説明

蓄電デバイス用電極及びその製造方法

【課題】優れたサイクル耐久性能を発現し得る蓄電デバイス用電極、その製造方法及び蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】蓄電デバイス用電極は、タングステン酸化物を含むウィスカーからなる多孔質層を有する蓄電デバイス用電極であって、該タングステン酸化物を含むウィスカーのX線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルが、そのフェルミ準位から1eV以内にピークを有する。
蓄電デバイス用電極の製造方法は、タングステン酸化物を含むウィスカーの構成金属を含む原料又は基材原料を、微量の酸素存在下で加熱処理して、タングステン酸化物を含むウィスカーを形成する。
蓄電デバイスは、上述の蓄電デバイス用電極と、電解質と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイス用電極及びその製造方法に関する。更に詳細には、本発明は、X線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルにおいて所定のピークを有するタングステン酸化物を含むファイバーやウィスカーからなる多孔質層を有する蓄電デバイス用電極、その製造方法及び蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結晶で構成される酸化タングステンを含むファイバーやウィスカーからなる多孔質層を備えるキャパシタ用電極が提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−103684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電極にあっては、サイクル耐久性能については未だ十分なものであるとは言えず、更なる改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、その目的とするところは、優れたサイクル耐久性能を発現し得る蓄電デバイス用電極、その製造方法及び蓄電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。その結果、X線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルにおいて所定のピークを有するタングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーからなる多孔質層を形成することなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の蓄電デバイス用電極は、タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーからなる多孔質層を有する蓄電デバイス用電極であって、該タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーのX線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルが、そのフェルミ準位から1eV以内にピークを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の蓄電デバイス用電極の製造方法は、上記本発明の蓄電デバイス用電極の製造方法であって、タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーの構成金属を含む原料又は基材原料を、微量の酸素存在下で加熱処理して、タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーを形成することを特徴とする。
【0009】
更に、本発明の蓄電デバイスは、上記本発明の蓄電デバイス用電極と、電解質と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、X線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルにおいて所定のピークを有するタングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーからなる多孔質層を形成することなどとしたため、優れたサイクル耐久性能を発現し得る蓄電デバイス用電極、その製造方法及び蓄電デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】各例の蓄電デバイス用電極におけるウィスカ表面の価電子帯光電子スペクトルを示すグラフである。
【図2】各例の蓄電デバイス用電極におけるウィスカ表面のW4f光電子スペクトルを示すグラフである。
【図3】各例の蓄電デバイス用電極におけるウィスカの可視光分光分析による結果(反射スペクトル)を示すグラフである。
【図4】図3をクベルカ−ムンク(Kubelka−Munk(K−M))変換した結果(疑似透過スペクトル)を示すグラフである。
【図5】実施例2の蓄電デバイス用電極のCV曲線を示すグラフである。
【図6】実施例5の蓄電デバイス用電極のCV曲線を示すグラフである。
【図7】実施例6〜10におけるフェルミ準位近傍ピーク強度比と電池特性との関係を示すグラフである。
【図8】実施例6〜10における34eV/36eVピーク強度比と電池特性との関係を示すグラフである。
【図9】実施例6〜10における非対称性指数αと電池特性との関係を示すグラフである。
【図10】実施例6〜10におけるO1sピーク1/4値幅と電池特性との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス用電極の製造方法及び蓄電デバイスについて説明する。
なお、本発明において、「主成分」とは、各部位における構成成分全量を基準として、50質量%以上含まれることをいう。
【0013】
まず、本発明の一実施形態に係る蓄電デバイス用電極について詳細に説明する。
本実施形態の蓄電デバイス用電極は、タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーからなる多孔質層を有するものである。
そして、タングステン酸化物を含むファイバー及びウィスカーのいずれか一方又は双方のX線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルは、そのフェルミ準位から1eV以内にピークを有する。
【0014】
タングステン酸化物を含むファイバーやウィスカーが、X線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルにおいて、フェルミ準位から1eV以内にピークを有するものであれば、優れたサイクル耐久性能を発現し得るものとなる。なお、このようなピークを有するものは、基本的には酸素欠損によりできるPC構造(Pentagonal Columnとも言う。還元性の強い雰囲気や高圧状態で優位な構造変化であり、WO、W14、W1234、W1747、W1849を例示できる。)或いはCS構造(Crystallographic Shearとも言う。高温で優位な構造変化であり、CS構造の転移を段階的にWO2.88−WOの間で調整することができ、WO、{102}CS構造、{103}CS構造を例示できる。)を主成分として含んでいる。好ましくは、W1849構造を主成分として含む場合であり、この場合、前記ピークが鋭く現れると考える。また、換言すれば、活物質及び集電体の双方の機能を発揮できるとも言える。
ここで、「フェルミ準位」とは、フェルミ−ディラック分布を表すf(ε)をすべてのεについて加え合わせた和が粒子の総数に等しいという条件から決定されるパラメータであり、結合エネルギーが0となるエネルギーを示している。
また、X線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルは、例えばX線光電子分光分析装置(PHI社製、QUANTUM2000)を用いて、測定することができる。フェルミ準位は、フェルミ準位近傍のスペクトルを、状態密度の傾きを考慮した測定温度のFermi−Dirac関数に、装置のエネルギー分解能をもつGauss関数で畳み込み積分を行った関数を用い、最小自乗法フィッティングを行い決定することができる。ただし、WOの場合参照物質として金を測定して、WOウィスカーと金の測定においてフェルミ準位のエネルギー位置が変わっていないと仮定し、フィッティングでフェルミ準位を決定し、それに合わせてスペクトルをシフトする。
【0015】
本実施形態の蓄電デバイス用電極においては、特に限定されるものではないが、例えばタングステン酸化物を含むファイバー及びウィスカーのいずれか一方又は双方のX線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルが、そのフェルミ準位においてそのピークの立ち上がりが開始されていることが望ましい。フェルミ準位においてそのピークの立ち上がりが開始されていること、つまり、フェルミ準位より低エネルギー側にピークの立ち上がりがあることにより、優れたサイクル耐久性能を発現し得ると共に、より優れた導電性及び応答性を有するものとなる。
また、特に限定されるものではないが、そのピークの強度が、5〜10eVの範囲内のピークの強度に対して1/20以上であることが好ましく、より好ましくは1/10以上、更に好ましくは1/5以上である。そのピーク強度が5〜10eVの範囲内のピーク、具体的には6eV付近の最大ピークの強度に対して1/20以上であると、優れたサイクル耐久性能を発現し得ると共に、電極としてより好適な導電性を得ることができる。
【0016】
また、本実施形態の蓄電デバイス用電極においては、特に限定されるものではないが、例えばタングステン酸化物を含むファイバー及びウィスカーのいずれか一方又は双方のX線光電子分光分析によるW4f光電子スペクトルが、33〜34eVの範囲内及び35〜36eVの範囲内の双方にピークを有することが望ましい。W4f電子の状態を示す33〜40eVの範囲内のスペクトルにおいては、33〜34eVの範囲内に6価のタングステン(W(VI))に起因するピークが検出され、35〜36eVの範囲内に4価のタングステン(W(IV))に起因するピークが検出されることが分かっており、双方が検出されるタングステン酸化物を含むファイバーやウィスカーはWOやWOのようにW(VI)やW(IV)のみで構成される酸化物の存在比率が極めて小さく、優れたサイクル耐久性能を発現し得ると共に、より優れた導電性及び応答性を有するものとなる。
そして、特に限定されるものではないが、33〜34eVの範囲内のピークの34eVにおける強度が、35〜36eVの範囲内のピークの36eVにおける強度に対して1/20以上であることが好ましく、より好ましくは1/10以上2以下、更に好ましくは1/5以上1.3以下である。
33〜34eVの範囲内のピークの34eVにおける強度が、35〜36eVの範囲内のピークの36eVにおける強度に対して1/20以上であると電極としてより好適な導電性を得ることができ、2以下であるとサイクル耐久性能の向上の観点から好ましい。
また、33〜34eVの範囲内のピークの34eVにおける強度が、35〜36eVの範囲内のピークの36eVにおける強度に対して1/10以上であると、より優れたサイクル耐久性能を発揮することができるだけでなく、より優れた導電性及び応答性を発揮することができ、高速放電容量が大きいものとなる。
【0017】
更に、本実施形態の蓄電デバイス用電極においては、特に限定されるものではないが、例えばタングステン酸化物を含むファイバー及びウィスカーのいずれか一方又は双方の可視光分光分析による反射スペクトルのクベルカ−ムンク変換によるスペクトルが、500〜600nmの範囲内に最大ピークを有することが望ましい。
500〜600nmの範囲内に最大ピークを有すると、より優れたサイクル耐久性能を発揮することができるだけでなく、より優れた導電性及び応答性を発揮することができ、電位窓が広く(広い電圧範囲で安定な)、より高い品質安定性を確保できるものとなる。
なお、ファイバーなどの透過光解析が可能なものについては、一般的な可視光の透過スペクトルで判断が可能である。しかしながら、通常、ウィスカーの場合は、十分な光透過性がないため、光源(キセノン光源やハロゲン光源が望ましい。)からの反射光を検出したスペクトルをクベルカ−ムンク変換したスペクトルを用いて判断する。
【0018】
ここで、「クベルカ−ムンク変換」とは、クベルカ−ムンク(Kubelka−Munk(K−M)関数(f(R))を用いた変換をいう。なお、K−M関数は、下記の数式(1)で表される。
【0019】
f(R)=(1−R/2R=K/S…(1)
(式中、Rは絶対反射率、Kは吸光係数、Sは散乱係数である。)
【0020】
しかしながら、試料の絶対反射率Rを測定することは困難なために、実際の測定では測定領域でK=0に近い臭化カリウム(KBr)や塩化カリウム(KCl)などの標準粉体に対する試料の反射強度の比(反射強度比)r(=r’(試料)/r’(標準粉体))(ここで、「r’(試料)」や「r’(標準粉体)」は試料や標準粉体の反射強度を表す。)を測定し、下記の数式(2)を求める。
【0021】
f(r)=(1−r/2r=K/S…(2)
(式中、rは標準粉体に対する試料の反射強度の比(反射強度比)、Kは吸光係数、Sは散乱係数である。)
【0022】
また、本実施形態の蓄電デバイス用電極においては、特に限定されるものではないが、例えばタングステン酸化物を含むファイバー及びウィスカーのいずれか一方又は双方のX線光電子分光分析による525〜535eVの範囲内のピークをDoniach−Sunjic式により最小二乗近似させたとき、非対称性指数αが0.07以上であることが好ましい。なお、525〜535eVのピークは酸素(O)の1s電子の状態を示すものである。
非対称性指数αが0.07以上であると、より優れたサイクル耐久性能を発揮することができるだけでなく、より優れた導電性及び応答性を発揮することができ、高速放電容量が大きいものとなる。
【0023】
ここで、Doniach−Sunjic式は、下記の数式(3)で表される。
【0024】
【数1】

【0025】
この式は、XPSの内殻スペクトルの理論式であり、内殻電子とフェルミ準位の電子の相互作用を反映したものである。発明者らは、実験を重ねることにより、この式の非対称性指数αが電池性能に大きく寄与することを見出した。XPSのピークをO1s電子に相当する525〜535eVの範囲内でDoniach−Sunjic式により最小二乗フィッティングを行うことにより、各パラメータが得られるが、フェルミ準位の電子との干渉を表す非対称性指数αは電池の性能と強い相関がある。
【0026】
更に、本実施形態の蓄電デバイス用電極においては、特に限定されるものではないが、例えばタングステン酸化物を含むファイバー及びウィスカーのいずれか一方又は双方のX線光電子分光分析による525〜535eVの範囲内のピークにおけるピークの下1/4値幅が2.5〜4.0eVであることが好ましい。
ピークの下1/4値幅が2.5〜4.0eVであると、より優れたサイクル耐久性能を発揮することができるだけでなく、より優れた導電性及び応答性を発揮することができ、高速放電容量が大きいものとなる。
【0027】
また、本実施形態の蓄電デバイス用電極においては、特に限定されるものではないが、例えばタングステン酸化物を含むファイバー及びウィスカーのいずれか一方又は双方からなる多孔質層が、タングステンを含む金属又はセラミックの基材上に形成されているものとすることができる。
このような構成とすることにより、優れたサイクル耐久性能を発現し得るだけでなく、ウィスカーやファイバーと基材との密着性がより向上し、電気的な接触も向上するため、電極としての内部抵抗を小さくすることができ、導電性に優れ、より優れた応答性を発揮することができる。
【0028】
なお、金属としては、タングステン金属単体に限定されるものではなく、例えばタングステン酸化物を含むウィスカーやファイバーを構成する金属及び金属化合物の他にコバルト、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、チタン、バナジウム、ニオブ、モリブデンなどを含む合金を挙げることができる。
また、セラミックスとしては、例えば窒化タングステン、炭化タングステン、ホウ化タングステン、窒化モリブデン、炭化モリブデン、ホウ化モリブデンなどを挙げることができる。
【0029】
更に、本実施形態の蓄電デバイス用電極においては、特に限定されるものではないが、例えば上述の基材が、その表面にタングステン酸化物を含むウィスカー又はファイバーの構成金属を含む金属層を備えているものとすることができる。
このようなタングステン金属とタングステン酸化物とが連続的に形成された構成とすることにより、優れたサイクル耐久性能を発現し得るだけでなく、界面の電気抵抗を小さくすることができ、導電性に優れたものとなる。また、ウィスカーやファイバーと基材との密着性を維持しながら、物理強度や導電性に優れた別の組成の材料を芯材として使用することができるため、例えば電極としての内部抵抗を小さくすることができ、より優れた応答性を発揮することができる。また、物理強度を向上させることもできる。
なお、上記芯材としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル、ニオブ、モリブデン、白金、チタンなどの金属や酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの高融点セラミックなどを挙げることができる。
【0030】
次に、本発明の一実施形態に係る蓄電デバイス用電極の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態の蓄電デバイス用電極の製造方法は、上述した本発明の一実施形態に係る蓄電デバイス用電極の製造方法の一実施形態であって、タングステン酸化物を含むファイバー及びウィスカーのいずれか一方又は双方の構成金属を含む原料又は基材原料を、微量の酸素存在下で加熱処理して、タングステン酸化物を含むファイバー及びウィスカーのいずれか一方又は双方を形成して、所望の蓄電デバイス用電極を得る製造方法である。
【0031】
原料又は基材原料として、タングステン酸化物を含むウィスカーやファイバーの構成金属を含むものを用いることにより、ウィスカーやファイバーが一体化してなる多孔質層の形成が可能であり、例えば基材原料を用いる場合には、基材とウィスカーやファイバーとの密着性を向上させることができ、導電性や応答性などの性能に優れた蓄電デバイス用電極を得ることができる。
【0032】
タングステン酸化物を含むウィスカーやファイバーの形成は、ウィスカー又はファイバーの構成金属を含む原料や基材原料を、微量の酸素存在下、例えば1〜100000体積ppm、好ましくは100〜10000体積ppmの酸素濃度のアルゴンなどの不活性ガス又は真空中、温度800〜1600℃、好ましくは900〜1200℃で、1分間〜100時間、好ましくは1〜10時間加熱処理することにより行うことができる。
また、酸素濃度は、段階的にないし連続的に低減させてもよい。
具体的には、例えば、まず、酸素濃度100〜10000体積ppmの酸素含有アルゴン気流中(流量:1〜5000cm/分(1atm、25℃))、30〜1100℃で、1分間〜10時間加熱し、次いで、アルゴン気流中(流量:1〜5000cm/分(1atm、25℃))、800〜1600℃で、1分間〜100時間加熱して、タングステン酸化物を含むウィスカーやファイバーの形成をすることができる。なお、アルゴン気流については、途中で供給を中止することができる。
また、例えば、大気中で、加熱を開始し、開始と同時にアルゴンを供給し(流量:10〜5000cm/分(1atm、25℃))、800〜1600℃で、1分間〜100時間加熱して、タングステン酸化物を含むウィスカーやファイバーの形成をすることもできる。
【0033】
また、不活性ガスの導入量は、反応炉や基材のサイズや形状などに応じて決定されることになるが、例えば、反応炉の容量が3Lの場合には、不活性ガスを0.1〜5L/分で供給することが望ましい。
【0034】
次に、本発明の一実施形態に係る蓄電デバイスについて詳細に説明する。
本実施形態の蓄電デバイスは、上述した本発明の一実施形態に係る蓄電デバイス用電極と、電解質と、を備えているものである。
【0035】
このような構成とすることにより、優れたサイクル耐久性能を発揮することができるものとなる。
なお、蓄電デバイス用電極は、正極にも負極にも適用することができる。また、蓄電デバイス用電極は、それ自体で電極として使用することもできるが、例えば、他の活物質などの材料と組み合わせることもできる。例えば、正極には高電位側で容量を発現する活物質を含む被覆層を有するものを、負極には低電位側で安定で容量を発現する活物質を含む被覆層を有するものを組み合わせることが望ましい。また、両極に同じ組成のものを使用することも可能である。
【0036】
電解質としては、特に限定されるものではないが、例えば非水系電解液を挙げることができる。非水系電解液は水系電解液と比較して耐電圧性が高く、高容量が得られやすいという利点がある。また、非水系電解液は水系電解液と比較して粘性が高く電解液の拡散速度が遅いため、上述した電極内の拡散がスムーズに行える蓄電デバイス用電極と組み合わせることによる利点が大きい。
非水系電解液の具体例としては、有機系電解液やイオン液体などを挙げることができる。
【0037】
また、電解質としては、特に限定されるものではないが、例えば固体又はゲル状の電解質を用いることが望ましい。
このような構成とすることにより、セルの安全面やサイクル特性などの面で扱いやすいという利点がある。また、固体又はゲル状の電解質は、一般的には液体の電解質と比較してイオン伝導性が低いため、上述した優れた応答性を有する蓄電デバイス用電極と組み合わせることによる利点が大きい。
固体又はゲル状の電解質の具体例としては、高分子系、ゲル系、固体酸などを挙げることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。
【0039】
(実施例1)
基材としてのタングステン金属平板を、雰囲気制御可能な電気炉内に配置し、酸素含有アルゴン気流中(酸素濃度:1体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、100℃まで昇温速度550℃/時で加熱した。
次いで、アルゴンガス気流中(流量:15cm/分(1atm、25℃))、昇温速度550℃/時で1100℃まで加熱し、更に、1100℃で2時間保持した。なお、アルゴンガスの供給を200℃到達時に停止した。
しかる後、室温まで自然冷却して、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル1」という。)を得た。
サンプル1を目視で確認したところ、黄色であった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0040】
(実施例2)
アルゴンガスの供給を1100℃に達すると同時に停止したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル2」という。)を得た。
サンプル2を目視で確認したところ、紫色であった。また、SEMにより観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0041】
(実施例3)
アルゴンガスの供給を300℃に達すると同時に停止したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル3」という。)を得た。
サンプル3を目視で確認したところ、緑がかった紺色であった。また、SEMにより観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0042】
(実施例4)
基材としてのタングステン金属平板を、雰囲気制御可能な電気炉内に配置し、大気の状態から加熱を開始し、加熱開始直後からアルゴン(流量:300cm/分(1atm、25℃))を供給しながら、昇温速度1100℃/時で1100℃まで加熱し、更に1100℃で8時間保持した。
しかる後、室温まで自然冷却して、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル4」ということがある。)を得た。
サンプル4を目視で確認したところ、紫色であった。また、SEMにより観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0043】
(実施例5)
1100℃における保持時間を2時間としたこと以外は、実施例4と同様の操作を繰り返し、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル5」ということがある。)を得た。
サンプル5を目視で確認したところ、紺色であった。また、SEMにより観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0044】
各サンプルをX線光電子分光法を実行するX線光電子分光分析装置(PHI社製、QUANTUM2000)を用いて、X線光電子分光分析を行った。図1及び図2は、各サンプルのウィスカ表面の価電子帯光電子スペクトルを示すグラフ及びウィスカ表面のW4f光電子スペクトルを示すグラフである。
黄色や紺色を示すサンプル1やサンプル3はフェルミ準位付近のごくわずかなピークしか確認されなかった。また、34eV付近にもピークは確認されなかった。
一方、同じ紺色を示すサンプル5はフェルミ準位付近に小さなピークが確認され、紫色を示すサンプル2及びサンプル4はフェルミ準位付近に明確なピークが確認された。
なお、図1において、サンプル1及びサンプル3においては、フェルミ準位付近のピーク強度が、5〜10eVの範囲内の最大ピークの強度に対して、2/43及び1/25であり、1/20未満であった。また、サンプル4においては、フェルミ準位付近のピーク強度が、5〜10eVの範囲内の最大ピークの強度に対して、4/15であり、1/5以上であった。更に、サンプル2及びサンプル5においては、フェルミ準位付近のピーク強度が、5〜10eVの範囲内の最大ピークの強度に対して、1/6及び1/11であり、1/20以上であった。
また、図2において、サンプル1及びサンプル3においては、34eVにおける強度が、36eVにおける強度に対して、1/37であり、1/20未満であった。また、サンプル4においては、34eVにおける強度が、36eVにおける強度に対して、5/11であり、1/5以上であった。更に、サンプル2及びサンプル5においては、34eVにおける強度が、36eVにおける強度に対して、5/17及び1/8であり、1/20以上であった。
【0045】
また、各サンプルについて可視光分光分析を行った。具体的には、150W高安定キセノンランプを光源として、各サンプルに光を照射し、反射光を分光器に取り込んで、反射スペクトルを測定した。図3は、各サンプルのウィスカの可視光分光分析による結果(反射スペクトル)を示すグラフである。
黄色を示すサンプル1や紺色を示すサンプル3には特徴的なピークが存在するが、残りの3つのサンプルには殆ど特徴的なピークは確認されなかった。
【0046】
図4は、図3の反射スペクトルをクベルカ−ムンク(Kubelka−Munk(K−M))変換した結果(疑似透過スペクトル)を示すグラフである。
このスペクトルから、紫色を示すサンプル2及びサンプル4は、500〜600nmの範囲内に最大ピークがあることが確認された。
【0047】
実施例2及び実施例5の蓄電デバイス用電極が試験極、リチウム箔が補助電極及び参照極であり、電解液がエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=50:50(体積比)の割合で混合した溶媒に、1mol/Lの割合で過塩素酸リチウムを溶解させたものである三極式セルを用いて、充放電試験、及びサイクリックボルタンメトリー(CV)によって、実施例2及び実施例5の蓄電デバイス用電極の性能を評価した。実施例2及び実施例5の蓄電デバイス用電極のCV曲線を図5及び図6に示す。
実施例2の蓄電デバイス用電極は、サイクル耐久性能が非常に優れていることが分かる。また、電圧範囲を1.7〜3.0Vから1.5〜3.0Vの低電位側に広げた場合でも、劣化のないCV曲線を得ることができた。
一方、実施例5の蓄電デバイス用電極も、電圧範囲が1.7〜3.0Vにおいては、比較的安定なCV曲線を得ることができたが、電圧範囲を1.5〜3.0Vの低電位側に広げると、若干の劣化が生じることが確認された。
【0048】
(実施例6)
基材としてのタングステン金属平板を、雰囲気制御可能な電気炉内に配置し、酸素含有アルゴン気流中(酸素濃度:1体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、100℃まで昇温速度550℃/時で加熱した。
次いで、酸素含有アルゴンガス気流中(酸素濃度:0.05体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、昇温速度550℃/時で1100℃まで加熱し、更に、1100℃で2時間保持した。なお、保持後は電気炉の電流を止めて徐冷を行い、酸素含有アルゴンガスの供給を200℃到達時に停止した。
しかる後、室温まで自然冷却して、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル6」という。)を得た。
サンプル6を目視で確認したところ、紫色であった。また、SEMにより観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0049】
(実施例7)
基材としてのタングステン金属平板を、雰囲気制御可能な電気炉内に配置し、酸素含有アルゴン気流中(酸素濃度:1体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、100℃まで昇温速度550℃/時で加熱した。
次いで、酸素含有アルゴンガス気流中(酸素濃度:0.1体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、昇温速度550℃/時で1100℃まで加熱し、更に、1100℃で2時間保持した。なお、保持後は電気炉の電流を止めて徐冷を行い、酸素含有アルゴンガスの供給を200℃到達時に停止した。
しかる後、室温まで自然冷却して、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル7」という。)を得た。
サンプル7を目視で確認したところ、紫色であった。また、SEMにより観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0050】
(実施例8)
基材としてのタングステン金属平板を、雰囲気制御可能な電気炉内に配置し、酸素含有アルゴン気流中(酸素濃度:1体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、100℃まで昇温速度550℃/時で加熱した。
次いで、酸素含有アルゴンガス気流中(酸素濃度:0.4体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、昇温速度550℃/時で1100℃まで加熱し、更に、1100℃で2時間保持した。なお、保持後は電気炉の電流を止めて徐冷を行い、酸素含有アルゴンガスの供給を200℃到達時に停止した。
しかる後、室温まで自然冷却して、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル8」という。)を得た。
サンプル8を目視で確認したところ、紫色であった。また、SEMにより観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0051】
(実施例9)
基材としてのタングステン金属平板を、雰囲気制御可能な電気炉内に配置し、酸素含有アルゴン気流中(酸素濃度:1体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、100℃まで昇温速度550℃/時で加熱した。
次いで、酸素含有アルゴンガス気流中(酸素濃度:0.6体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、昇温速度550℃/時で1100℃まで加熱し、更に、1100℃で2時間保持した。なお、保持後は電気炉の電流を止めて徐冷を行い、酸素含有アルゴンガスの供給を200℃到達時に停止した。
しかる後、室温まで自然冷却して、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル9」という。)を得た。
サンプル9を目視で確認したところ、紺色であった。また、SEMにより観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0052】
(実施例10)
基材としてのタングステン金属平板を、雰囲気制御可能な電気炉内に配置し、酸素含有アルゴン気流中(酸素濃度:1体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、100℃まで昇温速度550℃/時で加熱した。
次いで、酸素含有アルゴンガス気流中(酸素濃度:0.8体積%、流量:15cm/分(1atm、25℃))、昇温速度550℃/時で1100℃まで加熱し、更に、1100℃で2時間保持した。なお、保持後は電気炉の電流を止めて徐冷を行い、酸素含有アルゴンガスの供給を200℃到達時に停止した。
しかる後、室温まで自然冷却して、本例の蓄電デバイス用電極(以下「サンプル10」という。)を得た。
サンプル10を目視で確認したところ、緑がかった紺色であった。また、SEMにより観察したところ、形成されたウィスカーの平均長さは約30μm、得られた電極は、1cm×1cm、厚みが0.1mmであった。
【0053】
各サンプルをX線光電子分光法を実行するX線光電子分光分析装置(PHI社製、QUANTUM2000)を用いて、X線光電子分光分析を行った。
【0054】
また、X線光電子分光分析後、実施例6〜実施例10の蓄電デバイス用電極を試験極、リチウム箔を対極とし、電解液としてエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=50:50(体積比)の割合で混合した溶媒に、1mol/Lの割合で過塩素酸リチウムを溶解させたものを用いた二極式セルを作製した。なお、セパレータとしてはガラス濾紙を用いた。
これらのセルに対し、1.2〜3Vの範囲で充放電を行った。まず、10mA/cmで高速充放電を2回行い、2回目の放電容量を測定した。次に、1mA/cmで充放電を100回繰り返し、100サイクル後の容量維持率を測定した。
得られた結果を表1、図7〜図10に示す。
表1及び図7において、フェルミ準位近傍ピーク強度比とは、5〜10eVの範囲内のピークの強度に対するフェルミ準位から1eV以内のピークの強度の比を意味する。
また、表1及び図8において、34eV/36eVピーク強度比とは、35〜36eVの範囲内のピークの36eVにおける強度に対する33〜34eVの範囲内のピークの34eVにおける強度の比を意味する。
更に、表1及び図9において、非対称性指数αとは、Doniach−Sunjic式におけるパラメータを意味する。
更にまた、表1及び図10において、O1sピーク1/4値幅とは、525〜535eVの範囲内のピークにおけるピークの下1/4値幅を意味する。
【0055】
【表1】

【0056】
表1、図7〜図10より、本発明の範囲に属する実施例6〜10のうち特に実施例6〜9が優れた電池特性(10mA/cmで高速充放電及び100サイクル後放電容量維持率)を有することが分かる。
【0057】
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0058】
例えば、上記実施例においては、蓄熱デバイス用電極をリチウムイオン電池に適用した場合について説明したが、電気二重層型キャパシタ、電気化学キャパシタ、及び充電可能なその他の蓄電デバイスに適用することもできる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーからなる多孔質層を有する蓄電デバイス用電極であって、
上記タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーのX線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルが、そのフェルミ準位から1eV以内にピークを有する、ことを特徴とする蓄電デバイス用電極。
【請求項2】
上記タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーのX線光電子分光分析による価電子帯光電子スペクトルが、そのフェルミ準位において上記ピークの立ち上がりが開始されており、且つ、上記ピークの強度が、5〜10eVの範囲内のピークの強度に対して1/20以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項3】
上記タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーのX線光電子分光分析によるW4f光電子スペクトルが、33〜34eVの範囲内及び35〜36eVの範囲内の双方にピークを有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項4】
33〜34eVの範囲内のピークの34eVにおける強度が、35〜36eVの範囲内のピークの36eVにおける強度に対して1/20以上である、ことを特徴とする請求項3に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項5】
33〜34eVの範囲内のピークの34eVにおける強度が、35〜36eVの範囲内のピークの36eVにおける強度に対して1/10以上である、ことを特徴とする請求項4に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項6】
上記タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーの可視光分光分析による反射スペクトルのクベルカ−ムンク変換によるスペクトルが、500〜600nmの範囲内に最大ピークを有する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項7】
上記タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーのX線光電子分光分析による525〜535eVの範囲内のピークをDoniach−Sunjic式により最小二乗近似させたとき、非対称性指数αが0.07以上である、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項8】
上記タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーのX線光電子分光分析による525〜535eVの範囲内のピークにおけるピークの下1/4値幅が2.5〜4.0eVである、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項9】
上記タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーからなる多孔質層が、タングステンを含む金属又はセラミックの基材上に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項10】
上記基材が、その表面に上記タングステン酸化物を含むウィスカー又はファイバーの構成金属を含む金属層を備えていることを特徴とする請求項9に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の蓄電デバイス用電極と、電解質と、を備えていることを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項12】
上記電解質が、非水系電解液であることを特徴とする請求項11に記載の蓄電デバイス。
【請求項13】
上記電解質が、固体又はゲル状体であることを特徴とする請求項11に記載の蓄電デバイス。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の蓄電デバイス用電極の製造方法であって、
タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーの構成金属を含む原料又は基材原料を、微量の酸素存在下で加熱処理して、タングステン酸化物を含むファイバー及び/又はウィスカーを形成する、ことを特徴とする蓄電デバイス用電極の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−219022(P2010−219022A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157445(P2009−157445)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】