色変換層のパターニング方法およびこれを用いた有機ELディスプレイの製造方法
有機EL素子のための色変換層をパターニングする方法を、該パターニング方法を用いて多色発光有機ELディスプレイを製造する方法とともに提供する。該パターニング方法は、有機層を有する支持体上に色変換層を形成する工程、および熱サイクルナノインプリント法を実施することにより色変換層をパターニングする工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年1月24日に出願された日本国特許出願第2007−013579号に基づく優先権を主張し、その内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、有機ELディスプレイの色変換層をパターン形成する方法に関する。また、本発明は、色変換層をパターン形成する方法を利用して画素の形状に合わせてパターン形成された色変換層によって三原色の内少なくとも一色以上を発光する有機ELディスプレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、有機EL素子について、実用化に向けての研究が活発に行われている。有機EL素子は低電圧で高い電流密度が実現できるために高い発光輝度および発光効率を実現することが期待され、特に高精細なマルチカラーまたはフルカラー表示が可能な多色発光有機ELディスプレイの実用化が期待されている。
【0004】
有機ELディスプレイのマルチカラー化またはフルカラー化の方法の一例として、特定波長領域の光を透過させる複数種のカラーフィルタ層を用いる方法(カラーフィルタ法)がある。カラーフィルタ法を適用する場合、用いられる有機EL素子は、多色発光して、光の三原色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))をバランスよく含む、いわゆる「白色光」を発光することが求められる。
【0005】
多色発光有機EL素子を得るために、(1)複数の発光色素を含む発光層を用い、該複数の発光色素を同時に励起する方法、(2)ホスト発光材料とゲスト発光材料とを含む発光層を用い、ホスト発光材料を励起および発光させると同時に、ゲスト材料へのエネルギー移動および発光をさせる方法、(3)異なる発光色素を含む複数の発光層を用い、それぞれの層において発光色素を励起させる方法、(4)発光色素を含む発光層と該発光層に隣接して発光性ドーパントを含むキャリア輸送層とを用い、発光層においてキャリア再結合によって生成する励起子から、一部の励起エネルギーを発光性ドーパントに移動させる方法などが検討されてきている。
【0006】
しかしながら、前述の多色発光有機EL素子において、発光は、複数種の発光材料を同時に励起させるか、あるいは複数種の発光材料間のエネルギー移動のいずれかに依拠している。そのような素子において、駆動時間の経過または通電電流の変化に伴って、発光材料間の発光強度バランスが変化し、得られる色相が変化する恐れがあることが報告されてきている。
【0007】
多色発光有機ELディスプレイを得るための方法として、単色発光の有機EL素子と色変換層(蛍光変換層、蛍光体薄膜、または蛍光部材フィルムとも呼ばれる。)とを用いる色変換法が提案されている(例えば、特許文献1に相当する特許文献2(メタルマスク製膜)、特許文献3に相当する特許文献4、および特許文献5参照)。用いられる色変換層は、短波長の光を吸収して、長波長への光へと変換する1つまたは複数の色変換物質を含む層である。
【0008】
色変換層の形成法としては、色変換物質を蒸着ないしスパッタのようなドライプロセスで堆積させて、2000nm以下、好ましくは300nmから600nm程度の膜厚を得ることなどが検討されてきている(特許文献1参照)。蒸着法により色変換層を形成する場合、表示面の全面に膜を形成すると三原色を分けて発光することが出来ないため、特定の画素に対応する微細パターンを何らかの手段により別個に形成することが必要になる。現在の所、蒸着材料薄膜を別個にパターン形成する方法としては、メタルマスクによる塗分け法がある。しかしながら、メタルマスクによる蒸着パターン形成法は古くから知られているが、マスクパターンの微細化に対してはマスク材質と厚さによる限界から、150〜200画素/インチ(ppi)の精細度レベルが限界である。それ以上の高精細なパターンに対しては困難さが増し、大面積化には到底及ばず、歩留りも低下するという問題がある。例えば、十分な強度を提供するためにメタルマスクに必要とされる厚さはおよそ50ミクロンであるが、しかし、この厚さは、メタルマスクパターンがとりうる開口(opening)のサイズを制限する。さらに、メタルマスクと基板との間の熱膨張係数の差は、アラインメントの問題を引き起こす。大サイズのメタルマスク(例えば、730mm×920mmのオーダー)は、屈曲および膨張の問題に起因して、最大数十ミクロンまで位置がずれる可能性がある。
【0009】
一方、有機膜をパターン形成する方法として、ナノインプリント法の適用が提案および検討されている。例えば、硬い基板上に塗布したレジスト材料を用い、所定の凹凸を有する原版をレジストに押圧して電極隔離壁を形成することが提案されている(例えば、特許文献6参照)。これは、流動性に富むレジスト材料であるためにパターン形成することは可能である。しかしながら、蒸着法により形成される、あるいは、色素だけから形成される色変換層の場合には、その流動性が不足し、さらに厚みがサブミクロンオーダーと薄いため、所望のパターンを形成することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0043043号明細書
【特許文献2】特開2002−075643号公報
【特許文献3】米国特許第6,781,304号明細書
【特許文献4】特開2003−217859号公報
【特許文献5】特開2000−230172号公報
【特許文献6】特開2005−158584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上を考慮して、本発明の目的は、精細度に問題があるメタルマスクを使わずに実施できるパターニング方法を提供し、それによって、微細なパターンを有する色変換層を形成することである。加えて、当該微細なパターンを有する色変換層を用いて、色変換方式の多色発光する有機ELディスプレイパネルを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1波長の光を吸収し、第1波長と異なる第2波長を含む光を出力する有機EL素子のための色変換層をパターニングする方法を提供する。
【0013】
本発明の方法は、支持体上に色変換層を形成する工程、および熱サイクルナノインプリント法を行うことにより前記色変換層をパターニングする工程を含む。加えて、前記色変換層をパターニングする工程の後に、酸素プラズマ処理を行うことができ、前記色変換層自体は、好ましくは、真空蒸着法を用いて形成される。好ましい実施形態では、色変換層は、色変換色素のみからなってもよい。
【0014】
付加的に、前記支持体の表面にカラーフィルタ層を形成し、および前記カラーフィルタ層上に平坦化層を形成する。前記色変換層は、前記平坦化層上に形成する。
【0015】
パターニング処理の間に下層の素子構造を保護するために、任意選択的に、前記色変換層と前記平坦化層との間に保護層を配設することができる
【0016】
前記色変換層のパターニングを行うために使用される前記熱サイクルナノインプリント法は、微細パターンが形成されたモールドを加熱する工程、前記モールドを前記色変換層に接触させる工程、および前記モールドを前記色変換層中に押し付けて、前記色変換層上に前記モールドの前記微細バターンを転写させる工程を含む。最良の結果を得るために、前記モールドの加熱温度は、好ましくは、前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内である。
【0017】
前記色変換を形成する工程および前記色変換層をパターニングする工程は、好ましくは、質および収率を最高にするために、インライン真空プロセス中で行われる。前記インライン真空プロセスは、真空を維持しながら様々な処理ステーション間で被加工物を移動させる。前記インライン真空プロセスは、被加工物を別個の容器(通常、不活性ガスを含有する)中に装填する工程、前記容器を次の処理ステーションに移動させる工程、および次いで前記被加工物を次の処理ステーションにおいて取り出す工程にわたって、優れた結果を提供する。
【0018】
前記色変換層をパターニングする上述の方法は、優れた特性を有する有機ELディスプレイを製造する方法において利用される。例えば、1つの好ましい方法において、支持体上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を配設する。次いで、前記カラーフィルタ層の上面に平坦化層を形成し、および前記平坦化層の上面に、色変換層を形成する。前記色変換層のパターニングは、上述の熱サイクルナノインプリント法を利用して行う。次いで、好ましくは、パターニングされた前記色変換層の上面にバリア層を形成する。
【0019】
次いで、有機EL素子を、前記バリア層の上面に形成するか、または前記構造に貼り合わせることができる。例えば、例示する1つの実施形態において、前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層、色変換層およびバリア層は、色変換フィルタ構造を定義し、および前記色変換フィルタ構造は、トップエミッション型のEL素子に貼り合わされる。
【0020】
あるいはまた、本発明の有機ELディスプレイを製造する方法は:支持体上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を配設する工程、前記カラーフィルタ層の上面に平坦化層を形成する工程、および前記平坦化層の上面に第1バリア層を形成する工程によって、カラーフィルタ構造を提供する工程;デバイス基板上に有機EL層を形成する工程、前記有機EL層の上面に、第1波長の光を吸収しおよび第1波長とは異なる第2波長を含む光を出力する色変換層を形成する工程、熱サイクルナノインプリント法を行うことにより前記色変換層をパターニングする工程、および前記色変換層の上面に第2バリア層を形成する工程によって、有機EL素子を提供する工程;および前記カラーフィルタ構造を、前記有機EL素子に、第1バリア層と第2バリア層とが対向するように貼り合わせる工程を含む。
【0021】
上述の製造方法を、本発明に従って、透明基板、それぞれ異なる波長域の光を透過し支持体の表面に配置される少なくとも2種類のカラーフィルタ層、前記カラーフィルタ層の上面に配置される平坦化層、および少なくとも1種類のカラーフィルタ層と位置合わせがされこれに対応する画素素子の配列を含む色変換層を有する有機ELディスプレイを作製するために使用することができる。
【0022】
各画素素子は、慣用の製造方法を用いては得ることができなかった、50μm未満の幅を有する。
【0023】
さらに、各画素素子は、同様に慣用の製造方法を用いて得ることができなかった、5μm以下の画素間のギャップを有する。
【0024】
例示する実施形態において、画素素子は、ディスプレイの色画素のサブピクセルを構成する。しかしながら、本発明は、同様に、画素素子が全て単一の色に対応する単色のディスプレイにも適用可能である。
【0025】
本発明は、さらに、デバイス構造のバリエーションを提供する。例えば、色変換層は、平坦化層の上面に配置されてもよく、およびバリア層は、色変換層およびバリア層の上面に配置される有機EL層の上面に配置されてもよい。
【0026】
あるいはまた、色変換層は、平坦化層の上面に配置され、バリア層は色変換層の上面に配置され、ここで、支持体、カラーフィルタ層、平坦化層、色変換層およびバリア層は、色変換フィルタ構造を定義し、ここで、色変換フィルタ構造は、有機EL素子に貼り付けられる。
【0027】
さらに、本発明の有機ELディスプレイは、デバイス構造上に配置される有機EL素子、平坦化層の上面に配置される第1バリア層、および色変換層の上面に配置される第2バリア層を含んでいてもよく、ここで、前記色変換層は、前記有機EL素子の上面に配置されており、ここで、前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層および第1バリア層は、カラーフィルタ構造を構成し、ここで、デバイス基板、有機EL素子、色変換層および前記第2バリア層は有機EL素子構造を構成し、およびここで、カラーフィルタ構造は、前記第1バリア層および前記第2バリア層が対向するように、前記有機EL素子構造に貼り合わされている。
【発明の効果】
【0028】
本発明のパターニング方法を色変換層のパターニングに用いることにより、色変換層を蒸着する際には連続膜(ベタ膜)にて形成できる。従って、慣用の方法において見られるような、精細度に問題があるメタルマスクを用いる必要がない。そのため、色変換層を、従前の方法によっては得ることができなかった画素解像度を有する微細なパターンに形成できる。加えて、本発明は、同様に、従前慣用の方法によっては得られなかった大表面積を有するディスプレイを作製することができる。例えば、慣用のメタルマスクは、最大550mm×650mmの配列を作製することができる可能性があるが、本発明は、少なくとも1つの寸法が650mmより大きい配列を含む、はるかに大きい寸法の配列を作製することができる。その結果、本発明の色変換層のパターンニング工程により、高精細のディスプレイの容易かつ経済的な作製が可能となる。
【0029】
本発明を、そのいくつかの好ましい実施形態および添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1B】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1C】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1D】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1E】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1F】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1G】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1H】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1I】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1J】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図2】本発明のトップエミッション型の有機ELディスプレイの構成の1つの例を示す断面図である。
【図3】本発明のトップエミッション型の有機ELディスプレイの構成の別の例を示す断面図である。
【図4】変形された凸部を有する、本発明において使用されるモールドの1つの例を示す断面図である。
【図5】本発明において使用されるモールドのパターンとして、凹凸部の配列を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、ある波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力する有機EL素子のための色変換層をパターニングする方法を提供する。前記色変換層のパターニングは、有機層を有する支持体上に前記色変換層を形成する工程;および微細パターンが形成されたモールドを加熱して前記色変換層に接触させて加圧する熱サイクルナノインプリント法により、前記色変換層を変形させて前記モールドの微細パターンの形状を前記色変換層上に転写する工程を備え、前記モールドを前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内の温度に加熱し、および、前記色変換層の形成および前記色変換層のパターニングを、好ましくは、インライン真空プロセス中で実施することを特徴とする色変換層のパターニング方法によって行う。
【0032】
以下、図1Aから図1Jに例示するように、パッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの作製フローの例を用いて本発明を説明する。
【0033】
図1Aに示すように、支持体たる透明基板10上に、ブラックマトリクス40およびカラーフィルタ層30(R,G,B)を配設する。前記ブラックマトリクス40およびカラーフィルタ層30(R,G,B)の上面に平坦化層6を配設して、積層構造を形成する。
【0034】
ここで、本発明のディスプレイで用いる透明基板10は、光透過性に富み、且つ、ブラックマトリクス40、カラーフィルタ層30(R,G,B)、および後述する色変換層20および有機EL素子(電極、有機発光層等)の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものである。さらに、材料は寸法安定性に優れていることが好ましい。また、材料は、多色発光ディスプレイの性能低下を引き起こさないものであれば良い。例としては、ガラス、各種プラスチック、各種フィルム等を使用してもよい。
【0035】
また、前記カラーフィルタ層30(R,G,B)は、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイに用いられる材料を用いて形成することができる。近年はフォトレジストに顔料を分散させた、顔料分散型材料がよく用いられる。フラットパネルディスプレイ用のカラーフィルタ層は、400nm〜550nmの波長の光を透過する青色カラーフィルタ層、500nm〜600nmの波長の光を透過する緑色カラーフィルタ層、600nm以上の波長の光を透過する赤色カラーフィルタ層を配列したものが一般的である。
【0036】
また、任意選択的に、各カラーフィルタ層のサブピクセル間に可視域の波長の光を透過しないブラックマトリクス40を配設して、ディスプレイのコントラストの向上を図ることができる。ブラックマトリクス40は、フラットパネルディスプレイの作製に一般に用いられる材料を用いて形成することができる。
【0037】
カラーフィルタ層30(R,G,B)の上面の平坦化層6は、カラーフィルタ層を保護する目的で配設されるものである。加えて、その名の通り、平坦化層6は、膜面の平坦化の目的も併せ持って配設されるものである。このため、光透過性に富み且つカラーフィルタ層30(R,G,B)を劣化させることなく配設できる材料を選択し、およびそのような特性を劣化させることなく平坦化層6を形成できるプロセスを選択する必要がある。平坦化層6は、一般的には塗布法で形成される。
【0038】
平坦化層6の形成に適用可能な材料としては、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を、光および/または熱処理して、ラジカル種やイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものが一般的である。また、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、パターニングを行うために、硬化をする前は有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0039】
具体的に、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂とは、(1)アクロイル基および/またはメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物、(4)エポキシ基を有するモノマーと光酸発生剤からなる組成物などが挙げられる。特に上記(1)の光硬化性又は光熱併用型硬化性樹脂が高精細でパターニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
【0040】
その他、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、メタクリル樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系等の熱可塑性樹脂を使用することもできる。さらに、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。あるいはさらに、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート等と3官能性、あるいは4官能性のアルコキシシランを含むポリマーハイブリッド等も利用することができる。
【0041】
次に、図1Bに示すように、図1Aで示した積層体の平坦化層6の上面に、保護層5を設ける。保護層5は、平坦化層6と後述する色変換層20との間に任意選択的に配設される層である。後述する本発明の熱サイクルナノインプリント法による色変換層20のパターニングによって赤色変換層20Rの形成をする際に、平坦化層6が色変換層20と共にパターニングされてしまう可能性がある。そのため、保護層5を配設することによって平坦化層6を保護してもよい。
【0042】
保護層5の材料としては、可視域における透明性が高い材料(400〜700nmの波長範囲で透過率50%以上)を用いることができる。保護層5のために、熱サイクルナノインプリント法に耐えうる硬度として、好ましくは2H以上の膜硬度(日本工業規格(JIS)K5600−5−4に従って測定)を有する材料を用いてもよい。例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx、SnO2、ITO、In2O3、IZO、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−ガリウム酸化物等の無機酸化物、無機窒化物等が使用できる。該保護層5の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法等の手法により形成できる。上述の保護層5は単層でも、あるいは複数の層が積層されたものでもよい。
【0043】
次に、図1Cに示すように、前述の保護層5の上面に色変換層20を設ける。保護層5は任意選択的に配設される(言い換えれば、任意選択的な層である)ので、保護層5が配設されない場合には、平坦化層6の上面に直接に色変換層20を配設することができる。
【0044】
色変換層20とは、1種または複数種の色変換色素から形成される層である。好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm〜1μmの膜厚を有する。色変換層20は、ドライプロセス、好ましくは真空蒸着法によって形成される。真空蒸着法の加熱方式としては、直接加熱法、間接加熱法のいずれであっても良く、例えば抵抗加熱、電子ビーム加熱あるいは赤外線加熱等を用いることができる。複数種の色変換色素を用いて色変換層20を形成する場合、複数種の色変換色素を所定の比率で混合した予備混合物をあらかじめ作製し、その予備混合物を用いて共蒸着を行ってもよい。あるいはまた、複数種の色変換色素を別個の加熱部位に配置し、それぞれの色変換色素を別個に加熱して共蒸着を行ってもよい。特に複数種の色変換色素の間に特性(蒸着速度、蒸気圧など)の大きな差が存在する場合、後者の方法が有効である。
【0045】
色変換色素とは、光源から発せられる近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して波長分布変換を行い、異なる波長の可視光を放射するものである。特に青色ないし青緑色領域の光を吸収することが好ましい。
【0046】
色変換層20を形成するための色変換色素としては、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3)などのアルミキレート系色素;3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135などのクマリン系色素;ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44のようなナフタルイミド系色素;4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM−1(I))、DCM−2(II)、およびDCJTB(III)などのシアニン色素;ローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素;ピリジン1などのピリジン系色素;4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(IV)、ルモゲンFレッド、ナイルレッド(V)などを含む種々の色素を用いることができる。また、公知である各種ELの発光層に用いられているホスト−ゲスト材料を色変換色素として使用しても良い。
【0047】
【化1】
【0048】
次に、図1D〜図1Fを参照して、色変換層のパターニング方法について詳述する。広い面積においてミクロンオーダのギャップで赤色変換層20Rの形状をパターニングする方法として、ナノインプリント法を活用する。ナノインプリント法は、本来は、塗布したレジストに対して、微細パターンが形成されたモールドを接触、加圧することによりレジストを変形させ、レジスト表面に微細パターンを転写する方法である。本発明では、好ましくは、ガラス転移温度(Tg)を有する色変換色素を用いて製膜された色変換層20を、色変換色素のTg近傍の温度より高く且つ分解温度または蒸発温度未満の温度に加熱、軟化させる熱サイクルナノインプリント法を用いる。
【0049】
第1に、図1Dに示すように、モールド80を、その凹凸パターンを色変換層20と対向させて配置する。ここで、モールド80は、本発明に用いられるモールドの1つの例である。第2に、図1Eに示すように、モールド80を所定の温度に加熱し、色変換層20に接触させて加圧する。このときに、色変換層20は、色変換層20の下にある有機層(カラーフィルタ層30(R、G、B)、平坦化層6等)の変形による補助を受けながら変形し、モールド80の凹部へと流動する。その後に、冷却を行って、図1Fに示すように、熱サイクルナノインプリント法によってパターニングされた色変換層(本例では赤色変換層20R)が得られる。
【0050】
モールド80の加熱温度は、色変換層20のガラス転移温度(Tg)近傍より高く設定する。Tg−25℃以上が好ましい。ここで、色変換層のTgとは、色変換層20を構成する色変換色素のTgを指す。加熱温度をこの範囲内とすることによって、色変換色素の流動性を高めて層内の流動を充分に行い、所望されるパターン形状を有する色変換層を得ることが容易となる。また、モールド80を色変換色素の分解温度以上に加熱すると色変換色素が分解してしまうため、前述の温度範囲内であっても、モールド80の加熱温度を色変換色素の分解温度未満、好ましくは分解温度よりも50℃以上低く設定することが望ましい。ここで、色変換色素の分解温度は、熱量重量分析−示差熱分析(TG−DTA測定)または質量分析(TGMS測定)によって決定することができる。同様に、モールド80を色変換色素の蒸発温度以上に加熱すると色変換色素が蒸発してしまうため、前述の温度範囲内であっても、モールド80の加熱温度を色変換色素の蒸発温度未満に設定することが望ましい。より好ましくは、モールド80の加熱温度は色変換色素のTg±25℃の範囲内である。加熱温度をこの範囲とすることで、冷却時の収縮によるパターンの変形を防止することが可能となる。色変換層20に色変換色素を複数含む場合のモールド80の加熱温度は、色変換層の主成分としての色変換色素のTg、蒸発温度を考慮して設定する。
【0051】
モールド80の材料としては、加熱温度に耐えられ、十分な硬度を有し、且つモールド表面にミクロンオーダの形状を形成できる材料が好ましく、石英、金属、シリコン、セラミック、樹脂等が適用可能である。モールド80への微細パターン形成方法としては、例えばレジストや無機酸化膜等の材料をマスクとしたエッチングによって形成できる。また、モールド80の凹部の深さは、色変換層20の膜厚より深くする。モールド80を色変換層20に接触させ加圧した際に、モールド80のパターンの凹部の底部表面と、色変換層20に形成される凸部の上部表面との間に空間があると、分離のためにモールド80を引き上げやすい。また、モールド80のパターン形状は、例えば図5の斜視図に示すような所望の凹凸の形状(モールド84)とすることができる。図4の断面図に示される本発明に用いられるモールドの例(モールド82)の如く、凸部にそれぞれ楔状の傾きを形成した形状とすると、色変換色素の流動を補助するためさらに好ましい。このような形状とすることにより、色変換層下部の有機層が楔の表面に沿って適度に変形し、色変換色素をモールドの凹部方向に押し出す作用をして色変換層のパターンを形成しやすくなる。また、モールド80を色変換層20から引き上げる際に、モールド80によって形成された色変換層20のパターン部がモールド80と一緒にはがれないように、モールド80の表面に色変換層20とモールド80との密着性を低下させるためフッ素コートをしても良い。微細パターン形成時のモールド80による加圧等により、下地(平坦化層6)へのダメージが問題となる場合は、上述したように保護層5を配設しても良い。
【0052】
本発明の色変換層20のパターニングは、真空中(本発明において、真空とは10-4Pa以下)もしくは不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。色変換色素は有機物であるため、水分・酸素に弱い。また、パーティクル、すなわち概ねミクロンオーダの大きさの画像欠陥をもたらすごみも、色変換層をパネルに形成した際にパーティクルがパネルに付着すると、リークに影響を与え、電流が常に流れてしまう状態となる。したがって、好ましくは真空中でパターニングを行うことが好ましい。この場合、色変換層20を製膜した後、引き続いてパターニングを行うチャンバーまで積層体を真空で搬送(インライン真空プロセス)すると、色変換層20に対するパーティクル・水分・酸素の影響が少ない。ただし、上記色変換層20が、水分・酸素に強く、適切なパーティクル対策がなされている場合、所望ならば、パターニングを行う場所は空気中でも良い。
【0053】
本発明において、上記熱サイクルナノインプリント法の実施後に、青色・緑色カラーフィルタ層30(B,G)に対応する位置(すなわち、青色・緑色サブピクセル)に色変換層20が残存してしまった場合には、必要に応じて残存した色変換層を除去することが望ましい。なぜなら、青色・緑色サブピクセルの位置に色変換層20が残存した場合に、青色・緑色サブピクセルの輝度が低下するからである。残存した色変換層20の除去には、酸素プラズマ処理、窒素プラズマ処理、またはドライエッチングを用いることができ、特に酸素プラズマ処理を用いることが好ましい。この除去工程を実施する場合には、赤色サブピクセルの位置の赤色変換層20Rも該工程によってダメージを受けるため、図1Cに示した色変換層20の成形工程において、必要な膜厚よりも厚い色変換層20を形成することが望ましい。なお、色変換層20が青色・緑色のサブピクセルの位置に残存しても表示性能に問題が発生しない場合には、残存した色変換層の除去を省略することができる。
【0054】
次に、図1Gに示すように、前述の赤色変換層20Rを覆って第1バリア層4を形成する。前述のとおり、色変換色素は有機物であるため、水分・酸素に弱い。そのため水分・酸素から色変換色素を保護する必要がある。ここで、図1Gに示すように、赤色変換層20R以下の層を覆うように第1バリア層4を形成してもよい。この構成は、後述する有機EL素子の保護にも有効である。第1バリア層4の材料としては、電気絶縁性を有し、ガスおよび有機溶剤に対するバリア性を有し、可視域における透明性が高い材料(400〜700nmの波長範囲で透過率50%以上)を使用することができる。第1バリア層4のために、後述する透明電極2の製膜に耐えうる硬度として、好ましくは2H以上の膜硬度を有する材料を用いてもよい。例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物、無機窒化物等を使用することができる。第1バリア層4の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法等の手法により形成できる。上述の第1バリア層4は単層でも、あるいは複数の層が積層されたものでもよい。
【0055】
最後に、図1Hから図1Jに示すように、前述の第1バリア層4の上面に有機EL素子を配設する。本発明において、有機EL素子は、有機EL層3と電極(透明電極2および後述する反射電極1)とから構成される。まず、図1Hに示すように、前述の第1バリア層4の上面に透明電極2を配設する。透明電極2は、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、IZO、酸化亜鉛、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−ガリウム酸化物、またはこれらの酸化物に対してF、Sbなどのドーパントを添加した導電性透明金属酸化物を用いて形成することができる。透明電極2は、蒸着法、スパッタ法または化学気相堆積(CVD)法を用いて成膜した後に、フォトリソグラフ法等を用いてパターニングして形成される。好ましくはスパッタ法を用いて形成される。
【0056】
透明電極2は、陽極であっても陰極であってもよい。透明電極2を陰極として使用する場合には、透明電極2と有機EL層3との間に陰極バッファ層を設けて、電子注入効率を向上させてもよい。陰極バッファ層は、Li,Na,KまたはCsなどのアルカリ金属、Ba,Srなどのアルカリ土類金属またはそれらを含む合金、希土類金属、あるいはそれら金属のフッ化物などから形成することができる。透明性を確保する観点から、陰極バッファ層の膜厚を10nm以下とすることが望ましい。
【0057】
次に、図1Iに示すように、透明電極2の上面に有機EL層3を配設する。本発明において、有機EL層3は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、有機EL素子には下記のような層構造からなるものが採用される。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0058】
有機EL層3を構成する各層の材料としては、公知のものが使用される。また、有機EL層3を構成する各層は、蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
【0059】
青色から青緑色の発光を得るための有機発光層の材料としては、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などの材料が好ましく使用される。また、有機発光層の発光は、必要に応じて白色発光でも良い。その場合は公知の赤ドーパントが使用される。
【0060】
そして、図1Jに示すように、有機EL層3の上面に反射電極1を配設して、ボトムエミッション型パッシブマトリクス駆動の有機ELディスプレイが得られる。反射電極1は、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。反射電極1を、陰極として用いてもよいし、陽極として用いてもよい。反射電極1を陰極として用いる場合には、反射電極1と有機EL層3との界面に、前述の陰極バッファ層を設けて有機EL層に対する電子注入の効率を向上させてもよい。あるいはまた、前述の高反射率の金属、アモルファス合金または微結晶性合金に対して、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属を添加して合金化し、電子注入効率を向上させることができる。一方、反射電極1を陽極として用いる場合には、反射電極1と有機EL層3との界面に、前述の導電性透明金属酸化物の層を設けて有機EL層3に対する正孔注入の効率を向上させてもよい。
【0061】
反射電極1は、用いる材料に依存して、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、レーザーアブレーションなどの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。後述するように複数の部分電極からなる反射電極1が必要になる場合には、所望の形状を与えるマスクを用いて複数の部分電極からなる反射電極1を形成してもよい。
【0062】
上述のように、本発明に用いられる有機EL素子は、透明電極2、有機EL層3および反射電極1によって構成されるが、ここで、本構成における有機EL素子は、独立して制御される複数の発光部を有してもよい。例えば、反射電極1および透明電極2の両方を複数のストライプ状部分電極から形成し、反射電極1を構成するストライプ状部分電極が延びる方向と透明電極2を構成するストライプ状部分電極が延びる方向とを交差させて、パッシブマトリクス駆動される独立した複数の発光部を有する有機EL素子を形成することができる。前記の交差は直交とすることが好ましい。
【0063】
以上においては、図1Jに示すようなボトムエミッション型有機ELディスプレイを用いて本発明を説明した。しかしながら、本発明はトップエミッション型有機ELディスプレイを作製する際にも適用可能である。トップエミッション型有機ELディスプレイの構成例を図2、3に示す。
【0064】
まず、図2に示す構成例を用いて本発明を説明する。例えば、図1A〜図1Gで説明したように、第1バリア層4を形成する工程まで完了した色変換フィルタを作製する。なお、前述したように、保護層5は任意選択である。別途、デバイス基板11の上面に、反射電極1、有機EL層3および透明電極2をこの順に形成したトップエミッション型有機EL素子を作製する。有機EL素子において、第2バリア層14を形成しても良い。なお、第2バリア層14の材料および形成方法は、第1バリア層4と同じものを用いることができる。また、第2バリア層14は、単層であっても複層であってもよい。第1バリア層4と透明電極2(存在する場合には第2バリア層14)とが対向するように、前記色変換フィルタと前記トップエミッション型有機EL素子とを貼り合わせることによって、図2に示すようなトップエミッション型有機ELディスプレイを得ることができる。反射電極1、有機EL層3、および透明電極2は、前述の方法を用いて形成することができる。色変換フィルタとトップエミッション型有機EL素子との接着は、基板周縁部に設けた接着層50を用いて実施することができる。接着層50は、例えばUV硬化接着剤を用いて形成することができる。
【0065】
ここで、デバイス基板11は、透明基板10と同様の材料に加えて、シリコン、セラミックなどの不透明な材料を用いて形成することができる。また、この構成における有機EL素子は、アクティブマトリクス駆動型の素子とすることができる。アクティブマトリクス駆動型有機EL素子は、デバイス基板11上に複数のスイッチング素子を設け、反射電極1を発光部の画素ないしサブピクセルに対応する複数の部分電極から形成し、該複数のスイッチング素子を複数の部分電極と1対1に接続し、および透明電極2を一体型の共通電極とすることによって形成することができる。
【0066】
あるいはまた、図3の構成のトップエミッション型有機EL素子を形成してもよい。デバイス基板11の上に反射電極1、有機EL層3および透明電極2を形成して得られるトップエミッション型有機EL素子の上面に色変換層20を形成する。引き続き、図1D〜図1Fで説明した熱サイクルナノインプリント法を施して赤色変換層20Rをパターニングする。赤色変換層20R以下の層を有機EL素子の第2バリア層14で覆うことによって、トップエミッション型有機EL素子を形成することもできる。この場合には、有機EL層3が熱サイクルナノインプリント法を実施するのに必要な弾性を提供する層となる。所望により、透明電極2上にバリア層および平坦化層をこの順に設け、その上に色変換層20を形成して熱サイクルナノインプリント法を実施して、赤色変換層20Rをパターニングしてもよい。この場合には、平坦化層により表面の凹凸を緩和し、また、熱サイクルナノインプリント法を実施するのに必要な弾性をさらに高めることができる。そして、このトップエミッション型有機EL素子と、図1Aで説明したブラックマトリクス40、カラーフィルタ層30(R,G,B)、平坦化層6、および図1Gで説明した第1バリア層4を配設したカラーフィルタとを、第1および第2バリア層4、14が対向するように貼り合わせることによって、図3に示すようなトップエミッション型有機ELディスプレイを得ることができる。なお、図3に示す構成においては、第1バリア層4ではなく、第2バリア層14が赤色変換層20Rを覆って形成されている点が、図2の構成と異なる。この場合にも、カラーフィルタとトップエミッション型有機EL素子との接着は、デバイス基板11の周縁部に設けた接着層50を用いて実施することができる。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
以下の(1)〜(8)の手順に従い、本発明の多色発光有機ELディスプレイを作製した。
【0068】
(1)カラーフィルタ層30の形成
1737ガラス(コーニング社製)を透明基板10として用い、その上に、ブラックマトリクス用材料(CK-7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)、赤色カラーフィルタ層用材料(CR-7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)、緑色カラーフィルタ層用材料(CG-7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)、および青色カラーフィルタ層用材料(CB-7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)を用いて、ブラックマトリクス40およびカラーフィルタ層30(R,G,B)を形成した。各層の膜厚はそれぞれ1μmであった。
【0069】
作製したカラーフィルタ層のサブピクセル寸法は100μm×30μmであり、サブピクセル間のギャップ(すなわち画素間のギャップ)は縦方向10μm、横方向5μmであった。前記サブピクセル3個(赤・青・緑)で1画素であり、縦方向に50画素、横方向に50画素が配列されていた。
【0070】
(2)平坦化層6の形成
前記カラーフィルタ層30(R,G,B)を覆うように、新日鐵化学製V259PAPを塗布および硬化させて、平坦化層6を形成した。平坦化層6の膜厚は2μmとした。得られた平坦化層6の上面は平坦であった。
【0071】
(3)保護層5の形成
前記平坦化層6の上面に、スパッタ法にて、膜厚200nmのIZO膜からなる保護層5を得た。スパッタ装置にはRF−ブレーナマグネトロンを、ターゲットにはIZOを用いた。製膜時のスパッタガスにはArを使用した。形成時の基板温度は80℃であった。
【0072】
(4)色変換層20の形成
前記保護層5の上面に、抵抗加熱蒸着装置で、Alq3およびDCM−2からなる色変換層20を作製した。具体的には、Alq3およびDCM−2を蒸着装置内の別個の坩堝にて加熱する共蒸着によって、膜厚400nmの色変換層20を作製した。この際に、Alq3の蒸着速度を0.3nm/s、DCM−2の蒸着速度を0.005nm/sとなるように、それぞれの坩堝の加熱温度を制御した。本実施例の色変換層20は、色変換層20の総構成分子数を基準として2モル%のDCM−2を含んだ(Alq3:DCM−2のモル比が49:1である)。
【0073】
(5)赤色変換層20Rのパターニング
前記色変換層20が形成された積層体を、引き続き、真空中にて、ナノインプリント装置に搬送し、真空中で熱サイクルナノインプリント法を実施した。100μm×30μmの寸法を有する複数の凹部が縦方向10μm、横方向75μmのギャップで配列されたパターンを有するモールド84を、温度150℃に加熱し、30kgf/cm2(2.94MPa(ゲージ圧))の圧力で色変換層20に押し付けて、色変換層20をパターニングし、モールド84を加圧したままの状態で、温度を室温まで下げて冷却した。続いて酸素プラズマ処理を20秒間行い、各100μm×30μmの寸法を有する複数のパターン形成部分が縦方向10μm、横方向75μmのギャップで配列された微細パターンを有する赤色変換層20Rを形成した。
【0074】
(6)第1バリア層4の形成
真空を破ることなく、赤色変換層20Rをパターン形成した積層体をプラズマCVD装置に移動させた(インラインプロセス)。次いで、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)及び窒素(N2)を用いるプラズマCVD法を用いて、赤色変換層20R以下の層を覆うように膜厚3μmの窒化シリコン(SiN)を堆積させ、第1バリア層4を形成した。ここで、SiNを堆積する際に基板温度は100℃以下とした。
【0075】
(7)有機ELディスプレイの形成
上記のようにして製造した第1バリア層4の上面に、透明電極2/有機EL層3(正孔輸送層/有機発光層/電子注入輸送層の3層)/反射電極1を順次形成して、有機EL素子を形成した。
【0076】
具体的には、まず、第1バリア層4の上面にスパッタ法にてITOを全面製膜した。ITO上にレジスト剤(OFRP−800:東京応化工業株式会社製)を塗布した後、フォトリソグラフ法にてパターニングを行い、それぞれの色の発光部(赤色、緑色、および青色)に位置する、幅30μm、および膜厚200nmの縦方向に延びる複数のストライプパターンをギャップ5μmで配列した透明電極2を得た。
【0077】
次いで、前記透明電極2を形成した積層体を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔輸送層、有機発光層、および電子注入層を、真空を破らずに順次製膜した。製膜に際して、抵抗加熱蒸着装置の真空槽内圧を1×10-4Paまで減圧した。正孔輸送層として4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を50nm積層した。有機発光層として4,4’-ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニルを30nm積層した。電子注入層としてアルミニウムキレート(Alq3)を20nm積層した。
【0078】
その後、真空を破ることなしに、横方向に延び、10μmのギャップで配列された100μmのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層を堆積させ、反射電極1を形成して、有機ELディスプレイを形成した。
【0079】
(8)有機ELディスプレイの封止
こうして得られた有機ELディスプレイを、グローブボックス内で乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラス(図示せず)とUV硬化接着剤からなる接着層とを用いて封止した。
【0080】
このように、本発明ではメタルマスクの下限(50μm幅)未満で赤色変換層20Rをパターン形成することが可能であった。この下限は、サブピクセル幅およびサブピクセル間のギャップの組み合わせである。
【0081】
(実施例2,3,4、および比較例5)
色変換層20のパターニングにおいてモールド84の加熱温度を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2,3,4および比較例5の有機ELディスプレイを得た。
【0082】
[評価1]
得られた有機ELディスプレイの色変換層20のパターニングとモールド84の加熱温度との関係について、目視評価を行い、結果を以下の第1表に示した。表中の○および△は、パターン形成された赤色変換層20Rが得られたことを示し(パターンの輪郭部が鮮明な場合を○、不鮮明な場合を△とした)、×は、パターン形成された赤色変換層20Rが得られなかったことを示す。なお、Alq3のガラス転移温度(Tg)は150℃、蒸発温度は約300℃、分解温度は約550℃である。
【0083】
【表1】
【0084】
以上のように、モールド84の加熱温度をTg+100℃(実施例4)とした場合は、赤色変換層20Rのパターンは形成できたが、パターンの輪郭部が不鮮明となっていた。また、Tg−40℃(比較例5)にすると赤色変換層20Rのパターン形成はできなかった。しかしながら、Tg±25℃の範囲(実施例1〜3)では赤色変換層20Rのパターンが良好に形成された。
【0085】
(比較例6)
色変換層20を蒸着後、積層体を真空装置から取り出して、基板搬送容器に収納し、ナノインプリント装置に搬送し、窒素中にて熱サイクルナノインプリントを実施したこと以外は実施例1と同様にして積層体を処理して有機ELディスプレイを得た。
【0086】
[評価2]
得られた有機ELディスプレイについて、パネルリーク数を目視することによって、色変換層20の形成後のパターニング環境の影響を確認して、第2表に示した。なお、パネルリーク数とはパネル内のリーク箇所数をいい、パネルリーク数が少ないほどパターニング環境は良好であり、最終製品にとって望ましい。
【0087】
【表2】
【0088】
以上のように、色変換層20を形成した積層体を真空を破ることなくインラインで搬送して真空中で熱サイクルナノプリント法によりパターニングを行った方が、積層体を工程間に容器に収納して搬送して窒素中で熱サイクルナノプリント法によりパターニングを行うよりも、パネルリーク数が少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のパターニング方法を用いることにより、先行技術のメタルマスク法で従前は得ることができなかった解像度およびディスプレイ寸法を有する有機ELディスプレイを作製することが可能となる。例えば、メタルマスク法は、50μm以上のサブピクセル幅に制限されるが、本発明は、50μm未満、および、色変換層以外のパターンニング成分の問題に起因して5μmがより実際的な商業的限度ではあるが、0.3μm程度の小さなサブピクセル幅をもたらすことができる。さらに、先行技術の方法は、約10μmのサブピクセル間のギャップに制限されるが、本発明は、5μm以下のサブピクセル間のギャップを実現する。同様に、メタルマスクを用いるディスプレイ全体の寸法は、歪みの原因となるマスクの屈曲性に起因して、500mm×650mmに制限されるが、本発明は、ほとんど無制限のサイズの、および特に、650mmよりも大きい少なくとも1つの寸法(長さまたは幅)を有する配列のディスプレイを作製することができる。本発明についてのディスプレイサイズの唯一の制限は、色変換層を配設する処理装置の能力である。
【0090】
特に、好ましい実施形態を参照して本発明を示しおよび説明したが、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、形態および詳細に、先述および他の変更を加えることができることが理解されよう。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年1月24日に出願された日本国特許出願第2007−013579号に基づく優先権を主張し、その内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、有機ELディスプレイの色変換層をパターン形成する方法に関する。また、本発明は、色変換層をパターン形成する方法を利用して画素の形状に合わせてパターン形成された色変換層によって三原色の内少なくとも一色以上を発光する有機ELディスプレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、有機EL素子について、実用化に向けての研究が活発に行われている。有機EL素子は低電圧で高い電流密度が実現できるために高い発光輝度および発光効率を実現することが期待され、特に高精細なマルチカラーまたはフルカラー表示が可能な多色発光有機ELディスプレイの実用化が期待されている。
【0004】
有機ELディスプレイのマルチカラー化またはフルカラー化の方法の一例として、特定波長領域の光を透過させる複数種のカラーフィルタ層を用いる方法(カラーフィルタ法)がある。カラーフィルタ法を適用する場合、用いられる有機EL素子は、多色発光して、光の三原色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))をバランスよく含む、いわゆる「白色光」を発光することが求められる。
【0005】
多色発光有機EL素子を得るために、(1)複数の発光色素を含む発光層を用い、該複数の発光色素を同時に励起する方法、(2)ホスト発光材料とゲスト発光材料とを含む発光層を用い、ホスト発光材料を励起および発光させると同時に、ゲスト材料へのエネルギー移動および発光をさせる方法、(3)異なる発光色素を含む複数の発光層を用い、それぞれの層において発光色素を励起させる方法、(4)発光色素を含む発光層と該発光層に隣接して発光性ドーパントを含むキャリア輸送層とを用い、発光層においてキャリア再結合によって生成する励起子から、一部の励起エネルギーを発光性ドーパントに移動させる方法などが検討されてきている。
【0006】
しかしながら、前述の多色発光有機EL素子において、発光は、複数種の発光材料を同時に励起させるか、あるいは複数種の発光材料間のエネルギー移動のいずれかに依拠している。そのような素子において、駆動時間の経過または通電電流の変化に伴って、発光材料間の発光強度バランスが変化し、得られる色相が変化する恐れがあることが報告されてきている。
【0007】
多色発光有機ELディスプレイを得るための方法として、単色発光の有機EL素子と色変換層(蛍光変換層、蛍光体薄膜、または蛍光部材フィルムとも呼ばれる。)とを用いる色変換法が提案されている(例えば、特許文献1に相当する特許文献2(メタルマスク製膜)、特許文献3に相当する特許文献4、および特許文献5参照)。用いられる色変換層は、短波長の光を吸収して、長波長への光へと変換する1つまたは複数の色変換物質を含む層である。
【0008】
色変換層の形成法としては、色変換物質を蒸着ないしスパッタのようなドライプロセスで堆積させて、2000nm以下、好ましくは300nmから600nm程度の膜厚を得ることなどが検討されてきている(特許文献1参照)。蒸着法により色変換層を形成する場合、表示面の全面に膜を形成すると三原色を分けて発光することが出来ないため、特定の画素に対応する微細パターンを何らかの手段により別個に形成することが必要になる。現在の所、蒸着材料薄膜を別個にパターン形成する方法としては、メタルマスクによる塗分け法がある。しかしながら、メタルマスクによる蒸着パターン形成法は古くから知られているが、マスクパターンの微細化に対してはマスク材質と厚さによる限界から、150〜200画素/インチ(ppi)の精細度レベルが限界である。それ以上の高精細なパターンに対しては困難さが増し、大面積化には到底及ばず、歩留りも低下するという問題がある。例えば、十分な強度を提供するためにメタルマスクに必要とされる厚さはおよそ50ミクロンであるが、しかし、この厚さは、メタルマスクパターンがとりうる開口(opening)のサイズを制限する。さらに、メタルマスクと基板との間の熱膨張係数の差は、アラインメントの問題を引き起こす。大サイズのメタルマスク(例えば、730mm×920mmのオーダー)は、屈曲および膨張の問題に起因して、最大数十ミクロンまで位置がずれる可能性がある。
【0009】
一方、有機膜をパターン形成する方法として、ナノインプリント法の適用が提案および検討されている。例えば、硬い基板上に塗布したレジスト材料を用い、所定の凹凸を有する原版をレジストに押圧して電極隔離壁を形成することが提案されている(例えば、特許文献6参照)。これは、流動性に富むレジスト材料であるためにパターン形成することは可能である。しかしながら、蒸着法により形成される、あるいは、色素だけから形成される色変換層の場合には、その流動性が不足し、さらに厚みがサブミクロンオーダーと薄いため、所望のパターンを形成することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0043043号明細書
【特許文献2】特開2002−075643号公報
【特許文献3】米国特許第6,781,304号明細書
【特許文献4】特開2003−217859号公報
【特許文献5】特開2000−230172号公報
【特許文献6】特開2005−158584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上を考慮して、本発明の目的は、精細度に問題があるメタルマスクを使わずに実施できるパターニング方法を提供し、それによって、微細なパターンを有する色変換層を形成することである。加えて、当該微細なパターンを有する色変換層を用いて、色変換方式の多色発光する有機ELディスプレイパネルを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1波長の光を吸収し、第1波長と異なる第2波長を含む光を出力する有機EL素子のための色変換層をパターニングする方法を提供する。
【0013】
本発明の方法は、支持体上に色変換層を形成する工程、および熱サイクルナノインプリント法を行うことにより前記色変換層をパターニングする工程を含む。加えて、前記色変換層をパターニングする工程の後に、酸素プラズマ処理を行うことができ、前記色変換層自体は、好ましくは、真空蒸着法を用いて形成される。好ましい実施形態では、色変換層は、色変換色素のみからなってもよい。
【0014】
付加的に、前記支持体の表面にカラーフィルタ層を形成し、および前記カラーフィルタ層上に平坦化層を形成する。前記色変換層は、前記平坦化層上に形成する。
【0015】
パターニング処理の間に下層の素子構造を保護するために、任意選択的に、前記色変換層と前記平坦化層との間に保護層を配設することができる
【0016】
前記色変換層のパターニングを行うために使用される前記熱サイクルナノインプリント法は、微細パターンが形成されたモールドを加熱する工程、前記モールドを前記色変換層に接触させる工程、および前記モールドを前記色変換層中に押し付けて、前記色変換層上に前記モールドの前記微細バターンを転写させる工程を含む。最良の結果を得るために、前記モールドの加熱温度は、好ましくは、前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内である。
【0017】
前記色変換を形成する工程および前記色変換層をパターニングする工程は、好ましくは、質および収率を最高にするために、インライン真空プロセス中で行われる。前記インライン真空プロセスは、真空を維持しながら様々な処理ステーション間で被加工物を移動させる。前記インライン真空プロセスは、被加工物を別個の容器(通常、不活性ガスを含有する)中に装填する工程、前記容器を次の処理ステーションに移動させる工程、および次いで前記被加工物を次の処理ステーションにおいて取り出す工程にわたって、優れた結果を提供する。
【0018】
前記色変換層をパターニングする上述の方法は、優れた特性を有する有機ELディスプレイを製造する方法において利用される。例えば、1つの好ましい方法において、支持体上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を配設する。次いで、前記カラーフィルタ層の上面に平坦化層を形成し、および前記平坦化層の上面に、色変換層を形成する。前記色変換層のパターニングは、上述の熱サイクルナノインプリント法を利用して行う。次いで、好ましくは、パターニングされた前記色変換層の上面にバリア層を形成する。
【0019】
次いで、有機EL素子を、前記バリア層の上面に形成するか、または前記構造に貼り合わせることができる。例えば、例示する1つの実施形態において、前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層、色変換層およびバリア層は、色変換フィルタ構造を定義し、および前記色変換フィルタ構造は、トップエミッション型のEL素子に貼り合わされる。
【0020】
あるいはまた、本発明の有機ELディスプレイを製造する方法は:支持体上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を配設する工程、前記カラーフィルタ層の上面に平坦化層を形成する工程、および前記平坦化層の上面に第1バリア層を形成する工程によって、カラーフィルタ構造を提供する工程;デバイス基板上に有機EL層を形成する工程、前記有機EL層の上面に、第1波長の光を吸収しおよび第1波長とは異なる第2波長を含む光を出力する色変換層を形成する工程、熱サイクルナノインプリント法を行うことにより前記色変換層をパターニングする工程、および前記色変換層の上面に第2バリア層を形成する工程によって、有機EL素子を提供する工程;および前記カラーフィルタ構造を、前記有機EL素子に、第1バリア層と第2バリア層とが対向するように貼り合わせる工程を含む。
【0021】
上述の製造方法を、本発明に従って、透明基板、それぞれ異なる波長域の光を透過し支持体の表面に配置される少なくとも2種類のカラーフィルタ層、前記カラーフィルタ層の上面に配置される平坦化層、および少なくとも1種類のカラーフィルタ層と位置合わせがされこれに対応する画素素子の配列を含む色変換層を有する有機ELディスプレイを作製するために使用することができる。
【0022】
各画素素子は、慣用の製造方法を用いては得ることができなかった、50μm未満の幅を有する。
【0023】
さらに、各画素素子は、同様に慣用の製造方法を用いて得ることができなかった、5μm以下の画素間のギャップを有する。
【0024】
例示する実施形態において、画素素子は、ディスプレイの色画素のサブピクセルを構成する。しかしながら、本発明は、同様に、画素素子が全て単一の色に対応する単色のディスプレイにも適用可能である。
【0025】
本発明は、さらに、デバイス構造のバリエーションを提供する。例えば、色変換層は、平坦化層の上面に配置されてもよく、およびバリア層は、色変換層およびバリア層の上面に配置される有機EL層の上面に配置されてもよい。
【0026】
あるいはまた、色変換層は、平坦化層の上面に配置され、バリア層は色変換層の上面に配置され、ここで、支持体、カラーフィルタ層、平坦化層、色変換層およびバリア層は、色変換フィルタ構造を定義し、ここで、色変換フィルタ構造は、有機EL素子に貼り付けられる。
【0027】
さらに、本発明の有機ELディスプレイは、デバイス構造上に配置される有機EL素子、平坦化層の上面に配置される第1バリア層、および色変換層の上面に配置される第2バリア層を含んでいてもよく、ここで、前記色変換層は、前記有機EL素子の上面に配置されており、ここで、前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層および第1バリア層は、カラーフィルタ構造を構成し、ここで、デバイス基板、有機EL素子、色変換層および前記第2バリア層は有機EL素子構造を構成し、およびここで、カラーフィルタ構造は、前記第1バリア層および前記第2バリア層が対向するように、前記有機EL素子構造に貼り合わされている。
【発明の効果】
【0028】
本発明のパターニング方法を色変換層のパターニングに用いることにより、色変換層を蒸着する際には連続膜(ベタ膜)にて形成できる。従って、慣用の方法において見られるような、精細度に問題があるメタルマスクを用いる必要がない。そのため、色変換層を、従前の方法によっては得ることができなかった画素解像度を有する微細なパターンに形成できる。加えて、本発明は、同様に、従前慣用の方法によっては得られなかった大表面積を有するディスプレイを作製することができる。例えば、慣用のメタルマスクは、最大550mm×650mmの配列を作製することができる可能性があるが、本発明は、少なくとも1つの寸法が650mmより大きい配列を含む、はるかに大きい寸法の配列を作製することができる。その結果、本発明の色変換層のパターンニング工程により、高精細のディスプレイの容易かつ経済的な作製が可能となる。
【0029】
本発明を、そのいくつかの好ましい実施形態および添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1B】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1C】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1D】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1E】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1F】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1G】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1H】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1I】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図1J】本発明のパッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの製造プロセスの工程フローの1つの例を示す断面図である。
【図2】本発明のトップエミッション型の有機ELディスプレイの構成の1つの例を示す断面図である。
【図3】本発明のトップエミッション型の有機ELディスプレイの構成の別の例を示す断面図である。
【図4】変形された凸部を有する、本発明において使用されるモールドの1つの例を示す断面図である。
【図5】本発明において使用されるモールドのパターンとして、凹凸部の配列を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、ある波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力する有機EL素子のための色変換層をパターニングする方法を提供する。前記色変換層のパターニングは、有機層を有する支持体上に前記色変換層を形成する工程;および微細パターンが形成されたモールドを加熱して前記色変換層に接触させて加圧する熱サイクルナノインプリント法により、前記色変換層を変形させて前記モールドの微細パターンの形状を前記色変換層上に転写する工程を備え、前記モールドを前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内の温度に加熱し、および、前記色変換層の形成および前記色変換層のパターニングを、好ましくは、インライン真空プロセス中で実施することを特徴とする色変換層のパターニング方法によって行う。
【0032】
以下、図1Aから図1Jに例示するように、パッシブ駆動のボトムエミッション型の有機ELディスプレイの作製フローの例を用いて本発明を説明する。
【0033】
図1Aに示すように、支持体たる透明基板10上に、ブラックマトリクス40およびカラーフィルタ層30(R,G,B)を配設する。前記ブラックマトリクス40およびカラーフィルタ層30(R,G,B)の上面に平坦化層6を配設して、積層構造を形成する。
【0034】
ここで、本発明のディスプレイで用いる透明基板10は、光透過性に富み、且つ、ブラックマトリクス40、カラーフィルタ層30(R,G,B)、および後述する色変換層20および有機EL素子(電極、有機発光層等)の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものである。さらに、材料は寸法安定性に優れていることが好ましい。また、材料は、多色発光ディスプレイの性能低下を引き起こさないものであれば良い。例としては、ガラス、各種プラスチック、各種フィルム等を使用してもよい。
【0035】
また、前記カラーフィルタ層30(R,G,B)は、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイに用いられる材料を用いて形成することができる。近年はフォトレジストに顔料を分散させた、顔料分散型材料がよく用いられる。フラットパネルディスプレイ用のカラーフィルタ層は、400nm〜550nmの波長の光を透過する青色カラーフィルタ層、500nm〜600nmの波長の光を透過する緑色カラーフィルタ層、600nm以上の波長の光を透過する赤色カラーフィルタ層を配列したものが一般的である。
【0036】
また、任意選択的に、各カラーフィルタ層のサブピクセル間に可視域の波長の光を透過しないブラックマトリクス40を配設して、ディスプレイのコントラストの向上を図ることができる。ブラックマトリクス40は、フラットパネルディスプレイの作製に一般に用いられる材料を用いて形成することができる。
【0037】
カラーフィルタ層30(R,G,B)の上面の平坦化層6は、カラーフィルタ層を保護する目的で配設されるものである。加えて、その名の通り、平坦化層6は、膜面の平坦化の目的も併せ持って配設されるものである。このため、光透過性に富み且つカラーフィルタ層30(R,G,B)を劣化させることなく配設できる材料を選択し、およびそのような特性を劣化させることなく平坦化層6を形成できるプロセスを選択する必要がある。平坦化層6は、一般的には塗布法で形成される。
【0038】
平坦化層6の形成に適用可能な材料としては、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を、光および/または熱処理して、ラジカル種やイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものが一般的である。また、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、パターニングを行うために、硬化をする前は有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0039】
具体的に、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂とは、(1)アクロイル基および/またはメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物、(4)エポキシ基を有するモノマーと光酸発生剤からなる組成物などが挙げられる。特に上記(1)の光硬化性又は光熱併用型硬化性樹脂が高精細でパターニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
【0040】
その他、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、メタクリル樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系等の熱可塑性樹脂を使用することもできる。さらに、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。あるいはさらに、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート等と3官能性、あるいは4官能性のアルコキシシランを含むポリマーハイブリッド等も利用することができる。
【0041】
次に、図1Bに示すように、図1Aで示した積層体の平坦化層6の上面に、保護層5を設ける。保護層5は、平坦化層6と後述する色変換層20との間に任意選択的に配設される層である。後述する本発明の熱サイクルナノインプリント法による色変換層20のパターニングによって赤色変換層20Rの形成をする際に、平坦化層6が色変換層20と共にパターニングされてしまう可能性がある。そのため、保護層5を配設することによって平坦化層6を保護してもよい。
【0042】
保護層5の材料としては、可視域における透明性が高い材料(400〜700nmの波長範囲で透過率50%以上)を用いることができる。保護層5のために、熱サイクルナノインプリント法に耐えうる硬度として、好ましくは2H以上の膜硬度(日本工業規格(JIS)K5600−5−4に従って測定)を有する材料を用いてもよい。例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx、SnO2、ITO、In2O3、IZO、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−ガリウム酸化物等の無機酸化物、無機窒化物等が使用できる。該保護層5の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法等の手法により形成できる。上述の保護層5は単層でも、あるいは複数の層が積層されたものでもよい。
【0043】
次に、図1Cに示すように、前述の保護層5の上面に色変換層20を設ける。保護層5は任意選択的に配設される(言い換えれば、任意選択的な層である)ので、保護層5が配設されない場合には、平坦化層6の上面に直接に色変換層20を配設することができる。
【0044】
色変換層20とは、1種または複数種の色変換色素から形成される層である。好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm〜1μmの膜厚を有する。色変換層20は、ドライプロセス、好ましくは真空蒸着法によって形成される。真空蒸着法の加熱方式としては、直接加熱法、間接加熱法のいずれであっても良く、例えば抵抗加熱、電子ビーム加熱あるいは赤外線加熱等を用いることができる。複数種の色変換色素を用いて色変換層20を形成する場合、複数種の色変換色素を所定の比率で混合した予備混合物をあらかじめ作製し、その予備混合物を用いて共蒸着を行ってもよい。あるいはまた、複数種の色変換色素を別個の加熱部位に配置し、それぞれの色変換色素を別個に加熱して共蒸着を行ってもよい。特に複数種の色変換色素の間に特性(蒸着速度、蒸気圧など)の大きな差が存在する場合、後者の方法が有効である。
【0045】
色変換色素とは、光源から発せられる近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して波長分布変換を行い、異なる波長の可視光を放射するものである。特に青色ないし青緑色領域の光を吸収することが好ましい。
【0046】
色変換層20を形成するための色変換色素としては、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3)などのアルミキレート系色素;3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135などのクマリン系色素;ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44のようなナフタルイミド系色素;4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM−1(I))、DCM−2(II)、およびDCJTB(III)などのシアニン色素;ローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素;ピリジン1などのピリジン系色素;4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(IV)、ルモゲンFレッド、ナイルレッド(V)などを含む種々の色素を用いることができる。また、公知である各種ELの発光層に用いられているホスト−ゲスト材料を色変換色素として使用しても良い。
【0047】
【化1】
【0048】
次に、図1D〜図1Fを参照して、色変換層のパターニング方法について詳述する。広い面積においてミクロンオーダのギャップで赤色変換層20Rの形状をパターニングする方法として、ナノインプリント法を活用する。ナノインプリント法は、本来は、塗布したレジストに対して、微細パターンが形成されたモールドを接触、加圧することによりレジストを変形させ、レジスト表面に微細パターンを転写する方法である。本発明では、好ましくは、ガラス転移温度(Tg)を有する色変換色素を用いて製膜された色変換層20を、色変換色素のTg近傍の温度より高く且つ分解温度または蒸発温度未満の温度に加熱、軟化させる熱サイクルナノインプリント法を用いる。
【0049】
第1に、図1Dに示すように、モールド80を、その凹凸パターンを色変換層20と対向させて配置する。ここで、モールド80は、本発明に用いられるモールドの1つの例である。第2に、図1Eに示すように、モールド80を所定の温度に加熱し、色変換層20に接触させて加圧する。このときに、色変換層20は、色変換層20の下にある有機層(カラーフィルタ層30(R、G、B)、平坦化層6等)の変形による補助を受けながら変形し、モールド80の凹部へと流動する。その後に、冷却を行って、図1Fに示すように、熱サイクルナノインプリント法によってパターニングされた色変換層(本例では赤色変換層20R)が得られる。
【0050】
モールド80の加熱温度は、色変換層20のガラス転移温度(Tg)近傍より高く設定する。Tg−25℃以上が好ましい。ここで、色変換層のTgとは、色変換層20を構成する色変換色素のTgを指す。加熱温度をこの範囲内とすることによって、色変換色素の流動性を高めて層内の流動を充分に行い、所望されるパターン形状を有する色変換層を得ることが容易となる。また、モールド80を色変換色素の分解温度以上に加熱すると色変換色素が分解してしまうため、前述の温度範囲内であっても、モールド80の加熱温度を色変換色素の分解温度未満、好ましくは分解温度よりも50℃以上低く設定することが望ましい。ここで、色変換色素の分解温度は、熱量重量分析−示差熱分析(TG−DTA測定)または質量分析(TGMS測定)によって決定することができる。同様に、モールド80を色変換色素の蒸発温度以上に加熱すると色変換色素が蒸発してしまうため、前述の温度範囲内であっても、モールド80の加熱温度を色変換色素の蒸発温度未満に設定することが望ましい。より好ましくは、モールド80の加熱温度は色変換色素のTg±25℃の範囲内である。加熱温度をこの範囲とすることで、冷却時の収縮によるパターンの変形を防止することが可能となる。色変換層20に色変換色素を複数含む場合のモールド80の加熱温度は、色変換層の主成分としての色変換色素のTg、蒸発温度を考慮して設定する。
【0051】
モールド80の材料としては、加熱温度に耐えられ、十分な硬度を有し、且つモールド表面にミクロンオーダの形状を形成できる材料が好ましく、石英、金属、シリコン、セラミック、樹脂等が適用可能である。モールド80への微細パターン形成方法としては、例えばレジストや無機酸化膜等の材料をマスクとしたエッチングによって形成できる。また、モールド80の凹部の深さは、色変換層20の膜厚より深くする。モールド80を色変換層20に接触させ加圧した際に、モールド80のパターンの凹部の底部表面と、色変換層20に形成される凸部の上部表面との間に空間があると、分離のためにモールド80を引き上げやすい。また、モールド80のパターン形状は、例えば図5の斜視図に示すような所望の凹凸の形状(モールド84)とすることができる。図4の断面図に示される本発明に用いられるモールドの例(モールド82)の如く、凸部にそれぞれ楔状の傾きを形成した形状とすると、色変換色素の流動を補助するためさらに好ましい。このような形状とすることにより、色変換層下部の有機層が楔の表面に沿って適度に変形し、色変換色素をモールドの凹部方向に押し出す作用をして色変換層のパターンを形成しやすくなる。また、モールド80を色変換層20から引き上げる際に、モールド80によって形成された色変換層20のパターン部がモールド80と一緒にはがれないように、モールド80の表面に色変換層20とモールド80との密着性を低下させるためフッ素コートをしても良い。微細パターン形成時のモールド80による加圧等により、下地(平坦化層6)へのダメージが問題となる場合は、上述したように保護層5を配設しても良い。
【0052】
本発明の色変換層20のパターニングは、真空中(本発明において、真空とは10-4Pa以下)もしくは不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。色変換色素は有機物であるため、水分・酸素に弱い。また、パーティクル、すなわち概ねミクロンオーダの大きさの画像欠陥をもたらすごみも、色変換層をパネルに形成した際にパーティクルがパネルに付着すると、リークに影響を与え、電流が常に流れてしまう状態となる。したがって、好ましくは真空中でパターニングを行うことが好ましい。この場合、色変換層20を製膜した後、引き続いてパターニングを行うチャンバーまで積層体を真空で搬送(インライン真空プロセス)すると、色変換層20に対するパーティクル・水分・酸素の影響が少ない。ただし、上記色変換層20が、水分・酸素に強く、適切なパーティクル対策がなされている場合、所望ならば、パターニングを行う場所は空気中でも良い。
【0053】
本発明において、上記熱サイクルナノインプリント法の実施後に、青色・緑色カラーフィルタ層30(B,G)に対応する位置(すなわち、青色・緑色サブピクセル)に色変換層20が残存してしまった場合には、必要に応じて残存した色変換層を除去することが望ましい。なぜなら、青色・緑色サブピクセルの位置に色変換層20が残存した場合に、青色・緑色サブピクセルの輝度が低下するからである。残存した色変換層20の除去には、酸素プラズマ処理、窒素プラズマ処理、またはドライエッチングを用いることができ、特に酸素プラズマ処理を用いることが好ましい。この除去工程を実施する場合には、赤色サブピクセルの位置の赤色変換層20Rも該工程によってダメージを受けるため、図1Cに示した色変換層20の成形工程において、必要な膜厚よりも厚い色変換層20を形成することが望ましい。なお、色変換層20が青色・緑色のサブピクセルの位置に残存しても表示性能に問題が発生しない場合には、残存した色変換層の除去を省略することができる。
【0054】
次に、図1Gに示すように、前述の赤色変換層20Rを覆って第1バリア層4を形成する。前述のとおり、色変換色素は有機物であるため、水分・酸素に弱い。そのため水分・酸素から色変換色素を保護する必要がある。ここで、図1Gに示すように、赤色変換層20R以下の層を覆うように第1バリア層4を形成してもよい。この構成は、後述する有機EL素子の保護にも有効である。第1バリア層4の材料としては、電気絶縁性を有し、ガスおよび有機溶剤に対するバリア性を有し、可視域における透明性が高い材料(400〜700nmの波長範囲で透過率50%以上)を使用することができる。第1バリア層4のために、後述する透明電極2の製膜に耐えうる硬度として、好ましくは2H以上の膜硬度を有する材料を用いてもよい。例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物、無機窒化物等を使用することができる。第1バリア層4の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法等の手法により形成できる。上述の第1バリア層4は単層でも、あるいは複数の層が積層されたものでもよい。
【0055】
最後に、図1Hから図1Jに示すように、前述の第1バリア層4の上面に有機EL素子を配設する。本発明において、有機EL素子は、有機EL層3と電極(透明電極2および後述する反射電極1)とから構成される。まず、図1Hに示すように、前述の第1バリア層4の上面に透明電極2を配設する。透明電極2は、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、IZO、酸化亜鉛、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−ガリウム酸化物、またはこれらの酸化物に対してF、Sbなどのドーパントを添加した導電性透明金属酸化物を用いて形成することができる。透明電極2は、蒸着法、スパッタ法または化学気相堆積(CVD)法を用いて成膜した後に、フォトリソグラフ法等を用いてパターニングして形成される。好ましくはスパッタ法を用いて形成される。
【0056】
透明電極2は、陽極であっても陰極であってもよい。透明電極2を陰極として使用する場合には、透明電極2と有機EL層3との間に陰極バッファ層を設けて、電子注入効率を向上させてもよい。陰極バッファ層は、Li,Na,KまたはCsなどのアルカリ金属、Ba,Srなどのアルカリ土類金属またはそれらを含む合金、希土類金属、あるいはそれら金属のフッ化物などから形成することができる。透明性を確保する観点から、陰極バッファ層の膜厚を10nm以下とすることが望ましい。
【0057】
次に、図1Iに示すように、透明電極2の上面に有機EL層3を配設する。本発明において、有機EL層3は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、有機EL素子には下記のような層構造からなるものが採用される。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0058】
有機EL層3を構成する各層の材料としては、公知のものが使用される。また、有機EL層3を構成する各層は、蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
【0059】
青色から青緑色の発光を得るための有機発光層の材料としては、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などの材料が好ましく使用される。また、有機発光層の発光は、必要に応じて白色発光でも良い。その場合は公知の赤ドーパントが使用される。
【0060】
そして、図1Jに示すように、有機EL層3の上面に反射電極1を配設して、ボトムエミッション型パッシブマトリクス駆動の有機ELディスプレイが得られる。反射電極1は、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。反射電極1を、陰極として用いてもよいし、陽極として用いてもよい。反射電極1を陰極として用いる場合には、反射電極1と有機EL層3との界面に、前述の陰極バッファ層を設けて有機EL層に対する電子注入の効率を向上させてもよい。あるいはまた、前述の高反射率の金属、アモルファス合金または微結晶性合金に対して、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属を添加して合金化し、電子注入効率を向上させることができる。一方、反射電極1を陽極として用いる場合には、反射電極1と有機EL層3との界面に、前述の導電性透明金属酸化物の層を設けて有機EL層3に対する正孔注入の効率を向上させてもよい。
【0061】
反射電極1は、用いる材料に依存して、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、レーザーアブレーションなどの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。後述するように複数の部分電極からなる反射電極1が必要になる場合には、所望の形状を与えるマスクを用いて複数の部分電極からなる反射電極1を形成してもよい。
【0062】
上述のように、本発明に用いられる有機EL素子は、透明電極2、有機EL層3および反射電極1によって構成されるが、ここで、本構成における有機EL素子は、独立して制御される複数の発光部を有してもよい。例えば、反射電極1および透明電極2の両方を複数のストライプ状部分電極から形成し、反射電極1を構成するストライプ状部分電極が延びる方向と透明電極2を構成するストライプ状部分電極が延びる方向とを交差させて、パッシブマトリクス駆動される独立した複数の発光部を有する有機EL素子を形成することができる。前記の交差は直交とすることが好ましい。
【0063】
以上においては、図1Jに示すようなボトムエミッション型有機ELディスプレイを用いて本発明を説明した。しかしながら、本発明はトップエミッション型有機ELディスプレイを作製する際にも適用可能である。トップエミッション型有機ELディスプレイの構成例を図2、3に示す。
【0064】
まず、図2に示す構成例を用いて本発明を説明する。例えば、図1A〜図1Gで説明したように、第1バリア層4を形成する工程まで完了した色変換フィルタを作製する。なお、前述したように、保護層5は任意選択である。別途、デバイス基板11の上面に、反射電極1、有機EL層3および透明電極2をこの順に形成したトップエミッション型有機EL素子を作製する。有機EL素子において、第2バリア層14を形成しても良い。なお、第2バリア層14の材料および形成方法は、第1バリア層4と同じものを用いることができる。また、第2バリア層14は、単層であっても複層であってもよい。第1バリア層4と透明電極2(存在する場合には第2バリア層14)とが対向するように、前記色変換フィルタと前記トップエミッション型有機EL素子とを貼り合わせることによって、図2に示すようなトップエミッション型有機ELディスプレイを得ることができる。反射電極1、有機EL層3、および透明電極2は、前述の方法を用いて形成することができる。色変換フィルタとトップエミッション型有機EL素子との接着は、基板周縁部に設けた接着層50を用いて実施することができる。接着層50は、例えばUV硬化接着剤を用いて形成することができる。
【0065】
ここで、デバイス基板11は、透明基板10と同様の材料に加えて、シリコン、セラミックなどの不透明な材料を用いて形成することができる。また、この構成における有機EL素子は、アクティブマトリクス駆動型の素子とすることができる。アクティブマトリクス駆動型有機EL素子は、デバイス基板11上に複数のスイッチング素子を設け、反射電極1を発光部の画素ないしサブピクセルに対応する複数の部分電極から形成し、該複数のスイッチング素子を複数の部分電極と1対1に接続し、および透明電極2を一体型の共通電極とすることによって形成することができる。
【0066】
あるいはまた、図3の構成のトップエミッション型有機EL素子を形成してもよい。デバイス基板11の上に反射電極1、有機EL層3および透明電極2を形成して得られるトップエミッション型有機EL素子の上面に色変換層20を形成する。引き続き、図1D〜図1Fで説明した熱サイクルナノインプリント法を施して赤色変換層20Rをパターニングする。赤色変換層20R以下の層を有機EL素子の第2バリア層14で覆うことによって、トップエミッション型有機EL素子を形成することもできる。この場合には、有機EL層3が熱サイクルナノインプリント法を実施するのに必要な弾性を提供する層となる。所望により、透明電極2上にバリア層および平坦化層をこの順に設け、その上に色変換層20を形成して熱サイクルナノインプリント法を実施して、赤色変換層20Rをパターニングしてもよい。この場合には、平坦化層により表面の凹凸を緩和し、また、熱サイクルナノインプリント法を実施するのに必要な弾性をさらに高めることができる。そして、このトップエミッション型有機EL素子と、図1Aで説明したブラックマトリクス40、カラーフィルタ層30(R,G,B)、平坦化層6、および図1Gで説明した第1バリア層4を配設したカラーフィルタとを、第1および第2バリア層4、14が対向するように貼り合わせることによって、図3に示すようなトップエミッション型有機ELディスプレイを得ることができる。なお、図3に示す構成においては、第1バリア層4ではなく、第2バリア層14が赤色変換層20Rを覆って形成されている点が、図2の構成と異なる。この場合にも、カラーフィルタとトップエミッション型有機EL素子との接着は、デバイス基板11の周縁部に設けた接着層50を用いて実施することができる。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
以下の(1)〜(8)の手順に従い、本発明の多色発光有機ELディスプレイを作製した。
【0068】
(1)カラーフィルタ層30の形成
1737ガラス(コーニング社製)を透明基板10として用い、その上に、ブラックマトリクス用材料(CK-7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)、赤色カラーフィルタ層用材料(CR-7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)、緑色カラーフィルタ層用材料(CG-7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)、および青色カラーフィルタ層用材料(CB-7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)を用いて、ブラックマトリクス40およびカラーフィルタ層30(R,G,B)を形成した。各層の膜厚はそれぞれ1μmであった。
【0069】
作製したカラーフィルタ層のサブピクセル寸法は100μm×30μmであり、サブピクセル間のギャップ(すなわち画素間のギャップ)は縦方向10μm、横方向5μmであった。前記サブピクセル3個(赤・青・緑)で1画素であり、縦方向に50画素、横方向に50画素が配列されていた。
【0070】
(2)平坦化層6の形成
前記カラーフィルタ層30(R,G,B)を覆うように、新日鐵化学製V259PAPを塗布および硬化させて、平坦化層6を形成した。平坦化層6の膜厚は2μmとした。得られた平坦化層6の上面は平坦であった。
【0071】
(3)保護層5の形成
前記平坦化層6の上面に、スパッタ法にて、膜厚200nmのIZO膜からなる保護層5を得た。スパッタ装置にはRF−ブレーナマグネトロンを、ターゲットにはIZOを用いた。製膜時のスパッタガスにはArを使用した。形成時の基板温度は80℃であった。
【0072】
(4)色変換層20の形成
前記保護層5の上面に、抵抗加熱蒸着装置で、Alq3およびDCM−2からなる色変換層20を作製した。具体的には、Alq3およびDCM−2を蒸着装置内の別個の坩堝にて加熱する共蒸着によって、膜厚400nmの色変換層20を作製した。この際に、Alq3の蒸着速度を0.3nm/s、DCM−2の蒸着速度を0.005nm/sとなるように、それぞれの坩堝の加熱温度を制御した。本実施例の色変換層20は、色変換層20の総構成分子数を基準として2モル%のDCM−2を含んだ(Alq3:DCM−2のモル比が49:1である)。
【0073】
(5)赤色変換層20Rのパターニング
前記色変換層20が形成された積層体を、引き続き、真空中にて、ナノインプリント装置に搬送し、真空中で熱サイクルナノインプリント法を実施した。100μm×30μmの寸法を有する複数の凹部が縦方向10μm、横方向75μmのギャップで配列されたパターンを有するモールド84を、温度150℃に加熱し、30kgf/cm2(2.94MPa(ゲージ圧))の圧力で色変換層20に押し付けて、色変換層20をパターニングし、モールド84を加圧したままの状態で、温度を室温まで下げて冷却した。続いて酸素プラズマ処理を20秒間行い、各100μm×30μmの寸法を有する複数のパターン形成部分が縦方向10μm、横方向75μmのギャップで配列された微細パターンを有する赤色変換層20Rを形成した。
【0074】
(6)第1バリア層4の形成
真空を破ることなく、赤色変換層20Rをパターン形成した積層体をプラズマCVD装置に移動させた(インラインプロセス)。次いで、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)及び窒素(N2)を用いるプラズマCVD法を用いて、赤色変換層20R以下の層を覆うように膜厚3μmの窒化シリコン(SiN)を堆積させ、第1バリア層4を形成した。ここで、SiNを堆積する際に基板温度は100℃以下とした。
【0075】
(7)有機ELディスプレイの形成
上記のようにして製造した第1バリア層4の上面に、透明電極2/有機EL層3(正孔輸送層/有機発光層/電子注入輸送層の3層)/反射電極1を順次形成して、有機EL素子を形成した。
【0076】
具体的には、まず、第1バリア層4の上面にスパッタ法にてITOを全面製膜した。ITO上にレジスト剤(OFRP−800:東京応化工業株式会社製)を塗布した後、フォトリソグラフ法にてパターニングを行い、それぞれの色の発光部(赤色、緑色、および青色)に位置する、幅30μm、および膜厚200nmの縦方向に延びる複数のストライプパターンをギャップ5μmで配列した透明電極2を得た。
【0077】
次いで、前記透明電極2を形成した積層体を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔輸送層、有機発光層、および電子注入層を、真空を破らずに順次製膜した。製膜に際して、抵抗加熱蒸着装置の真空槽内圧を1×10-4Paまで減圧した。正孔輸送層として4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を50nm積層した。有機発光層として4,4’-ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニルを30nm積層した。電子注入層としてアルミニウムキレート(Alq3)を20nm積層した。
【0078】
その後、真空を破ることなしに、横方向に延び、10μmのギャップで配列された100μmのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層を堆積させ、反射電極1を形成して、有機ELディスプレイを形成した。
【0079】
(8)有機ELディスプレイの封止
こうして得られた有機ELディスプレイを、グローブボックス内で乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラス(図示せず)とUV硬化接着剤からなる接着層とを用いて封止した。
【0080】
このように、本発明ではメタルマスクの下限(50μm幅)未満で赤色変換層20Rをパターン形成することが可能であった。この下限は、サブピクセル幅およびサブピクセル間のギャップの組み合わせである。
【0081】
(実施例2,3,4、および比較例5)
色変換層20のパターニングにおいてモールド84の加熱温度を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2,3,4および比較例5の有機ELディスプレイを得た。
【0082】
[評価1]
得られた有機ELディスプレイの色変換層20のパターニングとモールド84の加熱温度との関係について、目視評価を行い、結果を以下の第1表に示した。表中の○および△は、パターン形成された赤色変換層20Rが得られたことを示し(パターンの輪郭部が鮮明な場合を○、不鮮明な場合を△とした)、×は、パターン形成された赤色変換層20Rが得られなかったことを示す。なお、Alq3のガラス転移温度(Tg)は150℃、蒸発温度は約300℃、分解温度は約550℃である。
【0083】
【表1】
【0084】
以上のように、モールド84の加熱温度をTg+100℃(実施例4)とした場合は、赤色変換層20Rのパターンは形成できたが、パターンの輪郭部が不鮮明となっていた。また、Tg−40℃(比較例5)にすると赤色変換層20Rのパターン形成はできなかった。しかしながら、Tg±25℃の範囲(実施例1〜3)では赤色変換層20Rのパターンが良好に形成された。
【0085】
(比較例6)
色変換層20を蒸着後、積層体を真空装置から取り出して、基板搬送容器に収納し、ナノインプリント装置に搬送し、窒素中にて熱サイクルナノインプリントを実施したこと以外は実施例1と同様にして積層体を処理して有機ELディスプレイを得た。
【0086】
[評価2]
得られた有機ELディスプレイについて、パネルリーク数を目視することによって、色変換層20の形成後のパターニング環境の影響を確認して、第2表に示した。なお、パネルリーク数とはパネル内のリーク箇所数をいい、パネルリーク数が少ないほどパターニング環境は良好であり、最終製品にとって望ましい。
【0087】
【表2】
【0088】
以上のように、色変換層20を形成した積層体を真空を破ることなくインラインで搬送して真空中で熱サイクルナノプリント法によりパターニングを行った方が、積層体を工程間に容器に収納して搬送して窒素中で熱サイクルナノプリント法によりパターニングを行うよりも、パネルリーク数が少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のパターニング方法を用いることにより、先行技術のメタルマスク法で従前は得ることができなかった解像度およびディスプレイ寸法を有する有機ELディスプレイを作製することが可能となる。例えば、メタルマスク法は、50μm以上のサブピクセル幅に制限されるが、本発明は、50μm未満、および、色変換層以外のパターンニング成分の問題に起因して5μmがより実際的な商業的限度ではあるが、0.3μm程度の小さなサブピクセル幅をもたらすことができる。さらに、先行技術の方法は、約10μmのサブピクセル間のギャップに制限されるが、本発明は、5μm以下のサブピクセル間のギャップを実現する。同様に、メタルマスクを用いるディスプレイ全体の寸法は、歪みの原因となるマスクの屈曲性に起因して、500mm×650mmに制限されるが、本発明は、ほとんど無制限のサイズの、および特に、650mmよりも大きい少なくとも1つの寸法(長さまたは幅)を有する配列のディスプレイを作製することができる。本発明についてのディスプレイサイズの唯一の制限は、色変換層を配設する処理装置の能力である。
【0090】
特に、好ましい実施形態を参照して本発明を示しおよび説明したが、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、形態および詳細に、先述および他の変更を加えることができることが理解されよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に色変換層を形成する工程、および
熱サイクルナノインプリント法を行うことにより前記色変換層をパターニングする工程
を含むことを特徴とする色変換層のパターニング方法。
【請求項2】
前記色変換層をパターニングする工程の後に、酸素プラズマ処理を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項3】
前記色変換層が真空蒸着法によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項4】
前記色変換層が色変換色素のみからなることを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項5】
前記支持体の表面にカラーフィルタ層を形成する工程、および前記カラーフィルタ層上に平坦化層を形成する工程をさらに含み、前記色変換層は、前記平坦化層の上面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項6】
前記色変換層と前記平坦化層との間に保護層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項7】
前記色変換層の上面にバリア層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項8】
前記バリア層の上面に有機EL層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項9】
前記熱サイクルナノインプリント法が、微細パターンが形成されたモールドを加熱する工程、前記モールドを前記色変換層に接触させる工程、および前記モールドを前記色変換層中に押し付けて、前記色変換層上に前記モールドの前記微細パターンを転写させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項10】
前記モールドの加熱温度が前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項11】
前記色変換層を形成する工程および前記色変換層をパターニングする工程は、インライン真空プロセスにおいて行われることを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項12】
支持体上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を配設する工程、
前記カラーフィルタ層の上面に平坦化層を形成する工程、
前記平坦化層の上面に、第1波長の光を吸収し、第1波長と異なる第2波長を含む光を出力する色変換層を形成する工程、
熱サイクルナノインプリント法を行うことにより、前記色変換層をパターニングする工程、
パターニングされた前記色変換層の上面にバリア層を形成する工程
を含むことを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項13】
前記バリア層の上面に有機EL素子を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項14】
前記平坦化層と前記色変換層との間に保護層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項15】
前記熱サイクルナノインプリント法が、微細パターンが形成されたモールドを加熱する工程、前記モールドを前記色変換層に接触させる工程、および前記モールドを前記色変換層中に押し付けて、前記色変換層上に前記モールドの前記微細パターンを転写させる工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項16】
前記モールドの加熱温度が前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内であることを特徴とする請求項15に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項17】
前記色変換層のパターニングを真空条件下で行うことを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項18】
前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層、色変換層およびバリア層が、色変換フィルタ構造を構成し、前記色変換フィルタ構造は、トップエミッション型のEL素子に貼り合わされることを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項19】
支持体上にそれぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を配設する工程、前記カラーフィルタ層の上面に平坦化層を形成する工程、および前記平坦化層の上面に、第1バリア層を形成する工程によって、カラーフィルタ構造を提供する工程;
デバイス基板上に有機EL層を形成する工程、前記有機EL層の上面に、第1波長の光を吸収し、第1波長と異なる第2波長を含む光を出力する色変換層を形成する工程、熱サイクルナノインプリント法を行うことにより、前記色変換層をパターニングする工程、および前記色変換層の上面に第2バリア層を形成する工程によって有機EL素子を提供する工程;および
前記カラーフィルタ構造を、前記第1バリア層および前記第2バリア層が対向するように、前記有機EL素子に貼り合わせる工程
を含むことを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項20】
前記熱サイクルナノインプリント法が、微細パターンが形成されたモールドを加熱する工程、前記モールドを前記色変換層に接触させる工程、および前記モールドを前記色変換層中に押し付けて、前記色変換層上に前記モールドの前記微細パターンを転写させる工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項21】
前記モールドの加熱温度を前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内とすることを特徴とする請求項20に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項22】
前記色変換層をパターニングする工程は、真空プロセスにおいて行われることを特徴とする請求項19に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項23】
透明基板;
支持体の表面に位置する、それぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層;
前記カラーフィルタ層の上面に位置する平坦化層;
少なくとも1種類の前記カラーフィルタ層と位置合わせがされ、およびこれに対応する画素素子の配列を含む色変換層
を備え、
および画素素子のそれぞれは50μm未満の幅を有することを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項24】
前記画素素子のそれぞれは、5μm以下の画素間のギャップを有することを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項25】
前記画素素子は、前記ディスプレイの色画素のサブピクセル素子を含むことを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項26】
前記色変換層は、前記平坦化層の上面に位置し、および前記色変換層の上面に位置するバリア層および前記バリア層の上面に位置する有機EL層をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項27】
前記色変換層は、前記平坦化層の上面に位置し、およびバリア層は前記色変換層の上面に位置し、前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層、色変換層および前記バリア層は、色変換フィルタ構造を構成し、および、前記色変換フィルタ構造は、有機EL素子に貼り合わされていることを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項28】
デバイス基板上に位置する有機EL素子、前記平坦化層の上面に位置する第1バリア層、および前記色変換層の上面に位置する第2バリア層を含み;
前記色変換層は、前記有機EL素子の上面に位置し;
前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層および第1バリア層は、カラーフィルタ構造を構成し;
前記デバイス基板、有機EL素子、色変換層および前記第2バリア層は、有機EL素子構造を構成し;および
前記カラーフィルタ構造は、前記第1バリア層と前記第2バリア層とが対向するように、前記有機EL素子構造に貼り合わされていること
を特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項29】
前記配列は、650mmよりも大きい少なくとも1つの寸法を有することを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項1】
支持体上に色変換層を形成する工程、および
熱サイクルナノインプリント法を行うことにより前記色変換層をパターニングする工程
を含むことを特徴とする色変換層のパターニング方法。
【請求項2】
前記色変換層をパターニングする工程の後に、酸素プラズマ処理を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項3】
前記色変換層が真空蒸着法によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項4】
前記色変換層が色変換色素のみからなることを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項5】
前記支持体の表面にカラーフィルタ層を形成する工程、および前記カラーフィルタ層上に平坦化層を形成する工程をさらに含み、前記色変換層は、前記平坦化層の上面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項6】
前記色変換層と前記平坦化層との間に保護層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項7】
前記色変換層の上面にバリア層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項8】
前記バリア層の上面に有機EL層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項9】
前記熱サイクルナノインプリント法が、微細パターンが形成されたモールドを加熱する工程、前記モールドを前記色変換層に接触させる工程、および前記モールドを前記色変換層中に押し付けて、前記色変換層上に前記モールドの前記微細パターンを転写させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項10】
前記モールドの加熱温度が前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項11】
前記色変換層を形成する工程および前記色変換層をパターニングする工程は、インライン真空プロセスにおいて行われることを特徴とする請求項1に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項12】
支持体上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を配設する工程、
前記カラーフィルタ層の上面に平坦化層を形成する工程、
前記平坦化層の上面に、第1波長の光を吸収し、第1波長と異なる第2波長を含む光を出力する色変換層を形成する工程、
熱サイクルナノインプリント法を行うことにより、前記色変換層をパターニングする工程、
パターニングされた前記色変換層の上面にバリア層を形成する工程
を含むことを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項13】
前記バリア層の上面に有機EL素子を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項14】
前記平坦化層と前記色変換層との間に保護層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項15】
前記熱サイクルナノインプリント法が、微細パターンが形成されたモールドを加熱する工程、前記モールドを前記色変換層に接触させる工程、および前記モールドを前記色変換層中に押し付けて、前記色変換層上に前記モールドの前記微細パターンを転写させる工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項16】
前記モールドの加熱温度が前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内であることを特徴とする請求項15に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項17】
前記色変換層のパターニングを真空条件下で行うことを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項18】
前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層、色変換層およびバリア層が、色変換フィルタ構造を構成し、前記色変換フィルタ構造は、トップエミッション型のEL素子に貼り合わされることを特徴とする請求項12に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項19】
支持体上にそれぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を配設する工程、前記カラーフィルタ層の上面に平坦化層を形成する工程、および前記平坦化層の上面に、第1バリア層を形成する工程によって、カラーフィルタ構造を提供する工程;
デバイス基板上に有機EL層を形成する工程、前記有機EL層の上面に、第1波長の光を吸収し、第1波長と異なる第2波長を含む光を出力する色変換層を形成する工程、熱サイクルナノインプリント法を行うことにより、前記色変換層をパターニングする工程、および前記色変換層の上面に第2バリア層を形成する工程によって有機EL素子を提供する工程;および
前記カラーフィルタ構造を、前記第1バリア層および前記第2バリア層が対向するように、前記有機EL素子に貼り合わせる工程
を含むことを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項20】
前記熱サイクルナノインプリント法が、微細パターンが形成されたモールドを加熱する工程、前記モールドを前記色変換層に接触させる工程、および前記モールドを前記色変換層中に押し付けて、前記色変換層上に前記モールドの前記微細パターンを転写させる工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項21】
前記モールドの加熱温度を前記色変換層のガラス転移温度(Tg)±25℃の範囲内とすることを特徴とする請求項20に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項22】
前記色変換層をパターニングする工程は、真空プロセスにおいて行われることを特徴とする請求項19に記載の色変換層のパターニング方法。
【請求項23】
透明基板;
支持体の表面に位置する、それぞれ異なる波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層;
前記カラーフィルタ層の上面に位置する平坦化層;
少なくとも1種類の前記カラーフィルタ層と位置合わせがされ、およびこれに対応する画素素子の配列を含む色変換層
を備え、
および画素素子のそれぞれは50μm未満の幅を有することを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項24】
前記画素素子のそれぞれは、5μm以下の画素間のギャップを有することを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項25】
前記画素素子は、前記ディスプレイの色画素のサブピクセル素子を含むことを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項26】
前記色変換層は、前記平坦化層の上面に位置し、および前記色変換層の上面に位置するバリア層および前記バリア層の上面に位置する有機EL層をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項27】
前記色変換層は、前記平坦化層の上面に位置し、およびバリア層は前記色変換層の上面に位置し、前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層、色変換層および前記バリア層は、色変換フィルタ構造を構成し、および、前記色変換フィルタ構造は、有機EL素子に貼り合わされていることを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項28】
デバイス基板上に位置する有機EL素子、前記平坦化層の上面に位置する第1バリア層、および前記色変換層の上面に位置する第2バリア層を含み;
前記色変換層は、前記有機EL素子の上面に位置し;
前記支持体、カラーフィルタ層、平坦化層および第1バリア層は、カラーフィルタ構造を構成し;
前記デバイス基板、有機EL素子、色変換層および前記第2バリア層は、有機EL素子構造を構成し;および
前記カラーフィルタ構造は、前記第1バリア層と前記第2バリア層とが対向するように、前記有機EL素子構造に貼り合わされていること
を特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項29】
前記配列は、650mmよりも大きい少なくとも1つの寸法を有することを特徴とする請求項23に記載の有機ELディスプレイ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公表番号】特表2010−517207(P2010−517207A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531509(P2009−531509)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/JP2008/051461
【国際公開番号】WO2008/091017
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/JP2008/051461
【国際公開番号】WO2008/091017
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
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