説明

薄層構造(THIN−LAYEREDSTRUCTURE)

【課題】ゲッターとしての有用性を有する、対応する層状構造も有する、真空筐体を提供する。
【解決手段】内側表面及び外側表面を有する壁により輪郭が示される真空筐体であって、内側表面は真空と接触し、外側表面は外気と接触し、好ましくないガス状混入物のためのゲッターの内部における存在によって特徴づけられ、基板(内部表面と一体になっているか、又はなっていない)を含み、その上に、(a)白金族金属及びその酸化物からなる群から選択される材料の少なくとも1層、及び(β)少なくとも1層の多孔質親水性層を含む薄層積層板の真空蒸着によって蒸着されていることを特徴とする、真空筐体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空筐体中の好ましくないガス状混入物のためのゲッターとしての有用性を有する薄層積層板、及びこのゲッターの存在により特徴づけられる真空筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の広い概念及び範囲に影響を与えることなく、背景は、特に、赤外線(IR)検出器の形態における高真空装置に関連して開示されているであろう。それらは、一般に、内壁及び外壁の間に真空空間が存在する、内壁及び外壁を有するデュワー筐体であって;前記内壁がデュワーの内側チャンバーを定義し;赤外線検出器が前記真空空間内及び前記内壁の端面上に備え付けられており;冷却構成要素が内側チャンバー内に供給され、検出器の操作の間、内壁と検出器が備え付けられている検出構成要素を冷却する、デュワー筐体を含む。冷却された内壁は、検出器の「コールドフィンガー」と呼ばれる場合がある。
【0003】
検出器故障の主要な原因は、検出器の種々の部品の拡散及び内部ガス抜けによる、内壁と外壁との間の空間中の真空の緩やかな破壊であることが知られている。検出器内で起こる過剰のガス抜けは、赤外線検出器の構成要素が高温度で損傷するので、ポンプによる揚水の間(他の真空装置については通常であるように)、全ての装置を乾燥することにってガスを排出することのできない事実と関連している。水素は、半導体装置(ひ化ガリウム及び/又はりん化インジウム)にとって最も破壊的であり、最も熱伝導性のガスであり、除去するのが最も困難なガスでもある。水素がRF、AC及びDC運転モードにおける、これらの装置の性能劣化の主要な原因であることが証明されている。
【0004】
真空における劣化は、最終的に、冷却構成要素が、もはや赤外線の効率的な検出のために望まれる温度に十分に速く検出器の構成要素を冷却することができないという状態を誘発する。従って、検出器の耐用年限を短くし、特に、赤外線検出器のために限られた冷却力のみが得られる。更に、真空空間内へのガス抜けは、コールドフィンガーと、検出器の外側との間に熱経路を供給し、おそらく、通常大気内での検出器の赤外線窓上の露の形成をもたらす。
【0005】
内部ガス抜けにより引き起こされる影響を減少するために、一般に、少なくとも1個のゲッターが、この空間から好ましくないガス分子を除去するための真空空間に提供される。
【0006】
通常、赤外線検出器は、外壁上、及び外壁とコールドフィンガーとの間の真空空間内に備え付けられ、非蒸発性の化学的に活性なSAESゲッター(例えば、SAES Getters Inc.,St 171−St 172 Brochure;www.saesgetter.com)を組み込む。このような化学的なゲッターは、通常、デュワー筐体の排気及び封止後に高温に加熱することによって活性化する。これは、通常、デュワー壁中の真空気密シールを通過する電気的接続リードを有するニットとして形成されたゲッター材料中に埋め込まれた電気的加熱構成要素を用いて達成される(C.Taylor,.S.Whicker,”Thermal Energy Receiver”,米国特許第3,851,173号)。このようなゲッターは、外側筐体上に備え付けられた場合、そうでなければ、非常に高い活性化温度によって損傷される検出器構成要素からの最小の間隔を必要とする。ある場合には、このゲッター活性化工程の間に損傷される内部構成要素を保護するために、他の断熱材が用いられる。このタイプの構造は、容器からの残りのガス分子を除去するのに有効であるが、デュワー筐体のサイズを大きくし、非習慣的なデュワー筐体の採択までをも大きくする。
【0007】
現在のデザインの限界は、ゲッターの用途における他の解決法を探求する開発の絶え間ない推進であり、より簡単な構成を可能にし、検出器筐体内部の活性化温度を低下させる。
【0008】
ゲッターは、通常、1種以上の標的混入化合物、特に混入ガスを吸着、吸収、化学的吸着、もしくは固定又は破壊する反応を触媒する反応性固体材料である。例えば、水素は電気的アセンブリ及び部分組み立て品を含む筐体内の種々の原因から放出し得る。水素は、環境的に密閉された筐体から容易に漏れず、水素に感受性の成分と反応する。更に、水素のユニークな耐熱性は、熱損失の増加を起こし得る。IR検出器の構成要素の製造に用いられる、ある種の金属及び非金属は、時間とともに放出される。包装材料は、しばしば、水素を放出し得る。金めっき操作のためのバリアー層として用いられるめっきニッケル層及びプラスチック樹脂が、真空レベルを低下し、半導体及び電気成分の性能を低下することのできる量で水素を放出することが知られている(R.Ramesham.”Getters for Reliable Hermetic Packages”,JPL Publication D−1792/NASA,pp14−17,1999)。
【0009】
他の好ましくない混入物に関して、例えば、ガラス(装置のクオーツ成分)は、いくらかの量の水を含む場合があり、この成分は、水蒸気として装置筐体中に徐々に放出される。有機化合物は、密封筐体中の水蒸気、一酸化炭素CO及び二酸化炭素COの存在の原因である。真空ポンプシステムから切断した場合、ガス放出プロセス、ポンピングチューブの溶接及び急な加熱のような製造手順の間に追加のガス混合物が生成し得る。
【0010】
米国特許第5,365,742号(Boffitoら)は、金属担体(例えばAl片)と、担体の少なくとも1つの面に付着する、水素を吸収することができる組成物とを含む、低温度において真空筐体から水素を除去するための装置を開示している。前記組成物は、水蒸気の多孔質吸収剤、好ましくは、酸化パラジウムPdOと接触する粉末アルミナを含み、これは、少なくとも部分的に水吸収剤を覆う。実際には、アルミナと混合したPd(OH)が沈殿し、担体と付着し、次いでPd金属を還元し、PdOに再酸化する。
【0011】
米国特許第5,888,925号(Smithら)は、水素吸収剤、及び白金族金属酸化物、乾燥剤(例えば、モレキュラーシーブ)及びマトリクス形成バインダー(例えば、RTVシリコーン)を一緒に混合し;この混合物を酸素含有ガス(例えば、空気)中である時間(例えば、少なくとも24時間)、ある温度で(例えば、150〜204℃)で硬化させ、材料を自己接触分解から安定化する、その製造方法を開示して
いる。
【0012】
本願明細書及び請求の範囲においては以下の定義が適用される。「活性金属」は、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム、バリウム、カドミウム、鉄、チタン、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムの1種以上を意味する。「白金族金属」は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金の1種以上を意味する。本発明の薄層積層物においては、基板上の物質の真空蒸着及び同様の表現は、基板のいずれか一方の側への蒸着を意味し、この関連では基板の一方及び両方の側の何れをも許容する(薄片基板の場合のように)。
【0013】
「真空蒸着」及び同様の表現は、スパッタリング(陰極DCスパッタリング、RFスパッタリング、反応性スパッタリング等を含む);気化金属蒸着(反応性気化蒸着、熱抵抗蒸着、電子ビーム蒸着等を含む)、イオンプレート、及び中和イオンビームコーティングを含む。
【0014】
本明細書で言及されるアルミニウム又はチタン基板(例えば、薄片基板)には、当該技術分野において公知のアルミニウム及び/又はチタンの合金が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、従来のゲッター構造より密封されている真空容器のより小型のデザインを可能にするゲッタリングの解決法を提供することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、真空筐体中の好ましくないガス状混入物のためのゲッターとしての有用性を有する薄層積層板を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、高活性比表面積を有するゲッターユニットを提供することであるが、これは、検出器筐体のような小型の高真空装置の狭い空間において適合することができ、後者のケースにおいては、筐体サイズを大きくするか、その適合のための通常でない筐体アウトラインを必要としない。
【0018】
本発明の更に他の目的は、補助的な加熱装置、又は初期活性化のための非常に高い温度を必要としないゲッタリング法を提供することである。
【0019】
更に他の目的は、好ましくないガスのためのゲッターとしての機能に加え、ストレー(Stray)IRの高い吸収を提供する複合溶液を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、後述する記載から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
一態様において、本発明は、内側表面及び外側表面を有する壁により輪郭が示される真空筐体であって、内側表面は真空と接触し、外側表面は外気と接触し、好ましくないガス状混入物のためのゲッターの内部における存在によって特徴づけられ、前記ゲッターが基板を含み、その上に、少なくとも1種の白金族金属、及び少なくとも1種の多孔質親水性層を含む薄層真空蒸着積層物が蒸着されている、真空筐体を提供する。一実施態様においては、基板は、真空筐体の壁の内側表面と一体になっていない個々の基板であってもよい。異なる実施態様においては、基板は、真空筐体の壁の内側表面と一体になっている。
【0022】
本発明の真空筐体においては、ゲッターは、好ましくは、下記特徴:すなわち、少なくとも1種の白金族金属の酸化物の少なくとも1層が基板上に蒸着され、少なくとも1層の多孔質親水性層が、少なくとも1種の白金族金属の酸化物の少なくとも1層の上に蒸着されている;(b)少なくとも1種の白金族金属が、パラジウムを含むか、又はパラジウムからなる;(c)真空蒸着酸化物が、酸素の存在下に少なくとも1種の白金族金属の反応性真空蒸着によって形成されている;(d)少なくとも1種の多孔質親水性層が、少なくとも1種の活性金属及び少なくとも1種の活性金属酸化物の混合物を含む;(e)基板が、金属、合金、ガラス及びセラミック基板から選択される;(f)少なくとも1層の多孔質親水性層が、1〜14ミクロン波長の範囲内で光学的に黒色であり、及び/又はIR照射を吸収する;の少なくとも1種によっても特徴づけられる。
【0023】
更に好ましくは、ゲッターは、下記特徴、すなわち、(i)真空蒸着混合物がフラクタル表面形態を有する;(ii)真空蒸着混合物が、混合物の形成に適合した所定の条件下に(例えば、不活性雰囲気の圧力よりも1〜2桁低い圧力で酸素が導入される、10−3トール〜10−2トールの圧力下、不活性雰囲気中で)、酸素の存在下に少なくとも1種の活性金属の反応性真空蒸着によって形成されている;の少なくとも1種によっても特徴づけられる。
【0024】
特定の実施態様においては、基板はロールの形態であってもよく;及び/又は基板はアルミニウム又はチタン、例えば薄片であってもよく;及び/又は少なくとも1種の活性金属はアルミニウム及びチタンから選択され;及び/又は真空筐体はIR検出システムの一部を形成する。
【0025】
前述した本発明の真空筐体及び層状構造の改良においては、「少なくとも1種の白金族金属の酸化物の少なくとも1層」は、「白金族金属及びその酸化物からなる群から選択される物質の少なくとも1層」に置換される。言い換えれば、前述したような白金族金属酸化物に代え、白金族金属又はこのような金属及び酸化物の混合物に置換することができる。「少なくとも1層・・・」は、単に、酸化物を含む場合に、酸素の存在下に少なくとも1種の白金族金属の反応性真空蒸着によって形成され、酸化物を含まない場合には、少なくとも1種の白金族金属の非反応性真空蒸着によって形成されることに言及する。
【0026】
前記段落において記載した本発明の真空筐体及び層状構造の更なる改良においては、「白金族金属及びその酸化物からなる群から選択される物質の少なくとも1層」は白金族金属層であり、基板は、例えば、Ti、Zr、Ta、V、Nb及びHf又はそれらの合金のいずれかから選択される水素吸着金属の層により構成され、更に遷移金属層が基板上に蒸着されていてもよい。
【0027】
現在の好ましい構造は、チタン基板、例えば、チタン薄片基板を含み、その上にはPd及び/又はPdO層が蒸着し、その上には黒色の親水性層が蒸着される。
【0028】
他の態様においては、本発明は、基板上に真空蒸着された薄層積層板を含む、好ましくないガス状混入物のためのゲッターとしての有用性を有する層状構造であって、積層物が、以下の特徴(A)、(B)及び(C)、すなわち、(A)少なくとも1種の白金族金属の酸化物の少なくとも1層が基板上に積層されており、多孔質親水性層の少なくとも1層が、少なくとも1種の白金族金属の少なくとも1層の上に蒸着されており;
(B)多孔質親水性層が、少なくとも1種の活性金属及び少なくとも1種の活性金属酸化物の混合物を含み;
(C)多孔質親水性層が、1〜14ミクロン波長の範囲内で光学的に黒色であり、及び/又はIR照射を吸収する;の1、2又は3種を含むという条件で、少なくとも1種の白金族金属の酸化物、及び少なくとも1層の多孔質親水性層を含む。
【0029】
本発明の層状構造は、更に、前述したゲッターの、1種以上の対応する実施態様のいずれかによっても特徴づけられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の実施態様、又はその性質の一部は下記のように示される。
【図1】図1は、多孔質PdO層のSEM画像を示す。
【図2】図2は、種々の多孔質無機IR吸収層のSEM画像を示す。
【図3】図3は、ゲッター最上層の半球反射率の2種のグラフを示す。
【図4】図4(a)は、ゲッターコーティングを有するコールドシールドの全体像を示す。 図4(b)は、薄層積層物の断面図である。
【図5】図5は、オンライン生産工程を示す。
【図6】図6(a)は、ロール形態の薄片ゲッターの全体像を示す。 図6(b)は、図6(a)の薄片ゲッターの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の薄膜ゲッターは、2層の真空蒸着層、すなわち、PdO及び/又は純粋なPdの基層、及び金属及び金属−酸化物の混合物からなる上層を含む。外層は、同時に、濃い黒色を示す広帯域(1〜14ミクロン)のIR/光吸収層としての機能を果たし得るか、又はその光学特性を用途に調整することができる。装置の内壁上に直接蒸着された、この積層した層構造は、IR検出器筐体の内部に要求される光学的吸収及びゲッタリング能力を一緒に組み合わせることを意図し、筐体内の更なる独立のゲッター装置の使用の必要性をなくす。低温で非常に大量の水素を吸着するという金属性パラジウムのユニークな特性は、本明細書において効率的なゲッター構造を生産するのに適用される。考えられるゲッターは、下記5種のメカニズムの全て又はいくつかのユニークな組み合わせを実現する。
1.PdO基層での化学反応による水素の除去
PdO + H → Pd + HO↑; (a)
2.前記反応(a)において生成した、純粋な金属性Pdによる水素の化学吸収
3.上層の無機高多孔質親水性層による水蒸気(a)及び他のガスの物理的吸収
この工程は、この層の高度化した内部表面による水の物理的吸収、及び金属酸化物水和反応のパラレル化学工程からなる。
4.炭素の酸化物(CO;CO)及び炭化水素のような、水素ほど重要でない、他のガス状混入物が、排出した空間に存在し得る。これらのガスも効率的に吸収される。窒素、酸素、及びCOは、上層の親水性層の孔中に存在する純粋な金属性の島に吸収され、二酸化炭素のようなある種のガスの捕獲は、孔内部の水分子の存在によって促進される。
5.純粋な金属性Pd層による水素の吸収、及びそれに続く、チタンのような遷移金属の下位の層に水素が拡散し、そこから天然の表面酸化物が除去される。装置の動作温度において、水素はバルクのチタン内に効率的かつ非可逆的に貯蔵される。
【0032】
前記酸化物還元反応(a)は発熱性であり、また基本的に非可逆的であり、55℃〜200℃の広い範囲の温度で容易に進行する。酸化パラジウムは、経費検討のため、ゲッター構造の基礎として好ましく用いられる。しかし、他の金属酸化物、特に、Rh、Ru、Pd、Os及びIrのような白金族金属の酸化物、白金族金属の合金も考慮することができる。
【0033】
必要とされる性能及びそのための蒸着層の厚みを達成するのに必要な材料の量は、用途及び密封された筐体内のコーティング表面の全面積に非常に依存する。標準的なIR検出器筐体については、白金金属酸化物層、例えばPdOの最適な厚みは、0.1〜10、例えば3〜10ミクロンの範囲であることがわかった。高多孔質親水性層の最適な厚みは、5〜50、例えば25ミクロン以下である。このケースにおけるゲッタリング能力(能力)は、同様の用途において通常に用いられるSt172ゲッターと同程度であることがわかった。
【0034】
図1a〜bは、基板上における純粋なPdの反応性スパッター蒸着により生成されたPdO層のSEM画像を示す。多孔率の向上は、孔の容量の増加をもたらし、HO分子を生成するための水素とのより速い反応を促進する。
【0035】
図2a〜dは、ゲッターの最上層として蒸着工程により得られる、高多孔質構造を有する種々の無機金属+金属酸化物混合物のSEM画像を示す。これらのナノ構造及び非化学量論的層は、HOの捕獲に効果的である。これらの構造は、Acktar Ltdにより開発された真空蒸着工程−(a)Ultra Black(登録商標)コーティング、(b)Fractal Black(登録商標)コーティング、(c)Nano−tubes、(d)Nano−flowersにより得られた。
【0036】
表1に示すように、PdO層をXPS及びEDAXにより解析した。コーティング内部の全てのPd原子は、おそらく+2の酸化状態であることがわかった。
【0037】
【表1】

【0038】
ゲッターのナノ構造の最上層は、通常、外見上は黒色であり、IR検出器用途の場合においては二重機能性を有する。前述したゲッティング能力に加え、ストレー光伝搬をなくすための検出器のコールドシールドの内部表面に要求される代表的な特徴である、IRの範囲における吸光度の増加(高い放射率も)を伴うユニークな光学的性能をも示す。
【0039】
図3は、このような層の2種の異なるタイプの半球反射率を示し、これは、8.5〜10μm波長において反射率がほぼ0である外側ゲッターの光学的性能を立証する。また、検出器−デュワー構造の他の部分については、外側層の光学的特徴は適切に調整され得る。
【0040】
好ましくは、PdO、及び1〜14ミクロン波長の範囲内で光学的の黒色であり、及び/又はIR照射を吸収する追加の吸水層を含む本発明のゲッターは、薄膜真空蒸着技術により排他的に製造される。PdO層は、最初に、多孔率を上昇し、層内の表面領域を活性化する技術による反応性スパッタリングを用いて、好ましい基板上に最初に蒸着される。PdOの蒸着に次ぎ、基板が第二の工程ゾーンに入り(同一の真空チャンバー内で、又は別個の製造工程として)、ここで、熱気化工程による、金属及び金属酸化物混合物の反応性蒸着により、追加の層が製造される。例えば、(a)10−3トール〜10−2トールの圧力を有する不活性雰囲気中に基板を置き、その中に、不活性雰囲気の圧力よりも1〜2桁低い圧力で酸素を導入し、(b)酸素を含む不活性雰囲気下で加熱した基板上に活性金属のみを蒸着し、生成物が、基板上に蒸着した少なくとも1種の活性金属及び少なくとも1種の活性金属酸化物を含むフラクタル表面構造の混合物を含む、基板の表面積を増加させる方法を開示し、請求の範囲に記載している、米国特許第6,764,712号(Katsirら)を参照されたい。
【0041】
第二の層は、要求されるHOゲッタリング能力を提供し、更に、検出器筐体中でストレーIR光の効果的な吸収に要求されるユニークな光学的性質を示すように設計される。図4aは、IR検出器用途において用いられる、前述した層がシールドの内側表面に適用される通常のコールドシールドの画像を示す。図4bは、シールドの内側に薄膜ゲッターを含む、積層型の層の断面図を示す。別個のPdO及び金属/金属酸化物層は、特定の用途を満足させるための同一の真空筐体内で別個の部分又は反対側に種々の比で適用することもできる。
【0042】
通常のゲッター用途は、前述したように、構造化された組立部品上の特定の層の蒸着を必要とするが、ロールツーロール工程において薄片基板上に層を蒸着することによって一般的用途のための製品を製造するために、また、このゲッターの概念が用いられる。同様の工程段階は、通常はTi又はAl薄片である基板の両面で全ての工程段階を同時に実施することができる、ユニークなウェブコータの内部でインラインで実施される。金属性薄片基板は、大量生産工程により顕著に経費削減を可能にする連続ロールにおいて加工される。図5は、真空チャンバー内で実施されるインライン層蒸着工程のスキームを示す。
【0043】
図6aは、基板の両面に観察される黒色層が、HO分子のゲッタリング及びストレー光及びIR照射の吸収に関与する外側金属/金属酸化物層である、この方法によって得られる生成物を示す。図6bは、基板材料の連続ロール上に適用されるような、積層された層を示す。
【0044】
本発明を下記実施例により説明する。
【0045】
実施例1
3〜10ミクロンの範囲の所望の厚みに対する酸化パラジウムの層を、300℃の温度に維持し、0.3〜1Paに圧力を維持し、アルゴンバックグラウンドを用いた酸素を豊富に含む雰囲気において、清浄なアルミニウム薄片の片面又は両面のいずれかに純粋なパラジウムの反応性スパッタリングにより蒸着した。次いで、酸素の存在下、無水の不活性雰囲気において、同じ温度に維持し、反応性熱抵抗蒸着により、基板の酸化パラジウム表面にアルミニウムを蒸着した。このようにして製造されたAl/Al層は、カリフラワー様形態を有するフラクタル様構造を有している。「カリフラワーの頭部」は約2ミクロンの直径である。「小花」は、0.2〜2ミクロンの距離目盛りにおいて、少なくとも自己相似であるような約0.2ミクロンの直径である。これは、表面の外観により確認される。Al/Al表面は黒色のマット(拡散的に反射する)であり、この表面は、可視光線の波長の長さスケールにおけるフラクタル様構造を有していることを示す。下記は、Al/Al表面のEDS元素分析である;N 1.18%、O 30.43%、Al 66.38%、P 1.79%及びAr 0.22%。30.3%のアルミニウムがAlの形態であり、69.7%がアルミニウム金属の形態であるという化学両論から得られる。
【0046】
片面又は両面に、酸化パラジウム及びAl/Al層が連続して蒸着したアルミニウム薄片は、IR検出器のような特殊用途の高真空システムにおけるゲッター(特に、水素及び水蒸気のための)として用いるのに適している。また、連続的な層は、潜在的に高真空のチューブの内部表面(例えば、ガラス)に直接蒸着してもよい。
【0047】
実施例2
100〜600nmの範囲の所望の厚みに対する純粋なパラジウムの層を、0.1〜1Paに圧力を維持しながら、不活性アルゴン雰囲気中、チタンシートの片面又は両面のいずれかに、純粋なパラジウムのスパッタリングにより蒸着し、そこから、自然に生じる表面酸化物を除去した。次いで、酸素の存在下、無水の不活性雰囲気において、反応性熱抵抗蒸着により、基板のパラジウム表面にアルミニウムを蒸着した。このようにして製造されたAl/Al層は、カリフラワー様形態を有するフラクタル様構造を有している。「カリフラワーの頭部」は約2ミクロンの直径である。「小花」は、0.2〜2ミクロンの距離目盛りにおいて、少なくとも自己相似であるような約0.2ミクロンの直径である。これは、表面の外観により確認される。Al/Al表面は黒色のマット(拡散的に反射する)であり、この表面は、可視光線の波長の長さスケールにおけるフラクタル様構造を有していることを示す。Al/Al表面のEDS元素分析は、基本的に実施例1に示した通りである。
【0048】
片面又は両面に、パラジウム及びAl/Al層が連続して蒸着したチタンシートは、IR検出器のような特殊用途の高真空システムにおけるゲッター(特に、水素及び水蒸気のための)として用いるのに適している。また、連続的な層は、潜在的に高真空の筐体の内部表面(チタン又は他の遷移金属)に直接蒸着してもよい。
【0049】
参考文献の組み入れ
前述した全ての米国特許の全体の内容は、本明細書に参考文献として組み入れられる。
【0050】
本発明の利点
本発明は、小型化(それ故、相対的に低い熱質量)、検出器の全ての耐用年限の間の微粒子の不存在、高い振動安定性、大きい表面積、それ故、室温における高い吸着能力、125℃未満の温度において活性化することができ、製造が容易かつ低価格という利点を有する、本発明は、更に、(少なくとも)水素及び水蒸気のゲッタリングと、ストレー光の吸収についての可能性とを同時に実現する。
【0051】
更に、低温活性化は、デュワー壁を通した電気的接続の必要性をなくし、検出器の構成要素からゲッター表面までの物理的距離に対する必要性からのデュワーの設計の制約を減少させる。また、ゲッター層は、コールドシールドの内部の低反射率無機コーティングに組み込むことができ、及び/又は適切に調整された光学特性を有する内部デュワー表面上にコーティングすることができる。必要に応じて、ゲッタリング表面は、排出領域内に設置された金属薄片上に生成することができる。
【0052】
本発明の層状構造/ゲッターにおいては、放射吸収体及びガス吸収体機能が同一のユニット内で一体化し、更に、特にIR領域(1〜14ミクロン波長)において、放射率及び吸光度が調節され得ることが明らかであろう。従って、コールドシールドの内部に、高放射率(80%を超える、通常は95%以下)の黒色の親水性層を有する積層物があり得、外部に、相対的に低放射率(5〜40%、通常は10%以下)の積層物があり得る。
【0053】
更に、別個の化学沈殿、還元及び酸化工程なしで、また、そのために必要なバインダー及び硬化剤の必要なしで、本発明の構造を連続的に製造することができる。
【0054】
本発明を限られた数の実施態様について記述したが、多くの代替物、修飾及び変形が当業者には明らかであろう。従って、本発明は、添付した請求の範囲の精神及び範囲内の、このような全ての代替物、修飾及び変形を包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側表面及び外側表面を有する壁により輪郭が示される真空筐体であって、内側表面は真空と接触し、外側表面は外気と接触し、好ましくないガス状混入物のためのゲッターの内部における存在によって特徴づけられ、前記ゲッターが基板を含み、その上に、(a)白金族金属及びその酸化物からなる群から選択される材料の少なくとも1層、及び(β)少なくとも1層の多孔質親水性層を含む薄層積層板の真空蒸着によって蒸着されていることを特徴とする、真空筐体。
【請求項2】
前記ゲッターが、下記(a)〜(f)の少なくとも1種の特徴によっても特徴づけられ、
(a)前記少なくとも1層の(a)が前記基板上に蒸着され、前記の少なくとも1層の(β)が前記少なくとも1層の(a)上に蒸着されている;
(b)前記少なくとも1種の白金族金属が、パラジウムを含むか、又はパラジウムからなる;
(c)前記少なくとも1層の(a)が、前記酸化物を含む場合に、酸素の存在下に少なくとも1種の白金族金属の反応性真空蒸着によって形成され、前記酸化物を含まない場合には、少なくとも1種の白金族金属の非反応性真空蒸着によって形成される;
(d)前記少なくとも1層の(β)が、少なくとも1種の活性金属及び少なくとも1種の活性金属酸化物の混合物を含む;
(e)前記基板が、金属、合金、ガラス及びセラミック基板から選択される;
(f)前記少なくとも1層の(β)が、1〜14ミクロン波長の範囲内で光学的に黒色であり、及び/又はIR照射を吸収する;
更に、下記(i)〜(iv)の少なくとも1種の特徴によって特徴づけられていてもよい、請求項1記載の真空筐体。
(i)前記少なくとも1種の活性金属及び少なくとも1種の活性金属酸化物の真空蒸着混合物が、フラクタル表面形態を有する;
(ii)前記真空蒸着混合物が、前記混合物の形成に適合した所定の条件下で、酸素の存在下に少なくとも1種の活性金属の反応性真空蒸着によって形成されている;
(iii)前記基板が、前記壁の内側表面と一体になっていない;
(iv)前記基板がアルミニウム又はチタンである。
【請求項3】
前記ゲッターが、更に下記の少なくとも1種の特徴によっても特徴づけられる、請求項2記載の真空筐体:
−前記基板がロールの形態である;
−前記少なくとも1種の活性金属がアルミニウム及びチタンから選択される;
−前記真空筐体が、IR検出システムの一部を形成する;
−前記少なくとも1層の(a)が白金金属層であり、基板が、例えばTi、Zr、Ta、V、Nb及びHf又はそれらの合金のいずれかから選択される水素吸着金属の層により構成され、更に遷移金属層が基板上に蒸着されていてもよい。
【請求項4】
前記好ましくないガス状混入物が、少なくとも水素及び水蒸気を含み、前記ゲッターが、前記内側表面と一体になっている基板を含む薄層積層物であり、真空蒸着により蒸着されたものが、少なくとも1層の(a)と、少なくとも1種の活性金属及び少なくとも1種の活性金属酸化物の混合物の少なくとも1層の多孔質親水性層(β)とを含む前記薄層積層物である、請求項1記載の真空筐体。
【請求項5】
前記ゲッターが、下記(a)〜(f)の少なくとも1種の特徴によっても特徴づけられ、
(a)前記少なくとも1層の(a)が前記基板上に蒸着され、前記少なくとも1層の(β)が前記少なくとも1層の(a)上に蒸着されている;
(b)前記少なくとも1種の白金族金属が、パラジウムを含むか、又はパラジウムからなる;
(c)前記少なくとも1層の(a)が、前記酸化物を含む場合に、酸素の存在下に少なくとも1種の白金族金属の反応性真空蒸着によって形成され、前記酸化物を含まない場合には、少なくとも1種の白金族金属非反応性真空蒸着によって形成される;
(d)前記少なくとも1層の(β)が、少なくとも1種の活性金属及び少なくとも1種の活性金属酸化物の混合物を含む;
(e)前記基板が、金属、合金、ガラス及びセラミック基板から選択される;
(f)前記少なくとも1層の(β)が、1〜14ミクロン波長の範囲内で光学的に黒色であり、及び/又はIR照射を吸収する;
更に、下記(i)〜(iv)の少なくとも1種の特徴によって特徴づけられていてもよい、請求項4記載の真空筐体。
(i)前記真空蒸着混合物が、フラクタル表面形態を有する;
(ii)前記真空蒸着混合物が、前記混合物の形成に適合した所定の条件下で、酸素の存在下に少なくとも1種の活性金属の反応性真空蒸着によって形成されている;
(iii)前記基板がアルミニウム又はチタンである。
【請求項6】
前記ゲッターが、更に下記の少なくとも1種の特徴によっても特徴づけられる、請求5記載の真空筐体:
−前記基板がロールの形態である;
−前記少なくとも1種の活性金属がアルミニウム及びチタンから選択される;
−前記真空筐体が、IR検出器であるか、又はIR検出システムの一部を形成する;
−前記少なくとも1層の(a)が白金金属層であり、基板が、例えばTi、Zr、Ta、V、Nb及びHf又はそれらの合金のいずれかから選択される水素吸着金属の層により構成され、更に遷移金属層が基板上に蒸着されていてもよい。
【請求項7】
基板上に蒸着された薄層積層板を含む、好ましくないガス状混入物のためのゲッターとしての有用性を有した層状構造であって、前記積層物が、(a)白金族金属及びその酸化物からなる群から選択される少なくとも1層の基板、及び(β)前記層状構造が、以下の特徴(A)、(B)及び(C)、すなわち
(A)前記少なくとも1層の(a)が前記基板上に蒸着されており、前記少なくとも1層の(β)が前記少なくとも1層の(a)上に蒸着されている;
(B)前記層(β)が、少なくとも1種の活性金属と少なくとも1種の活性金属酸化物との混合物を含む;
(C)前記層(β)が、1〜14ミクロン波長の範囲内で光学的に黒色であり、及び/又はIR照射を吸収する;の1、2又は3種を含むという条件で
少なくとも1層の多孔質親水性層を含む、層状構造。
【請求項8】
下記(a)〜(f)の少なくとも1種の特徴によっても特徴付けられ、
(a)前記少なくとも1種の白金族金属が、パラジウムを含むか、又はパラジウムからなる;
(b)前記(a)の少なくとも1層が、前記酸化物を含む場合に、酸素の存在下に少なくとも1種の白金族金属の反応性真空蒸着によって形成され、前記酸化物を含まない場合には、少なくとも1種の白金族金属の非反応性真空蒸着によって形成される;
(c)前記特徴(B)が存在し、前記真空蒸着混合物が、前記混合物の形成に適合した所定の条件下で、酸素の存在下に少なくとも1種の活性金属の反応性真空蒸着によって形成されている;
(d)前記基板が、金属、合金、ガラス及びセラミック基板から選択される;
更に、下記(i)〜(iii)の少なくとも1種の特徴によって特徴づけられていてもよい、請求項7記載の層状構造。
(i)前記特徴(b)に適合し、前記真空蒸着混合物がフラクタル表面形態を有する;
(ii)前記特徴(B)に適合し、前記真空蒸着混合物が、不活性雰囲気の圧力よりも1〜2桁低い圧力で酸素が導入される、0.1〜1Paの圧力で、不活性雰囲気中で、少なくとも1種の活性金属を蒸着することによって形成される;
(iii)前記基板がアルミニウム又はチタンである。
【請求項9】
更に下記の少なくとも1種の特徴によっても特徴づけられる、請求項8記載の層状構造:
−前記基板がロールの形態である;
−前記少なくとも1種の活性金属がアルミニウム及びチタンから選択される;
−前記少なくとも1層の(a)が白金金属層であり、基板が、例えばTi、Zr、Ta、V、Nb及びHf又はそれらの合金のいずれかから選択される水素吸着金属の層により構成され、更に遷移金属層が基板上に蒸着されていてもよい。
【請求項10】
内側表面及び外側表面を有する壁により輪郭が示される真空筐体であって、内側表面は真空と接触し、外側表面は外気と接触し、好ましくないガス状混入物のためのゲッターの内部における存在によって特徴づけられ、前記ゲッターが基板を含み、その上に、少なくとも1種の白金族金属の酸化物の少なくとも1層、及び(β)少なくとも1層の多孔質親水性層を含む薄層積層板の真空蒸着によって蒸着されていることを特徴とする、真空筐体。
【請求項11】
前記好ましくないガス状混入物が、少なくとも水素及び水蒸気を含み、前記ゲッターが、前記内側表面と一体になっている基板を含む薄層積層物であり、真空蒸着により蒸着されたものが、少なくとも1層の前記酸化物の層と、少なくとも1層の多孔質親水性層とを含む前記薄層積層物である、請求項10記載の真空筐体。
【請求項12】
前記ゲッターが、下記(a)〜(f)の少なくとも1種の特徴によっても特徴づけられ、
(a)前記少なくとも1種の白金族金属の酸化物の少なくとも1層が前記基板上に蒸着され、前記少なくとも1層の多孔質親水性層が、前記少なくとも1種の白金族金属の酸化物の少なくとも1層上に蒸着されている;
(b)前記少なくとも1種の白金族金属が、パラジウムを含むか、又はパラジウムからなる;
(c)前記真空蒸着酸化物が、酸素の存在下に、少なくとも1種の白金族金属の反応性真空蒸着によって形成される;
(d)前記少なくとも1層の真空蒸着多孔質親水性層が、少なくとも1種の活性金属と少なくとも1種の活性金属酸化物との混合物を含む;
(e)前記基板が、金属、合金、ガラス及びセラミック基板から選択される;
(f)前記少なくとも1層の多孔質親水性層が、1〜14ミクロン波長の範囲内で光学的に黒色であり、及び/又はIR照射を吸収する;
更に、下記(i)〜(ii)の少なくとも1種の特徴によって特徴づけられていてもよい、請求項11記載の真空筐体。
(i)前記真空蒸着混合物が、フラクタル表面形態を有する;
(ii)前記真空蒸着混合物が、前記混合物の形成に適合した所定の条件下で、酸素の存在下に少なくとも1種の活性金属の反応性真空蒸着によって形成されている;
(iii)前記基板がアルミニウム又はチタンの薄片である。
【請求項13】
更に下記の少なくとも1種の特徴によっても特徴づけられる、請求項12記載の真空筐体:
−前記基板がロールの形態である;
−前記少なくとも1種の活性金属がアルミニウム及びチタンから選択される;
−前記真空筐体がIR検出器であるか、又はIR検出システムの一部を形成する。
【請求項14】
前記物質少なくとも1層の(a)が、白金族金属酸化物からなる群から選択される、請求項7記載の層状構造。
【請求項15】
下記(a)〜(f)の少なくとも1種の特徴によっても特徴付けられ、
(a)前記少なくとも1種の白金族金属が、パラジウムを含むか、又はパラジウムからなる;
(b)前記真空蒸着酸化物が、酸素の存在下に少なくとも1種の白金金属の反応性真空蒸着によって形成される;
(c)前記特徴(B)が存在し、前記真空蒸着混合物が、前記混合物の形成に適合した所定の条件下で、酸素の存在下に少なくとも1種の活性金属の反応性真空蒸着によって形成されている;
(d)前記基板が、金属、合金、ガラス及びセラミック基板から選択される;
更に、下記(i)〜(iv)の少なくとも1種の特徴によって特徴づけられていてもよい、請求項14記載の層状構造。
(i)前記特徴(b)に適合し、前記真空蒸着混合物がフラクタル表面形態を有する;
(ii)前記特徴(b)に適合し、前記真空蒸着混合物が、不活性雰囲気の圧力よりも1〜2桁低い圧力で酸素が導入される、0.1〜1Paの圧力で、不活性雰囲気中で、少なくとも1種の活性金属を蒸着することによって形成される;
(iii)前記基板がアルミニウム又はチタンの薄片であり、好ましくはロールの形態である;
(iv)前記少なくとも1種の活性金属が、アルミニウム及びチタンから選択される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−293124(P2009−293124A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−59664(P2009−59664)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(503342498)アクタール リミテッド (7)
【Fターム(参考)】