説明

色彩選別機

【課題】通常選別で使用する選別部を予備選別としても共用することで、色彩選別機のコストアップを抑えて安価に形成し得ると共に選別精度を高めることが可能な色彩選別機を提供する。
【解決手段】光源、光学検出部、及び光学検出部で検出した信号を演算処理し予め設定されている閾値と比較して試料の良否を判定する制御部、エジェクタ等からなる選別部を備えた色彩選別機において、制御部は、選別部を一定時間作動させて試料の予備選別を行うと共に、該予備選別で得られた試料データに基づいて閾値を修正し、この修正した閾値に基づいて選別部を作動させて試料を通常選別することを特徴とする。また制御部は、予備選別で得られた試料データのうち良品データと不良品データの度数分布に基づいて、閾値を修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄米、白米等の試料の外観を光学的に検出して良品と不良品とに選別可能な色彩選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀粒の外観を光学的に検出して選別する装置としては、例えば特許文献1及び特許文献2に開示のものが提案されている。特許文献1に開示の色彩選別機は、原料米中から異色粒子及び異物を取り除く選別部と、エジェクタ装置によって分離された異色粒群及び良品群中の各異色粒を検出して選別部における不良品の混入率をチェックする試料測定部とを設けたものである。また、特許文献2に開示の色彩選別機は、選別部とは別に、原料と選別部で選別された良品側粒子と不良品側粒子とをサンプリングして、これら良品と不良品の重量をそれぞれ分析する分析装置を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−319092号公報
【特許文献2】特開平10−216650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの色彩選別機にあっては、穀粒の良品と不良品との選別作業を行う選別部の他に、通常の選別作業には使用しない試料測定部や分析装置を別途必要とするため、専用の部材が必要になって部材コストが掛かると共に、選別機自体への設置スペースが必要になる等、色彩選別機のコストアップを招き易いという問題点を有している。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、通常選別で使用する選別部を予備選別としても共用することで、色彩選別機のコストアップを抑えて安価に形成し得ると共に選別精度を高めることが可能な色彩選別機を提供することにある。また、他の目的は、前記目的に加え、予備選別に使用した穀粒を循環昇降機に機械的に戻すことができて、予備選別の自動化が図れる色彩選別機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、試料を流下させる流下樋の下方に設けた光源と、受光センサ及びまたはカメラと試料の背景となるバックグランドを有する光学検出部と、該光学検出部で検出した信号を演算処理し予め設定されている閾値と比較して試料の良否を判定する制御部と、該制御部からの信号に基づいて良品と不良品を選別するエジェクタと、を有する選別部を備えた色彩選別機において、前記制御部は、前記選別部を一定時間作動させて試料の予備選別を行うと共に、該予備選別で得られた試料データに基づいて前記閾値を修正し、この修正した閾値に基づいて前記選別部を作動させて試料を通常選別することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記制御部が、前記予備選別で得られた試料データのうち、良品データと不良品データの度数分布に基づいて、前記閾値を修正することを特徴とする。さらに、請求項3に記載の発明は、前記試料の良品または不良品の混入割合を予め設定する混入割合設定手段を備え、前記制御部は、該混入割合設定手段で設定された混入割合に近づけるように前記閾値を修正することを特徴とする。また、請求項4に記載の発明は、前記流下樋を流下させた試料を原料タンクに戻す循環昇降機を備え、前記予備選別時に、前記光学検出部を通過した試料の流路を、前記循環昇降機の投入口に切り替え可能な切替手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、制御部により選別部を一定時間作動させて試料の予備選別を行うと共に、該予備選別で得られた試料データに基づいて閾値を修正し、この修正した閾値に基づいて選別部を作動させて試料を選別するため、通常選別で使用する選別部を一定時間させることにより予備選別としても共用できて、色彩選別機のコストアップを抑えて安価に形成することができると共に、通常選別における良品、不良品の判別基準としての閾値を予備選別の結果に応じて修正できて、試料の選別精度を高めることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、制御部が予備選別で得られた試料データのうち、良品データと不良品データの度数分布に基づいて閾値を修正するため、試料の特性に正確に対応した閾値が得られ、試料の選別精度を一層高めることができる。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、試料の良品または不良品の混入割合を予め設定する混入割合設定手段を備え、制御部がこの混入割合設定手段で設定された混入割合に近づけるように閾値を修正するため、目標とする不良品混入割合等により近づけた閾値に基づく通常選別が可能になり、試料の用途に応じた色彩選別を効率的に行うことができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、流下樋を流下させた試料を原料タンクに戻す循環昇降機を備え、予備選別時に光学検出部を通過して流下した試料の流路を循環昇降機の投入口に切替え可能な切替手段を備えるため、切替手段の循環昇降機側への切り替えにより、予備選別で使用した試料を原料タンクに機械的に戻すことができて、予備選別を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係わる色彩選別機の一実施形態を示す斜視図
【図2】同その内部構造を示す縦断面図
【図3】同選別のしくみを示す説明図
【図4】同試料の流路の基本概念を示す説明図
【図5】同切替手段の基本概念を示す説明図
【図6】同制御系を示すブロック図
【図7】同色彩選別機の動作を示すフローチャート
【図8】同その説明図
【図9】同RGBセンサの出力波形図
【図10】同CCDカメラのスキャン波形図
【図11】同他の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図11は、本発明に係わる色彩選別機を穀粒の選別に適用した場合の一実施形態を示している。図1に示すように、色彩選別機1は、縦長箱状の筺体2を有し、この筺体2の側面には循環昇降機3が立設状態で配置されると共に、この循環昇降機3の下部前面側には原料ホッパ4が一体化された状態で配置されている。
【0014】
また、筺体2の上部前面には、タッチパネル式の液晶表示器からなる操作パネル5と、各種数値を入力可能なキーボード等を有する入力装置6が配置されると共に、これらの裏面内部の適宜位置には、制御基板からなる制御部7が収納配置されている。さらに、筺体2の前面下部の所定高さ位置(作業者の腰に相当する高さ)には、良品排出口8と不良品排出口9が設けられると共に、電源スイッチ10等が設けられている。
【0015】
そして、前記筺体2の内部には、図2及び図3に示すように、上部から下部に掛けて所定角度傾斜した状態で試料としての穀粒Sを流下させる流下樋11が設けられ、この流下樋11の上部には、前記循環昇降機3の排出口に接続された原料タンクとしての上部タンク12とフィーダ13が配設されている。
【0016】
また、流下樋11の下方の所定位置には選別部14が設けられている。この選別部14は、光源としての白色蛍光灯15a及び赤色蛍光灯15bと、光学検出部16と、空気銃からなるエジェクタ17が設けられている。光学検出部16は、一対のラインカメラとしてのCCDカメラ16a、16bと、この各CCDカメラ16a、16bに対向して配置されて穀粒Sの背景となる一対のバックグランド16c、16d(図3参照)と、カラーセンサとしてのRGBセンサ16e等を有している。
【0017】
前記流下樋11は、図4に示すように、例えば6チャンネルの一次選別シュート11aと、例えば2チャンネルの二次選別シュート11bで形成されている。また、前記循環昇降機3は、原料昇降機3aと二次昇降機3bにより形成され、原料昇降機3aは、その投入口が原料ホッパ4と前記二次選別シュート11bの排出口に接続され、その排出口が前記一次選別シュート11aの上部タンク12に接続されている。また、二次昇降機3bは、その投入口が前記一次選別シュート11aの排出口に接続され、その排出口が前記二次選別シュート11bの上部タンク12に接続されている。
【0018】
そして、前記流下樋11は、原料ホッパ4に投入された穀粒Sが、矢印イの如く原料昇降機3aの投入口に供給され該昇降機3aで上昇されて、矢印ロの如く一次選別シュート11aに供給され良品か不良品かに選別される。この一次選別シュート11aで不良品と選別された穀粒Sは、矢印ハの如く二次昇降機3bの投入口に戻され、この二次昇降機3bで上昇されて矢印ニの如く二次選別シュート11bに供給される。また、二次選別シュート11bで良品と判定された穀粒Sは、矢印ホの如く原料昇降機3aに戻されて、矢印ヘの如く一次選別シュート11aに供給される。
【0019】
また、二次選別シュート11bで不良品と判定された穀粒Sは、矢印トの如く不良品排出口9から排出され、また、一次選別シュート11aで良品と判定された穀粒Sは、矢印チの如く良品排出口8から排出される。つまり、二次選別シュート11bで良品と判定された穀粒Sが、そのまま良品排出口8から排出されることがなくなり、原料として原料昇降機3aに戻されて再選別されることから、不良品の除去率の大幅な向上が図れることになる。
【0020】
また、図5に示すように、前記流下樋11の光学検出部16の下方の所定位置には、前記良品排出口8及び不良品排出口9に接続された選別排出流路20と、前記循環昇降機3(原料昇降機3aもしくは二次昇降機3b)の投入口に接続された戻し流路としての循環流路21が設けられている。そして、この両流路20、21の分岐部には、切替手段としてのシャッタ22が矢印ヌの如く回動可能に配設されている。このシャッタ22は、図5の二点鎖線で示すように、駆動源としての例えばモータが所定方向に回動して垂直状態に設定されることにより、光学検出部16を通過した穀粒Sの流路が選別排出流路20側に切り替えられ、シャッタ22が図5の実線で示すように、傾斜状態に設定されることにより、光学検出部16を通過した穀粒Sの流路が循環流路21側に切り替えられるようになっている。
【0021】
なお、シャッタ22は、例えば前記一次選別シユート11aと二次選別シュート11bからなる流下樋11の幅方向の全域をカバーできる幅に設定されて、後述する予備選別時に、循環流路21側に切り替えられることにより、予備選別で使用した穀粒Sが循環昇降機3の投入口に機械的に戻されるようになっている。また、図5は切替手段の基本概念を示し、シャッタ22の回動構造等は一例であって、駆動源として電磁ソレノイドを使用する等、予備選別時に流下樋11を流下してくる穀粒Sを機械的に循環昇降機3に戻すことが可能な適宜の構造を採用することができる。
【0022】
前記制御部7は、図6に示すように、CPU7a、ROM7b、RAM7c等を有し、その入力側に、前記CCDカメラ16a、16b、RGBセンサ16e、電源スイッチ10及び入力装置6が接続されている。また、制御部7の出力側には、白色蛍光灯15a、赤色蛍光灯15b、原料昇降機3a、二次昇降機3b、フィーダ13、エジェクタ17及び前記シャッタ22が接続されると共に、エジェクタ17の動作を示す前記操作パネル5上に配設された空気銃モニタ23と各種ランプ24が接続されている。
【0023】
なお、各種ランプ24としては、異常状態を示す異常ランプ、自動運転状態を示す自動ランプ、選別作業状態を示す選別ランプ、選別準備状態を示す選別準備ランプ、清掃が必要であることを示す清掃ランプ、不良打ちを示す不良打ちランプ、良品打ちを示す良品打ちランプ等が使用される。また、制御部7の入出力側には、例えば後述する予備選別によって感度である閾値を自動で調整可能な自動選別モードと、感度を手動で調整可能な手動選別モードと、感度とその他を設定可能な調整メニューモード等の各種モードを設定可能な前記操作パネル5が接続されている。
【0024】
次に、前記色彩選別装置1の動作の一例を図7のフローチャートに基づいて説明する。なお、図7に示すフローチャートは、前記制御部7のROM7bに記憶されているプログラムにしたがって自動的に実行される。先ず、図7(a)に示すように、原料ホッパ4に色彩選別機1を使用して選別しようとする穀粒Sを投入し、色彩選別機1の電源スイッチ10がオンされ前記操作パネル5の自動選別モードを選択するとプログラムが開始(S101)され、制御部7のRAM7cに記憶されている閾値が読み込まれる(S102)。この閾値とは、制御部7のCPU7aが穀粒Sを良品か不良品かを判定するための基準値である。
【0025】
ステップS102で現在の閾値が読み込まれると、シャッタ22が図5の傾斜状態である循環側に切り替え(S103)られ、流下樋11の下流側の流路が循環流路21側に設定される。この状態で、制御部7の制御信号により、循環昇降機3を起動させると共にフィーダ13を起動(S104)させる。これにより、原料ホッパ4に投入されている穀粒Sが原料昇降機3aで上昇させられ、上部タンク12及びフィーダ13を介して一次選別シュート11aに供給され、一次選別シュート11aを流下し、光学検出部16で検出される。また、一次選別シュート11aを流下して光学検出部16を通過した穀粒Sは、循環流路21を介して循環昇降機3の原料昇降機3aの投入口に機械的に投入される。
【0026】
循環昇降機3、フィーダ13等が起動すると、ステップS102で読み込んだ閾値が修正(S105)される。この閾値の修正は、図7(b)のようにして行われる。すなわち、閾値の修正プログラムが開始(S1051)されると、一次選別シュート11aを流下してくる穀粒Sの1粒を光学検出部16で検出(S1052)し、その後、1粒毎の単粒データ(試料データ)を演算処理により求め(S1053)、制御部7のRAM7cに一時記憶する。なお、単粒データとしては、穀粒Sの青米や着色米、ヤケ・シラタ等を選別可能な各種のデータが使用される。
【0027】
そして、予め設定されている所定時間T(例えばT=40秒)が経過したか否かが判断(S1054)され、この判断S1054で「NO」の場合は前記ステップS1052に戻る。また、判断S1054で「YES」の場合は、ステップS1053で求めた単粒データの度数分布を求め(S1055)、この度数分布に基づいて度数分布曲線を求める(S1056)。この度数分布曲線は、例えば図8に示すように、良品(曲線b)と不良品(曲線c)が混入している場合、実線で示す曲線aとなる。この図8において、符号eは不良品の領域を示し、符号fは良品の領域を示している。
【0028】
ステップS1056で度数分布曲線が求められると、該曲線の勾配gを求め、勾配gが良品側から(図8の右方向から左方向に見た場合)「正」→「負」→「0」となる点d1を求める(S1058)。そして、このd1を通常選別の閾値として制御部7のRAM7cに記憶(S1058)させ、閾値の修正プログラムを終了(S1059)させる。つまり、閾値の修正は、穀粒Sを所定時間T流下樋11に流して、選別部14で選別して穀粒Sの単粒データを求め、この単粒データに基づく度数分布曲線から勾配gを求め、この勾配gが所定に変化する位置である不良品と良品の度数分布の分岐点を修正用の閾値として記憶することになる。
【0029】
ここで、図8に示す度数分布曲線で使用されるデータについて、図9及び図10を参照して説明する。前記単粒データは、穀粒Sの青米や着色米、ヤケ・シラタ等を選別可能なデータであり、前記制御部7は、前記RGBセンサ16eで得られたデータもしくは該データを演算処理したデータが利用可能となっている。一例を示すと、図9は、穀粒Sとしての米粒一粒がRGBセンサ16eの視野を通過する際の、RGBセンサ16eの出力波形である。
【0030】
前記RGBセンサ16eは、R、G、Bの三色のフィルターが各々独立したフォトダイオードに取り付けられており、米粒がRGBセンサ16eの視野を通過する際に、R、G、B各々のセンサから図9に近似した波形が得られる。この図9の波形は、整粒の波形と青米の波形を示しており、単粒データとしては、これらの波形の最大値P1、P2が取り込まれるようになっている。この単粒データを度数分布にしたのが図8であり、青米の分布が不良品eの分布に対応し、整粒の分布が良品fに対応している。
【0031】
また、着色米の場合は、ラインカメラとしての前記CCDカメラ16aとCCDカメラ16bにより、米粒をその短軸方向に連続スキャンしている。図10は、米粒がCCDカメラ16a、16bの視野にあるときに、短軸方向にスキャンした場合の波形であり、図10(a)が整粒のスキャン波形を示し、図10(b)が部分着色米のスキャン波形を示している。そして、この両波形の最小値Q1、Q2が単粒データとして取り込まれ、この単粒データの度数分布が図8に近似した波形となり、部分着色米の分布が不良品eの分布に対応し、整粒の分布が良品fに対応している。なお、図10(a)の符号Q3は、前記バックグランド16c、16dによるレベルを示している。
【0032】
ところで、図7の前記ステップS1053〜S1058において、単粒データ等を一時記憶するための、前記制御部7のRAM7cの記憶容量が不足する場合は、RAM7cに記憶可能な所定数毎の単粒データに基づいて複数の閾値を順次設定し、各々の閾値に基づいて選別度数を求める。この選別度数は、曲線aの累積度数分布曲線となるので、該曲線の二次微分を求めれば勾配gとなる。このように構成することで、制御部7のメモリであるRAM7cの効率的な使用が可能になる。
【0033】
そして、図7(a)のステップS105で閾値が修正されると、制御部7の制御信号により、シャッタ22を回動させて選別側に切り替え(S106)、流下樋11の流路を選別排出流路20側に設定して、一連のプログラムを終了(S107)させる。この図7(a)に示すステップS101〜S107により、色彩選別機1を使用して選別しようとする穀粒Sの予備選別が実行され、この予備選別で穀粒Sの単粒データの度数分布曲線が求められ、この曲線の勾配に基づいて閾値が修正されることになり、穀粒Sの特性(度数分布)に的確に合致した閾値での通常選別の実行が可能になる。
【0034】
ところで、前記実施形態においては、穀粒Sの不良品の混入割合の目標値を設定しなかったが、この目標値を設定する場合は、図11に示すフローチャートを採用することができる。以下、このフローチャートを図7と同一ステップについては説明を簡略化した状態で説明する。図11(a)に示すように、プログラムが開始(S201)されると、不良混入割合の目標値を、混入割合設定手段としての例えば前記入力装置6(もしくは操作パネル5)により入力(S202)し、その値を制御部7のRAM7cに記憶(設定)する。
【0035】
そして、前記シャッタ22を循環側に切り替え(S203)て循環流路21に設定すると共に、循環昇降機3とフィーダ13を起動(S204)させ、選別用の閾値を算出(S205)する。この閾値の算出は、図11(b)に示すように、プログラムが開始(S2051)されると、穀粒Sの1粒を光学検出部16で検出(S2052)し、制御部7がこの1粒毎の所定の単粒データを演算処理で求める(S2053)。そして、所定時間Tが経過したか否かが判断(S2054)され、例えば所定時間T=40秒が経過して判断S2054で「YES」になると、単粒データの度数分布を求め(S2055)、この度数分布から不良混入割合の分布を求める(S2056)。
【0036】
次に、ステップS2056で求めた不良混入割合の分布から、前記ステップS202で入力設定した不良混入割合の目標値に対して、最も近い単粒データを求め、このデータ値を閾値とする(S2057)。この閾値を通常選別の閾値として制御部7のRAM7cに記憶(S208)させ、プログラムを終了させる(S2058)。つまり、通常選別の閾値の設定が、穀粒Sを所定時間T流下樋11に流して、選別部14で穀粒Sの単粒データを求め、このデータから度数分布と不良混入割合の分布を求め、不良混入割合が目標値に最も近い単粒データを閾値として記憶することになる。
【0037】
そして、図11(a)のステップS205で通常選別の閾値が算出されると、この算出された閾値を書き換え(S206)、その後、シャッタ22を選別側に切り替え(S207)、流下樋11の流路を選別排出流路20側に設定して、一連のプログラムを終了(S208)させる。この図11(a)に示すステップS201〜S208により、試料としての穀粒Sの予備選別が実行され、この予備選別で、通常選別の閾値が不良品混入割合の目標値に最も近い混入割合の値に書き換えられることになり、不良混入割合の目標値に適切に合致した閾値での通常選別が可能になる。この例の場合、ステップS202において入力される混入割合は、不良品の混入割合に限らず、良品の混入割合を設定することも勿論可能である。
【0038】
このように、前記色彩選別機1によれば、予備選別により一定時間T選別部14を作動させて穀粒Sを予備選別すると共に、この予備選別で得られた穀粒データに基づいて良品と不良品の判定基準となる閾値を修正し、この修正した閾値に基づいて選別部14により穀粒Sを通常選別するため、通常選別で使用する選別部14を一定の所定時間T作動させることで予備選別としても共用できて、予備選別用の機構や装置を別途設ける必要がなくなり、色彩選別機1のコストアップを抑えて安価に形成することができる。
【0039】
また、通常選別される穀粒Sと同じ穀粒Sにより予備選別を行い、この予備選別により良品、不良品の判別基準としての閾値を修正した後に通常選別を行うため、穀粒Sの選別精度を高めることができる。特に、制御部7が予備選別で得られた穀粒データのうち、良品データと不良品データの度数分布に基づいて閾値を修正することから、穀粒Sの特性である度数分布に的確に対応した状態で通常選別を実行できて、選別精度を一層高めることが可能になる。
【0040】
また、予め穀粒Sの良品または不良品の混入割合を入力装置6等で設定可能に構成すれば、制御部7が設定された混入割合に近づけるように閾値を修正することができて、目標とする不良品混入割合により近づけた閾値に基づく通常選別が可能になり、必要以上に低い不良品混入割合や必要以上に高い不良品混入割合での通常選別を防止できて、穀粒Sの用途に応じた色彩選別を効率的に行うことができる。
【0041】
さらに、循環昇降機3が流下樋11を流下した穀粒Sを上部タンク12に戻す機能を有すると共に、予備選別時に光学検出部16を通過して流下した穀粒Sの流路を循環昇降機3の投入口に戻す切り替え可能なシャッタ22を備えているため、シャッタ22の循環流路21側への切り替えにより、予備選別で使用した穀粒Sを循環昇降機3に機械的に戻すことができて、予備選別を自動的に行うことができると共に、予備選別に使用した穀粒Sが製品(良品)に混ざることを防止できて、良品の品質向上を図ることができる。
【0042】
また、液晶表示器5の自動選別モードを選択することで、予備選別が自動的に実行されるため、ワンタッチ操作が可能となり、色彩選別機1の操作性を向上させることができると共に、液晶表示器5の調整メニューモード等により、各種の微調整が可能であるため、各種の穀粒S(試料)に的確に対応することができる等、使い勝手に優れた色彩選別機1を得ることが可能になる。
【0043】
なお、前記実施形態においては、流下樋11の光学検出部16の下方にシャッタ22を配置して、予備選別時に試料としての穀粒Sを原料ホッパ5の投入口に自動的(機械的)に戻したが、本発明はこの構成に限定されず、所定時間Tの設定によっては予備選別に使用される穀粒Sの量が比較的少なく設定できることから、例えば予備選別で使用した穀粒Sを不良品排出口9から排出させ、これを手動で原料ホッパ4に戻す構成としても良い。また、前記実施形態における、流下樋11及び光源や光学検出部16の構成、制御系のブロック図の構成等は一例であって、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、白米や玄米等の穀粒に限らず、例えばガラスやプラスチック等の試料を選別する色彩選別機にも利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1、15・・・・・・色彩選別機
2・・・・・・・・・筺体
3・・・・・・・・・循環昇降機
3a・・・・・・・・原料昇降機
3b・・・・・・・・二次昇降機
4・・・・・・・・・原料ホッパ
5・・・・・・・・・操作パネル
6・・・・・・・・・入力装置
7・・・・・・・・・制御部
7a・・・・・・・・CPU
7b・・・・・・・・ROM
7c・・・・・・・・RAM
8・・・・・・・・・良品排出口
9・・・・・・・・・不良品排出口
11・・・・・・・・流下樋
11a・・・・・・・一次選別シュート
11b・・・・・・・二次選別シュート
12・・・・・・・・上部タンク
13・・・・・・・・フィーダ
14・・・・・・・・選別部
15a・・・・・・・白色蛍光灯
15b・・・・・・・赤色蛍光灯
16・・・・・・・・光学検出部
16a、16b・・・CCDカメラ
16c、16d・・・バックグランド
16e・・・・・・・RGBセンサ
17・・・・・・・・エジェクタ
20・・・・・・・・選別排出流路
21・・・・・・・・循環流路
22・・・・・・・・シャッタ
S・・・・・・・・・穀粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を流下させる流下樋の下方に設けた光源と、受光センサ及びまたはカメラと試料の背景となるバックグランドを有する光学検出部と、該光学検出部で検出した信号を演算処理し予め設定されている閾値と比較して試料の良否を判定する制御部と、該制御部からの信号に基づいて良品と不良品を選別するエジェクタと、を有する選別部を備えた色彩選別機において、
前記制御部は、前記選別部を一定時間作動させて試料の予備選別を行うと共に、該予備選別で得られた試料データに基づいて前記閾値を修正し、この修正した閾値に基づいて前記選別部を作動させて試料を通常選別することを特徴とする色彩選別機。
【請求項2】
前記制御部は、前記予備選別で得られた試料データのうち、良品データと不良品データの度数分布に基づいて、前記閾値を修正することを特徴とする請求項1に記載の色彩選別機。
【請求項3】
前記試料の良品または不良品の混入割合を予め設定する混入割合設定手段を備え、前記制御部は、該混入割合設定手段で設定された混入割合に近づけるように前記閾値を修正することを特徴とする請求項1または2に記載の色彩選別機。
【請求項4】
前記流下樋を流下させた試料を原料タンクに戻す循環昇降機を備え、前記予備選別時に、前記光学検出部を通過した試料の流路を、前記循環昇降機の投入口に切り替え可能な切替手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の色彩選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−104470(P2011−104470A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259538(P2009−259538)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000197344)静岡製機株式会社 (37)
【Fターム(参考)】