ化ポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−塩化三フッ化エチレンコポリマー、ポリ塩化三フッ化エチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、過フッ化アルコキシポリマー、テトラフルオロエチレンと過フッ化メチルビニルエーテルのコポリマー、テトラフルオロエチレンと過フッ化アルキルビニルエステルのコポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとエチレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとトリフルオロエチレンのターポリマー、ポリトリフルオロエチレン、およびポリヘキサフルオロプロピレンを含む少なくとも1つの成分で形成してもよい。特定の実施形態において結合繊維構造を、シースが熱可塑性フッ素化ポリマーから形成されるシース−コアの二成分繊維から形成してもよい。
【0050】
構成繊維のテーラリングまたは表面形成成分の選択により、結合繊維構造、特に異方性構造の異なる区域の合体特性をテーラリングできるようになる。このような構造のいくらかの区域は、テーラリングされた表面形成成分を持つ一方で他はテーラリングされていない繊維を含んでもよいことがわかるだろう。加えて、異なる結合繊維構造の区域は、異なる材料でテーラリングされた表面形成成分を持つ繊維を含んでいてもよい。
【0051】
先述した各々の実施形態において、最終の結合繊維構造は、予め決定された表面エネルギーを与えるために選択またはテーラリングされた表面形成材料を少なくとも部分的に持つ繊維を含むことが理解されるだろう。いくつかの実施形態において表面形成材料は、結合または非結合のいずれかの形態で繊維に適用された被膜である。他の実施形態において、表面形成材料は繊維自身の完全に形成された成分に包含される。
【0052】
上記の例は主に油合体材料に関するが、記述された実施形態は例えばフルオロケミカルをケイ素ベース材料に取り替えることによって、水(またはその他の溶媒)合体フィルタに適用してもよいことが理解されるだろう。典型的に、ケイ素被膜は20〜26dyne/cmの範囲の表面エネルギーを持ち、水およびより極性のある液体を合体させるが、油または炭化水素を合体させる程には低くはないだろう。本発明による水合体フィルタ要素を使用して、例えばオイルエアロゾル、燃料−水混合物、天然ガスなどから水を除いてもよい。
【0053】

本発明の実施形態による例示的なフィルタ要素は酢酸セルロース繊維を使用して作られた。これらのフィルタ要素は1.6dpfの酢酸セルロース繊維を含んだ1つ以上のトウリボンを使用して作られた。2つのリボンを供給ロールと延伸ロールとの間で1.2〜2の比率で延伸した。延伸区画において、繊維が後の工程でより一体的に結合されるようにトウ繊維を分離し、クリンプ化した。延伸後、10%(重量%対繊維の重量)のトリアセチン可塑剤をディッピングおよびスプレー手法を介してクリンプ化繊維に適用した。次に繊維を、それらが軟化されお互いの接点で結合され、連続の三次元結合繊維構造を形成する形成領域に送った。次にこの結合構造を指定されたフィルタ要素の長さに切断した。
【0054】
次にいくらかの切断フィルタ要素を、4重量%のRepearl F−7005(フッ化アクリレートコポリマーのエマルジョン)とともに0.8重量%のRepearl MF(架橋試薬)(両者ともにMitsubishi(MIC)Specialty Chemicalsから提供される)に室温で約15分間浸漬することによって処理した。対流オーブン内で60℃にて一晩乾燥させた後、フィルタを対流オーブン内で160℃にて約10分間硬化させた。結合繊維構造全体に渡って完全な繊維被膜が達成されていることを保証するために、処理したフィルタのいくつかを分析した。フィルタ要素の最終的な多孔度(すなわち、全体積に対する空隙容量)は80〜92%であった。処理されたフィルタは120〜140℃で熱的に安定であり、オイルミストと化学的に適合する。
【0055】
フルオロケミカル処理フィルタは、オイルミストの保持効率および容量についてCompressed Air and Gas Institude(CAGI)ADF400に関連した方法を用いてInterBasic Resource Inc(Grass Lake MI)で試験された。フィルタは、室温下で5SCFMの流速で、エアロゾル形態中のSAE15−40オイルと、予め決定された飽和点に到達するまで衝突させられた。先述した多孔度の範囲のフィルタ要素は99%を上回る合体効率を示した。
【0056】
図7はフルオロケミカル仕上げで処理される前およびされた後の、先述した結合酢酸セルロースフィルタ要素の疎油性を描写する。左側の結合フィルタ要素は未処理のままだが、右側の結合フィルタ要素は先述したように処理された。未処理の繊維構造は図中に見られる油よりも高い表面エネルギーを持っていた。結果として、油滴がその材料に適用された場合、油は直ちにフィルタ上に広がった。逆に、処理された繊維構造は油よりも低い表面エネルギーを持つので、油はフィルタ繊維からはじかれた。
【0057】
表1は、未処理および処理されたフィルタ材料と油の接触角を示す。一般に、90°よりも大きい接触角は、試料液体は固体基質を濡らさないことを示す。
【表1】

【0058】
図8は、エンジンオイルおよび鉱物オイルに暴露された後の先述したフッ素処理をしたフィルタ要素が油をはじく程度を描写する。このような環境に100時間を超えて暴露させた後、右側のフィルタ要素試料を広範囲に渡ってヘキサンで洗浄し、油残渣を除去した。左側のフィルタ要素は油環境に暴露されていないが、同様にヘキサンで洗浄した。次に同一の油滴を2つの試料上に配置した。図8に示すように、暴露および非暴露試料は同一の別個の液滴によって証拠付けられるように、同じ濡れ耐性を示した。
【0059】
図9および図10は、繊維特性上での油の暴露効果を示す。図9は油に暴露されていないコントロールの結合繊維フィルタ要素における繊維の写真である。図10は油に100時間を超えて暴露された結合繊維フィルタ要素における繊維の写真である。両方のフィルタは酢酸セルロース繊維から形成され、先述のようにフルオロケミカル処理された。2つの写真の比較は、油に暴露された繊維の繊維変成、隆起または縮みの形跡がないことを示している。
【0060】
本発明は広範な実用および応用が可能なことは、当業者に明らかであろう。種々の修飾および変形が、本発明の範囲または精神から離れない本発明の実施形態の方法、製造、構成、および/または使用においてなされ得る。それゆえに、この開示は本発明の限定を意図したものでも、そのように解釈されることを意図したものでもなく、あらゆる他の実施形態、脚色物、変形例、修正品および均等構成を除外するものでもないことが理解されるだろう。本発明はここで提示した請求項によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は本発明の実施形態によるチャレンジ物質合体フィルタの透視図である。
【図2】図2は本発明の実施形態による円筒型チャレンジ物質合体フィルタの透視図である。
【図3】図3は本発明の実施形態による円筒型チャレンジ物質合体フィルタの断面図である。
【図4】図4は本発明の実施形態による円筒型チャレンジ物質合体フィルタの断面図である。
【図5】図5は本発明の実施形態による異方性チャレンジ物質合体フィルタの断面図である。
【図6】図6は本発明の実施形態による円筒型異方性チャレンジ物質合体フィルタの断面図である。
【図7】図7はフルオロケミカル処理および未処理の結合繊維構造の写真である。
【図8】図8はフルオロケミカル処理および未処理の結合繊維構造の写真である。
【図9】図9は個々のフルオロケミカル処理繊維の写真である。
【図10】図10は長時間油に暴露された後の個々のフルオロケミカル処理繊維の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア流体中に分散した液体チャレンジ物質を除去するフィルタ要素であって、
互いに相隔たる接点で結合された複数の熱可塑性繊維を含んだ三次元、自立の、流体透過体を含み、前記繊維は集合的に流体入口表面から流体出口表面まで流体透過体を通過する蛇行流路を規定し、
熱可塑性繊維の少なくとも一部はチャレンジ物質の表面張力より小さい表面エネルギーを持った表面形成材料を含むフィルタ要素。
【請求項2】
請求項1によるフィルタ要素であって、表面形成材料がフルオロケミカルを含むフィルタ要素。
【請求項3】
請求項2によるフィルタ要素であって、フルオロケミカルはフッ化アクリレートコポリマー類、過フッ化アクリレートコポリマー、フッ化アルキルアクリレートコポリマー類、フッ化アルキルメタクリレートコポリマー、フッ化アルキルアルコール、フッ化アルキルエステル、フッ素置換オレフィンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、エチレン塩化三フッ化エチレンコポリマー、ポリ塩化三フッ化エチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、過フッ化アルコキシポリマー、テトラフルオロエチレンと過フッ化メチルビニルエーテルのコポリマー、テトラフルオロエチレンと過フッ化アルキルビニルエステルのコポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとエチレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとトリフルオロエチレンのターポリマー、ポリトリフルオロエチレン、およびポリヘキサフルオロプロピレンからなる組のうちの1つを含むフィルタ要素。
【請求項4】
請求項1によるフィルタ要素であって、表面形成材料は熱可塑性繊維に接着された被膜であるフィルタ要素。
【請求項5】
請求項1によるフィルタ要素であって、表面形成材料が熱可塑性繊維の少なくとも一部の各々の繊維の一体的な成分であるフィルタ要素。
【請求項6】
請求項1によるフィルタ要素であって、熱可塑性繊維の少なくとも一部が、表面形成材料から形成されたシースを持ったシース−コア多成分繊維を含むフィルタ要素。
【請求項7】
請求項1によるフィルタ要素であって、流体透過体は外側円筒表面によって接続された第1と第2の円筒端を持つ円筒であり、第1の円筒端から第2の円筒端までの円筒を通る円筒環を持ち、円筒環が内側円筒表面を規定するフィルタ要素。
【請求項8】
請求項7によるフィルタ要素であって、内側および外側の円筒表面の一方は流体入口表面を形成し、内側および外側の円筒表面の他方は流体出口表面を形成するフィルタ要素。
【請求項9】
請求項1によるフィルタ要素であって、流体透過体は流体入口表面を規定する第1の側と、流体出口表面を規定する第2の側とを持つモノリシックなブロックであるフィルタ要素。
【請求項10】
請求項1によるフィルタ要素であって、流体透過体は複数の結合繊維区域を含み、少なくとも2つの結合繊維区域が異なる多孔度を持つフィルタ要素。
【請求項11】
請求項1によるフィルタ要素であって、流体透過体は複数の結合繊維区域を含み、各々が異なる多孔度を持つフィルタ要素。
【請求項12】
請求項1によるフィルタ要素であって、流体透過体はチャレンジ物質の表面張力より低い第1の表面エネルギーを持った第1の表面形成材料を持つ第1の結合繊維区域と、チャレンジ物質の表面張力より低い第2の表面エネルギーを持った第2の表面形成材料を持つ第2の結合繊維区域とを含み、第1の表面エネルギーが第2の表面エネルギーと異なるフィルタ要素。
【請求項13】
キャリア流体中に分散した油ベースのチャレンジ物質を除去するフィルタ要素であって、
互いに相隔たる接点で結合された複数の熱可塑性繊維を含んだ三次元、自立の、流体透過体を含み、前記繊維は集合的に流体入口表面から流体出口表面まで流体透過体を通過する蛇行流路を規定し、
熱可塑性繊維の少なくとも一部はチャレンジ物質の表面張力より小さい表面エネルギーを持った被膜材料で被覆されているフィルタ要素。
【請求項14】
請求項13によるフィルタ要素であって、被膜材料はフッ化アクリレートコポリマー、過フッ化アクリレートコポリマー、フッ化アルキルアクリレートコポリマー、フッ化アルキルメタクリレートコポリマー、フッ化アルキルアルコール、フッ化アルキルエステル、フッ素置換オレフィンコポリマーからなる組のうちの1つを含むフィルタ要素。
【請求項15】
請求項13によるフィルタ要素であって、流体透過体は外側円筒表面によって接続された第1と第2の円筒端を持つ円筒であり、第1の円筒端から第2の円筒端までの円筒を通る円筒環を持ち、円筒環は内側円筒表面を規定するフィルタ要素。
【請求項16】
請求項15によるフィルタ要素であって、内側および外側の円筒表面の一方は流体入口表面を形成し、内側および外側の円筒表面の他方は流体出口表面を形成するフィルタ要素。
【請求項17】
請求項13によるフィルタ要素であって、流体透過体は流体入口表面を規定する第1の側と、流体出口表面を規定する第2の側とを持つモノリシックなブロックであるフィルタ要素。
【請求項18】
請求項13によるフィルタ要素であって、流体透過体は複数の結合繊維区域を含み、少なくとも2つの結合繊維区域が異なる多孔度を持つフィルタ要素。
【請求項19】
請求項13によるフィルタ要素であって、流体透過体は複数の結合繊維区域を含み、各々が異なる多孔度を持つフィルタ要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−536017(P2008−536017A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502047(P2008−502047)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/009542
【国際公開番号】WO2006/101992
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507310341)フィルトロナ・リッチモンド・インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】