説明

自転車用電子サーボ支援型変速装置および方法

【課題】あらゆる対のスプロケット間の上下変速を最適に行える電子サーボ支援型変速装置を提供する。
【解決手段】変速部における第1スプロケットからそれに隣接する第2スプロケットへの自転車用変速装置のチェーンの移動を要求する信号を受信するステップと、前記第1スプロケットの直径が前記第2スプロケットの直径よりも小さい場合に、前記第2スプロケットに対する上段変速位置を得るステップと、前記第1スプロケットの直径が前記第2スプロケットの直径よりも大きい場合に、前記第2スプロケットに対する下段変速位置を得るステップと、前記チェーンのガイドエレメントを、前記変速部の軸方向において、前記第1スプロケットから、前記第2スプロケットに対する上段変速位置または下段変速位置へ移動させるように前記変速部のアクチュエータ16、17を駆動するステップとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用電子サーボ支援型変速装置、自転車用変速装置をサーボ支援する方法、ならびに、その方法を実行する手段を有するプログラムおよび電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車用電子サーボ支援型変速装置は、一般に下記の要素で構成される。
【0003】
自転車の後輪のハブに設けられている少なくとも二つのスプロケットまたは歯車を有する変速部の軸方向において、第1方向(例えば、小径スプロケットから大径スプロケットへの方向または上段変速(upwards gear-shifting )方向)、またはその第1方向とは反対の第2方向(例えば、大径スプロケットから小径スプロケットへの方向または下段変速(downwards gear-shifting )方向)に、チェーンをチェーンガイドエレメント(以下、単にガイドエレメントという)を介して移動させる、モータを有する後側アクチュエータ。この場合、スプロケットまたは歯車は、ピニオンとも呼ばれ、ガイドエレメントは、後側ディレイラー(後側外装変速機)または単にギアシフトとも呼ばれる。
【0004】
ペダル・クランク軸に設けられている少なくとも二つのスプロケットまたは歯車を有する変速部の軸方向において、第1方向(例えば、小径スプロケットから大径スプロケットへの方向または上段変速(upwards gear-shifting )方向)、またはその第1方向とは反対の第2方向(例えば、大径スプロケットから小径スプロケットへの方向または下段変速(downwards gear-shifting )方向)に、チェーンをガイドエレメントを介して移動させる、モータを有する前側アクチュエータ。この場合、スプロケットまたは歯車は、クラウンまたはギアとも呼ばれ、ガイドエレメントは、前側ディレイラー(前側外装変速機)または単にディレイラーとも呼ばれる。
【0005】
各変速部における第1スプロケットからそれに隣接する第2スプロケットへのチェーンの移動を要求する信号を発生する、例えば自転車のハンドルの両把持部に設けたレバーのような手段。
【0006】
後側アクチュエータと前側アクチュエータとに接続され、通常走行動作モード(normal ride operating mode)、すなわち、変速が乗り手(rider )による手動で制御されるか、または、電子制御装置により半自動的または自動的に制御されるモード)では、チェーン移動要求信号を受信して、種々のスプロケットの物理的位置を表す論理位置(「論理値」)に基づいて、各変速部において第1スプロケットから第2スプロケットへチェーンを移動させるように、チェーン移動要求信号に応じて、後側または前側アクチュエータを駆動する電子制御装置。
【0007】
所望の位置に達するとアクチュエータを停止させるように、アクチュエータひいてはガイドエレメントの位置を検出して、その位置を電子制御装置に知らせる後側検出器および前側検出器。
【0008】
このような構成の自転車用電子サーボ支援型変速装置については、例えば、特許文献1〜6に開示されている。
【0009】
特に、特許文献4には、位置検出器が絶対型で、(前側および後側の)ディレイラーの絶対位置に対応する電気信号を出力し、ディレイラーを(再び)切り替えた後に、例えば自転車の走行に伴う振動によりわずかに移動する分も含めて、ディレイラーの実際の位置をこの検出器が検出する変速装置が開示されている。
【0010】
しかしながら、通常走行動作モードにおいて、第1スプロケットからそれに隣接する第2スプロケットへの変速を支援するためには、ガイドエレメント(ギアシフトまたはディレイラーのガイドエレメント)を第2スプロケットへ移動させるだけでは十分でないことが判明した。現に、ガイドエレメントと、チェーンが係合すべき第2スプロケットとの間には距離があり、また、変速時にはチェーンが傾斜していることから、チェーンを第2スプロケットに係合させるにはそのように移動させるだけでは十分とはいえない。
【0011】
変速、特に上段への変速が達成されるためには、後側アクチュエータまたは前側アクチュエータは、一般に、第2スプロケットに対応する位置を超えて移動しなければならない。ところが、前側ディレイラーにおいてはチェーンは引張状態に置かれているから、それが簡単に達成できないといった問題がある。
【0012】
第2スプロケットよりも進んだ位置へ移動すると、チェーンは第1スプロケットとの係合からはずれて第2スプロケットと係合する。
【0013】
機械制御式変速装置においては、ガイドエレメントを移動させるアクチュエータの役割は、手動操作レバーとガイドエレメントの間で保護被覆内をスライド可能に延びているスチールケーブル(「ボーデンケーブル」)を有する制御機構により達成される。すなわち、レバーを第1方向に操作すると、スチールケーブルを介してガイドエレメントに引張力が作用するが、レバーを反対の第2方向に操作すると、スチールケーブルを介してガイドエレメントに押圧が作用するか、または、ケーブルとガイドエレメントが戻しばねの作用で復帰できる状態になる。
【0014】
そこで、変速を容易にするために、本願出願人が製造している一部の機械制御式変速装置では、レバーの操作により、ガイドエレメントが隣接するスプロケットの位置に達するのに必要な距離よりも長い距離をガイドエレメントが移動するように、スチールケーブルが動かされる。制御レバーを解放すれば、戻しばねの作用で、スチールケーブル、したがって、ガイドエレメントが第2スプロケットに対応する位置へ戻る。換言すれば、制御レバーの操作によりガイドエレメントが、一時的に、変速部における隣接する二つのスプロケット間のピッチよりも、後ほど「オーバーストローク」と称するある量だけ大きく移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5480356号明細書
【特許文献2】米国特許第5470277号明細書
【特許文献3】米国特許第5865454号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1103456号明細書
【特許文献5】米国特許第6047230号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第3938454号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このような機械制御式変速装置には、スチールケーブルや戻しばねの張力を、定期的に、かつ比較的正確に、機械的に調整する必要がある。
【0017】
また、このような機械的なものでは、オーバーストローク量が、すべての上下段への変速において同じように影響する単一値に調整されてしまう問題点がある。したがって、変速部におけるオーバーストローク量が一方向への変速(例えば上段への変速、上段変速)に最適に調整されると、反対方向への変速(例えば下段への変速、下段変速)について全体的に不十分になってしまう。これを避けるには、オーバーストロークの量を中間値に調整して、両方向への変速において最適ではないが、十分な成果を得るようにする必要がある。
【0018】
前側変速部の場合、最大径である最外スプロケットへ上段変速を行うのは特に困難である。この場合では、オーバーストロークをもたせたとしても、それだけではチェーンの正確な係合を保証するには不十分である。熟練した乗り手であれば、前側ディレイラーをある時間だけオーバーストローク位置に維持することで、この問題を回避することができる。しかし、オーバーストローク位置に維持する時間は、乗り手の耳および/または目で判断するしかなく、したがって、短すぎて所望の結果が得られないか、長すぎて変速装置の機構やチェーンに好ましくない応力がかかって係脱するおそれがある。
【0019】
本発明は、両方向、すなわち、上段の方向と下段の方向へのあらゆる対のスプロケット間の変速を最適に行える電子サーボ支援型変速装置などを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的を達成するために、本発明の第1の構成は、自転車用変速装置(8)を電子的にサーボ支援する方法であって、
a)少なくとも二つのスプロケットを有する変速部における第1スプロケットからそれに隣接する第2スプロケットへの自転車用変速装置のチェーンの移動を要求する信号を受信するステップと、
b1)前記第1スプロケットの直径が前記第2スプロケットの直径よりも小さい場合に、前記第2スプロケットに対する上段変速位置を得るステップと、
b2)前記第1スプロケットの直径が前記第2スプロケットの直径よりも大きい場合に、前記第2スプロケットに対する下段変速位置を得るステップと、
c)前記チェーンのガイドエレメントを、前記変速部の軸方向において、前記第1スプロケットから、前記第2スプロケットに対する上段変速位置または下段変速位置へ移動させるように、前記変速部のアクチュエータを駆動するステップとを備えている。
【0021】
好ましくは、前記第2スプロケットに対する上段変速位置と下段変速位置が、前記第2スプロケットの理論位置について非対称である。
【0022】
前記第2スプロケットに対する上段変速位置を得る前記ステップ(b1)が、前記第2スプロケットの理論位置を得るステップを有してもよい。
【0023】
また、前記第2スプロケットに対する上段変速位置を得る前記ステップ(b1)が、b12)所定のオーバーストローク量を前記第2スプロケットの理論位置に代数的に加算するステップを有してもよい。
【0024】
同様に、前記第2スプロケットに対する下段変速位置を得る前記ステップ(b2)が、前記第2スプロケットの理論位置を得る(106)ステップを有してもよい。
【0025】
また、前記第2スプロケットに対する下段変速位置を得る前記ステップ(b2)が、所定のオーバーストローク量を前記第2スプロケットの理論位置に代数的に加算するステップを有してもよい。
【0026】
好ましくは、本方法において、
c1)前記ステップ(c)で移動させた前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持するステップと、それに続いて、
d)前記ガイドエレメントを、前記変速部の軸方向において、前記変速位置から、前記第2スプロケットの理論位置へ移動させるように、前記変速部のアクチュエータを駆動するステップとを備える。
【0027】
ある実施形態においては、前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、所定の時間(T)だけ待機するステップを有する。
【0028】
別の実施形態においては、前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、移動終了要求信号を待機するステップを有する。
【0029】
さらに別の実施形態においては、前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、所定の最小時間だけ待機するステップと、移動終了要求信号を待機するステップとを有する。
【0030】
さらに別の実施形態においては、前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、所定の最小時間の経過をモニターするステップと、移動終了要求信号の受信をモニターするステップとを有し、前記ステップ(d)が、前記移動終了要求信号の受信時と前記所定の最小時間の経過時との遅い方に実行される。
【0031】
さらに別の実施形態においては、前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、移動終了要求信号の受信をモニターするステップと、所定の最大時間の経過をモニターするステップとを有し、前記ステップ(d)が、前記移動終了要求信号の受信時と前記所定の最大時間の経過時との早い方に実行される。
【0032】
さらに別の実施形態においては、前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、所定の最小時間の経過をモニターするステップと、移動終了要求信号の受信をモニターするステップと、所定の最大時間の経過をモニターするステップとを有し、前記ステップ(d)が、前記移動終了要求信号の受信が前記所定の最大時間の経過よりも前である場合には、前記移動終了要求信号の受信時と前記所定の最小時間の経過時との遅い方に実行され、前記所定の最大時間の経過が前記移動終了要求信号の受信よりも前である場合には、前記所定の最大時間の経過時に実行される。
【0033】
好ましくは、本方法において、前記変速位置もしくは前記オーバーストロークの量および/または前記所定の各時間の値を設定するステップを備える。
【0034】
本発明の第2の構成は、自転車用変速装置を電子的にサーボ支援するためのプログラムであって、コンピュータで実行した場合に前述の方法のステップを実行するのに適したプログラムコード手段を備え、少なくとも一つのマイクロコントローラで実行される。
【0035】
前記プログラムは、コンピュータのメモリーに保存するか、または、読出し専用メモリーで実現されるようにしてもよい。
【0036】
本発明の第3の構成は、前述の方法のステップを実行する電子回路である。
【0037】
本発明の第4の構成は、
自転車の後輪のハブに設けられている少なくとも二つのスプロケットを有する変速部の軸方向に、チェーンをガイドエレメントを介して移動させる、モータを有する後側アクチュエータと、
自転車のペダル・クランク軸に設けられている少なくとも二つのスプロケットを有する変速部の軸方向に、チェーンをガイドエレメントを介して移動させる、モータを有する前側アクチュエータと、
各変速部における第1スプロケットからそれに隣接する第2スプロケットへの前記チェーンの移動を要求する信号を発生する手段と、
前記後側アクチュエータと前側アクチュエータとに接続され、前記チェーン移動要求信号を受信して、前記後側または前側アクチュエータを駆動する電子制御装置とを備えた自転車用変速装置において、
前記電子制御装置が、前記ガイドエレメントを、前記第1スプロケットから、前記第1スプロケットの直径が前記第2スプロケットの直径よりも小さい場合には前記第2スプロケットに対する上段変速位置へ、前記第1スプロケットの直径が前記第2スプロケットの直径よりも大きい場合には前記第2スプロケットに対する下段変速位置へ移動させるように、前記後側または前側アクチュエータを駆動することを特徴とする。
【0038】
前記電子制御装置が、所定の時間の経過および移動終了要求信号の受信の一群から選ばれた少なくとも一つの条件を確認する手段を有してもよく、この確認手段にしたがって、前記ガイドエレメントを、前記第2スプロケットに対する上段変速位置または下段変速位置から、前記第2スプロケットの理論位置へ移動させるように、前記後側または前側アクチュエータを駆動してもよい。
【0039】
前記電子制御装置が、少なくとも一つの第2スプロケットに対する上段変速位置および/または下段変速位置を記憶する記憶手段を有してもよい。
【0040】
また、前記電子制御装置が、少なくとも一つのスプロケットの理論位置と、前記少なくとも一つのスプロケットに対する上段変速位置または下段変速位置との間の差を表す少なくとも一つの較差を記憶する記憶手段を有してもよい。
【0041】
どちらの場合にも、前記電子制御装置が、各スプロケットの理論位置を表す情報を記憶する記憶手段を有してもよい。
【0042】
本自転車用変速装置は、前記後側変速部に対する前記ガイドエレメントの位置を示す後側カウンターと、前記前側変速部に対する前記ガイドエレメントの位置を示す前側カウンターとを備えている。
【0043】
前記後側アクチュエータと前側アクチュエータの位置をそれぞれ検出して前記電子制御装置に供給する位置検出手段を備え、その位置検出手段が後側検出器および前側検出器で構成されてもよい。
【0044】
その場合、前記電子制御装置が、前記位置検出手段により検出された位置に基づいて、フィードバック制御方式で後側または前側アクチュエータを駆動してもよい。
【0045】
好ましくは、前記後側アクチュエータと前側アクチュエータの各モータが、ステッピングモータであり、1ステップまたは整数倍のステップにわたって前記後側アクチュエータまたは前側アクチュエータが移動すると、前記後側カウンターまたは前側カウンターが単位量だけ増加または減少する。
【0046】
また、後側アクチュエータと前側アクチュエータのそれぞれのモータを、直流モータ、ブラシレスモータ、非同期モータ、油圧(hydraulic )モータの中から選んでもよい。
【0047】
前記電子制御装置と前記後側および前側アクチュエータとの間に配電盤を備えてもよい。
【0048】
前記電子制御装置が、C−MOS技術で作製した少なくとも一つのマイクロコントローラを有してもよい。
【0049】
好ましくは、前記電子制御装置が、表示装置用のマイクロコントローラおよび/または手動入力手段を制御する装置用のマイクロコントローラおよび/または配電盤(30)のマイクロコントローラを有する。
【0050】
好ましくは、前記表示装置が取外し自在である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による電子サーボ支援型変速装置を備えた自転車の概略斜視図である。
【図2】本発明による電子サーボ支援型変速装置のブロック図である。
【図3】本発明による電子サーボ支援型変速装置を電子的にサーボ支援する方法のフローチャートである。
【図4】本発明による変速装置の前側および後側記憶手段の一例を示す概略図である。
【図5】本発明による変速装置の前側および後側記憶手段の別の例を示す概略図である。
【図6】本発明による変速装置の前側および後側記憶手段のさらに別の例を示す概略図である。
【図7】本発明による変速装置のオーバーストローク記憶手段の一例を示す概略図である。
【図8】本発明による変速装置のオーバーストローク記憶手段の別の例を示す概略図である。
【図9】本発明による変速装置のオーバーストローク記憶手段のさらに別の例を示す概略図である。
【図10】本発明による変速装置のオーバーストローク記憶手段のさらに別の例を示す概略図である。
【図11】本発明による変速装置のオーバーストローク記憶手段のさらに別の例を示す概略図である。
【図12】本発明による変速装置のオーバーストローク記憶手段のさらに別の例を示す概略図である。
【図13】本発明による変速装置の変速記憶手段の一例を示す概略図である。
【図14】本発明による変速装置の変速記憶手段の別の例を示す概略図である。
【図15】本発明による変速装置の変速記憶手段のさらに別の例を示す概略図である。
【図16】本発明による方法における任意的なステップの一例を示すフローチャートである。
【図17】本発明による方法における任意的なステップの別の例を示すフローチャートである。
【図18】本発明による方法における任意的なステップのさらに別の例を示すフローチャートである。
【図19】本発明による方法における任意的なステップのさらに別の例を示すフローチャートである。
【図20】本発明による変速装置のモード選択を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳述する。
図1において、自転車1、特に競技用自転車は、周知のように後輪4の支持構造体3と前輪6を支持するフォーク5とを構成する管部材で形成したフレーム2を備えている。管構造のハンドル70は、フォーク5と連結され、フォーク5を操縦できる。
【0053】
フレーム2の下部に、従来型のペダルクランクまたはペダル機構7の軸が支持されていて、符号8で示した本発明による電子サーボ支援型変速装置を介して後輪4を作動させるようになっている。
【0054】
前記変速装置8は、実質的には後側変速部9と前側変速部10で構成される。後側変速部9は、直径の異なる複数の歯車、スプロケットまたはピニオン11を含み、それらは後輪4の軸Aと同軸に配置されている。図示の実施形態では歯車、スプロケットまたはピニオン11は10個あるものとして示しているが、9個、11個またはそれ以外の数でもよい。同様に、前側変速部10は、直径の異なる複数の歯車、スプロケット、クラウンまたはギア12を含み、それらはペダルクランク7の軸Bと同軸に配置されている。図示の実施形態では歯車、スプロケット、クラウンまたはギア12は3個あるものとして示しているが、2個でもそれ以外の数でもよい。
【0055】
後側変速部9のスプロケット11と前側変速部10のスプロケット12は、ループ状の動力伝達チェーン(変速チェーン、transmission chain)13により選択的に係合されて、電子サーボ支援型変速装置8を介していくつかの異なった変速比(ギア比)が得られるようになっている。
【0056】
すなわち、後側変速部9のガイドエレメントまたは後側ディレイラー(もしくは単にギアシフト)14および/または前側変速部10のガイドエレメントまたは前側ディレイラー(もしくは単にディレイラー)15を移動させることにより、いくつかの異なった変速比が得られる。
【0057】
後側ディレイラー14と前側ディレイラー15は、それぞれ対応するアクチュエータ16、17(図2)により制御され、各アクチュエータ16、17は、関節で連結された平行四辺形の機構と、その機構を変形させる減速機付き電気モータとを有する。
【0058】
これらのアクチュエータ16、17に、後側ディレイラーの位置センサーまたは後側検出器18と、前側ディレイラーの位置センサーまたは前側検出器19が(図2)、対応して接続されている。
【0059】
後側および前側ディレイラー14、15、対応するアクチュエータ16、17、対応する位置センサーまたは検出器18、19の詳細な構成については、本発明の対象ではないのでここでは詳述しないが、例えば前記特許文献に開示されている。
【0060】
特に、検出器18、19としては、前記特許文献4に開示されているような型式が好ましく、後側および前側ディレイラー14、15の絶対位置を示す電気信号を発生できる。
【0061】
電子配電盤30には、電池が設けられ、アクチュエータ16、17のモータ、検出器18、19、マイクロプロセッサー電子制御装置40、そして好ましくは表示装置60にも、電力を供給する。電池としては充電式が好ましく、その電池を充電するために、よく知られているように、後側ディレイラー14が発電機40を有するのが好ましい。
【0062】
本明細書および特許請求の範囲において、電子制御装置40とは論理演算装置を意味しているが、それに限らず、表示装置60および/または電子配電盤30および/または命令装置(command unit)に割り当てられる一つ以上のマイクロプロセッサーのような物理装置で構成してもよい。
【0063】
その意味で、電子制御装置40は、マイクロプロセッサーの他に、電子変速装置の管理プログラムをコード化する命令を記憶する一つ以上のデバイス、前記プログラムを実行するためのサービス変数(service variables )を一時記憶するためのデバイス(レジスター)、後述するある値の揮発性記憶、不揮発性記憶または永久記憶のためのデバイスを含む記憶手段を有している。前記値に関し、本明細書および特許請求の範囲において、前記の記憶手段は、後側記憶手段、前側記憶手段、オーバーストローク記憶手段、変速記憶手段に分かれている。しかし、このような分け方は機能的な面からなされたものであって、必ずしも記憶デバイスの物理的な分け方に対応するものではない。換言すれば、前述の記憶手段のそれぞれに一つ以上の物理的デバイスを利用してもよいし、逆に、前述の各記憶手段を、それぞれに物理的に対応するデバイスで実現するか、一つ以上の物理的なデバイスの記憶域を割り当てることで実現してもよい。
【0064】
記憶デバイスは、読出し専用メモリー、追記型(1回書込み、write once)メモリー、読書きランダムアクセスまたはシリアルアクセスメモリーなどの一種以上のメモリーで構成でき、光学メモリー、磁気メモリーなど種々の技術により製造できる。
【0065】
記憶デバイスは、表示装置60および/または電子配電盤30および/または命令装置に内蔵させてもよく、別個の装置としてもよい。
【0066】
好ましい実施形態においては、表示装置60を自転車1から取外し自在として、電子制御装置40の記憶手段の少なくとも一部を表示装置60に内蔵する。その場合、電子サーボ支援型変速装置8の種々のパラメーターについてユーザーが設定する値は、表示装置60に内蔵した記憶手段に記憶させておくのが好ましい。そのような実施形態は、特に競技用自転車の場合、つまりユーザーが設定する値が乗り手のノウ・ハウを反映するために秘密にしておく必要のある場合に有利である。また、比較的高価な表示装置を取外し自在にして盗難などから保護することもできる点でも、有利である。
【0067】
電子配電盤30は、例えば、ハンドル70のどこかの管、または、例えば飲水ビン(図示せず)の支持体のあるフレーム2のどこかの管、または、表示装置60に内蔵してもよいが、ハンドル70の中央部に内蔵するのが好ましい。
【0068】
種々の構成要素間での情報の授受は電線を介して行われるが、この電線はフレーム2の管内に収納するのが好ましく、また、例えばブルートゥース・プロトコルによる無線方式で行うのが好ましい。
【0069】
自転車の走行時においては、一方のスプロケットからそれに隣接してチェーンが係合すべき他方のスプロケットへの移動を要求する信号(上段への変速要求信号または下段への変速要求信号)が、手動命令装置により、または電子制御装置40により半自動的もしくは自動的に設定され、その信号に基づいて、後側および前側ディレイラー14、15は、電子制御装置40により、対応するアクチュエータ16、17を介して制御される。手動命令装置は、例えば、後側変速部9についての上段および下段への変速信号に関する、ハンドル70の一方の把持部のブレーキレバー41に取り付けられたレバー43、44と、前側変速部10についての上段および下段への変速信号に関する、ハンドル70の他方の把持部のブレーキレバーに取り付けられたレバー45、46(図2)とで構成できる。なお、煩雑を避けるために、図1にはレバー45、46を図示していない。
【0070】
レバー43、44(45、46)の代わりに、二つの手動操作式ボタン、または、揺動レバー(swing lever )で操作される二つのボタンを用いてもよい。
【0071】
電子制御装置40は二つの検出器18、19と接続されていて、後側ディレイラー14と前側ディレイラー15が所望の位置に達すると、それぞれに対応するアクチュエータ16、17のモータを停止させる。これによって、手動命令装置43、44、45、46からまたは電子制御装置40により移動要求信号(上段または下段への変速要求信号)が発せられたときに、チェーンが、隣接する大径スプロケット11または小径スプロケット12に係合できる。本明細書および特許請求の範囲においては、そのような所望の位置を「変速位置(gear-shifting position)」という。本発明によれば、後述するように、後側または前側変速部9、10の少なくとも一つのあるスプロケット11、12についての変速位置は、上段への変速(上段変速)か、下段への変速(下段変速)かに応じて異なっているのが好ましく、より好ましくは、上段変速位置と下段変速位置は、スプロケットの理論位置について非対称である。
【0072】
別の実施形態では、アクチュエータ16、17のそれぞれのモータは、上段または下段への変速ごとに適切な数のステップだけ駆動されて自動的に停止するステッピングモータで構成するのが好ましく、この場合、検出器18、19は、変速位置に達しなかった場合にアクチュエータ16、17のそれぞれのモータをもう一度駆動できるように電子制御装置40へフィードバック信号を供給するのに利用する。これは、例えば、乗り手のペダルの踏み方にある程度依存する、ディレイラー14、15による抵抗トルクが非常に大きく、ステッピングモータによる最大トルクよりも大きいことに起因している。
【0073】
さらに、本発明において、電子制御装置40は、後側カウンター47と前側カウンター48を有している。これらのカウンターは、例えばレジスターまたは電子制御装置のメモリーセルに記憶させた変数で実現してもよい。
【0074】
変速装置8は、通常走行動作モードにおいて、アクチュエータ16、17を駆動するとともに位置を追跡して、ステッピングモータによる各ステップごとに例えば1単位だけ、および/または検出器18、19の表示値に基づいて、カウンター47、48を増加または減少させる。
【0075】
本発明の電子サーボ支援型変速装置8のいくつかの実施形態においては、電子制御装置40の記憶手段は、図4から図6を参照しながら後述するように、後側変速部9のスプロケット11の理論位置のための後側記憶手段49と、前側変速部10のスプロケット12の理論位置のための前側記憶手段50とを有している。
【0076】
前側および後側記憶手段49、50に記憶されているスプロケット11、12のそれぞれの理論位置は、ディレイラー14、15がそのときの所望のスプロケット11、12に係合しているときにカウンター47、48が示す値を意味する。
【0077】
本発明による電子サーボ支援型変速装置8のそのような実施形態においては、電子制御装置40の記憶手段は、「オーバーストローク量」と称する少なくとも一つの較差(differential amount )のためのオーバーストローク記憶手段51(図7から図12を参照しながら後述する)も有している。このオーバーストローク量は、記憶手段49および/または50により表されるスプロケット11および/または12の理論位置と、変速それ自体を支援すべく上段および/または下段への変速中にチェーン13のガイドエレメント14、15が占める位置、すなわち、前述の上段および/または下段変速位置とのオフセット量を表している。
【0078】
電子サーボ支援型変速装置8のための本発明による方法を示し、後側変速部9と前側変速部10のどちらにもあてはまる図3のフローチャートを参照する。ステップ100において、チェーン13が第1スプロケット11(12)に係合し、カウンター47(48)が第1論理値を有しているとすると、乗り手がステップ101において手動による上段への変速要求制御器43(45)を作動させると、もしくは、ステップ102において手動による下段への変速要求制御器44(46)を作動させると(または、このような要求が電子制御装置40自体から発生すると)、電子制御装置40は、まず、ステップ103または104において第2スプロケット11(12)のための変速位置を得るために出力を出す。本発明によれば、この変速位置は、第1スプロケットの直径が第2スプロケットの直径よりも小さい場合には(ステップ103)上段変速位置であり、逆に、第1スプロケットの直径が第2スプロケットの直径よりも大きい場合には(ステップ104)下段変速位置である。前述したように、少なくとも一つの第2スプロケットにおいて、下段変速位置は上段変速位置とは異なっているのが好ましく、上下段変速位置が、第2スプロケットの理論位置に関し非対称になっているのがより好ましい。
【0079】
ステップ103で上段変速位置が得られると、または、ステップ104で下段変速位置が得られると、電子制御装置40は、ステップ109または110において、カウンター47(48)が上段変速位置または段変速位置を示す値に達するまで、チェーンを、第1スプロケットから第2スプロケットへの第1方向に、軸A(B)に沿って、移動させるべく、アクチュエータ16(17)を駆動する。
【0080】
各アクチュエータ16、17がステッピングモータを有するものであれば、ステッピングモータの第1方向もしくは第2方向への1ステップまたは整数倍のステップの回転を、対応するカウンター47、48の単位増加または単位減少に対応させることができて、有利である。
【0081】
前述の駆動ステップの後、電子制御装置40は、図3において破線で囲ったステップ111、112で示すように、また図16から図19を参照しながら後述するように、維持/再位置決めステップ(stay and repositioning step )を所望に応じて実行するようにしてもよい。そのようなステップは、アクチュエータ16(17)を駆動して、記憶手段49(50)から直接読み出されるか、または、記憶手段49(50)から読み出される情報から導き出される第2スプロケット11(12)の理論位置にカウンター47(48)が達するまで、軸A(B)に沿って第1方向または反対の第2方向にチェーンを移動させることを含む。
【0082】
このような実施形態においては、上段変速位置を得るステップ(ステップ103)または下段変速位置を得るステップ(ステップ104)は、
ステップ105または106において、後側記憶手段49(前側記憶手段50)から第2スプロケット11(12)の理論位置を直接読み出すか、または、後述のように記憶手段49(50)から読み出した情報に基づいて理論位置を導き出すことにより記憶手段49(50)から理論位置を得て、
第2スプロケット11(12)の理論位置に、オーバーストローク記憶手段51に記憶されている適切なオーバーストローク量を後述のように代数的に加算する(ステップ107および/または108)ことにより、実行する。
【0083】
図4に示す実施形態においては、後側および前側記憶手段49、50は、対応する変速部9、10におけるスプロケット11、12の物理的位置を表す、変速部9、10の各スプロケット11、12に関する値を直接記憶するのに適している。したがって、後側変速部9が10個のスプロケットまたはピニオン11を有する一例においては、後側記憶手段49は、直径が最小のスプロケットに関する論理値(logic value )R1、そのスプロケットのすぐ隣で直径がわずかに大きいスプロケットに関する論理値R2、そのスプロケットのすぐ隣で直径がさらに大きいスプロケットに関する論理値R3など、最大直径のスプロケットに関する論理値R10まで記憶するのに適している。他方、前側変速部10が3個のスプロケットまたはクラウン12を有する一例においては、前側記憶手段50は、最小直径のスプロケットに関する論理値F1と、直径が中間のスプロケットに関する論理値F2と、最大直径のスプロケットに関する論理値F3とを記憶するのに適している。
【0084】
前述のような実施形態においては、電子制御装置40は、ステップ105または106において、第2スプロケット11、12に関する値を記憶手段49、50から直接読み出すことにより、第2スプロケット11、12の理論位置を得る。
【0085】
図5に示す実施形態にあっては、後側記憶手段49は各対の隣接するスプロケット11に関する較差を記憶するのに適している。したがって、後側変速部9が10個のスプロケットまたはピニオン11を有する一例においては、後側記憶手段49は、最小直径のスプロケット11とそれにすぐ隣接する(直径はわずかに大きい)スプロケット11との対に関する較差ΔR1―2と、その隣接するスプロケット11とまたそれに隣接するスプロケットとの対に関する較差ΔR2−3など、最大直径のスプロケット11を含む対に関する較差ΔR9−10まで記憶するのに適している。他方、前側変速部10が3個のスプロケットまたはクラウン12を有する一例においては、前側記憶手段50は、二つの較差ΔF1−2とΔF2−3を記憶するのに適している。最小直径のスプロケットの理論位置がカウンター47、48のゼロ値に対応しない場合、前側および後側記憶手段40、50はそのような理論位置R1、F1を記憶するのにも適している。
【0086】
そのような実施に形態においては、電子制御装置40は、ステップ105(またはステップ106)において、チェーン13がステップ100において第1スプロケットに係合しているのであれば、前側および後側記憶手段49、50に記憶されている、第1スプロケット11、12とそれにすぐ隣接して直径がわずかに大きい(または小さい)第2スプロケット11、12とからなる対に関する較差をカウンターの現在値に加算するか、その較差をカウンターの現在値から減算することにより、第2スプロケット11、12の理論位置を得る。
【0087】
ステップ100でカウンターの現在値を利用する代わりに、特に維持/再位置決めステップ111(112)がない場合、電子制御装置40は、ステップ105(またはステップ106)において、第2スプロケットとそれに隣接して直径のより小さいスプロケット(上段への変速の場合では第1スプロケット)とからなるスプロケットの対に関する較差と、直径のより小さいスプロケットの対に関するすべての較差と、もしあれば最小直径のスプロケットに関する値とを加算することにより、第2スプロケット11、12の理論位置を得る。
【0088】
変速部9、10が所定ピッチだけ等しく隔離されているスプロケット11、13を有する場合の実施形態においては、後側記憶手段49と前側記憶手段50(図6)は、単一の較差ΔRとΔFとを記憶するのに適している。後側変速部9の隣接するスプロケット11間のピッチが、前側変速部10の隣接するスプロケット12間のピッチと等しければ、記憶手段は例えば前側記憶手段49の一つだけである。最小直径のスプロケットの理論位置がカウンター47、48のゼロ値に対応しない場合では、前側および後側記憶手段49、50はそのような理論位置R1、F1を記憶するのにも適している。
【0089】
そのような実施形態においては、電子制御装置40は、ステップ105(またはステップ106)において、チェーン13がステップ100において第1スプロケットに係合している場合に較差ΔRまたはΔFをカウンターの現在値に加算するか、カウンターの現在値から減算することにより、第2スプロケット11、12の理論位置を得る。
【0090】
別の方法として、電子制御装置40は、較差ΔRまたはΔFと、第2スプロケットおよびそれに隣接して直径のより小さいスプロケット(上段への変速の場合では第1スプロケット)からなるスプロケットの対と直径のより小さいすべての隣接するスプロケットの対の数(第2スプロケットが変速部のj番目のものであれば、j−1)との積と、もしあれば最小直径のスプロケットに関する値をそれに加算することにより、第2スプロケット11、12の理論位置を得るようにしてもよい。
【0091】
前側および後側記憶手段49、50の実施形態にかかわらず、オーバーストローク記憶手段51には種々の実施形態が考えられる。
【0092】
図7に示す本発明の実施形態では、一般に相対数(relative number )で表される一つだけのオーバーストローク量(amount of overstroke)Eが用意されている。
【0093】
電子制御装置40は、図3に示すフローチャートにしたがって、前記単一のオーバーストローク量Eを種々の方法で利用できる。第1の特に好ましい方法では、ステップ107つまり上段への変速の場合であってステップ108がない(absent)場合に、前述のようにしてステップ105で得られた第2スプロケットの理論位置に、オーバーストローク量Eが代数的に加算され、このような場合、前記オーバーストローク量Eは、通常、正の数で表される。
【0094】
第2の方法では、ステップ108つまり下段への変速の場合であってステップ107がない場合に、ステップ106で得られた第2スプロケットの理論位置に、オーバーストローク量Eが代数的に加算され、このような場合、前記オーバーストローク量Eは、通常、負の数で表され、それゆえ、第2スプロケットの理論位置からその絶対値が減算される。
【0095】
第3の方法では、ステップ107つまり上段への変速の場合には、ステップ105で得られた第2スプロケットの理論位置に、オーバーストローク量Eが代数的に加算され、一方、ステップ108つまり下段への変速の場合には、ステップ106で得られた第2スプロケットの理論位置に、符号を逆転したもの(−Xは、Xの符号を逆転したものを表す)が代数的に加算される。このような場合、前記オーバーストローク量Eは、通常、正の数で表される。
【0096】
なお、オーバーストローク量Eと、ステップ105または106で得られ、後側および前側記憶手段49、50に直接または間接的に記憶された第2スプロケット11、12の理論位置とは、制御装置40での使い方に応じて、特に第2スプロケットの理論位置がスプロケット自体の物理的位置に関して補正される第2および第3の方法においては、適切な値を有するものでなければならない。
【0097】
チェーン13は、前側変速部10のガイドエレメント15のところでは引張状態にあり、後側変速部9のガイドエレメント14のところではそうなっていないので、本発明による電子サーボ支援型変速装置8とそれをサーボ支援する方法とを簡単にするためには、代数的加算ステップ107、108を、さらに簡単にするためには、代数的加算ステップ107だけを、上段への変速の場合の前側変速部10に対してのみ、または最大直径のスプロケット12への変速の場合の前側変速部10に対してのみ、設ければ十分である。
【0098】
図8の実施形態においては、オーバーストローク記憶手段51は、上段への変速のためのオーバーストローク量E+と下段への変速のためのオーバーストローク量E−とを記憶するのに適しており、これらのオーバーストローク量は一般に相対数で表されている。より具体的には、上段への変速のためのオーバーストローク量E+は正の数で、また、下段への変速のためのオーバーストローク量E−は負の数で表されている。
【0099】
上段への変速の場合、電子制御装置40は、図3のステップ107において、上段への変速のためのオーバーストローク量E+を、ステップ105で得た第2スプロケット11、12の理論位置に代数的に加算し、下段への変速の場合には、電子制御装置40は、ステップ108において、下段への変速のためのオーバーストローク量E−を、ステップ106で得た第2スプロケット11、12の理論位置に代数的に加算する。
【0100】
また、この実施形態において、本発明による電子サーボ支援型変速装置8およびそれをサーボ支援する方法を簡単にするためには、前側変速部10に対してのみ代数的加算ステップ107、108を設ければ十分である。
【0101】
これに対し、前述したように、後側および前側変速部9、10においてガイドエレメント14、15でのチェーン13の張力が異なっていることから、また、後側変速部9で隣接するスプロケット11、12間のピッチが、前側変速部10で隣接するスプロケット11、12間のピッチと異なっていることから、さらに、ガイドエレメント14、15とスプロケット11、12との間隔が二つの変速部9、10で異なっていることから、後側変速部9と前側変速部10とで適用するオーバーストローク量を異ならせるのが好ましい。
【0102】
このように、図9に示す実施形態では、オーバーストローク記憶手段51は、後側変速部9のための単一のオーバーストローク量ERと前側変速部10のための単一のオーバーストローク量EFとを記憶するのに適しており、各オーバーストローク量は、図7の実施形態について前述した三つの方法のいずれかにおいて電子制御装置40によって独立して利用されるとともに、図7を参照しながらあらましを説明した他の条件があてはまる。
【0103】
図10に示す実施形態では、オーバーストローク記憶手段51は、後側変速部9での上段への変速のためのオーバーストローク量ER+と下段への変速のためのオーバーストローク量ER−と、前側変速部10での上段への変速のためのオーバーストローク量EF+と下段への変速のためのオーバーストローク量EF−とを記憶するのに適していて、各オーバーストローク量は、図8の実施形態について前述した方法で利用される。
【0104】
この実施形態によるオーバーストローク量ER+、ER−、EF+、EF−も、通常、相対値で表されるが、一般に、オーバーストローク量ER+、EF+は、第2スプロケット11、12の理論位置にその絶対値が加算されるように正の数になるのに対し、オーバーストローク量ER−、EF−は、第2スプロケット11、12の理論位置からその絶対値が減算されるように負の数になる。これは、第1スプロケットから第2スプロケットへの変速を援助するためには、ガイドエレメント14、15を、第1スプロケットから遠のいて第2スプロケットを超えた(通り越した)変速位置に移動させるのが適切であると判明したからである。
【0105】
単一の変速に関して本発明による電子サーボ支援型変速装置8およびそれをサーボ支援する方法の作用を最適化する上で好ましい実施形態においては、図11に示すオーバーストローク記憶手段は、後側変速部9の各スプロケットのオーバーストローク量ERjと、前側変速部10の各スプロケットのオーバーストローク量EFjとを記憶するのに適している。これらのオーバーストローク量ERjとEFjは、図7に示した実施形態について説明した三つの方法でのステップ107および/またはステップ108において、電子制御装置40により管理される。すなわち、上段への変速の場合に第2スプロケット(より直径の大きいスプロケット)に関するオーバーストローク量ERjまたはEFjが第2スプロケットの理論位置に代数的に、特に絶対値で加算される、最初に説明した方法が利用されるのであれば、ステップ108はなく、(第2スプロケットとしての)最小直径のスプロケットに関するオーバーストローク量は設けられず、下段への変速の場合に第2スプロケット(より直径の小さいスプロケット)に関するオーバーストローク量ERjまたはEFjが第2スプロケットの理論位置に代数的に、特に絶対値で加算される、第2に説明した方法が利用されるのであれば、ステップ107はなく、(第2スプロケットとしての)最大直径のスプロケットに関するオーバーストローク量は設けられない。
【0106】
この実施形態によれば、図12に示すオーバーストローク記憶手段は、各変速部9、10の(第2スプロケットとしての)中間スプロケット11、12ごとの、上段への変速のためのオーバーストローク量ER+j、EF+jおよび下段への変速のためのオーバーストローク量ER−j、EF−jと、(第2スプロケットとしての)最大直径のスプロケットに関する上段への変速のためのオーバーストローク量ER+j、EF+jと、(第2スプロケットとしての)最小直径のスプロケットに関する下段への変速のためのオーバーストローク量ER−1、EF−1とを記憶するのに適している。換言すれば、上段への変速のためのオーバーストローク量と下段への変速のためのオーバーストローク量とは、各変速部で隣接するスプロケットの対ごとに記憶される。したがって、10個のスプロケット11を有する後側変速部9の場合には18個(9対に2個ずつ)のオーバーストローク量が、また、3個のスプロケット12を有する前側変速部10の場合には4個(2対に2個ずつ)のオーバーストローク量があることになる。
【0107】
電子制御装置40は、図3のステップ107において、第2スプロケットに関する上段への変速のオーバーストローク量を、第2スプロケット11、12の理論位置に代数的に加算し、下段への変速の場合には、電子制御装置40は、ステップ108において、第2スプロケットに関する下段への変速のオーバーストローク量ER−1、EF−jを、第2スプロケット11、12の理論位置に代数的に加算する。
【0108】
前述したオーバーストローク記憶手段51のすべての実施形態において、記憶手段51に相対数を記憶するとともにステップ107、108で加算を行うことと、オーバーストローク記憶手段51に一般に正ではあるが相対でもある数を記憶するとともにステップ107で加算を行いかつステップ108で減算を行うことのいずれかを、選択することが可能である。ステップ103で得られる上段変速位置は、一般にステップ104で得られる下段変速位置とは異なっている。なぜならば、変速位置を、前記二つのステップにおいて同一絶対のオーバーストローク値を異なる方法で適用して得ているか、前記二つのステップのいずれか一方だけにおいてオーバーストローク値を適用して得ているか、前記二つのステップにおいて異なるオーバーストローク値を同様の方法で適用して得ているからである。後の二つの場合には、さらに好ましく、上段変速位置と下段変速位置が第2スプロケットの理論位置に関して非対称である。
【0109】
本発明による電子サーボ支援型変速装置8の他の実施形態においては、電子制御装置40が、オーバーストローク記憶手段51に代えて、変速記憶手段52を有している。
【0110】
図13に示す実施形態では、変速記憶手段52は、前側記憶手段49と後側記憶手段50から置き替わっており、各変速部9、10の中間スプロケット11、12ごとの上段変速位置R+j、F+jおよび下段変速位置R−j、F−jと、最大直径のスプロケットの上段変速位置R+j、F+jと、最小直径のスプロケットの下段変速位置R−1、F−1とを直接記憶するのに適している。
【0111】
換言すれば、変速記憶手段52は、最小直径のスプロケットから遠のく各スプロケット11、12への上段変速位置と、最大直径のスプロケットから遠のく各スプロケット11、12への下段変速位置とを記憶するのに適している。したがって、後側または前側変速部9、10の端でない(non-end 、中間の)各スプロケット11、12に、そのスプロケット11、12に上段変速時に達したか下段変速時に達したかに応じて、二つの異なる変速位置が対応している。変速部の端の(end )各スプロケット11、12、すなわち、最大直径と最小直径のスプロケットには、一つの上段変速位置または一つの下段変速位置が対応している。
【0112】
後側変速部9が10個のスプロケット11を有し、前側変速部10が3個のスプロケット12を有する一例として示した図13の場合では、変速記憶手段52は、9つの上段変速位置R+2、R+3、・・・・、R+j、・・・・、R+10と、9つの下段変速位置R―1、R―2、・・・・、R−i、・・・・、R―9と、2つの上段変速位置F+2、F+3と、2つの下段変速位置F−1、F−2とを記憶するのに適している。
【0113】
この実施形態のサーボ支援型変速装置8のための本発明による方法においては、ステップ103と104において、電子制御装置40が、変速位置、すなわち、ディレイラー14、15が、その時々に所望のスプロケット11、12とのチェーン13の係合が達成される状態になるようにカウンター47、48が計数する値を、変速記憶手段52から直接適切な値を読み出すことにより得ている。
【0114】
オーバーストローク記憶手段51を利用する実施形態において前述したのと同様に、上段変速位置、または、好ましくは下段変速位置は、第2スプロケット11、12の理論位置でもチェーン13が十分に移動して変速できることから、第2スプロケット11、12の理論位置に一致することもある。
【0115】
それに従えば、本発明の変速装置8の別の実施形態においては、電子制御装置40は、前述した種々の実施形態(図4から図6)のいずれかにおける後側および前側記憶手段49、50を有しており、変速記憶手段52において、最小直径または最大直径のスプロケットから遠のくスプロケットごとに、上段変速位置(図14)だけ、または下段変速位置(図15)だけを記憶している。
【0116】
そのような実施形態であれば、本発明による方法において、上段変速位置を得るステップ(ステップ103)または下段変速位置を得るステップ(ステップ104)は、変速記憶手段52から値を直接読み出すことにより実行され、他方、下段変速位置を得るステップ(ステップ104)または上段変速位置を得るステップ(ステップ103)は、前側および後側記憶手段49、50から第2スプロケットの理論位置を得るステップ106またはステップ105を介して実行される。
【0117】
また、オーバーストローク記憶手段51を利用する実施形態において前述したのと同様に、変速記憶手段52を前側および後側記憶手段49、50とともに利用する実施形態では、上段変速位置と下段変速位置はすべてのスプロケットに対して設けているのではなく、理論位置とは違った変速位置を必要とするスプロケットに対してのみ設けている。特に、図14の実施形態による変速記憶手段52においては、前側変速部10の最大直径のスプロケット12に対する上段変速位置だけが設けられている。
【0118】
図13から図15に示したそれぞれの実施形態は、メモリーが少なくてすみ、電子制御装置40で代数的加算を行わなくてもよいといった利点がある。しかしながら、ステップ111、112に示し、後述する維持/再位置決めのステップを行うためには、どのような場合でも前側および後側記憶手段49、50が理論位置を記憶する必要があり、図13の実施形態の場合では、メモリーが少なくてすむといった利点が減ってしまう。
【0119】
変速位置が、図5と図6に示した実施形態と同様に、較差として記憶されるようにした実施形態も考えられる。
【0120】
特定の電子サーボ支援型変速装置8においては、変速記憶手段52に記憶されている変速位置の値は、オーバーストローク記憶手段51を利用したどれか一つの実施形態におけるオーバーストローク量に対応するオフセット分だけ、理論位置の値とは異なっている。換言すれば、変速記憶手段52に記憶されている変速位置の値は、オーバーストローク量を含むように設定されている。
【0121】
また、記憶手段の実施形態、および/または、後側変速部9と前側変速部10とで異なり、オーバーストローク記憶手段51に記憶されているオーバーストローク量を用いる方法を、利用することも考えられる。
【0122】
前述したように、自転車の変速装置をサーボ支援する本発明による方法では、チェーン13のガイドエレメント14、15がステップ109、110において変速位置に設定された後に、図3のステップ11および/またはステップ112において示したように、維持/再位置決めステップを設けてもよい。
【0123】
本発明によれば、所望により採用する(optional)前述の維持/再位置決めステップ111、113において、後述するように所定の時間が経過すると、および/または、変速終了要求信号が受信されると、電子制御装置40は、図16から図19のステップ116においてアクチュエータ16、17を駆動し、カウンター47、48がステップ105、106について前述した方法で記憶手段49、50から得る第2スプロケット11、12の理論位置に達するまで、チェーン13を移動させる。
【0124】
その移動は、軸A、Bに沿って、オーバーストローク量に応じて、第1スプロケットから第2スプロケットへの第1方向に行われるか、または、より一般的には、第2スプロケットから第1スプロケットへの第2方向に行われる。図13から図15に示した実施形態の場合では、上段変速位置が第2スプロケットの理論位置よりも小さいか、大きいかに応じて、または、下段変速位置が第2スプロケットの理論位置よりも大きいか、小さいかに応じて、行われる。
【0125】
そのような維持・再位置決めステップ111,112を設けるのが好ましい理由は、第2スプロケットの理論位置とは違った変速位置(位置またはオフセットの差が、オーバーストローク記憶手段51に記憶されるか、変速記憶手段52に記憶されている変速位置の値に含まれているすべての場合)を設けるだけでは、チェーン13を第2スプロケット11、12に正確に係合させることができないからである。
【0126】
本明細書の冒頭で説明したように、前側変速部10における最大直径のスプロケット12(最外スプロケット)へ上段変速を行う場合に、特に重大な問題が出てくる。本明細書の冒頭で説明したようにオーバーストロークを有する本願出願人による機械制御式変速装置では、特に熟練した乗り手なら、所定の時間にわたって、制御レバーに圧力を、したがってディレイラー14、15を変速位置に、維持することにより前述の問題を避けることができる。この変速位置に維持させる時間は、乗り手が耳および/または目で判断するしかなく、したがって、短すぎて所望の結果が得られないか、長すぎて変速装置の機構やチェーンに好ましくない応力がかかって係脱するおそれがある。
【0127】
図16に示した維持/再位置決めステップ111、112の実施形態では、第2スプロケット11、12の理論位置にチェーン13のガイドエレメント14、15を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動する前述のステップ(ステップ116)は、変速位置にチェーン13のガイドエレメント14、15を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動するステップ109、110の後で、所定の時間の経過時に行われる。
【0128】
詳述すると、電子制御装置40は、ステップ113においてタイマーを作動させ、ステップ114において所定の時間Tの経過をモニターする。このタイマーは、時間をカウントダウンするか、または、カウントアップするものでもよく、電子制御装置40のマイクロプロセッサのクロック信号により制御されるメモリー変数、または、専用装置で実現することができる。
【0129】
所定の時間Tが経過すると、必要に応じて、ステップ115として、前側および後側記憶手段40、50に記憶されている情報から第2スプロケット11、12の理論位置を得るステップが実行され、その後ステップ116として、カウンター47、48が第2スプロケット11、12の理論位置に達するまでチェーン13を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動する前述のステップが実行される。なお、第2スプロケット11、12の理論位置を得るステップ115は、ステップ105、106を実行するときに前記理論位置がすでに得られていれば実行されないから、オプションとして実行されるものである。
【0130】
図17に示す維持/再位置決めステップ111、112の実施形態では、第2スプロケット11、12の理論位置にチェーン13のガイドエレメント14、15を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動する前述のステップ(ステップ116)は、変速位置にチェーン13のガイドエレメント14、15を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動するステップ109、110の後で、移動終了要求信号の受信時に行われる。
【0131】
詳述すると、電子制御装置40は、ステップ117において、移動終了要求信号の受信をモニターする。自動または半自動操作での通常走行動作モードでは、移動終了要求信号は電子制御装置40から発生する。一般に、手動制御での通常走行動作モードでは、そのような信号は、乗り手が変速要求制御器43〜46を解放することにより、発生する。
【0132】
信号が受信されると、必要に応じて、ステップ115として、前側および後側記憶手段49、50に記憶されている情報から第2スプロケット11、12の理論位置を得るステップが実行され、その後、ステップ116として、カウンター47、48が第2スプロケット11、12の理論位置に達するまでチェーン13を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動する前述のステップが実行される。
【0133】
図18に示す維持/再位置決めステップ111、112の実施形態では、第2スプロケット11、12の理論位置にチェーン13のガイドエレメント14、15を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動する前述のステップ(ステップ116)は、変速位置にチェーン13のガイドエレメント14、15を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動するステップ109、110の後に、移動終了要求信号を受信した後で、かつ所定の時間の経過後に行われる。
【0134】
詳述すると、電子制御装置40は、ステップ118においてタイマーを作動させ、ステップ119において所定の最小時間Tminの経過をモニターする。タイマーについては、図16の実施形態で説明したことがそのままあてはまる。
【0135】
所定の最小時間Tminが経過すると、移動終了要求信号を待機する(ステップ117)。通常の動作時では、乗り手による制御器43〜46の解放が所定の最小時間Tminの経過中(すなわち、ステップ119におけるサイクル実行中)に行われることもあり、その場合には、電子制御装置40が、所定の最小時間Tminが経過するまで、移動終了要求信号を禁止するか、遅らせる(holding up)。
【0136】
所定の最小時間Tminの経過と電子制御装置40による移動終了要求信号の受信という二重の条件が満たされると、必要に応じて(すなわち、ステップ105または106が以前に実行されていなければ)、前側および後側記憶手段49、50に記憶されている情報から第2スプロケット11、12の理論位置を得るステップ115が実行され、その後、ステップ116として、カウンター47、48が第2スプロケット11、12の理論位置に達するまでアクチュエータ16、17を駆動する前述のステップが実行される。
【0137】
図19に示す維持/再位置決めステップ111、112の実施形態では、第2スプロケット11、12の理論位置にチェーン13のガイドエレメント14、15を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動する前述のステップ(ステップ116)は、移動終了要求信号の受信、所定の最小時間の経過、所定の最大時間の経過にしたがって行われる。換言すれば、駆動ステップ116は、移動終了要求信号の受信が所定の最大時間の経過よりも前である場合には、移動終了要求信号の受信時と前記所定の最小時間の経過時との遅い方に実行され、所定の最大時間の経過が移動終了要求信号の受信よりも前である場合には、所定の最大時間の経過時に実行される。後者の場合、電子制御装置40は、その後に移動終了要求信号を受信しても無視する。
【0138】
詳述すると、電子制御装置40は、まずステップ120において、一つのカウントアップ式タイマー、または、一方は所定の最小時間Tminに設定され、他方は所定の最大時間Tmaxに設定されている二つのカウントダウン式タイマーを作動させる。
【0139】
電子制御装置40は、ステップ117において、移動終了要求信号の受信をモニターする。移動終了要求信号が受信されない間(ステップ117における出力NO)、電子制御装置40は、ステップ121において、所定の最大時間Tmaxの経過をモニターする。
【0140】
このとき、所定の最大時間Tmaxが経過しない間(ステップ121における出力NO)、電子制御装置は、移動終了要求信号を受信したかどうかをモニターし続ける(ステップ117へ戻る)。
【0141】
移動終了要求信号を受信することなく所定の最大時間Tmaxが経過した場合(ステップ117での出力NO、かつステップ121での出力YES)には、必要に応じて(すなわち、ステップ105または106がそれまでに実行されていない場合)、前側および後側記憶手段49、50に記憶されている情報から第2スプロケット11、12の理論位置を得るステップ115が実行され、その後、ステップ116として、カウンター47、48が第2スプロケット11、12の理論位置に達するまでチェーン13を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動する前述のステップが実行される。
【0142】
他方、前述のサイクルにおいて所定の最大時間Tmaxが経過したことが確認されるのに先立って移動終了要求信号が受信された(ステップ117での出力YES)場合には、電子制御装置40は、所定の最小時間の経過をステップ119において確認する。
【0143】
所定の最小時間Tminが経過していなければ(ステップ119での出力NO)、電子制御装置40は、ステップ119において、所定の最小時間Tminの経過をモニターし続ける。一方、移動終了要求信号が受信されたとき、所定の最小時間Tminが経過していたか、経過の直後であれば(ステップ119での出力YES)、必要に応じて第2スプロケット11、12の理論位置を得るステップ115が実行され、その後、ステップ116として、カウンター47、48が第2スプロケット11、12の理論位置に達するまでチェーン13を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動する前述のステップが実行される。
【0144】
前述したように変速位置での時間が長すぎると変速装置8の機構部品が破損して乗り手に危害が及ぶことから、移動終了要求信号の受信とは独立して、駆動ステップ116が実行される時間の経過後に所定の最大時間Tmaxを設けることが好ましい。
【0145】
別の実施形態では、維持/再位置決めステップ111、112において、所定の最小時間Tminの経過の確認をせず、所定の最大時間Tmaxの経過の確認を行う。換言すれば、図19に示したステップ119がなく、図19において破線の矢印で示したように、移動終了要求信号が受信されると、必要に応じて(ステップ115)第2スプロケットの理論位置を得るステップと、アクチュエータを駆動するステップ(ステップ116)へ直接進む。
【0146】
さらに別の実施形態では、維持/再位置決めステップ111、112において、所定の最大時間Tmaxの経過の確認をせず、所定の最小時間Tminの経過の確認を行う。換言すれば、図19に示したステップ121がなく、移動終了要求信号が受信されるまで、図19において一点鎖線の矢印で示したようにステップ117にとどまっている。
【0147】
タイマー113、118、120を作動させるステップは、図示していないが別の実施形態として、変速位置にチェーン13のガイドエレメント14、15を移動させるべくアクチュエータ16、17を駆動するステップ109、110に先立って実行されるようにしてもよい。
【0148】
維持/再位置決めステップ111、112は、第1および第2スプロケット11、12のある対に対する変速位置が第2スプロケット11、12の理論位置に一致しうる(can correspond)という理由からだけではなく、あくまでもオプションである点に留意すべきである。実際、変速位置は、チェーン14、15が次の変速要求が出るまで変速位置にとどまる場合、自転車1の正常な動きに干渉しない程度に十分小さい量(オフセットまたはオーバーストローク)だけ、理論位置とは異なっているのが通常である。
【0149】
また、ステップ117、119、121の実行順序は、方法を実行するプログラムにおける命令順序と一致する必要はなく、これらのステップは「割込み」させてもよい。
【0150】
前述した種々の実施形態においては、スプロケットの理論位置の値またはそれから得られる較差の値、オーバストローク量の値、および/または変速位置の値、ならびにオプションである維持/再位置決めステップにおける時間の値は、工場でデフォルト値にあらかじめ設定されている。
【0151】
好ましくは、前述の諸値の少なくとも一部をユーザーが変えることができ、その場合、読出し専用記憶手段に記憶されているデフォルト値(公称値または平均値に相当)に戻せるようにしておくのが適切である。
【0152】
詳述すると、本発明によれば、電子サーボ支援型変速装置8、特に電子制御装置40は、通常走行動作モードの他に、電子制御装置40のマイクロプロセッサのプログラミングモード、診断モード、前記特許文献3に開示されているような変速装置の手動、自動、半自動制御のいずれかを選択できるようにした「動作選択モード」、設定モードなどの動作モードで動作できるようになっている。
【0153】
前述の種々の動作モードは、好ましくは表示装置60と協働して、ユーザーと電子制御装置40との間のインターフェースをなす手動選択命令手段により、選択できる。好ましくは、この手動モード選択命令手段は、表示装置60に設けられた二つのボタン61、62を有している。このユーザーインターフェースは、他の動作モードで利用される、表示装置60および/またはハンドル70の把持部に設けられたボタン63のような、その他のボタンまたはレバーを有してもよい。
【0154】
例えば、乗り手が表示装置60の下部中央に設けたボタン61を押すと、表示装置60は、電子制御装置40の制御の下に、順に種々の動作モードを繰り返し(in cyclical sequence)表示する。モード選択手段は同じボタン61からなり、このボタン61を再度押すことで、表示装置60に順に表示される動作モードのうち、そのときに表示されている動作モードが選択される。表示されている動作モードを選択する意志がなく、次の動作モードの表示に移りたい場合は、例えば表示装置60の右側にあるボタン62を押せばよい。
【0155】
別の方法として、電子制御装置40の制御の下に、すべての動作モードを含むメニューが表示装置60に表示されるようにしてもよい。その場合、モード選択手段は、メニューにおける選択カーソルを循環的に(cyclically)スクロールする一つのボタン、または、メニューにおける選択カーソルを二方向にスクロールする二つのボタンと、押すことでカーソルが指示する動作モードを選択するボタンとで構成する。
【0156】
動作モードを選択するボタンおよびそれを回避するボタン、または、カーソルをスクロールさせるボタンは、前述したのと同じ上段と下段への変速要求命令43、44または45、46で実現することもでき、その場合、電子制御装置40は、状況に応じてボタンが押されることにより、例えば論理ゲートまたはブール関数を介して、適切に割込み信号を発生できる。
【0157】
本発明の変速装置8でのモード選択を示すフローチャートを図20に示す。
【0158】
同図において、ステップ201においてスイッチオンされると、電子制御装置40は、ステップ202において通常走行動作モード、特に手動操作での通常走行動作モードにはいる。この通常走行動作モードは、前述の方法で変速要求命令43〜46が入力されるまで維持されるが、そうでない場合にはステップ203に進んで動作モードを変えるべきかどうかが判定される。この判定ステップ203では、どれか一つの手動入力命令、特にボタン61を押すことにより発生されるモード選択要求信号の有無がモニターされる。
【0159】
判定ステップ203の出力がYESであれば、すなわち、モード選択要求信号がアクティブであると、電子制御装置40は、ステップ204において、乗り手がプログラミングモードを選択したがっているかどうかを判定する。肯定的な場合には、ステップ206で否定的な返答を受けるまでステップ205でプログラミングモードを維持し、ステップ206において乗り手がプログラミングモードを維持するつもりがないと判定すると、ステップ202に戻って通常走行動作モードで制御する。それに対して、ステップ204において否定的につまりプログラミングモードに入るべきでないと判定すると、電子制御装置40は、ステップ207で診断モードが望まれているかどうかを判定し、診断モードに入るべきと判定されると、ステップ209で否定的な返答を受けるまでステップ208で診断モードを維持し、ステップ209において乗り手が診断モードを維持するつもりがないと判定すると、ステップ202に戻って通常走行動作モードで制御する。ステップ207において否定的につまり診断モードに入るべきでない判定すると、電子制御装置40は、ステップ210で前述の操作モードが望まれているかどうかを判定し、操作モードに入るべきと判定されると、ステップ212で否定的な返答を受けるまでステップ211で操作モードを維持し、ステップ212において乗り手が操作モードを維持するつもりがないと判定すると、ステップ202に戻って、乗り手が選択する手動、半自動または自動操作による通常走行動作モードで制御する。
【0160】
スプロケットの理論位置の値またはそれから得られる較差の値、オーバーストローク量の値および/または変速位置の値などについては、チェーン13に対する変速部9、10全体のずれ(misalignments )および/または変速部9、10のスプロケット11、12相互間のずれを勘案して、補正できるようになっている。このことは、例えば本願出願人が2002年12月6日に出願したヨーロッパ特許出願第2425750号、同第2425751号に開示されており、これらの開示内容は本願明細書の一部をなす。
【0161】
マイクロプロセッサによる電子制御装置40については、例えば、C―MOS技術で作製するのが好ましく、消費電力が少なくてすむ利点が得られる。
【0162】
専用ハードウェアで実現する代わりに、前述した電子制御装置40の機能を、小型コンピュータにロード可能なソフトウェアプログラムで実現することもできる。
【符号の説明】
【0163】
4 後輪
7 ペダル・クランク軸
8 自転車用(電子サーボ支援型)変速装置
9 後側変速部
10 前側変速部
11 後側(第1または第2)スプロケット
12 前側(第1または第2)スプロケット
13 チェーン
14 後側ガイドエレメント
15 前側ガイドエレメント
16 後側アクチュエータ
17 前側アクチュエータ
18 後側検出器(位置検出手段)
19 前側検出器(位置検出手段)
30 配電盤
40 電子制御装置
47 後側カウンター
48 前側カウンター
49 後側記憶手段
50 前側記憶手段
51 オーバーストローク記憶手段
52 変速記憶手段
60 表示装置
A 後側変速部の軸
B 前側変速部の軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用変速装置(8)を電子的にサーボ支援する方法であって、
a)少なくとも二つのスプロケットを有する変速部(9、10)における第1スプロケット(11、12)からそれに隣接する第2スプロケット(11、12)への自転車用変速装置(8)のチェーン(13)の移動を要求する信号を受信する(101、102)ステップと、
b1)前記第1スプロケットの直径が前記第2スプロケットの直径よりも小さい場合に(101)、前記第2スプロケットに対する上段変速位置を得る(103)ステップと、
b2)前記第1スプロケットの直径が前記第2スプロケットの直径よりも大きい場合に(102)、前記第2スプロケットに対する下段変速位置を得る(104)ステップと、
c)前記チェーン(13)のガイドエレメント(14、15)を、前記変速部(9、10)の軸方向において、前記第1スプロケットから、前記第2スプロケットに対する上段変速位置または下段変速位置へ移動させるように、前記変速部(9、10)のアクチュエータ(16、17)を駆動する(109、110)ステップとを備えた方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2スプロケット(11、12)に対する上段変速位置と下段変速位置が、前記第2スプロケット(11、12)の理論位置について非対称である方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第2スプロケットに対する上段変速位置を得る(103)前記ステップ(b1)が、
b11)前記第2スプロケットの理論位置を得る(105)ステップを有する方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2スプロケットに対する上段変速位置を得る(103)前記ステップ(b1)が、
b12)所定のオーバーストローク量を前記第2スプロケットの理論位置に代数的に加算する(107)ステップを有する方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項において、
前記第2スプロケットに対する下段変速位置を得る(104)前記ステップ(b2)が、
b21)前記第2スプロケットの理論位置を得る(106)ステップを有する方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2スプロケットに対する下段変速位置を得る(104)前記ステップ(b2)が、
b22)所定のオーバーストローク量を前記第2スプロケットの理論位置に代数的に加算する(108)ステップを有する方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項において、
c1)前記ステップ(c)で移動させた前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する(112、114、117〜121)ステップと、
d)前記ガイドエレメントを、前記変速部の軸方向において、前記変速位置から、前記第2スプロケットの理論位置へ移動させるように、前記変速部のアクチュエータを駆動する(116)ステップとを備えた方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、
e)所定の時間(T)だけ待機する(113〜114)ステップを有する方法。
【請求項9】
請求項7において、
前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、
f)移動終了要求信号を待機する(117)ステップを有する方法。
【請求項10】
請求項7において、
前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、
g)所定の最小時間(Tmin)だけ待機する(118〜119)ステップと、
h)移動終了要求信号を待機する(117)ステップとを有する方法。
【請求項11】
請求項7において、
前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、
h)所定の最小時間(Tmin)の経過をモニターする(119、120)ステップと、
i)移動終了要求信号の受信をモニターする(117)ステップとを有し、
前記ステップ(d)が、前記移動終了要求信号(119)の受信時(117)と前記所定の最小時間(Tmin)の経過時(119)との遅い方に実行される方法。
【請求項12】
請求項7において、
前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、
i)移動終了要求信号の受信をモニターする(117)ステップと、
j)所定の最大時間(Tmax)の経過をモニターする(120、121)ステップとを有し、
前記ステップ(d)が、前記移動終了要求信号の受信時(117)と前記所定の最大時間(Tmax)の経過時(121)との早い方に実行される方法。
【請求項13】
請求項7において、
前記ガイドエレメントの位置を一時的に維持する前記ステップ(c1)が、
h)所定の最小時間(Tmin)の経過をモニターする(119、120)ステップと、
i)移動終了要求信号の受信をモニターする(117)ステップと、
j)所定の最大時間(Tmax)の経過をモニターする(120、121)ステップとを有し、
前記ステップ(d)が、前記移動終了要求信号の受信(117)が前記所定の最大時間(Tmax)の経過(121)よりも前である場合には、前記移動終了要求信号の受信時(117)と前記所定の最小時間(Tmin)の経過時(119)との遅い方に実行され、前記所定の最大時間(Tmax)の経過が前記移動終了要求信号の受信(117)よりも前である場合には、前記所定の最大時間(Tmax)の経過時(121)に実行される方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項において、
前記変速位置もしくは前記オーバーストロークの量および/または前記所定の各時間(T、Tmin、Tmax)の値を設定する(205)ステップを備えた方法。
【請求項15】
自転車用変速装置(8)を電子的にサーボ支援するためのプログラムであって、
コンピュータで実行した場合に請求項1から14のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するのに適したプログラムコード手段を備え、少なくとも一つのマイクロコントローラで実行されるプログラム。
【請求項16】
請求項1から14までのいずれか一項に記載の方法のステップを実行する電子回路。
【請求項17】
自転車(1)の後輪(4)のハブに設けられている少なくとも二つのスプロケット(11)を有する変速部(9)の軸方向(A)に、チェーン(13)をガイドエレメント(14)を介して移動させる、モータを有する後側アクチュエータ(16)と、
自転車(1)のペダル・クランク軸(7)に設けられている少なくとも二つのスプロケット(12)を有する変速部(10)の軸方向(B)に、チェーン(13)をガイドエレメント(15)を介して移動させる、モータを有する前側アクチュエータ(17)と、
各変速部(9、10)における第1スプロケット(11、12)からそれに隣接する第2スプロケット(11、12)への前記チェーン(13)の移動を要求する信号を発生する手段(40;43〜46)と、
前記後側アクチュエータ(16)と前側アクチュエータ(17)とに接続され、前記チェーン移動要求信号を受信して、前記後側または前側アクチュエータ(16、17)を駆動する電子制御装置(40)とを備えた自転車用変速装置(8)において、
前記電子制御装置(40)が、前記ガイドエレメント(14、15)を、前記第1スプロケット(11、12)から、前記第1スプロケット(11、12)の直径が前記第2スプロケット(11、12)の直径よりも小さい場合には前記第2スプロケット(11、12)に対する上段変速位置へ、前記第1スプロケット(11、12)の直径が前記第2スプロケット(11、12)の直径よりも大きい場合には前記第2スプロケット(11、12)に対する下段変速位置へ移動させるように、前記後側または前側アクチュエータ(16、17)を駆動することを特徴とする自転車用変速装置。
【請求項18】
請求項17において、
前記第2スプロケット(11、12)に対する上段変速位置と下段変速位置が、前記第2スプロケット(11、12)の理論位置について非対称である自転車用変速装置。
【請求項19】
請求項17または18において、
前記電子制御装置(40)が、所定の時間(T、Tmin、Tmax)の経過および移動終了要求信号(117)の受信の一群から選ばれた少なくとも一つの条件を確認する手段(113〜114、117〜121)を有し、この確認手段(113〜114、117〜121)にしたがって、前記ガイドエレメント(14、15)を、前記第2スプロケット(11、12)に対する上段変速位置または下段変速位置から、前記第2スプロケット(11、12)の理論位置へ移動させるように、前記後側または前側アクチュエータ(16、17)を駆動する自転車用変速装置。
【請求項20】
請求項17から19までのいずれか一項において、
前記電子制御装置(40)が、少なくとも一つの第2スプロケット(11、12)に対する上段変速位置および/または下段変速位置を記憶する記憶手段(52)を有する自転車用変速装置。
【請求項21】
請求項17から19までのいずれか一項において、
前記電子制御装置(40)が、少なくとも一つのスプロケット(11、12)の理論位置と、前記少なくとも一つのスプロケット(11、12)に対する上段変速位置または下段変速位置との間の差を表す少なくとも一つの較差を記憶する記憶手段(51)を有する自転車用変速装置。
【請求項22】
請求項20または21において、
前記電子制御装置(40)が、各スプロケット(11、12)の理論位置を表す情報を記憶する記憶手段(49、50)を有する自転車用変速装置。
【請求項23】
請求項17から22までのいずれか一項において、
前記後側変速部(9)に対する前記ガイドエレメント(14)の位置を示す後側カウンター(47)と、
前記前側変速部(10)に対する前記ガイドエレメント(15)の位置を示す前側カウンター(48)とを備えた自転車用変速装置。
【請求項24】
請求項17から23までのいずれか一項において、
前記後側アクチュエータ(16)と前側アクチュエータ(17)の位置をそれぞれ検出して前記電子制御装置(40)に供給する位置検出手段(18、19)を備え、その位置検出手段(18、19)が後側検出器(18)および前側検出器(19)で構成される自転車用変速装置。
【請求項25】
請求項24において、
前記電子制御装置(40)が、前記位置検出手段(18、19)により検出された位置に基づいて、フィードバック制御方式で後側または前側アクチュエータ(16、17)を駆動する自転車用変速装置。
【請求項26】
請求項23または24において、
前記後側アクチュエータと前側アクチュエータ(16、17)の各モータが、ステッピングモータであり、1ステップまたは整数倍のステップにわたって前記後側アクチュエータ(16)または前側アクチュエータ(17)が移動すると、前記後側カウンター(47)または前側カウンター(48)が単位量だけ増加または減少する自転車用変速装置。
【請求項27】
請求項17から26までのいずれか一項において、
前記電子制御装置(40)と前記後側および前側アクチュエータ(16、17)との間に配電盤(30)を備えた自転車用変速装置。
【請求項28】
請求項17から27までのいずれか一項において、
前記電子制御装置(40)が、C−MOS技術で作製した少なくとも一つのマイクロコントローラを有する自転車用変速装置。
【請求項29】
請求項17から28までのいずれか一項において、
前記電子制御装置(40)が、表示装置(60)用のマイクロコントローラおよび/または手動入力手段(43〜46、61〜63)を制御する装置用のマイクロコントローラおよび/または配電盤(30)用のマイクロコントローラを有する自転車用変速装置。
【請求項30】
請求項29において、
前記表示装置(60)が取外し自在である自転車用変速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−25926(P2011−25926A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210722(P2010−210722)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【分割の表示】特願2004−136642(P2004−136642)の分割
【原出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【出願人】(592072182)カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (94)
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
【Fターム(参考)】