説明

薄膜形成方法、薄膜形成装置および積層膜

【課題】量産に適したスパッタ法において非酸化物からなる磁性層上に酸化物をスパッタ成膜する場合でも、磁性層が酸化されることを抑制することができる薄膜形成方法、薄膜形成装置を提供するとともに、それによって、RA値が低く抑えられた積層膜を提供する。
【解決手段】本発明に係る薄膜形成方法は、チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に前記酸化物の薄膜を形成する薄膜形成方法において、前記部材を前記チャンバーに格納する格納ステップと、前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部を設置することで、前記チャンバー内の余剰酸素を吸着する吸着ステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成方法、薄膜形成装置および積層膜に関し、さらに詳細には、チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に前記酸化物の薄膜を形成する薄膜形成方法および薄膜形成装置、ならびに、それらにより形成される積層膜に関する。
【背景技術】
【0002】
2004年に酸化マグネシウム(MgO)を障壁層に用いたトンネル磁気抵抗効果(Tunneling Magneto Resistance、TMR)膜において100〜200%の非常に高い磁気抵抗効果が得られることが示されて以来、ハードディスクドライブ用磁気ヘッドの再生出力を高めていく上で最も有望な技術であると期待されている。
【0003】
しかし、この膜(MgO−TMR膜)を再生ヘッドとして使用するためにはMgO−TMR膜の面直方向の抵抗値(RA値)を3Ωμm以下にする必要がある。そのため、MgO層の層厚を0.1nmオーダの厚さで制御して低いRA値を実現することが試みられているが、量産に適したスパッタ法ではMgO層をスパッタ堆積する時に、ターゲットから放出された余剰の酸素原子(O)がMgO層の下に位置する磁性層の表面を酸化してしまうことによりRA値が増加してしまうという問題が生じている。したがって、如何にして、スパッタリング時に余剰の酸素を除去するかが課題となっている。
【0004】
ここで、スパッタリングを行う際に、O等の不純物ガス分子を減少させることが可能な従来の半導体装置の製造方法の例として、特許文献1に記載の方法がある。この方法は、図3に示す製造装置100によって行われるものであって、スパッタ室101内の電極109、110に、高周波電圧を印加することによって、Arの放電を行い、プラズマを発生させる。放電開始後、Al系合金のターゲット103にプラズマ中のイオンが衝突しない条件で、ガス分子を吸着しやすいゲッタ効果のある材料のターゲット102表面のみをスパッタする。このスパッタリングによって、スパッタ室101中に残存していたO及びN等の不純物がゲッタされ、その濃度が著しく低下する。このとき、スパッタされたターゲット102の原子はウェーハ104とターゲット102の中間に挿入されたシャッタ106に邪魔され、ウェーハ104上には到達しないため、膜をウェーハ104上に形成しない。スパッタ室101中に残存していたO及びN等の不純物の濃度が充分に低下した後、シャッタ106を移動させたうえで、ゲッタ効果のある材料のターゲット102表面をスパッタしない条件に変えてAl系合金のターゲット103表面のみをスパッタするというものである。
【0005】
【特許文献1】特開平3−014227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ターゲット材に酸化マグネシウム(MgO)のような酸化物を用いる場合には、図4に例示する一般的なスパッタリング装置201によって、部材上にMgOの薄膜203を形成しようとすると、ターゲット材232から放出された余剰の酸素原子(O)が薄膜(MgO)の層の下に位置する磁性層の表面を酸化してしまうため、RA値が増加してしまうという問題が生じる。これは、図5のように、マグネシウム原子(Mg)212と酸素原子(O)213とがターゲット材232からスパッタにより放出された時に、一旦解離するため、マグネシウム原子(Mg)212がチャンバー204の内壁に付着する等で減少していくにつれて、酸素原子(O)213が余剰となる状態が生じ、当該余剰の酸素原子(O)213bにより、部材202の表面を構成する磁性層215に酸化層217が形成されてしまうという現象に起因するものである。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、量産に適したスパッタ法において非酸化物からなる磁性層上に酸化物をスパッタ成膜する場合でも、磁性層が酸化されることを抑制することができる薄膜形成方法、薄膜形成装置を提供するとともに、それによって、RA値が低く抑えられた積層膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本発明に係る薄膜形成方法は、チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に前記酸化物の薄膜を形成する薄膜形成方法において、前記部材を前記チャンバーに格納する格納ステップと、前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部を設置することで、前記チャンバー内の余剰酸素を吸着する吸着ステップとを備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記格納ステップ後、ターゲット材をスパッタリングすることで前記酸化物を飛散させる飛散ステップをさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記吸着部は、チタン、タンタル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび白金のうち、少なくとも一つを含む材料を備えて構成されることを特徴とし、また、前記ターゲット材に対向する面の少なくとも一部がシールドで覆われていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る薄膜形成装置は、部材上に酸化物の薄膜を形成する薄膜形成装置において、前記部材と酸化物を格納するチャンバーと、前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部とを備えることを特徴とし、また、ターゲット材をスパッタリングすることで前記酸化物を飛散させる飛散部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記吸着部は、前記ターゲット材に対向する面の少なくとも一部がシールドで覆われていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る積層膜は、チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に前記酸化物の薄膜を形成されてなる積層膜において、少なくとも、前記部材を前記チャンバーに格納する格納ステップと、前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部を設置することで、前記チャンバー内の余剰酸素を吸着する吸着ステップとを経て形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1によれば、チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に当該酸化物の薄膜を形成する際に、チャンバー内の余剰酸素を吸着することが可能となる。
【0016】
請求項2によれば、スパッタリングによる薄膜形成に際して、前記のチャンバー内の余剰酸素を吸着する方法を適用することが可能となる。
【0017】
請求項3記載の吸着材を用いることにより、酸素(O)との物理的結合力が比較的高く、かつ吸着した酸素(O)が高温または低圧下で解離しやすい効果が得られる。
【0018】
請求項4によれば、ターゲット材に酸化物を用いてスパッタを行う際に、吸着材の表面に酸素以外の原子が吸着して、膜として堆積してしまうことを抑制することが可能となる。
【0019】
請求項5によれば、チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に前記酸化物の薄膜を形成する際に、チャンバー内の余剰酸素を吸着することが可能となる。
【0020】
請求項6によれば、スパッタリングによる薄膜形成装置に、前記のチャンバー内の余剰酸素を吸着可能な装置を適用することが可能となる。
【0021】
請求項7によれば、ターゲット材に酸化物を用いてスパッタを行う際に、吸着材の表面に酸素以外の原子が吸着して、膜として堆積してしまうことを抑制することが可能となる。
【0022】
請求項8によれば、薄膜の下に位置する磁性層の表面の酸化が抑制されて、RA値が低く抑えられた積層膜を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明に係る薄膜形成装置1の一例を示す概略図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る薄膜形成方法を説明するための概略図である。
なお、図面の符号に関して、符号13は符号13a、13bの総称として用いる(他の符号について同じ)。
【0024】
図1に示す薄膜形成装置1は、部材2の表面に酸化物の薄膜3を形成する装置である。薄膜形成装置1は、密閉可能なチャンバー4内に、吸着部21と飛散部31とが設けられる。チャンバー4には、チャンバー4内を10−6Pa程度の高真空となるまで排気を行うことが可能である真空ポンプ42が接続される。また、チャンバー4には、チャンバー4内にスパッタガス36を供給するスパッタガス供給部37が設けられる。このチャンバー4内に、部材2が格納および取出し可能に設けられる。ここで、部材2は一例として半導体基板である。
【0025】
図1に示すように、飛散部31は、ターゲット材32を備えて構成される。ターゲット材32は、チャンバー4内に格納および取出し可能に設けられる。ターゲット材32は、薄膜形成装置1を使用する際は、固定具(図示しない)を用いてチャンバー4の内壁に固定されると共に、直流または高周波の電圧が印加可能に構成される。ここで、ターゲット材32は一例として酸化物であり、本実施の形態として、酸化マグネシウム(MgO)を例にとり説明する。
【0026】
また、ターゲット材32における他の実施の形態として、酸素は含まない材料、例えばマグネシウム(Mg)を用いることができる。
【0027】
図1に示すように、吸着部21は、酸素を吸着する材料(以下、「吸着材」という)22を備えて構成される。吸着材22は固定具(図示しない)を用いてチャンバー4の内壁に固定される構成が好適である。ここで、吸着材22は一例として、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)を主たる成分とする単体もしくは合金もしくは化合物である。吸着材22の形状は特に限定されない。したがって、棒状や板状のものでもよく、吸着させる面積を増やす目的で網状や多孔質状のもの等を使用してもよい。また、前記の材料そのもので出来ていてもよく、ベース(図示しない)の表面に前記の材料がコーティングされた形態でもよい。吸着部21は、一例として、部材2の周辺および防着板41の内壁面を覆うように配設する。
【0028】
また、吸着部21には、シールド23を設けることが好適である。その場合、ターゲット材32から吸着部21を鳥瞰した時に吸着材22が見えなくなるように覆うことが好適である。少なくとも、シールド23は、吸着材22におけるターゲット材32に対向する面の一部が覆われるように設けられる必要がある。なお、ターゲット材32に対向していない面はむき出しであっても構わない。ここで、シールド23の材質には制限はないが、酸素の吸着を起こさない材質のものを用いることが好適である。なお、他の実施例として、シールド23の裏面に吸着材22を備える構成が考えられる。
【0029】
つづいて、薄膜形成装置1を用いて実施される本発明に係る薄膜形成方法の手順について説明する。
初めに部材2およびターゲット材32をチャンバー4内に格納して固定する。その後、チャンバー4を密閉し、真空ポンプ42を稼動させてチャンバー4内を10−6Pa程度の高真空となるまで排気を行う。排気後、スパッタガス供給部37からチャンバー4内に0.01〜10Pa程度のスパッタガス36を供給する。その状態で、ターゲット材32に直流または高周波の電圧を印加してプラズマ35を発生させる。このプラズマ35によって、ターゲット材32がスパッタされる。スパッタによりターゲット材32から放出されたスパッタ原子33は部材2の表面に付着して薄膜3を形成する。なお、スパッタを行う際には、スパッタ原子(ここではマグネシウム原子)12がチャンバー4内壁に付着して脱落することによって生じるコンタミネーションを防止するための防着板41をチャンバー4内に設けることが好適である。一例として、防着板41はステンレスまたはアルミニウム合金で形成される。
【0030】
スパッタによる部材表面への薄膜形成においては、例えばターゲット材32が酸化マグネシウム(MgO)で構成されている場合には、部材2の表面に堆積する薄膜3も酸化マグネシウム(MgO)となる。その際の原子の挙動についてより詳しく説明すると、図2に示すように、マグネシウム原子(Mg)12と酸素原子(O)13とがターゲット材32からスパッタにより放出された時に、一旦解離して、別々に部材2の表面に到達し、そこで再結合して酸化マグネシウム(MgO)となって、薄膜(ここではMgO膜)3を形成する。ここで、マグネシウム原子(Mg)12の一部は部材2に到達せず防着板41に付着したり、ターゲット材32に戻ったりするため、酸素原子(O)13が余剰となる現象が生じる。余剰となった酸素原子(O)13bは真空ポンプ42で排気されるものもあるが、その一方で部材2に未酸化の膜表面があるとこれを酸化してしまうこととなる。例えば、図5に示すように、部材2の表面を構成する磁性層215がコバルト鉄(CoFe)からなる場合には、そこに酸化層(ここではCoFeO層)217が形成されてしまう。
【0031】
このとき、チャンバー4内に設けられる吸着部21によって、酸素原子(O)13が選択的に吸着される。また、ターゲット材32から吸着部21を鳥瞰した時に吸着材22が見えなくなるように設けられるシールド23によって、吸着材22へのマグネシウム原子(Mg)12の吸着が抑制される。
【0032】
スパッタによる薄膜3の形成が終了したときに、スパッタガス36の供給を停止して、チャンバー4内を再度10−5Pa程度の真空となるまで排気を行う。この時、吸着材22に前記の材料すなわちチタン(Ti)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)を主たる成分とする単体もしくは合金もしくは化合物が使用されていると、酸素原子(O)の解離圧が高いので、スパッタの際に吸着材22の表面に吸着した酸素原子(O)13bが、吸着材22から解離して、真空ポンプ42により排気される。前記の高真空中での解離を促進する目的で,吸着材22を適切な温度に加熱することも有効である。
【0033】
上記において説明した薄膜形成方法を用いることにより、チャンバー4内に飛散した酸化物によって、部材2の表面に酸化物の薄膜3を備える積層膜5を形成することができる。積層膜5は、一例として、磁気記録装置の読み取りに用いる磁気抵抗膜もしくは磁気記録媒体である。
【0034】
つづいて、本発明の効果について説明する。
吸着部21をチャンバー4内に設けて、吸着部21により吸着ステップを実施することによって、スパッタの際にターゲット材32から放出される余剰の酸素原子(O)13を選択的に吸着することが可能となる。その結果、スパッタ時に発生した余剰の酸素原子(O)13bは吸着材22に吸着され堆積中の部材2の表面に到達しないため、部材2の表面を構成する磁性層(ここではCoFe層)15の酸化の進行を抑制することが可能となる。また、他の実施形態であるターゲット材32がマグネシウム(Mg)から構成され、スパッタガス36に酸素(O)を用いてスパッタを行う場合においても、前記同様に吸着部21を設けることで、余剰の酸素原子(O)を減少させて、部材2の表面の過酸化を防止することが可能となる。
【0035】
ここで、吸着部21にシールド23を設けない場合には、ターゲット材32から放出されたマグネシウム原子(Mg)12が吸着材22の表面に付着してしまうこととなる。その結果、薄膜3の形成工程を繰り返すことによって、吸着材22の表面へのマグネシウム原子(Mg)12の付着量が増加すると、吸着材22を設ける目的である余剰の酸素原子(O)13を吸着することができなくなってしまう。そこで、シールド23を設けることによって、スパッタの際にターゲット材32からより放出されるマグネシウム原子(Mg)12が吸着材22の表面に吸着してマグネシウム(Mg)膜として堆積してしまうことを抑制することが可能となる。なお、シールド23が設けられる場合であっても、酸素原子(O)13に関しては、マグネシウム原子(Mg)12と相違して、シールド23を回り込むようにして吸着材22に到達できるため、吸着材22による酸素原子(O)13の吸着(および解離)が問題なく行われる。
【0036】
さらに、前述したように、吸着材22は酸素(O)との物理的結合力が比較的高く、かつ吸着した酸素(O)が高温または低圧下で解離しやすい効果を備える。すなわち、吸着材22は、通常、チャンバ−4の内壁や防着板41に使用される鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等に比べて、表面に吸着した酸素原子(O)13が解離しやすいため、スパッタ後にチャンバー4内を10−5Pa以下の高真空にすることで吸着した酸素原子(O)13を放出させることが可能となる。その結果、次回のスパッタ成膜の際に、吸着材22は表面に酸素原子(O)13が吸着していない状態で使用できるため吸着性能を保つことができる。したがって、吸着材22を交換することなく、繰り返して余剰の酸素原子(O)13を吸着させることが可能となる。なお酸素原子(O)13を吸着解離する性質を備える有機物を吸着材22に用いることも可能であるが、チャンバー4内の脱ガスの観点から、前述の材料(チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)を主たる成分とする単体もしくは合金もしくは化合物)を用いることが好適である。
【0037】
また、積層膜5は、前述の吸着ステップを経て形成されるため、ターゲット材32から放出された余剰の酸素原子(O)13により、薄膜(ここではMgO膜)3の層の下に位置する磁性層(ここではCoFe層) 15の表面の酸化が抑制されている。その結果、薄膜(ここではMgO膜)3の層厚を0.1 nmオーダの厚さで制御して形成することが可能となる。これにより、積層膜5のRA値を低く抑える(RA<3Ωμm)ことが可能となる。したがって、積層膜5を、酸化マグネシウム(MgO)を障壁層に用いたトンネル磁気抵抗効果膜として、ハードディスクドライブ用磁気ヘッドに使用することが可能となるとともに、その再生出力を高めることが可能となる。
【0038】
以上、本発明によれば、量産に適したスパッタ法において非酸化物からなる磁性層15上に酸化物をスパッタ成膜する場合でも、磁性層15が酸化されることを抑制することができる。特に、形成される積層膜5がトンネル磁気抵抗効果膜である場合には、バリア層となる薄膜3が堆積される際に、磁性層15が不要に酸化されることが抑制できるため、低いRA値を実現でき、その結果、高いトンネル磁気抵抗効果を得ることが可能となる。
【0039】
(付記1) チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に前記酸化物の薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記部材を前記チャンバーに格納する格納ステップと、前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部を設置することで、前記チャンバー内の余剰酸素を吸着する吸着ステップとを備えることを特徴とする薄膜形成方法。
(付記2) 前記格納ステップ後、ターゲット材をスパッタリングすることで前記酸化物を飛散させる飛散ステップをさらに備えることを特徴とする付記1記載の薄膜形成方法。
(付記3) 前記ターゲット材は酸素は含まないことを特徴とする付記2記載の薄膜形成方法。
(付記4) 前記吸着部は、チタン、タンタル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび白金のうち、少なくとも一つを含む材料を備えて構成されることを特徴とする付記1記載の薄膜形成方法。
(付記5) 前記吸着部は、前記ターゲット材に対向する面の少なくとも一部がシールドで覆われていることを特徴とする付記2記載の薄膜形成方法。
(付記6) 部材上に酸化物の薄膜を形成する薄膜形成装置において、
前記部材と酸化物を格納するチャンバーと、前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部とを備えることを特徴とする薄膜形成装置。
(付記7) ターゲット材をスパッタリングすることで前記酸化物を飛散させる飛散部を備えることを特徴とする付記6記載の薄膜形成装置。
(付記8) 前記吸着部は、チタン、タンタル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび白金のうち、少なくとも一つを含む材料を備えて構成されることを特徴とする付記6記載の薄膜形成装置。
(付記9) 前記吸着部は、前記ターゲット材に対向する面の少なくとも一部がシールドで覆われていることを特徴とする付記7記載の薄膜形成装置。
(付記10) チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に前記酸化物の薄膜を形成されてなる積層膜において、
少なくとも、前記部材を前記チャンバーに格納する格納ステップと、前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部を設置することで、前記チャンバー内の余剰酸素を吸着する吸着ステップとを経て形成されることを特徴とする積層膜。
(付記11) 前記積層膜は、磁気記録装置の読み取りに用いる磁気抵抗膜もしくは磁気記録媒体であることを特徴する付記10記載の積層膜。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る薄膜形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る薄膜形成方法を説明するための概略図である。
【図3】従来の実施の形態に係る半導体製造装置の一例を示す概略図である。
【図4】従来の実施の形態に係るスパッタリング装置の一例を示す概略図である。
【図5】図4に示す装置でスパッタリングを行う際の原子挙動を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 薄膜形成装置
2 部材
3 薄膜
4 チャンバー
5 積層膜
11 基板
12 マグネシウム原子
13、13a、13b 酸素原子
16 下地
21 吸着部
22 吸着材
31 飛散部
32 ターゲット材
216 下地
235 プラズマ
236 スパッタガス
237 スパッタガス供給部
241 防着板
242 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に前記酸化物の薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記部材を前記チャンバーに格納する格納ステップと、
前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部を設置することで、前記チャンバー内の余剰酸素を吸着する吸着ステップとを備えることを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項2】
前記格納ステップ後、ターゲット材をスパッタリングすることで前記酸化物を飛散させる飛散ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の薄膜形成方法。
【請求項3】
前記吸着部は、チタン、タンタル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび白金のうち、少なくとも一つを含む材料を備えて構成されることを特徴とする請求項1記載の薄膜形成方法。
【請求項4】
前記吸着部は、前記ターゲット材に対向する面の少なくとも一部がシールドで覆われていることを特徴とする請求項2記載の薄膜形成方法。
【請求項5】
部材上に酸化物の薄膜を形成する薄膜形成装置において、
前記部材と酸化物を格納するチャンバーと、前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部とを備えることを特徴とする薄膜形成装置。
【請求項6】
ターゲット材をスパッタリングすることで前記酸化物を飛散させる飛散部を備えることを特徴とする請求項5記載の薄膜形成装置。
【請求項7】
前記吸着部は、前記ターゲット材に対向する面の少なくとも一部がシールドで覆われていることを特徴とする請求項6記載の薄膜形成装置。
【請求項8】
チャンバー内に飛散した酸化物によって、部材の表面に前記酸化物の薄膜を形成されてなる積層膜において、
少なくとも、前記部材を前記チャンバーに格納する格納ステップと、
前記チャンバー内に酸素を吸着する吸着部を設置することで、前記チャンバー内の余剰酸素を吸着する吸着ステップとを経て形成されることを特徴とする積層膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−127615(P2008−127615A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312692(P2006−312692)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】