説明

蒸着フラックス測定装置

【課題】基板をy方向に搬送しつつ蒸着によって成膜を行う際に、光源や受光器を成膜材料で汚染することなく、原子吸光法によって、y方向と直交するx方向の蒸着フラックスを測定する。
【解決手段】測定光をy方向と直交するx方向に通過させ、かつ、測定光の光路より蒸発源側に配置される蒸着フラックスを遮蔽する遮蔽板を用い、測定光の光路と遮蔽板とを相対的に移動することにより、遮蔽板によって遮蔽されない蒸着フラックスに対する、測定光のx方向の通過位置を変更することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空蒸着による成膜等において、成膜レート等を制御するために利用される、蒸着フラックスの測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空蒸着等による成膜において、蒸発源から、成膜される基板に向かう蒸着フラックス(成膜材料の蒸気(成膜材料の蒸発粒子)を原子吸光法によって測定することにより、成膜レート等を制御することが知られている。
【0003】
この蒸着フラックス(以下、フラックスとする)の測定方法は、例えば、特許文献1に示されるように、フラックスを測定する成膜材料に応じた波長の測定光を照射するホロカソードランプ等の光源と、測定光の光量を測定する受光器とを用い、光源から照射された測定光を、基板の近傍においてフラックスを通過させて、フラックスを通過した測定光を受光器によって測定するものである。
フラックスを通過した測定光の光量は、フラックス中の測定成分(被測定粒子)の量に応じて、吸収されて低下する。従って、フラックスを通過した測定光の光量を測定することにより、基板に向かって飛翔する成膜材料の量を測定することができ、例えば、これに応じて、蒸発源における加熱等を制御することで、成膜レート等を管理できる。
【0004】
このようなフラックスの測定において、基板表面に平行な平面でフラックスの分布を測定する場合には、所定方向の複数点でフラックスを測定する必要が有る。例えば、x−y平面におけるx方向のフラックス分布を測定する場合には、y方向にフラックスを通過する測定を、x方向の複数点で行う必要が有る。
【0005】
特許文献1に示されるような、固定された基板(所定位置に保持される基板)に成膜を行う際であれば、この測定方法でx方向およびy方向共に、フラックス分布を測定することができる。
しかしながら、長尺な基板を搬送しつつ成膜を行うロール・ツー・ロール(Roll to Roll)による成膜を行う場合など、基板を所定方向に搬送しつつ成膜を行う場合には、この測定方法で、搬送方向と直交する方向のフラックス分布を測定することが困難である。特に、基板の搬送方向に配列された複数の成膜室において、複数段の成膜を行う場合には、この測定方法で、搬送方向と直交する方向のフラックス分布を測定することは、難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−108615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
周知のように、ロール・ツー・ロールによる成膜は、長尺な基板(ウェブ状の基板)をロール状に巻回してなる供給ロールを用い、供給ロールから送り出した基板を成膜室に搬送し、成膜室において長手方向に搬送しつつ成膜を行い、成膜済の長尺な基板を、再度、ロール状に巻回するものである。
【0008】
ここで、基板の幅方向(x方向)のフラックス分布を測定する場合には、基板の搬送方向(y方向)にフラックスを通過する測定を、幅方向の複数点で行う必要が有る。ところが、ロール・ツー・ロールによる成膜では、往々にして、成膜室が搬送方向に長くなってしまう。この際には、幅方向のフラックス分布を測定するためには、成膜室内に、ホロカソードランプ等の光源や受光器を配置する必要がある。
しかしながら、成膜室内に光源や受光器を配置すると、当然、フラックス(成膜材料蒸気)によって光源等が汚染されてしまい、次第に、正確な測定ができなくなる。
【0009】
成膜室の搬送方向の長さが短ければ、成膜室外に、搬送方向に対向して光源や受光器を配置することができる。しかしながら、この場合でも、基板の搬送方向に複数の成膜室を配置して、複数段の成膜を行う場合には、結局、隣の成膜室内に光源等を配置する結果となり、やはり、正確な測定を行うことができない。
また、このような問題点は、ロール・ツー・ロールによる成膜のみならず、シート状の基板を搬送しつつ成膜を行う場合でも同様である。
【0010】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、ロール・ツー・ロールを利用する真空蒸着などにおける成膜を行う際に、ホロカソードランプ等の光源と受光器とを成膜室外に配置して、原子吸光法を用いる蒸着フラックスの測定によって、基板の搬送方向(y方向)と直交する方向(x方向)の蒸着フラックスの分布を測定することができる蒸着フラックスの測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の蒸着フラックス測定装置は、基板をy方向に搬送しつつ、蒸着によって前記基板に成膜を行う際に、前記y方向と直交するx方向における蒸着フラックスを測定する蒸着フラックス測定装置であって、前記蒸着フラックスを測定するための測定光が、予め設定された蒸着フラックスの測定領域を前記x方向に通過するように配置された、前記測定光の光源、および、前記蒸着フラックスの測定領域を通過した測定光の光量を測定する受光器と、前記蒸着フラックスの測定領域を通過する測定光の光路より下に配置される、前記蒸着フラックスを遮蔽する遮蔽板と、前記測定光の光路と前記遮蔽板とを相対的に移動することにより、前記遮蔽板によって遮蔽されない蒸着フラックスに対する、前記測定光のx方向の通過位置を変更する移動手段とを有することを特徴とする蒸着フラックス測定装置を提供する。
【0012】
このような本発明の蒸着フラックス測定装置において、前記遮蔽板が、前記x方向に延在し、かつ、前記x方向に対して傾斜する端部を有するのが好ましい。
この際において、前記移動手段は、前記遮蔽板の傾斜端部の上部を通過するように、前記測定光の光路を前記y方向および前記y方向と逆方向の少なくとも1方向に移動するのが好ましく、また、前記移動手段は、前記遮蔽板の傾斜端部が前記測定光の光路の下部を通過するように、前記遮蔽板を前記y方向および前記y方向と逆方向の少なくとも1方向に移動するのが好ましい。
【0013】
また、前記移動手段は、前記測定光の光路の前記x方向に対する角度を所定の中心点を軸に変えて、前記遮蔽板の端部と前記測定光の光路との交点を前記x方向に変更するように、前記光源および受光器を動かすのが好ましく、この際において、前記y方向の成膜領域を規制するマスクが、前記遮蔽板を兼ねるのが好ましい。
【0014】
また、前記遮蔽板が、前記測定光の光路の下方に配置される板状物であり、前記移動手段が、この板状物を前記測定光の光路に沿って移動させるものであるのが好ましい。
【0015】
また、前記基板への成膜が、長尺な基板を長手方向とy方向とを一致させて搬送しつつ蒸着を行うものであるのが好ましく、また、前記光源および受光器が、成膜室の前記x方向の外部に配置されるのが好ましい。
さらに、前記光源および受光器と、前記遮蔽板との組み合わせを、前記y方向に離間して2つ有するのが好ましく、この際において、1つの光源からの測定光の光路をミラーによって切り換えることにより、前記y方向の上下流に配置される受光器に測定光を入射させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明によれば、基板をy方向に搬送しつつ成膜を行う際に、蒸着フラックス測定用の遮蔽板を用い、この遮蔽板と測定光の光路とを相対的に移動することにより、蒸着フラックスに対する測定光のx方向(y方向と直交する方向)の通過位置を変更し、これによりx方向の蒸着フラックス分布を測定することができる。
そのため、本発明の蒸着フラックス測定装置によれば、ロール・ツー・ロールによる成膜装置などにおいて、x方向のフラックス分布を適正に把握して、成膜を制御することができ、適正な成膜を、安定して行うことが可能になる。また、光源と受光器とを成膜室の外部に配置できるので、成膜材料に起因する光源等の汚染も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の蒸着フラックス測定装置の一例を利用する成膜装置を概念的に示す図である。
【図2】本発明の蒸着フラックス測定装置の一例を概念的に示す図であり、(A)は上面図、(B)は正面図で、(C)は、変形例の上面図である。
【図3】図2に示す蒸着フラックス測定装置の作用を説明するための概念図である。
【図4】(A)および(B)は、本発明の蒸着フラックス測定装置の別の例を概念的に示す図である。
【図5】本発明の蒸着フラックス測定装置の別の例を概念的に示す図である。
【図6】(A)および(B)は、本発明の蒸着フラックス測定装置の別の例を概念的に示す図である。
【図7】本発明の蒸着フラックス測定装置の別の例を概念的に示す図である。
【図8】本発明の蒸着フラックス測定装置の別の例を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の蒸着フラックス測定装置について、添付の図面に示される好適例を基に、詳細に説明する。
【0019】
図1に、本発明の蒸着フラックス測定装置の一例を利用する成膜装置の一例を、概念的に示す。
図1に示す成膜装置10は、長尺な基板Z(ウエブ状の基板Z)をロール状に巻回してなる基板ロール12から基板を送り出して、長手方向に搬送しつつ真空蒸着によって成膜を行い、成膜済みの基板Zを、再度、巻取り軸14に巻き取ってロール状にする、いわゆる、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)による成膜装置である。
図示例において、成膜装置10は、真空チャンバ16内に形成される、供給室18と、第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cの3つの成膜室を有する成膜ゾーン20と、巻取り室24とを有して構成される。
【0020】
供給室18は、基板ロール12から基板Zを送り出して、成膜ゾーン20(第1成膜室20a)に搬送する室で、回転軸26と、ガイドローラ28a〜28cと、真空排気手段30とを有して構成される。
基板ロール12は、回転軸26に装填される。基板ロール12が装填された回転軸26は、時計周りに回転することにより、基板ロール12に巻回された基板Zを長手方向(図中y方向)に送り出す。
ガイドローラ28a〜28cは、公知のガイドローラで、駆動ローラでも従動ローラでもよい。この点に関しては、後述する各ガイドローラも、全て同様である。
【0021】
真空排気手段30は、供給室18内を所定の圧力(真空度)に減圧するものである。
真空排気手段30には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプ、ドライポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。この点に関しては、後述する真空排気手段42および56も、同様である。
【0022】
基板ロール12から送り出された基板Zは、y方向(長手方向)に搬送され、ガイドロール28a〜28cに案内されて、供給室18と成膜ゾーン20(第1成膜室20a)とを分離する隔壁34に形成された搬入口34aから、成膜ゾーン20に搬送される。
【0023】
成膜ゾーン20は、基板Zの表面に真空蒸着によって成膜を行うものであり、基板Zの搬送方向に配列して、第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cの3つの成膜室を有している。
第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cは、基本的に、同じ構成を有するものであり、蒸発源36と、ガイドローラ38と、マスク40aおよび40bと、真空排気手段42とを有する。なお、最下流の第3成膜室20cのみ、最下流位置にガイドローラ46を有している。
また、各成膜室同士は、基板Zの搬入口48aを有する隔壁48によって隔離される。
【0024】
さらに、第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cには、真空蒸着による蒸着フラックスを原子吸光法によって測定する、本発明の蒸着フラックス測定装置70が配置されている。
図1には、各成膜室の構成を明確に示すために、蒸着フラックス測定装置70を構成する遮蔽板76のみを記している。蒸着フラックス測定装置に関しては、後に詳述する。
【0025】
第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cは、y方向に搬送される基板Zの表面に、真空蒸着によって成膜を行うものである。
図示例において、各成膜室は、多元同時蒸着を行うことができる成膜室で、4つの蒸発源(蒸着源)36が、基板Zの搬送方向に配列されている。
蒸発源36は、真空蒸着に用いられる公知の蒸発源(蒸着源/ルツボ)である。また、蒸発源36の加熱は、抵抗加熱、電子線加熱、誘導加熱等、真空蒸着で利用されている公知の各種の方法で行えばよい。
さらに、図示は省略するが、各成膜室には、蒸着源を閉塞するシャッタ、基板Zの温度調節手段等、公知の真空蒸着装置が有する各種の部材が、必要に応じて配置されている。
【0026】
ここで、蒸発源36は、一例として、基板Zの搬送方向(基板Zの長手方向)であるy方向と直交するx方向(基板Zの幅方向)に延在する長尺な矩形であり、x方向に分割された各領域で、加熱を制御できるように構成される。
この蒸発源36の加熱は、例えば、後述する蒸着フラックス測定装置70による蒸着フラックスの測定結果に応じて制御される。
【0027】
マスク40aおよび40bは、基板Zの搬送方向(y方向)の成膜領域を規制する、公知のマスクである。
図示例においては、マスク40aが基板Zの搬送方向の上流側の成膜領域を、マスク40bが同下流側の成膜領域を、それぞれ、規制する。両マスクは、搬送方向と直交する方向(x方向)には、成膜室内のほぼ全域を覆うサイズを有している。
また、上流側のマスク40aには、本発明の蒸着フラックス測定装置70を構成する遮蔽板76が固定されている。遮蔽板76に関しては、後に詳述する。
【0028】
真空排気手段42は、成膜室内を、実施する真空蒸着に対応する圧力に排気する真空排気手段である。
【0029】
図示例の成膜装置10において、成膜ゾーン20において、第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cの各成膜室で成膜する膜は、同じものでも、異なるものでもよい。また、成膜ゾーン20では、3つの成膜室を全て使用して成膜して成膜を行っても、1室もしくは2室のみを使用して成膜を行ってもよい。
さらに、各成膜室では、必ずしも全ての蒸発源36を使用する必要はない。
【0030】
例えば、成膜ゾーン20(成膜装置10)において、多元同時蒸着の3段階法によってCIGS膜を成膜する場合には、第1成膜室20aでは、3つの蒸発源36に、それぞれ、In、Ga、およびSeを充填し、第2成膜室20bでは、2つの蒸発源36に、それぞれ、CuおよびSeを充填し、さらに、第3成膜室20cでは、3つの蒸発源36に、それぞれ、In、Ga、およびSeを充填する。
その上で、基板Zを搬送しつつ第1成膜室20でインジウム、ガリウム、およびセレンを同時蒸着し、次に、第2成膜室20bで銅およびセレンをを同時蒸着し、さらに、第3成膜室20cでインジウム、ガリウム、およびセレンを同時蒸着することにより、基板ZにCIGSを成膜する。
【0031】
供給室18から第1成膜室20aに搬送された基板Zは、第1成膜室20a、第2成膜室20b、第3成膜室20cと、順次、搬送されて、1以上の成膜室において真空蒸着による成膜を行われ、ガイドローラ46によって案内されて、成膜ゾーン20(第3成膜室20c)と巻取り室24とを分離する隔壁50に形成された搬入口50aから、巻取り室24に搬送される。
【0032】
巻取り室24は、成膜ゾーン20において成膜された基板Zを、巻取り軸14に巻き取って、再度、ロール状にするものである。
図示例において、巻取り室24は、前述の巻取り軸14と、4つのガイドローラ54a〜54dと、巻取り室24を所定の圧力に排気する真空排気手段56とを有する。
巻取り室24に搬送された成膜済の基板Zは、ガイドローラ54a〜54dに、順次、案内されて所定の搬送経路で搬送され、巻取り軸14に巻き取られて、再度、ロール状にされる。
【0033】
前述のように、図示例の成膜装置10において、成膜ゾーン20の第1成膜室20a、第2成膜室20b、および、第3成膜室20cには、本発明の蒸着フラックス測定装置が配置さている。
図2に、その一例を概念的に示す。図2において、(A)は上面図、(B)は正面図である。なお、図2(B)は、図1と同方向から見た図である。
【0034】
図2に示す蒸着フラックス測定装置70(以下、測定装置70とする)は、原子吸光法によって、各成膜室での真空蒸着による蒸着フラックス(成膜材料の蒸気(成膜材料の蒸発粒子)の測定を行うものであり、光源72と、受光器74と、遮蔽板76と、光源72および受光器74を移動する移動手段(図示省略)とを有する。
本発明の測定装置70は、基板Zの搬送方向(基板Zの長手方向)であるy方向と直交する、x方向(基板Zの幅方向)の複数の位置において、蒸気フラックスF(図2中に細かい破線で概念的に示す)を測定することができ、すなわち、x方向のフラックス分布が測定可能な装置である。
なお、図2においては、図面を簡略化して本発明の測定装置70の構成を明瞭にするために、ガイドローラ38は省略し、また、蒸発源36は1個(図2(A)では省略)として示す。また、同様に、図2(A)においては、遮蔽板76の上方に位置するマスク40aは破線で示し、同基板Zは二点鎖線で示す。
【0035】
光源72は、原子吸光法による蒸着フラックス(以下、フラックスとも言う)Fの測定を行うための測定光Lを照射するものである。
本発明の測定装置70において、フラックス測定方法自体は、基本的に、原子吸光法を用いる、公知の蒸着フラックスの測定方法である。従って、光源72は、測定するフラックスF(成膜材料原子)に応じて、このフラックスFに吸収される波長の光を照射するホロカソードランプ等、原子吸光法によるフラックス測定に用いられる、公知の光源を用いればよい。
【0036】
例えば、前述の多元同時蒸着によるCIGSの成膜において、銅のフラックスを測定する場合には、銅のホロカソードランプを、インジウムのフラックスを測定する場合にはインジウムのホロカソードランプを、ガリウムのフラックスを測定する場合にはガリウムのホロカソードランプを、それぞれ、光源72として用いればよい。
また、複数の成膜材料(原子)のフラックスFを測定する場合には、それぞれの成膜材料に対応する光源を、回転可能なターレット等に載置して、測定する成膜材料に対応する光源を、使用するようにしてもよい。あるいは、さらに、通常の連続波長の光を照射する光源を用いて、波長を分析することで、目的とする成膜材料のフラックス測定を行ってもよい。
【0037】
受光器74も、測定光Lの光量(輝度/光強度)測定が可能な、公知の原子吸光法によるフラックス測定に用いられる受光器が、全て利用可能である。
なお、測定装置70において、フラックス量の検出は、例えば、受光器74が受光した測定光Lの光量とフラックスFの量との関係とを、予め、実験やシミュレーション等で検出して、テーブル化しておく方法等、原子吸光法を用いる蒸着フラックスの測定方法で利用されている、公知の方法によれば良い。
【0038】
光源72および受光器74は、光源72から受光器74に至る測定光Lの光路が、x方向と一致するように、配置される。
また、光源72および受光器74は、真空チャンバ16の外部に配置される。すなわち、光源72および受光器74は、第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cを形成するx方向のチャンバ壁16aの外部(図2(B)においては、紙面に垂直方向の外部)に配置される。
各成膜室のx方向のチャンバ壁16aの測定光Lの通過位置には、測定光Lが透過可能な材料、例えば、石英ガラス等からなる窓部78が形成されている。
【0039】
なお、図示例の測定装置70においては、y方向(基板Zの搬送方向)と直交するx方向のフラックス分布を測定するために、光源72および受光器74は、x方向と測定光Lの光路を一致した状態で、基板Zの搬送方向であるy方向(あるいは逆方向)と一致するa方向に移動する。
従って、窓部76は、a方向には、光源72および受光器74の移動量に応じた十分な長さを有する。
【0040】
前述のように、特許文献1等に記載されるフラックス測定方法では、x方向のフラックス分布を測定するためには、y方向に測定光を照射するように光源および受光器を配置して、x方向の複数点でフラックス測定を行う必要がある。
これに対して、本発明では、後に詳述するように、x方向に測定光Lを照射して、x方向のフラックス分布を測定することができる。そのため、図1に示す成膜装置10のように、長尺な基板Zを長手方向に搬送しつつ成膜を行い、かつ、複数の成膜室を配列してなる装置でも、容易に、成膜室(成膜空間)の外に、光源72および受光器74を配置することができ、成膜材料蒸気による光源72および受光器74の汚染を防止できる。
【0041】
前述のように、図示例の測定装置70においては、x方向のフラックス分布を測定するために、光源72および受光器74は、x方向と測定光Lの光路を一致した状態で、基板Zの搬送方向であるy方向(あるいは逆方向)と一致するa方向に移動する。すなわち、測定装置70においては、測定光Lは、光路をx方向と一致した状態で、光路をa方向に移動する。この点に関しては、後に詳述する。
なお、光源72および受光器74の移動方法には、特に限定はなく、ラックアンドピニオン、ネジ伝動、プーリとベルトを用いる移動方法等、公知の移動方法が、全て、利用可能である。
【0042】
y方向すなち基板Zの搬送方向の成膜領域を規制するマスク40aおよび40bの内、上流側のマスク40aの下部には、遮蔽板76が配置される。
図2(B)に示すように、光源72および受光器74は、フラックスFを測定する測定光Lが、この遮蔽板76とマスク40aとの間を通過するように配置される。ここで、フラックスFの測定は、出来るだけ基板Zの近傍で行うのが好ましいので、遮蔽板76とマスク40aとの間隔は、測定光Lが十分に通過可能な間隔で、かつ、出来るだけ近接して設定するのが好ましい。
【0043】
遮蔽板76は、x方向(基板Zの幅方向)にマスク40aと同じ長さを有する、x方向に延在する板状物であり、y方向下流側の端部(端辺)76aが、x方向に対して傾斜する形状を有する。
図示例の測定装置70においては、このような、x方向に延在し、かつ、x方向に対して傾斜する端部76aを有する遮蔽板76を用い、かつ、測定光Lの光路(光源72および受光器74)を、端部76aの上を通過するようにa方向に移動することにより、x方向の複数点でフラックスFを測定して、x方向のフラックス分布を測定することを可能にしている。
【0044】
前述のように、測定光Lの光路は、遮蔽板76とマスク40aとの間に設定される。
ここで、矢印x方向に延在し、かつ、矢印x方向に対して傾斜する端部76aを有する遮蔽板76を有する測定装置70においては、x方向に進行する測定光Lがa方向の何処に位置するかによって、遮蔽板76の無い場所を通過する測定光Lの光路長が異なる。
【0045】
例えば、図3に概念的に示すように、測定光Lの光路(以下、単に『測定光L』とも言う)が、y方向に遮蔽板76が存在しない位置p1となる場合には、測定光Lは、最初から最後まで遮蔽板76が無い場所をd1の長さ通過して、受光器74に至る。
これに対して、y方向に遮蔽板76が存在する位置p2を測定光Lが通過すると、測定光Lは、d1よりも短いd2の長さだけ遮蔽板76が無い場所を通過した後に、遮蔽板76の上を通過して、受光器74に至る。
さらに、測定光Lが、より図中左の位置p3を通過すると、測定光Lは、d2よりも短いd3の長さだけ遮蔽板76が無い場所を通過した後に、遮蔽板76の上を通過して、受光器74に至る。
【0046】
ここで、前述のように、測定光Lの光路は、遮蔽板76の上(かつマスク40aの下)に設定されている。従って、遮蔽板76が無い位置では、当然、フラックスFは遮蔽されないので、測定光Lの光路まで上昇する。
そのため、測定光Lが位置p1を通過する場合には、測定光Lは、成膜室内の全域の距離d1でフラックスFの中を通過する。これに対して、測定光Lがp2である場合には、測定光LがフラックスFの中を通過する距離は短くなってd2となる。さらに、測定光Lの光路がp3である場合には、測定光LがフラックスFの中を通過する距離は、さらに短くなってd3となる。
すなわち、測定装置70においては、測定光Lのa方向の位置によって、測定光Lが、x方向にフラックスFの中を通過する長さが変わる。
【0047】
従って、測定光L(すなわち光源72および受光器74)をa方向に連続的(あるいは断続的)に移動して、測定光Lの光量を測定して、フラックス量を検出し、例えば、その検出結果を微分することにより、x方向における測定光Lと遮蔽板76との交点を測定点として、x方向の複数点におけるフラックス量を検出して、基板Zの搬送方向と直交するx方向のフラックス分布を測定することができる。
あるいは、例えば、各測定位置におけるフラックス量の差分を取ることにより、同様に、x方向における測定光Lと遮蔽板76との交点を測定点として、各測定点の間におけるx方向のフラックスの量を測定して、x方向におけるフラックス分布を測定してもよい。
【0048】
すなわち、本発明の蒸着フラックス測定装置は、基板を所定のy方向に搬送して成膜を行うに際し、測定光LをフラックスFに対してy方向と直交するx方向に通過させ、かつ、フラックスFを遮蔽するフラックス測定用の遮蔽板を用い、さらに、遮蔽板と測定光Lとを相対的に移動することにより、フラックスFに対するx方向の測定光の通過位置を変更し、これにより、x方向の複数点でフラックスFを測定して、x方向のフラックス分布を測定することを可能にしている。
また、測定光LをフラックスFに対してx方向に通過させるので、図1に示す成膜装置10のように、複数の成膜室を配列して複数段の成膜を行う際でも、測定光Lの光源および受光器を成膜室の外に配置することができ、成膜材料による光源や受光器の汚染に起因するフラックスFの測定誤差も無くすことができる。
【0049】
測定装置70において、測定光Lをa方向に移動する手段は、図示例のように、光源72および受光器74を移動する方法に限定はされず、各種の光学装置において利用されている、各種の方法が利用可能である。
例えば、図2(C)に示すように、2枚のミラー80を用いて測定光Lをx方向と一致する光学系として、光源72および受光器74を固定して、このミラー80をa方向に移動することにより、測定光Lの光路をx方向と一致した状態でa方向に移動するようにしてもよい。
また、フラックス分布の測定は、測定光Lをa方向の何れの方向に移動して行ってもよく、また、a方向の両方向に移動して行ってもよい。
【0050】
図示例の測定装置70は、測定光Lをa方向に移動することにより、遮蔽板76と測定光Lとを相対的に移動しているが、本発明は、これに限定されない。
例えば、図4(A)に概念的に示すように、全く同様の遮蔽板76を用い、測定光L(光源72および受光器74)は固定して、遮蔽板76をa方向に移動することにより、遮蔽板76と測定光Lとを相対的に移動してもよい。もしくは、遮蔽板76と測定光Lの両方をa方向に移動してもよい。
【0051】
また、測定装置70は、x方向に対して一方向に傾斜する端部76aを有する遮蔽板76を用いる構成にも限定はされず、例えば、図4(B)に示される遮蔽板84のように、x方向の中心を頂点として逆方向に傾斜する、山形の端部84aを有する形状等、x方向に延在し、かつ、x方向に対して傾斜する端部(端辺)を有するものであれば、各種の形状の遮蔽板が利用可能である。
さらに、測定光Lの光路が、x方向と一致する構成にも限定はされず、x方向に測定対象となるフラックスFを通過する光路であれば、x方向に対して角度を有するように、測定光Lの光路を設定してもよい。
【0052】
本発明の蒸着フラックス測定装置は、x方向に延在し、かつ、x方向に対して傾斜する遮蔽板76を用いる構成に限定はされず、各種の遮蔽板が利用可能である。
【0053】
一例として、図5に概念的に示すように、端部86aがx方向と一致して延在する遮蔽板86を用い、かつ、光源72を、測定光Lがy方向もしくは逆方向(図中b方向)に回動するように回転し、また、受光器74も、この測定光Lの回動に同期して移動(回動)する構成も利用可能である。なお、この構成においても、測定光Lは、遮蔽板86とマスク40aとの間を通過するのは、当然のことである。
【0054】
図5に示すように、この構成によれば、測定光Lが光源72側を中心に回動することにより、x方向と測定光Lとの角度が、漸次、変わり、これにより、遮蔽板86の端部と測定光Lとの交点がx方向に移動する。そのため、測定光Lのx方向に対する角度変化および遮蔽板86との交点の移動により、測定光Lが、遮蔽板86に遮蔽されないフラックス中を通過する長さを、x方向に変更することができる。
従って、この構成でも、前述の測定装置70等と同様に、x方向の複数点でフラックスFを測定して、x方向の分布を測定することができる。
【0055】
図5に示される構成の蒸着フラックス測定装置では、x方向と一致する端部を有する遮蔽板を用いることができる。そのため、基板Zとマスク40aとの間に、測定光Lが通過可能な間隙を有する場合には、マスク40aの上に測定光Lの光路を設定し、マスク40aを、遮蔽板として用いてもよい。
また、図5に示される構成においては、光源72を回転させる構成以外にも、ミラー等を用いて、測定光Lを回動させてもよい。
さらに、この測定光Lを回動する構成においても、図2等に示すx方向に対して傾斜する端部を有する遮蔽板を利用してもよい。
【0056】
本発明の蒸着フラックス測定装置においては、x方向に移動する遮蔽板を利用することにより、遮蔽板に遮蔽されないフラックスFに対して、測定光Lのx方向の通過位置を変更してもよい。
図6(A)に、その遮蔽板の一例を示す。
図6(A)に示される例は、マスク40aの下に、x方向に移動可能な遮蔽板90を設け、この遮蔽板90とマスク40aとの間に測定光Lの光路を設ける構成である。この構成では、遮蔽板90のx方向の位置に応じて、遮蔽板90に遮蔽されないフラックスFのx方向の位置が変わる。
従って、遮蔽板90をx方向に移動することにより、遮蔽板90に遮蔽されないフラックスFに対して、測定光Lのx方向の通過位置を変更して、x方向の複数点で、フラックス測定を行い、x方向のフラックス分布を検出することができる。
【0057】
なお、図6(A)に示される構成において、遮蔽板90のの移動方法には、特に限定はなく、公知の板状物の移動方法が、全て、利用可能である。
【0058】
また、遮蔽板をx方向に移動する別の構成として、図6(B)に示されるような、エンドレスベルトを用いる構成も、利用可能である。
このエンドレスベルト92は、測定光Lが透過可能な材料で形成される物であり、マスク40a(図示省略)の下部において、2本のローラ94に張架されて、公知の方法でx方向に回転される。ここで、このエンドレスベルト92のy方向下流側(蒸発源側)の端部に、遮蔽板として作用する凸部92aが形成されている。また、測定光Lは、この凸部92aの上(すなちち、結果的に凸部92aの間)を通過する。
従って、この構成においても、エンドレスベルト92の回転によって、凸部92aの位置がx方向に移動し、この凸部92aの位置に応じて、遮蔽されないフラックスFのx方向の位置が変わり、これにより、凸部92a(遮蔽板)に遮蔽されないフラックスFに対して、測定光Lのx方向の通過位置を変更して、x方向の複数点でフラックス測定を行い、x方向のフラックス分布を検出することができる。
【0059】
凸部92aのx方向のサイズx1および間隔x2には、特に限定はないが、本発明者らの計算によれば、サイズx1および間隔x2共に、x方向の蒸着領域の有効幅に対して、1/2程度とするのが好ましい。
【0060】
図6(A)および(B)に示されるように、遮蔽板をx方向に移動する構成においては、必要に応じて、蒸着領域以外には、固定の遮蔽板を設けてもよい。
また、図6(A)および(B)に示されるように、遮蔽板をx方向に移動する構成においては、遮蔽板の移動方向すなわち測定光Lの光軸は、必ずしもx方向に一致している必要はなく、測定光Lの光路と、遮蔽板の移動方向とが一致していればよい。しかしながら、やはり、x方向のフラックス分布を適正に測定できる等の点で、測定光Lおよび遮蔽板の移動方向は、x方向に一致しているのが好ましい。
【0061】
以上の例では、遮蔽板のy方向の蒸発源36側によって、フラックスFを遮蔽して、遮蔽板に遮蔽されないフラックスFに対する、測定光Lのx方向の通過位置を変更させていたが、本発明は、これに限定はされない。
すなわち、図7に概念的に示すように、フラックスFを遮蔽する遮蔽板(フラックスの遮蔽機構 図7は、図2に示す遮蔽板76で例示)の、蒸発源36と逆側によってフラックスFを遮蔽して、遮蔽板に遮蔽されないフラックスFに対する、測定光Lのx方向の通過位置を変更させてもよい。
【0062】
また、以上の例では、y方向(基板Zの搬送方向)の上流側に配置されるマスク40aの下に遮蔽板を配置して、y方向の成膜領域の上流側において、フラックス測定をしているが、本発明は、これに限定はされない。
すなわち、y方向下流側のマスク40bの下に、遮蔽板を配置して、この遮蔽板とマスク40bとの間(図5に示す構成であればマスク40bの上でも可)に測定光Lの光路を設定して、y方向の成膜領域の下流側において、フラックス測定をしてもよい。あるいは、y方向の上下流の両方において、フラックス測定をするようにしてもよい。
【0063】
ここで、y方向の上下流の両方において、フラックス測定を行う場合には、上下流の測定位置の両方に対応して、光源72を設けるのに限定はされない。
例えば、図8(一例として、図4(B)の遮蔽板84で例示)に模式的に示すように、光源72を一つにして、受光器74と対面する位置にミラー98を配置し、このミラー98の間に、図中の矢印cに示すように揺動するミラー100を設け、ミラー100を揺動して、上流側および下流側の測定装置に測定光Lを、振り分けることにより、y方向の上下流の両方において、フラックス測定を行うようにしてもよい。
【0064】
なお、本発明の測定装置において、測定するフラックスFには、特に限定はなく、原子吸光法によって測定可能なフラックスFが、全て測定可能である。
ここで、本発明の測定装置は、遮蔽板を用いてフラックスFを規制することにより、x方向における測定光のフラックス通過位置を変更する。そのため、銅、インジウム、ガリウム等の直進性の高い原子の測定には、特に好適に利用可能である。
【0065】
以下、成膜装置10の作用を説明する。
基板ロール12が回転軸26に装着されると、基板Zが基板ロール12から引き出され、供給室18のガイドローラ28a〜28c、成膜ゾーン20の各成膜室のガイドローラ38および最終のガイドローラ46、巻取り室24のガイドローラ54a〜54dを経て、巻取り軸14に至る、所定の搬送経路で挿通される。
また、成膜ゾーン20において、各成膜室の各蒸発源36に、成膜する膜に応じた成膜材料が充填される。
【0066】
基板Zが所定の搬送経路で挿通され、成膜材料の充填が終了したら、真空チャンバ16を閉塞して、真空排気手段30、42、および56を駆動する。
各室の圧力が安定し、かつ、各蒸発源の温度が安定したら、基板Zの搬送を開始し、基板Zの搬送速度が安定した時点で、成膜ゾーン20の各成膜室において、蒸着源のシャッタを開放して、基板Zへの成膜を開始する。
基板ロール12から送り出された基板Zは、供給室18から成膜ゾーン20に搬送されて、各成膜室において、加熱手段38に加熱されて蒸発源36によって成膜され、巻取り室24に搬送され、巻取り軸14に巻回され、再度、ロール状にされる。
【0067】
ここで、この基板Zへの成膜中、成膜装置10においては、測定手段70によって、各成膜材料のx方向(基板搬送方向(y方向)と直交する方向(基板Zの幅方向))のフラックス分布を測定する。また、前述のように、各蒸発源36は、x方向に延在する長尺な矩形形状であり、x方向に分割された各領域で、加熱を制御できるように構成される。
成膜装置10においては、測定したx方向のフラックス分布に応じて、膜を形成する各成膜材料が、所定の比率や量となるように各成膜材料の蒸発源36の加熱を制御する。さらに、測定したx方向のフラックス分布に応じて、各蒸発源36において、成膜材料がx方向に均一になるように、x方向における各領域の加熱を制御する。
従って、本発明の測定手段70を用いる成膜装置10によれば、成膜した膜中における各成膜材料による成分の量比が適正で、かつ、x方向にも均一な膜を、安定して成膜することができる。
【0068】
以上、本発明の蒸着フラックス測定装置について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【0069】
例えば、図示例においては、長尺な基板Zを長手方向に搬送しつつ成膜を行う、ロール・ツー・ロールの装置に、本発明の蒸着フラックス測定装置を利用した例であるが、本発明は、これに限定はされず、カットシート状の基板を所定の方向(y方向)に搬送しつつ、成膜を行う成膜装置にも、好適に利用可能である。
また、本発明は、真空蒸着等の蒸着による成膜における蒸着フラックスの測定に限定はされず、スパッタリングによる成膜にも、利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
例えば太陽電池に利用されるCIGSの成膜等、真空蒸着等による成膜における蒸着レート(成膜レート)の管理等に、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 成膜装置
12 基板ロール
14 巻取り軸
16 真空チャンバ
18 供給室
20 成膜ゾーン
20a 第1成膜室
20b 第2成膜室
20c 第3成膜室
24 巻取り室
26 回転軸
28a〜28c,38,46,54a〜54d ガイドローラ
34,48,50 隔壁
30,42,56 真空排気手段
36 蒸発源
70 (蒸着フラックス)測定装置
72 光源
74 受光器
76,82,86,90 遮蔽板
78 窓部
80,98,100 ミラー
92 エンドレスベルト
94 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をy方向に搬送しつつ、蒸着によって前記基板に成膜を行う際に、前記y方向と直交するx方向における蒸着フラックスを測定する蒸着フラックス測定装置であって、
前記蒸着フラックスを測定するための測定光が、予め設定された蒸着フラックスの測定領域を前記x方向に通過するように配置された、前記測定光の光源、および、前記蒸着フラックスの測定領域を通過した測定光の光量を測定する受光器と、
前記蒸着フラックスの測定領域を通過する測定光の光路より下に配置される、前記蒸着フラックスを遮蔽する遮蔽板と、
前記測定光の光路と前記遮蔽板とを相対的に移動することにより、前記遮蔽板によって遮蔽されない蒸着フラックスに対する、前記測定光のx方向の通過位置を変更する移動手段とを有することを特徴とする蒸着フラックス測定装置。
【請求項2】
前記遮蔽板が、前記x方向に延在し、かつ、前記x方向に対して傾斜する端部を有する請求項1に記載の蒸着フラックス測定装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記遮蔽板の傾斜端部の上部を通過するように、前記測定光の光路を前記y方向および前記y方向と逆方向の少なくとも1方向に移動する請求項2に記載の蒸着フラックス測定装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記遮蔽板の傾斜端部が前記測定光の光路の下部を通過するように、前記遮蔽板を前記y方向および前記y方向と逆方向の少なくとも1方向に移動する請求項2または3に記載の蒸着フラックス測定装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記測定光の光路の前記x方向に対する角度を所定の中心点を軸に変えて、前記遮蔽板の端部と前記測定光の光路との交点を前記x方向に変更するように、前記光源および受光器を動かす請求項1に記載の蒸着フラックス測定装置。
【請求項6】
前記y方向の成膜領域を規制するマスクが、前記遮蔽板を兼ねる請求項5に記載の蒸着フラックス測定装置。
【請求項7】
前記遮蔽板が、前記測定光の光路の下方に配置される板状物であり、
前記移動手段が、この板状物を前記測定光の光路に沿って移動させるものである請求項1に記載の蒸着フラックス測定装置。
【請求項8】
前記基板への成膜が、長尺な基板を長手方向とy方向とを一致させて搬送しつつ蒸着を行うものである請求項1〜7のいずれかに記載の蒸着フラックス測定装置。
【請求項9】
前記光源および受光器が、成膜室の前記x方向の外部に配置される請求項1〜8のいずれかに記載の蒸着フラックス測定装置。
【請求項10】
前記光源および受光器と、前記遮蔽板との組み合わせを、前記y方向に離間して2つ有する請求項1〜9のいずれかに記載の蒸着フラックス測定装置。
【請求項11】
1つの光源からの測定光の光路をミラーによって切り換えることにより、前記y方向の上下流に配置される受光器に測定光を入射させる請求項10に記載の蒸着フラックス測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−72420(P2012−72420A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216506(P2010−216506)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】