説明

苗移植機

【課題】
畦際の旋回痕を整地ロータで充分に均し、圃場均平用フロートで均平にすることで、畦際での苗の植付深さを揃える苗移植機を提供することにある。
【解決手段】
走行車体2の後部に整地ロータ27とフロート55,56と苗植付装置52を設けた苗植機において、左右の整地ロータ27a,27bをそれぞれ独立昇降自在に構成し、畦際での植付作業を検出する畦際検出部材SAを設け、畦際検出部材SAで検出した畦側の整地ロータ27a,27bを反対側の整地ロータ27a,27bよりも下方へ降下させ、畦際検出部材SAを、左右の畦クラッチレバー71,71の操作を検知する左右の畦クラッチスイッチ71a,71bで構成し、左右の畦クラッチスイッチ71a,71bを操作すると左右の整地ロータ27a,27bのいずれか一方を下方に下降させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗植付装置の前側に整地ロータと圃場均平用のフロートを設け、整地ロータとフロートで圃場面を均平に整地しながら苗植付装置で苗を植え付ける苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の苗移植機では、苗植付装置の圃場均平用フロートの前側に整地ロータを設け、圃場の乱れた泥土面を整地ロータと圃場均平用フロートで均平に整地しながら苗植付装置の苗植付爪で苗を圃場へ植え付ける構成としている。
【0003】
そして、特開2009−232841号公報には、苗植付装置のセンターフロートとサイドフロートの前側に中央整地ロータと左右整地ロータをそれぞれ設けられ、左右整地ロータが乱れた泥土面を昇降しながら整地しても苗植付装置が昇降すること無く、苗の苗植え付け深さを均等にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−232841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
畦際には、往復植付作業の際、圃場端で旋回する際に生じる旋回タイヤ痕が残りやすいため、整地ロータで旋回タイヤ痕を平坦に均す必要があるが、畦際は耕耘作業時や代掻き作業時にロータリやハローといった作業機の爪が届き難い場所であるため、土が解されにくいため土質が硬くなりがちであり、整地ロータが接触しても凹凸が均し切れない問題がある。
【0006】
圃場の凹部に苗が植え付けられると、植付深さが浅くなって、苗が水流や風で流されて、そのまま枯れることで欠株が生じてしまい、収穫量が減少してしまうという問題がある。
また、流された苗が他の場所で根付いて密生し、生育不良を起こして収穫量が減少してしまうという問題がある。
【0007】
また、圃場の凸部に苗が植え付けられると、植付深さが深くなり過ぎ、苗の茎葉部に日光が十分当たらなくなり、生育不良を起こして収穫量が減少してしまうという問題がある。
そこで、本発明では、畦際を整地ロータで充分に耕して圃場均平用フロートで均平にすることで畦際の植付条件を良くする苗移植機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行車体(2)の後部に整地ロータ(27)とフロート(55,56)と苗植付装置(52)を設けた苗植機において、左右の整地ロータ(27a,27b)をそれぞれ独立昇降自在に構成し、畦際での植付作業を検出する畦際検出部材(SA)を設け、該畦際検出部材(SA)で検出した畦側の整地ロータ(27a,27b)を反対側の整地ロータ(27a,27b)よりも下方へ降下させる構成としたことを特徴とする苗移植機とする。
【0009】
上記構成により、畦際に苗を植え付ける際には畦際検出部材(SA)が作動して畦側の整地ロータ(27a,27b)が反対側の整地ロータ(27a,27b)よりも深く圃場へ進入して均し、その後フロート(55,56)で均平にすることにより、苗植付装置(52)で苗を均等な植付深さで植え付けることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記畦際検出部材(SA)を、左右の畦クラッチレバー(71,71)の操作を検知する左右の畦クラッチスイッチ(71a,71b)で構成し、該左右の畦クラッチスイッチ(71a,71b)を操作すると前記左右の整地ロータ(27a,27b)のいずれか一方を下方に下降させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機とする。
【0011】
上記構成により、畦際で植え付けるために左右の畦クラッチレバー(71,71)の片側を操作すると、対応する左右の畦クラッチスイッチ(71a,71b)がその操作を検出し、畦側の整地ロータ(27a,27b)の左右どちらか一方が、自動的に反対側の整地ロータ(27a,27b)よりも下方へ降下して、硬い地面に密着して均平に鎮圧する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記走行車体(2)の側方で植付基準線を圃場面に形成する左右のラインマーカ(6a,6b)を起伏させる左右のマーカモータ(74a,74b)を設け、畦側の左右の整地ロータ(27a,27b)の降下と同時に畦側の左右のマーカモータ(74a,74b)を駆動して左右のラインマーカ(6a,6b)を起立させる制御構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機とする。
【0013】
上記構成により、畦際の植付作業時に畦側のラインマーカ(6a,6b)が起立することが防止されるため、畦側のラインマーカ(6a,6b)が畦や畦際の塀に当たって破損することを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明の効果は、畦際の整地ロータ(27a,27b)を反対側の整地ロータ(27a,27b)よりも下方へ降下させる構成としたことにより、土が固い圃場端であっても圃場面を平坦に均すことができるので、旋回時に旋回痕が深く残る圃場であっても、畦際での苗の植付深さが統一される。
【0015】
上記効果に加えて、苗が浅く植え付けられ、強風や水流によって流されて欠株が生じたり、他の場所で纏まって植生してしまうことが防止されることにより、収穫量の減少が防止されると共に、過度の密生により苗が生育不良を起こすことが防止される。
【0016】
また、苗の植え付け深さが深くなり過ぎ、葉部が泥中に埋まって生育不良を起こすことが防止できるので、収穫時期や収穫量が安定する。
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、畦際検出部材(SA)を左右の畦クラッチレバー(71,71)の操作を検出する左右の畦クラッチスイッチ(71a,71b)としたことにより、畦クラッチレバー(71,71)を操作すると畦側の整地ロータ(27a,27b)が下降するため、作業者は一度の操作で畦際に対応させることができ、作業能率が向上する。
【0017】
請求項3の発明の効果は、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、畦際の整地ロータ(27a,27b)が下降すると、畦際のマーカモータ(74a,74b)が駆動して畦際のラインマーカ(6a,6b)が起立するため、畦際作業時にラインマーカ(6a,6b)が畦や畦際にある塀等に接触することを防止でき、ラインマーカ(6a,6b)の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】乗用型苗移植機の全体側面図
【図2】乗用型苗移植機の全体平面図
【図3】施肥装置の側面図
【図4】マーカの拡大平面図
【図5】自動制御のブロック図
【図6】マーカの昇降機構斜視図
【図7】ロータリケースの背面図
【図8】(a)別実施例の前後伸張状態のセミクローラ駆動部の側面図、(b)別実施例の上下伸張状態のセミクローラ駆動部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本件発明の実施の一形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1及び図2は、本発明を用いた一実施例である施肥装置付きの乗用型苗移植機の側面図と平面図である。該施肥装置付きの乗用型苗移植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付装置52が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0020】
前記走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。
【0021】
また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして左右後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その左右後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸17に後輪11,11が取り付けられている。
【0022】
なお、左右後輪ギヤケース18,18には、ミッションケース12の後壁から突出して設けた左右後輪ギヤケース18,18に連結した左右後輪伝動軸18a,18aにて動力が伝達される構成となっている。
【0023】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが左右後輪ギヤケース18,18に伝達されて左右後輪11,11を駆動する。
【0024】
また、ミッションケース12の右側側面より取出された外部取出動力は、植付伝動軸26によって苗植付装置52へ伝動される。なお、施肥装置5の肥料繰出し機構へは、右後輪ギヤケース18から動力が駆動軸にて取出されて伝動される。
【0025】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。このフロントカバー32内には、リザーバタンク16を設け、前記HST23とパイプ19で連結して高い位置からオイルをHST23に供給するようにしている。
【0026】
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。
フロアステップ35の左右前部には複数の貫通孔35a…が形成されており、座席31に着座して機体を操縦する操縦者が左右前輪10,10を見通せることができて操縦が容易な構成となっていると共に、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、リヤステップを兼ねる後輪フェンダ36となっている。
【0027】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
苗植付装置52を装着する昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、先端側には縦リンク43が連結されている。
【0028】
そして、縦リンク43の下端部に苗植付装置52に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付装置52がローリング自在に連結されている。さらに、苗植付装置52のフレーム94に囲まれた位置にセンターフロート55の昇降を感知する感知部材93が設けられている。
【0029】
メインフレーム15に基部を回動自在に枢支した昇降油圧シリンダ46の先端を上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部に連結して設けており、該昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付装置52がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0030】
本件実施例において、前記苗植付装置52は4条植えの構成であり、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a…に供給すると苗送りベルト51b…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52…で構成し、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対のラインラインマーカ6a,6b(図4)等を備えている。
【0031】
また、苗載台51は苗植付装置52のフレームを兼ねる伝動ケース50に基部が固定された矩形状の支持枠体65をレールとして支持ローラで左右方向にスライドする構成である。
【0032】
左右ラインラインマーカ6a,6bは、走行車体2に対して左右に張り出したマーカ支持アーム7aの先端に、バネ9で下方へ押しつけたマーカ軸8に回動可能に設ける車輪状のリングで、マーカ支持アーム7aから後方へ上下調節可能に第二マーカ支持アーム7bを取り付け、左右片側で前後二個設けている。この二個のマーカで圃場に描く線引きが見え易くなる。
【0033】
また、左右ラインマーカ6a,6bは、図6に示す如く、マーカ用正逆転モータ74で回転する巻胴87に巻き掛けたワイヤ88,89でマーカ支持アーム7aを左右交互に引き上げるようにする。
【0034】
なお、マーカ支持アーム7aを所定間隔で滴下孔を設けたパイプとして、内部に除草剤を溶かした液を供給して、横に張り出した状態で除草剤を散布するようにしても良い。
前記苗植付装置52の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56a,56bがそれぞれ設けられている。これらフロート55,56a,56bを圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56a,56bが泥面を均平にしつつ滑走し、その圃場面に苗植付装置52…により苗が植付けられる。
【0035】
各フロート55,56a,56bは圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が前記感知部材93に設ける迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付装置52を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0036】
前記センターフロート55及び左右のサイドフロート56a,56bの前側には、圃場の乱れた泥土面を整地して均す整地ロータ27(左右サイドフロート56a,56bの各々の前方に配置された左右整地ロータ27a,27b)が取り付けられている。
【0037】
該左右整地ロータ27a,27bは通常はフロート55,56a,56bと共に昇降するが、左整地ロータ27aと右整地ロータ27bはそれぞれ左ロータ昇降モータ70aと右ロータ昇降モータ70bで昇降する。
【0038】
前記左右整地ロータ27a,27bは、左側二条分の圃場を耕す左整地ロータ27aと右整地ロータ27bとで構成し、それぞれ、座席31の近くに設ける左畦クラッチスイッチ71aと右畦クラッチスイッチ71bで駆動を入り切りする左ロータ駆動モータ73aと右ロータ駆動モータ73bで駆動する。また、左整地ロータ27aと右整地ロータ27bは、それぞれ単独で昇降するように左昇降モータ70aと右昇降モータ70bに連結されている。
【0039】
左整地ロータ27aと右整地ロータ27bの制御は、図5に示す如く、マイコン85で行われる。この実施例では、本発明でいう畦際検出部材SAとして左畦クラッチスイッチ71aと右畦クラッチスイッチ71bを設けている。
【0040】
例えば、機体の右側が畦になり二条分の植付を行う場合には、右畦クラッチレバーを切り操作する。すると、右畦クラッチレバーの操作を感知する右畦クラッチスイッチ71bの切り信号により右ロータ駆動モータ73bが右側整地ロータを畦より高く上昇し、左ロータ駆動モータ73aが通常よりも下がってより深く耕すようにする。同じく、機体の左側が畦になり二条分の植付を行う場合には、左畦クラッチレバーを切り操作する。すると、左畦クラッチレバーの操作を感知する左畦クラッチスイッチ71aの切り信号により左ロータ駆動モータ73aが左側整地ロータを畦より高く上昇し、右ロータ駆動モータ73bが通常よりも下がってより深く耕すようにする。
【0041】
また、マイコン85はマーカ用正逆転モータ74を制御して、前記左畦クラッチスイッチ71aと右畦クラッチスイッチ71bの入り信号によって、入り側のマーカ6を上昇させて、マーカ6が畦に当たらないようにしている。
【0042】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を操出装置57の繰出部61,…によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62,…でフロート55,56a,56bの左右両側に取り付けた施肥ガイド62a,…まで導き、施肥ガイド62a,…の前側に設けた作溝体62b,…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。電動モータで駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62…に吹き込まれ、施肥ホース62…内の肥料を風圧で施肥ガイド62aへ強制的に搬送するようになっている。
【0043】
このブロア58の空気吸引口を機体内側のエンジン20に向けて開口し、エンジン20の排気ガスを吸引するようにしている。
操出装置57は、横長の機枠内に外周に凹溝を形成した操出軸を横架した従来の構成と同じであって、機枠49の後側を構成する後壁板54が下端の枢支軸53で枢支され、後壁板54の上側を取り外し後下方へ倒して内部に残留する肥料を転げ出すようにしている。
【0044】
機枠49の左側部には操出軸の肥料操出量を調整する操出調整ギヤのギヤ数に合わせたダイヤルギヤ47を設け、このダイヤルギヤ47のギヤ溝に係合して回転を係止するピアノ線48を機枠の前側に取り付けている。このダイヤルギヤ47の歯位置を操出調整ギヤの歯位置と対応させているので、操出調整ギヤの組付け時に組付け位置を調整し易い。
【0045】
さらに、機枠49から後方へ向けて受板39を張り出して、この受板39上に戴置する受皿に前記後壁板54の後下方への回倒で転げでる残留肥料を受けたり、オペレータが苗マットを苗載台51に載せたり肥料を肥料ホッパ60に供給する際の足踏みステップとして受板39を利用する。この受板39の前側は平坦な面で肥料が昇降油圧シリンダ46側に零れるのも防ぎ、後側には周縁が上に盛り上がった穴29…を複数個設けてオペレータの足が滑らないようにしている。
【0046】
なお、28,28は左右補助ステップであって、作業者が機体に乗り降りする時に足を載せるステップである。
図7は、苗植付装置52の苗植付爪を回転駆動するロータリケース86で、側面にオイルチェック穴75を斜め下方底部に向かって設け、キャップ76を取り外してオイルゲージ棒77を差し込み、先端に付着するオイルでオイルをチェックできるようにする。
【0047】
図8は、後輪11をクローラ型としたセミクローラ走行装置のクローラ78で、クローラ78を前スプロケット80と中間スプロケット81と後スプロケット70に巻き掛け、後スプロケット79を固定し、前スプロケット80と中間スプロケット81をギヤ82と、前後ウォーム軸83と上下ウォーム軸84とで前後と上下に移動するようにしている。図8(a)は、該クローラ78を前後方向に伸張させた状態を示し、図8(b)はクローラ78を上下方向に伸張させた状態を示す図である。
【0048】
上記構成のように、ギア82を回転させて前後ウォーム軸83を前後移動させることにより、前スプロケット80と後スプロケット79の距離が変更されるので、圃場条件等に応じてクローラ78の接地面積を変更することができるので、走行姿勢が不安定になりやすい湿田ではクローラ78を図8(a)のように前後方向に長い状態に変形させ、接地圧を高くして走行姿勢の安定性を確保すると、苗の植付が直線に行なえ、植付精度が向上する。
【0049】
一方、ギア82を回転させて上下ウォーム軸84を上下移動させることにより、中間スプロケット81の上下位置が変更されるので、クローラ78の張りが容易に調節可能となる。図8(b)のようにしてクローラ78の張りを強くすると、水気の少なくなった圃場を移動する際にしっかりグリップ力を確保されるので、走破性が向上し、作業能率が向上する。
【符号の説明】
【0050】
2 走行車体
6a ラインマーカ
6b ラインマーカ
27a 整地ロータ
27b 整地ロータ
52 苗植付装置
55 フロート
56 フロート
71 畦クラッチレバー
71a 畦クラッチスイッチ
71b 畦クラッチスイッチ
74a 左右マーカモータ
74b 左右マーカモータ
SA 畦際検出部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後部に整地ロータ(27)とフロート(55,56)と苗植付装置(52)を設けた苗植機において、
左右の整地ロータ(27a,27b)をそれぞれ独立昇降自在に構成し、畦際での植付作業を検出する畦際検出部材(SA)を設け、該畦際検出部材(SA)で検出した畦側の整地ロータ(27a,27b)を反対側の整地ロータ(27a,27b)よりも下方へ降下させる構成としたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記畦際検出部材(SA)を、左右の畦クラッチレバー(71,71)の操作を検知する左右の畦クラッチスイッチ(71a,71b)で構成し、該左右の畦クラッチスイッチ(71a,71b)を操作すると前記左右の整地ロータ(27a,27b)のいずれか一方を下方に下降させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記走行車体(2)の側方で植付基準線を圃場面に形成する左右のラインマーカ(6a,6b)を起伏させる左右のマーカモータ(74a,74b)を設け、畦側の左右の整地ロータ(27a,27b)の降下と同時に畦側の左右のマーカモータ(74a,74b)を駆動して左右のラインマーカ(6a,6b)を起立させる制御構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−115191(P2012−115191A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266789(P2010−266789)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】