苗移植機
【課題】 本発明は、苗植付部の前後傾斜姿勢の制御は高精度で適正に行うことを課題とする。
【解決手段】 機体の走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設け、該走行加速度センサ(222)の検出に基づき、走行が加速されているときには苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、走行が減速されているときには苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる制御装置を設けた苗移植機とした。
【解決手段】 機体の走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設け、該走行加速度センサ(222)の検出に基づき、走行が加速されているときには苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、走行が減速されているときには苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる制御装置を設けた苗移植機とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗移植機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機の一例である乗用型田植機において、走行車体の後側に昇降リンク装置を介して苗植付部を昇降可能に設け、昇降リンク装置は、上リンクと下リンクを備えて油圧シリンダである昇降用アクチュエータにより苗植付部を昇降する構成とし、上リンクのリンク長を変更して苗植付部の前後傾斜姿勢を変更するモーターである前後傾斜用アクチュエータを設け、苗植付部は、表土面を滑走して整地するフロートを備えた構成が公知である(特許文献1参照。)。
【0003】
なお、乗用型田植機において、苗植付部は、苗の端部を受ける苗受枠と、該苗受枠に備える苗取出口と、左右移動する連結部材により前記苗受枠に沿って左右移動して苗を前記苗取出口に供給する苗載台と、苗載台の左右移動終端で該苗載台上の苗を苗受枠側に移送する苗送りベルトと、前記苗取出口に供給された苗を植付ける苗植付装置と、表土面の凹凸に追従して左右方向の回動支点軸回りに上下動しながら該表土面を滑走して整地するフロートを備え、該フロートの前部の上下動を検出する上下動検出機構を設け、該上下動検出機構の検出に基づいて苗植付部が所定の対地高さとなるよう昇降用アクチュエータを作動させる構成は周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−50710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成によれば、前後傾斜用アクチュエータにより苗植付部の前後傾斜姿勢を変更して制御することができるが、圃場の耕盤の凹凸等により機体の前後傾斜姿勢の変化は激しく、苗植付部の前後傾斜姿勢の制御は高精度で適正に行うことが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、苗植付部の前後傾斜姿勢の制御は高精度で適正に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)を昇降可能に設け、昇降リンク装置(3)は、上リンク(70)と下リンク(71)を備えて昇降用アクチュエータ(76)により苗植付部(4)を昇降する構成とし、上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する前後傾斜用アクチュエータ(203)を設け、苗植付部(4)は、苗の端部を受ける苗受枠(81)と、該苗受枠(81)に備える苗取出口(78)と、左右移動する連結部材(83)により前記苗受枠(81)に沿って左右移動して苗を前記苗取出口(78)に供給する苗載台(80)と、苗載台(80)の左右移動終端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側に移送する苗送りベルト(79)と、前記苗取出口(78)に供給された苗を植付ける苗植付装置(37)と、表土面の凹凸に追従して左右方向の回動支点軸(210)回りに上下動しながら該表土面を滑走して整地するフロート(100)を備え、該フロート(100)の前部の上下動を検出する上下動検出機構(103)を設け、該上下動検出機構(103)の検出に基づいて苗植付部(4)が所定の対地高さとなるよう昇降用アクチュエータ(76)を作動させる構成とした苗移植機において、機体の走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設け、該走行加速度センサ(222)の検出に基づき、走行が加速されているときには苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、走行が減速されているときには苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる制御装置(200)を設けた苗移植機とした。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を設け、制御装置(200)は、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成とした請求項1に記載の苗移植機とした。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成とした請求項1又は請求項2に記載の苗移植機とした。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更する構成とした請求項1から請求項3の何れか1項に記載の苗移植機とした。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、苗植付装置(37)に対して左右方向の回動支点軸(210)を上下動して苗の植付深さを変更する植付深さ変更用アクチュエータ(213)を設け、走行速度が高速になると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正すると共に、当該補正をしない場合の上下動検出機構(103)の検出値の制御目標に相当するフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させるべく、制御装置(200)により植付深さ変更用アクチュエータ(213)を作動する構成とした請求項1から請求項4の何れか1項に記載の苗移植機とした。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、走行車体(2)に対して苗植付部(4)を左右ローリング可能に連結するローリング連結軸(74)と、苗植付部(4)を左右ローリング作動させるローリングアクチュエータ(219)を設け、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を苗植付部(4)の左右両端部に各々設け、制御装置(200)は、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)を所望の左右傾斜姿勢にするべくローリングアクチュエータ(219)を作動させるローリング制御を行い、フロート(100)が非接地状態から接地状態になったことを上下動検出機構(103)が検出してから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定する構成とした請求項1から請求項5の何れか1項に記載の苗移植機とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によると、走行が加速されているときには、機体が前上がり姿勢となりがちであるので、苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を適正に維持する。また、走行が減速されているときには、機体が前下がり姿勢となりがちであるので、苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を適正に維持する。この苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御は、走行加速度センサ(222)による機体の走行の加減速を検出に基づいて行われるので、応答性良く適正で高精度に行うことができ、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0014】
請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御を行うので、苗植付部(4)の挙動に基づいて適正な前後傾斜姿勢の制御が行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0015】
請求項3に係る発明によると、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、走行車体加速度センサ(225)の上下移動の加減速の検出に基づき苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御を行うので、更に前後傾斜姿勢の制御を高精度で適正に行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0016】
請求項4に係る発明によると、請求項1から請求項3の何れか1項に係る発明の効果に加えて、走行車体加速度センサ(225)の上下移動の加減速の検出に基づき表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更するので、苗植付部(4)の昇降制御の制御感度を所望に維持でき、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0017】
請求項5に係る発明によると、請求項1から請求項4の何れか1項に係る発明の効果に加えて、走行速度が高速になると上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正するので、苗植付部(4)による植付深さが深くなる側に補正されると共に苗植付部(4)の昇降制御の制御感度が鈍感側に補正されるから、高速走行時に苗植付部(4)の昇降制御が適確に追従しないことによる浮き苗の発生を防止できる。しかも、植付深さ変更用アクチュエータ(213)により、前記補正をしない場合のフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させて、苗植付部(4)による植付深さを深くなる側に変更するので、苗植付部(4)の昇降制御の制御感度を極端に鈍感側に補正する必要がなく、昇降制御の制御感度を鈍感側に補正しつつも所望の感度に設定でき、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0018】
請求項6に係る発明によると、請求項1から請求項5の何れか1項に係る発明の効果に加えて、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)のローリング制御を行うので、苗植付部(4)の挙動に基づいて適正なローリング制御が行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。しかも、ローリング制御を苗植付部上下加速度センサ(224)に基づき応答性良く高精度に行いつつも、フロート(100)が非接地状態から接地状態になってから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定するので、接地するときの苗植付部(4)の左右ローリングの不安定時にローリング制御の制御感度を鈍感にでき、ローリング制御のハンチング現象を防止できて、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】走行車体の要部を示す平面図
【図4】苗植付部を判りやすく示す展開平面図
【図5】苗載台の下部を示す断面側面図
【図6】スライダの周辺構造を示す断面側面図
【図7】一部破断して苗浮き上がり防止具を示す苗載台の下部の断面側面図
【図8】潤滑油供給路を判り易く示す背面図
【図9】苗押え具及び苗浮き上がり防止具を示す側面図
【図10】苗押え具及び苗浮き上がり防止具を示す背面図
【図11】苗浮き上がり防止具を示す拡大側面図
【図12】苗載台の移動状態を判り易く示す側面図
【図13】ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
図1及び図2は、施肥装置付きの乗用型の田植機(1)を示すものであり、この乗用型の田植機(1)は、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)が昇降可能に装着され、走行車体(2)の後部上側に施肥装置(5)の本体部分が設けられている。
【0021】
走行車体(2)は、駆動輪である各左右一対の前輪(6)及び後輪(7)を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース(8)が配置され、そのミッションケース(8)の左右側方に前輪ファイナルケース(9)が設けられ、該前輪ファイナルケース(9)の変向可能な前輪支持部(9a)から外向きに突出する前輪車軸に前輪(6)が取り付けられている。また、ミッションケース(8)の背面部にメインフレーム(10)の前端部が固着されており、そのメインフレーム(10)の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸(11)を支点にして後輪ギヤケース(12)がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース(12)から外向きに突出する後輪車軸に後輪(7)が取り付けられている。
【0022】
原動機となるエンジン(13)はメインフレーム(10)の上に搭載されており、該エンジン(13)の回転動力が、第一ベルト伝動装置(14)を介して正逆転切替可能な伝動装置となる油圧式の前後進無段変速装置(HST)(15)へ入力される。そして、該前後進無段変速装置(HST)(15)からの出力が第二ベルト伝動装置(16)を介してミッションケース(8)に伝達される。ミッションケース(8)に伝達された回転動力は、該ケース(8)内の伝動分岐部(8a)で走行用伝動経路と植付用伝動経路とに分岐して伝動され、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース(9)に伝達されて前輪(6)を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース(12)に伝達されて後輪(7)を駆動する。また、外部取出動力は、取出伝動軸(17)を介して走行車体(2)の後部に設けた植付クラッチケース(18)に伝達され、それから植付伝動軸(19)によって苗植付部(4)へ伝動されるとともに、施肥伝動機構(図示せず)によって施肥装置(5)へ伝動される。植付クラッチケース(18)内には、苗植付部(4)及び施肥装置(5)への伝動を入切する植付クラッチを設けている。
【0023】
後輪車軸には歪センサ(201)を設けており、該歪センサ(201)により後輪(7)に所定値以上の過大な走行負荷が発生していることを検出する構成となっている。これにより、耕盤の深い圃場等で走行に過負荷が掛かっていることを検出でき、この過負荷に基づいて制御部(200)を介して警報装置(202)によりブザー及びランプ等の警報を出力してオペレータに耕盤の深い局所から機体を退避させることを促し、機体が沈没状態となって走行できなくなることを未然に防止できる。また、前記警報により、左右の後輪(7)への伝動を断つ左右各々のサイドクラッチや、前輪(6)及び後輪(7)の走行系への伝動を断つ主クラッチ等のクラッチが過負荷で摩耗するのを防止できると共に、走行伝動系の破損を防止できる。また、歪センサ(201)を取出伝動軸(17)に設けてもよい。これにより、苗植付部(4)や施肥装置(5)の過負荷を防止できると共に、広い植付株間で苗を植え付けるために苗植付部(4)を不等速で作動させる疎植状態のとき、苗植付部(4)の激しい負荷変動を検出して苗植付部(4)の脈動や振動を防止できる。尚、苗植付部(4)の激しい負荷変動を検出するときは、制御部(200)によりエンジン回転数を低回転に規制し、苗植付部(4)の脈動や振動を防止できる。このエンジン回転数の制御は、電子燃料噴射制御によるエンジン回転数の低下の他、エンジンスロットルによりエンジン回転数を低下させる手段等を採用できる。
【0024】
エンジン(13)の上部はエンジンカバー(20)で覆われており、その上に座席(21)が設置されている。座席(21)の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー(22)があり、その上方に前輪(6)を操向操作するハンドル(23)が設けられている。座席(21)の右側には、前記前後進無段変速装置(HST)(15)を操作する前後進変速レバー(24)が設けられている。また、ハンドル(23)の近傍には、苗植付部(4)の昇降操作及び作動の入切操作がおこなえる植付昇降操作レバー(25)が設けられている。尚、該植付昇降操作レバー(25)により、植付クラッチ及び後述する昇降用油圧シリンダである昇降用アクチュエータ(76)を操作する構成となっている。エンジンカバー(20)及びフロントカバー(22)の下端左右両側は水平状のフロアステップ(26)になっている。また、走行車体(2)の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台(27)が設けられている。
【0025】
座席(21)前方の右側には、左右のブレーキペダル(150)を設けている。このブレーキペダル(150)でミッションケース(8)内のブレーキ装置を操作し、左右各々の後輪(7)を制動する構成となっている。
【0026】
昇降リンク装置(3)は、1本の上リンク(70)と左右一対の下リンク(71)を備えている。これらリンク(70,71)は、その基部側がメインフレーム(10)の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム(72)に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク(73)が連結されている。そして、縦リンク(73)の下端部に苗植付部(4)に回転自在に支承されたローリング連結軸(74)が挿入連結され、ローリング連結軸(74)を中心として苗植付部(4)が左右にローリング自在に連結されている。メインフレーム(10)に固着した支持部材と上リンク(70)に一体形成したスイングアーム(75)の先端部との間に昇降用油圧シリンダである昇降用アクチュエータ(76)が設けられており、該昇降用アクチュエータ(76)を油圧で伸縮させることにより、上リンク(70)が上下に回動し、苗植付部(4)がほぼ一定姿勢のまま昇降する。尚、昇降用アクチュエータ(76)とスイングアーム(75)との間にスイングスプリングを介しており、このスイングスプリングにより通常植付時等の苗植付部(4)の昇降による振動を減衰し、苗植付部(4)の昇降におけるハンチングを防止している。
【0027】
また、上リンク(70)の中途部には電動シリンダである前後傾斜用アクチュエータ(203)を設けており、該前後傾斜用アクチュエータ(203)により上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する構成となっている。
【0028】
また、ローリング連結軸(74)回りに苗植付部(4)が左右に大きくローリングしたことを左右傾斜センサにより検出すると、DFIによる電子燃料噴射制御によりエンジン回転数を低下させて走行速度を低下させる構成としている。これにより、走行車体(2)が左右に大きく傾いたときに植付が乱れるのを極力抑えることができる。尚、走行速度を減速させる手段としては、電子燃料噴射制御によるエンジン回転数の低下の他、エンジンスロットルによりエンジン回転数を低下させる手段や変速装置を低速側に作動制御する手段等を採用できる。尚、左右傾斜センサとしては、走行車体(2)と苗植付部(4)との角度差を検出するセンサや、苗植付部(4)の絶対水平に対する傾斜角度を検出するセンサや、苗植付部(4)が左右ローリング可能範囲内の最大までローリングしたことを検出するリミットスイッチ式のセンサ等を採用できる。
【0029】
苗植付部(4)は8条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース(77)、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口(78)に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口(78)に供給すると苗送りベルト(79)により苗を下方に移送する苗載台(80)、苗取出口(78)に供給された苗を苗植付具(37a)で圃場に植付ける苗植付装置(37)等を備えている。
【0030】
苗載台(80)は、苗載面の裏側でその裏面側下部に左右方向に設けた苗受枠となる横枠(81)に沿って左右動自在に支持されている。また、この苗載台(80)は、上下に延びる複数の仕切り壁部(80a)を備えており、該仕切り壁部(80a)により区分けされて各条の苗載部(80b)が構成され、8条分の苗を搭載できる構成となっている。尚、前記横枠(81)に8条分の前記苗取出口(78)が設けられている。伝動ケース(77)の左右両側から突出して該伝動ケース(77)内の動力で横方向に左右往復移動する横移動棒(82)が設けられ、該横移動棒(82)の両端部に固着した連結部材(83)と苗載台(80)とが連結されていて、横移動棒(82)が左右往復動することにより苗載台(80)が左右往復動するようにしている。尚、伝動ケース(77)内には、リードカムと該リードカムに螺合する該リードカム軸が設けられている。従って、横移動棒(82)は、その中間部が伝動ケース(77)内で前記リードカムに固着され、前記リードカム軸の駆動回転により左右往復移動する構成となっている。尚、横枠(81)は、苗載台(80)の下部を左右移動可能に支持する支持部材となり、苗載台(80)の上側(厳密には苗載台(80)の傾斜に沿う斜め前上方向)への移動を規制せずに該苗載台(80)を上側(厳密には苗載台(80)の傾斜に沿う斜め前上方向)へ移動自在に支持した構成となっている。
【0031】
伝動ケース(77)内には、リードカム軸の回転速度を複数段に切り替える横移動切替装置を設けている。この横移動切替装置は、伝動比の異なる複数対の伝動ギヤを備え、スライドキーにより伝動する伝動ギヤを選択し、苗載台(80)の左右移動速度を変更する構成である。
【0032】
尚、上述の連結部材(83)は横移動棒(82)を介して左右移動する構成としたが、リードカム軸及びリードカムを伝動ケース(77)の外側に露出させて配置すると共に、連結部材(83)をリードカムと一体で構成してもよい。この場合は、連結部材(83)は1個設けたのでよい。
【0033】
連結部材(83)と苗載台(80)との連結構造を詳細に説明すると、苗載台(80)には、支持アーム(167)を介して連結軸(168)を一体的に固着して左右に設けている。この連結軸(168)は、ボルトにより構成され、支持アーム(167)から左右一方に延び、先端は径が大きい頭部となる。一方、連結部材(83)には、長孔で構成される連結溝(169)を設けている。この連結溝(169)は、L字型に屈曲しており、屈曲部を境に、苗載台(80)が苗受枠(81)に接する通常状態で連結軸(168)が挿入される通常溝部(169a)と、苗載台(80)の移動状態で連結軸(168)が挿入される移動溝部(169b)を備えている。従って、通常溝部(169a)と移動溝部(169b)とを交差(直交)させて連通した構成となっている。通常溝部(169a)は、機体側面視で若干前下がり傾斜の上下方向に延びている。移動溝部(169b)は、苗載台(80)の前後傾斜方向に近い前上がり傾斜方向に延びている。尚、移動溝部(169b)は、苗載台(80)の前後傾斜に比較すると上側へいくほど前側に位置するべく(上側へ行くほど苗載台(80)から離れるべく)若干前側へ傾いた方向に向いている。連結軸(168)は連結溝(169)を貫通し、連結溝(169)の左右に殆んど隙間のない状態で前記支持アーム(167)と連結軸の頭部とが位置する。よって、連結部材(83)が左右移動すると、連結軸(168)ひいては苗載台(80)も同期して左右移動する。
【0034】
苗載台(80)の裏面側の上下には、左右方向に長い左右移動用案内部材(120、121)がそれぞれ固着して設けられている。上側の左右移動用案内部材(120)は、側面視で下側が切り欠かれた断面形状に形成されており、下側から支持される回転自在の支持ローラ(122)が係合している。この支持ローラ(122)は、上側の左右移動用案内部材(120)に沿う適宜位置(4か所)に複数個(4個)設けられ、伝動ケース(77)の上側に固着された苗載台支持フレーム(123)の上部に取り付けられている。下側の左右移動用案内部材(121)は、側面視で下側が切り欠かれた切り欠き断面形状部分(121a)とその直上の四角形の断面形状部分(121b)とを備え、前記切り欠き断面形状部分(121a)にスライダ(124)が固着されている。このスライダ(124)は、上部に設けた突起(124a)を下側の左右移動用案内部材(121)に設けた取付孔に挿入して固着する構成となっており、下側の左右移動用案内部材(121)に沿う適宜位置(4か所)に複数個(4個)設けられ、横枠(81)の上部に備えるレール部分(81a)に上側から係合する。従って、苗載台(80)は、支持ローラ(122)と横枠(81)とにより左右方向に移動可能に支持されている。また、支持ローラ(122)とスライダ(124)とは、ポリエチレン系樹脂(超高分子量ポリエチレン)で形成された摺動部材となっている。従って、支持ローラ(122)は、苗載台(80)の上部を左右移動可能に支持する支持部材となり、苗載台(80)の上側(厳密には苗載台(80)の傾斜に沿う斜め前上方向)への移動を規制せずに該苗載台(80)を上側(厳密には苗載台(80)の傾斜に沿う斜め前上方向)へ移動自在に支持した構成となっている。
【0035】
苗送りベルト(79)は、駆動ローラ(84)と従動ローラ(85)とに張架されている。駆動ローラ(84)は左右方向の苗送り駆動軸(86)と一体回転するように設けられている。苗送り駆動軸(86)は、ラチェット機構(87)により、苗送りベルト(79)が苗送りする方向にだけ回転を伝達するようになっている。
【0036】
苗送りベルト(79)の駆動機構は下記の構成となっている。すなわち、伝動ケース(77)の左右両側からそれぞれ突出して回転駆動する駆動側アーム(88)が設けられている。また、苗送り駆動軸(86)の上側には左右方向の中継軸(89)が設けられ、それに従動側アーム(90)が取り付けられている。中継軸(89)と苗送り駆動軸(86)とは、アーム(91,92)及びリンク(93)とからなるリンク機構(94)により伝動連結されている。
【0037】
苗載台(80)が左右移動行程の端部に到達すると、駆動側アーム(88)が従動側アーム(90)にその下側から当接して、中継軸(89)を所定角度回転させる。その回転がリンク機構(94)及びラチェット機構(87)を介して苗送り駆動軸(86)に伝達される。これにより、苗送りベルト(79)が所定量だけ作動する。尚、苗載台(80)が左右移動両端部でそれぞれ苗送り動力を伝達できるように、1個の駆動側アーム(88)に対して左右に2個の従動側アーム(90)が同一の中継軸(89)上に設けられている。駆動側アーム(88)が従動側アーム(90)から離れると、後述する揺動支点軸(95)に係止したスプリング(96)の張力によって中継軸(89)及び従動側アーム(90)は駆動前の位置に戻る。尚、中継軸(89)及び従動側アーム(90)は、スプリング(96)の張力で、中継軸(89)の端部に設けたストッパ(97)が苗載台(80)本体側の規制部材(98)に当接する位置まで戻る構成となっている。
【0038】
ところで、苗送り駆動軸(86)は、左側4条部分と右側4条部分とに分割されている。また、中継軸(89)も左側中継軸と右側中継軸とに分割されている。そして、左右の苗送り駆動軸(86)及び中継軸(89)に対応して、駆動側アーム(88)、リンク機構(94)及び左右2個の従動側アーム(90)も左右にそれぞれ設けられた構成となっている。
【0039】
従動側アーム(90)は、回動中心近くの基部分(90a)と駆動側アーム(88)が当接する回動先端側部分(90b)とが別体で構成され、両部分(90a,90b)がアーム(90)中途部に設けた左右方向の揺動支点軸(95)で連結されている。尚、前記基部分(90a)が中継軸(89)と一体回転する構成となっており、前記回動先端側部分(90b)は、揺動支点軸(95)に設けたトルクスプリング(図示せず)により揺動支点軸(95)回りに上側(苗送りベルト(79)への伝動において当接する側とは反対側)へ回動する方向へ付勢され、常態ではそれ以上上側へ回動しないように中継軸(89)に当接している。従って、駆動側アーム(88)が従動側アーム(90)にその下側から当接する通常の苗送り伝動時には、従動側アーム(90)の基部分(90a)と回動先端側部分(90b)とが一体的に中継軸(89)回りに上側へ回動する。一方、駆動側アーム(88)が逆転して従動側アーム(90)にその上側から当接するときは、基部分(90a)に対して回動先端側部分(90b)だけが下側(苗送りベルト(79)への伝動において当接する側)へトルクスプリングに抗して揺動するのである。
【0040】
苗送り駆動軸(86)の軸心部には潤滑油を供給する左右に延びる潤滑油供給路(204)を設けている。該潤滑油供給路(204)は、苗送りの駆動を各2条毎に入切する苗送りクラッチ(205)の位置で苗送り駆動軸(86)の外周面に連通し、苗送りクラッチ(205)が摺動する苗送り駆動軸(86)の外周面を潤滑する。同様に、苗送り駆動軸(86)の軸受部においても潤滑油供給路(204)が苗送り駆動軸(86)の外周面に連通し、前記軸受部を潤滑する。これにより、苗送り伝動系の耐久性が向上する。潤滑油供給路(204)に潤滑油を供給するための潤滑油供給口(206)は、苗送り駆動軸(86)の外周面に設けられ、潤滑油供給路(204)に連通している。潤滑油供給口(206)へ潤滑油タンク(207)から潤滑油ホース(208)を介して潤滑油が供給される。尚、潤滑油供給口(206)は、苗送りをしない状態で潤滑油ホース(208)の出口と合致する位置(苗送り駆動軸(86)の位相)に設けられている。
【0041】
苗載台(80)の苗載面(80c)の上側には、マット苗の床部の上面に当たって該マット苗を苗載面(80c)側へ押圧する苗押え具(130)が設けられている。この苗押え具(130)により、マット苗を苗送りベルト(79)側に適度に押圧し、苗送りベルト(79)で確実に精度良くマット苗を移送できるようにしている。苗押え具(130)は、金属製の棒材のみが組み合って構成され、マット苗に当たる部分は苗載台(80)に沿って延びる接触部(131,132)で構成されている。この接触部(131,132)は、各条の苗載部(80b)毎に3本ずつ設けられ、苗載部(80b)の左右中央に位置する全長が短い1本の中央の接触部(131)と、苗載部(80b)の左右両側部に位置する全長が長い2本の側部の接触部(132)とからなる。これらの接触部(131,132)は、前端部(131a,132a)及び後端部(131b,132b)の両端が上側(苗載台(80)の苗載面(80c)とは反対側)に屈曲している。尚、前記前端部(131a,132a)及び後端部(131b,132b)は、軸である。中央の接触部(131)及び側部の接触部(132)の屈曲した後端部(132b)の上端は左右方向に延びる軸となる後側部(133)に溶接により固着され、側部の接触部(132)の屈曲した前端部(132a)の上端は左右方向に延びる前側部(134)に溶接により固着され、側部の接触部(132)は前側部(134)及び後側部(133)で両持ち支持され、中央の接触部(131)は後側部(133)で片持ち支持されている。尚、前側部(134)及び後側部(133)は2条分の苗載部(80b)毎にそれぞれ1本設けられ、2条分の苗載部(80b)における接触部(131,132)が共通の前側部(134)及び後側部(133)に支持される構成となっている。
【0042】
苗載台支持フレーム(123)には、上下方向略中央位置で左右に延びる左右フレーム部(123a)を備えている。この左右フレーム(123a)は、断面円形の丸軸である。この左右フレーム(123a)の左右の適所には、下端にフック(170)を備える吊下げ部材(171)を、該左右フレーム(123a)の軸回りに左右各々回動自在に取り付けている。
【0043】
従って、苗載台(80)の通常の植付作業状態(通常状態)では、苗載台(80)の自重により、連結部材(83)の連結溝(169)の通常溝部(169a)の下端部(前下端部)に連結軸(168)が位置する。苗載台(80)を上側の移動状態へ移動させるにあたり、作業者が、連結軸(168)を通常溝部(169a)に案内させながら苗載台(80)を上側(後斜め上側)へ移動させ、更に連結溝(169)の屈曲部を介して連結軸(168)を連結溝(169)の移動溝部(169b)に案内させながら苗載台(80)を前斜め上側へ移動させる。そして、連結軸(168)が移動溝部(169b)の前端部(上端部)に位置する状態で、苗送り伝動機構の中継軸(89)を吊下げ部材(171)のフック(170)に掛けることで、苗載台(80)を上側へ移動した移動状態で保持する構成となっている。この移動状態では、苗載台(80)は、通常状態から苗載台(80)の前後傾斜方向に沿って上側へ移動した位置となり、通常状態と苗載台(80)の前後傾斜角度も略同じとなる。尚、左右の吊下げ部材(171)は、中継軸(89)が位置する左右位置に配置されている。また、吊下げ部材(171)を左右フレーム(123a)の軸回りに回動自在にしているため、中継軸(89)をフック(170)に掛ける作業を容易に行える。尚、吊下げ部材(171)を、左右フレーム(123a)に対して回動しない構成としてもよい。
【0044】
左右一方(右側)のフック(170)と植付昇降操作レバー(25)との間には、停止連動装置となる停止連動用ワイヤ(172)を連結している。よって、苗載台(80)の移動状態でフック(170)に中継軸(89)を掛けることで、該中継軸(89)により停止連動用ワイヤ(172)が引かれ、植付昇降操作レバー(25)を苗植付部(4)を作動させる植付位置から苗植付部(4)を作動させない非植付位置へ強制的に操作する構成となっている。
【0045】
苗載台(80)の仕切り壁部(80a)には後側の支柱(135)が仕切り壁部(80a)から立ち上がるように固着して設けられ、この後側の支柱(135)には前後方向に向く断面円形状の取付孔が設けられている。この取付孔は、後側の支柱(135)の上下方向に複数設けられている。同様に、苗載台(80)の仕切り壁部(80a)には前側の支柱(136)が仕切り壁部(80a)から立ち上がるように固着して設けられ、この前側の支柱(136)の上端部には前側から切り欠いた断面半円形状の切り欠き部(136a)が設けられている。一方、前記後側部(133)の左右両端には後側に屈曲した固定部(133a)が設けられ、この固定部(133a)が前記取付孔に挿入されている。また、前記前側部(134)の左右両端部が前記切り欠き部(136a)に挿入されている。従って、前側部(134)が左右の前側の支柱(136)で支持され、後側部(133)が左右の後側の支柱(135)で支持され、苗押え具(130)全体が苗載台(80)に支持された構成となっている。
【0046】
そして、苗押え具(130)は、前記固定部(133a)を取付孔から抜いて外すことにより、前側部(134)を軸心として上下に回動させることができる。この苗押え具(130)の回動により、植付作業終了時等に、苗押え具(130)と苗載台(80)の苗載面(80c)との間に残った苗を、苗押え具(130)が邪魔にならずに容易に取り出すことができる。また、苗押え具(130)を回動して前記固定部(133a)を別の取付孔に挿入することにより、苗載面(80c)に対する接触部(131,132)の位置あるいは角度を変更することができ、マット苗の床部の厚みや強度等の違いに応じて苗押え具(130)の位置あるいは角度を調節し、苗送りベルト(79)の苗送り抵抗が過大にならずに苗を苗送りベルト(79)側に適度に押圧することができる。更には、固定部(133a)を取付孔から抜いて外すと共に前側部(134)を切り欠き部(136a)から外すことにより、苗載台(80)から苗押え具(130)を取り外すことができ、苗載台(80)上に残った苗を容易に取り出せることはもとより、苗載台(80)や苗植付部(4)のメンテナンスを苗押え具(130)が邪魔にならずに容易に行える。尚、固定部(133a)を取付孔から抜くときは、苗押え具(130)(主として後側部(133))を撓ませながら抜くようになっている。
【0047】
後側部(133)の左右両端部には、上側へ延びる苗受け止め具取付部(137)を溶接により固着して設けている。この苗受け止め具取付部(137)に苗受け止め具(138)を引っ掛けて装着できる構成となっている。前記苗受け止め具(138)は、各条の苗載部(80b)毎に設けられ、当該苗載部(80b)上の苗がその自重により苗取出口(78)側に移動しないように受け止めるものである。この苗受け止め具(138)により、苗送りベルト(79)の作動に拘らず、苗取出口(78)へ確実に苗が供給されないようにでき、一部の植付条で苗を植え付けずに他の植付条のみで部分的に苗の植付作業を行うことができる。
【0048】
各々の接触部(131,132)の後端部(131b,132b)の上端と後側部(133)とが交差する部分には、苗載台(80)上の苗が苗載面(80c)あるいは横枠(81)から浮き上がるのを防止すると共に、苗載台(80)の左右移動で左右方向へずれるのを防止する苗浮き上がり防止具(139)を取り付けている。この苗浮き上がり防止具(139)は、合成樹脂製であり、上部に苗押え具(130)の後側部(133)が嵌る上部切り欠き溝(140)を備え、側面に上下方向に向く苗押え具(130)の接触部(131,132)の後端部(131b,132b)が嵌る側部切り欠き溝(141)を備え、下部にマット苗の床部の上面に当たって該苗を押圧する浮き上がり防止作用部(142)を備えている。尚、この苗浮き上がり防止具(139)は、上部切り欠き溝(140)及び側部切り欠き溝(141)により、苗押え具(130)に着脱できる。前記上部切り欠き溝(140)は、苗浮き上がり防止具(139)の上側から切り欠いた構成となっており、前記後側部(133)が嵌る嵌合部となる断面円形の部分(140a)を上下に複数(2個)連ねて設けている。前記側部切り欠き溝(141)は、機体の左側から切り欠いた構成となっており、前記接触部(131,132)の後端部(131b,132b)が嵌る断面半円形状の部分が上下方向に貫通した構成となっている。この側部切り欠き溝(141)の上下の適宜の位置には、苗浮き上がり防止具(139)が前記苗押え具(130)から外れにくいように該溝(141)側に突出する突出部(141a)が設けられている。前記浮き上がり防止作用部(142)は、苗押え具(130)の接触部(131,132)と同じ左右方向の位置で且つ前記接触部(131,132)より後側に配置され、斜め後下方に向く鋭角状の頂点部(142a)を備えた側面視三角形状であり、この下辺部(142b)に苗の床部の上面が接触することになる。前記下辺部(142b)は、苗押え具(130)の接触部(131,132)の接触面部分より苗載面(80c)側に位置し、苗載台(80)の苗送り下手側(下側、後側又は苗取出口(78)側)へいくほど苗載面(80c)に近づくように苗載面(80c)に対して斜めに構成されている。前記頂点部(142a)は、苗載台(80)の苗載面(80c)の後端と対向する位置に配置されている。また、浮き上がり防止作用部(142)の左右方向の幅は、苗押え具(130)の接触部(131,132)の左右方向の幅より狭くなっている。
【0049】
苗植付部(4)の下部には、中央2条分の苗植付位置を整地するセンターフロート(100)、その左右それぞれ外側2条分の苗植付位置を整地するサイドフロート(101)及び該サイドフロート(101)の外側で最外1条分の苗植付位置を整地する小フロート(102)が設けられている。これらフロート(100,101,102)を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート(100,101,102)が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置(37)により苗が植付けられる。各フロート(100,101,102)は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように左右方向の回動支点軸(210)回りに回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート(100)の前部の上下動が上下動検出機構(103)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降用アクチュエータ(76)を制御する昇降用油圧バルブ(209)を切り替えて苗植付部(4)を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。尚、上下動検出機構(103)は、センターフロート(100)の前部に連結される検出リンク(103a)と、該検出リンク(103a)の上下位置を検出するポテンショメータである上下動検出センサ(103b)を備えて構成される。該上下動検出センサ(103b)は、伝動ケース(77)に支持され、苗植付部(4)に対するセンターフロート(100)の前部の上下動を検出する構成である。
【0050】
また、上下動検出機構(103)の検出により、各フロート(100,101,102)が土壌面に対して浮き気味である(フロート(100,101,102)の前後傾斜姿勢が前下がり傾向にある)と判断されるときは、DFIによる電子燃料噴射制御によりエンジン回転数を低下させて走行速度を低下させる構成としている。これにより、土壌面に対して苗植付部(4)が浮き気味になって植付が乱れるのを極力抑えることができる。尚、走行速度を減速させる手段としては、電子燃料噴射制御によるエンジン回転数の低下の他、エンジンスロットルによりエンジン回転数を低下させる手段や変速装置を低速側に作動制御する手段等を採用できる。尚、各フロート(100,101,102)が土壌面に対して浮き気味であることを判断する手段としては、センターフロート(100)の上下動検出機構(103)の検出に基づくものの他、左右のサイドフロート(101)の上下動を検出する格別のセンサの検出に基づくものとしてもよい。尚、前記センサは、リミットスイッチ式のセンサとしてもよい。
【0051】
前記左右方向の回動支点軸(210)は、植付深さ調節軸(211)回りに該植付深さ調節軸(211)と一体で上下回動する植付深さ調節アーム(212)の後端部に設けられている。植付深さ調節アーム(212)は各フロート(100,101,102)を支持するべく複数設けられるが、そのうちの任意の植付深さ調節アーム(212)に設けた回動支点軸(210)と、伝動ケース(77)の後部で苗植付装置(37)を支持するべく後方に延びる植付フレーム部(77a)の前後中間部で上部の間に、電動シリンダである植付深さ変更用アクチュエータ(213)を連結している。これにより、植付深さ調節機構において、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を回動支点軸(210)に連結しているので、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を連結するための格別の部材が不要となり、植付深さ調節機構の軽量化及び構造の簡素化が図れる。また、植付深さ調節軸(211)の前側で且つ該植付深さ調節軸(211)の近傍には、植付深さ調節軸(211)の回動位置(回動角度)を検出して植付深さを検出する植付深さセンサ(214)を設けている。従って、ハンドル(23)の近傍に設けた植付深さ設定ダイヤル(215)の操作位置と、植付深さセンサ(214)の検出信号が制御部(200)に入力され、植付深さ設定ダイヤル(215)の操作位置に対応する植付深さセンサ(214)の検出値にするべく、制御部(200)からの出力で植付深さ変更用アクチュエータ(213)が作動して左右方向の回動支点軸(210)ひいてはフロート(100,101,102)が上下動し、苗植付部(4)による苗の植付深さを設定する構成となっている。
【0052】
尚、植付深さの変更に拘らずセンターフロート(100)の前後傾斜姿勢を所定に維持するべく、制御部(200)により、植付深さ変更用アクチュエータ(213)による植付深さ変更に連動して、上下動検出機構(103)の上下動検出センサ(103b)の制御目標が変更される。尚、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を一つのみ設けてもよく、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を適宜箇所に複数設けてもよい。
【0053】
植付深さ調節軸(211)は、伝動ケース(77)の植付フレーム部(77a)の下側で受け部材(216)により回動可能に支持されている。また、植付深さ調節軸(211)の左右両端は、調節ボルト(211a)により左右位置調節可能に構成され、この調節ボルト(211a)の頭部を伝動ケース(77)の左右両端に固着したフランジ(217)に各々押し当てた構成となっている。これにより、左右に長い植付深さ調節軸(211)が下側に撓むのを防止し、植付深さの変更を適正に行うことができる。また、伝動ケース(77)の左右両端部が自重で下方に垂れ下がるのを防止し、伝動ケース(77)の支持剛性が向上し、植付精度の向上が図れる。尚、植付深さ調節軸(211)の左右中央部には、植付深さ調節軸(211)の左右位置ずれを防止するためのセットボルト(218)が押し当てられている。
【0054】
尚、伝動ケース(77)の植付フレーム部(77a)の下側で且つ左右のフランジ(217)間に、前記植付深さ調節軸(211)とは別に撓み防止ロッドを設け、該撓み防止ロッドにより伝動ケース(77)の左右両端部が自重で下方に垂れ下がらないようにしてもよい。これにより、伝動ケース(77)の支持剛性が向上し、植付精度の向上が図れると共に、植付深さ変更の更なる適正化が図れる。尚、撓み防止ロッドは、植付深さ調節軸(211)と同様に、左右両端部に左右位置調節可能な調節ボルトが設けられている。
【0055】
尚、撓み防止ロッドを、伝動ケース(77)の植付フレーム部(77a)の上側で且つ左右のフランジ(217)間に配置し、左右のフランジ(217)を左右中央側に引き上げるべく左右のフランジ(217)を連結する構成としても上述と同様の効果が得られる。この場合、伝動ケース(77)の上下に撓み防止ロッドと植付深さ調節軸(211)が振り分けて配置されるので、これらをコンパクトに配置できると共に、撓み防止ロッドと植付深さ調節軸(211)の各々の長さ調節を互いが邪魔にならずに容易に行える。
【0056】
また、縦リンク(73)の上部には、苗植付部(4)を左右ローリングさせるローリング用油圧シリンダであるローリングアクチュエータ(219)を設けている。尚、ローリングアクチュエータ(219)は、ローリング用油圧バルブ(220)の油路の切替により作動する。そして、伝動ケース(77)の左右両端部には左右各々の支持ケーブル(221)の一端を連結し、左右の支持ケーブル(221)の他端を共に前記ローリングアクチュエータ(219)の出力部材となるシリンダロッドに連結している。従って、ローリング用油圧バルブ(220)の油路の切替によりローリングアクチュエータ(219)のシリンダロッドが出退して左右に移動すると、左右の支持ケーブル(221)のうちの一方が引かれて他方が弛むことにより苗植付部(4)全体が左右にローリングする構成となっている。左右の支持ケーブル(221)は、苗植付部(4)の左右ローリングがつりあう状態で伝動ケース(77)の左右両端部を上側に引き上げる力が作用するので、伝動ケース(77)の左右両端部が自重で下方に垂れ下がるのを防止し、上述と同様の効果が得られる。尚、ローリングアクチュエータ(219)を設けず苗植付部(4)が自由に左右ローリングする構成とし、フロート(100,101,102)が圃場に追従することにより苗植付部(4)を左右ローリングさせる構成の場合は、左右の支持ケーブル(221)の他端を共に苗植付部(4)の左右中央部の構成部材(苗載台支持フレーム(123)の左右フレーム(123a)等)に連結すればよい。
【0057】
施肥装置(5)は、肥料貯留タンク(粉粒体貯留タンク)(110)に貯留されている肥料(粉粒体)を各条の肥料繰出部(粉粒体繰出部)(63)によって一定量づつ繰り出し、その肥料を肥料移送ホース(粉粒体移送ホース)(111)でフロート(100,101,102)に取り付けた施肥ガイド(112)まで導き、施肥ガイド(112)の前側に設けた作溝体(113)によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に吐出するようになっている。電動モータ(114)で駆動のブロア(115)で発生させた圧力風を左右方向に長いエアチャンバ(116)を経由して肥料移送ホース(111)内に吹き込み、肥料移送ホース(111)内の肥料を苗植付部(4)側の肥料吐出口(施肥ガイド(112))へ強制的に移送するようになっている。施肥溝内に供給された肥料は、施肥ガイド(112)及び作溝体(113)の後方でフロート(100,101,102)に取り付けた覆土板(117)により覆土される。
【0058】
各条の施肥ガイド(112)及び作溝体(113)は、対応する苗植付装置(37)との位置関係(距離)を均一にして各条の肥効を均一化することが望ましいので、それぞれ前後方向において同じ位置(機体側面視で同じ位置)に配置される。同様に、各条の覆土板(117)も対応する施肥ガイド(112)、作溝体(113)及び苗植付装置(37)との位置関係を(距離)を均一にすることが望ましい。何故ならば、覆土板を前寄りに位置させて施肥ガイドに近づけ過ぎると、覆土板で押し寄せられる泥が施肥ガイド内に供給されて該施肥ガイドに泥が詰まるおそれがあり、覆土板を後寄りに位置させて施肥ガイドから離し過ぎると、覆土板で覆土するまでに圃場内の水等により施肥溝の底から肥料が若干浮き上がって、その結果覆土量が少なくなり、適切な肥効が得られなくなるおそれがあるからである。
【0059】
施肥伝動機構により施肥装置(5)へ伝動される動力は、左右方向に延びる施肥駆動軸に伝動され、該施肥駆動軸から各条の繰出用ギヤを介して各条の肥料繰出部(63)へ伝動される。前述ではブロア(115)を電動モータ(114)で駆動する構成について説明したが、施肥駆動軸からブロア用伝動機構を介してブロア(115)を駆動する構成とすれば、電動モータ(114)が不要になってコストダウンが図れると共に、電動モータ(114)を使用しないことで電装系の故障を削減することもできる。このとき、エアチャンバ(116)内にブロア(115)をその駆動軸が左右方向に向く状態で配置する構成とすれば、例えばプーリ及び伝動ベルト等により施肥駆動軸からブロア(115)へ伝動でき、ブロア用伝動機構の構成を簡単にできる。更に望ましくは、エアチャンパ(116)を左右に分割すると共に、その分割位置である左右のエアチャンパの端部に左右各々のブロア(115)を配置すれば、ブロア(115)への伝動のために施肥駆動軸を延ばす必要もなく、またエアチャンパ(116)内に設けるためにブロア(115)が小型で能力の低いものとなっても、エアチャンパ(116)を左右に分割して左右各々のブロア(115)を設けるので、所望の風圧を得ることができ、尚、共通の伝動ベルト(ブロア用伝動機構)により左右のブロア(115)へ伝動する構成とすれば、コストダウンが図れる。特に、4条仕様の田植機の場合、エアチャンパ(116)を左右に2条分ずつに分割すれば、エアチャンパ(116)内の小型のブロア(115)でも各々2条分で必要な風圧を十分に得ることができる。
【0060】
前述の施肥装置(5)は粒状肥料を施肥する構成であるが、施肥装置としてペースト状肥料を施肥する構成とすることもできる。このとき、肥料繰出部は、ペースト状肥料を送り出すポンプとなる。肥料貯留タンクにペースト状肥料を貯留することとなるが、ポンプにより良好に繰り出すためにペースト状肥料を攪拌して流動性を高める攪拌装置を、肥料貯留タンク内に設けている。攪拌装置は、駆動モータにより回転駆動する構成であり、駆動モータの駆動抵抗の検出に基づいて駆動抵抗が大きいときは駆動モータが正転と逆転を交互に繰り返し、肥料の種類や気温変化等の環境変化によりペースト状肥料の粘性が高い状態でも良好な流動性を得られるようにしている。駆動モータの駆動抵抗の検出に基づいて駆動抵抗が小さいときは駆動モータの回転速度を低下させ、電力の消費を抑える。また、駆動モータの駆動抵抗の検出に基づいて駆動抵抗が極端に小さいとき、肥料貯留タンク内のペースト状肥料の貯留量が減少したと判断し、肥料補給を促す警報を発する。これにより、格別の肥料減少センサが不要であり、コストダウンが図れる。
【0061】
走行車体(2)のフロントカバー(22)内には、機体の前後方向の加速度を検出して走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設けている。該走行加速度センサ(222)の検出信号が制御部(200)に入力され、該制御部(200)は前後傾斜用アクチュエータ(203)へ信号を出力し該前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる。すなわち、走行加速度センサ(222)により前進走行が加速されていることを検出すれば、前後傾斜用アクチュエータ(203)を短縮(上リンク(70)のリンク長を短縮)して苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させ、走行加速度センサ(222)により前進走行が減速されていることを検出すれば、前後傾斜用アクチュエータ(203)を伸長(上リンク(70)のリンク長を伸長)して苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させる苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御(前後傾斜制御)を行う。尚、この制御において、走行加速度センサ(222)の検出に不感帯を設け、走行の急激な加速又は減速が発生しないと制御を実行しない。走行加速度センサ(222)の検出値が不感帯域になると、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を元の標準姿勢に復帰させる。また、前後進変速レバー(223)の操作位置を検出する前後進変速レバーセンサ(223a)からの信号に基づき、前進状態のときのみ前後傾斜制御が実行される。
【0062】
苗植付部(4)の左右両端部の苗載台支持フレーム(123)部には、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を左右各々設けている。苗植付部上下加速度センサ(224)は、上下方向の加速度の検出はもとより、上下方向の速度も検出し得るセンサである。そして、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出信号が制御部(200)に入力され、該制御部(200)はローリング用油圧バルブ(220)へ信号を出力し該ローリングアクチュエータ(219)を作動させる。つまり、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下反対側の加速度を検出するとき、それによる苗植付部(4)の左右ローリングを修正するべく最大油量でローリングアクチュエータ(219)を作動させる。例えば、右側の苗植付部上下加速度センサ(224)が上方向の加速度を検出し、左側の苗植付部上下加速度センサ(224)が下方向の加速度を検出するとき、苗植付部(4)が右下がり側にローリングするべくローリングアクチュエータ(219)を作動させる。その他、左右一方の苗植付部上下加速度センサ(224)のみが加速度を検出するとき、それによる苗植付部(4)の左右ローリングを修正するべく最大油量よりも少ない第二の油量でローリングアクチュエータ(219)を作動させる。尚、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下同じ側の加速度を検出する場合、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下反対側の速度を検出するときは、それによる苗植付部(4)の左右ローリングを修正するべく第二の油量よりも少ない第三の油量でローリングアクチュエータ(219)を作動させ、左右一方の苗植付部上下加速度センサ(224)のみが上下方向の速度を検出するときは、それによる苗植付部(4)の左右ローリングを修正するべく第三の油量よりも少ない第四の油量でローリングアクチュエータ(219)を作動させ、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下同じ側の速度を検出するときは、ローリングアクチュエータ(219)を作動させない。尚、ローリング用油圧バルブ(220)は、間欠的に油路を開閉するパルス変調制御により作動する構成とし、最大油量時は常時油路を開いた状態となり、第二の油量から第四の油量になるにつれてパルス変調制御の作動周期における油路を開く時間の割合が短くなり、常時油路を閉じた状態でローリングアクチュエータ(219)を作動させない構成としている。尚、苗植付部上下加速度センサ(224)で検出される加速度あるいは速度の大小に応じて、パルス変調制御の作動周期における油路を開く時間の割合を連続的に変更し、無段階に油量を変更する構成としてもよい。
【0063】
また、制御部(200)は、センターフロート(100)が非接地状態から接地状態になったことを上下動検出機構(103)が検出した信号が入力されると、それから所定時間(数秒間)内は苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定する。従って、昇降リンク装置(3)により苗植付部(4)が下降して接地してから所定時間内は、苗植付部(4)のローリング制御の制御感度が鈍感になり、接地するときの苗植付部(4)の左右ローリングの不安定時に、ローリング制御のハンチング現象を防止できる。
【0064】
また、制御部(200)は、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下同じ側の加速度を検出するとき、その検出される左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の加速度の平均値に基づいて、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる。すなわち、上方向の加速度を検出するときは、前後傾斜用アクチュエータ(203)を伸長して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を後下がり側に変更し、下方向の加速度を検出するときは、前後傾斜用アクチュエータ(203)を短縮して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を後上がり側に変更し、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下同じ側の加速度を検出しなければ、前後傾斜用アクチュエータ(203)を元の標準位置に戻して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を元の標準状態に復帰させる。尚、この左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御に優先して、前述した走行加速度センサ(222)による前後傾斜制御が実行されるが、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御と走行加速度センサ(222)による前後傾斜制御の入力条件が互いに異なる側へ苗植付部(4)を前後傾斜させようとする条件の場合は、走行加速度センサ(222)による前後傾斜制御における前後傾斜用アクチュエータ(203)の作動速度を減速して補正する。
【0065】
更に、走行車体(2)のフロントカバー(22)内には、走行車体(2)前部の上下方向の加速度を検出する走行車体加速度センサ(225)を設けている。該走行車体加速度センサ(225)の検出信号が制御部(200)へ入力され、該制御部(200)は前後傾斜用アクチュエータ(203)へ信号を出力し、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる。すなわち、走行車体加速度センサ(225)が上方向の加速度を検出すると、前後傾斜用アクチュエータ(203)を短縮して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を後上がり側に変更し、走行車体加速度センサ(225)が下方向の加速度を検出すると、前後傾斜用アクチュエータ(203)を伸長して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を後下がり側に変更し、走行車体加速度センサ(225)が加速度を検出しないとき又は検出される加速度が所定の不感帯幅内であるときは、前後傾斜用アクチュエータ(203)を元の標準位置に戻して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を元の標準状態に復帰させる。尚、この走行車体加速度センサ(225)による前後傾斜制御に優先して、前述した走行加速度センサ(222)及び左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御が実行されるが、走行車体加速度センサ(225)による前後傾斜制御と走行加速度センサ(222)又は左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御の入力条件が互いに異なる側へ苗植付部(4)を前後傾斜させようとする条件の場合は、走行加速度センサ(222)又は左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御における前後傾斜用アクチュエータ(203)の作動速度を減速して補正する。
【0066】
しかも、制御部(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、表土面に対するセンターフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更する。すなわち、走行車体加速度センサ(225)が上方向の加速度を検出すると、苗植付部(4)においてセンターフロート(100)を前下がり側の姿勢とするべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更し、走行車体加速度センサ(225)が下方向の加速度を検出すると、苗植付部(4)においてセンターフロート(100)を前上がり側の姿勢とするべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更し、走行車体加速度センサ(225)が加速度を検出しないとき又は検出される加速度が所定の不感帯幅内であるときは、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を元の標準状態に復帰させる。尚、前記加速度の大きさに対応して前記制御目標の変更量を変更する構成としてもよい。
【0067】
また、制御部(200)は、走行速度が高速になると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をセンターフロート(100)の前上がり側に補正する。すなわち、前後進変速レバーセンサ(223a)により前後進変速レバー(223)が前進側で所定以上の高速側に操作されたことを検出すると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標が、センターフロート(100)を標準状態に対して前上がり側の姿勢にするべく変更される。従って、センターフロート(100)は標準状態で若干前下がりの姿勢であるから、前記制御目標の変更で苗植付部(4)による植付深さが若干深くなり、更に前記制御目標の変更で苗植付部(4)の昇降制御の制御感度が鈍感側に補正される。これと同時に、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を短縮させて苗植付部(4)による植付深さを深くなる側に変更する。但し、この植付深さの変更を行っても、補正をしない場合の上下動検出機構(103)の検出値の制御目標に相当するセンターフロート(100)の前後傾斜姿勢すなわちセンターフロート(100)の標準状態よりも該センターフロート(100)が前上がり側の姿勢になる。言い換えれば、前記植付深さの変更量は、センターフロート(100)が標準状態よりも前上がり側の姿勢を維持する程度の少量に設定されている。
【0068】
以上により、この乗用型の田植機(1)は、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)を昇降可能に設け、昇降リンク装置(3)は、上リンク(70)と下リンク(71)を備えて昇降用アクチュエータ(76)により苗植付部(4)を昇降する構成とし、上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する前後傾斜用アクチュエータ(203)を設け、苗植付部(4)は、苗の端部を受ける苗受枠(81)と、該苗受枠(81)に備える苗取出口(78)と、左右移動する連結部材(83)により前記苗受枠(81)に沿って左右移動して苗を前記苗取出口(78)に供給する苗載台(80)と、苗載台(80)の左右移動終端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側に移送する苗送りベルト(79)と、前記苗取出口(78)に供給された苗を植付ける苗植付装置(37)と、表土面の凹凸に追従して左右方向の回動支点軸(210)回りに上下動しながら該表土面を滑走して整地するフロート(100)を備え、該フロート(100)の前部の上下動を検出する上下動検出機構(103)を設け、該上下動検出機構(103)の検出に基づいて苗植付部(4)が所定の対地高さとなるよう昇降用アクチュエータ(76)を作動させる構成とした苗移植機において、機体の走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設け、該走行加速度センサ(222)の検出に基づき、走行が加速されているときには苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、走行が減速されているときには苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる制御装置(200)を設けている。
【0069】
よって、走行が加速されているときには、機体が前上がり姿勢となりがちであるので、苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を適正に維持する。また、走行が減速されているときには、機体が前下がり姿勢となりがちであるので、苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を適正に維持する。この苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御は、走行加速度センサ(222)による機体の走行の加減速を検出に基づいて行われるので、応答性良く適正で高精度に行うことができ、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。従って、苗植付部(4)により植え付ける苗が浮き苗となるのを防止できる。
【0070】
また、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を設け、制御装置(200)は、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成としている。
【0071】
よって、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御を行うので、苗植付部(4)の挙動に基づいて適正な前後傾斜姿勢の制御が行え、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。従って、苗植付部(4)の上下方向の挙動に基づいて、苗植付部(4)により植え付ける苗が浮き苗となるのを適確に防止できる。
【0072】
また、走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成としている。
【0073】
よって、走行車体加速度センサ(225)の上下移動の加減速の検出に基づき苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御を行うので、更に前後傾斜姿勢の制御を高精度で適正に行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0074】
また、走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更する構成としている。
【0075】
よって、走行車体加速度センサ(225)の上下移動の加減速の検出に基づき表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更するので、苗植付部(4)の昇降制御の制御感度を所望に維持でき、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0076】
また、苗植付装置(37)に対して左右方向の回動支点軸(210)を上下動して苗の植付深さを変更する植付深さ変更用アクチュエータ(213)を設け、走行速度が高速になると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正すると共に、当該補正をしない場合の上下動検出機構(103)の検出値の制御目標に相当するフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させるべく、制御装置(200)により植付深さ変更用アクチュエータ(213)を作動する構成としている。
【0077】
よって、走行速度が高速になると上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正するので、苗植付部(4)による植付深さが深くなる側に補正されると共に苗植付部(4)の昇降制御の制御感度が鈍感側に補正されるから、高速走行時に苗植付部(4)の昇降制御が適確に追従しないことによる浮き苗の発生を防止できる。しかも、植付深さ変更用アクチュエータ(213)により、前記補正をしない場合のフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させて、苗植付部(4)による植付深さを深くなる側に変更するので、苗植付部(4)の昇降制御の制御感度を極端に鈍感側に補正する必要がなく、昇降制御の制御感度を鈍感側に補正しつつも所望の感度に設定でき、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0078】
また、走行車体(2)に対して苗植付部(4)を左右ローリング可能に連結するローリング連結軸(74)と、苗植付部(4)を左右ローリング作動させるローリングアクチュエータ(219)を設け、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を苗植付部(4)の左右両端部に各々設け、制御装置(200)は、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)を所望の左右傾斜姿勢にするべくローリングアクチュエータ(219)を作動させるローリング制御を行い、フロート(100)が非接地状態から接地状態になったことを上下動検出機構(103)が検出してから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定する構成としている。
【0079】
よって、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)のローリング制御を行うので、苗植付部(4)の挙動に基づいて適正なローリング制御が行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。しかも、ローリング制御を苗植付部上下加速度センサ(224)に基づき応答性良く高精度に行いつつも、フロート(100)が非接地状態から接地状態になってから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定するので、接地するときの苗植付部(4)の左右ローリングの不安定時にローリング制御の制御感度を鈍感にでき、ローリング制御のハンチング現象を防止できて、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0080】
尚、走行加速度センサ(222)は、走行車体(2)に設けた構成としたが、苗植付部(4)に設けてもよい。
尚、前後傾斜用アクチュエータ(203)は、上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する構成としたが、上リンク(70)と縦リンク(73)を長孔等による融通機構を介して連結し、縦リンク(73)の上部を前後に移動させて前後傾斜させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する構成としてもよい。
【0081】
尚、この発明の実施の形態は田植機(1)について記述したが、本発明は田植機に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1:乗用型の田植機、2:走行車体、3:昇降リンク装置、4:苗植付部、37:苗植付装置、70:上リンク、71:下リンク、74:ローリング連結軸、76:昇降用アクチュエータ、78:苗取出口、79:苗送りベルト、80:苗載台、81:横枠、83:連結部材、100:センターフロート、103:上下動検出機構、200:制御部、203:前後傾斜用アクチュエータ、210:回動支点軸、213:植付深さ変更用アクチュエータ、219:ローリングアクチュエータ、222:走行加速度センサ、224:苗植付部上下加速度センサ、225:走行車体加速度センサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗移植機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機の一例である乗用型田植機において、走行車体の後側に昇降リンク装置を介して苗植付部を昇降可能に設け、昇降リンク装置は、上リンクと下リンクを備えて油圧シリンダである昇降用アクチュエータにより苗植付部を昇降する構成とし、上リンクのリンク長を変更して苗植付部の前後傾斜姿勢を変更するモーターである前後傾斜用アクチュエータを設け、苗植付部は、表土面を滑走して整地するフロートを備えた構成が公知である(特許文献1参照。)。
【0003】
なお、乗用型田植機において、苗植付部は、苗の端部を受ける苗受枠と、該苗受枠に備える苗取出口と、左右移動する連結部材により前記苗受枠に沿って左右移動して苗を前記苗取出口に供給する苗載台と、苗載台の左右移動終端で該苗載台上の苗を苗受枠側に移送する苗送りベルトと、前記苗取出口に供給された苗を植付ける苗植付装置と、表土面の凹凸に追従して左右方向の回動支点軸回りに上下動しながら該表土面を滑走して整地するフロートを備え、該フロートの前部の上下動を検出する上下動検出機構を設け、該上下動検出機構の検出に基づいて苗植付部が所定の対地高さとなるよう昇降用アクチュエータを作動させる構成は周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−50710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成によれば、前後傾斜用アクチュエータにより苗植付部の前後傾斜姿勢を変更して制御することができるが、圃場の耕盤の凹凸等により機体の前後傾斜姿勢の変化は激しく、苗植付部の前後傾斜姿勢の制御は高精度で適正に行うことが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、苗植付部の前後傾斜姿勢の制御は高精度で適正に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)を昇降可能に設け、昇降リンク装置(3)は、上リンク(70)と下リンク(71)を備えて昇降用アクチュエータ(76)により苗植付部(4)を昇降する構成とし、上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する前後傾斜用アクチュエータ(203)を設け、苗植付部(4)は、苗の端部を受ける苗受枠(81)と、該苗受枠(81)に備える苗取出口(78)と、左右移動する連結部材(83)により前記苗受枠(81)に沿って左右移動して苗を前記苗取出口(78)に供給する苗載台(80)と、苗載台(80)の左右移動終端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側に移送する苗送りベルト(79)と、前記苗取出口(78)に供給された苗を植付ける苗植付装置(37)と、表土面の凹凸に追従して左右方向の回動支点軸(210)回りに上下動しながら該表土面を滑走して整地するフロート(100)を備え、該フロート(100)の前部の上下動を検出する上下動検出機構(103)を設け、該上下動検出機構(103)の検出に基づいて苗植付部(4)が所定の対地高さとなるよう昇降用アクチュエータ(76)を作動させる構成とした苗移植機において、機体の走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設け、該走行加速度センサ(222)の検出に基づき、走行が加速されているときには苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、走行が減速されているときには苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる制御装置(200)を設けた苗移植機とした。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を設け、制御装置(200)は、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成とした請求項1に記載の苗移植機とした。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成とした請求項1又は請求項2に記載の苗移植機とした。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更する構成とした請求項1から請求項3の何れか1項に記載の苗移植機とした。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、苗植付装置(37)に対して左右方向の回動支点軸(210)を上下動して苗の植付深さを変更する植付深さ変更用アクチュエータ(213)を設け、走行速度が高速になると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正すると共に、当該補正をしない場合の上下動検出機構(103)の検出値の制御目標に相当するフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させるべく、制御装置(200)により植付深さ変更用アクチュエータ(213)を作動する構成とした請求項1から請求項4の何れか1項に記載の苗移植機とした。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、走行車体(2)に対して苗植付部(4)を左右ローリング可能に連結するローリング連結軸(74)と、苗植付部(4)を左右ローリング作動させるローリングアクチュエータ(219)を設け、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を苗植付部(4)の左右両端部に各々設け、制御装置(200)は、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)を所望の左右傾斜姿勢にするべくローリングアクチュエータ(219)を作動させるローリング制御を行い、フロート(100)が非接地状態から接地状態になったことを上下動検出機構(103)が検出してから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定する構成とした請求項1から請求項5の何れか1項に記載の苗移植機とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によると、走行が加速されているときには、機体が前上がり姿勢となりがちであるので、苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を適正に維持する。また、走行が減速されているときには、機体が前下がり姿勢となりがちであるので、苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を適正に維持する。この苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御は、走行加速度センサ(222)による機体の走行の加減速を検出に基づいて行われるので、応答性良く適正で高精度に行うことができ、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0014】
請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御を行うので、苗植付部(4)の挙動に基づいて適正な前後傾斜姿勢の制御が行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0015】
請求項3に係る発明によると、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、走行車体加速度センサ(225)の上下移動の加減速の検出に基づき苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御を行うので、更に前後傾斜姿勢の制御を高精度で適正に行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0016】
請求項4に係る発明によると、請求項1から請求項3の何れか1項に係る発明の効果に加えて、走行車体加速度センサ(225)の上下移動の加減速の検出に基づき表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更するので、苗植付部(4)の昇降制御の制御感度を所望に維持でき、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0017】
請求項5に係る発明によると、請求項1から請求項4の何れか1項に係る発明の効果に加えて、走行速度が高速になると上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正するので、苗植付部(4)による植付深さが深くなる側に補正されると共に苗植付部(4)の昇降制御の制御感度が鈍感側に補正されるから、高速走行時に苗植付部(4)の昇降制御が適確に追従しないことによる浮き苗の発生を防止できる。しかも、植付深さ変更用アクチュエータ(213)により、前記補正をしない場合のフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させて、苗植付部(4)による植付深さを深くなる側に変更するので、苗植付部(4)の昇降制御の制御感度を極端に鈍感側に補正する必要がなく、昇降制御の制御感度を鈍感側に補正しつつも所望の感度に設定でき、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0018】
請求項6に係る発明によると、請求項1から請求項5の何れか1項に係る発明の効果に加えて、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)のローリング制御を行うので、苗植付部(4)の挙動に基づいて適正なローリング制御が行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。しかも、ローリング制御を苗植付部上下加速度センサ(224)に基づき応答性良く高精度に行いつつも、フロート(100)が非接地状態から接地状態になってから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定するので、接地するときの苗植付部(4)の左右ローリングの不安定時にローリング制御の制御感度を鈍感にでき、ローリング制御のハンチング現象を防止できて、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】走行車体の要部を示す平面図
【図4】苗植付部を判りやすく示す展開平面図
【図5】苗載台の下部を示す断面側面図
【図6】スライダの周辺構造を示す断面側面図
【図7】一部破断して苗浮き上がり防止具を示す苗載台の下部の断面側面図
【図8】潤滑油供給路を判り易く示す背面図
【図9】苗押え具及び苗浮き上がり防止具を示す側面図
【図10】苗押え具及び苗浮き上がり防止具を示す背面図
【図11】苗浮き上がり防止具を示す拡大側面図
【図12】苗載台の移動状態を判り易く示す側面図
【図13】ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
図1及び図2は、施肥装置付きの乗用型の田植機(1)を示すものであり、この乗用型の田植機(1)は、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)が昇降可能に装着され、走行車体(2)の後部上側に施肥装置(5)の本体部分が設けられている。
【0021】
走行車体(2)は、駆動輪である各左右一対の前輪(6)及び後輪(7)を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース(8)が配置され、そのミッションケース(8)の左右側方に前輪ファイナルケース(9)が設けられ、該前輪ファイナルケース(9)の変向可能な前輪支持部(9a)から外向きに突出する前輪車軸に前輪(6)が取り付けられている。また、ミッションケース(8)の背面部にメインフレーム(10)の前端部が固着されており、そのメインフレーム(10)の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸(11)を支点にして後輪ギヤケース(12)がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース(12)から外向きに突出する後輪車軸に後輪(7)が取り付けられている。
【0022】
原動機となるエンジン(13)はメインフレーム(10)の上に搭載されており、該エンジン(13)の回転動力が、第一ベルト伝動装置(14)を介して正逆転切替可能な伝動装置となる油圧式の前後進無段変速装置(HST)(15)へ入力される。そして、該前後進無段変速装置(HST)(15)からの出力が第二ベルト伝動装置(16)を介してミッションケース(8)に伝達される。ミッションケース(8)に伝達された回転動力は、該ケース(8)内の伝動分岐部(8a)で走行用伝動経路と植付用伝動経路とに分岐して伝動され、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース(9)に伝達されて前輪(6)を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース(12)に伝達されて後輪(7)を駆動する。また、外部取出動力は、取出伝動軸(17)を介して走行車体(2)の後部に設けた植付クラッチケース(18)に伝達され、それから植付伝動軸(19)によって苗植付部(4)へ伝動されるとともに、施肥伝動機構(図示せず)によって施肥装置(5)へ伝動される。植付クラッチケース(18)内には、苗植付部(4)及び施肥装置(5)への伝動を入切する植付クラッチを設けている。
【0023】
後輪車軸には歪センサ(201)を設けており、該歪センサ(201)により後輪(7)に所定値以上の過大な走行負荷が発生していることを検出する構成となっている。これにより、耕盤の深い圃場等で走行に過負荷が掛かっていることを検出でき、この過負荷に基づいて制御部(200)を介して警報装置(202)によりブザー及びランプ等の警報を出力してオペレータに耕盤の深い局所から機体を退避させることを促し、機体が沈没状態となって走行できなくなることを未然に防止できる。また、前記警報により、左右の後輪(7)への伝動を断つ左右各々のサイドクラッチや、前輪(6)及び後輪(7)の走行系への伝動を断つ主クラッチ等のクラッチが過負荷で摩耗するのを防止できると共に、走行伝動系の破損を防止できる。また、歪センサ(201)を取出伝動軸(17)に設けてもよい。これにより、苗植付部(4)や施肥装置(5)の過負荷を防止できると共に、広い植付株間で苗を植え付けるために苗植付部(4)を不等速で作動させる疎植状態のとき、苗植付部(4)の激しい負荷変動を検出して苗植付部(4)の脈動や振動を防止できる。尚、苗植付部(4)の激しい負荷変動を検出するときは、制御部(200)によりエンジン回転数を低回転に規制し、苗植付部(4)の脈動や振動を防止できる。このエンジン回転数の制御は、電子燃料噴射制御によるエンジン回転数の低下の他、エンジンスロットルによりエンジン回転数を低下させる手段等を採用できる。
【0024】
エンジン(13)の上部はエンジンカバー(20)で覆われており、その上に座席(21)が設置されている。座席(21)の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー(22)があり、その上方に前輪(6)を操向操作するハンドル(23)が設けられている。座席(21)の右側には、前記前後進無段変速装置(HST)(15)を操作する前後進変速レバー(24)が設けられている。また、ハンドル(23)の近傍には、苗植付部(4)の昇降操作及び作動の入切操作がおこなえる植付昇降操作レバー(25)が設けられている。尚、該植付昇降操作レバー(25)により、植付クラッチ及び後述する昇降用油圧シリンダである昇降用アクチュエータ(76)を操作する構成となっている。エンジンカバー(20)及びフロントカバー(22)の下端左右両側は水平状のフロアステップ(26)になっている。また、走行車体(2)の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台(27)が設けられている。
【0025】
座席(21)前方の右側には、左右のブレーキペダル(150)を設けている。このブレーキペダル(150)でミッションケース(8)内のブレーキ装置を操作し、左右各々の後輪(7)を制動する構成となっている。
【0026】
昇降リンク装置(3)は、1本の上リンク(70)と左右一対の下リンク(71)を備えている。これらリンク(70,71)は、その基部側がメインフレーム(10)の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム(72)に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク(73)が連結されている。そして、縦リンク(73)の下端部に苗植付部(4)に回転自在に支承されたローリング連結軸(74)が挿入連結され、ローリング連結軸(74)を中心として苗植付部(4)が左右にローリング自在に連結されている。メインフレーム(10)に固着した支持部材と上リンク(70)に一体形成したスイングアーム(75)の先端部との間に昇降用油圧シリンダである昇降用アクチュエータ(76)が設けられており、該昇降用アクチュエータ(76)を油圧で伸縮させることにより、上リンク(70)が上下に回動し、苗植付部(4)がほぼ一定姿勢のまま昇降する。尚、昇降用アクチュエータ(76)とスイングアーム(75)との間にスイングスプリングを介しており、このスイングスプリングにより通常植付時等の苗植付部(4)の昇降による振動を減衰し、苗植付部(4)の昇降におけるハンチングを防止している。
【0027】
また、上リンク(70)の中途部には電動シリンダである前後傾斜用アクチュエータ(203)を設けており、該前後傾斜用アクチュエータ(203)により上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する構成となっている。
【0028】
また、ローリング連結軸(74)回りに苗植付部(4)が左右に大きくローリングしたことを左右傾斜センサにより検出すると、DFIによる電子燃料噴射制御によりエンジン回転数を低下させて走行速度を低下させる構成としている。これにより、走行車体(2)が左右に大きく傾いたときに植付が乱れるのを極力抑えることができる。尚、走行速度を減速させる手段としては、電子燃料噴射制御によるエンジン回転数の低下の他、エンジンスロットルによりエンジン回転数を低下させる手段や変速装置を低速側に作動制御する手段等を採用できる。尚、左右傾斜センサとしては、走行車体(2)と苗植付部(4)との角度差を検出するセンサや、苗植付部(4)の絶対水平に対する傾斜角度を検出するセンサや、苗植付部(4)が左右ローリング可能範囲内の最大までローリングしたことを検出するリミットスイッチ式のセンサ等を採用できる。
【0029】
苗植付部(4)は8条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース(77)、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口(78)に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口(78)に供給すると苗送りベルト(79)により苗を下方に移送する苗載台(80)、苗取出口(78)に供給された苗を苗植付具(37a)で圃場に植付ける苗植付装置(37)等を備えている。
【0030】
苗載台(80)は、苗載面の裏側でその裏面側下部に左右方向に設けた苗受枠となる横枠(81)に沿って左右動自在に支持されている。また、この苗載台(80)は、上下に延びる複数の仕切り壁部(80a)を備えており、該仕切り壁部(80a)により区分けされて各条の苗載部(80b)が構成され、8条分の苗を搭載できる構成となっている。尚、前記横枠(81)に8条分の前記苗取出口(78)が設けられている。伝動ケース(77)の左右両側から突出して該伝動ケース(77)内の動力で横方向に左右往復移動する横移動棒(82)が設けられ、該横移動棒(82)の両端部に固着した連結部材(83)と苗載台(80)とが連結されていて、横移動棒(82)が左右往復動することにより苗載台(80)が左右往復動するようにしている。尚、伝動ケース(77)内には、リードカムと該リードカムに螺合する該リードカム軸が設けられている。従って、横移動棒(82)は、その中間部が伝動ケース(77)内で前記リードカムに固着され、前記リードカム軸の駆動回転により左右往復移動する構成となっている。尚、横枠(81)は、苗載台(80)の下部を左右移動可能に支持する支持部材となり、苗載台(80)の上側(厳密には苗載台(80)の傾斜に沿う斜め前上方向)への移動を規制せずに該苗載台(80)を上側(厳密には苗載台(80)の傾斜に沿う斜め前上方向)へ移動自在に支持した構成となっている。
【0031】
伝動ケース(77)内には、リードカム軸の回転速度を複数段に切り替える横移動切替装置を設けている。この横移動切替装置は、伝動比の異なる複数対の伝動ギヤを備え、スライドキーにより伝動する伝動ギヤを選択し、苗載台(80)の左右移動速度を変更する構成である。
【0032】
尚、上述の連結部材(83)は横移動棒(82)を介して左右移動する構成としたが、リードカム軸及びリードカムを伝動ケース(77)の外側に露出させて配置すると共に、連結部材(83)をリードカムと一体で構成してもよい。この場合は、連結部材(83)は1個設けたのでよい。
【0033】
連結部材(83)と苗載台(80)との連結構造を詳細に説明すると、苗載台(80)には、支持アーム(167)を介して連結軸(168)を一体的に固着して左右に設けている。この連結軸(168)は、ボルトにより構成され、支持アーム(167)から左右一方に延び、先端は径が大きい頭部となる。一方、連結部材(83)には、長孔で構成される連結溝(169)を設けている。この連結溝(169)は、L字型に屈曲しており、屈曲部を境に、苗載台(80)が苗受枠(81)に接する通常状態で連結軸(168)が挿入される通常溝部(169a)と、苗載台(80)の移動状態で連結軸(168)が挿入される移動溝部(169b)を備えている。従って、通常溝部(169a)と移動溝部(169b)とを交差(直交)させて連通した構成となっている。通常溝部(169a)は、機体側面視で若干前下がり傾斜の上下方向に延びている。移動溝部(169b)は、苗載台(80)の前後傾斜方向に近い前上がり傾斜方向に延びている。尚、移動溝部(169b)は、苗載台(80)の前後傾斜に比較すると上側へいくほど前側に位置するべく(上側へ行くほど苗載台(80)から離れるべく)若干前側へ傾いた方向に向いている。連結軸(168)は連結溝(169)を貫通し、連結溝(169)の左右に殆んど隙間のない状態で前記支持アーム(167)と連結軸の頭部とが位置する。よって、連結部材(83)が左右移動すると、連結軸(168)ひいては苗載台(80)も同期して左右移動する。
【0034】
苗載台(80)の裏面側の上下には、左右方向に長い左右移動用案内部材(120、121)がそれぞれ固着して設けられている。上側の左右移動用案内部材(120)は、側面視で下側が切り欠かれた断面形状に形成されており、下側から支持される回転自在の支持ローラ(122)が係合している。この支持ローラ(122)は、上側の左右移動用案内部材(120)に沿う適宜位置(4か所)に複数個(4個)設けられ、伝動ケース(77)の上側に固着された苗載台支持フレーム(123)の上部に取り付けられている。下側の左右移動用案内部材(121)は、側面視で下側が切り欠かれた切り欠き断面形状部分(121a)とその直上の四角形の断面形状部分(121b)とを備え、前記切り欠き断面形状部分(121a)にスライダ(124)が固着されている。このスライダ(124)は、上部に設けた突起(124a)を下側の左右移動用案内部材(121)に設けた取付孔に挿入して固着する構成となっており、下側の左右移動用案内部材(121)に沿う適宜位置(4か所)に複数個(4個)設けられ、横枠(81)の上部に備えるレール部分(81a)に上側から係合する。従って、苗載台(80)は、支持ローラ(122)と横枠(81)とにより左右方向に移動可能に支持されている。また、支持ローラ(122)とスライダ(124)とは、ポリエチレン系樹脂(超高分子量ポリエチレン)で形成された摺動部材となっている。従って、支持ローラ(122)は、苗載台(80)の上部を左右移動可能に支持する支持部材となり、苗載台(80)の上側(厳密には苗載台(80)の傾斜に沿う斜め前上方向)への移動を規制せずに該苗載台(80)を上側(厳密には苗載台(80)の傾斜に沿う斜め前上方向)へ移動自在に支持した構成となっている。
【0035】
苗送りベルト(79)は、駆動ローラ(84)と従動ローラ(85)とに張架されている。駆動ローラ(84)は左右方向の苗送り駆動軸(86)と一体回転するように設けられている。苗送り駆動軸(86)は、ラチェット機構(87)により、苗送りベルト(79)が苗送りする方向にだけ回転を伝達するようになっている。
【0036】
苗送りベルト(79)の駆動機構は下記の構成となっている。すなわち、伝動ケース(77)の左右両側からそれぞれ突出して回転駆動する駆動側アーム(88)が設けられている。また、苗送り駆動軸(86)の上側には左右方向の中継軸(89)が設けられ、それに従動側アーム(90)が取り付けられている。中継軸(89)と苗送り駆動軸(86)とは、アーム(91,92)及びリンク(93)とからなるリンク機構(94)により伝動連結されている。
【0037】
苗載台(80)が左右移動行程の端部に到達すると、駆動側アーム(88)が従動側アーム(90)にその下側から当接して、中継軸(89)を所定角度回転させる。その回転がリンク機構(94)及びラチェット機構(87)を介して苗送り駆動軸(86)に伝達される。これにより、苗送りベルト(79)が所定量だけ作動する。尚、苗載台(80)が左右移動両端部でそれぞれ苗送り動力を伝達できるように、1個の駆動側アーム(88)に対して左右に2個の従動側アーム(90)が同一の中継軸(89)上に設けられている。駆動側アーム(88)が従動側アーム(90)から離れると、後述する揺動支点軸(95)に係止したスプリング(96)の張力によって中継軸(89)及び従動側アーム(90)は駆動前の位置に戻る。尚、中継軸(89)及び従動側アーム(90)は、スプリング(96)の張力で、中継軸(89)の端部に設けたストッパ(97)が苗載台(80)本体側の規制部材(98)に当接する位置まで戻る構成となっている。
【0038】
ところで、苗送り駆動軸(86)は、左側4条部分と右側4条部分とに分割されている。また、中継軸(89)も左側中継軸と右側中継軸とに分割されている。そして、左右の苗送り駆動軸(86)及び中継軸(89)に対応して、駆動側アーム(88)、リンク機構(94)及び左右2個の従動側アーム(90)も左右にそれぞれ設けられた構成となっている。
【0039】
従動側アーム(90)は、回動中心近くの基部分(90a)と駆動側アーム(88)が当接する回動先端側部分(90b)とが別体で構成され、両部分(90a,90b)がアーム(90)中途部に設けた左右方向の揺動支点軸(95)で連結されている。尚、前記基部分(90a)が中継軸(89)と一体回転する構成となっており、前記回動先端側部分(90b)は、揺動支点軸(95)に設けたトルクスプリング(図示せず)により揺動支点軸(95)回りに上側(苗送りベルト(79)への伝動において当接する側とは反対側)へ回動する方向へ付勢され、常態ではそれ以上上側へ回動しないように中継軸(89)に当接している。従って、駆動側アーム(88)が従動側アーム(90)にその下側から当接する通常の苗送り伝動時には、従動側アーム(90)の基部分(90a)と回動先端側部分(90b)とが一体的に中継軸(89)回りに上側へ回動する。一方、駆動側アーム(88)が逆転して従動側アーム(90)にその上側から当接するときは、基部分(90a)に対して回動先端側部分(90b)だけが下側(苗送りベルト(79)への伝動において当接する側)へトルクスプリングに抗して揺動するのである。
【0040】
苗送り駆動軸(86)の軸心部には潤滑油を供給する左右に延びる潤滑油供給路(204)を設けている。該潤滑油供給路(204)は、苗送りの駆動を各2条毎に入切する苗送りクラッチ(205)の位置で苗送り駆動軸(86)の外周面に連通し、苗送りクラッチ(205)が摺動する苗送り駆動軸(86)の外周面を潤滑する。同様に、苗送り駆動軸(86)の軸受部においても潤滑油供給路(204)が苗送り駆動軸(86)の外周面に連通し、前記軸受部を潤滑する。これにより、苗送り伝動系の耐久性が向上する。潤滑油供給路(204)に潤滑油を供給するための潤滑油供給口(206)は、苗送り駆動軸(86)の外周面に設けられ、潤滑油供給路(204)に連通している。潤滑油供給口(206)へ潤滑油タンク(207)から潤滑油ホース(208)を介して潤滑油が供給される。尚、潤滑油供給口(206)は、苗送りをしない状態で潤滑油ホース(208)の出口と合致する位置(苗送り駆動軸(86)の位相)に設けられている。
【0041】
苗載台(80)の苗載面(80c)の上側には、マット苗の床部の上面に当たって該マット苗を苗載面(80c)側へ押圧する苗押え具(130)が設けられている。この苗押え具(130)により、マット苗を苗送りベルト(79)側に適度に押圧し、苗送りベルト(79)で確実に精度良くマット苗を移送できるようにしている。苗押え具(130)は、金属製の棒材のみが組み合って構成され、マット苗に当たる部分は苗載台(80)に沿って延びる接触部(131,132)で構成されている。この接触部(131,132)は、各条の苗載部(80b)毎に3本ずつ設けられ、苗載部(80b)の左右中央に位置する全長が短い1本の中央の接触部(131)と、苗載部(80b)の左右両側部に位置する全長が長い2本の側部の接触部(132)とからなる。これらの接触部(131,132)は、前端部(131a,132a)及び後端部(131b,132b)の両端が上側(苗載台(80)の苗載面(80c)とは反対側)に屈曲している。尚、前記前端部(131a,132a)及び後端部(131b,132b)は、軸である。中央の接触部(131)及び側部の接触部(132)の屈曲した後端部(132b)の上端は左右方向に延びる軸となる後側部(133)に溶接により固着され、側部の接触部(132)の屈曲した前端部(132a)の上端は左右方向に延びる前側部(134)に溶接により固着され、側部の接触部(132)は前側部(134)及び後側部(133)で両持ち支持され、中央の接触部(131)は後側部(133)で片持ち支持されている。尚、前側部(134)及び後側部(133)は2条分の苗載部(80b)毎にそれぞれ1本設けられ、2条分の苗載部(80b)における接触部(131,132)が共通の前側部(134)及び後側部(133)に支持される構成となっている。
【0042】
苗載台支持フレーム(123)には、上下方向略中央位置で左右に延びる左右フレーム部(123a)を備えている。この左右フレーム(123a)は、断面円形の丸軸である。この左右フレーム(123a)の左右の適所には、下端にフック(170)を備える吊下げ部材(171)を、該左右フレーム(123a)の軸回りに左右各々回動自在に取り付けている。
【0043】
従って、苗載台(80)の通常の植付作業状態(通常状態)では、苗載台(80)の自重により、連結部材(83)の連結溝(169)の通常溝部(169a)の下端部(前下端部)に連結軸(168)が位置する。苗載台(80)を上側の移動状態へ移動させるにあたり、作業者が、連結軸(168)を通常溝部(169a)に案内させながら苗載台(80)を上側(後斜め上側)へ移動させ、更に連結溝(169)の屈曲部を介して連結軸(168)を連結溝(169)の移動溝部(169b)に案内させながら苗載台(80)を前斜め上側へ移動させる。そして、連結軸(168)が移動溝部(169b)の前端部(上端部)に位置する状態で、苗送り伝動機構の中継軸(89)を吊下げ部材(171)のフック(170)に掛けることで、苗載台(80)を上側へ移動した移動状態で保持する構成となっている。この移動状態では、苗載台(80)は、通常状態から苗載台(80)の前後傾斜方向に沿って上側へ移動した位置となり、通常状態と苗載台(80)の前後傾斜角度も略同じとなる。尚、左右の吊下げ部材(171)は、中継軸(89)が位置する左右位置に配置されている。また、吊下げ部材(171)を左右フレーム(123a)の軸回りに回動自在にしているため、中継軸(89)をフック(170)に掛ける作業を容易に行える。尚、吊下げ部材(171)を、左右フレーム(123a)に対して回動しない構成としてもよい。
【0044】
左右一方(右側)のフック(170)と植付昇降操作レバー(25)との間には、停止連動装置となる停止連動用ワイヤ(172)を連結している。よって、苗載台(80)の移動状態でフック(170)に中継軸(89)を掛けることで、該中継軸(89)により停止連動用ワイヤ(172)が引かれ、植付昇降操作レバー(25)を苗植付部(4)を作動させる植付位置から苗植付部(4)を作動させない非植付位置へ強制的に操作する構成となっている。
【0045】
苗載台(80)の仕切り壁部(80a)には後側の支柱(135)が仕切り壁部(80a)から立ち上がるように固着して設けられ、この後側の支柱(135)には前後方向に向く断面円形状の取付孔が設けられている。この取付孔は、後側の支柱(135)の上下方向に複数設けられている。同様に、苗載台(80)の仕切り壁部(80a)には前側の支柱(136)が仕切り壁部(80a)から立ち上がるように固着して設けられ、この前側の支柱(136)の上端部には前側から切り欠いた断面半円形状の切り欠き部(136a)が設けられている。一方、前記後側部(133)の左右両端には後側に屈曲した固定部(133a)が設けられ、この固定部(133a)が前記取付孔に挿入されている。また、前記前側部(134)の左右両端部が前記切り欠き部(136a)に挿入されている。従って、前側部(134)が左右の前側の支柱(136)で支持され、後側部(133)が左右の後側の支柱(135)で支持され、苗押え具(130)全体が苗載台(80)に支持された構成となっている。
【0046】
そして、苗押え具(130)は、前記固定部(133a)を取付孔から抜いて外すことにより、前側部(134)を軸心として上下に回動させることができる。この苗押え具(130)の回動により、植付作業終了時等に、苗押え具(130)と苗載台(80)の苗載面(80c)との間に残った苗を、苗押え具(130)が邪魔にならずに容易に取り出すことができる。また、苗押え具(130)を回動して前記固定部(133a)を別の取付孔に挿入することにより、苗載面(80c)に対する接触部(131,132)の位置あるいは角度を変更することができ、マット苗の床部の厚みや強度等の違いに応じて苗押え具(130)の位置あるいは角度を調節し、苗送りベルト(79)の苗送り抵抗が過大にならずに苗を苗送りベルト(79)側に適度に押圧することができる。更には、固定部(133a)を取付孔から抜いて外すと共に前側部(134)を切り欠き部(136a)から外すことにより、苗載台(80)から苗押え具(130)を取り外すことができ、苗載台(80)上に残った苗を容易に取り出せることはもとより、苗載台(80)や苗植付部(4)のメンテナンスを苗押え具(130)が邪魔にならずに容易に行える。尚、固定部(133a)を取付孔から抜くときは、苗押え具(130)(主として後側部(133))を撓ませながら抜くようになっている。
【0047】
後側部(133)の左右両端部には、上側へ延びる苗受け止め具取付部(137)を溶接により固着して設けている。この苗受け止め具取付部(137)に苗受け止め具(138)を引っ掛けて装着できる構成となっている。前記苗受け止め具(138)は、各条の苗載部(80b)毎に設けられ、当該苗載部(80b)上の苗がその自重により苗取出口(78)側に移動しないように受け止めるものである。この苗受け止め具(138)により、苗送りベルト(79)の作動に拘らず、苗取出口(78)へ確実に苗が供給されないようにでき、一部の植付条で苗を植え付けずに他の植付条のみで部分的に苗の植付作業を行うことができる。
【0048】
各々の接触部(131,132)の後端部(131b,132b)の上端と後側部(133)とが交差する部分には、苗載台(80)上の苗が苗載面(80c)あるいは横枠(81)から浮き上がるのを防止すると共に、苗載台(80)の左右移動で左右方向へずれるのを防止する苗浮き上がり防止具(139)を取り付けている。この苗浮き上がり防止具(139)は、合成樹脂製であり、上部に苗押え具(130)の後側部(133)が嵌る上部切り欠き溝(140)を備え、側面に上下方向に向く苗押え具(130)の接触部(131,132)の後端部(131b,132b)が嵌る側部切り欠き溝(141)を備え、下部にマット苗の床部の上面に当たって該苗を押圧する浮き上がり防止作用部(142)を備えている。尚、この苗浮き上がり防止具(139)は、上部切り欠き溝(140)及び側部切り欠き溝(141)により、苗押え具(130)に着脱できる。前記上部切り欠き溝(140)は、苗浮き上がり防止具(139)の上側から切り欠いた構成となっており、前記後側部(133)が嵌る嵌合部となる断面円形の部分(140a)を上下に複数(2個)連ねて設けている。前記側部切り欠き溝(141)は、機体の左側から切り欠いた構成となっており、前記接触部(131,132)の後端部(131b,132b)が嵌る断面半円形状の部分が上下方向に貫通した構成となっている。この側部切り欠き溝(141)の上下の適宜の位置には、苗浮き上がり防止具(139)が前記苗押え具(130)から外れにくいように該溝(141)側に突出する突出部(141a)が設けられている。前記浮き上がり防止作用部(142)は、苗押え具(130)の接触部(131,132)と同じ左右方向の位置で且つ前記接触部(131,132)より後側に配置され、斜め後下方に向く鋭角状の頂点部(142a)を備えた側面視三角形状であり、この下辺部(142b)に苗の床部の上面が接触することになる。前記下辺部(142b)は、苗押え具(130)の接触部(131,132)の接触面部分より苗載面(80c)側に位置し、苗載台(80)の苗送り下手側(下側、後側又は苗取出口(78)側)へいくほど苗載面(80c)に近づくように苗載面(80c)に対して斜めに構成されている。前記頂点部(142a)は、苗載台(80)の苗載面(80c)の後端と対向する位置に配置されている。また、浮き上がり防止作用部(142)の左右方向の幅は、苗押え具(130)の接触部(131,132)の左右方向の幅より狭くなっている。
【0049】
苗植付部(4)の下部には、中央2条分の苗植付位置を整地するセンターフロート(100)、その左右それぞれ外側2条分の苗植付位置を整地するサイドフロート(101)及び該サイドフロート(101)の外側で最外1条分の苗植付位置を整地する小フロート(102)が設けられている。これらフロート(100,101,102)を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート(100,101,102)が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置(37)により苗が植付けられる。各フロート(100,101,102)は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように左右方向の回動支点軸(210)回りに回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート(100)の前部の上下動が上下動検出機構(103)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降用アクチュエータ(76)を制御する昇降用油圧バルブ(209)を切り替えて苗植付部(4)を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。尚、上下動検出機構(103)は、センターフロート(100)の前部に連結される検出リンク(103a)と、該検出リンク(103a)の上下位置を検出するポテンショメータである上下動検出センサ(103b)を備えて構成される。該上下動検出センサ(103b)は、伝動ケース(77)に支持され、苗植付部(4)に対するセンターフロート(100)の前部の上下動を検出する構成である。
【0050】
また、上下動検出機構(103)の検出により、各フロート(100,101,102)が土壌面に対して浮き気味である(フロート(100,101,102)の前後傾斜姿勢が前下がり傾向にある)と判断されるときは、DFIによる電子燃料噴射制御によりエンジン回転数を低下させて走行速度を低下させる構成としている。これにより、土壌面に対して苗植付部(4)が浮き気味になって植付が乱れるのを極力抑えることができる。尚、走行速度を減速させる手段としては、電子燃料噴射制御によるエンジン回転数の低下の他、エンジンスロットルによりエンジン回転数を低下させる手段や変速装置を低速側に作動制御する手段等を採用できる。尚、各フロート(100,101,102)が土壌面に対して浮き気味であることを判断する手段としては、センターフロート(100)の上下動検出機構(103)の検出に基づくものの他、左右のサイドフロート(101)の上下動を検出する格別のセンサの検出に基づくものとしてもよい。尚、前記センサは、リミットスイッチ式のセンサとしてもよい。
【0051】
前記左右方向の回動支点軸(210)は、植付深さ調節軸(211)回りに該植付深さ調節軸(211)と一体で上下回動する植付深さ調節アーム(212)の後端部に設けられている。植付深さ調節アーム(212)は各フロート(100,101,102)を支持するべく複数設けられるが、そのうちの任意の植付深さ調節アーム(212)に設けた回動支点軸(210)と、伝動ケース(77)の後部で苗植付装置(37)を支持するべく後方に延びる植付フレーム部(77a)の前後中間部で上部の間に、電動シリンダである植付深さ変更用アクチュエータ(213)を連結している。これにより、植付深さ調節機構において、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を回動支点軸(210)に連結しているので、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を連結するための格別の部材が不要となり、植付深さ調節機構の軽量化及び構造の簡素化が図れる。また、植付深さ調節軸(211)の前側で且つ該植付深さ調節軸(211)の近傍には、植付深さ調節軸(211)の回動位置(回動角度)を検出して植付深さを検出する植付深さセンサ(214)を設けている。従って、ハンドル(23)の近傍に設けた植付深さ設定ダイヤル(215)の操作位置と、植付深さセンサ(214)の検出信号が制御部(200)に入力され、植付深さ設定ダイヤル(215)の操作位置に対応する植付深さセンサ(214)の検出値にするべく、制御部(200)からの出力で植付深さ変更用アクチュエータ(213)が作動して左右方向の回動支点軸(210)ひいてはフロート(100,101,102)が上下動し、苗植付部(4)による苗の植付深さを設定する構成となっている。
【0052】
尚、植付深さの変更に拘らずセンターフロート(100)の前後傾斜姿勢を所定に維持するべく、制御部(200)により、植付深さ変更用アクチュエータ(213)による植付深さ変更に連動して、上下動検出機構(103)の上下動検出センサ(103b)の制御目標が変更される。尚、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を一つのみ設けてもよく、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を適宜箇所に複数設けてもよい。
【0053】
植付深さ調節軸(211)は、伝動ケース(77)の植付フレーム部(77a)の下側で受け部材(216)により回動可能に支持されている。また、植付深さ調節軸(211)の左右両端は、調節ボルト(211a)により左右位置調節可能に構成され、この調節ボルト(211a)の頭部を伝動ケース(77)の左右両端に固着したフランジ(217)に各々押し当てた構成となっている。これにより、左右に長い植付深さ調節軸(211)が下側に撓むのを防止し、植付深さの変更を適正に行うことができる。また、伝動ケース(77)の左右両端部が自重で下方に垂れ下がるのを防止し、伝動ケース(77)の支持剛性が向上し、植付精度の向上が図れる。尚、植付深さ調節軸(211)の左右中央部には、植付深さ調節軸(211)の左右位置ずれを防止するためのセットボルト(218)が押し当てられている。
【0054】
尚、伝動ケース(77)の植付フレーム部(77a)の下側で且つ左右のフランジ(217)間に、前記植付深さ調節軸(211)とは別に撓み防止ロッドを設け、該撓み防止ロッドにより伝動ケース(77)の左右両端部が自重で下方に垂れ下がらないようにしてもよい。これにより、伝動ケース(77)の支持剛性が向上し、植付精度の向上が図れると共に、植付深さ変更の更なる適正化が図れる。尚、撓み防止ロッドは、植付深さ調節軸(211)と同様に、左右両端部に左右位置調節可能な調節ボルトが設けられている。
【0055】
尚、撓み防止ロッドを、伝動ケース(77)の植付フレーム部(77a)の上側で且つ左右のフランジ(217)間に配置し、左右のフランジ(217)を左右中央側に引き上げるべく左右のフランジ(217)を連結する構成としても上述と同様の効果が得られる。この場合、伝動ケース(77)の上下に撓み防止ロッドと植付深さ調節軸(211)が振り分けて配置されるので、これらをコンパクトに配置できると共に、撓み防止ロッドと植付深さ調節軸(211)の各々の長さ調節を互いが邪魔にならずに容易に行える。
【0056】
また、縦リンク(73)の上部には、苗植付部(4)を左右ローリングさせるローリング用油圧シリンダであるローリングアクチュエータ(219)を設けている。尚、ローリングアクチュエータ(219)は、ローリング用油圧バルブ(220)の油路の切替により作動する。そして、伝動ケース(77)の左右両端部には左右各々の支持ケーブル(221)の一端を連結し、左右の支持ケーブル(221)の他端を共に前記ローリングアクチュエータ(219)の出力部材となるシリンダロッドに連結している。従って、ローリング用油圧バルブ(220)の油路の切替によりローリングアクチュエータ(219)のシリンダロッドが出退して左右に移動すると、左右の支持ケーブル(221)のうちの一方が引かれて他方が弛むことにより苗植付部(4)全体が左右にローリングする構成となっている。左右の支持ケーブル(221)は、苗植付部(4)の左右ローリングがつりあう状態で伝動ケース(77)の左右両端部を上側に引き上げる力が作用するので、伝動ケース(77)の左右両端部が自重で下方に垂れ下がるのを防止し、上述と同様の効果が得られる。尚、ローリングアクチュエータ(219)を設けず苗植付部(4)が自由に左右ローリングする構成とし、フロート(100,101,102)が圃場に追従することにより苗植付部(4)を左右ローリングさせる構成の場合は、左右の支持ケーブル(221)の他端を共に苗植付部(4)の左右中央部の構成部材(苗載台支持フレーム(123)の左右フレーム(123a)等)に連結すればよい。
【0057】
施肥装置(5)は、肥料貯留タンク(粉粒体貯留タンク)(110)に貯留されている肥料(粉粒体)を各条の肥料繰出部(粉粒体繰出部)(63)によって一定量づつ繰り出し、その肥料を肥料移送ホース(粉粒体移送ホース)(111)でフロート(100,101,102)に取り付けた施肥ガイド(112)まで導き、施肥ガイド(112)の前側に設けた作溝体(113)によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に吐出するようになっている。電動モータ(114)で駆動のブロア(115)で発生させた圧力風を左右方向に長いエアチャンバ(116)を経由して肥料移送ホース(111)内に吹き込み、肥料移送ホース(111)内の肥料を苗植付部(4)側の肥料吐出口(施肥ガイド(112))へ強制的に移送するようになっている。施肥溝内に供給された肥料は、施肥ガイド(112)及び作溝体(113)の後方でフロート(100,101,102)に取り付けた覆土板(117)により覆土される。
【0058】
各条の施肥ガイド(112)及び作溝体(113)は、対応する苗植付装置(37)との位置関係(距離)を均一にして各条の肥効を均一化することが望ましいので、それぞれ前後方向において同じ位置(機体側面視で同じ位置)に配置される。同様に、各条の覆土板(117)も対応する施肥ガイド(112)、作溝体(113)及び苗植付装置(37)との位置関係を(距離)を均一にすることが望ましい。何故ならば、覆土板を前寄りに位置させて施肥ガイドに近づけ過ぎると、覆土板で押し寄せられる泥が施肥ガイド内に供給されて該施肥ガイドに泥が詰まるおそれがあり、覆土板を後寄りに位置させて施肥ガイドから離し過ぎると、覆土板で覆土するまでに圃場内の水等により施肥溝の底から肥料が若干浮き上がって、その結果覆土量が少なくなり、適切な肥効が得られなくなるおそれがあるからである。
【0059】
施肥伝動機構により施肥装置(5)へ伝動される動力は、左右方向に延びる施肥駆動軸に伝動され、該施肥駆動軸から各条の繰出用ギヤを介して各条の肥料繰出部(63)へ伝動される。前述ではブロア(115)を電動モータ(114)で駆動する構成について説明したが、施肥駆動軸からブロア用伝動機構を介してブロア(115)を駆動する構成とすれば、電動モータ(114)が不要になってコストダウンが図れると共に、電動モータ(114)を使用しないことで電装系の故障を削減することもできる。このとき、エアチャンバ(116)内にブロア(115)をその駆動軸が左右方向に向く状態で配置する構成とすれば、例えばプーリ及び伝動ベルト等により施肥駆動軸からブロア(115)へ伝動でき、ブロア用伝動機構の構成を簡単にできる。更に望ましくは、エアチャンパ(116)を左右に分割すると共に、その分割位置である左右のエアチャンパの端部に左右各々のブロア(115)を配置すれば、ブロア(115)への伝動のために施肥駆動軸を延ばす必要もなく、またエアチャンパ(116)内に設けるためにブロア(115)が小型で能力の低いものとなっても、エアチャンパ(116)を左右に分割して左右各々のブロア(115)を設けるので、所望の風圧を得ることができ、尚、共通の伝動ベルト(ブロア用伝動機構)により左右のブロア(115)へ伝動する構成とすれば、コストダウンが図れる。特に、4条仕様の田植機の場合、エアチャンパ(116)を左右に2条分ずつに分割すれば、エアチャンパ(116)内の小型のブロア(115)でも各々2条分で必要な風圧を十分に得ることができる。
【0060】
前述の施肥装置(5)は粒状肥料を施肥する構成であるが、施肥装置としてペースト状肥料を施肥する構成とすることもできる。このとき、肥料繰出部は、ペースト状肥料を送り出すポンプとなる。肥料貯留タンクにペースト状肥料を貯留することとなるが、ポンプにより良好に繰り出すためにペースト状肥料を攪拌して流動性を高める攪拌装置を、肥料貯留タンク内に設けている。攪拌装置は、駆動モータにより回転駆動する構成であり、駆動モータの駆動抵抗の検出に基づいて駆動抵抗が大きいときは駆動モータが正転と逆転を交互に繰り返し、肥料の種類や気温変化等の環境変化によりペースト状肥料の粘性が高い状態でも良好な流動性を得られるようにしている。駆動モータの駆動抵抗の検出に基づいて駆動抵抗が小さいときは駆動モータの回転速度を低下させ、電力の消費を抑える。また、駆動モータの駆動抵抗の検出に基づいて駆動抵抗が極端に小さいとき、肥料貯留タンク内のペースト状肥料の貯留量が減少したと判断し、肥料補給を促す警報を発する。これにより、格別の肥料減少センサが不要であり、コストダウンが図れる。
【0061】
走行車体(2)のフロントカバー(22)内には、機体の前後方向の加速度を検出して走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設けている。該走行加速度センサ(222)の検出信号が制御部(200)に入力され、該制御部(200)は前後傾斜用アクチュエータ(203)へ信号を出力し該前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる。すなわち、走行加速度センサ(222)により前進走行が加速されていることを検出すれば、前後傾斜用アクチュエータ(203)を短縮(上リンク(70)のリンク長を短縮)して苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させ、走行加速度センサ(222)により前進走行が減速されていることを検出すれば、前後傾斜用アクチュエータ(203)を伸長(上リンク(70)のリンク長を伸長)して苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させる苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御(前後傾斜制御)を行う。尚、この制御において、走行加速度センサ(222)の検出に不感帯を設け、走行の急激な加速又は減速が発生しないと制御を実行しない。走行加速度センサ(222)の検出値が不感帯域になると、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を元の標準姿勢に復帰させる。また、前後進変速レバー(223)の操作位置を検出する前後進変速レバーセンサ(223a)からの信号に基づき、前進状態のときのみ前後傾斜制御が実行される。
【0062】
苗植付部(4)の左右両端部の苗載台支持フレーム(123)部には、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を左右各々設けている。苗植付部上下加速度センサ(224)は、上下方向の加速度の検出はもとより、上下方向の速度も検出し得るセンサである。そして、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出信号が制御部(200)に入力され、該制御部(200)はローリング用油圧バルブ(220)へ信号を出力し該ローリングアクチュエータ(219)を作動させる。つまり、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下反対側の加速度を検出するとき、それによる苗植付部(4)の左右ローリングを修正するべく最大油量でローリングアクチュエータ(219)を作動させる。例えば、右側の苗植付部上下加速度センサ(224)が上方向の加速度を検出し、左側の苗植付部上下加速度センサ(224)が下方向の加速度を検出するとき、苗植付部(4)が右下がり側にローリングするべくローリングアクチュエータ(219)を作動させる。その他、左右一方の苗植付部上下加速度センサ(224)のみが加速度を検出するとき、それによる苗植付部(4)の左右ローリングを修正するべく最大油量よりも少ない第二の油量でローリングアクチュエータ(219)を作動させる。尚、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下同じ側の加速度を検出する場合、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下反対側の速度を検出するときは、それによる苗植付部(4)の左右ローリングを修正するべく第二の油量よりも少ない第三の油量でローリングアクチュエータ(219)を作動させ、左右一方の苗植付部上下加速度センサ(224)のみが上下方向の速度を検出するときは、それによる苗植付部(4)の左右ローリングを修正するべく第三の油量よりも少ない第四の油量でローリングアクチュエータ(219)を作動させ、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下同じ側の速度を検出するときは、ローリングアクチュエータ(219)を作動させない。尚、ローリング用油圧バルブ(220)は、間欠的に油路を開閉するパルス変調制御により作動する構成とし、最大油量時は常時油路を開いた状態となり、第二の油量から第四の油量になるにつれてパルス変調制御の作動周期における油路を開く時間の割合が短くなり、常時油路を閉じた状態でローリングアクチュエータ(219)を作動させない構成としている。尚、苗植付部上下加速度センサ(224)で検出される加速度あるいは速度の大小に応じて、パルス変調制御の作動周期における油路を開く時間の割合を連続的に変更し、無段階に油量を変更する構成としてもよい。
【0063】
また、制御部(200)は、センターフロート(100)が非接地状態から接地状態になったことを上下動検出機構(103)が検出した信号が入力されると、それから所定時間(数秒間)内は苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定する。従って、昇降リンク装置(3)により苗植付部(4)が下降して接地してから所定時間内は、苗植付部(4)のローリング制御の制御感度が鈍感になり、接地するときの苗植付部(4)の左右ローリングの不安定時に、ローリング制御のハンチング現象を防止できる。
【0064】
また、制御部(200)は、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下同じ側の加速度を検出するとき、その検出される左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の加速度の平均値に基づいて、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる。すなわち、上方向の加速度を検出するときは、前後傾斜用アクチュエータ(203)を伸長して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を後下がり側に変更し、下方向の加速度を検出するときは、前後傾斜用アクチュエータ(203)を短縮して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を後上がり側に変更し、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)が互いに上下同じ側の加速度を検出しなければ、前後傾斜用アクチュエータ(203)を元の標準位置に戻して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を元の標準状態に復帰させる。尚、この左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御に優先して、前述した走行加速度センサ(222)による前後傾斜制御が実行されるが、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御と走行加速度センサ(222)による前後傾斜制御の入力条件が互いに異なる側へ苗植付部(4)を前後傾斜させようとする条件の場合は、走行加速度センサ(222)による前後傾斜制御における前後傾斜用アクチュエータ(203)の作動速度を減速して補正する。
【0065】
更に、走行車体(2)のフロントカバー(22)内には、走行車体(2)前部の上下方向の加速度を検出する走行車体加速度センサ(225)を設けている。該走行車体加速度センサ(225)の検出信号が制御部(200)へ入力され、該制御部(200)は前後傾斜用アクチュエータ(203)へ信号を出力し、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる。すなわち、走行車体加速度センサ(225)が上方向の加速度を検出すると、前後傾斜用アクチュエータ(203)を短縮して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を後上がり側に変更し、走行車体加速度センサ(225)が下方向の加速度を検出すると、前後傾斜用アクチュエータ(203)を伸長して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を後下がり側に変更し、走行車体加速度センサ(225)が加速度を検出しないとき又は検出される加速度が所定の不感帯幅内であるときは、前後傾斜用アクチュエータ(203)を元の標準位置に戻して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を元の標準状態に復帰させる。尚、この走行車体加速度センサ(225)による前後傾斜制御に優先して、前述した走行加速度センサ(222)及び左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御が実行されるが、走行車体加速度センサ(225)による前後傾斜制御と走行加速度センサ(222)又は左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御の入力条件が互いに異なる側へ苗植付部(4)を前後傾斜させようとする条件の場合は、走行加速度センサ(222)又は左右の苗植付部上下加速度センサ(224)による前後傾斜制御における前後傾斜用アクチュエータ(203)の作動速度を減速して補正する。
【0066】
しかも、制御部(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、表土面に対するセンターフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更する。すなわち、走行車体加速度センサ(225)が上方向の加速度を検出すると、苗植付部(4)においてセンターフロート(100)を前下がり側の姿勢とするべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更し、走行車体加速度センサ(225)が下方向の加速度を検出すると、苗植付部(4)においてセンターフロート(100)を前上がり側の姿勢とするべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更し、走行車体加速度センサ(225)が加速度を検出しないとき又は検出される加速度が所定の不感帯幅内であるときは、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を元の標準状態に復帰させる。尚、前記加速度の大きさに対応して前記制御目標の変更量を変更する構成としてもよい。
【0067】
また、制御部(200)は、走行速度が高速になると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をセンターフロート(100)の前上がり側に補正する。すなわち、前後進変速レバーセンサ(223a)により前後進変速レバー(223)が前進側で所定以上の高速側に操作されたことを検出すると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標が、センターフロート(100)を標準状態に対して前上がり側の姿勢にするべく変更される。従って、センターフロート(100)は標準状態で若干前下がりの姿勢であるから、前記制御目標の変更で苗植付部(4)による植付深さが若干深くなり、更に前記制御目標の変更で苗植付部(4)の昇降制御の制御感度が鈍感側に補正される。これと同時に、植付深さ変更用アクチュエータ(213)を短縮させて苗植付部(4)による植付深さを深くなる側に変更する。但し、この植付深さの変更を行っても、補正をしない場合の上下動検出機構(103)の検出値の制御目標に相当するセンターフロート(100)の前後傾斜姿勢すなわちセンターフロート(100)の標準状態よりも該センターフロート(100)が前上がり側の姿勢になる。言い換えれば、前記植付深さの変更量は、センターフロート(100)が標準状態よりも前上がり側の姿勢を維持する程度の少量に設定されている。
【0068】
以上により、この乗用型の田植機(1)は、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)を昇降可能に設け、昇降リンク装置(3)は、上リンク(70)と下リンク(71)を備えて昇降用アクチュエータ(76)により苗植付部(4)を昇降する構成とし、上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する前後傾斜用アクチュエータ(203)を設け、苗植付部(4)は、苗の端部を受ける苗受枠(81)と、該苗受枠(81)に備える苗取出口(78)と、左右移動する連結部材(83)により前記苗受枠(81)に沿って左右移動して苗を前記苗取出口(78)に供給する苗載台(80)と、苗載台(80)の左右移動終端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側に移送する苗送りベルト(79)と、前記苗取出口(78)に供給された苗を植付ける苗植付装置(37)と、表土面の凹凸に追従して左右方向の回動支点軸(210)回りに上下動しながら該表土面を滑走して整地するフロート(100)を備え、該フロート(100)の前部の上下動を検出する上下動検出機構(103)を設け、該上下動検出機構(103)の検出に基づいて苗植付部(4)が所定の対地高さとなるよう昇降用アクチュエータ(76)を作動させる構成とした苗移植機において、機体の走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設け、該走行加速度センサ(222)の検出に基づき、走行が加速されているときには苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、走行が減速されているときには苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる制御装置(200)を設けている。
【0069】
よって、走行が加速されているときには、機体が前上がり姿勢となりがちであるので、苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を適正に維持する。また、走行が減速されているときには、機体が前下がり姿勢となりがちであるので、苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を適正に維持する。この苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御は、走行加速度センサ(222)による機体の走行の加減速を検出に基づいて行われるので、応答性良く適正で高精度に行うことができ、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。従って、苗植付部(4)により植え付ける苗が浮き苗となるのを防止できる。
【0070】
また、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を設け、制御装置(200)は、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成としている。
【0071】
よって、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御を行うので、苗植付部(4)の挙動に基づいて適正な前後傾斜姿勢の制御が行え、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。従って、苗植付部(4)の上下方向の挙動に基づいて、苗植付部(4)により植え付ける苗が浮き苗となるのを適確に防止できる。
【0072】
また、走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成としている。
【0073】
よって、走行車体加速度センサ(225)の上下移動の加減速の検出に基づき苗植付部(4)の前後傾斜姿勢の制御を行うので、更に前後傾斜姿勢の制御を高精度で適正に行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0074】
また、走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更する構成としている。
【0075】
よって、走行車体加速度センサ(225)の上下移動の加減速の検出に基づき表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更するので、苗植付部(4)の昇降制御の制御感度を所望に維持でき、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0076】
また、苗植付装置(37)に対して左右方向の回動支点軸(210)を上下動して苗の植付深さを変更する植付深さ変更用アクチュエータ(213)を設け、走行速度が高速になると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正すると共に、当該補正をしない場合の上下動検出機構(103)の検出値の制御目標に相当するフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させるべく、制御装置(200)により植付深さ変更用アクチュエータ(213)を作動する構成としている。
【0077】
よって、走行速度が高速になると上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正するので、苗植付部(4)による植付深さが深くなる側に補正されると共に苗植付部(4)の昇降制御の制御感度が鈍感側に補正されるから、高速走行時に苗植付部(4)の昇降制御が適確に追従しないことによる浮き苗の発生を防止できる。しかも、植付深さ変更用アクチュエータ(213)により、前記補正をしない場合のフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させて、苗植付部(4)による植付深さを深くなる側に変更するので、苗植付部(4)の昇降制御の制御感度を極端に鈍感側に補正する必要がなく、昇降制御の制御感度を鈍感側に補正しつつも所望の感度に設定でき、フロート(100)による泥押しを防止し、上下動検出機構(103)の検出を適正に行えて苗植付部(4)の昇降制御の適正化が図れ、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0078】
また、走行車体(2)に対して苗植付部(4)を左右ローリング可能に連結するローリング連結軸(74)と、苗植付部(4)を左右ローリング作動させるローリングアクチュエータ(219)を設け、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を苗植付部(4)の左右両端部に各々設け、制御装置(200)は、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)を所望の左右傾斜姿勢にするべくローリングアクチュエータ(219)を作動させるローリング制御を行い、フロート(100)が非接地状態から接地状態になったことを上下動検出機構(103)が検出してから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定する構成としている。
【0079】
よって、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)のローリング制御を行うので、苗植付部(4)の挙動に基づいて適正なローリング制御が行え、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。しかも、ローリング制御を苗植付部上下加速度センサ(224)に基づき応答性良く高精度に行いつつも、フロート(100)が非接地状態から接地状態になってから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定するので、接地するときの苗植付部(4)の左右ローリングの不安定時にローリング制御の制御感度を鈍感にでき、ローリング制御のハンチング現象を防止できて、植付姿勢及び植付深さの適正化が図れる。
【0080】
尚、走行加速度センサ(222)は、走行車体(2)に設けた構成としたが、苗植付部(4)に設けてもよい。
尚、前後傾斜用アクチュエータ(203)は、上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する構成としたが、上リンク(70)と縦リンク(73)を長孔等による融通機構を介して連結し、縦リンク(73)の上部を前後に移動させて前後傾斜させ、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する構成としてもよい。
【0081】
尚、この発明の実施の形態は田植機(1)について記述したが、本発明は田植機に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1:乗用型の田植機、2:走行車体、3:昇降リンク装置、4:苗植付部、37:苗植付装置、70:上リンク、71:下リンク、74:ローリング連結軸、76:昇降用アクチュエータ、78:苗取出口、79:苗送りベルト、80:苗載台、81:横枠、83:連結部材、100:センターフロート、103:上下動検出機構、200:制御部、203:前後傾斜用アクチュエータ、210:回動支点軸、213:植付深さ変更用アクチュエータ、219:ローリングアクチュエータ、222:走行加速度センサ、224:苗植付部上下加速度センサ、225:走行車体加速度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)を昇降可能に設け、昇降リンク装置(3)は、上リンク(70)と下リンク(71)を備えて昇降用アクチュエータ(76)により苗植付部(4)を昇降する構成とし、上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する前後傾斜用アクチュエータ(203)を設け、苗植付部(4)は、苗の端部を受ける苗受枠(81)と、該苗受枠(81)に備える苗取出口(78)と、左右移動する連結部材(83)により前記苗受枠(81)に沿って左右移動して苗を前記苗取出口(78)に供給する苗載台(80)と、苗載台(80)の左右移動終端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側に移送する苗送りベルト(79)と、前記苗取出口(78)に供給された苗を植付ける苗植付装置(37)と、表土面の凹凸に追従して左右方向の回動支点軸(210)回りに上下動しながら該表土面を滑走して整地するフロート(100)を備え、該フロート(100)の前部の上下動を検出する上下動検出機構(103)を設け、該上下動検出機構(103)の検出に基づいて苗植付部(4)が所定の対地高さとなるよう昇降用アクチュエータ(76)を作動させる構成とした苗移植機において、機体の走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設け、該走行加速度センサ(222)の検出に基づき、走行が加速されているときには苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、走行が減速されているときには苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる制御装置(200)を設けた苗移植機。
【請求項2】
苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を設け、制御装置(200)は、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成とした請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成とした請求項1又は請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更する構成とした請求項1から請求項3の何れか1項に記載の苗移植機。
【請求項5】
苗植付装置(37)に対して左右方向の回動支点軸(210)を上下動して苗の植付深さを変更する植付深さ変更用アクチュエータ(213)を設け、走行速度が高速になると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正すると共に、当該補正をしない場合の上下動検出機構(103)の検出値の制御目標に相当するフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させるべく、制御装置(200)により植付深さ変更用アクチュエータ(213)を作動する構成とした請求項1から請求項4の何れか1項に記載の苗移植機。
【請求項6】
走行車体(2)に対して苗植付部(4)を左右ローリング可能に連結するローリング連結軸(74)と、苗植付部(4)を左右ローリング作動させるローリングアクチュエータ(219)を設け、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を苗植付部(4)の左右両端部に各々設け、制御装置(200)は、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)を所望の左右傾斜姿勢にするべくローリングアクチュエータ(219)を作動させるローリング制御を行い、フロート(100)が非接地状態から接地状態になったことを上下動検出機構(103)が検出してから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定する構成とした請求項1から請求項5の何れか1項に記載の苗移植機。
【請求項1】
走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)を昇降可能に設け、昇降リンク装置(3)は、上リンク(70)と下リンク(71)を備えて昇降用アクチュエータ(76)により苗植付部(4)を昇降する構成とし、上リンク(70)のリンク長を変更して苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を変更する前後傾斜用アクチュエータ(203)を設け、苗植付部(4)は、苗の端部を受ける苗受枠(81)と、該苗受枠(81)に備える苗取出口(78)と、左右移動する連結部材(83)により前記苗受枠(81)に沿って左右移動して苗を前記苗取出口(78)に供給する苗載台(80)と、苗載台(80)の左右移動終端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側に移送する苗送りベルト(79)と、前記苗取出口(78)に供給された苗を植付ける苗植付装置(37)と、表土面の凹凸に追従して左右方向の回動支点軸(210)回りに上下動しながら該表土面を滑走して整地するフロート(100)を備え、該フロート(100)の前部の上下動を検出する上下動検出機構(103)を設け、該上下動検出機構(103)の検出に基づいて苗植付部(4)が所定の対地高さとなるよう昇降用アクチュエータ(76)を作動させる構成とした苗移植機において、機体の走行の加減速を検出する走行加速度センサ(222)を設け、該走行加速度センサ(222)の検出に基づき、走行が加速されているときには苗植付部(4)を後上がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させ、走行が減速されているときには苗植付部(4)を後下がり側へ前後傾斜させるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる制御装置(200)を設けた苗移植機。
【請求項2】
苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を設け、制御装置(200)は、苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に基づき、苗植付部(4)の上下移動の加減速を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成とした請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、苗植付部(4)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく前後傾斜用アクチュエータ(203)を作動させる構成とした請求項1又は請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
走行車体(2)の上下移動の加減速を検出する走行車体加速度センサ(225)を設け、制御装置(200)は、走行車体加速度センサ(225)の検出に基づき、表土面に対するフロート(100)の前後傾斜姿勢を一定にさせるべく上下動検出機構(103)の検出値の制御目標を変更する構成とした請求項1から請求項3の何れか1項に記載の苗移植機。
【請求項5】
苗植付装置(37)に対して左右方向の回動支点軸(210)を上下動して苗の植付深さを変更する植付深さ変更用アクチュエータ(213)を設け、走行速度が高速になると、上下動検出機構(103)の検出値の制御目標をフロート(100)の前上がり側に補正すると共に、当該補正をしない場合の上下動検出機構(103)の検出値の制御目標に相当するフロート(100)の前後傾斜姿勢よりもフロート(100)が前下がり側の姿勢にならない範囲で左右方向の回動支点軸(210)を上動させるべく、制御装置(200)により植付深さ変更用アクチュエータ(213)を作動する構成とした請求項1から請求項4の何れか1項に記載の苗移植機。
【請求項6】
走行車体(2)に対して苗植付部(4)を左右ローリング可能に連結するローリング連結軸(74)と、苗植付部(4)を左右ローリング作動させるローリングアクチュエータ(219)を設け、苗植付部(4)の上下移動の加減速を検出する苗植付部上下加速度センサ(224)を苗植付部(4)の左右両端部に各々設け、制御装置(200)は、左右の苗植付部上下加速度センサ(224)の検出に応じて苗植付部(4)を所望の左右傾斜姿勢にするべくローリングアクチュエータ(219)を作動させるローリング制御を行い、フロート(100)が非接地状態から接地状態になったことを上下動検出機構(103)が検出してから所定時間内は、ローリング制御における苗植付部上下加速度センサ(224)の検出の不感帯幅を大きく設定する構成とした請求項1から請求項5の何れか1項に記載の苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−115193(P2012−115193A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266791(P2010−266791)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]