説明

薄膜トランジスター、及びその形成方法

【課題】薄膜トランジスター、及びその形成方法が提供される。
【解決手段】本発明の薄膜トランジスターは、基板、基板上のソース電極、及びドレーン電極、ソース電極、及びドレーン電極間の酸化物活性層、酸化物活性層の一面の上のゲート電極、ゲート電極と酸化物活性層との間のゲート絶縁膜、及びゲート絶縁膜と酸化物活性層との間の緩衝層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスター、及びその形成方法に関し、より詳細には酸化膜を適用した薄膜トランジスター、及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の形態が多様化され、小型化されることによって、このような電子機器を動作させるためのトランジスターの形態もやはり多様化されている。例えば、前記電子機器に適用されることができる薄膜型トランジスターに対する研究が活発に進行されている。しかし、既に開発された薄膜トランジスターの場合、素子の均一性、又は工程の安全性が保障できない場合があるので、これらを素子に適用するための後続の研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2005/0017244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、信頼性が向上された薄膜トランジスター、及びその形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した技術的課題を解決するための薄膜トランジスター、及びその形成方法が提供される。
【0006】
本発明の実施形態による薄膜トランジスターは、基板と、前記基板上のソース電極、及びドレーン電極と、前記ソース電極、及びドレーン電極との間の酸化物活性層と、前記酸化物活性層の一面の上のゲート電極と、前記ゲート電極と前記酸化物活性層との間のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜と前記酸化物活性層との間の緩衝層とを含む。
【0007】
一実施形態において、前記緩衝層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0008】
一実施形態において、前記ゲート絶縁膜と前記ゲート電極との間の他の緩衝層をさらに含むことができる。
【0009】
一実施形態において、前記ソース/ドレーン電極は、前記基板と隣接するように配置され、前記酸化物活性層は、前記ソース/ドレーン電極との間の前記基板の上に配置され、前記ゲート絶縁膜は、前記酸化物活性層の上に配置され、前記緩衝層は、前記酸化物活性層と前記ゲート絶縁膜との間に配置されることができる。
【0010】
一実施形態において、前記ゲート電極は、前記基板と隣接するように配置され、前記ゲート絶縁膜、及び前記緩衝層は、前記ゲート電極を含む前記基板の上に順に積層され、前記酸化物活性層は、前記ゲート電極上の前記緩衝層の上に配置され、前記ソース/ドレーン電極は、前記活性層の隣の前記緩衝層の上に配置されることができる。
【0011】
一実施形態において、前記酸化物活性層は、3A、4A、5A族、及び2B、3B、4B族金属の中で選択された少なくとも1つの酸化物を含むことができる。
【0012】
一実施形態において、前記酸化物活性層は、ZnO、In−Zn−O、Zn−Sn−O、In−Ga−ZnO、Zn−In−Sn−O、In−Ga−O、及びSnO2の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0013】
一実施形態において、前記ゲート絶縁膜は、アルミナを含むことができる。
【0014】
本発明の実施形態による薄膜トランジスターの形成方法は、基板の上に、ソース/ドレーン電極、ゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜と接する緩衝層、酸化物活性層、及びゲート電極を形成することと、前記ゲート絶縁膜と前記緩衝層とを熱処理することと、を含み、前記酸化物活性層は、前記ソース/ドレーン電極との間の前記基板の上に形成され、前記ゲート絶縁膜は、前記酸化物活性層の一面の上に形成され、前記緩衝層は、前記ゲート絶縁膜のどの一面の上に形成され、前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜により前記酸化物活性層と離隔され得る。
【0015】
一実施形態において、前記ゲート絶縁膜、及び前記緩衝層は、前記ゲート電極が形成された前記基板を覆うことができる。前記ゲート電極の両側の前記緩衝層の上にソース/ドレーン電極が形成されることができる。前記ソース/ドレーン電極間の前記ゲート絶縁膜の上に酸化物活性層が形成されることができる。
【0016】
一実施形態において、前記基板の上にソース/ドレーン電極、及び前記酸化物層が形成された後、前記酸化物活性層を覆う緩衝層、及びゲート絶縁膜が形成されることができる。前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上の前記ソース/ドレーン電極間に形成されることができる。
【0017】
一実施形態において、前記熱処理は、100℃乃至300℃で実行され得る。
【0018】
一実施形態において、前記ゲート絶縁膜は、アルミナを含むことができる。
【0019】
一実施形態において、前記緩衝層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、又はこれらの組み合わせを含み、前記緩衝層は、常温乃至500℃の温度で形成されることができる。
【0020】
本発明の一実施形態による形成方法は、前記ゲート絶縁膜の一面と対向する他の面の上に緩衝層を形成することをさらに含むことができる。
【0021】
一実施形態において、前記酸化物活性層は、3A、4A、5A族、及び2B、3B、4B族金属の中で選択された少なくとも1つの酸化物を含むことができる。
【0022】
一実施形態において、前記ゲート電極、及び前記ソース/ドレーン電極は、金属、及び金属酸化物の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によると、緩衝層によって、ゲート絶縁膜と活性層との間の界面の欠陥が除去され得る。これによって、前記界面特性が向上されて信頼性が向上される薄膜トランジスターが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による薄膜トランジスターを説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態の変形実施形態を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態の変形実施形態を説明するための図である。
【図4】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスターを説明するための図である。
【図5】本発明の他の実施形態の変形実施形態を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、参照された図面を参照して本発明の実施形態による薄膜トランジスター、及びその形成方法が説明される。説明される実施形態は、本発明の思想を当業者が容易に理解できるように提供されることであり、これによって本発明が限定されない。本発明の実施形態は、本発明の技術的思想、及び範囲の内で他の形態に変形され得る。本明細書で「及び/又は」は、前後に羅列された構成要素の中に、少なくとも1つを含む意味で使われる。本明細書で、1つの構成要素が他の構成要素の「上に」位置するということは、1つの構成要素の上に他の構成要素が直接位置するという意味は、もちろん、前記1つの構成要素の上に第3の構成要素がさらに位置することができる意味も含む。本明細書の各構成要素、又は部分等を第1、第2等の表現を使用して示したが、これは明確な説明のために使われた表現であり、これによって限定されない。図面に表現された構成要素の厚さ、及び相対的である厚さは、本発明の実施形態を明確に表現するために誇張されることができる。
【0026】
図1を参照して、本発明の一実施形態による薄膜トランジスターについて説明する。図1は、本発明の一実施形態による薄膜トランジスターの模式図である。基板110が用意される。前記基板110は、半導体基板、ガラス基板、又はプラスチック基板であるが、これに限定されない。
【0027】
前記基板110の上にソース/ドレーン電極122が配置される。前記ソース/ドレーン電極122は、金属、及び金属酸化物を含む導電物質の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。一実施形態において、前記ソース/ドレーン電極122は、透明導電膜であり得る。例えば、前記ソース/ドレーン電極122は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、又はインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)を含むことができる。これと異なり、前記ソース/ドレーン電極122は、不透明導電膜であり得る。例えば、前記ソース/ドレーン電極122は、モリブデンMo、及び金/チタニウムAu/Tiを含む金属の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0028】
前記基板110上の前記ソース/ドレーン電極122との間に活性層131が配置されることができる。前記活性層131は、薄膜トランジスターの動作の時にチャンネルが形成される領域を含む層であり得る。前記活性層131は、酸化物を含むことができる。一実施形態において、前記活性層131は、Zn、In、Ga、及びSnの中で選択された少なくとも1つの酸化物を含むことができる。例えば、前記活性層131は、ZnO−SnO2、ZnO−In23−SnO2、In23−Ga23−ZnO、又はIn23−ZnOであり得る。
【0029】
前記活性層131、及び前記ソース/ドレーン電極122を覆うゲート絶縁膜141が配置されることができる。前記ゲート絶縁膜141は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化物、非金属酸化物、非金属窒化物、及び非金属酸化物を含む多様な絶縁物質の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。例えば、前記ゲート絶縁膜141は、アルミナAl23を含むことができる。
【0030】
前記活性層131と前記ゲート絶縁膜141との間に緩衝層136が介在され得る。示したことと異なり、前記緩衝層136は、複数の層を含むことができる。前記緩衝層136は、1乃至20nmの厚さを有することができる。前記緩衝層136は、シリコン窒化物SiNx、シリコン酸化物SiOx、又はこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態において、前記緩衝層136は、熱処理された絶縁膜であり得る。
【0031】
前記緩衝層136によって、前記緩衝層136を含む薄膜トランジスターの素子特性が向上することができる。例えば、前記緩衝層136は、前記ゲート絶縁膜141と前記活性層131との間の電気的ストレスを減少させられる。具体的に、前記緩衝層136は、前記ゲート絶縁膜141の界面内のトラップサイト(trap site)の発生を防ぐことができる。前記トラップサイトの減少は、前記界面の界面特性を向上させることができ、これによって、前記薄膜トランジスター内の電子移動度が向上することができる。したがって、前記緩衝層136を含む薄膜トランジスターの閾値電圧以下の傾斜値(Subthreshold slope value:SS value)特性が向上される。すなわち、薄膜トランジスターの信頼性が向上されることができる。
【0032】
前記ゲート絶縁膜141の上にゲート電極152が形成される。前記ゲート電極152は、導電膜であり得る。一実施形態において、前記ゲート電極152は、透明導電膜であり得る。例えば、前記ゲート電極152は、インジウム錫酸化物ITO、又はインジウム亜鉛酸化物IZOを含むことができる。これと異なり、前記ゲート電極152は、不透明導電膜であり得る。例えば、前記ゲート電極152は、モリブデンMo、白金Pt、及び金/チタニウムAu/Tiを含む金属の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0033】
前記薄膜トランジスター内の構成要素の配置は、本発明の思想の内で多様に変形され得る。
【0034】
図2を参照すると、緩衝層137は、活性層131の上部面、及び側壁をすべて覆うことができる。示したことと異なり、前記緩衝層137、及び前記ゲート絶縁膜142は、ソース/ドレーン電極122、及び活性層131の上部面の上にコンフォーマルに形成されることができる。前記緩衝層137、及び前記ゲート絶縁膜142の形態は、使われる物質の特性、及び/又は形成方法によって、多様に変形され得る。
【0035】
図3を参照すると、活性層132のエッジの上にソース/ドレーン電極123の一部が配置されることができる。即ち、前記ソース/ドレーン電極123は、平らではなく形成されることができる。この場合、緩衝層137は、前記活性層132の上部面の全面を覆い、前記ソース/ドレーン電極の一部前記活性層132の上部面とゲート絶縁膜141とを離隔させられる。この他にも、前記ソース/ドレーン電極123、及び活性層132の形態は、使われる物質の特性、及び/又は形成方法によって多様に変形され得る。
【0036】
再び、図1を参照して本発明の一実施形態による薄膜トランジスターの形成方法が説明される。先に説明された構成要素に対する説明は、省略され得る。
【0037】
図1を参照すると、基板110の上にソース/ドレーン電極122が形成される。前記ソース/ドレーン電極122は、前記基板110の上に導電性薄膜をコーティングした後、前記導電性薄膜をエッチングすることによって形成されることができる。前記導電性薄膜は、透明導電膜、又は不透明導電膜であり得る。例えば、前記導電性薄膜は、インジウム錫酸化物ITOを含むことができる。
【0038】
前記ソース/ドレーン電極122の上に活性層131が形成されることができる。前記活性層131は、半導体の特性を有する酸化物の中で選択されることができる。例えば、前記活性層131は、Zn、In、Ga、及びSnの中で選択された少なくとも1つの酸化物を含むことができる。前記活性層131は、物理的蒸着方法、又は化学的蒸着方法によって蒸着され得る。一実施形態において、前記活性層131は、物理的蒸着方法によって形成されることができる。例えば、前記活性層131は、物理的蒸気蒸着法(Physical vapor deposition)、又はイオンビーム蒸着法(Ion−beam deposition)によって形成されることができる。
【0039】
前記活性層131の上に緩衝層136、及びゲート絶縁膜141が形成されることができる。前記緩衝層136は、前記活性層131の上にコンフォーマルに形成されることができる。
【0040】
前記緩衝層136は、シリコン酸化物SiOx、シリコン窒化物SiNx、又はこれらの組み合わせを含むことができる。前記緩衝層136は、原子層蒸着法(Atomic layer deposition)、及びプラズマ強化化学気相蒸着法(plasma enhanced chemical vapor deposition)を含む多様な膜形成方法の中で選択された少なくとも1つの方法によって形成されることができる。
【0041】
前記活性層131、及び緩衝層136は、一緒にパターニングされることができる。これによって、前記ソース/ドレーン電極122の上部面が露出され得る。前記パターニングは、前記緩衝層136の上にフォトレジスト膜を形成、及びパターニングすること、前記パターニングされたフォトレジスト膜を蝕刻マスクとして使用して前記緩衝層136、及び活性層131を蝕刻することを含むことができる。前記蝕刻は、湿式蝕刻、乾式蝕刻、又はイオンミーリング(ion−milling)であり得る。これと異なり、前記活性層131のパターニングは、前記緩衝層136の形成の以前に実行され得る。図2を参照すると、前記活性層131が形成、及びパターニングされた以後に前記パターニングされた活性層131の上に緩衝層137が形成されることができる。この場合、前記緩衝層137に対するパターニング工程は、省略され得る。
【0042】
前記ゲート絶縁膜141は、モバイル電荷(mobile charge)がない酸化膜、窒化膜、及びこれらの組み合わせで選択された少なくとも1つを含むことができる。前記ゲート絶縁膜141は、断層、又は複層を形成されることができる。例えば、前記ゲート絶縁膜141は、アルミナAl23を含むことができる。前記ゲート絶縁膜141は、原子層蒸着法、プラズマ強化化学気相蒸着法、及び有機金属化学気相蒸着法(metalorgnic chemical vapor deposition)を含む膜形成法の中で選択された少なくとも1つによって形成されることができる。
【0043】
前記ゲート絶縁膜141が形成された以後に熱処理工程が実行され得る。前記熱処理工程は、前記ゲート絶縁膜141、及び前記緩衝層136に対して100℃乃至300℃の熱を提供することを含むことができる。前記熱処理工程によって、前記ゲート絶縁膜141、及び前記活性層131との間の界面特性が向上することができる。例えば、前記緩衝層136の形成、及び熱処理工程によって前記ゲート絶縁膜141の表面の欠陥、例えば、ダングリングボンディング(dangling bonding)等が除去され得る。これによって、前記ゲート絶縁膜141と前記活性層131との間の界面のトラップサイトが減少されて電子の移動度が向上することができる。したがって、前記緩衝層136を含む薄膜トランジスターの素子特性が向上することができる。
【0044】
前記ゲート絶縁膜141の上にゲート電極152が形成されることができる。前記ゲート電極152は、前記ゲート絶縁膜141の上に導電性薄膜を形成した後、パターニングして形成されることができる。これと異なり、前記ゲート電極152は、パターニング工程が必要でないパターン形成工程、例えば、プリンティング法(printing method)によって形成されることができる。
【0045】
前記ソース/ドレーン電極122、前記活性層131、及び前記緩衝層136は、他の順序に形成されることができる。図3を参照すると、基板110の上に活性層132、及び緩衝層137が形成された後、前記基板110の前記活性層132、及び緩衝層137の上にソース/ドレーン電極123が形成されることができる。以後、前記緩衝層137、及び前記ソース/ドレーン電極123の上にゲート絶縁膜141が形成されて熱処理工程が実行され得る。
【0046】
図4を参照して、本発明の他の実施形態による薄膜トランジスターが説明される。基板210の上にゲート電極252が配置される。前記ゲート電極252は、金属、及び金属酸化物を含む導電物質の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。一実施形態において、前記ゲート電極252は、透明導電膜であり得る。例えば、前記ゲート電極252は、インジウム錫酸化物ITO、又はインジウム亜鉛酸化物IZOを含むことができる。これと異なり、前記ゲート電極252は、不透明導電膜であり得る。例えば、前記ゲート電極252は、モリブデンMo、白金Pt、及び金/チタニウムAu/Tiを含む金属の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0047】
前記ゲート電極252の上にゲート絶縁膜241が配置される。前記ゲート絶縁膜241は、前記ゲート電極252の上部面、及び側面を覆うことができる。前記ゲート絶縁膜241は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化物、非金属酸化物、非金属窒化物、及び非金属酸化物を含む多様な絶縁物質の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。例えば、前記ゲート絶縁膜241は、アルミナAl23を含むことができる。
【0048】
前記ゲート絶縁膜241の上に緩衝層237が配置される。前記緩衝層237は、1乃至20nmの厚さを有することができる。前記緩衝層237は、前記ゲート絶縁膜241の全面を覆うことができる。前記緩衝層237は、シリコン窒化物SiNx、シリコン酸化物SiOx、又はこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態において、前記緩衝層237は、熱処理された絶縁膜であり得る。
【0049】
前記緩衝層237の上にソース/ドレーン電極222が配置されることができる。前記ソース/ドレーン電極222は、透明導電膜であり得る。例えば、前記ソース/ドレーン電極222は、インジウム錫酸化物ITO、又はインジウム亜鉛酸化物IZOを含むことができる。これと異なり、前記ソース/ドレーン電極222は、不透明導電膜であり得る。例えば、前記ソース/ドレーン電極222は、モリブデンMo、及び金/チタニウムAu/Tiを含む金属の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0050】
前記緩衝層237上の前記ソース/ドレーン電極222の上に活性層231が配置されることができる。前記活性層231は、前記ソース/ドレーン電極222のエッジと重なるエッジを有することができる。すなわち、前記活性層231の両側エッジは、前記ソース/ドレーン電極222のエッジの上に配置され、前記活性層231の中心部分は、前記ゲート電極252の上の前記ゲート絶縁膜241、及び緩衝層237の上に配置されることができる。前記活性層231は、薄膜トランジスターの動作の時にチャンネルが形成される領域を含むことができる。前記活性層231は、酸化物を含むことができる。一実施形態において、前記活性層231は、Zn、In、Ga、及びSnの中で選択された少なくとも1つの酸化物を含むことができる。例えば、前記活性層231は、ZnO−SnO2、ZnO−In2O3−SnO2、In23−Ga2O3−ZnO、又はIn2O3−ZnOであり得る。
【0051】
これと異なり、ソース/ドレーン電極、及びゲート電極は、他の形態にも配置されることができる。図5を参照すると、緩衝層237の上に活性層232が配置され、前記活性層232の両側エッジの上にソース/ドレーン電極223が配置されることができる。前記ソース/ドレーン電極223は、前記活性層232の両側エッジから前記ゲート絶縁膜241、及び緩衝層237の上に延長され得る。
【0052】
再び、図4を参照して、本発明の他の実施形態による薄膜トランジスターの形成方法が説明される。
【0053】
基板210の上にゲート電極252が形成される。前記ゲート電極252は、前記基板210の上に導電性薄膜を形成した後、パターニング工程を実行することによって形成されることができる。
【0054】
前記ゲート電極252の上にゲート絶縁膜241が形成されることができる。前記ゲート絶縁膜241は、断層、又は複層に形成されることができる。前記ゲート絶縁膜241は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化物、非金属酸化物、非金属窒化物、及び非金属酸化物を含む多様な絶縁物質の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。例えば、前記ゲート絶縁膜241は、アルミナAl23を含むことができる。
【0055】
前記ゲート絶縁膜241の上に緩衝層237が形成されることができる。前記緩衝層237は、シリコン窒化物SiNx、シリコン酸化物SiOx、又はこれらの組み合わせを含むことができる。示したことと異なり前記緩衝層237は、複数の層を含むことができる。前記緩衝層237が形成された以後に熱処理工程が実行され得る。前記熱処理工程は、100℃乃至300℃の温度で実行され得る。前記熱処理工程は、前記ゲート絶縁膜241、及び前記緩衝層237が形成された後、後述する活性層が形成される以前に実行されるか、前記ゲート絶縁膜241、前記緩衝層237、及び活性層が形成された以後に実行され得る。
【0056】
前記緩衝層237の形成、及び前記熱処理工程によって前記ゲート絶縁膜241の界面特性が向上することができる。具体的に、前記緩衝層237、及び前記熱処理工程によって前記緩衝層237と接する前記ゲート絶縁膜241表面の欠陥が除去され得る。これによって、前記ゲート絶縁膜241内のトラップサイトの発生が最小化され得る。したがって、前記緩衝層237、及びゲート絶縁膜241を含む薄膜トランジスターの信頼性が向上することができる。
【0057】
前記緩衝層237の上にソース/ドレーン電極222が形成されることができる。前記ソース/ドレーン電極222との間の前記緩衝層237の上に活性層231が形成されることができる。前記活性層231は、酸化物を含むことができる。前記活性層231は、図4に示した通り前記ソース/ドレーン電極222のエッジの上に延長され得る。前記活性層231は、前記ゲート電極252と重なることができる。前記活性層231の中心部分は、前記ゲート電極252と重なり、前記活性層231のエッジ部分は、前記ソース/ドレーン電極222と重なることができる。この場合、前記ソース/ドレーン電極222が前記緩衝層237の上に形成された後、前記活性層231が形成されることができる。
前記ソース/ドレーン電極222、及び活性層231は、他の形態に形成されることができる。図5を参照すると、緩衝層237の上に活性層232が形成された後、ソース/ドレーン電極223が形成されることができる。この場合、前記ソース/ドレーン電極223のエッジが前記活性層232のエッジの上に延長されるように形成されることができる。
【0058】
図6を参照して、本発明の実施形態による効果が説明される。図6は、本発明の実施形態によって形成された薄膜トランジスターの定電流で時間による閾値電圧変化量を示すグラフィックである。
【0059】
3つのタイプの薄膜トランジスターが本実験例に使われた。共通的に、ガラス基板が基板として使われ、インジウム錫酸化膜がソース/ドレーン電極、及びゲート電極として使われる。前記ソース/ドレーン電極、及びゲート電極の厚さは、約150nmである。活性層は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(Indium Galium Zinc Oxide)で形成された。アルミナ膜がゲート絶縁膜として使われ、前記ゲート絶縁膜は、180nmの厚さに形成された。3μmの定電流でストレス時間による閾値電圧の変化量を測定した。閾値電圧値は、室温、及び60℃の温度条件の下で測定された。
【0060】
A−タイプ薄膜トランジスター(A−type TFT)は、比較例として、図1に示した薄膜トランジスターで緩衝層136が省略された薄膜トランジスターである。すなわち、図1のゲート電極131とゲート絶縁膜141が直接接触する。
【0061】
B−タイプ薄膜トランジスター(B−type TFT)は、図1に示した薄膜トランジスターの形態に形成された。緩衝層136としてシリコン窒化物(SiNx)が使われた。
【0062】
C−タイプ薄膜トランジスター(C−type TFT)は、図1に示した薄膜トランジスターでゲート絶縁膜141を複層に形成し、前記複層のゲート絶縁膜との間にシリコン窒化物膜を挿入して形成した。
【0063】
図6に示した通り、A−タイプの薄膜トランジスターの場合、60℃で不安定な閾値電圧特性を示し、C−タイプの薄膜トランジスターの場合、室温で不安定な閾値電圧特性を示す。反面に、本発明の実施形態による薄膜トランジスターであるB−タイプ薄膜トランジスターは、室温、及び60℃の全てで比較例であるAタイプ、及びCタイプトランジスターに比べて安定された閾値電圧特性を有することが明確になった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスターであって、
基板と、
前記基板上のソース電極、及びドレーン電極と、
前記ソース電極、及びドレーン電極との間の酸化物活性層と、
前記酸化物活性層の一面の上のゲート電極と、
前記ゲート電極と前記酸化物活性層との間のゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜と前記酸化物活性層との間の緩衝層と
を含むことを特徴とする薄膜トランジスター。
【請求項2】
前記緩衝層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスター。
【請求項3】
前記緩衝層は、1乃至20nmの厚さを有することを特徴とする請求項2に記載の薄膜トランジスター。
【請求項4】
前記ソース/ドレーン電極は、前記基板と隣接するように配置され、前記酸化物活性層は、前記ソース/ドレーン電極との間の前記基板の上に配置され、前記ゲート絶縁膜は、前記酸化物活性層の上に配置され、前記緩衝層は、前記酸化物活性層と前記ゲート絶縁膜との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスター。
【請求項5】
前記ゲート電極は、前記基板と隣接するように配置され、前記ゲート絶縁膜、及び前記緩衝層は、前記ゲート電極を含む前記基板の上に順に積層され、前記酸化物活性層は、前記ゲート電極上の前記緩衝層の上に配置され、前記ソース/ドレーン電極は、前記活性層の隣の前記緩衝層の上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスター。
【請求項6】
前記酸化物活性層は、3A、4A、5A族、及び2B、3B、4B族金属の中で選択された少なくとも1つの酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスター。
【請求項7】
前記酸化物活性層は、ZnO、In−Zn−O、Zn−Sn−O、In−Ga−ZnO、Zn−In−Sn−O、In−Ga−O、及びSnO2の中で選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6に記載の薄膜トランジスター。
【請求項8】
前記ゲート絶縁膜は、アルミナを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスター。
【請求項9】
薄膜トランジスターの形成方法であって、
基板の上に、ソース/ドレーン電極、ゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜と接する緩衝層、酸化物活性層、及びゲート電極を形成することと、
前記ゲート絶縁膜と前記緩衝層とを熱処理することと
を含み、前記酸化物活性層は、前記ソース/ドレーン電極との間の前記基板の上に形成され、前記ゲート絶縁膜は、前記酸化物活性層の一面の上に形成され、前記緩衝層は、前記ゲート絶縁膜のどの一面の上に形成され、前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜により前記酸化物活性層と離隔されることを特徴とする薄膜トランジスターの形成方法。
【請求項10】
前記ソース/ドレーン電極、前記ゲート絶縁膜、前記緩衝層、前記酸化物活性層、及び前記ゲート電極を形成することは、
前記基板の上に前記ゲート電極を形成すること、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜、及び前記緩衝層を形成すること、前記ゲート電極の両側の前記緩衝層の上にソース/ドレーン電極、及び前記酸化物活性層を形成することを含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスターの形成方法。
【請求項11】
前記ソース/ドレーン電極、前記ゲート絶縁膜、前記緩衝層、前記酸化物活性層、及び前記ゲート電極を形成することは、
前記基板の上に前記ソース/ドレーン電極、及び前記酸化物活性層を形成すること、前記酸化物活性層を覆う緩衝層、及びゲート絶縁膜を形成すること、前記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成することを含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスターの形成方法。
【請求項12】
前記熱処理は、100℃乃至300℃で実行されることを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスターの形成方法。
【請求項13】
前記ゲート絶縁膜は、アルミナを含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスターの形成方法。
【請求項14】
前記緩衝層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、又はこれらの組み合わせを含み、前記緩衝層は、常温乃至500℃の温度で形成されることを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスターの形成方法。
【請求項15】
前記緩衝層は、プラズマ強化化学気相蒸着法によって形成されることを特徴とする請求項14に記載の薄膜トランジスターの形成方法。
【請求項16】
前記酸化物活性層は、3A、4A、5A族、及び2B、3B、4B族金属の中で選択された少なくとも1つの酸化物を含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスターの形成方法。
【請求項17】
前記ゲート電極、及び前記ソース/ドレーン電極は、金属、及び金属酸化物の中で選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスターの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−129865(P2011−129865A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124080(P2010−124080)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者 韓國電子通信研究院 刊行物等 ETRI Journal,Volume 31,Number 6,December 2009 発行日 2009年12月1日
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】