説明

薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムおよびその製法

【課題】コンデンサ部品、部品内蔵プリント配線板に有用な、安定した高品質の誘電率薄膜が形成された薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムの提供。
【解決手段】ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸二無水物を出発材料とする線膨張係数が1〜12ppm/℃のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムに、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、無電解メッキ法、電気メッキ法などの薄膜形成技術により、下地金属、導電化金属、無機誘電体、導電化金属の順で積層し主題の積層フィルムを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンデンサ素子あるいは、部品内蔵基板等においてコンデンサ層を形成する目的で用いられる薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの高速化、高集積化に伴い、ノイズ対策が重要になってきている。特に電源系ノイズを低減するためには電源と接地間にコンデンサを配置する必要がある。従来、一般的にはチップコンデンサを半導体装置の外部に配置しているが、半導体チップとの間に距離があることから、その分の配線がインダクタ成分となり、十分なノイズの低減が図ることができなかった。また、近年の回路の高密度化によりかかるチップコンデンサなどの外付け部品を搭載することも難しくなってきている。
【0003】
かかる問題を、プリント配線板内にコンデンサ素子を作り込んだ部品内蔵基板において解決しようと、いう試みが活発になされている。プリント配線板内にコンデンサ素子を作り込む手法としては、強誘電体粉末を高濃度に配合したプリプレグ層を用いて積層を行い、強誘電体粉末が配合された層を挟む形で内装電極を配してコンデンサを実現する方法、誘電体薄膜を形成したフィルムを積層し同様に内装電極で挟んでコンデンサを実現する方法などが知られている。
前者においては、強誘電体を微粉末にすると、強誘電性が弱まり期待した高誘電率を得られないことや、また高濃度に配合すると、プリプレグ層の機械的強度が低下し、ハンドリング性、ならびに基板加工した後の耐久性に問題が出ることが指摘されており、高容量密度の高誘電体層を得られるには至っていない。
後者においてもまた、有機基板上に誘電体薄膜層を形成する必要上、低温プロセスにならざるを得ず、高誘電体層の結晶化が不十分であり期待した高誘電率が得らず、容量密度の低い誘電層しか得られず、また基板加工した後の耐久性も必ずしも高くない問題が指摘されている。
【0004】
後者の例として、ポリイミドフィルムなどの有機高分子又は金属箔からなる基板上に形成された無機高誘電体膜および金属電極膜とを含み、前記無機高誘電体膜が前記金属電極膜の間に配置されたフレキシブル薄膜コンデンサであって、前記無機高誘電体膜および少なくとも1つの前記金属電極膜が、前記基板上の接着膜と接触して形成され、前記接着膜により前記基板と一体化していることを特徴とするフレキシブル薄膜コンデンサ(特許文献1参照)、ポリイミドなどの基板上に下側電極層、高誘電体層、上側電極層を順次積層して形成される薄膜コンデンサにおいて、前記基板と前記下側電極層との間に前記下側電極層を構成する金属の酸化物から成る密着層が介在されることを特徴とする薄膜コンデンサ(特許文献2参照)、誘電体として5〜500μmのポリイミドフィルムを用い、その誘電体の表面に銅スパッタリング法などで銅箔を設けて電極を形成し、この銅箔電極は外部端子として用い、銅箔電極の一部を露出させ、ポリイミドなどで電極保護カバーを形成したフレキシブルフィルムコンデンサ(特許文献3参照)などが挙げられる。
【特許文献1】特開2000−357631号公報
【特許文献2】特開2001−044073号公報
【特許文献3】特開平09−017691号公報
【0005】
これらの基板として使用される従来のポリイミドフィルムは、耐熱性に優れ、フレキシブルな性状を有し従来基板に較べてより「軽小短薄」なコンデンサを得るに相応しいものであるが、薄い電極層、高誘電体層などを基板に積層形成するためのスパッタリングや蒸着などの高温に曝される場合また電子機器として組み込まれる際の高温暴露また電子機器の使用時における高温暴露などに対して、融点や強度などの特性で耐性は有しているが、熱膨張、熱収縮に対する耐性が、基板の熱膨張収縮性と金属などの電極層形成材や金属酸化物などの高誘電体層形成材の熱膨張収縮性との間に離反があり、結果的に形成された電極層や高誘電体層との接着不足による剥離、そりや捻じれの発生などの課題を抱えていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべく達成されたものであり、高い誘電率を有し、かつ耐久性の高い誘電体薄膜を積層した薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムおよびその製法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、基板上に第1の電極層が形成され、該第1の電極層上に高誘電体層が形成され、この高誘電体層上に第2の電極層が形成されてなる構成を少なくとも有する誘電体積層フィルムにおいて、該基板が、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸二無水物を出発材料とする線膨張係数が1〜12(ppm/℃)のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムであることを特徴とする薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムであり、またポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの100℃から350℃における微分線膨張係数(dCTE)が(−0.20)(ppm/℃2)以下の値を有しないポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである前記の薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムであり、また第1の電極層と高誘電体層の間、および又は第2の電極層と高誘電体層の間にバリア層が形成されている前記の薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムであり、さらにまた基板の高誘電体層が形成されてなる側とは反対側の面に接着剤層が形成されてなる前記の薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムである。
また、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを出発材料とする線膨張係数が1〜12(ppm/℃)のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである基板上に、第1の電極層が形成され、該第1の電極層上に高誘電体層が形成され、この高誘電体層上に第2の電極層が形成されてなる誘電体積層フィルム基板の製法において、少なくとも高誘電体層を形成するに際し250℃〜500℃の温度で形成することを特徴とする薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムの製法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の特定物性のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを基板に使用した薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムは、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム基板上に薄い電極層、高誘電体層などを積層形成するためのスパッタリングや蒸着やイオンプレーティングなどの高温に曝される場合また電子機器として組み込まれる際の高温暴露また電子機器の使用時における高温暴露などに対して、融点や強度などでも耐性を有し、かつ熱膨張、熱収縮に対する耐性が、基板の熱膨張収縮性と金属などの電極層形成材や金属酸化物などの高誘電体層形成材の熱膨張収縮性との間に離反もなく、結果的に形成された電極層や高誘電体層との接着において剥離がなく、そりや捻じれの発生などが生じない、さらに容量密度の高い薄膜の高誘電体層が形成し易い、優れた薄膜コンデンサ用誘電体となり極めて有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において基板となるフィルムは、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、例えば主としてベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドからなり、かつ、特定の物性(後述)をもつフィルムである。
上述の「反応」は、まず、溶媒中でベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
本発明で用いられるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【0014】
【化5】

【0015】
【化6】

【0016】
【化7】

【0017】
【化8】

【0018】
【化9】

【0019】
【化10】

【0020】
【化11】

【0021】
【化12】

【0022】
【化13】

【0023】
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを全芳香族ジアミンに対して75モル%以上好ましくは80モル%以上使用することが好ましい。
【0024】
本発明において、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを主として使用するものであるが、全芳香族ジアミンの25モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してもよい。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
【0025】
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
【0026】
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
【0027】
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド。
【0028】
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
【0029】
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0030】
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は、例えば芳香族テトラカルボン酸無水物である。芳香族テトラカルボン酸無水物としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0031】
【化14】

【0032】
【化15】

【0033】
【化16】

【0034】
【化17】

【0035】
【化18】

【0036】
【化19】

これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の25モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
【0038】
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0039】
ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンと、芳香族テトラカルボン酸無水物とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
【0040】
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに5.0dl/g以上が好ましい。
【0041】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム(以下単にポリイミドフィルムともいう)を形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
【0042】
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。また、適度な剛性と高い平滑性を有する高分子フィルムを利用する方法も好ましい態様である。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
得られたグリーンフィルムをイミド化することで、ポリイミドフィルムが得られる。
その具体的なイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができるが、ポリイミドフィルム表裏面の表面面配向度の差が小さいポリイミドフィルムを得るためには、熱閉環法が好ましい。
【0043】
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
【0044】
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
【0045】
熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート、フィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
【0046】
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの厚さは、特に限定されないが、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
【0047】
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムには、滑剤をポリアミド酸中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
【0048】
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸又は2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
【0049】
本発明におけるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの線膨張係数は1〜12ppm
/℃が必須であり、1〜9ppm/℃の範囲が好ましく、さらに2〜7ppm/℃の範囲が好ましい。
ポリイミドベンゾオキサゾールのフィルムの線膨張係数は、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンの選定とその使用比率、芳香族テトラカルボン酸類の選定とその使用量およびポリアミド酸の還元粘度、さらにグリーンフィルムの成形方法、脱水縮合(イミド化)方法によって制御され、これらの選定によって所定範囲の線膨張係数を有するポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得ることができる。
また本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、100℃から350℃における微分線膨張係数(dCTE)が(−0.20)(ppm/℃2)以下の値を有しないポリイミドベンゾオキサゾールフィルムであることが好ましい。すなわち、より好ましいポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、100〜350℃における線膨張係数の平均値が1〜12ppm/℃の範囲にあり、かつ100〜350℃において10℃ごとに求めた線膨張係数の各微分係数が全て−0.20ppm/℃2を超える値を有するポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである。100〜350℃における線膨張係数の平均値が1〜12ppm/℃の範囲にあることが必須であり、この範囲に100〜350℃における線膨張係数の平均値が存在することで該ポリイミドフィルムに積層される銅などの線膨張係数と同程度の値となり、温度変化に対する膨張・収縮挙動が極端に差異を有せず、結果として積層による金属の剥がれや皺などが生じにくくなるものと考えられる。これによって単に100〜350℃における線膨張係数の平均値が1〜12ppm/℃の範囲にあることでは得られなかった金属薄膜積層における密着性が得られ、金属薄膜層の剥がれや皺の発生が極端に抑制し得るものとなる。
【0050】
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、従来のポリイミドフィルムに比べて、高い剛性、強度、耐熱性を有し、かつ銅などの金属が有する線膨張係数の平均値に近い線膨張係数の平均値を有しており、かつ各温度に対する各線膨張係数値のプロットにおいて、100〜350℃における線膨張係数の微分係数が全て−0.20ppm/℃2を超える値であって大きな屈曲が無く金属との積層において高温〜低温までの温度変化に対して密着性が損なわれないので、電極層や高誘電体層の形成において、高温に曝される場合への使用に好適である。特にフレキシブルな薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムの基板として有用である。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、100〜350℃における線膨張係数の微分係数が、基本的には0から僅かにプラス側に存在するすなわち漸増プロットを描くものであるが、100〜350℃における線膨張係数の微分係数が僅かなマイナス値を有する場合もある。本発明におけるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、100〜350℃における線膨張係数の微分係数が−0.20ppm/℃2以下の値を有しないものであり、より好ましくは−0.15ppm/℃2以下の値を有しないものである。
【0051】
本発明における第一の電極層は、導体金属、必要に応じて機材との間に挿入される下地金属からなる。導体金属として好ましく用いられる金属は銅、金、白金、パラジウム、ロジウム、銀、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、鉛、錫、ビスマスである。本発明ではこれら金属を単体で、又は二種以上からなる合金にて用いることができる。本発明の電極層は必ずしも単層である必要はなく、複数の層構造を有しても良い。
本発明における、下地金属としては、ニッケル、クロム、コバルト、リン、ホウ素銅、モリブデン、バナジウム、鉄。チタンからなる一種又は二種以上の合金を用いることが好ましい。かかる下地金属層は導体金属と機材との接着性を向上させる働きを有する。下地金属として好ましいものはニッケル−クロム合金である。また下地金属の厚みは100〜5000オングストロームが好適である。
【0052】
かかる下地金属、ならびに導体金属は、スパッタリング、蒸着、溶射などの乾式の真空プロセス、ないしは無電解メッキ、電気メッキなどの湿式プロセス、あるいはこの両者を組み合わせて形成することができる。本発明においては、下地層を乾式のスパッタリングで形成し、必要に応じてより導電率の良い金属をさらにスパッタリングないし蒸着にて形成し、さらに必要であれば湿式の無電解メッキ、電気メッキにて導体金属を所定の厚さにまで形成する方法を好ましく用いることができる。
【0053】
本発明における高誘電体(薄膜)層は、比誘電率が5以上、好ましくは9以上の固体であれば特に制限は無い。しかしながらより高い静電容量密度を得るためには以下に述べる強誘電材料を使用することが好ましい。
強誘電材料とは自発分極を有する物質をいう。より具体的には、ロッシェル塩、酒石酸リチウムアンモニウム、酒石酸リチウムタリウム等のロッシェル塩系強誘電体、リン酸二水素カリウム、ヒ酸二水素カリウム、リン酸二水素ルビジウム、ヒ酸二水素ルビジウム、ヒ酸二水素セシウム、リン酸二水素セシウム、等のリン酸(ヒ酸)二水素アルカリ塩系強誘電体、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸ナトリウム、タンタル酸カリウム、ガリウム酸ランタン等のペロブスカイト型強誘電体、・三酸化タングステン等の変形ペロブスカイト型強誘電体、ニオブ酸カドミウム、ピロニオブ酸鉛等のピロクロライト型強誘電体、チタン酸カドミウム、チタン酸コバルト、チタン酸鉄、ニオブ酸リチウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸マンガン、チタン酸ニッケル、チタン酸リチウム等のイルメナイト型強誘電体、グアニジン・アルミニウム・サルフェ−ト六水和物、グアニジン・ガリウム・サルフェ−ト、グアニジン・クロム・サルフェ−ト、グアニジン・ヴァナジウム・サルフェ−ト、グアニジン・クロム・セレン酸塩、グアニジン・アルミニウム・セレン酸塩、グアニジン・ガリウム・セレン酸塩等のグアニジン系強誘電体、
【0054】
トリグリシン・サルフェ−ト、トリグリシン・フルオベリレ−ト、トリグリシン・セレン酸塩、ジグリシン硝酸塩、ジグリシン塩化マンガン二水和物、グリシン硝酸銀等のグリシン系強誘電体、Pb2MgWO3、Pb3Fe2WO6、Pb2FeTaO6、系K3Li2Nb515、Ba2NaNb515、Pb2KNb515系、Pb5Ge311、Gd2(MoO43系、メチルアンモニウム・アルミニウムサルフェ−ト・十二水和物、尿素クロムサルフェ−ト、硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム・カドミウム、リチウム・ヒドラジン・サルフェ−ト、硫酸水素アンモニウム、リチウム・ハイドロオキサイド・セレン酸、モノクロム酢酸アンモニウム、二カルシウム・ストロンチウム・プロピオン酸、尿素、フッ化ベリリウム酸アンモニウム、等々のその他の化合物系、さらにペロブスカイト系、ピロクロライト系、イルメナイト系等の無機系強誘電体の混合体、固溶体からなるセラミック系強誘電体、具体的には、PZT系{チタン酸鉛/ジルコン酸鉛固溶体:Pb(Zr,Ti)O3}、PLT系{チタン酸鉛/チタン酸ランタン固溶体:(Pb,La)TiO3}、PLZT系{(Pb,La)(Zr,Ti)O3}、ニオブ酸鉛/ニオブ酸バリウム固溶体系、ニオブ酸ストロンチウム/ニオブ酸バリウム固溶体系、PTS系{Pb(Ti,Sn)O3}、PST系{(Pb,Sr)TiO3}、BPT系{(Ba,Pb)TiO3}、BST系{(Ba,Sr)TiO3}、BMT系{(Ba,Mg)TiO3}、BCT系{(Ba,Ca)TiO3}、ポリビニリデンフルオライド、ポリ(ビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン)共重合体、ポリ(ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン)共重合体等のPVDF系強誘電体などを示すことができる。
【0055】
かかる高誘電体層の厚さは0.3〜30μmであり、好ましくは0.5〜10ミクロンである。高誘電体層の厚みがこれより薄い場合には、高誘電体層に欠陥が生じる可能性が高くなり、層間短絡が起こりやすくなる。また高誘電体層の厚みがこの範囲を超えると静電容量密度が低下してしまう。
【0056】
本発明ではかかる高誘電体層と第一の電極層、ないし高誘電体層と第2の電極層との間にバリア層を設けることができる。ここのバリア層とは導体又は絶縁体の薄膜である。
本発明のバリア層は、無機素材を用いることが好ましく、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン、モリブデン、バナジウム、シリコン、ゲルマニウムおよび又はこれらの酸化物から選ばれる一種又は二種以上の合金、複合酸化膜、金属間化合物等を用いることができる。
かかるバリア層は、スパッタリング、蒸着、CVD等の乾式真空製膜プロセスを用いて作製することができる。
【0057】
本発明における第2電極層はかかる高誘電体層の上に、必要に応じてバリア層を挟んだ形にて、形成される。第2電極層の要件は第1電極層と同様である。
また、本発明の誘電体積層フィルムは、その高誘電体層が形成されていない側の面に接着剤層を設けることができる。かかる接着剤層は、誘電体積層フィルムを、多層積層し、キャパ下内蔵基板として加工する際に有用である
本発明ではエポキシ系、ポリイミド系などの無溶剤型接着剤を好適に使用することができる。特に熱可塑性ポリイミドを接着剤層に用いることは好ましい態様である。
【0058】
以下、本発明の誘電体積層フィルムの製法について説明する。
本発明では、電極層、高誘電体層、バリア層、下地金属層などの形成に必要なプロセスは、特に限定される物ではなく、スパッタリング法、蒸着法、溶射法、CVD法、イオンプレーティング法等の乾式製膜プロセス、無電解メッキ法、電機メッキ法などの湿式プロセスのいずれを用いてもかまわない。
本発明においては該高誘電体層を形成する際に、250℃以上500℃未満の温度での熱処理工程を経ることが好ましい。かかる熱処理は、高誘電体層を形成したる後に所定の温度に加熱しても良いし、あるいは、所定の温度に加熱した基材上に高誘電体層を形成しても良い。かかる熱処理は、特に誘電体の結晶成長を促進し、より高く、安定した誘電率を発言させるのに有用であり、かつ、高誘電体層の欠陥を抑制ないしは欠陥を修復する働きを有するものである。処理温度がこの範囲に満たないと誘電体薄膜の結晶成長が不十分で十分な比誘電率を得ることができない。
また反面、熱処理温度がこの範囲を超えると基材フィルムの劣化が生じ全体の機械強度が低下する。なおさらに、本発明の基材フィルムのみが、かかる温度範囲いきにおいて転移域を持たないために誘電体薄膜層に無用なストレスを加えず、結晶成長を十分に促進することができるのである。
【実施例】
【0059】
以下実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される物ではない。なお、実施例中のフィルムなどの特性その他は以下の方法により測定した。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.フィルム、銅箔のフィルム厚さ
フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(登録商標)1245D)を用いて測定した。
3.フィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(登録商標)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を求めた。
【0060】
4.フィルムの線膨張係数(CTE)とその微分係数(dCTE)
下記条件で伸縮率を測定し、100〜350℃において10℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。また100〜350℃において10℃ごとに線膨張係数の各微分係数を求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
【0061】
5.フィルムの融点、ガラス転位温度
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
【0062】
6.フィルムの熱分解温度
熱分解温度は、充分に乾燥した試料を下記条件でTGA測定(熱天秤測定)して、5%質量減をもって規定した。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
【0063】
7.容量密度
誘電体積層フィルムの第2電極層をエッチングすることにより直径30mmの円形パターンを作製した。また誘電堆積層フィルムの裏側より第一導体層mでの間にレーザーにてヴィアホールを形成し、銀系導電ペーストにより導通を取って第一電極に接触するリード線を接続した第2電極と第一電極との間の1Mhzでの静電容量を、ケミカルインピーダンスメータ3532−80(日置電機株式会社製)にて測定し、単位面積あたりの容量密度に換算した。
8.耐電圧
前項により得られたパターンを用い、第1電極と第2電極間に直流電圧を印可し、ブレイクダウンした時点での電圧値と高誘電体層の厚みから耐電圧値を求めた。
【0064】
[参考例1]
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスター(登録商標)KE−130(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.38μm、標準偏差0.032μm、CV値8.4%、であり、球形度0.98であった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)を入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は5.5dl/gであった。
【0065】
[参考例2]
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミン(PDA)を入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。
【0066】
[参考例3]
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテル(DADPE)を入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7dl/gであった。
【0067】
[製造例]
参考例により得られたポリアミド酸溶液Aを送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、175μm)、110℃にて30分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ21.3μmのポリアミド酸フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、連続式の熱処理炉に通し、第1段が200℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として480℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する、幅600mmのポリイミドフィルム(I)を得、両端部(耳部)をスリットし、中央部のみの幅524mm、長さ約200mのフィルムを製品とした。得られたポリイミドフィルムの特性を表1に示す。
以下同様にポリアミド酸溶液と塗布厚を替えて操作を行い表1に示す各フィルムを得た。
【0068】
[実施例1〜3、比較例1〜4]
<誘電体積層フィルムの作製と評価>
製造例において得られたフィルムを巻き出し装置、巻き取り装置、プラズマ処理装置を備えた真空装置内にセットし、次いでフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はキセノンガス中で、周波数13.56MHz、出力80W、ガス圧0.9Paの条件であり、処理時の温度は24℃、プラズマ雰囲気での滞留時間約45秒であった。次いで、プラズマ処理後のフィルムを、同じく巻き出し装置装置、巻き取り装置、スパッタリングエリアを有する真空装置内にセットし、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム7%)ターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、銅ターゲットを用いてスパッタリングにより厚さ3000オングストローム銅薄膜を形成させ、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ4μmの厚付け銅メッキ層を形成し第一電極層とした。
続いて、基板温度を450℃とし、第一電極層の上に、バリア層として酸化チタン層を50オングストローム、さらに誘電層としてBa0.5Sr0.5TiO3のターゲットを用いて、高周波スパッタリング法によって2000nmの薄膜高誘電体層を形成した。さらに、薄膜高誘電体層上に、スパッタリングにより500nmのニッケル、同じく500nmの銅を形成し、最期に、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ4μmの厚付け銅メッキ層を形成し、誘電体積層フィルムを得た。得られた誘電堆積層フィルムの容量密度と耐電圧を表2に示す。
以下同様に基材としてフィルム2〜6を用い、一部高誘電体層の製膜温度を変えて誘電体積層フィルムを得た。得られた誘電体積層フィルムの特性を表2に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
[実施例4]
<誘電体積層フィルムを用いたキャパシタ内蔵多層基板の試作>
(接着剤準備)
有機極性溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミド、ジアミン化合物として1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンと3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルとをモル比で9:1、エステルテトラカルボン酸として3,3’,4,4’−エチレングリコールベンゾエートテトラカルボン酸二無水物を使用してポリアミド酸重合体の溶液を得た。
このポリアミド酸重合体溶液を減圧加熱し、熱可塑性ポリイミドを得た。この熱可塑性ポリイミドを8g、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)としてのエピコート1032H60を10g、硬化剤としての4,4’−ジアミノジフェニルエーテル3.0gを、有機溶媒としてのジオキソラン91.0gに添加し、攪拌して溶解させた。これにより、接着剤溶液を得た。
【0072】
(銅張り積層フィルム)
製造例において得られたフィルムを巻き出し装置、巻き取り装置、プラズマ処理装置を備えた真空装置内にセットし、次いでフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はキセノンガス中で、周波数13.56MHz、出力80W、ガス圧0.9Paの条件であり、処理時の温度は24℃、プラズマ雰囲気での滞留時間約45秒であった。次いで、プラズマ処理後のフィルムを、同じく巻き出し装置装置、巻き取り装置、スパッタリングエリアを有する真空装置内にセットし、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム7%)ターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、銅ターゲットを用いてスパッタリングにより厚さ3000オングストローム銅薄膜を形成させ、ついで硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ4μmの厚付け銅メッキ層を形成し銅張り積層フィルムとした。
【0073】
(接着剤の塗布)
得られた銅張り積層フィルム、および、誘電体積層フィルムの基材面側に、先に得られた接着剤溶液を塗布し、60℃で2分間乾燥し厚さ3.5μmの接着剤層を形成した、それぞれ、接着剤付き銅張り積層シートと、接着剤付き誘電体積層フィルムを得た。
【0074】
接着剤付き銅箔積層フィルムの銅箔面と、誘電体積層フィルムの第2電極面をそれぞれエッチング加工して各層を形成する所定のパターンを得た。次いで、FR4製の4層基板をコア層とし、先に得られた各層を順次ビルドアップ多層基板の製造工程に準じて積層、多層化し、模式図2に示すように、キャパシタ素子30個を内蔵する多層基板10枚を作製した。なお図2においては便宜上片面側のみを模式的に示しているが、実際には定法に従って両面に同じビルドアップ層数を積層している。また、ヴィア穴あけにはレーザー加工を、ヴィアホールの層間接続にはフィルドヴィアメッキを用いた。
得られたキャパシタ内蔵多層基板のキャパシタに各々50Vの電圧を印可して、リークの有無を調べたところ特に異常は見あたらなかった。次いで試作された多層基板10枚を、−55℃から80℃のヒートサイクル試験500サイクル暴露後に再度リークの有無を評価した、いずれの基板に置いても、特にリークは見られず、良好な結果を得た。
【0075】
[比較例5]
比較例2で得られた誘電体積層フィルムを用い、以下、実施例4と同様に操作し、キャパシタ内蔵基板10枚を得た。同様に50Vの電圧を印可してリークの有無を調べたところ特に異常は見あたらなかった。ついで同様に−55℃から80℃のヒートサイクル試験500サイクル暴露後に再度リークの有無を評価したところ、10枚中5枚の基板にてショートが確認された。かかるショートはキャパシタの電極間の短絡によるものと推察される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上述べてきたように、本発明の誘電体積層フィルムは、薄膜コンデンサ用の基礎材料として有用であり、特に多層基板のビルドアップ層にキャパシタを内蔵することが可能となり特に高密度実装が求められる、高速の演算装置、グラフィックコントローラ、ディスプレイコントローラ、高容量のメモリーモジュール、等を搭載する基板材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】誘電体積層フィルムの模式図
【図2】誘電体積層フィルムを用いたキャパシタ内蔵多層基板の模式図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1の電極層が形成され、該第1の電極層上に高誘電体層が形成され、この高誘電体層上に第2の電極層が形成されてなる構成を少なくとも有する誘電体積層フィルムにおいて、該基板がベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを出発材料とする線膨張係数(CTE)が1〜12(ppm/℃)のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムであることを特徴とする薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルム。
【請求項2】
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの100℃から350℃における微分線膨張係数(dCTE)が(−0.20)(ppm/℃2)以下の値を有しないポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである請求項1記載の薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルム。
【請求項3】
第1の電極層と高誘電体層の間、および又は第2の電極層と高誘電体層の間にバリア層が形成されている請求項1又は2いずれかに記載の薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルム。
【請求項4】
基板の高誘電体層が形成されてなる側とは反対側の面に接着剤層が形成されてなる請求項1〜3いずれかに記載の薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルム。
【請求項5】
ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類を出発材料とする線膨張係数が1〜12(ppm/℃)のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである基板上に、第1の電極層が形成され、該第1の電極層上に高誘電体層が形成され、この高誘電体層上に第2の電極層が形成されてなる誘電体積層フィルム基板の製法において、少なくとも高誘電体層を形成するに際し250℃〜500℃の基板温度で形成することを特徴とする薄膜コンデンサ用誘電体積層フィルムの製法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−278664(P2006−278664A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94978(P2005−94978)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】