説明

芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法

【課題】廃芳香族ポリカーボネート(例えば不要となったシート、CD、CD−ROM、DVD等の芳香族ポリカーボネート製品)を安価で大量に処理し、高純度の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法を提供する。
【解決手段】廃芳香族ポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物の存在下、解重合反応せしめて、芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法において、廃芳香族ポリカーボネート樹脂を風力分級器で処理したものを使用することを特徴とする芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃芳香族ポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物存在下に分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法であって、その過程において、廃芳香族ポリカーボネート樹脂を風力分級器で処理したものを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリカーボネート(以下、PCと略記することがある)は、優れた機械的性質、電気的性質、耐熱性、耐寒性、透明性等を有しており、建築材料用の透明シート、液晶テレビやプロジェクションテレビ用の拡散板あるいはレンズシート、レンズ、コンパクトディスク等の光ディスク、自動車部品、OA機器のシャーシー、カメラボディー等様々な用途に利用されている材料であり、その需要は年々増加している。PCの需要の増加に伴い、廃棄されるPC製品の多くは焼却若しくは地中に埋める等の方法で処理される。これは、PCの需要の増加から石油資源の枯渇を加速させるだけでなく、地球環境の悪化を促進する。そこで、廃棄されたプラスチックを再利用(リサイクル)することが重要になってきた。
【0003】
廃プラスチックをリサイクルする方法は、(1)廃プラスチックを熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクル、(2)廃プラスチックを製品にある割合で混合し、加工して製品とするマテリアルリサイクル、(3)廃プラスチックを化学的に分解してプラスチックの原材料にまで戻して、プラスチック製造に再利用するケミカルリサイクルがある。しかし、サーマルリサイクルは、プラスチックを焼却して熱を取り出すので、二酸化炭素と水が生成し、本質的には地球環境を破壊し、資源を減少させていることになる。マテリアルリサイクルは、資源の消費に関しては、一番環境の負荷が少なく、環境的に望ましいが、混合できる製品が限定されていたり、製品に混入できる割合が少なく、リサイクルできる量が限られる。ケミカルリサイクルは、プラスチックを原材料まで分解するので、そのまま製造に利用することが可能であり、産業上有用なリサイクル方法である。
【0004】
PCをケミカルリサイクルする方法として、過剰のアルカリ水溶液で分解させ、中和して芳香族ジヒドロキシ化合物を生成する方法は昔から知られており、例えば特許文献1では、PCと1〜30%のアルカリ水溶液を耐圧容器に入れ、100℃以上、好ましくは150℃以上で加水分解後、酸性にした後メタノールに溶解し、活性炭処理して着色成分を除去後、再沈殿して白色ビスフェノールを得ている。特許文献2には、ポリカーボネートスクラップをバルクまたは溶液でケン化し、未ケン化の成分を分離し、ケン化混合物をホスゲン化し、まったく精製工程および処理工程なしでポリカーボネート重合工程に用いる方法が示されている。特許文献3には、アルカリ触媒存在下、PCをフェノールで分離し、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリールを回収する方法が示されている。また、特許文献4には、トルエン、キシレン、ベンゼン、またはジオキサン溶剤中で、少量のアルカリを触媒として、エステル交換反応を行い、炭酸ジアルキルと芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法が示されている。また、特許文献5には、PCを塩化アルキル、エーテル類または芳香族炭化水素系溶媒等の溶媒と触媒としての3級アミンの存在下、低級アルコールとエステル交換させて芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアルキルを得る方法が提案されている。また、特許文献6には、廃芳香族ポリカーボネートを有機溶媒および金属水酸化物水溶液の存在下解重合反応させ、生成した塩類を含む反応液に水を加えて完全溶解させた後、芳香族ジヒドロキシ化合物を金属水酸化物塩の水溶液として回収し、芳香族ポリカーボネートの原料として再利用する方法が記されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1〜6の方法には、芳香族ポリカーボネートを有機溶媒および金属水酸化物水溶液存在下に分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物を得る過程において、廃芳香族ポリカーボネートに付着及び貼付された異物の除去方法について全く記述されていない。廃芳香族ポリカーボネートに異物が付着及び貼付したまま、溶解槽で有機溶媒に溶解させ反応槽に送液すると、濾過器の閉塞を頻繁に引き起こす恐れがあるため、その対策が必要となる。
【0006】
【特許文献1】特公昭40−016536号公報
【特許文献2】特開昭54−048869号公報
【特許文献3】特開平06−056985号公報
【特許文献4】特開平10−259151号公報
【特許文献5】特開2002−212335号公報
【特許文献6】特開2005−206470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、廃芳香族ポリカーボネート(例えば不要となったシート、CD、CD−ROM、DVD等の芳香族ポリカーボネート製品)を安価で大量に処理し、高純度の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、解重合に使用する廃芳香族ポリカーボネート樹脂の表面に付着及び貼付されている異物を風力分級器によって除去し、効率的に運転する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、これらの問題を解決するために鋭意検討した結果、廃芳香族ポリカーボネートを有機溶媒および金属水酸化物水溶液存在下に分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物を得る過程において、事前に風力分級器を用いて異物を除去することによって、効率的に芳香族ジヒドロキシ化合物水溶液を得られる方法を見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明によれば、
1.廃芳香族ポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物の存在下、解重合反応せしめて、芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法において、廃芳香族ポリカーボネート樹脂を風力分級器で処理したものを使用することを特徴とする芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法、
2.風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂の大きさが2〜150mmである前項1記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法、
3.風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂が成形品である前項1または前項2記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法、
4.風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂は表面保護フィルム付きの成形品である前項3記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法、
5.風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂は前項3記載の成形品を粉砕したものである前項1記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法、および
6.前項1記載の方法で得られた芳香族ジヒドロキシ化合物を用いることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法、
が提供される。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、使用される廃芳香族ポリカーボネートとは、解重合に用いる成形された全ての廃芳香族ポリカーボネートであり、分子量は特に制限はないが、粘度平均分子量で0.1×10〜10×10のものが好ましい。例えば、ポリカーボネートを50重量%以上含有する(コンパウンド)樹脂ペレット及びその成形品(例えば(保護フィルム付き)シート、CD、CD−R、DVD等)が挙げられる。
【0012】
また風力分級器とは、樹脂表面に付着した塵、埃及び貼付された保護フィルム等、解重合して得られる芳香族ジヒドロキシ化合物以外の物質を風力で除去する設備である。風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂は、粉砕機で粉砕したものが特に好ましい。粉砕機で粉砕すると、廃芳香族ポリカーボネート樹脂成形品表面に、製品の輸送中にキズを防止する目的で張り合わせているフィルム(以下、保護フィルムと略す)が剥がれたり、剥がれやすくなったりするので、風力分級器で処理した廃芳香族ポリカーボネート樹脂成形品中の保護フィルムが激減するので好ましい。
【0013】
ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
【0014】
該ポリカーボネートは、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等のジヒドロキシ化合物の単独または2種以上の混合物から製造されたものである。
【0015】
また、末端停止剤(分子量調節剤)としては、1価のフェノール化合物が好ましく用いられ、フェノール、p−クレゾール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ジ(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−(2’,4’,4’−トリメチルクロマニル)フェノール、2−(4’−メトキシフェニル)−2−(4’’−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類等の単独または2種以上の混合物が用いられる。
【0016】
本発明において、まず、(A)廃芳香族ポリカーボネートを粉砕機で粉砕後、風力分級器で廃芳香族ポリカーボネートを分級する工程(a工程)が行われる。
a工程では、まず粉砕機で廃芳香族ポリカーボネートを粉砕する。これは、風力分級器で分級する際に、保護フィルムと廃芳香族ポリカーボネートが分級されやすくなり、また有機溶媒に溶解する際に、粉砕処理を行っておくとポリカーボネート樹脂の表面積が大きくなり溶解が速やかに進行する為である。風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂の大きさは特に制限はないが、最大長2〜150mmのものが好ましく、最大長5〜100mmのものが更に好ましく、最大長5〜70mmのものが特に好ましい。廃芳香族ポリカーボネート樹脂の大きさが2mm未満の場合は、風力分級器の高精度の運転条件が要求されるので好ましくない。150mmを超える場合、風力分級器の高精度の運転条件は要求されないが、風力分級器への廃芳香族ポリカーボネート樹脂供給装置、風力分級器が極大化するので好ましくない。
【0017】
風力分級器での芳香族ポリカーボネート樹脂の分級処理で、樹脂表面に付着している塵、埃及び貼付された保護フィルム等、解重合して得られる芳香族ジヒドロキシ化合物以外の物質を風力で除去する。風力分級後の異物量は分級前の異物量に対して50%以下が好ましく、20%以下が更に好ましく、10%以下が特に好ましい。
【0018】
(B)次に、得られた廃芳香族ポリカーボネート有機溶媒および金属水酸化物水溶液の存在下、解重合反応せしめる工程(b工程)が行われる。
b工程では、有機溶媒の存在下で芳香族ポリカーボネートの分解(解重合反応)が行われる。有機溶媒を使用すると分解反応が低温で進み易く好ましい。
【0019】
有機溶媒の使用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し40〜2000重量部の範囲が好ましく、200〜1000重量部がさらに好ましく、450〜700重量部が特に好ましい。溶媒量が40重量部より少ないと、初期の混合が不十分で、さらに充分膨潤または溶解せず、分解反応終了までの時間が長くなることがある。また2000重量部より多いと、反応系内のカーボネート結合濃度、触媒濃度が低くなり、分解反応速度が低下し、分解反応時間が長くなり、また溶媒の回収コストが高くなることがある。
【0020】
本発明に用いる有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒が好ましく、具体的にはジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロホルムからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒が好適であり、特にジクロロメタンが好適である。これらの溶媒は、ポリカーボネートの良溶媒で、実際にポリカーボネートの製造工程において反応溶媒として用いられており、分解、分離後の芳香族ジヒドロキシ化合物に溶媒が残留していても、ポリカーボネート製造に悪影響を及ぼさないからである。
【0021】
解重合反応において、廃ポリカーボネートをあらかじめ有機溶媒に溶解しておいてもよいし、全てを溶解させずに分解反応を行なう反応器に投入してもよい。反応器とは別に溶解槽を使用し、有機溶媒にポリカーボネート樹脂を溶解させた場合、有機溶媒に溶解しない不純物、例えば成型品中に含まれる添加剤、金属膜、コーティング剤、充填剤等をろ過し、除去することが可能である。除去しないで分解反応を行った場合、これらの不純物も分解され、芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩水溶液に混入し、不純物分解物が混ざったままポリカーボネート製造工程に該水溶液を使用すると、製品のポリカーボネート樹脂の品質に悪影響を及ぼす可能性があるので、あらかじめ不溶物を除去することが好ましい。
【0022】
また、解重合工程では、ポリカーボネートの分解剤として金属水酸化物が使用される。金属水酸化物としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物が好適に用いられ、アルカリ金属の水酸化物がより好適に用いられ、具体的には水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく使用され、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0023】
金属水酸化物の使用量は、ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合1モルに対し4.1〜8.0モルが好ましい。使用量が4.1モルより少ないと分解反応が非常に遅く、8.0モルより多いとコストが高くなり、かつ、芳香族ジヒドロキシ化合物を単離、回収する際に使用する酸水溶液の量も多くなり、経済的に好ましくない。
【0024】
金属水酸化物は水溶液の状態で使用する。金属水酸化物の濃度は、35重量%〜55重量%が好ましい。35重量%より低いと分解速度が遅くなり、55重量%を超えると金属水酸化物が析出しスラリーになりやすく、スラリーになった場合かえって反応が遅くなる。
【0025】
本発明において、分解反応を行う温度は30℃〜120℃が好ましく、30℃〜50℃がより好ましい。30℃未満の場合は分解反応時間が長くなり、処理効率が著しく劣ることがある。また、120℃を越えると、加熱のエネルギーが多く必要となり、さらに分解処理中に溶液の色が褐色に着色し易くなり、品質の良い芳香族ジヒドロキシ化合物の水溶液が得られなくなることがある。また、沸点以上においての反応は圧力容器が必要となり、設備費がかかり経済的に不利となる。
【0026】
分解反応中に生成した芳香族ジヒドロキシ化合物は、塩基性条件下では酸化されやすいので、反応溶液中に酸化防止剤を添加することが好ましい。また、工程内の酸素濃度を不活性ガスにより、低減しておくことも有効である。
【0027】
酸化防止剤として、重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na)等が挙げられる。これらを1種または2種以上混合して用いても差し支えない。酸化防止剤の使用量は芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.05〜4.0重量部が好ましい。0.05〜4.0重量部の範囲であると酸化防止効果があり、また、コスト的に有利で、分解反応速度が低下せず好ましい。
不活性ガスの種類として、窒素、アルゴン等が挙げられる。窒素がコスト的に有利であり好ましい。
【0028】
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応は、界面反応であり、有機溶媒に溶解、または膨潤している芳香族ポリカーボネート樹脂が金属水酸化物水溶液と攪拌され、界面で接触して分解される。この反応は不可逆であり、芳香族ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合が切れ、芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩に分解する。
【0029】
解重合工程の反応後、生成する芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩が金属水酸化物水溶液に溶解せず、固型分として析出している場合は、解重合反応後の反応液に水を加えて析出した固型分を溶解させる工程を行ない、その後有機溶剤の分離工程に移る。これに対して、解重合反応後生成する芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩が金属水酸化物水溶液に溶解している場合は直接後述する有機溶剤の分離工程に移る。
【0030】
解重合反応後の反応液に水を加えて析出した固型分を溶解させる工程では、解重合反応後の反応液に水を加えて攪拌し、析出した芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩を溶解させる。加える水の量は、完全に固型分が溶解する量以上を投入するが、多く投入しすぎると水溶液中の芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩濃度が低下し、次の芳香族ポリカーボネート製造工程において反応速度の低下、廃液蒸留コスト増となるので、完全に固体が溶解する量の最小量が好ましい。分解液に水を加え固型分を溶解させると、有機溶媒相と芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩の水溶液相との2つの相に分離する。
【0031】
次に、有機溶媒相と金属水酸化物水溶液相とを分液する工程が行われる。
有機溶媒相と金属水酸化物水溶液相をデカンター等の液液分離器で分離して水相を回収する。液液分離器において分離が不十分であると、水相に粒状に浮遊している重液相が次の工程に混入し、製品に影響を及ぼすので、水相をさらに有機溶媒と接触させ、可能な限り除去を行う。この際に行う除去方法は、洗浄塔による接触、撹拌機、液液分離器による分離、遠心分離機など、公知の方法が使用できる。この洗浄に使用する有機溶媒は、芳香族ポリカーボネートの解重合時の反応熱で蒸発する溶媒を凝集、回収した物を使用することができる。洗浄に使用する溶媒は、一般的には、一度使用した溶媒を蒸留などで回収し再利用することが行われる。
【0032】
また、上記で述べた反応は有機溶媒およびアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下行う解重合反応であるが、他にアルコールおよびアルカリ金属水酸化物の存在下行う解重合反応でも構わない。
【0033】
回収、精製した金属水酸化物水溶液は、次いでこのまま芳香族ポリカーボネートの製造工程に送液し、このまま原料として使用することが可能である。また、この金属水酸化物水溶液に酸を加え芳香族ジヒドロキシ化合物を析出させ単離した後に原料として使用してもかまわない。いずれの方法でも原料として使用することの出来る芳香族ジヒドロキシ化合物を回収することが可能である。
【0034】
得られる芳香族ジヒドロキシ化合物は、高品質で芳香族ジヒドロキシ化合物の純度が好ましくは99.5%以上となる。この芳香族ジヒドロキシ化合物を用いて製造された芳香族ポリカーボネートの品質は市販の芳香族ジヒドロキシ化合物を用いて製造した芳香族ポリカーボネートの品質と遜色ないものとなる。
【0035】
また、本発明の方法で回収した芳香族ジヒドロキシ化合物と市販の芳香族ジヒドロキシ化合物とを一緒に芳香族ポリカーボネートの製造に使用しても構わない。回収した芳香族ジヒドロキシ化合物と市販の芳香族ジヒドロキシ化合物を混合する方法は、固体同士、固体と液体、液体同士を混合する方法のどの方法であってもよい。
【0036】
本発明の方法で回収した芳香族ジヒドロキシ化合物を原料として用いて得られるポリカーボネート樹脂は、色相および熱安定性に優れることから、例えば光磁気ディスク、各種追記型ディスク、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)、デジタル・バーサイル・ディスク(DVD)等の光学ディスク基板用の材料として、あるいはシリコンウエハー等の精密機材収納容器の材料として好適に使用でき、殊に光学ディスク基板用の材料として好適に採用される。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、廃ポリカーボネート樹脂を分解し、洗浄して得られた高品質の芳香族ジヒドロキシ化合物は芳香族ポリカーボネート製造の原材料として再利用できる。また、廃芳香族ポリカーボネートを有機溶媒に溶解する前に風力分級器を使用して保護フィルムを除去することによって、溶解後に保護フィルム除去フィルターで除去したフィルムを取り出す作業が省略され、有機溶媒との接触の危険がなくなり作業性が改善される。また、フィルムを取り出す際に付着した有機溶媒溶液(ドープ)を洗浄する目的で使用している有機溶媒と純水の使用もなくなり、有機溶媒については回収し繰り返し使用しているので、有機溶媒の回収にかかるエネルギーも削減される。また、溶解したドープを解重合槽に移注する際に、保護フィルムの微粉等でフィルターが閉塞する回数が激減する(フィルター交換作業時の有機溶媒との接触の危険も同様に激減する)。よって、本発明の奏する工業的効果は格別である。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に断り書きのない場合、部は重量部を表す。なお、評価は次に示す方法で行った。
【0039】
(1)色相(b値)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
【0040】
(2)熱安定性(△E)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。
ΔE=[(L′−L)+(a′−a)+(b′−b)1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
【0041】
(3)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量
粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めた。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]×c (但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4×M0.83
c=0.7
M=粘度平均分子量
【0042】
[実施例1]
図1に示した設備を用いて実験を行った。まず、粉砕機((株)ホーライ製:UGC3−480XY0X、スクリーン:φ50mm)に、両面にポリエチレン製保護フィルムを施した厚み2mmのポリカーボネート製シート屑93.5部を投入し、5〜70mmの大きさに粉砕した。その粉砕したシート屑を風力分級器(アコー(株)製:CFS500−700)にかけて樹脂表面に付着している塵、埃及び貼付された保護フィルム等を分離させてポリカーボネートシートの粉砕物のみを貯留タンクに貯槽し、次いで該粉砕物90部を溶解槽に投入した。同時に溶解槽に塩化メチレン800部を投入し、10時間攪拌した。この溶液を目開き250μmのSUS304製の網を取り付けたろ過器2(容量0.005m、ろ過面積0.13m)に通し、反応槽へ送液した。この時、ろ過器2でのフィルターの閉塞回数は0回であった。また、風力分級器で除去されたポリエチレン製保護フィルムの量は3.5部であった。
【0043】
[比較例1]
実施例1で使用した粉砕機に、両面に保護フィルムを施した厚み2mmのポリカーボネート製シート屑93.9部を投入し、5〜70mmの大きさに粉砕した。その粉砕したシート屑と塩化メチレン800部を溶解槽に投入し、10時間攪拌した。その時、シートに付着していた保護フィルムは、ポリカーボネート/塩化メチレン溶液中に浮いていた。この溶液を目開き1mmのSUS304製の網を取り付けたろ過器1(保護フィルム除去フィルター、容量0.51m、ろ過面積2.8m)へ2時間循環して、保護フィルムを除去した。その後、この溶液を目開き250μmのSUS304製の網を取り付けたろ過器2(容量0.005m、ろ過面積0.13m)に通し、反応槽へ送液した。この時、ろ過器2でフィルターの閉塞が発生し、フィルターの交換を行った。閉塞回数は4回であった。フィルターに詰まっていたものは保護フィルムの微粉がほとんどであった。
また、ろ過器1に溜まったフィルムを取り除くために、ろ過器1に塩化メチレン34部を張って1時間静置し保護フィルムに付着している有機溶媒溶液を除去した。これを2回繰り返した。次に純水を1.5m/hrで1時間通水して保護フィルムに付着した塩化メチレンを除去した。次にろ過器のマンホールを開放して中に溜まっている保護フィルム3.9部を取り出した。
【0044】
[実施例2]
(ポリカーボネートの解重合方法)
(A)実施例1で反応槽に送液した該ポリカーボネートの塩化メチレン溶液890部(ドープ濃度11%)に、ハイドロサルファイトナトリウム0.67部を投入し、攪拌を開始した。さらに攪拌下に、48.5%水酸化ナトリウム水溶液118部(ポリカーボネートのカーボネート結合1モルに対し6.0モル)を投入した。反応14時間後、内部は固体が析出しており、固体を一部取り分析したところ、ビスフェノールAナトリウム塩と炭酸ナトリウムであった。次に800部の純水を投入し、4時間攪拌を継続して固体を溶解した。
分離槽に反応混合物を移し、1000部の水相と800部の有機相に分離した。水相はアルカリ性水溶液であり、ビスフェノールAナトリウム塩を107部含んでおり、その他に、炭酸ナトリウムを42部、水酸化ナトリウムを32部含んでいた。
分離回収した水相1000部に、反応時に凝縮され回収した塩化メチレン100部を加え1時間激しく攪拌混合した後、静置し、水相と塩化メチレン相とを分離して、洗浄されたビスフェノールAアルカリ水溶液(ビスフェノールA濃度78.5g/L)を得た。
【0045】
(ポリカーボネート樹脂の製造)
(B)温度計、攪拌機、還流冷却器、循環器付き反応器に、イオン交換水234部、塩化メチレン230部およびハイドロサルファイト0.15部を加えた。また、25%水酸化ナトリウム水溶液95.4部、購入ビスフェノールA35.5部、また、(A)において解重合して得られ洗浄されたビスフェノールAナトリウム塩アルカリ水溶液488部(452容量部)を加え、攪拌しながら温度を35℃に保持し40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調合した。
【0046】
(C)温度計、攪拌機及び還流冷却器付き反応器に、(B)で調合したビスフェノールA水溶液全量を仕込み、攪拌下15〜25℃でホスゲン34.2部を60分間で吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液8.6部および固体のp−ターシャルブチルフェノール1.55部を加え、乳化せしめた後、10分後にトリエチルアミン0.14部を加え、さらに28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。反応終了後生成物に塩化メチレン300部を加え混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相とを分離して、ポリカーボネート樹脂濃度13.5重量%の有機溶媒溶液を得た。
この有機溶媒溶液に水150部を加えて攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相とを分離した。この有機相にpH3の塩酸水200部を加え、攪拌混合しトリエチルアミン等を抽出した後、攪拌を停止し、水相と有機相とを分離した。次いでさらに分離した有機相にイオン交換水200部を加え攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相とを分離した。この操作を水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで(4回)繰返した。得られた精製ポリカーボネート樹脂溶液をSUS304製の濾過精度1μmフィルターで濾過した。
【0047】
次に、軸受け部に異物取出口を有する隔離室を設けた内壁の材質がSUS316L製の500Lのニーダーにイオン交換水50Lを投入し、これにフィルター濾過した精製ポリカーボネート樹脂溶液を投入し、水温75℃にて塩化メチレンを蒸発させて粉粒体とし、該粉粒体と水との混合物を水温98℃にコントロールされた攪拌機付熱水処理槽を有した熱水処理工程の熱水処理槽に投入し、粉粒体25部、水75部の混合比で30分間攪拌混合した。この粉粒体と水との混合物を遠心分離機で分離して塩化メチレン0.5重量%、水45重量%を含有する粉粒体を得た。次に、この粉粒体を140℃にコントロールされているSUS316L製伝導受熱式溝型2軸攪拌連続乾燥機に50kg/h(ポリカーボネート樹脂換算)で連続供給して、平均乾燥時間3時間の条件で乾燥して粉粒体を得た。
この粉粒体にトリス(2,6‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)ホスファイトを0.01重量%、4,4´‐ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4‐ジ‐tert−ブチルフェニル)を0.01重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.08重量%加え混合した。次にかかる粉粒体をベント式二軸押出機[東芝機械(株)製TEM‐50B]によりシリンダー温度280℃、乾式真空ポンプを用いてベント吸引圧700Paで吸引脱気しながら溶融混練押出し、ペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
【0048】
[実施例3]
実施例2(B)において、購入ビスフェノールAを63.7部、解重合して得られ洗浄されたビスフェノールAナトリウム塩アルカリ水溶液を97.7部(90.5容量部)に変えた以外実施例2と同じ条件でペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
【0049】
[比較例2]
実施例2(A)において、実施例1で得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液890部(ドープ濃度11%)の代わりに、比較例1で得られた保護フィルムの微粉等が混じったポリカーボネートの塩化メチレン溶液890部(ドープ濃度11%)を使用した以外、実施例2と同じ条件でペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
【0050】
[比較例3]
実施例3(A)において、実施例1で得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液890部(ドープ濃度11%)の代わりに、比較例1で得られた保護フィルムの微粉等が混じったポリカーボネートの塩化メチレン溶液890部(ドープ濃度11%)を使用した以外、実施例3と同じ条件でペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
【0051】
[参考例1]
実施例2(B)において、使用するビスフェノールAを購入ビスフェノールAのみ使用した以外、実施例2と同じ条件でペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
[実施例4]
実施例2(C)において、ホスゲンを34.9部、固体のp−ターシャルブチルフェノール2.95部に変えた以外実施例2と同じ条件でペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表2に示した。
【0054】
[実施例5]
実施例4(B)において、購入ビスフェノールAを63.7部、解重合して得られ洗浄されたビスフェノールAナトリウム塩アルカリ水溶液を97.7部(90.5容量部)に変えた以外実施例4と同じ条件でペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表2に示した。
【0055】
[比較例4]
実施例4(A)において、実施例1で得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液890部(ドープ濃度11%)の代わりに、比較例1で得られた保護フィルムの微粉等が混じった該ポリカーボネートの塩化メチレン溶液890部(ドープ濃度11%)を使用した以外、実施例4と同じ条件でペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表2に示した。
【0056】
[比較例5]
実施例5(A)において、実施例1で得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液890部(ドープ濃度11%)の代わりに、比較例1で得られた保護フィルムの微粉等が混じった該ポリカーボネートの塩化メチレン溶液890部(ドープ濃度11%)を使用した以外、実施例5と同じ条件でペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表2に示した。
【0057】
[参考例2]
実施例4(B)において、使用するビスフェノールAを購入ビスフェノールAのみ使用した以外、実施例4と同じ条件でペレットを得、粘度平均分子量を測定した。また、得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表2に示した。
実施例、比較例、参考例は全てポリカーボネート樹脂の製造方法をBx法で記入しているが、連続法で実施しても結果は変わらなかった。
【0058】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法を具体的に実施可能な設備の一例である。
【符号の説明】
【0060】
1.(粉砕された)廃芳香族ポリカーボネート樹脂
2.分級された(保護フィルム等の)異物
3.風力分級器
4.粉砕物貯留タンク
5.溶解槽
6.ポンプ
7.濾過器1
8.ポンプ
9.濾過器2
10.解重合反応層
11.ポンプ
12.デカンター(分離槽)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃芳香族ポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物の存在下、解重合反応せしめて、芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法において、廃芳香族ポリカーボネート樹脂を風力分級器で処理したものを使用することを特徴とする芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
【請求項2】
風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂の大きさが2〜150mmである請求項1記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
【請求項3】
風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂が成形品である請求項1または請求項2記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
【請求項4】
風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂は表面保護フィルム付きの成形品である請求項3記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
【請求項5】
風力分級器で処理する廃芳香族ポリカーボネート樹脂は請求項3記載の成形品を粉砕したものである請求項1記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法で得られた芳香族ジヒドロキシ化合物を用いることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−184938(P2009−184938A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24089(P2008−24089)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000215888)帝人化成株式会社 (504)
【Fターム(参考)】