説明

蓄電デバイス

【課題】電極ユニットに対する電解液の浸透状態を適切に調整することにより、電極面内におけるイオンのドーピング量のばらつきを抑制する。
【解決手段】蓄電デバイス40はラミネートフィルム11を備えており、ラミネートフィルム11内には電極が積層される電極積層ユニットが収容されている。また、電極積層ユニットにはリチウムイオンを放出するリチウム極が設けられており、ラミネートフィルム11内にはリチウムイオンを移送する電解液が注入されている。電解液を注入してリチウム極から放出されるリチウムイオンを電極にドーピングする際には、蓄電デバイス40が水平状態に設置されるとともに所定期間毎に蓄電デバイス40の上下が反転される。これにより、ラミネートフィルム内における電解液の浸透状態を均一に調整することができ、電極に対して均一にリチウムイオンをドーピングすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン供給源からのイオンを電極にドーピングする蓄電デバイスに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載される蓄電デバイスとして、リチウムイオンキャパシタやリチウムイオン二次電池等が候補に挙げられている。また、これら蓄電デバイスのエネルギー密度を向上させるため、蓄電デバイス内に金属リチウムを組み込むとともに、負極と金属リチウムとを電気化学的に接触させるようにした蓄電デバイスも提案されている。このように、負極にリチウムイオンを予めドーピングさせることにより、負極電位を低下させて出力電圧を引き上げることができるため、蓄電デバイスのエネルギー密度を向上させることが可能となる。さらに、積層される電極間においてリチウムイオンのドーピングをスムーズに進行させるため、正極集電体や負極集電体に対してリチウムイオンを通過させるための貫通孔を形成するようにした蓄電デバイスも提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3485935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、リチウムイオンを負極にドーピングする際には、電解液を介してリチウムイオンが負極に移動することから、正極、負極およびセパレータに対する電解液の浸透状態を調整することが重要となっている。この電解液の浸透状態がばらついてしまうと、リチウムイオンの移動経路が制限されることから、ドーピング量が負極面内で大きく変動するおそれがある。このように、リチウムイオンのドーピング量が変動してしまうと、負極面内における負極電位がばらついてしまうことから、局部的な過充電や過放電を招いて蓄電デバイスを劣化させる要因となっていた。
【0004】
また、電解液の浸透状態のばらつきに起因して局所的に多くのリチウムイオンがドーピングされる状況では、ドーピングの進行に伴って金属リチウムと負極との電位差を確保することが困難になるため、ドーピング速度の低下に伴ってドーピングの長期化を招くことになっていた。
【0005】
本発明の目的は、電極ユニットに対する電解液の浸透状態を適切に調整することにより、電極面内におけるイオンのドーピング量のばらつきを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓄電デバイスは、電極とイオン供給源とを備える電極ユニットが容器に収容され、前記イオン供給源からのイオンの移動媒体となる電解液が前記容器に注入され、前記電解液を介して前記イオンを前記電極にドーピングする蓄電デバイスであって、前記電極の電極面におけるドーピング量の変動範囲が±10%であることを特徴とする。
【0007】
本発明の蓄電デバイスは、前記イオンをドーピングする際には、前記電極の電極面を重力方向に交差させて配置させることを特徴とする。
【0008】
本発明の蓄電デバイスは、前記イオンをドーピングする際には、所定期間毎に前記電極ユニットの上下を反転させることを特徴とする。
【0009】
本発明の蓄電デバイスは、前記電極は電極集電体と電極合材層とを備え、前記電極集電体には貫通孔が形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の蓄電デバイスは、前記蓄電デバイスはリチウムイオンキャパシタであることを特徴とする。
【0011】
本発明の蓄電デバイスは、前記蓄電デバイスはリチウムイオン二次電池であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、イオンを電極にドーピングした際の電極面内におけるドーピング量の変動範囲が小さいため、蓄電デバイスの耐久性が向上する。また、電極の電極面を重力方向に交差させることにより、電解液の浸透状態を適切に調整することができ、電極面内におけるイオンのドーピング量の変動範囲を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の一実施の形態である蓄電デバイス10を示す斜視図であり、図2は図1のA−A線に沿って蓄電デバイス10の内部構造を概略的に示す断面図である。図1および図2に示すように、蓄電デバイス10の容器であるラミネートフィルム11には電極積層ユニット12が収容されており、この電極積層ユニット12はセパレータ13を介して交互に積層される正極(電極)14と負極(電極)15とによって構成されている。また、電極積層ユニット12の最外部にはリチウム極16が負極15に対向するように配置されており、電極積層ユニット12とリチウム極(イオン供給源)16とによって三極積層ユニット(電極ユニット)17が構成されている。なお、ラミネートフィルム11内には、リチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒からなる電解液がリチウムイオン(イオン)の移動媒体として注入されている。
【0014】
図3は蓄電デバイス10の内部構造を部分的に拡大して示す断面図である。図3に示すように、正極14は、多数の貫通孔14aを備える正極集電体(電極集電体)14bと、この正極集電体14bに塗工される正極合材層(電極合材層)14cとを備えている。また、負極15は、多数の貫通孔15aを備える負極集電体(電極集電体)15bと、この負極集電体15bに塗工される負極合材層(電極合材層)15cとを備えている。相互に接続される複数の正極集電体14bには、ラミネートフィルム11から外部に突出する正極端子18が接続されており、相互に接続される複数の負極集電体15bには、ラミネートフィルム11から外部に突出する負極端子19が接続されている。さらに、電極積層ユニット12の最外部に配置されるリチウム極16は、ステンレスメッシュ等の導電性多孔体からなるリチウム極集電体16aと、これに貼り付けられる金属リチウム16bとによって構成されており、リチウム極集電体16aは負極集電体15bに対して接続されている。
【0015】
また、正極14の正極合材層14cには、リチウムイオンを可逆的にドーピング・脱ドーピングすることが可能な正極活物質が含有されており、負極15の負極合材層15cには、リチウムイオンを可逆的にドーピング・脱ドーピングすることが可能な負極活物質が含有されている。そして、負極15の負極合材層15cに金属リチウム16bからリチウムイオンをドープすることにより、負極電位を低下させて蓄電デバイス10のエネルギー密度を向上させるようにしている。また、正極集電体14bや負極集電体15bには多数の貫通孔14a,15aが形成されており、この貫通孔14a,15aを介してリチウムイオンは各極間を自在に移動することができるため、積層される全ての負極合材層15cに対してスムーズにリチウムイオンをドープすることが可能となっている。なお、本発明において、ドーピング(ドープ)とは、吸蔵、担持、吸着、挿入等を意味しており、正極活物質や負極活物質に対してリチウムイオンやアニオン等が入る状態を意味している。また、脱ドーピング(脱ドープ)とは、放出、脱離等を意味しており、正極活物質や負極活物質からリチウムイオンやアニオン等が出る状態を意味している。
【0016】
続いて、ドーピング工程における蓄電デバイス10の設置状態について説明する。図3に示すように、負極15とリチウム極16とが短絡される構造であるため、負極15に対するリチウムイオンのドープは、ラミネートフィルム11内に対する電解液の注入によって開始される。ここで、図4はドーピング工程における蓄電デバイス10の設置状態を示す説明図である。図4に示すように、負極15に対してリチウムイオンをドープするドーピング工程においては、蓄電デバイス10に収容される電極積層ユニット12の電極面(正極面,負極面)14d,15dが重力方向(鉛直方向)に交差するように、つまり蓄電デバイス10が水平姿勢をとるように設置されている(水平ドープ)。このように、蓄電デバイス10を水平状態に設置することにより、各電極14,15内における電解液の浸透状態を均一に調整することができるため、リチウムイオンの移動経路を電極面14d,15d内において均一に確保することが可能となる。なお、図4に示される濃淡は電解液の量を表す濃淡であり、濃い部分は浸透する電解液が多いことを表し、薄い部分は浸透する電解液が少ないことを表している。
【0017】
これにより、負極面15d内におけるリチウムイオンのドーピング量の均一化を図ることができ、負極面15d内における負極電位を均一に設定することが可能となる。したがって、電極面14d,15d内における電位差のばらつきを抑制することができ、電極面14d,15d内における局所的な過充電状態や過放電状態を回避して蓄電デバイス10の劣化を防止することが可能となる。しかも、負極面15dに対してほぼ均一にリチウムイオンをドープすることができ、リチウムイオンの集中ドープに伴う局所的な負極電位の低下を招くことがないため、ドーピング時間を短縮することも可能となる。
【0018】
なお、蓄電デバイス10の水平状態とは、電極面14d,15dを重力方向に対して直交させる状態に限られることはなく、電解液を電極面14d,15d内において均一に保つことができる範囲で傾斜させた状態をも含む意味である。たとえば、リチウムイオンのドーピング量から蓄電デバイス10の水平状態を特定しようとすれば、電極面14d,15d内においてリチウムイオンのドーピング量が±10%の変動範囲に収まる角度範囲で、蓄電デバイス10を水平方向から傾けるようにしても良い。
【0019】
ここで、図5(A)および(B)はドーピング工程において蓄電デバイス10を水平状態に保たなかった場合における電解液の浸透状態を示す説明図である。なお、図4と同様に、図5に示される濃淡は浸透する電解液の量を表す濃淡である。図5(A)に示すように、電極積層ユニットの電極面が重力方向から所定範囲を超えて傾くように蓄電デバイス20を設置した場合や、図5(B)に示すように、電極積層ユニットの電極面が重力方向に沿うように蓄電デバイス30を設置した場合(垂直ドープ)には、重力によって電解液が下方に集中するため、電極面内における電解液の浸透状態が大きくばらつくことになる。このような浸透状態のばらつきは、負極面内におけるリチウムイオンのドーピング量を大きく変動させることから、局所的な過充電状態や過放電状態を招いて蓄電デバイス20,30を劣化させる要因となる。
【0020】
なお、移動距離が短いことから負極15の厚み方向にリチウムイオンを移動させることは可能であるが、移動距離が極めて長いことから負極15の面方向(長さ方向,幅方向)にリチウムイオンを移動させることは極めて困難である。すなわち、製造段階においてリチウムイオンのドーピング量にばらつきが生じてしまうと、その後の充放電によってドーピング量の均一化を図ることができないため、蓄電デバイス10の性能や耐久性を決定する上で、ドーピング工程は極めて重要な製造工程となっている。
【0021】
前述したように、蓄電デバイス10を水平に設置した状態のもとで、ドーピング工程を実行することにより、電極面14d,15d内に対するリチウムイオンのドーピング量の均一化を図ることが可能であるが、電極の積層枚数が増加して厚み寸法が増大した蓄電デバイス40にあっては、高さレベルで電解液の浸透状態に差が生じてしまうおそれがある。ここで、図6および図7(A)〜(D)はドーピング工程における他の実行手順を示す説明図である。なお、図4と同様に、図7に示される濃淡は浸透する電解液の量を表す濃淡である。
【0022】
図6および図7(A)〜(D)に示すように、蓄電デバイス40の厚み寸法が大きいことから、高さレベルで電解液の浸透状態に大きな差が生じてしまう場合には、ドーピング工程の途中でラミネートフィルム11の上面と下面とを入れ替えるように蓄電デバイス40の上下を反転させるようにしている。図7(A)に示すように、蓄電デバイス40を水平状態に配置してリチウムイオンをドープした後に、図7(B)〜(D)に示すように、蓄電デバイス40を反転させ電解液を下方に案内しながら再び蓄電デバイス40を水平状態に設置してリチウムイオンをドープすると、電極面14d,15d内における電解液の浸透状態を均一にするだけでなく、全ての電極14,15に対する電解液の浸透状態を均一に調整することが可能となる。すなわち、全ての負極15に対するリチウムイオンのドーピング量を均一にすることができ、蓄電デバイス40の性能や耐久性を向上させることが可能となる。なお、図示する場合には、ドーピング工程において蓄電デバイス40の上下を1回反転させるようにしているが、数回に渡って反転するようにしても良い。また、反転させる際の時間間隔についても、蓄電デバイスの構造やリチウムイオンのドーピング量等に応じて適宜設定することが可能である。
【0023】
続いて、前述した蓄電デバイスの構成について下記の順に詳細に説明する。[A]正極、[B]負極、[C]正極集電体および負極集電体、[D]リチウム極、[E]セパレータ、[F]電解液、[G]容器。
【0024】
[A]正極
正極は、正極集電体とこれに一体となる正極活物質層とを有しており、正極活物質層にはリチウムイオンやアニオン(例えばテトラフルオロボレート等)を可逆的に担持することが可能な正極活物質が含有されている。正極活物質としては、リチウムイオンやアニオンを可逆的に担持できるものであれば特に限定されることはなく、例えば活性炭や導電性高分子、ポリアセン系物質等を挙げることができる。また、芳香族系縮合樹脂材料の熱処理物であり、H/Cが0.50〜0.05であるPASを正極活物質として用いた場合には、高容量化を図ることができるために好適である。
【0025】
前述したPAS等の正極活物質は粉末状、粒状、短繊維状等に形成され、この正極活物質をバインダと混合してスラリーが形成される。そして、正極活物質を含有するスラリーを正極集電体に塗工して乾燥させることにより、正極集電体上に正極活物質層が形成される。なお、正極活物質と混合されるバインダとしては、例えばSBR等のゴム系バインダやポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、正極活物質層に対して、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電性材料を適宜加えるようにしても良い。
【0026】
[B]負極
負極は、負極集電体とこれに一体となる負極活物質層とを有しており、負極活物質層にはリチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープすることが可能な負極活物質が含有されている。負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に担持できるものであれば特に限定されることはなく、例えばグラファイト、種々の炭素材料、ポリアセン系物質、錫酸化物、珪素酸化物等を挙げることができる。特に、芳香族系縮合樹脂材料の熱処理物であり、水素原子/炭素原子の原子数比(H/C)が0.50〜0.05であるポリアセン系有機半導体(PAS)は負極活物質として好適である。このPASはアモルファス構造を有することから、リチウムイオンのドープ・脱ドープに対して膨潤・収縮といった構造変化がないためサイクル特性に優れており、リチウムイオンのドープ・脱ドープに対して等方的な分子構造であるため急速充電や急速放電にも優れた特性を有している。
【0027】
前述したPAS等の負極活物質は粉末状、粒状、短繊維状等に形成され、この負極活物質をバインダと混合してスラリーが形成される。そして、負極活物質を含有するスラリーを負極集電体に塗工して乾燥させることにより、負極集電体上に負極活物質層が形成される。なお、負極活物質と混合されるバインダとしては、例えばSBR等のゴム系バインダや、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができ、これらの中でもフッ素系バインダを用いることが好ましい。また、負極活物質層に対して、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電性材料を適宜加えるようにしても良い。
【0028】
[C]正極集電体および負極集電体
正極集電体および負極集電体としては、表裏面を貫く貫通孔を備えているものが好適であり、例えばエキスパンドメタル、パンチングメタル、網、発泡体等を挙げることができる。貫通孔の形状や個数等については、特に限定されることはなく、リチウムイオンの移動を阻害しないものであれば適宜設定することが可能である。また、正極集電体および負極集電体の材質としては、一般に有機電解質電池に提案されている種々の材質を用いることが可能である。たとえば、正極集電体の材質として、アルミニウム、ステンレス鋼等を用いることができ、負極集電体の材質として、ステンレス鋼、銅、ニッケル等を用いることができる。
【0029】
[D]リチウム極
リチウム極は、ステンレスメッシュ等の導電性多孔体からなるリチウム極集電体と、これに貼り付けられた金属リチウムとによって構成されている。また、リチウム極を構成する金属リチウムに代えて、リチウム−アルミニウム合金のように、リチウムイオンを供給することが可能な合金等を用いるようにしても良い。なお、金属リチウムをリチウム極集電体によって支持するとともに、リチウムイオンを担持させる際に負極集電体とリチウム極集電体とを接触させることにより、金属リチウムの消失に伴って電極間に生じる隙間を少なくすることができ、リチウムイオンを負極に対してスムーズに担持させることが可能となる。また、リチウム極集電体の厚さは10〜200μm程度が好ましく、金属リチウムの厚さは負極活物質量にもよるが50〜300μm程度が好ましい。なお、リチウム極集電体を負極集電体や正極集電体と同じ材料によって形成することも可能である。
【0030】
[E]セパレータ
セパレータとしては、電解液、正極活物質、負極活物質等に対して耐久性があり、連通気孔を有する電気伝導性のない多孔質体等を用いることができる。このセパレータの材質としては、セルロース(紙)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの既知のものを使用することが可能である。また、負極とリチウム極との間に配置されるセパレータとしては、前述した材質に限られることはなく、負極集電体やリチウム極集電体の表面に絶縁被膜を形成することにより、この絶縁被膜をセパレータとして機能させることも可能である。
【0031】
[F]電解液
電解液としては、高電圧でも電気分解を起こさないという点、リチウムイオンが安定に存在できるという点から、リチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒を用いることが好ましい。非プロトン性有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等を単独あるいは混合した溶媒が挙げられる。また、リチウム塩としては、例えばLiI、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF等が挙げられる。また、電解液中の電解質濃度は、電解液による内部抵抗を小さくするため、少なくとも0.1モル/l以上とすることが好ましく、0.5〜1.5モル/lの範囲内とすることが更に好ましい。
【0032】
[G]容器
容器としては、一般に電池に用いられている種々の材質を用いることができ、鉄やアルミニウム等の金属材料等を使用することが可能である。また、容器の形状についても特に限定されることはなく、円筒型や角型など用途に応じて適宜選択することが可能である。なお、蓄電デバイスの小型化や軽量化を図る観点からは、容器としてアルミニウムのラミネートフィルムを用いることが好ましい。一般的には、外側にナイロンフィルム、中心にアルミニウム箔、内側に変性ポリプロピレン等の接着層を有した3層ラミネートフィルムが用いられている。また、ラミネートフィルムは、中に入る電極等のサイズに合わせて深絞りされているのが一般的であり、深絞りされるラミネートフィルム内に電極積層ユニットを設置して電解液を注入した後、ラミネートフィルムの外周部は熱溶着等によって封止される構成となっている。
【0033】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
<負極の製造>
厚さ0.5mmのフェノール樹脂成形板をシリコニット電気炉中に入れ、窒素雰囲気下で50℃/時間の速度で500℃まで昇温した後、さらに10℃/時間の速度で700℃まで昇温させて熱処理を施してPASを合成した。このようにして得られたPAS板をディスクミルで粉砕することによりPAS粉体を得た。このPAS粉体のH/C比は0.17であった。次いで、ポリフッ化ビニリデン粉末10重量部をN−メチルピロリドン80重量部に溶解した溶液に、上記PAS粉体100重量部を充分に混合することによって負極用のスラリーを作製した。この負極用のスラリーを、厚さ32μmの銅製エキスパンドメタルからなる負極集電体の両面にダイコーターにてコーティングして負極合材層を成形した。負極合材層が成形された負極集電体を真空乾燥させることにより、負極全体の厚さ(両面の負極合材層厚さと負極集電体厚さの合計)が78μmとなる負極を得た。負極活物質の目付量は4.0mg/cmであった。
【0035】
<正極の製造>
比表面積2000m/gの市販活性炭粉末85重量部、アセチレンブラック粉体5重量部、アクリル系樹脂バインダ6重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部および水200重量部を充分に混合することによって正極用のスラリーを得た。この正極用のスラリーを、厚さ35μmのアルミニウム製エキスパンドメタルの両面に、非水系のカーボン系導電塗料をスプレー方式にてコーティングした後に乾燥させることにより、導電層が形成された正極用集電体を得た。全体の厚さ(集電体厚さと導電層厚さとの合計)は52μmであり、貫通孔は導電塗料によりほぼ閉塞された。そして、正極用のスラリーを、正極集電体の両面にロールコーターにてコーティングして正極合材層を成形した。正極合材層が成形された正極集電体を真空乾燥させることにより、正極全体の厚さ(両面の正極合材層厚さと両面の導電層厚さと正極集電体厚さとの合計)が129μmとなる正極を得た。正極合材層の厚みは両面で77μmであり、正極活物質の目付量は両面合せて3.5mg/cmであった。
【0036】
<負極の単位重量当りの静電容量測定>
上記負極を1.5cm×2.0cmのサイズに切り出して評価用負極とした。この評価用負極に、厚さ50μmのポリエチレン製不織布からなるセパレータを介して、対極としての金属リチウム(1.5cm×2.0cmサイズ、厚み200μm)を対向させることにより、模擬セルを組んだ。参照極としては金属リチウムを用い、電解液としてはプロピレンカーボネートにLiPFを1.2モル/lの濃度で溶解した溶液を用いた。そして、充電電流1mAにて負極活物質に620mAh/g分のリチウムイオンを充電し、その後、放電電流1mAにて負極電位が1.5Vに達するまで放電を行った。放電開始1分後の負極電位より更に0.2Vの電位変化が生じる迄の放電時間に基づき、負極の単位重量当りの静電容量を求めたところ1021F/gであった。
【0037】
<正極の単位重量当りの静電容量測定>
上記正極を1.5cm×2.0cmのサイズに切り出して評価用正極とした。この評価用正極に、厚さ50μmのポリエチレン製不織布からなるセパレータを介して、対極としての金属リチウム(1.5cm×2.0cmサイズ、厚み200μm)を対向させることにより、模擬セルを組んだ。参照極としては金属リチウムを用い、電解液としてはプロピレンカーボネートにLiPFを1.2モル/lの濃度で溶解した溶液を用いた。そして、充電電流1mAにて3.6Vまで充電した後に定電圧充電を行い、総充電時間が1時間を経過した後に、放電電流1mAにて正極電位が2.5Vに達するまで放電を行った。正極電位が3.5Vから2.5Vに達する迄の放電時間に基づき、正極の単位重量当りの静電容量を求めたところ140F/gであった。
【0038】
<電極積層ユニットの作製>
負極を6.0cm×7.5cm(端子溶接部を除く)にカットし、正極を5.8cm×7.3cm(端子溶接部を除く)にカットし、セパレータとしてのセルロース/レーヨン混合不織布(厚さ35μm)を6.2×7.7cm2にカットした。そして、正極集電体、負極集電体の端子溶接部がそれぞれ反対側になるよう配置し、正極、負極の対向面が40層になるように、かつ積層した電極の最外部の電極が負極となるように積層した。続いて、最上部および最下部にはセパレータを配置して4辺をテープ留めした後に、正極集電体の端子溶接部(20枚)に対してアルミニウム製正極端子(幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mm)を超音波溶接し、負極集電体の端子溶接部(21枚)に対して銅製負極端子(幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mm)を超音波溶接して電極積層ユニットを作製した。なお、電極積層ユニットには、20枚の正極が用いられ、21枚の負極が用いられている。また、正極活物質重量は負極活物質重量の0.8倍であるが、正極と対向する負極表面積内に含まれる負極活物質の重量に対しては0.9倍となる。さらに、正極表面積は負極表面積の94%である。
【0039】
<キャパシタセルの作製>
リチウム極としては、金属リチウム箔(厚さ122μm、サイズ6.0cm×7.5cm、300mAh/g相当)を厚さ80μmのステンレス網に圧着したものを用いた。また、リチウム極を最外部の負極と完全に対向するように電極積層ユニットの上部および下部に各1枚配置させて4辺をテープ留めし、三極積層ユニットを作製した。なお、リチウム極集電体の端子溶接部(2枚)は負極端子溶接部に抵抗溶接した。上記三極積層ユニットを7.5mmに深絞りしたラミネートフィルムの内部に設置し、開口部をラミネートフィルムで覆って三辺を融着した後に、電解液(エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒にLiPFを1モル/lの濃度で溶解した溶液)を真空含浸させた。その後、残り一辺を融着してフィルム型のリチウムイオンキャパシタセル(以下、キャパシタセルという。前述の蓄電デバイスに相当)を5セル組み立てた。なお、キャパシタセル内に配置された金属リチウムは負極活物質重量当り600mAh/g相当である。
【0040】
<プレドープ>
キャパシタセルを組み立てた後に、キャパシタセル内の電極が水平(重力方向に直角)になるようにキャパシタセルを40℃の恒温槽内に配置し、24時間毎に上下を反転させながら14日間に渡って放置した。その後、1つのキャパシタセルを分解したところ、金属リチウムは完全に無くなっていた。このことから、負極活物質の単位重量当りに1021F/g以上の静電容量を得るためのリチウムイオンが、予め充電により確実にドープされたと判断した。なお、負極の単位重量当りの静電容量は正極の単位重量当りの静電容量の7.3倍となる。
【0041】
<プレドープ量の評価>
プレドープが完了した後に、1つのキャパシタセルをアルゴン雰囲気のボックス内にて分解して負極を1枚取り出した。取り出した負極を幅方向と長さ方向とに3分割して、2.0cm×2.5cmサイズの評価用負極を9枚切り出した。この評価用負極に、厚さ50μmのポリエチレン製不織布からなるセパレータを介して、対極としての金属リチウム(2.0cm×2.5cmサイズ、厚み200μm)を対向させることにより、模擬セルを組んだ。参照極としては金属リチウムを用い、電解液としてはプロピレンカーボネートにLiPFを1.2モル/lの濃度で溶解した溶液を用いた。そして、放電電流1mAにて1.5Vまで放電を行うことにより、9枚の評価用負極についてそれぞれの電位および容量を求めた。この結果を図8に示す。図8に示すように、9枚の評価用負極の電位は若干のばらつきがあるものの、ほぼ均一であった。また、放電容量つまりリチウムイオンのドーピング量もほぼ同等であり、平均値に対する変動範囲は+6.3%から−6.0%となり、±10%以内であることが確認された。
【0042】
<セルの特性評価>
残った4つのキャパシタセルを、1.5Aの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を1時間行った。続いて、1.5Aの定電流でセル電圧が2.2Vになるまで放電した。このような3.8V−2.2Vのサイクル試験を繰り返し、10回目の放電後におけるセル静電容量および直流抵抗を評価した。さらに、60℃の恒温槽内にて3.8Vの連続印加試験を500時間行った後に、上記と同条件にてセル静電容量および直流抵抗を評価した。初期の試験結果に対する静電容量保持率と直流抵抗上昇率とを求め、この結果を図8に示す。なお、図8に示す静電容量保持率と直流抵抗上昇率とのデータは4セルの平均値である。図8に示すように、3.8Vの連続印加試験を行った場合であっても、静電容量保持率は高く、直流抵抗上昇率も低いことから、キャパシタセルがほとんど劣化していないことが確認された。
【0043】
また、上記評価終了後に1セルの正極と負極とを短絡させ正極電位を測定したところ、0.95V程度であり、2.0V以下であった。正極と負極とを短絡させた時の正極電位が2.0V以下になるように、負極と正極との少なくともいずれか一方に予めリチウムイオンを担持させることにより、高電圧を有するキャパシタセルを得ることができた。
【0044】
(比較例1)
<キャパシタセルの作製>
実施例1と同様にキャパシタセルを6セル組み立てた。
【0045】
<プレドープ>
キャパシタセルを組み立てた後に、キャパシタセル内の電極が重力方向と平行になるようにキャパシタセルを40℃の恒温槽内に配置して14日間放置した。その後、1つのキャパシタセルを分解したところ、負極の下部(底に近い部分)に金属リチウムが残っていた。更に14日に渡って放置した後に、1つのキャパシタセルを分解したところ、金属リチウムは完全に無くなっていた。このことから、負極活物質の単位重量当りに1021F/g以上の静電容量を得るためのリチウムイオンが、予め充電により確実にドープされたと判断した。なお、負極の単位重量当りの静電容量は正極の単位重量当りの静電容量の7.3倍となる。
【0046】
<プレドープ量の評価>
実施例1と同様に、プレドープが完了した後に、アルゴン雰囲気のボックス内にて、キャパシタセルを分解して負極を1枚取り出すとともに、この負極を9分割して評価用負極を作製した。そして、実施例1と同様の模擬セルを組んだ後に、9枚の評価用負極についてそれぞれの電位および容量を求めた。この結果を図9に示す。図9に示すように、9枚の評価用負極のうち、上部に配置された評価用負極ほど電位は高くなり放電容量は低く、下部に配置された評価用負極ほど電位が低くなり放電容量は高い結果となった。この結果より、放電容量つまりリチウムイオンのドーピング量は均一でなく、平均値に対する変動範囲は+17.4%から−14.4%となり、±10%を超えることが確認された。
【0047】
<セルの特性評価>
残った4つのキャパシタセルを用いて、実施例1と同様に、3.8V−2.2Vのサイクル試験を繰り返し、10回目の放電後におけるセル静電容量および直流抵抗を評価した。また、実施例1と同様に、60℃の恒温槽内にて3.8Vの連続印加試験を500時間行った後に、セル静電容量および直流抵抗を評価した。初期の試験結果に対する静電容量保持率と直流抵抗上昇率とを求め、この結果を図9に示す。なお、図9に示す静電容量保持率と直流抵抗上昇率とのデータは4セルの平均値である。図9に示すように、3.8Vの連続印加試験を行った場合には、静電容量保持率が実施例1よりも低くなり、直流抵抗上昇率が実施例1よりも高くなることが確認された。
【0048】
実施例1の静電容量保持率および直流抵抗上昇率と、比較例1の静電容量保持率および直流抵抗上昇率との比較から、プレドープ時にキャパシタセル内の電極が水平となるようにキャパシタセルを配置するとともに、所定時間毎にキャパシタセルの上下を反転させたことにより、負極へのリチウムイオンのドープが均一に進行したことにより、高いセルの耐久性を示したものと考えられる。
【0049】
(実施例2および比較例2)
実施例2で使用されるキャパシタセルは、実施例1で作製されたキャパシタセルと同じキャパシタセル(水平ドープ)であり、比較例2で使用されるキャパシタセルは、比較例1で作製されたキャパシタセルと同じキャパシタセル(垂直ドープ)である。
【0050】
これらのキャパシタセルを使用して、実施例1および比較例1で実行された60℃の恒温槽内にて3.8Vの連続印加試験を500時間行った後に、アルゴン雰囲気のボックス内にて、キャパシタセルを分解して負極を1枚取り出すとともに、この負極を9分割して評価用負極を作製した。そして、実施例1と同様の模擬セルを組んだ後に、9枚の評価用負極についてそれぞれの電位および容量を求めた。この結果を図10に示す。
【0051】
図10に示すように、実施例2の評価用負極では、9枚の評価用負極の電位は若干のばらつきがあるものの、ほぼ均一であった。また、放電容量つまりリチウムイオンのドーピング量もほぼ同等であり、平均値に対する変動範囲は+6.8%から−6.0%となり、±10%以内であることが確認された。一方、比較例2の評価用負極では、9枚の評価用負極のうち、上部に配置された評価用負極ほど電位が高くなり放電容量は低く、下部に配置された評価用負極ほど電位が低くなり放電容量は高い結果となった。この結果より、放電容量つまりリチウムイオンのドーピング量は均一でなく、平均値に対する変動範囲は+19.4%から−15.9%となり、±10%を超えることが確認された。
【0052】
このように、実施例1や実施例2に示したようなプレドープ直後だけでなく、蓄電デバイスとしてキャパシタセルを使用した後でも、実施例2の評価用負極ではリチウムイオンのドーピング量が均一であることが確認され、比較例2の評価用負極ではリチウムイオンのドーピング量が均一でないことが確認された。すなわち、比較例2のように、リチウムイオンが適切にドーピングされなかった場合には、その後充放電を行ってリチウムイオンを移動させた場合であっても、ドーピング量の不均一状態を解消できないことが確認された。これは、負極の面内でのリチウムイオンの拡散が遅いため、連続印加試験500時間では均一にならなかったものと考えられる。
【0053】
(実施例3および比較例3)
実施例3で使用される蓄電デバイスは、実施例1で作製されたキャパシタセルの正極活物質を五酸化バナジウム(V)に変更したリチウムイオンバッテリセル(以下、バッテリセルという)であり、比較例3で使用される蓄電デバイスは、比較例1で作製されたキャパシタセルの正極活物質を五酸化バナジウムに変更したリチウムイオンバッテリセル(以下、バッテリセルという)である。
【0054】
実施例1および実施例2と同様に、プレドープが完了した後に、1つのバッテリセルをアルゴン雰囲気のボックス内にて分解して負極を1枚取り出した。取り出した負極を幅方向と長さ方向とに3分割して、2.0cm×2.5cmサイズの評価用負極を9枚切り出した。この評価用負極に、厚さ50μmのポリエチレン製不織布からなるセパレータを介して、対極としての金属リチウム(2.0cm×2.5cmサイズ、厚み200μm)を対向させることにより、模擬セルを組んだ。参照極としては金属リチウムを用い、電解液としてはプロピレンカーボネートにLiPFを1.2モル/lの濃度で溶解した溶液を用いた。そして、放電電流1mAにて1.5Vまで放電を行うことにより、9枚の評価用負極についてそれぞれの電位および容量を求めた。この結果を図11に示す。
【0055】
図11に示すように、水平ドープを行った実施例3の評価用負極では、9枚の評価用負極の電位は若干のばらつきがあるものの、ほぼ均一であった。また、放電容量つまりリチウムイオンのドーピング量もほぼ同等であり、平均値に対する変動範囲は+5.9%から−6.3%となり、±10%以内であることが確認された。一方、垂直ドープを行った比較例3の評価用負極では、9枚の評価用負極のうち、上部に配置された評価用負極ほど電位が高くなり放電容量は低く、下部に配置された評価用負極ほど電位が低くなり放電容量は高い結果となった。この結果より、放電容量つまりリチウムイオンのドーピング量は均一でなく、平均値に対する変動範囲は+16.2%から−14.7%となり、±10%を超えることが確認された。
【0056】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、前述の説明では、負極15に対してリチウムイオンをドープするようにしているが、これに限られることはなく、正極14に対してリチウムイオンをドープするようにしても良く、正極14と負極15との双方に対してリチウムイオンをドープするようにしても良い。また、負極15とリチウム極16とが接続されるため、電解液の注入に伴ってリチウムイオンのドープが開始されているが、これに限られることはなく、負極15とリチウム極16とが接続自在となる構造を採用し、任意のタイミングでドープを開始させるようにしても良い。なお、前述の説明では、リチウムイオンをドープしているが、ナトリウムイオン等の他のイオンをドープしても良いことはいうまでもない。
【0057】
また、前述の説明では、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として可逆的にリチウムイオンを担持可能なポリアセン系物質(PAS)を用い、電解液としてリチウム塩を含む非水系有機溶媒溶液を用いるようにしたリチウムイオンキャパシタと、正極活物質としてVを用い、負極活物質としてポリアセン系物質(PAS)を用いたリチウムイオン二次電池に対して本発明を適用しているが、他のキャパシタや二次電池に対して本発明を有効に適用することも可能である。
【0058】
たとえば、正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、これらの複合酸化物(LiCoNiMn,x+y+z=1)、リチウムマンガン酸スピネル(LiMn)、リチウムバナジウム酸化物、オリビン型LiMPO(M:Co,Ni,Mn,Fe等)、M(MnO,Fe等)のいずれかを用い、負極活物質として、易黒鉛化炭素材料や難黒鉛化炭素材料、コークス、黒鉛等からなる炭素材料、もしくはケイ素や錫等からなる非炭素材料を用い、電解液としてリチウム塩を含む非水系有機溶媒溶液を用いるようにしたリチウムイオン二次電池に対して本発明を有効に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施の形態である蓄電デバイスを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿って蓄電デバイスの内部構造を概略的に示す断面図である。
【図3】蓄電デバイスの内部構造を部分的に拡大して示す断面図である。
【図4】ドーピング工程における蓄電デバイスの設置状態を示す説明図である。
【図5】(A)および(B)はドーピング工程において蓄電デバイスを水平状態に保たなかった場合における電解液の浸透状態を示す説明図である。
【図6】ドーピング工程における他の実行手順を示す説明図である。
【図7】(A)〜(D)はドーピング工程における他の実行手順を示す説明図である。
【図8】実施例1の試験結果を示す表である。
【図9】比較例1の試験結果を示す表である。
【図10】実施例2および比較例2の試験結果を示す表である。
【図11】実施例3および比較例3の試験結果を示す表である。
【符号の説明】
【0060】
10 蓄電デバイス
11 ラミネートフィルム(容器)
14 正極(電極)
14a 貫通孔
14b 正極集電体(電極集電体)
14c 正極合材層(電極合材層)
14d 正極面(電極面)
15 負極(電極)
15a 貫通孔
15b 正極集電体(電極集電体)
15c 正極合材層(電極合材層)
15d 負極面(電極面)
16 リチウム極(イオン供給源)
17 三極積層ユニット(電極ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極とイオン供給源とを備える電極ユニットが容器に収容され、
前記イオン供給源からのイオンの移動媒体となる電解液が前記容器に注入され、
前記電解液を介して前記イオンを前記電極にドーピングする蓄電デバイスであって、
前記電極の電極面におけるドーピング量の変動範囲が±10%であることを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の蓄電デバイスにおいて、
前記イオンをドーピングする際には、前記電極の電極面を重力方向に交差させて配置させることを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項1または2記載の蓄電デバイスにおいて、
前記イオンをドーピングする際には、所定期間毎に前記電極ユニットの上下を反転させることを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
前記電極は電極集電体と電極合材層とを備え、前記電極集電体には貫通孔が形成されることを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
前記蓄電デバイスはリチウムイオンキャパシタであることを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
前記蓄電デバイスはリチウムイオン二次電池であることを特徴とする蓄電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−300667(P2008−300667A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145719(P2007−145719)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】