説明

航行システム

【課題】本発明は主に航空システムに関する。航空機の機種、性能、速度、方向、トラブル、気流などの要素データから単位時間に滞在する領域をセルとして演算し、複数のセルが重合するときに、重合セルを分離する回避ベクトルを求め、手動、自動のいずれかで回避ベクトルに従う航行をすることによって事故を防止するシステム。
【解決手段】航空機の速度、方向によるベクトルを回転軸、性能、気流、トラブルなどの要素データを算入して予測される航路を母線として円錐状の領域をセルとして演算し、複数のセルが重合したときに、セルが分離する回避を手動、自動で実行するシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
移動体の航行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特に航空機においては、従来は管制官の視認と指示によって航行していたが、システムによって航空機の航行状況を把握して、二重に安全措置を講じることが求められていた。
その為には、状況をシステムが検出することと危険をシステム的に解消することが望まれていたが、そうしたことを実現する技術がなかった。移動体が船舶、自動車である例においても同様である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人とシステムの両者によって安全性を確保することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
入力部、中央処理部、出力部、記憶部を備える航行システムにおいて、移動体の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに、記憶部に格納されるプログラムとデータから、速度と方向によって定まるベクトルを求める手段と、誤差を含んで予測されるベクトルを求める手段を備え、前記ベクトルによって定まる領域をセルとして求める手段を備え、前記セルを単位時間に応じて求めることを特徴とする。
入力部、中央処理部、出力部、記憶部を備える航空システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに記憶部に格納されるプログラムとデータから速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備えることを特徴とする。
入力部、中央処理部、出力部、記憶部を備える航空システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに記憶部に格納されるプログラムとデータから速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備え、他機へ自機のセルを送信する手段を出力部が備えることを特徴とする。
入力部、中央処理部、出力部、記憶部を備える航空システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに記憶部に格納されるプログラムとデータから速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備え、他機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに速度と方向によって定まるベクトルから他機の前記セルを演算する手段を備えることを特徴とする。
入力部、中央処理部、出力部、記憶部を備える航空システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに記憶部に格納されるプログラムとデータから速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備え、前記セルを管制エリアを管制する管制システムに送信する手段を出力部が備える。
入力部、中央処理部、出力部、記憶部を備える航空システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに記憶部に格納されるプログラムとデータから速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備え、管制エリアを管制する管制システムの中央処理部は前記管制エリアに所在する航空機の速度と方向によって定まるベクトルから前記セルを求める手段を備えることを特徴とする。
複数の航空機の前記セルが重合するときに、これらのセルが分離するベクトルを回避ベクトルとして演算する手段を中央処理部が備えることを特徴とする。
航空システムにおいて、前記回避ベクトルを演算する手段を航空機に搭載する航空システムの中央処理部が備えることを特徴とする。
航空システムにおいて、回避ベクトルを演算する手段を管制システムの中央処理部が備えることを特徴とする。
航空システムにおいて、前記回避ベクトルを他機のシステムと管制システムの少なくともいずれかひとつに送信する手段を航空機に搭載する航空システムの出力部が備えることを特徴とする。
航空システムにおいて、前記回避ベクトルを管制システムの出力部が航空機に搭載する航空システムの入力部に送信する手段を備えることを特徴とする。
航空システムにおいて、回避ベクトルが航空機に搭載する航空システムによって演算され、または管制システムの送信によって入力されたときに、前記回避ベクトルによって定まる速度と方向に従う航行となる速度、方向に電子制御によって設定する手段を備えることを特徴とする。
航空システムにおいて、主翼と尾翼が電子的に制御されることを特徴とする。
航空システムにおいて、前記回避ベクトルを航行することとなる速度と方向に調節、操舵する指令を航空機に搭載する航空システムの入力部に送信する手段を出力部が備えて、航空機を電子的に制御する手段を管制システムが備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
移動体の航行において通常時と緊急時の航行を予測して事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明の実施例を、航空機を例に添付図面に基づいて説明する。
1は入力部、2は中央処理部、3は出力部、4は記憶部。
本実施例による航空システムは主として航空機などに利用され3次元を2次元に変換して、平面的に移動する地域、海域の移動体にも適用する。入力部1は各種の指令またはデータを与え、キー、タッチパネル、音声などによって入力される。中央処理部2はコンピュータで構成され、処理手段、演算検索手段、記憶手段を有している。
記憶部には本実施例を実行する演算、検索処理のためのプログラムと必要なデータが格納されている。入力のために有線、無線の通信手段を使用することが可能である。
処理手段は記憶手段に格納されたプログラムとデータによって実現される処理機能を有している。
演算検索手段は処理手段の指令に基づいてデータを検索し必要なデータを求める機能を有する。
出力部は音声、画像によって出力し表示する他、航空システムの各機構を制御する指令として各機構の制御部に出力される。
各機構は電子制御され、当該制御手段に必要指令を与える。航空機の位置、速度と方向は管理、検出され、制御される。
次に上記構成によって実行される動作を図2を参照して説明する。
検出された速度、方向が入力手段1によって入力されると(ステップ1)、中央処理部2によって速度、方向によって定まるベクトルを回転軸とし、誤差を含むベクトルである母線で円錐状に形成されるセルが演算される(ステップ2)。
ベクトルは任意に設定される単位時間に到達する距離と移動方向を要素とするが、気流や機構上のトラブルも要素として計算される。
誤差を含むベクトルは母線として円錐状の領域を描く。
セットされる速度と方向に気流や機構上のトラブルを算入するのは回避ベクトルを演算するときも要求される。
移動状況を示す移動ベクトルを回転軸として3次元で円錐状に展開されるセルが演算され出力部3から出力される。
気流などの動的要素によってセルは円錐状が変形したものになる場合がある。
航空機の予定航路とは異なるセルが形成されたときも異常事態の例として警告がなされる必要がある。
警告は音声と画像によって通知され、セルが重合したときは自機と他機の操作者、及び管制者になされる。
セルが重合したときに明示的に音声と画像によって表現され、回避されてセルが重合することがなくなったときは通常の表現に戻す等の処理を行う。
2次元の平面上を移動するときは2次元面に通常の場合と警告時の表現を音声と画像によって行い、3次元空間の移動体は3次元で表現する。
予定航路に従って航空しているときに、航路が安定して曲率を有しているときは、概略的にセルを求めることもできる。曲率が安定しているときは、誤差を含むセルの領域を任意の時間を単位として演算し、ベクトルに対しての垂直断面における最大領域の円を予測される航路を中心として配置したことによって得られる円筒状のセルを演算によって求め、これを予測されたセルとして利用する。
この予測された円筒状のセルと予定航路を中心として誤差を含んで同様に演算されるカーブを描くチューブ状のセルを予定されたセルとして演算し、予測されるセルと予定されたセルを比較して異常事態の有無をチェックすることができる。空港の管制域を施回する航空機に適用することが望ましい。
複数の航空機のセルが航空機に搭載されるシステムか、あるいは管制システムによってチェックされ、セルが重合することが確認されると(ステップ3)、重合しないセルを形成する回避ベクトルが航空機に搭載されるシステムか、管制システムによって演算され(ステップ4)、回避ベクトル上を航行する速度に設定され、方向も主翼や尾翼を操作して変更される。この時の速度や方向は電子制御装置の制御部に回避ベクトルか、または回避ベクトルを航行するための指令が送信されて、自動的に変更され、人の操作を介在させないようにすることが望ましい(ステップ5)。
図3の5,6は航空機に搭載されるシステム、7は管制システムで5,6,7は双方向的に送受信する。
図4はパイロットや管制官に提示されるか、またはシステムが自動的に制御するために搭載システム5,6、管制システム7の中央処理部に入力されればよく、図4はパイロットや管制官に提示される例を除けば、説明のために図に示したものである。8,9,15は航空機、10,11,16はセル、12,13は回避ベクトル、14は管制センター。
以下は本発明による実施例を説明する。
各実施例の説明では中央処理部2に関し所定の処理機能を有する回路要素を想定して説明を行う。
各実施例は必要に応じて用途、場面において任意に選択され組み合わせて実施する。
【実施例1】
【0007】
航空システムにおいて航空機の位置を、例えば衛星電波による測位法によって得る場合に、この位置と航空機の速度と方向から任意に設定される単位時間における移動距離と方位が算出され、単位時間におけるベクトルを検出することが可能である。
航空機がセットした速度と方向に気流その他の異変を含む動的要素を要素的データとして算入して得られる実際の速度と方向が誤差を含む移動ベクトルとして利用される。
ベクトルは線分で得られるがランダムに変化する気流の影響によって単位時間が経過したときの航空機の位置は拡張した領域の中に推定される。
こうしたことから、ベクトルによって形成される3次元のセルはベクトルを回転軸として誤差を含むベクトルである母線で円錐状に形成されることになる。
航空機の種別によっても気流の影響は異なるので、航空機の種別、速度、気流の流れの方向、機構上のトラブル、その他の異変などの動的要素と航空機のセットした方向などが相互に作用することなどを取り込んでベクトルが推測され、このベクトルによってセルが演算される。
中央処理部2はこうした演算を行う。
【実施例2】
【0008】
セルを演算したときに、このセルは他の航空機の航行に関しては、航行に適合しない空域であることとなるので、この単位時間において不適合である単位空域であるセルは自機と他機の航行の安全を確保する上で、極めて重要な情報となる。
自機と他機のセルは単位時間における不適合である単位空域として相互に通知されるべきものでレーザーなどの光学的手段か電磁波的手段、その他の手段によって送信することが必要である。
【実施例3】
【0009】
他機の種別、速度、方向、気流などの要素から他機のベクトルを演算することができる。
他機から要素データを受信するか、第三者から受けるか、または自機のレーダー他の識別手段で得た情報から他機のセルを自機の航空システムに備える中央処理部2によって演算する。
【実施例4】
【0010】
航空機が航行するエリアを管制する管制システムに航空機が搭載する航空システムが演算して得たセルを送信する。送信手段は任意とする。
管制システムが了知している要素データに変更、その他何らかのトラブルによる異変などが新たに要素としてあり、これらの要素に基づいてセルが演算される例においては重要な実施例となる。
【実施例5】
【0011】
管制システムに備える入力部1から管制の対象エリアに所在する航空機に関する要素データが入力され、このデータから航空機のセルが中央処理部2によって演算される。
管制システムを管制官が管理する場合は管制官にこれらのセルが出力部3によって提示される。
航空システムによって管理が自動的に運営される例においてはセルが予定されたものか否かがシステムによってチェックされる。
【実施例6】
【0012】
航空機のセルが図4のセル10と11のように重合するときに、システムの出力によってパイロットかまたは管制官が認知して航空システムに指示を入力したときか、または航空システムがセルの重合を検知したときは、重合しているセルを分離することが可能な航空機のベクトルを回避ベクトルとして演算する手段を航空システムの中央処理部2が備えるようにする。
【実施例7】
【0013】
自機と他機のセルが重合する場合にパイロットの指示の入力によるか、航空システムの自動による動作によって回避ベクトルを演算する手段を航空機が搭載する航空システムの中央処理部2が備える。
回避ベクトルは、トラブルを含む航空機の速度調整と操舵の性能によって制約される可変性が要素とされる他、気流や他機のセルが要素として演算される。
【実施例8】
【0014】
複数の航空機のセルが重合するときに、管制官の指示の入力によるか、管制システムの自動による動作によって回避ベクトルを演算する手段を管制システムの中央処理部2が備える。
【実施例9】
【0015】
航空機が搭載するシステムが回避ベクトルを演算したときに重合するセルの他機か、または管制システムの少なくともいずれかひとつに送信して通知する手段を航空システムの出力部3が備える。
【実施例10】
【0016】
管制システムの中央処理部2が回避ベクトルを演算したときに、出力部3は航空機に搭載する航空システムの入力部1に送信する手段を備える。
このときに航空機の搭載するシステムに入力される要素データと管制システムに入力される要素データが相違して回避ベクトルが異なる場合がある。
要素データの精密度の比較基準を設定して優位性を検証する必要があるが、一般的には要素データの要素数による検証か、異変に関するデータの時系列によるものとするか、パイロットと管制官の交信を採用するか等の方法によって対応されることになる。
緊急時は緊急回避のマニュアルに従うパイロットの判断によることになる。
【実施例11】
【0017】
回避ベクトルが自機の航空システムによって演算され、または他機か管制システムによって演算されて、送信によって自機の航空システムに入力されたときに、回避ベクトルに従う速度と方向に航行する速度調整と操舵が行われる。
自機の故障他のトラブルや気流も要素として回避ベクトルが演算される。
緊急時のマニュアルに従ってパイロットの手動による場合もあるが、電子制御によって自動的に速度調整と操舵がなされることが望ましい。
油圧式他の機構を電子回路によって統合的に制御する手段を航空システムが備え、この制御手段に航空システムからの指令が入力される。
セルを演算するために設定される単位時間は通常の運行時と緊急時では異なるようにするか、または通常時においてもマニュアルによって変化させることが望ましい。
航空機の種別によって、通常の航行によって形成されるセルと、緊急時に対応する性能に基づく可変性を要素として形成されるセルは異なる。複数のセルが重合する場合、単位時間が経過したときに到達する位置によって求められる円錐状のセルの底面を形成する領域の重なりが重要で、単位時間の設定によって複数のセルが立体的に交差する態様を認めることはできても、この情報では回避ベクトルは演算できない。
セルが重合する時間帯と、各航空機がその時間帯にその重合するセルの領域に存在する確率の有無が検証される必要がある。存在する確率が0でない限りは回避ベクトルを演算して対応する必要がある。
相対的に高速の航空機が重合領域に存在する時間帯は短いものとなるが、低速の航空機は重合領域に長く滞在することになる。セルを演算する単位時間がセルが重合するポイントに航空機が到達する所要時間に一致することが望ましく、単位時間は常にセルの重合の有無をチェックするために変更する必要がある。管制エリアに所在する航空機の密度によっても単位時間は変更される。
【実施例12】
【0018】
航空機の速度調整と操舵が航空機に搭載される航空システムに備える電子回路によって電子的に制御されることが望ましく、もしトラブルが生じたときは、管制システムに電子回路を備えて副次的に補完して管制システムの指令を搭載システムに送信して入力する。
【実施例13】
【0019】
航空機が何らかのトラブルで破壊すべきものであるときは、当該航空機の速度と方向を検出し、これからベクトルを求める。
当該航空機の速度と方向を対象空域を管制する管制システムか、または他の航空機が搭載するシステムが備える検出手段によって観測し、検出された速度と方向によって破壊すべき対象航空機のベクトルを求める。
検出手段は電磁波的技術、光学的技術のいずれでもよく、3次元で捕捉した対象航空機の軌跡から演算する等の方法でもよく、その手段は任意である。
求められたベクトルを回転軸とし、気流他の動的要素データと誤差を含んだベクトルを母線として円錐状の領域を演算し、この領域を対象領域であるセルとして設定し、このセルにおいて対象航空機を破壊する。
ベクトルを求める単位時間は、対象航空機の速度や破壊手段によって任意とする。
対象領域で破壊を実行するための機材が必要であるときは、この機材を当該セルの領域に移送するための手段が必要とする所要時間と単位時間を調整する。
対象領域に機材を移送するための所要時間よりも、長い時間が単位時間として設定されれば破壊すべき対象航空機が高速度で航行するものであるときも対応可能である。対象航空機のトラブルは人為的、物理的原因によって危険が生じた場合が含まれる。
破壊手段は任意であるが、ガス、ネット、滞空機材と爆発物他の破壊機能材とによって構成して、対象領域にこれらの破壊手段を展開する。滞空機材としてはパラシュート、球状に形成したネット、その他空気抵抗を大きくする形状のものを利用する。
【実施例14】
【0020】
船舶に応用する実施例においては、種別、性能などの静的条件の他、目的、規制等の人為的条件、なんらかのトラブル、風、海流、気象といった動的条件があり、その他にも地理的条件が航行に関わってくる。管制部と自船と他船がどのようにシステムを分担し、機能を備えるかは航空機と同様でよいが、船舶の実施例においては風、海流、地理の各条件が複合的に影響を及ぼす為に、自船にこれらを観測し検知するシステムを備えることが望ましく、また他船との交信によって相互に条件を提供するか、または他船の種別、性能、目的、風や海流から受ける影響の態様等を自船で観測、検知し、また予測するシステムを備えることが望ましい。
自船の速度と方向及び風、海流の影響を主とした誤差を含んで予測されるベクトルを演算し、または、動的条件によって生じる誤差の最大値によって得られるベクトルを求め、船舶の速度と方向によって演算されるベクトルを中心軸として誤差を含むベクトルによって定まる領域を単位時間に応じてセルとして演算する。
衛星電波による測位機能を備えている実施例においては軌跡を延長することによって得られるベクトルを中心軸に、これを風、海流によって受ける影響を概算的に含んだものとして扱い、その後においても同様に影響を受けるものとして求められる予測されるベクトルとしてセルをこれらのベクトルによって演算することも可能である。
複数のセルが重合したときは回避マニュアルに従い、風、海流を要素として船舶の各セルが分離されることとなるベクトルを回避ベクトルとして演算する。
船舶と対象海域を管理する管制部との相互の連絡と作業と動作は航空機におけるシステムと共通の仕様にすることが可能である。
【実施例15】
【0021】
陸域において自動車等高速で移動する移動体に実施する例においては、回避ベクトルが得られたときの回避動作は緊急事態を除いてドライバーの手動による操作によってなされるものとすることが望ましい。
人、他の自動車等の回避すべき対象が自車等のセルに存在することとなったときでも、航空機や船舶と比較すると複雑で多様な状況下におかれることとなり、自動回避は現実的なものとはならない。
自車の移動する速度と方向から得られる移動ベクトルに対して誤差を生じる要因は路面や機構上のトラブル、強風等、限られたものであり、概略的に誤差を含むベクトルによって領域が設定されてセルが演算される。
セルを演算する単位時間は、ドライバー等の対応能力を要素とすることが望ましく、標準となる能力を予定するかまたは任意に設定可能なものとすることがよい。
単位時間によって得られたセルの領域内に対象が存在することとなった時は音声、画像によってその状況、少なくとも警告を通知する出力をする。
回避動作がドライバー等の操作者によって一定時間内になされないときは自動的に回避する動作がシステムによって為される必要があるが原則として操作者の手動によって回避されるべきである。
自動回避は速度の低減に止めるべきで方向や車線の変更等はすべきではない。
避けるべき対象の速度、方向を検知する機能を備え、回避に要する時間内に操作者の動作がなされたか否かを識別し、自車のベクトルが、対象がセルの領域外に外れることとなったか否かを検知し、外れていないときは警告の通知を継続する。
対象と自車の距離はたとえセルの中に対象が存在しているときでも、自車の速度が低速であることによって危険を生じないこともあり、操作者の回避能力に照らして速度に応じたセルが必要となる。
速度のレベル毎に、また操作者の能力に応じた単位時間をセルの演算に用いることが望ましい。
対象の検知は音波、電波、レーザーなど任意とし、対象の移動態様から、そのベクトルを演算し、対象のベクトルから得られるセルを求め、その対象のセルから回避する動作を自動、手動のいずれかで行う必要がある。
回避に要する時間は操作者の能力とともに、自車の性能にもよるので自車の性能によってセルを演算する単位時間を設定することが望ましい。
対象の挙動が予測困難であるときは対象の挙動によって演算されるセルを拡張して、対象のセルと自車のセルが重合したときは警告を通知する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の構成図
【図2】本発明のフローチャート例
【図3】本発明のシステム図
【図4】本発明の概念図
【符号の説明】
【0023】
(1)入力部、(2)中央処理部、(3)出力部、(4)記憶部、(5)(6)航空機搭載システム、(7)管制システム、(8)(9)(15)航空機、(10)(11)(16)セル、(12)(13)回避ベクトル、(14)管制センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部、中央処理部、出力部、記憶部を備える航行システムにおいて、移動体の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに、記憶部に格納されるプログラムとデータから、速度と方向によって定まるベクトルを求める手段と、誤差を含んで予測されるベクトルを求める手段を備え、前記ベクトルによって定まる領域をセルとして求める手段を備え、前記セルを単位時間に応じて求めることを特徴とする航行システム。
【請求項2】
請求の範囲第1項記載の航行システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに、記憶部に格納されるプログラムとデータから、速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として、誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備えることを特徴とする航空システム。
【請求項3】
請求の範囲第2項記載の航行システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに、記憶部に格納されるプログラムとデータから、速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として、誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備え、他機へ自機のセルを送信する手段を出力部が備えることを特徴とする航空システム。
【請求項4】
請求の範囲第2項記載の航行システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに、記憶部に格納されるプログラムとデータから、速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として、誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備え、他機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに速度と方向によって定まるベクトルから他機の前記セルを演算する手段を備えることを特徴とする航空システム。
【請求項5】
請求の範囲第2項記載の航行システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに、記憶部に格納されるプログラムとデータから、速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として、誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備え、前記セルを管制エリアを管制する管制システムに送信する手段を出力部が備える航空システム。
【請求項6】
請求の範囲第2項記載の航行システムにおいて、航空機の速度と方向が入力部によって中央処理部に入力されたときに、記憶部に格納されるプログラムとデータから、速度と方向によって定まるベクトルを回転軸として、誤差を含んで予測されるベクトルである母線で円錐状に形成される領域をセルとして、前記セルを演算する手段を中央処理部が備え、管制エリアを管制する管制システムの中央処理部は前記管制エリアに所在する航空機の速度と方向によって定まるベクトルから前記セルを求める手段を備えることを特徴とする航空システム。
【請求項7】
請求の範囲第2,3,4,5、6項記載の航行システムにおいて、複数の航空機の前記セルが重合するときに、これらのセルが分離するベクトルを回避ベクトルとして演算する手段を中央処理部が備えることを特徴とする航空システム。
【請求項8】
請求の範囲第7項記載の航行システムにおいて、前記回避ベクトルを演算する手段を航空機に搭載する航空システムの中央処理部が備えることを特徴とする航空システム。
【請求項9】
請求の範囲第7項記載の航行システムにおいて、回避ベクトルを演算する手段を管制システムの中央処理部が備えることを特徴とする航空システム。
【請求項10】
請求の範囲第8項記載の航行システムにおいて、前記回避ベクトルを他機のシステムと管制システムの少なくともいずれかひとつに送信する手段を航空機に搭載する航空システムの出力部が備えることを特徴とする航空システム。
【請求項11】
請求の範囲第9項記載の航行システムにおいて、前記回避ベクトルを管制システムの出力部が航空機に搭載する航空システムの入力部に送信する手段を備えることを特徴とする航空システム。
【請求項12】
請求の範囲第7項記載の航行システムにおいて、回避ベクトルが航空機に搭載する航空システムによって演算され、または管制システムの送信によって入力されたときに、前記回避ベクトルによって定まる速度と方向に従う航行となる速度、方向に電子制御によって設定する手段を備えることを特徴とする航空システム。
【請求項13】
請求の範囲第12項記載の航行システムにおいて、主翼と尾翼が電子的に制御されることを特徴とする航空システム。
【請求項14】
請求の範囲第7項記載の航行システムにおいて、前記回避ベクトルを航行することとなる速度と方向に調節、操舵する指令を航空機に搭載する航空システムの入力部に送信する手段を出力部が備えて、航空機を電子的に制御する手段を管制システムが備えることを特徴とする航空システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−193765(P2007−193765A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182474(P2006−182474)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000210160)
【Fターム(参考)】