説明

蛍光測定用レーザスキャナ装置

【課題】試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理した蛍光サンプルを画像化するための代替のレーザスキャナ装置を提案する。
【解決手段】レーザスキャナ装置1は、サンプルテーブル2と、異なる波長のレーザビーム54,55を供給するレーザ51,52および第1光学系53と、レーザビームを偏向する光学偏向素子56と、レーザビームをサンプルに集光する第1対物レンズ57と、サンプルからの発光ビーム束59,60を検出器61,61’へ伝送する第2光学系58と、発光ビーム束を検出する2つの検出器とを備える。光学偏向素子は、介在角度(β)で配置された前側および後側のダイクロイック面63,64を持つウェッジ形状のダイクロイックミラー62を備える。該ミラーは、2つのレーザビームが一方の表面63,64でそれぞれ反射するように調整され、2つの焦光ポイント65および2つの発光ビーム束の空間分離を生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願)
本特許出願は、スイス特許出願第01641/07号(2007年10月22日出願)の優先権を主張する。その内容全体は、全ての目的について明示の参照により、ここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理された蛍光サンプルを画像化及び/又は測定するためのレーザスキャナ装置、および対応する方法に関する。
【0003】
この場合、このレーザスキャナ装置は、サンプル面にある試料スライドのためのレセプタクルを備えたモータ駆動可能なサンプルテーブルと、互いに平行に配向し、この面に対して平行に延びる異なる波長の2つのレーザビームを供給するための少なくとも1つのレーザおよび第1光学系と、この面に対して平行に、ある運動方向に前後移動可能なスキャナヘッドであって、レーザビームをサンプルに向けて偏向するための光学偏向素子を有するスキャナヘッドを含むスキャナ手段と、レーザビームをこの面のサンプルに集光するための対物レンズとを備える。
【0004】
レーザスキャナ装置は、サンプルでレーザビームによって誘起され、対物レンズおよび偏向素子によって偏向された発光ビーム束を、この面に対してほぼ平行な方向に伝送するための第2光学系と、そして、サンプルから到来する異なる波長の発光ビーム束を検出するための2つの検出器をさらに備える。
【背景技術】
【0005】
従来の光学走査顕微鏡は、試料スライド上に配置された蛍光サンプルを画像化するために長い期間使用されている。共焦点光学走査顕微鏡も、改善された解像度のため、より頻繁に使用されている。こうした顕微鏡は、例えば、英国公開第GB2184321A号から知られている。この顕微鏡は、レーザ光を光学経路に沿って案内し、集光ビームを用いて顕微鏡の対物面に配置されたサンプルを走査する。
【0006】
サンプルによって放射された蛍光ビームは、同じ光学経路を通って後方へ案内され、デスクリーニング(descreening)やデスキャニング(descanning)の目的で、ダイクロイックミラーを用いて励起ビームから分離され、検出器前方の共焦開口上に結像される。こうして蛍光を誘起する目的でサンプルに向いた光は検出器に衝突することなく、サンプルの蛍光から像が形成される。
【0007】
市販されている顕微鏡の多くは、この設計をベースとしており、サンプルによって放射された光を異なる波長範囲に分解するためのビームスプリッタやフィルタを有する。これにより2つの蛍光色素が使用可能になり、それらの発光は2つの検出器を用いて測定することができる。
【0008】
しかしながら、2つの異なる波長を有する2つの励起光ビームを同じ走査スポット上に案内する全ての共焦点スキャナ装置は、2つの発光信号がスペクトル上でしか区切ることができないという不具合を有する。通常使用する色素の吸収スペクトル及び/又は蛍光スペクトルは重なっているため、これらを確実に定量的に識別することは可能でない(特に、強度で比較的大きな相違がある場合)。最初に蛍光スペクトルを有する像、そして、異なるタイプの励起ビームを有する第2の像を、時間を要する方法で発生させないようにするため、少なくとも2つの別々に配向した励起ビームを供給する走査顕微鏡および「スキャナ装置」が提案されている。
【0009】
例えば、米国特許第5304810号は、このタイプの顕微鏡を開示しており、これは、互いに空間的に分離した2つ又はそれ以上の照射ビームが、互いに空間的に分離した2つ又はそれ以上の照射ポイントを生成し、これらの照射ポイントを用いてサンプルを同時に走査している。その結果、互いに空間的に分離し、同時に生成される蛍光ビーム束が、これらの個々の走査位置に従って、互いに空間的に分離したこれらの照射ポイントに向けて配向した個々の検出器を用いて同時に測定される。
【0010】
米国特許第6628385B1号はまた、このタイプの顕微鏡を開示しており、2つの励起レーザを用いてサンプル上で2つの分離した光スポットを生成している。この場合、2つの励起ビームが、僅かに異なる角度で45度ミラー内の開口を貫通して、対物素子に衝突している。これによりサンプル上で互いに分離した2つの光スポットの設置をもたらし、発光ビーム束が各光スポットで発生する。得られた2つの発光ビーム束は、45度ミラーで反射して2次レンズに衝突し、その後、直接あるいは第2の偏向後に、2つの検出器のうちの1つにそれぞれ到達する。さらに、ダイクロイックフィルタやプリズムなどの光学分離素子が、光電子増倍管として構成された検出器の前方に位置決め可能である。45度ミラーと対物素子との間に配置された走査システムまたはスクリーン化システムが、サンプルを走査するために使用できる。
【0011】
国際公開第02/059677A1号は、蛍光色素を用いて処理されたサンプルの上または中の蛍光の励起および測定のための光学系を開示する。このシステムは、使用する蛍光色素を励起するための少なくとも1つのレーザと、レーザ光をサンプルの方向に偏向するためのミラーと、レーザからの光をこのミラーに座標系(この場合、デカルト座標)のY方向に偏向するための偏向素子と、レーザ光の第1焦点をサンプル上に結像するための光学系と、該ミラーおよび該光学系を含み、Y方向に移動可能である走査ユニットと、座標系のX方向およびZ方向に移動可能であり、第1焦点に対してサンプルを配向させるためのサンプルテーブルと、サンプルによって放射された光を、第2焦点に配置された絞り(hole diaphragm)に結像するための光学配置と、絞りを通過する光の強度を測定するための検出器とを備える。
【0012】
さらに、規則パターン(アレイとして知られている)に配置されたサンプルの高感度走査のためのこれらの知られた顕微鏡は、光学顕微鏡法のための標準試料スライド全体を走査することが可能であり、中間(medium)解像度で満足に動作する。
【0013】
しかしながら、解像度が増加すると、例えば、色チャネル間の動的な変位など追加の影響が見えてくる点に留意すべきである。その結果、例えば、赤チャネルおよび緑チャネルの結像ポイントが、正確に互いに重なることがない。相対変位は、像の拡張に渡ってチャネル間で動的に変化し得る。さらに、この変位は、焦点でのサンプルの位置精度にほぼ依存する。これらの理由のため、相対変位は、大きな困難さと共に、ソフトウエアを用いて遡及的に補正することができる。
【0014】
2つのチャネルが、スペクトル上だけでなく空間的にも互いに分離することになれば、励起レーザの2つの焦光ポイントはサンプル上で互いに分離することになる。これを達成する唯一の方法は、2つのレーザの集光したレーザビームが、小さくて有意な相互のある角度で走査対物レンズに衝突することである。対物レンズに特定の角度で衝突する全てのビームが焦点面内の同じポイントに結像することは、一般に知られている。従って、対物レンズ前方での特定の入射角は、全ての場合、対物レンズ後方での特定の場所に対応している。これに関連して、レーザビームが、対物レンズに、その中心または対物アパーチャの他の部分領域で衝突することは重要でなく、これにより同一焦点での集光は影響されない。
【0015】
一方、対物レンズ後方でのビーム角は異なり、ビームは異なる方向から焦光ポイントに集束する。正確な焦光ポイントでは、これは相違を生じさせないが、面内で僅かに下方または上方に位置する。そこでは、ビームは、この角度の関数として異なる速度で正確な焦光ポイントから逸脱する。
【0016】
そして、2つのレーザビームが、これらの要求に従ってサンプル上で焦点面に互いに空間的に分離して集光する場合、従って、走査対物レンズに衝突する際、これらのレーザビームが互いにある角度を形成する場合は、2つのレーザビームの少なくとも1つが、ミラー素子に衝突する前に、走査軸に対して正確に平行に延びることはないことを必然的に意味する。
【0017】
このときスキャナヘッドが移動すると、レーザビームが対物レンズに衝突するポイントが変化する。ビームは、依然として同じ焦光ポイントに向けて、異なる角度で偏向する。焦光ポイントの外部では、上述したように、X方向に沿ったスキャナヘッドの位置および、Z方向に沿った正確な焦点面からサンプル面の偏差に従った異なる位置が得られる。この偏差は、現実の装置の許容誤差の範囲で完全には除外できず、ランダム許容誤差として、望むように正確には制御できない。
【0018】
説明した影響はそれ自体小さいが、これらは、例示の構成では5μm未満の解像度で明らかにかなり識別可能である。説明した影響により、像に渡って野放しで変化する偏差の程度で、2つの検出チャネルの像が全体像に渡って合致しないことがある。
【0019】
その結果、極めて小型な構造の定量測定は、不可能であり、あるいは少なくとも偽りになる。さらに、誤差は、局所的に変化する色フリンジとして識別可能である。
【0020】
ドイツ公開第19707227A1号は、発光光を励起し検出するための光走査装置を開示する。走査装置は、光発生ユニットと、偏向ユニットと、結像ユニットと、検出用の確認ユニットとを備える。一定に保持された高い解像度で走査時間を最小化するためには、光走査装置は、初期の光ビーム束を少なくとも2つの光ビーム束に分離するための分離ユニットをさらに具備する。分離ユニットは、ウェッジ(wedge)形状のダイクロイック二重ミラーを備える。初期の光ビーム束は、ウェッジの2つの表面で反射して分離される。代替として、2つのウェッジ形状の二重ミラーは、単一の初期の光ビーム束から4つの光ビーム束を形成する。こうしてサンプルの同時走査が可能になり、走査時間が減少する。
【0021】
欧州公開第0490510A号は、視野の光を検出器に関して整列するために、望遠鏡を備えたセンサ配置を開示する。2つの非平行な表面を持つウェッジ形状ビームスプリッタは、2つの検出器を備えた検出器配置の方向に光を反射する。この場合、ビームスプリッタの一方の表面は、ダイクロイック層として形成され、他方の表面は、ミラーとして形成される。ダイクロイック層は、第1波長範囲の光束を反射し、第2波長範囲の光束を通過させる。そして、第2波長範囲の光はミラー表面で反射する。こうして2つの異なる波長範囲で同じ視野の2つのビーム束は、光検出器配置の単一焦点面において2つの領域に方向付けられる。単一の視野からスタートして、2つの異なる像の形成は2つの異なる波長範囲の分離に基づいている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理した蛍光サンプルを画像化し及び/又は測定するための代替のレーザスキャナ装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1の態様によれば、この目的は、ここで開示したような特徴に従ったレーザスキャナ装置によって達成される。試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理した蛍光サンプルを画像化し及び/又は測定するためのレーザスキャナ装置は、下記の構成を備える。
【0024】
(a)サンプル面にある試料スライドのためのレセプタクルを備えたモータ駆動可能なサンプルテーブル。
(b)互いに平行に配向し、この面に対して平行に延びる異なる波長の2つのレーザビームを供給するための少なくとも1つのレーザおよび第1光学系。
(c)この面に対して平行に、ある運動方向に前後移動可能なスキャナヘッドであって、レーザビームをサンプルに向けて偏向するための光学偏向素子を有するスキャナヘッドを含むスキャナ手段。
(d)レーザビームを、この面にあるサンプルに集光するための対物レンズ。
(e)サンプルにおいてレーザビームによって誘起され、対物レンズおよび偏向素子によって偏向された発光ビーム束を、この面に対してほぼ平行な方向に検出器へ伝送するための第2光学系。
(f)サンプルから到来する異なる波長の発光ビーム束を検出するための2つの検出器。
【0025】
本発明に係るレーザスキャナ装置は、光学偏向素子が、互いに介在角度βで配置された前側および後側のダイクロイック面を持つウェッジ形状のダイクロイックミラーを備え、ウェッジ形状のダイクロイックミラーは、2つのレーザビームが一方の表面でそれぞれ反射するように調整され、ウェッジ形状のダイクロイックミラーは、介在角度βにより、2つの焦光ポイントおよび検出器の方向に案内される2つの発光ビーム束の空間分離を生じさせることを特徴とする。
【0026】
第2の態様によれば、この目的は、ここで開示したような特徴に従ったレーザスキャナ装置の動作方法によって達成される。試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理した蛍光サンプルを画像化し及び/又は測定するための方法は、下記のステップを備える。
【0027】
(a)サンプル面にある試料スライドのためのレセプタクルを備えたモータ駆動可能なサンプルテーブルを用意すること。
(b)少なくとも1つのレーザおよび第1光学系を用いて、互いに平行に配向し、この面に対して平行に延びる異なる波長の2つのレーザビームを供給すること。
(c)この面に対して平行に、ある運動方向に前後移動可能なスキャナヘッドを含むスキャナ手段の光学偏向素子を用いて、レーザビームをサンプルに向けて偏向すること。
(d)対物レンズを用いて、レーザビームをこの面のサンプルに集光すること。
(e)第2光学系を用いて、サンプルでレーザビームによって誘起され、対物レンズおよび偏向素子によって偏向された発光ビーム束を、この面に対してほぼ平行な方向に検出器へ伝送すること。
(f)2つの検出器を用いて、サンプルから到来する異なる波長の発光ビーム束を検出すること。
【0028】
本発明に係る追加の好ましい特徴は、従属請求項によってそれぞれ明らかになろう。
【0029】
本発明に係るレーザスキャナ装置の利点は、下記のようになる。
【0030】
・本発明に係るレーザスキャナ装置を用いて記録した赤/緑の像は、高い解像度にも拘わらず、簡単なX/Y補正(リニアシフト)によって像全体についてほぼ合致し、あるいは合致させることが可能である。
【0031】
・本発明で使用するウェッジ形状のダイクロイックミラーは、互いに介在角度で配置された前側および後側のダイクロイック面を備え、サンプルでの蛍光を励起し、検出器の方向に案内される2つの発光ビーム束の分離のためのスポットの空間的分離を同時に可能にする。
【0032】
・本発明で使用するペンタ(五角形)ミラー配置は、走査軸に対して直角に延びる軸の周りでのスキャナヘッドの全ての傾きを補正して、得られる集光ポイントがサンプル面での現在位置を変化させないようにする。
【0033】
・本発明で使用するカウンタ振動子(counter oscillator)は、高速移動するスキャナヘッドの移動パルスを補償して、これらのパルスがレーザスキャナ装置へ伝わらないようにしている。
【0034】
・本発明で使用するリニアエンコーダ(測定ロッド)は、光学主面内および、2つの走査レーザビームによって規定される走査面またはスクリーン面内に配置され、スキャナヘッドの瞬間位置の極めて正確な検出および、現在の集光ポイントの位置への正確な逆算を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の範囲を限定せず、特に好ましい実施形態の例を示す概略図面に基づいて、本発明に係るレーザスキャナ装置について説明する。
【0036】
図1は、サンプルマガジンから対象物テーブルへの試料スライドの移送中において、2つの試料スライドマガジンおよびこれらの前方に配置された対象物テーブルを通る垂直部分断面図である。これらの2つの試料スライドマガジンは、試料スライド上に配置され、2つの蛍光色素を用いて処理された蛍光サンプルを画像化及び/又は測定するための本発明に係るレーザスキャナ装置1の一部を形成する。
【0037】
このレーザスキャナ装置は、サンプル面49を規定するサンプルテーブル2と、試料スライドを保管ユニット4からサンプルテーブル2へ行き来させるためのモータ付搬送装置3とを備える。この場合、保管ユニット4は、少なくとも1つの個別の支持(bearing)ポイント6を有し、レーザスキャナ装置1の動作中に搬送装置3に対してアクセス可能である、サンプル試料スライド8用の個々のサンプル部分7と、テスト試料スライド10用のテスト部分9とを含む。
【0038】
本発明に係るこのレーザスキャナ装置において、テスト部分9は、1つ又はそれ以上のテスト試料スライド10のためのテスト部分マガジン9’としてサンプル部分7とは分離しており、レーザスキャナ装置1に堅固に連結されている。その結果、テスト部分9に保管されたテスト試料スライド10は、レーザスキャナ装置の動作状態では、操作者に対して手動でアクセスできない。これは、テスト試料スライド10が操作者による不適切な操作によって汚染したり損傷しないように、適切なテストスライドをいつでも提供できるという利点を有する。ここで示したテスト部分マガジン9’は、開放した挿入側面15を備える。
【0039】
ここで示した実施形態では、サンプル部分7は、テスト部分9の上方に軸方向に配置され、保管ユニット4のテスト部分9は、レーザスキャナ装置1のサンプルテーブル2に対して移動可能な保管ユニット4の調整プレート11に堅固に連結されている。調整プレート11は、レーザスキャナ装置1のサンプルテーブル2に対して相対的に移動可能である。この場合、保管ユニット4の位置決めプレート11は、サンプルテーブル2のサンプル面49に対して実質的に垂直に変位可能である。こうして何れか所望の試料スライド8,10は、サンプルテーブル2によって規定され、サンプルテーブル2への直線搬送のために設けられたサンプル面49の水平面(level)に運ばれる。
【0040】
図1の図から出発して、調整プレートは、固定して、レーザスキャナ装置1とテスト部分マガジン9’との間の静止連結を設けてもよい。こうした場合、何れか所望の試料スライド8,10の直線搬送が、サンプル部分マガジン7’またはテスト部分マガジン9’からサンプルテーブル2へ生ずるのであれば、サンプルテーブル2はテスト部分マガジン9’に対して移動する必要がある。
【0041】
調整プレート11はまた、全体として省いてもよく、テスト部分マガジン9’をレーザスキャナ装置1のどこかに固定して、レーザスキャナ装置の動作状態では、テスト部分9に保管されたテスト試料スライド10が、通常、操作者に対してアクセス可能でないようにしてもよい。
【0042】
さらに、代替物(不図示)は、静止状態のサンプルテーブル2に対して、このサンプル面49における、サンプルテーブル2のサンプル面49に既に置かれたテスト試料スライド10の移動、または、静止状態のテスト部分マガジン9’に対して、このサンプル面49におけるサンプルテーブル2の移動、または、サンプルテーブル2およびテスト部分マガジン9’の相互移動を含む。
【0043】
これら全ての場合において、サンプル部分マガジン7’またはテスト部分マガジン9’からサンプルテーブル2への何れか所望の試料スライド8,10の直線搬送が可能になる。さらに、マガジン7’,9’の1つから試料スライド8,10を除去して、サンプルテーブル2上に戴置するロボットの使用が想定できる。この場合、マガジン7’,9’およびサンプルテーブル2は、実際には、互いに任意の相対位置を想定できる。
【0044】
しかしながら、試料スライド8,10を上方に支持するサンプルテーブル2のサンプル面49は、実質的に水平に配置することが好ましい。サンプルテーブル2はまた、頭上に位置して、使用する試料スライド8,10がサンプルテーブル2の下方に位置するようにしてもよい。空間内でサンプル面49の任意の他の場所も原理的には想定できるが、あまり好ましくはない。
【0045】
図1に示す第1実施形態に係るレーザスキャナ装置1は、好ましくは、ハウジング5を備え、サンプル部分7は、外部からレーザスキャナ装置1のハウジング5の中に挿入可能であり、複数のサンプル試料スライド8のためのマガジン7’として構成されている。サンプル部分7は、好ましくは、保管ユニット4の調整プレート11に反転可能(reversibly)に搭載される。図示した実施形態において、差し込み式の蟻継ぎ(dovetail)接続が、サンプル部分マガジン7’を、ここでは垂直方向に移動可能な調整プレート11に対して連結している。サンプル部分マガジン7’は、ハンドル42によって(手動またはロボットで)把持可能であり、ハウジング5の中へ実質的に垂直な方向に降ろして、調整プレート11の蟻継ぎ43に差し込んでもよい。2つのマガジン7’,9’は、ここでは一方の上方に他方が来るように垂直に配置しているため、調整プレート11に対して確実にねじ止めされたテスト部分マガジン9’は、好ましくは、蟻継ぎ43の中に挿入されるサンプル部分マガジン7’のための下部ストップである。
【0046】
サンプル部分マガジン7’及び/又はテスト部分マガジン9’での支持ポイント6は、光学顕微鏡のための標準試料スライドの寸法を実質的に有する試料スライドを受けるように構成されている。これらの支持ポイント6は、好ましくは、支持ウエブ12によって互いに分離しており、これらの試料スライドは、試料スライド8,10の全体長さに渡って実質的に延びる2つの支持ウエブ12を基礎としている。
【0047】
サンプルテーブル2は、図1に垂直断面図で示しているように、移動可能なように、サスペンション83の上に配置されたスピンドルドライブ84を用いて、サンプル試料スライド8またはテスト試料スライド10を試料スライド8,10などのための保管ユニット4の直前に移送するために構成される。
【0048】
サンプルテーブル2のレセプタクル34は、好ましくは、サンプル試料スライド8またはテスト試料スライド10の2つの長手方向エッジ14を受け入れるための2つの相互対向した溝35を備える。サンプル面49は、この場合、好ましくはほぼ水平に配置される。サンプルテーブル2は、試料スライド8,10をクランプする方法で試料スライド表面に対してほぼ垂直な方向に確保するために、2つの静止ウエブ36と、これらのウエブ36に向けて弾力的に移動可能であり、ウエブ36の下側エッジとともに溝35の開口幅を規定する2つの直立側壁38を有する顎部(jaw)37とを備える(図4も参照)。
【0049】
好ましくは、コントローラ40は、スピンドルドライブ84を駆動するモータ87を監視したり管理する。その結果、コントローラ40は、サンプルテーブル2の運動を制御する。
【0050】
図2は、テスト対象物マガジンから対象物テーブルへのテスト試料スライドの移送中において、図1に示した試料スライドマガジンを通る水平部分断面図と、前記試料スライドマガジンの前方に配置された対象物テーブルでの平面図である。ここで示したテスト部分マガジン9’は、開放した挿入側面15を備え、これは、マガジン9’の全体スタック高さに渡って実質的に延びており、個々に遠くへ折れ曲げ可能な個別のフラップ16によって、幅方向に少なくとも部分的に覆われることがある。このフラップ16は、ここでは遠くに折れ曲がっており、図示したテスト試料スライドが、テスト部分マガジン9’の挿入側面15から押し出し可能なように、旋回フラップ16によって邪魔されないようにしている。
【0051】
テスト部分マガジン9’の場合、この旋回フラップ16は、レーザスキャナ装置1の動作状態では、テスト部分9に保管されたテスト試料スライド10が操作者に対して手動でアクセスできないようにするインターロック係合の一部を形成している。サンプル部分マガジン7’の場合は、この旋回フラップ16は、折り込み状態で、これらの試料スライドが脱落する心配をすることなく、少なくとも1つのサンプル試料スライド8が収納されたマガジン7’の取り扱い(例えば、旋回または傾斜)を可能にしている。
【0052】
好ましくは、サンプル部分マガジン7’およびテスト部分マガジン9’の両方、あるいは少なくともサンプル部分マガジン7’は、挿入側面15の反対側で、全体スタック高さに渡って実質的に延び、この側面の幅の一部を覆うロックプレート20を有する。このロックプレート20は、特に、サンプル部分マガジン7’を扱う場合、試料スライドが別の側から脱落するのを防止している。
【0053】
フラップ16は、好ましくは、マガジン7’,9’ごとに個々に遠くへ折れ曲げ可能であり、マガジン7’,9’の側方に配置された個々の軸17の周りに回転可能なように取り付けられる。フラップ16は、個々に遠くへ折れ曲げ可能であり、好ましくは、マガジン7’,9’の全体スタック高さに渡って実質的に延びるアングルプレート18をそれぞれ備える。これらの旋回フラップ16は、好ましくは、個々のマガジン7’,9’に対してモータ駆動される回転可能な偏心ローラ19を用いて押され、マガジン7’,9’の1つの挿入側面15を露出させる。変形例(不図示)は、レバー、ラム(ram)またはスライダを用いた旋回フラップ16の移動を含む。
【0054】
試料スライド8,10をマガジン7’,9’内に実質的に遊び無しで位置決めするために、これらの支持ポイントの各々は、好ましくは、挿入した試料スライドの長手エッジ14に弾性的に突き当たる接触スプリング13を備える。さらに、スプリング力は、スライド8,10のその反対側の長手エッジ14を、対応するマガジン7’,9’によって規定され、座標系の原点のための基準を定義するのに適切な位置に保持する。同様に、サンプルテーブル2には、好ましくは、この長手エッジ14を所定の位置に確保するローラ形状の可動接触部品39(図2参照)が設けられ、そのため、座標系の原点のための基準を提供している。
【0055】
少なくともサンプル部分マガジン7’は、好ましくは、挿入側面15の反対隅部において、全体スタック高さに渡って実質的に延びて、特定の支持ポイント6において試料スライドの存在または不存在を確認するための管理開口21を備える。特定の支持ポイント6での試料スライド8,10の存在または不存在は、種々の方法および装置を用いて確認できる。例えば(図2参照)、管理開口21がこの光ビーム23に対して透過である場合、管理装置22の実質的に水平に延びる光ビーム23または光バリアが、マガジン7’,9’を通って斜めに向くことが可能である。支持ポイント6に存在する試料スライド8,10による光ビーム23の偏向、散乱または減衰は、感光センサを用いて容易に確認できる。
【0056】
図2では「切り欠きコーナー」の形状の管理開口21を示したが、光ビーム23を挿入側面15を通ってマガジン7’,9’の中に伝送し、反対側にあるセンサに入射させてもよい。これは、切り欠き方式ではない。試料スライド8,10の搬送方向に対して斜め配向、及び/又は、偏向ミラーの装着(不図示)により、近接するサンプルテーブル2とともに、これらのマガジン内での試料スライドの検出が可能になる。
【0057】
2つのマガジン7’,9’の1つの特定の支持ポイント6における試料スライドの存在または不存在を確認するための更なる変形例は、例えば、容量近接検出をベースとする。
【0058】
レーザスキャナ装置1の搬送装置3は、好ましくは、マガジン7’,9’の挿入側面15とは反対側を通って、サンプル面49と実質的に平行に動作し、サンプル試料スライド8またはテスト試料スライド10を、その支持ポイント6から挿入側面15を出てサンプルテーブル2に搬送する除荷(unloading)スライダ31を備える。
【0059】
この搬送装置3は、好ましくは、サンプル試料スライド8またはテスト試料スライド10を、サンプルテーブル2から挿入側面15を通ってマガジン7’,9’の1つでの保管場所6に搬送するようにした装荷(loading)スライダ32も備える。
【0060】
特に好ましくは、装荷スライダ32は、旋回フラップ33を備え、これは、上方に旋回して、このフラップ33無しでサンプルテーブル2に挿入された試料スライド8,10の上を離れて移動してもよく、フラップ33は軸47の周りに傾斜可能であり、試料スライドと接触する。このフラップは、試料スライド8,10の上を移動して、その後ろに降下して、その後、試料スライドは、フラップ33と係合して、サンプルテーブル2から引き出してもよい。
【0061】
フラップ33の上方旋回は、サンプルテーブル2および、そこに挿入された試料スライド8,10が、スキャナ手段72の場所に移動するのを可能にする。傾斜軸47の周りのフラップ33のこの上方旋回は、サンプルテーブル2の自由な運動を可能にし、フラップ33は、挿入された試料スライド8,10と接触しなくなる。
【0062】
可動調整プレート11のためのドライブ44は、除荷スライダ31のためのドライブ45、および装荷スライダ32のためのドライブ46はそれぞれ、好ましくは、コントローラ40によって制御され監視される電気モータである。
【0063】
図2に示すサンプルテーブル2は、試料スライド8,10をクランプする方法で確保するために、試料スライドの長手エッジ14の少なくとも1つに向けて試料スライド表面に対してほぼ平行な方向に移動可能であり、レセプタクル34の開口幅を弾性的に区切る接触部品39を備える。この場合、接触部品39は、試料スライドの長手方向エッジ14の少なくとも1つに向けて移動可能であり、好ましくは、ほぼ垂直な軸をそれぞれ有するロールとして構成される。
【0064】
好ましくは、コントローラ40は、スピンドルドライブ84を駆動するモータ87を監視したり管理する。その結果、コントローラ40は、サンプルテーブル2の運動を制御する。
【0065】
図3は、開放したテスト対象物マガジンを有する試料スライドマガジンの垂直図である。図3Aは、ここでは対象物テーブルから見た、2つの試料スライドマガジンの挿入側面の正面図である。垂直に移動可能な調整プレート11は、右側に見えており、その移動性は両矢印で示している。サンプル部分7は、テスト部分9の正に上方に位置しており、支持ポイント6に静止している、ここでは8個のサンプル試料スライド8を有するサンプル部分マガジン7’は、ここでは2個のテスト試料スライド10を有するテスト部分マガジン9’の上方に軸方向に取り付けられる。
【0066】
サンプル部分マガジン7’の旋回フラップ16は閉じているが、一方、テスト部分マガジン9’の旋回フラップ16は開いており、テスト部分マガジン9’の挿入側面の幅全体を実質的に露出させている。
【0067】
テスト部分マガジン9’の旋回フラップ16の遠くに旋回するのは、ここでは、このフラップのアングルプレート18を押す偏心ローラ19によって生ずる。偏心ローラ19は、好ましくは、サンプルテーブル2によって規定されるサンプル面49に少なくとも接近して配置され、そのため、保管ユニット4の高さ変位にも拘わらず、常に適正なフラップ16が遠くに旋回するようになる。テスト部分マガジン9’の接触スプリングが、どのようにテスト試料スライド10の1つの側方エッジ14を弾性的に押しているかは、明確に見えている。
【0068】
図3Bは、対象物テーブルに向けて見た、2つの同じスライドマガジンの垂直断面図である。垂直に移動可能な調整プレート11は、左側に見えており、その移動性は両矢印で示している。サンプル部分マガジン7’は、調整プレート11の蟻継ぎ43を介して摺動し、ここではテスト部分マガジン9’によって調整プレート11の接触位置で保持されている。テスト部分マガジン9’は、ここでは調整プレート11に堅固にねじ止めされている。サンプル部分マガジン7’およびテスト部分マガジン9’の接触スプリング13は、ここでは試料スライド積み重ねの右側によく見えている。
【0069】
図4は、対象物テーブル2およびその横断する傾斜装置を通る垂直部分断面図、あるいはモータ駆動の偏心器80および片側ヒンジピン81を備える傾斜機構79を示す。この傾斜機構79は、走査面76内に延びる集光ライン101に対してサンプルまたは試料スライド8,10を配向させるように機能する(図5参照)。
【0070】
第1対物レンズ57の焦点およびレーザスキャナ装置1のスキャナヘッド50の運動方向75は、この集光ライン101を規定する。この集光ライン101自体は、スキャナヘッド50の光学偏向素子56とともに走査面76を規定する。この走査面76は、スキャナヘッド50の運動方向75およびその光学偏向素子56によって規定される。この走査面76は、ここではサンプル面49に対して実質的に垂直に立っている。この集光ライン101は、スキャナヘッド50の運動方向75および走査対物レンズ57の焦点によって規定され、装置が正しく調整された場合、サンプル面49内に位置する。
【0071】
ヒンジピン81は、実際の軸(不図示)として構成できる。しかしながら、鋼スプリング104によって形成された実際のヒンジピン81が好ましい。鋼スプリング104は、好ましくは個々のヨーク105を用いて、サンプルテーブル2または支持部分103にねじ止めされる。この鋼スプリング104は、偏心器80に対抗する力を生じさせ、サンプルテーブル2の支持部分103のための、簡単で遊び無しの傾斜機構を提供する。
【0072】
図4Aは、試料スライドマガジン7’,9’に向かって見た、レーザスキャナ装置の対象物テーブル2を示し、試料スライド8が、閉じた対象物テーブル2に両側に(即ち、2つの方向で)保持される。サンプルテーブル2は、モータ駆動の偏心器80および片側ヒンジピン81を持つ傾斜機構79を備える。この傾斜機構79は、試料スライド8,10またはサンプルを集光ライン101に対して配向させるために使用できる。
【0073】
図12は、このタイプの偏心装置の好ましい実施形態を通る断面図である。この集光ライン101は、好ましくは、サンプル面49および、スキャナヘッド50が光学偏向素子56およびその運動方向75で規定する走査面76内に位置する。この場合、走査面76は、好ましくはサンプル面49に対して垂直に立っている(図5も参照)。偏心器80は、好ましくはモータ駆動式であり、試料スライド8,10またはサンプルテーブル2の横断傾斜を補正するために使用でき、スキャナ手段72の集光ライン101がサンプル面49内に正確に位置するようにする。
【0074】
サンプル面49は、好ましくはほぼ水平に配置される。サンプルテーブル2のレセプタクル34は、好ましくは、図示したサンプル試料スライド8またはテスト試料スライド10(不図示)の2つの長手方向エッジ14を受け入れるための2つの相互対向した溝35(図4Bを参照)を備える。
【0075】
サンプルテーブル2は、試料スライド8,10をクランプする方法で、試料スライド表面に対してほぼ垂直な方向に確保するために、好ましくは、2つの静止ウエブ36を持つ支持部分103を備える。さらに、サンプルテーブル2は、これらのウエブ36に向けて弾力的に移動可能であり、2つの直立側壁38を有する顎部(jaw)37を備える。これらの側壁38は、ウエブ36の下側エッジとともに溝35の開口幅を規定する。
【0076】
移動可能な顎部37は、スプリング30によってサンプルテーブル2の支持部分103に対して弾性的に支持され、これらのスプリング30は、移動可能な顎部37の直立側壁38を試料スライド8の下面に向けて押圧する。その結果、サンプル試料スライドまたはテスト試料スライド10は、好ましくは、少なくとも近似的には光学顕微鏡のためのガラス試料スライドの質量を有し、クランプする方法で垂直な方向にサンプルテーブル2に保持される。
【0077】
サンプルテーブル2は、試料スライド8,10をクランプする方法で試料スライド表面に対してほぼ平行な方向に確保するために、試料スライド8の長手エッジ14の少なくとも1つに向けて移動可能であり、レセプタクル34の開口幅を弾性的に区切る接触部品39を備える。これらの接触部品39は、試料スライド8の長手エッジ14の少なくとも1つに向けて移動可能であり、好ましくは、ほぼ垂直な軸をそれぞれ有するロールとして構成される。ロール39に対向する溝35は、レーザスキャナ装置1の座標系の軸を規定するのに適した、サンプル試料スライド8またはテスト試料スライド10のストップを規定する。
【0078】
また、ここで示すように、凹部98の中にはえくぼ形成(dimpling)パンチ88が入り込んでおり、サンプルテーブル2および保管ユニット4が接近する際、サンプルテーブルを貫通して、この貫通により顎部37および側壁38を支持部分103のウエブ36から引き離している。
【0079】
図4Bは、試料スライドマガジン7’,9’から遠くで見た対象物テーブル2を示し、対象物テーブル2は、試料スライド8,10の除去後または挿入前に開放している。この段階で、試料スライド8,10はサンプルテーブル2に配置されていないため、ロール状の接触部品39は極端な位置にある。ロール状の接触部品39は、試料スライド8,10がサンプルテーブル2に挿入されると直ちに、スプリング要素の存在に対抗してこの極端な位置から変位する。この場合、えくぼ形成パンチ88は斜面(ramp)89に衝突して、サンプルテーブル2の可動顎部37が下向きに少し引っ張られ、サンプルテーブル2のレセプタクル34の中への試料スライド8,10の挿入を容易にしていることが明確に見えている。
【0080】
図5は、対象物テーブルおよびその高さ調整および長手方向傾斜の装置を通る垂直部分断面図である。サンプルテーブル2によって規定されるサンプル面49は、ほぼZ方向(ここでは垂直方向)に調整可能であり、サスペンション83に直線的に装着され、直線的に変位可能なサンプルテーブルが、このサスペンション83と共に、モータ駆動の偏心器106の上に静止しており、旋回可能なようにフレーム82の片側に取り付けられている。
【0081】
図12は、このタイプの偏心装置の好ましい実施形態を通る断面図である。偏心器106が幾らか回転した場合、サンプルテーブル2と共にサスペンション83が上昇または降下する。この動きを用いて、サンプルテーブル2の面、即ち、サンプル面49は、保管ユニット4のサンプル部分マガジン7’またはテスト部分マガジン9’での支持ポイント6の面と一致するようになり、直線搬送がこれらのマガジン7’,9’の1つとサンプルテーブル2との間で生ずることになる。
【0082】
対応するマガジンは、好ましくは、移動可能な調整プレート11の変位によるZ方向に設けており、そのため、サンプルテーブルサスペンション83の偏心器106を用いて、何らかの微調整を行う必要がある。偏心器106は、好ましくはモータで駆動され、試料スライド8,10またはサンプルテーブル2の長手方向傾斜を補正するために使用でき、スキャナ手段72の集光ライン101が、サンプル面49内に正確に位置するようになる。実際、長手方向傾斜の補正は、垂直変位、即ち、Z軸によっても達成される。
【0083】
このタイプの試料スライド移送のために、サンプルテーブル2は、好ましくは、ほぼ水平なY方向に保管ユニット4に可能な限り接近して引き寄せられる。サンプルテーブル2が保管ユニット4に接近して引き寄せられると、えくぼ形成パンチ88はサンプルテーブル2に進入し、そして、試料スライドを受け取るために、サンプルテーブル2のレセプタクル34の支持体を下げる。その結果、サンプルテーブル2は試料スライド8,10を受け取るように設定される。
【0084】
この接近引き寄せは、好ましくは、サスペンション83に搭載されたスピンドルドライブ84を用いて、直線ガイド85に沿って生ずる。スピンドルドライブ84は、弾性継手86を介してモータ87と連結しており、そのため、サンプル面49が水平に対して僅かな角度傾斜を包含した場合でも、実質的にY方向のサンプルテーブル2の正確な直線ガイドが生ずる。
【0085】
偏心器80を用いてサンプルテーブル2が調整可能であることの主たる目標は、X方向(ここでは図面紙面に垂直)に振動する、レーザスキャナ装置1のスキャナヘッド50によって規定される集光ライン101に対するサンプル面49の配向である。このスキャナヘッド50は、仕切りプレート99の上面において、X方向に極めて高速で移動する。この仕切りプレートは、走査開口90を有する。スキャナヘッド50は、好ましくは、この走査開口90の中に降下して、ここから放射される光ビームが、僅かな距離でサンプルに入射し、スキャナヘッド50は、サンプルから来る蛍光放射を可能な限り効率的に取り込んで、検出器61または複数の検出器61,61’へ伝送する。
【0086】
図6は、第1実施形態に係るスキャナヘッド50を備えたレーザスキャナ装置1の基本光学素子の概略図である。試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理された蛍光サンプルを画像化及び/又は測定するためのレーザスキャナ装置1は、サンプル面49にあるサンプル試料スライド10のためのレセプタクルを備えたモータ駆動可能なサンプルテーブル2を備える。
【0087】
第1レーザ51、第2レーザ52および第1光学系53は、互いに平行に向いて、この面49に平行に延びる2つの異なる波長のレーザビーム54,55を供給する。スキャナ手段72は、この面49に平行に前後移動可能であり、サンプルに向けてレーザビーム54,55を偏向するための光学偏向素子56を有するスキャナヘッド50を備える。第1対物レンズ57は、レーザビーム54,55を面49内のサンプルに集光する。この第1対物レンズ57は、サンプル面49に対して好ましくは平行に配置された主面107を有する。
【0088】
第2光学系58は、サンプルでレーザビーム54,55によって誘起され、第1対物レンズ57および偏向素子56によって偏向された発光ビーム束59,60を、面49に対してほぼ平行な方向に検出器61,61’へ案内する。このタイプの2つの検出器61,61’は、サンプルから到来する異なる波長の発光ビーム束59,60を検出する。絞り48の開口は、好ましくは、集光した発光ビーム束59,60より大きな直径を有するが、これらは集光した発光ビーム束59,60の寸法にほぼ対応させることも可能である。こうして共焦点レーザスキャナ装置1を提供する。
【0089】
本発明に係るレーザスキャナ装置1の光学偏向素子56は、互いに介在角度βで配置された前側および後側のダイクロイック面63,64を持つウェッジ形状のダイクロイックミラー62を備える。ここではウェッジ形状のダイクロイックミラー62は、2つのレーザビーム54,55が面63,64の一方でそれぞれ反射するように調整される。ここではウェッジ形状のダイクロイックミラー62は、介在角度βにより、得られる2つの集光ポイント65および検出器61,61’の方向へ案内される2つの発光ビーム束59,60の空間分離を生じさせる。得られる2つの集光ポイント65,65’は、サンプル面49において互いに距離δで配置される。図6に示すこの第1実施形態において、光学偏向素子56はウェッジ形状のダイクロイックミラーである。好ましくは、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62の後側ダイクロイック面64は、ここでは、第1レーザビーム54を反射するように構成され、前側ダイクロイック面63は第2レーザビーム55および発光ビーム束59,60を反射するように構成される。
【0090】
第2光学系58は、それ自体知られている素子、例えば、第2対物レンズ57’を備え、入射する発光ビーム束59,60を個々のポイントに集光する。第2光学系58は、絞り48をさらに備え、その開口はこれらの開口を通過する集光した発光ビーム束59,60よりほぼ大きいことが好ましい。特に好ましい実施形態によれば、レーザスキャナ装置1は、非共焦点の結像原理をベースとしている。これによれば、これらの集光した発光ビーム束59,60は、検出器61,61’にそれぞれ衝突し、検出器61,61’は個々の発光ビーム束59,60の強度を測定する。この第2対物レンズ57’は、色消しレンズまたは単レンズとして構成できる。
【0091】
図7は、本発明に係るレーザスキャナ装置1のスキャナヘッドの概略図である。ここでは、図7Aは、スキャナヘッド50の第2実施形態を示し、光学偏向素子56は、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62および単純ミラー67を備えたペンタミラー配置66として構成される。先の第1実施形態のように(図6参照)、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62の後側ダイクロイック面64は、第1レーザビーム54を反射するように構成され、前側ダイクロイック面63は第2レーザビーム55および発光ビーム束59,60を反射するように構成される。
【0092】
図7Bは、スキャナヘッド50の第3実施形態を示し、光学偏向素子56は、同様に、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62および単純なミラー67を備えたペンタミラー配置66として構成される。第2実施形態(図7A参照)と比べて、ダイクロイックミラー62および単純なミラー67の配置が反転している。この場合、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62の後側ダイクロイック面64は、第1レーザビーム54を反射するように構成され、前側ダイクロイック面63は第2レーザビーム55および第1と第2の発光ビーム束59,60を反射するように構成される。
【0093】
スキャナヘッド50の更なる代替の実施形態(不図示)において、光学偏向素子56は、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62および単純ミラー67を備えたペンタミラー配置66として構成される。この場合、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62の後側ダイクロイック面64は、第1レーザビーム54および2つの発光ビーム束59,60を反射するように構成され、前側ダイクロイック面63は第2レーザビーム55を反射するように構成される。
【0094】
更なる代替の実施形態(不図示)によれば、光学偏向素子56はペンタミラー配置66として構成される。図7Aに示す実施形態と比べて、それ自体は簡単であり、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62は、前側ダイクロイック面63の位置にある第1単純ダイクロイックミラーで置換される。第2単純ダイクロイックミラーまたは完全ミラーは、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62の後側ダイクロイック面64の位置にある。第2単純ダイクロイックミラーまたは完全ミラーは、第1単純ダイクロイックミラーと共に相応の介在角度をそれぞれ包含する。ペンタミラー配置66の反射特性および透過特性のこれらの変形例は、基本的にはほぼ45°で配置された単純ミラーを備えた実施形態にも適用される。
【0095】
ここで説明した実施形態および更なる組合せは、必要に応じて交換できることは自明であろう。それでも光学偏向素子56がウェッジ形状のダイクロイックミラー62として構成された図6に係る第1実施形態、あるいは、光学偏向素子56がウェッジ形状のダイクロイックミラー62および単純ミラー67を備えたペンタミラー配置66として構成された図7Aに係る第2実施形態を優先する。全てのペンタミラー配置66では、前側面63および単純ミラー67は、22.5°の角度を包含することが好ましい。
【0096】
図8は、励起光を供給するための第1光学系53および誘起されたサンプルの蛍光放射を検出するための第2光学系58の基本光学素子と、スキャナヘッド50を備えたスキャナ手段72と、試料スライドマガジン7’,9’を含む保管ユニット4を備えた対象物テーブル2とを有するレーザスキャナ装置1を通る水平部分断面図である。全ての基本光学素子およびスキャナ手段72は、好ましくは、共通の仕切りプレート99の上に配置され、サンプルテーブル2は、好ましくは、この仕切りプレート99の下方に配置される(図5参照)。
【0097】
第1光学系53の基本光学素子は、ハウジング5内に配置され、少なくとも第1レーザ51と、任意である第2レーザ52と、レーザ51,52から来るレーザビーム54,55のためのフィルタ円板(wheel)97と、多数のダイクロイックミラー62と、レーザ51,52からのレーザビーム54,55をX方向と平行な方向に偏向するための単純ミラー67とを備える。
【0098】
第2光学系58の基本光学素子は、同じハウジング5内に配置され、1つ又はそれ以上の検出器61,61’と、前記検出器の前方に配置され、サンプルから来る発光ビーム束59,60のためのフィルタ円板97および絞り48と、X方向と平行な方向からの発光ビーム束59,60を検出器61,61’の方向に偏向するための多数のダイクロイックミラー62および単純ミラー67とを備える。
【0099】
スキャナ手段72は、ドライブ71と、スキャナヘッド50と、好ましくは、スキャナヘッド50と等しいか少なくとも等価な質量を有し、パルス補償のためのカウンタ振動子73とを備える。スキャナヘッドおよびカウンタ振動子は、連結ロッド70,70’を用いてドライブ71と連結され、それぞれ精密な直線ガイド(不図示)に取り付けられている。ドライブ71は、スキャナヘッド50に、ある運動方向75(両矢印を参照)での高速な往復運動を生じさせ、これは同時に走査軸75を規定する。ここでは、カウンタ振動子73は、常に反対の運動を行い、このためスキャナヘッド50の好ましい高い走査速度にも拘わらず、仕切りプレート99および全体のレーザスキャナ装置1が安定に保持される。
【0100】
走査軸75は、X軸と平行か、あるいはこれと正確に一致している。スキャナヘッド50は、例えば、ダイクロイックミラー62とした光学偏向素子56を備える。この偏向素子56は、完全ミラー、プリズム、ペンタプリズム、ペンタミラーの構成でもよく、あるいはここで列挙した素子の組合せでもよい。この偏向素子56は、一方では、第1光学系53のレーザビーム54,55をサンプルテーブル2上にあるサンプルに偏向し、他方では、サンプルから放射された発光ビーム束59,60を第2光学系58の方向に偏向させる。
【0101】
X軸および走査軸75に対して垂直である、仕切りプレート99の下方に配置されたサンプルテーブル2の運動方向は、Y軸の方向になる。サンプル部分マガジン7’に保管されたサンプル試料スライド8を有する保管ユニット4およびテスト部分マガジン9’に保管されたテスト試料スライド10は、好ましくは、仕切りプレート99の外側エリアに配置される。これらのマガジン7’,9’の特定の支持ポイントにおける試料スライド8,10の存在は、好ましくは、検査装置22を用いて監視される。この検査装置22は、好ましくは、これらの検査目的のために、管理開口21を貫通する光ビーム23を備える。
【0102】
レーザスキャナ装置1は、好ましくは、換気扇25、活性炭フィルタ27を有する空気入口26、および空気出口28を含む換気手段24を有し、サンプル部分マガジン7’に保管されたサンプルでの蛍光色素が新鮮な空気(ozone)に露出するのを低減している。換気手段24は、特に好ましくは、サンプル試料スライド8を有するサンプル部分7を実質的に閉じ込める追加のハウジング29を備える。この追加ハウジング29は、好ましくは、レーザスキャナ装置1のハウジング5の内側に配置して、遠へ旋回できる実質的な閉鎖エリアとして構成される。この場合、換気手段24は、この追加ハウジング29内に収容して、レーザスキャナ装置1の換気とは独立であることが特に好ましい。
【0103】
例えば、サービス技術者がこの追加ハウジング29を開けることができ、必要に応じて、1つ又はそれ以上のテスト試料スライドを、他のアクセス不可能なテスト部分マガジン9’に挿入したり置換できる。この追加ハウジング29は、仕切りプレート99から遠くへ旋回可能なように構成し、個々の試料スライド8,10をサンプルテーブル2またはマガジン7’,9’へ搬送するための装荷開口100を有する。サンプル部分7は、好ましくは、保管ユニット4のテスト部分9の上方に軸方向に配置され、追加ハウジング29と共に、あるいはこの追加ハウジング29の少なくとも一部とともに、遠くへ旋回する(これは、サービス技術者のために開く)。もしサンプル試料スライド8が、サンプルテーブル2と保管ユニット4との間の搬送中にジャムまたは破損した場合、操作者は、テスト試料スライド10へのアクセスを提供することなく、破損したサンプル試料スライド8を除去できる。
【0104】
サービス技術者は、1つ又はそれ以上のテストスライド10をサンプル部分マガジン7’に挿入し、このサンプル部分マガジン7’を、レーザスキャナ装置1の中に通常の方法で挿入することが特に好ましい。
【0105】
そして、レーザスキャナ装置1のコントローラ40において相応にプログラム化したファームウェアが、好ましくは、サービス技術者の個人識別番号(PIN)の入力、またはサービス技術者のためのコードの入力によって活性化される。こうしていったん活性化すると、ファームウェアにより、レーザスキャナ装置1のコントローラ40は、サンプル部分マガジン7’からサンプルテーブル2へ、さらに、テスト部分マガジン9’の支持ポイント6へのこれらのテスト試料スライド10の各々の自動搬送を制御可能になる。
【0106】
この特に好ましい方法によれば、テスト部分マガジン9’への手動介入が不可能になる。サービス技術者だけが、好ましくは追加ハウジング29内に閉じ込められているテスト試料スライド10を回収でき、特別な緊急の場合、適切なツールを用いて回収できる。本発明に係るレーザスキャナ装置1のコントローラ40は、好ましくは、テスト試料スライド10に基づいて実行される自動内部測定器検査を制御するように構成される。
【0107】
サンプルテーブル2は、好ましくは、保管ユニット4の前方に直接達するまでモータによって駆動されて移動するように構成され、その場所および運動はコントローラ40によって制御される。これは、研究すべき試料スライド8,10を選択するための保管ユニット4の調整プレート11に関して、そして、フラップ16を遠くへ旋回するための回転可能な偏心ローラ19に関しても当てはまる。
【0108】
さらに、除荷スライダ31は、サンプルテーブル2上にあるサンプル試料スライド8またはテスト試料スライド10の自動選択および供給のために、試料スライド8,10を、その場所および運動がコントローラ40によって制御されるサンプルテーブル2へ搬送するために、モータ駆動されように構成されることが好ましい。これはまた、前記保管ユニットをサンプル部分マガジン7’またはテスト部分マガジン9’の支持ポイント6に戻す場合、試料スライド8,10を保管ユニット4へ搬送するための装荷スライダ32についても当てはまる。
【0109】
図9は、関連した変位トランスデューサ91を備えたレーザスキャナ装置1のスキャナヘッド50を通る水平部分断面図である。直線ガイド68には、スキャナヘッド50がX方向に移動して走査開口90の中に入り込むように配置されており、フレーム82に取り付けられる。ここでは、X軸はスキャナヘッド50の運動方向75と一致しており、この運動方向75は、スキャナヘッド50の下方に配置されたサンプル(不図示)に向けて偏向した第1および第2レーザビーム54,55と共に、走査面76を規定する。
【0110】
この走査面76は、好ましくは、サンプル面49に対して垂直に立っている。スキャナヘッド50は、レーザスキャナ装置1の固定された直線測定システム78から離れて、この走査面76内に配置された測定ロッド77を備える。サンプルテーブル2は、好ましくは、X軸75に対して直角に配置されたデカルト座標系のY方向に直線移動可能なようにモータ駆動されるように構成される。
【0111】
スキャナヘッドは、全ての光学素子、取り付け手段、測定ロッド77および直線ガイドの一部とともに、重心74を有する。この重心74は、スキャナヘッド50の運動方向75に、連結ロッド係合ポイント69と同じライン上に配置され、このラインは、スキャナヘッド50の連結ロッド70をドライブ71と連結する。この連結ロッド係合ポイント69は、例えば、軸として構成可能であるが、連結ロッド係合ポイントを屈曲ピボットとして構成することが好ましい。
【0112】
図10は、走査中のX/tダイヤグラムとして、スキャナヘッド50およびその非線形運動のための変位トランスデューサ91の概略図である。このX/tダイヤグラムは、X軸上の位置に応じた画素(Δx)を検出するために、異なる期間(Δt;Δt)を参照する。変位トランスデューサ信号92は、レーザヘッド50の走査ラインの極端なポイント(エンドポイント)でピークを有するサインカーブにほぼ対応している。エンドポイントでの走査方向の転換により、その結果、スローダウンする動きにより、スキャナヘッドは、転換ポイントに近接すると、転換ポイント間の中心位置で達成され、同じ距離(Δx)をずっと短い時間(Δt)で通過するスキャナヘッドの最大速度よりも、同じ距離(Δx)をカバーするのにより長い時間(Δt)を必要とする。
【0113】
画素(Δx)および対応する場所および時間ポイントは互いに相関しており、この時間ポイントで測定される強度に帰着する。そして、全て測定した画素の合計は2次元画像を生成する。サンプル面49での画素の場所とこの場所で測定した蛍光強度との相関関係は、最終的には、レーザスキャナ装置1の画素サイズ、解像度との組合せで決まる。
【0114】
図11は、光学顕微鏡のための標準試料スライドのフォーマットを有し、専ら実質的に光学的に安定なテスト構造41を備えたテスト試料スライド10を示す。「実質的に光学的に安定」とは、通常使用の際、即ち、典型的にはテストの際に生ずるような、放射露光の際、測定可能な損傷を受けない場合のテスト構造を意味する。レーザビーム54,55を用いてテスト試料スライド10の分単位または時間単位の長い照射、あるいは保護していない場所にテスト試料スライド10を比較的長い時間放置することは、「通常使用」とはいえない。
【0115】
下記表1は、光学顕微鏡のための最も典型的なガラススライドの概要を示す。
【0116】
【表1】

【0117】
図11に示した例示のテスト試料スライド10は、75mmの長さAと25mmの幅Bを有する表面、および1mmの厚さCを有する。表面の半分A/2は、つや消し(matt)仕上げである(例えば、研削を用いて)。他の半分は、好ましくは、20mmの幅Dを含むラインパターンを有する。
このラインパターンは、好ましくは、マスクを用いて調製した、気相成長のクロム層を含む。大文字E,F,Gは、下記のように、特定の数字の1ミリメートル当たりのラインペア(lp/mm)を示し、小文字l,m,n,oは、特定の量を示す。
【0118】
E=50(lp/mm);F=100(lp/mm);G=10(lp/mm)
l=0.5mm;m=2mm;n=1mm;o=7mm
【0119】
これらのテスト構造41の全ては、専ら実質的に光学的に安定であり、非蛍光性である。
【0120】
図12は、集光ライン101を調整するための偏心装置80,106を通る垂直断面図である。集光ライン101は、サンプルテーブル2でのサンプル面49に対してスキャナヘッド50によって決まる。各偏心装置80,106は、好ましくは、モータ駆動され、直立した外リング108と、回転可能な内リング109と、多数の転がり体またはボール110とを含むボールベアリングを備える。このタイプの転がり体は、好ましくは、明瞭さのために図12から省略したケージ(cage)を備える。
【0121】
特に好ましい転がりベアリングの回転可能な内リング109は、偏心孔111を有し、そこにはモータ駆動の駆動シャフト112が、内リング109に対して回転できないように取り付けられる。そして、この駆動シャフト112が、サスペンション(不図示)に対して静止および回転する方法で取り付けられて特定の角度で回転した場合、移動する構成要素に取り付けられた直立した外リング108は、上昇または降下する。この上昇または降下は、駆動シャフト112の中心からボールベアリングの回転中心114までの距離を規定する偏心量113、これらの2つの中心の瞬間的な相互配置、および駆動シャフトの回転方向によって決まる。
【0122】
これらの偏心配置80,106の利点は、ほぼ段差無しで摩擦無しの高さ調整を容易にする点を含む。より小さい偏心量113は、偏心装置80,106の最大調整能力をより低くするが、この調整能力の繊細さを増加させることは明らかである。外リング108は、動く装置80,103に対して不動で取り付けられるが、これは絶対に必要ではなく、外リング108は、動く装置80,103に対して移動可能に配置することもできる。偏心量113は、何れか所望の空間方向に配置することができ、例えば、図12に示すように、必ずしも水平偏差を規定しなくてもよい。
【0123】
本発明に係るレーザスキャナ装置1は、2次元対象物を画像化し測定するために設計されている。従って、これらの「平坦な」対象物について、感度較正が正確に有効とする必要がある。長期間に渡って光学的に安定で化学的に耐性がある2次元蛍光サンプルは、全く生産できないか、困難さを伴って製造できるのみである。
【0124】
これに対して、3次元拡張を有する対象物が測定可能であろう。しかしながら、こうした3次元対象物について測定した強度は、レーザスキャナ装置の被写界深度(depth of field)および焦点での特定の位置決め(即ち、Z方向)に強く依存しているため、こうした3次元対象物は、信号強度または感度を較正するのに直接には適していない。しかしながら、材料102が、例えば、プラスチック材料またはドープしたガラスに埋め込まれた蛍光色素など、いわゆる「バルク材料」として存在しており、これはほぼ光学的に安定で化学的に耐性がある。
【0125】
サンプルテーブル2およびレーザスキャナ装置1の保管ユニットの空間での向きは、実際には任意である。これは、カウンタ振動子73を用いて良好にバランスし、及び/又はパルス補償されたスキャナ手段72についても当てはまる。サンプルテーブル2のサンプル面49は、実質的に水平で、頭上に吊り下げて配置してもよい。しかしながら、図1と図2または図4〜図7に係るサンプルテーブルの静止した配置が好ましい。
【0126】
本発明に係るレーザスキャナ装置1の同一の特徴または要素は、それぞれ同一の参照符号を設けており、これらの要素は全てのケースにおいて詳細には説明していない。
【0127】
さらに、スライド上に配置され、蛍光色素を用いて処理された蛍光サンプルを画像化及び/又は測定するためのこのタイプのレーザスキャナ装置1を動作するための本発明に係る方法が開示されている。この方法は、使用する光学偏向素子56は、互いに介在角度βで配置された前側および後側のダイクロイック面63,64を持つウェッジ形状のダイクロイックミラー62であり、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62は、2つのレーザビーム54,55が面63,64の一方でそれぞれ反射するように調整され、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62は、介在角度βにより、得られる2つの集光ポイント65および検出器61,61’の方向へ案内される2つの発光ビーム束59,60の両方の空間分離を生じさせることを特徴としている。
【0128】
この方法は、好ましくは、ウェッジ形状のダイクロイックミラー62および単純ミラー67を備えたペンタミラー配置66として構成された光学偏向素子56を使用する。このペンタミラー配置66は、走査軸75に対して直角に延びるY軸周りのスキャナヘッド50の傾斜を補正して、得られる集光ポイント65がサンプル面49でこれらの現在位置を変化させないようにしている。
【0129】
スキャナヘッド50は、その光学偏向素子56およびその運動方向75とともに、サンプル面49に対して垂直に立つ走査面76を規定することが特に好ましく、スキャナヘッド50のX軸75への変位は、レーザスキャナ装置1の直線測定システム78から離れて、この走査またはスクリーン面76内に配置された測定ロッド77によって測定される。この測定ロッド77は、好ましくは、走査またはスクリーン面76内、あるいは少なくともこの走査面76にごく接近して配置される。この測定ロッド77は、好ましくは、第1対物レンズ57(図6と図7参照)の主面107内、あるいは少なくともこの主面107にごく接近して配置される。
【0130】
試料スライド上に配置され、蛍光色素を用いて処理された蛍光サンプルを画像化及び/又は測定するためのこのタイプのレーザスキャナ装置1を動作するための本発明に係る方法により、試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理された蛍光サンプルを画像化及び/又は測定する際、2.5μmまたはこれより優れた公称解像度が可能になる。
【0131】
強度および感度テストの実行、クロストーク、解像度、動的測定、レーザノイズ、強度測定、フィルタの阻止および伝達検査、そして、光学コンポーネントの調整確認、幾何学的画像パラメータ、および画像配向を含むグループから選択される測定器検査が、特に好ましい。幾何学的画像パラメータは、例えば、倍率、歪みの確定とパラメータ化である。2つ又はそれ以上の励起チャネル及び/又は検出チャネルの重なり合いも検査してもよい。さらに、レーザスキャナ装置1は、自動合焦機能を検査することが可能である。
【0132】
感度検査は、好ましくは、少なくとも近似的には光学顕微鏡のための標準試料スライドのフォーマットを有し、専ら実質的に光学的に安定なテスト構造41を備えた、少なくとも1つのテスト試料スライド10を用いて、蛍光物質なしで実施する。
【0133】
上述のように、蛍光物質なしで実質的に2次元テスト構造41についての感度検査の代替または追加として、3次元蛍光テスト構造について強度測定も実施してもよい。
【0134】
通常の走査、またはXY方向に、サンプル面49に対して平行に通常に走査したフィールドの代わりに、XZ方向(Zプロファイル)に走査を行い、サンプル面49に対して少なくとも実質的に垂直にフィールドが走査される。直接測定されるZプロファイルは、測定した強度をZ座標の関数として表す(I=I(Z))。このZプロファイルの代わりに、対応する強度の第1導関数(dI=dI(z)/dz)を計算するのが好ましく、これにより2次元強度分布が提供される。第1導関数の最大値は、サンプルの表面でレーザスキャナ装置1によって測定された強度の測定値である。
【0135】
この較正方法に適した材料102は、同じテスト試料スライド10または別個のテスト試料スライドの上に、気相成長したラインパターンとともに配置してもよい。これらの平坦な3次元材料102は、好ましくは、2×2mmから10×10mmのサンプル面49に対して平行な拡張を有し、そして、約0.1〜2mmの厚さ、好ましくは、約1mmの厚さ(図11参照)を有する。
【0136】
当業者は、波長スペクトルの一部分に対して透過であり、波長スペクトルの他の部分を反射する光学素子としてのダイクロイックミラーの機能に精通している。従って、当業者は、この場合、波長選択性の透過および反射に言及している。さらに、異なる波長を持つ光を放射できる知られたレーザ、およびダイオードレーザキャビティ(例えば、赤色635nm)および固体レーザキャビティ(例えば、緑色532nm)を単一ケーシング内に有する他のレーザ(即ち、ハイブリッドレーザ)が存在する。
【0137】
本説明から当業者にとって明らかになる組合せまたは変形例、あるいは本発明の説明した実施形態の組合せまたは変形例は、本発明の範囲の一部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】サンプルマガジンから対象物テーブルへの試料スライドの移送中において、2つの試料スライドマガジンおよびこれらの前方に配置された対象物テーブルを通る垂直部分断面図である。
【図2】テスト対象物マガジンから対象物テーブルへのテスト試料スライドの移送中において、試料スライドマガジンを通る水平断面図と、これらの前方に配置された対象物テーブルの上面図である。
【図3】開放したテスト対象物マガジンを有する試料スライドマガジンの垂直図であり、図3Aは、対象物テーブルから見た正面図における2つの試料スライドマガジンの挿入側面を示し、図3Bは、対象物テーブルに向けて見た垂直断面における2つの試料スライドマガジンを示す。
【図4】対象物テーブルおよびその横断方向傾斜装置を通る垂直部分断面図を示し、図4Aは、試料スライドマガジンに向けて見た対象物テーブルを示し、試料スライドは、閉じた対象物テーブル内に双方向で保持されており、図4Bは、試料スライドマガジンから遠くに見た対象物テーブルを示し、対象物テーブルは、試料スライドの除去後あるいは挿入前に、開いている。
【図5】対象物テーブルおよびその高さ調整および長手方向傾斜の装置を通る垂直部分断面図である。
【図6】第1実施形態に係るスキャナヘッドを備えたレーザスキャナ装置の基本光学素子の概略図である。
【図7】スキャナヘッドの概略図であり、図7Aは、スキャナヘッドの第2実施形態を示し、図7Bは、スキャナヘッドの第3実施形態を示す。
【図8】基本光学素子を有するレーザスキャナ装置、スキャナヘッドを有するスキャナユニットおよび試料スライドマガジンを有する対象物テーブルを通る水平部分断面図を示す。
【図9】関連した変位トランスデューサを備えたレーザスキャナ装置のスキャナヘッドを通る水平部分断面図である。
【図10】X軸上の多くの画素の位置(Δx)に従って、物体から放射する蛍光を検出するための異なる期間(Δt;Δt)を参照する走査中のX/tダイヤグラムとして、スキャナヘッドおよびその非線形運動のための変位トランスデューサの概略図である。
【図11】光学顕微鏡法のための標準試料スライドのフォーマットを有し、専ら実質的に光学的に安定なテスト構造を備えるテスト試料スライドを示す。
【図12】集光ラインを調整するための偏心装置を通る垂直断面図である。
【符号の説明】
【0139】
1 レーザスキャナ装置
2 サンプルテーブル
3 搬送装置
4 保管ユニット
5 ハウジング
6 支持ポイント
7 サンプル部分
7’ サンプル部分マガジン
8 サンプル試料スライド
9 テスト部分
9’ テスト部分マガジン
10 テスト試料スライド
11 可動調整プレート
12 支持ウエブ
13 接触スプリング
14 試料スライドの長手エッジ
15 挿入側面
16 旋回フラップ
17 軸
18 アングルプレート
19 偏心ローラ
20 ロックプレート
21 管理開口
22 管理装置
23 光ビーム
24 換気手段
25 換気扇
26 空気入口
27 活性炭フィルタ
28 空気出口
29 追加ハウジング
30 スプリング
31 除荷スライダ
32 装荷スライダ
33 旋回可能フラップ
34 レセプタクル
39 可動接触部品
40 コントローラ
41 光学安定テスト構造
42 ハンドル
43 蟻継ぎ
44 11のためのドライブ
45 31のためのドライブ
46 32のためのドライブ
47 33の傾斜軸
48 絞り
49 面、サンプル面
50 スキャナヘッド
51 第1レーザ
52 第2レーザ
53 第1光学系
54 第1レーザビーム
55 第2レーザビーム
56 光学偏向素子
57 第1対物レンズ
57’ 第2対物レンズ
58 第2光学系
59 第1放射ビーム束
60 第2放射ビーム束
61 第1検出器
61’ 第2検出器
62 ダイクロイックミラー
63 前側面
64 後側面
65 得られる集光ポイント
66 ペンタミラー配置
67 単純ミラー
68 直線ガイド
69,69’ 連結ロッド係合ポイント
70,70’ 連結ロッド
71 ドライブ
72 スキャナ手段
73 カウンタ振動子
75 運動方向 X軸、走査軸
76 走査面
77 測定ロッド
78 直線測定システム
79 傾斜機構
80 偏心器
81 ヒンジピン
82 フレーム
83 サスペンション
84 スピンドルドライブ
85 直線ガイド
86 継手
87 モータ
88 えくぼ形成パンチ
89 斜面
90 走査開口
91 変位トランスデューサ
92 変位トランスデューサ信号
97 フィルタ円板
98 凹部
99 仕切りプレート
100 装荷開口
101 集光ライン
102 平坦な材料
103 2の支持部分
104 鋼スプリング
105 ヨーク
106 偏心器
107 対物レンズ57の主面
108 外リング
109 内リング
110 転がり体、ボール
111 偏心孔
112 駆動シャフト
113 偏心量
114 ボールベアリングの回転中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理した蛍光サンプルを画像化し及び/又は測定するためのレーザスキャナ装置(1)であって、
(a)サンプル面(49)にある試料スライド(8,10)のためのレセプタクル(34)を備えたモータ駆動可能なサンプルテーブル(2)と、
(b)互いに平行に配向し、この面(49)に対して平行に延びる異なる波長の2つのレーザビーム(54,55)を供給するための少なくとも1つのレーザ(51,52)および第1光学系(53)と、
(c)この面(49)に対して平行に、ある運動方向(75)に前後移動可能なスキャナヘッド(50)であって、レーザビーム(54,55)をサンプルに向けて偏向するための光学偏向素子(56)を有するスキャナヘッド(50)を含むスキャナ手段(72)と、
(d)レーザビーム(54,55)を、面(49)にあるサンプルに集光するための第1対物レンズ(57)と、
(e)サンプルにおいてレーザビーム(54,55)によって誘起され、第1対物レンズ(57)および偏向素子(56)によって偏向された発光ビーム束(59,60)を、面(49)に対してほぼ平行な方向に検出器(61,61’)へ伝送するための第2光学系(58)と、
(f)サンプルから到来する異なる波長の発光ビーム束(59,60)を検出するための2つの検出器(61,61’)とを備え、
光学偏向素子(56)は、互いに介在角度(β)で配置された前側および後側のダイクロイック面(63,64)を持つウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)を備え、
ウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)は、2つのレーザビーム(54,55)が一方の表面(63,64)でそれぞれ反射するように調整され、
ウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)は、介在角度(β)により、2つの焦光ポイント(65)および検出器(61,61’)の方向に案内される2つの発光ビーム束(59,60)の空間分離を生じさせるようにしたレーザスキャナ装置(1)
【請求項2】
光学偏向素子(56)は、ウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)であり、あるいはウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)および単純ミラー(67)を備えたペンタミラー配置(66)として構成される請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項3】
ウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)の後側ダイクロイック面(64)は、第1レーザビーム(54)を反射するように構成され、
前側ダイクロイック面(63)は、第2レーザビーム(55)および2つの発光ビーム束(59,60)を反射するように構成される請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項4】
ウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)の後側ダイクロイック面(64)は、第1レーザビーム(54)および第1発光ビーム束(59)を反射するように構成され、
前側ダイクロイック面(63)は、第2レーザビーム(55)および第2発光ビーム束(60)を反射するように構成される請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項5】
スキャナヘッド(50)は、スキャナヘッド(50)の運動方向(75)を規定する直線ガイド(68)に対して変位可能に取り付けられ、連結ロッド(70)を介してスキャナ手段(72)のドライブ(71)と連結された連結ロッド係合ポイント(69)を有する請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項6】
スキャナヘッド(50)の連結ロッド係合ポイント(69)は、運動方向(75)に、スキャナヘッド(50)の重心(74)と同じライン上で配置される請求項5記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項7】
スキャナヘッド(50)は、光学偏向素子(56)および運動方向(75)とともに走査面(76)を規定し、
スキャナヘッド(50)は、レーザスキャナ装置(1)の直線測定システム(78)から離れて、この走査面(76)内に配置された測定ロッド(77)を備える請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項8】
スキャナヘッド(50)は、第1対物レンズ(57)の主面(107)に少なくとも接近して配置された測定ロッド(77)を備える請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項9】
スキャナ手段(72)は、直線ガイドに対して変位可能に取り付けられ、連結ロッド(70’)を介してスキャナ手段(72)のドライブ(71)と連結された連結ロッド係合ポイント(69’)を有するカウンタ振動子(73)を備える請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項10】
サンプル面(49)は、ほぼ水平に配置される請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項11】
スキャナヘッド(50)の運動方向(75)は、X軸または走査軸を規定し、
サンプルテーブル(2)は、これと直角に配置されたデカルト座標のY方向に直線移動可能である請求項6記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項12】
サンプルテーブル(2)は、モータ駆動の偏心器(80)および片側ヒンジピン(81)を持つ傾斜機構(79)を備え、
該傾斜機構(79)は、試料スライド(8,10)またはサンプルを、集光ライン(101)に対して配向可能である請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項13】
レーザスキャナ装置(1)は、フレーム(82)と、サンプルテーブル(2)がスピンドルドライブ(84)を用いてY方向に直線移動可能になるサスペンション(83)とを備え、
このサスペンション(83)は、フレーム(82)に対して旋回可能に取り付けられ、サンプルテーブルのレセプタクル(34)およびサンプル面(49)をほぼ垂直なZ方向に調整するために利用可能なように構成され、フレーム(82)に支えられたモータ駆動の偏心器(80)の上に静止している請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項14】
サンプル試料スライド(8)またはテスト試料スライド(10)を移送する目的で、サンプルテーブル(2)は、このタイプの試料スライド(8,10)用の保管ユニット(4)の直前まで移動可能なように構成されている請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項15】
サンプルテーブルのレセプタクル(34)は、(8)またはテスト試料スライド(10)の2つの長手方向エッジ(14)を受け入れるための2つの相互対向した溝(35)を備える請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項16】
サンプルテーブル(2)は、試料スライド(8,10)をクランプする方法で試料スライド表面に対してほぼ垂直な方向に確保するために、2つの静止ウエブ(36)と、これらのウエブ(36)に向けて弾力的に移動して、ウエブ(36)の下側エッジとともに溝(35)の開口幅を規定する2つの直立側壁(38)を有する顎部(37)とを備える請求項15記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項17】
サンプルテーブル(2)は、試料スライド(8,10)をクランプする方法で試料スライド表面に対してほぼ平行な方向に確保するために、試料スライドの長手方向エッジ(14)の少なくとも1つに向けて移動可能であり、レセプタクル(34)の開口幅を弾性的に区切る接触部品(39)を備える請求項15記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項18】
接触部品(39)は、試料スライドの長手方向エッジ(14)の少なくとも1つに向けて移動可能であり、ほぼ垂直な軸をそれぞれ有するロールとして構成される請求項17記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項19】
保管ユニット(4)は、少なくとも1つの個別の支持ポイント(6)を有し、レーザスキャナ装置(1)の動作中に搬送装置(3)に対してアクセス可能である、サンプル試料スライド(8)用の個々のサンプル部分(7)と、テスト試料スライド(10)用のテスト部分(9)とを含み、
テスト部分(9)は、1つ又はそれ以上のテスト試料スライド(10)のためのテスト部分マガジン(9’)としてサンプル部分(7)とは分離しており、レーザスキャナ装置(1)に堅固に連結されており、その結果、テスト部分(9)に保管されたテスト試料スライド(10)は、レーザスキャナ装置(1)の動作状態では、操作者に対して手動でアクセスできないようにした請求項14記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項20】
レーザスキャナ装置(1)は、テスト試料スライド(10)に基づいて実行される自動内部測定器検査を制御するように構成されたコントローラ(40)を備える請求項1記載のレーザスキャナ装置(1)。
【請求項21】
試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理した蛍光サンプルを画像化し及び/又は測定するためのレーザスキャナ装置(1)の動作方法であって、
(a)サンプル面(49)にある試料スライド(8,10)のためのレセプタクル(34)を備えたモータ駆動可能なサンプルテーブル(2)を用意すること、
(b)少なくとも1つのレーザ(51,52)および第1光学系(53)を用いて、互いに平行に配向し、この面(49)に対して平行に延びる異なる波長の2つのレーザビーム(54,55)を供給すること、
(c)この面(49)に対して平行に、ある運動方向(75)に前後移動可能なスキャナヘッド(50)を含むスキャナ手段(72)の光学偏向素子(56)を用いて、レーザビーム(54,55)をサンプルに向けて偏向すること、
(d)第1対物レンズ(57)を用いて、レーザビーム(54,55)を面(49)にあるサンプルに集光すること、
(e)第2光学系(58)を用いて、サンプルにおいてレーザビーム(54,55)によって誘起され、第1対物レンズ(57)および偏向素子(56)によって偏向された発光ビーム束(59,60)を、面(49)に対してほぼ平行な方向に検出器(61,61’)へ伝送すること、
(f)2つの検出器(61,61’)を用いて、サンプルから到来する異なる波長の発光ビーム束(59,60)を検出することを含み、
使用する光学偏向素子(56)は、互いに介在角度(β)で配置された前側および後側のダイクロイック面(63,64)を持つウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)であり、
ウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)は、2つのレーザビーム(54,55)が一方の表面(63,64)でそれぞれ反射するように調整され、
ウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)は、介在角度(β)により、2つの焦光ポイント(65)および検出器(61,61’)の方向に案内される2つの発光ビーム束(59,60)の空間分離を生じさせるようにした方法。
【請求項22】
ウェッジ形状のダイクロイックミラー(62)および単純ミラー(67)を備えたペンタミラー配置(66)として構成された光学偏向素子(56)を使用し、
このペンタミラー配置(66)は、走査軸(75)に対して直角に延びるY軸周りのスキャナヘッド(50)の傾斜を補正し、得られる集光ポイント(65)がサンプル面(49)でこれらの現在位置を変化させないようにする請求項21記載の方法。
【請求項23】
スキャナヘッド(50)は、光学偏向素子(56)および運動方向(75)とともに走査面(76)を規定し、
スキャナヘッド(50)のX軸(75)への変位は、レーザスキャナ装置(1)の直線測定システム(78)から離れて、この走査面(76)内に配置された測定ロッド(77)によって測定される請求項21記載の方法。
【請求項24】
スキャナヘッド(50)のX軸(75)への変位は、第1対物レンズ(57)の主面(107)に少なくとも接近して配置された測定ロッド(77)によって測定される請求項21記載の方法。
【請求項25】
試料スライド上に配置され、2つの異なる蛍光色素を用いて処理された蛍光サンプルを画像化及び/又は測定する際の公称解像度は、2.5μmまたはこれより優れている請求項21記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−100136(P2011−100136A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−253566(P2010−253566)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【分割の表示】特願2008−271733(P2008−271733)の分割
【原出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(501442699)テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
【Fターム(参考)】