薄膜形成方法
【課題】均一な厚さの薄膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】加熱保持された基板13上方に噴霧器14aを正対配置し、揮発性溶媒に溶解した薄膜材料を噴霧器14aから下方の基板13に向けて間欠噴霧し、SPD法によって基板13表面に薄膜(透明導電膜)15を形成する薄膜形成方法で、噴霧器14aの間欠噴霧を、1回の噴霧時間が百ms以下の高速パルス間欠噴霧とする。間欠噴霧における1回の噴霧時間が短い分、噴霧中に噴霧圧力が変動して噴霧流量や噴霧領域が経時的に変化する機会が少なく、基板15表面に塗りムラが発生し難い。1回の噴霧で基板13に付着する薄膜材溶液の量が少なく、基板の温度低下も小さいので、高速パルス間欠連続噴霧により、噴霧工程に要す時間が従来方法に比べて延びることもない。
【解決手段】加熱保持された基板13上方に噴霧器14aを正対配置し、揮発性溶媒に溶解した薄膜材料を噴霧器14aから下方の基板13に向けて間欠噴霧し、SPD法によって基板13表面に薄膜(透明導電膜)15を形成する薄膜形成方法で、噴霧器14aの間欠噴霧を、1回の噴霧時間が百ms以下の高速パルス間欠噴霧とする。間欠噴霧における1回の噴霧時間が短い分、噴霧中に噴霧圧力が変動して噴霧流量や噴霧領域が経時的に変化する機会が少なく、基板15表面に塗りムラが発生し難い。1回の噴霧で基板13に付着する薄膜材溶液の量が少なく、基板の温度低下も小さいので、高速パルス間欠連続噴霧により、噴霧工程に要す時間が従来方法に比べて延びることもない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレー熱分解薄膜堆積法(Spray Pyrolysis Deposition:以下、SPD法という)により基板上に薄膜を形成する方法に係り、特に厚みが均一な薄膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、図13に示すように、ヒータ2を内蔵する架台1に載置されたガラス基板3の上方に噴霧器4を正対させて配置し、揮発性溶媒(例えばエタノール)に溶解した薄膜材料である溶質(例えばジブチル錫ジアセテート)をキャリアガス6とともに噴霧器4から下方の基板3に向けて噴霧し、溶媒の蒸発と溶質の熱分解反応により、即ちSPD法によって基板3の表面に透明導電膜5を形成する方法および装置が開示されている。
【0003】
また、噴霧器4による噴霧により基板3の温度は低下するが、基板3の温度が低下した状態で噴霧を継続すると、溶媒の蒸発と溶質の熱分解反応の進行が妨げられるおそれがある。このため、通常は基板3の温度を監視しておいて、溶媒の蒸発と溶質の熱分解反応が適切に進行するように、ある温度以上(例えば、450〜480℃の範囲)のときにだけ噴霧を行うことが不可欠で、例えば10秒間の休止時間を挟んで0.5秒の噴霧を10回〜100回の繰り返す、いわゆる間欠噴霧を行っている。即ち、噴霧器4による1回の噴霧時間は500ms(0.5秒)で、0.6ml(0.6cc)が噴霧され、1回の噴霧によって基板温度は25℃ほど低下する。このため、噴霧後、基板温度が元に戻る10秒経過後に次の噴霧が行われるように間欠噴霧のタイミングが設定されている。そして、透明導電膜9の厚みは噴霧回数に応じて増加するので、所望の厚みになるまで噴霧を繰り返した後に、作業を終了する。
【0004】
なお、図13において、符号5a,6aは配管路、符号7はポンプ、符号8は流量計である。
【0005】
【特許文献1】特許第3271906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1やその他の従来技術では、1回の噴霧時間は500msと長く、それだけ噴霧中に噴霧圧力が変動した場合に、噴霧流量や噴霧領域が経時的に変化して、基板3表面に塗りムラが発生し、基板3上に形成される薄膜9の厚みが均一にならない(薄膜9が導電膜の場合はシート抵抗(面積抵抗ともいう)値が均一とならない)という問題があった。
【0007】
発明者は、薄膜の厚みが均一にならない原因は、噴霧ノズルの間欠噴霧における1回の噴霧時間が500msと長いためであり、1回の噴霧時間を例えば数十msと短くすれば、噴霧中に噴霧圧力が変動して噴霧流量や噴霧領域が経時的に変化する機会がそれだけ少なく、基板3表面に塗りムラが発生し難い、と考えた。
【0008】
そして、この方法を試してみたところ、非常に有効であることが確認されたので、このたびの出願に至ったものである。
【0009】
本発明は、前記した従来技術の問題点および発明者の知見に基づいてなされたもので、その目的は、均一な厚さの薄膜を形成する方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に係る薄膜形成方法においては、加熱保持された基板上方に噴霧ノズルを正対配置し、揮発性溶媒に溶解した薄膜材料を前記噴霧ノズルから下方の基板に向けて間欠噴霧し、SPD法によって前記基板表面に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記噴霧ノズルの間欠噴霧を、1回の噴霧時間が百ms以下の高速パルス間欠噴霧で構成した。
【0011】
なお、噴霧と噴霧との間の噴霧休止時間は、噴霧により低下した基板温度が元に戻るために必要な所定時間で、1回の噴霧量や噴霧休止時間は、揮発性溶媒に溶解した薄膜材料(以下、薄膜材溶液という)の種類によって異なるが、例えば揮発性溶媒がエタノールで、薄膜材料がジブチル錫ジアセテートの場合は、実施例に示すように、1回の噴霧時間が20〜40ms(噴霧量が約0.01ml)、休止時間が20〜40msの高速パルス間欠噴霧が望ましい。
【0012】
(作用)噴霧ノズルの間欠噴霧における1回の噴霧時間が百ms以下という短い分、噴霧中に噴霧圧力が変動して噴霧流量や噴霧領域が経時的に変化する機会がそれだけ少なく、基板表面に塗りムラが発生し難い。
【0013】
また、1回の噴霧時間を短くすれば、1回の噴霧量が少なくなって、所定の膜厚の形成に必要な噴霧回数はそれだけ増えるものの、1回の噴霧により基板に付着する薄膜材溶液の量は少なく、したがって基板の温度低下も非常に小さいので、噴霧休止時間(噴霧と噴霧の間隔)は噴霧時間と同様に非常に短時間でよく、連続高速パルス間欠噴霧による噴霧工程に要す時間が従来方法に比べて延びることもない。
【0014】
また、所定回数の連続高速パルス間欠噴霧後には、基板に多少の温度低下がみられるため、所定回数の連続高速パルス間欠噴霧を1セットとし、1セットの連続高速パルス間欠噴霧と、基板の温度が元に戻る所定の休止時間とが交互となるように、所定セット数の連続高速パルス間欠噴霧を行うことが望ましい。
【0015】
請求項2においては、請求項1に記載の薄膜形成方法において、前記噴霧ノズルまたは/および前記基板を回転させつつ噴霧するように構成した。
【0016】
(作用)噴霧ノズルには、特有の噴霧パターンがあって噴霧微粒子の密度分布に格差があるため、噴霧ノズルと基板が固定配置されている場合には、基板表面に塗りムラが出るおそれがあるが、噴霧中心を通る鉛直軸周りに前記噴霧ノズルまたは/および前記基板を相対回転させながら噴霧することで、基板の噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されることによっても、基板表面の塗りムラが抑制される。
【0017】
請求項3においては、請求項1に記載の薄膜形成方法において、前記噴霧ノズルまたは/および前記基板を水平移動させつつ噴霧するように構成した。
【0018】
(作用)噴霧ノズルには、特有の噴霧パターンがあって噴霧微粒子の密度分布に格差があるため、噴霧ノズルと基板が固定配置されている場合には、基板表面に塗りムラが出るおそれがあるが、噴霧ノズルまたは/および基板を直線的に水平移動させながら噴霧することで、基板の噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されることによっても、基板表面の塗りムラが抑制される。
【0019】
また、噴霧ノズルまたは/および基板の水平移動方向に噴霧ノズルの噴霧領域が拡大される。
【0020】
請求項4においては、請求項1に記載の薄膜形成方法において、前記噴霧ノズルの水平移動と、前記基板の鉛直軸周りの間欠回転を連係させて、前記基板に正対する噴霧ノズルの噴霧中心を通る鉛直軸に対し周方向にほぼ等分した放射状方向に噴霧ノズルを直線的に水平移動させながら噴霧するように構成した。
【0021】
(作用)噴霧ノズルには、特有の噴霧パターンがあって噴霧微粒子の密度分布に格差があるため、噴霧ノズルと基板が固定配置されている場合には、基板表面に塗りムラが出るおそれがあるが、例えば、噴霧ノズルを鉛直軸と直交する方向に直線的に移動させながら噴霧する動作と、基板を載置した回転テーブルの所定角度の間欠回転とを連係させることで、噴霧ノズルの噴霧中心を通る鉛直軸に対する周方向にほぼ等分した放射状方向に直線的に噴霧ノズルを水平移動させながら噴霧することで、少なくとも噴霧ノズルの直線的移動範囲を直径とする円領域全体が基板における噴霧領域となるとともに、この噴霧領域では噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されたものとなる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る薄膜形成方法によれば、噴霧中に噴霧圧力が変動して噴霧流量や噴霧領域が変化しないので、基板の表面に塗りムラが生じ難く、それだけ均一な厚さの薄膜を形成できる。
【0023】
請求項2によれば、基板の噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されて、基板表面の塗りムラが抑制されるので、さらに一層均一な厚さの薄膜を形成できる。
【0024】
請求項3によれば、基板の噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されて、基板表面の塗りムラが抑制されるので、さらに一層均一な厚さの薄膜を形成できる。
【0025】
請求項4によれば、少なくとも噴霧ノズルの直線的移動範囲を直径とする噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されて、少なくとも噴霧ノズルの直線的移動範囲を直径とする大きさの基板表面の塗りムラが抑制されるので、従来方法では形成が困難な大きさでさらに一層均一な厚さの薄膜を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本願発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0027】
図1は本発明方法を実施するための透明導電膜形成装置の第1の実施例の全体概要図である。
【0028】
透明導電膜形成装置は、加熱手段であるヒータ2が内蔵され、架台10に対し回転可能に支承された基板載置用の回転テーブル12と、回転テーブル12の上方に噴霧ノズル14aを下向きにして配置された霧化器14とを備えて構成されている。霧化器14には、揮発性溶媒(例えばエタノール)に薄膜材料である溶質(例えばジブチル錫ジアセテート)を溶解した薄膜材溶液5とキャリアガス(例えば空気)6とが配管路5a,6aを介してそれぞれ供給されている。符号7はポンプ、符号8は流量計である。そして、回転テーブル12に載置したガラス基板13に対し、上方の霧化器14(噴霧ノズル14a)が薄膜材溶液5をキャリアガス6とともに噴霧し、ガラス基板13の表面上における溶媒の蒸発と溶質の熱分解反応により、即ちSPD法によって基板13の表面に透明導電膜15が形成されるようになっている。符号Oは、基板13と噴霧ノズル14aが正対する状態における噴霧領域における噴霧中心、符号Lは回転テーブル12の回転中心軸である。
【0029】
噴霧ノズル14aの噴出孔には、軸方向(図1中、上下方向)に摺動することで噴出孔を開閉させるニードルが挿通配置されており、例えばエアオペレートバルブの駆動によりニードルが高速度で摺動(上下動)することで、噴霧ノズル14aの噴出孔が開閉動作(噴霧ノズル14aの噴霧動作がON・OFF)するように構成されている。そして、霧化器14(噴霧ノズル14a)の1回の噴霧時間(薄膜材溶液の噴霧量)や間欠噴霧の間隔(噴霧休止時間)および噴霧回数等は、制御ユニット30を操作することで、1回の噴霧時間(噴霧ノズル14aの噴出孔が1回開口することによる薄膜材溶液の噴霧量)は、10ms〜100ms(0.005〜0.05ml)の範囲内で調整でき、噴霧のタイミング(休止時間)も数ms〜100msの範囲で任意に設定できる。例えば、本実施例では、1回の噴霧時間が20ms(薄膜材溶液の噴霧量0.01ml)で、間欠噴霧の間隔(噴霧休止時間)が35msで、32回の高速パルス間欠噴霧を1セットとし、1セット終了後の休止時間15秒を経て125セット繰り返すことで、総噴霧量37.5mlの薄膜材溶液が噴霧されるように設定されている(以下、この噴霧条件を設定噴霧条件という)。
【0030】
配管路5a,6aは、フレキシブルホースで構成されるとともに、霧化器14は、例えばロボットのアーム等で構成された水平方向移動装置20によって、X軸前後方向に移動できるように構成されている。
【0031】
制御ユニット30は、前記したように、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧を制御する他、回転テーブル12の回転角度や水平方向移動装置20の駆動等も制御する。
【0032】
この図1に示す装置を用いた第1の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、回転テーブル12を所定速度で回転させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。
【0033】
そして、従来方法では、図2破線で示すように、多少いびつな円形の噴霧パターンに対応する非円形状で、膜厚が不均一な透明導電膜15aしか形成できなかったのに対し、この実施例方法では、図2実線で示すように、真円形の噴霧パターンに対応する真円形状で、均一な膜厚の透明導電膜15(図2斜線参照)が形成できる。
【0034】
また、第2の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20を駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。霧化器14(噴霧ノズル14a)の移動しながらの噴霧は、X軸方向に沿った往路または復路のいずれか一方だけにおいて行うことも、往路および復路の両方において行うこともできる。
【0035】
そして、図3矢印に示すように、ガラス基板13の中心を通るX軸方向に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が移動して、ガラス基板13の表面には、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とする(X軸方向に長い)帯状の均一な膜厚の透明導電膜15(図3斜線参照)が形成される。
【0036】
また、第3の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20を駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。次いで、回転テーブル12を図4時計回りに90度回動した後、再び水平方向移動装置20を駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸逆方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。霧化器14(噴霧ノズル14a)の移動しながらの噴霧は、第2の実施例方法の場合と同様、往路または復路のいずれか一方だけにおいて行うことも、往路および復路の両方において行うこともできる。
【0037】
そして、図4矢印に示すように、ガラス基板13の中心を通るX軸方向およびX軸と直交する方向(Y軸方向)に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が移動して、ガラス基板13の表面には、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とする直交する帯状(十字状)の均一な透明導電膜15(図4斜線参照)が形成される。
【0038】
また、第4の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20の駆動による霧化器14(噴霧ノズル14a)のX軸方向への直線的移動と、回転テーブル12の図5時計回りの所定角度θの間欠回転とを連係させる。即ち、水平方向移動装置20の駆動により、霧化器14(噴霧ノズル14a)のX軸方向への直線的に移動しながらの前記設定噴霧条件での高速パルス間欠噴霧と、霧化器14(噴霧ノズル14a)の直線的移動噴霧終了後の回転テーブル12の所定角度(例えばθ=22.5度)の間欠回転とを、回転テーブル12が1回転するまで繰り返す工程を所定回数繰り返す。
【0039】
そして、図5に示すように、霧化器14(噴霧ノズル14a)をその噴霧中心Oがガラス基板13の中心(回転テーブル12の回転中心軸)を通る周方向16等分の放射状方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行うことで、ガラス基板13の表面には、少なくとも霧化器14(噴霧ノズル14a)のX軸方向移動距離を直径とする大きさの円形状の均一な透明導電膜15が形成される。
【0040】
図6は透明導電膜形成装置の第2の実施例の全体概要図である。
【0041】
この透明導電膜形成装置は、加熱手段であるヒータ2が内蔵され、架台10に対し直交二軸(X軸およびY軸)方向移動可能に組み付けられた基板載置用の移動テーブル22と、移動テーブル22の上方にその噴霧ノズル14aを下向きにして配置された霧化器14とを備えて構成されている。霧化器14の構成は、前記第1の実施例装置と同一であるため、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。符号23は、移動テーブル22における直交二軸(X軸およびY軸)方向移動機構である。また、霧化器14は、例えばロボットのアーム等で構成された水平方向移動装置20Aによって、直交二軸(X軸およびY軸)前後方向に移動できるように構成されている。
【0042】
符号30Aは、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧を制御する他、移動テーブル22の駆動や水平方向移動装置20Aの駆動を制御する制御ユニットで、制御ユニット30Aにおいて設定されている噴霧ノズル14aの高速パルス間欠噴霧条件は、前記した第1の実施例装置と同一(設定噴霧条件)である。
【0043】
この図6に示す装置を用いた第5の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20Aを駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で間欠噴霧するか、または移動テーブル22を駆動して移動テーブル22をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。
【0044】
そして、図7矢印に示すように、正方形状のガラス基板13の中心を通るX軸方向に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が相対的に移動して、ガラス基板13の表面には、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とする帯状の均一な膜厚の透明導電膜15が形成される。これは、第2の実施例方法によって形成された透明導電膜15(図3)と同一である。
【0045】
また、第6の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20Aを駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行うか、または移動機構23を駆動して移動テーブル22をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。次いで、水平方向移動装置20Aを駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をY軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行うか、または移動機構23を駆動して移動テーブル22をY軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。
【0046】
そして、図8矢印に示すように、正方形状のガラス基板13の中心を通るX軸方向およびY軸方向に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が相対的に移動して、ガラス基板13の表面には、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とする直交する帯状の透明導電膜15が形成される。これは、第3の実施例方法によって形成された透明導電膜15(図4)と同一である。
【0047】
また、第7の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20Aを駆動して、図9に示すように、基板13の側縁部が霧化器14(噴霧ノズル14a)噴霧パターン内となる基板13の側縁部寄りのX1位置から、霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向(図9右方向)に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。次いで、霧化器14(噴霧ノズル14a)をY軸方向に所定量dだけ移動させたX2位置から、霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸逆方向(図9左方向)に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。このように霧化器14(噴霧ノズル14a)がX軸方向前後に移動しながら噴霧する動作と、Y軸方向に所定量dだけ移動する動作を連係して繰り返すことで、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とするX軸方向に延びる帯状噴霧領域がY軸方向にdだけずれて重なった噴霧領域が形成される。その後、水平方向移動装置20Aを駆動して、基板13の側縁部が霧化器14(噴霧ノズル14a)噴霧パターン内となる基板13の側縁部寄りのY1位置から、霧化器14(噴霧ノズル14a)をY軸方向(図9下方向)に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。次いで、霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に所定量dだけ移動させたY2位置から、霧化器14(噴霧ノズル14a)をY軸逆方向(図9上方向)に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。このように霧化器14(噴霧ノズル14a)がY軸方向前後に移動しながら噴霧する動作と、X軸方向に所定量dだけ移動する動作を連係して繰り返すことで、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とするY軸方向に延びる帯状噴霧領域がX軸方向にdだけずれて重なった噴霧領域がさらに形成される。そして、図9矢印に示すように、正方形状のガラス基板13の側縁部に沿ったX軸方向およびY軸方向に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が碁盤目状に移動して、ガラス基板13の表面全体に均一な厚さの透明導電膜15が形成される。
【0048】
なお、図に示す移動機構23(移動テーブル22)を駆動し、固定された霧化器14(噴霧ノズル14a)に対しガラス基板13をX軸方向およびY軸方向に移動させながら高速パルス間欠噴霧を行うことによっても透明導電膜15を形成できる。
【0049】
また、図9に示すガラス基板13の表面全体に透明導電膜15を形成するに際し、ガラス基板13の側縁部に沿ったX軸方向およびY軸方向への直線的移動を水平方向移動装置20Aによって行い、ガラス基板13の側縁部に沿ったX軸方向およびY軸方向と直交する方向への所定量dの移動を移動テーブル22で行うようにしてもよい。
【0050】
次に、第2の実施例方法(図3参照),第1の実施例方法(図2参照)および第3実施例方法(図4参照)を用いて透明導電膜であるFTO膜(フッ素添加酸化錫膜)を形成した実験例を説明する。
【0051】
導電性を評価できる指標の1つにシート抵抗値[Ω/□]があり、一般にシート抵抗値は薄膜の厚みに反比例して変化することが知られている。シート抵抗値の観点から、第2実施例方法により形成されたFTO膜(実験例1、図3参照),第1の実施例方法により形成されたFTO膜(実験例2、図2参照)および第3の実施例方法により形成されたFTO膜(実験例3、図4参照)について確認した実験データについて述べる。
【0052】
まず、実験の基本的条件について述べる。実験には、図1に示す透明導電膜形成装置を使用した。あらかじめ加熱したヒータ内蔵回転テーブル上に基板(100mm角で厚さ1mmのガラス板)を設置し、ガラス基板表面の温度を約465℃に安定させた。噴霧ノズルと基板間の距離は245mmに固定した。噴霧の条件は、前記した実施例において説明した設定噴霧条件である。即ち、1回の噴霧時間は20ms(20/1000秒)で、これを35ms間隔で32回繰り返すことを1サイクルとした。1サイクルでの噴霧量は約0.01mlである。1サイクルで基板の温度が約5℃低下したことから、温度が465℃にまで回復するのを待つために、サイクル間に15sの噴霧休止時間を挟んだ。休止時間を挟みながら上記の1サイクル噴霧を125回繰り返したとき(総噴霧量は37.5ml)、ガラス基板上に約1000nmのFTO膜が形成された。形成されたFTO膜のシート抵抗値を、100mm角の面内9箇所(縦横それぞれ3等分したときにできる9面)において測定した。
【0053】
実験例1(図3参照)では、噴霧ノズルの移動は1軸方向で、その移動量は基板の中心に対し±75mm(すなわち移動距離150mm)、移動速度は83mm/sであった。噴霧ノズルの1サイクル噴霧に要す時間と基板13を横切るために要す時間はほぼ等しく、噴霧ノズルの移動方向を1サイクル毎に入れ替えた。実験例1(図3参照)における噴霧ノズルの移動の有無とシート抵抗値の関係は、図10に示すように、噴霧ノズルを移動させない場合よりも移動させた場合の方が、シート抵抗値の平均値も低く、ばらつきの幅も狭かった。すなわち、噴霧ノズルを移動させながら噴霧した方が、塗布ムラが改善され、100mm角の面内での膜厚のばらつきが抑制されていることがわかる。
【0054】
実験例2(図2参照)では、噴霧中は噴霧ノズルを基板の直上に固定しておき、前記した1サイクル噴霧と休止時間を使って、125回噴霧した(総噴霧量は37.5ml)。回転テーブル(基板)を1サイクルごとに90度回転させた。基板の回転の有無とシート抵抗値の関係は、図11に示すように、基板を回転させない場合よりも回転させた場合の方がシート抵抗値の平均値も低く、ばらつきも狭い。すなわち、基板を回転させながら噴霧した方が、塗布ムラが改善されていることがわかる。
【0055】
実験例3(図4参照)では、噴霧ノズルの直線的移動と基板の回転とを組み合わせた第3の実施例方法を用いた。噴霧ノズルの移動と噴霧サイクルとの関係は実験例1と同じであった。図12に示すように、シート抵抗値は平均値で10.8(Ω/□)、ばらつきは2.4(Ω/□)に収まった。これは実験例1(図3参照)や実験例2(図2参照)の場合よりも更に膜厚の均一化が図れていることを示している。
【0056】
なお、前記した実施例方法では、噴霧ノズルまたは/および基板を回転させつつ高速パルス間欠噴霧するか、噴霧ノズルまたは/および基板を水平移動させつつ高速パルス間欠噴霧するように構成されているが、加熱保持された基板上方に噴霧ノズルを正対するように固定配置した形態で、高速パルス間欠噴霧するようにしてもよい。
【0057】
また、前記した実施例方法では、SPD法によって透明導電膜を形成する方法について説明したが、本発明方法は、前記した透明導電膜(半導体薄膜)を形成する場合の他に、SPD法によってTiO2薄膜等の多孔質性薄膜を基板上に形成したり、SPD法またはその他の方法によって形成した透明導電膜上に、SPD法によってTiO2薄膜等の多孔質性薄膜を積層形成する場合にも広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る透明導電膜形成装置の第1の実施例の全体概要図である。
【図2】第1の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図3】第2の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図4】第3の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図5】第4の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図6】本発明に係る透明導電膜形成装置の第2の実施例の全体概要図である。
【図7】第5の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図8】第6の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図9】第7の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図10】実験例1の評価を示す図である。
【図11】実験例2の評価を示す図である。
【図12】実験例3の評価を示す図である。
【図13】従来の透明導電膜形成装置の全体概要図である。
【符号の説明】
【0059】
2 加熱手段であるヒータ
10 架台
12 回転テーブル
13 透明導電膜堆積用の基板
14 噴霧器
14a 噴霧ノズル
15 薄膜である透明導電膜
20 噴霧器の水平方向移動手段であるX軸方向移動装置
20A 噴霧器の水平方向移動手段であるX軸およびY軸方向移動装置
22 移動テーブル
30,30A 制御ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレー熱分解薄膜堆積法(Spray Pyrolysis Deposition:以下、SPD法という)により基板上に薄膜を形成する方法に係り、特に厚みが均一な薄膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、図13に示すように、ヒータ2を内蔵する架台1に載置されたガラス基板3の上方に噴霧器4を正対させて配置し、揮発性溶媒(例えばエタノール)に溶解した薄膜材料である溶質(例えばジブチル錫ジアセテート)をキャリアガス6とともに噴霧器4から下方の基板3に向けて噴霧し、溶媒の蒸発と溶質の熱分解反応により、即ちSPD法によって基板3の表面に透明導電膜5を形成する方法および装置が開示されている。
【0003】
また、噴霧器4による噴霧により基板3の温度は低下するが、基板3の温度が低下した状態で噴霧を継続すると、溶媒の蒸発と溶質の熱分解反応の進行が妨げられるおそれがある。このため、通常は基板3の温度を監視しておいて、溶媒の蒸発と溶質の熱分解反応が適切に進行するように、ある温度以上(例えば、450〜480℃の範囲)のときにだけ噴霧を行うことが不可欠で、例えば10秒間の休止時間を挟んで0.5秒の噴霧を10回〜100回の繰り返す、いわゆる間欠噴霧を行っている。即ち、噴霧器4による1回の噴霧時間は500ms(0.5秒)で、0.6ml(0.6cc)が噴霧され、1回の噴霧によって基板温度は25℃ほど低下する。このため、噴霧後、基板温度が元に戻る10秒経過後に次の噴霧が行われるように間欠噴霧のタイミングが設定されている。そして、透明導電膜9の厚みは噴霧回数に応じて増加するので、所望の厚みになるまで噴霧を繰り返した後に、作業を終了する。
【0004】
なお、図13において、符号5a,6aは配管路、符号7はポンプ、符号8は流量計である。
【0005】
【特許文献1】特許第3271906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1やその他の従来技術では、1回の噴霧時間は500msと長く、それだけ噴霧中に噴霧圧力が変動した場合に、噴霧流量や噴霧領域が経時的に変化して、基板3表面に塗りムラが発生し、基板3上に形成される薄膜9の厚みが均一にならない(薄膜9が導電膜の場合はシート抵抗(面積抵抗ともいう)値が均一とならない)という問題があった。
【0007】
発明者は、薄膜の厚みが均一にならない原因は、噴霧ノズルの間欠噴霧における1回の噴霧時間が500msと長いためであり、1回の噴霧時間を例えば数十msと短くすれば、噴霧中に噴霧圧力が変動して噴霧流量や噴霧領域が経時的に変化する機会がそれだけ少なく、基板3表面に塗りムラが発生し難い、と考えた。
【0008】
そして、この方法を試してみたところ、非常に有効であることが確認されたので、このたびの出願に至ったものである。
【0009】
本発明は、前記した従来技術の問題点および発明者の知見に基づいてなされたもので、その目的は、均一な厚さの薄膜を形成する方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に係る薄膜形成方法においては、加熱保持された基板上方に噴霧ノズルを正対配置し、揮発性溶媒に溶解した薄膜材料を前記噴霧ノズルから下方の基板に向けて間欠噴霧し、SPD法によって前記基板表面に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記噴霧ノズルの間欠噴霧を、1回の噴霧時間が百ms以下の高速パルス間欠噴霧で構成した。
【0011】
なお、噴霧と噴霧との間の噴霧休止時間は、噴霧により低下した基板温度が元に戻るために必要な所定時間で、1回の噴霧量や噴霧休止時間は、揮発性溶媒に溶解した薄膜材料(以下、薄膜材溶液という)の種類によって異なるが、例えば揮発性溶媒がエタノールで、薄膜材料がジブチル錫ジアセテートの場合は、実施例に示すように、1回の噴霧時間が20〜40ms(噴霧量が約0.01ml)、休止時間が20〜40msの高速パルス間欠噴霧が望ましい。
【0012】
(作用)噴霧ノズルの間欠噴霧における1回の噴霧時間が百ms以下という短い分、噴霧中に噴霧圧力が変動して噴霧流量や噴霧領域が経時的に変化する機会がそれだけ少なく、基板表面に塗りムラが発生し難い。
【0013】
また、1回の噴霧時間を短くすれば、1回の噴霧量が少なくなって、所定の膜厚の形成に必要な噴霧回数はそれだけ増えるものの、1回の噴霧により基板に付着する薄膜材溶液の量は少なく、したがって基板の温度低下も非常に小さいので、噴霧休止時間(噴霧と噴霧の間隔)は噴霧時間と同様に非常に短時間でよく、連続高速パルス間欠噴霧による噴霧工程に要す時間が従来方法に比べて延びることもない。
【0014】
また、所定回数の連続高速パルス間欠噴霧後には、基板に多少の温度低下がみられるため、所定回数の連続高速パルス間欠噴霧を1セットとし、1セットの連続高速パルス間欠噴霧と、基板の温度が元に戻る所定の休止時間とが交互となるように、所定セット数の連続高速パルス間欠噴霧を行うことが望ましい。
【0015】
請求項2においては、請求項1に記載の薄膜形成方法において、前記噴霧ノズルまたは/および前記基板を回転させつつ噴霧するように構成した。
【0016】
(作用)噴霧ノズルには、特有の噴霧パターンがあって噴霧微粒子の密度分布に格差があるため、噴霧ノズルと基板が固定配置されている場合には、基板表面に塗りムラが出るおそれがあるが、噴霧中心を通る鉛直軸周りに前記噴霧ノズルまたは/および前記基板を相対回転させながら噴霧することで、基板の噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されることによっても、基板表面の塗りムラが抑制される。
【0017】
請求項3においては、請求項1に記載の薄膜形成方法において、前記噴霧ノズルまたは/および前記基板を水平移動させつつ噴霧するように構成した。
【0018】
(作用)噴霧ノズルには、特有の噴霧パターンがあって噴霧微粒子の密度分布に格差があるため、噴霧ノズルと基板が固定配置されている場合には、基板表面に塗りムラが出るおそれがあるが、噴霧ノズルまたは/および基板を直線的に水平移動させながら噴霧することで、基板の噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されることによっても、基板表面の塗りムラが抑制される。
【0019】
また、噴霧ノズルまたは/および基板の水平移動方向に噴霧ノズルの噴霧領域が拡大される。
【0020】
請求項4においては、請求項1に記載の薄膜形成方法において、前記噴霧ノズルの水平移動と、前記基板の鉛直軸周りの間欠回転を連係させて、前記基板に正対する噴霧ノズルの噴霧中心を通る鉛直軸に対し周方向にほぼ等分した放射状方向に噴霧ノズルを直線的に水平移動させながら噴霧するように構成した。
【0021】
(作用)噴霧ノズルには、特有の噴霧パターンがあって噴霧微粒子の密度分布に格差があるため、噴霧ノズルと基板が固定配置されている場合には、基板表面に塗りムラが出るおそれがあるが、例えば、噴霧ノズルを鉛直軸と直交する方向に直線的に移動させながら噴霧する動作と、基板を載置した回転テーブルの所定角度の間欠回転とを連係させることで、噴霧ノズルの噴霧中心を通る鉛直軸に対する周方向にほぼ等分した放射状方向に直線的に噴霧ノズルを水平移動させながら噴霧することで、少なくとも噴霧ノズルの直線的移動範囲を直径とする円領域全体が基板における噴霧領域となるとともに、この噴霧領域では噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されたものとなる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る薄膜形成方法によれば、噴霧中に噴霧圧力が変動して噴霧流量や噴霧領域が変化しないので、基板の表面に塗りムラが生じ難く、それだけ均一な厚さの薄膜を形成できる。
【0023】
請求項2によれば、基板の噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されて、基板表面の塗りムラが抑制されるので、さらに一層均一な厚さの薄膜を形成できる。
【0024】
請求項3によれば、基板の噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されて、基板表面の塗りムラが抑制されるので、さらに一層均一な厚さの薄膜を形成できる。
【0025】
請求項4によれば、少なくとも噴霧ノズルの直線的移動範囲を直径とする噴霧領域における噴霧微粒子の密度分布の格差が平均化されて、少なくとも噴霧ノズルの直線的移動範囲を直径とする大きさの基板表面の塗りムラが抑制されるので、従来方法では形成が困難な大きさでさらに一層均一な厚さの薄膜を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本願発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0027】
図1は本発明方法を実施するための透明導電膜形成装置の第1の実施例の全体概要図である。
【0028】
透明導電膜形成装置は、加熱手段であるヒータ2が内蔵され、架台10に対し回転可能に支承された基板載置用の回転テーブル12と、回転テーブル12の上方に噴霧ノズル14aを下向きにして配置された霧化器14とを備えて構成されている。霧化器14には、揮発性溶媒(例えばエタノール)に薄膜材料である溶質(例えばジブチル錫ジアセテート)を溶解した薄膜材溶液5とキャリアガス(例えば空気)6とが配管路5a,6aを介してそれぞれ供給されている。符号7はポンプ、符号8は流量計である。そして、回転テーブル12に載置したガラス基板13に対し、上方の霧化器14(噴霧ノズル14a)が薄膜材溶液5をキャリアガス6とともに噴霧し、ガラス基板13の表面上における溶媒の蒸発と溶質の熱分解反応により、即ちSPD法によって基板13の表面に透明導電膜15が形成されるようになっている。符号Oは、基板13と噴霧ノズル14aが正対する状態における噴霧領域における噴霧中心、符号Lは回転テーブル12の回転中心軸である。
【0029】
噴霧ノズル14aの噴出孔には、軸方向(図1中、上下方向)に摺動することで噴出孔を開閉させるニードルが挿通配置されており、例えばエアオペレートバルブの駆動によりニードルが高速度で摺動(上下動)することで、噴霧ノズル14aの噴出孔が開閉動作(噴霧ノズル14aの噴霧動作がON・OFF)するように構成されている。そして、霧化器14(噴霧ノズル14a)の1回の噴霧時間(薄膜材溶液の噴霧量)や間欠噴霧の間隔(噴霧休止時間)および噴霧回数等は、制御ユニット30を操作することで、1回の噴霧時間(噴霧ノズル14aの噴出孔が1回開口することによる薄膜材溶液の噴霧量)は、10ms〜100ms(0.005〜0.05ml)の範囲内で調整でき、噴霧のタイミング(休止時間)も数ms〜100msの範囲で任意に設定できる。例えば、本実施例では、1回の噴霧時間が20ms(薄膜材溶液の噴霧量0.01ml)で、間欠噴霧の間隔(噴霧休止時間)が35msで、32回の高速パルス間欠噴霧を1セットとし、1セット終了後の休止時間15秒を経て125セット繰り返すことで、総噴霧量37.5mlの薄膜材溶液が噴霧されるように設定されている(以下、この噴霧条件を設定噴霧条件という)。
【0030】
配管路5a,6aは、フレキシブルホースで構成されるとともに、霧化器14は、例えばロボットのアーム等で構成された水平方向移動装置20によって、X軸前後方向に移動できるように構成されている。
【0031】
制御ユニット30は、前記したように、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧を制御する他、回転テーブル12の回転角度や水平方向移動装置20の駆動等も制御する。
【0032】
この図1に示す装置を用いた第1の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、回転テーブル12を所定速度で回転させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。
【0033】
そして、従来方法では、図2破線で示すように、多少いびつな円形の噴霧パターンに対応する非円形状で、膜厚が不均一な透明導電膜15aしか形成できなかったのに対し、この実施例方法では、図2実線で示すように、真円形の噴霧パターンに対応する真円形状で、均一な膜厚の透明導電膜15(図2斜線参照)が形成できる。
【0034】
また、第2の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20を駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。霧化器14(噴霧ノズル14a)の移動しながらの噴霧は、X軸方向に沿った往路または復路のいずれか一方だけにおいて行うことも、往路および復路の両方において行うこともできる。
【0035】
そして、図3矢印に示すように、ガラス基板13の中心を通るX軸方向に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が移動して、ガラス基板13の表面には、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とする(X軸方向に長い)帯状の均一な膜厚の透明導電膜15(図3斜線参照)が形成される。
【0036】
また、第3の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20を駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。次いで、回転テーブル12を図4時計回りに90度回動した後、再び水平方向移動装置20を駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸逆方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。霧化器14(噴霧ノズル14a)の移動しながらの噴霧は、第2の実施例方法の場合と同様、往路または復路のいずれか一方だけにおいて行うことも、往路および復路の両方において行うこともできる。
【0037】
そして、図4矢印に示すように、ガラス基板13の中心を通るX軸方向およびX軸と直交する方向(Y軸方向)に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が移動して、ガラス基板13の表面には、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とする直交する帯状(十字状)の均一な透明導電膜15(図4斜線参照)が形成される。
【0038】
また、第4の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20の駆動による霧化器14(噴霧ノズル14a)のX軸方向への直線的移動と、回転テーブル12の図5時計回りの所定角度θの間欠回転とを連係させる。即ち、水平方向移動装置20の駆動により、霧化器14(噴霧ノズル14a)のX軸方向への直線的に移動しながらの前記設定噴霧条件での高速パルス間欠噴霧と、霧化器14(噴霧ノズル14a)の直線的移動噴霧終了後の回転テーブル12の所定角度(例えばθ=22.5度)の間欠回転とを、回転テーブル12が1回転するまで繰り返す工程を所定回数繰り返す。
【0039】
そして、図5に示すように、霧化器14(噴霧ノズル14a)をその噴霧中心Oがガラス基板13の中心(回転テーブル12の回転中心軸)を通る周方向16等分の放射状方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行うことで、ガラス基板13の表面には、少なくとも霧化器14(噴霧ノズル14a)のX軸方向移動距離を直径とする大きさの円形状の均一な透明導電膜15が形成される。
【0040】
図6は透明導電膜形成装置の第2の実施例の全体概要図である。
【0041】
この透明導電膜形成装置は、加熱手段であるヒータ2が内蔵され、架台10に対し直交二軸(X軸およびY軸)方向移動可能に組み付けられた基板載置用の移動テーブル22と、移動テーブル22の上方にその噴霧ノズル14aを下向きにして配置された霧化器14とを備えて構成されている。霧化器14の構成は、前記第1の実施例装置と同一であるため、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。符号23は、移動テーブル22における直交二軸(X軸およびY軸)方向移動機構である。また、霧化器14は、例えばロボットのアーム等で構成された水平方向移動装置20Aによって、直交二軸(X軸およびY軸)前後方向に移動できるように構成されている。
【0042】
符号30Aは、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧を制御する他、移動テーブル22の駆動や水平方向移動装置20Aの駆動を制御する制御ユニットで、制御ユニット30Aにおいて設定されている噴霧ノズル14aの高速パルス間欠噴霧条件は、前記した第1の実施例装置と同一(設定噴霧条件)である。
【0043】
この図6に示す装置を用いた第5の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20Aを駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で間欠噴霧するか、または移動テーブル22を駆動して移動テーブル22をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。
【0044】
そして、図7矢印に示すように、正方形状のガラス基板13の中心を通るX軸方向に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が相対的に移動して、ガラス基板13の表面には、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とする帯状の均一な膜厚の透明導電膜15が形成される。これは、第2の実施例方法によって形成された透明導電膜15(図3)と同一である。
【0045】
また、第6の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20Aを駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行うか、または移動機構23を駆動して移動テーブル22をX軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。次いで、水平方向移動装置20Aを駆動して霧化器14(噴霧ノズル14a)をY軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行うか、または移動機構23を駆動して移動テーブル22をY軸方向に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。
【0046】
そして、図8矢印に示すように、正方形状のガラス基板13の中心を通るX軸方向およびY軸方向に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が相対的に移動して、ガラス基板13の表面には、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とする直交する帯状の透明導電膜15が形成される。これは、第3の実施例方法によって形成された透明導電膜15(図4)と同一である。
【0047】
また、第7の実施例方法としては、霧化器14(噴霧ノズル14a)を基板13の真上に正対するように配置し、水平方向移動装置20Aを駆動して、図9に示すように、基板13の側縁部が霧化器14(噴霧ノズル14a)噴霧パターン内となる基板13の側縁部寄りのX1位置から、霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向(図9右方向)に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。次いで、霧化器14(噴霧ノズル14a)をY軸方向に所定量dだけ移動させたX2位置から、霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸逆方向(図9左方向)に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。このように霧化器14(噴霧ノズル14a)がX軸方向前後に移動しながら噴霧する動作と、Y軸方向に所定量dだけ移動する動作を連係して繰り返すことで、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とするX軸方向に延びる帯状噴霧領域がY軸方向にdだけずれて重なった噴霧領域が形成される。その後、水平方向移動装置20Aを駆動して、基板13の側縁部が霧化器14(噴霧ノズル14a)噴霧パターン内となる基板13の側縁部寄りのY1位置から、霧化器14(噴霧ノズル14a)をY軸方向(図9下方向)に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。次いで、霧化器14(噴霧ノズル14a)をX軸方向に所定量dだけ移動させたY2位置から、霧化器14(噴霧ノズル14a)をY軸逆方向(図9上方向)に移動させながら前記設定噴霧条件で高速パルス間欠噴霧を行う。このように霧化器14(噴霧ノズル14a)がY軸方向前後に移動しながら噴霧する動作と、X軸方向に所定量dだけ移動する動作を連係して繰り返すことで、霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧パターンの直径を幅とするY軸方向に延びる帯状噴霧領域がX軸方向にdだけずれて重なった噴霧領域がさらに形成される。そして、図9矢印に示すように、正方形状のガラス基板13の側縁部に沿ったX軸方向およびY軸方向に霧化器14(噴霧ノズル14a)の噴霧中心が碁盤目状に移動して、ガラス基板13の表面全体に均一な厚さの透明導電膜15が形成される。
【0048】
なお、図に示す移動機構23(移動テーブル22)を駆動し、固定された霧化器14(噴霧ノズル14a)に対しガラス基板13をX軸方向およびY軸方向に移動させながら高速パルス間欠噴霧を行うことによっても透明導電膜15を形成できる。
【0049】
また、図9に示すガラス基板13の表面全体に透明導電膜15を形成するに際し、ガラス基板13の側縁部に沿ったX軸方向およびY軸方向への直線的移動を水平方向移動装置20Aによって行い、ガラス基板13の側縁部に沿ったX軸方向およびY軸方向と直交する方向への所定量dの移動を移動テーブル22で行うようにしてもよい。
【0050】
次に、第2の実施例方法(図3参照),第1の実施例方法(図2参照)および第3実施例方法(図4参照)を用いて透明導電膜であるFTO膜(フッ素添加酸化錫膜)を形成した実験例を説明する。
【0051】
導電性を評価できる指標の1つにシート抵抗値[Ω/□]があり、一般にシート抵抗値は薄膜の厚みに反比例して変化することが知られている。シート抵抗値の観点から、第2実施例方法により形成されたFTO膜(実験例1、図3参照),第1の実施例方法により形成されたFTO膜(実験例2、図2参照)および第3の実施例方法により形成されたFTO膜(実験例3、図4参照)について確認した実験データについて述べる。
【0052】
まず、実験の基本的条件について述べる。実験には、図1に示す透明導電膜形成装置を使用した。あらかじめ加熱したヒータ内蔵回転テーブル上に基板(100mm角で厚さ1mmのガラス板)を設置し、ガラス基板表面の温度を約465℃に安定させた。噴霧ノズルと基板間の距離は245mmに固定した。噴霧の条件は、前記した実施例において説明した設定噴霧条件である。即ち、1回の噴霧時間は20ms(20/1000秒)で、これを35ms間隔で32回繰り返すことを1サイクルとした。1サイクルでの噴霧量は約0.01mlである。1サイクルで基板の温度が約5℃低下したことから、温度が465℃にまで回復するのを待つために、サイクル間に15sの噴霧休止時間を挟んだ。休止時間を挟みながら上記の1サイクル噴霧を125回繰り返したとき(総噴霧量は37.5ml)、ガラス基板上に約1000nmのFTO膜が形成された。形成されたFTO膜のシート抵抗値を、100mm角の面内9箇所(縦横それぞれ3等分したときにできる9面)において測定した。
【0053】
実験例1(図3参照)では、噴霧ノズルの移動は1軸方向で、その移動量は基板の中心に対し±75mm(すなわち移動距離150mm)、移動速度は83mm/sであった。噴霧ノズルの1サイクル噴霧に要す時間と基板13を横切るために要す時間はほぼ等しく、噴霧ノズルの移動方向を1サイクル毎に入れ替えた。実験例1(図3参照)における噴霧ノズルの移動の有無とシート抵抗値の関係は、図10に示すように、噴霧ノズルを移動させない場合よりも移動させた場合の方が、シート抵抗値の平均値も低く、ばらつきの幅も狭かった。すなわち、噴霧ノズルを移動させながら噴霧した方が、塗布ムラが改善され、100mm角の面内での膜厚のばらつきが抑制されていることがわかる。
【0054】
実験例2(図2参照)では、噴霧中は噴霧ノズルを基板の直上に固定しておき、前記した1サイクル噴霧と休止時間を使って、125回噴霧した(総噴霧量は37.5ml)。回転テーブル(基板)を1サイクルごとに90度回転させた。基板の回転の有無とシート抵抗値の関係は、図11に示すように、基板を回転させない場合よりも回転させた場合の方がシート抵抗値の平均値も低く、ばらつきも狭い。すなわち、基板を回転させながら噴霧した方が、塗布ムラが改善されていることがわかる。
【0055】
実験例3(図4参照)では、噴霧ノズルの直線的移動と基板の回転とを組み合わせた第3の実施例方法を用いた。噴霧ノズルの移動と噴霧サイクルとの関係は実験例1と同じであった。図12に示すように、シート抵抗値は平均値で10.8(Ω/□)、ばらつきは2.4(Ω/□)に収まった。これは実験例1(図3参照)や実験例2(図2参照)の場合よりも更に膜厚の均一化が図れていることを示している。
【0056】
なお、前記した実施例方法では、噴霧ノズルまたは/および基板を回転させつつ高速パルス間欠噴霧するか、噴霧ノズルまたは/および基板を水平移動させつつ高速パルス間欠噴霧するように構成されているが、加熱保持された基板上方に噴霧ノズルを正対するように固定配置した形態で、高速パルス間欠噴霧するようにしてもよい。
【0057】
また、前記した実施例方法では、SPD法によって透明導電膜を形成する方法について説明したが、本発明方法は、前記した透明導電膜(半導体薄膜)を形成する場合の他に、SPD法によってTiO2薄膜等の多孔質性薄膜を基板上に形成したり、SPD法またはその他の方法によって形成した透明導電膜上に、SPD法によってTiO2薄膜等の多孔質性薄膜を積層形成する場合にも広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る透明導電膜形成装置の第1の実施例の全体概要図である。
【図2】第1の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図3】第2の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図4】第3の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図5】第4の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図6】本発明に係る透明導電膜形成装置の第2の実施例の全体概要図である。
【図7】第5の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図8】第6の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図9】第7の実施例方法によって形成した透明導電膜を示す平面図である。
【図10】実験例1の評価を示す図である。
【図11】実験例2の評価を示す図である。
【図12】実験例3の評価を示す図である。
【図13】従来の透明導電膜形成装置の全体概要図である。
【符号の説明】
【0059】
2 加熱手段であるヒータ
10 架台
12 回転テーブル
13 透明導電膜堆積用の基板
14 噴霧器
14a 噴霧ノズル
15 薄膜である透明導電膜
20 噴霧器の水平方向移動手段であるX軸方向移動装置
20A 噴霧器の水平方向移動手段であるX軸およびY軸方向移動装置
22 移動テーブル
30,30A 制御ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱保持された基板上方に噴霧ノズルを正対配置し、揮発性溶媒に溶解した薄膜材料を前記噴霧ノズルから下方の基板に向けて間欠噴霧し、SPD法によって前記基板表面に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記噴霧ノズルの間欠噴霧は、1回の噴霧時間が百ms以下の高速パルス間欠噴霧であることを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項2】
前記噴霧ノズルまたは/および前記基板を回転させつつ噴霧することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項3】
記噴霧ノズルまたは/および前記基板を水平移動させつつ噴霧することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項4】
前記噴霧ノズルの水平移動と、前記基板の鉛直軸周りの間欠回転を連係させて、前記基板に正対する噴霧ノズルの噴霧中心を通る鉛直軸に対し周方向にほぼ等分した放射状方向に噴霧ノズルを直線的に水平移動させながら噴霧することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項1】
加熱保持された基板上方に噴霧ノズルを正対配置し、揮発性溶媒に溶解した薄膜材料を前記噴霧ノズルから下方の基板に向けて間欠噴霧し、SPD法によって前記基板表面に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記噴霧ノズルの間欠噴霧は、1回の噴霧時間が百ms以下の高速パルス間欠噴霧であることを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項2】
前記噴霧ノズルまたは/および前記基板を回転させつつ噴霧することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項3】
記噴霧ノズルまたは/および前記基板を水平移動させつつ噴霧することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項4】
前記噴霧ノズルの水平移動と、前記基板の鉛直軸周りの間欠回転を連係させて、前記基板に正対する噴霧ノズルの噴霧中心を通る鉛直軸に対し周方向にほぼ等分した放射状方向に噴霧ノズルを直線的に水平移動させながら噴霧することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−144297(P2007−144297A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341380(P2005−341380)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(592171762)
【出願人】(000105132)グローバルマシーナリー株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(592171762)
【出願人】(000105132)グローバルマシーナリー株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
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