薄板状ワークの研削方法及び両頭平面研削盤
【課題】キャリアリングに加わる外力の影響を少なくできワークの研削精度を向上させることができると共に、摩擦等の問題が発生せず長期間にわたって良好な研削精度を維持できるようにする。
【解決手段】キャリア4に装着された薄板状のワークWを一対の静圧パッド1により非接触で静圧支持し、キャリア4を介してワークWを回転させながら、一対の研削砥石3によりワークWの両面を研削する両頭平面研削盤において、キャリア4の外周のキャリアリング5を非接触で静圧支持する静圧キャリアガイド6a,6bを周方向に複数個備える。キャリアリング5は円筒面状の外周面12を有し、その外周面12に近接して各静圧キャリアガイド6a,6bを略等配に配置する。静圧キャリアガイド6a,6bは固定しても良いし、フローティング可能にしても良い。
【解決手段】キャリア4に装着された薄板状のワークWを一対の静圧パッド1により非接触で静圧支持し、キャリア4を介してワークWを回転させながら、一対の研削砥石3によりワークWの両面を研削する両頭平面研削盤において、キャリア4の外周のキャリアリング5を非接触で静圧支持する静圧キャリアガイド6a,6bを周方向に複数個備える。キャリアリング5は円筒面状の外周面12を有し、その外周面12に近接して各静圧キャリアガイド6a,6bを略等配に配置する。静圧キャリアガイド6a,6bは固定しても良いし、フローティング可能にしても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ等の薄板状ワークを研削する際に使用する薄板状ワークの研削方法及び両頭平面研削盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横軸両頭平面研削盤を使用してシリコンウェーハ等の薄板状ワークを研削する際には、左右一対の静圧パッドにより非接触で静圧支持されたワークをその中心廻りに回転させながら、横軸廻りに回転する左右一対の研削砥石により所定の仕上げ厚さまで研削する。
【0003】
ワークを回転自在に支持する支持方式には、ワークの外周に直接接触して支持する直接接触支持方式(特許文献1、2)と、ワークをキャリア、キャリアリングを介して支持するキャリア支持方式(特許文献3)とがあり、また直接接触支持方式にはローラ支持方式(特許文献1)と、ベルト支持方式(特許文献2)とがある。
【0004】
ローラ支持方式(特許文献1)は、円板状のワークの外周を周方向に複数個の支持ローラにより回転自在に支持し、その何れかの支持ローラによりワークを中心廻りに回転させるようにしている。ベルト支持方式(特許文献2)は、円板状のワークの外周を周方向に二組の支持ベルトにより回転自在に支持し、その支持ベルトによりワークを中心廻りに回転させるようにしている。
【0005】
キャリア支持方式(特許文献3)は、外周がキャリアリングに固定された薄板状のキャリアの装着孔にワークを装着し、キャリアリングをその外周に略等配に配置された複数個の支持ローラにより接触して支持し、キャリアリングの内周側のリングギヤーに噛合する駆動ギヤにより、キャリアリング、キャリアを介してワークを中心廻りに回転させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−175144号公報
【特許文献2】特開平10−156681号公報
【特許文献3】特開2005−205528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の直接接触支持方式は、支持ローラ又は支持ベルトでワークの外周を直接支持して、その支持ローラ又は支持ベルトによりワークを駆動して回転させるため、薄板状のワークを高精度に研削する場合には採用できないという問題がある。
【0008】
一方、キャリア支持方式は外周がキャリアリングに固定された薄板状のキャリアを用い、その装着孔にワークを嵌め込んだ状態で、外周の支持ローラにより支持されたキャリアリングを駆動して回転させるため、直接接触支持方式に比較して薄手のワークを高精度に研削できる利点がある。しかし、従来のキャリア支持方式は、キャリアリングをその外周に略等配に配置された複数個の支持ローラにより接触支持する接触支持方式を採用しているため、次のような問題がある。
【0009】
即ち、従来は複数個の支持ローラによりガイドリングを挟み込むように接触支持しているため、各支持ローラの振れがキャリアリングに伝わって合成されることになり、その組み合わせによってワークの回転精度が悪化する問題がある。また支持ローラの支軸の取り付け精度、特にキャリアリングの回転中心に対しての平行度に不良があれば、回転以外の力がキャリアリングに伝わってキャリアリングとワークとが傾斜する等の問題がある。
【0010】
また支持ローラには、キャリアリングにダメージを与え難く、しかも滑らずにキャリアリングを確実に支持できるように、高硬度ウレタン等の樹脂材を注型成型して機械加工で仕上げたものを用いることがあるが、その場合には支持ローラが樹脂製であるため、次のような問題がある。即ち、支持ローラに要求される真円度を安定して出すのが困難であり、また時間の経過により支持ローラの品質の劣化が起こり易く、更には支持ローラが摩耗し易い等の問題がある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、キャリアリングに加わる外力の影響を少なくできワークの研削精度を向上させることができると共に、摩擦等の問題が発生せず長期間にわたって良好な研削精度を維持できる薄板状ワークの研削方法及び両頭平面研削盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る薄板状ワークの研削方法は、キャリアに装着された薄板状ワークを一対の静圧パットにより非接触で静圧支持し、前記キャリアを介して前記ワークを回転させながら、一対の研削砥石により前記ワークの両面を研削するに際し、前記キャリアの外周のキャリアリングを周方向に複数個の静圧キャリアガイドにより非接触で静圧支持するものである。
【0013】
本発明に係る両頭平面研削盤は、キャリアに装着された薄板状ワークを一対の静圧パットにより非接触で静圧支持し、前記キャリアを介して前記ワークを回転させながら、一対の研削砥石により前記ワークの両面を研削する両頭平面研削盤であって、前記キャリアの外周のキャリアリングを非接触で静圧支持する静圧キャリアガイドを周方向に複数個備えたものである。
【0014】
前記キャリアリングは円筒面状の外周面を有し、該外周面に近接して前記各静圧キャリアガイドを略等配に配置しても良い。前記静圧キャリアガイドは固定でも良い。また前記静圧キャリアガイドはフローティング可能にしても良い。
【0015】
前記キャリアリングの回転中心と略平行なフローティング軸により前記各静圧キャリアガイドを枢支し、該各静圧キャリアガイドに、前記キャリアリングの外周面との間に静圧流体を供給する静圧ポケットを前記フローティング軸に対して前記キャリアリングの回転方向に略対称に備えても良い。
【0016】
前記キャリアリングの回転中心と略平行な枢軸により揺動自在に枢支され且つ少なくとも一部の前記静圧キャリアリングを前記キャリアリングに対して遠近方向に移動可能に支持する支持アームと、該支持アームを前記枢軸廻りに回動させる駆動手段と、前記支持アームを所定位置に停止させるストッパー手段とを備えても良い。
【0017】
前記静圧キャリアガイドは固定状態と前記キャリアリングの回転中心と略平行なフローティング軸廻りにフローティングするフローティング状態とに変更可能にしても良い。
【0018】
前記キャリアリングの外周に略等配に配置された3個以上の前記静圧キャリアガイドを備え、該3個以上の静圧キャリアガイドの内、少なくとも1個の前記キャリアガイドの位置を前記キャリアリングの略直径方向に調整して前記3個以上の静圧キャリアガイドを静圧面と前記キャリアリングの外周面との隙間を調整する隙間調整手段を備えても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、キャリアリングを静圧キャリアガイドにより静圧支持するため、キャリアリングに加わる外力の影響を少なくできワークの研削精度を向上させることができると共に、摩擦等の問題が発生せず長期間にわたって良好な研削精度を維持できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す横型両頭平面研削盤の概略側面図である。
【図2】同概略断面図である。
【図3】同要部の拡大側面図である。
【図4】同上側の静圧キャリアガイドの支持部の拡大断面図である。
【図5】同静圧キャリアガイドの固定状態の断面図である。
【図6】同図3のX−X線断面図である。
【図7】同静圧キャリアガイドの断面図である。
【図8】同静圧キャリアガイドの底面図である。
【図9】同静圧キャリアガイドの静圧回路図である。
【図10】同図3のY−Y線断面図である。
【図11】同静圧キャリアガイドのフローティング状態の断面図である。
【図12】キャリアリングの真円度の測定結果を示す図である。
【図13】従来の接触支持方式でのキャリアリングの外周振れの測定結果を示す図である。
【図14】本発明の非接触支持方式でのキャリアリングの外周振れの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳述する。図面は本発明を採用した横型両頭平面研削盤を例示する。この横型両頭平面研削盤は、図1、図2に示すように、左右に相対向して配置され且つ薄板状ワークWを非接触で静圧支持する左右一対の静圧パッド1と、各静圧パッド1の切り欠き部2に対応して左右方向の砥石軸廻りに回転自在に配置され且つ切り込み軸の軸心方向に移動して静圧パッド1により支持されたワークWの左右の両側面を研削する左右一対の研削砥石3と、装着されたワークWを静圧パッド1により保持された状態で切り込み軸の軸心廻りに回転させるキャリア4と、キャリア4の外周を支持するキャリアリング5と、キャリアリング5の外周に略等配に配置され且つキャリアリング5を外周から非接触で回転自在に静圧支持する複数個の静圧キャリアガイド6a,6bとを備えている。
【0022】
各静圧パッド1は切り込み軸の軸心方向に移動可能な左右一対の可動台8の対向端側に配置され、ワークWを保持する前進位置とワークWから退避する退避位置との間で切り込み軸方向に移動自在であり、前進位置ではワークWと対向する静圧面側に供給される静圧水等の静圧流体を介してワークWを非接触で静圧支持するようになっている。
【0023】
キャリア4はワークWの仕上げ寸法よりも薄い薄板状の円板であって、ワークWが着脱自在に装着される装着孔9を略同心状に有する。キャリア4は図1〜図4に示すように、その外周に略同心状に配置されたキャリアリング5と、キャリアリング5内に固定され且つキャリア4の外周をキャリアリング5側に押える押えリング10とにより支持されている。キャリアリング5は円筒面状に形成された外周面12をキャリア4の回転中心に対して略同心状に有し、また軸心方向の両側の端面は静圧パッド1の静圧面の外周側の段部11と隙間をおいて対向している。キャリア4、キャリアリング、押えリング10によりキャリア手段7が構成されており、ワークWの出し入れ等は、このキャリア手段7を一体として出し入れする。
【0024】
なお、キャリアリング5には肉厚が薄く、真円度を高め易いアルミナ等のセラミック材が用いられているが、ステンレス等の金属製でも良い。押えリング10の内周にはリングギヤー13が設けられ、そのリングギヤー13に噛合する駆動ギヤー14により、キャリア4、キャリアリング5を含むキャリア手段7を回転駆動するようになっている。
【0025】
各静圧キャリアガイド6a,6bは一方の可動台8のキャリア4と対向する対向端側に装着され、キャリアリング5の外周に周方向に3個以上が略等配に配置されている。例えば、この実施形態では4個の静圧キャリアガイド6a,6bが略四等配に配置されており、その各静圧キャリアガイド6a,6bは、図3、図4、図6に示すように、フローティング軸15a,15bを介して可動台8に枢着されると共に、固定手段16a,16b、規制手段17a,17bを介して固定状態とフローティング状態とに変更可能に装着されている。
【0026】
各静圧キャリアガイド6a,6bには、図7及び図8に示すように、キャリアリング5の回転方向(以下、単に回転方向という)の略中央にフローティング軸15a,15bが挿通される軸孔20が形成されると共に、軸孔20の両側に配置された2個のピン孔21と、キャリアリング5の外周面12に微少隙間を置いて対向する静圧面22と、この静圧面22側に設けられた2個の静圧ポケット23と、2個の静圧ポケット23間に配置された逃がし溝24とが設けられている。フローティング軸15a,15b、ピン孔21、軸孔20はキャリアリング5の回転軸心及び切り込み軸と略平行であり、ピン孔21は軸孔20に対して回転方向の両側に略対称に配置されている。
【0027】
各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22はキャリアリング5の外周面12に沿って円弧状に形成され、キャリアリング5の外周面12との間に微少隙間(例えば10〜30μm程度)を置いて直径方向に対向している。静圧ポケット23は静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との間に静圧水等の静圧流体を供給するためのもので、静圧面22から凹入し且つ回転方向に長い凹部により構成され、フローティング軸15a,15b、軸孔20に対して回転方向の両側に略対称に配置されている。各静圧ポケット23は内部の連通孔25から静圧面22と反対側の可撓ホース26等を介して静圧流体の供給源29に接続されている。
【0028】
各静圧キャリアガイド6a,6bの内、キャリアリング5の直径方向に相対向する2個の静圧キャリアガイド6a,6bは、図9に示すように同一回路27を介して静圧流体の供給源29に接続されている。なお、各回路27には圧力調整弁30、流量計31が介装され、これらにより圧力、流量が管理されている。
【0029】
上側の2個の静圧キャリアガイド6aは、図3、図4、図6に示すように、枢軸33により可動台8に揺動自在に枢着された支持アーム34に装着され、キャリア手段7を着脱するときに、駆動手段19により支持アーム34を枢軸33廻りに揺動させて上側の静圧キャリアガイド6aをキャリアリング5の遠近方向に移動させるようになっている。枢軸33はフローティング軸15aと略平行である。
【0030】
支持アーム34の一端側には収容部35内に静圧キャリアガイド6aが装着され、他端側に駆動手段19を構成するシリンダ36が連結されている。収容部35は、図4、図6に示すように、支持アーム34の側壁35a,35b間にキャリアリング5の直径方向に貫通して設けられており、この収容部35内に静圧キャリアガイド6aが収容され、その収容部35の両側の側壁35a,35bを貫通して支持アーム34に挿通されたフローティング軸15aにより静圧キャリアガイド6aが枢支されている。収容部35内の静圧キャリアガイド6aは、図3、図6に示すように、固定手段16aにより支持アーム34に適宜角度で固定可能であり、また固定手段16aを解除したときには規制手段17aにより規制されるフローティング範囲内でフローティング可能である。
【0031】
固定手段16aは静圧キャリアガイド6aの一方のピン孔21に圧入された固定ピン39と、固定ピン39が嵌脱するピン孔38bを有し且つ支持アーム34の側面に着脱自在に装着された固定ブラケット38とを有する。固定ブラケット38は基部側の固定ボルト40により支持アーム34に着脱自在に枢着され、その長孔38aを貫通して支持アーム34側に螺合する調整ボルト41により固定ボルト40廻りに角度調整可能である。ピン孔38bは固定ブラケット38の先端部に設けられ、このピン孔38b固定ピン39が嵌脱自在に嵌合している。規制手段17aは静圧キャリアガイド6aの他方のピン孔21と、収容部35を貫通してピン孔21に挿通された規制ピン42とにより構成され、規制ピン42とピン孔21との間にフローティング範囲に相当する隙間が設けられている。
【0032】
シリンダ36は支持アーム34の連結ピン44と可動台8の枢支ピン45との間に介在され、支持アーム34を枢軸33廻りに揺動させて静圧キャリアガイド6aをキャリアリング5に対して遠近方向(略直径方向)に移動させるようになっている。支持アーム34の一端側には、支持アーム34を所定位置で停止させるストッパー手段47が設けられている。
【0033】
ストッパー手段47は、図3、図6に示すように、可動台8に固定された当接部48と、支持アーム34の一端側に調整可能に螺合されたねじ式のストッパー49とを備え、ストッパー49を調整することにより、キャリアリング5の直径方向の両側の静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22間の間隔が変化し、その両静圧キャリアガイド6a,6b間の略中央にキャリアリング5が位置すべく隙間を調整可能である。従って、ストッパー手段47は静圧キャリアガイド6aの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を調整する隙間調整手段を兼用している。
【0034】
下側の2個の静圧キャリアガイド6bは、図3、図5、図10、図11に示すように、フローティング軸15bと、固定ブラケット50を含む固定手段16b(図3、図5、図10参照)及び規制手段17b(図11参照)とを介して固定状態とフローティング状態とに変更可能に装着されている。
【0035】
フローティング軸15bは可動台8に固定されている。固定ブラケット50は長手方向の一端側がフローティング軸15bに対して表裏反転可能で且つフローティング軸15b廻りに角度調整可能に装着され、また他端側に固定孔53と、この固定孔53よりも大径のフローティング凹部54とが設けられている。静圧キャリアガイド6bはフローティング軸15bにより枢支され、また一方のピン孔21には係合ピン55が圧入されている。係合ピン55の固定ブラケット50側への突出量は、フローティング凹部54を静圧キャリアガイド6b側に向けたときに、固定孔53に係合しない程度となっている。
【0036】
静圧キャリアガイド6bを固定するときの固定手段16bは、図3、図5、図10に示すように、係合ピン55と固定ブラケット50のピン孔21とにより構成され、係合ピン55をピン孔21に挿入することにより、静圧キャリアガイド6bを固定するようになっている。
【0037】
また静圧キャリアガイド6bのフローティング範囲を規制する規制手段17bは、図11に示すように、係合ピン55と固定ブラケット50のフローティング凹部54とにより構成され、係合ピン55がフローティング凹部54に入ったときの両者の隙間が静圧キャリアガイド6bのフローティング範囲に対応するようになっている。
【0038】
固定ブラケット50の一端側には、フローティング軸15bの基部を掴む二つ割り状の掴み部56と、この掴み部56を締結する締結ボルト57とが設けられており、固定ブラケット50はフローティング軸15bに対して角度調整可能である。なお、固定孔53、フローティング凹部54は、固定ブラケット50をフローティング軸15b廻りに角度調整できるように、固定ブラケット50の長手方向に長く形成されている。
【0039】
ワークWの研削に際しては、キャリア4に装着されたワークWを一対の静圧パッド1により左右両側から非接触で静圧支持すると共に、キャリアリング5の外周に略四等配に配置された各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧ポケット23からキャリアリング5の外周面12に静圧流体を供給して、各静圧キャリアガイド6a,6bにより静圧流体を介してキャリアリング5を非接触で静圧支持し、駆動ギヤー14によりリングギヤー13を介してキャリアリング5を駆動しキャリア4に装着されたワークWをその回転軸心廻りに回転させて、一対の研削砥石3によりワークWの両面を所定仕上げ寸法になるまで研削する。
【0040】
このようにすれば、外周の静圧キャリアガイド6a,6bによりキャリアリング5を非接触で静圧支持することができる。即ち、キャリアリング5の外周面12との間には各静圧キャリアガイド6a,6bから供給される静圧流体があり、この各静圧キャリアガイド6a,6bにより静圧流体を介してキャリアリング5を外周側から非接触で静圧支持できる。一方、キャリアリング5の両端面との間には、従来と同様に各静圧パッド1から供給される静圧流体があり、各静圧パッド1により静圧流体を介して非接触で静圧支持できる。
【0041】
このためキャリアリング5の外周及び両端面の全てが非接触で静圧支持されることになり、ガイドローラによりキャリアリング5を支持する従来の接触支持方式に比較して、研削サイクル中にキャリアリング5からキャリア4を介してワークWに加わる外力が少なくなり、ワークWの回転精度(主に外周振れ)を改善できる。従って、ワークWの研削精度を向上させることができる。
【0042】
しかも、各静圧キャリアガイド6a,6bにより静圧流体を介して非接触でキャリアリング5を回転自在に静圧支持するため、接触支持方式の場合のような部材相互の接触による摩耗等の問題がなく、半永久的に良好な回転精度を維持することができる。このため摩耗等によるワークWの研削精度の悪化、保全工数の増加、消耗品の費用の発生等を防止することができる。
【0043】
またキャリアリング5の外周に略四等配に配置された各静圧キャリアガイド6a,6bの内、キャリアリング5の直径方向の両側に配置された静圧キャリアガイド6a,6bは、図3に示すように、静圧流体の圧力及び流量が十分大である同一回路27に接続されているため、静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との間の隙間が変動したときには、同一回路27内の圧力を揃えようとする力が働き、キャリアリング5が定位置を保とうとするため、安定した回転精度を得ることができる。
【0044】
即ち、何等かの原因により対向する一対の静圧キャリアガイド6a,6bの圧力バランスが崩れて、例えば下側の静圧キャリアガイド6bとキャリアリング5との隙間が狭くなった場合には、その静圧キャリアガイド6bの静圧ポケット23内の圧力が上昇する。一方、上側の静圧キャリアガイド6aとキャリアリング5との隙間が広くなり、その静圧キャリアガイド6aの静圧ポケット23内の圧力が低下する。このため両静圧キャリアガイド6a,6bの静圧ポケット23の圧力差により、キャリアリング5は両静圧キャリアガイド6a,6bの間の隙間が均等になるように移動して定位置を保つことになる。
【0045】
キャリアリング5の外周面12はキャリア4の回転中心に対して略同心状の円筒面であって、静圧流体の圧力が逃げる溝等がない形状であり、このキャリアリング5の外周面12に静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22が微少隙間をおいて近接しているため、静圧流体によりキャリアリング5を安定性よく支持することができ、キャリアリング5の安定した回転精度を得ることができる。しかも各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22には、キャリアリング5の回転方向に2個の静圧ポケット23があり、その中間の逃がし溝24で二分割した構成となっているので、各静圧キャリアガイド6a,6b単体でキャリアリング5の回転方向の両側における静圧流体の圧力をバランスさせることができる。
【0046】
キャリア手段7の着脱時にはシリンダ36により支持アーム34を図3に二点鎖線で示すように枢軸33廻りに図3のa矢示方向に揺動させて、上側の2個の静圧キャリアガイド6aをキャリアリング5の直径方向に離間させる。またキャリアリング5を所定位置に入れた後は,シリンダ36により支持アーム34を枢軸33廻りに反a矢示方向へと回動させる。そして、上側の静圧キャリアガイド6aの静圧面22とキャリアリング5の外周面12とが所定隙間になると、ストッパー49が当接部48に当接して支持アーム34の回動を規制する。
【0047】
このようにシリンダ36により支持アーム34を駆動して上側の静圧キャリアガイド6aを移動させることにより、キャリアリング5の直径方向の両側に配置された一対の静圧キャリアガイド6a,6b間の間隔が変化するため、キャリアリング5の出し入れを容易に行うことができ、またその自動化を容易に図ることができる。
【0048】
またストッパー手段47のねじ式のストッパー49が当接部48に当接する位置を調整することにより、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を任意に調整することができる。即ち、ストッパー49を調整することにより、ストッパー47が当接部48に当接するときの支持アーム34の位置が変化し、キャリアリング5の直径方向の両側の静圧キャリアガイド6aの静圧面22間の間隔が変化する。そして、キャリアリング5の直径方向の両側の静圧キャリアガイド6a,6bからキャリアリング5の外周へと静圧流体を供給したときに、両静圧キャリアガイド6a,6b間の略中央にキャリアリング5が位置し、キャリアリング5の外周面12と両側の静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22との間隔が略一致する。従って、キャリアリング5の直径方向の両側の静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22間の間隔に応じて、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との間隔を調整することができる。
【0049】
各静圧キャリアガイド6a,6bは固定状態とフローティング状態とに変更可能であり、必要に応じて段取りを変更することにより、適宜使い分けることができる。例えば、キャリアリング5の真円度が高くキャリアリング5を確実に静圧支持できる場合には、各静圧キャリアガイド6a,6bを固定状態とし、またキャリアリング5の真円度が低い場合には各静圧キャリアガイド6a,6bをフローティング状態とすることができる。また下側の2個の静圧キャリアガイド6bを固定し、上側の2個の静圧キャリアガイド6aをフローティング状態とすることもできる。
【0050】
図3、図6は各静圧キャリアガイド6a,6bを固定した状態を示す。上側の静圧キャリアガイド6aを固定する場合には、図3、図5、図6、図10に示すように静圧キャリアガイド6aの固定ピン39を固定ブラケット38のピン孔38bに挿入し、また固定ブラケット38を固定ボルト40で支持アーム34に枢着する。この状態で固定ボルト40廻りに長孔38aの範囲内で固定ブラケット38を回動させると、静圧キャリアガイド6aがフローティング軸15a廻りに回動して、フローティング軸15aの両側で静圧キャリアガイド6aの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間が変化するので、フローティング軸15aの両側でその隙間が略均等になった位置で調整ボルト41を締め付けて固定すれば良い。
【0051】
なお、静圧キャリアガイド6aの固定に際しての調整代は通常ピン孔21の規制ピン42との隙間の範囲内であるため、規制ピン42はピン孔21に挿通したままで良い。また静圧キャリアガイド6aの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間の大小は、ストッパー手段47により適宜調整する。
【0052】
下側の静圧キャリアガイド6bを固定する場合には、図5、図10に示すように、静圧キャリアガイド6bと固定ブラケット50との固定孔53に係合ピン55を挿入し、フローティング軸15bの両側で静圧キャリアガイド6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間が略均等になるように、固定ブラケット50の角度をフローティング軸15b廻りに廻して調整した後、締結ボルト57を締め付けて固定ブラケット50をフローティング軸15bに固定する。これによって下側の静圧キャリアガイド6bが固定状態となる。
【0053】
このように各静圧キャリアガイド6a,6bを固定した場合にも、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22に2個の静圧ポケット23があり、この各静圧ポケット23からキャリアリング5の外周面12に静圧流体が供給されるので、静圧流体を介してキャリアリング5を静圧支持することができる。また各静圧キャリアガイド6a,6bが固定状態であるため、キャリアリング5のフラツキを防止してキャリアリング5を確実に静圧支持することができる。
【0054】
上側の静圧キャリアガイド6aをフローティング状態にする場合には、固定ブラケット38を取り外せば、静圧キャリアガイド6aの固定ピン39が固定ブラケット38のピン孔38bから外れるので、固定手段16aによる静圧キャリアガイド6aの固定を解除できる。これによって規制ピン42とピン孔21との隙間の範囲内で静圧キャリアガイド6aをフローティング軸15a廻りにフローティングさせることができる。
【0055】
また下側の静圧キャリアガイド6bをフローティング状態にする場合には、図11に示すように固定ブラケット50を反転させて、規制手段17bの範囲内で静圧キャリアガイド6bをフローティング可能に装着する。先ず最初に静圧キャリアガイド6bをフローティング軸15bから取り外して、固定ブラケット50を表裏反転させてフローティング軸15bに装着する。次に静圧キャリアガイド6bをフローティング軸15bに套嵌して、その係合ピン55を固定ブラケット50のフローティング凹部54に係合させる。
【0056】
そして、フローティング軸15bの両側で静圧キャリアガイド6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間が略均等になるように、固定ブラケット50をフローティング軸15b廻りに調整して締結ボルト57により固定する。これによって係合ピン55とフローティング凹部54との隙間の範囲内で静圧キャリアガイド6bをフローティング軸15b廻りにフローティングさせることができる。
【0057】
このように各静圧キャリアガイド6a,6bをフローティング可能にした後、各静圧キャリアガイド6a,6bの各静圧ポケット23からキャリアリング5の外周面12に静圧流体を供給すると、その静圧流体を介してキャリアリング5を静圧支持することができる。またフローティング軸15a,15bの両側で静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間に違いが生じたときには、フローティング軸15a,15bの両側の隙間が略一致するように静圧キャリアガイド6a,6bがフローティング軸15a,15b廻りにフローティングする。このため静圧キャリアガイド6a,6bとキャリアリング5との接触を未然に防止することができる。更に静圧キャリアガイド6a,6bのフローティング範囲を規制する規制手段17a,17bがあるため、静圧キャリアガイド6a,6bのフローティング軸15a,15b廻りの不安定な揺動等を防止できる。
【0058】
各静圧キャリアガイド6a,6bの全てを固定状態又はフローティング状態にして使用する他、例えば下側の2個の静圧キャリアガイド6bを固定し、支持アーム34に装着された上側の2個の静圧キャリアガイド6aをフローティング軸15a廻りにフローティング可能にして使用することもできる。この場合には、キャリアリング5の着脱作業を容易にしながらも、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を小さくして、キャリアリング5を安定的に静圧支持できる。
【0059】
即ち、上側の静圧キャリアガイド6aを枢軸33廻りに回動する支持アーム34に装着する場合、この静圧キャリアガイド6aを支持アーム34に固定すれば、誤差の集積等によって静圧キャリアガイド6aがキャリアリング5と接触する恐れがあり、静圧キャリアガイド6a,6bとキャリアリング5との隙間を小さくし難くなる。しかし、支持アーム34に対して静圧キャリアガイド6aをフローティング可能に装着することにより、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を小さくしながらも、上側の静圧キャリアガイド6aのフローティングによってキャリアリング5との接触を防止できる。
【0060】
因みにセラミック製のキャリアリング5を用いて、本発明の非接触支持方式と従来の支持ローラによる接触支持方式とについて検証したところ、本発明の非接触支持方式では従来の接触支持方式に比較してキャリアリング5の外周振れを1/5程度に抑えることができた。図12はキャリアリング5の真円度の測定結果を示す。図13は従来の接触支持方式の場合、図14は本発明の非接触支持方式の場合の夫々のキャリアリング5の外周振れの測定結果を示す。
【0061】
キャリアリング5には図12に示すように外周真円度が約5μm(実測値4.5μm)のセラミック製を用いて、従来の接触支持方式、本発明の非接触支持方式の夫々におけるキャリアリング5の外周振れを測定した。従来の接触支持方式の場合には、外周振れの測定値は図13に示すように約15μmであり、これからキャリアリング5の外周真円度(約5μm)を差し引くと、外周振れは約10μmとなる。これに対して非接触支持方式の場合の振れの測定値は図14に示すように約7μmであり、これからキャリアリング5の外周真円度(約5μm)を差し引くと、外周振れは約2μmとなる。
【0062】
してみると本発明の非接触支持方式では、従来の接触支持方式に比較してキャリアリング5の外周振れを1/5程度に抑えることができる。このためキャリアリング5の回転精度はキャリア4を介してその内周に接しているワークWに直接伝わり、研削サイクル中に一対の研削砥石3で挟み込まれて固定されたワークWの研削点に作用して、ワークWの研削に直ちに影響を与えるることになるが、本発明の非接触支持方式を採用することにより、キャリアリング5の外周振れの影響を小さくでき、ワークWの安定した研削精度を得ることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば実施形態では、各静圧キャリアガイド6a,6bを固定状態とフローティング状態とに変更可能にしているが、全ての静圧キャリアガイド6a,6bを固定式又はフローティング式にしても良いし、下側の複数個の静圧キャリアガイド6bを固定式とし、上側の複数個の静圧キャリアガイド6aをフローティング式としても良い。
【0064】
静圧キャリアガイド6a,6bはキャリアリング5の外周に略等配に配置することが望ましいが、複数個の静圧キャリアガイド6a,6bによってキャリアリング5を静圧支持できる限りは、略等配に配置する必要はない。また静圧キャリアガイド6a,6bを略等配に配置する場合、静圧キャリアガイド6a,6bは3個以上あれば良い。そして、静圧キャリアガイド6a,6bが3個の場合には、例えば下側に2個の静圧キャリアガイド6bを配置し、上側の1個の静圧キャリアガイド6aをキャリアリング5の直径方向に移動可能に設けても良い。
【0065】
静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22にフローティング軸15a,15bに対して回転方向に略対称に静圧ポケット23を設ける場合、実施形態に例示するように回転方向に二分割して配置しても良いし、回転方向に長い1個の静圧ポケット23を連続状に設けても良い。支持アーム34を駆動する駆動手段19はシリンダ36の他、モータにより構成し、そのモータによりねじ軸又はギヤーを介して支持アーム34を駆動するようにしても良い。
【0066】
静圧キャリアガイド6a,6bをキャリアリング5に対して遠近方向に移動させる場合、可動台8にキャリアリング5の略直径方向の案内機構を設け、その案内機構に沿って移動自在に静圧キャリアガイド6a,6bを設けても良い。また実施形態では、支持アーム34を所定位置に停止させるストッパー手段47と、静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を調整する隙間調整手段とを兼用するようにしているが、この両者は別々に設けても良い。
【0067】
全ての静圧キャリアガイド6a,6bを同一回路27を経て静圧流体の供給源29に接続しても良いし、各静圧キャリアガイド6a,6bを個別に独立する圧力制御回路を介して供給源29に接続しても良い。更に実施形態では、横型平面研削盤について例示したが、縦型でも同様に実施することが可能である。またワークWは薄板状のものであれば、何であっても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 静圧パット
3 研削砥石
4 キャリア
5 キャリアリング
6a,6b 静圧キャリアガイド
12 外周面
15a,15b フローティング軸
16a,16b 固定手段
17a,17b 規制手段
19 駆動手段
21 ピン孔
22 静圧面
29 供給源
33 枢軸
34 支持アーム
47 ストッパー手段(隙間調整手段)
W ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ等の薄板状ワークを研削する際に使用する薄板状ワークの研削方法及び両頭平面研削盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横軸両頭平面研削盤を使用してシリコンウェーハ等の薄板状ワークを研削する際には、左右一対の静圧パッドにより非接触で静圧支持されたワークをその中心廻りに回転させながら、横軸廻りに回転する左右一対の研削砥石により所定の仕上げ厚さまで研削する。
【0003】
ワークを回転自在に支持する支持方式には、ワークの外周に直接接触して支持する直接接触支持方式(特許文献1、2)と、ワークをキャリア、キャリアリングを介して支持するキャリア支持方式(特許文献3)とがあり、また直接接触支持方式にはローラ支持方式(特許文献1)と、ベルト支持方式(特許文献2)とがある。
【0004】
ローラ支持方式(特許文献1)は、円板状のワークの外周を周方向に複数個の支持ローラにより回転自在に支持し、その何れかの支持ローラによりワークを中心廻りに回転させるようにしている。ベルト支持方式(特許文献2)は、円板状のワークの外周を周方向に二組の支持ベルトにより回転自在に支持し、その支持ベルトによりワークを中心廻りに回転させるようにしている。
【0005】
キャリア支持方式(特許文献3)は、外周がキャリアリングに固定された薄板状のキャリアの装着孔にワークを装着し、キャリアリングをその外周に略等配に配置された複数個の支持ローラにより接触して支持し、キャリアリングの内周側のリングギヤーに噛合する駆動ギヤにより、キャリアリング、キャリアを介してワークを中心廻りに回転させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−175144号公報
【特許文献2】特開平10−156681号公報
【特許文献3】特開2005−205528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の直接接触支持方式は、支持ローラ又は支持ベルトでワークの外周を直接支持して、その支持ローラ又は支持ベルトによりワークを駆動して回転させるため、薄板状のワークを高精度に研削する場合には採用できないという問題がある。
【0008】
一方、キャリア支持方式は外周がキャリアリングに固定された薄板状のキャリアを用い、その装着孔にワークを嵌め込んだ状態で、外周の支持ローラにより支持されたキャリアリングを駆動して回転させるため、直接接触支持方式に比較して薄手のワークを高精度に研削できる利点がある。しかし、従来のキャリア支持方式は、キャリアリングをその外周に略等配に配置された複数個の支持ローラにより接触支持する接触支持方式を採用しているため、次のような問題がある。
【0009】
即ち、従来は複数個の支持ローラによりガイドリングを挟み込むように接触支持しているため、各支持ローラの振れがキャリアリングに伝わって合成されることになり、その組み合わせによってワークの回転精度が悪化する問題がある。また支持ローラの支軸の取り付け精度、特にキャリアリングの回転中心に対しての平行度に不良があれば、回転以外の力がキャリアリングに伝わってキャリアリングとワークとが傾斜する等の問題がある。
【0010】
また支持ローラには、キャリアリングにダメージを与え難く、しかも滑らずにキャリアリングを確実に支持できるように、高硬度ウレタン等の樹脂材を注型成型して機械加工で仕上げたものを用いることがあるが、その場合には支持ローラが樹脂製であるため、次のような問題がある。即ち、支持ローラに要求される真円度を安定して出すのが困難であり、また時間の経過により支持ローラの品質の劣化が起こり易く、更には支持ローラが摩耗し易い等の問題がある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、キャリアリングに加わる外力の影響を少なくできワークの研削精度を向上させることができると共に、摩擦等の問題が発生せず長期間にわたって良好な研削精度を維持できる薄板状ワークの研削方法及び両頭平面研削盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る薄板状ワークの研削方法は、キャリアに装着された薄板状ワークを一対の静圧パットにより非接触で静圧支持し、前記キャリアを介して前記ワークを回転させながら、一対の研削砥石により前記ワークの両面を研削するに際し、前記キャリアの外周のキャリアリングを周方向に複数個の静圧キャリアガイドにより非接触で静圧支持するものである。
【0013】
本発明に係る両頭平面研削盤は、キャリアに装着された薄板状ワークを一対の静圧パットにより非接触で静圧支持し、前記キャリアを介して前記ワークを回転させながら、一対の研削砥石により前記ワークの両面を研削する両頭平面研削盤であって、前記キャリアの外周のキャリアリングを非接触で静圧支持する静圧キャリアガイドを周方向に複数個備えたものである。
【0014】
前記キャリアリングは円筒面状の外周面を有し、該外周面に近接して前記各静圧キャリアガイドを略等配に配置しても良い。前記静圧キャリアガイドは固定でも良い。また前記静圧キャリアガイドはフローティング可能にしても良い。
【0015】
前記キャリアリングの回転中心と略平行なフローティング軸により前記各静圧キャリアガイドを枢支し、該各静圧キャリアガイドに、前記キャリアリングの外周面との間に静圧流体を供給する静圧ポケットを前記フローティング軸に対して前記キャリアリングの回転方向に略対称に備えても良い。
【0016】
前記キャリアリングの回転中心と略平行な枢軸により揺動自在に枢支され且つ少なくとも一部の前記静圧キャリアリングを前記キャリアリングに対して遠近方向に移動可能に支持する支持アームと、該支持アームを前記枢軸廻りに回動させる駆動手段と、前記支持アームを所定位置に停止させるストッパー手段とを備えても良い。
【0017】
前記静圧キャリアガイドは固定状態と前記キャリアリングの回転中心と略平行なフローティング軸廻りにフローティングするフローティング状態とに変更可能にしても良い。
【0018】
前記キャリアリングの外周に略等配に配置された3個以上の前記静圧キャリアガイドを備え、該3個以上の静圧キャリアガイドの内、少なくとも1個の前記キャリアガイドの位置を前記キャリアリングの略直径方向に調整して前記3個以上の静圧キャリアガイドを静圧面と前記キャリアリングの外周面との隙間を調整する隙間調整手段を備えても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、キャリアリングを静圧キャリアガイドにより静圧支持するため、キャリアリングに加わる外力の影響を少なくできワークの研削精度を向上させることができると共に、摩擦等の問題が発生せず長期間にわたって良好な研削精度を維持できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す横型両頭平面研削盤の概略側面図である。
【図2】同概略断面図である。
【図3】同要部の拡大側面図である。
【図4】同上側の静圧キャリアガイドの支持部の拡大断面図である。
【図5】同静圧キャリアガイドの固定状態の断面図である。
【図6】同図3のX−X線断面図である。
【図7】同静圧キャリアガイドの断面図である。
【図8】同静圧キャリアガイドの底面図である。
【図9】同静圧キャリアガイドの静圧回路図である。
【図10】同図3のY−Y線断面図である。
【図11】同静圧キャリアガイドのフローティング状態の断面図である。
【図12】キャリアリングの真円度の測定結果を示す図である。
【図13】従来の接触支持方式でのキャリアリングの外周振れの測定結果を示す図である。
【図14】本発明の非接触支持方式でのキャリアリングの外周振れの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳述する。図面は本発明を採用した横型両頭平面研削盤を例示する。この横型両頭平面研削盤は、図1、図2に示すように、左右に相対向して配置され且つ薄板状ワークWを非接触で静圧支持する左右一対の静圧パッド1と、各静圧パッド1の切り欠き部2に対応して左右方向の砥石軸廻りに回転自在に配置され且つ切り込み軸の軸心方向に移動して静圧パッド1により支持されたワークWの左右の両側面を研削する左右一対の研削砥石3と、装着されたワークWを静圧パッド1により保持された状態で切り込み軸の軸心廻りに回転させるキャリア4と、キャリア4の外周を支持するキャリアリング5と、キャリアリング5の外周に略等配に配置され且つキャリアリング5を外周から非接触で回転自在に静圧支持する複数個の静圧キャリアガイド6a,6bとを備えている。
【0022】
各静圧パッド1は切り込み軸の軸心方向に移動可能な左右一対の可動台8の対向端側に配置され、ワークWを保持する前進位置とワークWから退避する退避位置との間で切り込み軸方向に移動自在であり、前進位置ではワークWと対向する静圧面側に供給される静圧水等の静圧流体を介してワークWを非接触で静圧支持するようになっている。
【0023】
キャリア4はワークWの仕上げ寸法よりも薄い薄板状の円板であって、ワークWが着脱自在に装着される装着孔9を略同心状に有する。キャリア4は図1〜図4に示すように、その外周に略同心状に配置されたキャリアリング5と、キャリアリング5内に固定され且つキャリア4の外周をキャリアリング5側に押える押えリング10とにより支持されている。キャリアリング5は円筒面状に形成された外周面12をキャリア4の回転中心に対して略同心状に有し、また軸心方向の両側の端面は静圧パッド1の静圧面の外周側の段部11と隙間をおいて対向している。キャリア4、キャリアリング、押えリング10によりキャリア手段7が構成されており、ワークWの出し入れ等は、このキャリア手段7を一体として出し入れする。
【0024】
なお、キャリアリング5には肉厚が薄く、真円度を高め易いアルミナ等のセラミック材が用いられているが、ステンレス等の金属製でも良い。押えリング10の内周にはリングギヤー13が設けられ、そのリングギヤー13に噛合する駆動ギヤー14により、キャリア4、キャリアリング5を含むキャリア手段7を回転駆動するようになっている。
【0025】
各静圧キャリアガイド6a,6bは一方の可動台8のキャリア4と対向する対向端側に装着され、キャリアリング5の外周に周方向に3個以上が略等配に配置されている。例えば、この実施形態では4個の静圧キャリアガイド6a,6bが略四等配に配置されており、その各静圧キャリアガイド6a,6bは、図3、図4、図6に示すように、フローティング軸15a,15bを介して可動台8に枢着されると共に、固定手段16a,16b、規制手段17a,17bを介して固定状態とフローティング状態とに変更可能に装着されている。
【0026】
各静圧キャリアガイド6a,6bには、図7及び図8に示すように、キャリアリング5の回転方向(以下、単に回転方向という)の略中央にフローティング軸15a,15bが挿通される軸孔20が形成されると共に、軸孔20の両側に配置された2個のピン孔21と、キャリアリング5の外周面12に微少隙間を置いて対向する静圧面22と、この静圧面22側に設けられた2個の静圧ポケット23と、2個の静圧ポケット23間に配置された逃がし溝24とが設けられている。フローティング軸15a,15b、ピン孔21、軸孔20はキャリアリング5の回転軸心及び切り込み軸と略平行であり、ピン孔21は軸孔20に対して回転方向の両側に略対称に配置されている。
【0027】
各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22はキャリアリング5の外周面12に沿って円弧状に形成され、キャリアリング5の外周面12との間に微少隙間(例えば10〜30μm程度)を置いて直径方向に対向している。静圧ポケット23は静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との間に静圧水等の静圧流体を供給するためのもので、静圧面22から凹入し且つ回転方向に長い凹部により構成され、フローティング軸15a,15b、軸孔20に対して回転方向の両側に略対称に配置されている。各静圧ポケット23は内部の連通孔25から静圧面22と反対側の可撓ホース26等を介して静圧流体の供給源29に接続されている。
【0028】
各静圧キャリアガイド6a,6bの内、キャリアリング5の直径方向に相対向する2個の静圧キャリアガイド6a,6bは、図9に示すように同一回路27を介して静圧流体の供給源29に接続されている。なお、各回路27には圧力調整弁30、流量計31が介装され、これらにより圧力、流量が管理されている。
【0029】
上側の2個の静圧キャリアガイド6aは、図3、図4、図6に示すように、枢軸33により可動台8に揺動自在に枢着された支持アーム34に装着され、キャリア手段7を着脱するときに、駆動手段19により支持アーム34を枢軸33廻りに揺動させて上側の静圧キャリアガイド6aをキャリアリング5の遠近方向に移動させるようになっている。枢軸33はフローティング軸15aと略平行である。
【0030】
支持アーム34の一端側には収容部35内に静圧キャリアガイド6aが装着され、他端側に駆動手段19を構成するシリンダ36が連結されている。収容部35は、図4、図6に示すように、支持アーム34の側壁35a,35b間にキャリアリング5の直径方向に貫通して設けられており、この収容部35内に静圧キャリアガイド6aが収容され、その収容部35の両側の側壁35a,35bを貫通して支持アーム34に挿通されたフローティング軸15aにより静圧キャリアガイド6aが枢支されている。収容部35内の静圧キャリアガイド6aは、図3、図6に示すように、固定手段16aにより支持アーム34に適宜角度で固定可能であり、また固定手段16aを解除したときには規制手段17aにより規制されるフローティング範囲内でフローティング可能である。
【0031】
固定手段16aは静圧キャリアガイド6aの一方のピン孔21に圧入された固定ピン39と、固定ピン39が嵌脱するピン孔38bを有し且つ支持アーム34の側面に着脱自在に装着された固定ブラケット38とを有する。固定ブラケット38は基部側の固定ボルト40により支持アーム34に着脱自在に枢着され、その長孔38aを貫通して支持アーム34側に螺合する調整ボルト41により固定ボルト40廻りに角度調整可能である。ピン孔38bは固定ブラケット38の先端部に設けられ、このピン孔38b固定ピン39が嵌脱自在に嵌合している。規制手段17aは静圧キャリアガイド6aの他方のピン孔21と、収容部35を貫通してピン孔21に挿通された規制ピン42とにより構成され、規制ピン42とピン孔21との間にフローティング範囲に相当する隙間が設けられている。
【0032】
シリンダ36は支持アーム34の連結ピン44と可動台8の枢支ピン45との間に介在され、支持アーム34を枢軸33廻りに揺動させて静圧キャリアガイド6aをキャリアリング5に対して遠近方向(略直径方向)に移動させるようになっている。支持アーム34の一端側には、支持アーム34を所定位置で停止させるストッパー手段47が設けられている。
【0033】
ストッパー手段47は、図3、図6に示すように、可動台8に固定された当接部48と、支持アーム34の一端側に調整可能に螺合されたねじ式のストッパー49とを備え、ストッパー49を調整することにより、キャリアリング5の直径方向の両側の静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22間の間隔が変化し、その両静圧キャリアガイド6a,6b間の略中央にキャリアリング5が位置すべく隙間を調整可能である。従って、ストッパー手段47は静圧キャリアガイド6aの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を調整する隙間調整手段を兼用している。
【0034】
下側の2個の静圧キャリアガイド6bは、図3、図5、図10、図11に示すように、フローティング軸15bと、固定ブラケット50を含む固定手段16b(図3、図5、図10参照)及び規制手段17b(図11参照)とを介して固定状態とフローティング状態とに変更可能に装着されている。
【0035】
フローティング軸15bは可動台8に固定されている。固定ブラケット50は長手方向の一端側がフローティング軸15bに対して表裏反転可能で且つフローティング軸15b廻りに角度調整可能に装着され、また他端側に固定孔53と、この固定孔53よりも大径のフローティング凹部54とが設けられている。静圧キャリアガイド6bはフローティング軸15bにより枢支され、また一方のピン孔21には係合ピン55が圧入されている。係合ピン55の固定ブラケット50側への突出量は、フローティング凹部54を静圧キャリアガイド6b側に向けたときに、固定孔53に係合しない程度となっている。
【0036】
静圧キャリアガイド6bを固定するときの固定手段16bは、図3、図5、図10に示すように、係合ピン55と固定ブラケット50のピン孔21とにより構成され、係合ピン55をピン孔21に挿入することにより、静圧キャリアガイド6bを固定するようになっている。
【0037】
また静圧キャリアガイド6bのフローティング範囲を規制する規制手段17bは、図11に示すように、係合ピン55と固定ブラケット50のフローティング凹部54とにより構成され、係合ピン55がフローティング凹部54に入ったときの両者の隙間が静圧キャリアガイド6bのフローティング範囲に対応するようになっている。
【0038】
固定ブラケット50の一端側には、フローティング軸15bの基部を掴む二つ割り状の掴み部56と、この掴み部56を締結する締結ボルト57とが設けられており、固定ブラケット50はフローティング軸15bに対して角度調整可能である。なお、固定孔53、フローティング凹部54は、固定ブラケット50をフローティング軸15b廻りに角度調整できるように、固定ブラケット50の長手方向に長く形成されている。
【0039】
ワークWの研削に際しては、キャリア4に装着されたワークWを一対の静圧パッド1により左右両側から非接触で静圧支持すると共に、キャリアリング5の外周に略四等配に配置された各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧ポケット23からキャリアリング5の外周面12に静圧流体を供給して、各静圧キャリアガイド6a,6bにより静圧流体を介してキャリアリング5を非接触で静圧支持し、駆動ギヤー14によりリングギヤー13を介してキャリアリング5を駆動しキャリア4に装着されたワークWをその回転軸心廻りに回転させて、一対の研削砥石3によりワークWの両面を所定仕上げ寸法になるまで研削する。
【0040】
このようにすれば、外周の静圧キャリアガイド6a,6bによりキャリアリング5を非接触で静圧支持することができる。即ち、キャリアリング5の外周面12との間には各静圧キャリアガイド6a,6bから供給される静圧流体があり、この各静圧キャリアガイド6a,6bにより静圧流体を介してキャリアリング5を外周側から非接触で静圧支持できる。一方、キャリアリング5の両端面との間には、従来と同様に各静圧パッド1から供給される静圧流体があり、各静圧パッド1により静圧流体を介して非接触で静圧支持できる。
【0041】
このためキャリアリング5の外周及び両端面の全てが非接触で静圧支持されることになり、ガイドローラによりキャリアリング5を支持する従来の接触支持方式に比較して、研削サイクル中にキャリアリング5からキャリア4を介してワークWに加わる外力が少なくなり、ワークWの回転精度(主に外周振れ)を改善できる。従って、ワークWの研削精度を向上させることができる。
【0042】
しかも、各静圧キャリアガイド6a,6bにより静圧流体を介して非接触でキャリアリング5を回転自在に静圧支持するため、接触支持方式の場合のような部材相互の接触による摩耗等の問題がなく、半永久的に良好な回転精度を維持することができる。このため摩耗等によるワークWの研削精度の悪化、保全工数の増加、消耗品の費用の発生等を防止することができる。
【0043】
またキャリアリング5の外周に略四等配に配置された各静圧キャリアガイド6a,6bの内、キャリアリング5の直径方向の両側に配置された静圧キャリアガイド6a,6bは、図3に示すように、静圧流体の圧力及び流量が十分大である同一回路27に接続されているため、静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との間の隙間が変動したときには、同一回路27内の圧力を揃えようとする力が働き、キャリアリング5が定位置を保とうとするため、安定した回転精度を得ることができる。
【0044】
即ち、何等かの原因により対向する一対の静圧キャリアガイド6a,6bの圧力バランスが崩れて、例えば下側の静圧キャリアガイド6bとキャリアリング5との隙間が狭くなった場合には、その静圧キャリアガイド6bの静圧ポケット23内の圧力が上昇する。一方、上側の静圧キャリアガイド6aとキャリアリング5との隙間が広くなり、その静圧キャリアガイド6aの静圧ポケット23内の圧力が低下する。このため両静圧キャリアガイド6a,6bの静圧ポケット23の圧力差により、キャリアリング5は両静圧キャリアガイド6a,6bの間の隙間が均等になるように移動して定位置を保つことになる。
【0045】
キャリアリング5の外周面12はキャリア4の回転中心に対して略同心状の円筒面であって、静圧流体の圧力が逃げる溝等がない形状であり、このキャリアリング5の外周面12に静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22が微少隙間をおいて近接しているため、静圧流体によりキャリアリング5を安定性よく支持することができ、キャリアリング5の安定した回転精度を得ることができる。しかも各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22には、キャリアリング5の回転方向に2個の静圧ポケット23があり、その中間の逃がし溝24で二分割した構成となっているので、各静圧キャリアガイド6a,6b単体でキャリアリング5の回転方向の両側における静圧流体の圧力をバランスさせることができる。
【0046】
キャリア手段7の着脱時にはシリンダ36により支持アーム34を図3に二点鎖線で示すように枢軸33廻りに図3のa矢示方向に揺動させて、上側の2個の静圧キャリアガイド6aをキャリアリング5の直径方向に離間させる。またキャリアリング5を所定位置に入れた後は,シリンダ36により支持アーム34を枢軸33廻りに反a矢示方向へと回動させる。そして、上側の静圧キャリアガイド6aの静圧面22とキャリアリング5の外周面12とが所定隙間になると、ストッパー49が当接部48に当接して支持アーム34の回動を規制する。
【0047】
このようにシリンダ36により支持アーム34を駆動して上側の静圧キャリアガイド6aを移動させることにより、キャリアリング5の直径方向の両側に配置された一対の静圧キャリアガイド6a,6b間の間隔が変化するため、キャリアリング5の出し入れを容易に行うことができ、またその自動化を容易に図ることができる。
【0048】
またストッパー手段47のねじ式のストッパー49が当接部48に当接する位置を調整することにより、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を任意に調整することができる。即ち、ストッパー49を調整することにより、ストッパー47が当接部48に当接するときの支持アーム34の位置が変化し、キャリアリング5の直径方向の両側の静圧キャリアガイド6aの静圧面22間の間隔が変化する。そして、キャリアリング5の直径方向の両側の静圧キャリアガイド6a,6bからキャリアリング5の外周へと静圧流体を供給したときに、両静圧キャリアガイド6a,6b間の略中央にキャリアリング5が位置し、キャリアリング5の外周面12と両側の静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22との間隔が略一致する。従って、キャリアリング5の直径方向の両側の静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22間の間隔に応じて、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との間隔を調整することができる。
【0049】
各静圧キャリアガイド6a,6bは固定状態とフローティング状態とに変更可能であり、必要に応じて段取りを変更することにより、適宜使い分けることができる。例えば、キャリアリング5の真円度が高くキャリアリング5を確実に静圧支持できる場合には、各静圧キャリアガイド6a,6bを固定状態とし、またキャリアリング5の真円度が低い場合には各静圧キャリアガイド6a,6bをフローティング状態とすることができる。また下側の2個の静圧キャリアガイド6bを固定し、上側の2個の静圧キャリアガイド6aをフローティング状態とすることもできる。
【0050】
図3、図6は各静圧キャリアガイド6a,6bを固定した状態を示す。上側の静圧キャリアガイド6aを固定する場合には、図3、図5、図6、図10に示すように静圧キャリアガイド6aの固定ピン39を固定ブラケット38のピン孔38bに挿入し、また固定ブラケット38を固定ボルト40で支持アーム34に枢着する。この状態で固定ボルト40廻りに長孔38aの範囲内で固定ブラケット38を回動させると、静圧キャリアガイド6aがフローティング軸15a廻りに回動して、フローティング軸15aの両側で静圧キャリアガイド6aの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間が変化するので、フローティング軸15aの両側でその隙間が略均等になった位置で調整ボルト41を締め付けて固定すれば良い。
【0051】
なお、静圧キャリアガイド6aの固定に際しての調整代は通常ピン孔21の規制ピン42との隙間の範囲内であるため、規制ピン42はピン孔21に挿通したままで良い。また静圧キャリアガイド6aの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間の大小は、ストッパー手段47により適宜調整する。
【0052】
下側の静圧キャリアガイド6bを固定する場合には、図5、図10に示すように、静圧キャリアガイド6bと固定ブラケット50との固定孔53に係合ピン55を挿入し、フローティング軸15bの両側で静圧キャリアガイド6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間が略均等になるように、固定ブラケット50の角度をフローティング軸15b廻りに廻して調整した後、締結ボルト57を締め付けて固定ブラケット50をフローティング軸15bに固定する。これによって下側の静圧キャリアガイド6bが固定状態となる。
【0053】
このように各静圧キャリアガイド6a,6bを固定した場合にも、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22に2個の静圧ポケット23があり、この各静圧ポケット23からキャリアリング5の外周面12に静圧流体が供給されるので、静圧流体を介してキャリアリング5を静圧支持することができる。また各静圧キャリアガイド6a,6bが固定状態であるため、キャリアリング5のフラツキを防止してキャリアリング5を確実に静圧支持することができる。
【0054】
上側の静圧キャリアガイド6aをフローティング状態にする場合には、固定ブラケット38を取り外せば、静圧キャリアガイド6aの固定ピン39が固定ブラケット38のピン孔38bから外れるので、固定手段16aによる静圧キャリアガイド6aの固定を解除できる。これによって規制ピン42とピン孔21との隙間の範囲内で静圧キャリアガイド6aをフローティング軸15a廻りにフローティングさせることができる。
【0055】
また下側の静圧キャリアガイド6bをフローティング状態にする場合には、図11に示すように固定ブラケット50を反転させて、規制手段17bの範囲内で静圧キャリアガイド6bをフローティング可能に装着する。先ず最初に静圧キャリアガイド6bをフローティング軸15bから取り外して、固定ブラケット50を表裏反転させてフローティング軸15bに装着する。次に静圧キャリアガイド6bをフローティング軸15bに套嵌して、その係合ピン55を固定ブラケット50のフローティング凹部54に係合させる。
【0056】
そして、フローティング軸15bの両側で静圧キャリアガイド6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間が略均等になるように、固定ブラケット50をフローティング軸15b廻りに調整して締結ボルト57により固定する。これによって係合ピン55とフローティング凹部54との隙間の範囲内で静圧キャリアガイド6bをフローティング軸15b廻りにフローティングさせることができる。
【0057】
このように各静圧キャリアガイド6a,6bをフローティング可能にした後、各静圧キャリアガイド6a,6bの各静圧ポケット23からキャリアリング5の外周面12に静圧流体を供給すると、その静圧流体を介してキャリアリング5を静圧支持することができる。またフローティング軸15a,15bの両側で静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間に違いが生じたときには、フローティング軸15a,15bの両側の隙間が略一致するように静圧キャリアガイド6a,6bがフローティング軸15a,15b廻りにフローティングする。このため静圧キャリアガイド6a,6bとキャリアリング5との接触を未然に防止することができる。更に静圧キャリアガイド6a,6bのフローティング範囲を規制する規制手段17a,17bがあるため、静圧キャリアガイド6a,6bのフローティング軸15a,15b廻りの不安定な揺動等を防止できる。
【0058】
各静圧キャリアガイド6a,6bの全てを固定状態又はフローティング状態にして使用する他、例えば下側の2個の静圧キャリアガイド6bを固定し、支持アーム34に装着された上側の2個の静圧キャリアガイド6aをフローティング軸15a廻りにフローティング可能にして使用することもできる。この場合には、キャリアリング5の着脱作業を容易にしながらも、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を小さくして、キャリアリング5を安定的に静圧支持できる。
【0059】
即ち、上側の静圧キャリアガイド6aを枢軸33廻りに回動する支持アーム34に装着する場合、この静圧キャリアガイド6aを支持アーム34に固定すれば、誤差の集積等によって静圧キャリアガイド6aがキャリアリング5と接触する恐れがあり、静圧キャリアガイド6a,6bとキャリアリング5との隙間を小さくし難くなる。しかし、支持アーム34に対して静圧キャリアガイド6aをフローティング可能に装着することにより、各静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を小さくしながらも、上側の静圧キャリアガイド6aのフローティングによってキャリアリング5との接触を防止できる。
【0060】
因みにセラミック製のキャリアリング5を用いて、本発明の非接触支持方式と従来の支持ローラによる接触支持方式とについて検証したところ、本発明の非接触支持方式では従来の接触支持方式に比較してキャリアリング5の外周振れを1/5程度に抑えることができた。図12はキャリアリング5の真円度の測定結果を示す。図13は従来の接触支持方式の場合、図14は本発明の非接触支持方式の場合の夫々のキャリアリング5の外周振れの測定結果を示す。
【0061】
キャリアリング5には図12に示すように外周真円度が約5μm(実測値4.5μm)のセラミック製を用いて、従来の接触支持方式、本発明の非接触支持方式の夫々におけるキャリアリング5の外周振れを測定した。従来の接触支持方式の場合には、外周振れの測定値は図13に示すように約15μmであり、これからキャリアリング5の外周真円度(約5μm)を差し引くと、外周振れは約10μmとなる。これに対して非接触支持方式の場合の振れの測定値は図14に示すように約7μmであり、これからキャリアリング5の外周真円度(約5μm)を差し引くと、外周振れは約2μmとなる。
【0062】
してみると本発明の非接触支持方式では、従来の接触支持方式に比較してキャリアリング5の外周振れを1/5程度に抑えることができる。このためキャリアリング5の回転精度はキャリア4を介してその内周に接しているワークWに直接伝わり、研削サイクル中に一対の研削砥石3で挟み込まれて固定されたワークWの研削点に作用して、ワークWの研削に直ちに影響を与えるることになるが、本発明の非接触支持方式を採用することにより、キャリアリング5の外周振れの影響を小さくでき、ワークWの安定した研削精度を得ることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば実施形態では、各静圧キャリアガイド6a,6bを固定状態とフローティング状態とに変更可能にしているが、全ての静圧キャリアガイド6a,6bを固定式又はフローティング式にしても良いし、下側の複数個の静圧キャリアガイド6bを固定式とし、上側の複数個の静圧キャリアガイド6aをフローティング式としても良い。
【0064】
静圧キャリアガイド6a,6bはキャリアリング5の外周に略等配に配置することが望ましいが、複数個の静圧キャリアガイド6a,6bによってキャリアリング5を静圧支持できる限りは、略等配に配置する必要はない。また静圧キャリアガイド6a,6bを略等配に配置する場合、静圧キャリアガイド6a,6bは3個以上あれば良い。そして、静圧キャリアガイド6a,6bが3個の場合には、例えば下側に2個の静圧キャリアガイド6bを配置し、上側の1個の静圧キャリアガイド6aをキャリアリング5の直径方向に移動可能に設けても良い。
【0065】
静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22にフローティング軸15a,15bに対して回転方向に略対称に静圧ポケット23を設ける場合、実施形態に例示するように回転方向に二分割して配置しても良いし、回転方向に長い1個の静圧ポケット23を連続状に設けても良い。支持アーム34を駆動する駆動手段19はシリンダ36の他、モータにより構成し、そのモータによりねじ軸又はギヤーを介して支持アーム34を駆動するようにしても良い。
【0066】
静圧キャリアガイド6a,6bをキャリアリング5に対して遠近方向に移動させる場合、可動台8にキャリアリング5の略直径方向の案内機構を設け、その案内機構に沿って移動自在に静圧キャリアガイド6a,6bを設けても良い。また実施形態では、支持アーム34を所定位置に停止させるストッパー手段47と、静圧キャリアガイド6a,6bの静圧面22とキャリアリング5の外周面12との隙間を調整する隙間調整手段とを兼用するようにしているが、この両者は別々に設けても良い。
【0067】
全ての静圧キャリアガイド6a,6bを同一回路27を経て静圧流体の供給源29に接続しても良いし、各静圧キャリアガイド6a,6bを個別に独立する圧力制御回路を介して供給源29に接続しても良い。更に実施形態では、横型平面研削盤について例示したが、縦型でも同様に実施することが可能である。またワークWは薄板状のものであれば、何であっても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 静圧パット
3 研削砥石
4 キャリア
5 キャリアリング
6a,6b 静圧キャリアガイド
12 外周面
15a,15b フローティング軸
16a,16b 固定手段
17a,17b 規制手段
19 駆動手段
21 ピン孔
22 静圧面
29 供給源
33 枢軸
34 支持アーム
47 ストッパー手段(隙間調整手段)
W ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアに装着された薄板状ワークを一対の静圧パットにより非接触で静圧支持し、前記キャリアを介して前記ワークを回転させながら、一対の研削砥石により前記ワークの両面を研削するに際し、前記キャリアの外周のキャリアリングを周方向に複数個の静圧キャリアガイドにより非接触で静圧支持することを特徴とする薄板状ワークの研削方法。
【請求項2】
キャリアに装着された薄板状ワークを一対の静圧パットにより非接触で静圧支持し、前記キャリアを介して前記ワークを回転させながら、一対の研削砥石により前記ワークの両面を研削する両頭平面研削盤において、前記キャリアの外周のキャリアリングを非接触で静圧支持する静圧キャリアガイドを周方向に複数個備えたことを特徴とする両頭平面研削盤。
【請求項3】
前記キャリアリングは円筒面状の外周面を有し、該外周面に近接して前記各静圧キャリアガイドを略等配に配置したことを特徴とする請求項2に記載の両頭平面研削盤。
【請求項4】
前記静圧キャリアガイドは固定であることを特徴とする請求項2又は3に記載の両頭平面研削盤。
【請求項5】
前記静圧キャリアガイドはフローティング可能であることを特徴とする請求項2又は3に記載の両頭平面研削盤。
【請求項6】
前記キャリアリングの回転中心と略平行なフローティング軸により前記各静圧キャリアガイドを枢支し、該各静圧キャリアガイドに、前記キャリアリングの外周面との間に静圧流体を供給する静圧ポケットを前記フローティング軸に対して前記キャリアリングの回転方向に略対称に備えたことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の両頭平面研削盤。
【請求項7】
前記キャリアリングの回転中心と略平行な枢軸により揺動自在に枢支され且つ少なくとも一部の前記静圧キャリアリングを前記キャリアリングに対して遠近方向に移動可能に支持する支持アームと、該支持アームを前記枢軸廻りに回動させる駆動手段と、前記支持アームを所定位置に停止させるストッパー手段とを備えたことを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の両頭平面研削盤。
【請求項8】
前記静圧キャリアガイドは固定状態と、前記キャリアリングの回転中心と略平行なフローティング軸廻りにフローティングするフローティング状態とに変更可能であることを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載の両頭平面研削盤。
【請求項9】
前記キャリアリングの外周に略等配に配置された3個以上の前記静圧キャリアガイドを備え、該3個以上の静圧キャリアガイドの内、少なくとも1個の前記キャリアガイドの位置を前記キャリアリングの略直径方向に調整して前記3個以上の静圧キャリアガイドを静圧面と前記キャリアリングの外周面との隙間を調整する隙間調整手段を備えたことを特徴とする請求項2〜8の何れかに記載の両頭平面研削盤。
【請求項1】
キャリアに装着された薄板状ワークを一対の静圧パットにより非接触で静圧支持し、前記キャリアを介して前記ワークを回転させながら、一対の研削砥石により前記ワークの両面を研削するに際し、前記キャリアの外周のキャリアリングを周方向に複数個の静圧キャリアガイドにより非接触で静圧支持することを特徴とする薄板状ワークの研削方法。
【請求項2】
キャリアに装着された薄板状ワークを一対の静圧パットにより非接触で静圧支持し、前記キャリアを介して前記ワークを回転させながら、一対の研削砥石により前記ワークの両面を研削する両頭平面研削盤において、前記キャリアの外周のキャリアリングを非接触で静圧支持する静圧キャリアガイドを周方向に複数個備えたことを特徴とする両頭平面研削盤。
【請求項3】
前記キャリアリングは円筒面状の外周面を有し、該外周面に近接して前記各静圧キャリアガイドを略等配に配置したことを特徴とする請求項2に記載の両頭平面研削盤。
【請求項4】
前記静圧キャリアガイドは固定であることを特徴とする請求項2又は3に記載の両頭平面研削盤。
【請求項5】
前記静圧キャリアガイドはフローティング可能であることを特徴とする請求項2又は3に記載の両頭平面研削盤。
【請求項6】
前記キャリアリングの回転中心と略平行なフローティング軸により前記各静圧キャリアガイドを枢支し、該各静圧キャリアガイドに、前記キャリアリングの外周面との間に静圧流体を供給する静圧ポケットを前記フローティング軸に対して前記キャリアリングの回転方向に略対称に備えたことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の両頭平面研削盤。
【請求項7】
前記キャリアリングの回転中心と略平行な枢軸により揺動自在に枢支され且つ少なくとも一部の前記静圧キャリアリングを前記キャリアリングに対して遠近方向に移動可能に支持する支持アームと、該支持アームを前記枢軸廻りに回動させる駆動手段と、前記支持アームを所定位置に停止させるストッパー手段とを備えたことを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の両頭平面研削盤。
【請求項8】
前記静圧キャリアガイドは固定状態と、前記キャリアリングの回転中心と略平行なフローティング軸廻りにフローティングするフローティング状態とに変更可能であることを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載の両頭平面研削盤。
【請求項9】
前記キャリアリングの外周に略等配に配置された3個以上の前記静圧キャリアガイドを備え、該3個以上の静圧キャリアガイドの内、少なくとも1個の前記キャリアガイドの位置を前記キャリアリングの略直径方向に調整して前記3個以上の静圧キャリアガイドを静圧面と前記キャリアリングの外周面との隙間を調整する隙間調整手段を備えたことを特徴とする請求項2〜8の何れかに記載の両頭平面研削盤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−18065(P2013−18065A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152022(P2011−152022)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000167222)光洋機械工業株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000167222)光洋機械工業株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
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