説明

薬品の輸送方法

【課題】
溶媒により溶解されて使用される粉体状の薬品を納入業者の保管倉庫からユーザーの受入れ所に安全かつより効率的に輸送し、所定の溶液濃度に迅速に溶解して納入するようにした薬品の輸送方法を提供する。
【解決手段】
溶媒により溶解されて使用される粉体状の薬品を輸送してユーザーに納入する薬品の輸送方法であって、前記薬品を所定重量収納した袋体を保管倉庫に保管するステップS1と、前記ユーザーへの納入に際し、前記薬品を収納した袋体を開封してタンクコンテナ内に投入し粉体のまま貯留するステップS2と、前記タンクコンテナ内に貯留した薬品をトレーラーにより前記ユーザーの薬品受入れ所まで輸送するステップS3と、前記薬品受入れ所に配設された溶媒貯留兼溶解用タンクより溶媒を前記タンクコンテナ内に供給し、攪拌、循環させて前記薬品を所定濃度の溶液に溶解するステップS4と、前記ステップS4にて溶解された薬品溶液を前記ユーザーの貯蔵タンクに供給するステップS5とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品の輸送方法に関し、さらに詳細には、溶媒により溶解されて使用される粉体状の薬品を納入業者の保管倉庫からユーザーの受入れ所に安全かつ効率的に輸送し、所定の溶液濃度に迅速に溶解して納入するようにした薬品の輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したような溶媒により溶解されて使用される粉体状の薬品の一例として、製紙工場において、パルプを漂白するために酸化漂白剤として使用される塩素酸ソーダ(塩素酸ナトリウム)が挙げられる。
【0003】
従来、この塩素酸ソーダ(以下、「薬品」という)を製紙工場等の製造業者(以下、「ユーザー」という)に輸送する方法として、例えば図18にその作業手順(フロー)を模式的に示すように、薬品Mを所定重量収納した袋等の容器1を輸送会社等の業者(以下、「納入業者」という)の危険物保管倉庫2に保管しておき、ユーザーから納品の要求があると、納入業者が薬品Mを収納した容器1を輸送用トラック3に積載し、ユーザーの薬品受入れ所まで輸送して納入するのが一般的であった。
【0004】
このようにしてユーザーに受け入れられた薬品Mは、使用されるまでの間ユーザーの危険物保管倉庫4に保管され、使用に際しては、先ず、専任溶解従業員によって危険物保管倉庫4から容器1が取り出され、予め温水が温水供給装置6から供給され貯留されている溶解タンク5に粉体状のまま投入されてから、撹拌機7によって撹拌、溶解され、所定濃度に調製された溶液は送液ポンプ8によって貯蔵タンク9に送られ、漂白に供せられるまでの間貯蔵されるのが一般的であった。
【0005】
しかしながら、周知のように、この薬品M(塩素酸ソーダ)は極めて強力な酸化性物質であって、高温では不安定となり,可燃物と接触すると発火や爆発を起こし易く、また有害物質を発生し易い等の危険薬品であることから、上述したような従来の輸送方法によるときは、ユーザー側において薬品Mの保管や取り扱いに関する所定の認可を受ける必要があり、このため保管や溶解等の設備の構造や設置場所に対して、また、これらに関与する者に対して基準に定められた制約があった。さらにまた、ユーザー側で溶解等の作業をするためには、少なくともこのための専任作業員が必要となる等の理由により、ユーザー側にとっては決して望ましいものではなかった。
【0006】
そこで、従来、図19に示すように、溶解タンク5、温水供給装置6、撹拌機7、送液ポンプ8等の薬品溶解設備を納入業者側で保有し、薬品Mのユーザーへの納入に際し、納入業者が危険物保管倉庫2から所定数量の薬品Mを収納した容器1を取り出し、前記薬品溶解設備において所定濃度の薬品溶液を調製し、この薬品溶液をタンクローリー10のタンク13内に詰め替えてユーザーに納入するようにした輸送方法が一般に知られている。
【0007】
しかしながら、このような薬品Mの輸送方法によるときは、納入業者にとっては、温水により溶解されて体積が増大した薬品溶液を容量及び重量の面で制約のあるタンクローリー10によって輸送するため、薬品のみを輸送する場合に較べ、薬品の単位当りの輸送効率が低下すると共に、輸送中に水溶液の温度が低下した(例えば10°Cとなった)場合には水溶液が過飽和の状態となって結晶が析出する恐れがあった。従って、本薬品Mをとくに寒冷地区に納入する場合には輸送時間を長く取ることができず、このため輸送可能地域の範囲が制限されるという問題があった。
【0008】
これに対し、受入れ側のユーザーにとっては、薬品Mの保管や溶解等の設備、並びにこのための専任作業員が不要となるメリットはあるが、薬品Mの納入単価が高くなるという問題があった。
【0009】
そこで、上記実情に鑑み、本出願人は、先に、溶媒により溶解されて使用される粉体状の薬品をタンクコンテナ内に粉体のまま貯留してユーザーの薬品受入れ所まで輸送し、このユーザーの薬品受入れ所にてユーザーから提供される溶媒及び蒸気をタンクコンテナ内に供給して薬品を攪拌、溶解するようにした薬品の輸送方法を特願2004−90182として提案した。
【0010】
すなわち、この薬品の輸送方法は、図20にその作業手順(フロー)を模式的に示すように、薬品Mを所定重量収納した袋体1Fを保管倉庫2に保管するステップS1と、ユーザーへの納入に際し、薬品Mを収納した袋体1Fを開封してタンクコンテナ13Tの供給口より投入し、該タンクコンテナ13T内に粉体のまま貯留するステップS2と、トレーラー10Tにより薬品Mを収納した前記タンクコンテナ13Tをユーザーの薬品受入れ所まで輸送するステップS3と、ユーザーの薬品受入れ所にて溶媒及び蒸気をタンクコンテナ13T内に供給して薬品Mを攪拌、溶解するステップS4と、所定濃度に溶解された薬品溶液をタンクコンテナ13Tからユーザーの貯蔵タンク9に供給するステップS5とから成るものである。
【0011】
この薬品の輸送方法によれば、ユーザー側にとっては、薬品Mの保管や溶解タンクのための設備が不要となり、また、このための専任要員が不要となるため、経費を大幅に削減することができる。一方、納入業者側にとっても、薬品Mを粉状体のまま輸送するため、溶液状態で輸送する場合に較べ、薬品Mの単位輸送効率を大幅にアップすることができ、また、輸送から溶解に至るまでの一連の作業を少数の作業員によって行なうことができるので、納入可能地域の拡大と輸送効率の向上に加え、輸送費の大幅な削減を図ることができるという利点がある。
【0012】
しかしながら、薬品Mの単位輸送効率を大幅にアップすることができたとはいうものの、この当時においては、道路交通法に規定されたトレーラー10Tの最大総重量(すなわちトラクター11T、シャーシー12T、タンクコンテナ13Tの各重量、及び、タンクコンテナ13T内部の積載重量の合計)が35トンに制限されていたため、タンクコンテナ13内に貯留して輸送できる粉体薬品の重量は高々20トン(上記提案では15トン)程度であった。
【0013】
ところが、最近になって、道路交通法によるトレーラー規制が緩和され、この最大総重量が35トンから44トンにアップされた。これにより、積載重量が従来の20トンから28トンまでアップされ、一度に大量の薬品Mを輸送することができるようになった背景がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述したような実情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、上述した先の提案に改良を加え、溶媒により溶解されて使用される粉体状の薬品を納入業者の保管倉庫からユーザーの受入れ所に安全かつより効率的に輸送し、所定の溶液濃度に迅速に溶解して納入するようにした薬品の輸送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記目的は、溶媒により溶解されて使用される粉体状の薬品を輸送してユーザーに納入する薬品の輸送方法であって、前記薬品を所定重量収納した袋体を保管倉庫に保管するステップS1と、前記ユーザーへの納入に際し、前記薬品を収納した袋体を開封してタンクコンテナ内に投入し粉体のまま貯留するステップS2と、前記タンクコンテナ内に貯留した薬品をトレーラーにより前記ユーザーの薬品受入れ所まで輸送するステップS3と、前記薬品受入れ所に配設された溶媒貯留兼溶解用タンクより溶媒を前記タンクコンテナ内に供給し、攪拌、循環させて前記薬品を所定濃度の溶液に溶解するステップS4と、前記ステップS4にて溶解された薬品溶液を前記ユーザーの貯蔵タンクに供給するステップS5とから成ることを特徴とする薬品の輸送方法を提供することによって達成される。
【0016】
また、本発明の上記目的は、前記粉体状の薬品は塩素酸ソーダであり、前記溶媒は温水であることを特徴とする薬品の輸送方法を提供することによって、より効果的に達成される。
【0017】
また、本発明の上記目的は、前記溶媒は前記ユーザーから提供されることを特徴とする薬品の輸送方法を提供することによって、より効果的に達成される。
【0018】
また、本発明の上記目的は、前記溶媒は、前記溶媒貯留兼溶解用タンクの高さ方向位置から排出されて前記タンクコンテナの底部から内部に供給され、攪拌された後、該タンクコンテナの高さ方向位置から排出されて前記溶媒貯留兼溶解用タンクの底部から内部に戻されるようにして循環されることを特徴とする薬品の輸送方法を提供することによって、より効果的に達成される。
【0019】
また、本発明の上記目的は、前記溶媒は、前記溶媒貯留兼溶解用タンクの底部から内部に戻されるときに水平方向に拡散されることを特徴とする薬品の輸送方法を提供することによって、より効果的に達成される。
【0020】
さらにまた、本発明の上記目的は、前記溶媒はステップS2において前記薬品の投入後には前記タンクの表面が洗浄水により洗浄され、該洗浄水は前記ステップS4において再利用されることを特徴とする薬品の輸送方法を提供することによって、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0021】
以上のとおり、本発明は、納入業者により薬品を粉体状のままタンクコンテナ内に貯留してユーザーの受入れ所まで輸送し、ユーザー側から提供される溶媒により納入業者側のタンクコンテナとユーザー側の溶媒貯留兼溶解用タンク間で粉体薬品を攪拌、循環させて溶解し、所望濃度の薬品溶液を調製してユーザーに納入する方法であるので、本発明によれば、ユーザー側にとっては、粉体薬品の保管や在庫管理が不要(従って、危険物保管等の認可取得が不要)となり、また保管や溶解等のための専任要員が不要となるため、ユーザー側の経費を大幅に削減することができる。
【0022】
一方、納入者側にとっては、薬品を粉状体のまま輸送するため、溶液状態で輸送する場合に較べ、薬品の単位輸送効率を大幅(従来の2倍以上)にアップすることができ(結果的にはユーザーのコスト削減に貢献することができ)、また、輸送から溶解に至るまでの一連の作業を少数の作業員によって行なうことができるので、納入可能地域の拡大と輸送効率の向上に加え、輸送費の大幅な削減を図ることができる。
【0023】
とくに、前述したように、最近のトレーラー規制の緩和により最大総重量が35トンから44トンにアップされたことにより、粉体薬品の輸送量を先の提案時の15トンから28トンに増大させることができるようになり、これにより輸送効率を従来に較べ約87%向上させることができる。
【0024】
また、粉体薬品の攪拌、循環を納入業者側のタンクコンテナとユーザー側の溶媒貯留兼溶解用タンク間で行うので、短時間で大容量の薬品溶液を調製することができ、これにより経費を大幅に削減することができる。
【0025】
さらにまた、タンクコンテナの薬品投入部に粉塵の飛散防止機能を持たせること、粉塵吸入機能を持たせること、そしてタンクコンテナの内外面に付着ないし残留する薬品を洗浄して回収し再利用するというクローズド方法を採用することにより、薬品の外部への流出を防止することができ、これにより安全性が一段と高く、かつ環境に優しい薬品の輸送方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の内容を、上記同様に、薬品が塩素酸ソーダである場合を例に挙げ、その好ましい実施形態に基づき詳述する。なお、本発明は必ずしも以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、その構成を種々なものに変更し得るものであることはいうまでもない。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態である薬品の輸送方法(以下、「本輸送方法」という)の作業手順を模式的に示したもので、上述した従来の輸送方法に準じて粉体状の薬品である塩素酸ソーダ(以下、前記同様に「薬品」という)Mが所定濃度の溶液に溶解され、貯蔵されるまでのステップをフロー図で示したものである。なお、本輸送方法の内容を説明するに際し、上述した従来の輸送方法と共通する構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0028】
本輸送方法は、後述するように、薬品Mを溶媒である約90℃の温水により溶解し、攪拌、循環させて46%の所定濃度の溶液を調製してユーザーの貯蔵タンク9に納入する方法に係わり、前記薬品Mを所定重量収納した袋体1Fを保管倉庫2に保管するステップS1と、前記ユーザーへの納入に際し、前記薬品Mを収納した袋体1Fを開封してタンクコンテナ130内に投入し粉体のまま貯留するステップS2と、前記タンクコンテナ130内に貯留した薬品Mをトレーラー100により前記ユーザーの薬品受入れ所180まで輸送するステップS3と、前記薬品受入れ所180に配設された溶媒貯留兼溶解用タンク150より溶媒を前記タンクコンテナ130内に供給し、攪拌、循環させて前記薬品Mを所定濃度の溶液に溶解するステップS4と、前記ステップS4にて溶解された薬品M溶液を前記ユーザーの貯蔵タンク9に供給するステップS5とから成っている。
【0029】
ここに、袋体1Fとは、一般にフレコンバックと呼ばれる国際基準で定められた柔軟で強度を有する布製の袋で、薬品Mは所定重量(通常1トン)毎にこの袋体1Fに収納されて薬品メーカーより納入業者に納入される。
【0030】
本実施形態で使用されるトレーラー100は、図2にその概要を側面図で示すように、トラクター110、シャーシー120、タンクコンテナ130から成るもので、全長が連結状態で16.5メートル以内、高さが3.8メートル以内、総重量が44トン以内である。
【0031】
図3はタンクコンテナ130の構造を示すもので、(A)はその側断面図、(B)はその平面図、(C)は(A)のX−X断面図を示したものである。タンクコンテナ130は全長が6メートル、直径が2.4メートル、重量が4トンの円筒状の周壁131によって形成されたISO規格のBV認定品で、その上部には薬品Mをタンクコンテナ130の内部に投入するための2つの薬品投入口132(この薬品投入口132には保護蓋132cが開閉可能に取り付けられている)と、投入された薬品Mを撹拌するための撹拌装置133と、排気ダクト取付け口134と、超音波式の液面センサ135が設けられている。なお、道路交通法の規制によりトレーラー100の車高は3.8メートル以内とされているため、撹拌装置133は薬品Mがユーザーの薬品受入れ所に輸送されるまでの間、後述するようにタンクコンテナ130内に収納されるようになっている。
【0032】
タンクコンテナ130の底壁の略中央部には、一開口端部がこの底壁に連結され、他の開口端部がこの底壁から垂下するようにして送液管136が設けられている。図13に基づき後述するように、温水貯留兼溶解用タンク150からの温水はこの送液管136を介してタンクコンテナ130の内部に供給され、タンクコンテナ130の底部側より薬品Mの溶解が開始される。なお、この送液管136は、溶解完了後の水溶液の温水貯留兼溶解用タンク150への供給管として使用されると共に、薬品溶解処理作業の終了後においてタンクコンテナ130内部の洗浄に供された洗浄水を排出するための排水管としても使用される。
【0033】
また、タンクコンテナ130の底壁側の略中央部には、図3(B)に示すように、2本の送液管137が水平方向に並設されている。なお、この送液管137の本数は必要に応じ適宜増減することができる。この送液管137の水平方向の中央部には、図3(B)に示すように、連結管137aが連結され、この連結管137aの下方には、図3(A)に示すように、一開口端部が連結管137aに連結され、他の開口端部がタンクコンテナ130の底壁から下方に突出した送液管138が設けられている。図15に基づき後述するように、温水貯留兼溶解用タンク150からの薬品溶液がこの送液管138を介してタンクコンテナ130の内部に供給され、送液管137の開口両端部より吐出されて循環、攪拌が行われる。
【0034】
さらにまた、タンクコンテナ130の底壁の略中央部には送液管139が垂直方向に設けられている。この送液管139の一開口端部はタンクコンテナ130の高さ方向(全高さの1/3程度)の位置に配置され、他の開口端部は前記送液管138と同様にタンクコンテナ130の底壁から下方に突設されている。図15に基づき後述するように、この送液管139を介してタンクコンテナ130内部の薬品溶液が排出され、温水貯留兼溶解用タンク150の底部より内部に送られて薬品溶液の循環が行われる。
【0035】
タンクコンテナ130の周壁131の外面には、図4に斜視図で示すように、洗浄水を回収するための回収溝140が周壁131を取り囲むようにして設けられ、この回収溝140はタンクコンテナ130の側端部において回収溝140aに接続されている。後述するように、タンクコンテナ130は洗浄水によって矢印Y1で示すように洗浄され、洗浄に供した洗浄水は回収溝140を矢印Y2のように流れ、回収溝140aを矢印Y3のように流れて図示しない所定の回収容器に回収されて再利用される。なお、薬品Mを含まない通常の洗浄液はそのまま下水道に捨てられる。
【0036】
ダクト取付け口134には排気ダクト134dが取り付けられ、これに吸塵フィルター134f、排気用ブロアー134bが接続されて排気系が形成されている。この排気系を介して、袋体1Fをタンクコンテナ130内に投入するときに発生する薬品Mの粉塵は外気中に放出されないようになっている。なお、本実施形態では、この排気系をトレーラー100に備えており、シャーシー120に搭載した図示しない自家発電機(前記排気用ブロアー134bの駆動用モーター電源及び前記攪拌装置133の駆動用モーター電源)により排気系が作動するように構成されているが、これをユーザー側に装備するようにしてもよい。
【0037】
以上のとおり、タンクコンテナ130には、薬品Mの攪拌、溶解手段が装備されており、薬品Mの輸送と溶解の両機能を兼ね備えている点に特徴を有している。
【0038】
次に、以上のとおり構成された本トレーラー100により、薬品Mがユーザーに輸送され、所望濃度の薬品溶液に調整された後、ユーザーのタンク9に貯蔵されるまでの方法を、各ステップに設けられている設備と共に順次説明する。
【0039】
ステップS1では、薬品メーカーより納入される薬品Mが納入業者の危険物保管倉庫2に貯留される。上述したように、薬品Mは、通常、薬品メーカーによって粉状体のまま1トン単位に袋体1Fに収納されて納入され、納入された薬品Mは納入業者によって所定の安全管理基準の下に保管される。
【0040】
ステップS2では、袋体1Fに収納された薬品Mがタンクコンテナ130内に詰め替えられる。この詰め替えに際し、タンクローリー100は運転者により白線誘導線に沿って危険物保管倉庫2の詰め替え室にバックで入れられ、車止めにて所定の位置に停車される。なお、この運転者は、危険物取締法や毒物劇物取締法に基づく取り扱い資格を有する者であることが望ましい。
【0041】
詰め替え所では、事前作業としてトレーラー100が走行中にタンクコンテナ130の表面に付着した、ゴミ、粉塵、泥等が前述したようにして洗浄され、洗い落とされた洗浄水は回収溝140、140aを介して下水道に捨てられる。
【0042】
この後、排気ダクト134dがダクト取付け口134に取り付けられ、図示しないダクト作動スイッチのオンにより外部排気ブロアー134bが作動し、タンクコンテナ130内が負圧状態におかれる。これにより、投入時に飛散した薬品Mが投入口132より逆流して外部に放出されることがなく、かつタンクコンテナ130内の薬品Mを含んだ空気が吸塵フィルター134fにより濾過され、クリーンな空気のみが外部に放出される。
【0043】
次いで、作業者により各投入口132に開閉可能に設けられた保護蓋132cが開かれ、開口された2つの投入口132からホイスト装置160により薬品Mを収納した所定数量(本実施形態では28個)の袋体1Fが投入される。
【0044】
図5は、このホイスト装置160によりタンクコンテナ130の投入口132に袋体1Fが投入される状態を示す平面図であり、図6はその側面図である。ホイスト装置160は、詰め替え室の天井に敷設されたホイストレール161に沿って摺動可能に設けられたホイスト162から成っている。このホイスト162にはワイヤー163を介して計量器164が連結され、続いて重量検知式の自動振落とし機構165及び袋体1Fを着脱するためのカップリング機構166が連結されている。ホイスト装置160は、図5、図6において矢印で示す方向に移動するように設けられている。
【0045】
薬品Mを収納した袋体1Fの投入に先立ち、ホイスト装置160が図5の矢印(1)のように移動され、開口された2つの投入口132の位置(a位置、b位置)に漏斗状のホッパー167が取り付けられる。その後、ホイスト装置160は矢印(2)、(2−1)、(2−2)、(2−3)のように移動され、所定数量の袋体1Fが1個ずつ同様に把持されて各ホッパー167の位置(a位置、b位置)まで搬送される。なお、このホイスト装置160の始点から自動停止位置(各矢印で示すX軸方向及びY軸方向の位置)までの距離は図示しない制御装置のメモリーに記憶されるようになっている。これにより、トレーラー100の停止位置に若干ずれが生じても、薬品Mを収納した袋体1Fを常に投入口132に正確に搬送することができる。この結果、薬品投入の作業を熟練度のない人でもすることができ、作業の確度向上と作業時間の短縮を図ることができる。
【0046】
ホイスト装置160により袋体1Fがホッパー167の位置(a位置、b位置)に搬送されると、ワイヤー163が矢印(3)のように下降し、ホッパー167内に入る。その後、袋体1Fは、後述するように刃体により開封され、タンクコンテナ130の内部に貯留される。
【0047】
図7は、カップリング機構166の構造及びその作動方法を示したものである。カップリング機構166は開閉可能な凹カップリング166aと袋体1Fの上部に載置される凸カップリング166bとから成り、図7(A)に示すように凹カップリング166aを開いた状態でワイヤー163を凸カップリング166b位置まで下降させ、図7(B)に示すように凸カップリング166bと係合したときに凹カップリング166aを閉じて袋体1Fを上方に引き上げるようになっている。なお、内部の薬品Mがタンクコンテナ130の内部に貯留された後の空の袋体1Fは、図5の矢印(4)のように搬送され、回収箱170に回収される。
【0048】
図8は、重量検知式の自動振落とし機構165の正面図である。この自動振落とし機構165は、薬品Mを投入した後の袋体1Fの重量を計量器164により測定し、袋体1Fの内部が空になったことを検知すると、この信号に基づき偏心カム165cを一定時間だけ作動させるように構成されている。偏心カム165cが回転するとワイヤー163が上昇し、1回転すると作動軸が偏心カム165cの最上部から外れてワイヤー163が落下し、袋体1Fが上下方向に振動されるようになっている。この振動により袋体1Fの内部に付着している粉体状の薬品Mがきれいに払い落とされる。なお、さらに残留薬品をきれいに落とすために袋体の下面開封口より圧搾空気を吹き込むように構成されている。
【0049】
図9は、ホイスト装置160により薬品Mを収納した袋体1Fがホッパー167の内部に降下されたときの様子を断面図で示したものである。ホイスト装置160によって28個の袋体1F(重量にして約28トン)の薬品Mが2つのホッパー167の投入口132よりタンクコンテナ130の内部に交互に降下される。
【0050】
ホッパー167は、4本の固定脚167kによってタンクコンテナ130の上部に安定して固定され、投入口132との隙間はゴムパッキン167gで遮蔽されて薬品Mが飛散しないようになっている。袋体1Fがホッパー167内に降下すると、袋体1Fの底部にホッパー蓋閉め連動レバー167mが当り、袋体1Fの自重により点線で示すように開放されていた遮蔽蓋167cが自動的に閉められ、これにより前記同様に薬品Mが飛散しないようになっている。なお、ホッパー蓋閉め連動レバー167mの上部にはスプリングから成る蓋重量バランサー167bが設けられており、これにより遮蔽蓋167cは、空の袋体1Fがホッパー167より吊り上げられた以降は、通常、開放されている。
【0051】
ホッパー167の下部には袋体1Fを開封するための切開刃167tが設けられている。この切開刃167tは、図示するような三角形状をなすステンレス製の刃体であって、その頂部には鋭利な刃先が形成されている。このため、ホイスト装置160により袋体1Fがさらに降下されると、袋体1Fの下部が切開刃167tの頂部に当り、鋭利な刃先により袋体1Fが切開される。このようにして袋体1Fが開封されると、内部に収納された粉体状の薬品Mがホッパー167の下方に付設された薬品拡散板167pを介してタンクコンテナ130内の長手方向に分散され、図6に点線で示すようにタンクコンテナ130の底部に貯留される。
【0052】
薬品Mの投入が完了すると、重量検知式の自動振落とし機構165が自動的に作動し、袋体1F内の残留薬品Mが振るい落とされる。自動振落とし機構165が停止すると、切開刃167tの下部に設けられたエアノズル167aの先端部より図9に点線で示す空の袋体(1F)の内部に圧搾空気が入れられ、これにより残留薬品Mが完全に除去される。
【0053】
このようにして内部の薬品Mが取り出され、空になった袋体1Fはホイスト装置160により吊り上げられる。このとき閉じられていた遮蔽蓋167cは袋体1Fの上部に取り付けられた凸カップリング166bにより跳ね上げられて自動的に開かれる。
その後、空の袋体1Fは、前述したように、ホイスト装置160により図5及び図6に矢印(4)で示す経路に沿って搬送され、回収箱170に回収される。このとき、凸カップリング166bは袋体1Fから取り外され、再利用に供せられる。なお、切開され使用ができなくなった袋体1Fは産業廃棄物として処理される。
【0054】
以上の操作は全数量の薬品Mの投入、貯留が終了するまで繰り返され、終了すると、薬品Mの投入に備えて行われた搬送、洗浄、飛散防止等の全ての設備及びそのための作業が初期の状態に戻される。この作業が終了した後、図4に示す洗浄手段によりタンクコンテナ130の表面が洗浄水により洗浄され、洗浄に供した水は回収される。なお、このように回収された洗浄水には多少の薬品Mが含まれているため、図示しない濾過装置を介して輸送タンクに詰められ、トレーラー100によりユーザーまで輸送され、後述するステップ4での薬品Mの溶解時に水溶液として再利用される。かくしてステップS2の作業が終了する。
【0055】
上述したように、本薬品Mの輸送方法では、薬品Mの投入から貯留に際し、薬品Mの飛散防止他の多くの手段が講じられており、薬品Mによる環境面や安全面に対する配慮が十分になされている。
【0056】
ステップS3では、上述したようにしてタンクコンテナ130の内に貯留された約28トンの薬品Mがトレーラー100によってユーザーの受入れ所180まで輸送される。本輸送方法によれば、薬品Mをこのように粉体状のまま、かつ一度に大量に輸送することができるので、輸送効率が極めて良好となる利点がある。また、薬品Mが気温の高低に影響されないので、遠隔の寒冷地へも安心して輸送することができる。なお、前述したように、トレーラー100による薬品Mの輸送に際しては、危険薬品の取り扱い資格を有する者が運転ないし添乗することが作業効率及び経費の面で望ましい。
【0057】
ステップS4では、トレーラー100によりユーザーの受入れ所180まで輸送された薬品Mが納入業者側のタンクコンテナ130とユーザー側の温水貯留兼溶解用タンク150との間で攪拌、循環されることにより所定濃度の水溶液に溶解される。
【0058】
薬品Mの溶解の準備として、図10に示すように、トレーラー100を薬品受入れ所180の所定位置に停車させた後、総重量に耐えると共に溶解時に発生するタンクコンテナ130の振動を吸収するために、トレーラー100のシャーシー120に装備された4本の車軸保護用の補助支柱121を地上に下ろして固定する。なお、この薬品受入れ所180ないしこの近傍には温水貯留兼溶解用タンク150及び薬品水溶液を貯蔵する貯蔵タンク9が配備されている。この温水貯留兼溶解用タンク150にはユーザーによって90℃の温水32トン(32m)が予め貯留されている。
【0059】
次に、溶解時に発生するベーパーを外部に放出するため、吸塵フィルター134f及び外部排気ブロアー134bに接続された排気ダクト134dを前述したようにダクト取付け口134に取り付け固定する。
【0060】
この後、前述した自家発電機の電源をオンにして自家発電機用モーターを駆動し、タンクコンテナ130の内部に収納していた攪拌装置133の攪拌機133kを図11(A)から図11(B)に示すように上昇させる。この攪拌機133kの本体外周には、図示するように、プロペラ(回転羽根)133pを支持する回転軸133sの回転方向と逆方向に溝133gが施されており、この溝133gにタンクコンテナ130の本体に施されたピンが嵌められている。薬品Mが完全に溶解していない初期状態ではプロペラ133pの反動トルクが強く攪拌機133k本体が逆回転し溝133gにより攪拌機133kが上昇し、最上部でロックされる。攪拌機133kの上昇と共に回転軸133sも上昇し、タンクコンテナ130の底面に設けられた撹拌機軸保護器具133yから外れて自由回転が可能となる。なお、本実施形態では、攪拌装置133をタンクコンテナ130に備えるようにしているが、この設備をユーザー側で装備するようにしてもよく、このようにすると、タンクローリー100の構造をシンプルにすることができる。
【0061】
次に、タンクコンテナ130と温水貯留兼溶解用タンク150との配管接続が行われる。図12は、タンクコンテナ130側と温水貯留兼溶解用タンク150側の配管系を断面図で示したものである。図示するように、温水貯留兼溶解用タンク150の底壁には送液管151、152が、その側壁には送液管153が夫々外側に突出して配管されている。この送液管152と送液管153とは途中で合体して送液管154となり、この送液管154の途中から2つの送液管155、156が分岐して接続され、送液管154の端部開口は貯蔵タンク9に接続されている。なお、送液管151の途中には送液ポンプPb及びバルブBfが、同様に、送液管152にはバルブBaが、送液管153にはバルブBdが、送液管154には送液ポンプPa及びバルブBeが、送液管155にはバルブBcが、送液管156にはバルブBbが、夫々装備されている。また、温水貯留兼溶解用タンク150の底壁に接続された送液管151の開口端部のやや上方には、後述するように溶液を拡散させるための円板状の邪魔板157が設けられている。なお、これらの配管設備は全てユーザー側に装備されている。
【0062】
以上のとおり装備された配管系において、タンクコンテナ130と温水貯留兼溶解用タンク150との配管接続は、温水貯留兼溶解用タンク150側の送液管151、155、156の各開口端部と、タンクコンテナ130側の送液管139、138、136の開口端部とを夫々カップリング139c、138c、136cで連結することにより行われる。以上により薬品溶解のための準備作業を完了する。なお、上述した各準備作業にはとくに優先順位はなく、状況に応じ、できるものから逐次に、人手があれば同時に行うことができる。
【0063】
以上の準備作業が完了すると、温水貯留兼溶解用タンク150内の温水がタンクコンテナ130の内部に送られて薬品Mの溶解が開始される。
【0064】
この送液は、バルブBa、Bbを開いて送液ポンプPaを作動させ(その他のバルブは閉じておき、送液ポンプは作動させないで)、図13に矢印で示すように、温水貯留兼溶解用タンク150内の32トンの温水のうちの13トンの温水を送液管152、154、156を介して送液管136よりタンクコンテナ130の内部に送ることにより行われる。このとき、温水のタンクコンテナ130内部への供給量はタンクコンテナ130に装備された超音波式の液面センサ135により検出され、図示しない制御装置により制御される。なお、このような液面センサ135に代えて流量計を使用することも可能である。この温水は、図示するように、タンクコンテナ130の底壁中央部より上方に向けて末広がり状に供給されるので、これに伴いタンクコンテナ130内の粉体薬品Mは底壁側からすり鉢状に溶解されていく。
【0065】
次に、送液ポンプPaを停止し、バルブBa、Bbを閉める。図14はこのときの状態を示したもので、この時点では配管系において全てのバルブ閉められ、送液ポンプが停止されている。一方、タンクコンテナ130の内部では、攪拌装置133の攪拌作用を受け、未溶解薬品Mが13トンの温水により最大限(最大濃度50.2%)に溶解される。
【0066】
次に、バルブBc、Bd、Bfを開き、送液ポンプPa、Pbを作動させて、図15に矢印で示すように、タンクコンテナ130と温水貯留兼溶解用タンク150との間で薬品溶液の循環攪拌を行う。このとき、前述したように、送液管139の端部開口、すなわち吸い込み口がタンクコンテナ130の高さの1/3程度の位置に配置されているため、底壁側に残存する未溶解の粉体薬品Mは送液ポンプPbによって送液管139の内部に吸い込まれることがなく、高濃度の水溶液のみが吸い込まれる。高濃度水溶液は、送液管139、151を介して温水貯留兼溶解用タンク150の底壁から内部に供給される。その後、この高濃度水溶液は吐き出し口の上部に配設された邪魔板157により底壁の水平方向に拡散される。この拡散作用により、上方の温水と下方の高濃度水溶液とが分離され、上方の温水のみが下方の高濃度水溶液により押し上げられて供給管153より送り出される。このとき、送液ポンプPa、Pbの流量は、タンクコンテナ130内の液面が一定になるように液面センサ135により検出され、図示しない制御装置により制御される。
【0067】
また、このとき、温水貯留兼溶解用タンク150内の高濃度水溶液は比重が1.4程度であって温水よりもはるかに重く、また、温水の温度が90℃であるのに対し高濃度水溶液は30〜40℃程度であるため、図15に示すように両者は完全に混合することがなく、下部側には高濃度水溶液が、上部側には温水が位置した状態が継続される。また、図示するように、送液管153の一開口端部、すなわち温水の吸い込み口は19トン温水の液面よりわずかに下方の位置に設定されているため、上部側にある温水のみが送液管153、154、155、138、137を介してタンクコンテナ130内に供給され、これにより底壁側に残存する未溶解の粉体薬品Mが効率的に溶解される。この溶解作業を繰り返すことにより循環攪拌が行われ、最終的には、タンクコンテナ130内部の薬品Mが全て溶解され、タンクコンテナ130内部と温水貯留兼溶解用タンク150内部の溶液は略均一の濃度に調整される。
【0068】
薬品Mが所定の濃度溶液に溶解されたことが液面センサ135(又は濃度計ないしタイマー等)により検知されると、作業者は送液ポンプPa、Pbを停止し、バルブBc、Bd、Bfを閉める一方、バルブBa、Bbを開け、送液ポンプPaを反転作動させる。これにより、図16に矢印で示すように、タンクコンテナ130内の全溶液が温水貯留兼溶解用タンク150内に配送される。なお、この時点での水溶液濃度は46.6%であって、所望の製品濃度の46%に対し少し高くなっているため、さらに0.87トンの温水を温水貯留兼溶解用タンク150内に添加し、温水貯留兼溶解用タンク150内に装備した攪拌装置158を作動させて最終濃度を微調整する。
この添加される0.87トンの温水の一部に前述した回収水溶液が再利用される。かくして、図17に示すように、温水貯留兼溶解用タンク150内には60.8トンの46%水溶液が調製される。
【0069】
ステップ5では、以上のとおり調製された水溶液が貯蔵タンク9に供給される。送液に際しては、バルブBb、Bc、Bd、Bfを閉める一方、バルブBa、Beを開けると共に送液ポンプPaを正転作動させ、図17に矢印で示すように、温水貯留兼溶解用タンク150内の全水溶液を貯蔵タンク9に送り込む。貯蔵タンク9に貯蔵された薬品Mの水溶液はパルプの漂白作業に使用される。
【0070】
この後、全ての駆動系が停止され、全バルブが閉じられ、カップリング136c、138c、139cが外されてタンクコンテナ130と温水貯留兼溶解用タンク150との配管系が分離される。このときカップリング部から漏れた水溶液は洗浄水・漏れ液回収パンに溜められ、回収されて次回の溶解時に再利用される。なお、駆動系の停止に先立ち、逆回転により撹拌装置133がタンクコンテナ130内に収納される。この後、車軸保護支柱121が収納され、前述した準備作業の全てが初期の状態に戻されて全作業が終了する。
【0071】
以上に詳述したとおり、本発明は、粉体薬品の攪拌、循環を納入業者側のタンクコンテナとユーザー側の溶媒貯留兼溶解用タンク間で行うので、短時間で大容量の薬品溶液を調製することができ、これにより経費を大幅に削減することができる。
【0072】
なお、粉体薬品の溶解時における温水の温度低下に備え、タンクコンテナ内に水蒸気を供給するように水蒸気供給系を装備しておくことが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上、本発明の内容を粉体状の薬品が塩素酸ソーダである場合を例に説明したが、本発明は必ずしもこのような薬品の輸送に限定されるものではなく、溶媒により溶解されて使用される粉体状の薬品、とくに保管、輸送、溶解、そして送液に至るまでの間、取り扱いに安全性が要求される粉体状の危険薬品の輸送に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係わる薬品の輸送方法の概要を示すフロー図である。
【図2】上記薬品の輸送に使用されるトレーラーの側面図である。
【図3】上記トレーラーにおけるタンクコンテナの内部構造を示す図で、(A)は側断面図、(B)は平面図、(C)は(A)のX−X断面図である。
【図4】上記タンクコンテナの外観を示す斜視図である。
【図5】薬品をホイスト装置によりタンクコンテナ内に投入し貯留する方法を示す平面図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】薬品収納袋体を着脱するカップリング機構の正面図で、(A)は装着前を、(B)は装着時を示したものである。
【図8】重量検知式の自動振落とし機構の正面図である。
【図9】薬品収納袋体が開封される状態を示す断面図である。
【図10】薬品受入れ所(薬品溶解室)におけるタンクコンテナの側面図である。
【図11】撹拌装置の構造を示す断面図で、(A)は撹拌機が内蔵されている様子を、(B)は上昇した様子を示す図である。
【図12】タンクコンテナと溶媒貯留兼溶解用タンクの配管系を示す側断面図である。
【図13】温水が溶媒貯留兼溶解用タンクからタンクコンテナに送られる様子を示す断面図である。
【図14】タンクコンテナ内で薬品が溶解される様子を示す断面図である。
【図15】タンクコンテナと溶媒貯留兼溶解用タンクとの間で薬品溶液が循環、攪拌される様子を示す断面図である。
【図16】溶解された薬品溶液が溶媒貯留兼溶解用タンクに回収される様子をを示す断面図である。
【図17】所定濃度に調製された薬品溶液が貯蔵タンクに送られる様子をを示す断面図である。
【図18】従来の薬品の輸送方法を示すフロー図である。
【図19】従来の他の薬品輸送方法を示すフロー図である。
【図20】従来のさらに他の薬品輸送方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0075】
1 薬品容器
1F 袋体
2 (納入業者側の)危険薬品保管倉庫
3 輸送用トラック
4 (ユーザー側の)危険薬品保管倉庫
9 貯蔵タンク
10 タンクローリー
13 タンク
10T、100 トレーラー
11T、110 トラクター
12T、120 シャーシー
13T、130 タンクコンテナ
131 周壁
132 投入口
133 撹拌装置
134 ダクト取り付け口
135 液面センサ
136〜139 送液管
140 回収溝
150 溶媒貯留兼溶解用タンク
151〜156 送液管
157 邪魔板
160 ホイスト装置
180 薬品受入れ所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒により溶解されて使用される粉体状の薬品を輸送してユーザーに納入する薬品の輸送方法であって、前記薬品を所定重量収納した袋体を保管倉庫に保管するステップS1と、前記ユーザーへの納入に際し、前記薬品を収納した袋体を開封してタンクコンテナ内に投入し粉体のまま貯留するステップS2と、前記タンクコンテナ内に貯留した薬品をトレーラーにより前記ユーザーの薬品受入れ所まで輸送するステップS3と、前記薬品受入れ所に配設された溶媒貯留兼溶解用タンクより溶媒を前記タンクコンテナ内に供給し、攪拌、循環させて前記薬品を所定濃度の溶液に溶解するステップS4と、前記ステップS4にて溶解された薬品溶液を前記ユーザーの貯蔵タンクに供給するステップS5とから成ることを特徴とする薬品の輸送方法。
【請求項2】
前記粉体状の薬品は塩素酸ソーダであり、前記溶媒は温水であることを特徴とする請求項1に記載の薬品の輸送方法。
【請求項3】
前記溶媒は前記ユーザーから提供されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薬品の輸送方法。
【請求項4】
前記溶媒は、前記溶媒貯留兼溶解用タンクの高さ方向位置から排出されて前記タンクコンテナの底部から内部に供給され、攪拌された後、該タンクコンテナの高さ方向位置から排出されて前記溶媒貯留兼溶解用タンクの底部から内部に戻されるようにして循環されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の薬品の輸送方法。
【請求項5】
前記溶媒は、前記溶媒貯留兼溶解用タンクの底部から内部に戻されるときに水平方向に拡散されることを特徴とする請求項4に記載の薬品の輸送方法。
【請求項6】
前記溶媒はステップS2において前記薬品の投入後には前記タンクの表面が洗浄水により洗浄され、該洗浄水は前記ステップS4において再利用されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の薬品の輸送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−36318(P2006−36318A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221750(P2004−221750)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(504117604)
【Fターム(参考)】