説明

落屑を促進するためのアニス酸の美容的使用

【課題】本発明の課題は、落屑を促進および/または皮膚の表皮再生を誘起するための手段を見出すことである。
【解決手段】本発明は、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の、皮膚の落屑を促進および/または表皮再生を誘起するための美容的使用に関する。
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体を含む組成物における、アニス酸またはその誘導体の、皮膚の落屑を促進および/または表皮再生を誘起するための薬剤としての美容的使用にも関する。
アニス酸またはその誘導体、あるいはそれを含む組成物は特に、肌色の輝きおよび/または皮膚のきめ細かさを改善することおよび/または皮膚の起伏を平滑化すること、および/またはしみを軽減させることを意図している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の、皮膚の落屑を促進および/または表皮再生を誘起するための美容的使用に関する。
【0002】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体を含む組成物中における、アニス酸またはその誘導体の、皮膚の落屑を促進および/または表皮再生を誘起するための薬剤としての美容的使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
アニス酸またはその誘導体、あるいはそれを含む組成物は特に、肌色の輝きおよび/または皮膚のきめ細かさを改善することおよび/または皮膚の起伏を平滑化すること、および/またはしみを軽減することを意図している。
【0004】
本発明において、用語「アニス酸誘導体」は、アニス酸の塩またはアニス酸のC1〜C4アルキルエステルを意味する。
【0005】
特に、アニス酸誘導体は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩または有機アミンとの塩、または別法としてC1〜C4アルキルエステルであることになる。
【0006】
これらの誘導体は、仏国特許出願第2739556号、米国特許出願第2002/028254号および米国特許出願第5766613号に記載されているものなどのメトキシ安息香酸のヒドロキシ誘導体を含まない。
【0007】
これらの誘導体は特に、スキンケア組成物および/またはクレンジング組成物であってよい。
【0008】
用語「皮膚」は、広い意味において、皮膚および半粘膜(唇)を意味する。
【0009】
本組成物は、特に皮膚をケアおよび/またはクレンジングすること、特に老化した皮膚、または肌色がくすんでいるおよび/または外観がざらついている皮膚をケアおよび/またはクレンジングすることを意図している。
【0010】
落屑は、皮膚および頭皮の上層を構成する表皮が絶えず再生しているという事実に付随する自然現象である。
【0011】
表皮は、いくつかの細胞層からなり、その最深層は未分化の細胞からなる基底層である。時間経過とともに、これらの細胞は分化し、表皮の表面に向かって移動して、その種々の層を形成し、ついには表皮の表面で、角質細胞を形成するが、この角質細胞は、落屑によって除去される死細胞である。この表面喪失は、基底層から表皮表面への細胞の移動により代償される。このことは、皮膚の絶え間ない再生を意味する。角層の強制的除去は、再生を加速しかつ老化の抑制を可能にする。
【0012】
一方で、これらの細胞はその分化を続け、分化の最終段階が角質細胞である。角質細胞は、実際は、表皮の最終の層、すなわち角質層(stratum corneum)としても知られている最外層、を構成する死細胞である。
【0013】
落屑のプロセスは、外的要因(例えば、:UV放射、汚染、アレルゲンまたは病原体)および/または内的要因(例えば、:ホルモンの変化、老化、など)により損なわれ、特に表皮再生の減速を招き、その結果皮膚の老化および/または角層の肥厚(例えば、:カルスの形成)をもたらす可能性があることが知られている。
【0014】
落屑プロセスにおける障害は、審美的種類の落屑不全(例えば、:ふけ、鱗屑、など)または病的種類の落屑不全(例えば、:乾皮症、魚鱗癬、乾癬またはアトピー性皮膚炎)をもたらす可能性もある。
【0015】
より特に、内因子または外因子により生じる皮膚の老化に関して、老化は一般に、皮膚の外観の変化がそれを反映し、例えば、皮膚の乾燥、鱗屑の出現、透明感のない、くすんだおよび/または黄色っぽい外観の肌色、ざらついたおよび/またはひび割れた外観の皮膚、しわおよび小じわの出現、しみの出現、および/または毛穴の目立ちの増大として現れ得る。
【特許文献1】仏国特許出願第2739556号
【特許文献2】米国特許出願第2002/028254号
【特許文献3】米国特許出願第5766613号
【特許文献4】欧州特許第1325731号
【特許文献5】国際特許第87/06827号
【特許文献6】米国特許出願第4367390号
【特許文献7】欧州特許出願第863145号
【特許文献8】欧州特許出願第517104号
【特許文献9】欧州特許出願第570838号
【特許文献10】欧州特許出願第796851号
【特許文献11】欧州特許出願第775698号
【特許文献12】欧州特許出願第878469号
【特許文献13】欧州特許出願第933376号
【特許文献14】欧州特許出願第507691号
【特許文献15】欧州特許出願第507692号
【特許文献16】欧州特許出願第790243号
【特許文献17】欧州特許出願第944624号
【特許文献18】特許第669323号
【特許文献19】米国特許第2463264号
【特許文献20】米国特許出願第5237071号
【特許文献21】米国特許出願第5166355号
【特許文献22】英国特許出願第2303549号
【特許文献23】独国特許出願第19726184号
【特許文献24】欧州特許出願第893119号
【特許文献25】国際特許出願第93/04665号
【特許文献26】独国特許出願第19855649号
【特許文献27】欧州特許出願第518772号
【特許文献28】欧州特許出願第518773号
【特許文献29】文書FR 2 738 744
【特許文献30】FR 2 791 750
【特許文献31】FR 2 761 889
【特許文献32】FR 2 512 651
【特許文献33】FR 2 538 247
【特許文献34】EP-A-0 285563
【特許文献35】US 200210187181
【特許文献36】FR 2 650 747
【特許文献37】国際特許出願第02/053197号
【特許文献38】国際特許出願第02/05789号
【特許文献39】国際特許出願第2004/032859号
【特許文献40】国際特許出願第02/054997号
【特許文献41】国際特許第02/30402号
【特許文献42】EP-0 514 760
【特許文献43】EP-0 826 364
【特許文献44】WO 93/05893
【特許文献45】米国特許第6148232号
【特許文献46】国際特許第03/035167号
【特許文献47】米国特許第6451240号
【特許文献48】欧州特許出願第1333022号
【特許文献49】欧州特許出願第1333021号
【特許文献50】EP-0 852 949
【特許文献51】EP 1 345 919
【特許文献52】欧州特許第761 204号
【非特許文献1】Y. Shikinami、「Adhesive polymer gels for medical uses」、Kagaku To Tokyo、67 (4)、141〜150頁、1993年
【非特許文献2】M.R. Prausnitz他、「Current status and future potential of transdermal drug delivery」、Nature Rev.、vol. 3、115〜124頁、2004年
【非特許文献3】Burkoth T.L.他、「Transdermal and transmucosal powdered drug delivery」、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.、1999年、16 (4)、331〜384頁
【非特許文献4】Joshi A.およびRaje J.、「Sonicated transdermal drug transport」、J. Control. Release、83 (1)、13〜22頁、2002年
【非特許文献5】Riviere J.E.およびHeit M.C.、「Electrically-assisted transdermal drug delivery」、Pharm. Res.、14 (6)、687〜697頁、1997年
【非特許文献6】Murthy S.N.、「Magnetophoresis: an approach to enhance transdermal drug diffusion.」、Pharmazie.、1999年 5月、54 (5)、377〜379頁
【非特許文献7】McAllister D.V.他、「Microfabricated microneedles for gene and drug delivery」、Annu. Rev. Biomed. Eng.、2、289〜313頁、2000年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、落屑を促進および/または皮膚の表皮再生を誘起するための手段を見出す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
出願人はまさに、これまで微生物因子として特に頭皮を手入れするための毛髪用組成物(欧州特許第1325731号)化粧用組成物においてまたはデオドラント組成物(国際特許第87/06827号)において知られてきたアニス酸が、剥離作用も有することを実証している。具体的には、生存皮膚モデルに局所適用したアニス酸が、角質層の結合を低減し、したがって落屑のプロセスおよび皮膚の表皮再生を促進することを示している。
【0018】
したがって本発明は、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の、皮膚の落屑を促進および/または表皮再生を誘起するための美容的使用に関する。
【0019】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体を含む組成物中における、アニス酸またはその誘導体の、皮膚の落屑を促進および/または表皮再生を誘起するための薬剤としての美容的使用にも関する。
【0020】
すなわち、前記アニス酸またはその誘導体あるいはそれを含む組成物は、本発明によれば、皮膚の落屑を促進および/または表皮再生を誘起するよう意図している。
【0021】
アニス酸(またはその誘導体)それ自体および/またはそれを含む組成物は、本発明によれば、
・肌色の輝きおよび/または均一性を改善すること、および/または肌色の透明感のなさおよび/またはくすみを減少させること;
・皮膚表面の外観を改善すること、特に皮膚のざらついたまたはひび割れた外観を軽減させること、および/または皮膚のきめ細かさおよび/または柔らかさを改善すること;
・皮膚の起伏を平滑化すること、特にしわおよび小じわを延ばすことおよび/またはアクネまたは水痘痕を軽減させること;
・しみ(例えば、:老人性色素斑)および/または審美的な色素沈着障害、例えば茶色の色素沈着斑および/またはそばかす、を軽減させること;
・皮膚の乾燥、特に老化した皮膚の乾燥、を軽減させること;
・外観を改善することおよび/または毛穴の目立ちを軽減させることおよび/または毛穴の詰まりを改善すること;
・クレンジング作用および皮膚表面での死細胞の除去を促進すること;
・脂性皮膚の欠点、特に皮膚のてかりのあるまたは光沢のある外観を抑制すること、
から選択される少なくとも1つの状態を改善するよう特に意図している。
【0022】
アニス酸(またはその誘導体)それ自体および/またはそれを含む組成物はまた、肝斑、炎症後の色素沈着過剰および光感作性または病変後瘢痕に起因する可能性のある偶発性の色素沈着過剰などの色素沈着障害を治療するための組成物の調製に使用されてもよい。
【0023】
したがって本発明は、肌色の輝きおよび/または均一性を改善することおよび/または肌色の透明感のないおよび/またはくすんだ外観を減少させることを目的とする、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の美容的使用、あるいはアニス酸またはその誘導体、それ自体の使用に関する。
【0024】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の美容的使用、あるいは皮膚表面の外観を改善すること、特に皮膚のざらついたまたはひび割れた外観を軽減させること、および/または皮膚のきめ細かさおよび/または柔らかさを改善することを目的とする、アニス酸またはその誘導体、それ自体の使用も対象とする。
【0025】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の美容的使用、あるいは皮膚の起伏を平滑化すること、特にしわおよび小じわを延ばすことおよび/またはアクネまたは水痘痕を軽減させることを目的とする、アニス酸またはその誘導体、それ自体の使用にも関する。
【0026】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の美容的使用、あるいはしみを軽減させることを目的とする、アニス酸またはその誘導体、それ自体の使用にも関する。
【0027】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の美容的使用、あるいは皮膚の乾燥、特に老化した皮膚の乾燥、を軽減させることを目的とする、アニス酸またはその誘導体、それ自体の使用も対象とする。
【0028】
本発明の文脈にはまた、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の美容的使用、あるいは外観を改善することおよび/または毛穴の目立ちを軽減させることおよび/または毛穴の詰まりを改善することを目的とする、アニス酸またはその誘導体、それ自体の使用も含まれる。
【0029】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の美容的使用、あるいはクレンジング作用および皮膚表面での死細胞の除去を促進することを目的とする、アニス酸またはその誘導体、それ自体の使用も対象とする。
【0030】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体中にアニス酸またはその誘導体を含む組成物の美容的使用、あるいは脂性皮膚の欠点、特に皮膚のてかりのあるまたは光沢のある外観を抑制することを目的とする、アニス酸またはその誘導体、それ自体の使用にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
アニス酸および誘導体
本発明において使用されるアニス酸は、その本来の形態で使用されてもよいし、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩または有機アミンとの塩、または別法としてC1〜C4アルキルエステルの形態で使用されてもよい。エステルのアルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよく、挙げることができる例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルおよびtert-ブチル基が含まれる。
【0032】
特に挙げることができるアニス酸塩またはエステルの例には、アニス酸ナトリウム、アニス酸カリウム、アニス酸メチル、アニス酸エチル、アニス酸プロピルおよびアニス酸ブチルが含まれる。
【0033】
好ましくは、アニス酸は、オルト-、メタ-またはパラ-メトキシ安息香酸として、さらにより優先的には、パラ-アニス酸または4-メトキシ安息香酸としても知られている、そのオルト、メタまたはパラの形態で使用される。
【0034】
特に、Merck社により販売されているパラ-アニス酸または4-メトキシ安息香酸またはパラ-メトキシ安息香酸を使用してよい。
【0035】
本発明において、用語「アニス酸誘導体」は、アニス酸の塩またはアニス酸のC1〜C4アルキルエステルを意味する。
【0036】
特に、アニス酸誘導体は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩または有機アミンとの塩、または別法としてC1〜C4アルキルエステルであることになる。
【0037】
これらの誘導体は、仏国特許出願第2739556号、米国特許出願第2002/028254号および米国特許出願第5766613号に記載されているものなどのメトキシ安息香酸のヒドロキシ誘導体を含まない。
【0038】
アニス酸またはその誘導体は、所望の落屑効果が得られる量で、特に使用される。例証として、組成物中のアニス酸またはその誘導体の量は、組成物の全重量に対して0.001重量%から50重量%、好ましくは組成物の全重量に対して0.01重量%から5重量%、さらにより優先的には組成物の全重量に対して0.05重量%から2重量%の範囲であってよい。より好ましくは、組成物の全重量に対して0.1重量%から0.5重量%のアニス酸またはその誘導体を含む組成物が使用されることになる。
【0039】
本発明の特定の一様態によれば、スクラブ組成物に関して、アニス酸またはその誘導体は、前記組成物において、組成物の全重量に対して1重量%から50重量%、好ましくは1重量%から30重量%、さらにより優先的には組成物の全重量に対して5重量%から20重量%の範囲の量で使用されてよい。
【0040】
本発明に基づくアニス酸を含む組成物は、皮膚またはその付属器のいずれかの領域、特に顔、身体、ネックラインまたは手、または唇に適用されてよい。
【0041】
本発明の特定の一様態によれば、組成物は、老化した皮膚をケアおよび/またはクレンジングすることを意図している。
【0042】
もう1つの様態によれば、組成物は、くすんだおよび/またはざらついた外観を有する皮膚をケアおよび/またはクレンジングすることを意図している。
【0043】
さらにもう1つの様態によれば、組成物は、脂性皮膚をケアおよび/またはクレンジングすることを意図している。
【0044】
製剤学
本発明の組成物は、生理学的に許容できる媒体を含む。用語「生理学的に許容できる媒体」は、ヒトの皮膚および半粘膜(唇)に適合性がある媒体を意味する。
【0045】
この生理学的に許容できる媒体は、任意選択で1つまたは複数の有機溶媒、例えばC1〜C8アルコール、特にエタノール、イソプロパノール、tert-ブタノールまたはn-ブタノール;ポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびソルビトール;ならびにポリオールエーテルなどと混合した水を含む。
【0046】
本発明の組成物は、化粧用または皮膚科学的組成物であってよく、したがって化粧品または医薬品に許容できる媒体を含んでよい。好ましくは、このような組成物は、特に皮膚をケアおよび/またはクレンジングすることを意図された化粧用組成物であることになる。
【0047】
組成物はまた、脂肪相も含んでよく、脂肪相は考慮される応用分野において通常使用される油、ガムまたはワックスを含んでよい。本発明において使用されてよい油またはワックスとして、鉱油(液体ワセリン)、植物油(シアバター、ヒマワリ油、アプリコット油、コメヌカ油などの液体画分)、動物油(ペルヒドロスクワレン)、合成油(パーセリン油、イソノナン酸イソノニルまたはテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル)、シリコーン油またはワックス(シクロメチコン、ジメチコンまたはフェニルメチコン)、フッ素油(パーフルオロポリエーテル)、シリコーンガム(シクロペンタシロキサンおよびジメチコノール)、シリコーンポリマー(KSGまたはジメチコンビニルジメチコンクロスポリマーなどのタイプのシリコーンポリマー)、ミツロウ、カルナウバロウまたはパラフィンワックス、シアバターまたは水添ホホバ油を挙げることができる。脂肪アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコールなど)、脂肪酸(ステアリン酸など)またはエチレングリコールアセチルステアレートおよびトリステアリン酸グリセリル(Unitwix(登録商標))の混合物などの粘稠化因子をこれら油に加えてもよい。
【0048】
組成物がエマルションであるとき、脂肪相の割合は、組成物の全重量に対して5重量%から80重量%、好ましくは5重量%から50重量%の範囲であってよい。エマルションの形態の組成物に使用される油、ワックス、乳化剤および補助乳化剤は、化粧品に通常、使用されている油、ワックス、乳化剤および補助乳化剤から選択される。乳化剤および補助乳化剤は、組成物の全重量に対して0.3重量%から30重量%、好ましくは0.5重量%から20重量%の範囲の割合で組成物中に存在する。エマルションはまた、脂質ベシクルも含んでよい。
【0049】
組成物が油性溶液またはゲルであるとき、脂肪相は、組成物の全重量の90重量%を超えて存在してよい。
【0050】
組成物はまた、考慮される分野で一般的であるアジュバント、例えば界面活性剤、乳化剤、ゲル化剤、親水性または親油性活性物質、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、香料、フィラー、張り付与剤(天然および合成の張り付与剤)、紫外線遮蔽剤、におい吸収剤および染料、ならびに他の化粧用または医薬用活性物質などを含んでもよい。
【0051】
これら種々のアジュバントの量は、化粧品に通常使用されている量、例えば、組成物の全重量に対して0.01重量%から10重量%である。これらのアジュバントは、その性質に応じて、脂肪相、水相および/または脂質小球中に導入されてよい。
【0052】
使用されてよい界面活性剤として、挙げることができる例にはステアリン酸グリセリル、ポリソルベート-60およびGattefosse社によりTefoseR 63の名称で販売されているPEG-6/PEG-32/ステアリン酸グリコールの混合物;PEG-ステアリン酸誘導体、糖誘導体、ショ糖エステルおよびリン酸界面活性剤(例えば:Amphisol (登録商標))が含まれる。
【0053】
本発明に使用されてよい親水性ゲル化剤として、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アクリレート/アクリル酸アルキルコポリマーなどのアクリルコポリマー、ポリアクリルアミド、架橋または非架橋の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖類、天然ガムおよびクレイを挙げることができ、また挙げることができる親油性ゲル化剤には、修飾クレイ、例えばベントン、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸アルミニウム、疎水性シリカ、エチルセルロースおよびポリエチレンが含まれる。
【0054】
本発明の組成物に使用されてよい紫外線遮蔽剤またはUVAおよび/またはUVBの範囲において活性な光防御剤として、有機または無機の光防御剤を特に挙げることができる。
【0055】
有機光防御剤は、アントラニレート;ケイ皮酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体; サリチル酸誘導体; カンファー誘導体;米国特許出願第4367390号、欧州特許出願第863145号、欧州特許出願第517104号、欧州特許出願第570838号、欧州特許出願第796851号、欧州特許出願第775698号、欧州特許出願第878469号、欧州特許出願第933376号、欧州特許出願第507691号、欧州特許出願第507692号、欧州特許出願第790243号および欧州特許出願第944624号などのトリアジン誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリル酸誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;欧州特許第669323号および米国特許第2463264号に記載のビス-ベンザゾイリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;米国特許出願第5237071号、米国特許出願第5166355号、英国特許出願第2303549号、独国特許出願第19726184号および欧州特許出願第893119号に記載のメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;ならびに特に国際特許出願第93/04665号に記載のものなどのスクリーニングポリマーおよびスクリーニングシリコーン;独国特許出願第19855649号に記載のものなどのα-アルキルスチレンベースのダイマーから特に選択される。
【0056】
無機光防御剤は、被覆または非被覆の金属酸化物の顔料またはナノ顔料(一次粒子の平均サイズ:一般に5nmと100nmとの間、好ましくは10nmと50nmとの間)、例えば酸化チタン(無定形あるいはルチルおよび/またはアナターゼ型の結晶)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウムのナノ顔料であって、すべてそれ自体よく知られた紫外線光防御剤であるもの、から選択される。さらに、標準的な被覆剤は、アルミナおよび/またはステアリン酸アルミニウムである。このような被覆または非被覆の金属酸化物ナノ顔料は、欧州特許出願第518772号および欧州特許出願第518773号に記載されている。
【0057】
光防御剤は一般に、組成物の全重量に対して0.1重量%から20重量%の範囲、好ましくは組成物の全重量に対して0.2重量%から15重量%の範囲の割合で本発明の組成物中に存在する。
【0058】
組成物は、皮膚への適用に適した、考えられるいかなる剤形であってもよい。
【0059】
組成物は、特に水性、アルコール性、水性-アルコール性または油性溶液;ローションまたはセラムタイプのディスパージョン;多相(例えば:2相)ローション、油中水型、水中油型または多相エマルション;懸濁物;マイクロカプセルまたはマイクロ粒子;イオン性および/または非イオン性タイプのベシクルディスパージョン;セラムの形態;ムース;固体調製物、例えばスティック;自体加圧された発射剤も含むエアロゾル組成物またはパッチの形態であってよく、それ自体が種々の剤形であってよい。
【0060】
パッチの種類については、
・疎水性ポリマーマトリックスによる放出制御パッチ、例えば、文書FR 2 738 744に記載のもの;
・活性物質の貯留部、拡散膜および粘着層を含む貯留タイプのパッチ;
・活性物質の皮膚への浸透を促進する磁場効果を有するパッチ、例えば、FR 2 791 750に記載のもの;
・支持層に付着した疎水性ポリマーの層を含み、かつ活性物質の粒子、油粒子および吸水剤の粒子を含む、水粘着性が最適化されたパッチ、例えば、FR 2 761 889に記載のもの;
・特に少なくとも1つのハイドロコロイドおよび/または多糖類、タンパク質、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、アクリル酸とデンプンのコポリマー、ポリビニルピロリドンまたはポリビニル酸誘導体をベースとし、吸引カップ効果により生じるのと同様の接触粘着を起こす、ハイドロゲルタイプで水含有量の多いゲルパッチ;
・ポリエチレン、シリコーンまたはスチレンとイソプレンのコポリマーまたはスチレンとブタジエンのコポリマーをベースとする、オルガノゲルまたはオレオゲルとしても知られている、疎水性ゲルパッチ。これらの系には、疎水性化合物を大きな割合で含むことができるという優位性がある;
・親油性または親水性がポリオキシエチレン化された鎖の修飾により改変されていてよい、セグメント化されたポリウレタンベースのゲルパッチ(SPUG)(Y. Shikinami、「Adhesive polymer gels for medical uses」、Kagaku To Tokyo、67 (4)、141〜150頁、1993年);
-FR 2 512 651またはFR 2 538 247に記載のリーフまたはシール;
-EP-A-0 285 563またはUS 2002/0 187 181に記載の複合フィルム;有利には、内側に、少なくとも1つのゲル化剤を用いてゲル化された活性な水相により構成された内包物を配列したシリコーンポリマーで形成されたマトリックスによって構成される貯留層を含む複合フィルムが使用されてよい(FR 2 650 747、L'Oreal);
-予め湿らせたつめに提供すると、その場で溶解する、天然または合成ポリマーをベースとする固体フィンフィルム;このようなフィルムは国際特許出願第02/053197号、国際特許出願第02/05789号、国際特許出願第2004/032859号および国際特許出願第02/054997号に記載されている;
-国際特許第02/30402号に記載のように、パッチ-ノン-パッチとしても知られている、皮膜形成剤および親水性粘着性ポリマーを含むフィルム;
-乾燥後に除去されるフィルムを形成することができるような粘着性を有するポリマーベースの組成物(EP-0 514 760、EP-0 826 364)またはティッシュまたは粘着性プラスチックを適用することにより除去される伸縮性で、弾力性のある固体層(WO 93/05893);あるいは適用後に、乾燥してフィルムになるゲルまたはペーストで、そのフィルムが洗い流すか、クレンジングするかまたは剥がすことにより除去されるもの;これらは一般に「ヴァニッシュパッチ」または「ピールパッチ」と称されることになる、
を特に挙げることができる。
【0061】
しかし、組成物に含まれる前記アニス酸またはその誘導体の吸収を、活性メカニズムを介して高めるシステムまたは装置を使用することもまた可能である(M.R. Prausnitz他、「Current status and future potential of transdermal drug delivery」、Nature Rev.、vol. 3、115〜124頁、2004年)、例えば:
・圧力下でのまたはニードルなしの注入システム(Burkoth T.L.他、「Transdermal and transmucosal powdered drug delivery」、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.、1999年、16 (4)、331〜384頁);
・超音波の使用:ソノフォレシスおよびフォノフォレシス(Joshi A.およびRaje J.、「Sonicated transdermal drug transport」、J. Control. Release、83 (1)、13〜22頁、2002年);
・電流の使用:イオントフォレシス、エレクトロポレーション、マイクロ周波数電流(Riviere J.E.およびHeit M.C.、「Electrically-assisted transdermal drug delivery」、Pharm. Res.、14 (6)、687〜697頁、1997年)(米国特許第6148232号、国際特許第03/035167号);
・磁気波の使用:磁気泳動(Murthy S.N.、「Magnetophoresis: an approach to enhance transdermal drug diffusion.」、Pharmazie.、1999年5月、54(5)、377〜379頁);
・マイクロニードルの使用(McAllister D.V.他、「Microfabricated microneedles for gene and drug delivery」、Annu.Rev.Biomed.Eng.、2、289〜313頁、2000年)(米国特許第6451240号)、
である。
【0062】
本発明の組成物は、クレンジングまたはメークアップ除去組成物、日焼け防止組成物または顔、手、足、主要な解剖学的褶襞または身体のためのトリートメントまたはケア用組成物の形態であってよい。例証として、組成物はデイクリーム、ナイトクリーム、メークアップ除去クリーム、日光を防御するためのSPF組成物、プロテクティブまたはケアボディミルク、アフターサンミルク、スキンケアローション、ジェルまたはムース、クレンジングローション、人工タンニング組成物あるいはシェービングクリームまたはムースであってよい。
【0063】
本発明の組成物が、クレンジングおよび/または皮膚からのメークアップ除去を意図しているとき、組成物は、石けんまたはメークアップ除去オイルを含むかまたは含まない溶液またはフォーミングジェルまたはフォーミングクリームの形態であってもよい。
【0064】
この特定の様態によれば、本発明の組成物は、組成物にクレンジング特性または発泡特性さえも付与することになる少なくとも1つの界面活性剤を含むことになる。この界面活性剤は非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性および双生イオン型界面活性剤、ならびにこれらの混合物から選択されてよい。
【0065】
界面活性剤は、組成物の全重量に対して0.1重量%から50重量%、好ましくは0.5重量%から20重量%、特に1重量%から15重量%またはさらには5重量%から10重量%の範囲の量で本発明の組成物中に存在してよい。
a)非イオン性界面活性剤は、例えば、アルキルポリグルコシド(APG)、マルトースエステル、ポリグリセロール化脂肪アルコール、グルタミン誘導体、例えば2-エチルヘキシルオキシカルボニル-N-メチルグルタミン、およびこれらの混合物から選択されてよい。
b)アニオン性界面活性剤は、例えば、石けん(脂肪酸のアルカリ金属塩)、カルボキシレート、アシルアミノ酸、アミドエーテルカルボキシレート、アルキルポリアミノカルボキシレート、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、イセチオネート、アルキルメチルタウレート、アルキルスルホサクシネート、アルキルスルホアセテート、アルキルホスフェート(モノアルキルホスフェートまたはジアルキルホスフェート)、これらの塩、およびこれらの混合物から選択されてよい。
c)両性および双生イオン形成性界面活性剤は、例えば、アミドプロピルベタインを含むベタイン誘導体、アンホアセテートおよびアンホジアセテート、ヒドロキシサルテン、およびこれらの混合物から選択されてよい。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、本発明に適した界面活性剤は、アルキルポリグルコシド、ベタイン誘導体、アルキルグリコールカルボン酸およびこれらの塩、アルキルエーテルサルフェート、アルキルホスフェート、アンホジアセテート、アンホアセテート、アルキルグリシネート、アシルグルタメート、アシルサルコシネートおよびこれらの混合物から選択されてよい。
【0067】
特定の一様態によれば、本発明に適した界面活性剤は、デシルグルコシド、ココイルグルコシド、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ココイルベタイン、ラウロイルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウルアミドプロピルベタイン、ラウリルグリコールカルボキシレート、ココアンホ(ジ)アセテート、ラウロアンホ(ジ)アセテートおよびラウリルリン酸カリウム、およびこれらの混合物から選択されてよい。
【0068】
特に挙げることができる好ましい界面活性剤には、脂肪酸;ポリソルベート(例えば:ポリソルベート85);PEG-20グリセリルステアレートなどのPEG-ステアレートおよびイソステアレート; N-ココイルグリシン酸ナトリウム;およびオキシエチレン化ベヘニルアルコールが含まれる。
【0069】
本発明の組成物がスクラビングタイプとしての使用を意図しているとき、組成物は、洗い流すことにより容易に除去されるという条件で、前述のいかなる剤形であってもよく、特に水性ゲルまたは水性または水性-アルコール性溶液であってよい。組成物は、均一な分布を可能にするいかなる方法により適用されてもよく、特に脱脂綿、綿棒、ブラシ、ガーゼ、スパチュラまたはパッドを使用することにより、または任意選択でスプレーすることにより適用されてよく、かつ、水で、または穏やかな洗浄剤を用いて洗い流すことにより除去されてよい。本発明の好ましい一実施形態によれば、化学的スクラビングを意図された組成物は、連続水相を含む。
【0070】
本発明の有利な一様態によれば、アニス酸の落屑組特性を他のスキンケア化粧品成分と組み合わせてよい。
【0071】
特に、本発明の組成物はまた、他の落屑剤、保湿剤、酸化防止剤、脱色剤、細胞のエネルギー代謝を誘起するための薬剤、表皮の増殖または分化を誘起するためおよび/または表皮または真皮の巨大分子を合成するための薬剤、有害なプロテアーゼの活性を低減または阻害するための薬剤、皮膚のバリア機能を促進するための薬剤、張り付与剤、鎮静剤および坑脂漏剤、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの他の化粧品用活性物質も含んでよい。
【0072】
第一の様態によれば、本発明の組成物は、アニス酸またはその塩の他に、少なくとも1つの他の落屑剤を含むことになる。
【0073】
別法によれば、本発明の組成物は、アニス酸またはその塩の他に、少なくとも1つの酸化防止剤を含むことになる。
【0074】
もう1つの様態によれば、本発明の組成物は、アニス酸またはその塩の他に、少なくとも1つの脱色剤を含むことになる。
【0075】
もう1つの様態によれば、本発明の組成物は、アニス酸またはその塩の他に、細胞のエネルギー代謝を誘起するための少なくとも1つの薬剤を含むことになる。
【0076】
もう1つの様態によれば、本発明の組成物は、アニス酸またはその塩の他に、表皮の増殖または分化を誘起するためおよび/または表皮または真皮の巨大分子を合成するための少なくとも1つの薬剤を含むことになる。
【0077】
もう1つの様態によれば、本発明の組成物は、アニス酸またはその塩の他に、有害なプロテアーゼの活性を低減または阻害するための少なくとも1つの薬剤を含むことになる。
【0078】
もう1つの様態によれば、本発明の組成物は、アニス酸またはその塩の他に、皮膚のバリア機能を促進するための少なくとも1つの薬剤を含むことになる。
【0079】
もう1つの様態によれば、本発明の組成物は、アニス酸またはその塩の他に、少なくとも1つの張り付与剤を含むことになる。
【0080】
1つの別法によれば、本発明の組成物は、アニス酸またはその塩の他に、少なくとも1つの坑脂漏剤を含むことになる。
【0081】
組成物はまた、保湿剤を含んでよい。もう1つの様態によれば、組成物はまた、鎮静剤も含んでよい。
【0082】
このような薬剤の例を下記に挙げる。
【0083】
下記を特に挙げることができる:
1) 他の落屑剤、例えば:
・α-ヒドロキシ酸、例えば欧州特許出願第1333022号および欧州特許出願第1333021号にあるような、グリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、またはマンデル酸;ゲンチシン酸およびその誘導体;ケイ皮酸;ジャスモン酸およびその誘導体;
・β-ヒドロキシ酸、特に、INCI名:Capryloyl salicylic Acidで知られている5-n-オクタノイルサリチル酸を含むサリチル酸およびその誘導体;
・(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)誘導体;グリシンタイプのα-アミノ酸の誘導体(EP-0 852 949に記載のものおよびBASFによりTrilon M(登録商標)の商品名で販売されているメチルグリシン二酢酸ナトリウム);(3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸;アゼライン酸;ニコチン酸およびその誘導体;アスコルビン酸およびその誘導体、例えばアスコルビルグルコシドおよびリン酸アスコルビルマグネシウムなど;
・尿素およびその誘導体、例えば、そのヒドロキシアルキル誘導体など、特に水中50重量%の混合物の形態で、Hydrovance(登録商標)の商品名でNational Starch社により市販されているN-(2-ヒドロキシエチル)ウレア;
・8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸または二酸としても知られている9-オクタデセン二酸、およびこれらの誘導体;二酸は、特にUniqema社によりArlatone Dioic DCA(登録商標)の商品名で市販されている。
【0084】
他の落屑剤と組み合わせてのアニス酸の使用は、有利なことに、所望の効果を得るために有効な落屑剤の量を低減することを可能にする。
【0085】
2) 保湿剤、これは下記を意味する:
・角質層の湿潤性を維持するためにバリア機能に働きかける化合物か、または閉塞性化合物。セラミド、スフィンゴイドベースの化合物、レシチン、グリコスフィンゴ脂質、リン脂質、コレステロールおよびその誘導体、フィトステロール(スティグマステロール、β-シトステロール、カンペステロール)、必須脂肪酸、1,2-ジアシルグリセロール、4-クロマノン、ウルソール酸などのペンタサイクリックトリテルペン、ワセリンおよびラノリン;
・あるいは角質層の水分含有量を直接的に増加させる化合物、例えばスレアロースおよびその誘導体、ヒアルロン酸およびその誘導体、グリセロール、ペンタンジオール、ナトリウムピドラート、セリン、キシリトール、乳酸ナトリウム、ポリグリセリルアクリレート、エクトインおよびその誘導体、キトサン、オリゴサッカリドおよび多糖類、環状カーボネート、N-ラウロイルピロリドンカルボン酸およびN-α-ベンゾイル-L-アルギニン;EP 1 345 919に記載のものなどのC-グリコシド誘導体、特にChimex社によりMexoryl SBB(登録商標)の名称で販売されているC-β-D-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン(INCI名:hydroxypropyl tetrahydropyrantriol);グリコサミノグリカンの合成を誘起するSecma社のLaminaine(登録商標)などのLaminaria ochroleuca(ラミナリアオクロロイカ)抽出物など;
・あるいは皮脂腺を活性化する化合物、例えばステロイド誘導体(DHEA、その7-オキシドおよび/または17-アルキル誘導体およびサポゲニンを含む)、メチルジヒドロジャスモネート、およびビタミンDおよびその誘導体など。
【0086】
3)酸化防止剤またはフリーラジカルスカベンジャー、例えばポリフェノールなど;ビタミンEおよびその誘導体、特にビタミンEアセテート;:ビタミンAおよびそのエステル、特にビタミンAパルミテート;EDTAなどのキレート化剤;スーパーオキシドジムスターゼ活性を有する小麦胚芽抽出物、フィタントリオール、リグナン、イデベノン、ビタミンC、コエンザイムQ10、エラグ酸およびビオチンなど。
【0087】
4)脱色剤、例えば、ビタミンCおよびその誘導体、特にビタミンCG、CPおよび3-O-エチルビタミンC、アルファおよびベータアルブチン、ルシノールおよびその誘導体、コウジ酸、レゾルシノールおよびその誘導体、トラネキサム酸およびその誘導体、ゲンチジン酸、ホモゲンチセート、メチルゲンチセートまたはホモゲンチセート、エラグ酸およびビタミンB3など。
【0088】
5)細胞のエネルギー代謝を誘起する薬剤、例えばビオチン、SedermaのPhosphovital(登録商標)などのSaccharomyces cerevisiae抽出物、ピロリドンカルボン酸のナトリウム、マンガン、亜鉛およびマグネシウム塩の混合物、例えばSolabiaのPhysiogenyl(登録商標)、SEPPICのSepitonic M3(登録商標)などのグルコン酸亜鉛、グルコン酸銅およびグルコン酸マグネシウムの混合物、およびこれらの混合物など。
【0089】
6)表皮の増殖もしくは分化および/または真皮もしくは表皮の巨大分子の合成を誘起する薬剤、例えば:
・ケラチノサイトの増殖を誘起する薬剤、特にレチノールおよび、レチニルパルミテートなどを含む、そのエステル;アデノシン;フロログルシノール;Gattefosse社により市販されているナッツケーキ抽出物;およびSederma社により販売されているSolanum tuberosum(ジャガイモ)の抽出物を含む;
・ケラチノサイトの分化を誘起する薬剤、例えばカルシウムなどのミネラル;ルピンのペプチド抽出物、例えばSilab社によりStructurine(登録商標)の商品名で販売されている製品など;Seporga社によりPhytocohesine(登録商標)の商品名で販売されている製品などのベータ-シトステリル硫酸ナトリウム;およびSolabia社によりPhytovityl(登録商標)の商品名で販売されている製品などのトウモロコシの水溶性抽出物;Gattefosse社によりGatuline(登録商標) RCの商品名で販売されているFagus sylvaticaブナノキの芽の抽出物;Voandzeia substerraneaのペプチド抽出物、例えばLaboratoires Serobiologiques社によりFilladyn LS 9397(登録商標)の商品名で販売されている製品など;およびセコイソラリシレジノールなどのリグナン;
・線維芽細胞の増殖を誘起する薬剤、例えば植物性プロテインまたはポリペプチド、特に大豆から抽出されたもの(例えばLSN社によりEleseryl SH-VEG 8(登録商標)の名称で販売されている大豆抽出物またはSilab社によりRaffermine(登録商標)の商品名で販売されている大豆抽出物);およびジベレリンおよびシトキニンなどの植物性ホルモン;
・コラーゲンの合成を誘起する薬剤、例えばSilab社によりNutripeptidesの名称で販売されている大豆のタンパク加水分解物、Centella asiatica(ツボクサ)の抽出物、特にマデカッソシド、アジアチコシドおよび誘導体;イアミンなどの合成ペプチド、Sederma社により販売されているバイオペプチドCLまたはパルミトイルオリゴペプチド;植物からのペプチド抽出物、例えばColetica社によりPhytokine(登録商標)の商品名で販売されている大豆加水分解物;およびオーキシンおよびリグナンなどの植物性ホルモン;
である。
【0090】
7)有害なプロテアーゼの活性を低減または阻害する薬剤、例えば下記に対して働きかける薬剤など:
・メタロプロテアーゼ(マトリックスメタロプロテアーゼまたはMMP)、より特に、MMP 1、2、3および9などの抑制。レチノイドおよび誘導体、オリゴペプチドおよびリポペプチド、リポアミノ酸、Coletica社によりCollalift(登録商標)の商品名で販売されているモルト抽出物;マルベリーまたはローズマリーの抽出物;リコペン;イソフラボン、これらの誘導体またはこれらを含む植物抽出物、特に大豆抽出物(例えば、Ichimaru Pharcos社によりFlavosterone SB(登録商標)の商品名で販売されているもの)、レッドクローバー抽出物(例えば、Sederma社によりSterocare(登録商標)の名称で販売されているもの)、亜麻の抽出物、カッコンまたはセージの抽出物;Cucurma longa(ウコン)の抽出物;Siegesbeckia(メナモミ)抽出物(例えば、Sederma社により販売されているもの);
・あるいは、白血球エラスターゼまたはカテプシン Gなどのある種のセリンプロテアーゼの阻害。Laboratoires Serobiologiques社によりParelastyl(登録商標)の商品名で販売されているマメ科植物種子(Pisum Sativum(アラスカエンドウ))のペプチド抽出物;ヘパリノイド; PentapharmのColhibin(登録商標)などのコメペプチド抽出物;および{2-[アセチル-(3-トリフルオロメチル-フェニル)アミノ]-3-メチルブチリルアミノ}酢酸などのシュードペプチド、
を挙げることができる。
【0091】
8)皮膚のバリア機能を促進する薬剤、例えばSedermaのVenuceane(登録商標)などのThermus thermophilus抽出物;Active OrganicsのActigen Y(登録商標)などの野生のヤムイモ(Dioscorea villosa)の根茎抽出物;プランクトン抽出物、例えばSecmaのOmega Plankton(登録商標);酵母抽出物、例えばColeticaのRelipidium(登録商標);SilabのRecoverine(登録商標)などのクリ抽出物;Gattefosse社のGatuline Zen(登録商標)などのシーダー芽抽出物;スフィンゴシン、例えばDegussa社によりPhytosphingosine(登録商標) SLCの名称で販売されているサリチロイルスフィンゴシン;キシリトール、ポリキシリチルグリコシドおよびキシリタンの混合物、例えばSEPPICのAquaxyl(登録商標) ;ナス科植物の抽出物、例えばColeticaのLipidessence(登録商標);ハイドロキシアパタイト、特にLSC社のHydroxysomes(登録商標)、およびこれらの混合物など。
【0092】
9)張り付与剤、例えば、植物性プロテイン、特に大豆タンパク質(例えば:Silabにより販売されているEleseryl(登録商標))、無機フィラーのコロイド粒子、特にコロイドシリカ粒子、および合成ポリマー、特にラテックス。
【0093】
10)鎮静剤、例えばβ-グリチルレチン酸およびその塩または誘導体(グリチルレチン酸ステアリル、3-ステアロイルオキシグリチルレチン酸、グリチルレチン酸モノグルクロニド)およびこれらを含む植物(例えば:Glycyrrhiza glabra(カンゾウ));ウルソール酸およびその塩;Centella asiatica(ツボクサ)の抽出物、カノラ油、ビサボロール;カミツレ抽出物、アラントイン;スイレン花抽出物とパルミトイルプロリンとの混合物、例えばSEPPIC社によりSeppicalm VG(登録商標)の名称で販売されている製品など;Aloe vera(アロエベラ)、ローズウォーター、ミント抽出物、特にミントの葉の抽出物、例えばSilabのCalmiskin(登録商標)など;糸状菌、例えば欧州特許第761204号に記載のVitreoscilla filiformis;バラ花弁の抽出物、例えばCosmetochem社のRose Flower Herbasol(登録商標)抽出物、シアバター、およびこれらの混合物;
【0094】
11)特に下記のものなどの坑脂漏剤:
・グルコン酸亜鉛、ピロリドンカルボン酸亜鉛(またはピドール酸亜鉛)、乳酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛またはシステイン酸亜鉛;好ましくはピロリドンカルボン酸亜鉛(またはピドール酸亜鉛)またはサリチル酸亜鉛;カリウムミョウバンなどの亜鉛塩;
・チョウジ抽出物、例えばMaruzen社によりClove Extract Powderの名称で販売されている製品など;
・ウンデシレン鎖にグラフトしたグリシン、例えばSEPPIC社によりLipacide UG ORの名称で販売されている製品など;
・Sasol社によりCosmacol(登録商標) ECIの名称で販売されているトリ(C12〜C13)アルキルサイトレート; Sasol社によりCosmacol(登録商標) ECLの名称で販売されているトリ(C14〜C15)アルキルサイトレート。
【0095】
追加的活性物質は、一般に、組成物の全重量に対して0.001重量%から10重量%、好ましくは0.01重量%から5重量%、さらにより優先的には組成物の全重量に対して0.1重量%から2重量%の範囲の含有量で化粧用組成物中に存在する。
【0096】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体中に、(i)少なくともアニス酸またはその誘導体を(ii)組成物の全重量に対して0.001重量%から10重量%の、クエン酸以外の少なくとも1つの角層剥離剤を含む、皮膚をケアおよび/またはクレンジングするための化粧用組成物にも関する。
【0097】
本発明の組成物に使用されてよい角層剥離剤の例は前述されている。
【0098】
特に、角層剥離剤はα-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸、(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)誘導体;尿素およびその誘導体、二酸およびその誘導体から選択される。
【0099】
好ましい角層剥離剤は、5-n-オクタノイルサリチル酸である。
【0100】
アニス酸またはその誘導体は、組成物の全重量に対して0.001重量%から50重量%、好ましくは組成物の全重量に対して0.01重量%から5重量%、さらにより優先的には組成物の全重量に対して0.05重量%から2重量%の範囲の含有量で組成物中に存在することになる。
【0101】
スクラビング用途に関して、本発明の組成物は、組成物の全重量に対して1重量%から50重量%、好ましくは1重量%から30重量%、さらにより優先的には組成物の全重量に対して5重量%から20重量%の範囲の含有量のアニス酸またはその誘導体を含んでよい。
【0102】
好ましい一様態によれば、本発明の組成物は、アニス酸および他の角層剥離剤に加え、保湿剤、酸化防止剤、脱色剤、細胞のエネルギー代謝を誘起するための薬剤、表皮の増殖または分化を誘起するためまたは表皮または真皮の巨大分子の合成を誘起するための薬剤、有害なプロテアーゼの活性を低減または阻害するための薬剤、皮膚のバリア機能を促進するための薬剤、張り付与剤、鎮静剤および坑脂漏剤から選択される少なくとも1つの化粧用活性物質も含む。
【0103】
このような追加的薬剤の例は、先の記述中に記載されている。
【0104】
特に挙げることができる好ましい追加的薬剤には下記が含まれる:尿素およびその誘導体、特に水中50重量%の混合物の形態で、Hydrovance(登録商標)の商品名でNational Starch社により市販されているN-(2-ヒドロキシエチル)ウレア、セラミド;EP 1 345 919に記載のものなどのC-グリコシド誘導体、特にChimex社によりMexoryl SBB(登録商標)の名称で販売されているC-β-D-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン;トコフェロール;アデノシン;大豆タンパク質;コメタンパク質;モルト抽出物;ブナノキの芽の抽出物;トウモロコシ抽出物;エラグ酸、アスコルビン酸およびその誘導体、ビオチン、ハイドロキシアパタイト、アラントイン、およびミント抽出物。
【0105】
特に、本発明の組成物は少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの、さらにより優先的には少なくとも4つの、異なる追加的薬剤を含むことになる。
【0106】
これらの追加的薬剤は一般に、組成物の全重量に対して0.001重量%から10重量%の範囲の含有量で組成物中に存在する。
【0107】
本発明のアニス酸を含むケアおよび/またはクレンジング用組成物は、すべてのスキンタイプをケアまたは処理するのに有利であることになる。
【0108】
特に、組成物は、老化した皮膚、くすんだ外観を有する皮膚、ざらついた外観を有する皮膚、乾燥皮膚、脂性皮膚をケアおよび/またはクレンジングするために、あるいはこのようなタイプの皮膚を有する個人をケアおよび処理するために使用されることになる。
【0109】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体中に少なくともアニス酸またはその誘導体を含む組成物の皮膚への適用を含む、落屑を促進および/または表皮再生を誘起するための美容処理方法にも関する。
【0110】
本発明はまた、生理学的に許容できる媒体中に少なくともアニス酸またはその誘導体を含む組成物の皮膚への適用を含む、肌色の輝きを促進および/または皮膚表面の不均一性を減少させるための美容処理方法にも関する。
【0111】
用語「表面の不均一性」は、しみ、しわおよび小じわ、毛穴の目立ちの増大、皮膚のざらついた外観、あるいはアクネまたは水痘痕などの皮膚表面の可視的および/または触知可能な不均一性を特に意味する。
【0112】
特定の一様態によれば、少なくともアニス酸および少なくとも1つの他の落屑剤を含む上記に定義の組成物は、皮膚に適用される。
【0113】
特定の一様態によれば、組成物は、老化した皮膚に適用される。
【0114】
用語「老化した皮膚」は、特に顔における、しわおよび小じわ、および/または弾力性および/またはしなやかさおよび/または張りの低下などの皮膚の老化の兆候を示す皮膚を意味する。
【0115】
これらのスキンタイプは特に、25歳を超える人々、特に30歳を超える人々を特徴付ける。用語「成熟した皮膚」は、少なくとも40歳である人々に対して使用されることになり、「非常に成熟した皮膚」は、少なくとも50歳またはさらには少なくとも60歳である人々に対して使用されることになる。
【0116】
もう1つの様態によれば、組成物は、くすんだおよび/またはざらついた外観を有する皮膚に適用される。
【0117】
さらにもう1つの様態によれば、組成物は、脂性皮膚に適用される。
【0118】
最終的に、本発明に基づくアニス酸またはその誘導体の使用は、化学的スクラビングの分野においてもう1つの応用を見出している。
【0119】
スクラビングは、皮膚および/または頭皮の外観および/または触感を改善するための、特に肌色の輝きおよび均一性を改善するためおよび/または皮膚の可視的および/または触知可能な不均一性を低減するための、具体的には皮膚表面の外観を改善するため、光線性色素斑、アクネまたは水痘痕を軽減させるため、ならびに皮膚老化の兆候を予防、軽減または対処するため、特にしわおよび小じわなど、皮膚の触感の不均一性を平滑化するためのよく知られた手段である。
【0120】
スクラビングは、処理される皮膚の表在部(表皮および場合によっては真皮の上層)を化学方法により除去する効果を有する。
【0121】
したがって、本発明には、下記からなる工程を含む、可視的および/または触知可能なヒト皮膚の不均一性を処理するための美容方法もまた含まれる:
a)アニス酸またはその誘導体を含む組成物を皮膚に局所的に適用すること;
b)5分と6時間との間、好ましくは5分と30分との間の時間、組成物を皮膚に接触させたままにしておくこと、および
c)洗い流すことにより組成物を除去すること。
【0122】
スクラビング組成物中のアニス酸またはその誘導体の含有量は、組成物の全重量に対して、一般に少なくとも1重量%、好ましくは1重量%から50重量%、特に1重量%から30重量%、優先的には5重量%から20重量%の範囲であることになる。
【0123】
このプロセスは、より特に皮膚の老化の兆候を予防し、軽減しおよび/またはそれに対処すること、特にしわおよび小じわを減少させること、および皮膚の外観および/または触感を改善すること、特に肌色の均一性を改善することおよび/または皮膚を平滑化すること、特に光線性色素斑または他の審美的色素沈着障害(例えば:茶色がかった斑点)または局在性の色素沈着過剰、あるいはアクネまたは水痘痕を軽減させること、および/または毛穴の詰まりを取り除くことを意図している。
【0124】
本発明は、下記の非限定的実施例により例証されることになる。
【実施例】
【0125】
(実施例1:アニス酸の落屑剤効果の実証)
アニス酸の落屑剤作用を、生存状態に保持した皮膚モデルにおいて、ヘマルン-エオジンで染色した組織薄片上での角質層の結合を分析することにより、実証した。
【0126】
正常なヒト皮膚のフラグメントを、6名のドナーから形成手術により得た。フラグメントを挿入部分に置く。挿入部分はそれ自体で、前記皮膚フラグメントを生存状態で保持するよう特異的に適合された(抗生物質、FCS配合)培地を含む培養ウェルに、配置される。
【0127】
アニス酸を下記のプロトコールに従って、局所的に適用し、未処理の皮膚(対照皮膚)と比較する:
・対照皮膚
・皮膚+0.1%アニス酸
・皮膚+1%アニス酸
【0128】
角質層の結合を、染色組織薄片を用いて、下記の半定量的スコアに基づき、評価した(倍率40倍、視野数10〜15で評価):
スコア0 角質層の結合に変化は見られない
スコア1 角質層の結合にわずかな減少が見られる
スコア2 角質層の結合に中等度の減少が見られる
スコア3 角質層の結合に大きな減少が見られる
スコア4 角質層の結合に剥離を伴う非常に大きな減少が見られる
【0129】
6個の皮膚モデルについて得られた結果より各パラメータの平均値を決定する。「偏差低減」Student検定またはpaired-sample(対応のあるサンプルによる)検定を用いて、5%の危険率で統計的解析を行う。
【0130】
結果を下記の表に示す:
【0131】
【表1】

【0132】
この試験の実験条件下で、0.1%および1%アニス酸で皮膚を処理することにより、対照皮膚と比較して、有意な角質層結合の低下が見られ、それぞれのスコアは、対照皮膚の0.73とは対照的に1.43および1.57であり(スコアが大きいほど、結合は小さい)、それぞれ+95.5%および+115%の落屑の増加であった。
【0133】
これらの結果は、対照皮膚と比較して、アニス酸の局所適用後に見られる有意な落屑活性を実証し、このことは、角質層の結合の組織学的な減少により反映されるが、用量依存効果は示していない。
【0134】
(実施例2:処方)
デイクリーム
p-アニス酸 0.5%
5-n-オクタノイルサリチル酸 0.1%
大豆タンパク質 5%
コメタンパク質 1%
固体脂肪物質 3%
脂肪アルコール 3%
シリカ 4%
シクロヘキサシロキサン 4%
グリセロール 5%
乳化剤 7%
防腐剤 0.5%
水 全量で100%
この組成物は、皮膚の起伏を平滑化する効果を得るために、毎日顔に適用する。
【0135】
日焼け防止クリーム
p-アニス酸 0.25%
グリセロール 7%
シクロペンタシロキサン 10%
固体脂肪物質 3%
植物油 3%
ゲル化剤 2%
脂肪アルコール 1%
脂肪酸 3%
紫外線遮蔽剤 10%
ステアリン酸PEG-100 2%
防腐剤 0.5%
アルコール 5%
水 全量で100%
このクリームは、肌色の輝きを向上させ、皮膚を紫外線の影響から防御するために、朝、顔に適用する。
【0136】
メークアップ除去クリーム
p-アニス酸 0.2%
シリカ 1%
パルミチン酸エチルヘキシル 66%
アルコール 2%
グリセロール 10%
ベヘネス-10 5%
防腐剤 0.55%
水 全量で100%
このメークアップ除去クリームを顔の皮膚に適用すると、皮膚を優しくクレンジングし、毛穴の目立ちを減少させて、皮膚のきめを改善することができる。
【0137】
フォーミングソープ
p-アニス酸 0.1%
水酸化カリウム 6%
ソルビトール 7%
脂肪物質 4%
グリセロール 14%
界面活性剤 34%
水 全量で100%
このフォーミングソープを毎日皮膚に使用すると、毛穴の詰まりを取り除き、皮膚の均一な肌色を回復することができる。
【0138】
抗しわスクラビング組成物
p-アニス酸 5%
グリコール酸 10%
HEPES 5%
ゲル化剤 0.5%
グリセロール 10%
アルコール 20%
精製水または天然水 全量で100%
この組成物は、スクラブの形態で適用して、顔のしわおよび小じわを軽減させ、かつ/または肌色の輝きを改善することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容できる媒体を含む組成物における、アニス酸、その塩またはC1〜C4アルキルエステルの、皮膚の落屑を促進および/または表皮再生を誘起するための薬剤としての美容的使用。
【請求項2】
アニス酸、その塩またはC1〜C4アルキルエステルが、組成物の全重量に対して0.001重量%から50重量%、好ましくは組成物の全重量に対して0.01重量%から5重量%、さらにより優先的には組成物の全重量に対して0.05重量%から2重量%の範囲の量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
アニス酸が、パラ-アニス酸または4-メトキシ安息香酸またはパラ-メトキシ安息香酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
生理学的に許容できる媒体中に、(i)少なくともアニス酸、その塩またはC1〜C4アルキルエステルおよび(ii)組成物の全重量に対して0.001重量%から10重量%の、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸、(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)誘導体;尿素およびその誘導体、二酸およびその誘導体から選択される少なくとも1つの落屑剤を含む、皮膚をケアおよび/またはクレンジングするための化粧用組成物。
【請求項5】
落屑剤が、5-n-オクタノイルサリチル酸であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
アニス酸、その塩またはC1〜C4アルキルエステルが、組成物の全重量に対して0.001重量%から10重量%の範囲の含有量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
生理学的に許容できる媒体中に、少なくともアニス酸、その塩またはC1〜C4アルキルエステルを含む組成物の皮膚への適用を含む、落屑を促進および/または表皮再生を誘起するための美容処理方法。
【請求項8】
生理学的に許容できる媒体中に、少なくともアニス酸、その塩またはC1〜C4アルキルエステルを含む組成物の皮膚への適用を含む、肌色の輝きを促進および/または皮膚表面の不均一性、特にしみ、しわおよび小じわ、毛穴の目立ちの増大、または皮膚の荒れた外観を減少させるための美容処理方法。
【請求項9】
請求項4から6のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に適用することを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
a)アニス酸、その塩またはC1〜C4アルキルエステルを含む組成物を皮膚に局所適用すること;
b)5分間から6時間、好ましくは5分間から30分間、組成物を皮膚に接触させること、および
c)組成物を洗い流すことにより取り去ること
からなる工程を含む、可視的および/または触知可能なヒト皮膚の不均一性を処理するための美容方法。

【公開番号】特開2008−143903(P2008−143903A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−319926(P2007−319926)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】