説明

蒸着材料の蒸発方法および蒸発装置ならびに真空蒸着装置

【課題】蒸発の起動停止および蒸発量を容易に調整できる。
【解決手段】蒸発容器21内で材料収納部20Aに収容された材料を加熱溶融する第1加熱装置22と、下部を溶融材料Aに浸漬させて外周部材23aに同伴させ上方に搬送する円筒状の搬送ドラム23と、搬送ドラム23に同伴させて蒸発部20Bに搬送された溶融材料Aを加熱して蒸発させる第2加熱装置24と、第2加熱装置24の加熱温度を制御する蒸発制御装置とを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELなどの熱分解性材料を加熱気化させる蒸着材料の蒸発方法および蒸発装置ならびにこの蒸発装置から蒸発された蒸発材料を基板などの被蒸着部材に蒸着させる真空蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献1に開示された蒸着装置は、複数のるつぼ内の材料をそれぞれ加熱蒸発させて被蒸着体に蒸着させ、その蒸着膜厚を膜厚計によりそれぞれ測定し、複数の材料比率が所定値になるように、材料の加熱温度を制御するものである。
【特許文献1】特開2004−59982
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
所望の膜厚を形成して蒸着を停止する場合、急激にるつぼの温度を下げても、るつぼ内の材料全体に蓄えられている潜熱により、加熱温度の変化に対する材料の温度変化の応答性が悪く、短時間で蒸発を停止することができないため、被蒸着体の下方に配置したシャッター装置を作動して、蒸着の停止を行っている。これにより、無駄な蒸発材料が生じると共に、シャッター装置への蒸発材料の堆積量が多くなると、これが剥離してパーティクルとなり浮遊したり、高温部に落下して再蒸発するなど、膜形成に悪影響を与える。このため、清掃などメンテナンスの頻度が増大するという問題があった。
【0004】
また有機EL材料の場合、熱伝導率が悪く、熱源からの距離に応じた温度勾配ができるので、機能を失う(劣化する)熱分解温度を加熱の上限とし、蒸発温度以上、熱分解温度未満の範囲で温度制御を行うことで、温度勾配に従って材料の蒸発流量を調整することになるが、蒸発温度−熱分解温度の範囲が5〜10℃程度の幅しかない材料では、十分な蒸発流量を確保できないとともに、蒸発流量のの調整範囲が狭いという問題があった。
【0005】
さらにるつぼ内の材料に、蒸発に寄与しない無駄な熱量を与え続けることになり、この熱により材料の劣化を招くおそれもあった。
本発明は上記問題点を解決して、材料の蒸発の起動や停止を迅速に行うことにより無駄な材料の蒸発を抑制できるとともに、材料の劣化を未然に防止でき、さらに蒸発量を容易かつ精度良く制御可能な蒸着材料の蒸発方法および蒸発装置ならびに真空蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の蒸着材料の蒸発方法は、真空蒸着室内で被蒸着材に蒸着させるための材料を蒸発させるに際して、材料を材料収容部から前記蒸発部に少量ずつ連続搬送するとともに、前記材料収容部と前記蒸発部とでそれぞれ加熱する2段階加熱とし、前記材料収容部で材料を蒸発温度未満で蒸発温度近傍に加熱し、前記蒸発部で材料を蒸発温度以上で分解温度未満の所定範囲に加熱して蒸発量を制御するものである。
【0007】
請求項2記載の蒸着材料の蒸発方法は、請求項1記載の方法において、蒸発部で、材料に供給する供給熱量を、材料収容部から前記蒸発部に搬送された材料の全量を蒸発させるように制御するとともに、搬送される材料の搬送量を増減させることにより、蒸発量を制御するものである。
【0008】
請求項3記載の蒸着材料の蒸発方法は、請求項1記載の方法において、蒸発部で、材料に供給する供給熱量を、搬送された材料の全量を蒸発させる熱量より少ない範囲で増減させることにより、蒸発量を制御するものである。
【0009】
請求項4記載の蒸発装置は、材料収容部に収容された材料を蒸発温度より低い所定範囲の温度に加熱する第1加熱装置を設け、材料を無端状の移動体に同伴させて前記材料収容部から蒸発部に少量ずつ連続して搬送する材料移送装置を設け、前記蒸発部に、前記移動体により搬送された前記材料を加熱して蒸発させる第2加熱装置を設け、前記第2加熱装置の加熱温度を材料の蒸発温度以上で分解温度未満の所定範囲に制御して、材料の蒸発量を制御する制御装置を設けたものである。
【0010】
請求項5記載の蒸発装置は、請求項4記載の構成において、制御装置は、材料移送装置の無端状の移動体の移動速度を制御して、材料収容部から蒸発部に搬送する材料の搬送量を制御可能に構成されたものである。
【0011】
請求項6記載の蒸発装置は、請求項4または5記載の構成において、材料移送装置は、回転駆動装置により水平軸心周りに回転される回転体の外周部材を無端状の移動体とし、前記外周部材は、材料を保持可能なメッシュ状または凹凸状に形成されたものである。
【0012】
請求項7記載の蒸発装置は、請求項4または5記載の構成において、材料移送装置は、材料収容部に水平軸心周りに回転自在に支持された回転体と、蒸発部に水平軸心周りに回転自在に支持された回転体と、前記両回転体の間に巻張されて無端状の移動体を構成する無端状のベルト部材とを具備したものである。
【0013】
請求項8記載の蒸発装置は、請求項7記載の発明において、材料移送装置に、ベルト部材を介して搬送される材料の温度を調整可能な温度調整装置と、前記ベルト部材の過熱を防止する過熱防止装置を設けたものである。
【0014】
請求項9記載の真空蒸着装置は、請求項4乃至8のいずれかに記載の蒸発装置と、前記蒸発装置から誘導部を介して導入された蒸発材料を、拡散容器で均一拡散して複数の放出ノズルから被蒸着部材に向かって放出する放出部を具備したものである。
【0015】
請求項10記載の真空蒸着装置は、請求項4乃至8のいずれかに記載の蒸発装置を複数具備し、前記各蒸発装置により、それぞれ異なる材料を加熱して気化させ、各蒸発装置の材料移送装置は、移動体を移動させる駆動用の軸が互いに連結されるとともに、蒸発装置間の前記軸に回転速度を調整可能な変速装置が介在され、前記軸が1つの回転駆動装置により回転駆動されるものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の蒸着材料の蒸発方法によれば、材料収容部と蒸発部とで2段階加熱とし、蒸発部では、蒸発温度近傍にまで加熱された少量の搬送材料に対して、残りの熱量を供給することで蒸発させるので、蒸発の応答性を向上させて蒸発量を容易かつ精度良く制御することができ、また材料の蒸発の起動や停止を迅速に行うことができて、無駄な材料の蒸発を抑制できる。さらに材料収容部における材料の劣化を未然に防止することができる。
【0017】
請求項2記載の蒸着材料の蒸発方法によれば、蒸発部で搬送されたすべての材料を蒸発させるので、無端状の回動体に同伴されて蒸発部から材料収容部に循環される材料がなくなり、材料の劣化を未然に防止することができる。また蒸発温度と分解温度の範囲が狭い材料であっても、材料の搬送量と蒸発部で供給する熱量を制御することにより、蒸発量の制御範囲を大幅に拡大できるとともに、従来以上に蒸発量を増大することができる。
【0018】
請求項3記載の蒸着材料の蒸発方法によれば、供給熱量の増減により容易に蒸発量を制御することができる。
請求項4記載の蒸発装置によれば、材料収容部で蒸発温度の近くまで加熱する第1加熱装置と、蒸発部で蒸発温度以上に加熱する第2加熱装置とを設けて、材料を2段階に加熱し蒸発させ、材料収容部の材料は、第1加熱装置により蒸発に達するような熱量を与えず蒸発温度以上に加熱されることがないので、従来のように不要な熱が与え続けられることがなく、材料が劣化されることがない。また、前述の2段階に加熱し蒸発させることと、材料移送装置により予熱済みの材料を少量ずつ蒸発部に搬送することにより、第2加熱装置により搬送量に応じた少ない供給熱量で材料を蒸発させることができて、材料の蒸発量の制御を容易かつ精度よく行うことができる。さらに第2加熱装置の加熱・停止の切替により蒸発の起動・停止を迅速に行うことができ、無駄な材料の発生を未然に防止することができる。
【0019】
また第2加熱装置の加熱温度が材料の蒸発温度以上で分解温度未満に制御されるので、蒸発温度と分解温度の差が小さい材料であっても、第2加熱装置により分解されることがない。
【0020】
さらに制御装置により第2加熱装置の供給熱量の供給または停止を行うことで、材料の蒸発の起動と停止とを迅速に行うことができる。
請求項5記載の蒸発装置によれば、制御装置により、材料の搬送量を増減すると同時に、その搬送された材料のたとえば全量を蒸発できるように第2加熱装置の供給熱量を制御することで、移動体に同伴されて蒸発部から材料収納部に戻る未蒸発の材料を無くすることができて材料の劣化を防止することができ、材料の蒸発量を精度よく制御することができる。
【0021】
請求項6記載の蒸発装置によれば、円筒状の搬送ドラムの外周部材を移動体としたので、簡易な構造で製作が容易となり、移動体となる外周部材をセラミックスのような固体材料により製作することができ、移動体の材料の選択範囲が広い。
【0022】
請求項7記載の蒸発装置によれば、移動体を、複数の回転体間に巻張された無端状のベルト部材とすることにより、材料収容部や蒸発部を任意位置に設置することができ、蒸発装置の設計の自由度を向上させることができる。またベルト部材の循環経路を十分に長く形成することができることから、ベルト部材を介して搬送される材料の温度管理が容易となる。
【0023】
請求項8記載の蒸発装置によれば、温度調整装置により、ベルト部材により搬送された材料の温度と蒸発温度との差を小さくしておくことで、第2加熱装置により確実に材料を蒸発させることができる。また過熱防止装置により、同伴される材料の過熱による分解、劣化を未然に防止することができる。
【0024】
請求項9記載の真空蒸着装置によれば、蒸発量を容易かつ精度良く制御可能な蒸発装置を設けたことにより、蒸発の起動と停止が可能となり、また蒸発温度と分解温度が接近した材料であっても、蒸発材料を分解劣化させることなく、その供給量を精度良く制御でき被蒸着部材の膜厚制御を容易に行うことができる。
【0025】
請求項10記載の真空蒸着装置によれば、異なる材料を別々に加熱蒸発させる場合、各蒸発装置で移動体を駆動する軸を互いに連結し、その軸に変速装置を介在させることにより、1台の回転駆動装置により複数の蒸発装置をそれぞれ作動させ、さらに移動体の移動速度を調整して、複数の蒸発装置による材料の蒸発量を別々に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
本発明に係る蒸着材料の蒸発方法および蒸発装置ならびに真空蒸着装置の実施の形態1を図1〜図3を参照して説明する。
【0027】
この真空蒸着装置は、たとえば有機ELディスプレイの表示部を製造するもので、真空蒸着室1a内で基板(被蒸着部材)3に、たとえば2種類の材料、主成分であるホスト材料A(以下材料Aという)と、微量添加成分であるドーパント材料B(以下材料Bという)とをそれぞれ蒸着するものである。
【0028】
この真空蒸着装置は、図1に示すように、真空ポンプ(図示せず)が接続されて真空蒸着室1aを形成する真空蒸着容器1と、前記真空蒸着室1aの上部で基板3を鉛直軸心O周りに回転可能に保持する基板回転保持装置4と、材料A,Bをそれぞれ加熱して気化させる第1,第2蒸発装置(蒸発装置)11A,11Bと、第1,第2蒸発装置11A,11Bから供給される第1,第2蒸発材料A,Bをそれぞれ基板3に向かって放出する第1,第2放出部13A,13Bと、蒸発装置11A,11Bから供給される材料A,Bの蒸発量をそれぞれ調整可能な蒸発量制御装置(制御装置)5とを具備している。
【0029】
前記真空蒸着容器1の下部外側には、材料Aを加熱し気化する第1蒸発装置11Aおよび材料Bを加熱し気化する第2蒸発装置11Bがそれぞれ並設されている。また第1,第2蒸発装置11A,11Bから気化された蒸発材料A,Bをそれぞれ真空蒸着室1a内に導入する第1,第2誘導管12A,12Bが接続されており、真空蒸着室1a内には第1,第2誘導管12A,12Bを介して導入された蒸発材料A,Bをそれぞれ基板13に向かって放出する第1,第2放出部13A,13Bが設けられている。
【0030】
前記第1蒸発装置11Aと第2蒸発装置11Bは同一構造であるため、第1蒸発装置11Aのみを説明して第2蒸発装置11Bの説明は省略する。
第1蒸発装置11Aは、図2,図3に示すように、真空構造の蒸発容器21の下部に材料Aを収容する材料収容部20Aが設けられるとともに、蒸発容器21の上部に第1誘導管12Aが接続された蒸発部20Bが設けられている。この蒸発容器21内には、水平方向の回転軸(軸)23bを介して円筒形の搬送ドラム23が回転自在に支持された材料移送装置20Cが設けられている。
【0031】
前記材料収容部20Aには、搬送ドラム23の外周部に略一定の材料収容間隔をあけて材料Aを収容する円弧状の区画底板25が配置されて材料Aが収容され、区画底板25の外側に配置された第1加熱装置22により材料Aを蒸発温度未満でその近傍の所定の温度範囲に加熱して溶融する。前記材料移送装置20Cは搬送ドラム23と、搬送ドラム23を回転させる後述の回転駆動装置42により構成されている。搬送ドラム23は、回転軸(軸)23bに左右の端板23d,23dを介して移動体を構成するたとえばメッシュ状の外周部材23aが取り付けられ、この外周部材23aにより溶融材料Aを少量ずつ均等量を保持して上方に連続搬送する。蒸発部20Bには、搬送ドラム23の外周部材23aに同伴され搬送された溶融材料Aを、蒸発温度以上に加熱して蒸発させる第2加熱装置24が設けられている。
【0032】
蒸発容器21は箱形で、外側面にそれぞれ保温用ヒータ21aが設けられている。また蒸発容器21の上面に開口され蒸発部20Bに連通される蒸気出口に、フランジ部を介して第1誘導管12Aが接続されている。
【0033】
前記蒸発部20Bに配置された第2加熱装置24は、ドラム回転方向Dの上流側と下流側とに全幅方向にわたって先端部がそれぞれ摺接される2枚の加熱板24a,24bを具備し、これら加熱板24a,24bには加熱ヒータ24c,24cがそれぞれ内蔵されるか、または基端部側に設けられた加熱ヒータにより加熱されている。そして、外周部材に同伴された材料Aの温度または加熱板24a,24bの摺接部の温度を温度センサー(図示せず)で検出し、温度センサーで検出値に基づき、蒸発量制御装置5により加熱制御部26を介して加熱ヒータ24c,24cの供給電力(電圧値または電流値)を制御することで、加熱板24a,24bを材料Aの蒸発温度以上で分解温度未満の所定の温度範囲に制御するように構成されている。ここで搬送ドラム23の回転方向Dの上流側と下流側とに加熱板24a,24bをそれぞれ配置したのは、上流側の加熱板24aで外周部材23aにより搬送された溶融材料Aのほとんどを蒸発させ、下流側の加熱板24bで残存された溶融材料Aを蒸発させるためである。ここで、溶融材料Aを分解温度以上に加熱しないために、上流側と下流側の加熱板24a,24bは、加熱温度および供給熱量がそれぞれ別々に制御される。
【0034】
前記搬送ドラム23の外周部材23aは、溶融材料Aを保持しやすいメッシュ状に形成したが、溶融材料Aを保持可能な形状であれば他の形状でもよく、たとえば図4に示すように、外周部材23aに幅方向の横溝23eを多数形成したものや、図5に示すように、外周部材23aの表面に多数の凹部(凸部または凹凸部)23fを形成したものでもよい。これらの場合には線膨張係数の小さいセラミックスなどの固体材料により外周部材23aを形成することもできる。そして、材料の粘度と、これらメッシュ状の網目の大きさや横溝23e、凹部23fの大きさ、深さなどにより同伴される材料の搬送量が決定される。
【0035】
27は外周部材23aに同伴された溶融材料Aの搬送量を調整するためのスクレーパ、28は回転軸23bに介在された磁気カップリングで、蒸発容器の気密性を保持しつつ回転動力を伝達することができる。
【0036】
図1に示すように、第1放出部13Aおよび第2放出部13Bには、蒸発材料A,Bをそれぞれ均一に分散させる拡散空間(バッファ空間ともいう)が形成された第1拡散容器31Aおよび第2拡散容器31Bがそれぞれ上下位置に配設されている。
【0037】
上部の第1拡散容器31Aは、下面に第2拡散容器31Bを貫通した第1誘導管12Aが接続され、また上面に複数の第1放出ノズル32A(または放出用開口部でもよい)が所定位置に設けられている。またこの第1拡散容器31Aには、蒸発材料A,Bの付着や劣化を防止するための予熱装置(図示せず)が設けられており、第1拡散容器31Aの上面は、予熱装置の輻射熱を遮蔽するための第1断熱カバー33Aで覆われている。
【0038】
また第2拡散容器31Bは、下面に第2誘導管12Bが接続され、その上面に複数の第2放出ノズル32Bが所定位置に突設され、これら第2放出ノズル32Bは第1拡散容器31Aを貫通してその上面上方に開口されている。またこの第2拡散容器31Bには、蒸発材料A,Bの付着や劣化を防止するための予熱装置(図示せず)が設けられており、第2拡散容器31Bの上面は、予熱装置の輻射熱を遮蔽するための第2断熱用カバー33Bに覆われている。
【0039】
さらに基板回転保持装置4の下面を開閉自在に覆い基板3への蒸着を防止するシャッター装置34が配設されており、基板3の交換時などに使用される。また真空蒸発室1a内の基板3の近傍で複数個所に水晶振動子35aが配置され、これら水晶振動子35aの出力信号が蒸発レート検出装置35に入力されて基板3に蒸着される膜厚が検出される。
【0040】
前記第1,第2誘導管12A,12Bの予熱装置12a,12aと、第1,第2拡散容器31A,31Bの予熱装置は、各蒸発材料A,Bの蒸発温度以上でかつ分解温度未満の範囲に設定され、かつ第1,第2誘導管12A,12B側から下流の第1,第2拡散容器31A,31Bに至るほど温度が高くなるように設定され、蒸発材料A,Bが第1,第2蒸発装置11A,11Bから第1,第2誘導管12A,12Bを介して第1,第2拡散容器31A,31Bに滞留や付着することなくスムーズにそれぞれ流れるように構成されている。
【0041】
前記第1蒸発装置11Aと第2蒸発装置11Bの搬送ドラム23,23の回転軸23b,23bは、回転速度を調整可能な無段式の変速装置41が介在された連結軸(軸)44を介して互いに連結連動され、第1蒸発装置11Aの回転軸23bに回転数を調整可能な減速器付の回転駆動装置42の出力軸42aが連結されている。
【0042】
前記蒸発量制御装置5は、速度調整部43により回転駆動装置42または変速装置41を介して搬送ドラム23,3をそれぞれ起動・停止および速度制御し、さらに加熱調整部26により、第1加熱装置22,22および第2加熱装置24,24を起動・停止し、さらに加熱温度ならびに供給熱量を制御するものである。この蒸発量制御装置5により、蒸発レート検出装置35の信号に基づいて、速度調整部43を介して回転駆動装置42と変速装置41とをそれぞれの回転速度を制御し、搬送ドラム23の外周部材23aによる溶融材料A,Bの搬送量を制御することができ、また加熱調整部26を介して第2加熱装置24,24の加熱温度を材料A,Bの蒸発温度以上で分解温度未満の所定範囲に制御して、搬送された溶融材料A,Bへの供給熱量を制御することで、材料収容部20A,20Aから蒸発部20B,20Bに順次少量ずつ連続搬送される材料A,Bの蒸発量をそれぞれ高精度で制御することができる。また蒸発温度と分解温度の範囲が狭い材料A,Bであった場合でも、材料移送装置20Cによる材料A,Bの搬送量と、蒸発部20Bでの第2加熱装置24による供給熱量とを制御することにより、蒸発量の制御範囲を大幅に拡大できるとともに、従来以上に蒸発量を増大することができ、大流量の蒸発材料を安定して供給することができる。
【0043】
上記構成において、第1,第2蒸発装置11A,11Bでは、第1加熱装置22,22により材料A,Bをそれぞれ加熱して溶融させ、各溶融材料A,Bをそれぞれの蒸発温度未満でその近傍の温度に保持する。そして回転駆動装置42を起動して搬送ドラム23,23をそれぞれD方向に回転させ、外周部材23aを材料収容部50A,50Aで溶融材料A,Bに浸漬させて保持させる。さらに外周部材23aをD方向に回転移動して均等に少量が同伴された溶融材料A,Bをそれぞれ上方に連続搬送し、蒸発部50B,50Bで第2加熱装置24,24により溶融材料A,Bを蒸発温度以上にそれぞれ加熱して蒸発させる。これら蒸発材料A,Bは、それぞれ第1,第2誘導管12A,12Bを介して第1,第2拡散容器31A,31Bに導入され、均一に分散された後、第1,第2放出ノズル32A,32Bからそれぞれ基板3に向かって放出され蒸着される。
【0044】
ここで、水晶振動子35aを介して蒸発レート検出器35により基板3の膜厚が所定の厚さに達したのが検出されると、蒸発量制御装置5により、速度調整部43を介して回転駆動装置42を停止して回転ドラム23,23の回転を停止するとともに、第2加熱装置24,24による加熱を停止し、蒸発材料A,Bの供給を停止する。そして、真空蒸着室1a内の蒸着済みの基板3を新たな基板3と交換した後、蒸発量制御装置5により速度調整部43を介して回転駆動装置42を起動し搬送ドラム23,23の回転を再開するとともに、第2加熱装置24による加熱を開始して材料A,Bをそれぞれ蒸発し供給する。
【0045】
蒸着作業中に、水晶振動子35aを介して蒸発レート検出器35により、蒸着量が減少したと判断されると、蒸発量制御装置5により、速度調整部43を介して回転駆動装置42または変速装置41の回転速度を増速して、搬送ドラム23による溶融材料A,Bの搬送量を増量させ、さらに加熱調整部26を介して第2加熱装置24の供給熱量を増大し、材料A,Bの蒸発量を増加させる。また反対に蒸発量を減少させることもできる。
【0046】
またここで、第2加熱装置24,24の加熱温度を材料A,Bの蒸発温度以上で、分解温度未満の所定範囲に制御しつつ、第2加熱装置24,24からの供給熱量を、搬送ドラム23により搬送される溶融材料A,Bをすべて蒸発させる熱量の中間量、たとえば50〜80%程度で増減することにより、蒸発量を制御することもできる。
【0047】
上記第1,第2蒸発装置11A,11Bによれば、材料収容部20Aで蒸発温度近くまで加熱する第1加熱装置22,22と、蒸発部20Bで蒸発温度以上に加熱する第2加熱装置24,24とを設けて2段階加熱するとともに、材料移送装置20Cにより材料収容部20Aから材料A,Bを少量ずつ均等量を蒸発部20Bに連続搬送するので、従来のようにるつぼを一度に加熱するのに比較して、第2加熱装置24,24からの供給熱量の調整量が少なくても、蒸発部20B,20Bにおける材料A,Bの蒸発量を増減することができ、容易かつ精度よく制御することができる。また、材料収容部20Aに収容された大部分の材料A,Bは、第1加熱装置22,22により蒸発温度以上に加熱されることがないので、分解温度に達することはなく、劣化が未然に防止される。
【0048】
また第2加熱装置24,24による加熱温度が、材料A,Bの蒸発温度以上で、分解温度未満の所定範囲に保持されることから、第2加熱装置24,24により材料A,Bが分解されて劣化されることもない。
【0049】
さらに蒸発量制御装置5により第2加熱装置24,24の供給熱量の供給と停止を行うことで、材料の蒸発の起動と停止とを迅速に行うことができ、無駄な材料の蒸発を防止することができて、高価な材料の使用量を減らし材料コストを削減することができる。
【0050】
さらにまた、第2加熱装置24,24により、蒸発部20B,20Bに搬送された溶融材料A,Bの全量がすべて蒸発可能な供給熱量を供給することで、これにより未蒸発の材料A,Bが外周部材23aに同伴されて材料収納部20A,20Bに循環移動されることがなくなり、材料A,Bの分解や劣化を未然に防止することができる。この状態で、蒸発量制御装置5により、材料移送装置20Cの搬送ドラム23の回転速度を制御して外周部材23aによる溶融材料A,Bの搬送量を制御すると同時に、第2加熱装置24,24の供給熱量を、搬送された溶融材料A,Bの全量がすべて蒸発可能な供給熱量となるように制御することで、蒸発量を精度良く制御することができる。
【0051】
また外周部材23aの温度を材料A,Bの蒸発温度未満でその近傍に保持可能な過熱防止装置(図示せず)を設けることにより、未蒸発の材料A,Bが外周部材23aに残されても、分解劣化するのを防止することができる。
【0052】
さらに真空蒸着装置において、回転駆動装置42により互いに連結された回転軸23b,23bを介して第1,第2蒸発装置11A,11Bの各搬送ドラム23,23をそれぞれ回転させるとともに、変速装置41により第2蒸発装置11Bの搬送ドラム23の回転速度を調整することにより、材料A,Bの蒸発量を別々に制御することができ、回転駆動装置42が1台で2つまたはそれ以上の台数の蒸発装置11A,11Bを作動することができ、設備コストを削減することができる。
【0053】
なお、前記区画底板25を、搬送ドラム23の外周部材23aの外周部に略一定の材料収容間隔をあけて配置して、少ない材料A,Bでも効率よく搬送可能に構成したが、図6に示すように、蒸発容器21を横起きの円筒形とすることにより、蒸発容器21の底部を区画底板として、区画底板25を不要にすることもできる。
【0054】
また、加熱により溶融する材料A,Bについて説明したが、図7に示すように、昇華型の材料Cを使用することもできる。この昇華型の材料Cは、粒状体で自重で自然崩落するものであれば、材料収容部20Aにおいて十分な崩壊落差hを確保することにより、上位の材料Cが自重で常に底部に崩落して材料Cを搬送ドラム23の外周部材23aに接触させ、材料Cを外周部材23aに同伴させることができる。また材料Cが絶縁性の場合、効率よく材料Cを搬送ドラム23の外周部材23aに同伴させるために、区画底板25と搬送ドラム23との間に電荷を付与し、帯電された材料Cを外周部材23aに静電気を利用して付着させる同伴用の静電装置28を設けてもよい。この場合には、スクレーパ28により材料Cの搬送量を精度よく調整することができる。
【0055】
さらに、第1蒸発装置11Aの搬送ドラム23と第2蒸発装置11Bの搬送ドラム23とを別々の回転駆動装置により回転させて回転速度をそれぞれ制御することもできる。
[実施の形態2]
次に、上記真空蒸着装置に用いられる蒸発装置の実施の形態2を図8,図9を参照して説明する。実施の形態1では搬送ドラム23の外周部材23aを移動体として使用したが、実施の形態2では、溶融材料A,B(C)を保持可能な可撓性材質で、無端状ベルト部材を移動体として使用したものである。なお、実施の形態1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
蒸発容器50内の材料移送装置50Cは、材料収容部50Aに水平方向の下回転軸52aを介して下回転体(回転体)52が回転自在に支持され、前記下回転体52の上方の蒸発部50Bに所定間隔をあけて、上回転体(回転体)53が水平方向の上回転軸53aを介して回転自在に支持されている。そして下回転体52と上回転体53とにわたって移動体を構成する無端状のベルト部材51、たとえばメッシュベルトが巻張されている。そして下回転軸52aを回転駆動する回転駆動装置54により下回転体52が矢印E方向に回転され、ベルト部材51が材料収容部50Aと蒸発部50Bとの間で循環移動される。もちろん上回転体53を回転駆動してもよい。また前記下回転体52および上回転体53は、中空状または中実状の円柱形ロール体や複数のスプロケットホイールなどから形成される。もちろん、絶縁性の材料の場合には、材料収容部50Aの区画底板25と上回転体53と電圧を印加して先と同様の蒸発部同伴用の静電装置を設けてもよい。
【0057】
ベルト部材51の循環経路は、下回転体52に巻回された同伴転向部55Aと、下回転体52から上回転体53に至る搬送部55Bと、上回転体53に巻回された蒸発転向部55Cと、上回転体53から下回転体52に至る復帰部55Dからなる。そして、搬送部55Bと蒸発転向部55Cとの一方または両方に、ベルト部材51を介して材料A,B(C)の温度を、蒸発温度未満でその近傍の温度に保持する温度調整装置56A,56Bが設けられている。搬送部55Bに設けられる温度調整装置56Aは、ベルト部材51の裏面に温度調整部材を摺接してベルト部材51の温度を蒸発温度未満の近傍(たとえば数度下)に保持するものである。また蒸発転向部55Cの温度調整装置56Bは、上回転体53に内蔵された加熱ヒータや加熱流体管などからなり、上回転体53に巻回されたベルト部材51の温度を蒸発温度未満でその近傍(たとえば数度下)に保持するものである。これら温度調整装置56A,56Bにより、ベルト部材51を介して同伴された材料A,B(C)を温度制御することで、ベルト部材51により蒸発部50Bに搬送された材料A,B(C)の全搬送量を、第2加熱装置24により搬送量に応じた適切な供給熱量で確実に蒸発させることができる。
【0058】
また復帰部55Dには、ベルト部材51の温度を調整可能な過熱防止装置57が設けられている。この過熱防止装置57は、循環移動されるベルト部材51が蓄熱されて材料A,B(C)の蒸発温度以上になるのを防止して、接触される材料A,B(C)の蒸発や分解を未然に防止するものであり、たとえばベルト部材51の裏面に冷却部材を摺接させて吸熱することにより、材料収容部50Aの溶融材料A,B(C)の温度以上にならないように構成されている。
【0059】
上記構成によれば、実施の形態1の効果に加えて、移動体としてベルト部材51を使用し、ベルト部材51を材料収容部50Aの下回転体52と蒸発部50Bの上回転体53とにわたって巻張し、材料収容部50Aで第1加熱装置22により加熱された材料A,B(C)を蒸発部50Bに搬送し第2加熱装置24により加熱蒸発させるので、蒸発量制御装置5により速度調整部43を介して下回転体52の移動速度を制御し、ベルト部材51により搬送される溶融材料A,B(C)の搬送量をそれぞれ調整し、第2加熱装置24,24の加熱温度を材料A,Bの蒸発温度以上で、分解温度未満の所定範囲に保持しつつ、その搬送量に対応して第2加熱装置24,24から搬送溶融材料A,B(C)への供給熱量を調整することにより、蒸発の起動、停止を迅速に行うことができるとともに、蒸発量を容易かつ精度良く制御することができる。さらにこの時、第2加熱装置24,24から溶融材料A,B(C)に全搬送量が蒸発可能な熱量を供給することで、外周部材23aに同伴されて循環移動される未蒸発の材料A,B(C)をほとんど無くすことができ、材料A,B(C)が分解、劣化するのを効果的に防止することができる。
【0060】
また、第2加熱装置24から供給する熱量を、ベルト部材51により搬送される溶融材料A,B(C)をすべて蒸発させる熱供給量の中間量、たとえば50〜80%程度に設定しておき、第2加熱装置24への供給熱量のみを制御することにより、蒸発の起動、停止および蒸発量を制御することもできる。
【0061】
さらにベルト部材51の循環経路で、搬送部55Bおよび蒸発転向部55Cの少なくとも一方に温度調整装置56A,56Bを設け、復帰部55Dに過熱防止装置57を設けることにより、ベルト部材51および搬送される材料材料A,B,Cの温度管理を効果的に実施できて、蒸発量をより精度良く制御することができる。
【0062】
なお、ベルト部材51をメッシュベルトに替えて、図4,図5に示すように、表面に凹凸のある可撓性のベルト部材を採用してもよい。
また、実施の形態1,2では、第2加熱部材24が、メッシュまたは凹凸に形成された搬送ドラム23の外周部材23a、ベルト部材51の表面に直接摺接するように図示しているが、たとえば平坦面や微細な凹凸でその表面に所定の厚みで付着させ同伴させるような場合には、第2加熱部材24は外周部材23a、ベルト部材51の表面から材料の厚み分だけ離れて配置されることになる。さらに第2加熱部材24を板状に形成したが、多数の穴を形成することで、蒸発材料の通過を許すようにしてもよい。
【0063】
さらに、第2加熱部材24は材料に直接接触させて伝熱する直接加熱式としたが、加熱ヒータなどの輻射熱を利用した間接加熱式としてもよい。
さらに各実施の形態では、蒸発装置11A,11Bにより蒸発の起動・停止が可能であるが、誘導管12A,12Bや放出部13A,13Bに残留する蒸発材料の蒸着を防止して精度よく膜厚を制御するために、シャッター装置34を使用することもできる。この場合、シャッター装置34への蒸発材料の付着量を大幅に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る真空蒸着装置の実施の形態1を示す構成図である。
【図2】本発明に係る蒸発装置を示す側面方向の断面図である。
【図3】蒸発装置の側面方向の断面図である。
【図4】蒸発装置の搬送ドラムの外周部材の他の形態を示す部分斜視図である。
【図5】蒸発装置の搬送ドラムの外周部材のさらに他の形態を示す部分斜視図である。
【図6】蒸発装置の蒸発容器の変形例を示す側面方向の断面図である。
【図7】蒸発装置の蒸発容器の他の変形例を示す側面方向の断面図である。
【図8】本発明に係る蒸発装置の実施の形態2を示す側面方向の断面図である。
【図9】上記蒸発装置の正面方向の断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 真空蒸着容器
1a 真空蒸着室
3 基板
4 基板回転保持装置
5 蒸発量制御装置
11A 第1蒸発装置
11B 第2蒸発装置
12A 第1誘導管
12B 第2誘導管
13A 第1放出部
13B 第2放出部
20A 材料収容部
20B 蒸発部
20C 材料移送装置
21 蒸発容器
22 第1加熱装置
23 搬送ドラム
23a 外周部材
23b 回転軸
24 第2加熱装置
24a 第1加熱板
24b 第2加熱板
26 加熱調整部
31A 第1拡散容器
31B 第2拡散容器
32A 第1放出ノズル
32B 第2放出ノズル
35 蒸発レート検出器
41 変速装置
42 回転駆動装置
43 速度調整部
50 蒸発容器
50A 材料収容部
50B 蒸発部
50C 材料移送装置
51 メッシュベルト
52 下回転体
53 上回転体
54 回転駆動装置
56A 温度調整装置
56B 温度調整装置
57 過熱防止装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空蒸着室内で被蒸着材に蒸着させるための材料を蒸発させるに際して、
材料を材料収容部から前記蒸発部に少量ずつ連続搬送するとともに、前記材料収容部と前記蒸発部とでそれぞれ加熱する2段階加熱とし、
前記材料収容部で材料を蒸発温度未満で蒸発温度近傍に加熱し、
前記蒸発部で材料を蒸発温度以上で分解温度未満の所定範囲に加熱して蒸発量を制御する
蒸着材料の蒸発方法。
【請求項2】
蒸発部で、材料に供給する供給熱量を、材料収容部から前記蒸発部に搬送された材料の全量を蒸発させるように制御するとともに、
搬送される材料の搬送量を増減させることにより、蒸発量を制御する
請求項1記載の蒸着材料の蒸発方法。
【請求項3】
蒸発部で、材料に供給する供給熱量を、搬送された材料の全量を蒸発させる熱量より少ない範囲で増減させることにより、蒸発量を制御する
請求項1記載の蒸着材料の蒸発方法。
【請求項4】
材料収容部に収容された材料を蒸発温度より低い所定範囲の温度に加熱する第1加熱装置を設け、
材料を無端状の移動体に同伴させて前記材料収容部から蒸発部に少量ずつ連続して搬送する材料移送装置を設け、
前記蒸発部に、前記移動体により搬送された前記材料を加熱して蒸発させる第2加熱装置を設け、
前記第2加熱装置の加熱温度を材料の蒸発温度以上で分解温度未満の所定範囲に制御して、材料の蒸発量を制御する制御装置を設けた
蒸発装置。
【請求項5】
制御装置は、材料移送装置の無端状の移動体の移動速度を制御して、材料収容部から蒸発部に搬送する材料の搬送量を制御可能に構成された
請求項4記載の蒸発装置。
【請求項6】
材料移送装置は、回転駆動装置により水平軸心周りに回転される回転体の外周部材を無端状の移動体とし、
前記外周部材の表面に材料を保持可能な凹凸面が形成された
請求項4または5記載の蒸発装置。
【請求項7】
材料移送装置は、材料収容部に水平軸心周りに回転自在に支持された回転体と、蒸発部に水平軸心周りに回転自在に支持された回転体と、前記両回転体の間に巻張されて無端状の移動体を構成する無端状のベルト部材とを具備した
請求項4または5記載の蒸発装置。
【請求項8】
材料移送装置に、ベルト部材の温度を制御可能な温度調整装置と、前記ベルト部材の蓄熱を防止する過熱防止装置を設けた
請求項7記載の蒸発装置。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれかに記載の蒸発装置と、
前記蒸発装置から誘導部を介して導入された蒸発材料を、拡散容器で均一拡散して複数の放出ノズルから被蒸着部材に向かって放出する放出部を具備した
真空蒸着装置。
【請求項10】
請求項4乃至8のいずれかに記載の蒸発装置を複数具備し、
前記各蒸発装置により、それぞれ異なる材料を加熱して気化させ、
前記各蒸発装置の材料移送装置は、移動体を移動させる駆動用の軸が互いに連結されるとともに、蒸発装置間の前記軸に回転速度を調整可能な変速装置が介在され、前記軸が1つの回転駆動装置により回転駆動される
真空蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−224394(P2007−224394A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49442(P2006−49442)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】