説明

蒸気回収装置およびこの蒸気回収装置を備えた加熱調理器

【課題】蒸気を外部に排出することなく水タンクに回収して水にし、かつ、その水位を検知する蒸気回収装置およびこの蒸気回収装置を備えた加熱調理器を提供する。
【解決手段】蒸気パイプ6および蒸気導入パイプ7bにより案内された蒸気を回収して水にする水タンク7と、蒸気回収後に水タンク内の水が満水に達すると推定される蒸気回収前の水タンクの水位である上限水位10を検知する上限水位検知部8と、上限水位検知部8により上限水位が検知されたときに、水タンク内の水の排水を促すように報知するまたは排水を行わせる制御部11とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を冷却して復水する蒸気回収装置およびこの蒸気回収装置を備えた加熱調理器、例えば炊飯調理器に係わり、特に炊飯などにより発生する蒸気を水として回収し、かつ水位を検知する蒸気回収装置およびこの蒸気回収装置を備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯調理器は、本体内に着脱可能に収納される炊飯釜と、本体を開閉自在に覆う蓋と、この蓋に設けられ、外部と炊飯釜内部とを連通させる蒸気孔を備え、炊飯釜の底部に設けられた加熱体により炊飯を行い、発生する蒸気を本体外部に排出している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−305518号公報(第1―2頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の炊飯調理器では、炊飯中に発生する蒸気が蒸気孔から外部へ排出されるため、特に蓋の周辺に蒸気が結露して付着し汚れていた。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、蒸気を外部に排出することなく水タンクに回収して水にし、かつ、その水位を検知する蒸気回収装置およびこの蒸気回収装置を備えた加熱調理器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る蒸気回収装置は、発生する蒸気を案内する蒸気案内路と、蒸気案内路により案内された蒸気を回収して水にする水タンクと、蒸気回収後に水タンク内の水が満水に達すると推定される蒸気回収前の水タンクの水位である上限水位を検知する上限水位検知部と、上限水位検知部により上限水位が検知されたときに、水タンク内の水の排水を促すように報知するまたは排水を行わせる制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、蒸気案内路により案内された蒸気を回収して水にする水タンクを備えたので、蒸気回収装置が蒸気で汚れることがなくなる。また、上限水位検知部を通して水タンク内の水が蒸気回収後に水タンク内の水が満水に達すると推定される蒸気回収前の水タンクの水位である上限水位に達したことを検知したときに、例えば炊飯器に搭載した場合には炊飯を行う前に水タンク内の水の排水を促すようにでき、回収した水が溢れるということがなく、メンテナンス性の良い蒸気回収装置を得ることができる。また、水タンク内の水を常に一定水位内の状態で蒸気処理を行なうことができるため、蒸気の復水効率を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態1に係る蒸気回収装置を備えた加熱調理器の内部を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る蒸気回収装置を備えた加熱調理器の内部を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る蒸気回収装置を備えた加熱調理器の内部を示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態4における水タンクの外観を示す斜視図である。
【図5】実施の形態4における水位検知手段を上方から見て示す水タンク内が空気の場合の平面図である。
【図6】実施の形態4における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が回収水の場合の平面図である。
【図7】光の反射・透過の説明図である。
【図8】光の入射角度と反射率の相関を示す特性図である。
【図9】本発明の実施の形態5における水タンクの外観を示す斜視図である。
【図10】実施の形態5における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が空気の場合の平面図である。
【図11】実施の形態5における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が回収水の場合の平面図である。
【図12】図10において水タンクの厚さ寸法と反射透過部の形状との関係を示す平面図である。
【図13】本発明の実施の形態6における水タンクの外観を示す斜視図である。
【図14】実施の形態6における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が空気の場合の平面図である。
【図15】実施の形態6における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が回収水の場合の平面図である。
【図16】本発明の実施の形態7における水タンクの外観を示す斜視図である。
【図17】実施の形態7における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が空気の場合の平面図である。
【図18】実施の形態7における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が回収水の場合の平面図である。
【図19】本発明の実施の形態8に係る蒸気回収装置を備えた加熱調理器の内部を示す側面図である。
【図20】本発明の実施の形態8における水タンクの外観を示す斜視図である。
【図21】実施の形態8における水タンク検知部を上方から見て示す水タンク検知時の平面図である。
【図22】実施の形態8における水タンク検知部を上方から見て示す水タンクが存在しない場合の平面図である。
【図23】実施の形態8の別の形態における水タンクの外観を示す斜視図である。
【図24】水タンク検知部を上方から見て示す水タンク検知時の平面図である。
【図25】別の形態における水タンク検知部を上方から見て示す水タンクが存在しない場合の平面図である。
【図26】本発明の実施の形態9における水タンクの検知を説明するための模式図である。
【図27】本発明の実施の形態10における水タンクの検知を説明するための模式図である。
【図28】実施の形態10における水タンクの検知を説明するための模式図である。
【図29】実施の形態10における水タンクの検知を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る蒸気回収装置を備えた加熱調理器の内部を示す側面図である。
図において、本体1の内部に炊飯釜2が着脱可能に収納され、本体1の上部に一端が開閉自在に軸支された蓋体3が取り付けられ、この蓋体3には着脱可能に内蓋4が取り付けられている。また、蓋体3には、一端が内蓋4の中央部に着脱可能に装着された蒸気パイプ6が配設されている。内蓋4は、蓋体3が本体1の上面開口部を覆った際に、炊飯釜2の上面開口部を覆って内部を密閉状態にする。本体1の底部上方に炊飯釜2を加熱するための加熱体5が配置され、炊飯釜2の脇に水タンク7が設置されている。
【0009】
この水タンク7は、上面開口部を着脱可能に覆うタンク蓋7aと、上端がタンク蓋7aに固着された蒸気導入パイプ7bとを有している。この蒸気導入パイプ7bの上端は、蓋体3内に配設された蒸気パイプ6の他端と着脱可能に接続される。つまり、蓋体3が開けられたとき蒸気パイプ6が蒸気導入パイプ7bから離れ、蓋体3が閉じられたときに蒸気パイプ6と蒸気導入パイプ7bとが接続される。蒸気パイプ6と蒸気導入パイプ7b(蒸気案内路)は、炊飯時に発生した蒸気を水タンク7内に導くためのものであり、水タンク7は、蒸気導入パイプ7bに流入した蒸気を水で結露させ、回収水9として貯留するためのものである。
【0010】
水タンク7の制御部11側近傍の側面には、上限水位検知部8が設置されている。この上限水位検知部8は、予め設定された上限水位10以上の回収水9を検知したときに信号をLowからHighレベルに反転し制御部11に出力する。制御部11は、スイッチ操作を通して炊飯の開始を検知すると、上限水位検知部8の信号がLowレベルかどうかを判定し、Lowレベルのときは炊飯を開始し、Highレベルの信号を検知したときは、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していると判断して、例えば液晶表示部に炊飯停止および回収水9の排水を促すメッセージを表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。また、制御部11は、炊飯終了時に上限水位検知部8の信号がHighレベルに反転しているかどうかを判定し、信号がHighレベルに反転しているときは、液晶表示部に回収水9の排水を促すメッセージを表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。このブザー音に代えて、スピーカによる音声にて報知するようにしても良い。
【0011】
前記のように構成された蒸気回収調理器においては、米と水の入った炊飯釜2を本体1内に収納して蓋体3を閉じ、炊飯開始のスイッチを操作すると、制御部11は、上限水位検知部8の信号がLowレベルかどうかを判定する。入力信号がLowレベルのときは、加熱体5への通電を開始し、炊飯釜2を介して米や水に熱を伝える。この加熱により炊飯釜2内に発生した蒸気は、蒸気パイプ6と蒸気導入パイプ7bを通って水タンク7に導かれ、水タンク7内に注入された水に接触して温度が下がり、結露して水となり、回収水9として貯留される。炊飯量にもよるが、1回の炊飯によって回収される水量は約50〜100mLである。例えば、水タンク7の底部が20cm×5cmの長方形で、その面積が100cm2 の場合では、1回の炊飯で0.5〜1cm程度の回収水9が上昇する。
【0012】
また、制御部11は、炊飯の開始を検知した際に、上限水位検知部8の信号がHighレベルのときは、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していると判断して、炊飯停止および回収水9の排水を促すメッセージを液晶表示部に表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。また、炊飯終了時に上限水位検知部8の信号がHighレベルに反転しているかどうかを判定し、信号がHighレベルに反転しているときは、回収水9の排水を促すメッセージを液晶表示部に表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。これは、炊飯の繰り返しによって水位が上昇した回収水9が上限水位10に達した場合である。
【0013】
以上のように実施の形態1によれば、炊飯時に発生した蒸気を水タンク7内に回収するようにし、炊飯開始時に回収水9が上限水位10に達したことを上限水位検知部8を通して検知したときは、ユーザに回収水9の排水を促すと共に炊飯停止を表示し、また、炊飯終了時に回収水9が上限水位10に達したことを上限水位検知部8を通して検知したときは、ユーザに回収水9の排水を促すようにしているので、本体1や蓋体3周辺の結露の発生を抑制することができ、また、水タンク7内の回収水9が溢れることを防止することができ、メンテナンス性の良い蒸気回収調理器を得ることができる。また、上限水位検知部8を水タンク7の制御部11側近傍の側面に設置するようにしたので、信号線の長さを短くすることができ、このため、信号線の断線や腐食がしにくく、信号線を配線するための本体1内のスペースも小さくすることが可能になり、安価で軽量な、しかも小型で意匠性の良い蒸気回収装置を備えた加熱調理器を得ることができる。
【0014】
実施の形態2.
実施の形態1では、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達したかどうを上限水位検知部8を通して判定するようにしたものであるが、本実施の形態2は、上限水位10を検知する以外に、炊飯開始時に水タンク7内に下限水位以上の水が入っているかどうかを判定するようにしたものであり、以下、図2を用いて説明する。
図2は本発明の実施の形態2に係る蒸気回収装置を備えた加熱調理器の内部を示す側面図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
【0015】
図において、下限水位検知部8aは、上限水位検知部8と同様に水タンク7の制御部11側近傍の側面に設置され、下限水位10a以上の水位を検知したときに信号をLowからHighレベルに反転し制御部11に出力する。下限水位10aは、炊飯時に発生する蒸気を効率(回収効率)よく水に変換するのに最低限必要な水位である。制御部11は、下限水位検知部8aの信号がHighレベルで、上限水位検知部8の信号がLowレベルのときに炊飯を行う。下限水位検知部8aの信号がLowレベルのときは、ユーザに液晶表示部とブザー音とで水の供給を促すようにする。
【0016】
次に、実施の形態2の動作を説明する。
制御部11は、スイッチ操作を通して炊飯の開始を検知すると、下限水位検知部8aからの信号がHighレベルかどうかを判定し、Lowレベルのときは、水タンク7内に蒸気を結露させるのに最低限必要な水が入っていないと判断して、ユーザに液晶表示部とブザー音とで給水を促す。また、下限水位検知部8aからの信号がHighレベルのときは、上限水位検知部8の信号がLowレベルかどうかを判定する。下限水位検知部8aの信号がHighレベル、上限水位検知部8の信号がLowレベルのときに加熱体5に通電し炊飯を開始する。
【0017】
また、炊飯を開始する際に下限水位検知部8aの信号がHighレベル、上限水位検知部8の信号がHighレベルのときは、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していると判断して、ユーザに炊飯停止の表示および回収水9の排水を促す。また、炊飯終了時に下限水位検知部8aの信号がHighレベル、上限水位検知部8の信号がHighレベルのときは、前記と同様に水タンク7内の回収水7が上限水位10に達していると判断して、ユーザに回収水9の排水を促す。さらに、下限水位検知部8aの信号がLowレベル、上限水位検知部8の信号がHighレベルのときは、何れかの水位検知部8、8aが異常であると判断して、ユーザに点検を促すようにする。
【0018】
以上のように実施の形態2によれば、上限水位検知部8の他に下限水位検知部8aを設け、下限水位検知部8aの信号がHighレベル、上限水位検知部8の信号がLowレベルのときに炊飯の開始を行うようにしたので、回収水7が不足した状態で炊飯を行うということがなくなり、より確実な蒸気回収ができるようになった。また、下限水位検知部8aの信号がLowレベル、上限水位検知部8の信号がHighレベルのとき、何れかの水位検知部8、8aが異常であるとユーザに報知するようにしたので、水位検知部8、8aの故障のまま炊飯を行うということがなくなり、このため、水タンク7内の回収水9が溢れたり、下限水位10a以下の状態で蒸気を回収したりすることがなくなり、より安全な蒸気回収装置および蒸気回収装置を備えた加熱調理器を得ることができる。
【0019】
なお、実施の形態2では、上限水位検知部8と下限水位検知部8aの2個用いた例を示したが、上限水位10の手前側の水位を検知する水位検知部を追加しても良い。例えば、あと数回の炊飯で上限水位となる水位を検知する水位検知部を設け、満水になる前に、もう少しで満水となる予告を報知するようにする。また、上限水位検知部8と下限水位検知部8aとの間に複数個の水位検知部を追加して、水タンク7内の水位を段階的に表示するようにしても良い。さらに、例えば、水タンク7の長手方向の側面の中央および両側にそれぞれ上限水位10、中間水位および下限水位10aを検知する9個の水位検知部を配置して、信号のレベル状態の多数決で水位判定を行うようにしても良い。このように構成した場合、同一水位を検知する3個の水位検知部のうち何れか1個の水位検知部が故障したとしても水位検知が可能になり、また、水タンク7が傾いた状態で設置された場合でも多数決の水位検知により下限水位10aや上限水位10を正確に検知することが可能になる。
【0020】
実施の形態3.
実施の形態1では上限水位検知部8を水タンク7の側面に設置したことを、実施の形態2では上限水位検知部8と下限水位検知部8aを水タンク7の側面にそれぞれ設置したことを述べたが、本実施の形態3は、水タンク7の側面に設置することなく上限水位10を検知できるようにしたものであり、以下、図3を用いて説明する。
図3は本発明の実施の形態3に係る蒸気回収装置を備えた加熱調理器の内部を示す側面図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
実施の形態3における上限水位検知部は、例えば静電容量センサ8bからなり、その検出電極は、水タンク7の側面に近接して配置され、仮想GNDとの間の静電容量値に比例した電圧を生成する。つまり、水タンク7内の回収水9の水位が高くなるに従って電圧が上がる。水タンク7は、プラスチックなどの絶縁物で構成されている。これは、金属等の導電性の物質で構成した場合に、水タンク側面の壁でさえぎられ、水タンク7内の空気や水による静電容量の変化をとらえることができないからである。制御部11は、静電容量センサ8bからの電圧が所定値に達したときに水タンク7内の回収水9が上限水位10に達したと判断する。
【0021】
次に、実施の形態3の動作を説明する。
制御部11は、スイッチ操作を通して炊飯の開始を検知すると、静電容量センサ8bからの電圧が所定値に達しているかどうかを判定する。静電容量センサ8bからの電圧が所定値より低いときは炊飯を開始し、また、静電容量センサ8bからの電圧が所定値に達しているときは、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していると判断して、炊飯停止および回収水9の排水を促すメッセージを液晶表示部に表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。また、炊飯終了時に静電容量センサ8bからの電圧が所定値に達していると、回収水9の排水を促すメッセージを液晶表示部に表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。
【0022】
以上のように実施の形態3によれば、静電容量センサ8bの検出電極を水タンク7の側面に近接して配置し、その検出電極と仮想GNDとの間の静電容量値に比例する電圧から水タンク7内の回収水9が上限水位10に達したかどうかを判定するようにしたので、図3に示すように軽量な水タンク7だけを容易に取り外して排水、給水が可能となり、ユーザに対して簡便な排水や給水のメンテナンスを提供することができる。また、水タンク7に結線や部品の組み付けがないので、結線や部品を外す手間が省けると共に、組み付け時の部品などの付け忘れによる不動作を起こすことがない。
【0023】
なお、実施の形態3では、静電容量センサ8bの検出電極を水タンク7の側面に近接して配置したことを述べたが、検出電極を水タンク7の側面に接触させても良い。このように構成した場合でも実施の形態3と同じ効果が得られている。
【0024】
実施の形態4.
実施の形態3では、静電容量センサ8bを用いて水タンク7への結線や水タンク7への部品の止め付けを必要としない構成としたものであるが、本実施の形態4は、投光部と受光部を有する上限水位検知部によって、水タンク7内の上限水位10を検知するようにしたものであり、以下、図4〜図6を用いて説明する。
図4は本発明の実施の形態4における水タンクの外観を示す斜視図、図5は実施の形態4における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が空気の場合の平面図、図6は実施の形態4における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が回収水の場合の平面図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
【0025】
実施の形態4における水タンク7は透明の材料からなり、その水タンク7には、図4に示すように、内側側面に内方に突出して形成された平面三角形状の反射透過部12が設けられている。この反射透過部12は、水タンク7の底部まで延びてなり、水タンク7と同じ透明の材料が使用されている。また、この反射透過部12は、図5に示すように、水タンク7の外側側面の一部を反射透過面12a(三角形状の底辺側)とし、水タンク7の内側側面からそれぞれ45°の角度で延びて形成された反射透過面12b、12cを有している。反射透過面12aの近傍には、上限水位検知部の投光部13と受光部14とがほぼ同じ高さで配置されている。
【0026】
投光部13は、投光した光が反射透過部12の反射透過面12bに45°の角度で到達するように向けられ、受光部14は、反射透過面12cを45°の角度で反射する光を受光するように向けられている。また、受光部14は、受光量に応じて信号を生成し制御部11に出力する。制御部11は、受光部14からの信号が所定値より大きいときは、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していないと判断し、信号が所定値まで低下したときは、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達したと判断する。
【0027】
次に、図5および図6を用いて実施の形態4の動作を説明する。まず、図5を用いて空気16中における検知動作を説明し、次に、図6を用いて回収水9の検知時の動作を説明する。
図5の場合は、投光部13から投光された光は、光路15aを中心として反射透過部12の反射透過面12aから入射し、反射透過部12の内部を直進し、反射透過面12bに達する。この場合、水タンク7内が空気16であるため、反射透過面12bは反射面となり、光路15a上の光は、入射角と同じ角度で反射透過面12bを反射し、光路15bを中心として反射透過面12cに到達する。この場合も反射透過面12cは反射面となるので、光路15b上の光は、入射角と同じ角度で反射透過面12cを反射し、光路15cを中心として反射透過部12の内部を直進して反射透過面12aを透過し、受光部14に達する。受光部14は、受光した光量に応じて信号を生成し制御部11に出力する。この場合、投光部13からの光は、光路15a→15b→15cの順に進んで、殆ど減衰されることがないので、受光部14に受光される光量は大きくなり、受光部14の出力信号も大きくなる。制御部11は、その信号が入力されたとき所定値より大きいと判定するので、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していないと判断し、炊飯を開始する。
【0028】
図6の場合は、投光部13から投光された光は、前記と同様に、光路15aを中心として反射透過部12の反射透過面12aから入射し、反射透過部12の内部を直進し、反射透過面12bに達する。この場合、水タンク7内が回収水9であるため、反射透過面12bは透過面となり、光路15a上の光は、大部分がその反射透過面12bを透過し、光路15dを中心として回収水9内を直進する。僅かに反射された光は、光路15bを中心として反射透過面12cに到達するが、前記と同様に大部分が光路15eを中止として回収水9内を直進し、僅かな光は反射して光路15cを中心として受光部14側に進む。これら2回の反射により投光部13からの光は、非常に少なくなり、殆どが受光部14に到達しないため、受光量は殆ど無く、受光部14から出力される信号は小さくなる。制御部11は、その信号が入力されたとき所定値以下と判定するため、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達したと判断する。この判断が炊飯開始の際であった場合は、ユーザに炊飯停止および回収水9の排水を促すメッセージを液晶表示部に表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。また、炊飯終了時の場合は、ユーザに回収水9の排水を促す。
【0029】
ここで、本実施の形態4で利用している反射や屈折に関する原理を図7および図8を用いて説明する。図7は光の反射・透過の説明図、図8は光の入射角度と反射率の相関を示す特性図である。
本実施の形態4において用いた屈折率は、空気が1.00、水が1.33、水タンク7の材料例であるポリスチレンが1.59である。
屈折に関するスネルの法則,反射,透過に関するフレネルの公式は下記の通りである。
図7に示すように媒質1と媒質2の間で、光が入射、反射、屈折した場合を考える。ここで、
n1 :媒質1(入射側)の屈折率
n2 :媒質2(透過側)の屈折率
θ1 :入射角
θ2 :屈折角
θ3 :反射角
とすると、スネルの法則より、
(1) θ1=θ3(入射角と反射角は等しい)
(2) n1×sinθ1=n2×sinθ2
(又は、sinθ1/sinθ2=n2/n1)
となる。
また、フレネルの公式より、臨界が入射面に対し垂直の場合の反射係数rs,透過係数tsは,
(3) rs=(n1cosθ1−n2cosθ2)/(n1cosθ1+n2cosθ2)
=−sin(θ1−θ2)/sin(θ1+θ2)
(4) ts=2n1cosθ1/(n1cosθ1+n2cosθ2)
スネルの法則を用いて入射角θ1 のみを用いて書き換えると以下となる。
(5) rs=[cosθ1−{(n2/n1)2 −(sinθ1)2}0.5]/[cosθ1+(n2/n1)2−(sinθ1)2}0.5]
(6) ts=2cosθ1/[cosθ1+{(n2/n1)2−(sinθ1)2}0.5]
臨界が入射面に対し水平の場合の反射係数rp,透過係数tpは,
(7) rp=(n1cosθ2−n2cosθ1)/(n1cosθ2+n2cosθ1)
=tan(θ1−θ2)/tan(θ1+θ2)
(8) ts=2n1cosθ1/(n1cosθ2+n2cosθ1)
スネルの法則を用いて入射角θ1のみを用いて書き換えると以下となる。
(9) rp=[−(n2/n1)2×cosθ1+{(n2/n1)2−(sinθ1)2}0.5]/[(n2/n1)2×cosθ1+{(n2/n1)2−(sinθ1)2}0.5]
(10)tp=2×(n2/n1)×cosθ1/[(n2/n1)2×cosθ1+{(n2/n1)2−(sinθ1)2}0.5]
次いで、反射率R、透過率Tについては、入射エネルギーに対する反射エネルギーの比を反射率Rとよび、
(11)R=r2=1/2(rs2+rp2)
入射エネルギーに対する透過エネルギーの比を透過率Tとよび、
(12)T=t2×(n2cosθ2/n1cosθ1)
とそれぞれ表される。
屈折角θ2が90°となる入射角を臨界角とよび、それ以上の入射角では、全反射が生じる。(n1>n2の場合に生じる:例えば、水n1=1.33から空気n2=1.00中に出る場合など)臨界角θ1rinは、
(13)θ1rin=sin−1(n2/n1)
上式を用いて計算した各媒質間の反射率角度特性は図8のようになる。
水(回収水9)→空気、ポリスチレン→空気、ポリスチレン→水の場合は全反射が生じる。逆に空気→水、空気→ポリスチレン,水→ポリスチレンは、全反射はしないが、入射角度が大きくなる(光路が面と平行に近づく)と反射率が急激に大きくなる。正面(入射角0°)の反射率は数%と小さい。
【0030】
次に、実施の形態4における反射や透過を、前述した原理に基づいて具体的に説明する。
まず、図5に示す投光部13の光が光路15aを中止として反射透過面12aに入射した場合は、n1=1.00が空気、n2=1.59がポリスチレン(水タンク7の側面)に相当し、入射角度θ1 =0°であるから、スネルの法則より、屈折角度θ2 =0°、反射角度θ3 =0°となる。反射率は、図8における空気→ポリスチレン(PS)の入射角度0°より、約5%である。従って、入射光の約95%は透過して、光路15aに沿って進むこととなる。水タンク7の側面内部に入った光は、水タンク7の内側面は、一様なポリスチレンで構成されているので、屈折率が一定で、反射や屈折は発生せず、光は直進する。次いで、反射透過面12bに入射した場合は、n1=1.59がポリスチレン、n2=1.0 が空気に相当する。入射角度θ1 =45°とすると、臨界角θ1rin=約39°であり、入射角45°では、全反射となり、反射率は100 %であり、透過は0%となる。反射角度は、θ3 =θ1 =45°となる。従って、光路15aで反射透過面12bに入射した光は、全て反射されて光路15b上に進み直進する。次いで、反射透過面12cにおいても、同様にして、入射角45°となるように反射透過面12cの角度を設定すれば、入射光は全て反射され、光路15cに沿って直進して進む。さらに、反射透過面12aに入射角θ1 =0°で入射すると、反射率約5%、反射角θ3 =屈折角θ2 =0°となり、入射光の約95%が透過して直進し、受光部14に入射する。空気の透過率は高く、光路長数cmでは、減衰を無視してよい。ポリスチレンなどの透明なプラスチックの透過率も高く、光路長数cmでは、数%の減衰である。従って、図5においては、投光部13から投光された光のうち、光路15a→15b→15cを順に通って受光部14に到達した光は、約90%である。
【0031】
次いで、図6については、投光部13からの光が反射透過面12bに到達するまでは、図5と同様である。反射透過面12bでは、n1 =1.59がポリスチレン、n2 =1.33 が水に相当する。入射角θ1 =45°であるとすると、反射率は3%程度、反射角θ3 =45°、屈折角θ2 =57.7°となる。即ち、光路15aを反射透過面12bまで進んできた光のうち、3%は光路15bに進み、残り97%は光路15dに進む。反射透過面12cでも同様にして、光路15bからの光は、入射角度45°として、光路15cに反射されるのは3%、それ以外は光路15eに進む。従って、光路15cに進む光は、光路15aの0.09%となり、殆ど到達しないといえる。受光部14に到達する投光部13からの光は、図5では約90%、図6では約0.09%であり、1000倍の違いがあることがわかる。この差を利用して、回収水9がない場合とある場合の受光部14の出力(信号)により、水位検知することができる。発光素子としては、LED、受光素子としては、フォトダイオードやフォトトランジスタなどが使用可能である。光の波長は可視光でも良いし、近赤外線でも可能である。
【0032】
以上のように実施の形態4によれば、投光部13と受光部14、反射透過部12を用いて、光の反射や透過によって水の有無を検知するようにしたので、安価な発光素子と受光素子を用いることができ、上限水位検知部を低価格で実現することができる。また、投光部13や受光部14と水タンク7との間の距離が多少変動しても、影響がなく、また、投光部13と受光部14をごく近傍に同一方向に設置するので、同一基板に搭載することができるなど、取付性や位置決め精度がよくなるという効果がある。また、水タンク7の内側側面に反射透過部12を構成したので、外部に凹凸がなく、扱いやすく、また、見た目にすっきりし、意匠性が高められる。
【0033】
なお、実施の形態4では、投光部13と受光部14を有する上限水位検知部で上限水位10を検知するようにしたが、これに加えて下限水位検知部を設け、下限水位10aも検知できるようにしても良い。この場合、下限水位検知部は、上限水位検知部と同様に投光部13と受光部14を有し、反射透過部12との位置関係は図5と同じである。制御部11は、炊飯開始の際、下限水位検知部の受光部14からの信号が所定値以下かどうかを判定し、入力信号が所定値以下の場合は、水タンク7内の回収水9が下限水位10a以上あると判断して炊飯の開始を行い、また、入力信号が所定値を超えているときは回収水9が下限水位10aまで達していないと判断して、ユーザに炊飯停止の表示および水の供給を促す。また、実施の形態2と同様に、2つの入力信号から下限水位検知部と上限水位検知部の故障の有無を検知することが可能である。
【0034】
実施の形態5.
実施の形態4では、水タンク7の内側側面に平面三角形状の反射透過部12を設けたものであるが、実施の形態5は、水タンク7の外側側面に平面台形状の反射透過部を設けたものであり、以下、図9〜図12を用いて説明する。
図9は本発明の実施の形態5における水タンクの外観を示す斜視図、図10は実施の形態5における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が空気の場合の平面図、図11は実施の形態5における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が回収水の場合の平面図である。なお、実施の形態1、4と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
【0035】
実施の形態5における水タンク7は透明の材料からなり、その水タンク7には、図9に示すように、外側側面に外方に突出して形成された平面台形状の反射透過部18が設けられている。この反射透過部18は、水タンク7の底部まで延びてなり、水タンク7と同じ透明の材料が使用されている。また、この反射透過部18は、図10に示すように、水タンク7の内側側面の一部を反射透過面18bとし、水タンク7の外側側面からそれぞれ45°の角度で延びて形成される反射透過面18a、18cを有している。反射透過面18aの近傍には投光部13が、反射透過面18cの近傍には受光部14がほぼ同じ高さで配置されている。また、投光部13は、投光した光が反射透過面18aに対して直角に入射されるように向けられ、受光部14は、反射透過面18cに対し直角に透過する光を受光するように向けられている。
【0036】
次に、図10および図11を用いて実施の形態4の動作を説明する。まず、図10を用いて空気16中における検知動作を説明し、次に、図11を用いて回収水9の検知時の動作を説明する。
図10の場合、投光部13からの光は、光路19aに沿って進む。水タンク7の外側の反射透過面18aでは、入射角θ1がほぼ0°となり、反射角θ3=屈折角θ2=0°、反射率は約5%となり、光量の約95%は反射透過面18aを直進して入射し、反射透過部18内を直進する。次いで、反射透過面18b側は、空気16であるため、入射角45°である場合に光路19a上を進む光は全反射となり、光路19bを中心として進む。そして、反射透過面18cにおいては、入射角θ1=0°で、反射角θ3=屈折角θ2=0°となり、反射率約5%で直進して透過し、受光部14に入射する。投光部13で投光された光量の約90%が受光部14に入る。この場合、制御部11は、実施の形態4で述べたように、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していないと判断して、炊飯を開始する。
【0037】
図11の場合は、投光部13からの光のうち、約5%が反射され、約95%が反射透過面18bに達する。反射透過面18b側は回収水9であるため、スネルの法則より入射角を45°とした場合、反射率は約3%であり、反射角θ3=45°、透過率は97%であり、屈折角θ2=57.7°となる。透過した光は、光路19cを中心として回収水9の中に進み、受光部14には入射されない。一方、反射光は光路19bに沿って進み、反射透過面18cを透過して、受光部14に達する。この受光部14に到達する投光部13からの光は、図10では約90%、図11では約3%であり、約30倍の違いがあることがわかる。図11においては、制御部11は、その信号が所定値以下と判定するため、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達したと判断する。この判断が炊飯開始の際であった場合は、ユーザに炊飯停止および回収水9の排水を促すメッセージを液晶表示部に表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。炊飯終了時の場合は、ユーザに回収水9の排水を促す。
【0038】
次に、水タンク7bの側面の厚さと台形状の反射透過部18の形状との関係を図12を用いて説明する。図12は図10において水タンクの厚さ寸法と反射透過部の形状との関係を示す平面図である。なお、図4〜図6で説明した実施の形態4と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
水タンク7の厚みをごく僅かとし、その厚みがほぼ0とみなせる場合には、光路19aと側面厚さdの仮想線20との交点で反射が起こるので、反射透過面18cは、図11よりも、2dだけ左方向にずらして配置される。しかし、側面の厚さdが無視できない大きさの場合、例えば、厚さdが反射透過面18aの長さの1/4以上となる場合には、光路19aおよび光路19bの側面厚さ部分の光路長は、水タンク7の側面厚さdの仮想線20よりも、水タンク7の内側方向に延長されることを考慮する必要が生じる。図12においては、反射角度を45°に設定しているため、側面厚さ部分による光路のずれは、2dに相当することとなり、反射透過面18cは、反射透過面18aの上端から右方向に2dだけずらした位置に配置する。これにより、光路19bは、反射透過面18cのほぼ中央を通り、光路19aとは対象となり、反射透過面18c全体を有効に使うことができる。即ち、台形状の突起の上底の長さは、水タンク7の側面の厚さdの2倍とするとよい。
【0039】
以上のように実施の形態5によれば、反射透過部18を水タンク7bの外側側面に設けたので、水タンク7の内側に凹凸がなく、水タンク7の清掃性を向上できると共に、反射面やその周囲にゴミが付着しにくくなり、上限水位検知部のゴミによる誤動作を防止することができる。また、台形状の反射透過部18の上底の長さを、水タンク7の側面の厚さdの概ね2倍としたことにより、反射透過部18の大きさと配置が最適化され、反射の効率がよくなり、小型の反射透過部18を構成することができる。
【0040】
なお、実施の形態5では、投光部13と受光部14を有する上限水位検知部で上限水位10を検知するようにしたが、これに加えて下限水位検知部を設け、下限水位10aも検知できるようにしても良い。この場合、下限水位検知部は、上限水位検知部と同様に投光部13と受光部14を有し、反射透過部18との位置関係は図10と同じである。制御部11は、炊飯開始の際、下限水位検知部の受光部14からの信号が所定値以下かどうかを判定し、入力信号が所定値以下の場合は、水タンク7内の回収水9が下限水位10a以上あると判断して炊飯の開始を行い、また、入力信号が所定値を超えているときは回収水9が下限水位10aまで達していないと判断して、ユーザに炊飯停止の表示および水の供給を促す。また、実施の形態2と同様に、2つの入力信号から下限水位検知部と上限水位検知部の故障の有無を検知することが可能である。
【0041】
実施の形態6.
実施の形態5では、水タンク7の外側側面に台形状の反射透過面18を設けたものであるが、本実施の形態6は、水タンク7のコーナー部に反射透過部を設けたものであり、以下、図13〜図15を用いて説明する。
図13は本発明の実施の形態6における水タンクの外観を示す斜視図、図14は実施の形態6における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が空気の場合の平面図、図15は実施の形態6における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が回収水の場合の平面図である。なお、実施の形態1、4と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
【0042】
実施の形態6における水タンク7には、図13に示すように、コーナー部内側に底部まで延びてなる平面三角形状の反射透過部21が設けられている。この反射透過部21は、水タンク7と同じ透明の材料からなり、図14に示すように、水タンク7のコーナー部の外側側面を反射透過面21a、21cとし、水タンク7のコーナー部内側に45°の角度で形成された反射透過面21bを有している。反射透過面21aの近傍には投光部13が、反射透過面21cの近傍には受光部14がほぼ同じ高さで配置されている。投光部13は、投光した光が反射透過面21aに対して直角に入射されるように向けられ、受光部14は、反射透過面21cに対し直角に透過する光を受光するように向けられている。
【0043】
次に、図14および図15を用いて実施の形態6の動作を説明する。まず、図14を用いて空気16中における検知動作を説明し、次に、図15を用いて回収水9の検知時の動作を説明する。
図14の場合、投光部13からの光は、光路21aに沿って進む。水タンク7の反射透過面21aでは、入射角θ1がほぼ0°となり、反射角θ3=屈折角θ2=0°、反射率は約5%となり、光量の約95%は反射透過面21aを直進して入射し、反射透過部21内を直進する。次いで、水タンク7のコーナー部に形成された反射透過面21b側は、空気16であるため、入射角45°である場合に光路22a上を進む光は全反射となり、光路22bを中心として進む。そして、反射透過面21cにおいては、入射角θ1=0°で、反射角θ3=屈折角θ2=0°となり、反射率約5%で直進して透過し、受光部14に入射する。投光部13で投光された光量の約90%が受光部14に入る。この場合、制御部11は、実施の形態4で述べたように、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していないと判断して、炊飯を開始する。
【0044】
図15の場合は、投光部13からの光のうち、約5%が反射され、約95%が反射透過面21bに達する。反射透過面21a側は、回収水9であるため、スネルの法則より入射角45°とした場合、反射率は約3%であり、反射角θ3=45°、透過率は97%であり、屈折角θ2=57.7°となる。透過した光は、光路22cを中心として回収水9の中に進み、受光部14には入射されない。一方、反射光は光路22bに沿って進み、反射透過面21cを透過して、受光部14に達する。この受光部14に到達する投光部13からの光は、図14では約90%、図15では約3%であり、約30倍の違いがあることがわかる。図15においては、制御部11は、その信号が所定値以下と判定するため、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達したと判断する。この判断が炊飯開始の際であった場合は、ユーザに炊飯停止および回収水9の排水を促すメッセージを液晶表示部に表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。炊飯終了時の場合は、ユーザに回収水9の排水を促す。
【0045】
以上のように実施の形態5によれば、水タンク7のコーナー部に反射透過部21を設けたので、水タンク7の外部に凹凸がなく、扱いやすく、また、見た目にすっきりし、意匠性を高められる。また、内部にも凸凹がなく、水タンク7の清掃性を向上できると共に、反射面やその周囲にゴミが付着しにくくなり、上限水位検知部のゴミによる誤動作を防止することができる。
【0046】
なお、実施の形態6では、投光部13と受光部14を有する上限水位検知部で上限水位10を検知するようにしたが、これに加えて下限水位検知部を設け、下限水位10aも検知できるようにしても良い。この場合、下限水位検知部は、上限水位検知部と同様に投光部13と受光部14を有し、反射透過部21との位置関係は図14と同じである。制御部11は、炊飯開始の際、下限水位検知部の受光部14からの信号が所定値以下かどうかを判定し、入力信号が所定値以下の場合は、水タンク7内の回収水9が下限水位10a以上あると判断して炊飯の開始を行い、また、入力信号が所定値を超えているときは回収水9が下限水位10aまで達していないと判断して、ユーザに炊飯停止の表示および水の供給を促す。また、実施の形態2と同様に、2つの入力信号から下限水位検知部と上限水位検知部の故障の有無を検知することが可能である。
【0047】
実施の形態7.
実施の形態6では、水タンク7のコーナー部に反射透過部21を設けたものであるが、本実施の形態7は、水タンク7のコーナー部に反射透過部を設けることなく、そのコーナー部で水位検知を行えるようにしたものであり、以下、図16〜図18を用いて説明する。
図16は本発明の実施の形態7における水タンクの外観を示す斜視図、図17は実施の形態7における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が空気の場合の平面図、図18は実施の形態7における上限水位検知部を上方から見て示す水タンク内が回収水の場合の平面図である。なお、実施の形態1、4と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
【0048】
実施の形態7においては、図16に示すように、透明の材料からなる水タンク7のコーナー部の側面を反射透過部23として使用している。また、図17に示すように、コーナー部の外側側面を反射透過面23a、23dとし、コーナー部の内側側面を反射透過面23b、23cとして用いている。反射透過面23aの近傍には投光部13が、反射透過面23dの近傍には受光部14がほぼ同じ高さで配置されている。また、投光部13は、投光した光が反射透過面23aに対して45°の角度で入射されるように向けられ、受光部14は、反射透過面24dに対し45°の角度で透過する光を受光するように向けられている。
【0049】
次に、図17および図18を用いて実施の形態7の動作を説明する。まず、図17を用いて空気16中における検知動作を説明し、次に、図18を用いて回収水9の検知時の動作を説明する。
図17の場合、投光部13からの光は、光路24aに沿って進む。水タンク7のコーナー部の外側側面の反射透過面23aでは、入射角θ1がほぼ45°となり、反射角θ3=45°、屈折角θ2=26°、反射率は約5%となり、光量の約95%は反射透過面23aを屈折角26°で入射し、水タンク7の側面内を光路24bに沿って直進する。次いで、コーナー部の内側側面の反射透過面23bでは、水タンク7内が空気16であるため、入射角θ1=26°である場合、スネルの法則より、反射角θ3=26°、屈折角θ2=45°、反射率=約5%となり、約5%が反射されるので、透過される約90%の光は、光路24cを中心として空気16中に進む。さらに、入射角θ1=45°で、コーナー部の内側側面の反射透過面23cに入射した光は、前記と同様にして、反射角θ3=45°、屈折角θ2=26°、反射率5%となり、約85%の光が水タンク7の側面内を光路24dに沿って進む。そして、コーナー部の外側側面の反射透過面23dにおいては、入射角θ1=26°、反射角θ3=26°、屈折角θ2=45°、反射率約5%となり、約80%の光が光路24eを中心として進み、受光部14に入射する。投光部13で投光された光量の約80%が受光部14に入る。この場合、制御部11は、実施の形態4で述べたように、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していないと判断して、炊飯を開始する。
【0050】
図18の場合は、投光部13からの光は、光路24aに沿って進む。水タンク7のコーナー部の外側側面の反射透過面23aでは、入射角θ1がほぼ45°となり、反射角θ3=45°、屈折角θ2=26°、反射率は約5%となり、光量の約95%は反射透過面23aを屈折角26°で入射し、水タンク7の側面内を光路24bに沿って直進する。次いで、コーナー部の内側側面の反射透過面23bでは、水タンク7内が回収水9であるため、入射角θ1=26°である場合、スネルの法則より、反射角θ3=26°、屈折角θ2=32°、反射率=約1%となり、約1%が反射されるので、透過される約94%の光は、光路24fを中心として回収水9内に進む。さらに、入射角θ1=58°で、コーナー部の内側側面の反射透過面23cに入射した光は、反射角θ3=58°、屈折角θ2=45°、反射率2%となり、約92%の光が水タンク7の側面内を光路24gに沿って進み、コーナー部の外側側面の反射透過面23dにおいては、入射角θ1=45°で全反射となり、反射角θ3=45°、反射率約100%となり、約92%の光が光路24hを中心として水タンク7の側面内を進む。そして、入射角θ1=45°で、反射透過面23cに入射した光は、反射角θ3=45°、屈折角θ2=58°、反射率3%で、透過される約89%の光は、光路24iを中心として回収水9の中に進み、受光部14には入射しない。この受光部14に到達する投光部13からの光は、図17では約80%、図18ではほぼ0%であり、仮に1%としても、約80倍の違いがあることがわかる。図18においては、制御部11は、その信号が所定値以下と判定するため、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達したと判断する。この判断が炊飯開始の際であった場合は、ユーザに炊飯停止および回収水9の排水を促すメッセージを液晶表示部に表示し、この表示とブザー音にてユーザに報知する。炊飯終了時の場合は、ユーザに回収水9の排水を促す。
【0051】
以上のように実施の形態7によれば、投光部13と受光部14を水タンク7のコーナー部を介在してほぼ対向するように配置し、そのコーナー部の側面を反射透過部23として用いたので、水タンク7の内側側面と外側側面には突起や斜面がなく、一様な厚さの側面のみとすることができ、水タンク7の外側側面に凹凸がなく、扱いやすく、また、見た目にすっきりし、意匠性を高められる。また、水タンク7の内側側面にも凸凹がなく、水タンク7の清掃性を向上できるとともに、反射面やその周囲にゴミが付着しにくくなり、上限水位検知部のゴミによる誤動作を防止することができる。さらに、水タンク7を型成形によって製造する場合に、一様な厚さであるために、成形が容易で安価に製造できる。
【0052】
なお、実施の形態7では、投光部13と受光部をほぼ同じ高さに対向して配置したが、投光部13を上向きに、受光部14を下向きに傾けて互いに対向するようにしてもよい。この場合、前述した同じ高さに対向して設置した場合の、光の光路と同様である上に、水面を下方から投光した場合に、水面と空気の境界面において、全反射するため、水面があったときの光路がより受光部14から離れる方向に変更されることになり、誤動作を減らすことができる。
【0053】
また、実施の形態7では、投光部13と受光部14を有する上限水位検知部で上限水位10を検知するようにしたが、これに加えて下限水位検知部を設け、下限水位10aも検知できるようにしても良い。この場合、下限水位検知部は、上限水位検知部と同様に投光部13と受光部14を有し、反射透過部23との位置関係は図17と同じである。制御部11は、炊飯開始の際、下限水位検知部の受光部14からの信号が所定値以下かどうかを判定し、入力信号が所定値以下の場合は、水タンク7内の回収水9が下限水位10a以上あると判断して炊飯の開始を行い、また、入力信号が所定値を超えているときは回収水9が下限水位10aまで達していないと判断して、ユーザに炊飯停止の表示および水の供給を促す。また、実施の形態2と同様に、2つの入力信号から下限水位検知部と上限水位検知部の故障の有無を検知することが可能である。
【0054】
実施の形態8.
実施の形態4〜7では、投光部13と受光部14を用いて水タンク7内の回収水9の水位を検知するようにしたものであるが、本実施の形態8は、水位検知に加えて、水タンク7が所定位置に存在するかどうかを検知するようにしたものであり、以下、図19〜図22を用いて説明する。
図19は本発明の実施の形態8に係る蒸気回収調理器の内部を示す側面図、図20は本発明の実施の形態8における水タンクの外観を示す斜視図、図21は実施の形態8における水タンク検知部を上方から見て示す水タンク検知時の平面図である。なお、実施の形態1、6と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
【0055】
図19において、水タンク7は、本体1の所定位置に着脱可能に設置され、水タンク検知部25は、水タンク7の下部側面に近接して配置され、信号線を通して制御部11と接続されている。前述した水タンク7は、図20に示すように、上げ底の底部27を有し、コーナー部内側に底部27より下方に延びて形成された平面三角形状の反射透過部26が設けられている。なお、これ以降、底部27より下方の反射透過部26を反射透過部28として説明する。これら反射透過部26、28は、水タンク7と同じ透明の材料からなり、反射透過部28は、図21に示すように、水タンク7のコーナー部の外側側面を反射透過面28a、28cとし、水タンク7のコーナー部内側に45°の角度で形成された反射透過面28bを有している。
【0056】
前述した水タンク検知部25は、図21に示すように、反射透過面28aの近傍に配置された投光部13と、反射透過面28cの近傍に配置された受光部14とを備えている。これら投光部13と受光部14はほぼ同じ高さに配置され、投光部13は、投光した光が反射透過面28aに対して直角に入射されるように向けられ、受光部14は、反射透過面28cに対し直角に透過する光を受光するように向けられている。なお、上限水位検知部8は、実施の形態6と同じであるため、構成についての説明は割愛する。
【0057】
次に、水タンク検知部25の動作について図21および図22を用いて説明する。図22は実施の形態8における水タンク検知部を上方から見て示す水タンクが存在しない場合の平面図である。まず、図21を用いて水タンクが設置されているときの動作を説明し、次に、図22を用いて水タンクが設置されていないときの動作を説明する。
タンク検知部25の投光部13からの光は、光路29aを中心として進み、反射透過面28aから入射して反射透過部28内を直進する。そして、反射透過面28bにて全反射し、光路29bを中心として進み、反射透過面28cを透過して受光部14に到達する。水タンク7が所定位置に存在しない場合は、図22に示すように、投光部13からの光は、光路29aを中心として空気16中を進み、この場合は屈折率が一定とみなせるので、受光部14に到達することなく直進する。
【0058】
一方、制御部11は、受光部14からの信号を検知したときに、水タンク7が所定位置に設置されていると判断して、上限水位検知部8からの信号を読み込んで所定値以下かどうかを判定する。つまり、上限水位検知部8からの信号が小さく所定値以下のときは、回収水9が上限水位10に達していると判断して、ユーザに水タンク7内の回収水9の排水を液晶表示部とブザー音とを通して促し、入力信号が大きく所定値を超えているときは、炊飯を開始する。また、受光部14からの信号が無いときは、水タンク7が所定位置に設置されていないと判断して、その旨をユーザに液晶表示部とブザー音とを通して報知する。
【0059】
次に、実施の形態8の別の形態について図23〜図25を用いて説明する。
図23は実施の形態8の別の形態における水タンクの外観を示す斜視図、図24は水タンク検知部を上方から見て示す水タンク検知時の平面図である。
図23において、水タンク7は、例えば2mm以上の厚さで形成された底部を備え、この底部も含め例えばポリスチレンの材料からなっている。底部の厚さ2mmは、光を透過させるのに必要な寸法である。この水タンク7のコーナー部内側は、実施の形態7と同様に、水位検知のための反射透過部30として利用され、底部のコーナー部は、水タンク7の有無を検知するための反射透過部31として利用されている。この反射透過部31は、図24に示すように、底部のコーナー部の外側側面を反射透過面31a、31dとして用いている。
【0060】
水タンク検知部25の投光部13は反射透過面31aの近傍に配置され、受光部14は反射透過面31dの近傍に配置され、これら投光部13と受光部14は、ほぼ同じ高さに配置されている。また、投光部13は、投光した光が反射透過面31aに対してほぼ45°の角度で入射されるように向けられ、受光部14は、反射透過面31dに対しほぼ45°の角度で透過する光を受光するように向けられている。なお、反射透過部30を利用して上限水位10の有無を検知する上限水位検知部8については、実施の形態7と同じであるため、構成の説明を割愛する。
【0061】
次に、水タンク検知部25の動作について図24および図25を用いて説明する。図25は別の形態における水タンク検知部を上方から見て示す水タンクが存在しない場合の平面図である。まず、図24を用いて水タンクが設置されているときの動作を説明し、次に、図25を用いて水タンクが設置されていないときの動作を説明する。
タンク検知部25の投光部13からの光は、光路32aを中心として反射透過面31aに達し、入射角θ1=45°、反射角θ3=45°、屈折角θ2=26°、反射率=約5%となり、約95%の光が光路32bに沿って進み、受光部14には入射されない。また、水タンク7が所定位置に存在しない場合は、図25に示すように、投光部13からの光は、光路3aを中心として空気16中を進み、この場合は屈折率が一様なため、直進して受光部14に入射する。
【0062】
一方、制御部11は、受光部14からの信号が無いとき、水タンク7が所定位置に設置されていると判断して、前記と同様に上限水位検知部8からの信号を読み込んで所定値以下かどうかの判定に入り、また、受光部14からの信号を検知したときは、水タンク7が所定位置に設置されていないと判断して、その旨をユーザに液晶表示部とブザー音とを通して報知する。
【0063】
以上のように実施の形態8によれば、タンク検知部25を備えて水タンク7の有無を検知するようにしたので、水タンク7が配置されていない状態で、炊飯を行なうことがなく、水漏れのない、安全な蒸気回収調理器を得ることができる。また、上限水位検知部8と同様の部品を用いているので、装置の構成が容易となり、また、水タンク7の形状の変更が少なく、見た目に違和感のない、使い勝手の良い水タンク7とすることができる。
【0064】
なお、実施の形態8では、投光部13と受光部14を有する上限水位検知部で上限水位10を検知するようにしたが、これに加えて下限水位検知部を設け、下限水位10aも検知できるようにしても良い。この場合、下限水位検知部は、上限水位検知部と同様に投光部13と受光部14を有し、反射透過部12との位置関係は図17と同じである。制御部11は、炊飯開始の際、下限水位検知部の受光部14からの信号が所定値以下かどうかを判定し、入力信号が所定値以下の場合は、水タンク7内の回収水9が下限水位10a以上あると判断して炊飯の開始を行い、また、入力信号が所定値を超えているときは回収水9が下限水位10aまで達していないと判断して、ユーザに炊飯停止の表示および水の供給を促す。また、実施の形態2と同様に、2つの入力信号から下限水位検知部と上限水位検知部の故障の有無を検知することが可能である。
【0065】
実施の形態9.
実施の形態8では、タンク検知部25を設けて、水タンク7の有無を検知するようにしたものであるが、本実施の形態9は、上限水位検知部と下限水位検知部からの信号の組み合わせから水タンク7の出し入れを検知するようにしたものであり、以下、図26を用いて説明する。
図26は本発明の実施の形態9における水タンクの検知を説明するための模式図であり、図中(a)は水タンク7を本体1の上部から取り出すときの水タンク7と上限水位および下限水位検知部8c、8dとの位置関係を示し、(b)は水タンク7の高さ位置に応じて変化する上限水位および下限水位検知部8c、8dの出力信号の波形を示す。なお、(b)に示す時刻aは、水タンク7の取り出しが始まる前の静止状態のときであり、時刻bは、上限水位検知部8cの検知位置に回収水9が移動してきたときであり、時刻cは、下限水位検知部8dの検知位置から水タンク7が無くなったときであり、時刻dは、上限水位検知部8cの検知位置から水タンク7がなくなったとき、即ち、水タンク7の取り出しが完了したときである。
【0066】
図26(a)に示す水タンク7は、図13で示した水タンク7と同様に、コーナー部内側に底部まで延びてなる平面三角形状の反射透過部21が設けられている。また、上限水位および下限水位検知部8c、8dは、それぞれ投光部13と受光部14とを備え、反射透過部21との配置関係は図14と同じである。その上限水位および下限水位検知部8c、8dは、検知位置に回収水9があるときHighレベルの信号を出力し、回収水9がないときはLowレベルの信号を出力するようになっている。
【0067】
次に、実施の形態9の動作について説明する。
例えば、本体1内に設置された水タンク7に下限水位以上、上限水位より低い回収水9が入っている場合において、時刻aでは、上限水位検知部8cがLowレベルの信号を出力し、下限水位検知部がHighレベルの信号を出力している。その後、水タンク7が持ち上げられ、時刻bのときは、上限水位検知部8cが回収水9を検知し、出力信号をLowからHighレベルに反転する。さらに、水タンク7が持ち上げられ、下限水位検知部8dの上方に水タンク7が位置する時刻cでは、検知位置に回収水9がなくなった状態となるので、下限水位検知部8dの出力信号がHighからLowレベルに反転する。そして、上限水位検知部8cの上方に水タンク7が位置する時刻dでは、検知位置に回収水7がなくなった状態となるので、上限水位検知部8cの出力信号がHighからLowレベルに反転する。このように、水タンク7が取り外されるときには、上限水位検知部8cと下限水位検知部8dの出力信号が回収水9の通過に伴って変化する。この変化を逐次、制御部11に取り込んで判定を行うことで、水タンク7が取り外されたことを検知できる。また逆に、水タンク7を取り付けるときには、逆の順序で上限水位検知部8cと下限水位検知部8dの出力信号が変化するので、同様にして取り付けたことも検知できる。
【0068】
以上のように実施の形態9によれば、上限水位検知部8cと下限水位検知部8dの出力信号の時間的な変化から水タンク7の出し入れを検知するようにしたので、水タンク7が所定位置に配置されていない状態で炊飯を行なうことがなく、水漏れのない、安全な蒸気回収調理器を得ることができる。また、上限水位検知部8cと下限水位検知部8dの出力信号に対し制御部11が水タンク7の有無の判定を行うだけなので、部品の追加が不要で、安価な蒸気回収装置を備えた加熱調理器を実現することができる。
【0069】
実施の形態10.
実施の形態9では、上限水位検知部8cと下限水位検知部8dを用いて水タンク7の有無を検知するようにしたものであるが、本実施の形態10は、例えば上限水位検知部8cと水位検知用の反射透過部とを用いて水タンク7の有無を検知するようにしたものであり、以下、図27を用いて説明する。
図27は本発明の実施の形態10における水タンクの検知を説明するための模式図であり、図中(a)は水タンク7を本体1の側面から水平に引き出すときの水タンク7の反射透過部34および上限水位検知部8cの投光部13と受光部14の位置関係を示し、(b)は水タンク7の反射透過部34の水平移動に応じて変化する上限水位検知部8cの出力信号の波形を示す。なお、(b)に示す時刻aは、水タンク7の引き出しが始まる前の静止状態のときであり、時刻bは、水タンク7の反射透過部34が上限水位検知部8cの投光部13から離れ始めたときであり、時刻cは、投光部13と水タンク7との距離がさらに延びたときであり、時刻dは、水タンク7の引き出しが完了したときである。
【0070】
実施の形態10における水タンク7は、実施の形態9で述べたように、コーナー部内側に底部まで延びてなる平面三角形状の反射透過部34が設けられている。この反射透過部34は、水タンク7と同じ透明の材料からなり、図27に示すように、水タンク7のコーナー部の外側側面を反射透過面34a、34cとし、水タンク7のコーナー部内側にほぼ45°の角度で形成された反射透過面34bを有している。また、反射透過部34の外側コーナー部には反射透過面34bに平行な反射面34dが形成されている。
【0071】
反射透過面34aの近傍には上限水位検知部8cの投光部13が、反射透過面34cの近傍には受光部14がほぼ同じ高さで配置されている。また、投光部13は、投光した光が反射透過面34aに対して直角に入射されるように向けられ、受光部14は、反射透過面34cに対し直角に透過する光を受光するように向けられている。受光部14は、入射される光量が多いときに大きい信号を出力し、投光部13には、光路35aを中心として光を照射するだけでなく、光路35c方向等にも光を出す素子が用いられている。
【0072】
次に、実施の形態10の動作について説明する。なお、水タンク7内の回収水9が上限水位まで達していないものとして説明する。
まず、時刻aでは、上限水位検知部8cの検知位置が空気16であるため、投光部13の殆どの光は、光路35aを中心として反射透過面34aに入射し、反射透過面34bで反射する。そして、光路35aを中心として直進し、反射透過面34cを透過して受光部14に入射する。この時の受光部14の出力は大きくなっている。この状態から水タンク7を図中の下方向に引き出し始めた時刻bでは、水タンク7と投光部13の距離が大きくなるので、反射透過面34bを反射した光は受光部14に入射しなくなり、出力が小さくなる。さらに水タンク7を引き出した時刻cでは、反射透過面34bを反射した光は、前記と同様に受光部14に入射しないが、光路35cを中心とする光は、反射面34dを反射して光路35dを通り受光部14に入射する。この時の受光部14の出力は大きくなっている。ただし、反射透過面34bを反射して入射される光に比べると、光量が少ないので出力レベルは低くなっている。水タンク7が引き出された時刻dでは、光路aおよび光路cを通る光は何れも受光部14に到達しなくなり、出力は小さくなっている。
【0073】
このように、反射透過部34の外側コーナー部に反射面34dを設け、水タンク7を取り出すときに、受光部14が途中で反射面34dの反射光を受けることにより、出力が大きくなる現象が生じることがわかる。そこで、受光部14の出力を、制御部11で連続して検知し、時間変化から水タンク7が取り出されたかどうかを判定することが可能である。また逆に、水タンク7を設置する場合にも、反射面34dの反射光による出力の変化が得られるので、これを捉えれば、水タンク7の挿入を検知することが可能である。
【0074】
以上のように実施の形態10によれば、水タンク7の反射透過部34に反射面34dを設けることによって、水タンク7の取り出しや挿入時に反射光が得られるようにしたので、水タンク7が所定位置に配置されていない状態で加熱調理器の動作を行なうことがなく、水漏れのない、安全な蒸気回収装置を備えた加熱調理器を得ることができる。また、水タンク7の反射透過部34に反射面35dを形成するだけなので、部品の追加が不要で、容易に製造することができる。
【0075】
次に、実施の形態10の別の形態について図28と図29を用いて説明する。
図28および図29は実施の形態10における水タンクの検知を説明するための模式図である。
図28に示す別の形態は、(a)に示すように反射透過部34に形成された反射面34dに切り欠き部36を設けたものである。この切り欠き部36は、反射面34dの角度が大きくなり、反射光が受光部14の方向に反射しなくなり、(b)に示すように、反射面34dでの反射光に強弱が発生して、2つのピークが生じる。この2つのピークが生じる特徴を制御部11で捉えることで、水タンク7の検知が可能である。
【0076】
また、図29に示す別の形態は、(a)に示すように反射面34dに乱反射部37を設けたものである。この乱反射部37では、光は乱反射して反射率が低下するので、乱反射部37からの反射光は受光部14には弱められて到達する。従って、切り欠き部36を設けた場合と同様にして(b)に示すように、反射面34dでの反射光に強弱が発生して、2つのピークが生じる。この2つのピークが生じる特徴を制御部11で捉えることで、水タンク7の検知が可能である。
【0077】
以上のように、水タンク7の反射透過部34の反射面34dに、切り欠き部36を設けたり、乱反射部37を設けたので、水タンク7の取り出しや挿入をするときに、受光部14に与えられる反射光の変化パターンに特徴を与えることができるようになり、このため、容易に水タンク7の取り出しや挿入を検知することができるようになった。これにより、水タンク7が所定位置に配置されていない状態で炊飯を行なうことがなく、水漏れのない、より安全な蒸気回収調理器を得ることができる。また、上限水位検知部8cからの信号に対して判定を行うだけなので、部品の追加が不要で、安価に水タンク7の有無を検知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の活用例として、調理器の水タンクでの水位検知以外にも、水位検知を行う様々な装置への適用が可能である。家電機器では、除湿機や加湿器の水タンクの水位検知などがある。また、水でなくても、屈折率や透過率によって他の液体、個体の検知も可能であり、不凍液タンクの液量検知や、クリーナのゴミタンクのゴミ量検知などへの利用も容易である。
【符号の説明】
【0079】
1 本体、2 炊飯釜、3 蓋体、4 内蓋、5 加熱体、6 蒸気パイプ、7 水タンク、7a タンク蓋、7b 蒸気導入パイプ、8 上限水位検知部、8a 下限水位検知部、8b 静電容量センサ、9 回収水、10 上限水位、10a 下限水位、
11 制御部、12 反射透過部、13 投光部、14 受光部、16 空気、18 反射透過部、21 反射透過部、23 反射透過部、25 タンク検知部、26 反射透過部、27 底部、28 反射透過部、30 反射透過部、31 反射透過部、34 反射透過部、36 切り欠き部、37 乱反射部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生する蒸気を案内する蒸気案内路と、
該蒸気案内路により案内された蒸気を回収して水にする水タンクと、
蒸気回収後に前記水タンク内の水が満水に達すると推定される蒸気回収前の前記水タンクの水位である上限水位を検知する上限水位検知部と、
前記上限水位検知部により上限水位が検知されたときに、前記水タンク内の水の排水を促すように報知するまたは排水を行わせる制御部と
を備えたことを特徴とする蒸気回収装置。
【請求項2】
前記水タンクにより回収された蒸気を水にする最低限必要な下限水位を検知する下限水位検知部を備え、
前記制御部は、前記下限水位検知部を通して前記水タンク内の水が下限水位より低いと判断したときに前記水タンクへの給水を促すように報知するまたは給水を行わせる
ことを特徴とする請求項1記載の蒸気回収装置。
【請求項3】
前記上限水位検知部は、前記水タンクの側面に配置されたことを特徴とする請求項1又は2記載の蒸気回収装置。
【請求項4】
前記下限水位検知部は、前記水タンクの側面に配置されたことを特徴とする請求項2又は3記載の蒸気回収装置。
【請求項5】
前記上限水位検知部と下限水位検知部は、前記水タンクの側面に配置されたことを特徴とする請求項2記載の蒸気回収装置。
【請求項6】
前記水タンクの底部外側に配置され、該水タンクの有無を検知するための水タンク検知部を備え、
前記制御部は、前記水タンク検知部により前記水タンクが検知されなかったときに、該水タンクの設置を促すように報知することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の蒸気回収装置。
【請求項7】
前記水タンクの側面に、界面が空気か水かで光の反射量および透過量が変わる反射透過部を備え、
前記上限水位検知部は、前記反射透過部に向けて投光する投光部と、該反射透過部を通して受光される光量に応じて信号を生成する受光部とを有し、
前記制御部は、前記受光部からの信号に基づいて前記水タンク内の水が上限水位に達したかどうかを判定することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の蒸気回収装置。
【請求項8】
前記水タンクの側面に、界面が空気か水かで光の反射量および透過量が変わる反射透過部を備え、
前記下限水位検知部および前記上限水位検知部は、前記反射透過部に向けて投光する投光部と、該反射透過部を通して受光される光量に応じて信号を生成する受光部とをそれぞれ有し、
前記制御部は、前記下限水位検知部からの信号に基づいて前記水タンク内の水が下限水位以上かどうかを判定し、その水が下限水位以上のときに、前記上限水位検知部からの信号に基づいて前記水タンク内の水が上限水位に達したかどうかを判定することを特徴とする請求項2又は請求項2に従属する請求項3乃至6の何れか一項に記載の蒸気回収装置。
【請求項9】
前記反射透過部は、前記水タンクの内側側面に深さ方向に延びて形成された平面三角形状の突起からなり、
前記投光部および受光部は、前記水タンクの外側に前記突起の底辺側に向けて配置されていることを特徴とする請求項7又は8記載の蒸気回収装置。
【請求項10】
前記反射透過部は、前記水タンクの外側側面に深さ方向に延びて形成された平面台形状の突起からなり、
前記投光部は、前記突起の一方の傾斜面に対し直角をなして配置され、前記受光部は、前記突起の他方の傾斜面に対し直角をなして配置されたことを特徴とする請求項7又は8記載の蒸気回収装置。
【請求項11】
前記水タンクの外側側面に形成された平面台形状の突起の上底の長さは、前記水タンクの側面の肉厚のほぼ2倍であることを特徴とする請求項10記載の蒸気回収装置。
【請求項12】
前記反射透過部は、前記水タンクのコーナー部内側に深さ方向に延びて形成された平面三角形状からなり、
前記投光部は、前記水タンクのコーナー部外側に前記三角状の一方の面に向けて配置され、前記受光部は、前記水タンクのコーナー部外側に前記三角状の他方の面に向けて配置されていることを特徴とする請求項7又は8記載の蒸気回収装置。
【請求項13】
前記反射透過部を前記水タンクのコーナー部の側面とし、
前記投光部および受光部は、前記水タンクのコーナー部の外側側面に互いに対向するように配置されていることを特徴とする請求項7又は8記載の蒸気回収装置。
【請求項14】
前記水タンク検知部は、前記反射透過部のうち水の浸らない部分の反射透過部に向けて投光する投光部と、該反射透過部を通して受光される光量に応じて信号を生成する受光部とを有し、
前記制御部は、前記受光部からの信号に基づいて前記水タンクの有無を判定することを特徴とする請求項6に従属する請求項7乃至13の何れかに記載の蒸気回収装置。
【請求項15】
前記水タンクの底部のコーナー部を前記反射透過部として用いることを特徴とする請求項14記載の蒸気回収装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記下限水位検知部および前記上限水位検知部からの信号の組み合わせに基づいて前記水タンクの出し入れを判別し、かつ、この判別より前記水タンクの有無を判定することを特徴とする請求項8記載の蒸気回収装置。
【請求項17】
前記水タンクのコーナー部内側に形成された反射透過部のコーナー部に反射面を設け、 前記制御部は、前記上限水位検知部からの信号の変化に基づいて前記水タンクの出し入れを判別し、かつ、この判別より前記水タンクの有無を判定することを特徴とする請求項12記載の蒸気回収装置。
【請求項18】
前記反射面に切り欠き部あるいは乱反射部を設けたことを特徴とする請求項17記載の蒸気回収装置。
【請求項19】
前記上限水位検知部は、静電容量センサで構成されたことを特徴とする請求項1乃至18の何れかに記載の蒸気回収装置。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れかに記載の蒸気回収装置を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項21】
水タンクの有無を検知するための水タンク検知部を備え、
前記水タンク検知部により前記水タンクが検知されなかったとき、または前記上限水位検知部が上限水位を検知したとき、または前記下限水位検知部が前記水タンク内の水が下限水位より低いと判断したときは、加熱調理器の加熱動作を行えないようにする制御部を設けたことを特徴とする請求項20記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−172941(P2011−172941A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76774(P2011−76774)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【分割の表示】特願2007−285275(P2007−285275)の分割
【原出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】