説明

蓄熱装置

【課題】蓄熱装置に蓄えられている温熱量又は冷熱量の増減を告知し、また将来の温熱量又は冷熱量の増減を予測して告知する告知手段を提供する。
【解決手段】発生する熱を蓄え、蓄えた熱の取り出しを可能とする蓄熱装置1a,1bにおいて、前記蓄熱装置1a,1bに蓄えられている温熱量又は冷熱量の増減が検出されて告知される蓄熱量告知手段と、前記蓄熱装置1a,1bから流出される温熱量又は冷熱量の増減が検出されて告知される熱流出告知手段と、前記蓄熱装置1a,1bに流入される温熱量又は冷熱量の増減が検出されて告知される熱流入告知手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温熱又は冷熱を蓄えるとともに蓄えた温熱又は冷熱を取り出し可能とする蓄熱装置に関し、蓄えられている温熱量又は冷熱量と、取り出された温熱量又は冷熱量と、外部から供給されて蓄えられている温熱量又は冷熱量とを検出して外部に告知し、あるいは、走行環境における温熱又は冷熱の発生量もしくは消費量あるいはこれら発生量と消費量との差分である蓄熱増減量とを予測し、その予測内容を告知内容として外部に告知するする蓄熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧縮式のヒートポンプが車両に搭載されていることは周知のとおりである。そのヒートポンプの動力源は、走行用の動力源を兼ねている内燃機関やモータであり、そのため、車両の走行のための駆動力に大きい動力を必要とする場合には、ヒートポンプで使用できる動力が制約され、また反対に走行のために要求される動力が小さい場合には、ヒートポンプなどに使用できるいわゆる余剰動力が大きくなる。このような動力の変動とヒートポンプに要求される動力とは必ずしも一致しないので、ヒートポンプを駆動して得られた熱を蓄熱もしくは蓄冷しておくことが好ましい。
【0003】
このようにすれば、動力源で発生する余剰の動力を、蓄熱もしくは蓄冷の形で回収することができ、また冷房や暖房のために要求されるヒートポンプの駆動力が不足する場合には、蓄熱材に蓄えた熱エネルギを利用して冷房もしくは暖房を行うことができる。また、このように構成した場合には、冷凍サイクルにおける凝縮器から外部に放出していた熱を回収できるので、エネルギ効率を向上させ、ひいては車両の燃費を向上させることができる。
【0004】
蓄熱装置の蓄熱量は、ヒートポンプで得られた熱や冷凍サイクルにおける凝縮器から外部に放出された熱などを回収することにより増大する。また、蓄熱装置の蓄熱量は、蓄熱装置に蓄えられた蓄熱量が暖房又は冷房に使用されることにより減少する。ここで、蓄熱量の表示については、エンジンの冷却水回路等に設けられている潜熱蓄熱装置に関して蓄熱量を計測してLED表示する発明が特許文献1に記載されている。
【0005】
特許文献2には、ハイブリッド車の動力がエンジンとフロントタイヤとの間、フロントモータとフロントタイヤとの間、フロントモータとバッテリとの間、リアモータとバッテリとの間、リアモータとリアタイヤとの間で伝達される構成の装置が開示されている。そして、特許文献2の装置では、これらの伝達されている動力についてのエネルギフローを表示させるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−309121号公報
【特許文献2】特開2002−247706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に記載されているLED表示には、潜熱蓄熱装置に関する蓄熱量が表示されている。そのために、潜熱蓄熱装置の使用者は蓄えられている蓄熱量については認識することが可能であるが、潜熱蓄熱装置に加えられる熱量、又は熱蓄熱装置から放出される熱量、又は潜熱蓄熱装置に設けられている温熱蓄熱部と冷熱蓄熱部との間で熱交換される熱量については認識することができない。換言すれば、潜熱蓄熱装置に関する使用者は蓄熱量の増減及び温熱蓄熱部と冷熱蓄熱部との間で熱交換される熱量については認識することができない。
【0008】
また、上述した特許文献2に記載されているエネルギフローの表示によれば、エンジン、フロントモータ、リアモータやバッテリの駆動装置とフロントタイヤ、リアタイヤの駆動部との間を移動するエネルギ量が表示される。そのために、このエネルギフローの表示により、車両を運転している運転者等はどの駆動装置の動力を使用して走行をしているか認識することができる。
【0009】
しかしながら、これはエネルギの入出力の現状を示すに過ぎないので、需要を満たし得るエネルギの有無を知ることはできない。
【0010】
この発明は上記の課題に着目してなされたものであり、温熱量又は冷熱量の現状と予測内容とを示す蓄熱装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、温熱又は冷熱を蓄えるとともに蓄えた温熱又は冷熱を取り出し可能な蓄熱装置において、蓄えられている温熱量又は冷熱量を検出して外部に告知する蓄熱量告知手段と、取り出された温熱量又は冷熱量を検出して外部に告知する熱流出告知手段と、外部から供給されて蓄えられる温熱量又は冷熱量を検出して外部に告知する熱流入告知手段とを有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記蓄熱装置は温熱を蓄える温熱蓄熱部と冷熱を蓄える冷熱蓄熱部とを有し、前記温熱蓄熱部と前記冷熱蓄熱部との間で熱変換される温熱量又は冷熱量を検出して外部に告知する熱交換告知手段を有することを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記蓄熱量告知手段および前記熱流出告知手段ならびに前記熱流入告知手段のそれぞれにおける外部への告知内容を、視覚で認識できる光学的手法と聴覚で認識できる音響的手法と電気信号とのいずれかで出力する出力部を更に備えていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかの発明において、蓄えられた温熱又は冷熱を電気エネルギに変化して取り出す熱出力手段を更に備え、前記熱流出告知手段は前記熱出力手段で電気エネルギに変換した熱量を外部に告知する手段を含むことを特徴とするものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかの発明において、電気エネルギを温熱又は冷熱に変換して入力する熱入力手段を更に備え、前記熱入力告知手段は、前記熱入力手段で電気エネルギから熱エネルギに変換した熱量を外部に告知する手段を含むことを特徴とするものである。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかの発明において、電気エネルギを前記熱入力手段に加えることにより前記温熱蓄熱部と前記冷熱蓄熱部との間で熱交換がなされ、前記電気エネルギには蓄電装置に蓄えられている電気エネルギが含まれ、前記蓄電装置に蓄えられている蓄電量を検出して外部に告知する蓄電量告知手段を有することを特徴とするものである。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかの発明において、車両に搭載され、かつ前記蓄熱量告知手段および前記熱流出告知手段ならびに前記熱流入告知手段および前記熱交換告知手段の少なくともいずれかの手段は、前記車両の予測される走行環境における温熱又は冷熱の発生量もしくは消費量あるいはこれら発生量と消費量との差分である蓄熱増減量とを予測し、その予測内容を告知内容として外部に告知する手段を含むことを特徴とするものである。
【0018】
請求項8の発明は、請求項6または7の発明において、車両に搭載され、かつ前記蓄電量告知手段は前記車両の予測される走行環境における蓄電装置に蓄えられる電気エネルギ量あるいはこれら発生量と消費量との差分である蓄電増減量とを予測し、その予測内容を告知内容として外部に告知する手段を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、蓄熱装置に蓄えられている温熱量又は冷熱量と、蓄熱装置に取り出された温熱量又は冷熱量と、外部から供給されて蓄熱装置に蓄えられる温熱量又は冷熱量とが、検出されて外部に告知される。そのため、蓄熱装置に蓄えられている温熱量または冷熱量と、蓄熱装置に流入されている温熱量または冷熱量と、蓄熱装置から流出されている温熱量または冷熱量を認知することが可能となる。
【0020】
請求項2の発明によれば、前記蓄熱装置は温熱を蓄える温熱蓄熱部と冷熱を蓄える冷熱蓄熱部とを有し、前記温熱蓄熱部と冷熱蓄熱部との間で熱変換がされている。そして、熱交換されている温熱量又は冷熱量が検出されて外部に告知されている。そのため、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、蓄熱装置に蓄えられている温熱及び冷熱を互いに熱交換する際の熱交換量を認知することが可能となる。
【0021】
請求項3の発明によれば、蓄熱装置に蓄えられている温熱量又は冷熱量と、蓄熱装置に取り出された温熱量又は冷熱量と、外部から供給されて蓄熱装置に蓄えられる温熱量又は冷熱量とが光学的手法または音響的手法または電気信号のいずれかにより出力される。そのため、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、蓄熱装置に蓄えられている温熱量または冷熱量と、蓄熱装置に流入されている温熱量または冷熱量と、蓄熱装置から流出されている温熱量または冷熱量を視覚もしくは聴覚により認知することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、蓄熱装置に蓄えられている温熱量又は冷熱量が電気エネルギに変化され、この電気エネルギが検出されて告知されている。そのため、請求項1から3のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、電気エネルギを検出することにより蓄熱装置に蓄えられている温熱量または冷熱量と、蓄熱装置に流入されている温熱量または冷熱量と、蓄熱装置から流出されている温熱量または冷熱量を認知することが可能となる。
【0023】
請求項5の発明によれば、電気エネルギを温熱又は冷熱に変換して入力する熱入力手段が備えられ、この変換された熱量が告知されている。そのため、請求項1から4のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、電気エネルギから熱エネルギに変換された熱量を認知することが容易となる。
【0024】
請求項6の発明によれば、電気エネルギを前記熱入力手段に加えることにより前記温熱蓄熱部と前記冷熱蓄熱部との間で熱交換がなされ、前記電気エネルギには蓄電装置に蓄えられている電気エネルギが含まれており、前記蓄電装置に蓄えられている蓄電量が検出されて告知されている。そのため、請求項1から5のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、蓄電量および蓄電量を認知することが可能となる。
【0025】
請求項7の発明によれば、車両に搭載された蓄熱装置に蓄えられている温熱量の発生量または消費量増減の予測値と、前記蓄熱装置に流入され、又は前記蓄熱装置から流出されている温熱量又は冷熱量の増減の予測値と、蓄熱装置内において互いに熱変換されている温熱量または冷熱量の増減の予測値とが、温熱又は冷熱の発生量もしくは消費量あるいは発生量もしくは消費量の差分を予測して、この予測値が外部に告知されている。そのため、請求項1から6のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、予測された温熱または冷熱の発生量または消費量と、この発生量または消費量の増減とを認知することが可能になる。
【0026】
請求項8の発明によれば、車両に搭載された蓄電装置に蓄えられている電気エネルギ量もしくはこの蓄電装置の蓄電増減量とが予測され、この予測値が外部に告知されている。そのため、請求項6から7の発明と同様の効果を得られる他に、予測された蓄電装置に蓄えられている電気エネルギとこの電気エネルギの増減とを認知することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
つぎにこの発明を具体例に基づいて詳細に説明する。図1は、蓄熱装置1a,1bに流入又は流出される熱エネルギと、前記蓄熱装置1a,1bの間で熱変換をする際にエネルギの流入又は流出を示したブロック図である。ここで、蓄熱装置1aは冷熱蓄熱部に該当し、蓄熱装置1bは温熱蓄熱部に該当する。エネルギには、電気エネルギや熱エネルギなどのエネルギが挙げられる。以下の実施例では、電気エネルギと熱エネルギの流れについて記す。
【0028】
蓄熱装置1aには、蓄熱装置1aの内部に図示しない蓄冷材が設けられ、この蓄冷材に冷熱が蓄えられている。また、蓄熱装置1bには、蓄熱装置1bの内部に図示しない蓄熱材が設けられ、この蓄熱材に温熱が蓄えられている。蓄熱装置1aに蓄えられている蓄冷量又は蓄熱装置1bに蓄えられている蓄熱量は、蓄冷材または蓄熱材の温度を測定すること及び蓄熱装置1a,1bへの流入、流出熱量を監視することにより求めることができる。温度の測定には熱電対等の温度センサにより測定することができる。蓄熱装置1a,1bに設けられている蓄冷材、または蓄熱材は一定の蓄冷量もしくは蓄熱量を有しているため、蓄冷材もしくは蓄熱材の温度を測定することにより、冷熱の蓄熱量である冷熱蓄積量2a及び温熱の蓄熱量である熱蓄積量2bを求めることができる。
【0029】
蓄熱装置1aに設けられている蓄冷材には冷熱が流入されている。この冷熱の具体例としては、空調などのように物体を冷却させる冷凍サイクル冷熱生成器3aを動作させる際に生じた冷熱が前記蓄冷材に流入される。また、熱エネルギと電気エネルギの間で相互に変換することを可能とする熱電変換部位により生じた冷熱が前記蓄冷材に流入される。前記熱電変換部位は電気エネルギと熱エネルギとを相互に変換するものであれば良く、具体例として、ゼーベック効果及びペルチェ効果を利用した熱電素子4a,4b,4cを用いて以下の説明をする。
【0030】
熱電素子4aでは、外気と蓄冷熱との温度差により電気エネルギが発生され、または熱電素子4aに設けられている電極に電圧を印加することにより熱エネルギが発生される。熱電素子4aに電圧を印加することにより生じた冷熱は、蓄熱装置1aに設けられている蓄冷材に流入される。また、前記蓄冷材に蓄えられている冷熱の一部が、冷熱を利用する冷熱利用部位5aに流出されている。
【0031】
一方、蓄熱装置1bに設けられている蓄熱材には温熱が流入されている。この温熱の具体例としては、空調のように物体の温度を上昇させる冷凍サイクル温熱生成器3bを動作させる際に生じた温熱が前記蓄熱材に流入される。また、電気エネルギを熱エネルギに変換することを可能とする熱電素子4bにより生じた温熱が前記蓄熱材に流入される。ここで、熱電素子4bは、外気と蓄熱との温度差により電気エネルギを発生させ、または熱電素子4bに設けられている電極に電圧を印加させることにより、熱エネルギを発生させている。
【0032】
熱電素子4bに電圧を印加させることにより生じた温熱は、蓄熱装置1bの内部に設けられている蓄熱材に流入されている。さらに、エンジンや変速機用オイルなどの高温部材6から生じる温熱が熱搬送媒体により蓄熱装置1bに流入され、そして、この熱搬送媒体により蓄熱材に蓄えられている温熱の一部が、温熱を利用する熱利用部位5bに流出されている。
【0033】
前記冷凍サイクル温熱生成器3bを動作させる際に生じた冷熱と前記熱電素子4bにより生じた熱エネルギと高温部材6から生じる温熱とが蓄熱装置1bに設けられた蓄熱材に流入され、流入されている温熱量がセンサにより検出されて、告知されている。すなわち、蓄熱装置1bに設けられた蓄熱材に流入される温熱量が認知される。
【0034】
前記冷凍サイクル冷熱生成器3aから前記蓄熱装置1aの内部へ流入される冷熱の冷熱量が冷熱回収量7aとして求められる。この冷熱回収量7aは冷熱の温度と流速とを逐次測定して、温度の時間に対する変化量、流量の時間に対する変化量とを計算することにより求められる。そして、冷凍サイクル冷熱生成器3aを動作させる際に生じた冷熱と熱電変換部位により生じた冷熱とが蓄熱装置1aに設けられた蓄冷材に流入され、流入されている冷熱量がセンサにより検出されて、告知されている。すなわち、蓄熱装置1aに設けられた蓄冷材に流入される冷熱量が認知される。
【0035】
前記冷凍サイクル温熱生成器3bから前記蓄熱装置1bの内部へと温熱を流入される温熱の温熱量が温熱回収量7bとして求められる。この温熱回収量7bは温熱の温度と流量とを逐次測定して、計算することにより求められる。また、冷熱または温熱の温度は熱電対等の測定装置により測定される。そして、測定された温熱量が温熱回収量7bとして告知されるため、蓄熱装置1bの使用者が冷凍サイクル温熱生成器3bから蓄熱装置1bに設けられた蓄熱材へ流入される温熱量を認知することができる。
【0036】
熱電素子4a,4b,4cは図示しない電極に電気エネルギを印加することにより発熱される。ここで、前記熱電素子4aには、太陽光発電器8により生じた電気エネルギと他の熱電素子4bにより生じる電気エネルギと蓄電装置9に蓄えられている電気エネルギがエネルギ供給量10aとして供給されている。また、前記熱電素子4bには、太陽光発電器8により生じた電気エネルギと他の熱電素子4aにより生じる電気エネルギと蓄電装置9に蓄えられている電気エネルギがエネルギ供給量10bとして供給されている。
【0037】
前記エネルギ供給量10a,10bは、電流値や電圧値を測定することにより求めることができる。そのため、熱電素子4a,4bの使用者は、熱電素子4a,4bに供給される電気エネルギ供給量10a,10bに供給される電気エネルギ量を認知することができる。
【0038】
前記熱電素子4aから前記蓄熱装置1aに設けられている蓄冷材へ流入される冷熱量は、流入されている冷熱の温度や流量などの物理量を逐次測定して、時間に対する変化量を冷熱リサイクル量12aとして計算することにより求められる。また、前記熱電素子4bから前記蓄熱装置1bに設けられている蓄熱材へ流入される温熱量は、流入される温熱の温度や流量などの物理量を逐次測定して、時間に対する変化量を熱リサイクル量12bとして計算することにより求められる。すなわち、熱電素子4a,4bに通電させることにより生じる熱エネルギ量が認知される。
【0039】
蓄熱装置1a,1bの内部に設けられている蓄冷材または蓄熱材からは、蓄えられた冷熱又は温熱が冷熱利用部位5a又は熱利用部位5bに流出されている。前記冷熱利用部位5aには、車内冷房、吸入空気冷却、その他機能部位冷却が該当する。車内冷房や吸入空気冷却においては、空気の冷却に冷熱が用いられるため、特に夏期で冷熱の需要が多くなる。また、前記熱利用部位5bには、車内暖房、その他機能部位暖機が該当する。車内暖房においては、空気の暖房に温熱が用いられるため、特に冬季で温熱の需要が多くなる。
【0040】
蓄熱装置1aに蓄えられている冷熱が前記冷熱利用部位5aへと流出される際の冷熱量は、冷熱の温度や流量などの物理量を逐次測定して、時間に対する変化量を冷熱利用量13aとして計算することにより求められる。また、蓄熱装置1bに蓄えられている温熱が前記熱利用部位5bへと流出される際の温熱量は、温熱の温度や流量などの物理量を逐次測定して、時間に対する変化量を熱利用量13bとして計算することにより求められる。測定される各物理量は、熱電対等により測定される。
【0041】
熱搬送媒体から前記蓄熱装置1bの内部に設けられている蓄熱材へ流入される温熱量は、温熱の温度や流量などの物理量を逐次測定して、時間に対する変化量を部材温熱回収量14として計算することにより求められる。すなわち、前記部材温熱回収量14が認知される。
【0042】
前記蓄熱装置1a,1bに蓄えられた冷熱と温熱とは前記熱入力手段及び熱出力手段となる熱電素子4a,4bを介することにより互いに熱変換をさせることができる。詳細には、前記蓄熱装置1aに蓄えられた冷熱は、前記熱出力手段である熱電素子4aに移動し、電気エネルギへ変換され、その電気エネルギを前記熱入力手段である熱電素子4bに加えることにより一部が温熱となる。そして、前記蓄熱装置1aの冷熱から変換された温熱が前記蓄熱装置1bへと移動する。そして、この熱移動により、前記蓄熱装置1bに蓄えられている温熱の蓄熱量が増大する。
【0043】
ここで、前記蓄熱装置1aの冷熱から変換された温熱が前記蓄熱装置1bへと移動する場合において、移動する温熱量は、温熱の温度や流量などの物理量を逐次測定して時間に対する変化量を冷熱リサイクル量12cとして計算することにより求められる。蓄熱装置1aの冷熱から変換された温熱が前記蓄熱装置1bへと移動する温熱量が認知される。
【0044】
一方で、熱入力手段及び熱出力手段となる熱電素子4a,4bを介することにより、前記蓄熱装置1bに蓄えられた温熱の一部が冷熱となる。そして、前記蓄熱装置1bの温熱から変換された冷熱が前記蓄熱装置1aへと移動して、前記蓄熱装置1aに蓄えられている冷熱の蓄冷量が増大する。ここで、前記蓄熱装置1bの温熱から変換された冷熱が前記蓄熱装置1aへ移動する場合において、移動する熱量は、冷熱の温度や流量などの物理量を逐次測定して時間に対する変化量を熱リサイクル量12dとして計算することにより求められる。すなわち、蓄熱装置1bの温熱から変換された冷熱が前記蓄熱装置1aへと移動する温熱量を認知することができる。
【0045】
次に、熱電素子等の熱電変換部位を蓄熱装置1a,1bに取り付けて、この熱電変換部位に電気エネルギを印加することにより、蓄熱装置1a,1bに設けられている蓄冷材または蓄熱材に蓄えられている冷熱の蓄冷量及び温熱の蓄熱量を増加させることができる。
【0046】
電気エネルギを発生させる発電装置としては、風力を利用するものや太陽光を利用するものが知られているが、その中でも太陽光を利用するものとして太陽電池等による太陽光発電器8が知られている。前記太陽光発電器8は太陽光を電気エネルギに変換し、この電気エネルギの一部は蓄電装置9に蓄電される。また、前記太陽光発電器8により生じた電気エネルギの一部は熱電素子4cに蓄えられる。そのため、前記蓄熱装置1a,1bに蓄えられている冷熱または温熱の温度が変化し、蓄熱装置1aと蓄熱装置1bとに蓄積されている熱量が増加する。太陽光発電器8により発電される電気エネルギを示す太陽光発電器量15は、電流や電圧などの物理量を逐次測定して時間に対する変化を計算することにより求められる。すなわち、太陽光発電器8において発電された電気エネルギ量が認知される。
【0047】
前記太陽光発電器8により生じた電気エネルギの一部又は全部が蓄電装置9に蓄えられる。その際、太陽光発電器8から蓄電装置9へと通電される電気エネルギを示す蓄電供給エネルギ量16は電流や電圧などの物理量を逐次測定して時間に対する変化量を計算することにより求められる。すなわち、太陽光発電器8において発電された電気エネルギが蓄電装置9に蓄電される際の電気エネルギ量が認知される。
【0048】
前記太陽光発電器8により生じた電気エネルギの一部は前記熱電素子4a,4bにも加えられる。その際、太陽光発電器8から前記熱電素子4a,4bへ通電される電気エネルギを示す電力供給量表示部17aは電流や電圧などの物理量を逐次測定して時間に対する変化量を計算することにより求められる。すなわち、太陽光発電器8において発電された電気エネルギが熱電素子4a,4bに通電される際の電気エネルギ量を認知することができる。
【0049】
前記熱電素子4a,4bは素子に温熱又は冷熱を加えることによりゼーベック効果が生じて発電される。また、熱電素子4cは蓄冷熱と蓄熱との間の温度差によりゼーベック効果が生じて発電される。この熱電素子4a,4bの発電により生じた電気エネルギの一部、又は全部と熱電素子4cの発電により生じた電気エネルギとが蓄電装置9に蓄電される。
【0050】
前記熱電素子4a,4b,4cから前記蓄電装置9へ通電される電気エネルギは、電圧、電流などの物理量を測定することにより求めることができる。より詳細には、前記熱電素子4a,4b,4cから前記蓄電装置9へ伝達される電気エネルギを示す熱発電量18a,18b,18cは電流や電圧などの物理量を逐次測定して、各物理量の時間に対する変化量を計算することにより求められる。すなわち、熱電素子4a,4b,4cにおいて発電された電気エネルギが前記蓄電装置9に蓄電される際の電気エネルギを認知することを可能とする。
【0051】
前記熱電素子4a,4b,4cは素子に温度差を生じさせることにより電気エネルギを生じさせる。ここで、熱電素子4a,4b,4cにより発生される電気エネルギを示す熱発電部位電気量11a,11b,11cは電流や電圧などの物理量を逐次測定して、各物理量の時間に対する変化量を計算することにより求められる。素子に温度差を生じさせることにより生じる電気エネルギ量が認知される。
【0052】
前記蓄電装置9に蓄えられている電気エネルギである蓄電エネルギ量は、前記蓄電装置9における電流や電圧などの物理量を逐次測定して、各物理量の時間に対する変化量を計算することにより求められる。また、前記蓄電装置9から前記熱電素子4cへ通電される電気エネルギ量は電力供給量表示部17bとして求めることができる。前記電力供給量は、前記蓄電装置9と前記熱電素子4cとの間における電流や電圧などの物理量を逐次測定して時間に対する変化量を計算することにより求められる。すなわち、蓄電装置9に蓄えられている蓄電エネルギ量と、この蓄電装置9から蓄熱装置1a,1bに流入している電気エネルギ量とが認知される。
【0053】
図2は、環境情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報に基づいて熱エネルギ、電気エネルギを演算してその演算結果を告知し、またこの演算結果を用いて熱リサイクル量と熱・光の発電量を制御するブロック図が記されている。告知の手段には、音響的手段によるものと視覚的な表示によるものと電気信号によるものとがあるが、以下の例では視覚的な表示による演算結果の表示について記す。
【0054】
環境情報には、外気温、日射量などの情報が挙げられ、これらの情報は熱電対、日射量計等により気温や日射量などの物理量を測定することにより求められる。また、熱エネルギ情報には冷熱・温熱の回収・蓄積・消費情報が挙げられ、これらの情報は熱電対、マスフロメーター等により温度や流量などの物理量を測定することにより求められる。さらに、電気エネルギ情報には、電気の回収・蓄積・消費情報が挙げられ、これらの情報は電圧計、電流計などにより電圧、電流等などの物理量を測定することにより求められる。
【0055】
ステップS21では、環境情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報が演算装置において入力される。そして、入力された各情報に基づいて、熱エネルギ量、電気エネルギ量が演算される。次に、ステップS22において、演算された熱エネルギ量と、電気エネルギ量とが各表示部に表示される。そして、ステップS21において演算された結果に伴い、ステップS23において演算装置から制御装置へ制御信号が送られて、発熱部材、熱利用部材、発電部材、電気利用部材が制御される。したがって、演算された熱エネルギ量と電気エネルギ量とを認知することができる。
【0056】
図3、図4には、環境情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報を読み込み、熱エネルギ量、電気エネルギ量を表示させるまでのフローチャートが示されている。ステップS31では、測定された前記環境情報、前記熱エネルギ情報、前記電気エネルギ情報が演算装置に読み込まれている。そして、ステップS31で読み込まれた情報に基づいて、ステップS32で熱エネルギ量と電気エネルギ量とが演算装置において算出される。次に、ステップS33において、太陽光発電器8により生じる電気エネルギの発電量の有無が判断される。
【0057】
太陽光発電器8により電気エネルギが生じていると判断された場合には、次のステップS34において蓄熱装置1a,1b間における冷熱と温熱との熱変換の必要性の有無が判断される。冷熱と温熱との熱変換の必要性は、前記蓄熱装置1a,1bにおける蓄熱量および蓄冷量を測定することにより判断される。具体的には、蓄熱装置1aの内部に設けられている蓄冷材と、蓄熱装置1bの内部に設けられている蓄熱材との温度が測定され、前記蓄熱材と前記蓄冷材との温度に基づいて蓄熱装置1aに蓄えられている蓄熱量と蓄熱装置1bに蓄えられている蓄冷量とが求められ、この蓄熱量と蓄冷量に基づいて蓄熱装置1a,1b間における冷熱と温熱との熱変換の必要性の有無が判断される。
【0058】
その結果、熱変換の必要性があると判断された場合は、次のステップS35で蓄熱装置1a側に余剰熱があり蓄熱装置1b側の蓄熱量が不足する場合、蓄熱装置1aから熱電素子4aに熱が送られ電気エネルギに変えられ、その電気エネルギが前記熱電素子4bに加えられ熱エネルギに変換され、蓄熱装置1bに蓄えられる。一方、蓄熱装置1b側に余剰熱があり蓄熱装置1a側の蓄冷熱量が不足する場合、蓄熱装置1bから熱電素子4bに熱が送られ電気エネルギに変えられ、その電気エネルギが前記熱電素子4aに加えられ熱エネルギに変換され、蓄熱装置1aへ蓄えられる。これにより蓄えられている冷熱と温熱とが熱変換される。また、ステップS34における熱変換の有無に関わらず、ステップS36において熱電素子4a,4b,4cに温度差を生じさせることにより生じる電気エネルギの発生(熱発電)の有無が判断される。具体的には、蓄電装置9の蓄電エネルギ量が電力測定により測定され、この測定値に基づいて蓄電装置9における蓄電量の余剰量が判断される。
【0059】
また、ステップS36における電気エネルギの発生(熱発電)の有無は、蓄熱装置1aの内部に設けられている蓄冷材と、蓄熱装置1bの内部に設けられている蓄熱材との温度が測定され、この測定値に基づいて蓄熱装置1aに蓄えられている蓄熱量と蓄熱装置1bに蓄えられている蓄冷量とが求められ、蓄熱装置1a,1b間における冷熱と温熱との熱変換の必要性の有無が判断される。そして、冷熱と温熱との熱変換の必要性があると判断された際には、前記蓄電装置9から熱電素子4a,4bに通電される電気エネルギとが測定される。
【0060】
そして、熱電素子4a,4bに通電される電気エネルギと蓄電装置9における蓄電量の余剰量とを検討し、ステップS36において、熱発電が必要であると判断された場合にはステップS37において熱電素子4a,4bによる熱発電がなされ、電気エネルギが生成される。また、ステップS36における熱発電の有無に関わらず、ステップS38において、太陽光発電器8により生成される電気エネルギ量と使用される電気エネルギ量との大きさが判断される。その結果、太陽光発電器8により生成される電気エネルギ量が電気エネルギの使用量よりも多い場合は、電気エネルギが余剰されていることになるため、電気エネルギはステップS39において蓄電装置9に蓄電される。また、太陽光発電器8により生成される電気エネルギ量が電気エネルギの使用量よりも少ない場合は、電気エネルギは蓄電されない。
【0061】
図4には、ステップS33において、太陽光発電器8により生じる電気エネルギが生成されていないと判断された場合における、電気エネルギの生成に関するフローが記載されている。ステップS33において、太陽光発電器8により生じる電気エネルギが生成されていない場合は、ステップS41において、蓄熱装置1a,1bにおける蓄熱量、蓄冷量に余剰があるか、余剰の有無が判断される。蓄熱量又は蓄冷量に余剰があると判断されたときは、ステップS42において熱電素子4a,4b,4cによる熱発電がなされ、電気エネルギが生成される。
【0062】
ステップS42において熱発電がされた後、ステップS43において蓄熱装置1a,1bに蓄えられた温熱、または冷熱について互いに変換させるか、その有無が判断される。この蓄熱装置1a,1bに蓄えられた温熱、または冷熱を互いに熱変換させると判断した際は、ステップS44において蓄熱装置1a,1bに蓄えられている温熱と冷熱との熱変換がなされる。
【0063】
ステップS35において、蓄熱装置1a,1bに蓄えられている冷熱と温熱とが熱変換された後、またはステップS37において、熱電素子4a,4b,4cによる熱発電がなされた後、またはステップS39において、蓄電装置9に蓄電された後、またはステップS38において蓄電装置9への蓄電が不要との判断がなされた後、またはステップS41において、蓄熱装置1a,1bにおける余剰熱蓄積量がないと判断された後、そして、ステップS43において、熱電素子4a,4b、4cによる熱変換が不要との判断がなされた後、ステップS44において熱電素子4a,4b,4cによる熱変換がなされた後は、ステップS310において演算された各電気エネルギ量と、演算された各熱エネルギ量とが表示部に表示され、あるいは音響的手段により伝達されて、制御フローが終了される。
【0064】
ステップS310においては、蓄熱装置の各部における電気エネルギ量又は熱エネルギ量が表示、あるいは伝達される。具体的には、ステップS35、ステップS37、ステップS39、ステップS42、ステップS44の各状況がリアルタイムで告知されている。
【0065】
ステップS35の状況としては、蓄熱装置1a,1bで変換されている温熱と冷熱とを示す冷熱リサイクル量12c及び熱リサイクル量12dが検出されて、インジゲータに表示されている。この検出手段及びインジゲータへの表示を含む告知手段が熱変換告知手段に該当する。また、蓄電装置9から熱電素子4cへの通電量を示す熱リサイクル電力供給量と太陽光発電器8から熱電素子4cへの通電量を示す熱リサイクル電力供給量とが検出されて、インジゲータに表示されている。この検出手段及びインジゲータへの表示を含む告知手段が通電告知手段のいずれか一つの手段に該当する。
【0066】
ステップS37の状況としては、熱電素子4a,4b,4cで生じている電気エネルギを示す熱発電部位電気量11a,11b,11cが通電告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。また、熱電素子4a,4b,4cで生じている電気エネルギが蓄熱装置1a,1bに伝達され、その際伝達されるエネルギ量を示す熱発電量18d,18eが通電告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。
【0067】
ステップS39の状況としては、蓄電装置9に蓄えられている蓄電エネルギ量が蓄電量告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。また、太陽光発電器8により生じた電気エネルギが蓄電装置9に伝達され、この伝達された電気エネルギ量を示す蓄電供給エネルギ量16が蓄電量告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。さらに、熱電素子4a,4b,4cにより生じる電気エネルギが蓄電装置9に伝達され、この伝達された電気エネルギ量に該当する熱発電量18a,18b,18cが蓄電量告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。
【0068】
ステップS42の状況としては、太陽光発電器8による電気エネルギが生成されていない場合において、蓄熱装置1a,1bで変換されている温熱と冷熱とを示す冷熱リサイクル量12cおよび熱リサイクル量12dが熱交換告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。また、蓄電装置9から熱電素子4cへと通電される電気エネルギ量に該当する熱リサイクル電力供給量と、太陽光発電器8から熱電素子4cへと通電される電気エネルギ量に該当する熱リサイクル電力供給量とが、蓄電量告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。
【0069】
ステップS44の状況としては、熱電素子4a,4b,4cで生じている電気エネルギ量に該当する熱発電部位電気量11a,11b,11cが蓄電量告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。また、熱電素子4a,4b,4cで生じている電気エネルギが蓄熱装置1a,1bに伝達され、この伝達されたエネルギ量に該当する熱発電量18a,18b,18cが蓄電量告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。
【0070】
測定されている熱エネルギ量と電気エネルギ量には、フローチャートの「YES」,「NO」に関わらず、告知されるものがある。具体的には、冷熱蓄積量2aと熱蓄積量2bとは蓄熱量告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。また、部材温熱回収量14と冷熱回収量7aと温熱回収量7bとは熱流入告知手段のいずれか一つの手段として、インジゲータに表示されている。さらに、冷熱利用量13aと熱利用量13bとは熱流出告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。また、太陽光発電器8による電気エネルギ量と前記エネルギ供給量10a,10bとは、蓄電量告知手段のいずれか一つの手段としてインジゲータに表示されている。
【0071】
ここで、インジゲータによる表示は、隣接する表示部を連続的に表示し、あるいは一つの表示部の一部を連続的に表示するものであってもよい。より詳細には、複数の表示部が連続して配置されて、熱エネルギ量の変化、電気エネルギ量の変化に伴い順番に点灯させ、あるいは順番に消灯させるものがあげられる。また、熱エネルギ量の変化、電気エネルギ量の変化に伴う表示は、一つの表示部において棒状の長さを変化させ、または円や半円等に表示を変化させ、あるいは色を変化させるものがあげられる。また、音声による告知は、熱エネルギ量の変化、電気エネルギ量の変化に伴い音響的手法として音声を増減させ、あるいは音の高低を変化させるものがあげられる。そして、振動による告知は、熱エネルギ量の変化、電気エネルギ量の変化により振動の大きさ、周期を連続的に変化するものがあげられる。
【0072】
図5には、走行情報、環境情報、ナビ情報、インフラ情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報に基づいて燃費を向上させる制御を行う走行(以下、ECOドライブという)をする時に、最適となる各制御量を演算により予想して、その情報を告知するブロック図が記されている。そして、図5では告知の一例として表示パネルへの表示について記載されている。
【0073】
走行情報には、車速などの駆動装置の移動速度や、シフトなどの情報が挙げられ、車速の情報は速度計などの測定装置で、シフトはギアの周辺にセンサを設けることにより測定される。環境情報には、外気温、日射量などの情報が挙げられ、これらの情報は熱電対、日射量計等の測定装置により測定される。また、ナビ情報には、道路の勾配、形状などが挙げられ、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)などにより測定された位置情報に対応させて検出される。さらに、インフラ情報には、渋滞情報、信号情報、法定車速などの情報が挙げられ、これらの情報はGPS(グローバル・ポジショニング・システム)などにより測定される。そしてまた、熱エネルギ情報には冷熱・温熱の回収・蓄積・消費情報が挙げられ、これらの情報は熱電対、マスフロメーター等により温度や流量などの物理量を測定することにより求められる。そして、電気エネルギ情報には、電気の回収・蓄積・消費情報が挙げられ、これらの情報は電圧計、電流計などにより電圧、電流等などの物理量を測定することにより求められる。
【0074】
ステップS51では、走行情報、環境情報、ナビ情報、インフラ情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報に基づいて、熱エネルギ及び電気エネルギとECOドライブにおける最適な熱エネルギ増減の予測値とECOドライブにおける最適な電気エネルギの増減の予測値が演算される。そして、演算されたECOドライブにおける最適な熱エネルギ増減の予測値、電気エネルギの増減の予測値がステップS52において表示パネルに表示される。また、演算結果に伴い、発熱部材、熱利用部材、発電部材、電気利用部材がステップS53において制御される。
【0075】
図6には、これらの表示の一例として、蓄熱装置1a,1bにおける蓄熱量、蓄冷量の増減などの熱エネルギの増減、あるいは蓄電装置9における蓄電量の増減などの電気エネルギの増減を表示したインジーゲータが記されている。このインジゲータには、蓄熱装置における現在の蓄熱量または蓄冷量、あるいは蓄電装置における蓄電量が表示されており、またECOドライブにおいて予測される蓄熱装置における現在の蓄熱量の増減、または蓄冷量の増減、あるいは蓄電装置における蓄電量の増減が表示されている。このとき、蓄熱と蓄冷とのインジゲータは別々に設けられていても良く、図6a,6bのように表示箇所が時間と共に移動する形態であっても、図6cのように表示の大きさが時間と共に変化する形態であっても良い。さらに、この実施例において表示されるエネルギ量には、熱エネルギ量及び電気エネルギ量と、ECOドライブにおける最適な熱エネルギの増減の予測値及び電気エネルギの増減の予測値があげられる。
【0076】
図7には、走行情報、環境情報、ナビ情報、インフラ情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報を読み込み、読み込んだ情報に基づいて熱エネルギと電気エネルギとECOドライブにおける最適な熱エネルギの増減の予測値とECOドライブにおける最適な電気エネルギの増減の予測値を求め、これらの値を表示させるまでのフローチャートが示されている。
【0077】
ステップS71では、走行情報、環境情報、ナビ情報、インフラ情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報が読み込まれている。そして読み込まれた情報に基づいて、ステップS72で、熱エネルギと電気エネルギとECOドライブにおける最適な熱エネルギの増減の予測値と電気エネルギの増減の予測値が演算される。そして、ステップS73において、ECOドライブにおける最適な熱エネルギの増減の予測値と電気エネルギの増減の予測値がインジゲータに表示される。
【0078】
ステップS72において予測されるECOドライブ時の最適な熱エネルギの増減の予測値、電気エネルギの増減の予測値は実験により求められた判定マップにより求められる。図8には、外気温と日射量に基づく冷熱エネルギ最適蓄積量の予測値を示す判定マップが記されている。外気温が高くなり、また日射量が多くなると、冷房の使用量が多くなることが予測されるため、図8に記されている判定マップでは、外気温が高くなり、また日射量が多くなるにつれてより多くの冷熱エネルギを蓄熱装置に蓄えるように判断されている。
【0079】
また、図9には、外気温と日射量に基づく熱エネルギ最適蓄積量の予測値を示す判定マップが記されている。外気温が低くなり、また日射量が少なくなると、暖房の使用量が多くなることが予測されるため、図9に記されている判定マップでは、外気温が低くなり、または日射量が少なくなるにつれてより多くの熱エネルギを蓄熱装置に蓄えるように判断されている。
【0080】
図10は、走行情報、環境情報、ナビ情報、インフラ情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報、制御モード選択情報に基づいてECOドライブをする時に、最適となる各制御量を予想してその情報を表示し、各制御装置を制御するブロック図が記されている。走行情報には、車速を含む駆動装置の移動速度や、シフトなどの情報が挙げられ、駆動装置の移動速度の情報は速度計などの測定装置で、シフトはギアの周辺にセンサを設けることにより測定される。
【0081】
環境情報には、外気温、日射量などの情報が挙げられ、これらの情報は熱電対、日射量計等の測定装置により測定される。また、ナビ情報には、道路の勾配、形状などが挙げられ、GPSなどにより測定される。さらに、インフラ情報には、渋滞情報、信号情報、法定車速などの情報が挙げられ、これらの情報はGPSなどにより測定される。さらにまた、熱エネルギ情報には冷熱・温熱の回収・蓄積・消費情報が挙げられ、これらの情報は熱電対、マスフロメーター等の測定装置により測定される。そしてまた、電気エネルギ情報には、電気の回収・蓄積・消費情報が挙げられ、これらの情報は電圧、電流等を測定することにより求められる。そして、制御モード選択情報には、車両などの駆動装置の燃費を制御する制御モード情報であり、スイッチ等からの入力信号により求められる。
【0082】
ステップS101において、走行情報、環境情報、ナビ情報、インフラ情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報、制御モード選択情報に基づいて、熱エネルギ量及び電気エネルギ量と各制御モードにおける最適な熱エネルギの増減の予測値、電気エネルギの増減の予測値が演算される。そして、演算された熱エネルギ量と電気エネルギ量と各制御モードにおける最適な熱エネルギ量の増減の予測値と電気エネルギ量の増減の予測値が、ステップS102において表示パネルに表示される。また、演算結果に伴い、発熱部材、熱利用部材、発電部材、電気利用部材がステップS103において制御される。
【0083】
図11には、各制御選択モードを切り替える場合のスイッチが記されている。各制御選択モードには、ドライバーが自ら操作するパワーモード、通常モード、ECOモードと、駆動装置が自動的に制御を行うオートモードがある。パワーモードは車両等の駆動装置を高速で走らせるための制御モードである。また、ECOモードは、車両等の駆動装置の燃費を重視した制御モードである。さらに、通常モードは、駆動装置の速度と燃費とのバランスを考慮したモードである。そして、オートモードは駆動装置の速度と燃費とを走行情報等の各種情報に基づいて制御するモードである。
【0084】
図11(a)には、パワーモード、通常モード、ECOモード、オートモードを切り替えるためにボタンが並列に並んでいるスイッチが記載されている。これらのスイッチのいずれか一つを押し、あるいは引くことにより、パワーモード、通常モード、ECOモード、オートモードのいずれかが選択され、選択されたモードに基づいて、熱エネルギ量及び電気エネルギ量が予測される。
【0085】
図11(b)には、パワーモード、通常モード、ECOモード、オートモードを切り替えるためのボタンが記載されている。これらのスイッチのいずれか一つを押すことにより、パワーモード、通常モード、ECOモード、オートモードのいずれかが選択され、選択されたモードに基づいて、熱エネルギ量及び電気エネルギ量が予測される。
【0086】
図11(c)には、パワーモード、通常モード、ECOモード、オートモードを切り替えるための回転式ボタンスイッチが記載されている。これらのスイッチを回転させることにより、パワーモード、通常モード、ECOモード、オートモードのいずれかが選択され、選択されたモードに基づいて、熱エネルギ量及び電気エネルギ量が予測される。
【0087】
図11(d)には、パワーモード、通常モード、ECOモード、オートモードについてシフトレバーと連動している形式が記載されている。これらのスイッチを選択することにより、パワーモード、通常モード、ECOモード、オートモードのいずれかが選択され、選択されたモードに基づいて、熱エネルギ量及び電気エネルギ量が予測される。
【0088】
図12には、走行情報、環境情報、ナビ情報、インフラ情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報、制御モード選択情報を読み込み、読み込んだ情報に基づいて熱エネルギ量と電気エネルギ量と各制御モードにおける最適な熱エネルギ量の増減の予測値と各制御モードにおける最適な電気エネルギ量の増減の予測値を求め、これらの値を表示させるまでのフローチャートが示されている。
【0089】
ステップS121では、走行情報、環境情報、ナビ情報、インフラ情報、熱エネルギ情報、電気エネルギ情報、制御モード選択情報が読み込まれている。そして読み込まれた制御モード選択情報に基づいて、ステップS123からステップS126において各制御モードに基づく予測係数が設定される。予測係数は、パワーモードの時はα、通常モードの時はβ、ECOモードの時はγ、オートモードの時はδとして設定される。そして、ステップS127において、図8,9に示されているマップで求められた冷熱エネルギ最適蓄積量及び熱エネルギ最適蓄積量に予測係数α、β、γ、δを反映させることにより、各制御モードにおける最適な熱エネルギ量の増減の予測値と電気エネルギ量の増減の予測値を求めることができる。そして、予測された熱エネルギ量の増減の予測値と電気エネルギ量の増減の予測値がインジゲータに表示される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】この発明に係る熱エネルギの流通と電気エネルギの伝達とを模式的に示す図である。
【図2】この発明に係る表示形態と制御形態を模式的に示すブロック図である。
【図3】図2に示されている表示方法を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図4】図2に示されている表示方法を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図5】この発明に係る表示方法と制御方法を模式的に示す他のブロック図を示す図である。
【図6】熱エネルギ量の増減又は電気エネルギ量の増減を表示するインジゲータを模式的に示した図である。
【図7】図5に示されている表示形態を説明するためのフローチャートである。
【図8】熱エネルギ量の増減又は電気エネルギ量の増減を予測するために用いられるマップの一例を示す図である。
【図9】熱エネルギ量の増減又は電気エネルギ量の増減を予測するために用いられるマップの一例を示す図である。
【図10】この発明に係る表示方法と制御方法を模式的に示す他のブロック図である。
【図11】各制御モードを選択するためのスイッチを模式的に示した図である。
【図12】図10に示されている表示形態を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1a,1b…蓄熱装置、 2a…冷熱蓄積量、 2b…熱蓄熱量、 3a…冷凍サイクル冷熱生成器、 3b…冷凍サイクル温熱生成器、 4a,4b,4c…熱電素子、 5a…冷熱利用部位、 5b…熱利用部位、 6…高温部材、 7a…冷熱回収量、 7b…温熱回収量、 8…太陽光発電器、 9…蓄電装置、 10a,10b…エネルギ供給量、 11a,11b,11c…熱発電部位電気量、 12a,12c…冷熱リサイクル量、 12b,12d,12e…熱リサイクル量、 13a…冷熱利用量、 13b…熱利用量、 14…部材温熱回収量、 15…太陽光発電器量、 16…蓄電供給エネルギ量、 17a,17b…電力供給量表示部、 18a,18b,18c,18d,18e…熱発電量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温熱又は冷熱を蓄えるとともに蓄えた温熱又は冷熱を取り出し可能な蓄熱装置において、
蓄えられている温熱量又は冷熱量を検出して外部に告知する蓄熱量告知手段と、取り出された温熱量又は冷熱量を検出して外部に告知する熱流出告知手段と、外部から供給されて蓄えられる温熱量又は冷熱量を検出して外部に告知する熱流入告知手段とを有することを特徴とする蓄熱装置。
【請求項2】
前記蓄熱装置は温熱を蓄える温熱蓄熱部と冷熱を蓄える冷熱蓄熱部とを有し、前記温熱蓄熱部と前記冷熱蓄熱部との間で熱変換される温熱量又は冷熱量を検出して外部に告知する熱交換告知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置。
【請求項3】
前記蓄熱量告知手段および前記熱流出告知手段ならびに前記熱流入告知手段のそれぞれにおける外部への告知内容を、視覚で認識できる光学的手法と聴覚で認識できる音響的手法と電気信号とのいずれかで出力する出力部を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄熱装置。
【請求項4】
蓄えられた温熱又は冷熱を電気エネルギに変化して取り出す熱出力手段を更に備え、前記熱流出告知手段は前記熱出力手段で電気エネルギに変換した熱量を外部に告知する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の蓄熱装置。
【請求項5】
電気エネルギを温熱又は冷熱に変換して入力する熱入力手段を更に備え、前記熱入力告知手段は、前記熱入力手段で電気エネルギから熱エネルギに変換した熱量を外部に告知する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の蓄熱装置。
【請求項6】
電気エネルギを前記熱入力手段に加えることにより前記温熱蓄熱部と前記冷熱蓄熱部との間で熱交換がなされ、前記電気エネルギには蓄電装置に蓄えられている電気エネルギが含まれ、前記蓄電装置に蓄えられている蓄電量を検出して外部に告知する蓄電量告知手段を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の蓄熱装置。
【請求項7】
車両に搭載され、かつ前記蓄熱量告知手段および前記熱流出告知手段ならびに前記熱流入告知手段および前記熱交換告知手段の少なくともいずれかの手段は、前記車両の予測される走行環境における温熱又は冷熱の発生量もしくは消費量あるいはこれら発生量と消費量との差分である蓄熱増減量とを予測し、その予測内容を告知内容として外部に告知する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の蓄熱装置。
【請求項8】
車両に搭載され、かつ前記蓄電量告知手段は前記車両の予測される走行環境における蓄電装置に蓄えられる電気エネルギ量あるいはこれら発生量と消費量との差分である蓄電増減量とを予測し、その予測内容を告知内容として外部に告知する手段を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の蓄熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−215708(P2008−215708A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53398(P2007−53398)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】