説明

蛍光体混合物および発光装置

【課題】
赤色蛍光体と、橙色蛍光体と、青色蛍光体と、緑色蛍光体との4種以上の蛍光体を含み、色温度の高い場合での白色発光のみならず、色温度の低い電球色の発光においても、優れた演色性を有する発光をおこなう蛍光体混合物、および当該蛍光体混合物と発光部とを有する発光装置を提供する。
【解決手段】
赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Euを、橙色蛍光体としてCaAl2Si4N8:Euを製造し、緑色蛍光体としてZnS:Cu,Alを、青色蛍光体としてBAM:Euとを準備した後、これら4種の蛍光体の発光スペクトルを測定し、当該発光スペクトルから蛍光体混合物の相関色温度がねらいの色温度となる相対混合比を、シミュレーションにより求め、当該シミュレーションの結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)、蛍光表示管、蛍光ランプなどの照明装置等に使用される蛍光体混合物、および当該蛍光体混合物を用いた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から照明装置として用いられている発光装置としては放電式蛍光灯、白熱電球などが挙げられるが、近年になり白色光を発する発光ダイオード(LED)が開発されてきている。この白色LED照明の特徴としては、従来の照明用光源に比べ、熱の発生が少なく発光効率がよく低消費電力であることと、半導体素子のみ、または半導体素子と蛍光体から構成されているため、従来の白熱電球のようにフィラメントが切れることがなく長寿命であり、従来の蛍光灯には不可欠であった、環境に影響を与える水銀などの有害な物質が不要であるといった利点がある理想的な照明装置である。
【0003】
上述した、白色LEDを始めとした一般照明用の光源として必要な要素として、明るさの要素と共に演色性の要素が上げられる。演色性とは光源による色の再現性を表す値であるが、一般的には、当該演色性評価方法として、JIS Z 8726(1990)がある。そこで、以降、JIS Z 8726の評価方法を用いて説明をおこなう。
JIS Z 8726によれば、光源の演色性は、平均演色評価数(Ra)によって数値的に表される。これは試料光源で照明した演色評価用の基準試料と、自然光を近似した基準の光により照射した基準試料との色の違いを評価した値であり、それらに差が無く全く同じで有れば演色評価数は100となる。光源の色温度が同じであっても、演色評価数によって色の見え方が異なり、演色評価数が低ければ、色がくすんで暗く見えてしまう。可視光全域にわたり均一な光の密度を持った光源であるほど、演色性の良い光源といえる。
【0004】
現在、一般照明用として普及されはじめている白色LEDは、青色発光するLEDと当該青色発光を受けて励起され黄色発光する蛍光体とを組み合わせ、当該青色発光と黄色発光との合成した発光波長により、人間の目で見た際に白色に見える発光を得るLED光源が一般的ある。しかしながらこの方式では、青色と黄色の発光で構成されているため、照明用光源として必要な緑、赤色部分の光源が非常に弱いといった問題がある。特に可視光領域の長波長側、赤色に関しての色成分が不足しているため、白色とはいうものの、若干青みを帯びた白色の発光となってしまう。このため、当該白色LEDを一般照明として用いた場合、赤色の物に関しては非常にくすんだ赤色に見えてしまい、光源の演色性としては非常に悪い。また、赤色の発光成分がないため、相関色温度4000K以下の電球色のような赤みを帯びた白色発光を得ることができない。
【0005】
上述の白色LEDの演色性を改善するため、近紫外・紫外発光するLEDと、当該近紫外・紫外発光を受けて励起され赤色(R)発光する蛍光体、緑色(G)発光する蛍光体、青色(B)発光する蛍光体、他を組み合わせ、当該RGB他の光により白色発光を得る白色LEDも開発されている。このRGBの各蛍光体の光により白色発光を得る白色LEDは、RGBの蛍光体の組合せや混合比などにより、白色光以外にも任意の発光色を得ることが可能である、また、得られる発光波長も可視光領域のほとんどの領域を含んでいるため、演色性も高めることが可能である。
【0006】
ここで、当該用途に使用されるRGB他の蛍光体としては、既存の蛍光体を用いることが試みられている。赤色蛍光体であれば、例えば、Y2O2S:Eu、La2O2S:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、(La,Mn,Sm)2O2S・Ga2O3:Eu、SrS:Eu、CaS:Euがあり、緑色蛍光体であれば、例えば、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu、SrAl2O4:Eu、BAM:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca)2SiO4:Euがあり、黄色蛍光体であれば、例えば、YAG:Ce, があり、青色蛍光体であれば、例えば、BAM:Eu(BaMgAl10O17:Eu)、ZnS:Ag、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu、がある。そして、これらのRGB他の蛍光体を、近紫外・紫外発光するLEDなどの発光部と組み合せることにより、白色または所望の発色をおこなうLEDを始めとした、光源や照明装置を得ることが試みられている。
【0007】
ところが、近紫外・紫外LEDとRGB他の蛍光体との組み合せによる白色LED照明においては、RGB蛍光体のうち特に赤色蛍光体が、他色の蛍光体に比べて発光効率が低いという問題点がある。このため、当該白色LED製造の際は、蛍光体の混合割合のうち、赤色蛍光体の混合割合が他色の蛍光体と比較して非常に多くせざるを得ず、このため他色の蛍光体の混合割合を削減するため高輝度の白色が得られない。特に、長波長側(赤色側)での発光成分の割合が多い電球色などの色温度の低い光を求められる白色LEDについては、赤色蛍光体の必要量がさらに増加し、全体として高輝度な発光が得られないという問題点がさらに顕著となっている。
【0008】
そのため最近では、上述した赤色蛍光体の長波長側の励起効率が他色の蛍光体に比べて低いという問題点を解決するために、長波長側に良好な励起帯を持ち、半値幅の広い発光ピークが得られる赤色蛍光体として、シリコンナイトライド系などの窒素を含有した蛍光体が報告され、本発明者らも特願2004-145718号を提案している。(特許文献1〜4参照)。そして、青色LEDから得られる発光と、YAGなどに代表される黄色蛍光体の発光波長、当該窒素を含有した赤色蛍光体から発する波長を組み合わせることにより演色性を改善した発光装置や、近紫外・紫外LEDと、青色および緑色の蛍光体と、当該窒素を含有した赤色蛍光体とを組み合わせることにより演色性を改善した発光装置が提案されている。(特許文献5、6参照)
【0009】
【特許文献1】特表2003-515655号公報
【特許文献2】特開2003-277746号公報
【特許文献3】特表2003-515655号公報
【特許文献4】特開2003-124527号公報
【特許文献5】特表2004-505470号公報
【特許文献6】WO2004/039915 A1公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の窒化物系の赤色蛍光体と、青色LEDから得られる発光およびYAGなどの黄色蛍光体とを組み合わせるか、上述の窒化物系の赤色蛍光体と、RGB他の蛍光体と、近紫外・紫外発光するLEDなどの発光部と組み合わせることにより、色温度が5000Kを超える白色光においては演色性の良い白色光が得られる様になった。
しかしながら本発明者らの検討によれば、色温度4500K以下の領域においては、上述の方法をもってしても演色性の良い光が得られず、特に色温度3000K程度の赤みがかった電球色において演色性の良い光が得られないことが判明した。また、近紫外・紫外LEDとRGB他の蛍光体との組み合わせによる白色光においても、赤色の発光成分として既知の赤色蛍光体を用いて低い色温度の領域での白色光を得ても、演色性の良い光が得られないことが判明した。この原因として、630nm以下の長波長側の光が不足していることが考えられる。
ここで、本発明者らは630nm以下の長波長側の発光をおこなう既知の赤色蛍光体を検討したが、当該赤色蛍光体は、励起光として青色LEDや紫外LEDを用いて発光させても発光効率が低く、高い演色性を有する光は得られないことが判明した。
【0011】
一方、今後の市場の要請としては、色温度の高い場合での白色発光のみならず、色温度の低い電球色の発光においても、演色性に優れた白色発光を始めとする多様な発光をおこなうLED等の光源が求められると考えられる。しかし、従来の技術に係る赤色の蛍光体を始めとする蛍光体の混合物では、演色性を改善するには不十分であることが見いだされた。
【0012】
本発明は、上述の事情を基に成されたものであり、赤色蛍光体と、橙色蛍光体と、青色蛍光体と、緑色蛍光体との4種以上の蛍光体を含み、優れた演色性を有する発光をおこなう蛍光体混合物、および当該蛍光体混合物と発光部とを有する発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここで、本発明者らは上述の課題への対応を研究した。そして、まず630〜680nmに発光スペクトルの最大ピーク(以下、発光スペクトルの最大ピークを、単に最大ピークと記載する場合がある。)をもち、紫外から可視光(例えば緑色光)に渡る広範囲な波長の光に対して励起帯を有する新規な赤色蛍光体を製造した。そして当該赤色蛍光体と、同じく紫外から可視光(例えば青色光)に渡る広範囲な波長の光に対して励起帯を有し、波長570から630nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する橙色蛍光体と、波長500から570nmの範囲内に最大ピークをもつ緑色蛍光体と、440から500nmの範囲内に最大ピークをもつ青色蛍光体と、の、少なくとも4種以上の蛍光体を組み合わせて蛍光体混合物とすることにより、当該蛍光体混合物と、多様な光源(例えば、紫外光から青色光の光源)との組み合わせが可能となり、低い色温度の領域においても演色性に優れた白色発光を始めとする多様な発光をおこなうことのできる光源に想到した。
【0014】
即ち、上述の課題を解決するための第1の構成は、
組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、m=a=b=1 ,o<0.5, n = 3 -2/3o である。)で表記される赤色蛍光体と、
波長570から630nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する橙色蛍光体と、
波長500から570nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する緑色蛍光体と、
波長440から500nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する青色蛍光体とを、含むことを特徴とする蛍光体混合物である。
【0015】
第2の構成は、
前記橙色蛍光体が、組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、n=2/3m+a+4/3b-2/3o(m>0,a≧0,b>0,o≧0)と表記される橙色蛍光体であることを特徴とする第1の構成に記載の蛍光体混合物である。
【0016】
第3の構成は、
前記橙色蛍光体が、組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、m=1.0 ,a=2.0 , 3.0≦ b ≦6.0, o < 1.0 , n = 8/3 + 4/3b -2/3oである。)で表記される橙色蛍光体であることを特徴とする第1または第2の構成に記載の蛍光体混合物である。
【0017】
第4の構成は、
前記M元素は、Ca、Mg、Sr、Ba、Znから選択される1種以上の元素であり、
前記A元素は、Al、Gaから選択される1種以上の元素であり、
前記B元素は、Si、Geから選択される1種以上の元素であり、
前記Z元素は、希土類元素、遷移金属元素から選択される1種以上の元素である、ことを特徴とする第1から第3の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物である。
【0018】
第5の構成は、
前記Z元素は、Euであることを特徴とする第1から第4の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物である。
【0019】
第6の構成は、
前記各蛍光体は、発光スペクトルの半値幅が50nm以上のものであることを特徴とする第1から第5の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物である。
【0020】
第7の構成は、
波長300nmから420nmの範囲にある励起光により励起されたときの発光スペクトルにおいて、相関色温度は7000Kから2000Kの範囲にあり、波長420nmから780nmの範囲に途切れることない連続的なスペクトルを有することを特徴とする第1から第6の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物である。
【0021】
第8の構成は、
波長300nmから420nmの範囲にある励起光により励起されたときの発光スペクトルにおいて、相関色温度は4500Kから2000Kの範囲にあり、波長420nmから780nmの範囲に3つ以上の発光ピークを有し、且つ波長420nmから780nmの範囲に途切れることない連続的なスペクトルを有することを特徴とする第1から第7の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物である。
【0022】
第9の構成は、
前記緑色蛍光体は、ZnS:Cu,Alおよび/または(Ba,Sr,Ca)2SiO4:Euであることを特徴とする第1から第8の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物である。
【0023】
第10の構成は、
前記青色蛍光体は、BAM:Eu(BaMgAl10O17:Eu)および/または(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euであることを特徴とする第1から第9の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物である。
【0024】
第11の構成は、
前記各蛍光体の平均粒径が0.1〜20μmの粒子からなることを特徴とする第1から第10の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物である。
【0025】
第12の構成は、
第1から第11の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物と、
波長300nmから420nmの範囲のいずれかの発光をおこなう発光部とを有することを特徴とする発光装置である。
【0026】
第13の構成は、
前記発光装置の平均演色評価数Raが、80以上であることを特徴とする第12の構成に記載の発光装置である。
【0027】
第14の構成は、
前記発光装置の特殊演色評価数R9が、60以上であることを特徴とする第12または第13の構成に記載の発光装置である。
【0028】
第15の構成は、
前記発光装置の特殊演色評価数R15が、80以上であることを特徴とする第12から第14の構成のいずれかに記載の発光装置である。
【0029】
第16の構成は、
前記発光装置の相関色温度が、7000Kから2500Kの範囲にあることを特徴とする第12から第15の構成のいずれかに記載の発光装置である。
【0030】
第17の構成は、
前記発光装置の相関色温度が、4500Kから2500Kの範囲にあることを特徴とする第12から第15の構成のいずれかに記載の発光装置である。
【0031】
第18の構成は、
前記発光部が発光ダイオード(LED)であることを特徴とするとする第12から第17の構成のいずれかに記載の発光装置である。
【発明の効果】
【0032】
第1から第11の構成に係る蛍光体混合物は、所定の励起光を照射されたとき、演色性に優れた白色を始めとする光を発光する。
【0033】
第12から第18の構成に係る発光装置は、演色性に優れた白色を始めとする光を発光する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明に係る蛍光体混合物は、組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Nは窒素であり、Oは酸素、Z元素は付活剤である。)で表記される赤色蛍光体と、波長570から630nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する橙色蛍光体と、波長500から570nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する緑色蛍光体と、波長440から500nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する青色蛍光体とを、含むことを特徴とする蛍光体混合物である。当該構成を有する蛍光体混合物は、種々の波長の光を混合することによって、可視光全域にわたり均一な光の密度を持ったスペクトルを有し、発光時に演色性に優れ、特に赤色系の演色性に優れる発光装置を得ることが出来る蛍光体混合物である。
【0035】
まず、本発明に係る蛍光体混合物に含まれる赤色蛍光体であって、組成式MmAaBbOoNn:Zと表記される蛍光体について説明する。
当該赤色蛍光体の組成式において、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、m=a=b=1 ,o<0.5,n = 3 -2/3o である。この構成を満たす当該赤色蛍光体は、励起光として波長域250nm〜550nmの範囲の光が照射されたとき高い効率をもって、波長630から700nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する高輝度な赤色発光をおこなう。さらに、当該発光スペクトルの半値幅は50nm以上である。
尚、前記組成式中のOは、当該赤色蛍光体製造時に当該赤色蛍光体の原料中に含まれる酸素に由来する物であるが、当該赤色蛍光体の発光効率の観点からは少ない方が好ましい。
【0036】
次に、上述した赤色蛍光体と伴に用いられる橙色蛍光体について説明する。
当該橙色蛍光体として、組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、n=2/3m+a+4/3b-2/3o(m>0,a≧0,b>0,o≧0)と表記される蛍光体を用いることが出来る。例えば、特許文献1に記載された(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu、特願2004-145718に記載された2.75SrO・Si3N4:Euのような橙色蛍光体が使用可能である。
【0037】
しかし、より優れた演色性を求める観点からは、組成式MmAaBbOoNn:Zと表記され、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、n=8/3+4/3b−2/3o(m=1,a=2,b=4,o<1.0)である構成を有する橙色蛍光体を用いることが好ましい。当該構成を有する橙色蛍光体は、励起光として波長域250nm〜420nmの範囲の光が照射されたとき高い効率をもって、波長570から630nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する高輝度な橙色発光をおこなう。さらに、当該発光スペクトルの半値幅は50nm以上である。
ここで、前記組成式中のOは、上述した赤色蛍光体と同様、製造時に当該橙色蛍光体の原料中に含まれる酸素に由来する物であるが、当該橙色蛍光体の発光効率の観点からは少ない方が好ましい。
そこで、以降の蛍光体の構造の説明においては、当該組成式中のOを省略して記載する場合がある。
【0038】
ここで、上述した赤色蛍光体および橙色蛍光体に含まれるM元素、A元素、B元素、およびZ元素についてさらに説明する。
M元素は、II価の価数をとる1種以上の元素であるが、好ましくはCa・Mg・Sr・Ba・Znから選択される1種以上の元素である。これらの元素は原料の入手が容易で、環境負荷も小さいからである。さらに、当該観点からはCaが最も好ましい。
A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であるが、好ましくはAl・Gaから選択される1種以上の元素である。これらの元素も原料の入手が容易で、環境負荷も小さいからである。さらに、当該観点からはAlが最も好ましい。
B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であるが、好ましくはSi・Geから選択される1種以上の元素である。これらの元素も原料の入手が容易で、環境負荷も小さいからである。さらに、当該観点からはSiが最も好ましい。
Z元素は付活剤として作用する元素であるが、希土類元素または遷移金属元素から選択される少なくとも1種以上の元素であることが好ましい。これらの元素も原料の入手が容易で、環境負荷も小さいからである。さらに、当該観点からはEuが最も好ましい。
【0039】
次に、本発明に係る蛍光体混合物に含まれる緑色蛍光体について説明する。
当該緑色蛍光体については、以下に説明する励起特性および発光特性を有する公知の緑色蛍光体を用いることができる。
まず励起光として波長域250nm〜460nmさらに好ましくは波長域300nm〜420nmの範囲の光が照射されたとき高い効率をもって、波長500から570nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する高輝度な緑色発光をおこなう緑色蛍光体である。さらに、当該発光スペクトルの半値幅が50nm以上であることが好ましい。
以上の励起特性および発光特性を有する緑色蛍光体の例として、ZnS:Cu,Al、(Ba,Sr,Ca)2SiO4:Eu、等を挙げることができる。
【0040】
次に、本発明に係る蛍光体混合物に含まれる青色蛍光体について説明する。
当該青色蛍光体についても、以下に説明する励起特性および発光特性を有する公知の青色蛍光体を用いることができる。
まず励起光として波長域250nm〜420nmさらに好ましくは波長域300nm〜420nmの範囲の光が照射されたとき高い効率をもって、波長440から500nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する高輝度な青色発光をおこなう青色蛍光体である。さらに、当該発光スペクトルの半値幅が50nm以上であることが好ましい。
以上の励起特性および発光特性を有する青色蛍光体の例として、BAM:Eu(BaMgAl10O17:Eu)、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu、等を挙げることができる。
【0041】
以上説明したように、本発明に係る蛍光体混合物に含まれる赤色蛍光体、橙色蛍光体、緑色蛍光体、および青色蛍光体とも発光スペクトルにおいて、50nm以上の半値幅を持つ。この結果、当該蛍光体混合物の発光は、青色〜赤色の可視光全域にわたり均一な光の密度を持ったスペクトルとなり、当該蛍光体混合物を、波長300nm〜420nmの範囲のいずれかの励起光を照射した際、優れた演色性を発揮する発光スペクトルを得ることが出来る。
【0042】
次に、当該赤色蛍光体、橙色蛍光体、緑色蛍光体、および青色蛍光体を混合して、本発明に係る蛍光体混合物を得る方法について説明する。
当該赤色蛍光体、橙色蛍光体、緑色蛍光体、および青色蛍光体を混合する際、当該混合比を設定することで、当該蛍光体混合物を波長300nm〜420nmの範囲のいずれかの励起光を照射した際、得られる光の発光スペクトルの相関色温度を7000Kから2000Kの間における所望の値とすることができる。具体的には、各色蛍光体の目的の励起光に対する各々の発光スペクトルを測定し、得られた発光スペクトルをシミュレーションにて合成し、所望の相関色温度を得るための混合比率を求めればよい。さらに、当該相関色温度に加え、優れた演色性、所定の色座標も求められるので、それに合わせて混合比率の調整をおこなえばよい。上述した各色蛍光体は、50nm以上の半値幅を持つので、当該蛍光体混合物の発光においては、互いの発光スペクトルが重なり合い、波長420nmから780nmの範囲に途切れることない連続的な、所謂ブロードなスペクトルを得ることができる上、各色蛍光体とも同範囲の励起帯を有しているので混合比率の調整は容易である。
【0043】
尤も、例えば、色温度7000から5000K程度においては、自然光を近似した基準の光の発光スペクトル自体に青色や緑色の波長密度が多く、長波長領域の密度が低いので、評価対象である蛍光体において、長波長域に発光する赤色蛍光体が少なくても、当該白色光の演色性評価結果に与える影響は少ない。一方、例えば、色温度4500K以下の白色光においては、前記自然光を近似した基準の光は、橙色や赤色などの長波長領域の密度が多くなるため、赤色の蛍光体は必然的に多くなり、当該白色光の演色性評価結果に与える影響は大きい。すなわち、本発明に係る蛍光体混合物は、相関色温度4500Kから2000Kの範囲の白色光において、特に効果を発揮するものである。
【0044】
さらに好ましいことに、本発明に係る蛍光体混合物からの発光は、相関色温度が4200Kから2500Kである発光スペクトル内において、波長420nmから780nmの範囲に3つ以上の発光ピークを有し、発光が途切れることなく連続的なスペクトルを有している。この結果、照明として人間の視覚に明るさを感じさせる輝度を稼ぐことができると同時に、波長420nmから780nmの範囲にブロードな発光スペクトルを有しているので、演色性の優れた発光となる。
【0045】
ここで、本発明に係る蛍光体の製造方法例について、組成式CaAlSiN3:Eu (但し、Eu/(Ca+Eu) = 0.020である。)で示される赤色蛍光体の製造を例として説明する。尚、他の組成式を有する橙色蛍光体の製造においても、各元素を供給する原料の仕込量を、所定の比率とすることにより、当該赤色蛍光体の場合と同様にして製造することができる。
【0046】
M元素、A元素、B元素の各窒化物原料は市販の原料でよいが、純度は高い方が好ましいことから、好ましくは2N以上、さらに好ましくは3N以上のものを準備する。各原料粒子の粒径は、一般的には、反応を促進させる観点から微粒子の方が好ましいが、原料の粒径、形状により、得られる蛍光体の粒径、形状も変化する。このため、最終的に得られる蛍光体に求められる粒径に合わせて、近似の粒径を有する窒化物原料を準備すればよい。Z元素の原料は市販の窒化物原料、もしくは単体金属が好ましいが、添加量が少量であるため酸化物を用いても問題はない。やはり純度は高い方が好ましく、好ましくは2N以上、さらに好ましくは3N以上のものを準備する。
【0047】
Ca0.980AlSiN3:Eu0.020の製造であれば、例えばM元素、A元素、B元素の窒化物として、それぞれCa3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)を準備し、Z元素としては、Eu2O3(3N)を準備するとよい。これらの原料を、各元素のモル比がCa : Al : Si : Eu = 0.980 : 1 : 1 : 0.020となるように、各原料の混合比を、それぞれ、Ca3N2を0.980/3 mol、AlNを1 mol、Si3N4を1/3 mol、Eu2O3を0.020/2 molを秤量し混合する。当該秤量・混合は、Ca3N2が酸化し易いために不活性雰囲気下のグローブボックス内での操作が便宜である。また、各原料元素の窒化物は水分の影響を受けやすいため、不活性ガスは水分を十分取り除いたものを使用するのが良い。混合方式は湿式、乾式どちらでも構わないが、湿式混合の溶媒として純水を用いると原料が分解するため、適当な有機溶媒を選定する必要がある。装置としてはボールミルや乳鉢等を用いる通常のものでよい。
【0048】
混合が完了した原料をるつぼに入れ、窒素等の不活性雰囲気中で1000℃以上、好ましくは1400℃以上、さらに好ましくは1500℃以上で30min以上、好ましくは3時間保持して焼成する。保持時間は焼結温度が高いほど焼結が迅速に進むため短縮出来る。一方、焼結温度が低い場合でも、当該温度を長時間保持することにより目的の発光特性を得ることが出来る。しかし、焼結時間が長いほど粒子成長が進み、粒子サイズが大きくなるため、目的とする粒子サイズに応じて焼結時間を設定すればよい。尚、るつぼとしてはAl2O3るつぼ、Si3N4るつぼ、AlNるつぼ、サイアロンるつぼ、C(カーボン)るつぼ、BN(窒化ホウ素)るつぼなどの不活性雰囲気中で使用可能なものを用いれば良いが、BNるつぼを用いると、るつぼからの不純物混入を回避することができ好ましい。
【0049】
焼成が完了した後、焼成物をるつぼから取り出し、乳鉢、ボールミル等の粉砕手段を用いて、所定の平均粒径となるように粉砕して組成式Ca0.980AlSiN3:Eu0.020で示される蛍光体を製造することができる。ここで、Eu原料としてEu2O3を使用した場合には、少量ではあるが酸素が添加されてしまうことにより、組成式はCa0.980AlSiO0.03N2.96:Eu0.020となるが、酸素量が少量なので特に問題はない。尚、酸素量をさらに削減したい場合は、Eu原料としてEu金属またはEu窒化物を用いれば良い。
【0050】
M元素、A元素、B元素、Z元素として、他の元素を用いた場合、および付活剤であるEuの付活量を変更した場合も、各原料の仕込み時の配合量を所定の組成比に合わせることで、上述したものと同様の製造方法により蛍光体を製造することができる。
【0051】
本発明に係る蛍光体混合物を粉体の形で用いる場合は、混合する各蛍光体粉体の平均粒径がそれぞれ20μm以下であることが好ましい。これは、蛍光体粉体における発光は主に粉体粒子表面で起こると考えられるため、平均粒径が20μm以下であれば、粉体単位重量あたりの表面積を確保でき、輝度の低下を回避できるからである。さらに、当該蛍光体混合粉体を用いた照明装置の製造において、当該蛍光体混合物粉体ペースト状とし、例えば、発光体素子等に塗布する場合に当該粉体の密度を高めることができ、この観点からも輝度の低下を回避することができる。また、本発明者らの検討によると、詳細な理由は不明であるが、蛍光体粉体の発光効率の観点からは、平均粒径が0.1μmより大きいことが好ましいことも判明した。以上のことより、係る蛍光体粉体の平均粒径は、0.1μm〜20μmであることが好ましい。
【0052】
粉末状となった本発明に係る蛍光体混合物を、波長域250nmから420nm、好ましくは波長域300nmから420nmのいずれかの光を発光する発光部と組み合わせることで、各種の照明装置やディスプレイ装置を製造することができる。
発光部として、例えば、紫外から青色発光のいずれかの範囲でするLED発光素子、紫外光を発生する放電灯を用いることができる。そして、本発明に係る蛍光体混合物を当該LED発光素子と組み合わせた場合には、各種の照明ユニットやディスプレイ装置を製造することができ、本発明に係る蛍光体混合物を当該放電灯と組み合わせた場合には、各種蛍光灯や照明ユニットやディスプレイ装置を製造することができる。
【0053】
本発明に係る蛍光体混合物と発光部との組み合わせの方法は、公知の方法で行っても良いが、発光部にLEDを用いた発光装置の場合は、下記のようにして発光装置を作製することが出来る。
以下、図面を参照しながら、発光部にLEDを用いた発光装置について説明する。
図4(A)〜(C)は、砲弾型LEDの模式的な断面図であり、図5(A)〜(E)は、反射型LEDの模式的な断面図である。尚、各図面において、相当する部分については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0054】
まず、図4(A)を用いて、発光部にLEDを用い、本発明に係る蛍光体混合物と組み合わせた発光装置の1例について説明する。
砲弾型LEDにおいては、リードフレーム3の先端に設けられたカップ状の容器5内に、LED発光素子2が設置され、これらが透光性の樹脂4にてモールドされている。当該実施の形態では、本発明に係る蛍光体混合物または当該蛍光体混合物をシリコンやエポキシ等の透光性のある樹脂に分散させた混合物(以下、蛍光体混合物1と記載する。)を、カップ状の容器5内の全てに埋め込むものである。
【0055】
次に、図4(B)を用いて、異なる発光装置の1例について説明する。
当該実施の形態では、蛍光体混合物1をシリコンやエポキシ等の透光性のある樹脂に分散させた混合物を、カップ状の容器5上およびLED発光素子2上面に塗布したものである。
【0056】
次に、図4(C)を用いて、さらに異なる発光装置の1例について説明する。
当該実施の形態では、蛍光体混合物1をLED発光素子2の上部に設置したものである。
【0057】
以上、図4(A)〜(C)を用いて説明した砲弾型LED型の発光装置は、LED発光素子2からの光の放出方向は上方向であるが、光の放出方向が下方向でも同様の方法で発光装置の作成は可能である。例えば、当該LED発光素子の光の放出方向に反射面、反射板を設け、素子から放出される光を反射面に反射させて外部に発光させるのが反射型LEDである。そこで図5(A)〜(E)を用い、反射型LEDと本発明に係る蛍光体混合物とを、組み合わせた発光装置の例について説明する。
【0058】
まず、図5(A)を用いて、発光部に反射型LEDを用い、本発明に係る蛍光体混合物と組み合わせた発光装置の1例について説明する。
反射型LEDにおいては、片方のリードフレーム3の先端にLED発光素子2が設置され、このLED発光素子からの発光は、下方に向かい反射板8により反射されて上方より放出される。当該実施の形態では、蛍光体混合物1を反射面8上に塗布するものである。尚、反射板8が形成する凹部内には、LED発光素子2を保護するため透明モールド材が充填される場合もある。
【0059】
次に、図5(B)を用いて、異なる発光装置の1例について説明する。
当該実施の形態では、蛍光体混合物1をLED発光素子2の下部に設置したものである。
【0060】
次に、図5(C)を用いて、異なる発光装置の1例について説明する。
当該実施の形態では、蛍光体混合物1を、反射板8が形成する凹部内に充填したものである。
【0061】
次に、図5(D)を用いて、異なる発光装置の1例について説明する。
当該実施の形態では、蛍光体混合物1を、LED発光素子2を保護するための前記透明モールド材の上部に塗布したものである。
次に、図5(E)を用いて、異なる発光装置の1例について説明する。
当該実施の形態では、蛍光体混合物1を、LED発光素子2の表面に塗布したものである。
【0062】
砲弾型LEDと反射型LEDとは、用途に応じて使い分ければよいが、反射型LEDには、薄くできる、光の発光面積を大きくできる、光の利用効率を高められる等のメリットがある。
【0063】
以上説明した光源を一般照明用光源として使用する場合は、演色性に優れる発光スペクトルを有していることが必要であるので、JIS Z 8726の評価方法を用いて、本発明に係る蛍光体混合物を組み込んだ光源の演色性を評価した。JIS Z 8726の評価において、当該光源の平均演色評価数Raが、80以上であれば、優れた光源といえる。そして、好ましくは、赤色成分を示す指標である特殊演色評価数R9が60以上であり、さらに好ましくは、日本人女性の肌色の成分を示す指標である特殊演色評価数R15が80以上であれば、非常に優れた光源といえる。
【0064】
そこで、波長300nmから420nmの範囲のいずれかの発光をおこなう発光部からの光が本発明に係る蛍光体混合物へ照射され、当該蛍光体混合物が発光をおこなう発光装置を作製した。尚、発光部としてはLEDを用いた。
当該発光装置が発光する光の演色性を評価した。その結果、本発明に係る蛍光体混合物を組み込んだ光源の演色性は、相関色温度7000〜2500Kの範囲において、Raは80以上、R9が60以上、R15が80以上の光源を容易に作成でき、相関色温度4000〜2600Kの範囲において、蛍光体の混合比を適時調整することによって、Raは90以上、R9が95以上、R15が96以上という極めて高い演色性を示し、当該発光装置は、非常に優れた光源であることが判明した。
さらに、本発明に係る蛍光体混合物において、4種の蛍光体の配合量を適宜変更することにより、これまで得られなかった種々の色味の発光色も得られた。
【実施例】
【0065】
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1においては、波長390nmに発光する発光素子(LED)で励起させた場合に、相関色温度5000Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
1)蛍光体の準備
実施の形態で説明した方法により赤色蛍光体CaAlSiN3:Euを製造した。
原料の仕込み組成比をCa3N2を0.950/3 mol、AlNを2 mol、Si3N4を4/3 mol、Eu2O3を0.050/2 molとし、他は赤色蛍光体CaAlSiN3:Euと同様にして橙色蛍光体CaAl2Si4N8:Euを製造した。
緑色蛍光体ZnS:Cu,Alと、青色蛍光体BAM:Euとは市販品を準備した。
2)蛍光体混合物の調製
前記CaAlSiN3:Eu、CaAl2Si4N8:Eu、ZnS:Cu,Al、およびBAM:Euの4種の蛍光体を、波長390nmの励起光で励起させた場合の発光スペクトルを測定し、当該発光スペクトルから蛍光体混合物の相関色温度が5000Kとなる相対混合比を、シミュレーションにより求めた。シミュレーションの結果は、CaAlSiN3:Eu:CaAl2Si4N8:Eu:ZnS:Cu,Al:BAM:Eu=0.07:0.07:0.36:0.51であったので、当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
ここで、波長390nmの励起光で励起させた場合、CaAlSiN3:Euの発光スペクトルの半値幅は86.7nmであり、CaAl2Si4N8:Euの発光スペクトルの半値幅は85.2nm、ZnS:Cu,Alの発光スペクトルの半値幅は75.0nmであり、BAM:Euの発光スペクトルの半値幅は53.5nmであり、全て50nm以上であった。
但し、発光部の発光波長(蛍光体混合物の励起波長)、当該発光波長による蛍光体の発光効率により、好ましい混合比が、シミュレーションの結果よりずれる場合がある。このような場合は、適宜、蛍光体の配合比を調整して、実際の発光スペクトル形状を整えればよい。
3)発光特性の評価
得られた蛍光体混合物へ励起光として波長390nmの光を照射し、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ4998Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところx=0.346、y=0.358であった。
得られた発光スペクトルを図1において実線で示す。尚、図1は、縦軸に相対発光強度をとり、横軸に発光波長(nm)をとったグラフである。
当該発光スペクトルは、波長420nmから780nmの範囲で途切れることない連続的なスペクトルを有し、波長420nmから780nmの範囲に3つの発光ピークを有していた。
4)演色性の評価
JIS Z 8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った。平均演色評価数Raは95、特殊演色評価数R9は98、R10は85、R11は94、R12は80、R13は95、R14は94、R15は97と、全て80以上であり、特にR9とR15とは90以上と、非常に優れた演色性を発揮した。
実施例1および後述する実施例2、3の測定データの一覧表を表1に記載する。
【0066】
(実施例2)
実施例2においても、相関色温度5000Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
1)蛍光体の準備
実施の形態で説明した方法により赤色蛍光体CaAlSiN3:Euを製造した。
原料の仕込み組成比をSrCO3を2.71mol、Si3N4を1 mol、Eu2O3を0.040/2 molとし、他は赤色蛍光体CaAlSiN3:Euと同様にして橙色蛍光体2.75SrO・Si3N4:Euを製造した。
緑色蛍光体ZnS:Cu,Alと、青色蛍光体BAM:Euとは市販品を準備した。
2)蛍光体混合物の調製
実施例1と同様にして、CaAlSiN3:Eu:2.75SrO・Si3N4:Eu:ZnS:Cu,Al:BAM:Eu=0.01:0.16:0.38:0.45を求め、当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
ここで、波長390nmの励起光で励起させた場合の2.75SrO・Si3N4:Euの発光スペクトルの半値幅は94.0nmであった。
3)発光特性の評価
実施例1と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ4998Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところx=0.346、y=0.359であった。
得られた発光スペクトルを図1において1点鎖線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例1と同様に、波長420nmから780nmの範囲で途切れることない連続的なスペクトルを有し、波長420nmから780nmの範囲に3つの発光ピークを有していた。
4)演色性の評価
実施例1と同様にして演色性の評価を行った。平均演色評価数Raは96、特殊演色評価数R9は96、R10は95、R11は89、R12は88、R13は96、R14は94、R15は97と、全て80以上であり、特にR9とR15とは90以上と、非常に優れた演色性を発揮した。
【0067】
(実施例3)
実施例3においても、相関色温度5000Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
1)蛍光体の準備
実施の形態で説明した方法により赤色蛍光体CaAlSiN3:Euを製造した。
原料の仕込み組成比を、Ca3N2を1.98/3mol、Si3N4を5/3mol、Eu2O3を0.020/2 molとし、他は赤色蛍光体CaAlSiN3:Euと同様にして橙色蛍光体Ca2Si5N8:Euを製造した。
緑色蛍光体ZnS:Cu,Alと、青色蛍光体BAM:Euとは市販品を準備した。
2)蛍光体混合物の調製
実施例1と同様にして、CaAlSiN3:Eu:Ca2Si5N8:Eu:ZnS:Cu,Al:BAM:Eu=0.04:0.17:0.31:0.48を求め、当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
ここで、波長390nmの励起光で励起させた場合のCa2Si5N8:Euの発光スペクトルにおける半値幅は98.7nmであった。
3)発光特性の評価
実施例1と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ5012Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところx=0.345、y=0.358であった。
得られた発光スペクトルを図1において破線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例1と同様に、波長420nmから780nmの範囲で途切れることない連続的なスペクトルを有し、波長420nmから780nmの範囲に3つの発光ピークを有していた。
4)演色性の評価
実施例1と同様にして演色性の評価を行った。平均演色評価数Raは96、特殊演色評価数R9は97、R10は90、R11は93、R12は89、R13は98、R14は96、R15は98と、全て80以上であり、特にR9とR15とは90以上と、非常に優れた演色性を発揮した。
【0068】
【表1】

【0069】
(実施例4)
実施例4においては、相関色温度4200Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
1)蛍光体の準備
実施例1と同様の赤色蛍光体、橙色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体を準備した。
2)蛍光体混合物の調製
実施例1と同様にして、波長390nmの励起光における蛍光体混合物の発光スペクトルの相関色温度が4200Kとなる相対混合比を、CaAlSiN3:Eu:CaAl2Si4N8:Eu:ZnS:Cu,Al:BAM:Eu=0.07:0.09:0.38:0.45と求め、当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
3)発光特性の評価
実施例1と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ4197Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところx=0.374、y=0.378であった。
得られた発光スペクトルを図2において実線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例1と同様に、波長420nmから780nmの範囲で途切れることない連続的なスペクトルを有し、波長420nmから780nmの範囲に3つの発光ピークを有していた。
4)演色性の評価
実施例1と同様にして演色性の評価を行った。平均演色評価数Raは95、特殊演色評価数R9は96、R10は87、R11は95、R12は82、R13は96、R14は95、R15は97と、全て80以上であり、特にR9とR15とは90以上と、非常に優れた演色性を発揮した。
実施例4および後述する実施例5、6の測定データの一覧表を表2に記載する。
【0070】
(実施例5)
実施例5においても、相関色温度4200Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
1)蛍光体の準備
実施例2と同様の赤色蛍光体、橙色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体を準備した。
2)蛍光体混合物の調製
実施例1と同様にして、波長390nmの励起光における蛍光体混合物の発光スペクトルの相関色温度が4200Kとなる相対混合比を、CaAlSiN3:Eu:2.75SrO・Si3N4:Eu:ZnS:Cu,Al:BAM:Eu=0.02:0.19:0.40:0.39を求め、当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
3)発光特性の評価
実施例1と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ4202Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところx=0.374、y=0.378であった。
得られた発光スペクトルを図2において1点鎖線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例1と同様に、波長420nmから780nmの範囲で途切れることない連続的なスペクトルを有し、波長420nmから780nmの範囲に3つの発光ピークを有していた。
4)演色性の評価
実施例1と同様にして演色性の評価を行った。平均演色評価数Raは95、特殊演色評価数R9は95、R10は98、R11は86、R12は93、R13は95、R14は95、R15は96と、全て80以上であり、特にR9とR15とは90以上と、非常に優れた演色性を発揮した。
【0071】
(実施例6)
実施例6においても、相関色温度4200Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
1)蛍光体の準備
実施例3と同様の赤色蛍光体、橙色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体を準備した。
2)蛍光体混合物の調製
実施例1と同様にして、波長390nmの励起光における蛍光体混合物の発光スペクトルの相関色温度が4200Kとなる相対混合比を、CaAlSiN3:Eu:Ca2Si5N8:Eu:ZnS:Cu,Al:BAM:Eu=0.05:0.21:0.32:0.41を求め、当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
3)発光特性の評価
実施例1と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ4202Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところx=0.374、y=0.378であった。
得られた発光スペクトルを図2において破線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例1と同様に、波長420nmから780nmの範囲で途切れることない連続的なスペクトルを有し、波長420nmから780nmの範囲に3つの発光ピークを有していた。
4)演色性の評価
実施例1と同様にして演色性の評価を行った。平均演色評価数Raは96、特殊演色評価数R9は99、R10は91、R11は94、R12は86、R13は98、R14は95、R15は99と、全て80以上であり、特にR9とR15とは90以上と、非常に優れた演色性を発揮した。
【0072】
【表2】

【0073】
(実施例7)
実施例7においては、相関色温度3000Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
1)蛍光体の準備
実施例1と同様の赤色蛍光体、橙色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体を準備した。
2)蛍光体混合物の調製
実施例1と同様にして、波長390nmの励起光における蛍光体混合物の発光スペクトルの相関色温度が3000Kとなる相対混合比を、CaAlSiN3:Eu:CaAl2Si4N8:Eu:ZnS:Cu,Al:BAM:Eu=0.12:0.16:0.39:0.33を求め、当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
3)発光特性の評価
実施例1と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ3000Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところx=0.436、y=0.403であった。
得られた発光スペクトルを図2において実線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例1と同様に、波長420nmから780nmの範囲で途切れることない連続的なスペクトルを有し、波長420nmから780nmの範囲に3つの発光ピークを有していた。
4)演色性の評価
実施例1と同様にして演色性の評価を行った。平均演色評価数Raは97、特殊演色評価数R9は96、R10は95、R11は94、R12は94、R13は100、R14は96、R15は99と、全て80以上であり、特にR9とR15とは90以上と、非常に優れた演色性を発揮した。
実施例7および後述する実施例8、9の測定データの一覧表を表3に記載する。
【0074】
(実施例8)
実施例8においても、相関色温度3000Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
1)蛍光体の準備
実施例2と同様の赤色蛍光体、橙色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体を準備した。
2)蛍光体混合物の調製
実施例1と同様にして、波長390nmの励起光における蛍光体混合物の発光スペクトルの相関色温度が3000Kとなる相対混合比を、CaAlSiN3:Eu:2.75SrO・Si3N4:Eu:ZnS:Cu,Al:BAM:Eu=0.03:0.30:0.41:0.26を求め、当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
3)発光特性の評価
実施例1と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ2996Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところx=0.437、y=0.403であった。
得られた発光スペクトルを図3において1点鎖線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例1と同様に、波長420nmから780nmの範囲で途切れることない連続的なスペクトルを有し、波長420nmから780nmの範囲に3つの発光ピークを有していた。
4)演色性の評価
実施例1と同様にして演色性の評価を行った。平均演色評価数Raは93、特殊演色評価数R9は96、R10は92、R11は80、R12は90、R13は90、R14は97、R15は96と、全て80以上であり、特にR9とR15とは90以上と、非常に優れた演色性を発揮した。
【0075】
(実施例9)
実施例9においても、相関色温度3000Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
1)蛍光体の準備
実施例3と同様の赤色蛍光体、橙色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体を準備した。
2)蛍光体混合物の調製
実施例1と同様にして、波長390nmの励起光における蛍光体混合物の発光スペクトルの相関色温度が3000Kとなる相対混合比を、CaAlSiN3:Eu:Ca2Si5N8:Eu:ZnS:Cu,Al:BAM:Eu=0.09:0.31:0.32:0.27を求め、当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
3)発光特性の評価
実施例1と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ3001Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところx=0.436、y=0.403であった。
得られた発光スペクトルを図3において破線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例1と同様に、波長420nmから780nmの範囲で途切れることない連続的なスペクトルを有し、波長420nmから780nmの範囲に3つの発光ピークを有していた。
4)演色性の評価
実施例1と同様にして演色性の評価を行った。平均演色評価数Raは98、特殊演色評価数R9は98、R10は99、R11は91、R12は98、R13は98、R14は97、R15は99と、全て80以上であり、特にR9とR15とは90以上と、非常に優れた演色性を発揮した。
【0076】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例に係る蛍光体混合物の相関色温度を5000Kとしたときの発光スペクトルパターンである。
【図2】実施例に係る蛍光体混合物の相関色温度を4200Kとしたときの発光スペクトルパターンである。
【図3】実施例に係る蛍光体混合物の相関色温度を3000Kとしたときの発光スペクトルパターンである。
【図4】実施例に係る砲弾型LEDの断面図である。
【図5】実施例に係る反射型LEDの断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1.蛍光体混合物
2.LED発光素子
3.リードフレーム
4.樹脂
5.カップ状の容器
8.反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、m=a=b=1 ,o<0.5,n = 3 -2/3o である。)で表記される赤色蛍光体と、
波長570から630nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する橙色蛍光体と、
波長500から570nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する緑色蛍光体と、
波長440から500nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する青色蛍光体とを、含むことを特徴とする蛍光体混合物。
【請求項2】
前記橙色蛍光体が、組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、n=2/3m+a+4/3b-2/3o(m>0,a≧0,b>0,o≧0)と表記される橙色蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体混合物。
【請求項3】
前記橙色蛍光体が、組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、m=1.0 ,a=2.0 , 3.0≦ b ≦6.0, o < 1.0 , n = 8/3 + 4/3b -2/3oである。)で表記される橙色蛍光体であることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光体混合物。
【請求項4】
前記M元素は、Ca、Mg、Sr、Ba、Znから選択される1種以上の元素であり、
前記A元素は、Al、Gaから選択される1種以上の元素であり、
前記B元素は、Si、Geから選択される1種以上の元素であり、
前記Z元素は、希土類元素、遷移金属元素から選択される1種以上の元素である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の蛍光体混合物。
【請求項5】
前記Z元素は、Euであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の蛍光体混合物。
【請求項6】
前記各蛍光体は、発光スペクトルの半値幅が50nm以上のものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の蛍光体混合物。
【請求項7】
波長300nmから420nmの範囲にある励起光により励起されたときの発光スペクトルにおいて、相関色温度は7000Kから2000Kの範囲にあり、波長420nmから780nmの範囲に途切れることない連続的なスペクトルを有することを特徴とする請求項1から6のいずれかの構成に記載の蛍光体混合物。
【請求項8】
波長300nmから420nmの範囲にある励起光により励起されたときの発光スペクトルにおいて、相関色温度は4500Kから2000Kの範囲にあり、波長420nmから780nmの範囲に3つ以上の発光ピークを有し、且つ波長420nmから780nmの範囲に途切れることない連続的スペクトルを有することを特徴とする請求項1から7のいずれかの構成に記載の蛍光体混合物。
【請求項9】
前記緑色蛍光体は、ZnS:Cu,Alおよび/または(Ba,Sr,Ca)2SiO4:Euであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の蛍光体混合物。
【請求項10】
前記青色蛍光体は、BAM:Eu(BaMgAl10O17:Eu)および/または(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の蛍光体混合物。
【請求項11】
前記各蛍光体の平均粒径が0.1〜20μmの粒子からなることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の蛍光体混合物。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかの構成に記載の蛍光体混合物と、
波長300nmから420nmの範囲のいずれかの発光をおこなう発光部とを有することを特徴とする発光装置。
【請求項13】
前記発光装置の平均演色評価数Raが、80以上であることを特徴とする請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記発光装置の特殊演色評価数R9が、60以上であることを特徴とする請求項12または13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記発光装置の特殊演色評価数R15が、80以上であることを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の発光装置。
【請求項16】
前記発光装置の相関色温度が、7000Kから2500Kの範囲にあることを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載の発光装置。
【請求項17】
前記発光装置の相関色温度が、4500Kから2500Kの範囲にあることを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載の発光装置。
【請求項18】
前記発光部が発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項12から17のいずれかに記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−63233(P2006−63233A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249253(P2004−249253)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000224798)同和鉱業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】