説明

色変換装置および色変換方法および色変換用パラメータ生成装置および色変換用パラメータ生成方法および画像処理システムおよび記録媒体

【課題】 実質的に一部の色空間しか利用されないような色信号が入力されるような場合にも、ハードウェアを増大させずに、高精度な色変換を可能にする。
【解決手段】 補間演算用パラメータを記憶するルックアップテーブル記憶手段304と、部分色空間の範囲データを記憶する部分色空間情報記憶手段303と、部分色空間情報記憶手段303から部分色空間の範囲データを読み取り、入力色データを部分色空間にマッピングして補間演算用色データを生成する補間演算用色データ生成手段301と、補間演算用色データに基づいてルックアップテーブル記憶手段304から補間演算用パラメータを読み出し、補間演算用色データに対して補間演算を行い画像形成装置用の色データに変換する補間演算手段302とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー画像信号を入力して画像形成装置(例えば、カラーファクシミリ、カラープリンタなど)用の色信号に色変換を行う色変換装置および色変換方法および色変換用パラメータ生成装置および色変換用パラメータ生成方法および画像処理システムおよび記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カラー印刷、カラーハードコピーの分野で色変換を簡単,高速に行う手法として三次元ルックアップテーブル(以下、ルックアップテーブルと称す)を用いたメモリマップ補間法が提案されている。なお、ここで、ルックアップテーブルとは、入力色空間を複数の単位補間立体群に分割し、入力色データが含まれる単位補間立体を選択し、選択した単位補間立体の複数頂点(以下、格子点と称す)に対応する出力値をテーブル化したものである。
【0003】図17はメモリマップ補間法を用いた従来の色変換装置の構成例を示す図である。図17を参照すると、この色変換装置は、ルックアップテーブルを記憶するルックアップテーブル記憶手段304と、ルックアップテーブル記憶手段304に記憶されているルックアップテーブルを用いて補間演算を行ない色変換を行なう補間演算手段(メモリマップ補間演算手段)302とを有している。
【0004】図17の色変換装置では、補間演算手段302は、入力色空間を複数の単位補間立体群に分割し、入力色データが含まれる単位補間立体を選択し、選択した単位補間立体の複数頂点(以下、格子点と称す)に対応する出力値をルックアップテーブル記憶手段304から読み出して線形補間演算を行うことにより、色空間全域にわたって色変換を行なうようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】コンピュータ上の文書データをプリンタなどの画像形成装置で出力する場合には、RGB色信号を画像形成装置(例えばプリンタ)の出力信号であるCMYKデータ、あるいは、CMYデータ、あるいは、Kデータ(モノクロ出力)などの色信号に色変換して画像形成装置へ送信するのが一般的である。代表的なRGB色信号としては、sRGB色信号が知られており、特にコンピュータ内でRGB色信号を扱う場合には、sRGB信号に変換して用いることが多い。sRGB色信号は、XYZ三刺激値との関係が次式(数1)のように定義されている。但し、数1において、RO,GO,BOおよびR,G,Bは、それぞれ0〜1の値に正規化された値である。
【0006】
【数1】


RO,GO,BO ≦ 0.00304 であるならば、R,G,BはR = 12.92 * ROG = 12.92 * GOB = 12.92 * BOであり、RO,GO,BO>0.00304であるならば、R,G,BはR = 1.055 * RO(1.0/2.4) − 0.055G = 1.055 * GO(1.0/2.4) − 0.055B = 1.055 * BO(1.0/2.4) − 0.055である。
【0007】しかしながら、上記のようなRGB色信号は、一般にディスプレイに基づいてその色特性が定義されている場合が多く、従って、その色再現範囲が限られており、色変換の場合に不都合が生じていた。
【0008】例えばスキャナで入力したような画像をコンピュータに入力し、その入力画像をプリンタで出力する場合を考える。スキャナの入力対象となる原稿は、一般に印画紙や印刷物である。このような反射原稿の色域は、sRGB色空間をはみ出す部分がある。そのため、スキャナ入力画像をコンピュータで扱いやすいsRGB色信号に変換してしまうと、情報の欠落を生じてしまう。そのため、プリンタに出力する際にも欠落した情報を再現できなくなり、忠実に色再現することができなくなってしまう。
【0009】こうした問題に対処すべく、より広い色空間を扱うことが可能な新しい色空間として、近年、sRGB64色信号が提案されている。sRGB64色信号は以下の特徴を有する。すなわち、第1に、R,G,B各色が、16ビットで、ー4〜4までの広いレンジを有している。また、第2に、色再現範囲が非常に広く、すべての実在色を扱うことが可能である。
【0010】sRGB64色信号では、従来のRGB信号よりも広い色再現範囲を扱えるため、前述したようなスキャナ入力信号をプリンタに出力する場合にも、RGB変換時の情報欠落を生じることなく忠実な色再現を行うことが可能となる。
【0011】しかしながら、すべての色空間が表現できるように、Red,Green,Blueのレンジを広げることにより、虚色(実在しない色)も色再現範囲に含まれてしまう。そのため、このような入力色信号を、図17に示したような従来の色変換装置によって単純にメモリマップ補間法で入力色空間全体を色変換しようとすると、実在しないような色域まで格子点を割り当てなけれればならず補間効率が低下してしまい、ルックアップテーブル記憶手段304に記憶されるルックアップテーブルのデータサイズが非常に大きくなってしまう。
【0012】例えば、一般のRGB信号を入力とした時のRGBからCMYKへの色変換で必要な分割数が16であった場合、補間演算を行うために必要なルックアップテーブルのサイズは、19,652(=4*17*17*17)バイトであるの対し、上記のsRGB64色データに対するルックアップテーブルのデータサイズは、8,586,756(=4*129*129*129)バイト必要になる。
【0013】さらに、入力色空間全体を分割した場合には、虚色に割り当てられた格子点に対応する出力値を求めることが困難になる。そのため、図17の従来の色変換装置では(すなわち、従来のメモリマップ補間法では)、sRGB64のような色信号を扱うことができなかった。
【0014】本発明は、sRGB64色信号のように実質的に一部の色空間しか利用されないような色信号が入力されるような場合であっても(すなわち、sRGB64色データを画像形成装置の色データに変換する時のように、入力色データで表現できる色の一部の色域しか使用されないような場合であっても)、ハードウェアを増大させずに、高精度な色変換を行うことの可能な色変換装置および色変換方法および色変換用パラメータ生成装置および色変換用パラメータ生成方法および画像処理システムおよび記録媒体を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換装置において、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして記憶するルックアップテーブル記憶手段と、部分色空間の範囲データを記憶する部分色空間情報記憶手段と、部分色空間情報記憶手段から部分色空間の範囲データを読み取り、入力色データを部分色空間にマッピングして補間演算用色データを生成する補間演算用色データ生成手段と、補間演算用色データに基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から補間演算用パラメータを読み出し、読み出した補間演算用パラメータを用いて補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより画像形成装置用の色データに変換する補間演算手段とを備えていることを特徴としている。
【0016】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の色変換装置において、前記補間演算用色データ生成手段は、入力色データが部分色空間に含まれない場合に入力色データを部分色空間の境界面上の色データに置き換えるマッピング手段を有していることを特徴としている。
【0017】また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の色変換装置において、前記マッピング手段は、入力色データが部分色空間の範囲をアンダーフローまたはオーバーフローした場合に、入力色データを部分色空間の境界面上にクリッピングすることによってマッピングするようになっていることを特徴としている。
【0018】また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の色変換装置において、前記マッピング手段は、第1の表色系が表現可能な色空間から部分色空間を除いた領域を複数の四角錘台領域に分割し、入力色データが複数の四角錘台領域に分割された色空間のいずれに含まれるかを判定し、該判定結果に対応した線形変換手段によって入力色データを部分色空間の境界面上の色データに変換するようになっていることを特徴としている。
【0019】また、請求項5記載の発明は、画像形成装置の色再現範囲を覆うような色空間を部分色空間として定義し、部分色空間の範囲外に位置する入力色データを部分色空間へマッピングして補間演算用色データを生成し、該補間演算用色データにメモリマップ補間演算を行なって、画像形成装置用の色データに変換することを特徴としている。
【0020】また、請求項6記載の発明は、3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換方法において、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、画像形成装置用の色データに変換することを特徴としている。
【0021】また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の色変換方法において、前記補間演算用色データは、入力色データが部分色空間に含まれない場合には入力色データを部分色空間の境界面上にマッピングして生成されることを特徴としている。
【0022】また、請求項8記載の発明は、請求項7記載の色変換方法において、前記補間演算用色データは、入力色データが部分色空間の領域をアンダーフローまたはオーバーフローした場合に、入力色データを部分色空間の境界面上にクリッピングすることによってマッピングして生成されることを特徴としている。
【0023】また、請求項9記載の発明は、請求項7記載の色変換方法において、前記補間演算用色データは、第1の表色系が表現可能な色空間から部分色空間を除いた領域を複数の四角錘台領域に分割し、入力色データが複数の四角錘台領域に分割された色空間のいずれに含まれるかを判定し、該判定結果に対応した線形変換手段によって入力色データを部分色空間の境界面上の色データに変換することによって生成されることを特徴としている。
【0024】また、請求項10記載の発明は、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換処理に用いられるパラメータを生成する色変換用パラメータ生成装置であって、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求める色範囲算出手段と、第1の表色系における画像形成装置の色範囲と所定の色範囲とを比較する比較手段と、画像形成装置の色範囲のうち前記所定の色範囲に含まれない色域が存在する場合には、所定の色範囲を拡張して前記部分色空間の範囲を算出する部分色空間算出手段と、該部分色空間の範囲を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして生成する補間演算用パラメータ生成手段とを有していることを特徴としている。
【0025】また、請求項11記載の発明は、請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記色範囲算出手段は、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求める際に、第2の表色系で表される多数の画像形成装置用色データ群を第1の表色系に対応する色データ群に変換し、該変換された色データ群から第1の表色系における最大値,最小値を色成分ごとに求めることを特徴としている。
【0026】また、請求項12記載の発明は、請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記部分色空間算出手段は、部分色空間の軸ごとの最小値及び最大値を2n(n=整数)の整数倍の値で定義して、部分色空間の範囲を算出することを特徴としている。
【0027】また、請求項13記載の発明は、請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記部分色空間算出手段は、算出した部分色空間の範囲を、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の色変換装置に、部分色空間の範囲データとして設定するようになっていることを特徴としている。
【0028】また、請求項14記載の発明は、請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記補間演算用パラメータ生成手段は、生成した補間演算用パラメータを、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の色変換装置に、ルックアップテーブルとして設定するようになっていることを特徴としている。
【0029】また、請求項15記載の発明は、請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記補間演算用パラメータ生成手段は、部分色空間算出手段によって算出された部分色空間の範囲について格子点を生成する格子点生成手段と、格子点生成手段によって生成された格子点に対応する出力色データを補間演算用パラメータとして算出する補間演算用パラメータ算出手段とを有していることを特徴としている。
【0030】また、請求項16記載の発明は、請求項15記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記格子点生成手段は、部分色空間算出手段によって算出された部分色空間を単位立方体に分割した格子点に、少なくともホワイトポイント及びブラックポイントのいずれかが含まれるように、格子点を生成するようになっていることを特徴としている。
【0031】また、請求項17記載の発明は、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換処理に用いられるパラメータを生成する色変換用パラメータ生成方法であって、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求め、第1の表色系における画像形成装置の色範囲と所定の色範囲とを比較し,所定の色範囲に含まれない色域が存在する場合には、所定の色範囲を拡大した色範囲を求め、拡張した色範囲を部分色空間の範囲として生成し、また、該部分色空間の範囲を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして生成することを特徴としている。
【0032】また、請求項18記載の発明は、3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換して画像形成装置に出力する画像処理システムにおいて、3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換するのに、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の色変換装置が用いられることを特徴としている。
【0033】また、請求項19記載の発明は、3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換して画像形成装置に出力する画像処理システムにおいて、請求項10乃至請求項16のいずれか一項に記載の色変換用パラメータ生成装置が用いられることを特徴としている。
【0034】また、請求項20記載の発明は、3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換処理において、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、画像形成装置用の色データに変換する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0035】また、請求項21記載の発明は、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換処理に用いられるパラメータを生成する色変換用パラメータ生成処理であって、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求め、第1の表色系における画像形成装置の色範囲と所定の色範囲とを比較し,所定の色範囲に含まれない色域が存在する場合には、所定の色範囲を拡大した色範囲を求め、拡張した色範囲を部分色空間の範囲として生成し、また、該部分色空間の範囲を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして生成する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る画像処理システムの一例を示す図である。図1を参照すると、この画像処理システムは、ディスプレイ100と、デジタルカメラ(デジタルスチルカメラ)101と、スキャナ102と、コンピュータ103と、画像形成装置104と、画像処理装置200とを有している。
【0037】ここで、コンピュータ103には、各種のアプリケーションやプリンタドライバ等のソフトウエアが実装可能となっている。また、デジタルカメラ101,スキャナ102は、処理される画像データを取り込むための入力装置である。また、ディスプレイ100は、画像データを表示するための表示装置であり、画像形成装置104は、画像データをプリントアウトするための出力装置である。なお、画像形成装置104としては、カラープリンタやカラーコピー機やカラーファクシミリ機などを用いることができる。
【0038】図2は、図1の画像処理システムにおけるコンピュータ103および画像処理装置200の構成例を示す図である。図2を参照すると、コンピュータ103は、アプリケーションおよびプリンタドライバ等のソフトウエアを通して、画像処理装置200へ描画コマンドを送出する機能を有している。
【0039】一方、画像処理装置200は、レンダリング処理部201、バンドバッファ202、色変換処理部(色変換装置)203、階調処理部204などで構成され、コンピュータ103から送られてきた描画コマンドを画像形成装置104が処理可能なデータに変換する機能を有している。なお、画像処理装置200には、データ圧縮処理などの他の機能が含まれていても良い。
【0040】次に、図1,図2の画像処理システムの動作について説明する。最初に、コンピュータ103で描画コマンドを生成するまでの動作について説明する。まず、オペレータは、例えばスキャナ102などの画像入力装置を用いてコンピュータ103内に画像データを取りこむ。次に、オペレータは、コンピュータ103内に実装されたアプリケーションなどを用いて、読み込んだ画像データをディスプレイ上に表示しながら編集する。そして、編集作業を終了すると、オペレータは、画像形成装置104に出力するために、印刷を指示する。
【0041】コンピュータ103は、アプリケーションから印刷を指示する命令を受け取ると、アプリケーション内部の文書データをプリンタドライバへ送信する。プリンタドライバは、文書データを画像処理装置200が受信可能な描画コマンドに変換した後、画像処理装置200へ送信する。
【0042】次に、画像処理装置200の動作について説明する。画像処理装置200は、コンピュータ103から描画コマンドを受け取ると、レンダリング処理部201で、コマンド形式のデータをラスター形式の画像データ(例えば、RGB画像データ)に変換してバンドバッファ202へ格納する。色変換処理部(色変換装置)203は、バンドバッファ202から読み出した画像データ(例えば、RGB画像データ)に対して色変換を行ない、画像形成装置(出力装置)104に適した色データ(例えば、CMYK)に変換して、階調処理部204へ送信する。そして、階調処理部204は、ディザ処理などを適用して、画像形成装置104が処理可能な階調データに変換し、生成した階調データを画像形成装置(出力装置)104へ送信する。これにより、画像形成装置104では、印刷を行なうことができる。
【0043】なお、図1,図2の例では、画像処理装置200は、コンピュータ103,画像形成装置104とは別個のものとして設けられているが、コンピュータ103内に実装されても良いし、あるいは画像形成装置104内に実装されても良い。あるいは、画像形成装置104とは独立に設けられたプリンタ制御装置内(図示せず)に実装されても良い。すなわち、画像処理装置200の一部の機能あるいは全ての機能をコンピュータ103あるいは画像形成装置104あるいはプリンタ制御装置にもたせるようにしても良い。
【0044】また、本発明の画像処理装置200は、ソフトウエアで実現することも可能である。例えば、コンピュータ103内のプログラムとして存在するプリンタドライバで、画像処理装置200の機能を実現することもできる。
【0045】図2の構成例において、本発明は、特に、色変換処理部(色変換装置)203の構成に特徴を有しているが、これを説明するのに先立ち、まず公知のメモリマップ補間演算について説明する。
【0046】三次元ルックアップテーブル(以下、ルックアップテーブルと称す。)を用いたメモリマップ補間法としては、4面体補間、三角柱補間、立方体補間などの各種のメモリマップ補間法が提案されている。なお、本発明では、後述の補間演算手段302において上記のいずれの補間法を用いても良い。ここでは、例として三角柱補間法によるメモリマップ補間法を説明する。
【0047】三角柱補間法では、図3に示すように、入力色空間X,Y,Z(R,G,B)を複数の単位三角柱に分割する。そして、入力されたX,Y,Z座標における出力Pの値を求める場合、入力されたX,Y,Z座標を含む単位三角柱を選択し、選択された単位三角柱の6個の頂点(=格子点)の出力値に基づいて出力Pにおける出力値を線形補間によって求める。
【0048】ここで、色変換に適用する場合、X,Y,Zは入力信号R(赤),G(緑),B(青)に相当し、出力Pは、4色プリンタの場合、インクを制御するY(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン),Bk(ブラック)信号などに相当する。また、上記の各格子点の出力値は、補間演算用パラメータとして予め計算によって求められ、三次元ルックアップテーブル(ルックアップテーブル)として構築されているものとする。
【0049】上記三角柱補間法において、単位三角柱の選択について説明する。この種の補間法では、図3に示すように、入力色空間X,Y,Zの各座標を2のn乗個に分割し(図3の例では、n=2としている)、入力色空間X,Y,Zを2の3n乗個の立方体に分割する。いま、X,Y,Zのビット幅をfビットとして(例えば、f=8ビットとして)、X,Y,ZをX=x+Δx,Y=y+Δy,Z=z+Δzと表し、fビット(例えば、8ビット)を上位のnビット(例えば、2ビット)と下位の(f−n)ビット(例えば、6ビット)に分け、X,Y,Zの各上位のnビットをx,y,zに、下位の(f−n)ビットをΔx,Δy,Δzに対応させると、X,Y,Zの各上位nビットによって、2の3n乗個に分割された立方体の内の1つが選択されることになる。分割立方体は2つの三角柱に分けられるが、下位(f−n)ビットは、選択された立方体内での相対位置Δx,Δy,Δzを示すことになり、下位ビットΔx,Δyの大小関係によってどちらの三角柱に属するかが判定できる。
【0050】また、三角柱補間法の補間演算は、次のようになされる。図4は三角柱の辺上での補間演算を説明するための図である。図4を参照すると、三角柱における各頂点座標における出力値をPi(i=1〜6で、その値は既知)とし、求めたい出力Pの座標を含む三角面31と三角柱32との交点座標における出力値をそれぞれPa,Pb,Pcとするとき、Paの値はP1とP2の線分比により線形補間して求まる。同様に、Pbの値はP3,P4から線形補間によって求まり、また、Pcの値はP5,P6から線形補間によって求まる。
【0051】具体的に説明すると、例えば、P1−P2=P4−P2=P6−P4=Δとすると、Paは、Pa=(Δz×P2+(Δ−Δz)×P1)/Δによって求まる。Pb,Pcも同様にして求まる。
【0052】次いで、三角面31において、上記で求めた各頂点の出力値Pa,Pb,Pcを次式(数2)に従って線形補間すれば、出力Pの値を求めることができる。
【0053】
【数2】P=Pa+(Pb−Pa)×△x/△+(Pc−Pb)×△y/△
【0054】上記のように、メモリマップ補間法では、入力色空間の各色を2のn乗個に分割すれば、分割立体の選択や補間演算を上位および下位のビットで処理できるので、色変換装置の構成を簡単にできる。
【0055】また、メモリマップ補間法に用いられる三次元ルックアップテーブル(ルックアップテーブル)は、次のように構築される。図5は、メモリマップ補間演算に用いられるルックアップテーブルの構築手順の一例を示すフローチャートである。
【0056】図5を参照すると、まず、色予測式を構築する(ステップS101)。なお、色予測式とは、画像形成装置の出力特性を数式でモデル化し、計算によって出力色データから測色値を求められるようにしたものである。例えば、CMYK出力値からXYZ三刺激値を求められるようにしたものである。色予測式を構築する一般的な方法としては、画像形成装置で色パッチを出力し、出力された色パッチを分光測色計で測色し、次に、色パッチの測色データと出力色データ(=C,M,Y,K値)の関係を近似して色予測式を構築する方法がある。
【0057】次に、ステップS101で構築した色予測式に基づいて格子点のRGB値に対応する出力値を求める(ステップS102)。格子点Pi(R,G,B)に対する出力値を計算するには、まずRGB値からLab値などのデバイスインディペンデントカラー(例えば、Lab値)に変換する。この変換は、RGBとXYZとの関係式に基づく。次に、ガマットマッピング(ガマット圧縮)を行って、Lab値などのデバイスインディペンデントカラーを画像形成装置が出力可能な色に置き換える(ステップS103)。
【0058】入力RGB色データの中には、プリンタなどの画像形成装置で再現できない色が多く含まれる。例えば、純色のグリーンなどはプリンタではとても再現できない。このような色データに対する出力値は、できるだけ近い色にマッピングして違和感の少ない色再現を行うことになる。このガマットマッピングとしては、種々の方式が提案されているが、一般には、入力Lab信号に対して、明度圧縮,彩度圧縮などを行って出力可能な色(例えばL’a’b’)にマッピングする方式が用いられる。
【0059】ガマットマッピングを行った後、次にマッピング後のLab値(すなわち、L’a’b’値)に対応する出力CMYK値を計算する(ステップS104,S105)。但し、LabからCMYKへの変換は、一意に計算できないため、先ず、所定の墨生成条件に従って、Kを求め(ステップS104)、しかる後、残りのCMYを計算する(ステップS105)。
【0060】次いで、すべての格子点の出力値を計算したか否かを判断し(ステップS106)、すべての格子点の出力値を計算したら、これを補間演算用パラメータとして、すなわち、三次元ルックアップテーブル(ルックアップテーブル)として、ROMに書き込んだり、データ・ファイルに保存したりする。
【0061】以上のように、メモリマップ補間演算では、入力データの上位ビットおよび下位ビットを用いて、入力色データが属する補間立体を選択し、その補間立体の頂点(=格子点)における出力値を三次元ルックアップテーブル(ルックアップテーブル)から読み出し、入力データの下位ビットおよび三次元ルックアップテーブル(ルックアップテーブル)から読み出した格子点出力値を用いて補間演算を行って入力色データに対する出力値を計算することができる。
【0062】上述したようなメモリマップ補間法を用いて色変換を行う場合、一般に、入力RGB色空間に対する分割数を増やすほど、高精度な色変換を実現できるものの、格子点数が増えて三次元ルックアップテーブル(ルックアップテーブル)のデータ量が増大する。従って、メモリマップ補間法では、入力色空間の分割をできる限り効率的に行うことが重要となる。
【0063】一方、sRGB64色空間のように、実在しない色(=虚色)まで表現可能な色空間を入力色データとする場合、数値上は表記できても実際には入力される可能性が全くない色空間が含まれてしまう。従って、このような色空間を入力色データとする場合には、有効な色空間のみについてメモリマップ補間演算を行うようにして、効率化を図ることが必要となる。
【0064】そこで、本発明では、画像形成装置(例えばプリンタ)の色再現範囲を覆うような色空間を部分色空間として定義し、部分色空間の範囲外に位置する入力色データをその部分色空間へマッピングしてからメモリマップ補間演算を実行するようにしており、これにより、効率的な色変換を行えるようにしている。
【0065】図6は、本発明に係る色変換装置(図2の色変換処理部203)の構成例を示す図である。図6を参照すると、この色変換装置は、3つの色成分(例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B))を持つ第1の表色系(例えば、sRGB64)で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置(例えば、カラープリンタ、モノクロプリンタ)用の色データ(例えば、CMYKあるいはCMYあるいはK)に変換するものであって、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データ(すなわち、補間演算用パラメータ)を記憶するルックアップテーブル記憶手段304と、部分色空間の範囲データを記憶する部分色空間情報記憶手段303と、部分色空間情報記憶手段303から部分色空間の範囲データを読み取り、入力色データを部分色空間にマッピングして補間演算用色データを生成する補間演算用色データ生成手段301と、補間演算用色データに基づいてルックアップテーブル記憶手段304から補間演算用パラメータを読み出し、読み出した補間演算用パラメータを用いて補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより画像形成装置用の色データに変換する補間演算手段302とを備えている。
【0066】ここで、補間演算用色データ生成手段301は、入力色データが部分色空間に含まれない場合に、入力色データを部分色空間の境界面上の色データに置き換えるマッピング手段305を有している。
【0067】図7は部分色空間を説明するための図である。図7を参照すると、部分色空間92は、入力色データが表現可能な色空間、すなわち、入力色空間93(例えば、sRGB64色空間)の一部分を表す立方体空間であり,部分色空間92の範囲は、P0とP1のRGB座標で記述することができる。従って、部分色空間は、RPmin,RPmax,GPmin,GPmax,BPmin,BPmaxの値によって画定される。すなわち、RPmin,RPmax,GPmin,GPmax,BPmin,BPmaxの値が部分色空間情報となる。
【0068】また、図8は部分色空間の範囲設定の概念を説明するための図である。なお、説明を簡単にするために、図8では、R,G,B色空間を2次元のR−G空間に置き換えている。図8の例では、標準的なRGB色空間(例えば、sRGB色空間)91は、各軸8ビット(0〜255)の値をとる色空間としている。この標準的なRGB色空間(例えば、sRGB色空間)91に対し画像形成装置で出力可能な色を上記のRGB色信号に変換した値を、●でプロットしている。
【0069】図8のように、画像形成装置で出力可能な色の一部は、負の値をとる場合があり、標準的なRGB色空間91では表現しきれない。また、図8には表れていないが、画像形成装置で出力可能な色の一部は、255を超える場合もある。そこで、このように画像形成装置で出力可能な色データがすべて表現できるように、部分色空間92の範囲RPmin,RPmax,GPmin,GPmax,BPmin,BPmaxを設定する。
【0070】但し、標準的なRGB色空間(例えば、sRGB色空間)91において画像形成装置の出力色が分布していない色域があっても、コンピュータ上で人工的に作成された描画色を色変換して出力する必要があるため、部分色空間92の範囲は、標準的なRGB色空間91の範囲である0〜255を含むようにする。すなわち、RPmin,GPmin,BPmin≦0RPmax,GPmax,BPmax≧255とする。
【0071】上記の部分色空間の範囲設定方法では、所定の画像形成装置の色再現範囲に基づいて部分色空間の範囲を決定している。しかし、デバイスの進歩とともに画像形成装置の色再現範囲も変化しており、色変換装置の汎用性を考慮すれば、入力色空間から部分色空間を除いた色空間に対しても何らかの出力値を求められるようにしておかなければならない。例えば、所定のCMYKプリンタの色再現範囲に従って部分色空間を決めたとすると、特色(例えば、赤や黄などの特別な色)などを用いた印刷物の色再現範囲はさらに広がることは容易に想像できる。
【0072】そこで、本発明では、部分色空間の範囲外の入力色データが入力された場合には、図9に示すように、補間演算用色データ生成手段301のマッピング手段305によって、入力色データ(R,G,B)を部分色空間の境界面へマッピングして補間演算用色データ(R’,G’,B’)を求めるようにしている。
【0073】次に、図6の色変換装置の処理動作について説明する。先ず、補間演算用色データ生成手段301は、部分色空間情報記憶手段303から部分色空間の範囲データを読み出して、入力色データ(入力RGBデータ)が部分色空間に含まれるか否かを判定する。この結果、入力色データ(RGB)が部分色空間の範囲外ならば、補間演算用色データ生成手段301は、マッピング手段305によって入力色データ(RGB)を部分色空間の境界面上にマッピングして補間演算用色データ(R’G’B’)に変換し、補間演算手段302に与える。補間演算手段302は、補間演算用色データ生成手段301から補間演算用色データ(R’G’B’)を受け取ると、ルックアップテーブル記憶手段304に記憶されている補間演算用パラメータを用いて補間演算用色データに対し補間演算を実行し、出力値(例えば、CMYKデータ)を計算する。
【0074】上記マッピング手段305としては、種々のものが考えられうる。1つの例として、マッピング手段305としては、入力色データが部分色空間の範囲をアンダーフローまたはオーバーフローした場合に、入力色データを部分色空間の境界面上にクリッピングによってマッピングするものを用いることができる。
【0075】すなわち、この例では、マッピング手段305は、入力色データ(RGB)のRに対して、RPmax>R>RPminならば、R’=Rとし、また、R<RPminならば、R’=RPminとし、また、R>RPmaxならば、R’=RPmaxとして、RをR’に変換するようになっている。
【0076】入力色データ(RGB)のG,Bに対しても、同様にして、G’,B’に変換するようになっている。
【0077】また、他の例として、マッピング手段305としては、第1の表色系が表現可能な色空間から部分色空間を除いた領域を複数の四角錘台領域に分割し、入力色データが複数の四角錘台領域に分割された色空間のいずれに含まれるかを判定し、該判定結果に対応した線形変換手段によって入力色データを部分色空間の境界面上の色データに変換するものを用いることができる。
【0078】図10には、部分色空間の範囲外の色空間を6つの四角錐台領域に分割した例が示されている。この例では、マッピング手段305は、部分色空間の範囲外の色空間を6つの四角錐台領域に分割して、四角錐台に対応した計算によって入力色データを部分色空間の境界面上のデータにマッピングする。
【0079】図11は、このマッピングの仕方を説明するための図である。なお、図11は、四角錐台の1つを取り出して2次元的に図示したものである。また、図11において、入力色データはM、マッピング後の色データはMoとしている。図11を参照すると、まず、入力色データMを含む平面(M1−M2−M3−M4)を求める。例えば、M1は、T1とP1の以下のような線形演算で求めることができる。
M1=(BM−BPmax)*RTmin+(BTmax−BM)*RPminM1=(BM−BPmax)*GTmax+(BTmax−BM)*GPmaxM1=BM
【0080】他のM2,M3,M4も同様の線形演算で求めることができる。
【0081】M1,M2,M3,M4が求まれば、M1,M2,M3,M4によって囲まれる平面を、P1−P2−P3−P4で囲まれる部分色空間の境界面に相似変換することで、RMo,GMo,BMoが求まる。すなわち、RMo,GMo,BMoは、RMo=(RM2−RM)*RPmin+(RM−RM4)*RPmaxMo=(GM2−GM)*GPmin+(GM−GM4)*GPmaxMo=BPmaxとして求まる。
【0082】次に、図6の色変換装置による色変換方法について図12のフローチャートを用いて説明する。図12を参照すると、まず、補間演算を行う色域を決定するために、部分色空間の範囲データ(すなわち、RPmin,RPmax,GPmin,GPmax,BPmin,BPmaxの値)を読み取る(ステップS201)。
【0083】部分色空間の範囲データを読み取ると、入力色データを読み取りながら、色変換処理を実行する(ステップS202〜S206)。すなわち、ステップS202で入力色データDin(例えば、RGB)を読み取ると、ステップS203では、補間演算用色データD’in(例えば、R’G’B’)に変換する。次に、ステップS204では、補間演算用色データD’inに対応する補間演算用パラメータ(格子点の出力値)をルックアップテーブルから読み出す。そして、ステップS205では、補間演算パラメータを用いて、補間演算用色データD’inに対し前述したような補間演算を行ない、出力色データを算出する。ステップS206では、すべての入力色データに対する補間演算処理が終了したか否かをチェックし、すべての入力色データに対する補間演算処理が終了していない場合には、ステップS202〜S205の処理を繰り返し、ステップS206ですべての入力色データに対する補間演算処理が終了したと判断されたときには、色変換処理を終了する。
【0084】上記のステップS203において、入力色データDinから補間演算用色データD’inへの変換は、入力色データDinが部分色空間の範囲内にあるか否かに基づいてなされる。すなわち、入力色データDinが部分色空間内のデータであれば、D’in=Dinとして、そのまま補間演算を実行する。これに対し、入力色データDinが部分色空間の範囲内でなければ、部分色空間の境界面へのマッピング処理を実行する。
【0085】このように、図6の色変換装置では、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データ(すなわち、補間演算用パラメータ)を記憶するルックアップテーブル記憶手段304と、部分色空間の範囲データを記憶する部分色空間情報記憶手段303と、部分色空間情報記憶手段303から部分色空間の範囲データを読み取り、入力色データを部分色空間にマッピングして補間演算用色データを生成する補間演算用色データ生成手段301と、補間演算用色データに基づいてルックアップテーブル記憶手段304から補間演算用パラメータを読み出し、読み出した補間演算用パラメータを用いて補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより画像形成装置用の色データに変換する補間演算手段302とを備えているので、sRGB64色データのように実質的に一部の色空間しか利用されないような色データが入力されるような場合であっても(すなわち、sRGB64色データを画像形成装置用の色データに変換する時のように、入力色データで表現できる色の一部の色域しか使用されないような場合であっても)、ハードウェアを増大させずに、高精度な色変換を行うことができる。
【0086】特に、補間演算用色データ生成手段301は、入力色データが部分色空間に含まれない場合に入力色データを部分色空間の境界面上の色データに置き換えるマッピング手段305を有しているので、入力色データとして補間演算不可能な色データが入力されたような場合にも、色変換が可能となる。
【0087】なお、マッピング手段305が、入力色信号が部分色空間の領域をアンダーフローまたはオーバーフローした場合に、入力色信号を部分色空間の境界面上にクリッピングによってマッピングするようになっているときには、補間演算不可能な色データが入力されたような場合にも、階調の連続性を保った色変換が可能となる。
【0088】また、マッピング手段305が、第1の表色系が表現可能な色空間から部分色空間を除いた領域を複数の四角錘台領域に分割し、入力色信号が複数の四角錘台領域に分割された色空間のいずれに含まれるかを判定し、該判定結果に対応した線形変換手段によって部分色空間の境界面上の色データに変換するようになっているときにも、補間演算不可能な色信号が入力されたような場合に、階調の連続性を保った色変換が可能となる。
【0089】このように、本発明では、入力色信号が表現できる色空間の一部の色域しか実質使用しないような色変換系(例えば、sRGB64からプリンタ色信号への変換)を想定し,所定の色域に対応したルックアップテーブルのみを有し、所定の色域に含まれない入力信号に対しては、所定の色域の色信号に変換した後、補間演算を行って出力値を計算するようにしている。
【0090】すなわち、本発明では、部分色空間の外側の色空間に位置する入力色データが入力された場合のみ、マッピングを行ない、部分色空間内の色データに対しては補間演算処理のみで色変換を行なう。これにより、処理速度を向上させることができる。
【0091】図13は、図6の色変換装置の部分色空間情報記憶手段303に記憶される部分色空間情報、および、ルックアップテーブル記憶手段304に記憶されるルックアップテーブルを色変換用パラメータとして生成する色変換用パラメータ生成装置の構成例を示す図である。
【0092】図13を参照すると、この色変換用パラメータ生成装置400は、測色データ記憶部401と、RGBデータ生成部402と、部分色空間設定部403と、格子点生成部404と、ルックアップテーブル算出部405とを有している。また、画像形成装置から出力された色パッチを測色するための測色計が外部に接続されている。この色変換用パラメータ生成装置400は、例えば、図1,図2の画像処理装置200内に設けることができる。
【0093】図13の色変換用パラメータ生成装置400において、測色データ記憶部401は、外部に接続されている測色計から受信した測色データを記憶するためのものである。なお、測色データとしては、Lab値やXYZ値などである。
【0094】また、RGBデータ生成部402は、測色データ記憶部401に記憶されている測色データをRGB色データに変換する機能を有している。この変換は、例えばRGB色空間としてsRGB64を想定すると、sRGB64色データをXYZ三刺激値から次式に従って計算することができる。
【0095】
【数3】


【0096】また、部分色空間設定部403は、RGBデータ生成部402で算出されたRGBデータを元に部分色空間の範囲を設定するようになっている。ここで、部分色空間の範囲の算出を行なうには、まず、RGB変換データの最大値,最小値をR,G,Bの各色成分ごとに求める。例えば、R信号の最小値が20,最大値が240であり、G信号の最小値が−10,最大値が240であり、B信号の最小値が−30,最大値が255であったとすると、部分色空間の範囲は、所定の範囲と上記最大値,最小値とを比較して決定される。ここで、所定の範囲には、例えば一般的なRGB空間の範囲(0〜255)が用いられる。所定の範囲に一般的なRGB空間の範囲(0〜255)が用いられる場合、上記例では、G信号の最小値は0以下なので、部分色空間のG座標の最小値は−10とする。他も同様に考えれば、部分色空間の範囲は、RPmin=0、RPmax=255GPmin=−10、GPmax=255BPmin=−30、BPmax=255として算出することができる。
【0097】しかし、部分色空間を上記の範囲に設定してしまうと、部分色空間を1辺の長さが16の立方体で分割するとき、ブラックポイント(0,0,0)を通らなくなってしまい、メモリマップ補間演算が複雑になってしまう。従って、部分色空間の範囲を、図14に示すように、格子点が必ずホワイトポイントWPあるいはブラックポイントBPのいずれかを含むように設定すれば(なお、図14の例では、一辺の長さ=64として記載している)、補間演算のハードウェアでの実現が容易になる。すなわち、RPmin,RPmax,GPmin,GPmax,BPmin,BPmaxの値を2のn乗(n=整数)の値の倍数(上記の例では、16)とすることにより(すなわち、部分色空間の軸ごとの最小値及び最大値を2n(n=整数)の整数倍の値で定義して、部分色空間の範囲を算出することにより)、前述したように、上位ビットおよび下位ビットでのメモリアクセスおよび下位ビットのみでの補間演算が可能になり、回路を簡単にできる。すなわち、上記の例では、RPmin=0、RPmax=255GPmin=−16、GPmax=255BPmin=−32、BPmax=255とするのが良い。
【0098】このようにして算出された部分色空間の範囲データは、画像処理装置200(色変換装置203)に送られ、色変換装置203の部分色空間情報記憶手段303に部分色空間情報として記憶される。
【0099】また、図13の色変換用パラメータ生成装置400において、格子点生成部404は、部分色空間設定部403で設定された部分色空間の範囲に含まれる格子点のRGB値を生成してルックアップテーブル算出部405に与えるようになっている。また、ルックアップテーブル算出部405は、格子点生成部404で生成した格子点に対応する出力値を算出し(図5に示したような処理を行なって格子点の出力値を計算し)、格子点に対応する出力値をルックアップテーブルとして、色変換装置のルックアップテーブル記憶手段304に記憶するようになっている。
【0100】図15は本発明の色変換用パラメータ生成方法を説明するためのフローチャートである。図15を参照すると、まず、画像形成装置(例えば、カラープリンタ)から所定のパッチデータを出力する(ステップS301)。所定のパッチデータとしては、例えば、CMYKの各色信号を16ステップに振った色データを出力する。ステップは細かいほど良いが、特にこだわらない。また、すべての組み合わせについて出力しなくても、4色中の3色は最大値または最小値に固定して、残りの1色を数段階に設定すれば、出力パッチ数を減らすことができる。
【101】例えば、CMYK=[0,0,0,0],[0,0,0,16],[0,0,0,32]・・・・[0,0,0,255],[0,0,255,0],[0,0,255,16],[0,0,255,32],…,[0,0,255,255],::[255,255,255,0],[255,255,255,16],[255,255,255,32],…,[255,255,255,255]というような組み合わせのパッチを出力する。
【0102】次に、ステップS301で出力された色パッチを測色計で測色し、出力された色パッチのXYZ値あるいはLab値を求める(ステップS302)。
【0103】次に、測色データを入力色空間の色信号であるRGB色データ(例えば、sRGB64表色系の色データ)に変換する(ステップS303)。次いで、変換されたRGB色データの分布範囲を求め(ステップS304)、RGB色データの分布範囲を所定の色空間範囲と比較して部分色空間の範囲を求める(ステップS305)。このようにして求められた部分色空間の範囲は、色変換装置に色変換用の1つのパラメータとして設定される。
【0104】また、ステップS305において部分色空間の範囲が求まれば、部分色空間を単位立体に分割して格子点を生成し(ステップS306)、生成された格子点位置の出力値(例えば、CMYK値)を前述したようにして計算する(ステップS307)。このようにして求められた格子点に対応する出力値は、色変換装置に色変換用の他の1つのパラメータとして、すなわちルックアップテーブル(補間演算用パラメータ)として設定される。
【0105】図16は本発明の画像処理システムのハードウェア構成例を示す図である。図16を参照すると、この画像処理システムは、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータ等で実現され、全体を制御するCPU21と、CPU21の制御プログラム等が記憶されているROM22と、CPU21のワークエリア等として使用されるRAM23と、ハードディスク24と、RGB画像データを入力するためのデジタルカメラ101およびスキャナ102と、画像データを表示するためのディスプレイ100と、カラープリンタなどの画像形成装置104とを有している。
【0106】ここで、CPU21,ROM22,RAM23,ハードディスク24は、図1,図2のコンピュータ103としての機能を有している。なお、この場合、図1,図2の画像処理装置200の機能も、CPU21にもたせることができる。すなわち、本発明の色変換装置および色変換方法としての機能,色変換用パラメータ生成装置および色変換用パラメータ生成方法としての機能をCPU21にもたせることができる。
【0107】なお、CPU21におけるこのような色変換装置および色変換方法,色変換用パラメータ生成装置および色変換用パラメータ生成方法等としての機能は、例えばソフトウェアパッケージ(具体的には、CD−ROM等の情報記録媒体)の形で提供することができ、このため、図16の例では、情報記録媒体30がセットさせるとき、これを駆動する媒体駆動装置31が設けられている。
【0108】換言すれば、本発明の色変換装置および色変換方法,色変換用パラメータ生成装置および色変換用パラメータ生成方法は、イメージスキャナ,ディスプレイ等を備えた汎用の計算機システムにCD−ROM等の情報記録媒体に記録されたプログラムを読み込ませて、この汎用計算機システムのマイクロプロセッサに色変換処理,色変換用パラメータ生成処理を実行させる装置構成においても実施することが可能である。この場合、本発明の色変換処理,色変換用パラメータ生成処理を実行するためのプログラム(すなわち、ハードウェアシステムで用いられるプログラム)は、媒体に記録された状態で提供される。プログラムなどが記録される情報記録媒体としては、CD−ROMに限られるものではなく、ROM,RAM,フレキシブルディスク,メモリカード等が用いられても良い。媒体に記録されたプログラムは、ハードウェアシステムに組み込まれている記憶装置、例えばハードディスク24にインストールされることにより、このプログラムを実行して、色変換処理機能,色変換用パラメータ生成処理を実現することができる。
【0109】また、本発明の色変換装置および色変換方法,色変換用パラメータ生成装置および色変換用パラメータ生成方法を実現するためのプログラムは、媒体の形で提供されるのみならず、通信によって例えばサーバによって提供されるものであっても良い。
【0110】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1乃至請求項9記載の発明によれば、3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換するときに、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、画像形成装置用の色データに変換するので、sRGB64データを画像形成装置用の色データに変換する時のように、入力色データで表現できる色の一部の色域しか使用されないような場合であっても、ハードウェアを増大させずに、高精度な色変換を実現することができる。
【0111】特に、請求項2乃至請求項4,請求項7乃至請求項9,請求項18,請求項20記載の発明によれば、補間演算用色データは、入力色データが部分色空間に含まれない場合には入力色データを部分色空間の境界面上にマッピングして生成されるので、補間演算不可能な色データが入力されたような場合にも、色変換が可能となる。
【0112】ここで、請求項3,請求項8記載の発明では、補間演算用色データは、入力色データが部分色空間の領域をアンダーフローまたはオーバーフローした場合に、入力色データを部分色空間の境界面上にクリッピングすることによってマッピングして生成されるので、補間演算不可能な色データが入力されたような場合にも、階調の連続性を保った色変換が可能となる。
【0113】また、請求項4,請求項9記載の発明では、補間演算用色データは、第1の表色系が表現可能な色空間から部分色空間を除いた領域を複数の四角錘台領域に分割し、入力色データが複数の四角錘台領域に分割された色空間のいずれに含まれるかを判定し、該判定結果に対応した線形変換手段によって入力色データを部分色空間の境界面上の色データに変換することによって生成されるので、補間演算不可能な色データが入力されたような場合にも、階調の連続性を保った色変換が可能となる。
【0114】また、請求項10乃至請求項17,請求項19,請求項21記載の発明によれば、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換処理に用いられるパラメータを生成するときに、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求め、第1の表色系における画像形成装置の色範囲と所定の色範囲とを比較し,所定の色範囲に含まれない色域が存在する場合には、所定の色範囲を拡大した色範囲を求め、拡張した色範囲を部分色空間の範囲として生成し、また、該部分色空間の範囲を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして生成するので、sRGB64色データを画像形成装置用の色データに変換する時のように、入力色データで表現できる色の一部の色域しか使用されないような場合であっても、画像形成装置の色再現範囲に適した効率的な色変換用パラメータを作成することができる。
【0115】特に、請求項11記載の発明によれば、請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記色範囲算出手段は、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求める際に、第2の表色系で表される多数の画像形成装置用色データ群を第1の表色系に対応する色データ群に変換し、該変換された色データ群から第1の表色系における最大値,最小値を色成分ごとに求めるので、画像形成装置の色再現範囲を有効に活用した色変換用パラメータを生成することができる。
【0116】また、請求項12記載の発明によれば、請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記部分色空間算出手段は、部分色空間の軸ごとの最小値及び最大値を2n(n=整数)の整数倍の値で定義して、部分色空間の範囲を算出するので、上位ビットを用いた単位立体の選択および下位ビットを用いた補間演算ができ、高速処理化が可能となる。
【0117】また、請求項16記載の発明によれば、請求項15記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記格子点生成手段は、部分色空間算出手段によって算出された部分色空間を単位立方体に分割した格子点に、少なくともホワイトポイント及びブラックポイントのいずれかが含まれるように、格子点を生成するようになっているので、入力色データで表現できる色再現範囲の一部分に対応したルックアップテーブルしか持たない場合であっても、白や黒といった特定色に対する出力色を良好に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理システムの一例を示す図である。
【図2】図1の画像処理システムにおけるコンピュータおよび画像処理装置の構成例を示す図である。
【図3】三角柱補間法を説明するための図である。
【図4】三角柱の辺上での補間演算を説明するための図である。
【図5】メモリマップ補間演算に用いられるルックアップテーブルの構築手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る色変換装置の構成例を示す図である。
【図7】部分色空間を説明するための図である。
【図8】部分色空間の範囲設定の概念を説明するための図である。
【図9】部分色空間の境界面への入力色データのマッピングを説明するための図である。
【図10】部分色空間の範囲外の色空間を6つの四角錐台領域に分割した例を示す図である。
【図11】部分色空間の境界面への入力色データのマッピングを説明するための図である。
【図12】図6の色変換装置による色変換方法を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明に係る色変換用パラメータ生成装置の構成例を示す図である。
【図14】格子点が必ずホワイトポイントWPあるいはブラックポイントBPのいずれかを含むように設定する例を示す図である。
【図15】本発明の色変換用パラメータ生成方法を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の画像処理システムのハードウェア構成例を示す図である。
【図17】従来の色変換装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
100 ディスプレイ
101 デジタルカメラ
102 スキャナ
103 コンピュータ
104 画像形成装置
200 画像処理装置
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 ハードディスク
30 情報記録媒体
31 媒体駆動装置
201 レンダリング処理部
202 バンドバッファ
203 色変換処理部
204 階調処理部
301 補間演算用色データ生成手段
302 補間演算手段
303 部分色空間情報記憶手段
304 ルックアップテーブル記憶手段
305 マッピング手段
400 色変換用パラメータ生成装置
401 測色データ記憶部
402 RGBデータ生成部
403 部分色空間設定部
404 格子点生成部
405 ルックアップテーブル算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換装置において、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして記憶するルックアップテーブル記憶手段と、部分色空間の範囲データを記憶する部分色空間情報記憶手段と、部分色空間情報記憶手段から部分色空間の範囲データを読み取り、入力色データを部分色空間にマッピングして補間演算用色データを生成する補間演算用色データ生成手段と、補間演算用色データに基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から補間演算用パラメータを読み出し、読み出した補間演算用パラメータを用いて補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより画像形成装置用の色データに変換する補間演算手段とを備えていることを特徴とする色変換装置。
【請求項2】 請求項1記載の色変換装置において、前記補間演算用色データ生成手段は、入力色データが部分色空間に含まれない場合に入力色データを部分色空間の境界面上の色データに置き換えるマッピング手段を有していることを特徴とする色変換装置。
【請求項3】 請求項2記載の色変換装置において、前記マッピング手段は、入力色データが部分色空間の範囲をアンダーフローまたはオーバーフローした場合に、入力色データを部分色空間の境界面上にクリッピングすることによってマッピングするようになっていることを特徴とする色変換装置。
【請求項4】 請求項2記載の色変換装置において、前記マッピング手段は、第1の表色系が表現可能な色空間から部分色空間を除いた領域を複数の四角錘台領域に分割し、入力色データが複数の四角錘台領域に分割された色空間のいずれに含まれるかを判定し、該判定結果に対応した線形変換手段によって入力色データを部分色空間の境界面上の色データに変換するようになっていることを特徴とする色変換装置。
【請求項5】 画像形成装置の色再現範囲を覆うような色空間を部分色空間として定義し、部分色空間の範囲外に位置する入力色データを部分色空間へマッピングして補間演算用色データを生成し、該補間演算用色データにメモリマップ補間演算を行なって、画像形成装置用の色データに変換することを特徴とする色変換方法。
【請求項6】 3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換方法において、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、画像形成装置用の色データに変換することを特徴とする色変換方法。
【請求項7】 請求項6記載の色変換方法において、前記補間演算用色データは、入力色データが部分色空間に含まれない場合には入力色データを部分色空間の境界面上にマッピングして生成されることを特徴とする色変換方法。
【請求項8】 請求項7記載の色変換方法において、前記補間演算用色データは、入力色データが部分色空間の領域をアンダーフローまたはオーバーフローした場合に、入力色データを部分色空間の境界面上にクリッピングすることによってマッピングして生成されることを特徴とする色変換方法。
【請求項9】 請求項7記載の色変換方法において、前記補間演算用色データは、第1の表色系が表現可能な色空間から部分色空間を除いた領域を複数の四角錘台領域に分割し、入力色データが複数の四角錘台領域に分割された色空間のいずれに含まれるかを判定し、該判定結果に対応した線形変換手段によって入力色データを部分色空間の境界面上の色データに変換することによって生成されることを特徴とする色変換方法。
【請求項10】 第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換処理に用いられるパラメータを生成する色変換用パラメータ生成装置であって、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求める色範囲算出手段と、第1の表色系における画像形成装置の色範囲と所定の色範囲とを比較する比較手段と、画像形成装置の色範囲のうち前記所定の色範囲に含まれない色域が存在する場合には、所定の色範囲を拡張して前記部分色空間の範囲を算出する部分色空間算出手段と、該部分色空間の範囲を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして生成する補間演算用パラメータ生成手段とを有していることを特徴とする色変換用パラメータ生成装置。
【請求項11】 請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記色範囲算出手段は、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求める際に、第2の表色系で表される多数の画像形成装置用色データ群を第1の表色系に対応する色データ群に変換し、該変換された色データ群から第1の表色系における最大値,最小値を色成分ごとに求めることを特徴とする色変換用パラメータ生成装置。
【請求項12】 請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記部分色空間算出手段は、部分色空間の軸ごとの最小値及び最大値を2n(n=整数)の整数倍の値で定義して、部分色空間の範囲を算出することを特徴とする色変換用パラメータ生成装置。
【請求項13】 請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記部分色空間算出手段は、算出した部分色空間の範囲を、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の色変換装置に、部分色空間の範囲データとして設定するようになっていることを特徴とする色変換用パラメータ生成装置。
【請求項14】 請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記補間演算用パラメータ生成手段は、生成した補間演算用パラメータを、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の色変換装置に、ルックアップテーブルとして設定するようになっていることを特徴とする色変換用パラメータ生成装置。
【請求項15】 請求項10記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記補間演算用パラメータ生成手段は、部分色空間算出手段によって算出された部分色空間の範囲について格子点を生成する格子点生成手段と、格子点生成手段によって生成された格子点に対応する出力色データを補間演算用パラメータとして算出する補間演算用パラメータ算出手段とを有していることを特徴とする色変換用パラメータ生成装置。
【請求項16】 請求項15記載の色変換用パラメータ生成装置において、前記格子点生成手段は、部分色空間算出手段によって算出された部分色空間を単位立方体に分割した格子点に、少なくともホワイトポイント及びブラックポイントのいずれかが含まれるように、格子点を生成するようになっていることを特徴とする色変換用パラメータ生成装置。
【請求項17】 第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換処理に用いられるパラメータを生成する色変換用パラメータ生成方法であって、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求め、第1の表色系における画像形成装置の色範囲と所定の色範囲とを比較し,所定の色範囲に含まれない色域が存在する場合には、所定の色範囲を拡大した色範囲を求め、拡張した色範囲を部分色空間の範囲として生成し、また、該部分色空間の範囲を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして生成することを特徴とする色変換用パラメータ生成方法。
【請求項18】 3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換して画像形成装置に出力する画像処理システムにおいて、3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換するのに、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の色変換装置が用いられることを特徴とする画像処理システム。
【請求項19】 3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換して画像形成装置に出力する画像処理システムにおいて、請求項10乃至請求項16のいずれか一項に記載の色変換用パラメータ生成装置が用いられることを特徴とする画像処理システム。
【請求項20】 3つの色成分を持つ第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換処理において、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、画像形成装置用の色データに変換する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項21】 第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間の範囲内に収まるように入力色データを変換して補間演算用色データを生成し、第1の表色系が表現可能な色空間よりも狭い部分色空間を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして用いて、補間演算用色データに対して補間演算を行うことにより、第1の表色系で表される入力色データを第2の表色系で表される画像形成装置用の色データに変換する色変換処理に用いられるパラメータを生成する色変換用パラメータ生成処理であって、画像形成装置の色範囲を第1の表色系上で求め、第1の表色系における画像形成装置の色範囲と所定の色範囲とを比較し,所定の色範囲に含まれない色域が存在する場合には、所定の色範囲を拡大した色範囲を求め、拡張した色範囲を部分色空間の範囲として生成し、また、該部分色空間の範囲を単位立方体に分割した格子点上の入力色データに対応する出力色データを補間演算用パラメータとして生成する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図14】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図16】
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【図17】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【公開番号】特開2002−185804(P2002−185804A)
【公開日】平成14年6月28日(2002.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−375768(P2000−375768)
【出願日】平成12年12月11日(2000.12.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】