説明

薬剤分包機のV枡に使用する仕切板

【課題】V枡内に残留する薬剤の清掃性に優れ、しかもV枡内でスムーズに往復移動可能な薬剤分包機のV枡に使用する仕切板を提供する。
【解決手段】側板に沿って往復移動可能に取り付けられガイド受部を備えたスライド部材と、スライド部材のガイド受部に着脱可能にガイドされるガイド部を備えスライド部材と共に端板に対して平行な状態を維持したままV枡内を往復移動する仕切部材9とで仕切板を構成する。仕切板を握持するための握持部8aをスライド部材と一体的に設け、この握持部8aを掴んで仕切板を操作することにより仕切板の歪み発生を防止し仕切板がV枡内でスムーズにスライド移動可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤分包機のV枡に使用する仕切板、特に、V枡内に残留する薬剤の清掃に適し、かつV枡内でのスライド移動がスムーズな仕切板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤分包機では、側板の両端部に端板をそれぞれ固定し、前記側板に対して下縁が接離可能となるように開閉板を設けてなるV枡を備えたものがある。V枡内には、仕切板が設けられている。仕切板は、端板に対して平行な状態を維持したまま側板および開閉板に当接した状態でV枡の長手方向に往復移動し、収容する薬剤(主に、散薬)の分割数に応じた位置に位置決めされる。そして、V枡内に薬剤を収容し、開閉板を開放することにより、分割容器で分割し、包装装置にて、順次、1包分ずつ包装する(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−58136号公報
【特許文献2】実用新案登録第2577449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の仕切板は、側板に対して取り外しできない構成となっている。このため、V枡内に薬剤が残留した場合、その残留薬剤を除去する作業の妨げとなっていた。V枡内に薬剤が残留すると、V枡内に収容する薬剤の種類を変更する際、コンタミ(異種薬剤の混合)発生の原因となる。
【0005】
また、仕切板は、側板および開閉板との隙間から薬剤が漏れないよう、側板および開閉板に対し精度良く当接しているため、仕切板がわずかでも撓んだり歪んだりすると、往復移動の際に仕切板が側板もしくは開閉板に摩擦で引っ掛かり、スムーズな往復動作の妨げとなる。特に、手動の場合に仕切板を掴んだ際に仕切板が歪んでしまうことで問題になりやすい。
【0006】
そこで、本発明は、V枡内に残留する薬剤の清掃性に優れ、しかもV枡内でスムーズに往復移動可能な薬剤分包機のV枡に使用する仕切板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明は、側板の両端部に端板をそれぞれ固定し、開放位置と閉鎖位置との間で回動して前記側板に対して下縁が接離可能となるように開閉板を設けてなるV枡内に配置され、少なくとも操作者が手を添えることにより前記端板に対して平行な状態を維持したまま前記側板の長手方向に往復移動させることにより、前記V枡に収容する薬剤の分割数を調整する仕切板であって、前記側板の長手方向に沿って往復移動可能に取り付けられ、ガイド受部を備えたスライド部材と、前記スライド部材のガイド受部に着脱可能にガイドされるガイド部を備え、前記スライド部材と共に前記端板に対して平行な状態を維持したまま往復移動する仕切部材と、からなり、前記仕切板を握持するための握持部を前記スライド部材に一体的に設けたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、V枡内に薬剤を収容する場合には、スライド部材を所定位置までスライド移動させると、ガイド部をガイド受部にガイドされた状態で、仕切部材も一緒に所定位置まで移動する。そして、開閉板を開放してV枡内の薬剤を落下させた後、V枡内に残留する薬剤を清掃する場合には、ガイド受部からガイド部を離脱させるだけで、スライド部材に対して仕切部材を簡単に取り外すことができる。そして清掃が終了すればガイド受部にガイド部を案内するだけで、スライド部材に対して仕切部材を簡単に装着できる。
【0009】
また、手動操作において仕切板を掴んでスライド動作させる場合、仕切部材側を掴むと、ガイド受部とガイド部との嵌合部分におけるガタの影響を避けられず、これが原因で仕切板が歪み、仕切板をスムーズにスライド移動できなくなるおそれがあるが、本発明では、スライド部材側に握持部を一体的に設けているため、この握持部を掴んで仕切板を操作することにより、ガイド受部とガイド部との嵌合部分におけるガタの影響を受けずに済み、仕切板をスムーズにスライド移動させることが可能となる。以上により、従来、清掃困難であったV枡内の残留薬剤を容易に清掃可能となるとともに、V枡内で仕切板をスムーズに往復移動可能となる。
【0010】
また、前記スライド部材のガイド受部は、所定間隔で設けられる一対のガイド受板を備え、前記仕切部材のガイド部は、前記ガイド受板の間にスライド自在に配置され、前記握持部は、前記一対のガイド受板の両方もしくは一方の端縁から延長して前記仕切部材の全部または一部を覆って構成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、スライド部材と一体の握持部が仕切部材の全部または一部を覆っているので、操作者は仕切板をスライド移動させる際、この握持部を掴むことになるので、上記と同様の理由で仕切板が歪む心配がなくなり、仕切板をスムーズにスライド移動させることが可能となる。
【0012】
また、前記握持部は、操作者が前記仕切板を操作する際に該仕切板に手を添える位置を想定し該位置に沿って形成されてもよい。
【0013】
この構成によれば、操作者は仕切板をスライド移動させる際、この握持部を掴むことになるので、上記と同様の理由で仕切板が歪む心配がなくなり、仕切板をスムーズにスライド移動させることが可能となる。また、操作者が手を添える位置にのみ握持部を形成するので、無駄に広く握持部を形成する必要がなく、V枡内の薬剤を満たす領域に握持部が差しかかることを最小限に抑えることが可能となり、分包誤差の原因を少なく抑えることができる。
【0014】
また、前記握持部は、操作者の左右いずれかの手の親指以外の指が添えられる位置に沿って形成されてもよい。
【0015】
この構成によれば、操作者は仕切板をスライド移動させる際、この握持部を掴むことになるので、上記と同様の理由で仕切板が歪む心配がなくなり、仕切板をスムーズにスライド移動させることが可能となる。また、操作者が左右いずれかの手で操作するかまで特定して握持部を形成するので、操作する指の特定も可能となり、握持部の形成においてさらに無駄を省くことができる。そのため、V枡内の薬剤を満たす領域に握持部が差しかかることを最小限に抑えることが可能となり、分包誤差の原因を少なく抑えることができる。
【0016】
また、前記仕切部材は、少なくとも前記握持部と対向する領域において前記握持部と接するよう形成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、仕切部材が握持部に接して支持し補強することとなるので、握持部を操作者が掴んでも撓みにくくなる。
【0018】
また、前記仕切部材は、回動自在に取り付けられ前記開閉板の回動動作に合わせて回動し前記開閉板との当接状態を維持する補助部材を備え、前記補助部材は、前記開閉板との当接状態を阻害しない範囲で前記仕切板の縁に当接することでその回動動作を制限する突起部を備えてもよい。
【0019】
この構成によれば、開閉板を開放させても、スライド部材に対して仕切部材を常に適切な位置に維持することができる。しかも、仕切部材だけではカバーしきれない領域にも、補助部材を位置させることができる。したがって、開閉板が開放することにより、仕切部材と開閉板との間に形成される隙間から側方に薬剤が漏れ出ようとしても、補助部材によって阻止することができる。そして、補助板には突起部が設けられているので、仕切板から取り外した仕切部材をスライド部材に装着する際、補助板が不用意に回動して補助板と開閉板とが離れた状態となっても、補助板が開閉板との当接状態に戻れる範囲内に補助板の回転を制限することができる。したがって、仕切部材をスライド部材に装着した後、補助板が開閉板から離間したままの状態で誤ってV枡内に薬剤を供給しまうといった失敗を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、仕切板を、スライド部材と、このスライド部材に対して取り外すことのできる仕切部材とで構成したので、従来、清掃困難であったV枡内の残留薬剤を容易に清掃可能となり、また、スライド部材に握持部を一体的に設けたため、手動操作時においてこの握持部を掴んで仕切板を操作することにより、スライド部材と仕切部材との嵌合部分のガタによる仕切板の歪みの影響を受けずに済むため、V枡内で仕切板が引っ掛かることなくスムーズに往復移動可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(第1実施形態) 図1は、本実施形態に係る薬剤分包機を示す。この薬剤分包機は、大略、V枡1と、このV枡1の下方に配設される複数の分割容器2と、各分割容器2から順次薬剤を受け入れるホッパー3を有する、従来公知の包装装置(図示せず)とを備えた構成である。V枡1は薬剤分包機の左寄りに設けられ、患者氏名、用量等の分包に関する各種データを入力するためのPC等に代表される入力インターフェース35が薬剤分包機の右寄りに設けられている。
【0023】
V枡1は、図2に示すように、側板4の両端に端板5が固定されている。
【0024】
側板4は、上端部4aが後方に向かって斜めに突出し、下端部4bが後方に向かって直角(水平)に延びている。下端部の中央には突条4cが形成されている。また、側板4の背面には、前記下端部の突条4cと対向する突条4dが突設されている。
【0025】
端板5には、支軸6aを中心として、回動可能に開閉板6が設けられている。開閉板6は、図示しないモータを駆動することにより、支軸6aを中心として開放位置と閉鎖位置との間を回動し、その下縁を前記側板4の下縁に対して接離させる。そして、閉鎖位置では、開閉板6と側板4とで断面略V字形をなすように構成されている。
【0026】
また、V枡1内には、仕切板7が一つ配設され、仕切板7により長手方向に二分割されたV枡1の一方側(本実施の形態では装置に向かって左側)に薬剤を投入し、薬剤を何等分にするのかによって仕切板7の位置を任意に変更し、所要の分割数に応じた薬剤の量を調節するようになっている。
【0027】
仕切板7は、図3(a)及び図7に示すように、スライド部材8と仕切部材9とで構成されている。
【0028】
スライド部材8は、側板4の上縁部に沿ってスライド移動可能にガイドするスライド受部10と、このスライド受部10から、側板4の前方側(すなわち、V枡1内側)に延びるガイド受部11とからなる。スライド部材8はステンレス等の剛性の高い材料により一体成型にて形成される。
【0029】
スライド受部10は、断面U字形をしており、前記側板4の、斜め後方に突出する上端部4aをガイドし、この上端部4aに沿って往復移動する。スライド受部10の一端部(側板4の背面側に位置する端部)からは延設部12が延びている。延設部12の下端側2箇所には、図3(b)に示すように、貫通孔12aが形成され、これら貫通孔12aを利用して保持板13がネジ止め固定される。
【0030】
保持板13には、側板側に、上下一対のローラ14が回転自在に取り付けられている。ローラ14は、外周面に、その周方向に沿って中心に円周溝14aが形成されている。円周溝14aは、側板4の背面上下にそれぞれ形成した突条4c、4dが位置してガイドされている。また、保持板13には、側板4とは反対側に、上下一対の永久磁石からなる被検出部15が設けられている。被検出部15は、後述するセンサ27によって検出され、仕切板7の位置を判別するのに利用される。
【0031】
ガイド受部11は、前記スライド受部10から延び、徐々に広がってV枡1の上側部を占有する。ガイド受部11の側板4側の縁部は、側板4の上端部から前面に沿って僅かな隙間を形成するように位置し、スライド移動する際の干渉(摩擦抵抗の発生)を回避している。また、ガイド受部11の側板4と反対側の縁部は円弧状に膨出している。さらに、ガイド受部11の略下半部は、所定間隔で相対向するガイド受板16a、16bにより、後述する仕切部材9のガイド部18が位置するガイド溝17が形成されている。ガイド受板16a、16bの下縁部およびガイド溝17の底面は、閉鎖位置の開閉板6に対して平行に形成されており、一方のガイド受板16a(装置正面に向かって右側)の下縁部は、他方のガイド受板16b(装置正面に向かって左側)の下縁部よりもやや下方に位置している。
【0032】
前記他方のガイド受板16bには、その下縁部がさらに下方に延伸されて仕切部材9の一部を覆う握持部8aが一体的に形成されている。握持部8aは、図4または図7などから明らかなように、側板4側の縁部がV枡1の深さ方向略中間位置まで延び、そこから側板4の反対側に向けて湾曲しながらわずかに沈んだ後に略同一曲率で上昇し、さらに側板4の反対側に向けて斜めに上昇して上記他方のガイド受け板16bの下縁の長さ方向略中間位置に達する。すなわち、握持部8aは、図8および図9に示すように、仕切板7を左手31で操作することを前提として、操作者が仕切板7を操作するために仕切板7を掴んだ際、操作者の左手31の親指以外の指33が添えられる位置を想定し、その位置に沿って形成されている。このとき、一方のガイド受板16aには操作者の左手31の親指34が添えられることとなる。なお、図示は省略するが、操作者の左手31の親指34を添えるための握持部を前記一方のガイド受板16aにも別途に設けてもよい。
【0033】
この実施の形態において仕切板7を左手31で操作することを前提とした意図は、図8に示すように、装置の向かって左側にV枡1が設けられ、装置の向かって右側に入力インターフェース35が設けられているので、必然的に入力インターフェース35を右手32で操作し、V枡1の仕切板7の操作を左手31で行うこととなるためである。したがって、V枡1および入力インターフェース35の配置によっては、仕切板7の構成を右手専用に形成したり、両方の手に対応可能なように形成するなど、あらゆる変更が可能である。
【0034】
仕切部材9は、図3に示すように、側板4および開閉板6への攻撃性を軽減するため、合成樹脂材料を成形加工することにより形成している。仕切部材9の上方側には、前記ガイド溝17にスライド自在に配置されるガイド部18が形成されている。ガイド部18とガイド溝17との間は、なるべくガタがないように、しかも容易にスライド可能なよう、互いに接する程度とし、しめしろを設けていない。さらに、図3および図6から明らかなように、仕切部材9の、前記スライド部材8の握持部8aと対向する領域において、握持部8aと略同一形状で握持部8aに接する支持部18aを形成している。支持部18aの表面は、ガイド部18の表面と面一に形成されており、支持部18aは握持部8aにより案内されるガイド部としての機能も有する。
【0035】
仕切部材9の側板側縁部9aは直線状に形成され、側板4に当接する。仕切部材9の下方側縁部9bは、側板側縁部9aに対して斜めに形成され、閉鎖位置の開閉板6に当接する第1当接部19を構成する。前記下方側縁部9bに連続する、仕切部材9の側板側縁部9aとは反対側の縁部(外側縁部)9cには、開放位置の開閉板6に当接する第2当接部20が形成されている。外側縁部9cの残る部分は、円弧又は複数のテーパ部で構成され、開閉板6の回動軌跡に沿っている。なお、仕切部材9の高さ方向の占有スペースは、1包分の薬剤量が最大の場合であっても、十分に仕切ることができるものとなっている。
【0036】
また、仕切部材9には、軸部21aを中心として補助板21が回動自在に取り付けられている。補助板21は、一端側が仕切部材9と重なるようにV枡1内の薬剤が収容されない側に軸部21aを介して配置され、補助板21の他端側は、V枡1内の薬剤が収容される側に露出している。また、軸部21aは、図4および図5に示すように、前記開閉板6の回転中心である支軸6aの近傍に形成されている。補助板21は薄板状で、下方側縁部21bの一端が、前記仕切部材9の第1当接部19と第2当接部20の境界位置に位置している。また、下方側縁部21bの他端側には、下方側縁部21bに対して傾斜する傾斜縁部21cが形成されている。そして、下方側縁部21bは、図4に示すように、前記開閉板6が閉鎖位置に位置するとき、仕切部材9の第1当接部19と共に、開閉板6に当接して同一直線上に延びている。また、下方側縁部21bは、図5に示すように、前記開閉板6が開放位置に位置するとき、仕切部材9の第2当接部20と共に、開閉板6に当接する。これにより、開閉板6を回動させても、補助板21は、常に、開閉板6との当接状態を維持し、仕切部材9の外側縁部9cと開閉板6との間に形成される隙間を覆い、薬剤が(分割容器2に対して真下ではなく)側方にこぼれることを防止する。
【0037】
また、補助板21におけるV枡1内の薬剤が収容される側に露出する領域において、補助板21の薬剤の収容側の面に、該面に対し垂直に立ち上がる突起部30が設けられている。突起部30は、仕切部材9の縁、すなわち下方側縁部9bおよび外側縁部9cに当接し、補助板21の回動範囲を制限する。突起部30は、開閉板6が解放位置から閉鎖位置の間を動作する途中段階で仕切部材9に当接しない範囲に設置され、開閉板6の開閉動作を阻害しないようになっている。
【0038】
分割容器2は、図2に示すように、前記V枡1の下方に、少なくとも、分包数(V枡1に収容した薬剤の分割数)に応じた個数を、隙間無く連続した状態で配設可能な複数個で構成されている。分割容器2は支持台22に支持されており、モータ23を駆動することにより、ラック24、ピニオン25を介してV枡1の長手方向に沿って往復移動可能となっている。モータ23の回転量、回転角度、回転位置等は、エンコーダ26によって検出されるようになっている。また、支持台22には、センサ27が設けられ、前記保持板13に設けた被検出部15を検出可能となっている。センサ27で被検出部15を検出した位置で、開閉板6を開放することによりV枡1から落下させた薬剤が、仕切板7で設定した分割数と同数の分割容器2で均等に分割されて収容される。各分割容器2の底面には開閉可能に底板2aが設けられ、順次、底板2aを開放することにより、包装装置へと供給し、1包分ずつ包装することができるようになっている。
【0039】
前記構成の薬剤分包機では、次のようにして薬剤を均等に分割・包装する。
【0040】
まず、手動により、仕切板7を掴んで仕切板7を移動させ、分包する包数に応じた分割数となる位置に停止させる。このとき、操作者が仕切板7の仕切部材9を掴んで操作すると、ガイド部18とガイド溝17との間はスライド可能となっているためにガタを皆無にすることは困難であり、また、仕切部材9が樹脂でできているため、仕切板7全体として撓み、仕切板7の移動動作がスムーズにできなくなるおそれがある。その点、本実施の形態では、スライド部材8に操作者が手で掴むための握持部8aを設けたので、ここを掴むことにより、ステンレス製で剛性のあるスライド部材8側が手動操作による応力を受けることとなり、仕切部材9を握持する場合に比べて仕切板7が撓みにくくなり、仕切板7の移動動作がスムーズとなる。また、仕切部材9において、前記スライド部材8の握持部8aと対向する部分において握持部8aの形状と略同一形状で握持部8aに接する支持部18aを形成したので、支持部18aが薄板状の握持部8aに接して支持し補強することとなり、握持部8aを操作者が掴んでも撓みにくくなる。
【0041】
そして、V枡1内に薬剤を収容する。このとき、仕切板7の仕切部材9は、図4に示すように、自重により、その第1当接部19を、閉鎖位置にある傾斜状態の開閉板6の表面に当接させる。そして、その反力で、側板側縁部9aが側板4の表面に当接する。したがって、良好な仕
切状態を形成することができる。また、モータ23を駆動して各分割容器2を移動させ、V枡1から落下させる薬剤を全て分割容器2で回収可能な状態とする。
【0042】
続いて、図示しないモータを駆動することにより、開閉板6を、支軸6aを中心として回動させ、側板4に対して下端部が離れるようにして開放する。このとき、仕切部材9は、開閉板6の閉鎖位置で、第1当接部19を開閉板6に当接させた状態から、徐々にその当接状態を解除し、第2当接部20が開閉板6へと接近する。そして、開閉板6が開放位置に位置した時点で、図5に示すように、第2当接部20が開閉板6へと当接し、それ以上の開放動作が阻止される。この間、補助板21は軸部21aを中心として回動し、開閉板6との当接状態を維持する。つまり、開閉板6を開放しても、仕切板7による仕切位置に隙間が発生しない。また、開閉板6の回動動作中も、前記同様、仕切部材9の自重により、開閉板6及び側板4との当接状態が維持されるので、従来に比べて隙間が発生しにくく、良好な仕切状態を得ることができる。このため、V枡1内から落下させた薬剤は、側方にこぼれ落ちることなく、全て下方の分割容器2によって回収され、均等に分割される。
【0043】
次いで、再びモータ23を駆動して分割容器2を移動させ、順次、ホッパー3の上方に位置させる。その後、ホッパー3の上方に移動させた分割容器2から順に底板を開放して1包ずつ包装する。
【0044】
このようにしてV枡1内の薬剤が分割容器2に分割され、包装装置にて1包分ずつ包装されれば、次の薬剤をV枡1内に投入する前に、V枡1内を清掃する。V枡1内の清掃では、掃除機28(薬剤分包機に装備されている。)により残留薬剤を吸引するが、その前に、図6に示すように、仕切板7の仕切部材9を取り外す。仕切部材9は、ガイド部18をスライド部材8のガイド受部11にガイドされただけの状態となっているので、把持して開閉板6に沿って斜め上方にスライドさせるだけで、簡単に取り外すことができる。したがって、従来は清掃の困難であった仕切板7によって隠れていた部分の残留薬剤をも簡単かつ確実に除去することが可能となるばかりか、仕切板7自身の清掃も容易に行うことができる。
【0045】
清掃が終了すれば、仕切部材9は、開閉板6に沿ってスライド移動させながら、ガイド部をスライド部材8のガイド受部11にガイドさせるだけで、簡単に元の状態に復帰させることができる。
【0046】
また、補助板21には突起部30が設けられているので、清掃後、仕切部材9をスライド部材8に装着する際、補助板21が不用意に回動して補助板21と開閉板6とが離れた状態となっても、補助板21が自重で開閉板6との当接状態に戻れる範囲内に補助板21の回転を制限することができる。したがって、仕切部材9をスライド部材8に装着した後、補助板21が開閉板6から離間したままの状態で誤ってV枡1内に薬剤を供給しまうといった失敗を防止することができる。
【0047】
なお、以上において、仕切板7を手動により往復移動させているが、図示しない駆動用モータを設け、自動、手動の両方に対応することも勿論可能である。(第2実施形態)
【0048】
図10および図11は、第2実施形態に係る仕切板7を示す。
【0049】
この仕切板7は、前記第1実施形態に係るものと、スライド部材8の先端部分すなわちガイド受部11側がスライド受部10側に、ヒンジ部29を中心として回動可能に連結されている点で相違し、その他の点で共通する。
【0050】
このような構成の仕切板7であれば、V枡1内を清掃する場合、図8に示すように、ヒンジ部29を中心としてスライド部材8のガイド受部11側を回動させることにより、V枡1内から仕切部材9を容易に取り外すことができる。しかも、スライド部材8のV枡1内(上方部分を含む)に位置する部位をも待避させることができる。したがって、V枡1内の清掃を障害なくスムーズに行うことが可能である。
【0051】
なお、仕切部材9は、スライド部材8の一部を回動させる前に、前記第1実施形態と同様にして、開閉板6に沿ってスライド移動させることにより取り外すことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態に係る薬剤分包機の全体斜視図
【図2】図1のV枡部分を示す横断面図
【図3】(a)は仕切板の斜視図、(b)はそのスライド受部の部分拡大図
【図4】開閉板が閉鎖位置に位置する際の横断面図
【図5】開閉板が開放位置に位置する際の横断面図
【図6】スライド部材から仕切部材を取り外した状態を示す横断面図
【図7】第1実施形態に係る仕切板の6面図
【図8】本実施形態に係る薬剤分包機の部分拡大斜視図
【図9】(a)は仕切板の握持状態を示す一方側の正面図、(b)はその他方側の正面図
【図10】第2実施形態に係る仕切板の取り外し状態を示す正面図
【図11】第2実施形態に係る仕切板の6面図
【符号の説明】
【0053】
1…V枡 2…分割容器 3…ホッパー 4…側板 4a…上端部 4b…下端部 4c、4d…突条 5…端板 6…開閉板 6a…支軸 7…仕切板 8…スライド部材 8a…握持部 9…仕切部材 9a…側板側縁部 9b…下方側縁部 9c…外側縁部 10…スライド受部 11…ガイド受部 12…延設部 12a…貫通孔 13…保持板 14…ローラ 14a…円周溝 15…被検出部 16a、16b…ガイド受板 17…ガイド溝 18…ガイド部 18a…支持部 19…第1当接部 20…第2当接部 21…補助板 21a…軸部 21b…下方側縁部 21c…傾斜縁部 22…支持台 23…モータ 24…ラック 25…ピニオン 26…エンコーダ 27…センサ 28…掃除機 29…ヒンジ部 30…突起部 31…左手 32…右手 33…親指以外の指 34…親指 35…入力インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板の両端部に端板をそれぞれ固定し、開放位置と閉鎖位置との間で回動して前記側板に対して下縁が接離可能となるように開閉板を設けてなるV枡内に配置され、少なくとも操作者が手を添えることにより前記端板に対して平行な状態を維持したまま前記側板の長手方向に往復移動させることにより、前記V枡に収容する薬剤の分割数を調整する仕切板であって、 前記側板の長手方向に沿って往復移動可能に取り付けられ、ガイド受部を備えたスライド部材と、 前記スライド部材のガイド受部に着脱可能にガイドされるガイド部を備え、前記スライド部材と共に前記端板に対して平行な状態を維持したまま往復移動する仕切部材と、からなり、 前記仕切板を握持するための握持部を前記スライド部材に一体的に設けたことを特徴とする薬剤分包機のV枡に使用する仕切板。
【請求項2】
前記スライド部材のガイド受部は、所定間隔で設けられる一対のガイド受板を備え、 前記仕切部材のガイド部は、前記ガイド受板の間にスライド自在に配置され、 前記握持部は、前記一対のガイド受板の両方もしくは一方の端縁から延長して前記仕切部材の全部または一部を覆って構成されることを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包機のV枡に使用する仕切板。
【請求項3】
前記握持部は、操作者が前記仕切板を操作する際に該仕切板に手を添える位置を想定し該位置に沿って形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の薬剤分包機のV枡に使用する仕切板。
【請求項4】
前記握持部は、操作者の左右いずれかの手の親指以外の指が添えられる位置に沿って形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の薬剤分包機のV枡に使用する仕切板。
【請求項5】
前記仕切部材は、少なくとも前記握持部と対向する領域において前記握持部と接するよう形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の薬剤分包機のV枡に使用する仕切板。
【請求項6】
前記仕切部材は、回動自在に取り付けられ前記開閉板の回動動作に合わせて回動し前記開閉板との当接状態を維持する補助部材を備え、 前記補助部材は、前記開閉板との当接状態を阻害しない範囲で前記仕切板の縁に当接することでその回動動作を制限する突起部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の薬剤分包機のV枡に使用する仕切板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−112370(P2009−112370A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285935(P2007−285935)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【特許番号】特許第4104161号(P4104161)
【特許公報発行日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】